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特表2022-510039マルチファセット偏向器を含むLIDARシステム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-25
(54)【発明の名称】マルチファセット偏向器を含むLIDARシステム
(51)【国際特許分類】
   G01S 7/481 20060101AFI20220118BHJP
   G01S 17/931 20200101ALI20220118BHJP
   B60W 40/06 20120101ALI20220118BHJP
   B60W 40/04 20060101ALI20220118BHJP
【FI】
G01S7/481 A
G01S17/931
B60W40/06
B60W40/04
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021538997
(86)(22)【出願日】2019-12-31
(85)【翻訳文提出日】2021-08-30
(86)【国際出願番号】 US2019069151
(87)【国際公開番号】W WO2020142553
(87)【国際公開日】2020-07-09
(31)【優先権主張番号】62/788,415
(32)【優先日】2019-01-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519174791
【氏名又は名称】ブラックモア センサーズ アンド アナリティクス エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110002789
【氏名又は名称】特許業務法人IPX
(72)【発明者】
【氏名】ギャロウェイ,ライアン ムーア
(72)【発明者】
【氏名】アンガス,エドワード ジョーゼフ
(72)【発明者】
【氏名】バーバー,ゼブ ウィリアム
【テーマコード(参考)】
3D241
5J084
【Fターム(参考)】
3D241BA41
3D241BA50
3D241BA63
3D241DC01Z
3D241DC33Z
3D241DC41Z
5J084AA05
5J084AA07
5J084AA10
5J084AB20
5J084AC02
5J084BA03
5J084BA38
5J084BA50
5J084BA51
5J084BB14
5J084BB26
5J084BB28
5J084BB40
5J084CA03
5J084CA08
5J084CA09
5J084CA31
5J084DA01
5J084DA02
5J084DA04
5J084DA09
5J084EA05
5J084EA22
5J084FA01
(57)【要約】
LIDARシステムは、モーターと、光学ビームを生成するように構成されたレーザー光源(Laser Source)と、複数のファセット(Facet)と、を含む偏向器を含み、前記複数のファセットのうちの第1ファセットは、ファセット法線方向(Facet Normal Direction)を有し、前記偏向器は、前記モーターに結合され、前記レーザー光源からの前記光学ビームを偏向させるために回転軸を中心に回転するように構成され、前記レーザー光源は、第1平面から第1入射角で前記偏向器に入射されるように前記光学ビームを指向するように構成され、前記第1平面は、回転軸を含み、前記第1入射角は、前記第1ファセットのためのファセット法線方向から離隔され、前記複数のファセットのうちの第2ファセットは、前記第1入射角で前記光学ビームを偏向した角度(Deflected Angle)に偏向させるように構成された光学素子を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モーターと、
光学ビームを生成するように構成されたレーザー光源(Laser Source)と、
複数のファセット(Facet)を含む偏向器と、を含み、
前記複数のファセットのうちの第1ファセットは、ファセット法線方向(Facet Normal Direction)を有し、
前記偏向器は、前記モーターに結合され、前記レーザー光源からの前記光学ビームを偏向させるために回転軸を中心に回転するように構成され、
前記レーザー光源は、第1平面から第1入射角で前記偏向器に入射されるように、前記光学ビームを指向するように構成され、前記第1平面は、回転軸を含み、前記第1入射角は、前記第1ファセットに対する前記ファセット法線方向から離隔され、
前記複数のファセットのうちの第2ファセットは、前記第1入射角で前記光学ビームを偏向した角度(Deflected Angle)に偏向させるように構成された光学素子を含むLIDARシステム。
【請求項2】
前記光学素子は、前記第1ファセット上の各ルーリング(Ruling)に対する前記第1入射角の半分と同じであるか、またはほぼ同じファセットルーリング法線方向(Facet Ruling Normal Direction)を有する請求項1に記載のLIDARシステム。
【請求項3】
前記偏向した角度は、前記ファセット法線方向の10度以内である請求項2に記載のLIDARシステム。
【請求項4】
前記偏向器の第1ファセットで前記光学ビームについてのアタック角度(Attack Angle)を変更するように構成されたステッピングモーター(Stepping Motor)をさらに含む請求項1に記載のLIDARシステム。
【請求項5】
前記偏向器の第1ファセットは、個々の光学素子(Respective Optical Element)を含み、前記光学素子および前記個別光学素子は、間隔を含み、前記光学素子の間隔は、前記個別光学素子の間隔と異なる請求項1に記載のLIDARシステム。
【請求項6】
前記偏向器の第2ファセットは、第2光学素子を含み、前記第2光学素子は、前記第1入射角で前記光学ビームを前記偏向した角度と異なる第2偏向角度に偏向させるように構成される請求項1に記載のLIDARシステム。
【請求項7】
前記偏向器の各ファセットは、前記回転軸に垂直な法線方向を有し、前記光学素子は、反射ブレーズド回折格子(Reflective Blazed Grating)である請求項1に記載のLIDARシステム。
【請求項8】
前記回転軸に垂直な前記偏向器の断面は、ポリゴン(Polygonal)形状を有する請求項1に記載のLIDARシステム。
【請求項9】
前記光学素子の断面は、三角形または鋸歯形状である請求項1に記載のLIDARシステム。
【請求項10】
前記レーザー光源は、複数の光学ビームの光源であり、前記複数の光学ビームが複数の異なる入射角で前記回転軸に近づくように構成される請求項1に記載のLIDARシステム。
【請求項11】
前記複数の異なる入射角は、前記第1入射角の40度以内である請求項10に記載のLIDARシステム。
【請求項12】
前記回転軸に垂直な前記偏向器の断面は、0.5cmないし5.0cm範囲の最大直径を有する請求項1に記載のLIDARシステム。
【請求項13】
前記偏向した角度は、前記ファセット法線方向に対して水平またはほぼ水平である請求項1に記載のLIDARシステム。
【請求項14】
請求項1ないし請求項13のいずれか一項に記載のLIDARシステムを含む自律走行車の制御システム。
【請求項15】
請求項1ないし請求項13のいずれか一項に記載のLIDARシステムを含む自律走行車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願についての相互参照
本出願は、全開示の内容が本明細書に参照として含まれる2019年1月4日に出願した米国臨時出願番号第62/788、415号についての優先権およびその利益を主張する。
【背景技術】
【0002】
光学検出および距離測定(Light Detection and Ranging)のための多くの場合ニーモニック(Mnemonic)のライダー(LIDAR)と呼ばれ、時々レーザーレーダー(Radio-Wave Detection and Ranging)とも呼ばれるレーザーを用いた光学距離検出は、高度測定から、イメージング、衝突回避に至るまで様々な応用のために使用される。LIDARは、RADARのような従来のマイクロ波距離測定システム(Microwave Ranging System)よりも小さいビームサイズでより微細なスケールの距離解像度(Range Resolution)を提供する。距離の光学検出は、光パルスのオブジェクトまでの往復移動時間に基づく直接距離測定を含み、送信されたチャープ(Chirp)光信号とオブジェクトから散乱してリターンされた信号との間の周波数差に基づくチャープ検出を含み、自然信号から区別可能な一連の単一周波数位相変化に基づいて位相エンコーディング検出(Phase-Encoded Detection)を含むいくつかの他の技術で行われ得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本明細書は、光学スキャニングシステムに関するものであって、より具体的には、マルチファセット偏向器を使用する光学スキャニングシステムに関する。本明細書の態様は、一般的に光学分野における光検出および距離測定(ライダー)に関するものであり、より具体的には、車両の作動をサポートするためにコヒーレントLIDARのスキャニングのためのマルチファセット偏向器のためのシステムおよび方法に関する。
【0004】
本明細書に開示された実施例は、車両の作動をサポートするためにコヒーレントLIDARのスキャニングのためのマルチファセット偏向器用システムに関する。一部の実施例において、LIDARシステムは、モーターを含む。一部の実施例において、LIDARシステムは、光学ビームを生成するように構成された光源を含む。一部の実施例において、LIDARシステムは、複数のファセットを含む偏向器を含む。一部の実施例において、複数のファセットのうちの第1ファセットは、ファセット法線方向を有する。一部の実施例において、偏向器は、モーターに結合され、レーザー光源から光学ビームを偏向させるために回転軸を中心に回転するように構成される。一部の実施例において、レーザー光源は、光学ビームが第1平面から第1入射角で偏向器上に入射されるように、光学ビームが指向するように構成される。第1平面は、回転軸を含む。第1入射角は、ファセット法線方向から離れている。一部の実施例において、システムは、第1入射角で光学ビームを偏向角度に偏向させるように構成された光学素子を含む複数のファセットのうち、第2ファセットを含む。
【0005】
一部の実施例において、光学素子は、ファセット上の各ルーリングに対する第1入射角の半分と同じ垂直方向をルーリングするファセットを有する反射ブレーズド回折格子である。一部の実施例において、光学ビームは、第1入射角の40度以内の第1平面で異なる第2入射角で第1平面から偏向器上に入射される。一部の実施例において、偏向器の第2ファセットは、偏向器の少なくとも1つのファセットの光学素子の間隔とは異なる第2間隔を有する第2光学素子で覆われている。偏向器の第2ファセットが第2光学素子で覆われる一部の実施例において、第2光学素子は、第1入射角で光学ビームを偏向角度と異なる第2偏向角度に偏向させる。
【0006】
他の態様において、本明細書は、車両の作動をサポートするためにコヒーレントLIDARのスキャニングのための偏向器に関するものである。一部の実施例において、偏向器は、本体の軸に対して複数の外向きのファセットを有する本体を含む。一部の実施例において、複数の外向きのファセットのうち、1つのファセットは、ファセット法線方向を有する。一部の実施例において、複数の外向きのファセットのうち、前記1つのファセットは、0.8ミクロンないし10ミクロンの距離にある作動波長の10倍未満の間隔を有する光学素子で覆われている。
【0007】
さらに他の態様において、特徴および利点は、本明細書で説明された実施例を実行するために考慮される最上のモードを含む多数の特定の実施例および実施例を単に例示することによって、次の詳細な説明から容易に知ることができることは明らかである。他の実施例は、また、他の異なる特徴および利点を有し得、これらのいくつかの細部事項は、本明細書で説明された実施例の精神および範囲を逸脱することなく、様々な明らかな側面で変更できる。したがって、図面および説明は、限定的なものではなく、事実上例示的なものとみなされるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0008】
添付図面において、実施例は、制限的な方式ではなく、例示的な方式で説明され、類似の参照番号については、類似の要素を指す。
【0009】
図1A】一実施例による高解像度コヒーレント(High Resolution Coherent)LIDARシステムの例示的なコンポーネントを示すブロック図である。
図1B】一実施例による車両に取り付けられた少なくとも1つの高解像度LIDARシステムを含む例示的なシステムを示すブロック図である。
図2A】一部の実施例で使用される高解像度ドップラーシステムに対する鋸歯型スキャンパターンを示すブロック図である。
図2B】一実施例による高解像度ドップラーLIDARシステムによって生成された例示的な速度ポイントクラウドを示すイメージである。
図3A】一実施例によるスキャニング光学機器の例示的な構成要素の平面図を示すブロック図である。
図3B】実施例による偏向器アセンブリの分解図を示す概略図である。
図4A】回転軸に垂直な平面で非軸衝突ビーム(Off-axis impinging beam)を有する例示的なスキャニングシステムを示すブロック図である。
図4B】回転軸に垂直な(水平)平面内または近くで衝突ビームを使用してスキャンされたスポットの配列を示す。
図5A】回転軸を含む平面で軸上衝突ビーム(On-axis impinging beam)を有する例示的なスキャニングシステムを示すブロック図である。
図5B】回転軸に垂直な(水平)平面から離れている衝突ビームを使用してスキャンされたスポットの配列を示す。
図6A】実施例によるポリゴン偏向器のファセットとして使用されるブレーズド回折格子を示すブロック図である。
図6B】実施例によるブレーズド回折格子ファセットを有するポリゴン偏向器および回転軸を含む面で軸上衝突ビームを使用する例示的なスキャニングシステムを示すブロック図である。
図6C】実施例によってブレーズド回折格子ポリゴン偏向器とブレーズ角度の2倍またはその付近で衝突ビームを使用してスキャンされたスポットの配列を示す。
図6D図6Cとの簡単な比較のために図5Bの繰り返しである。
図7】複数の候補波長に対するブレーズド回折格子の波長対効率を表示する。
【発明を実施するための形態】
【0010】
収容可能な距離精度および検出感度を実現するため、直接長距離LIDARシステムは、低いパルス反復率と高いパルスピーク電力を有する短いパルスレーザーを使用する。前記高いパルス電力は、光学コンポーネントの急速な低下をもたらすことがある。チャープおよび位相エンコーディングLIDARシステムは、相対的に低いピーク光出力を有する長い光パルスを使用する。この構成において、前記距離精度は、パルス持続時間よりもチャープ帯域幅または位相コードの長さおよび帯域幅によって増加し、したがって、優れた距離精度が相変らず獲得され得る。
【0011】
光搬送波を変調するために広帯域無線周波数(RF)電気信号を使用して有用な光帯域幅が達成されてきた。LIDARの最近の発展は、結果的な電気信号で基準信号およびリターンされた光信号との間の周波数差または位相差に比例するRF帯域で相対的に低いビート周波数を生成するために光検出器からリターンされた信号と結合される基準信号として同一に変調された光搬送波を使用することを含む。検出器からの周波数差についてのこのような種類のビート周波数検出は、ヘテロダイン検出 (Heterodyne Detection)と呼ばれる。これは準備かつ安価な可用性のRF構成要素を使用する利点と同様、当業界に知られる様々ないくつかの利点を有する。
【0012】
最近の研究においては、LIDARシステムと各外部オブジェクトとの間のベクトルで向上した範囲だけでなく、相対的な符号付き速度を提供するリターンされた信号からドップラー移動を検出するための光学構成要素とコヒーレント処理の新しい配列を示す。これらのシステムを、高解像度の範囲のドップラーライダーとする。例えば、特許協力条約(PCT)特許出願PCT/US2017/062703およびPCT/US2018/016632に基づくWIPO(World Intellectual Property Organization)出版物を参照することができる。
【0013】
このような改善によって適切な周波数または位相コンテンツの鉛筆のように薄いレーザービームで目標速度の有無にかかわらず範囲が提供される。これらのビームがスキャナ(本明細書において、「偏向器」ともいう)を使用してシーン(Scene)の上にスウィープ(Sweep)されるとき、周辺のオブジェクトの位置と速度についての情報を得られる。この情報は、自律走行やドライバー支援自動車のような自律走行車の防御および制御システムで価値があると予想される。
【0014】
距離精度とターゲット速度精度を提供するサンプリングおよび処理は、累積時間(Integration Time)と呼ばれる時間間隔で、様々な持続時間を有する1つ以上のレーザー信号の累積(Integration)を伴う。車両制御システムのためのタイムリーな方法でシーンをカバーすることは、オブジェクトが設置物や車両前方の空間内に(多くの場合、約1ないし数秒の特定の時間内に移動される約1ないし数十メートルの距離で)進みすぎる前に設置物または車両周囲の環境を理解するために設置物または自律走行車の周囲に様々な角度をサンプリングするのに多くの場合十分な、(多くの場合、1ないし数十マイクロ秒の間、1つ以上の信号を含む)十分に正確な測定を(多くの場合、約数千回)繰り返すことを伴う。特定の時間(多くの場合、サイクルまたはサンプリング時間という)内にカバーできる異なる角度の数は、サンプリングレートに従う。
【0015】
レーザー光のオプトメカトロニクス(Opto-Mechatronic)偏向は、一般的にLIDARシステムのビームステアリング(スキャニング)に使用される。これらのマクロスケール上の既存のLIDARシステムは、空間的にコヒーレントな(Sparially Coherent)光源を選択された方向に誘導するために材料特性に応じて反射、屈折および回折要素の選択を含む。これらのシステムは、高電力データと広範囲な調整を必要とする精巧な2次電磁状態システムで作動する高性能検流計スキャナを使用する。
【0016】
しかし、従来のスキャナの反射表面は、スキャニングシステム、特に地表面車両のスキャニングシステムの近くにあるオブジェクトの検出または識別を複雑にする不規則なスキャンパターンを生成する。
【0017】
したがって、本明細書は、車両の作動をサポートするためにコヒーレントLIDARのスキャニングのためのマルチファセット偏向器(Multifaceted Deflector)のためのシステムおよび方法に関するものである。すなわち、本明細書は、スキャナの反射表面を格子で置き換えることによって、ほぼ水平傾斜/偏位(Inclination/Declination)角度(それぞれゼロ傾斜から水平方向の垂直の上および下)がより広い水平カバレッジとともに達成され得、これにより、周辺オブジェクトを検出および識別するためのLIDARシステムの能力を向上させ得るLIDARビームスキャニングシステムおよび方法を説明する。
【0018】
次の説明において、説明の目的として、本明細書の内容の完全な理解を提供するために多数の特定の細部事項が提示される。しかし、本明細書が、このような特定の細部事項なしに実施され得ることは当業者に明らかであろう。他の例では、本明細書の内容を不必要に曖昧にすることを避けるために、よく知られている構造および装置がブロック図の形として示される。
1.位相エンコーディング(Phase-Encoded)検出概要
【0019】
距離測定のための光位相エンコーディング信号を用いると、送信された信号は、送信された信号の一部についての搬送波(Carrier)と同相(In Phase)であり(位相=0)、次に、短い時間間隔の間にシンボルΔφによって表される1つ以上の位相変化だけ変動し(したがって、位相=Δφ)、送信された信号について繰り返しに2以上の位相値の間で前後にスイッチングする。一定の位相の最短間隔は、パルス持続時間τと呼ばれるエンコーディングのパラメータであり、通常、帯域で最低周波数の多数の周期の持続時間である。逆(1/τ)は、ボーレート(Baud Rate)であり、それぞれのボーは、シンボルを示す。送信された信号の時間中のこのような一定の位相パルスの数(N)は、シンボルの数(N)であり、エンコーディングの長さを示す。2進(Binary)エンコーディングにおいては、2つの位相値が存在し、最短間隔の位相は、1つの値については0とみなされ得、他の1つの値は、1とみなされ得るため、シンボルは、1ビット(Bit)であり、ボーレートは、ビットレート(Bit Rate)とも呼ばれる。多重(Multiple)位相エンコーディングにおいて、多数の位相値が存在する。例えば、Δφ*{0、1、2および3}のような4つの位相値は、Δφ=π/2(90度)に対して{0、π/2、πおよび3π/2}とそれぞれ同じであり、したがって、4つの位相値は、それぞれ0、1、2、3を示し得る。この例において、それぞれのシンボルは、2ビットであり、ビットレートは、ボーレートの2倍である。
【0020】
光距離測定応用の場合、搬送波周波数(Carrier Frequency)は、光周波数fであり、RF周波数fは、光搬送波(Optical Carrier)に変調される。シンボルの数(N)と持続期間(τ)が要求される距離精度と解像度を達成するために選択される。シンボルのパターンは、ノイズとコード化された(Coded)信号の他のソースから区別できるように選択される。したがって、送信された信号とリターンされた信号との間の強い相関関係は、反射されるか、または後方散乱した(Backscattered)信号の強い表示であり得る。送信された信号は、複数のシンボルブロックで構成され、それぞれのブロックは、ノイズが存在する場合でも、反射されるか、または後方散乱したリターンとの強い相関関係を提供するほど十分に長い。
【0021】
チャープ検出において、レーザー電力は、時間0から開始して制限されたパルス持続時間、τの間に供給される。パルスの周波数は、パルス持続時間τの間にfからfに増加するため、このように帯域幅B=f-fを有する。周波数変化率は、(f-f)/τである。
【0022】
リターンされた信号は、強度が減少され、Δtだけ遅延した送信された基準信号である。リターンされた信号が2Rの距離を移動(Covering)した後に、外部オブジェクトから受信されるとき、リターンされた信号は、2R/cで与えられる遅延した時間Δtで開始し、ここで、Rは、ターゲットまでの距離(Range)であり、cは、媒質内の光の速度(約3×10m/s)である。前記時間の間、周波数fは、距離に基づく量だけ変更され、周波数変化率に遅延時間を乗じて与えられる。これは、数式1aによって与えられる。
【数1a】

の値は、デチャーピング(De-chirping)と呼ばれるドメインミキシング動作で送信された信号とリターンされた信号との間の周波数差によって測定される。したがって、距離Rは、数式1bによって与えられる。
【数1b】

パルスが完全に送信された後にリターンされた信号が到着すると、すなわち、2R/cがτよりも大きければ、数式1aおよび1bは、有効ではない。この場合に、基準信号は、リターンされた信号が基準信号と重畳することを保証するように知られている量または定められた量だけ遅延し得る。基準信号の定められた遅延時間または知られている遅延時間は、数式1bから計算された距離に追加される追加距離を提供するために光の速度Cと乗じられる。媒質で光の速度の不確実性によって絶対距離は、不正確であり得るが、これは、ほとんど一定の誤差(Near-Constant Error)であり、周波数差を基盤とした相対的距離は、相変らず非常に正確である。
2.光検出ハードウェア概要
【0023】
新しいスキャニング技術を説明するために一部の一般的なハードウェアのアプローチが記述される。図1Aは、一実施例によって高解像度コヒーレントLIDARシステム100の例示的なコンポーネントを示すブロック図である。光信号は、矢印で表示される。電子的な(Electronic)有線または無線連結は、矢先がない線分で表示される。レーザー光源(Laser Source)112は、持続時間Dを有する位相コード化されるか、またはチャープされた光信号103を生成し、スプリッタ116の以前または以後に、変調器182aから位相または周波数変調された搬送波またはビーム101を放出する。スプリッタ116は、基準経路120に使用するための変調された(または、図示されたように、変調されない)光信号を分離(Split)する。ビーム101のエネルギーの大部分を有する本明細書で送信された信号(Transmitted Signal)とも呼ばれるターゲットビーム105が生成され得る。また、少ない量ではあるが、オブジェクト(図示せず)から散乱したリターンされたビーム191とよくミックスされるのに十分な量のエネルギーを有する変調されるか、または変調されていない基準ビーム107aが生成される。例示された実施例において、基準ビーム107aは、変調器182bで個々に変調される。基準ビーム107aは、基準経路120を通過し、基準ビーム107bとして1つ以上の検出器に指向される。一部の実施例において、基準経路120は、基準ビーム107bが関心距離の範囲(Spread of Ranges of Interest)内でLIDAR外部のオブジェクトから散乱した光とともに検出器アレイ130に到逹するのに十分な遅延を導入する。一部の実施例において、基準ビーム107bは、別個の発振器または光源から局部的に基準ビーム107bを生成する以前のアプローチを示す局部発振器(Local Oscillator、LO)信号と呼ばれる。
【0024】
送信された信号は、いくつかのスキャニング光学機器(Scanning Optics)118を介して関心領域を照明するために送信される。検出器アレイは、対をなしているか、または対をなしていない単一の検出器またはオブジェクトからリターンされたビーム191におおよそ垂直な平面に配列された対をなしているか、または対をなしていない検出器の1次元(1D)または2次元(2D)アレイであり得る。基準ビーム107bおよびリターンされたビーム191は、適切に検出される光特性信号を生成するために0またはその以上の光ミキサー184で結合され得る。干渉パターンの周波数、位相または振幅または一部の組み合わせは、獲得システム140によってそれぞれの検出器に対して信号持続時間Dの間、複数回記録され得る。信号持続時間当たり処理される時間的(Temporal)サンプルの数または累積時間(Integration Time)は、ダウン-レンジ規模(Down-Range Extent)に影響を与える。
【0025】
数または累積時間は、信号当たりシンボルの数、信号反復率(Signal Repetition Rate)および可用カメラフレームレート(Available Camera Frame Rate)に基づいて選択される実質的な考慮事項であり得る。フレームレートは、サンプリング帯域幅であり、「デジタイザー周波数(Digitizer Frequency)」と呼ばれる。距離規模(Range Extent)の唯一の根本的な限界は、レーザーのコヒーレンス(Coherence)長さおよび(明確な距離測定のために)それが繰り返す前のチャープまたは固有(Unique)位相コードの長さである。これは、リターンされたヘテロダイン(Heterodyne)信号またはビット(Bits)のデジタルレコードを以前の送信履歴から送信されたビットの任意の部分と比較されたり、交差相関できるため可能になる。
【0026】
獲得されたデータは、コンピュータシステムまたはチップセットのような処理システム150に利用可能に作られる。スキャナ制御モジュール154は、以下に説明される1つ以上の実施例によってスキャニング光学機器118を駆動するためのスキャニング信号を提供する。一部の実施例において、処理システム150の符号を有するドップラー補償(Signed Doppler Compensation)モジュール(図示せず)は、ドップラーシフトの符号と大きさを決定し得、任意の他の補正(ある場合)とともにそれに基づく補正された距離を決定し得る。また、処理システム150は、変調器182a、182bを駆動する1つ以上の電気信号を伝送するための変調信号モジュール(図示せず)を含み得る。一部の実施例において、処理システムは、またシステム100が設置される車両を制御するための車両制御モジュール152をさらに含む。
【0027】
任意の知られた装置またはシステムがレーザー光源112、変調器182a、182b、ビームスプリッタ116、基準経路120、光ミキサー184、検出器アレイ130、スキャニング光学機器118、または獲得システム140を行うために使用できる。瞳孔面(Pupil Plane)を通過する焦点またはターゲット上の焦点または投光照明(Flood)についての光カップリング(Optical Coupling)は図示されない。本明細書に使用されたように、光カプラ(Optical Coupler)は、他のものの中でも、真空、空気、ガラス、クリスタル、ミラー、レンズ、光サーキュレータ(Optical Circulator)、ビームスプリッタ、位相板(Phase Plate)、偏光子(Polarizer)、光ファイバー(Optical Fiber)、光ミキサーのような他のコンポーネントを単独または一部の組み合わせのように、1つのコンポーネントから他のコンポーネントに光を指向させるために空間座標内で光の伝搬(Propagation)に影響を与える任意のコンポーネントである。
【0028】
一部の実施例において、車両は、車両に取り付けられた高解像度ドップラーLIDARシステムから受信されたデータに基づいて少なくとも部分的に制御される。図1Aは、一実施例によって車両160に取り付けられた少なくとも1つの高解像度ドップラーLIDARシステム100を含むシステムを示すブロック図である。車両は、星161に表示された質量中心を有し、矢印163によって与えられた前方方向に移動する。一部の実施例において、車両160は、処理システム150の車両制御モジュール152のようなプロセッサの信号に応答して動作されるステアリングまたは制動システム(図示せず)のようなコンポーネントを含む。一部の実施例において、車両は、チップセット(Chip Set)のようなオン-ボード(On-Board)プロセッサ164を有する。一部の実施例において、オン-ボードプロセッサ164は、遠隔プロセッサと有線または無線で通信する。一部の実施例において、LIDARの処理システム150がオン-ボードプロセッサ164と通信可能に結合されたり、LIDARの処理システム150は、車両制御モジュール152が処理システム150にとって車両の方向および速度を制御するために車両のステアリングまたは制動システムに1つ以上の信号を送信させるように、オン-ボードプロセッサ164の動作を実行するのに使用される。
【0029】
高解像度ドップラーLIDARは、方位角視野(Field of View)174だけでなく、周辺の垂直角度(図2A参照)を介して一側から将来(Future)ビーム173によって表現される他側にスイープ(Sweep)するスキャニングビーム172を使用する。一部の実施例において、視界は、360度の方位角である。一部の実施例において、傾斜角の視野(Inclination Angle Field of View)は、約+10度ないし約-10度であるか、またはこれの部分集合である。
【0030】
一部の実施例において、車両は、当技術分野で広く公知されたGPSセンサ、走行距離計(Odometer)、回転速度計(Tachometer)、温度センサ、真空センサ、電圧または電流センサのような補助センサ(Ancillary Sensors)(図示せず)を含む。一部の実施例において、回転情報を提供するためにジャイロスコープ166が含まれる。
3.ポリゴンスキャニング概要
【0031】
図2Aは、一部の実施例で使用されるLIDARシステムの鋸歯型(Saw Tooth)スキャンパターンを示すブロック図である。スキャンは、(水平に)方位角(Azimuth Angle)および傾斜/偏位角(0の傾斜で水平方向(Level Direction)の上下垂直に)範囲をスイープ(Sweep)する。後述される様々な実施例において、他のスキャンパターンが使用される。例えば、一部の実施例において、適応型スキャニングは、Crouchの「光学距離測定システムを用いた適応型スキャニング方法とシステム(Method and System for Adaptive Scanning with Optical Ranging Systems)」、または「光学距離測定システムを用いた自動的なリアルタイム適応型スキャニング方法とシステム(Method and System for Automatic Real-time Adaptive Scanning with Optical Ranging Systems)」というタイトルのPCT特許出願で開示された方法を使用して行われ得る。それぞれの全体の内容は、ここに十分に記述されたように参照によって統合される。図2Bは、一実施例によって高解像度ドップラーLIDARシステムによって生成された例示的な速度ポイントクラウドを示すイメージである。
【0032】
図3Aは、一実施例によるスキャニング光学機器300の例示的なコンポーネントの平面図を示すブロック図である。スキャニング光学機器300は、本明細書で議論される特徴を有するシステム100のスキャニング光学機器118の実施例である。スキャニング光学機器300は、モーター357(図示せず)に結合され、回転軸343を中心に第1角速度349aで回転するように構成された第1ポリゴン偏向器344aからなる偏向器アセンブリ350を含む。図示された実施例において、偏向器アセンブリ350は、また、モーター357に結合され、回転軸343を中心に第2角速度349bで回転するように構成された第2ポリゴン偏向器344bを含む。2つのポリゴン偏向器344a、344bがスキャニング光学機器300に示されているが、2つより少ないか、またはより多くのポリゴン偏向器が他の実施例でスキャニング光学機器118に含まれ得る。実施例において、第1角速度349aは、第1固定回転速度を有し、第2角速度349bは、第1固定回転速度と異なる(例えば、それより小さいか、または反対である)第2固定回転速度を有する。例えば、第1角速度349aの第1固定回転速度は、毎分約1、000rpmないし約5、000rpmの範囲にあり、第2角速度349bの第2固定回転速度は、約300rpmないし約1、000rpmのような範囲にある。他の例として、第1角速度349aおよび第2角速度349bは、異なる方向(例えば、時計回りおよび反時計回り)を有する。2つのポリゴン偏向器の両方について正五角形(五角形)偏向器が表示されているが、他の実施例では、他の正多角形(Regular Polygon)またはポリゴン偏向器が使用されることがある。一部の実施例において、単一のビームは、多重ポリゴン偏向器に交互に配置される。そして、他の実施例において、複数の異なるビームは、それぞれ1つ以上のポリゴン偏向器の異なるセットに配置される。一部の実施例において、ポリゴン偏向器は、反射ファセットを有し、ポリゴン反射器という。
【0033】
反射器が反対方向に回転する一実施例において、第1ポリゴン偏向器344aの質量に対する第2ポリゴン偏向器344bの質量の割合は、第2角速度349bの回転速度に対する第1角速度349aの回転速度の割合とほぼ同じである。これは好ましい回転中のポリゴン偏向器344a、344bを実行するアセンブリに対する純角運動量が発生しないように保証し、これは車両が回転するように配置されるか、または異なる回転時に作動中のスキャニング光学機器300の安定性を達成する。
【0034】
図3Bは、実施例による偏向器アセンブリ350の分解図を示す概略図である。図示された実施例において、偏向器アセンブリ350は、モーター357に作動可能に結合される第1ポリゴン偏向器344aおよび第1ポリゴン偏向器344aを介して、モーター357に作動可能に結合される第2ポリゴン偏向器344bを含む。第1ポリゴン偏向器344aは、モーター357の駆動軸358および遊星ベアリング359に回転可能に取り付けられる。第1ポリゴン偏向器344aは、駆動軸358および遊星ベアリング359を収容するための凹部(図示せず)を含む。第2ポリゴン偏向器344bは、遊星変速ギア(Planetary Transmission Gear)354とリングギア(Ring Gear)352内に位置する駆動太陽ギア(Driver Sun Gear)356を有する第1ポリゴン偏向器344aに回転可能に取り付けられる。リングギア352は、第2ポリゴン偏向器344bの底面の穴(図示せず)内に収容される。遊星変速ギア354、駆動太陽ギア356および/またはリングギア352の複数のパラメータ(例えば、直径、数量など)は、第1ポリゴン偏向器344aの第1角速度349aの回転速度の大きさを第2ポリゴン偏向器344bの第2角速度349bの回転速度の大きさの割合に調整するために選択される。様々な実施例において、割合は、約3ないし約10の範囲、または約3ないし約30の範囲である。Nidec Copal(登録商標) Electronics、Inc.of Torrance、Calif.によって製造されたような、当業界に公知された任意の適切なモーターがモーター357として使用できる。地上メトリックスパーギヤ製品から選択されて結合されたS1EO5ZM05S072内部リングを含み、SDP/SI(登録商標)ギアで利用可能なリングギアをリングギア352、遊星変速ギア354または駆動太陽ギア346のうち、1つ以上の適切なギアを使用できる。
【0035】
ビームが偏向器の面に衝突するとき、ビームは、入射ビームに対する偏向角度で、例えば、偏向器面の反射表面に対する正反射の角度で偏向する。偏向器アセンブリ350の回転軸343から半径方向に垂直な平面に偏向器の反射面があることが一般的であり、このような配列は、現在の反射表面の使用に関連する次の問題を説明するために仮定する。しかし、面の方向がそうでなければ、同様の問題が発生する。また、説明のために、回転軸は、偏角が測定されるローカル垂直を指すものと仮定する。そして、回転軸に垂直な平面は、方位角のある水平である。しかし、回転軸がどの方向を指しても同じ問題と原理が適用される。
【0036】
水平スキャニングは、多くの場合、水平面から偏向器の内部ポイントに向かって、そして多くの場合、回転軸と水平面の交差点のようにポリゴン偏向器に刻まれた円の内部に衝突する光源/光学検出器のビームで行われる。ビームが内接円の外側に向けると、偏向器の面と交差していない偏向器の回転角度があるため、全く偏向していない角度があるであろう。一部の配列では、どのような偏向でもこのような間隔が適切であり得る。ビームが(図3Aに示されたように)回転軸を向かうと、ある回転角度で偏向器の反射面は、衝突するビームに垂直になり、ビームを光源側に再び反射して装置を離れるビームを妨害し、装置外部の周辺をスキャンする。
【0037】
図4Aは、回転軸に垂直な(水平)平面で非軸衝突ビームを使用した例示的なスキャニングを示すブロック図である。光源/光学検出器410からのビームは、回転軸443を中心に回転するポリゴン偏向器444の面に衝突する。ポリゴン偏向器444の面と回転軸の両方が図面の平面に垂直である。この構成において、ビームは、回転軸に向けられず、ビームは、光源/光学検出器410に再び反射されない。方位反射角度は、光学ビームが最初に面に衝突するときの角度B1421と面が光学ビームから回転するときの角度B2422との間の視野(Field of View)420で変化する。この方位視野420は、偏向器の面に垂直な方位角B3423に対して対称ではない。視野420は、光源/光学検出器410からのビームが回転軸443に向けた場合よりも小さく、しかし、これは、反射されたビームが光源/光学検出器410によって遮断されることを防止する。視野420は、ポリゴン偏向器444の大きさが増加するにつれて増加する。ポリゴン偏向器の大きさが増加すると、空間または重さが制限された車両のスキャニングシステムに不利になることがある。
【0038】
図4Bは、図4Aに示すように、回転軸に垂直な(水平)平面内または近くに衝突する非軸ビームを使用し、回転軸を含む面に垂直な対象平面上のスキャンされたスポット(Spots)の配列を示す。対象平面は、回転軸から200m離れている。水平軸は、水平面における距離をメートル単位で表す。そして垂直軸は、水平面の(0、0)の位置にあるビームに相対的であり、ポリゴン偏向器444の現在面に垂直に反射された垂直平面における距離をメートル単位で表す。水平ではないスポットは、光源/光学検出器410を1度(0(1°))程度の垂直角度で最大+/-10度まで段階的に調整することによって生成される。図示されたスポットは、偏向器の面に垂直な反射に対して対称ではないが、垂直により対称である。相対的に有用な長方形のスポットの配列は、垂直に約-75メートルから約+100メートル、水平に約-200メートルから約+500メートルで発見される。このような相対的に規則的な配列は、スキャニングシステムの周囲にあるオブジェクトの検出または識別を簡素化する。また、水平に近い垂直に数十メートルに広がったスポットの配列は、地表面がほぼ水平(小さい偏角)角度にあり、急な偏角や傾斜にほとんど利点がない陸上および海上車両に特に有用である。
【0039】
図5Aに示すように、光源/光学検出器によって遮断されず、ポリゴン偏向器の面でビームの軸上衝突角度に使用できるより広い方位視野を使用するために、図のように、非水平衝突ビームが使用された。図5Aは、回転軸を含む平面で軸上衝突ビームを使用した例示的なスキャニングを示すブロック図である。光源/光学検出器510からのビームは、ダイヤグラムの平面で回転軸543を中心に回転するポリゴン偏向器544の面(図面の平面に垂直)に衝突する。回転は、偏向器アセンブリのモーターおよびサスペンション550の構成要素によって提供される。この構成において、ビームは、水平面の上にある光源/光学検出器510に再び反射されない(水平面は、0と同じ偏角D3423にある)。その結果、非ゼロの偏角D4が反射されたビームに課せられる。光源/光学検出器510の偏角が偏角D1から角度D2522に変化することによって、偏角視野520がカバーされる。ポリゴンが回転することにより、方位反射角度は、角度A(ビームが面に最初に衝突するとき)と角度-A(面がビームの外に回転するとき)との間の視野(図示せず)で変わる。この方位視野は、偏向器の面に垂直な方位角に対して対称である。衝突ビームの方位接近角度が回転軸543を向かうため、図4Aに示された視野420よりもはるかに大きい方位視野が得られる。したがって、より小さいポリゴン偏向器を使用して与えられた範囲で同じ水平範囲を達成することができる。より小さいポリゴンを使用すると、空間または重さが制限された車両のスキャニングシステムに有利である。
【0040】
非ゼロの偏角の短所は、垂直変位が図4Aの水平衝突で発生するよりも対象平面までの距離が増加するにつれて、より速く増加するというものである。図5Bは、回転軸に垂直な(水平)平面から離れている衝突ビームを使用してスキャンされたスポットの配列を示す。対象平面は、回転軸からの距離Rにある。水平軸は、水平面における距離をキロメートル単位で表す(km、1km=103m)。そして、垂直軸は、水平面で(0、0)位置のビームに対する垂直平面の距離をkm単位で表し、ポリゴン偏向器544の現在面に垂直に反射する。異なる垂直行のスポットは、光源/光学検出器510をD1521とD2522との間の垂直角で次第に調整することによって生成される。図4Bと比較すると、ここに示されたスポットは、偏向器の面から垂直な反射に対して対称であり、方位的にはるかに広い。しかし、垂直的にそれほど対称的ではない。前述したように、地表面の車両の場合、相対的に有用な長方形の関心領域は、例えば、0から-0.1R程度の距離の小さい偏角にある。対照的に、図5Bの示されたスポットのパターンは、視野の左側と右側に対する方位角のための有用な領域をはるかに外れている。方位の範囲で得られたものは、視野の外縁にある有用な水平スポットの近くで損失された。この相対的に不規則な配列は、スキャニングシステム、特に地表面車両のスキャニングシステムの近くにあるオブジェクトの検出または識別を複雑にする。
4.ポリゴン格子(Polygonal Grating)
【0041】
様々な実施例において、図4Bに示されたパターンにほぼ水平傾斜/偏位角度を図5Bに示されたパターンでポリゴン偏向器544の反射表面を格子で置き換えることによって、より広い水平カバレッジが達成される利点を確認できる。一部の実施例において、水平またはほぼ水平傾斜/偏位角度は、法線方向ファセットの+10度ないし-10度以内であり得る。一部の実施例において、水平またはほぼ水平傾斜/偏位角度は、法線方向ファセットの+5度ないし-5度以内であり得る。
【0042】
一実施例によると、図6Aは、ポリゴン偏向器の面(またはファセット)で使用されるブレーズド回折格子を示すブロック図である。すべての光学格子と同様に、ブレーズド回折格子は、格子による波長分割の大きさを決定する一定の線間隔dを有する。ブレーズド回折格子において、以下ルーリングラインと呼ばれる格子ラインは、三角形の鋸歯状の断面を有し、階段構造を形成する。階段は、以下でファセットと呼ばれるポリゴンの面に対していわゆるブレーズ角度θで傾いている。したがって、ファセット法線とルーリング法線との間の角度はθある。ブレーズ角度は、使用された光の波長ついての効率性を最大化するように最適化され、ブレーズ角度で表面に対する反射表面をしばしば含む。具体的に、これはルーリングラインによって回折したビームと階段構造で反射されたビームがすべて同じ方向に偏向するようにθが選択されたことを意味する。ブレーズ角度に近い角度では、入射エネルギーの相当部分が依然として高効率で偏向する。Littrow構成で入射角と偏向角は、同じである。本明細書の一部の実施例で使用されるブレーズド回折格子のためのNon-Littrow構成において、入射角は、ファセット法線ではないが、偏向したビームがあるため、ブレーズ角度は、入射角の範囲内の入射角の半分または半分に近くなるように選択される。これにより、入射角で光源/光学検出器がすべての方位角で偏向したビームの妨害にならないため、より小さいポリゴン偏向器でより広い方位視野を許容しながらも、地上車両のような多くの応用分野でほとんど関心のない大きな垂直移動を防止するために依然としてほぼ水平に偏向したビームを脱するようにする。
【0043】
一実施例によって図6Bは、ブレーズド回折格子ファセットおよび回転軸を含む平面で軸上衝突ビームを有するポリゴン偏向器を使用する例示的なスキャニングシステムを示すブロック図である。光源/光学検出器610からのビームは、ダイヤグラムの平面で回転軸643を中心に回転するポリゴン偏向器644の面(図面の平面に垂直)に衝突する。回転は、偏向器アセンブリのモーターおよびサスペンション550のコンポーネントによって伝達される。この構成において、ビームは、水平平面の下にある光源/光学検出器610に再び反射されない(水平平面は、0のような偏向した角度E3623を有する)。しかし、光源/光学検出器610は、ビームが水平の下のブレーズ角度の2倍またはその近くにあるファセットに衝突するように誘導し、すべての偏向したビームが角度E3623の水平またはほぼ水平になるようにする。点線の矢印で示されている衝突ビームのように、衝突ビームがα=2θに入射するとき、偏向したビームE3623は水平である。オブジェクトからリターンされたビームは、点線の矢印で表示されたように、同一の角度を逆方向に従う。光源/光学検出器510の入射角がブレーズ角度の2倍よりも若干小さいか、または若干大きく変わるため、偏向したビームは、水平(正の傾斜角)よりもわずかに高い角度E1621から水平よりも若干低い角度E2622(負の傾斜角または正の偏位角)に変わる傾斜角/偏位角を有する。したがって、水平に近い傾斜/偏位視野620がカバーされる。ポリゴンが回転することにより、方位反射角度は、ビームが最初の面に衝突するときの角度Aから面がビームの外に回転するときの角度-Aとの間の視野(図示せず)まで変化する。この方位視野は、偏向器の面に垂直な方位角に対して対称である。
【0044】
衝突ビームの接近方位角度が回転軸643を向かうため、図4Aに示された視野420よりもはるかに大きい方位視野が得られる。したがって、与えられた距離で同じ水平範囲を達成するために、より小さいポリゴン偏向器を使用できる。より小さいポリゴンを使用すると、空間または重さが制限された車両のスキャニングシステムに有利である。偏向角が水平に近いために、図5Bに示すように、対象平面で垂直範囲の歪みがない。
【0045】
一実施例によって図6Cは、ブレーズド回折格子ポリゴン偏向器とブレーズ角の2倍またはその付近で衝突ビームを使用してスキャンされたスポットの配列を示す。対象平面は、回転軸から距離Rにある。水平軸は、水平面の距離をkm単位で表す。そして、垂直軸は、水平面の(0、0)位置に対するビームとポリゴン偏向器544の現在面に垂直に反射されるkm単位で回転軸を含む垂直面での距離を示す。異なる垂直に分離された列のスポットは、ブレーズ角度の2倍に近い垂直角度で光源/光学検出器610を次第に調整することによって生成される。図4Bとは対照的に、図示されたスポットは、偏向器の面で垂直であり、方位的にはるかに広い反射について対称である。図5Bとは対照的に図6Dのように反復された垂直分布は、垂直にはるかに対称的である。前述したように、地上車両の場合、相対的に有用な長方形の関心領域は、例えば、0から+/-0.1R程度の距離のような小さい傾斜角および偏位角にある。対照的に、図6Dに示されたスポットのパターンは、視野の左側と右側に対する方位角の有用な領域をはるかに外れている。視野の外縁にある有用なほぼ水平スポットで損失した部分は、ブレーズド回折格子で構成された面を有するポリゴン偏向器を使用して回復された。この不規則性の少ない配列は、スキャニングシステム、特に地上車両のスキャニングシステムの近くにあるオブジェクトの検出または識別を簡素化する。
【0046】
回折の物理式は、数式2aで説明される。
【数2a】

ここで、dはルーリング間隔、αは入射角、βはすべてのファセットの法線に対する偏向角度、λは光学波長、mはモード番号であり、ほとんどのエネルギーは、モードm=1を有する。様々な実施例において、偏向したビームは、ファセットに垂直であり、入射ビームとは異なる設計になるため、β=0である。したがって、入射角αは、数式2bによって与えられる。
【数2b】

コヒーレントLIDARで使用される与えられた光学波長に対してライン間隔d、次数mおよび入射角αを選択すると、出力されるビームがポリゴン表面に垂直になり、水平面のポリゴン偏向器のように動作できる。
【0047】
m=1次数に光の効率を最大化するために、適切なブレーズド回折格子が使用されることができる。ブレーズ波長は、一般的に入射角と偏向角が同一であるとき、Littrow構成について定義される。しかし、図6Aに示された格子の構成は、Littrow角度ではない。したがって、適切なブレーズ波長は、標準Littrowブレーズ波長と異なる。図6Aにおいて、偏向したビームは、ファセットに垂直するように設計されているため、β=0であり、偏向した1次で効率を最大化するために、ブレーズ角度が入射角の半分になるように選択される。ブレーズ角度は、数式3によって与えられる。
【数3】

したがって、一部の実施例において、入射角α、格子ルーリング間隔dおよびブレーズ角度θは、出射ビームと入射ビームの両方に影響を与える高回折効率のためにLIDAR作動波長に対して共通に選択され、最適化されることが有利である。
【0048】
回折ポリゴンで垂直軸をスキャンする方法についての実用的なオプションには、少なくとも2つの種類がある。最初は、垂直スキャン方向は、ファセットに対して固定された検流計(Galvo、Galvanometer)(例えば、レンズを介してレーザービームを調整するモーター駆動ミラーセット)を使用した後、ファセット間の切り替えによってビームが「遮断(Broken)」され、次のファセットの上に再度固定された状態で少量を移動するものである。二番目のオプションは、それぞれのファセットに対して回折格子に異なるルーリング間隔dを使用するものである。これにより、それぞれの面に対して異なる回折ビーム角度が発生して1つのファセットに対して水平スイープを効果的に行い、次のファセットに他の水平スイープを行いが、垂直角度は異なる。したがって、回折ポリゴンに対して同様の量の垂直スキャン距離を得られるべきである。
【0049】
一部の実施例において、衝突ビームは、複数のビームで構成され、例えば、互いに~0.57°の角度間隔で4つのビームのような小さい垂直の角度で構成される。したがって、ポリゴンがビームの各グループが2.28°(余分な空間を含む)の角度拡散を有する四面体である場合、それぞれのファセットに異なるブレーズ角度を使用して総~10°の垂直視野に到達し得、それぞれの線は、0.57°間隔で配置される。ビームの間の角度が増加したり、ファセットの数が増加すると、垂直視野が増加する。
【0050】
例示的な実施例において、波長は、約1、550ナノメートル(nm、1nm=10-9メートル)である。モード1回折およびmm当たり600ライン(例えば、d=1.666ミクロン、1ミクロン=1マイクロメーター、μm、=10-6メートル)のピッチ(1/d)を有する格子の場合、光源/光学検出器を避けるため、約68度の入射角がファセットに対して垂直に偏向したビームを達成する。ブレーズ角度は、約34度の半分である。対照的に、Littrow構成および同じ間隔のブレーズ波長は、約1、874nmである。
【0051】
回折エネルギーの大部分が第1モードに入り、信号対雑音比がリターンされたビームでできるだけ大きくなると有利である。適切に調整されたシステムの場合、第1モードに入る光学エネルギーは、高精度の格子について90%の効率になり得る。図7は、Littrow構成で複数の候補波長についてのブレーズド回折格子の波長対効率の構成である。直接適用することはできないが、光源/光学検出器を避けることができる非水平入射角から水平に偏向したビームのエネルギーを効率的に入れるブレーズド回折格子の適合性を示す。この構成は、Littrow構成に対して1、200nmから1、850nmまでの様々な波長の光に最適化された様々な格子ピッチ(ルーリング間隔dの逆数)について最初の回折次数(m=1)に送信される光の量を示す。1、200nmでミリメートル当たり300ライン(mm、1mm=10-3メートル)の格子ルーリングは、Littrowで約74%の効率を提供する。1、300nmでミリメートル当たり400ラインの格子ルーリングは、Littrowで約88%の効率を提供する。1、700nmでミリメートル当たり300ラインの格子ルーリングは、Littrowで約82%の効率を提供する。1、850nmでミリメートル当たり600ラインのブレーズド回折格子ルーリングは、Littrowで約76%の効率を提供する。これらの性能は、様々な実施例に適切である。
【0052】
したがって、第1実施セットにおいて、光学スキャニングシステムは、モーター357、光学ビームのための光源(例えば、光源/光学検出器610)、およびポリゴン偏向器644(本明細書で「マルチファセット偏向器」)を含む。マルチファセット偏向器のそれぞれのファセットは、ファセット法線方向を有する。マルチファセット偏向器は、モーターに作動可能に結合され、光源から光学ビームを偏向させるために回転軸を中心に角速度で回転するように構成される。光源は、光学ビームが各ファセットについてのファセット法線方向から離隔した第1平面における入射角で回転軸を含む第1平面でマルチファセット偏向器上に入射されるように構成される。少なくとも1つのファセットは、ファセット法線方向の10度内の偏向角度に第1入射角で光学ビームを偏向させるように選択されたファセットルーリング間隔を有する格子で覆われている。
【0053】
第1セットの一部の実施例において、格子は、ファセット上のそれぞれのルーリングに対する第1入射角の半分と同じファセットルーリング法線方向を有する反射ブレーズド回折格子である。第1セットの一部の実施例において、光学ビームは、第1入射角の40度内の第1平面における異なる第2入射角で第1平面でマルチファセット偏向器上に入射される。第1セットの一部の実施例において、マルチファセット偏向器の第1平面は、多辺ブレーズド回折格子の他の第2平面と他の格子間隔を有し、これにより、第1入射角で入射される光学ビームは、第1平面によって第1偏向角度に偏向し、第2平面によって異なる第2偏向角度に偏向する。第1セットの一部の実施例において、光学ビームの光源は、複数の光学ビームのうち、1つの光源であり、複数の光学ビームは、複数の異なる入射角で回転軸に近づく。
【0054】
第2セットの実施例において、光学スキャニングシステムのためのマルチファセット偏向器は、本体の中心軸に対して複数の外向きファセットを有する本体を含む。マルチファセット偏向器のそれぞれのファセットは、ファセット法線方向を有し、ファセットルーリング間隔が0.8ミクロンから10ミクロンの範囲である反射ブレーズド回折格子で覆われている。高効率のためのルーリング間隔dは、一般的に作動波長λの50%よりも大きい。しかし、十分な回折角を得るのに有利であるように、間隔は作動波長の10λ未満である。したがって、0.5λないし10λ範囲の格子ルーリング間隔dが有利であり、より有利なのは、2λないし5λ範囲の格子ルーリング間隔dである。
【0055】
一部の実施例において、それぞれのファセットは、また10度ないし40度範囲のファセット上の各ルーリングに対するブレーズ角度で法線方向に対するファセットルーリング法線方向を有し、したがって、最大化した入射角は、スキャニング偏向ビームと衝突したり、干渉したりしないように、光源/光学受信機が出ることを許容する。中心軸に垂直な平面におけるマルチファセット偏向器の断面は、0.5cmから10cm範囲の最大直径を有する。格子面を使用するときに有用なより小さなポリゴンを活用するために5cm(2インチ)に近い直径が使用される。したがって、一部の実施例において、断面は、4センチメートルから6センチメートルまたは0.5センチメートルから5センチメートル範囲の最大直径を有する。
【0056】
様々な実施例において、複数のファセットは、それぞれの中心軸に垂直な法線方向を有するのに対し、一部の実施例において、複数のファセットは、それぞれの中心軸に垂直ではない法線方向を有する傾斜面を有する。様々な実施例において、中心軸に垂直なマルチファセット偏向器の断面は、規則的または不規則なポリゴンの形状を有する。様々な実施例において、少なくとも1つの格子面が一緒にまたは異なる速度で、さらには反対方向に動く2つ以上のマルチファセット偏向器がLIDARスキャニング光学機器118の一部として偏向器アセンブリに結合される。
5.変更、拡張、および変形(Alterations、Extensions and Modifications)
【0057】
前述の詳細な説明において、本明細書は、その具体的な実施例に関連して記述された。しかし、本発明のより広い思想および範囲から逸脱することなくても、様々な変更および変形が行われることは自明である。したがって、詳細な説明と図面は、限定的な意味より例示的な意味としてみなされるべきである。本明細書および請求の範囲全体において、文脈が別段必要でない限り、「含む」および「備える」と「備えて」のような変形は、明示された項目、要素、ステップ、項目のグループ、要素のグループまたはステップのグループを含むが、任意の他の項目、要素、ステップ、または項目のグループ、要素のグループ、またはステップのグループを除外するものではない。さらに、不定冠詞「1つ」は、この冠詞によって変形された項目、要素またはステップのいずれか1つ以上を示す意味を持つ。
【0058】
広い範囲を提示する数値の範囲とパラメータは、たとえ近似値であっても、具体的な非-限定的な例で意味する数値は、できるだけ正確に報告される。しかし、任意の数値は、本明細書の作成時点で各実験測定で発見される標準偏差から生じざるを得ない特定の誤差を内在的に含む。さらに、文脈から明らかでない限り、本明細書に示された数値は、最下位の数字によって与えられた含蓄された精度を有する。したがって、値1.1は、1.05から1.15までの値を暗示する。「約」という用語は、与えられた値を中心により広い範囲を示すために使用され、文脈から明らかでない限り、「約1.1」が1.0から1.2まで範囲を暗示するように、最下位の数字周辺のより広い範囲を暗示する。もし、最下位の数字が不明であれば、「約」という用語は、2倍を意味する。例えば、「約X」は、0.5Xから2Xまでの範囲内の値を暗示する。例えば、「約100」というのは、50から200までの範囲内の値を暗示する。さらに、本明細書に開示されたすべての範囲は、その中に含まれる任意の範囲とすべての下位の範囲を含むものと理解されるべきである。例えば、「10未満」の範囲は、0の最小値と10の最大値との間(含む)の任意の範囲と下位の範囲すなわち、0と同じであるか、またはより大きい最小値10と同じであるか、またはより小さい最大値を有する任意の範囲と下位の範囲、例えば、1ないし4を含み得る。
【0059】
本明細書において、一部の実施例は、個人自動車上の単一フロント装着高解像度ドップラーLIDARシステムに関連して以下に説明される。しかし、実施例は、前記の内容に限定されない。他の実施例において、重複または重複しない視野を有するドップラーコンポーネントの有無にかかわらず、同じタイプまたは異なる高解像度LIDARの1つまたは複数のシステム、1つまたは1つ以上のそのようなシステムがより小さいか、またはより大きい陸上、海上または空中操縦または自動運転車に取り付けられる。他の実施例において、スキャニング高解像度LIDARは、陸上または海上の一時的または恒久的に固定位置に取り付けられる。
図1A
図1B
図2A
図2B
図3A
図3B
図4A
図4B
図5A
図5B
図6A
図6B
図6C
図6D
図7
【手続補正書】
【提出日】2021-09-16
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モーターと、
光学ビームを生成するように構成されたレーザー光源(Laser Source)と、
複数のファセット(Facet)を含む偏向器と、を含み、
前記複数のファセットのうちの第1ファセットは、ファセット法線方向(Facet Normal Direction)を有し、前記第1ファセットは、i)作動波長の10倍未満であり、ii)0.8ミクロンから10ミクロンの距離にある第1間隔を有する第1光学素子で覆われ、
前記偏向器は、前記モーターに結合され、前記レーザー光源からの前記光学ビームを偏向させるために回転軸を中心に回転するように構成され、
前記レーザー光源は、第1平面から第1入射角で前記偏向器に入射されるように、前記光学ビームを指向するように構成され、前記第1平面は、回転軸を含み、前記第1入射角は、前記第1ファセットに対する前記ファセット法線方向から離隔され、
前記複数のファセットのうちの第2ファセットは、前記第1入射角で前記光学ビームを偏向した角度(Deflected Angle)に偏向させるように構成された光学素子を含むLIDARシステム。
【請求項2】
前記第2光学素子は、前記第1ファセット上の各ルーリング(Ruling)に対する前記第1入射角の半分と同じであるか、またはほぼ同じファセットルーリング法線方向(Facet Ruling Normal Direction)を有する請求項1に記載のLIDARシステム。
【請求項3】
前記偏向した角度は、前記ファセット法線方向の10度以内である請求項2に記載のLIDARシステム。
【請求項4】
前記偏向器の第1ファセットで前記光学ビームについてのアタック角度(Attack Angle)を変更するように構成されたステッピングモーター(Stepping Motor)をさらに含む請求項1に記載のLIDARシステム。
【請求項5】
前記第2光学素子は、第2間隔を含み、前記第1光学素子の前記第1間隔は、前記第2光学素子の前記第2間隔と異なる請求項1に記載のLIDARシステム。
【請求項6】
前記偏向器の各ファセットは、前記回転軸に垂直な法線方向を有し、前記第2光学素子は、反射ブレーズド回折格子(Reflective Blazed Grating)である請求項1に記載のLIDARシステム。
【請求項7】
前記回転軸に垂直な前記偏向器の断面は、多辺形(Polygonal)形状を有する請求項1に記載のLIDARシステム。
【請求項8】
前記光学素子の断面は、三角形または鋸歯形状である請求項1に記載のLIDARシステム。
【請求項9】
前記レーザー光源は、複数の光学ビームの光源であり、前記複数の光学ビームが複数の異なる入射角で前記回転軸に近づくように構成される請求項1に記載のLIDARシステム。
【請求項10】
前記複数の異なる入射角は、前記第1入射角の40度以内である請求項9に記載のLIDARシステム。
【請求項11】
前記回転軸に垂直な前記偏向器の断面は、0.5cmないし5.0cm範囲の最大直径を有する請求項1に記載のLIDARシステム。
【請求項12】
前記偏向した角度は、前記ファセット法線方向に対して水平またはほぼ水平である請求項1に記載のLIDARシステム。
【請求項13】
請求項1ないし請求項12のいずれか一項に記載のLIDARシステムを含む自律走行車の制御システム。
【請求項14】
請求項1ないし請求項12のいずれか一項に記載のLIDARシステムを含む自律走行車。
【請求項15】
1つ以上の信号をステアリングシステムまたは制動システムのうち、少なくとも1つに送信するように構成された処理回路(Processing Circuit)をさらに含む請求項14に記載の自動走行車。
【国際調査報告】