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特表2022-509859偏心検出器を用いたヘリカルコーンビームコンピュータ断層撮影による撮像
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-24
(54)【発明の名称】偏心検出器を用いたヘリカルコーンビームコンピュータ断層撮影による撮像
(51)【国際特許分類】
   A61B 6/03 20060101AFI20220117BHJP
   A61N 5/10 20060101ALI20220117BHJP
【FI】
A61B6/03 350Z
A61B6/03 377
A61N5/10 M
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021531085
(86)(22)【出願日】2019-11-25
(85)【翻訳文提出日】2021-06-29
(86)【国際出願番号】 US2019063071
(87)【国際公開番号】W WO2020112671
(87)【国際公開日】2020-06-04
(31)【優先権主張番号】62/773,712
(32)【優先日】2018-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/773,700
(32)【優先日】2018-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/796,831
(32)【優先日】2019-01-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/800,287
(32)【優先日】2019-02-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/801,260
(32)【優先日】2019-02-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/813,335
(32)【優先日】2019-03-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/821,116
(32)【優先日】2019-03-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/836,352
(32)【優先日】2019-04-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/836,357
(32)【優先日】2019-04-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/843,796
(32)【優先日】2019-05-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/878,364
(32)【優先日】2019-07-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505172824
【氏名又は名称】アキュレイ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100137338
【弁理士】
【氏名又は名称】辻田 朋子
(72)【発明者】
【氏名】ユイ,ジーツォン
(72)【発明者】
【氏名】ギャニオン,ダニエル
【テーマコード(参考)】
4C082
4C093
【Fターム(参考)】
4C082AC02
4C082AE03
4C082AJ08
4C082AP12
4C082AP13
4C093AA22
4C093AA25
4C093BA10
4C093CA15
4C093EA12
4C093EB19
4C093FE12
(57)【要約】
ビューの完成を含んで、ヘリカル走査中にオフセット検出器からの投影データを処理するためのx線撮像装置および関連する方法が、提供される。検出器は、チャネル方向および/または軸方向にオフセットされ得る。現在のビューからの測定された投影データは、少なくとも1つの共役ビューからの測定された投影データと組み合わされて、ターゲット画像を再構成する。データの冗長性に対処するために、二次元アパーチャ重み付けスキームが使用される。
【選択図】なし

【特許請求の範囲】
【請求項1】
オフセット検出器を利用するx線撮像装置であって、
ガントリシステム内で放射線ビームを発するための回転式x線源であって、走査中に患者支持体の移動と組み合わせてヘリカル撮像軌道を作り出す、回転式x線源と、
前記x線源からの放射線を受け取るように配置されたx線検出器であって、前記ガントリシステムのアイソセンタを通って前記x線源から仮想中心線に対してオフセットされ、それにより、ターゲットの完成ビューは、前記オフセットにより現在のビューを少なくとも1つの共役ビューと組み合わせることを必要とし、前記共役ビューは、隣接する回転中に後方ビューまたは前方ビューを含む、x線検出器と、
前記x線源によって前記オフセット検出器に向かって発せられた前記放射線ビームの形状を調整するように構成されたビームフォーマと
を備え、
前記現在のビューから測定された投影データは、前記少なくとも1つの共役ビューから測定された投影データから決定された投影データと組み合わされてターゲット画像を再構成する、x線撮像装置。
【請求項2】
前記検出器が、チャネル方向に前記仮想中心線に対してオフセットされる、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記検出器が、軸方向に前記仮想中心線に対してオフセットされる、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記検出器が、チャネル方向および軸方向に前記仮想中心線に対してオフセットされる、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記少なくとも1つの共役ビューが、複数の共役ビューを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記少なくとも1つの共役ビューが、隣接する回転中に前記後方ビューおよび前記前方ビューを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記ビームフォーマが、前記ビームフォーマのx線減衰材料の回転または並進の少なくとも一方によって前記放射線ビームの前記形状を調整するように構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記ビームフォーマが、前記放射線ビームの前記形状を長方形または平行四辺形に調整するように構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
データ処理システムであって、
前記現在のビューおよび前記少なくとも1つの共役ビューからの測定された投影データを受け取るように構成され、
前記少なくとも1つの共役ビューからの前記測定された投影データに基づいて、前記現在のビューからの前記投影データ内で欠落している光線の値を決定するように構成され、また、
前記欠落光線の前記値を前記現在のビューからの前記測定された投影データとマージするように構成される、データ処理システムをさらに備える、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
オフセット検出器を利用してx線撮像装置からの投影データを処理する方法であって、
ヘリカル撮像走査中に、現在のビューおよび少なくとも1つの共役ビューからの測定された投影データを前記オフセット検出器から受け取るステップと、
前記少なくとも1つの共役ビューからの前記測定された投影データに基づいて前記現在のビューからの前記投影データ内の欠落している光線の値を決定するステップと、
前記欠落光線の前記決定された値を前記現在のビューからの前記測定された投影データとマージしてターゲットの完成した図を形成するステップと
を含む、方法。
【請求項11】
前記少なくとも1つの共役ビューからの前記測定された投影データが、前記現在のビューからの前記投影データ内の欠落している光線の前記値を決定するのに十分であるように、前記少なくとも1つの共役ビューを定義するパラメータを計算するステップをさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記ターゲットの前記完成ビューを形成する前記マージされた値を微分して重み付けするステップと、
前記微分され重み付けされたデータにヒルベルト変換を適用するステップと、
前記変換されたデータを逆投影して再構成された画像を作り出すステップと
をさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記変換されたデータを逆投影して前記再構成された画像を作り出すことが、データ冗長性のための二次元アパーチャ重み付けスキームを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記少なくとも一方の共役ビューからの前記測定された投影データに基づいて、前記現在のビューからの前記投影データ内の欠落している光線の前記値を決定するステップが、
完成基準を識別することと、
欠落光線と前記完成基準との交点を識別することと、
前記少なくとも1つの共役ビューに関連付けられた共役光線の列インデックスを計算することと、
前記共役光線の測定された値を正規化することと、
共役光線の正規化された値をマージすること
とを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項15】
前記欠落光線の前記決定された値を前記現在のビューからの前記測定された投影データとマージして、前記ターゲットの前記完成ビューを形成するステップが、
前記欠落光線の前記決定された値をフェザリングゾーンに隣接する前記測定された投影データとフィッティングしてフィッティングされたデータを形成することと、
フェザリングプロセスを使用して前記フィッティングされたデータを前記欠落光線の前記決定された値とマージすることとを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項16】
前記オフセット検出器が、チャネル方向に仮想中心線に対してオフセットされる、請求項10に記載の方法。
【請求項17】
前記オフセット検出器が、軸方向に仮想中心線に対してオフセットされる、請求項10に記載の方法。
【請求項18】
前記少なくとも1つの共役ビューが、隣接する回転中、後方ビューまたは前方ビューのうちの少なくとも一方を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項19】
前記少なくとも1つの共役ビューが、隣接する回転中、後方ビューと前方ビューとを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項20】
放射線療法送達デバイスであって、
患者支持体の周りに少なくとも部分的に配置された回転可能なガントリシステムと、
前記回転可能なガントリシステムに結合された第1の放射線源であって、治療用放射線源として構成される、第1の放射線源と、
前記回転可能なガントリシステムに結合された第2の放射線源であって、前記治療用放射線源よりも低いエネルギーレベルを有する撮像放射線源として構成され、前記回転可能なガントリシステムは、走査中、前記患者支持体の移動と組み合わせてらせん撮像軌道を作り出す、第2の放射線源と、
前記回転可能なガントリシステムに結合され、前記第2の放射線源から放射線を受け取るように配置された放射線検出器であって、前記第2の放射線から前記ガントリシステムのアイソセンタを通る垂直中心線に対してオフセットされ、それにより、ターゲットの完成ビューは、現在のビューと少なくとも1つの共役ビューを組み合わせることを必要とする、放射線検出器と、
前記オフセット検出器に対して前記第2の放射線源によって発せられた前記放射線ビームの形状を調整するように構成されたビームフォーマと、
データ処理システムであって、
前記現在のビューおよび前記少なくとも1つの共役ビューからの測定された投影データを受け取るように構成され、
前記少なくとも1つの共役ビューからの前記測定された投影データに基づいて前記現在のビューからの前記投影データ内の欠落している光線の値を決定するように構成され、
前記欠落光線の前記値を前記現在のビューからの前記測定された投影データとマージするように構成され、
適応IGRT中に使用するために前記マージされたデータに基づいてターゲット画像を再構成するように構成される、データ処理システムと
を備える、放射線療法送達デバイス。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2018年11月30日に出願の米国仮特許出願第62/773,712号明細書(代理人整理番号38935/04001)、2018年11月30日出願の米国仮特許出願第62/773,700号明細書(代理人整理番号38935/04002);2019年1月25日出願の米国仮特許出願第62/796,831号明細書(代理人整理番号38935/04004);2019年2月1日出願の米国仮特許出願第62/800,287明細書(代理人整理番号38935/04003);2019年2月5日出願の米国仮特許出願第62/801,260号明細書(代理人整理番号38935/04006);2019年3月4日出願の米国仮特許出願第62/813,335号明細書(代理人整理番号38935/04007);2019年3月20日出願の米国仮特許出願第62/821,116号明細書(代理人整理番号38935/04009);2019年4月19日出願の米国仮特許出願第62/836,357号明細書(代理人整理番号38935/04016);2019年4月19日出願の米国仮特許出願第62/836,352号明細書(代理人整理番号38935/04017);2019年5月6日出願の米国仮特許出願第62/843,796号(代理人整理番号38935/04005)明細書;および2019年7月25日に出願の米国仮特許出願第62/878,364号明細書(代理人整理番号38935/04008)を含む、11件の米国仮特許出願の利益を主張する。本出願はまた、「MULTIMODAL RADIATION APPARATUS AND METHODS」と題する代理人整理番号第38935/04019号、「APPARATUS AND METHODS FOR SCALABLE FIELD OF VIEW IMAGING USING A MULTI-SOURCE SYSTEM」と題する代理人整理番号第38935/04020号、「INTEGRATED HELICAL FAN-BEAM COMPUTED TOMOGRAPHY IN IMAGE-GUIDED RADIATION TREATMENT DEVICE」と題する代理人整理番号第38935/04011号、「COMPUTED TOMOGRAPHY SYSTEM AND METHOD FOR IMAGE IMPROVEMENT USING PRIOR IMAGE」と第する代理人整理番号第38935/04010号、「OPTIMIZED SCANNING METHODS AND TOMOGRAPHY SYSTEM USING REGION OF INTEREST DATA」と題する、代理人整理番号第38935/04013号、「MULTI-PASS COMPUTED TOMOGRAPHY SCANS FOR IMPROVED WORKFLOW AND PERFORMANCE」と題する代理人整理番号第38935/04021号、「METHOD AND APPARATUS FOR SCATTER ESTIMATION IN CONE-BEAM COMPUTED TOMOGRAPHY」と題する、代理人整理番号第38935/04012号、「ASYMMETRIC SCATTER FITTING FOR OPTIMAL PANEL READOUT IN CONE-BEAM COMPUTED TOMOGRAPHY」と題する、代理人整理番号第38935/04014号、「METHOD AND APPARATUS FOR IMPROVING SCATTER ESTIMATION AND CORRECTION IN IMAGING」と題する、代理人整理番号第38935/04018号、「METHOD AND APPARATUS FOR IMAGE RECONSTRUCTION AND CORRECTION USING INTER-FRACTIONAL INFORMATION」と題する、代理人整理番号38935/04022号を含む、同日に出願された10件の米国非仮特許出願に関連する。上記のすべての特許出願(複数可)および特許(複数可)の内容は、参照により本明細書に完全に組み込まれる。
【0002】
開示する技術の態様は、コンピュータ断層撮影撮像に関し、より詳細には、コーンビームコンピュータ断層撮影ヘリカル走査中に偏心(オフセット)検出器を利用する場合の高品質の撮像および/またはデータ再構成のための装置および方法に関する。
【背景技術】
【0003】
コーンビームコンピュータ断層撮影(CBCT)を含むコンピュータ断層撮影(CT)撮像は、放射線療法における価値のあるツールである。これは、患者の位置決めおよび線量計算に使用することができる。これはまた、医師が、画像誘導放射線治療(IGRT)の状況を含む適応放射線療法を実行することを可能にする可能性を有する。IGRTは、治療前、治療中、および/または治療後に患者の画像を収集するために、CTなどの医療撮像技術を利用することができる。
【0004】
1つの一般的なデータ取得形態は、円形走査であり、これは、小さなオブジェクト走査(例えば、ヘッド)用の中心に置かれた検出器と、大きなオブジェクト走査(例えば、腹部)用のチャネル方向に偏心(オフセットまたはシフトされた)検出器とを有する。ほとんどの放射線療法システムでは、ガントリは限られた角度で一方向にしか回転することができないため、円形走査が唯一の実用的な選択である可能性が高く、したがってこれらの機械がヘリカル状の線源軌道を使用するのを妨げている。ヘリカル走査は、円形走査と比較して、より少ないアーチファクトおよびより速い走査でより高品質の画像を提供することができるが、ビュー完成ははるかに複雑である。
【発明の概要】
【0005】
1つの実施形態では、オフセット検出器を利用して撮像装置からの投影データを処理する方法は、ヘリカル撮像走査中に、現在のビューおよび少なくとも1つの共役ビューからの測定された投影データをオフセット検出器から受け取るステップと、少なくとも1つの共役ビューからの測定された投影データに基づいて、現在のビューからの投影データ内の欠落している光線の値を決定するステップと、欠落光線の決定された値を現在のビューからの測定された投影データとマージしてターゲットの完全なビューを形成するステップとを含む。
【0006】
1つの実施形態に関して説明および/または図示する特徴は、1つまたは複数の他の実施形態において同じ方法または同様の方法で、および/または他の実施形態の特徴と組み合わせて、またはその代わりに使用することができる。
【0007】
本発明の説明は、特許請求の範囲で使用する単語または特許請求の範囲もしくは発明の範囲を何ら限定するものではない。特許請求の範囲で使用する単語は、それらの完全な通常の意味のすべてを有する。
【0008】
本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成する添付の図面には、本発明の実施形態が示されており、上記であげる本発明の概括的な説明および以下にあげる詳細な説明と共に、本発明の実施形態を例示するのに役立つ。図示する要素境界(例えば、ボックス、ボックスのグループ、または他の形状)は、境界の1つの実施形態を表すことが理解されよう。いくつかの実施形態では、1つの要素が複数の要素として設計されてもよく、または複数の要素が1つの要素として設計されてもよい。いくつかの実施形態では、別の要素の内部構成要素として示す要素は、外部構成要素として実装されてもよく、その逆も可能である。さらに、要素は縮尺通りに描かれていない場合がある。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】開示する技術の1つの態様による例示的なx線撮像装置の斜視図である。
図2】開示する技術の1つの態様による例示的な放射線療法デバイスに組み込まれたx線撮像装置の概略図である。
図3】定義された世界座標系を用いて示す例示的なx線撮像装置の図である。
図4】例示的なデータ取得システムの3D幾何学的形状の図である。
図5】例示的な(x、z)平面におけるデータ取得システムの幾何学的形状の図である。
図6】ビュー完成のためのオフセット検出器によるヘリカル軌道および共役ビューのための例示的な構成の3D図である。
図7】例示的な再構成フレームワークのフローチャートである。
図8】例示的なビュー完成方法のフローチャートである。
図9】(x、z)平面におけるヘリカルデータ取得システムの例示的な幾何学的形状の図である。
図10】欠落光線の値を決定するための例示的な方法のフローチャートである。
図11】(m,n)座標系における小ピッチヘリカルデータ取得の例示的な幾何学的形状の図である。
図12】(m,n)座標系における大ピッチヘリカルデータ取得の例示的な幾何学的形状の図である。
図13】共役光線が現在のビューのTam-Danielsson窓の内側に位置する(m,n)座標系における大ピッチヘリカルデータ取得の例示的な幾何学的形状の図である。
図14】共役光線がTam-Danielsson窓の外側に位置する(m,n)座標系における大ピッチヘリカルデータ取得の例示的な幾何学的形状の図である。
図15】マージされた、チャネル方向に沿った例示的な決定および測定されたデータの図である。
図16】放射線療法デバイスを使用するIGRTの例示的な方法を示すフローチャートである。
図17】例示的な画像ベースの送達前ステップを示すブロック図である。
図18】撮像または画像ベースの送達前ステップ中に利用され得る例示的なデータ源を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下は、本開示を通して使用され得る例示的な用語の定義を含む。すべての用語の単数形および複数形の両方が各意味に含まれる。
【0011】
本明細書で使用する「構成要素」は、ハードウェアの一部、ソフトウェアの一部、またはそれらの組み合わせとして定義することができる。ハードウェアの一部は、少なくともプロセッサおよびメモリの一部を含むことができ、メモリは実行する命令を含む。構成要素は、デバイスに関連付けられ得る。
【0012】
本明細書で使用する「回路」と同義の「論理」は、機能(複数可)または動作(複数可)を実行するためのハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、および/またはそれぞれの組み合わせを含むが、これらに限定されない。例えば、所望のアプリケーションまたはニーズに基づいて、論理は、ソフトウェア制御マイクロプロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)などの個別論理、または他のプログラム論理デバイスおよび/またはコントローラを含むことができる。論理はまた、ソフトウェアとして完全に具現化されてもよい。
【0013】
本明細書で使用する「プロセッサ」は、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、中央処理装置(CPU)、およびデジタル信号プロセッサ(DSP)などの実質的に任意の数のプロセッサシステムまたはスタンドアローンプロセッサのうちの1つまたは複数を任意の組み合わせで含むが、これらに限定されない。プロセッサは、ランダム-アクセスメモリ(RAM)、読み出し専用メモリ(ROM)、プログラマブル読み出し専用メモリ(PROM)、消去可能プログラマブル読み出し専用メモリ(EPROM)、クロック、デコーダ、メモリコントローラ、または割り込みコントローラなど、プロセッサの動作をサポートする様々な他の回路に関連付けられ得る。これらのサポート回路は、プロセッサまたはその関連する電子パッケージの内部または外部にあってもよい。サポート回路は、プロセッサと動作可能に通信する。サポート回路は、必ずしもブロック図または他の図面においてプロセッサとは別個に示されていない。
【0014】
本明細書で使用する「信号」は、アナログまたはデジタル信号、1つまたは複数のコンピュータ命令、ビットまたはビットストリームなどを含む1つまたは複数の電気信号を含むが、これらに限定されない。
【0015】
本明細書で使用する「ソフトウェア」は、コンピュータ、プロセッサ、論理、および/または他の電子デバイスに所望の方法で機能、動作、および/または挙動させる1つまたは複数のコンピュータ可読および/または実行可能命令を含むが、これらに限定されない。命令は、動的にリンクされたソースまたはライブラリからの別個のアプリケーションまたはコードを含むルーチン、アルゴリズム、モジュール、またはプログラムなどの様々な形態で具現化され得る。
【0016】
上記の例示的な定義が提供されているが、本明細書と一致する最も広い合理的な解釈がこれらおよび他の用語に使用されることが本出願人の意図である。
【0017】
以下でより詳細に論じるように、開示する技術の実施形態は、CBCTヘリカル走査中にオフセット検出器を利用する場合の高品質の撮像およびデータ再構成に関する。いくつかの実施形態では、放射線療法送達デバイスおよび方法は、IGRTと併用して、またはIGRTの一部として使用するためのCT用の一体化された低エネルギー放射線源を利用することができる。特に、例えば、放射線療法送達デバイスおよび方法は、回転画像取得を使用してガントリ内で撮像するための低エネルギーのコリメートされた放射線源と、治療的処置のための高エネルギー放射線源とを組み合わせることができる。さまざまな実施形態では、低エネルギー放射線源(例えばkV)は、撮像のために高エネルギー放射線源(例えば、MV)を使用するよりも高品質の画像を生成することができる。kVエネルギーで生成された画像は、MVエネルギーよりも良好な組織コントラストを有することができる。ターゲットおよびリスク臓器(OARS)の視覚化、適応療法モニタリング、および治療計画/再計画のために、高品質の体積映像法が必要とされ得る。いくつかの実施形態では、kV撮像システムはまた、位置決め、運動追跡、および/または特徴付けまたは補正能力に使用することもできる。
【0018】
画像取得方法は、例えば、連続走査(例えば、ガントリボアを通る患者支持体の長手方向の移動と共に、中心軸を中心とするヘリカル状の線源軌道で)、患者支持体の増分的な長手方向移動を伴う非連続の円形ストップアンドリバース走査などであり得る複数回転走査を含むか、または別の形で使用することができる。
【0019】
様々な実施形態によれば、x線撮像装置は、例えばビームフォーマを使用して、放射線源を例えばコーンビームまたはファンビームになるようにコリメートする。1つの実施形態では、コリメートされたビームは、患者が移動している間に連続的に回転するガントリと組み合わせられ、その結果、ヘリカル画像取得を生じさせることができる。
【0020】
いくつかの実施形態では、高品質の体積画像を完成させるための走査回転の増加に関連する時間は、(例えば、最大10回転/分(rpm)、最大20rpm、最大60rpm、またはそれ以上のrpmを含む高速スリップリング回転を使用する)高ガントリレート/速度、高kVフレームレート、および/または疎データ再構成技術によって緩和されて、放射線療法送達プラットフォーム上にkV CT撮像を提供することができる。(様々な列/スライスサイズ、構成、ダイナミックレンジなどを有する)検出器、走査ピッチ、および/または動的コリメーションは、検出器の一部を選択的に露出させ、アクティブ読み出し領域を選択的に画定することを含んで、様々な実施形態における追加の特徴である。
【0021】
ヘリカル走査軌道は、円形走査を考慮していくつかの利点を有することができる。例えば、円錐ビームアーチファクトは、ヘリカル走査が画像再構成のためのより完全な投影データを提供することができるため、低減される。また、ヘリカル走査は、狭い軸方向開口部で大きい長手方向の範囲に対する投影データを取得することができ、これは投影データ内の散乱汚染を実質的に低減することができる。再構成された画像は、低周波アーチファクトに関して著しく改善された画質を有することができ、その結果、軟組織コントラストが大幅に強化される。また、ヘリカル走査は、大きなピッチで走査速度を向上させることができる。
【0022】
図1および図2を参照すると、x線撮像装置10が、示されている。x線撮像装置10は、IGRTを含むがこれに限定されない様々な用途に使用することができる放射線療法デバイス(図2に示す)に関連付けられ、および/またはそれに一体化され得ることが理解されよう。x線撮像装置10は、支持ユニットまたはハウジング14によって支持されるか、または別の形でその中に収容されるガントリ12と呼ばれる回転可能なガントリシステムを含む。本明細書のガントリは、1つまたは複数の放射線源および/または関連する検出器がターゲットの周りを回転するときにそれらを支持することができる1つまたは複数のガントリ(例えば、リングまたはCアーム)を備えるガントリシステムを指す。例えば、1つの実施形態では、第1の放射線源およびその関連検出器をガントリシステムの第1のガントリに取り付けることができ、第2の放射線源およびその関連検出器をガントリシステムの第2のガントリに取り付けることができる。別の実施形態では、2つ以上の放射線源および関連する検出器(複数可)を、例えば、ガントリシステムが1つのガントリのみで構成される場合を含んで、ガントリシステムの同じガントリに取り付けることもできる。ガントリ、放射線源、および放射線検出器の様々な組み合わせを様々なガントリシステム構成と組み合わせて、同じ装置内の同じ体積を撮像および/または治療することができる。例えば、kVおよびMV放射線源をガントリシステムの同じまたは異なるガントリに取り付け、IGRTシステムの一部として撮像および/または治療に選択的に使用することができる。異なるガントリに取り付けられている場合、放射線源は独立して回転することができるが、依然として同じ(またはほぼ同じ)体積を同時に撮像することができる。回転可能なリングガントリ12は、上述したように、10rpm以上にすることができる。回転可能なガントリ12は、撮像および/または治療のために内部におよびそれを通して患者を移動させ、位置決めすることができるガントリボア16を画定する。1つの実施形態によれば、回転可能なガントリ12は、検出器によって受け取られる高品質の撮像データに十分な帯域幅を提供しながら、撮像放射線源(例えばx線)および関連する放射線検出器の連続回転を提供するスリップリングガントリとして構成される。スリップリングガントリは、デバイスに関連する電力および信号を搬送するケーブルを巻き取りおよび巻き戻すために、交互の方向へのガントリ回転を排除することができる。そのような構成は、IGRTシステムに一体化された場合であっても、連続ヘリカル(例えばファンビーム、コーンビームなど)コンピュータ断層撮影を可能にする。
【0023】
患者支持体または寝台18は、回転可能なガントリ12に隣接して配置され、回転可能なガントリ12内へのおよびその中での長手方向の移動のために、典型的には水平位置で患者を支持するように構成される。患者支持体18は、例えば、ガントリ12の回転平面に垂直な方向に(ガントリ12の回転軸に沿ってまたは平行に)患者を移動させることができる。患者支持体18は、患者および患者支持体18の移動を制御するための患者支持コントローラに動作可能に結合することができる。患者支持コントローラは、命令された撮像および/または治療計画に従った患者の長手方向軸周りの回転のために、回転可能なガントリ12および回転式ガントリに取り付けられた放射線源と同期させることができる。いくつかの実施形態では、患者支持体はまた、最適な治療のために患者の位置を調整するために、ボア16内に入ると制限された範囲で上下左右に移動させることができる。
【0024】
図2に示すように、x線撮像装置10は、回転可能なガントリ12に結合されるか、または別の形で支持される撮像放射線源30を含む。撮像放射線源30は、高品質の画像を生成するための放射線ビーム(全体的に32として示される)を発する。この実施形態では、撮像放射線源は、キロ電圧(kV)源(例えば、約20kVから約150kVの範囲のエネルギーレベルを有する臨床用x線源)として構成されたx線源30である。1つの実施形態では、kV放射線源は、最大150keVのキロ電子ボルトピーク光子エネルギー(keV)を含む。撮像放射線源は、撮像に適した任意のタイプの伝送源とすることができる。例えば、撮像放射線源は、例えば、x線発生源(CT用を含む)、または十分なエネルギーおよびフラックスで光子を生成する任意の他の方法(例えば、ガンマ線源(例えば、コバルト57、122keVにおけるエネルギーピーク)、x線蛍光源(例えば、Pb k線を通る蛍光源、約70keVおよび約82keVにおける2つのピーク)であってよい。本明細書におけるx線、x線撮像、x線撮像源などへの言及は、特定の実施形態の例示である。他の撮像伝送源を様々な他の実施形態において交換可能に使用することができる。x線検出器34(例えば、二次元フラット検出器または湾曲検出器)を回転可能なガントリ12に結合するか、またはこれによって別の形で支持することができる。x線検出器34は、x線源30から放射線を受け取るように配置され、x線源30と共に回転することができる。検出器34は、減衰されていない放射線の量を検出するか、または別の形で測定することができ、したがって、(最初に生成されたものと比較して)患者または関連する患者ROIによって実際に減衰されたものを推測することができる。検出器34は、x線源30が回転して患者に向けて放射線を発するとき、異なる角度から減衰データを検出するか、または別の形で収集することができる。
【0025】
x線検出器34は、開示する技術の範囲から逸脱することなく、いくつかの構成をとることができることが理解されよう。図2に示すように、x線検出器34は、フラットパネル検出器(例えば、複数列フラットパネル検出器)として構成することができる。別の例示的な実施形態によれば、x線検出器34は、湾曲検出器として構成することができる。検出器34は、チャネルおよび/または軸方向のオフセット(すなわち、シフトされた)位置に調整することができる。
【0026】
図1および図2は、放射線源30がリングガントリ12に取り付けられたx線撮像装置10を示しているが、他の実施形態は、例えばC-アームガントリおよびロボットアームベースのシステムを含む他のタイプの回転可能な撮像装置を含むことができる。ガントリベースのシステムでは、ガントリは、アイソセンタを通過する軸の周りで撮像放射線源30を回転させる。ガントリベースのシステムはC-アームガントリを含み、その内部では撮像放射線源30が、アイソセンタを通過する軸上にカンチレバー式に取り付けられ、その軸の周りを回転する。ガントリベースのシステムは、全体的にトロイダル形状を有するリングガントリ、例えば、回転可能なガントリ12をさらに含み、その内部で患者の体は、リング/トロイドのボアを通って延び、撮像放射線源30は、リングの周囲に取り付けられ、アイソセンタを通過する軸の周りを回転する。いくつかの実施形態では、ガントリ12は、連続的に回転する。他の実施形態では、ガントリ12は、繰り返し回転および反転するケーブルベースのシステムを利用する。
【0027】
(全体的に36として示す)コリメータまたはビームフォーマアセンブリは、x線検出器34のアクティブ領域の一部または領域を選択的に露出させるために、x線源30によって発せられた放射線ビーム32の形状を選択的に制御および調整するようにx線源30に対して配置される。ビームフォーマはまた、放射線ビーム32がx線検出器34上にどのように配置されるかを制御することもできる。1つの実施形態では、ビームフォーマ36は、(例えば、より薄いまたはより厚いスリットを作るために)1度/一次元の運動を有することができる。別の実施形態では、ビームフォーマ36は、(例えば、様々なサイズの長方形を作成するために)2度/二次元の運動を有することができる。他の実施形態では、ビームフォーマ36は、例えば、平行四辺形を含む様々な他の動的に制御される形状が可能であってもよい。これらの形状はすべて、走査中に動的に調整することができる。いくつかの実施形態では、ビームフォーマのブロッキング部分を回転させ並進させることができる。
【0028】
ビームフォーマ36は、限定はしないが、1つの検出器列幅ほど小さいか、または検出器のアクティブ領域の一部のみとなる複数の検出器列を含むビーム厚(幅)を有するファンビームもしくはコーンビームを含む、いくつかの幾何学的形状でx線源30によって動的に発せられた放射線ビーム32の形状を調整するように制御することができる。様々な実施形態では、ビームの厚さは、数センチメートルのより大きな検出器アクティブ領域を露出させることができる。例えば、5~6センチメートルの検出器内の3~4センチメートル(検出器平面内の長手方向に測定)を撮像放射線32に選択的に露出することができる。この実施形態では、3~4センチメートルの投影画像データを各読み出しで、片側または両側に約1~2センチメートルの露出していない検出器領域を有してキャプチャすることができ、露出していない検出器領域を使用して以下で論じるように散乱データをキャプチャすることができる。
【0029】
他の実施形態では、アクティブ検出器の一部のより多くのまたはより少ない部分が、撮像放射線に選択的に露出され得る。例えば、いくつかの実施形態では、ビーム厚さは、より小さい検出器を含んで、約2センチメートル、1センチメートル、1センチメートル未満、または同様のサイズの範囲まで低減することができる。他の実施形態では、ビーム厚さは、より大きな検出器を含んで、約4センチメートル、5センチメートル、5センチメートル超、または同様のサイズの範囲まで増大させることができる。様々な実施形態では、露出対アクティブ検出器面積の比は、30~90%または50~75%であり得る。他の実施形態では、露出対アクティブ検出器面積の比は、60~70%であり得る。しかし、他の実施形態では、様々な他の露出領域およびアクティブ領域のサイズまたは露出対アクティブ検出器領域の比が適切であり得る。ビームおよび検出器は、検出器のシャドウ付き領域(アクティブであるが直接放射線に露出されない)が、半影領域を越えて散乱データをキャプチャするのに十分であるように構成することができる。
【0030】
様々な実施形態は、測定されたデータが一次(露出された)領域およびシャドウ付き領域に十分であるが、速度および線量制御に合わせて最適化もされるように、検出器34の選択的露出を制御する特徴(例えば、ビームサイズ、ビーム/アパーチャ中心、コリメーション、ピッチ、検出器読み出し範囲、検出器読み出し中心など)の最適化を含むことができる。ビームフォーマ36の形状/位置および検出器34の読み出し範囲は、実施されている特定の撮像タスクに基づいて、x線源30からの放射線ビーム32がx線検出器34を多く覆うか、またはほとんどを覆わないように制御することができる。ビーム32は、例えば平行四辺形を含む様々な形状に成形することができる。ビームフォーマ36は、ビームフォーマ36のx線減衰材料の回転および/または並進によって放射線ビーム32の形状を調整するように構成することができる。
【0031】
コリメータ/ビームフォーマ36は、x線源30によって発せられる放射線ビーム32の形状を調整することを可能にする様々な方法で構成することができる。例えば、コリメータ36は、顎部の組または他の適切な部材を含むように構成することができ、これらの部材は、x線源30からの放射線ビームが通過することができるアパーチャのサイズを画定し、選択的に調整する。例示的な1つの構成によれば、コリメータ36は、上顎部および下顎部を含むことができ、この場合上顎部および下顎部は、異なる方向(例えば、平行な方向)に移動可能であり、それによってx線源30からの放射線ビームが通過するアパーチャのサイズを調整し、また、最適化された撮像および最小化された患者線量のために撮像される患者の部分のみを照明するように患者に対するビーム位置を調整する。
【0032】
1つの実施形態によれば、x線源30からの放射線ビーム32の形状を画像取得中に変更することができる。別の言い方をすれば、1つの例示的実施態様によれば、ビームフォーマ36のリーフ位置および/またはアパーチャ幅は、走査前または走査中に調整することができる。例えば、1つの実施形態によれば、ビームフォーマ36は、x線源30の回転中に選択的に制御および動的に調整することができ、それにより、放射線ビーム32は十分な一次/シャドウ領域を有する形状を有し、撮像中に対象オブジェクト(例えば、前立腺)のみを含むように調整される。x線源30によって発せられる放射線ビーム32の形状は、以下でより詳細に論じるように、撮像および/または治療フィードバックに基づき得る所望の画像取得に応じて、走査中または走査後に変更することができる。
【0033】
図2に示すように、x線撮像装置10は、回転可能なガントリ12に結合されるか、または別の形で支持される治療用放射線源20を含む放射線療法デバイスと一体化され得る。1つの実施形態によれば、治療用放射線源20は、対象領域内の患者内の腫瘍の治療に使用される高エネルギー放射線源などの治療放射線源として構成される。治療用放射線源は、高エネルギーx線ビーム(例えば、メガボルテージ(MV)x線ビーム)、および/または高エネルギー粒子ビーム(例えば、電子のビーム、陽子のビーム、または炭素などのより重いイオンのビーム)または別の適切な形態の高エネルギー放射線であり得ることが理解されよう。1つの実施形態では、第1の放射線源20は、1MeV以上のメガ電子ボルトピーク光子エネルギー(MeV)を含む。1つの実施形態では、高エネルギーx線ビームは、0.8MeVより大きい平均エネルギーを有する。別の実施形態では、高エネルギーx線ビームは、0.2MeVより大きい平均エネルギーを有する。別の実施形態では、高エネルギーx線ビームは、150keVを超える平均エネルギーを有する。通常、第1の放射線源20は、第2の放射線源30よりも高いエネルギーレベル(ピークおよび/または平均など)を有する。
【0034】
1つの実施形態では、治療用放射線源20は、治療用放射線(例えば、MV源)を生成する直線加速装置(LINAC)であり、撮像システムは、比較的低い強度で低エネルギーの撮像放射線(例えば、kV源)を生成する独立したx線撮像源を備える。他の実施形態では、治療用放射線源20は、たとえばCo-60などの放射性同位体であることができ、通常、>1MeVのエネルギーを有することができる。治療用放射線源20は、治療計画に従って患者支持体18上に支持された患者内の対象領域(ROI)に向かって1つまたは複数の放射線ビーム(全体的に22で示す)を発することができる。検出器24を回転可能なガントリ12に結合するか、またはこれによって別の形で支持して、治療用放射線源20からの放射線22を受けるように配置することができる。検出器24は、減衰されていない放射線の量を検出するか、または別の形で測定することができ、したがって、(最初に生成されたものと比較して)患者または関連する患者ROIによって実際に減衰されたものを推測することができる。検出器24は、治療用放射線源20が回転して患者に向けて放射線を発するときに、異なる角度から減衰データを検出するか、または別の形で収集することができる。
【0035】
治療用放射線源20は、コリメータを含むか、またはこれに別の形で関連付けることができることがさらに理解されよう。治療用放射線源20に関連するコリメータは、撮像源30に関連するコリメータ/ビームフォーマ36と同様に、いくつかの方法で構成することができる。例えば、コリメータ/ビームフォーマは、最小の開位置または閉位置と最大の開位置との間の1つまたは複数の位置に移動するように動作可能な複数のインターレースされたリーフを含むことができるマルチリーフコリメータ(MLC)として構成することができる。放射線源によって発せられる放射線ビームの所望の形状を達成するために、リーフを所望の位置に移動できることが理解されよう。1つの実施形態では、MLCは、サブミリメートルターゲティング精度が可能である。
【0036】
治療用放射線源20は、撮像源30と同じ平面または異なる平面(オフセット)に取り付けられ、構成され、および/または移動され得る。いくつかの実施形態では、放射線源20、30の同時アクティブ化によって引き起こされる散乱は、放射面をオフセットすることによって低減することができる。
【0037】
放射線療法デバイスと一体化されると、x線撮像装置10は、放射線送達処置(治療)を設定(例えば、整列および/または位置合わせ)し、計画し、および/または案内するために使用される画像を提供することができる。通常の設定は、現在の(治療中の)画像を治療前画像情報と比較することによって達成される。治療前画像情報は、例えば、コンピュータ断層撮影(CT)データ、コーンビームCTデータ、磁気共鳴画像法(MRI)データ、陽電子放射断層撮影法(PET)データもしくは3D回転血管造影法(3DRA)データ、および/またはこれらもしくは他の撮像モダリティから得られる任意の情報を含むことができる。いくつかの実施形態では、x線撮像装置10は、治療中の患者、ターゲット、またはROI運動を追跡することができる。
【0038】
再構成プロセッサ40は、検出器24および/またはx線検出器34に動作可能に結合することができる。1つの実施形態では、再構成プロセッサ40は、x線源30からx線検出器34によって受け取られた放射線に基づいて患者画像を生成するように構成される。再構成プロセッサ40は、以下でより完全に説明する方法を実施するために使用されるように構成できることが理解されよう。装置10はまた、限定はしないが、処理および再構成アルゴリズムおよびソフトウェア、撮像パラメータ、以前または別の形で前に取得された画像(例えば、計画画像)からの画像データ、治療計画などを含む情報を記憶するのに適したメモリ44を含むことができる。
【0039】
x線撮像装置10は、オペレータ/ユーザインターフェース48を含むことができ、この場合撮像装置10のオペレータは、x線撮像装置10と対話するか、または別の形で制御して、走査または撮像パラメータなどに関する入力を提供することができる。オペレータインターフェース48は、キーボード、マウス、音声起動コントローラなどの任意の適切な入力デバイスを含むことができる。x線撮像装置10はまた、x線撮像装置10のオペレータに出力を提供するためのディスプレイ52または他の人間可読要素を含むことができる。例えば、ディスプレイ52は、オペレータが、再構成された患者画像、およびx線撮像装置10の動作に関連する撮像または走査パラメータなどの他の情報を観察することを可能にすることができる。
【0040】
図2に示すように、x線撮像装置10は、装置10の1つまたは複数の構成要素に動作可能に結合されたコントローラ(全体的に60として示す)を含む。コントローラ60は、x線源30および/または治療用放射線源20ならびに回転可能なガントリ12の回転速度および位置を制御するガントリモータコントローラに電力およびタイミング信号を提供することを含んで、装置10の全体的な機能および動作を制御する。コントローラ60は、患者支援コントローラ、ガントリコントローラ、治療用放射線源20および/またはx線源30に結合されたコントローラ、ビームフォーマ36コントローラ、検出器24および/またはx線検出器34に結合されたコントローラなどのうちの1つまたは複数を包含できることが理解されよう。1つの実施形態では、コントローラ60は、他の構成要素、デバイス、および/またはコントローラを制御することができるシステムコントローラである。
【0041】
様々な実施形態では、再構成プロセッサ40、オペレータインターフェース48、ディスプレイ52、コントローラ60および/または他の構成要素は、1つまたは複数の構成要素またはデバイスになるように組み合わせることができる。
【0042】
装置10は、様々な構成要素と、論理と、ソフトウェアとを含むことができる。1つの実施形態では、コントローラ60は、プロセッサと、メモリと、ソフトウェアとを備える。限定ではなく例として、x線撮像装置および/または放射線療法システムは、特有の用途のための撮像および/またはIGRTに関連する1つまたは複数のルーチンまたはステップを実施することができる様々な他の装置および構成要素(例えば、とりわけ、ガントリ、放射線源、コリメータ、検出器、コントローラ、電源、患者支持体)を含むことができ、ルーチンは、メモリに記憶することができるそれぞれのデバイス設定、構成、および/または位置(例えば、経路/軌道)を含む、撮像、画像ベースの送達前ステップ、および/または治療送達を含むことができる。さらに、コントローラ(複数可)は、メモリ内に記憶された1つまたは複数のルーチンまたはプロセスに従って、1つまたは複数のデバイスおよび/または構成要素を直接的または間接的に制御することができる。直接制御の一例は、撮像または治療に関連する様々な放射線源またはコリメータパラメータ(電力、速度、位置、タイミング、変調など)の設定である。間接制御の一例は、患者支持コントローラまたは他の周辺デバイスへの位置、経路、速度などの通信である。x線撮像装置に関連付けられ得る様々なコントローラの階層は、適切なコマンドおよび/または情報を所望のデバイスおよび構成要素に伝えるように任意の適切な方法で配置することができる。
【0043】
さらに、当業者は、システムおよび方法を他のコンピュータシステム構成で実施してもよいことを理解するであろう。本発明の図示する態様は、分散コンピューティング環境で実施することができ、ここでは特定のタスクが、通信ネットワークを介してリンクされるローカルまたはリモート処理デバイスによって実行される。例えば、1つの実施形態では、再構成プロセッサ40は、別個のシステムに関連付けられ得る。分散コンピューティング環境では、プログラムモジュールは、ローカルとリモート両方のメモリ記憶デバイス内に配置され得る。例えば、リモートデータベース、ローカルデータベース、クラウドコンピューティングプラットフォーム、クラウドデータベース、またはそれらの組み合わせをx線撮像装置10で利用することができる。
【0044】
x線撮像装置10は、コンピュータを含む本発明の様々な態様を実施するための例示的な環境を利用することができ、この場合コンピュータは、(例えば、プロセッサと、メモリ44であってもよいメモリとを含む)コントローラ60と、システムバスとを含む。システムバスは、メモリを含むがこれに限定されないシステム構成要素をプロセッサに結合することができ、他のシステム、コントローラ、構成要素、デバイス、およびプロセッサと通信することができる。メモリは、読み出し専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、ハードドライブ、フラッシュドライブ、および任意の他の形態のコンピュータ可読媒体を含むことができる。メモリは、例えば治療計画を含むことができるルーチンおよびパラメータを含む様々なソフトウェアおよびデータを記憶することができる。
【0045】
治療用放射線源20および/またはx線源30は、治療用放射線源20およびx線源30の相対動作を制御するように構成されたコントローラ60に動作可能に結合することができる。例えば、x線源30は、治療用放射線源20と同時に制御し、動作させることができる。これに加えて、またはこれに代えて、実施される特定の治療および/または撮像計画に応じて、x線源30を治療用放射線源20と共に順次制御し、動作させることができる。
【0046】
x線源30およびx線検出器34は、撮像走査中にいくつかの方法で患者の周りに回転を提供するように構成できることが理解されよう。1つの実施形態では、x線源30の運動および露出を患者支持体18の長手方向運動と同期させることにより、処置中に患者画像の連続的なヘリカル取得を提供することができる。放射線源20、30および検出器24、34の連続的な回転(例えば、一定の患者の運動速度でのガントリの連続的かつ一定の回転)に加えて、開示する技術の範囲から逸脱することなく他の変形形態を採用できることが理解されよう。例えば、回転可能なガントリ12および患者支持体は、支持体が回転可能なガントリ12に対して(一定または可変速度で)移動するように制御されるとき、ガントリ12が患者支持体上に支持された患者の周りを前後に(例えば、交互の時計回りの回転および反時計回りの回転)で(上記で説明したように連続的にではなく)回転するように制御することができる。別の実施形態では、連続的なステップアンドシュート円形走査により、長手方向(ステップ)への患者支持体18の移動は、所望の体積がキャプチャされるまで回転可能なガントリ12(シュート)による走査回転と交互になる。
【0047】
様々な他のタイプの放射線源および/または患者支持移動を利用して、投影データを生成するための放射線源と患者との相対運動を達成することができる。放射線源および/または患者支持体の非連続的運動、連続的であるが可変/非一定(線形および非線形を含む)の運動、速度、および/または軌道など、ならびにそれらの組み合わせを、上記で説明した放射線療法デバイス10の様々な実施形態との組み合わせを含めて使用することができる。
【0048】
1つの実施形態では、ガントリ12の回転速度、患者支持体18の速度、ビームフォーマ36の形状、および/または検出器34の読み出しはすべて、画像取得中に一定であり得る。他の実施形態では、これらの変数のうちの1つまたは複数は、画像取得中に動的に変化し得る。ガントリ12の回転速度、患者支持体18の速度、ビームフォーマ36の形状、および/または検出器34の読み出しは、例えば、画質および画像取得時間を含む様々な要因のバランスをとるために変更することができる。
【0049】
他の実施形態では、これらの特徴は、例えば、患者設定、適応療法モニタリング、治療計画などを含む1つまたは複数の他の画像ベースの活動または手順と組み合わせることができる。
【0050】
いくつかの実施形態では、CBCTは、放射線療法のための撮像モダリティとしてx線源30をフラットパネル検出器34と共に使用する。典型的な検出器の横方向パネルサイズの制限により、チャネル方向の検出器シフトは、通常、より大きな視野(FOV)に対して実施される。そのような検出器34の変位(オフセット)は、円形CBCT走査では一般的であり、そのような設定から取得された投影データは、結果として軸方向および横方向の両方で切り捨てられるため、画像再構成に大きな困難をもたらす可能性がある。
【0051】
ヘリカル軌道を有するCBCTは、上述の円形走査に対する利点を考慮して、放射線療法およびIGRTのためのより良好な撮像ツールであることができる。しかし、拡大されたFOVのためのオフセット検出器34は、円形軌道と比較した場合、さらに複雑で困難な再構成問題を結果としてもたらす。知られている技術は、ヘリカル走査中にオフセット検出器によって取得されたデータを使用してビューを完成させフィルタリングした後に重要な特性を失う可能性がある。例えば、軸方向に不変のオブジェクトの場合、Feldkamp、Davis、およびKress(FDK)フレームワークの正確さの特性は、この状況ではもはや成り立たない。
【0052】
様々な実施形態では、以下において、一般的なコーンビームフィルタードバック投影ベース(CBFBP)フレームワークを使用する、オフセットフラットパネル検出器を用いたヘリカルコーンビーム走査のための新しいビュー完成および画像再構成フレームワークについて説明する。この再構成フレームワークは、計算的に効率的であるだけでなく、オブジェクトが軸方向に不変である場合にも正確である。さらに、この再構成フレームワークは、オブジェクトがほぼ軸方向に不変である用途ではより正確であり得る。
【0053】
慣例
以下の表記は、以下の実施形態で使用される。スカラ量は小文字で表され、ベクトルまたはベクトル位置(例えば、2Dまたは3D)は下線付きの小文字で表される。特に、下線を有する文字e、すなわちは、単位ベクトルである。世界座標系の座標を[x、y、z]とすると、x軸、y軸、z軸の単位ベクトルは、それぞれ と表すことができる。この場合、座標[x、y、z]の3Dベクトルは、=[x、y、z]と表すことができる。Tは、転置を表す。特に明記しない限り、ハット付きの小文字は値が推定されることを示し、バー付きの小文字は値が共役光線からのものであることを示す。
【0054】
走査オブジェクト(例えば、患者、ターゲット)はコンパクトであり、そのコンパクト空間は、Ωで示される。ベクトル位置におけるオブジェクトの減衰係数はf()で表され、一方でその再構成は、
【数1】
によって示される。x線源30はアイソセンタの周りを回転し、視野角はλで示される。したがって、線源30の空間場所は、視野角によって完全に特徴付けられ、そのベクトル位置を(λ)で示す。線源からアイソセンタまでの距離は、Rとして示され、線源から検出器までの距離は、Dとして示される。x線検出器34は、例示的なフラットパネル検出器であり、2Dパネルは、基本となるベクトル および にまたがり、このときは、 はチャネル方向であり、 は列方向である。検出器平面内の点の座標は、[u,v]として表記される。例示的な検出器セルは長方形であり、同じサイズである。セルの幅および高さは、それぞれΔuおよびΔvで示される。ログ演算後(すなわち、線積分)の検出器34での測定された値は、g(λ,u,v)で示される。
【0055】
図3を参照すると、定義された世界座標系310を用いて、x線撮像装置の図300が示されている。Oとして示される原点は、ガントリ12のアイソセンタであり、x軸、y軸、およびz軸に関連する単位ベクトルは、それぞれ 、および として示されている。ガントリ12の正面から見ると、x軸 は水平であり、右を指し、y軸 はガントリ平面内を指し、z軸 は垂直であり、上部を指す。x軸、y軸、およびz軸は、右手の法則に従う。
【0056】
例示的な実施形態では、x線源30は、ガントリ12の正面から見ると時計回りに回転する。図4は、例示的なデータ取得システムの3D幾何学的形状の図400を示す。図5は、例示的な(x,z)平面におけるデータ取得システムの幾何学的形状の図500を示す。視野角λは、x軸 から、ガントリ12の正面から見て時計回りに線源30と回転軸とを接続する仮想線402までの角距離として定義され、その3Dベクトル位置は(λ)として示される。回転軸は、世界座標y軸 に沿う。検出器34は、線源30および回転軸によって画定される平面に垂直であり、そのチャネルが回転軸に平行であり、その列が回転軸に垂直であるように配置される。線源30と検出器34のアイソセンタOとを接続する線402の穿刺点は、Oで示される検出器座標系410の原点として定義される。
【0057】
図4に示すように、例示的なデータ取得システムには2つの座標系が含まれる。特に、データ取得は、原点がOである世界座標系310および原点がOである検出器座標系410を参照する。上記で導入したように、検出器座標系410は、(チャネル方向)の基底ベクトル 、検出器34平面内の(列方向)の 、および(検出器34平面に垂直であり、Oからを指す) によって定義される。ここで、Oは、 に沿って、(ベクトル位置(λ)を有する)線源30と検出器34に延長されたOを接続する線402の検出器34上の穿刺点として定義される。一方、α(λ,u,v)は、線源30のベクトル位置(λ)から、検出器座標系410内の座標[u,v]に位置する検出器34セルを指す単位ベクトル404である。
【0058】
図5は、例示的な(x,z)平面におけるデータ取得システムの幾何学的形状500を示す。ここで、Rは線源からアイソまでの距離であり、Dは線源から検出器までの距離であり、λは視野角であり、γはファン角である。
【0059】
検出器座標系410は、基底ベクトル (λ)、 (λ)、および (λ)にまたがる。これらは図4に示され、式1で定義される。
【数2】
【0060】
図4および図5を参照すると、検出器34で測定された(線源30からの)x線は、L(λ,u,v)で示され、線源(λ)から検出器位置(u,v)を指すそのような線の単位ベクトルは、α(λ,u,v)で示される。構造上、この単位ベクトルα(λ,u,v)は、式2を使用して得ることができる。
【数3】
【0061】
上記の表記を使用して、x線に沿った線積分は、式3に従って表すことができる。
【数4】
【0062】
図5に示すように、Lと、(λ)および回転軸によって画定される中央平面との間の角度は、ファン角と呼ばれ、γによって示される。ファン角度γは、uと同じ符号であり、式4によって定義される。
【数5】
【0063】
ヘリカル軌道は、ガントリ12の回転と患者支持体/寝台18の並進との組み合わせによって実施される。ガントリ12の回転は、上記で定義されている。寝台18の方向は、cdirで示される。1つの実施形態では、寝台18のデフォルト方向は、ガントリ12内に向けてであり、cdirは1として定義される。寝台18がガントリ12から外に移動している別の実施形態では、cdirは、-1になるように設定される。線源30の長手方向の運動は、寝台18の長手方向運動とは相対的に反対であることに留意されたい。ガントリ12の回転速度および寝台18の移動速度の両方が一定である場合、線源30の軌道は、視野角λによって完全に特徴付けることができる。λおよびhをそれぞれ軌道の開始視野角および開始y位置とする。Hを、一回転当たり寝台18に対して線源30が進行する長手方向距離とする。なお、Hは、cdirが-1のとき正であり、cdirが1のとき負であることに留意されたい。検出器34の高さ(v)をアイソセンタのHisOとする。正規化されたヘリカルピッチは、式5に従ってpで表される。
【数6】
【0064】
ヘリカル軌道は、式6によって説明され得る。
【数7】
式中、h(λ)=H(λ-λ)/2π+hである。
【0065】
図6は、ビュー完成のためのオフセット検出器34によるヘリカル軌道および共役ビューのための例示的な構成の3D図600である。この実施形態では、図3および図4をさらに参照すると、患者寝台18はガントリ内に移動しており(すなわち、cdir=1である)、相対源30の長手方向の移動方向は負のy軸 に向かっている。したがって、検出器34の先端はガントリ12の前方(-v)に向かっており、検出器34の後端(テール)は後方(v)に向かっている。ここで、文字「l」および「t」は、それぞれ前方および後方を指す。検出器34によって画定される検出器平面634も示されている。λおよびλにおける共役ビュー、ならびにTam-Danielsson窓曲線vおよびvが、図6に示されており、以下で詳細に論じられる。
【0066】
以下は、例示的な実施形態で使用される変数および例示的なシミュレーション値の定義を要約した表である。
【表1】
【0067】
フレームワーク
上述したように、ベクトル位置におけるオブジェクトの減衰係数はf()で表され、一方でその再構成は、
【数8】
で示される。
上記で説明した慣例を使用すると、オフセット検出器を使用するCBCTヘリカル走査のための再構成フレームワークは、式7および8に基づく。
【数9】

ここで、
【数10】

【数11】
【0068】
式7の項gは、式9に従って定義される。
【数12】
ここで、
【数13】
は、アポダイズドヒルベルト変換であり、式10によれば、
【数14】
式中、
【数15】
は、再構成エンジンへの投影データフィードであり、α(λ,u,v)は、線源(λ)から検出器34点(u,v)を指す単位ベクトルである。
【0069】
式7における項w(λ、)は、逆投影中のデータ冗長性に対処するアパーチャ重み付け関数である。これは、式11によって定義される。
【数16】

式中、
(u,v)は、式8で定義され、wおよびwは、チャネルおよび列重み付け関数であり、Φ(λ,)は、i)点を通過するすべての測定されたまたは推定された光線、ii)(λ)を通り、 に平行な平面に属するすべての測定された、または推定された光線のセットである。
【0070】
この再構成(
【数17】
)は、上記で説明したように、オフセット検出器34を用いたヘリカル走査軌道に従う線源30を説明するフレームワークによって利用することができる。
【0071】
含まれるフローチャートおよびブロック図は、本明細書に説明するシステムによる再構成フレームワークの特徴に関連する例示的な構成および方法を示す。例示的な方法論は、論理、ソフトウェア、ハードウェア、またはそれらの組み合わせにおいて実施することができる。加えて、手順および方法をある順序で提示しているが、ブロックは、直列および/または並列を含む異なる順序で実行されてもよい。さらに、追加のステップまたはより少ないステップを使用することができる。
【0072】
図7は、例示的な再構成フレームワーク700のフローチャートである。フレームワーク700は、上記で説明したように、オフセット検出器を使用するCBCTヘリカル走査に適用することができる。この実施形態では、ステップ710において、フレームワーク700は、データ取得システム(DAS)から受け取られたデータに基づいて、オフセット検出器によって作り出された、制限されたFOVによって必要に応じてビューを完成する。特に、DASから受け取られたデータは、式3で上記で指定したように、較正された投影データg(x線線積分g(λ,u,v))を含む。ビュー完成ステップ710は、以下でより詳細に説明される。
【0073】
ステップ710におけるビュー完成後、投影データフィード
【数18】
が、再構成エンジンに提供される。ステップ720において、フレームワーク700は、上記の式10に従って、投影データフィード
【数19】
に微分およびコーンビーム(CB)重み付けを適用してg’CB(λ,u,v)を生成する。ステップ730において、フレームワーク700は、上記の式9に従って、g’CB(λ,u,v)にヒルベルト変換を適用してg(λ,u,v)を生成する。ステップ740において、フレームワーク700は、上記の式7に従って、2Dアパーチャ重み付けによる逆投影をg(λ,u,v)に適用して、再構成画像(
【数20】
)を生成する。より詳細を以下に提供する。
【0074】
ビュー完成ステップ710に戻ると、検出器34はオフセットされている(シフトされている)ので、ステップ720において式10にデータを供給することができる前にビュー完成プロセス710が実行されなければならない。検出器34は、例えば、拡大されたFOVのためにオフセットされている。簡単にするために、本明細書の説明は、検出器34は常に (λ)の方向にシフトされるものとして参照される。しかし、他の実施形態では、検出器34は、同様の処理で任意の横方向および/または軸方向にシフトすることができる。
【0075】
簡潔にするために、図6に示す実施形態で説明した幾何学的形状を使用してビュー完成アルゴリズムを説明する。2つの寝台18の運動を可能にすると、一方はガントリ12内に移動することができ(すなわち、cdir=1であり)、他方はガントリ12から外に移動することができる(すなわち、cdir=-1である)。
【0076】
スラブ面が、線源電流図a(λ)およびuに位置する検出器列によって定義され、Π(λ、u)で表される。この平面は、それぞれλおよびλで示される2つの視野角で線源軌道の前の(後方)回転および次の(前方)回転と交差する。検出器平面634は検出器34の平面であり、これは、検出器34をオフセットすることによって空いた走査されるオブジェクトの背後の領域内への仮想延長部を含む(すなわち、現在のビューにおいて検出器34によってもはや直接測定されない領域)。線610は、(λ)とa(λ)とを接続し、点612[u,v]で検出器平面634と交差する(v(u)とラベル付けされる)。線620は、(λ)とa(λ)とを接続し、点622[u,v]で検出器平面634と交差する(v(u)とラベル付けされる)。v座標vおよびvは、Tam-Danielsson窓曲線上にあることに留意されたい。これらの曲線は、12の以下の式を使用して得ることができる。
【数21】

式中、γはuによって定義されるファン角度であり、式4によって計算することができる。寝台18がガントリ12内に移動している(すなわち、cdir=1である)とき、Hは負であり、前縁に対応するTam-Danielsson窓のv(u)は負であるが、後縁に対応するTam-Danielsson窓のv(u)は正である。
【0077】
ビュー完成ステップ710の目的は、欠落データを決定または計算するために、同じスラブ平面内の隣接する回転からの共役光線からの測定値を使用して、(例えば、オフセット検出器34による拡大されたFOV内の)欠落光線を評価または査定することである。「欠落光線」とは、線源30からオブジェクトを通過し、検出器34によって測定されたが、検出器34がより大きなFOVに対してシフトされたために利用できなかった光線を指す。欠落光線は、検出器平面634の点線部分として図6に示す領域内で発生する。これらの光線およびそれらのデータは、現在の視野a(λ)からオブジェクトのビューを完成させるために必要である。これらの光線に関連するデータは、共役光線から推定または決定することができる。「共役光線」は、欠落光線を評価するために使用される反対側に位置するビューからの光線を指す。1つの技術では、ビュー完成プロセスは、欠落光線を決定するために使用される共役光線が、逆投影されることになる同じ画素を通過するような画素依存のものである。しかし、そのようなシフトバリアントスキームは、計算コストを劇的に増加させる。別の実施形態では、このスキームは、欠落光線評価に使用されるパラメータを事前計算できるようにシフト不変ものである。
【0078】
例えば、図8は、例示的なビュー完成方法810のフローチャートである。1つの実施形態では、再構成フレームワーク700のビュー完成ステップ710は、ビュー完成方法810を含む。この実施形態では、ステップ812において、方法810は、欠落光線の値を決定するのに必要とされる共役光線の定義パラメータを計算する。特に、ステップ812は、
【数22】
によって示される共役光線のu座標、ならびに共役の後方および前方光線の視野角λおよびλをそれぞれ計算する。構成上、これらの値は、13の式に従って計算することができる。
【数23】
【0079】
次に、ステップ814において、方法810は、共役光線の測定値を使用して欠落光線に関連する値を決定する。図9は、(x,z)平面におけるヘリカルデータ取得システムの例示的な幾何学的形状800を示す。図6をさらに参照すると、(m,n)2D座標系が、スラブ平面Π(λ,u)に導入される。基底ベクトルは、 および によって示され、 は(x,z)平面に平行であり、 は、回転軸に平行であり、長手方向の線源運動と同じ方向を指す。これらの2つの基底ベクトル は、式14によって定義される。
【数24】
式中、 、および は、式1で定義される。(m,n)面の原点は として示され、その世界座標は式15に従って計算することができる。
【数25】
ここで、 は式14で定義され、Rγは式16で定義される。
【数26】
【0080】
Rγと同様に、Dγは、式17に従って定義される。
【数27】
【0081】
また、他の変数は、スラブ面Π(λ,u)に関連する。(m,n)座標におけるこれらの変数は、図11図14に関連して以下で論じられ、表IIに要約される。
【表2】


【0082】
表IIに列挙された[ms,ns]座標は、式18で定義される。
【数28】
【0083】
以下の開示はまた、例示的な関数を利用して4つの同一平面上の点によって画定される2つの線の交点を計算する。L)で示す第1の線をおよびで定義し、L)で示す第2の線をおよびで定義する。a≠b、およびc≠dであり、2つの線が平行ではないと仮定すると、
)・(≠0、
ここで、演算子⊥は、ベクトルの90度の反時計回りの回転を指す。L)とL)の交点をとする。は、関数ζ()によって得ることができ、数学的に以下のように定義される。
【数29】
【0084】
方法810に戻って参照すれば、ステップ814は、共役光線からの測定値を使用して欠落光線に関連する値を決定する。例示的な実施形態では、ビュー完成プロセスのステップ814は、いくつかのステップで実施することができる。
【0085】
例えば、図10は、欠落光線の値を決定するための例示的な方法1000のフローチャートである。1つの実施形態では、ビュー完成方法810のステップ814は、方法1000を含む。この実施形態では、ステップ1010において、方法1000は、以下からなる完成基準を識別する:i) より上方のn軸の部分;ii) との間の線分;およびiii) より下方のn軸の部分。固定された線源-検出器構成の場合、異なるピッチの結果、ビュー完成プロセスのための異なるデータの利用可能性をもたらす。なお、ピッチが変化すると、は水平線(すなわち、 に平行)に沿って移動する。 および が計算されると、ピッチ値の前述の2つのケースを統一するための以下の追加の手順を実行することができる。
【0086】
例えば、図11および図12は、ピッチの2つの例示的なケースを示す。図11は、(m,n)座標系における小ピッチヘリカルデータ取得の例示的な幾何学的形状1100を示す。図12は、(m,n)座標系における大ピッチヘリカルデータ取得の例示的な幾何学的形状1200を示す。
【0087】
小ピッチ幾何学的形状1100(図11)の場合、n軸で評価される光線と交差する少なくとも1つの共役光線が常に存在する。この場合、これらの共役光線を用いて欠落光線を直接評価することができる。
【0088】
大ピッチの幾何学的形状1200(図12)の場合、共役光線がn軸で評価される光線と交差しない状況がある。以下の手順は、式19に従って、完成基準が小ピッチのn軸になることを確実にする。
【数30】
【0089】
次に、ステップ1020において、方法1000は、欠落光線L(λ,u,v)ごとに、完成基準との交点を識別する。この交点は で示される。完成基準の定義によれば、 には2つのケースがある。 の値は、式20によって定義される。
【数31】
ピッチが小さい場合、式20の上記の2つの式は同一になる。
【0090】
例えば、図13および図14は、大きなピッチの2つの例示的なケースを示す。図13は、共役光線が現在のビューのTam-Danielsson窓の内側に位置する(m,n)座標系における大ピッチヘリカルデータ取得の例示的な幾何学的形状1300を示す。図14は、共役光線がTam-Danielsson窓の外側に位置する(m,n)座標系における大ピッチヘリカルデータ取得の例示的な幾何学的形状1400を示す。
【0091】
次に、ステップ1030において、方法1000は、共役光線の列インデックス:(λ)の場合の
【数32】
および(λ)の場合の
【数33】
を計算する(例えば、図12図13を参照されたい)。特に、
【数34】
は、式21を使用して計算することができ
【数35】
【数36】
は、式22を使用して計算することができる。
【数37】
【0092】
次に、ステップ1040において、方法1000は、共役光線の測定値をそれらの円錐角に従って正規化する。(λ)に対応する正規化された値を
【数38】
とし、(λ)に対応する正規化された値を
【数39】
とする。これらの正規化された量は、式23を使用して得ることができる。
【数40】
【0093】
次に、ステップ1050において、方法1000は、 方向の2つの共役光線の正規化された値をマージする。特に、
【数41】
をマージ後の値とし、これは式24によって決定することができる。
【数42】
式中、
【数43】
この場合v=v*|H|/(|H|+|H|)+v*|H|/(|H|+|H|)である。
【0094】
ステップ1050において2つの共役光線の正規化された値をマージした後、共役光線の測定値を使用して欠落光線の値を決定するための例示的な方法1000が完成する。上記で導入したように、方法1000は、方法810のステップ814に従って欠落光線の値を決定する例示的な方法である。方法810は、例えば、例示的な再構成フレームワーク700のステップ710による例示的なビュー完成技術である。
【0095】
図8に戻って参照すれば、ステップ814の完成後、方法810はステップ816に続き、欠落光線の値を現在のビューからの測定されたデータとマージすることができ、それによってその遷移はチャネル方向に滑らかにされる。様々な例示的な方法をステップ816に使用することができる。
【0096】
例えば、1つの実施形態では、式24で定義された欠落光線
【数44】
の推定された値は、ステップ816において測定されたデータで直接スティッチングされる。この方法は、オブジェクトが軸不変である場合に完全に機能する。しかし、軸変形オブジェクトの場合、通常はそうであるが、この方法の結果、この推定されたデータと測定されたデータとの間に不連続性をもたらし、それによって再構成された画像にアーチファクトを引き起こす。
【0097】
直接スティッチングの欠点を克服することができる別の実施形態では、フェザリングプロセスを導入して、ステップ816において決定されたデータおよび測定されたデータをマージすることができる。[uL,]をフェザリングプロセスのチャネル範囲とし、それにより、測定されたデータの寄与をuで0、uで1になるようにする。測定されたデータの領域における汚染を回避するために、uは、最も内側のチャネルの座標(Oにより近いもの)であるように選択される。
【数45】
が再構成エンジンに供給される投影データであることを想起されたい。この値は、式26を使用して計算することができる。
【数46】
式中、w(u,u,u)は、チャネル座標がuからuまで0から1に変化するフェザリング/平滑化関数である。また、wの一次導関数(u,u,u)は、uおよびuの両方において0である。上記2つの要件を満たすことができる関数には様々なものがある。1つの実施形態では、式27を使用して、
【数47】
【0098】
この方法は、チャネル方向に沿って決定されたデータと測定されたデータとの間の平滑化遷移を提供するが、フェザリングプロセスにおけるエッジ値の再使用によりアーチファクトを導入する。これらのアーチファクトは、軸不変であるオブジェクトの投影領域において特に見ることができる。
【0099】
上記の方法の両方の欠点を克服することができる別の実施形態では、別の技術は、ステップ816においてフィッティングおよびフェザリングプロセスを実施する。まず、本方法は、フェザリングゾーンに隣接する決定されたデータと測定されたデータとの間のフィッティング手順を実行する。次に、フェザリングプロセスを使用して、フィッティングされたデータおよび決定されたデータがマージされる。例えば、図15は、チャネル方向に沿った例示的なマージされた決定されたデータおよび測定されたデータ1500を示す。左側の暗い線1510は決定されたデータを指し、右側の明るい線1520は測定されたデータを指す。フィッティング処理には、範囲ΩLおよびΩRに属するデータが使用され、その一方で範囲ΩFに属するデータは、フィッティングされたデータと決定されたデータとの間のフェザリングプロセスを用いて得られる。
【0100】
実施中、上記のマージプロセスはシフト不変であり、固定u座標に対応することに留意されたい。したがって、フェザリング機能は、u個のインデックスを使用して事前に計算され、実装され得る。完成するチャネルの数を
【数48】
とし、ΔNをフェザリングに使用されるチャネルとする。1つの実施形態では、ΔNを適応的に選択する1つの方法は、式28に従う:
【数49】
式中、0<c<c<1であり、Nは所定の整数である。例えば、1つの実施形態では、N=60、c=0.1およびc=0.5である。
【0101】
遷移がチャネル方向で滑らかになるように欠落光線の決定された値を現在のビューからの測定されたデータとマージするステップ816の後に、例示的なビュー完成方法810が完了する。上記で導入したように、方法810は、例えば、例示的な再構成フレームワーク700のステップ710による例示的なビュー完成技術である。
【0102】
様々な実施形態では、x線検出器34が垂直中心線402に対してオフセットされ、それによってターゲットの完成ビューが、ヘリカル走査中、例えばオフセットにより、現在のビューを少なくとも1つの共役ビューと組み合わせることを必要とすると、現在のビューから測定された投影データは、(欠落光線の評価に基づいて)少なくとも1つの共役ビューから測定された投影データから決定された投影データと組み合わせられて、ターゲット画像を再構成することができる。検出器34は、チャネルおよび/または軸(列)方向にオフセットすることができる。共役ビューは、隣接する回転中の後方図および/または前方図を含むことができる。1つの実施形態では、x線撮像装置10は、データ処理システムを含み、データ処理システムは、現在のビューおよび少なくとも1つの共役ビューから測定された投影データを受け取り、少なくとも1つの共役ビューからの測定された投影データに基づいて現在のビューからの投影データ内で欠落している光線の値を決定し、欠落光線の値を現在のビューからの測定された投影データとマージするように構成される。
【0103】
図7に戻って参照すれば、ステップ710が完成して
【数50】
を決定した後、方法700は、ステップ720に続くことができる。ステップ720において、フレームワーク700は、上記で説明したように、式10に従って、投影データフィード
【数51】
に微分およびコーンビーム(CB)重み付けを適用してg’CB(λ,u,v)を生成する。ステップ720における微分演算は、再構成フレームワーク700にとって重要であり、様々な方法を使用して実施することができる。
【0104】
ステップ730において、フレームワーク700は、上記で説明したように、式9に従って、g’CB(λ,u,v)にヒルベルト変換を適用してg(λ,u,v)を生成する。次に、ステップ740において、フレームワーク700は、上記で説明したように、式7に従って、g(λ,u,v)に2Dアパーチャ重み付けによる逆投影を適用して再構成画像(
【数52】
)を生成する。典型的な1Dアパーチャ重み付けとは異なり、この実施形態は、上記の式11で定義されたような2Dアパーチャ重み付けを使用する。この実施形態では、2Dアパーチャ重み付けは、2つの分離可能な1D関数によって定義することができる。一方の関数は、チャネル方向に沿っており(w(u)で示される)、他方の関数は、列方向に沿っている(w(v)で示される)。関数wはフェザリング関数であり、w(式27)によって定義することができる。特に、umaxが検出器の最大チャネル座標であるu∈(u,umax)条件のもと、uをフェザリング関数の上限とする。そして、式29によれば、
【数53】
【0105】
関数wは、中央列がエッジに接近しているときに、その列が重み付け1を取得し、周辺行がフェザリングダウンの重み付けを取得するように定義される。この1D列アパーチャ重み付けは、式30に示すように、フェザリング関数を使用して定義することもできる。
【数54】
式中、vEminおよびvEmaxは、検出器34の最小および最大v座標であり、vQminおよびvQmaxは、フェザリングダウンが開始する場所を指定する。様々な実施形態において、vQmax/vEmax(またはvQmin/vEmin)の典型的な比は、約0.6、0.8などであることができる。
【0106】
ステップ740のアパーチャ重み付けは、ピクセルに依存するため、チャネルマージングプロセスとは異なることに留意されたい。再構成画像(
【数55】
)がステップ740において生成された後、例示的なフレームワーク700は完了する。
【0107】
様々な実施形態では、投影データを処理するステップは、ヘリカル撮像走査中に、現在のビューおよびオフセット検出器34からの少なくとも1つの共役ビューから測定された投影データを受け取ることと、少なくとも1つの共役ビューからの測定された投影データに基づいて現在のビューからの投影データ内の欠落している光線の値を決定することと、欠落光線の決定された値を現在のビューからの測定された投影データとマージしてターゲットの完成ビューを形成することとを含む。いくつかの実施形態では、投影データを処理することはまた、少なくとも1つの共役ビューからの測定された投影データが現在のビューからの投影データ内の欠落している光線の値を決定するのに十分であるように、少なくとも1つの共役ビューを定義するパラメータを計算することを含む。
【0108】
他の実施形態では、投影データを処理するステップは、ターゲットの完成ビューを形成するマージされた値を微分および重み付けすることと、微分および重み付けされたデータにヒルベルト変換を適用することと、変換されたデータを逆投影して再構成された画像を作り出すこととを含む。いくつかの実施形態では、変換されたデータを逆投影して再構成された画像を作成することは、データ冗長性のための二次元アパーチャ重み付けスキームを含む。
【0109】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの共役ビューからの測定された投影データに基づいて現在のビューからの投影データ内の欠落している光線の値を決定するステップは、完成基準を識別することと、欠落光線と完成基準の交点を識別することと、少なくとも1つの共役ビューに関連付けられた共役光線の列インデックスを計算することと、共役光線の測定値を正規化することと、共役光線の正規化された値をマージすることとを含む。
【0110】
いくつかの実施形態では、欠落光線の決定された値を現在のビューからの測定された投影データとマージしてターゲットの完成ビューを形成するステップは、欠落光線の決定された値をフェザリングゾーンに隣接する測定された投影データとフィッティングしてフィッティングされたデータを形成することと、フェザリングプロセスを使用して、フィッティングされたデータを欠落光線の決定された値とマージすることとを含む。
【0111】
さらに、上記のx線撮像装置10およびデータ処理技術は、以下の特徴を含む:実施形態は、湾曲CT検出器の代わりにフラットパネル検出器34を使用すること;積極的な検出器オフセット(例えば、50cmの視野)が、大きなFOVを得るために許容されるが、典型的な緩やかなオフセットは、例えば、CT FOV(例えば、10cmのオフセット(50cm~70cmのFOV))を拡大するために制限され得ること;走査オブジェクトの減衰係数が軸方向に変化しない場合に、ただしこれは通常の技術には当てはまらないが、正確であるデータ完成および処理方法;および通常の知られているFDKフレームワークとは異なる再構成方法。
【0112】
図16は、放射線療法デバイス(例えば、x線撮像装置10を含む)を使用するIGRTの例示的な方法1600を示すフローチャートである。いくつかの実施形態では、患者の以前の画像データも使用に利用可能であり得る(例えば、事前CT画像を含む、事前に取得された計画画像であり得る事前画像)。事前データはまた、治療計画、ファントム情報、モデル、事前情報などを含むことができる。いくつかの実施形態では、事前画像データは、同じ撮像/放射線療法デバイスによって生成されるが、より早い時点で生成される。ステップ1610において、患者の撮像は、低エネルギー放射線源(例えば、x線源30からのkV放射線)を使用して実行される。1つの実施形態では、撮像は、ファンまたはコーンビーム幾何学的形状を有するヘリカル走査を含む。ステップ1610は、上記で説明した投影データ処理技術を使用して、高品質(HQ)画像(複数可)または撮像データ1615を生成することができる。いくつかの実施形態では、画質/解像度と線量との間のバランスを最適化するために画質を調整することができる。換言すれば、すべての画像が最高品質である必要はなく、または画質/解像度と画像取得時間との間のバランスを最適化またはトレードオフするように画質を調整することができる。
【0113】
次に、ステップ1620において、ステップ1610からの撮像データ1615に少なくとも部分的に基づいて、以下で論議する1つまたは複数の画像ベースの送達前ステップが実行される。以下により詳細に論じるように、ステップ1620は、治療的処置および(その後の)撮像計画に関連する様々なパラメータを決定することを含むことができる。いくつかの実施形態では、画像ベースの送達前ステップ(1620)は、治療送達(1630)の前にさらなる撮像(1610)を必要とし得る。ステップ1620は、適応放射線療法ルーチンの一部として高品質撮像データ1615に基づいて治療計画を適合させることを含むことができる。いくつかの実施形態では、画像ベースの送達前ステップ1620は、リアルタイム治療計画を含むことができる。実施形態はまた、撮像放射線源および治療用放射線源の同時、重複および/または交互のアクティブ化を含むことができる。リアルタイム治療計画は、これらのタイプの撮像および治療用放射線アクティブ化技術(同時、重複、および/または交互)のいずれかまたはすべてを伴うことができる。
【0114】
次に、ステップ1630において、治療的処置送達が、高エネルギー放射線源(例えば、治療用放射線源20からのMV放射線)を使用して実行される。ステップ1630は、治療計画に従って患者に治療線量1635を送達する。いくつかの実施形態では、IGRT方法1600は、様々な間隔における追加の撮像のためにステップ1610に戻り、必要に応じて画像ベースの送達前(1620)および/または治療送達(1630)が続くことを含むことができる。このようにして、高品質の撮像データ1615は、適応療法が可能な1つの装置10を使用してIGRT中に生成され、利用され得る。上述したように、ステップ1610、1620、および/または1630は、同時に、重複して、および/または交互に実行され得る。
【0115】
IGRTは、少なくとも2つの概括的な目標を含むことができる:(i)目標体積に高度に共形の線量分布を送達すること、および(ii)すべての治療フラクション全体にわたって高精度で治療ビームを送達すること。第3の目標は、フラクション当たりの時間をできるだけ短くして2つの概括的な目標を達成することであることができる。治療ビームを正確に送達するには、高品質の画像を用いてターゲット体積イントラフラクションの場所を識別し、および/または追跡する能力が必要になる。送達速度を高める能力には、治療計画に従って放射線源を正確に、精度高く、かつ迅速に移動させる能力が必要である。
【0116】
図17は、上記のステップ1620に関連付けられ得る例示的な画像ベースの送達前ステップ/オプションを示すブロック図1700である。上記で説明したx線撮像装置10(例えば、放射線療法デバイスの一部として)は、本発明の範囲から逸脱することなく、画像ベースの送達前ステップ(1620)を含む様々な方法で使用することができるkV画像を生成できることが理解されよう。例えば、放射線療法デバイスによって生成された画像1615を使用して、治療前に患者を位置合わせすることができる(1710)。患者の位置合わせは、現在の撮像データ1615を、治療計画を含む以前の治療前走査および/または計画に関連する撮像データと相関させるか、またはこれと位置合わせすることを含むことができる。患者の位置合わせはまた、患者が物理的に送達システムの範囲内にあるかどうかを検証するために、放射線源に対する患者の物理的位置に関するフィードバックを含むことができる。必要に応じて、患者をそれに応じて調整することができる。いくつかの実施形態では、患者の位置合わせ撮像は、投与量を最小限にしながらも適切な位置合わせ情報を提供するために意図的に品質が低くてもよい。
【0117】
x線撮像装置10によって生成された画像は、治療計画または再計画(1720)に使用することもできる。様々な実施形態では、ステップ1720は、治療計画を確認すること、治療計画を修正すること、新しい治療計画を生成すること、および/または治療計画のセット(「当日計画」と呼ばれることもある)から治療計画を選択することを含むことができる。例えば、撮像データ1615が、ターゲット体積またはROIが治療計画が策定されたときと同じであることを示す場合、治療計画を確認することができる。しかし、ターゲット体積またはROIが同じでない場合、治療的処置の再計画が必要であり得る。再計画の場合、(ステップ1610でx線撮像装置10によって生成された)撮像データ1615の品質が高いため、撮像データ1615を治療計画または再計画(例えば、新しいまたは修正された治療計画を生成すること)に使用することができる。このように、異なるデバイスを介した治療前CT撮像は、不要である。いくつかの実施形態では、確認および/または再計画は、様々な治療の前および/または後の進行中の手順であってもよい。
【0118】
別の例示的な使用ケースによれば、x線撮像装置10によって生成された画像を使用して撮像線量(1730)を計算することができ、この撮像線量を患者への総線量の継続的な決定および/またはその後の撮像計画に使用することができる。後続の撮像の品質もまた、例えば、品質と線量とのバランスをとるために、治療計画の一部として決定され得る。別の例示的な使用ケースによれば、x線撮像装置10によって生成された画像を使用して治療線量(17 40)を計算することができ、この治療線量を患者への総線量の継続的な決定に使用することができ、および/または治療計画または再計画の一部として含めることができる。
【0119】
他の例示的な使用ケースによれば、x線撮像装置10によって生成された画像を、例えば適応療法および/または治療計画生成の一部として含んで、他の撮像(1750)および/または他の治療(1760)のパラメータまたは計画を計画するか、または調整することに関連して使用することができる。別の例示的な使用ケースによれば、x線撮像装置10によって生成された画像を、治療送達の監視および必要に応じた適応を含むことができる適応療法モニタリング(1770)に関連して使用することができる。
【0120】
画像ベースの送達前ステップ(1620)は相互に排他的ではないことを理解されたい。例えば、様々な実施形態では、治療線量を計算すること(1740)は、それ自体でステップであることができ、および/または適応療法モニタリング(1770)および/または治療計画(1720)の一部であることができる。様々な実施形態では、画像ベースの送達前ステップ(1620)は、自動的におよび/または人間の関与によって手動で実行することができる。
【0121】
オフセット検出器およびデータ処理技術を含む上記で説明したデバイスおよび方法は、従来の治療中撮像システムよりも高品質の改善されたkV生成画像を提供する。
【0122】
図18は、撮像(1610)および/または後続の画像ベースの送達前ステップ(1620)中に利用され得る例示的なデータ源を示すブロック図1800である。検出器データ1810は、画像放射線検出器34によって受け取られたデータのすべてを表す。投影データ1820は、コリメートされたビーム領域内に入射する放射線によって生成されたデータである。半影データ1830は、半影領域内に入射する放射線によって生成されたデータである。散乱データ1840は、シャドウ領域(複数可)と呼ばれ得る、半影領域の外側の周辺領域内に入射する放射線によって生成されたデータである。
【0123】
1つの実施形態では、半影データ1830を使用して、投影および/または散乱データを分離または識別することができる。いくつかの実施形態では、散乱データ1840を使用して、投影データ1820内の散乱放射を推定することができる。別の実施形態では、散乱データ1840を使用して、2つの線源20、30が同時にまたはインターリーブ式に動作されるときの治療用放射線源20(例えば、MV)からの散乱の残留効果を決定することができる。
【0124】
このようにして、半影データ1830および/または散乱データ1840を利用して、撮像ステップ1610によって生成された画像の品質を改善することができる。いくつかの実施形態では、半影データ1830および/または散乱データ1840は、投影データ1820と組み合わせることができ、および/または適用可能な撮像設定1850、治療設定1860(例えば、同時の撮像および治療放射線の場合)、および検出器34でのデータ収集時にx線撮像装置10に関連する任意の他のデータ1870を考慮して分析することができる。他の実施形態では、データは、治療計画ステップ1620に使用されてもよい。
【0125】
開示する技術を特定の態様、実施形態または複数の実施形態に関して示し、説明してきたが、本明細書および付属の図を読んで理解すると、同等の変更および改変が当業者に思い浮かぶことは明らかである。特に、上記で説明した要素(構成要素、アセンブリ、デバイス、部材、組成物など)によって実行される様々な機能に関して、そのような要素を説明するために使用される用語(「手段」と呼ばれることを含む)は、特に指示されない限り、開示する技術の本明細書において説明する例示的な態様、実施形態、または複数の実施形態において機能を実行する開示する構造に構造的に等価でない場合であっても、説明する要素の指定された機能を実行する任意の要素に対応すること意図する。加えて、開示する技術の特定の特徴をいくつかの例示する態様または実施形態のうちの1つまたは複数のみに関して上記で説明し得るが、そのような特徴は、任意の所与のまたは特定の用途にとって望ましく、有利であり得るように、他の実施形態の1つまたは複数の他の特徴と組み合わせることができる。
【0126】
本明細書で論じる実施形態は、上記で説明したシステムおよび方法に関連しているが、これらの実施形態は、例示的であることを意図しており、本明細書に記載するこれらの論議のみにこれらの実施形態の適用を限定することを意図しない。本発明をその実施形態の説明によって例示し、そして実施形態をある程度詳細に説明してきたが、添付の特許請求の範囲をそのような詳細に限定し、あるいはいずれの形でも限定することは、本出願人の意図ではない。さらなる利点および改変は、当業者には容易に明らかになるであろう。したがって、より広い態様における本発明は、図示および説明する特有の詳細、代表的な装置および方法、ならびに例示的な例に限定されない。したがって、出願人の概括的な発明概念の精神または範囲から逸脱することなく、そのような詳細から逸脱することができる。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
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【国際調査報告】