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特表2022-509963アルミニウム-ヒ素およびインジウム-リンベースのヘテロ接合による光起電セル、関連する多接合セル、および関連する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-25
(54)【発明の名称】アルミニウム-ヒ素およびインジウム-リンベースのヘテロ接合による光起電セル、関連する多接合セル、および関連する方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 31/0735 20120101AFI20220118BHJP
   H01L 31/075 20120101ALI20220118BHJP
【FI】
H01L31/06 430
H01L31/06 500
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021529081
(86)(22)【出願日】2019-11-25
(85)【翻訳文提出日】2021-06-22
(86)【国際出願番号】 EP2019082432
(87)【国際公開番号】W WO2020114821
(87)【国際公開日】2020-06-11
(31)【優先権主張番号】18306604.2
(32)【優先日】2018-12-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】592236245
【氏名又は名称】サントル・ナシオナル・ドゥ・ラ・ルシェルシュ・シアンティフィク
【氏名又は名称原語表記】CENTRE NATIONAL DE LARECHERCHE SCIENTIFIQUE
(71)【出願人】
【識別番号】507030070
【氏名又は名称】エレクトリシテ ド フランス
(71)【出願人】
【識別番号】520478437
【氏名又は名称】トタル エスイー
(71)【出願人】
【識別番号】511312698
【氏名又は名称】リベル
(71)【出願人】
【識別番号】521217080
【氏名又は名称】アンスティテュ フォトボルタイク ディル ド フランス
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ベン スリマン,アーメド
【テーマコード(参考)】
5F151
【Fターム(参考)】
5F151AA08
5F151AA16
5F151BA18
5F151DA04
5F151DA07
5F151DA15
(57)【要約】
本発明は、アルミニウム-ヒ素ベースの合金から作製されたベース層(L4、L4’、L4’’)およびインジウム-リンベースの合金から作製されたエミッタ層(L3、L3’)のヘテロ接合を備える光起電セル(1)に関し、エミッタ層(L3、L3’)は、100nm未満の厚さを有し、かつベース層の酸化を防止し、表面再結合(L4、L4’、L4’’)を低減するためのパッシベーション層として機能する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルミニウム-ヒ素ベースの合金から作製されたベース層(L4、L4’、L4’’)およびインジウム-リンベースの合金から作製されたエミッタ層(L3、L3’)のヘテロ接合を備える光起電セル(1)であって、前記エミッタ層(L3、L3’)が、100nm未満の厚さを有し、かつ前記ベース層の酸化を防止し、表面再結合(L4、L4’、L4’’)を低減するためのパッシベーション層として機能する、光起電セル(1)。
【請求項2】
前記ヘテロ接合が、p-i-nヘテロ接合であり、前記ベース層(L4、L4’、L4’’)と前記エミッタ層(L3、L3’)との間の界面に少なくとも1つの真性副層を備える、請求項1に記載の光起電セル(1)。
【請求項3】
前記ベース層(L4、L4’、L4’’)が、アルミニウム-ガリウム-ヒ素「AlGaAs」合金で作製される、請求項1または2に記載の光起電セル(1)。
【請求項4】
前記エミッタ層(L3、L3’)が、インジウム-ガリウム-リン化物「InGaP」合金で作製される、請求項1~3のいずれか一項に記載の光起電セル(1)。
【請求項5】
前記ベース層(L4’’)が、アルミニウムパーセンテージ組成が20~55%の範囲で変動する傾斜アルミニウムベースの合金を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の光起電セル。
【請求項6】
前記ベース層(L4’’)が、25%のアルミニウムがベリリウムまたは炭素でドープされたAlGaAsで作製された第1の副層と、アルミニウム組成のパーセンテージが25%~30%で変動する真性傾斜AlGaAsで作製された第2の副層と、を備える、請求項5に記載の光起電セル(1)。
【請求項7】
前記ベース層(L4、L4’、L4’’)が、1.7eVのバンドギャップを有し、前記エミッタ層が、1.9eVのバンドギャップを有する、請求項1~6のいずれか一項に記載の光起電セル(1)。
【請求項8】
-次のドーパント:
-シリコン「Si」、
-セレン「Se」、
-テルル「Te」、
のいずれかが5.1018cm-3~5.1019cm-3に含まれるドーピング濃度で、ドープされたガリウム-ヒ素「GaAs」合金で作製され、
かつ150nm~300nmに含まれる厚さを有する、フロントコンタクト層(L1、L1’)と、
-次のドーパント:
-シリコン「Si」、
-セレン「Se」、
-テルル「Te」、
のいずれかが5.1018cm-3~1.1019cm-3に含まれるドーピング濃度で、ドープされたアルミニウム-インジウム-リン化物「AlInP」合金で作製され、
かつ20nm~70nmに含まれる厚さを有する、窓層(L2、L2’)と、
-次のドーパント:
-シリコン「Si」、
-セレン「Se」、
-テルル「Te」、
のいずれかを1.1016cm-3~2.1018cm-3に含まれるドーピング濃度で、ドープすることができるインジウム-ガリウム-リン化物「InGaP」合金で作製され、
かつ20nm~100nmに含まれる厚さを有する、エミッタ層(L3、L3’)と、
-xが0~0.37に含まれ、かつ次のドーパント:
-ベリリウム「Be」、
-炭素「C」、
-亜鉛「Zn」、
のいずれかが2.1016cm-3~5.1017cm-3に含まれるドーピング濃度で、ドープされたアルミニウム-ガリウム-ヒ素「AlGa1-xAs」合金で作製され、
かつ200nm~2000nmに含まれる厚さを有する、ベース層(L4、L4’、L4’’)と、
-xが0.4~0.8に含まれ、かつ次のドーパント:
-ベリリウム「Be」、
-炭素「C」、
-亜鉛「Zn」、
のいずれかが5.1018cm-3~1.1019cm-3に含まれるドーピング濃度で、ドープされたアルミニウム-ガリウム-ヒ素「AlGa1-xAs」合金で作製され、
かつ20nm~120nmに含まれる厚さを有する、裏面電界(L5、L5’)と、
-次のドーパント:
-ベリリウム「Be」、
-炭素「C」、
-亜鉛「Zn」、
のいずれかが5.1018cm-3~1.1019cm-3に含まれるドーピング濃度で、ドープされたガリウム-ヒ素「GaAs」合金で作製され、
かつ150nm~300nmに含まれる厚さを有する、バックコンタクト層(L6、L6’)と、を備える、請求項1~7のいずれか一項に記載の光起電セル(1)。
【請求項9】
-5.1018cm-3~2.1019cm-3に含まれるドーピング濃度で、シリコン「Si」がドープされたガリウム-ヒ素「GaAs」合金で作製され、
かつ150~320nmに含まれる厚さを有する、フロントコンタクト層(L1)と、
-5.1018cm-3~2.1019cm-3に含まれるドーピング濃度で、シリコン「Si」がドープされたアルミニウム-インジウム-リン化物「AlInP」合金で作製され、
かつ20nm~50nmに含まれる厚さを有する、窓層(L2)と、
-40nm~60nmに含まれる厚さを有するインジウム-ガリウム-リン化物「InGaP」で作製されたアンドープのエミッタ層(L3)と、
-1.1016cm-3~2.1017cm-3に含まれるドーピング濃度で、ベリリウム「Be」がドープされたアルミニウム-ガリウム-ヒ素「Al0.25GaAs」合金で作製され、
かつ400nm~2000nmに含まれる厚さを有する、ベース層(L4)と、
-4.1018cm-3~1.1019cm-3に含まれるドーピング濃度で、ベリリウム「Be」がドープされたアルミニウム-ガリウム-ヒ素「Al0.51GaAs」合金で作製され、
かつ20nm~80nmに含まれる厚さを有する、裏面電界(L5)と、
-5.1018cm-3~2.1019cm-3に含まれるドーピング濃度で、ベリリウム「Be」がドープされたガリウム-ヒ素「GaAs」合金で作製され、
かつ150nm~300nmに含まれる厚さを有する、バックコンタクト層(L6)と、を備える、請求項1~8のいずれか一項に記載の光起電セル(1)。
【請求項10】
前記ベース層(L4、L4’’)が、
-アルミニウムの傾斜濃度が25%~37%で変動するアンドープのアルミニウム-ガリウム-ヒ素「AlGa1-xAs」で作製され、かつ80~120nmに含まれる厚さを有する、フロント追加副層(L41)と、
-アルミニウムの傾斜濃度が25%~51%で変動し、4.1018cm-3~6.1018cm-3に含まれるドーピング濃度で、ベリリウム「Be」がドープされたアルミニウム-ガリウム-ヒ素「AlGa1-xAs」で作製され、かつ80~120nmに含まれる厚さを有する、バック追加副層(L43)と、を備える、請求項8または9に記載の光起電セル(1)。
【請求項11】
前記バックコンタクト層(L6、L6’’)が、
-アルミニウムの傾斜濃度が51%~0%で変動し、4.1018cm-3~6.1018cm-3に含まれるドーピング濃度で、ベリリウム「Be」がドープされたアルミニウム-ガリウム-ヒ素「AlGa1-xAs」で作製され、かつ80~120nmに含まれる厚さを有する、フロント追加副層(L61)と、を備える、請求項9または10に記載の光起電セル(1)。
【請求項12】
少なくとも第1および第2の光起電セルのスタックを備える多接合光起電セル(10、20、30)であって、第1のバンドギャップを有するフロント光起電セルおよび第1のバンドギャップより低い第2のバンドギャップを有する第2の光起電セルを有し、少なくとも前記フロント光起電セルが、請求項1~11のいずれか一項に記載の光起電セルである、多接合光起電セル(10、20、30)。
【請求項13】
前記第2の光起電セルが、1.1eVのバンドギャップを有するシリコンベースのセルである2つの光起電セルを備える、請求項12に記載の多接合光起電セル(20、30)。
【請求項14】
前記タンデム光起電セルの少なくともいくつかの層が、分子線エピタキシー「MBE」プロセスまたは有機金属化学気相成長法「MOCVD」プロセスに基づいて得られる、請求項1~13のいずれか一項に記載の光起電セルまたはタンデム光起電セルを製造するための方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光起電エネルギー生成、特に太陽エネルギーの電気への変換を可能にする高効率光起電セルに関する。
【背景技術】
【0002】
気候変動、地球温暖化、および化石燃料の枯渇により、代替資源、特に再生可能エネルギー資源を使用するために、過去数年間にわたって多くの技術が開発されてきた。
【0003】
主要な技術のうちの1つは、太陽エネルギーを電気に変換するための光起電セルの使用に関する。
【0004】
太陽電池は、光が吸収されて電子-正孔対を作るP-N接合および一方の側に電子を、他方の側に正孔を収集するための対向電極を備える。
【0005】
光起電セルの効率を改善するための1つの方法は、異なるバンドギャップを有する2つの光起電セルを積層して、タンデム光起電セルを形成することであり、各光起電セルは、受け取った光のスペクトルの異なる部分を変換する。
【0006】
タンデム光起電セルは、通常、シリコンをベースとし、かつ約1.1eVのバンドギャップを有するバック光起電セルを備える。
【0007】
フロント光起電セルは、より高いバンドギャップ、好ましくは約1.7eVを有する必要がある。
【0008】
AlGaAs合金は、それらが成長基板およびフロントセルのバックコンタクトに使用されるGaAsに一致するアルミニウム濃度および格子定数に応じて、1.42eV~2.16eVの調整可能なバンドギャップを提供するのでシリコンベースのタンデム光起電セルのフロント光起電セルの有力な候補である。
【0009】
しかしながら、AlGaAs合金にも欠点があり、特にそれらの耐酸化性は低く、アルミニウム-酸素の深いレベルの汚染が発生し、少数キャリアの拡散距離が短くなり、効率が低下する。
【0010】
より高い耐酸化性を提供する別の候補は、比較的良好な放射線耐性および低い界面再結合率を備えた約1.9eVのバンドギャップを有するInGaPである。これらの良好な材料特性にもかかわらず、そのような解決策は、インジウム元素の希少性およびコストのために、まだ好ましくない。
【0011】
したがって、本発明は、1.7eVに近いバンドギャップを提供し、酸化汚染物質に対して良好な耐性を有し、かつ製造コストを削減した光起電セルを得るための解決策を提供することを目的とする。
【発明の概要】
【0012】
本発明は、アルミニウム-ヒ素ベースの合金から作製されたベース層およびインジウム-リンベースの合金から作製されたエミッタ層を有するヘテロ接合を備える光起電セルに関し、エミッタ層は、100nm未満の厚さを有し、かつベース層の酸化を防止するパッシベーション層として機能する。
【0013】
本発明の別の態様によれば、ヘテロ接合は、p-i-nヘテロ接合であり、ベース層とエミッタ層との間の界面に少なくとも1つの真性副層を備える。
【0014】
本発明のさらなる態様によれば、ベース層は、アルミニウム-ガリウム-ヒ素「AlGaAs」合金で作製される。
【0015】
本発明の追加の態様によれば、エミッタ層は、インジウム-ガリウム-リン「InGaP」合金で作製される。
【0016】
本発明の別の態様によれば、ベース層は、アルミニウムのパーセンテージ組成が20~55%の範囲で変動する傾斜アルミニウムベースの合金を含む。
【0017】
本発明のさらなる態様によれば、ベース層は、ベリリウムがドープされた25%のアルミニウムを有するAlGaAsで作製された第1の副層と、アルミニウム組成のパーセンテージが25~30%で変動する真性傾斜AlGaAsで作製された第2の副層と、を備える。
【0018】
本発明の追加の態様によれば、ベース層は、1.7eVのバンドギャップを有し、エミッタ層は、1.9eVのバンドギャップを有する。
【0019】
本発明の別の態様によれば、光起電セルは、
-次のドーパント:
-シリコン「Si」、
-セレン「Se」、
-テルル「Te」、
のいずれかが5.1018cm-3~5.1019cm-3に含まれるドーピング濃度で、ドープされたガリウム-ヒ素「GaAs」合金で作製され、
かつ150nm~300nmに含まれる厚さを有する、フロントコンタクト層と、
-次のドーパント:
-シリコン「Si」、
-セレン「Se」、
-テルル「Te」、
のいずれかが5.1018cm-3~1.1019cm-3に含まれるドーピング濃度で、ドープされたアルミニウム-インジウム-リン化物「AlInP」合金で作製され、
かつ20nm~70nmに含まれる厚さを有する、窓層と、
-次のドーパント:
-シリコン「Si」、
-セレン「Se」、
-テルル「Te」、
のいずれかを1.1016cm-3~2.1018cm-3に含まれるドーピング濃度で、ドープすることができるインジウム-ガリウム-リン化物「InGaP」合金で作製され、
かつ20nm~100nmに含まれる厚さを有する、エミッタ層と、
-xが0~0.37に含まれ、かつ次のドーパント:
-ベリリウム「Be」、
-炭素「C」、
-亜鉛「Zn」、
のいずれかが2.1016cm-3~5.1017cm-3に含まれるドーピング濃度で、ドープされたアルミニウム-ガリウム-ヒ素「AlGa1-xAs」合金で作製され、
かつ200nm~2000nmに含まれる厚さを有する、ベース層と、
-xが0.4~0.8に含まれ、かつ次のドーパント:
-ベリリウム「Be」、
-炭素「C」、
-亜鉛「Zn」、
のいずれかが5.1018cm-3~1.1019cm-3に含まれるドーピング濃度で、ドープされたアルミニウム-ガリウム-ヒ素「AlGa1-xAs」合金で作製され、
かつ20nm~120nmに含まれる厚さを有する、裏面電界と、
-次のドーパント:
-ベリリウム「Be」、
-炭素「C」、
-亜鉛「Zn」、
のいずれかが5.1018cm-3~1.1019cm-3に含まれるドーピング濃度で、ドープされたガリウム-ヒ素「GaAs」合金で作製され、
かつ150nm~300nmに含まれる厚さを有する、バックコンタクト層と、を備える。
【0020】
本発明のさらなる態様によれば、光起電セルは、
-5.1018cm-3~2.1019cm-3に含まれるドーピング濃度で、シリコン「Si」がドープされたガリウム-ヒ素「GaAs」合金で作製され、かつ150~320nmに含まれる厚さを有する、フロントコンタクト層と、
-5.1018cm-3~2.1019cm-3に含まれるドーピング濃度で、シリコン「Si」がドープされたアルミニウム-インジウム-リン化物「AlInP」合金で作製され、かつ20nm~50nmに含まれる厚さを有する、窓層と、
-40~60nmに含まれる厚さを有するインジウム-ガリウム-リン化物「InGaP」で作製されたアンドープのエミッタ層と、
-1.1016cm-3~2.1017cm-3に含まれるドーピング濃度で、ベリリウム「Be」がドープされたアルミニウム-ガリウム-ヒ素「Al0.25GaAs」合金で作製され、かつ400nm~2000nmに含まれる厚さを有する、ベース層と、
-4.1018cm-3~1.1019cm-3に含まれるドーピング濃度で、ベリリウム「Be」がドープされたアルミニウム-ガリウム-ヒ素「Al0.51GaAs」合金で作製され、かつ20nm~80nmに含まれる厚さを有する、裏面電界と、
-5.1018cm-3~2.1019cm-3に含まれるドーピング濃度で、ベリリウム「Be」がドープされたガリウム-ヒ素「GaAs」合金で作製され、かつ150nm~300nmに含まれる厚さを有する、バックコンタクト層と、を備える。
【0021】
本発明の追加の態様によれば、ベース層は、
-アルミニウムの傾斜濃度が25%~37%で変動するアンドープのアルミニウム-ガリウム-ヒ素「AlGa1-xAs」で作製され、かつ80~120nmに含まれる厚さを有する、フロント追加副層(L41)と、
-アルミニウムの傾斜濃度が25%~51%で変動し、4.1018cm-3~6.1018cm-3に含まれるドーピング濃度で、ベリリウム「Be」がドープされたアルミニウム-ガリウム-ヒ素「AlGa1-xAs」で作製され、かつ80~120nmに含まれる厚さを有する、バック追加副層(L43)と、を備える。
【0022】
本発明の別の態様によれば、バックコンタクト層は、
-アルミニウムの傾斜濃度が51%~0%で変動し、4.1018cm-3~6.1018cm-3に含まれるドーピング濃度で、ベリリウム「Be」がドープされたアルミニウム-ガリウム-ヒ素「AlGa1-xAs」で作製され、かつ80~120nmに含まれる厚さを有する、フロント追加副層(L61)を備える。
【0023】
本発明はまた、少なくとも第1および第2の光起電セルのスタックを備える多接合光起電セルに関し、第1のバンドギャップを有するフロント光起電セルおよび第1のバンドギャップより低い第2のバンドギャップを有する第2の光起電セルを有し、少なくともフロント光起電セルは、前述のような光起電セルである。
【0024】
本発明の別の態様によれば、多接合光起電セルは、2つの光起電セルを備え、第2の光起電セルは、1.1eVのバンドギャップを有するシリコンベースのセルである。
【0025】
本発明はまた、前述のような光起電セルまたはタンデム光起電セルを製造するための方法に関し、タンデム光起電セルの層の少なくともいくつかは、分子線エピタキシー「MBE」プロセスまたは有機金属化学気相成長法「MOCVD」プロセスに基づいて得られる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明の第1の実施形態による光起電セルの異なる層の図である。
図2】本発明の第2の実施形態による光起電セルの異なる層の図である。
図3】本発明の第3の実施形態による光起電セルの異なる層の図である。
図4】本発明の第4の実施形態による光起電セルの異なる層の図である。
図5】本発明の実施形態による多接合光起電セルの異なる層の図である。
図6】本発明の第1の実施形態によるタンデム光起電セルの異なる製造ステップの図である。
図7】本発明の第2の実施形態によるタンデム光起電セルの異なる製造ステップの図である。
図8】本発明の第1の実施形態によるタンデム光起電セルの製造プロセスの異なるステップのフローチャートである。
図9】本発明の第2の実施形態によるタンデム光起電セルの製造プロセスの異なるステップのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明は、p-nまたはp-i-nヘテロ接合、すなわち接合のp部分を提供するための第1の元素または合金および接合のn部分を提供するための第2の元素または合金を含む接合を備える光起電セルに関する。したがって、接合のp部分と接合のn部分との違いは、ドーピングの違いだけでは得られない。p-i-n接合の場合、真性部分とは、接合のp部分とn部分との間の界面でのアンドープの(真性)副層の存在を指す。
【0028】
図1は、本発明の第1の実施形態による光起電セル1の全体構造を表す。光起電セル1は、以下の複数の層を有するスタックを備える。
-矢印3で表される光が層L1に入る側に対応する前面と、前面に対向する裏面と、を備えるフロントコンタクト層L1。フロントコンタクト層L1は、電流を収集し、かつフロントコンタクト層L1の上部に配置された金属グリッド(図1には表されていない)とのオーミックコンタクトを形成することを可能にする。グリッドの下にないフロントコンタクト層L1の部分(光起電セルが、異なる層が水平方向(重力方向に対応する垂直方向)になるように配列されることを考慮し、層の前面は、層の裏面の上に配列される)は、その後、エッチングプロセスによって除去される。
-フロントコンタクト層L1の裏面と接触する前面と、前面に対向する裏面と、を備える窓層L2。窓層L2は、多数キャリア(n型層の場合は電子)を通過させてフロントコンタクト層L1に収集し、少数キャリア(n型層の場合は正孔)を遮断することによって、表面再結合を低減するための障壁として使用される。
-窓層L2の裏面と接触する前面と、前面に対向する裏面と、を備えるエミッタ層L3。
-エミッタ層L3の裏面と接触する前面と、前面に対向する裏面と、を備えるベース層L4。
【0029】
エミッタ層L3およびベース層L4は、光を吸収して電子-正孔対を生成する層に属する。エミッタ層L3は、例えばn型層に対応し、ベース層L4は、例えばp型層に対応する。
-ベース層L4の裏面と接触する前面と、前面に対向する裏面と、を備える裏面電界層L5。裏面電界層L5は、バンドギャップ障壁を作り、電子を遮断することにより、電子と正孔との再結合を低減することを可能にする。
-裏面電界層L5の裏面と接触する前面と、前面に対向する裏面と、を備えるバックコンタクト層L6。バックコンタクト層L6は、正孔を収集し、かつバックコンタクト層L6のバックに配置された金属コンタクト(図1には表されていない)とのオーミックコンタクトを形成することを可能にする。
【0030】
本発明において、ベース層L4は、アルミニウムおよびヒ素ベースの合金、特にアルミニウム-ガリウム-ヒ素(AlGaAs)合金で作製され、エミッタ層L3は、インジウムおよびリン合金、特にインジウム-ガリウム-リン(InGaP)合金で作製される。
【0031】
エミッタ層L3-ベース層L4のそのような構成により、ベース層L4におけるアルミニウムのパーセンテージ組成の濃度を調整して、所望のバンドギャップ、この場合、1.7eVに近いバンドギャップを得、エミッタ層L3をベース層L4のパッシベーション層として使用して、酸化、特に深いレベルのアルミニウム-酸素欠陥を防止することが可能である。インジウム材料の希少性および高価なコストに関連する全体的なコストを制限するために、エミッタ層L3の厚さも100nm未満に減らしてもよい。このパッシベーション層L3の厚さは、例えば20~100nmに含まれる、特に40~60nm、例えば50nmである。さらに、p-nヘテロ接合により、ベース層L4およびエミッタ層L3によって提供される2つの異なるバンドギャップにより、吸収帯スペクトルが増加し、したがって、光起電セルの全体的な効率の増加が可能になり、InGaP合金の場合、エミッタ層のバンドギャップは、約1.9eVである。
【0032】
ベース層L4は、アルミニウムのパーセンテージ組成の異なる濃度を有する複数の副層を備え得る。副層のいくつかはまた、隣接する層間のバンドギャップの大きなホップを回避し、したがってキャリアドリフト現象を制限するために、アルミニウムのパーセンテージ組成が所定の範囲で変動する傾斜アルミニウムベースの合金でもあり得る。
【0033】
さらに、接合の両面でのキャリア収集を改善するために、エミッタ層L3の裏面およびエミッタ層L3自体と接触するフロント副層は、アンドープ層であり得、真性層とも呼ばれる。
【0034】
例えば、ベース層L4は、25%のアルミニウムがベリリウムまたは炭素でドープされたAlGaAsで作製されたバック副層と、アルミニウム組成のパーセンテージが25%~30%で変動する真性傾斜AlGaAsで作製されたフロント副層と、を備え得る。
【0035】
図2は、本発明によるヘテロ接合を有する光起電セルの第2の実施形態の一例を表す。
【0036】
フロントコンタクト層L1’は、5.1018cm-3~5.1019cm-3に含まれる、特に5.1018cm-3~2.1019cm-3、例えば1.1019cm-3のドーピング濃度で、シリコン(Si)、セレン(Se)、またはテルリウム(Te)がドープされたガリウム-ヒ素(GaAs)合金で作製される。フロントコンタクト層L1’の厚さは、150~320nmに含まれる、特に280~320nm、例えば300nmであり得る。
【0037】
窓層L2’は、5.1018cm-3~2.1019cm-3に含まれる、例えば1.1019cm-3のドーピング濃度で、シリコン(Si)、セレン(Se)、またはテルル(Te)がドープされたアルミニウム-インジウム-リン(AlInP)合金で作製される。窓層L2’の厚さは、20~70nmに含まれる、特に20~50nm、例えば20nmであり得る。
【0038】
エミッタ層L3’は、インジウム-ガリウム-リン合金で作製され、真性層であり得るか、または1.1016cm-3~2.1018cm-3に含まれるドーピング濃度で、シリコン(Si)、セレン(Se)、またはテルル(Te)がドープされ得る。先に示したように、エミッタ層L3’は、真性層であることが好ましい。窓層L2’の厚さは、20~70nmに含まれる、特に20~100nm、特に40~60nm、例えば50nmであり得る。
【0039】
ベース層L4’は、アルミニウム組成xのパーセンテージが、0~0.37の範囲に含まれる、例えば0.25であるアルミニウム-ガリウム-ヒ素(AlGa1-xAs)合金で作製される。AlGa1-xAs合金は、1.1016cm-3~5.1017cm-3に含まれる、例えば1.1019cm-3のドーピング濃度で、ベリリウム「Be」、炭素「C」、または亜鉛「Zn」がドープされ得る。ベース層L4’の厚さは、400~2000nmに含まれる、例えば1000nmであり得る。
【0040】
しかしながら、第1の実施形態で先に示したように、ベース層L4’は、異なる副層を備え得る。図3は、3つの副層、すなわちフロント副層L41、メイン副層L42、およびバック副層L43を備えるベース層L4’‘を有する第3の実施形態の一例を表す。
【0041】
フロント副層L41は、アルミニウム組成xのパーセンテージが、0.25~0.37、例えば0.25~0.3で変動する傾斜AlGa1-xAs合金の真性層であり得る。フロント副層L41は、80~120nmに含まれる、例えば100nmの厚さを有し得る。あるいは、フロント副層は、例えばベリリウムがドープされ得る。約2.1016のドーピング濃度で。
【0042】
主副層L42は、アルミニウム組成xのパーセンテージが、0.25であるアルミニウム-ガリウム-ヒ素(AlGa1-xAs)合金で作製され得る。AlGa1-xAs合金は、2.1016cm-3のドーピング濃度で、ベリリウム「Be」がドープされ得る。主層L42の厚さは、800~1200nmに含まれる、例えば1000nmであり得る。
【0043】
バック副層L43は、アルミニウム組成xのパーセンテージが、0.25~0.51で変動する傾斜AlGa1-xAs合金で作製され得る傾斜AlGa1-xAs合金は、2.1016cm-3のドーピング濃度で、ベリリウム「Be」がドープされ得る。バック副層L43は、80~120nmに含まれる、例えば100nmの厚さを有し得る。
【0044】
図3の光起電セルの層L1’、L2’およびL3’は、第2の実施形態による図2の光起電セルの層と同一のままである。
【0045】
裏面電界層L5’は、例えば、アルミニウム組成xのパーセンテージが0.4~0.8の範囲に含まれる、例えば0.51であるアルミニウム-ガリウム-ヒ素(AlGa1-xAs)合金で作製される。AlGa1-xAs合金は、5.1018cm-3~1.1019cm-3に含まれる、例えば5.1018cm-3のドーピング濃度で、ベリリウム「Be」、炭素「C」、または亜鉛「Zn」がドープされ得る。裏面電界層L5’の厚さは、20~120nmに含まれる、例えば70nmであり得る。
【0046】
バックコンタクト層L6’は、例えば、5.1018cm-3~1.1019cm-3に含まれる、例えば1.1019cm-3のドーピング濃度で、ベリリウム「Be」、炭素「C」、または亜鉛「Zn」がドープされたガリウム-ヒ素(GaAs)合金で作製される。裏面電界層L6’の厚さは、150~300nmに含まれる、例えば300nmであり得る。
【0047】
図3の第3の実施形態に表されるように、バックコンタクト層L6’‘は、アルミニウムの傾斜濃度が51%~0%で変動し、かつ4.1018cm-3~6.1018cm-3に含まれるドーピング濃度で、ベリリウム「Be」がドープされたアルミニウム-ガリウム-ヒ素「AlGa1-xAs」で作製され、かつ80~120nmに含まれる厚さを有する、フロント追加副層L61も備え得る。
【0048】
異なる層の組成ならびに異なるドーピング濃度および厚さは、本発明の範囲から逸脱することなく、図2および3に関連して説明された実施形態とは異なり得ることに留意されたい。層または副層の数も、提示された実施形態とは異なり得る。さらに、実施形態のいくつかの層を別の実施形態の層と組み合わせて、新しい実施形態を生成してもよい。
【0049】
図4は、特に高い効率を提供する本発明による光起電セルの特定の実施形態を表す。
-1.1019のドーピング濃度で、シリコン(Si)がドープされたガリウム-μヒ素(GaAs)合金で作製され、かつ300nmの厚さを有する、フロントコンタクト層と、
-1.1019のドーピング濃度で、シリコン(Si)がドープされたアルミニウム-インジウム-リン(AlInP)合金で作製され、かつ20nmの厚さを有する、窓層と、
-50nmの厚さを有する真性インジウム-ガリウム-リン(InGaP)合金のエミッタ層と、
-2.1016のドーピング濃度で、ベリリウム(Be)がドープされた、アルミニウム組成xのパーセンテージが0.25であるアルミニウム-ガリウム-ヒ素(AlGa1-xAs)合金で作製され、かつ1000nmの厚さを有する、ベース層と、
-5.1018のドーピング濃度で、ベリリウム(Be)がドープされた、アルミニウム組成xのパーセンテージが0.51であるアルミニウム-ガリウム-ヒ素(AlGa1-xAs)合金で作製され、かつ70nmの厚さを有する、裏面電界層と、
-1.1019のドーピング濃度で、ベリリウム(Be)がドープされたガリウム-ヒ素(GaAs)合金で作製され、かつ300nmの厚を有する、バックコンタクト層と、を備える。
【0050】
さらに、光起電セルは、一般に、フロントコンタクト層L1、L1’上およびバックコンタクト層L6、L6’上に配置された金属コンタクトも備えることに留意されたい。フロント金属コンタクトは、次の元素、すなわちニッケル(Ni)、ゲルマニウム(Ge)、および/または金(Au)のうちの少なくとも1つを含む合金で作製され得、グリッドとして提供され得る。バック金属コンタクトは、次の元素、すなわちチタン(Ti)および/または金(Au)のうちの少なくとも1つの合金で作製され得る。
【0051】
フロント金属コンタクトおよびバック金属コンタクトに他の金属も使用され得る。
【0052】
したがって、アルミニウム組成のパーセンテージに応じたアルミニウム-ヒ素ベースの合金の柔軟性により、この層に所望のバンドギャップを得ることが可能になり、インジウム-リン合金の薄層で作製されたエミッタとの組み合わせにより、ベース層のアルミニウム-ヒ素合金の酸化を防止し、したがってベース層のパッシベーションを提供し、かつ表面の再結合を低減することが可能になる。
【0053】
さらに、図2~4に基づいて提示されるような光起電セルは、複数のp-n接合またはp-i-n接合を含む多接合光起電セルまたは多接合太陽電池、特にトップセルでの使用によく適している。
【0054】
図5は、複数のサブセル1’を備える多接合太陽電池10の一例を表す。
【0055】
異なるサブセル1’は、接合のn部分に対応する窓層(AlInP合金で作製)L2およびエミッタ層(InGaP合金で作製)L3と、p部に対応するベース層(AlGaAs合金で作製)L4および裏面電界(AlGaAs合金で作製)L5と、を備える。
【0056】
隣接する2つのサブセル1’は、トンネル接合(例えば、AlGaAs合金の2つの層で作製、一方の層は、n型ドーピングを有し、他方の層は、p型ドーピングを有する)によって分離される。
【0057】
異なるサブセル1’は、ベース層におけるアルミニウム組成のパーセンテージを除いて、同一であり得る。このパーセンテージは、トップサブセルの0.37~バックサブセルの0で変動する場合があり、このパーセンテージは、サブセルごとに異なり、トップサブセルからバックサブセルに向かって減少する。
【0058】
さらに、トンネル接合の組成は、バンドギャップおよびドーピングプロファイルに一致するように適合され得る。
【0059】
図2~4に基づいて提示されるような光起電セルは、シリコン(Si)ベースのバックセルを備えるタンデム光起電セルまたはタンデム太陽電池での使用にも適している。Siベースのバックサブセルは、例えば、約1.1eVのバンドギャップを有する。
【0060】
図6は、製造プロセスの異なるステップにおける2端子(2T)光起電セルの場合のタンデム光起電セル20の第1の実施形態を表す。それは、金属バックコンタクトを有するホモ接合(Si)の形態のバックサブセル201、トンネル接合202、および金属フロントコンタクトを有するヘテロ接合(AlGaAs/InGaP)を有するフロントサブセル203を備える。製造ステップについては、図8に基づく以下の説明でより詳細に説明する。
【0061】
図7は、製造プロセスの異なるステップにおける4端子(4T)光起電セルの場合のタンデム光起電セルの第2の実施形態を表す。それは、金属バックコンタクトを有するホモ接合(Si)の形態のバックサブセル301、Siサブセルの前面上の第1の内部コンタクト、透明絶縁(電気的)中間層302、例えば、ガラス層、中間層の前面上の第2の内部コンタクト、および金属フロントコンタクトを有するヘテロ接合(AlGaAs/InGaP)を備えるフロントサブセル303を備える。製造ステップについては、図9に基づく以下の説明でより詳細に説明する。
【0062】
また、図5の実施形態を図6または7の実施形態と組み合わせて、図6または7に開示されるようなバックSiサブセルと組み合わされた図5に記載されるような複数のサブセルを有する多接合セルを提供することも可能である。
【0063】
約1.7eVのバンドギャップを有する少なくとも1つのヘテロ接合(AlGaAs/InGaP)サブセルを前面上に備え、約1.1eVのバンドギャップを有するホモ接合Siサブセルを裏面上に備えるそのようなタンデム光起電力は、異なる接合による光波長の広いスペクトルの吸収が可能になり、キャリアの再結合が制限されるため、高い効率をもたらす。さらに、インジウム-リンベースの合金の薄層のみを使用することで、深いレベルの酸化を回避しながら、全体的なコストを制限することが可能になる。
【0064】
本発明はまた、前述の実施形態のうちの1つによる光起電セル、多接合光起電セル、またはタンデム光起電セルを得るための製造プロセスにも関する。
【0065】
製造プロセスの第1の実施形態によれば、ヘテロ接合光起電セルの異なる層は、分子線エピタキシー(MBE)によって得られる。
【0066】
製造プロセスの第2の実施形態によれば、ヘテロ接合光起電セルの異なる層は、有機金属化学気相成長法(MCVD)によって得られる。
【0067】
製造プロセスは、例えば、結合ステップ、エッチングステップ、または金属化ステップなどの追加のステップも含み得る。
【0068】
シリコンベースのサブセルとAlGaAs/InGaPベースのヘテロ接合とを組み合わせたタンデム光起電セルを製造するための異なるステップを、図6と組み合わせた図8のフローチャートおよび図7と組み合わせた図9のフローチャートに基づいてここで説明する。
【0069】
図8は、2端子(2T)タンデムセルを得るための結合技術に基づく製造プロセスに対応し、一方、図9は、4端子(4T)タンデムセルを得るための機械的積層技術に基づく製造プロセスに対応する。
【0070】
a)2Tタンデムセルの製造
図8において、第1のステップ101は、Siベースの光起電サブセルの異なる層を得るための成長プロセスを指す。先に示したように、Siベースの光起電セルの異なる層は、化学気相成長法(CVD)または他の堆積技術に基づいて成長させ得る。
【0071】
第2のステップ102は、AlGaAs/InGaPベースのヘテロ接合の異なる層を得るための成長プロセスを指す。先に示したように、AlGaAs/InGaPベースのヘテロ接合の異なる層は、分子線エピタキシー(MBE)プロセスまたは有機金属化学気相成長法(MOCVD)に基づいて成長させ得る。
【0072】
この第2のステップ102は、ステップ101の前に、または同時に達成され得る。両方のステップは、図6の左側部分に表されている。
【0073】
第3のステップ103は、トンネル接合の成長プロセスに対応する。この成長プロセスは、Siベースの光起電セル、AlGaAs/InGaPベースのヘテロ接合、または部分的にその両方で達成され得る。ステップ101および102と同じ成長プロセスを使用することができる。
【0074】
第4のステップ104は、確実な結合を可能にするために平滑な表面を得るための研磨ステップを指す。
【0075】
第5のステップ105は、結合する必要のある平滑な表面を互いに押し付け、加熱して表面を融着させて結合する結合ステップを指す。
【0076】
そのような結合を得るには、異なる技術、例えば、イオン注入、導電層による直接融着、最大300℃の高温、低温(100℃)での表面活性化直接ウェーハ結合、または直接金属相互接続が使用され得る。
【0077】
第6のステップ106は、基板リフトオフを指す。基板は、一般に、ステップ102の成長プロセスに使用されるGaAsベースの基板であり、取り外すことができる。このステップは、図6の中央部分に表されている。
【0078】
第7のステップ107は、タンデム光起電を得るための他の必要なタスクを含む最終化ステップ、特に、図6の右側部分に表されるように、フロントコンタクト層L1の可能なエッチングステップまたはフロント金属コンタクトおよびバック金属コンタクトを得るための金属化ステップを指す。
【0079】
a)4Tタンデムセルの製造
図9において、第1の1001および第2の1002ステップは、図8に基づいて説明された結合プロセスと同一である。図7の左側部分は、同時にまたは任意の順序で達成することができるこれらのステップ1001および1002を表す。
【0080】
第3のステップ1003は、例えばフロントコンタクト層L1の一部を除去するためのエッチングステップと、AlGaAs/InGaPベースのヘテロ接合のバックおよびSiベースのサブセルのフロントに位置する中間金属接触を得るための金属化ステップと、を含む2つの光起電セルの最終化ステップに対応する。
【0081】
第4のステップ1004は、接着する表面上にエポキシまたは非導電性接着剤を塗布することを指す。ガラス層を使用して、両方のサブセル間の電気的絶縁も確保し得る。
【0082】
第5のステップ1005は、接着する表面を互いに押し付ける接着ステップを指す。エポキシを硬化させるために熱が必要な場合は、加熱が使用され得る。サブセルの損傷を回避するために、加熱は、200℃に制限される場合がある。
【0083】
第6のステップ1006は、基板リフトオフを指す。基板は、一般に、ステップ102の成長プロセスに使用されるGaAsベースの基板であり、取り外すことができる。図7の中央部分は、この第6のステップ1006を表す。
【0084】
第7のステップ1007は、タンデム光起電を得るための他の必要なタスクを含む最終化ステップ、特に、図7の右側部分に表されるように、フロントコンタクト層L1の可能なエッチングステップまたはフロント金属コンタクトおよびバック金属コンタクトを得るための金属化ステップを指す。
【0085】
このように、本発明により、高効率で、かつ制限された全体的なコストで、効率的なタンデム光起電セルを得ることができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【国際調査報告】