(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-25
(54)【発明の名称】低静電容量と改善された耐久性を備えたセラミック過電圧保護デバイス
(51)【国際特許分類】
H01C 7/12 20060101AFI20220118BHJP
H01C 7/10 20060101ALI20220118BHJP
H01C 7/108 20060101ALI20220118BHJP
H01C 17/00 20060101ALI20220118BHJP
【FI】
H01C7/12
H01C7/10
H01C7/108
H01C17/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2021527080
(86)(22)【出願日】2019-10-18
(85)【翻訳文提出日】2021-05-28
(86)【国際出願番号】 US2019056984
(87)【国際公開番号】W WO2020106388
(87)【国際公開日】2020-05-28
(32)【優先日】2018-11-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-07-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】511231986
【氏名又は名称】ケメット エレクトロニクス コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】特許業務法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジョーンズ ロニー ジー.
(72)【発明者】
【氏名】キノン イアン ディー.
(72)【発明者】
【氏名】バルチチュード ジョン
(72)【発明者】
【氏名】リード ネイサン エー.
(72)【発明者】
【氏名】ベル ジェフリー ダブリュ.
(72)【発明者】
【氏名】タイス ジョージ マイケル
【テーマコード(参考)】
5E032
5E034
【Fターム(参考)】
5E032BA04
5E032BB11
5E032CA02
5E034CA04
5E034CC12
5E034DA07
5E034EA08
5E034EB03
5E034EB07
5E034EC03
(57)【要約】
【課題】改善された過電圧保護素子を提供する。
【解決手段】過電圧保護デバイスは少なくとも一つのESD保護結合を含み、ESD保護結合は平面状の放電電極、放電電極間のギャップ絶縁体、平面状の放電電極に対し平行な過電圧保護素子を含み、過電圧保護素子は導体と二次材料とを含む。過電圧保護素子はさらに放電電極と過電圧保護素子との間に一次絶縁体層を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一つのESD保護結合を含む過電圧保護デバイスであって、
前記ESD保護結合は:
平面状の放電電極と;
前記平面状の放電電極間のギャップ絶縁体と;
前記平面状の放電電極に平行な、導体と二次材料とを含む過電圧保護素子と;
前記放電電極と前記過電圧保護素子との間の一次絶縁体層と;
を含む過電圧保護デバイス。
【請求項2】
前記過電圧保護素子は二次材料に対する前記導体の比率が50vol%以上90vol%以下である、請求項1に記載の過電圧保護デバイス。
【請求項3】
前記導体はLa、Ni、Co、Cu、Zn、Ru、Ag、Pd、Pt、W、Fe又はBiからなるグループから選択される、請求項1に記載の過電圧保護デバイス。
【請求項4】
前記二次材料はセラミック、ガラス、及び半導体からなるグループから選択される、請求項1に記載の過電圧保護デバイス。
【請求項5】
セラミックはチタン酸バリウム及び窒化タンタルからなるグループから選択される、請求項4に記載の過電圧保護デバイス。
【請求項6】
前記一次絶縁体層又は前記ギャップ絶縁体の少なくとも一つが100未満の誘電率を有する、請求項1に記載の過電圧保護デバイス。
【請求項7】
前記一次絶縁体層又は前記ギャップ絶縁体の少なくとも一つが50未満の誘電率を有する、請求項6に記載の過電圧保護デバイス。
【請求項8】
前記一次絶縁体層は1μm以上10μm以下の厚さを有する、請求項1に記載の過電圧保護デバイス。
【請求項9】
前記一次絶縁体層はジルコン酸カルシウム、不定比酸化チタンバリウム、バリウム希土類酸化物、チタニア、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸亜鉛マグネシウム、チタン酸錫ジルコニウム、及びそれらの組合せからなるグループから選択される、請求項1に記載の過電圧保護デバイス。
【請求項10】
前記不定比酸化チタンバリウムはBa
2Ti
9O
20又はBaTi
4O
9からなるグループから選択される、請求項9に記載の過電圧保護デバイス。
【請求項11】
前記バリウム希土類酸化物はネオジム又はプラセオジムを含む、請求項9に記載の過電圧保護デバイス。
【請求項12】
前記チタニアはドープされたチタニアである、請求項9に記載の過電圧保護デバイス。
【請求項13】
20個以下のESD保護結合を含む請求項1に記載の過電圧保護デバイス。
【請求項14】
3個乃至10個の前記ESD保護結合を含む、請求項13に記載の過電圧保護デバイス。
【請求項15】
隣接する前記ESD保護結合の間に内部二次絶縁層を含む、請求項1に記載の過電圧保護デバイス。
【請求項16】
前記放電電極はニッケル、タングステン、モリブデン、アルミニウム、クロミウム、銅、パラジウム、銀、又はこれらの合金からなるグループから選択される少なくとも一つの金属を含む、請求項1に記載の過電圧保護デバイス。
【請求項17】
前記放電電極はニッケルを含む、請求項16に記載の過電圧保護デバイス。
【請求項18】
外部終端をさらに含む、請求項1に記載の過電圧保護デバイス。
【請求項19】
少なくとも一つの容量性結合をさらに含む、請求項1に記載の過電圧保護デバイス。
【請求項20】
前記容量性結合は浮遊電極を含む、請求項19に記載の過電圧保護デバイス。
【請求項21】
1000pF以上23,000pF以下の静電容量を有する、請求項19に記載の過電圧保護デバイス。
【請求項22】
0.1pF以上23,000pF以下の静電容量を有する、請求項1に記載の過電圧保護デバイス。
【請求項23】
0.1pF以上100pF以下の静電容量を有する、請求項22に記載の過電圧保護デバイス。
【請求項24】
10pF以下の静電容量を有する、請求項23に記載の過電圧保護デバイス。
【請求項25】
2pF以下の静電容量を有する、請求項24に記載の過電圧保護デバイス。
【請求項26】
動作電圧より少なくとも20%高いトリガー電圧を有する、請求項1に記載の過電圧保護デバイス。
【請求項27】
5000nA以下のリーク電流を有する、請求項1に記載の過電圧保護デバイス。
【請求項28】
1000nA以下のリーク電流を有する、請求項27に記載の過電圧保護デバイス。
【請求項29】
50nA以下のリーク電流を有する、請求項28に記載の過電圧保護デバイス。
【請求項30】
5nA以下のリーク電流を有する、請求項29に記載の過電圧保護デバイス。
【請求項31】
1nA以下のリーク電流を有する、請求項30に記載の過電圧保護デバイス。
【請求項32】
過電圧保護デバイスを形成する方法であって:
一次絶縁体前駆体の上に二次絶縁体前駆体と過電圧保護素子前駆体とを含む少なくとも一つの第一層を製造することと;
内部絶縁体前駆体の上に一対の放電電極及び前記放電電極間のギャップ絶縁体前駆体を含む少なくとも一つの第二層を形成することと;
前記過電圧保護素子前駆体が前記ギャップ絶縁体前駆体に重なるように位置を合わせて、前記少なくとも一つの第二層の上に前記少なくとも一つの第一層を含むスタックを形成することと;
前記スタックを加熱して積層スタックを形成することと
を含み、前記積層スタックは:
平面状の放電電極と;
前記平面状の前記放電電極間のギャップ絶縁体と;
前記放電電極に平行な過電圧保護素子と;
前記放電電極と前記過電圧保護素子の間の一次絶縁体層と
を含む、過電圧保護デバイスを形成する方法。
【請求項33】
前記過電圧保護素子は導体と二次材料を含む、請求項32に記載の過電圧保護デバイスを形成する方法。
【請求項34】
前記過電圧保護素子は前記二次材料に対する前記導体の比率が50vol%以上90vol%以下である、請求項33に記載の過電圧保護デバイスを形成する方法。
【請求項35】
前記導体はLa、Ni、Co、Cu、Zn、Ru、Ag、Pd、Pt、W、Fe又はBiからなるグループから選択される、請求項33に記載の過電圧保護デバイスを形成する方法。
【請求項36】
前記二次材料はセラミック、ガラス、及び半導体からなるグループから選択される、請求項33に記載の過電圧保護デバイスを形成する方法。
【請求項37】
セラミックはチタン酸バリウム及び窒化タンタルからなるグループから選択される、請求項36に記載の過電圧保護デバイスを形成する方法。
【請求項38】
前記一次絶縁体層は100未満の誘電率を有する、請求項32に記載の過電圧保護デバイスを形成する方法。
【請求項39】
前記誘電率は50未満である、請求項38に記載の過電圧保護デバイスを形成する方法。
【請求項40】
前記一次絶縁体層は1μm以上10μm以下の厚さを有する、請求項32に記載の過電圧保護デバイスを形成する方法。
【請求項41】
前記一次絶縁体層は絶縁性セラミックを含む、請求項32に記載の過電圧保護デバイスを形成する方法。
【請求項42】
前記一次絶縁体層はジルコン酸カルシウム、不定比酸化チタンバリウム、バリウム希土類酸化物、チタニア、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸亜鉛マグネシウム、チタン酸錫ジルコニウム、及びそれらの組合せからなるグループから選択される、請求項41に記載の過電圧保護デバイスを形成する方法。
【請求項43】
前記不定比酸化チタンバリウムはBa
2Ti
9O
20又はBaTi
4O
9からなるグループから選択される、請求項42に記載の過電圧保護デバイスを形成する方法。
【請求項44】
前記バリウム希土類酸化物はネオジム又はプラセオジムを含む、請求項42に記載の過電圧保護デバイスを形成する方法。
【請求項45】
前記チタニアはドープされたチタニアである、請求項42に記載の過電圧保護デバイスを形成する方法。
【請求項46】
20個以下の第一層及び第二層を含むスタックを形成することを含む、請求項32に記載の過電圧保護デバイスを形成する方法。
【請求項47】
3個以上10個以下の前記第一層及び前記第二層を含むスタックを形成することを含む、請求項46に記載の過電圧保護デバイスを形成する方法。
【請求項48】
前記放電電極はニッケル、タングステン、モリブデン、アルミニウム、クロミウム、銅、パラジウム、銀、又はこれらの合金からなるグループから選択される少なくとも一つの金属を含む、請求項32に記載の過電圧保護デバイスを形成する方法。
【請求項49】
前記放電電極はニッケルを含む、請求項48に記載の過電圧保護デバイスを形成する方法。
【請求項50】
外部終端を形成することをさらに含む、請求項32に記載の過電圧保護デバイスを形成する方法。
【請求項51】
前記スタックの形成の前に容量性結合前駆体の交互の層を形成することをさらに含む、請求項32に記載の過電圧保護デバイスを形成する方法。
【請求項52】
前記スタックの形成は前記加熱の前に容量性結合前駆体の前記交互の層を重ね合わせることをさらに含む、請求項51に記載の過電圧保護デバイスを形成する方法。
【請求項53】
前記容量性結合の前記交互の層は少なくとも一つの浮遊電極前駆体を含む、請求項51に記載の過電圧保護デバイスを形成する方法。
【請求項54】
少なくとも一つのESD保護結合を含む二重機能過電圧保護デバイスであって、
前記ESD保護結合は:
平面状の放電電極と;
前記平面状の放電電極間のギャップ絶縁体と;
前記放電電極に平行な過電圧保護素子と;
前記放電電極と前記過電圧保護素子との間の一次絶縁体層と;
を含み、
前記二重機能過電圧保護デバイスは容量性結合を含む二重機能過電圧保護デバイス。
【請求項55】
前記過電圧保護素子は導体と二次材料を含む、請求項54に記載の二重機能過電圧保護デバイス。
【請求項56】
前記過電圧保護素子は前記二次材料に対する前記導体の比率が50vol%以上90vol%以下である、請求項55に記載の二重機能過電圧保護デバイス。
【請求項57】
前記導体はLa、Ni、Co、Cu、Zn、Ru、Ag、Pd、Pt、W、Fe又はBiからなるグループから選択される、請求項55に記載の二重機能過電圧保護デバイス。
【請求項58】
前記二次材料はセラミック、ガラス、及び半導体からなるグループから選択される、請求項55に記載の二重機能過電圧保護デバイス。
【請求項59】
セラミックはチタン酸バリウム及び窒化タンタルからなるグループから選択される、請求項58に記載の二重機能過電圧保護デバイス。
【請求項60】
前記一次絶縁体層又は前記ギャップ絶縁体の少なくとも一つが100未満の誘電率を有する、請求項54に記載の二重機能過電圧保護デバイス。
【請求項61】
前記誘電率が50未満である、請求項60に記載の二重機能過電圧保護デバイス。
【請求項62】
前記一次絶縁体層は1μm以上10μm以下の厚さを有する、請求項54に記載の二重機能過電圧保護デバイス。
【請求項63】
前記一次絶縁体層はジルコン酸カルシウム、不定比酸化チタンバリウム、バリウム希土類酸化物、チタニア、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸亜鉛マグネシウム、チタン酸錫ジルコニウム、及びそれらの組合せからなるグループから選択される、請求項54に記載の二重機能過電圧保護デバイス。
【請求項64】
前記不定比酸化チタンバリウムはBa
2Ti
9O
20又はBaTi
4O
9からなるグループから選択される、請求項63に記載の二重機能過電圧保護デバイス。
【請求項65】
前記バリウム希土類酸化物はネオジム又はプラセオジムを含む、請求項63に記載の二重機能過電圧保護デバイス。
【請求項66】
前記チタニアはドープされたチタニアである、請求項63に記載の二重機能過電圧保護デバイス。
【請求項67】
20個以下のESD保護結合を含む、請求項54に記載の二重機能過電圧保護デバイス。
【請求項68】
3個乃至10個の前記ESD保護結合を含む、請求項67に記載の二重機能過電圧保護デバイス。
【請求項69】
隣接する前記ESD保護結合の間に内部二次絶縁層を含む、請求項54に記載の二重機能過電圧保護デバイス。
【請求項70】
前記放電電極はニッケル、タングステン、モリブデン、アルミニウム、クロミウム、銅、又はこれらの合金からなるグループから選択される少なくとも一つの金属を含む、請求項54に記載の二重機能過電圧保護デバイス。
【請求項71】
前記放電電極はニッケルを含む、請求項70に記載の二重機能過電圧保護デバイス。
【請求項72】
外部終端をさらに含む、請求項54に記載の二重機能過電圧保護デバイス。
【請求項73】
前記容量性結合は浮遊電極を含む、請求項54に記載の二重機能過電圧保護デバイス。
【請求項74】
デバイスの動作電圧よりも少なくとも20%高いトリガー電圧を有する、請求項54に記載の二重機能過電圧保護デバイス。
【請求項75】
100pF以上23,000pF以下の静電容量を有する、請求項54に記載の二重機能過電圧保護デバイス。
【請求項76】
1000pF以上23,000pF以下の静電容量を有する、請求項75に記載の二重機能過電圧保護デバイス。
【請求項77】
5000nA以下のリーク電流を有する、請求項54に記載の二重機能過電圧保護デバイス。
【請求項78】
1000nA未満のリーク電流を有する、請求項77に記載の二重機能過電圧保護デバイス。
【請求項79】
50nA以下のリーク電流を有する、請求項78に記載の二重機能過電圧保護デバイス。
【請求項80】
5nA以下のリーク電流を有する、請求項79に記載の二重機能過電圧保護デバイス。
【請求項81】
1nA以下のリーク電流を有する、請求項80に記載の二重機能過電圧保護デバイス。
【請求項82】
前記一次絶縁体層は前記容量性結合の内部電極間の最小分離距離よりも薄い請求項54に記載の二重機能過電圧保護デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トリガー電圧に対し改善された制御を提供し、リーク電流を低減し、繰り返される過電圧パルスにもブレークダウンしない、セラミック過電圧保護デバイスに関する。
【0002】
[関連出願の相互参照]
本発明は2018年11月19日に出願された係属中の米国特許出願第16/165,159号の一部継続出願に係り、該米国特許出願は参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
最新の電子機器において半導体素子、集積回路、及びその他の部品を静電気放電(ESD)や電子的高速過渡現象から保護する必要性がますます高まっている。ESDは30kV以上に達する場合もあり、それはコアプロセッサが耐えられる限界を十分に超えている。ESDは集積回路の故障の主要な原因であり、これは電子機器の小型化に対する特定の問題であり、適切な保護を確実に提供するのが困難な状況である。
【0004】
ESD保護が必要になることで、デバイス内の利用可能なスペースのうちESD保護専用の部分が増加している。このようなデバイスの機能以外のためにスペースを割くことは部品及びデバイスの小型化に対する絶え間のない需要と相反する。オンチップのESD保護デバイスはスペースを消費することに加えて、処理できるデータの速度や量を抑制する。したがって、オフチップの保護に対する要望及び、具体的には、処理速度を損なうことなくESD保護を提供できる、かつ回路設計の範囲で又はデバイス内で貴重なスペースを消費しない、ディスクリート部品に対する要望が存在する。
【0005】
積層セラミックコンデンサ(MLCC)デバイスはESD保護において確立された役割を果たす。MLCCの高い静電容量はESDや過渡現象により生じた電荷を吸収する。残念なのは、高い静電容量は高速データアプリケーションにおいてシグナルインテグリティを損なうことである。MLCCの静電容量が減少すれば、吸収される電荷Qは関係式Q=CVにより静電容量C及び電圧Vに依存するので、そのESD即ち過渡現象を吸収する能力が低下する。したがって、静電容量が50%減少すれば電荷Qを吸収する同じ機能を維持するにはコンデンサが耐えねばならない電圧が50%増えねばならないことが分かる。静電容量の低いMLCCの耐電圧性能をその性能が低下するこのレベルまで高めることは実際には不可能である。さらに、バリスタ等の保護デバイスが採用されると、該デバイスが非アクティブである期間、対地リーク電流がバッテリー駆動デバイスのスタンバイ寿命による主要なドレインとなり得る。バッテリーのどのような寄生ドレインも望ましくなく、したがって漏れが大きく静電容量が大きい保護デバイスは望ましくない。
【0006】
最新回路の要望を満たすためには、理想的なESD保護デバイスは低い静電容量を有し、非アクティブ状態で対地リーク電流が無視できることが好ましい。ESD現象により電圧や電流が上昇する場合、ESD保護デバイスは素早く、例えば1ns未満でそれに反応して、潜在的に有害な過渡エネルギーを低抵抗の経路を介して大地へと迂回させねばならない。ESD現象が収まれば、ESD保護デバイスは前の非アクティブ状態に戻らねばならない。さらにESD保護デバイスは、その最初の非アクティブモードにおける現象前の静電容量と現象前のリーク電流特性の近傍に戻る期間、複数のESD又は過渡現象に耐えることができねばならない。これらの基準の全てを満たすことが、特に高電圧アプリケーションの基準を満たすことが、最新回路の設計者が利用できる適切なESD保護デバイスが欠如していることから明らかのように困難であることが分かっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は最新回路の高度な要望を満たす改善されたESD保護デバイスを提供する。
【0008】
本発明は改善された過電圧保護デバイスおよび改善された過電圧保護デバイスを形成する方法に関する。
【0009】
本発明の目的は静電容量が低く、リーク電流が小さく、多数のESDパルスに耐えることができる過電圧保護デバイスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の具体的な特徴はMLCCコンデンサの製造に使われる標準的な製造技術を使って過電圧保護デバイスを製造できることにある。
【0011】
本発明の他の特徴は、高度なESD保護が低静電容量の積層セラミックコンデンサと組み合わされることを可能にすることにより、組み合わされたデバイスが、信号フィルタリングのための静電容量を保持するとともに利用可能なスペースの最小量のみを占有しながら、高い過渡電圧からの保護を可能にすることである。
【0012】
これら及び他の実施形態が実現され、過電圧保護デバイスとして提供される。過電圧保護デバイスは少なくとも一つのESD保護結合を含み、該ESD保護結合は平面状の放電電極と、放電電極間のギャップ絶縁体と、平面状の放電電極に平行な過電圧保護素子とを含み、過電圧保護素子は導体と二次材料とを含む。過電圧保護素子はさらに放電電極と過電圧保護素子との間に一次絶縁体層を含む。
【0013】
さらに別の実施形態が過電圧保護デバイスを形成する方法として提供される。該方法は:
一次絶縁体前駆体の上に二次絶縁体前駆体及び過電圧保護素子前駆体を含む少なくとも一つの第一層を形成し;
内部絶縁体前駆体の上に一対の放電電極及び放電電極間のギャップ絶縁体前駆体を含む少なくとも一つの第二層を形成し;
過電圧保護素子前駆体がギャップ絶縁体前駆体に重なるように位置を合わせて、少なくとも一つの第二層の上に少なくとも一つの第一層を含むスタックを形成し;および
該スタックを加熱して積層スタックを形成するステップを含み、該積層スタックは:
平面状の放電電極と;
平面状の放電電極間のギャップ絶縁体と;
放電電極に平行な過電圧保護素子と;及び
放電電極と過電圧保護素子との間の一次絶縁体層とを含む。
【0014】
さらに別の実施形態が二重機能過電圧保護デバイスとして提供される。該過電圧保護デバイスは、平面状の放電電極と、放電電極間のギャップ絶縁体と、放電電極と平行な過電圧保護素子と、及び放電電極と過電圧保護素子との間の一次絶縁体層とを含む少なくとも一つのESD保護結合を含む。該二重機能過電圧保護デバイスはさらに容量性結合を含む。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図10】本発明の利点を説明する概略回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明は、低い静電容量を有し非アクティブ状態でリーク電流が小さく、ESD現象の存在下で素早い応答時間を有し、かつ静電容量、リーク電流、又は機能性について妥協することなく多数のESD現象に耐えることができる、改善されたESD保護デバイスに関する。より具体的には、本発明は放電電極と過電圧保護素子との間に積層材としてディスクリート絶縁体層を含む積層構造体に関する。該構造体によって過渡エネルギーが電気的グラウンドに迂回されるしきい値電圧となるトリガー電圧の最適化をはかる。本発明はさらに、該閾値電圧未満で信号フィルタリングに適した容量性結合を含み、該閾値電圧を超えると、過渡エネルギーを電気的グラウンドに迂回するESD保護デバイスに関する。
【0017】
通常動作時には、ESD保護デバイスのESD保護結合はパッシブ状態にあり、すなわち回路に対して何ら機能を与えない。従って、設計上ESD保護結合は低い静電容量を示すことが期待されるので高速信号の歪を抑制できる。しかし、ESD現象発生時にはESD保護結合がスイッチとして効果的に働き過電圧を電気的グラウンドへと分散できる。
【0018】
本発明は不可欠であるがそれに限定されない発明の構成要素を開示する図面を参照して説明される。説明を通して同一の要素には同一符号が付される。
【0019】
図1を参照して本発明の一実施形態を説明する。ESD保護結合2が概略断面図で示される。
図1において、好ましくは同一平面上の放電電極12がギャップ絶縁体14によって該平面において分離されている。一次絶縁体層18が放電電極を覆うように平面状に伸びて積層構造を形成する。過電圧保護素子16が一次絶縁体層18によって各放電電極から分離されている。過電圧保護素子を含む層において二次絶縁体20が該過電圧保護素子を取り囲むことが好ましい。実施形態では、ギャップ絶縁体、一次絶縁体層、及び二次絶縁体は製造の利便性のため同一材料を使うことが好ましいがそれに限定されない。ESD保護結合は、過渡現象の最中に放電電極間のパルスエネルギーを過電圧保護素子を介して伝導することによって機能し、該パルスエネルギーは過電圧保護素子と放電電極間を通過するたびに一次絶縁体層を通過する。特に好ましい実施形態では、過電圧保護素子16の幅はギャップ絶縁体14の幅以下であり、それによって過電圧保護素子と放電電極12のオーバーラップを抑制する。
【0020】
本発明の一実施形態を
図2の概略断面図を使って説明する。
図2において、ESD保護デバイス10は複数のESD保護結合2を層状に即ち積層状態に含む。任意だが内部絶縁体24が隣接するESD保護結合間にあるのが好ましい。外部絶縁体22が全てのESD保護結合の外側に設けられる。外部絶縁体及び内部絶縁体は製造の利便性のため同一の材料であるのが好ましいがそれに限定されない。放電電極12と電気接触する外部終端26を使ってESD保護デバイスが回路に電気接続されることが当業者により実現される。
【0021】
本発明のさらなる実施形態では、前述のESD保護デバイスは容量性結合と組み合わされて二重機能ESD保護デバイスを形成する。容量性結合は少なくとも二つの反対極性のオーバーラップする電極からなってもよいし、該容量性結合はフローティング電極を採用してもよい。容量性結合が組み込まれる場合、放電電極と過電圧保護素子との間のオーバーラップエリアを最小にして、浮遊容量を減らして組み合わされた部品の静電容量を低く維持することが望ましい。製造の利便性のために一次絶縁体とコンデンサ素子の誘電体は同一材料である。この場合、コンデンサの電極を分離する誘電体の厚さが一次絶縁体の厚さを超えることが最も重要である。
【0022】
本発明の一実施形態を
図3の拡大断面図を使って説明する。
図3において、二重機能ESDデバイス11が示される。二重機能ESDデバイスは最大n個のESD保護結合2を含み、nはデバイス内のESD保護結合の数を表す。少なくともm個の容量性結合4が示され、mは二重機能ESDデバイス内の容量性結合の数を表す。容量性結合は極性が交互の平行な内部電極25を含み、隣接する内部電極は異なる外部終端26に終端し、隣接する内部電極はコンデンサセラミック23によって分離されている。内部絶縁体24が隣接するESD保護結合2の間にあってもよく、それが好ましい。コンデンサセラミック23は隣接する内部電極25間の交互の層にあり、隣接する内部電極の各組が容量性結合を形成し、したがって、多数の容量性結合が単一のコンデンサとして機能することが好ましい。コンデンサセラミック23、外部絶縁体22、内部絶縁体24、ギャップ絶縁体14、及び一次絶縁体層18は製造の利便性のために同一の材料であるのが好ましい。一次絶縁体層及びコンデンサセラミックの組成が同一であれば、T
OVPで表される放電電極12からの過電圧保護素子16の分離距離がT
Cで表される隣接する内部電極25間の分離距離よりも小さいことが好ましい。ESD保護結合2における分離距離が容量性結合4における分離距離より小さければ、ESD現象に遭遇する際に容量性結合の永久的絶縁破壊を防げる。より好ましくは、T
CがT
OVPの2倍以上となることである。
【0023】
本発明の一実施形態を
図4の拡大断面図を使って説明する。
図4において、二重機能ESDデバイス11が示され、それは
図3に示されそれに対して説明されたデバイスと似ている。
図4において、二重機能ESDデバイスはm個の浮遊電極容量性結合41を含む。浮遊電極容量性結合はそれぞれが対向する外部終端26に終端する、同一平面上にある反対極性の内部電極25を含む。浮遊電極31は同一平面上の内部電極に平行であり、コンデンサセラミック23によって同一平面上の内部電極の平面から分離される。一次絶縁体層とコンデンサセラミックの組成が同一であれば、過電圧保護素子16の放電電極12からのT
OVPで表される分離距離が、同一平面上の内部電極25の平面と浮遊電極との間のT
FLOで表される分離距離よりも小さいことが好ましい。ESD結合2における分離距離が浮遊電極容量性結合41における分離距離より小さければ、容量性結合の永久的絶縁破壊に優先してESD結合の一時的絶縁破壊を促進させる。
【0024】
ESD保護デバイスの静電容量が0.1pF以上23,000pF以下であることが好ましい。ESD保護デバイスが少なくとも一つの容量性結合をさらに含む場合、ESD保護デバイスは少なくとも100pFの静電容量を有することが好ましく、より好ましくは少なくとも1000pFの静電容量を有することが好ましい。ESD保護デバイスが別個の容量性結合を含まない場合、ESD保護デバイスの静電容量は100pF以下、好ましく10pF以下、さらにより好ましくは2pF以下であることが好ましい。
【0025】
ESD保護デバイスは2端子のデバイスであり、
図2に示されるように、分離する外部端子が隣接する同一平面上の放電電極に電気接触する。あるいは、過電圧保護素子が二次外部終端に集合的にまたは個別に終端しかつ電気接触して、それに限定されないが、
図5に示すように4端子デバイス等の多端子型デバイスを形成してもよい。
図5において、二次外部終端28は同一のESD保護結合、分離するESD保護結合、もしくは
図3、
図4に関連して説明された容量性結合に電気接触されてもよい。
【0026】
ESD保護デバイスのESD保護結合の数は特に限定されない。本発明の範囲内で数百にのぼる機能に対して少なくとも一つのESD保護結合が必要である。20個を超えるESD保護結合の場合、多数の層に関連するコストや製造の複雑さを正当化するにはそのメリットが不十分である。3個に満たないESD保護結合の場合、冗長性が不十分となる。3個程度から10個程度のESD保護結合を備えることが好ましく、それにより製造効率、コスト、累積デバイス容量、及び有効性の間のバランスを保てる。
【0027】
二重機能ESD保護デバイスにおける容量性結合の数は特に限定されない。本発明の範囲内で数百にのぼる機能に対し少なくとも一つの容量性結合が必要とされる。容量性結合の数が100個程度を超える場合、多数の層に関連するコストや製造の複雑さを正当化するにはそのメリットが不十分である。3個に満たない容量性結合の場合、割り当てられたスペース内の静電容量が不十分になる。容量は特定のアプリケーション要件に合わせて調整できるが、10個程度から20個程度の容量性結合を備えることが好ましく、それにより製造効率、コスト、及び有効性の間のバランスを保てる。
【0028】
誘電体絶縁材料であるのが好ましい絶縁材料を一次絶縁体層として放電電極と過電圧保護素子との間に組み込むことにより、信号歪を最小限にとどめかつパッシブモードにおいて電気的グラウンドへ流れるリーク電流が小さい、低く有効な静電容量を維持することができるESD保護デバイスを提供する。一次絶縁材料はリーク電流を最小限にするために十分に絶縁性があるのが好ましい。ESD保護結合のリーク電流は5000nA以下が好ましく、2000nA以下がより好ましく、1000nA以下がさらに好ましく、50nA以下がなおさらに好ましく、5nA以下がさらに好ましく、そして1nA以下が最も好ましい。さらに、一次絶縁体層が劣化することなく動作電圧に耐えることができ、それにより過渡現象が収まった後にESD保護部品が劣化することなくパッシブモードに戻ることができることが好ましい。特に一次絶縁体層の劣化が生じないことで、ESD現象が多数発生した後でも静電容量の安定性及びリーク電流の安定性を向上できる。
【0029】
従来のMLCC製造技術を用いて、セラミック誘電体前駆体材料からなるキャリアフィルム上に放電電極及び過電圧保護素子前駆体の層を直接堆積させることによりESD保護デバイスを製造することができる。次に、各層を位置を合わせたシートとして積み重ねた後、プレスおよび焼結して、一体化されたセラミックモノリシック部品を生成する。このように過電圧保護素子は所定の厚さを有する絶縁材料によって放電電極から分離され、したがってキャリアフィルム材料を選択することでその厚さや組成をコントロールすることが可能になる。一次絶縁体層の厚さをコントロールする能力はその組成をコントロールする能力と相まってトリガー電圧を予測どおりにコントロールすることを可能にする。あるいは、絶縁層に液体又はフィルムを用いて、ポリイミドなどの絶縁フィルム層または他の絶縁性の好ましくはポリマーの積層を形成してもよい。
【0030】
一次絶縁体層の厚さ、即ち放電電極と過電圧保護素子との間の距離は
図3及び
図4ではT
OVPとして表され、スパークギャップ方式のESDデバイスの一般的な電極間隔よりも大幅に縮小できる。従来のスパーク方式のESDデバイスは電極間に離隔距離を有し、それは通常は少なくとも6μmであり50μmを超える場合もある。本発明のESD保護デバイスについては、放電電極と過電圧保護素子との間の距離は、8kVのパルスに基づく過渡現象が5000V未満に回避されるトリガー電圧を維持するために、好ましくは10μm以下にされる。約1μmの厚さの一次絶縁体が本発明を実施するうえで適している。
【0031】
トリガー電圧未満の場合、容量性結合が存在すればそれがフィルタコンデンサとして機能し、ESD保護結合はパッシブ状態である。トリガー電圧もしくはそれ以上になると、ESD保護結合が過電流を電気的グラウンドへ短絡させる。トリガー電圧は一次絶縁体の組成と厚さ及び過電圧保護素子の組成に基づいている。所定の一次絶縁体と過電圧保護素子を備えた場合、一次絶縁体の厚さが増加するにつれてトリガー電圧は高くなる。最適な一次絶縁体層の厚さを決定するために、一連の一次絶縁体の厚さを有する複数のESD保護デバイスを最初に準備し、その後テストを行うことによって、好ましい一次絶縁体組成物および過電圧保護要素に対し所望のトリガー電圧を得ることができることが当業者によって理解されるであろう。トリガー電圧は部品の動作電圧よりも少なくとも20%高いことが望ましく、動作電圧は当業者にとって周知である用途に対する設計上の選択となる。
【0032】
放電電極と過電圧保護素子との間の直接接触を無くすことによって、絶縁抵抗は放電電極と直接接触する過電圧保護材料で作られたESDデバイスよりも数桁高くなる。積層体としてのディスクリート絶縁体層の存在は非アクティブモードで繰り返されるESDパルスに対してリーク電流を低く抑え込むのに役立つ。さらにモジュール方式の多層構造は多くのESD保護結合を積み重ねて部品の保護素子を形成でき、これにより、性能が劣化する前に複数のESDパルスに耐えるようにデバイスの能力を増加できるという追加の利点も提供する。
【0033】
このデバイスの別の実施形態では、示される放電電極層を交互に積み重ねて、上述のように部品内に容量性結合を提供することができる。信号伝送速度に依存する部品に静電容量を追加するには、端子間のスパークギャップ素子コンデンサに使用されるものとは異なったより高い誘電率(「K」)の誘電体を使用するのが望ましいことも注目すべきである。容量性結合の静電容量を制御することにより、ESD保護デバイスはより遅い伝送速度に対しノイズ抑制を行うことができる。
【0034】
ESD保護結合の静電容量を低く維持するために、過電圧保護素子と放電電極のオーバーラップエリアを減少させることが望ましい。その理由は一次絶縁層が比較的に薄いからである。さらに同じ理由からこの絶縁層が好ましくは100未満の低い誘電率を有することが望ましい。これは一次絶縁体を介して結合する放電電極に以下に示す普遍的な静電容量の方程式を当てはめることで説明できる:
C=K*K0*A*n/t
式中:
Cは静電容量;
Kは一次絶縁体の誘電率;
K0は自由空間の誘電率(8.854x10-12F/m);
Aは放電電極と過電圧保護素子のオーバーラップエリア;
nは放電電極と過電圧保護素子の層数;
tは一次絶縁体の厚さ
を表す。
【0035】
したがって、所定のオーバーラップでは、一次絶縁体の厚さが減少するにつれて静電容量は増加するが、これはオーバーラップエリアを減少させることで克服できる。過電圧保護素子自体が比較的高い誘電率を有するチタン酸バリウム等の材料を含み得るので、オーバーラップエリアを最小化することが望ましい。
【0036】
本発明のESD保護デバイスの有利な属性は、デバイスに用いられる材料の特性が高い動作温度及び電圧で機能できる卓越した能力を有することである。ESD保護デバイスは例えば500Vの高電圧、200℃の高温度でも連続動作に耐えることができるように準備することが可能である。
【0037】
一次絶縁体層、二次絶縁体及びギャップ絶縁体は低い誘電率を有する材料から別々に選択され、好ましくは各々が別々の絶縁性セラミックもしくはガラスであり、あるいはそれを含有する。低誘電率の誘電体が好ましく、絶縁性セラミックは100以下の誘電率を有するのが好ましく、50以下であることがさらに好ましい。C0G誘電体が特に好ましい。一次絶縁層、二次絶縁層、ギャップ絶縁体、及びコンデンサセラミックにとって特に好ましい材料は、ジルコン酸カルシウム、Ba2Ti9O20やBaTi4O9等の不定比酸化チタンバリウム、ネオジム又はプラセオジムを含むバリウム希土類酸化物、さまざまな添加剤をドープしたチタニア、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸亜鉛マグネシウム、チタン酸錫ジルコニウム、及びそれらの組合せを含む。当業者にとって周知のように一次絶縁層、二次絶縁層、ギャップ絶縁体、及びコンデンサセラミックの材料は、セラミックの焼結中に放電電極の劣化を避けるために、放電電極と熱的に適合しなければならない。
【0038】
内部絶縁体及び外部絶縁体はそれらの材料がコスト及び他の材料との整合性に基づいて選択されるのでここでは特に限定されない。一実施形態において、製造の利便性のため、内部絶縁体及び外部絶縁体は一次絶縁層、二次絶縁層、又はギャップ絶縁体の少なくとも一つと同じ材料である。
【0039】
過電圧保護素子は好ましくは金属から選ばれた導体と導体ではない二次材料とを含む。該二次材料は好ましくはセラミック、ガラス、半導体のうちの少なくとも一つを含む。該絶縁材料は導電性を低下させることによってESD保護デバイスのリーク電流を抑制する。静電容量を抑制することが望ましい場合は、過電圧保護素子は放電電極と際立ってオーバーラップしないことが望ましい。いくつかの実施形態では、過電圧保護素子は多孔質である。該過電圧保護素子はLa、Ni、Co、Cu、Zn、Ru、Ag、Pd、Pt、W、Fe又はBiのうち少なくとも一つを含んでもよい。特に好ましい絶縁性セラミックはチタン酸バリウム又は窒化タンタルを含む。本発明を実施するには、75vol%のNiと25vol%のチタン酸バリウムとの組合せからなる過電圧保護素子が適している。金属の含有率は約50vol%を超える一方90vol%を超えない必要がある。50vol%を下回ると過電圧保護素子として機能するために導電率が不十分であり、90vol%を超えると適切な低いリーク電流を達成するには導電率が高過ぎる。金属含有率は70vol%以上80vol%以下であり、二次材料は20vol%以上30vol%以下であるのが好ましい。
【0040】
放電電極および内部電極は、空気中で焼成できる卑金属を優先して、任意の貴金属または卑金属から作成できる。好ましい卑金属はニッケル、タングステン、モリブデン、アルミニウム、クロミウム、銅、パラジウム、銀、又はこれらの合金からなるグループから選択される。最も好ましい放電電極はニッケルを含む。
【0041】
ESD保護デバイスは積層セラミックコンデンサの製法と同じ方法で製造することができ、それについては十分な記述があり、当業者に十分に知られている。その製法において、活性層の印刷パターンを含む大きな分離層が位置を合わせて重ねられ、続いて加圧、ダイシング、焼成、及び終端化を経て、ディスクリートかつモノリシック部品が形成される。本発明では、活性層が過電圧保護素子、放電電極、内部電極、及び浮遊電極である。デバイスの上面と下面にブランク誘電体からなるカバー層を設けてここで説明する外部絶縁体を形成することで素子を外部表面から絶縁することが望ましいことはMLCC製造の当業者により理解される。外部端子は従来の技術、材料を使ってメッキされ、部品は表面実装される。
【0042】
本発明の一実施形態を
図6を参照して説明する。
図6においてESD保護デバイスを製造するプロセスがフローチャートで示されている。
図6では、一連の層が100で作成される。層102及び102’は外部絶縁体の前駆体を含み、業界で周知のMLCCコンデンサのセラミック層に対する標準的な製造手順に従って作成される。層104は104Aと104Bが結合される場合焼結後にESD保護結合を形成する層である。好ましい実施形態では、過電圧保護素子前駆体及び二次絶縁体前駆体を含む層が一次絶縁体前駆体の層のコーティングとして104Aで形成される。内部絶縁体前駆体の上の放電電極とギャップ絶縁体の前駆体を含む層が104Bで形成される。容量性結合が含まれる場合セラミック誘電体前駆体上に内部電極の交互の層を含む層が105で形成される。浮遊電極は、内部電極の交互層を形成するために使用される同一の層をセラミックと位置決めすることによって形成されてもよいし、もしくは浮遊電極は業界で周知されるようにセラミック誘電体前駆体に異なる印刷パターンを有してもよい。各層は106で位置合わせされて重ねられ、本明細書の随所で説明されかつ図示されるように、内部電極前駆体のように、放電電極、絶縁体層前駆体、及び過電圧保護素子が位置合わせされて、重ねられたスタックを形成する。
図1及び
図2に実現されるように、過電圧保護素子前駆体はギャップ絶縁体に位置を合わせて重なる。位置合わせされたスタックは108で絶縁体前駆体を接着させるのに必要な程度に加圧及び加熱され、それにより絶縁体を形成し、隣接する層を互いに接着し、それによって複合ラミネートシートを形成する。複合ラミネートシートは110でダイシングされて個々に分離されたESD保護デバイス前駆体を作成しその後112で加熱処理される。ESD保護デバイス前駆体は、外部端子を取り付け、必要によりオーバーコーティングを施してESD保護デバイスを形成し、該ESD保護デバイスは仕上げ工程の一部である試験とパッケージングを経て114で仕上がる。
【実施例】
【0043】
ギャップ絶縁体、一次絶縁体、二次絶縁体、内部絶縁体及び外部絶縁体として誘電率が約32のジルコン酸カルシウムを主材料とするクラス1C0G誘電体を用いて、一連の0603EIAケースサイズのESD保護デバイスが製造された。ESD保護デバイスは厚さの異なる一次絶縁体層を備えるように製造された。過電圧保護素子は、主材料であるニッケルとチタン酸バリウムを体積比3:1で含んだ。同一平面上にある放電電極のペアのそれぞれが一次絶縁体層によって該放電電極から分離された過電圧保護素子を有するように、各過電圧保護素子が同一平面上にある放電電極の3個又は10個のペアとともに作られた。過電圧保護素子はデバイス内で共焼結された。ESD保護デバイスは国際電気標準会議試験手順IEC61000-4-2に従った8kVのESDのパルスを受けてパルスに対する反応が解析された。代表的な試験のセットアップはNoiseken ESS S3011/GT30R ESDシミュレーター(150pF 330Ω combination)及び適切な高帯域幅減衰を備えた高解像度オシロスコープKeysight MSOS 804Aにより構成される。
【0044】
厚さ9μmの絶縁層を使ったニッケルベースの3個及び10個のペアの放電電極を備えたESD保護デバイスが準備されて評価された。表1に示すように、10個の保護層を備えたESD保護デバイスはトリガー電圧を約20%減少させ、一方3個のペアの放電電極ではリーク電流が1nA未満に維持された。さらに、ESD保護結合の数を増やすことで1.7kVから1.3kVにわたる1000個の8kVのパルスによるトリガー電圧の劣化を低減できた。
【0045】
【0046】
8kVのESDパルスに対して反応する電圧対時間の関係が
図7のグラフに示される。ESD保護結合を追加されたパーツが、1000個の繰り返される8kVのESDパルスの後の電圧反応について1000個の8kVのESDパルスの後の平均的な電圧対時間の関係をグラフ化した
図8に示されるように、ピーク電圧を低減するとともに耐久性を改善することを実証した。
【0047】
上記のように、低いトリガー電圧を達成しながら複数のパルスに晒された後も低いリーク電流を維持して安定性を保持することが望ましい。一次絶縁層の有効性をテストするために、一次絶縁体層の厚さを異ならせた3個のペアのニッケル放電電極を備えた多様なESD保護デバイスが製造された。
【0048】
他の実施例では、0603EIAケースサイズの一連のESD保護デバイスが、同様に誘電率が約32のジルコン酸カルシウムを主材料とするクラス1、C0G誘電体をギャップ絶縁体、一次絶縁体、二次絶縁体、内部絶縁体及び外部絶縁体として用いて製造された。ESD保護デバイスは厚さの異なる一次絶縁体層を備えるように製造された。一組の過電圧保護デバイスを、主材料としてのニッケルとチタン酸バリウムを体積比3:1で含んだ過電圧保護素子を備えて製造し、一方別の組の過電圧保護デバイスを、主材料としてのニッケルと窒化タンタルを体積比3:1で含んだ過電圧保護素子を備えて製造した。過電圧保護素子は、3個の同一平面上の放電電極のペアで作製され、各同一平面上の放電電極のペアは、一次絶縁体層によって放電電極から分離された過電圧保護素子を有した。過電圧保護素子はデバイス内で共焼結された。各構造を有する5個のESD保護デバイスが、国際電気標準会議試験手順IEC61000-4-2に従った8kVのESDのパルスを受けて、パルスに対する反応が解析された。代表的な試験のセットアップはNoiseken ESS S3011/GT30R ESDシミュレーター(150pF 330Ω combination)及び適切な高帯域幅減衰を備えた高解像度オシロスコープKeysight MSOS 804Aにより構成された。
【0049】
表2から分かるように、一次絶縁体層の厚さを増加させると1000個の8kVパルス後にリーク電流が減少する。さらに表2では、過電圧保護素子の二次材料として窒化タンタルが使われたときトリガー電圧を維持したままで1000個のパルス後にリーク電流が低く維持されたことが分かる。
【0050】
【0051】
集積回路(IC)などの損傷を受けやすい電子部品を高電圧ESDパルスから保護するESD保護デバイスの能力の有無を判断するために、ESD保護デバイスと損傷を受けやすい部品が並列回路構成に取り付けられESDパルスに晒されるテスト回路が考案された。テストに用いるESDパルス発生器として、GT-30RAガンを接続したNoiseKen ESS-S3011Aを用い、該発生器はEIC 61000-4-2規格に記載されたESD電流パルスを発生する構成に配置された。ESDパルス発生器は150pF電源コンデンサ、1Mオーム充電抵抗、及び330オーム放電抵抗を有した。
図9は概略回路図を示す。
【0052】
図9において、ESDガン30は損傷を受けやすい部品34に並列接続されるESD保護デバイス32に対しパルスを供給する。
図10において、高電圧パルス発生器36は、図示のようにスイッチ42が充電サイクルのためにクローズし、テストパルスに対しオープンとなる場合、充電抵抗40を介して電源コンデンサ38を充電する。充電が完了してスイッチが充電サイクルに対してオープンとなり、テストパルスのためにクローズすると、放電抵抗44を介してコンデンサを放電させて、便宜上並列接続される、ESD保護デバイス32及び損傷を受けやすい部品34にパルスを供給する。通常ESDガンは高電圧パルス発生器36、電源コンデンサ38、充電抵抗40、及びスイッチ42を集積デバイスとして含む。
【0053】
テストを実施するためにESDガンの電源コンデンサがテスト電圧まで充電され、その後放電抵抗を介してテスト回路へ放電される。ESD保護デバイス及び損傷を受けやすいテスト部品両端の電圧がESD保護デバイスのトリガー電圧に達するまで増加し、トリガー電圧に達するとESD保護デバイスが過電圧をグラウンドへ短絡させて損傷を受けやすいテスト部品を損傷から保護する。ESD保護デバイスの電圧が損傷を受けやすい部品の電圧耐性を超える場合は、もしくは十分な電流をグラウンドへ短絡させることができない場合には、損傷を受けやすい部品は高電圧パルスによって損傷を受けることがある。
【0054】
二次材料としてチタン酸バリウムもしくは窒化タンタルを含有して製造された過電圧保護素子を含むESD保護デバイスが
図9に示されるテスト回路を使って評価され、8kVのESDパルスから損傷を受けやすい部品を保護するESD保護デバイスの能力の有無が判断された。テストのために選択された損傷を受けやすい部品は直列に配置された2個のEIA 0603 C0G型MLCCであり、ESDガンが2000Vに充電されたとき約100ESDパルスを受けた後に故障した。損傷を受けやすい部品の故障は一連のESDパルスの後の絶縁抵抗を測定することで判断された。使用された損傷を受けやすい部品の絶縁抵抗は通常100Gオームよりも大きい。損傷したコンデンサは100Mオーム未満の絶縁抵抗を有することが分かった。さらに、2個の市販されるESD保護部品が比較のためにテストされた。
【0055】
表3は損傷を受けやすい部品を損傷から保護するESD保護部品の能力の有無を実証するテスト結果を含む。各テストは5個の部品のサンプルで行われた。表3から分かるように、本発明に記載するセラミック材料とプロセスを使って製造されたESD保護部品は、市販のESD保護部品に比べて優れたESDパルス保護能力を示すことができた。
【0056】
【0057】
本発明は好ましい実施形態を参照して説明されたがそれに限定されない。当業者が具体的に述べられていない追加の実施形態や改善を実現するかもしれないが、それらはここに添付する特許請求の範囲に含まれる。
【手続補正書】
【提出日】2020-06-10
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一つのESD保護結合を含む過電圧保護デバイスであって、
前記ESD保護結合は:
平面状の放電電極と;
前記平面状の放電電極間のギャップ絶縁体と;
前記平面状の放電電極に平行な、導体と二次材料とを含む過電圧保護素子と;
前記放電電極と前記過電圧保護素子との間の一次絶縁体層と;
を含
み、
前記一次絶縁体層又は前記ギャップ絶縁体の少なくとも一つが100未満の誘電率を有する過電圧保護デバイス。
【請求項2】
前記過電圧保護素子は二次材料に対する前記導体の比率が50vol%以上90vol%以下である、請求項1に記載の過電圧保護デバイス。
【請求項3】
前記導体はLa、Ni、Co、Cu、Zn、Ru、Ag、Pd、Pt、W、Fe又はBiからなるグループから選択される、請求項1に記載の過電圧保護デバイス。
【請求項4】
前記二次材料はセラミック、ガラス、及び半導体からなるグループから選択される、請求項1に記載の過電圧保護デバイス。
【請求項5】
セラミックはチタン酸バリウム及び窒化タンタルからなるグループから選択される、請求項4に記載の過電圧保護デバイス。
【請求項6】
前記一次絶縁体層又は前記ギャップ絶縁体の少なくとも一つが50未満の誘電率を有する、請求項
1に記載の過電圧保護デバイス。
【請求項7】
前記一次絶縁体層は1μm以上10μm以下の厚さを有する、請求項1に記載の過電圧保護デバイス。
【請求項8】
前記一次絶縁体層はジルコン酸カルシウム、不定比酸化チタンバリウム、バリウム希土類酸化物、チタニア、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸亜鉛マグネシウム、チタン酸錫ジルコニウム、及びそれらの組合せからなるグループから選択される、請求項1に記載の過電圧保護デバイス。
【請求項9】
前記不定比酸化チタンバリウムはBa
2Ti
9O
20又はBaTi
4O
9からなるグループから選択される、請求項
8に記載の過電圧保護デバイス。
【請求項10】
前記バリウム希土類酸化物はネオジム又はプラセオジムを含む、請求項
8に記載の過電圧保護デバイス。
【請求項11】
前記チタニアはドープされたチタニアである、請求項
8に記載の過電圧保護デバイス。
【請求項12】
20個以下のESD保護結合を含む請求項1に記載の過電圧保護デバイス。
【請求項13】
3個乃至10個の前記ESD保護結合を含む、請求項1
2に記載の過電圧保護デバイス。
【請求項14】
隣接する前記ESD保護結合の間に内部二次絶縁層を含む、請求項1に記載の過電圧保護デバイス。
【請求項15】
前記放電電極はニッケル、タングステン、モリブデン、アルミニウム、クロミウム、銅、パラジウム、銀、又はこれらの合金からなるグループから選択される少なくとも一つの金属を含む、請求項1に記載の過電圧保護デバイス。
【請求項16】
前記放電電極はニッケルを含む、請求項1
5に記載の過電圧保護デバイス。
【請求項17】
外部終端をさらに含む、請求項1に記載の過電圧保護デバイス。
【請求項18】
少なくとも一つの容量性結合をさらに含む、請求項1に記載の過電圧保護デバイス。
【請求項19】
前記容量性結合は浮遊電極を含む、請求項1
8に記載の過電圧保護デバイス。
【請求項20】
1000pF以上23,000pF以下の静電容量を有する、請求項1
8に記載の過電圧保護デバイス。
【請求項21】
0.1pF以上23,000pF以下の静電容量を有する、請求項1に記載の過電圧保護デバイス。
【請求項22】
0.1pF以上100pF以下の静電容量を有する、請求項2
1に記載の過電圧保護デバイス。
【請求項23】
10pF以下の静電容量を有する、請求項2
2に記載の過電圧保護デバイス。
【請求項24】
2pF以下の静電容量を有する、請求項2
3に記載の過電圧保護デバイス。
【請求項25】
動作電圧より少なくとも20%高いトリガー電圧を有する、請求項1に記載の過電圧保護デバイス。
【請求項26】
5000nA以下のリーク電流を有する、請求項1に記載の過電圧保護デバイス。
【請求項27】
1000nA以下のリーク電流を有する、請求項2
6に記載の過電圧保護デバイス。
【請求項28】
50nA以下のリーク電流を有する、請求項2
7に記載の過電圧保護デバイス。
【請求項29】
5nA以下のリーク電流を有する、請求項2
8に記載の過電圧保護デバイス。
【請求項30】
1nA以下のリーク電流を有する、請求項
29に記載の過電圧保護デバイス。
【請求項31】
過電圧保護デバイスを形成する方法であって:
一次絶縁体前駆体の上に二次絶縁体前駆体と過電圧保護素子前駆体とを含む少なくとも一つの第一層を製造することと;
内部絶縁体前駆体の上に一対の放電電極及び前記放電電極間のギャップ絶縁体前駆体を含む少なくとも一つの第二層を形成することと;
前記過電圧保護素子前駆体が前記ギャップ絶縁体前駆体に重なるように位置を合わせて、前記少なくとも一つの第二層の上に前記少なくとも一つの第一層を含むスタックを形成することと;
前記スタックを加熱して積層スタックを形成することと
を含み、前記積層スタックは:
平面状の放電電極と;
前記平面状の前記放電電極間のギャップ絶縁体と;
前記放電電極に平行な過電圧保護素子と;
前記放電電極と前記過電圧保護素子の間の一次絶縁体層と
を含
み、
前記一次絶縁体層は100未満の誘電率を有する、過電圧保護デバイスを形成する方法。
【請求項32】
前記過電圧保護素子は導体と二次材料を含む、請求項3
1に記載の過電圧保護デバイスを形成する方法。
【請求項33】
前記過電圧保護素子は前記二次材料に対する前記導体の比率が50vol%以上90vol%以下である、請求項3
2に記載の過電圧保護デバイスを形成する方法。
【請求項34】
前記導体はLa、Ni、Co、Cu、Zn、Ru、Ag、Pd、Pt、W、Fe又はBiからなるグループから選択される、請求項3
2に記載の過電圧保護デバイスを形成する方法。
【請求項35】
前記二次材料はセラミック、ガラス、及び半導体からなるグループから選択される、請求項3
2に記載の過電圧保護デバイスを形成する方法。
【請求項36】
セラミックはチタン酸バリウム及び窒化タンタルからなるグループから選択される、請求項3
5に記載の過電圧保護デバイスを形成する方法。
【請求項37】
前記誘電率は50未満である、請求項3
1に記載の過電圧保護デバイスを形成する方法。
【請求項38】
前記一次絶縁体層は1μm以上10μm以下の厚さを有する、請求項3
1に記載の過電圧保護デバイスを形成する方法。
【請求項39】
前記一次絶縁体層は絶縁性セラミックを含む、請求項3
1に記載の過電圧保護デバイスを形成する方法。
【請求項40】
前記一次絶縁体層はジルコン酸カルシウム、不定比酸化チタンバリウム、バリウム希土類酸化物、チタニア、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸亜鉛マグネシウム、チタン酸錫ジルコニウム、及びそれらの組合せからなるグループから選択される、請求項
39に記載の過電圧保護デバイスを形成する方法。
【請求項41】
前記不定比酸化チタンバリウムはBa
2Ti
9O
20又はBaTi
4O
9からなるグループから選択される、請求項4
0に記載の過電圧保護デバイスを形成する方法。
【請求項42】
前記バリウム希土類酸化物はネオジム又はプラセオジムを含む、請求項4
0に記載の過電圧保護デバイスを形成する方法。
【請求項43】
前記チタニアはドープされたチタニアである、請求項4
0に記載の過電圧保護デバイスを形成する方法。
【請求項44】
20個以下の第一層及び第二層を含むスタックを形成することを含む、請求項3
1に記載の過電圧保護デバイスを形成する方法。
【請求項45】
3個以上10個以下の前記第一層及び前記第二層を含むスタックを形成することを含む、請求項4
4に記載の過電圧保護デバイスを形成する方法。
【請求項46】
前記放電電極はニッケル、タングステン、モリブデン、アルミニウム、クロミウム、銅、パラジウム、銀、又はこれらの合金からなるグループから選択される少なくとも一つの金属を含む、請求項3
1に記載の過電圧保護デバイスを形成する方法。
【請求項47】
前記放電電極はニッケルを含む、請求項4
6に記載の過電圧保護デバイスを形成する方法。
【請求項48】
外部終端を形成することをさらに含む、請求項3
1に記載の過電圧保護デバイスを形成する方法。
【請求項49】
前記スタックの形成の前に容量性結合前駆体の交互の層を形成することをさらに含む、請求項3
1に記載の過電圧保護デバイスを形成する方法。
【請求項50】
前記スタックの形成は前記加熱の前に容量性結合前駆体の前記交互の層を重ね合わせることをさらに含む、請求項
49に記載の過電圧保護デバイスを形成する方法。
【請求項51】
前記容量性結合の前記交互の層は少なくとも一つの浮遊電極前駆体を含む、請求項
49に記載の過電圧保護デバイスを形成する方法。
【請求項52】
少なくとも一つのESD保護結合を含む二重機能過電圧保護デバイスであって、
前記ESD保護結合は:
平面状の放電電極と;
前記平面状の放電電極間のギャップ絶縁体と;
前記放電電極に平行な過電圧保護素子と;
前記放電電極と前記過電圧保護素子との間の一次絶縁体層と;
を含み、
前記二重機能過電圧保護デバイスは容量性結合を含
み、
前記一次絶縁体層又は前記ギャップ絶縁体の少なくとも一つが100未満の誘電率を有する、二重機能過電圧保護デバイス。
【請求項53】
前記過電圧保護素子は導体と二次材料を含む、請求項5
2に記載の二重機能過電圧保護デバイス。
【請求項54】
前記過電圧保護素子は前記二次材料に対する前記導体の比率が50vol%以上90vol%以下である、請求項5
3に記載の二重機能過電圧保護デバイス。
【請求項55】
前記導体はLa、Ni、Co、Cu、Zn、Ru、Ag、Pd、Pt、W、Fe又はBiからなるグループから選択される、請求項5
3に記載の二重機能過電圧保護デバイス。
【請求項56】
前記二次材料はセラミック、ガラス、及び半導体からなるグループから選択される、請求項5
3に記載の二重機能過電圧保護デバイス。
【請求項57】
セラミックはチタン酸バリウム及び窒化タンタルからなるグループから選択される、請求項5
6に記載の二重機能過電圧保護デバイス。
【請求項58】
前記誘電率が50未満である、請求項
52に記載の二重機能過電圧保護デバイス。
【請求項59】
前記一次絶縁体層は1μm以上10μm以下の厚さを有する、請求項5
2に記載の二重機能過電圧保護デバイス。
【請求項60】
前記一次絶縁体層はジルコン酸カルシウム、不定比酸化チタンバリウム、バリウム希土類酸化物、チタニア、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸亜鉛マグネシウム、チタン酸錫ジルコニウム、及びそれらの組合せからなるグループから選択される、請求項5
2に記載の二重機能過電圧保護デバイス。
【請求項61】
前記不定比酸化チタンバリウムはBa
2Ti
9O
20又はBaTi
4O
9からなるグループから選択される、請求項6
0に記載の二重機能過電圧保護デバイス。
【請求項62】
前記バリウム希土類酸化物はネオジム又はプラセオジムを含む、請求項6
0に記載の二重機能過電圧保護デバイス。
【請求項63】
前記チタニアはドープされたチタニアである、請求項6
0に記載の二重機能過電圧保護デバイス。
【請求項64】
20個以下のESD保護結合を含む、請求項5
2に記載の二重機能過電圧保護デバイス。
【請求項65】
3個乃至10個の前記ESD保護結合を含む、請求項6
4に記載の二重機能過電圧保護デバイス。
【請求項66】
隣接する前記ESD保護結合の間に内部二次絶縁層を含む、請求項5
2に記載の二重機能過電圧保護デバイス。
【請求項67】
前記放電電極はニッケル、タングステン、モリブデン、アルミニウム、クロミウム、銅、又はこれらの合金からなるグループから選択される少なくとも一つの金属を含む、請求項5
2に記載の二重機能過電圧保護デバイス。
【請求項68】
前記放電電極はニッケルを含む、請求項
67に記載の二重機能過電圧保護デバイス。
【請求項69】
外部終端をさらに含む、請求項5
2に記載の二重機能過電圧保護デバイス。
【請求項70】
前記容量性結合は浮遊電極を含む、請求項5
2に記載の二重機能過電圧保護デバイス。
【請求項71】
デバイスの動作電圧よりも少なくとも20%高いトリガー電圧を有する、請求項5
2に記載の二重機能過電圧保護デバイス。
【請求項72】
100pF以上23,000pF以下の静電容量を有する、請求項5
2に記載の二重機能過電圧保護デバイス。
【請求項73】
1000pF以上23,000pF以下の静電容量を有する、請求項7
2に記載の二重機能過電圧保護デバイス。
【請求項74】
5000nA以下のリーク電流を有する、請求項5
2に記載の二重機能過電圧保護デバイス。
【請求項75】
1000nA未満のリーク電流を有する、請求項7
4に記載の二重機能過電圧保護デバイス。
【請求項76】
50nA以下のリーク電流を有する、請求項7
5に記載の二重機能過電圧保護デバイス。
【請求項77】
5nA以下のリーク電流を有する、請求項7
6に記載の二重機能過電圧保護デバイス。
【請求項78】
1nA以下のリーク電流を有する、請求項
77に記載の二重機能過電圧保護デバイス。
【請求項79】
前記一次絶縁体層は前記容量性結合の内部電極間の最小分離距離よりも薄い請求項5
2に記載の二重機能過電圧保護デバイス。
【国際調査報告】