(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-25
(54)【発明の名称】変換素子を製造するための方法、変換素子、および放射性構成素子
(51)【国際特許分類】
H01L 33/50 20100101AFI20220118BHJP
C09K 11/08 20060101ALI20220118BHJP
【FI】
H01L33/50
C09K11/08 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021526636
(86)(22)【出願日】2019-11-11
(85)【翻訳文提出日】2021-06-09
(86)【国際出願番号】 EP2019080867
(87)【国際公開番号】W WO2020099319
(87)【国際公開日】2020-05-22
(31)【優先権主張番号】102018128753.4
(32)【優先日】2018-11-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】599133716
【氏名又は名称】オスラム オプト セミコンダクターズ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Osram Opto Semiconductors GmbH
【住所又は居所原語表記】Leibnizstrasse 4, D-93055 Regensburg, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】イヴァール トングリング
(72)【発明者】
【氏名】ヌスレット セナ ギュルダル
【テーマコード(参考)】
4H001
5F142
【Fターム(参考)】
4H001CA01
5F142AA52
5F142DA14
5F142DA73
5F142DA80
5F142FA28
(57)【要約】
本発明は、変換素子(10)を製造するための方法に関しており、該方法は、以下のステップ、すなわち、
-蛍光体粒子(2,2’)が導入されるマトリックス(3)を含む変換層(1,1’)を提供するステップであって、ここで、蛍光体粒子(2,2’)は、活性化イオンを有するホスト格子を有し、濃縮領域(4)で濃縮されるステップと、
-ホスト格子を有し、濃縮領域(4’)で濃縮される補償粒子(7,7’)が導入されるマトリックス(3)を含む補償層(6,6’)を提供するステップと、
-変換層(1,1’)と補償層(6,6’)とを結合し、それによって、変換層の濃縮領域(4)と補償層(6,6’)の濃縮領域(4’)とを変換素子(10)の対称面(9)に関して相互に対称に配置するステップと、を含む。その他に、変換素子と構成素子とが示される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
変換素子(10)を製造するための方法であって、以下のステップ、すなわち、
-第1の波長範囲の電磁放射を第2の波長範囲の電磁放射に変換する蛍光体粒子(2,2’)が導入されるマトリックス(3)を含む変換層(1,1’)を提供するステップであって、前記蛍光体粒子(2,2’)は、活性化イオンを有するホスト格子を有し、前記変換層(1,1’)の第1の主表面の濃縮領域(4)で濃縮されるステップと、
-前記第1の波長範囲の電磁放射を透過し、前記ホスト格子を有し、補償層(6,6’)の第1の主表面の濃縮領域(4’)で濃縮される補償粒子(7,7’)が導入されるマトリックス(3)を含む補償層(6,6’)を提供するステップと、
-前記変換層(1,1’)と前記補償層(6,6’)とを結合し、それによって、前記変換層の前記濃縮領域(4)と前記補償層(6,6’)の前記濃縮領域(4’)とを前記変換素子(10)の対称面(9)に関して相互に対称に配置するステップと、を含む方法。
【請求項2】
前記変換層(1,1’)を提供するステップは、以下のステップ、すなわち、
-前記マトリックス(3)および前記蛍光体粒子(2,2’)を含む液状の変換材料を提供するステップと、
-前記液状の変換材料から1つの層を生成するステップと、
-前記マトリックス(3)内で前記蛍光体粒子(2,2’)を沈降させ、それによって、前記蛍光体粒子(2,2’)が、前記液状の変換材料からの前記層の第1の主表面の濃縮領域で濃縮されるステップと、
-前記マトリックス(3)を固化および/または硬化させ、それによって、前記蛍光体粒子(2,2’)が前記濃縮領域(4)で濃縮される第1の主表面を備えた前記変換層(1,1’)が生じるステップと、を含む、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記補償層(6,6’)提供するステップは、以下のステップ、すなわち、
-前記マトリックス(3)および前記補償粒子(7,7’)を含む液状の補償材料を提供するステップと、
-前記液状の補償材料から1つの層を生成するステップと、
-前記マトリックス(3)内で前記補償粒子(7,7’)を沈降させ、それによって、前記補償粒子(7,7’)が、前記液状の補償材料からなる前記層の第1の主表面において濃縮領域(4’)で濃縮されるステップと、
-前記マトリックス(3)を固化および/または硬化させ、それによって、前記補償粒子(7,7’)が前記濃縮領域(4’)で濃縮される第1の主表面を備えた補償層(6,6’)が生じるステップと、を含む
を含む、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
前記マトリックス(3)内の前記蛍光体粒子(2,2’)の濃度と、前記補償粒子(7,7’)の濃度とはそれぞれ同じである、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
前記蛍光体粒子(2,2’)と前記補償粒子(7,7’)とは、同じ粒径分布を有する、請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
前記変換層(1,1’)と前記補償層(6,6’)との間に散乱層(8)が配置される、請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
変換素子(10)であって、
前記変換素子(10)は、
-第1の波長範囲の電磁放射を第2の波長範囲の電磁放射に変換する蛍光体粒子(2,2’)が導入されるマトリックス(3)を含む変換層(1,1’)を備えており、ここで、前記蛍光体粒子(2,2’)は、活性化イオンを有するホスト格子を有し、前記変換層(1,1’)の第1の主表面の濃縮領域(4)で濃縮され、
-前記第1の波長範囲の電磁放射を透過し、前記ホスト格子を有し、補償層(6,6’)の第1の主表面の濃縮領域(4’)で濃縮される補償粒子(7,7’)が導入されるマトリックス(3)を含む補償層(6,6’)を備えており、ここで、
-前記変換層(1,1’)の前記濃縮領域(4)と前記補償層(6,6’)の前記濃縮領域(4’)とが、前記変換素子(10)の対称面(9)に関して相互に対称に配置されている、変換素子(10)。
【請求項8】
それぞれ1つの濃縮領域(4’)を有する複数の補償層(6,6’)が含まれ、前記補償層および前記変換層(1,1’)の前記濃縮領域(4)は、前記変換素子(10)の前記対称面に関して相互に対称に配置されている、請求項7記載の変換素子(10)。
【請求項9】
それぞれ1つの濃縮領域(4)を有するさらなる変換層(1,1’)が含まれ、前記変換素子(10)は、前記さらなる各変換層(1,1’)に対して濃縮領域(4’)を備えたさらなる補償層(4)を有し、前記さらなる変換層(1,1’)の前記濃縮領域(4)と前記さらなる補償層(6,6’)前記の濃縮領域(4’)とが、前記変換素子(10)の前記対称面(9)に関して相互に対称に配置されている、請求項7または8記載の変換素子(10)。
【請求項10】
放射線放出構成素子であって、
-第1の波長範囲の電磁放射を放射線出射面から放射する放射性半導体チップ(11)と、
-第1の波長範囲の電磁放射を少なくとも部分的に第2の波長範囲の電磁放射に変換する、請求項1から9までのいずれか1項記載の変換素子(10)と、を備えている、放射線放出構成素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、変換素子を製造するための方法、変換素子、および放射性構成素子に関する。
【0002】
本明細書では、僅かな曲率を有し、マトリックスを有する変換素子が示されるべきである。その他に、そのような変換素子を製造するための方法が示されるべきである。さらに、改善された放射性構成素子が示されるべきである。
【0003】
これらの課題は、請求項1記載のステップを有する方法によって解決され、請求項7記載の特徴を有する変換素子によって解決され、ならびに請求項10記載の特徴を有する放射性構成素子によって解決される。
【0004】
本方法、本変換素子、ならびに本放射性構成素子の好適な実施形態は、それぞれ従属請求項に記載されている。
【0005】
変換素子を製造するための方法の1つの実施形態によれば、変換層が提供される。この変換層は、好適には、蛍光体粒子が導入されるマトリックスを含む。これらの蛍光体粒子は、第1の波長範囲の電磁放射を第2の波長範囲の電磁放射に変換する。ここでの第1の波長範囲は、好適には、第2の波長範囲とは異なる。
【0006】
換言すれば、蛍光体粒子は変換性であるように構成されている。この「変換性である」との用語は、本明細書では、特定の波長範囲で入射した電磁放射が、好適には、より長波の別の波長範囲の電磁放射に変換されることを意味する。一般に、変換素子は、入射した波長範囲の電磁放射を吸収し、この電磁放射を、電子的過程によって原子レベルおよび/または分子レベルで別の波長範囲の電磁放射に変換し、この変換された電磁放射が再び放出される。特に、純粋な散乱または純粋な吸収は、本明細書では、変換性であるものとして理解しない。
【0007】
蛍光体粒子は、好適には、活性化イオンでドープされたホスト格子を有する。このホスト格子は、好適には、セラミックおよび/または結晶で形成される。活性化イオンは、蛍光体粒子に好適には変換特性を与える。ホスト格子は、活性剤の電子構造を変化させ、これによって、第1の波長範囲の電磁放射は吸収され、第2の波長範囲の電磁放射の放出のもとで再び基底状態に移行する、蛍光体粒子の電子遷移が促進されるようになる。
【0008】
1つの実施形態によれば、蛍光体粒子は、1マイクロメートル以上30マイクロメートル以下、好適には5マイクロメートル以上25マイクロメートル以下の直径を有する。
【0009】
例えば、次の材料、すなわち、希土類をドープしたガーネット、希土類をドープした窒化物、希土類をドープしたSiAlONeのうちの1つが蛍光体粒子に適している。
【0010】
1つの実施形態によれば、変換層は、蛍光体粒子が濃縮される第1の主表面に濃縮領域を備える。換言すれば、濃縮領域の蛍光体粒子は、第1の主表面の反対側にある変換層の第2の主表面よりも高い濃度を有する。
【0011】
本方法のさらなる実施形態によれば、補償層が提供される。この補償層は、補償粒子が導入されるマトリックスを含む。補償粒子は、好適には、蛍光体粒子も含む同じホスト格子から形成される。ただし、補償粒子は、好適には、活性化イオンを有していない。特に、補償粒子は、好適には、変換性ではないように構成される。補償粒子は、好適には、第1の波長範囲の電磁放射については透過性であるように構成されている。好適には、補償粒子は、第1の波長範囲の電磁放射の少なくとも80%、特に好適には少なくとも90%を透過する。好適には、補償粒子は、蛍光体粒子と同じ機械的特性を有する。好適には、補償粒子は、活性化イオンやそこから生じる変換特性を除いて、蛍光体粒子と同じように構成されている。好適には、補償粒子は、補償層の第1の主表面の濃縮領域で濃縮される。
【0012】
好適には、蛍光体粒子および/または補償粒子は、濃縮領域において、少なくとも20体積%、特に好適には少なくとも50体積%である濃度を有する。例えば、濃縮領域は、10マイクロメートル以上60マイクロメートル以下の厚さを有する。
【0013】
本方法のさらなる実施形態によれば、変換層および補償層は相互に結合され、好適には素材結合的に結合される。ここでは、変換層および補償層は、相互に直接接触接続することができる。好適には、変換層と補償層との接続は、接合層を含まない。
【0014】
好適には、変換層および補償層は、変換層の濃縮領域と補償層の濃縮領域とが、変換素子の対称面に関して相互に対称に配置されるように配置されている。ここでの変換素子の対称面は、好適には、変換素子の主要延在面に対して平行に延びる。
【0015】
本方法のさらなる実施形態によれば、変換層の第1の主表面の反対側にある、変換層の第2の主表面、および補償層の第1の主表面の反対側にある、補償層の第2の主表面は、変換層の第1の主表面と補償層の第1の主表面との間に配置される。
【0016】
好適には、マトリックスは、第1および/または第2の波長範囲の電磁放射に対して透過性である。好適には、マトリックスは、第1および/または第2の波長範囲の電磁放射の少なくとも80%、特に好適には少なくとも90%を透過する。
【0017】
マトリックスは、例えば無機材料を含むか、または無機材料からなり得る。好適には、無機マトリックスは、ガラスから形成されるか、またはガラスを有する。さらに、マトリックスは、有機材料を有するか、または有機材料からなることも可能である。好適には、有機マトリックスは、ポリシロキサンから形成されるか、またはポリシロキサンを有する。
【0018】
本方法のさらなる実施形態によれば、変換層を提供するステップは、以下に記載されるステップを含む。最初に、液状の形態のマトリックスおよび蛍光体粒子を含む液状の変換材料が提供される。この液状の変換材料は、その他に、水またはエタノールなどの溶媒を有し得る。液状の変換材料からは、1つの層が、一般に担体上で例えば印刷、塗布ナイフコーティング、またはフィルムコーティングによって生成される。
【0019】
次いで、蛍光体粒子が、液状の形態のマトリックス内で沈降し、それによって、蛍光体粒子は、層の第1の主表面の濃縮領域で濃縮される。
【0020】
沈降の際、蛍光体粒子を有する液状のマトリックスは、担体上に被着される。続いて、蛍光体粒子は、重力に基づき、層の形態で担体上に沈降する。ここでの蛍光体粒子の沈降は、遠心分離によって加速させることも可能である。希釈されたマトリックス材料の使用も、一般に沈降プロセスを加速する。
【0021】
次のステップでは、液状の変換材料からのマトリックスの層が、例えば乾燥によって固化および/または硬化され、それによって、蛍光体粒子が濃縮領域で濃縮される第1の主表面を備えた変換層が生じる。その他に、変換層は、一般に蛍光体粒子を含まず、変換層の第2の主表面に配置される空乏領域を含む。
【0022】
本方法の1つの実施形態によれば、補償層を提供するステップは、以下に記載されるステップを含む。最初に、液状の形態のマトリックスおよび補償粒子を含む液状の補償材料が再び提供される。この液状の補償材料は、その他に、水またはエタノールなどの溶媒を有し得る。次いで、1つの層が、液状の補償材料から例えば印刷またはフィルムコーティングによって生成される。次のステップでは、補償粒子が液状のマトリックス内で沈降し、それによって、補償粒子が、液状の補償材料からなる層の第1の主表面において濃縮領域で濃縮される。次に、マトリックスが固化および/または硬化され、それによって、補償粒子が濃縮領域で濃縮される第1の主表面を備えた補償層が生じる。その他に、補償層は、一般に補償粒子を含まず、補償層の第2の主表面に配置される空乏領域を含む。
【0023】
無機マトリックスを部分的に固めるために、最初に乾燥ステップを実施することができ、この乾燥ステップは、機械的に安定した補償層もしくは変換層に結び付く。マトリックスが例えばガラスからなる無機マトリックスであるならば、補償層および/または変換層のさらなる機械的な安定性を達成するために、無機マトリックスは、固化後かなりの高温で焼結することができる。例えば、500℃以上1000℃以下の温度がガラスマトリックスの焼結に適している。焼結の際、変換素子の層は、素材結合的に機械的に安定させて相互に結合することができる。
【0024】
マトリックスが有機マトリックスであるならば、この有機マトリックスは、例えば、部分的な架橋もしくは乾燥によって固化され、完全な架橋によって硬化させることができる。例えば、完全な硬化には、150℃以上200℃以下の温度を使用することができる。完全な硬化の場合、変換素子の層は、素材結合的に機械的に安定させて相互に結合することができる。
【0025】
さらなる実施形態によれば、変換層と補償層との間に散乱層が配置される。この散乱層は、第1および/または第2の波長範囲の電磁放射を散乱させる。好適には、散乱層は、変換特性を含まない。好適には、散乱層は、マトリックスを有する。このマトリックス内には、好適には、散乱粒子が導入されている。例えば、散乱粒子は、次の材料、すなわちAl2O3、ZrO2、TiO2のうちの1つを含むか、これらの材料のうちの1つからなる。散乱層は、有利には、変換素子を通過して変換された光と変換されていない光とのより良好な混合をもたらす。その他に、散乱層を用いることによって、変換素子の放射特性を所望のように調整することも可能である。
【0026】
散乱粒子は、好適には、最大で1000ナノメートル、特に好適には最大で500マイクロメートルの直径を有する。好適には、散乱粒子は、少なくとも50ナノメートルの直径を有する。これらの散乱粒子は、好適には、小さいので、散乱層の生成の際には、僅かな沈降しか現れず、この沈降は、後の散乱層の主表面の1つに目立った濃縮領域を生じさせない。
【0027】
さらに、変換層と補償層との間に透過層を配置することも可能である。この透過層は、好適には、第1および/または第2の波長範囲の電磁放射の少なくとも80%、特に好適には少なくとも90%を透過する。ここでのこの透過層は、好適には、散乱粒子、補償粒子、または蛍光粒子などの粒子を含まない。透過層は、好適には、マトリックスを有するか、または好適にはマトリックスから形成される。透過層は、変換素子をより厚く形成して、それにより、取り扱いをより容易にできるようにするために有利に使用することができる。
【0028】
本明細書で説明する方法を用いることにより、変換素子は製造できる。本明細書で本方法に関連して説明される特徴および実施形態は、変換素子においても形成することができ、その逆も同様に可能である。
【0029】
特に好適な実施形態によれば、変換素子は、蛍光体粒子が導入されるマトリックスを備えた変換層を含む。蛍光体粒子は、第1の波長範囲の電磁放射を第2の波長範囲の電磁放射に変換する。ここでのこれらの蛍光体粒子は、好適には、活性化イオンを有するホスト格子を有する。このホスト格子は、好適には、セラミックおよび/または結晶で形成される。その他に、蛍光体粒子は、好適には、変換層の第1の主表面の濃縮領域で濃縮される。変換素子は、この好適な実施形態では、補償粒子が導入されるマトリックスを備えた補償層を含む。補償粒子は、好適には、第1の波長範囲の電磁放射を透過し、ホスト格子を有する。その他に、補償粒子は、好適には、補償層の第1の主表面の濃縮領域で濃縮される。最後に、変換層の濃縮領域と補償層の濃縮領域とが、好適には、変換素子の対称面に関して相互に対称に配置されている。好適には、濃縮領域は、それぞれ変換素子の外面に面している。
【0030】
好適には、補償層は、変換層の張力を、特に好適には完全に補償する。変換素子の好適な実施形態によれば、補償層は、変換素子において変換素子の主要延在面に沿って凹面状もしくは凸面状の湾曲が生じないように変換層の張力を補償する。好適には、変換素子の曲率は、5マイクロメートルを超えず、特に好適には1マイクロメートルを超えない。
【0031】
変換層および/または補償層は、好適には、20マイクロメートル以上100マイクロメートル以下の厚さを有する。
【0032】
好適な実施形態によれば、マトリックス内の蛍光体粒子の濃度と、補償粒子の濃度とはそれぞれ同じである。特に好適には、蛍光体粒子と補償粒子とは、同じ粒径分布を有する。例えば、蛍光体粒子および/または補償粒子は、5マイクロメートル以上30マイクロメートル以下の、好適には10マイクロメートル以上20マイクロメートル以下の中央値d50を有する。
【0033】
変換素子のさらなる実施形態によれば、変換素子は、複数の補償層を有する。ここでの各補償層は、上記で説明したような補償粒子の濃縮領域を含む。ここでの変換素子のすべての層の補償層の濃縮領域は、変換素子の対称面に関して相互に対称に配置されている。多数の補償層を用いて、より厚い厚さを有し、ゆえに機械的に容易に取り扱うことができる変換素子を製造することも可能である。
【0034】
1つの実施形態によれば、変換素子は、少なくとも1つのさらなる変換層を含む。ここでのさらなる変換層は、特に好適には、既に説明した変換層とは異なる蛍光体粒子を含み、そのため、さらなる変換層は、既に説明した変換層とは異なる変換特性を有する。例えば、変換素子は、その蛍光体粒子が青色光を赤色光に変換する変換層を有し、一方、さらなる変換層は、青色光を黄色および/または緑色光に変換する。
【0035】
好適には、変換素子は、さらなる各変換層に対して濃縮領域を備えたさらなる補償層を有する。ここでのさらなる補償層は、1つのホスト格子から形成されている、あるいは各補償層によって補償される変換層の蛍光体粒子のホスト格子と同じホスト格子を有している補償粒子を有する。特に好適には、さらなる変換層の濃縮領域とさらなる補償層の濃縮領域とが、変換素子の対称面に関して相互に対称に配置されている。
【0036】
変換素子は、好適には少なくとも40マイクロメートル、特に好適には少なくとも100マイクロメートルの厚さを有する。
【0037】
変換素子の補償層および変換層の総数は、特に好適には偶数である。
【0038】
本明細書で説明する変換素子は、放射性構成素子での使用に適している。本変換素子のすべての実施形態、特徴、および発展形態は、放射性構成素子において形成されてもよいし、その逆もまた同様に可能である。
【0039】
好適な実施形態によれば、本構成素子は、放射性半導体チップを含む。この放射性半導体チップは、動作中に第1の波長範囲の電磁放射を放射線出射面から放射する。特に好適には、半導体チップは、青色光および/または紫外光を放射する。
【0040】
変換素子は、その僅かな湾曲に基づいて、特に薄くて均質な接着剤層を用いて、特に良好に機械的に安定させて半導体チップの放射線出射面に取り付けることができる。そのようにして、より大きな出力とより長い寿命とを備えた構成素子を達成することができる。
【0041】
さらなる実施形態によれば、既に説明した変換素子が構成素子に含まれる。この変換素子は、特に好適には、第1の波長範囲の電磁放射を少なくとも部分的に第2の波長範囲の電磁放射に変換する。例えば、変換素子は、青色および/または紫外線放射を黄色光および/または緑色光および/または赤色光に変換する。変換素子は、特に好適には、例えば接合層を用いて、半導体チップの放射線出射面に被着される。
【0042】
本明細書で説明する方法は、特に以下で説明する考察に基づいている。特にガラスマトリックスを使用する場合、ガラスマトリックスが液状の状態である限り、蛍光体粒子は、一般に変換層の製造の際に沈降する。ここでは一般に、濃縮領域は、変換層の第1の主表面に形成される。濃縮領域を備えた変換層が、放射性半導体チップの放射線出射面に被着されるならば、熱を効果的に変換素子から放出させることができる。
【0043】
ただし、濃縮領域は、変換層の重心を変える。さらに、濃縮領域と空乏領域とが、異なる熱膨張係数を有する。このことは、焼結を完了し、冷却された変換層内で機械的な緊張と湾曲とにつながり、そのため、変換層を半導体チップにうまく被着させることが困難になる。それゆえ、本案では、変換素子内に、変換層の濃縮領域と可及的に類似した機械的および熱的特性を有する濃縮領域を備えた補償層が設けられる。
【0044】
この目的のために、蛍光体粒子と可及的に類似した機械的特性を有するが、変換性であるようには構成されていない補償粒子が使用される。補償粒子は、好適には、蛍光体粒子のホスト格子から形成されるが、これは、活性化イオンを含まない。変換層の湾曲を補償するために、補償層および変換層は、好適には、濃縮領域が変換素子の対称面に対して対称に位置決めされるように、相互に配置されている。
【0045】
本発明のさらなる好適な実施形態および発展形態は、以下で図面に関連して説明される実施例から明らかになる。
【0046】
図1~
図3、
図5~
図6、ならびに
図9~
図12の概略的断面図に基づき、それぞれ1つの本方法が、それぞれ1つの実施例にしたがってより詳細に説明される。
【0047】
図4、
図7、
図8、および
図13の概略的断面図は、それぞれ1つの実施例による変換素子を示している。
【0048】
図14は、1つの実施例による放射性構成素子の概略的断面図を示している。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【
図1】本方法を1つの実施例にしたがって説明するための概略的断面図を示した図である。
【
図2】本方法を1つの実施例にしたがって説明するための概略的断面図を示した図である。
【
図3】本方法を1つの実施例にしたがって説明するための概略的断面図を示した図である。
【
図4】1つの実施例による変換素子の概略的断面図を示した図である。
【
図5】本方法を1つの実施例にしたがって説明するための概略的断面図を示した図である。
【
図6】本方法を1つの実施例にしたがって説明するための概略的断面図を示した図である。
【
図7】1つの実施例による変換素子の概略的断面図を示した図である。
【
図8】1つの実施例による変換素子の概略的断面図を示した図である。
【
図9】本方法を1つの実施例にしたがって説明するための概略的断面図を示した図である。
【
図10】本方法を1つの実施例にしたがって説明するための概略的断面図を示した図である。
【
図11】本方法を1つの実施例にしたがって説明するための概略的断面図を示した図である。
【
図12】本方法を1つの実施例にしたがって説明するための概略的断面図を示した図である。
【
図13】1つの実施例による変換素子の概略的断面図を示した図である。
【
図14】1つの実施例による放射性構成素子の概略的断面図を示した図である。
【0050】
同一の要素、同種の要素、または同一に作用する要素には、図面中同じ参照符号が付されている。これらの図面ならびに図中に示されている要素の相互間のサイズ比は、縮尺どおりと見なされるべきではない。むしろ、個々の要素、特に層厚さは、誇張的に大きく示される場合がある。
【0051】
図1~
図3の本方法による実施例では、変換層1が最初に提供される(
図1)。この変換層1を製造するために、第1のステップでは、青色光を黄色および/または緑色光に変換する蛍光体粒子2が、マトリックス3、例えばガラスマトリックスに導入される。ここでは、マトリックス3は、液状の形態で存在する。蛍光体粒子2は、例えば化学式Lu
3(Al,Ga)
5O
12:Ce
3+またはα-SiAlONのガーネット蛍光体を有することができる。蛍光体粒子2を有する液状のマトリックス3が担体に被着されると、蛍光体粒子2は液状のマトリックス内で沈降する(図示せず)。この沈降後、マトリックス3が乾燥され、変換層1が生じる。
【0052】
沈降プロセスに基づいて、蛍光体粒子2は、変換層1の第1の主表面の濃縮領域4で濃縮される。その他に、変換層1は、変換層1の第1の主要層の反対側にある、変換層1の第2の主表面に面する空乏領域5を含む。
【0053】
蛍光体粒子2は、蛍光体粒子2に変換特性を与える活性化イオンが導入されるホスト格子を有している。化学式Lu3(Al,Ga)5O12:Ce3+の蛍光体粒子2の場合、化学式Lu3(Al,Ga)5O12は、ホスト格子の材料を示し、Ce3+は活性化イオンを示す。
【0054】
次のステップでは、補償層6が提供される(
図2)。この補償層6の製造のために、変換層1の製造と同じステップが実施される。ただし、活性化イオンを有するホスト格子を有している蛍光体粒子2の代わりに、蛍光体粒子2と同じホスト格子を有しているが、活性化イオンは含まない補償粒子7が使用される。
【0055】
補償層6の補償粒子7は、第1の波長範囲の電磁放射を透過する。また補償粒子7は、補償層6の第1の主表面の濃縮領域4’で濃縮される。その他に、補償層6は、補償層の第2の主表面に配置されかつ少なくとも部分的に補償粒子7を含まない空乏領域5’を含む。
【0056】
次のステップでは、散乱層8が生成される(
図3)。この散乱層8は、散乱粒子が導入されるマトリックスを含む。
【0057】
次いで、変換層1および補償層6は、変換層1の濃縮領域4と、補償層6の濃縮領域4’とが変換素子10の対称面9に関して相互に対称に配置されるように1つの変換素子10に相互に結合される。ここでの対称面9は、変換素子10の主要延在面に対して平行に延びている。補償層6と変換層1との間には、散乱層8が位置決めされている。補償層6、変換層1、および散乱層8は、例えば焼結によって素材結合的に相互に結合することができる。散乱層8に対して代替的に、透過層が変換素子10に挿入されてもよい。
【0058】
図4による変換素子10は、例えば、
図1~
図3による方法を用いて生成することができる。
図4による変換素子10は、青色光を緑黄色光に変換する変換層1を有する。この目的のために、例えば、ガーネット蛍光体からなる蛍光体粒子が適している。この変換素子10は、一次青色放射が部分的に変換素子10を通過し、変換された緑黄色放射と混合されて冷白色光になるように構成されてよい。散乱粒子は、この実施形態では、好適には、Al
2O
3および約500ナノメートルの直径を有している。そのような散乱粒子は、マトリックスに対する屈折率の違いに基づき、第1および/または第2の波長範囲の光を散乱させ、放射特性を有利に均質化する。
【0059】
図4による変換素子10は、代替的に、半導体チップ11の青色光を可及的に完全に緑黄色光に変換するように構成されてもよい。ここでの散乱層8は、好適には、直径が50ナノメートル以上500ナノメートル以下の直径を有し、以下の材料、Al
2O
3、ZrO
2、TiO
2のうちの1つからなる散乱粒子を有する。この散乱層8は、変換されていない光をレイリー散乱に基づき変換層1に散乱反射することにより、入射した青色光の変換素子10による可及的に完全な変換に有利に貢献することができる。
【0060】
図5~
図6の実施例による方法では、
図1~
図3の方法とは異なって、補償層6が3度生成され、提供された変換層1と例えば焼結によって1つの変換素子10に結合される。
【0061】
図7および
図8の実施例による変換素子10は、それぞれ、
図5~
図6による方法を用いて製造することができる。
図8による変換素子10は、
図4の変換素子10とは異なって、3つの補償層6を有する。ここでのこれらの補償層6および変換層1の濃縮領域4,4’は、変換素子10の対称面9に対して対称に配置されている。補償層6および変換層1の濃縮領域4,4’は、本案では、それぞれ変換素子10の外面に面している。
【0062】
これとは異なり、外側の補償層6と変換層1との間に配置された、
図8の実施例による変換素子10の2つの内側の補償層6は、変換素子10の対称面9に面している。
【0063】
図9~
図12の実施例による方法では、
図1に基づいて既に説明したように、最初に変換層1が生成される(
図10)。
図2に基づいて既に説明したように、変換層1に合わせて補償層6が生成される(
図11)。
【0064】
その上さらに、
図10による変換層1とは異なって、青色光を赤色光に変換する蛍光体粒子2’を有するさらなる変換層1’が生成される(
図9)。これらの蛍光体粒子2’は、例えばCaAlSiN:Eu
2+を有するか、またはCaAlSiN:Eu
2+から形成される。さらなる変換層1に合わせて、活性化イオンEu
2+なしでホスト格子CaAlSiNからのみ形成される補償粒子7’を有するさらなる補償層6’が生成される(
図12)。
【0065】
次のステップでは、補償層6,6’および変換層1,1’が例えば焼結によって1つの変換素子10に結合される(
図13)。ここでの変換層1,1’の濃縮領域4および補償層6,6’の濃縮領域4’は、変換素子10の対称面9に関して相互に対称に配置されている。
【0066】
図13による変換素子10は、例えば半導体チップ11から入射した青色光を部分的に黄緑色に、および部分的に赤色光に変換し、一方、青色光は部分的に変換素子10によって透過されるように構成されている。このようにして、変換素子10を用いることにより、半導体チップ11の青色放射から白色光または温かい白色光を生成することができる。変換素子10においてさらなる変換層1の使用により、演色評価数および白色光の相関色温度を所望のように適合化させることが可能である。
【0067】
図14の実施例によるオプトエレクトロニクス構成素子は、放射線出射面から第1の波長範囲(本案では青色光)の電磁放射を放出する放射性半導体チップ11を有する。放射線出射面には、例えば
図4、
図7、
図8、および
図13に基づいて既に説明したように変換素子10が被着されている。この変換素子10は、第1の波長範囲の電磁放射を少なくとも第2の波長範囲の電磁放射に変換する。
【0068】
本発明は、実施例に基づく説明によってこれらの実施例に限定されるものではない。むしろ、本発明は、特にそれらの特徴またはそれらの組み合わせ自体が特許請求の範囲または実施例において明示的に示されていない場合であっても、特許請求の範囲における特徴の任意の組み合わせを含めた任意の新規の特徴ならびに任意のこれらの特徴の組み合わせを包含する。
【0069】
本出願は、独国特許出願公開第102018128753.4号明細書の優先権を主張し、その開示内容は援用により本明細書に組み込まれる。
【符号の説明】
【0070】
1,1’ 変換層
2,2’ 蛍光体粒子
3 マトリックス
4,4’ 濃縮領域
5,5’ 空乏領域
6,6’ 補償層
7,7’ 補償粒子
8 散乱層
9 対称面
10 変換素子
11 半導体チップ
【手続補正書】
【提出日】2021-06-09
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
変換素子(10)を製造するための方法であって、以下のステップ、すなわち、
-第1の波長範囲の電磁放射を第2の波長範囲の電磁放射に変換する蛍光体粒子(2,2’)が導入されるマトリックス(3)を含む変換層(1,1’)を提供するステップであって、前記蛍光体粒子(2,2’)は、活性化イオンを有するホスト格子を有し、前記変換層(1,1’)の第1の主表面の濃縮領域(4)で濃縮されるステップと、
-前記第1の波長範囲の電磁放射を透過し、
前記蛍光体粒子(2,2’)の前記ホスト格子を有し、補償層(6,6’)の第1の主表面の濃縮領域(4’)で濃縮される補償粒子(7,7’)が導入されるマトリックス(3)を含む補償層(6,6’)を提供するステップと、
-前記変換層(1,1’)と前記補償層(6,6’)とを結合し、それによって、前記変換層の前記濃縮領域(4)と前記補償層(6,6’)の前記濃縮領域(4’)とを前記変換素子(10)の対称面(9)に関して相互に対称に配置するステップと、を含む方法。
【請求項2】
前記変換層(1,1’)を提供するステップは、以下のステップ、すなわち、
-前記マトリックス(3)および前記蛍光体粒子(2,2’)を含む液状の変換材料を提供するステップと、
-前記液状の変換材料から1つの層を生成するステップと、
-前記マトリックス(3)内で前記蛍光体粒子(2,2’)を沈降させ、それによって、前記蛍光体粒子(2,2’)が、前記液状の変換材料からの前記層の第1の主表面の濃縮領域で濃縮されるステップと、
-前記マトリックス(3)を固化および/または硬化させ、それによって、前記蛍光体粒子(2,2’)が前記濃縮領域(4)で濃縮される第1の主表面を備えた前記変換層(1,1’)が生じるステップと、を含む、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記補償層(6,6’)提供するステップは、以下のステップ、すなわち、
-前記マトリックス(3)および前記補償粒子(7,7’)を含む液状の補償材料を提供するステップと、
-前記液状の補償材料から1つの層を生成するステップと、
-前記マトリックス(3)内で前記補償粒子(7,7’)を沈降させ、それによって、前記補償粒子(7,7’)が、前記液状の補償材料からなる前記層の第1の主表面において濃縮領域(4’)で濃縮されるステップと、
-前記マトリックス(3)を固化および/または硬化させ、それによって、前記補償粒子(7,7’)が前記濃縮領域(4’)で濃縮される第1の主表面を備えた補償層(6,6’)が生じるステップと、を含む
を含む、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
前記マトリックス(3)内の前記蛍光体粒子(2,2’)の濃度と、前記補償粒子(7,7’)の濃度とはそれぞれ同じである、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
前記蛍光体粒子(2,2’)と前記補償粒子(7,7’)とは、同じ粒径分布を有する、請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
前記変換層(1,1’)と前記補償層(6,6’)との間に散乱層(8)が配置される、請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
変換素子(10)であって、
前記変換素子(10)は、
-第1の波長範囲の電磁放射を第2の波長範囲の電磁放射に変換する蛍光体粒子(2,2’)が導入されるマトリックス(3)を含む変換層(1,1’)を備えており、ここで、前記蛍光体粒子(2,2’)は、活性化イオンを有するホスト格子を有し、前記変換層(1,1’)の第1の主表面の濃縮領域(4)で濃縮され、
-前記第1の波長範囲の電磁放射を透過し、
前記蛍光体粒子(2,2’)の前記ホスト格子を有し、補償層(6,6’)の第1の主表面の濃縮領域(4’)で濃縮される補償粒子(7,7’)が導入されるマトリックス(3)を含む補償層(6,6’)を備えており、ここで、
-前記変換層(1,1’)の前記濃縮領域(4)と前記補償層(6,6’)の前記濃縮領域(4’)とが、前記変換素子(10)の対称面(9)に関して相互に対称に配置されている、変換素子(10)。
【請求項8】
それぞれ1つの濃縮領域(4’)を有する複数の補償層(6,6’)が含まれ、前記補償層および前記変換層(1,1’)の前記濃縮領域(4)は、前記変換素子(10)の前記対称面に関して相互に対称に配置されている、請求項7記載の変換素子(10)。
【請求項9】
それぞれ1つの濃縮領域(4)を有するさらなる変換層(1,1’)が含まれ、前記変換素子(10)は、前記さらなる各変換層(1,1’)に対して濃縮領域(4’)を備えたさらなる補償層(4)を有し、前記さらなる変換層(1,1’)の前記濃縮領域(4)と前記さらなる補償層(6,6’)前記の濃縮領域(4’)とが、前記変換素子(10)の前記対称面(9)に関して相互に対称に配置されている、請求項7または8記載の変換素子(10)。
【請求項10】
放射線放出構成素子であって、
-第1の波長範囲の電磁放射を放射線出射面から放射する放射性半導体チップ(11)と、
-第1の波長範囲の電磁放射を少なくとも部分的に第2の波長範囲の電磁放射に変換する、請求項1から9までのいずれか1項記載の変換素子(10)と、を備えている、放射線放出構成素子。
【国際調査報告】