IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ロッテ ケミカル コーポレーションの特許一覧

特表2022-509967高圧タンクのシーリング装置およびこれを含む高圧タンク
<>
  • 特表-高圧タンクのシーリング装置およびこれを含む高圧タンク 図1
  • 特表-高圧タンクのシーリング装置およびこれを含む高圧タンク 図2
  • 特表-高圧タンクのシーリング装置およびこれを含む高圧タンク 図3
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-25
(54)【発明の名称】高圧タンクのシーリング装置およびこれを含む高圧タンク
(51)【国際特許分類】
   F16J 12/00 20060101AFI20220118BHJP
   F17C 13/12 20060101ALI20220118BHJP
【FI】
F16J12/00 D
F17C13/12 302A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021529362
(86)(22)【出願日】2019-11-28
(85)【翻訳文提出日】2021-05-25
(86)【国際出願番号】 KR2019016638
(87)【国際公開番号】W WO2020111842
(87)【国際公開日】2020-06-04
(31)【優先権主張番号】10-2018-0153001
(32)【優先日】2018-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】511123485
【氏名又は名称】ロッテ ケミカル コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】特許業務法人 ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】イ、ユ ジョン
(72)【発明者】
【氏名】コ、ヨン グァン
(72)【発明者】
【氏名】キム、テ グン
(72)【発明者】
【氏名】キム、ウォニョン
(72)【発明者】
【氏名】キム、テ ウク
【テーマコード(参考)】
3E172
3J046
【Fターム(参考)】
3E172AA02
3E172AA05
3E172AB01
3E172BA01
3E172BB12
3E172BB17
3E172BC04
3E172BD03
3E172CA12
3E172CA21
3E172DA41
3J046AA07
3J046BA03
3J046BB03
3J046BB05
3J046BC16
3J046CA04
3J046DA05
3J046EA10
(57)【要約】
本発明は高圧タンクのシーリング装置およびこれを含む高圧タンクに関し、高圧流体を収容するためのライナー;前記ライナーの注入口に形成される金属性連結体であって、注入口の内側面に結合される第1連結ボス部と注入口の外側面に結合され、上部側が狭く下部側が相対的に広いテーパー状を有する第2連結ボス部を含む連結ボス;および、前記第2連結ボス部の外側面と面接触し、前記第2連結ボス部の形状に対応して上部側より下部側の内径が大きくなる斜面を有する結合部材を含む、高圧タンクのシーリング装置およびこれを含む高圧タンクを提供する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高圧流体を収容するためのライナー;
前記ライナーの注入口に提供される金属性の連結ボスであって、前記注入口の内側面に結合される第1連結ボス部と前記注入口の外側面に結合され、上部側が狭く下部側が相対的に広いテーパー状を有する第2連結ボス部を含む連結ボス;および、
前記第2連結ボス部の外側面と面接触し、前記第2連結ボス部の形状に対応して上部側より下部側の内径が大きくなる斜面を有する結合部材を含むことを特徴とする、高圧タンクのシーリング装置。
【請求項2】
前記第1連結ボス部と前記第2連結ボス部は前記注入口の内外の側面にねじ結合されることを特徴とする、請求項1に記載の高圧タンクのシーリング装置。
【請求項3】
前記第2連結ボス部の下部は前記ライナーの前記注入口のネック部を少なくとも部分的に接触するように形成されたことを特徴とする、請求項1に記載の高圧タンクのシーリング装置。
【請求項4】
前記第1連結ボス部と前記第2連結ボス部には前記注入口の内外の側面に接する少なくとも一つのオーリングを含むことを特徴とする、請求項1に記載の高圧タンクのシーリング装置。
【請求項5】
請求項1~請求項4のいずれか一項に記載された高圧タンクのシーリング装置を含む、高圧タンク。
【請求項6】
前記高圧タンクの外周を囲む補強層をさらに含み、
前記補強層は前記ライナーの外皮と前記第2連結ボス部の下部の表面を囲むように結合されたことを特徴とする、請求項5に記載の高圧タンク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は高圧タンクのシーリング装置およびこれを含む高圧タンクに関し、より詳細には、産業分野全般にわたって使われる複合材料高圧タンクに気体燃料が漏れずに安定した状態で貯蔵され得るようにする、高圧タンクのシーリング装置およびこれを含む高圧タンクに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、天然ガス車両や水素燃料電池車両には気体状態の燃料を高圧で圧縮して貯蔵する高圧タンクが設置される。
【0003】
高圧タンクは軽量化のためにプラスチックからなるライナー(liner)と、ライナーの外皮の上に囲まれる熱硬化性繊維複合材と、金属性の連結ボスを含んで構成される。
【0004】
ライナーの軽量化のための素材はポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂のようなプラスチック材質で製作され、複合材料層は強度維持のためにカーボン繊維またはガラス繊維がエポキシ樹脂のような高分子樹脂と混合されてライナーの表面に囲まれるように結合され、ノズル形態の連結ボスは金属材質で製作されたレギュレータまたはバルブ(以下、統一してバルブと記載する)との堅固な結合のために金属性材質で製作される。
【0005】
このような高圧タンクには水素などからなる気体燃料の出入りが可能な注入口が形成され、このような注入口に金属性連結ボスを挿入することになるが、プラスチックライナーと金属性連結ボスは異種の材質であるため結合性に問題があり、燃料の持続的な充填時に反復的な疲労荷重によって内部ガスが漏れる危険が常に存在することになる。
【0006】
したがって、プラスチックライナーと金属性連結ボスの間でガスが漏れないようにメーカー別に固有な連結ボスを考案して使っているが、素材の特性上ライナーと連結ボスの完全な結合が難しいため高圧タンク内部のガスの漏れを完全に防止できない問題点があった。
【0007】
高圧タンクの内部ガスに対する漏れ防止策としては、連結ボスにねじを導入したり締め付けおよび挿入部材を活用する物理的な結合構造が開示されており、熱融着および接着剤などを活用する化学的な結合構造が開示されている。
【0008】
ところが、従来のライナーと連結ボスに対する物理的な結合構造は、連結ボスの形状を複雑にさせて重量、製造費用を増加させ、複雑な作業工数を有する短所があるだけでなく、燃料充填のような反復的な疲労荷重に脆弱な構造を有する問題点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】日本公表特許公報第2017-525902号(2017.09.07)
【0010】
先行技術文献はライナーと連結ボスの結合構造が燃料充填の疲労荷重に脆弱な構造となっているため、本発明と差がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
したがって、本発明は前記のような問題点を解決するために案出されたものであり、本発明の目的は、高圧タンクの注入口に連結ボス型シーリング装置を設置することによって、気体燃料の充填のような反復的な疲労荷重にも十分な気密性能を維持できる、高圧タンクのシーリング装置およびこれを含む高圧タンクを提供するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記のような目的を達成するために本発明の一実施例は、高圧流体を収容するためのライナー;前記ライナーの注入口に形成される金属性連結体であって、注入口の内側面に結合される第1連結ボス部と注入口の外側面に結合され、上部側が狭く下部側が相対的に広いテーパー状を有する第2連結ボス部を含む連結ボス;および、前記第2連結ボス部の外側面と面接触し、前記第2連結ボス部の形状に対応して上部側より下部側の内径が大きくなる斜面を有する結合部材を含む高圧タンクのシーリング装置を提供する。
【0013】
本発明の実施例によると、前記第1連結ボス部と前記第2連結ボス部は前記注入口の内外の側面にねじ結合される。
【0014】
本発明の実施例によると、前記第2連結ボス部の下部は前記ライナーの注入口のネック部を少なくとも部分的に接触するように形成される。
【0015】
本発明の実施例によると、前記第1連結ボス部と第2連結ボス部には前記注入口の内外の側面に接して少なくとも一つのオーリングを含む。
【0016】
本発明の他の実施例は高圧タンクのシーリング装置を含む高圧タンクを提供する。
【0017】
本発明の実施例によると、前記高圧タンクの外周を囲む補強層をさらに含み、前記補強層は前記ライナーの外皮と前記第2連結ボス部の下部の表面を囲むように結合される。
【発明の効果】
【0018】
前述したような構成の本発明に係る高圧タンクのシーリング装置およびこれを含む高圧タンクによると、高圧タンクの注入口に連結ボス型シーリング装置を設置し、連結ボス内部の高圧ガスの膨張圧力による密閉力向上によって、気体燃料の充填のような反復的な疲労荷重にも十分な気密性能を維持できる効果がある。
【0019】
また、連結ボス型シーリング装置が簡単な構造からなることによって連結ボスのコンパクトな設計が可能であり、ひいては、連結ボスの部品数および製造費用を減らし得るだけでなく、工数の短縮を通じての生産性の向上を可能にする長所がある。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明に係る高圧タンクを示す分解斜視図である。
【0021】
図2】本発明に係るシーリング装置が装着された高圧タンクが、タンクの圧力による膨張でシーリング装置が作動する場合を示す構成図である。
【0022】
図3図2のA部分拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明は多様な変更を加えることができ、多様な形態を有することができるところ、実施例を本文に詳細に説明する。しかし、これは本発明を特定の開示形態に対して限定しようとするものではなく、本発明の思想および技術範囲に含まれるすべての変更、均等物乃至代替物を含むものと理解されるべきである。各図面の説明において、類似する参照符号を類似する構成要素に対して使用した。
【0024】
前記用語は一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的でのみ使われる。本出願で使った用語は単に特定の実施例を説明するために使われたものであり、本発明を限定しようとする意図ではない。単数の表現は文脈上明白に異なるように意味しない限り、複数の表現を含む。
【0025】
以下、添付図面を参照して本発明の実施例について詳細に説明すると、次の通りである。
【0026】
図1は本発明に係る高圧タンクを示す分解斜視図であり、図2は本発明に係るシーリング装置が装着された高圧タンクが、タンクの圧力による膨張でシーリング装置が作動する場合を示す構成図であり、図3図2のA部分拡大図である。
【0027】
図示した通り、本発明は自動車の気体燃料を貯蔵するための高圧タンク100に関するものであり、高圧タンク100は、内部が空いた円筒状のシリンダーで形成され、内部に気体燃料の気密を維持するライナー110が形成される。
【0028】
ライナー110の内部空間には高圧の気体燃料が貯蔵される。ライナー110は軽量化のためにポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂のようなプラスチック素材を利用し、ブロー成形や回転成形等を通じて製造される。
【0029】
また、高圧タンク100の外周を囲み、ライナー110の外皮には、気体燃料の高い内圧に耐えるために構造的な強度および剛性が高い繊維強化複合材料からなる補強層120が形成されている。
【0030】
補強層120は強度維持のために炭素繊維がエポキシ樹脂のような高分子樹脂と混合されたものであって、ライナー110と後述する連結ボス10の表面を囲むように結合される。
【0031】
高圧タンク100は低密度の気体を圧縮して貯蔵するため燃料を貯蔵する高圧タンク100の体積が増加することになり、少なくとも一個の高圧タンク100を自動車に適用している。
【0032】
また、高圧タンク100は上下部のうち少なくとも一側に円筒状の注入口11aが備えられ、注入口11aの内側面と外側面には締結のためのねじ山が形成されている。
【0033】
高圧タンク100の注入口11aには気体燃料の流入と流出のための金属性連結体である連結ボス10が結合され、連結ボス10にはバルブなどが結合可能に構成される。
【0034】
バルブはねじ締結方式、機械的組立などの結合方式を通じて連結ボス10に結合され得る。
【0035】
連結ボス10はプラスチックライナー110と異種の材質である金属材質であって、金属で製造されるバルブなどとの堅固な結合のために同種の材質である金属で製造され得る。
【0036】
連結ボス10は注入口11aの内側面に結合される第1連結ボス部11と、注入口11aの外側に結合される第2連結ボス部12を含む。
【0037】
第1連結ボス部11は中空のシリンダー状であって、外側面に注入口11aの内側ねじ山と締結される外側ねじ山が形成され、中空を通じてバルブなどが結合されて密封可能となる。
【0038】
第2連結ボス部12も第1連結ボス部11と同様に中空のシリンダー状で形成されており、内側面に注入口11aの外側ねじ山と締結される内側ねじ山が形成されている。
【0039】
第2連結ボス部12は上部側が狭く下部側が相対的に広いテーパー状に形成されている。すなわち、上方に行くほど次第に狭くなる形状に形成される。ねじ山が形成されていない第2連結ボス部12の下部はライナー110の注入口11aのネック部に少なくとも部分的に接触するように形成される。すなわち、本発明の実施例では、注入口11aのネック部の下部の一部の区間が緩やかに屈曲形成されており、第2連結ボス部12の下部もこれと一致するように緩やかに屈曲形成され得る。
【0040】
このように、注入口11aのネック部の下部の形状の通り、第2連結ボス部12の内側の下部が一致するように形成される場合、注入口11aと第2連結ボス部12間の結合性がさらに向上し得る。
【0041】
この時、補強層120は構造的な強度および剛性を維持できるように、ライナー110の外皮と第2連結ボス部12の下部の表面を囲むように結合される。
【0042】
第1連結ボス部11と第2連結ボス部12には、注入口11aの内外の側面を通じて気体燃料の漏れを防止できるように注入口11aの内外側に接して気密を維持するための少なくとも一つのオーリング30が形成される。
【0043】
オーリング30を設置するために、第1連結ボス部11と第2連結ボス部12には注入口11aと密着する側面に半円断面の溝が形成され得る。
【0044】
オーリング30はゴム材質であって、注入口11aと、第1および第2連結ボス部11、12間の隙間を通じて内部の高圧気体燃料が漏れることを防止することができ、使用による耐久性の低下時、溝からオーリング30を分離した後、オーリング30のみを新しいものに取り換えればよい。
【0045】
図2および図3に図示した通り、燃料を高圧で注入して貯蔵した状態で連結ボス10を利用して注入口11aをシーリングする高圧タンク100は、自動車の車体に固定される別途の結合部材20に結合されて固定される。
【0046】
このように、第1連結ボス部11と第2連結ボス部12からなる連結ボス10が装着された高圧タンク100を自動車の車体の結合部材20に気密結合する場合、高圧タンク100が破裂しないことはもちろん、衝撃を受けても耐圧性能を持続的に維持できるようになる。
【0047】
結合部材20は高圧タンク100の注入口11aに結合される第2連結ボス部12と気密性を維持しながら結合可能となる。すなわち、テーパー状の第2連結ボス部12の外側面は結合部材20の内側結合面と緊密に接触して面接触が可能となる。
【0048】
結合部材20には、挿入可能な第2連結ボス部12の形状に対応するために上部側より下部側の内径が大きくなる斜面を有する結合空間部21が形成される。
【0049】
結合部材20に形成された結合空間部21の内側斜面と第2連結ボス部12の外側斜面は互いに一致するように形成されるため、結合部材20と第2連結ボス部12が互いに結合する場合、機械的な結合なしに斜面に沿って接触して結合する場合、緊密に接触しながら密閉性を具現するようになる。
【0050】
ここで、第2連結ボス部12と結合部材20の斜面の上部側は高圧タンク100の平行な中心部を基準として注入口11a方向を示し、下部側は高圧タンク100の平行な中心部を基準として底面方向を示す。高圧タンク100が反転して上下部が変わっても第2連結ボス部12と結合部材20はこのような基準に従うことにする。
【0051】
一方、注入口11aを通じて気体燃料を充填することになる場合、高圧タンク100の内圧によって高圧タンク100が長さ方向および幅方向に膨張することになるが、この時、高圧タンク100の注入口11aも同時に幅方向に膨張することになるため、注入口11aの外側面にねじ締結された第2連結ボス部12も膨張しながら広がることになる。
【0052】
第2連結ボス部12が外側方向に膨張して広がることになる場合、第2連結ボス部12に結合された結合部材20に気体燃料による膨張圧力が作用することになるため、第2連結ボス部12と結合部材20間の結合力がさらに増大する。したがって、高圧の気体燃料の外部漏れを完全に遮断することになる効果がある。
【0053】
一方、第2連結ボス部12と結合部材20が互いに会って接触する内外側の斜面は表面粗さが十分に小さいので滑りが容易となるため、高圧タンク100が内圧によって膨張圧力を受ける場合、ライナー110と、第1及び第2連結ボス部11、12の結合力および密閉力の向上を増大させることができる。
【0054】
本発明は、高圧タンク100の注入口11aに連結ボス型シーリング装置を設置して連結ボス10の膨張圧力による密閉力が向上したことにより、気体燃料の充填のような反復的な疲労荷重にも十分な気密性能を維持できることはもちろん、連結ボス型シーリング装置が簡単な構造からなることによって連結ボス10のコンパクトな設計が可能であり、ひいては、連結ボス10の部品数および製造費用を減らし得るだけでなく、工数の短縮を通じての生産性の向上が可能となる。
【0055】
以上、本発明の好ましい実施例について説明したが、本発明は前記実施例の記載に限定されず、本発明の特許請求の範囲の記載を逸脱しない限り、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者による多様な変形実施も本発明の保護範囲内に属するものと解釈されるべきである。
【符号の説明】
【0056】
10:連結ボス
11:第1連結ボス部
【0057】
12:第2連結ボス部
20:結合部材
【0058】
30:オーリング
100:高圧タンク
【0059】
110:ライナー
120:補強層
図1
図2
図3
【国際調査報告】