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特表2022-510034液体式温度制御システムを伴うバッテリ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-25
(54)【発明の名称】液体式温度制御システムを伴うバッテリ
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/6568 20140101AFI20220118BHJP
   B64D 27/24 20060101ALI20220118BHJP
   B60L 50/64 20190101ALI20220118BHJP
   B60L 58/26 20190101ALI20220118BHJP
   B60L 53/80 20190101ALI20220118BHJP
   B60L 53/14 20190101ALI20220118BHJP
   H01M 10/6556 20140101ALI20220118BHJP
   H01M 10/625 20140101ALI20220118BHJP
   H01M 10/613 20140101ALI20220118BHJP
   H01M 10/615 20140101ALI20220118BHJP
【FI】
H01M10/6568
B64D27/24
B60L50/64
B60L58/26
B60L53/80
B60L53/14
H01M10/6556
H01M10/625
H01M10/613
H01M10/615
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021533449
(86)(22)【出願日】2019-12-12
(85)【翻訳文提出日】2021-08-10
(86)【国際出願番号】 US2019066057
(87)【国際公開番号】W WO2020123854
(87)【国際公開日】2020-06-18
(31)【優先権主張番号】16/217,616
(32)【優先日】2018-12-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520504231
【氏名又は名称】ウィスク アエロ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ムニズ、トーマス、ピー.
(72)【発明者】
【氏名】メラック、ジョン
【テーマコード(参考)】
5H031
5H125
【Fターム(参考)】
5H031AA09
5H031HH06
5H031KK08
5H125AA20
5H125AC13
5H125BC19
5H125BC21
5H125BC26
5H125CD06
5H125DD02
5H125EE25
5H125FF06
5H125FF24
(57)【要約】
液体式温度制御システムを使用して、温度制御される液体を、液体式温度制御システムとバッテリとの間で循環させて、温度制御されるバッテリを生み出す。バッテリと液体式温度制御システムとは、少なくとも温度制御される液体が循環されている間、取外し可能に結合される。温度制御される液体を、温度制御されるバッテリから除去する。バッテリと液体式温度制御システムとは、温度制御される液体が除去された後に、分離される。充電器を使用して、温度制御されるバッテリを充電する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
システムであって、
液体式温度制御システムであって、
バッテリと前記液体式温度制御システムとを取外し可能に結合し、
温度制御される液体を、前記液体式温度制御システムと前記バッテリとの間で循環させて、温度制御されるバッテリを生み出し、
前記温度制御される液体を、前記温度制御されるバッテリから除去し、
前記バッテリと前記液体式温度制御システムとを分離する、ように構成された、液体式温度制御システムと、
前記温度制御されるバッテリを充電するように構成された、充電器と、
を備える、システム。
【請求項2】
前記バッテリは、運搬手段内にある、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記バッテリは、運搬手段内にあり、前記運搬手段は、航空機を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記温度制御されるバッテリを充電することは、前記温度制御されるバッテリの測定された温度が、許容されるバッテリ充電温度の範囲内に入ること、によってトリガされる、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記温度制御される液体を、前記温度制御されるバッテリから除去することは、前記液体式温度制御システムから前記バッテリに空気を吹き込むことを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記温度制御される液体を、前記温度制御されるバッテリから除去することは、前記温度制御されるバッテリから前記温度制御される液体を排出するために、重力を使用することを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記温度制御される液体を、前記温度制御されるバッテリから除去することは、前記温度制御されるバッテリから前記温度制御される液体を排出するために、重力を使用することを含み、かつ、
前記温度制御されるバッテリから前記温度制御される液体を排出するために、重力を使用することは、前記温度制御されるバッテリが充電されている間に、開始される、
請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記バッテリは、容器を有するバッテリサブモジュールを含み、かつ、
前記温度制御される液体を循環させることは、前記容器と前記容器の周りに嵌るように構成されたOリングとを使用して形成されたチャネルを通して、前記温度制御される液体を循環させることを含み、前記温度制御される液体は、前記チャネル内にあるとき、少なくとも前記容器の底面と直接接触する、
請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記バッテリは、第1の容器を有する第1のバッテリサブモジュールと、第2の容器を有する第2のバッテリサブモジュールとを含み、
前記温度制御される液体を循環させることは、前記第1の容器と、前記第2の容器と、前記第1の容器の周りに嵌るように構成された第1のOリングと、前記第2の容器の周りに嵌るように構成された第2のOリングと、を使用して形成されたチャネルを通して、前記温度制御される液体を循環させることを含み、前記温度制御される液体は、前記チャネル内にあるとき、少なくとも前記第1の容器の底面及び前記第2の容器の底面と直接接触する、
請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記バッテリは、第1の容器を有する第1のバッテリサブモジュールと、第2の容器を有する第2のバッテリサブモジュールとを含み、
前記温度制御される液体を循環させることは、前記第1の容器と、前記第2の容器と、前記第1の容器の周りに嵌るように構成された第1のOリングと、前記第2の容器の周りに嵌るように構成された第2のOリングと、を使用して形成されたチャネルを通して、前記温度制御される液体を循環させることを含み、前記温度制御される液体は、前記チャネル内にあるとき、少なくとも前記第1の容器の底面及び前記第2の容器の底面と直接接触する、
支持構造が、前記第1のOリング及び前記第2のOリングを含み、
前記温度制御される液体は、前記支持構造の上側の第1の開口部から前記チャネルに入り、前記支持構造の下側の第2の開口部から前記チャネルを出る、
請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
液体式温度制御システムを使用して、温度制御される液体を、前記液体式温度制御システムとバッテリとの間で循環させて、温度制御されるバッテリを生み出すことであって、前記バッテリと前記液体式温度制御システムとは、少なくとも前記温度制御される液体が循環されている間、取外し可能に結合される、ことと、
前記温度制御される液体を、前記温度制御されるバッテリから除去することであって、前記バッテリと前記液体式温度制御システムとは、前記温度制御される液体が除去された後に、分離される、ことと、
充電器を使用して、前記温度制御されるバッテリを充電することと、
を含む方法。
【請求項12】
前記バッテリは、運搬手段内にある、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記バッテリは、運搬手段内にあり、前記運搬手段は、航空機を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記温度制御されるバッテリを充電することは、前記温度制御されるバッテリの測定された温度が、許容されるバッテリ充電温度の範囲内に入ること、によってトリガされる、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記温度制御される液体を、前記温度制御されるバッテリから除去することは、前記液体式温度制御システムから前記バッテリに空気を吹き込むことを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
前記温度制御される液体を、前記温度制御されるバッテリから除去することは、前記温度制御されるバッテリから前記温度制御される液体を排出するために、重力を使用することを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項17】
前記温度制御される液体を、前記温度制御されるバッテリから除去することは、前記温度制御されるバッテリから前記温度制御される液体を排出するために、重力を使用することを含み、かつ、
前記温度制御されるバッテリから前記温度制御される液体を排出するために、重力を使用することは、前記温度制御されるバッテリが充電されている間に、開始される、
請求項11に記載の方法。
【請求項18】
前記バッテリは、容器を有するバッテリサブモジュールを含み、かつ、
前記温度制御される液体を循環させることは、前記容器と前記容器の周りに嵌るように構成されたOリングとを使用して形成されたチャネルを通して、前記温度制御される液体を循環させることを含み、前記温度制御される液体は、前記チャネル内にあるとき、少なくとも前記容器の底面と直接接触する、
請求項11に記載の方法。
【請求項19】
前記バッテリは、第1の容器を有する第1のバッテリサブモジュールと、第2の容器を有する第2のバッテリサブモジュールとを含み、
前記温度制御される液体を循環させることは、前記第1の容器と、前記第2の容器と、前記第1の容器の周りに嵌るように構成された第1のOリングと、前記第2の容器の周りに嵌るように構成された第2のOリングと、を使用して形成されたチャネルを通して、前記温度制御される液体を循環させることを含み、前記温度制御される液体は、前記チャネル内にあるとき、少なくとも前記第1の容器の底面及び前記第2の容器の底面と直接接触する、
請求項11に記載の方法。
【請求項20】
前記バッテリは、第1の容器を有する第1のバッテリサブモジュールと、第2の容器を有する第2のバッテリサブモジュールとを含み、
前記温度制御される液体を循環させることは、前記第1の容器と、前記第2の容器と、前記第1の容器の周りに嵌るように構成された第1のOリングと、前記第2の容器の周りに嵌るように構成された第2のOリングと、を使用して形成されたチャネルを通して、前記温度制御される液体を循環させることを含み、前記温度制御される液体は、前記チャネル内にあるとき、少なくとも前記第1の容器の底面及び前記第2の容器の底面と直接接触する、
支持構造が、前記第1のOリング及び前記第2のOリングを含み、
前記温度制御される液体は、前記支持構造の上側の第1の開口部から前記チャネルに入り、前記支持構造の下側の第2の開口部から前記チャネルを出る、
請求項11に記載の方法。
【請求項21】
システムであって、
第1のバッテリと第2のバッテリとを含む複数のバッテリと、
前記複数のバッテリに結合される支持構造であって、前記支持構造は、
前記第1のバッテリの周りで前記支持構造の第1の面に設けられた第1の密封と、
前記第2のバッテリの周りで前記支持構造の前記第1の面とは反対の第2の面に設けられた第2の密封と、
前記第1のバッテリの一部と前記第2のバッテリの一部とを受け入れるための開口部であって、前記開口部は、前記第1の密封と前記第2の密封との間に延びている、開口部と
前記第1のバッテリの前記一部と前記第2のバッテリの前記一部との間で前記開口部内に形成されたチャネルと、
流体を受け入れるように適合された、前記支持構造の上面に設けられた入口と、
前記流体が重力の方向に前記チャネルを通って移動した後に、前記流体を受け入れるように適合された、前記支持構造の底面に設けられた出口であって、前記チャネルは、前記入口と前記出口との間に延びている、出口と、を含む、支持構造と、
を備える、システム。
【請求項22】
前記第1の密封又は前記第2の密封は、Oリングを含む、請求項21のシステム。
【請求項23】
前記支持構造は、前記複数のバッテリの中で、隣接するバッテリの各対の間にそれぞれチャネルが形成されるように、複数のチャネルを含む、請求項21のシステム。
【請求項24】
前記複数のバッテリは、第1組のバッテリと、水平面に沿って前記第1組のバッテリに対して平行に延びる第2組のバッテリとを含み、前記第1組のバッテリは、前記第1のバッテリを含み、前記第2組のバッテリは、前記第2のバッテリを含む、請求項21のシステム。
【請求項25】
前記システムは、バッテリ駆動の航空機に結合され、前記システムは、
前記バッテリ駆動の航空機が地上にあるときに前記バッテリ駆動の航空機に結合される、液体式温度制御システムをさらに含み、前記液体式温度制御システムは、
前記支持構造及び前記複数のバッテリを、前記液体式温度制御システムに取外し可能に結合し、
温度制御される液体を前記チャネルを通して前記流体として循環させて、複数の温度制御されるバッテリを生み出すことであって、温度制御される前記流体は、前記複数のバッテリと直接接触する、ことをし、
前記温度制御される液体を、前記複数の温度制御されるバッテリから除去し、
前記複数の温度制御されるバッテリと前記液体式温度制御システムとを分離する、ように構成されている、
請求項21のシステム。
【請求項26】
前記温度制御される液体を、前記複数の温度制御されるバッテリから除去することは、前記液体式温度制御システムから前記複数のバッテリに空気を吹き込むことを含む、請求項25のシステム。
【請求項27】
前記温度制御される液体を、前記複数の温度制御されるバッテリから除去することは、前記複数の温度制御されるバッテリから前記温度制御される液体を排出するために、重力を使用することを含む、請求項25のシステム。
【請求項28】
前記システムは、バッテリ駆動の航空機に結合されるのであり、かつ、前記バッテリ駆動の航空機が空中にある間、前記重力の前記方向に前記チャネルを通って移動する前記流体は、空気である、請求項21のシステム。
【請求項29】
方法であって、
バッテリ駆動の航空機内の支持構造に結合された複数のバッテリを含む、システムを提供することであって、前記支持構造は、
第1のバッテリの周りで前記支持構造の第1の面に設けられた第1の密封と、
第2のバッテリの周りで前記支持構造の前記第1の面とは反対の第2の面に設けられた第2の密封と、
前記第1のバッテリの一部と前記第2のバッテリの一部とを受け入れるための開口部であって、前記開口部は、前記第1の密封と前記第2の密封との間に延びている、開口部と
前記第1のバッテリの前記一部と前記第2のバッテリの前記一部との間で前記開口部内に形成されたチャネルと、
流体を受け入れるように適合された、前記支持構造の上面に設けられた入口と、
前記流体が重力の方向に前記チャネルを通って移動した後に、前記流体を受け入れるように適合された、前記支持構造の底面に設けられた出口であって、前記チャネルは、前記入口と前記出口との間に延びている、出口と、を含む、ことと、
前記支持構造及び前記複数のバッテリを、液体式温度制御システムに取外し可能に結合することと、
温度制御される液体を前記支持構造の前記チャネルを通して循環させて、複数の温度制御されるバッテリを生み出すことであって、温度制御される前記流体は、前記複数のバッテリと直接接触する、ことと、
前記温度制御される液体を、前記複数の温度制御されるバッテリから除去することと、
前記複数の温度制御されるバッテリと前記液体式温度制御システムとを分離することと、
を含む、方法。
【請求項30】
前記温度制御される液体を、前記複数の温度制御されるバッテリから除去することは、
前記液体式温度制御システムから前記複数のバッテリに空気を吹き込むことを含む、
請求項29の方法。
【請求項31】
前記温度制御される液体を、前記複数の温度制御されるバッテリから除去することは、
前記複数の温度制御されるバッテリから前記温度制御される液体を排出するために、重力を使用することを含む、
請求項29の方法。
【請求項32】
前記第1の密封又は前記第2の密封は、Oリングを含む、請求項29の方法。
【請求項33】
前記支持構造は、前記複数のバッテリの中で、隣接するバッテリの各対の間にそれぞれチャネルが形成されるように、複数のチャネルを含む、請求項29の方法。
【請求項34】
前記複数のバッテリは、第1組のバッテリと、水平面に沿って前記第1組のバッテリに対して平行に延びる第2組のバッテリとを含み、前記第1組のバッテリは、前記第1のバッテリを含み、前記第2組のバッテリは、前記第2のバッテリを含む、請求項29の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、米国特許第10,497,996号として発行された、2018年12月12日に出願された「Battery With Liquid Temperature Controlling System」と題する米国特許出願第16/217,616号の優先権を主張し、その開示は、あらゆる目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
全電気式航空機を含む新しいタイプの全電気式運搬手段が、開発されつつある。そのような全電気式運搬手段の運用及び/又は管理を改善する、新しい技術及び/又はデバイスが、望まれるであろう。例えば、そのような運搬手段は、隊又は共同使用の用途で配備され得、そのような運搬手段の「稼働時間」を増加させることが、(例えば、より多くの乗客が運搬手段の隊によってサービスを受けることができ、及び/又は利用可能な運搬手段のための待ち時間が短縮されるから)望ましいであろう。
【発明の概要】
【0003】
本発明の様々な実施形態は、以下の詳細な説明及び添付の図面に開示される。
【図面の簡単な説明】
【0004】
図1】液体式温度制御システムを使用して温度制御される、航空機内のバッテリの一実施形態を示す図である。
図2】液体式温度制御システムを使用してバッテリを加熱又は冷却し、温度制御されるバッテリを充電するプロセスの一実施形態を示すフローチャートである。
図3A】バッテリサブモジュールを伴う両面ラックの一例を示す図である。
図3B】バッテリサブモジュールの底部分のための支持構造を含む、ラックの一例を示す図である。
図4A】Oリングを伴わない支持構造の一例を示す図である。
図4B】温度制御される液体がバッテリサブモジュールと直接接触するための、チャネルを形成するための2組のOリングを伴う支持構造の一実施形態を示す図である。
図5】温度制御される液体がバッテリサブモジュールと接触する場所の、一実施形態を示す図である。
図6】Oリングを伴う支持構造によって形成されたチャネルの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0005】
本発明は、プロセス、装置、システム、事物の構成、コンピュータ読取り可能記憶媒体上で具現化されたコンピュータプログラム製品、並びに/又は、プロセッサに結合されたメモリに記憶された命令及び/若しくはプロセッサに結合されたメモリによって提供される命令を実行するように構成されたプロセッサなどの、プロセッサとして、を含む、数多くの方法で実現できる。本明細書では、これらの実施形態、又は本発明が取り得る任意の他の形態を、技術と呼ぶ場合がある。一般に、開示されるプロセスのステップの順序は、本発明の範囲内で変更されてもよい。別段明記しない限り、タスクを実行するように構成されるものとして記載されるプロセッサ又はメモリなどの構成要素は、所与の時間にタスクを実行するために一時的に構成される一般的な構成要素、又はタスクを実行するように製造される特別の構成要素として実現されてもよい。本明細書で使用される場合、「プロセッサ」という用語は、コンピュータプログラム命令などのデータを処理するように構成された、1つ以上のデバイス、回路、及び/又はプロセッシングコアを指す。
【0006】
本発明の1つ以上の実施形態の詳細な説明を、本発明の原理を示す添付の図と共に以下に提供する。本発明は、そのような実施形態に関連して説明されるが、しかし本発明は、いかなる実施形態にも限定されない。本発明の範囲は、特許請求の範囲によってのみ限定され、かつ本発明は、多数の代替、修正、及び均等なものを包含する。本発明の完全な理解を提供するために、多数の特定の詳細が、以下の説明に記載される。これらの詳細は、例示の目的で提供されており、本発明は、これらの特定の詳細の一部又は全部を伴わずに、特許請求の範囲に従って実施することができる。明確さの目的のために、本発明に関連する技術分野で知られている技術的な題材は、本発明が不必要に不明瞭にならないように、詳細には説明されていない。
【0007】
(例えば、充電前、充電中、及び/又は充電後に)液体式温度制御システムを使用して温度制御される、バッテリの様々な実施形態が、本明細書に記載されている。いくつかの実施形態では、(例えば運搬手段内の)バッテリと、液体式温度制御システムとは、(例えば、運搬手段内のバッテリが充電されようとしているときに)取外し可能に結合される。(例えば、加熱又は冷却された)温度制御される液体は、液体式温度制御システムとバッテリとの間で循環されて、温度制御されるバッテリを生み出す。様々な実施形態において、液体は、ゲル、水などであってもよい。温度制御されるバッテリは、充電される(例えば、一旦、温度制御されるバッテリが、充電が許される温度の範囲内になったら。あるいは、充電は、バッテリが加熱又は冷却されるのと同時に行われてもよい)。温度制御される液体は、温度制御されるバッテリから除去され、バッテリと液体式温度制御システムは、分離される。以下でより詳細に説明するように、これにより、加熱又は冷却に使用される液体による、飛行中又は他の移動中の重量の追加を回避しながら、(例えば、空気を使用してバッテリを加熱又は冷却するよりも、良好な熱特性を有する)液体を使用してバッテリを何らかの望ましい温度に冷却又は加熱することが可能になる。
【0008】
図1は、液体式温度制御システムを使用して温度制御される、航空機内のバッテリの一実施形態を示す図である。図示の例では、例示的な運搬手段(100)は、バッテリ(102)によって完全に給電される全電気式航空機である。(ここで示すように)地上にあるとき、バッテリは、充電器(104)を使用して充電される。運搬手段の動作の準備ができているようにするために、バッテリは、充電されていなければならず、かつバッテリ温度は、許容可能範囲内になければならない。バッテリ温度が許容可能範囲外になり得るときの例には、運搬手段が、許容可能なバッテリ温度範囲を下回る周囲温度で外で保管されている場合、又は運搬手段のバッテリが、その温度が許容可能範囲を超えるように急速に充電されている場合が含まれる。
【0009】
この例では、バッテリ(102)は、バッテリが地上にある間に(例えば、充電前、充電中、及び/又は充電後に)温度制御されるように、液体式温度制御システム(106)に接続される。温度制御される液体は、入力ホース又は接続部(108)を介して、バッテリ(102)に通される。例えば、バッテリが熱すぎる場合、冷却又は冷蔵された液体がバッテリ内に圧送される。一旦バッテリ内になると、(少なくともこの例では)冷却された液体は、バッテリから熱の一部を吸収する。温められた液体は、それから出力ホース又は接続部(110)を介してバッテリを出て、液体式温度制御システム(106)に戻り、そこで、液体は、再び冷却されて、入力ライン(108)に戻される。
【0010】
バッテリ(102)は、温度センサを含み、かつ測定された温度は、液体式温度制御システム(106)に通知される、と説明の簡単さ及び容易さのために仮定する。一例では、液体式温度制御システム(106)は、バッテリ管理システムを介して、測定されたバッテリ温度を受け取る。バッテリ管理システムは、従前からバッテリ温度を測定してこれを充電器に通知する、所定の位置の既存の内部システムである。一例では、液体式温度制御システム106は、充電器(104)と同じインターフェース及び/又はデバイスを介して制御される。これは、システムを運用している地上要員のための簡単さが理由で、及び/又は(例えば、バッテリが要求する情報のすべてが、充電器で既に利用可能であるから)技術的実現の容易さのために、望ましい場合がある。
【0011】
同様に、液体式温度制御システム(106)には何らかの所望のバッテリ温度があると仮定する。例えば、所望のバッテリ温度は、セル製造者によって指定される通りのバッテリセル動作限界によって、取得又は決定されてもよい。測定された温度と所望の温度の両方が既知である場合、液体式温度制御システムは、加熱又は冷却された液体をバッテリ内に圧送するかどうか、並びにバッテリから液体をいつ除去するか(例えば、測定された温度が所望の温度に達したことを理由として、及び/又はバッテリが充電を終了したことを理由として)、を決定することができる。
【0012】
飛行中に航空機(100)の重量を低く保つためであるが、加熱又は冷却された液体は、航空機が地上にあるときにバッテリ内にあるだけである。例えば、液体式温度制御システム(106)が最初にバッテリ(102)に接続されるとき、バッテリ内で液体が通過するであろういずれのチャネルも、液体充填ではなく空気充填されているであろう。次いで、液体式温度制御システム(106)は、加熱又は冷却された液体を、入力及び出力接続部(108及び110)を使用して、バッテリが所望の温度に達するまで、閉じた液体充填されたループ内にバッテリ(102)を通して圧送する。その時点で、バッテリ内のチャネルは、(例えば充電時間を改善するために)バッテリを加熱又は冷却するために液体充填されているであろう。次いで、温度制御される液体は、それがバッテリ(102)内及び/又は航空機(100)に全く残らなくなるまで、(例えば、受動的な技術及び/又は能動的な技術を使用して)バッテリから排出される。次いで、液体式温度制御システムは、バッテリから分離され、(例えば、再充電されたバッテリを伴う)航空機は、バッテリを加熱又は冷却するために使用される液体に起因する余分な重量なしに、離陸することができる。
【0013】
いくつかの場合では、バッテリは、ウォームアップされる。例えば、冬の間、バッテリは、所与の日に最初にバッテリが充電されることができる前に、何らかの最低充電温度までウォームアップされる必要がある場合がある。そのような状況では、バッテリを通して圧送される液体は、バッテリをウォームアップするために液体式加熱及び/又は冷却システム(106)によって加熱されてもよい。一旦バッテリが所望の温度(例えば、最低バッテリ充電温度)に達すると、充電器(104)は、バッテリ(102)の充電を開始する。
【0014】
ここに示す例示的な液体式温度制御システムを用いると、飛行中に液体がバッテリ及び/又は航空機を占有したならば液体によって加えられたであろう追加の飛行中重量を回避しながら、液体のより良好な熱性能を活用することができる(例えば、液体を使用すると、空気を使用してバッテリを加熱又は冷却するのと比較して、バッテリの温度をより迅速に変化させることができる)。液体による追加の重量によって、さらなる電力が消費され、それに応じて飛行時間が短縮されるのであり、それは、望ましくない。別の表現の仕方をすれば、例示的な液体式温度制御システムは、欠点のない(例えば、飛行中に液体の重量が加わることに対処する必要がない)、液体の(例えば空気と比較して)より良好な熱特性を有する。
【0015】
1つの例示的な用途では、このシステムは、周囲温度が比較的高い(例えば、40℃を上回る)か又は比較的低い(例えば、0℃を下回る)場合に、特に望ましいか又は有用であり得る。例えば、非常に暑い夏の日に航空機を飛ばしている場合、バッテリを冷却することによって、充電時間及び/又はターンアラウンド時間が短縮される。いくつかの場合では、航空機は、航空機隊又は共同使用の用途で配備される。航空機隊又は共同使用の用途における充電時間を短縮すると、乗客の待ち時間が短縮され、及び/又はより多くの乗客がサービスを受けることが可能になる。
【0016】
次の図は、これらの例をフローチャートで、より一般的及び/又は形式的に説明する。
【0017】
図2は、液体式温度制御システムを使用してバッテリを加熱又は冷却し、温度制御されるバッテリを充電するプロセスの一実施形態を示すフローチャートである。上述したように、これは、(例えば、全電気式航空機などの運搬手段において)バッテリを充電するための時間の量を低減するのに役立つ場合がある。
【0018】
200では、バッテリと液体式温度制御システムは、取外し可能に結合される。例えば、図1では、入力接続部(108)及び出力接続部(110)は、バッテリ(102)に接続されており、それによって、液体式温度制御システム106とバッテリ102は、互いに対して取外し可能に結合される。
【0019】
202では、温度制御される液体は、液体式温度制御システムとバッテリとの間で循環されて、温度制御されるバッテリを生み出す。例えば、図1では、入力接続部(108)を介して、図1の液体式温度制御システム(106)は、加熱又は冷却された液体をバッテリに通してもよい。一旦バッテリ内になると、温度制御される液体は、バッテリを加熱又は冷却し、上記温度制御されるバッテリを生み出す。次いで、液体は、出力接続部(110)を介してバッテリを出る。ステップ200における結合ステップの前に、図1の例示的なバッテリ(102)は、バッテリを加熱又は冷却するために使用される液体のいずれも含まないことに留意する。
【0020】
204では、温度制御されるバッテリは、充電される。例えば、図1では、充電器104は、液体式温度制御システム106によって温度制御されているバッテリ102を、充電するために使用される。様々な実施形態において、ステップ204での充電は、ステップ202での液体の循環(すなわち、加熱又は冷却)に対して相対的に様々なときに行われてもよい。例えば、バッテリを充電することが安全であるか又はその他に許容可能な、許容可能温度の範囲があると仮定する。一例では、バッテリの測定された温度は、この許容可能な温度範囲内であり、したがって、ステップ204における充電は、ステップ202における加熱又は冷却と実質的に同時に開始される。別の例では、バッテリは、すぐに充電を開始するには熱すぎるか又は冷たすぎる(すなわち、測定された温度は、許容可能なバッテリ充電温度の範囲内にない)。その場合、ステップ202における加熱又は冷却は、最初に行われる。それから、温度制御されるバッテリの測定された温度が、許容されるバッテリ充電温度の範囲内に入ると、204における充電が、トリガされる。
【0021】
206では、温度制御される液体は、温度制御されるバッテリから除去される。例えば、図1では、液体式温度制御システム(106)とバッテリ(102)との間の入力接続部(108)は、液体式温度制御システムからバッテリに空気を吹き込んでもよい。これは、バッテリから液体を流し出すか、又はそれ以外に能動的に取り除くのに役立ち得る。いくつかの実施形態では、温度制御される液体をバッテリから除去するために、受動的な技術が使用される。例えば、温度制御されるバッテリから温度制御される液体を排出するために、重力を使用してもよい。
【0022】
ステップ206における温度制御される液体の除去は、他のステップに対して相対的に様々なときに行われてもよい。例えば、温度制御されるバッテリから温度制御される液体を排出するために、重力を使用する場合、数秒ではなく数分程度かかる場合がある。いくつかの実施形態では、比較的長い排出時間に対応するために、バッテリがステップ204においてまだ充電されている間に、ステップ206における排出(例えば、重力の使用)が開始される。例えば、温度制御される液体をバッテリから排出するのに約Tdrainingの時間の量がかかる場合、その時間の量は、予想される充電の終了の前に(例えば、ステップ204で)、排出によって開始されてもよい。又は、一旦、バッテリの測定された温度が何らかの所望の温度に達したら、バッテリからの液体の除去が、開始される。
【0023】
あるいは、温度制御される液体が何らかのより速い及び/又はより能動的な技術(例えば、液体式温度制御システムは、入力接続部を通して空気を圧送し又は吹き込むことによって、バッテリをフラッシュする)を使用して除去される場合、ステップ204での充電は、温度制御される液体がステップ206で除去される前に、まず完了してもよい。
【0024】
208では、バッテリと液体式温度制御システムは、分離される。例えば、図1の液体式温度制御システム(106)とバッテリ(102)との間のホース又は接続部は、取外し又はその他の分離がされる。バッテリが充電され、温度制御される液体がバッテリ及び運搬手段から除去され、すべての接続が分離されると、運搬手段は、再充電されたバッテリを用いて、かつ温度制御される液体によるいかなる追加の重量もなく、移動(例えば飛行)を再開することができる。
【0025】
上述したように、バッテリ(及び、したがって運搬手段)から液体が除去されると、運搬手段は、その後に移動(例えば飛行)するとき、液体によるいかなる追加の重量のあるものを輸送するためにも、電力を消費する必要がない。例えば、運搬手段が全電気式航空機である場合、離陸前に液体を除去することによって重量を低く保つことにより、航空機の飛行時間を延ばすことができる。
【0026】
例示的なバッテリと、温度制御される液体がバッテリを損傷することなく(例えば、液体がいずれのエレクトロニクス又は他の損傷を受けやすい構成要素と接触することもなく)バッテリを通過するためのチャネルを作り出すために使用される構成要素と、を示すことが役に立つ場合がある。以下の図は、1つのそのような例示的なバッテリシステムを説明する。まず、地上での液体による加熱又は冷却の特徴又は構成要素のない、例示的なバッテリシステムを説明する。次に、地上での液体による加熱又は冷却を可能にする、新しい構成要素のいくつかの例を説明する。当然に、これらの例は、単に例示的なものにすぎず、限定的であることを意図しない。
【0027】
図3Aは、バッテリサブモジュールを伴う両面ラックの一例を示す図である。いくつかの実施形態では、図1のバッテリ102は、バッテリサブモジュールを伴う両面ラック(例えばここに示されているものに類似する)を使用して実現される。
【0028】
この例では、バッテリサブモジュール(300)は、パウチセルであるバッテリセル(図示せず)を含む。パウチセルは、圧力(例えば、約3~5PSI)が加えられているとき、より良好に機能する。より具体的には、パウチセルに圧力を加えることによって、パウチセルのサイクル寿命を延ばすことができる。この理由のため、バッテリサブモジュール(300)内のバッテリセルは、金属容器(302)内に配置される。金属容器(302)は、バッテリセルを内部で圧迫する。容器(302)は、正及び負の端子又は接続部を含む、蓋(304)で密封される。
【0029】
ラックは、蓋を外側に向けてバッテリサブモジュールを挿入するための、スロット又は開口部を含む。バッテリサブモジュール(300)をラック(306)に固定するために、ねじが、蓋内の穴を通過して、ラックにねじ込まれる。バッテリサブモジュールの蓋を外側に向けることにより、蓋によって露出された正及び負の端子又は接続部は、互いに及び/又は他の電気的な構成要素(図示せず)に電気的に接続されることができる。
【0030】
ラックの反対側(図示せず)には、バッテリサブモジュールの別のアレイが含まれ、したがってラックは、両面ラックと呼ばれる。ここに示されている図のスロット又は開口部のすべてがバッテリサブモジュールで埋められているわけではないが、しかし実際のバッテリでは、スロット又は切り抜き部のすべてが、バッテリサブモジュールで埋められることに留意する。
【0031】
図3Bは、バッテリサブモジュールの底部分のための支持構造を含む、ラックの一例を示す図である。明確さのために、この図のラック(350)は、ここに示す構成要素を遮るバッテリサブモジュールを全く伴わずに示されている。この例では、図3Aによる両面ラック(306)は、真ん中で半分に切断されて、中央部分(例えば、切断が行われた場所)が示されている。
【0032】
この図から示されるように、半分に切断されたラック(350)は、複数の支持構造(352)を含み、そこでは、各支持構造は、バッテリサブモジュール(図示せず)の段に対応する。支持構造は、バッテリサブモジュール(図示せず)、具体的には容器の(例えば蓋から離れた)底部と、(例えば直接)接触する、ラックの部分である。例えば、支持構造は、バッテリサブモジュール(より具体的には、容器の底部)が挿入されて中に置かれるための、丸い縁を有する長方形の切り抜き部を含み、一方、蓋は、バッテリサブモジュールをラックに固定するために、ラックの反対(すなわち外)側にねじ込まれる。次の図は、例示的な支持構造352のより接近した図を示す。
【0033】
図4Aは、Oリングを伴わない支持構造の一例を示す図である。この例では、支持構造400は、図3Bによる支持構造352のより接近した図を示している。ここに示すように、例示的な支持構造は、比較的薄く、構造的支持を提供するだけである(例えば、熱の制御又は管理の特徴を何も伴わない)。
【0034】
次の図は、Oリングを伴う、より厚い支持構造の一例を示す。そのような支持構造は、(例えば、図1に示され図2に記載されているシステムを使用して)バッテリシステム全体を冷却又は加熱することができるように、温度制御される液体がその支持構造内のバッテリサブモジュールと直接接触するための、チャネル又は経路を形成するために使用されてもよい。
【0035】
図4Bは、温度制御される液体がバッテリサブモジュールと直接接触するための、チャネルを形成するための2組のOリングを伴う支持構造の一実施形態を示す図である。図示の例では、支持構造450は、図4Aに示す支持構造400よりも厚い。この厚さは、温度制御される液体が支持構造450に挿入されるバッテリサブモジュールと直接接触し、そのようにしてバッテリサブモジュール及びバッテリシステム全体を加熱又は冷却するための、チャネル又は経路を作り出すために使用される。
【0036】
支持構造450は、バッテリのフレームの中央に位置し、両側のバッテリサブモジュール(例えば、バッテリサブモジュールの左段及びバッテリサブモジュールの右段)と結びついて冷却チャネルを作り出す。例えば、左Oリング(454)は、左のバッテリサブモジュールの周り(より具体的には、容器の底部の周り)に密封を形成し(図示せず)、右Oリング(452)は、右のバッテリ・サブモジュール・サブモジュールの周りに密封を形成する。
【0037】
左及び右のバッテリサブモジュール(図示せず)が支持構造の切り抜き部の1つに挿入されると、それら左及び右のバッテリサブモジュールが(それぞれ)接触する左Oリング及び右Oリングは、温度制御される液体がバッテリサブモジュールの容器と直接接触するように、バッテリサブモジュール(図示せず)の容器の底部の周りのリング又はバンドを作り出す。例示的な容器が金属でありかつ直接接触がバッテリサブモジュールと液体との間で作られるから、温度制御される液体がそれら2つのバッテリサブモジュールを加熱又は冷却するための、良好な熱界面が、作り出される。容器の底面の表面積が比較的大きいことも、加熱又は冷却に役立つ。
【0038】
この例では、重力を利用するために、温度制御される液体は、支持構造の上部の雄コネクタ(456)を通って支持構造に入り、支持構造の底部の雌コネクタ(458)を介して出る。雄コネクタの高さは、1つの段の雌コネクタが隣の下段の雄コネクタに嵌るように、サイジングされていてもよい。これにより、温度制御される液体が、まず最上段のバッテリサブモジュールを加熱又は冷却し、次いで隣の下段内に落下してバッテリサブモジュールを加熱又は冷却し、及び隣の段など、ということが、可能になる。
【0039】
図2に一時的に戻ると、図4Bに示すように、いくつかの実施形態では、ステップ202で温度制御される液体を循環させることは、温度制御される液体を循環させることを含み、容器と容器の周りに嵌るように構成されたOリングとを使用して形成されたチャネルを通して、温度制御される液体を循環させることを含み、温度制御される液体は、チャネル内にあるとき、少なくとも容器の底面と直接接触する。(図4Bにも示す)いくつかの実施形態では、チャネルは、第1の容器と、第2の容器と、第1の容器の周りに嵌るように構成された第1のOリングと、第2の容器の周りに嵌るように構成された第2のOリングと、を使用して形成されており、温度制御される液体は、チャネル内にあるとき、少なくとも第1の容器の底面及び第2の容器の底面と直接接触する。図4Bは、いくつかの実施形態において、支持構造が、第1のOリング及び第2のOリングを含み、温度制御される液体が、支持構造の上側の第1の開口部からチャネルに入り、支持構造の下側の第2の開口部からチャネルを出ることも示している。上述したように、液体を上方から入って下方から出るようにさせることは、重力を利用している。
【0040】
図4Bに示す支持構造に類似する支持構造を使用することへの1つの便益は、バッテリシステム全体の設計を大幅に手直しする必要がないことである。例えば、図4Bに示す支持構造の追加の厚さは、比較的小さいのであり得、バッテリは、依然として航空機の胴体内の割り当てられた空間に嵌ることができる(例えば、バッテリ(102)がコックピットの後ろの胴体に嵌る必要がある図1を参照されたい)。図示の例示的な支持構造は、(例えば、右側のために1つの構造を有し、左側のために別の構造を有するのではなく)単一の構造を使用して両側のバッテリサブモジュールを加熱又は冷却し、そのことによってバッテリの重量を低く保つから、重量効率的でもあり得る。また、支持構造は、温度制御される液体が容器の底面全体にわたって流れることを可能にし、そのことは、(例えば加熱又は冷却のために良好な)比較的大きな表面積を提供する。
【0041】
次の図は、温度制御される液体が、図4Bに示す例示的な支持構造を使用してバッテリサブモジュールと接触する場所を示す。
【0042】
図5は、温度制御される液体がバッテリサブモジュールと接触する場所の、一実施形態を示す図である。図示の例では、バッテリサブモジュール500は、図4Bに示す支持構造450を使用してラックに固定される。容器(504)の底部分(502)は、温度制御される液体が容器と(直接)接触する場所である。右Oリング又は左Oリングのいずれか(図示せず)が容器の周りに嵌って、液体が図示された領域(502)内に留まりかつ精密な又は損傷を受けやすいいずれのエレクトロニクスとも接触しないことを確実にする。例えば、もし液体がOリングから漏れて、熱暴走の際に熱いガスを出すために使用される容器内の切り抜き部(508)と接触した場合、望ましくないであろう。切り抜き部は、切り抜き部を覆うテープによって、水の侵入から穏当に保護されるだけであってもよい。
【0043】
図6は、Oリングを伴う支持構造によって形成されたチャネルの断面図を示す。この例では、図4Bによる支持構造450は、温度制御される液体が通って流れるための、ここに示す例示的なチャネルを形成する。この例では、支持構造600は、左Oリング(602)及び右Oリング(604)を含む。左Oリング(602)は、左手側から挿入されるバッテリサブモジュールの容器(606)の周りに嵌る。同様に、右Oリング(604)は、右手側から挿入されたバッテリサブモジュールの容器(608)の周りに嵌る。中への液体(610)は、支持構造の上部から入り、2つの容器(606及び608)の底面を通り過ぎて流れ、それから支持構造の底部で、外への液体(612)として出る。
【0044】
この例では、図4Bによる支持構造450は、バッテリサブモジュールのための切り抜き部各々の間に、壁又はバリアを有する。したがって、バッテリサブモジュールの左右の各対は、それ自体の別個のチャネルを有するのであり、1つの対を加熱又は冷却する温度制御される液体は、同じ段内の隣接する対を加熱又は冷却する、温度制御される液体と混合しない。例えば、それは、各対の周りの流体流量のより良好な均一性、及びしたがってバッテリ全体を通したより均一な熱伝達を可能にするために、このように設計されてもよい。当然に、いくつかの他の実施形態では、支持構造は、温度制御される液体が同じ段内の隣接する異なる対にわたって混合することができるように、隣接する対の間に開口部又は接続部を有する。
【0045】
前述の実施形態は、理解の明確さの目的のために、いくらか詳細に説明されているが、本発明は、提供される詳細に限定されない。本発明の、多くの代替的な実現の仕方がある。開示された実施形態は、例示的なものであり、制限的なものではない。
図1
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図5
図6
【手続補正書】
【提出日】2021-08-10
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
システムであって、
液体式温度制御システムであって、
バッテリと前記液体式温度制御システムとを取外し可能に結合し、
温度制御される液体を、前記液体式温度制御システムと前記バッテリとの間で循環させて、温度制御されるバッテリを生み出し、
前記温度制御される液体を、前記温度制御されるバッテリから除去し、
前記バッテリと前記液体式温度制御システムとを分離する、ように構成された、液体式温度制御システムと、
前記温度制御されるバッテリを充電するように構成された、充電器と、
を備え
前記バッテリは、容器を有するバッテリサブモジュールを含み、かつ、
前記温度制御される液体を循環させることは、前記容器と前記容器の周りに嵌るように構成されたOリングとを使用して形成されたチャネルを通して、前記温度制御される液体を循環させることを含み、前記温度制御される液体は、前記チャネル内にあるとき、少なくとも前記容器の底面と直接接触する、システム。
【請求項2】
前記バッテリは、運搬手段内にある、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記バッテリは、運搬手段内にあり、前記運搬手段は、航空機を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記温度制御されるバッテリを充電することは、前記温度制御されるバッテリの測定された温度が、許容されるバッテリ充電温度の範囲内に入ること、によってトリガされる、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記温度制御される液体を、前記温度制御されるバッテリから除去することは、前記液体式温度制御システムから前記バッテリに空気を吹き込むことを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記温度制御される液体を、前記温度制御されるバッテリから除去することは、前記温度制御されるバッテリから前記温度制御される液体を排出するために、重力を使用することを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記温度制御される液体を、前記温度制御されるバッテリから除去することは、前記温度制御されるバッテリから前記温度制御される液体を排出するために、重力を使用することを含み、かつ、
前記温度制御されるバッテリから前記温度制御される液体を排出するために、重力を使用することは、前記温度制御されるバッテリが充電されている間に、開始される、
請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記容器を有する前記バッテリサブモジュールは、第1の容器を有する第1のバッテリサブモジュールであり前記バッテリは、さらに、第2の容器を有する第2のバッテリサブモジュールを含み、
前記温度制御される液体を循環させることは、前記第1の容器と、前記第2の容器と、前記第1の容器の周りに嵌るように構成された第1のOリングと、前記第2の容器の周りに嵌るように構成された第2のOリングと、を使用して形成されたチャネルを通して、前記温度制御される液体を循環させることを含み、前記温度制御される液体は、前記チャネル内にあるとき、少なくとも前記第1の容器の底面及び前記第2の容器の底面と直接接触する、
請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記容器を有する前記バッテリサブモジュールは、第1の容器を有する第1のバッテリサブモジュールであり前記バッテリは、さらに、第2の容器を有する第2のバッテリサブモジュールを含み、
前記温度制御される液体を循環させることは、前記第1の容器と、前記第2の容器と、前記第1の容器の周りに嵌るように構成された第1のOリングと、前記第2の容器の周りに嵌るように構成された第2のOリングと、を使用して形成されたチャネルを通して、前記温度制御される液体を循環させることを含み、前記温度制御される液体は、前記チャネル内にあるとき、少なくとも前記第1の容器の底面及び前記第2の容器の底面と直接接触する、
支持構造が、前記第1のOリング及び前記第2のOリングを含み、
前記温度制御される液体は、前記支持構造の上側の第1の開口部から前記チャネルに入り、前記支持構造の下側の第2の開口部から前記チャネルを出る、
請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
液体式温度制御システムを使用して、温度制御される液体を、前記液体式温度制御システムとバッテリとの間で循環させて、温度制御されるバッテリを生み出すことであって、前記バッテリと前記液体式温度制御システムとは、少なくとも前記温度制御される液体が循環されている間、取外し可能に結合される、ことと、
前記温度制御される液体を、前記温度制御されるバッテリから除去することであって、前記バッテリと前記液体式温度制御システムとは、前記温度制御される液体が除去された後に、分離され、ここで、前記バッテリは、容器を有するバッテリサブモジュールを含み、かつ、前記温度制御される液体を循環させることは、前記容器と前記容器の周りに嵌るように構成されたOリングとを使用して形成されたチャネルを通して、前記温度制御される液体を循環させることを含み、前記温度制御される液体は、前記チャネル内にあるとき、少なくとも前記容器の底面と直接接触する、除去することと、
充電器を使用して、前記温度制御されるバッテリを充電することと、
を含む方法。
【請求項11】
前記バッテリは、運搬手段内にある、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記バッテリは、運搬手段内にあり、前記運搬手段は、航空機を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記温度制御されるバッテリを充電することは、前記温度制御されるバッテリの測定された温度が、許容されるバッテリ充電温度の範囲内に入ること、によってトリガされる、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記温度制御される液体を、前記温度制御されるバッテリから除去することは、前記液体式温度制御システムから前記バッテリに空気を吹き込むことを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項15】
前記温度制御される液体を、前記温度制御されるバッテリから除去することは、前記温度制御されるバッテリから前記温度制御される液体を排出するために、重力を使用することを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項16】
前記温度制御される液体を、前記温度制御されるバッテリから除去することは、前記温度制御されるバッテリから前記温度制御される液体を排出するために、重力を使用することを含み、かつ、
前記温度制御されるバッテリから前記温度制御される液体を排出するために、重力を使用することは、前記温度制御されるバッテリが充電されている間に、開始される、
請求項10に記載の方法。
【請求項17】
前記容器を有する前記バッテリサブモジュールは、第1の容器を有する第1のバッテリサブモジュールであり前記バッテリは、さらに、第2の容器を有する第2のバッテリサブモジュールを含み、
前記温度制御される液体を循環させることは、前記第1の容器と、前記第2の容器と、前記第1の容器の周りに嵌るように構成された第1のOリングと、前記第2の容器の周りに嵌るように構成された第2のOリングと、を使用して形成されたチャネルを通して、前記温度制御される液体を循環させることを含み、前記温度制御される液体は、前記チャネル内にあるとき、少なくとも前記第1の容器の底面及び前記第2の容器の底面と直接接触する、
請求項10に記載の方法。
【請求項18】
前記容器を有する前記バッテリサブモジュールは、第1の容器を有する第1のバッテリサブモジュールであり、第2の容器を有する第2のバッテリサブモジュールとを含み、
前記温度制御される液体を循環させることは、前記第1の容器と、前記第2の容器と、前記第1の容器の周りに嵌るように構成された第1のOリングと、前記第2の容器の周りに嵌るように構成された第2のOリングと、を使用して形成されたチャネルを通して、前記温度制御される液体を循環させることを含み、前記温度制御される液体は、前記チャネル内にあるとき、少なくとも前記第1の容器の底面及び前記第2の容器の底面と直接接触する、
支持構造が、前記第1のOリング及び前記第2のOリングを含み、
前記温度制御される液体は、前記支持構造の上側の第1の開口部から前記チャネルに入り、前記支持構造の下側の第2の開口部から前記チャネルを出る、
請求項10に記載の方法。
【請求項19】
システムであって、
第1のバッテリと第2のバッテリとを含む複数のバッテリと、
前記複数のバッテリに結合される支持構造であって、前記支持構造は、
前記第1のバッテリの周りで前記支持構造の第1の面に設けられた第1の密封と、
前記第2のバッテリの周りで前記支持構造の前記第1の面とは反対の第2の面に設けられた第2の密封と、
前記第1のバッテリの一部と前記第2のバッテリの一部とを受け入れるための開口部であって、前記開口部は、前記第1の密封と前記第2の密封との間に延びている、開口部と
前記第1のバッテリの前記一部と前記第2のバッテリの前記一部との間で前記開口部内に形成されたチャネルと、
流体を受け入れるように適合された、前記支持構造の上面に設けられた入口と、
前記流体が重力の方向に前記チャネルを通って移動した後に、前記流体を受け入れるように適合された、前記支持構造の底面に設けられた出口であって、前記チャネルは、前記入口と前記出口との間に延びている、出口と、を含む、支持構造と、
を備える、システム。
【請求項20】
前記第1の密封又は前記第2の密封は、Oリングを含む、請求項19のシステム。
【請求項21】
前記支持構造は、前記複数のバッテリの中で、隣接するバッテリの各対の間にそれぞれチャネルが形成されるように、複数のチャネルを含む、請求項19のシステム。
【請求項22】
前記複数のバッテリは、第1組のバッテリと、水平面に沿って前記第1組のバッテリに対して平行に延びる第2組のバッテリとを含み、前記第1組のバッテリは、前記第1のバッテリを含み、前記第2組のバッテリは、前記第2のバッテリを含む、請求項19のシステム。
【請求項23】
前記システムは、バッテリ駆動の航空機に結合され、前記システムは、
前記バッテリ駆動の航空機が地上にあるときに前記バッテリ駆動の航空機に結合される、液体式温度制御システムをさらに含み、前記液体式温度制御システムは、
前記支持構造及び前記複数のバッテリを、前記液体式温度制御システムに取外し可能に結合し、
温度制御される液体を前記チャネルを通して前記流体として循環させて、複数の温度制御されるバッテリを生み出すことであって、温度制御される前記流体は、前記複数のバッテリと直接接触する、ことをし、
前記温度制御される液体を、前記複数の温度制御されるバッテリから除去し、
前記複数の温度制御されるバッテリと前記液体式温度制御システムとを分離する、ように構成されている、
請求項19のシステム。
【請求項24】
前記温度制御される液体を、前記複数の温度制御されるバッテリから除去することは、前記液体式温度制御システムから前記複数のバッテリに空気を吹き込むことを含む、請求項23のシステム。
【請求項25】
前記温度制御される液体を、前記複数の温度制御されるバッテリから除去することは、前記複数の温度制御されるバッテリから前記温度制御される液体を排出するために、重力を使用することを含む、請求項23のシステム。
【請求項26】
前記システムは、バッテリ駆動の航空機に結合されるのであり、かつ、前記バッテリ駆動の航空機が空中にある間、前記重力の前記方向に前記チャネルを通って移動する前記流体は、空気である、請求項19のシステム。
【請求項27】
方法であって、
バッテリ駆動の航空機内の支持構造に結合された複数のバッテリを含む、システムを提供することであって、前記支持構造は、
第1のバッテリの周りで前記支持構造の第1の面に設けられた第1の密封と、
第2のバッテリの周りで前記支持構造の前記第1の面とは反対の第2の面に設けられた第2の密封と、
前記第1のバッテリの一部と前記第2のバッテリの一部とを受け入れるための開口部であって、前記開口部は、前記第1の密封と前記第2の密封との間に延びている、開口部と
前記第1のバッテリの前記一部と前記第2のバッテリの前記一部との間で前記開口部内に形成されたチャネルと、
流体を受け入れるように適合された、前記支持構造の上面に設けられた入口と、
前記流体が重力の方向に前記チャネルを通って移動した後に、前記流体を受け入れるように適合された、前記支持構造の底面に設けられた出口であって、前記チャネルは、前記入口と前記出口との間に延びている、出口と、を含む、ことと、
前記支持構造及び前記複数のバッテリを、液体式温度制御システムに取外し可能に結合することと、
温度制御される液体を前記支持構造の前記チャネルを通して循環させて、複数の温度制御されるバッテリを生み出すことであって、温度制御される前記流体は、前記複数のバッテリと直接接触する、ことと、
前記温度制御される液体を、前記複数の温度制御されるバッテリから除去することと、
前記複数の温度制御されるバッテリと前記液体式温度制御システムとを分離することと、
を含む、方法。
【請求項28】
前記温度制御される液体を、前記複数の温度制御されるバッテリから除去することは、
前記液体式温度制御システムから前記複数のバッテリに空気を吹き込むことを含む、
請求項27の方法。
【請求項29】
前記温度制御される液体を、前記複数の温度制御されるバッテリから除去することは、
前記複数の温度制御されるバッテリから前記温度制御される液体を排出するために、重力を使用することを含む、
請求項27の方法。
【請求項30】
前記第1の密封又は前記第2の密封は、Oリングを含む、請求項27の方法。
【請求項31】
前記支持構造は、前記複数のバッテリの中で、隣接するバッテリの各対の間にそれぞれチャネルが形成されるように、複数のチャネルを含む、請求項27の方法。
【請求項32】
前記複数のバッテリは、第1組のバッテリと、水平面に沿って前記第1組のバッテリに対して平行に延びる第2組のバッテリとを含み、前記第1組のバッテリは、前記第1のバッテリを含み、前記第2組のバッテリは、前記第2のバッテリを含む、請求項27の方法。
【国際調査報告】