(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-26
(54)【発明の名称】ガスの充填及び回収装置
(51)【国際特許分類】
F17C 5/06 20060101AFI20220119BHJP
F17C 13/04 20060101ALI20220119BHJP
F17C 13/00 20060101ALI20220119BHJP
F17C 7/00 20060101ALI20220119BHJP
F16K 17/30 20060101ALI20220119BHJP
【FI】
F17C5/06
F17C13/04 301D
F17C13/04 301
F17C13/00 301A
F17C13/00 301C
F17C13/00 301Z
F17C7/00 A
F16K17/30 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021520347
(86)(22)【出願日】2018-10-18
(85)【翻訳文提出日】2021-06-07
(86)【国際出願番号】 FR2018052601
(87)【国際公開番号】W WO2020079329
(87)【国際公開日】2020-04-23
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520038091
【氏名又は名称】アルクリーズ フルーイド コントロール アンド サービシズ
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】エイラル オリヴィエ
(72)【発明者】
【氏名】ジグモンド ゾルト
【テーマコード(参考)】
3E172
3H060
【Fターム(参考)】
3E172AA02
3E172AA05
3E172AB01
3E172BA01
3E172BB04
3E172BB12
3E172DA88
3E172EA02
3E172EB02
3E172EB21
3E172JA08
3H060AA02
3H060BB03
3H060CC40
3H060DA02
3H060DC05
3H060DD05
3H060DD12
3H060DE01
3H060HH07
3H060HH20
(57)【要約】
ガスの充填及び回収装置(1)であって、
貯蔵容器(RE)に接続できる貯蔵コネクタと回収装置に接続できる回収コネクタとを有する回収回路と、
容器に充填するための加圧ガス源(SO)に接続できる充填コネクタ(8)を有する充填回路(7)と、を備え、
この充填コネクタは、内部に充填ダクトを区画し、前記充填ダクト内に横方向へ開口するドレンオリフィスを有するピストンを備え、このピストンは、外部(EXT)に接続される漏出回路(10)に接続されたドレンダクトが設けられたドレンボディの内部で、
ドレンオリフィスがドレンダクトと一致しない開位置と、
ドレンオリフィスがドレンダクトと一致して前記充填ダクトと漏出回路とが連通する閉位置と、の間で移動可能である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスの充填及び回収装置(1)であって、
加圧されたガスの貯蔵容器(RE)と接続するように構成された貯蔵コネクタ(3)が設けられた上流端部(21)と、減圧されたガスを回収するための回収装置と接続するように構成された回収コネクタ(25)が設けられた下流端部(22)とを有する回収回路(2)であって、少なくとも1つの被駆動分離ゲート(4)及び少なくとも1つの圧力調節器(5,6)を備える回収回路と、
貯蔵容器(RE)に充填するための加圧ガス源(SO)と接続するように構成された充填コネクタ(8)が設けられた上流端部(71)と、回収回路(2)の上流端部(21)に接続された下流端部(72)とを有する充填回路(7)と、
を備え
充填コネクタ(8)が、内部に充填ダクト(82)を区画し、前記充填ダクト(82)内に横方向へ開口する少なくとも1つのドレンオリフィス(816)を有するピストン(81)を備え、前記ピストン(81)が、外部(EXT)に接続される漏出回路(10)に接続されたドレンダクト(841)が設けられたドレンボディ(84)の少なくとも内部で移動可能であり、前記ドレンダクト(841)が、ピストン(81)の周りに取り付けられた2つのシール(817)の間でピストン(81)の外周に開口し、前記ピストン(81)が、
前記充填ダクト(82)と充填回路(7)の上流端部(71)とが連通し、ドレンオリフィス(816)がドレンダクト(841)と一致しない開位置と、
前記充填ダクト(82)と充填回路(7)の上流端部(71)との間の連通を遮断し、ドレンオリフィス(816)がドレンダクト(841)と一致して前記充填ダクト(82)と漏出回路(10)とが連通する閉位置と、
の間で選択的に移動可能であることを特徴とする装置(1)。
【請求項2】
請求項1に記載の装置(1)において、
充填コネクタ(8)は、充填ダクト(82)を閉鎖する上流位置と充填ダクト(82)を開放する下流位置との間でシート(833)に対して移動可能な分離フラップ(85)を備え、ピストン(81)が、
前記ピストン(81)が前記分離フラップ(85)にその下流位置へ向かって作用するその開位置と、
前記ピストン(81)が分離フラップ(85)に作用せずに付勢部材(86)によって上流位置へ向かって付勢されるその閉位置と、
の間で選択的に移動可能である装置(1)。
【請求項3】
請求項1または2に記載の装置(1)において、
ピストン(81)がねじ締め込み/緩めによって変位可能である装置(1)。
【請求項4】
請求項1から3の何れか1つに記載の装置(1)において、
貯蔵コネクタ(3)が、回収回路(2)の上流端部(21)に接続された主通路(31)と、漏出回路(10)に接続され且つ2つの同心のシール(33,34)の間で開口する漏出通路(32)とを有する装置(1)。
【請求項5】
請求項1から4の何れか1つに記載の装置(1)において、
少なくとも1つの圧力調節器(5,6)は、
入口にある高圧チャンバ(56,66)と、
出口にある低圧チャンバ(513,613)と、
一側で低圧チャンバからのガスに押圧され、他側で第1付勢部材に押圧される可動の調節部(52,62)と、
調節部(52,62)と協働し、且つ、低圧チャンバ(513,613)と高圧チャンバ(56,66)との間の連通を遮断する上流位置と、低圧チャンバ(513,613)と高圧チャンバ(56,66)との間の連通を可能にする下流位置との間で、膨張シート(552,652)に対して移動可能な調節フラップ(572,672)と、
を備え、
低圧チャンバ(513,613)のガスの圧力が予め定められた閾値を超えると、調節フラップ(572,672)が上流位置になり、低圧チャンバ(513,613)が漏出回路(10)に接続された排出通路(14,15)と連通する装置(1)。
【請求項6】
請求項5に記載の装置(1)において、
回収回路(2)は直列に接続された2つの圧力調節器(5,6)を備え、各圧力調節器(5,6)が、漏出回路(10)に接続された排出通路(14,15)であって、前記低圧チャンバ(513,613)内のガス圧力が各圧力調節器(5,6)に固有の予め定められた閾値を超えたときに、対応する低圧チャンバ(513,613)と連通するように配置された排出通路(14,15)を有する装置(1)。
【請求項7】
請求項1から6の何れか1つに記載の装置(1)において、
漏出回路(10)が逆止弁(11)を有する装置(1)。
【請求項8】
請求項1から7の何れか1つに記載の装置(1)において、
漏出回路(10)が、回収回路(2)の下流端(22)に接続された入口(120)と、漏出回路(10)に接続された排出口(121)とを有する低圧安全弁(12)を備えている装置(1)。
【請求項9】
請求項1から8の何れか1つに記載の装置(1)において、
さらに、回収回路(2)の上流端(21)に接続された上流端(91)と、外部(EXT)に接続された下流端(92)とを有する安全回路(9)を備え、前記安全回路(9)は、高圧安全弁(93)及び/または高温安全弁(94)から選択される少なくとも1つの安全弁を有する装置(1)。
【請求項10】
請求項9に記載の装置(1)において、
安全回路(9)は、少なくとも1つの安全弁(93,94)と並列に配置された、フローリミッタを備えたドレンタップ(95)を有する装置(1)。
【請求項11】
請求項1から10の何れか1つに記載の装置(1)の使用方法において、
貯蔵コネクタ(3)が加圧された水素ガスの貯蔵容器(RE)に接続され、回収コネクタ(25)が燃料電池型の回収装置に接続される装置(1)の使用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスの充填及び回収装置に関する。
【0002】
本発明は、特に、加圧されたガスを貯蔵するための容器に接続される貯蔵コネクタと、減圧されたガスを回収するための回収装置に接続される回収コネクタとを備えた回収回路と、貯蔵容器に充填するための加圧ガス源に接続するように構成される充填コネクタを備えた充填回路とを有するガスの充填及び回収装置に関する。
【背景技術】
【0003】
本発明は、特に自動車内の燃料電池タイプの回収装置に供給するための水素ガスの充填と回収に、特に非限定的に適用されるものである。
【0004】
一般に1barと5barの間の低い圧力でガスを分配するために、水素ガス貯蔵タンクで一般に350barと700barの間の高い圧力下でガスを回収するためには、必要に応じて貯蔵容器に充填し、さらに分離、安全、及びガスの排出操作を含むガスの回収操作を制御するために、圧力源との接続を可能にする機能を有するガスの充填及び回収装置ないしタップを使用することが不可欠である。
【0005】
この種の技術は、危険な状況(過度の温度及び/または圧力)が発生した場合にタンクの内容物を外部に排出するために、回収回路に接続され且つ安全弁を有する安全回路が設けられているガスの充填及び回収用タップを開示している特許文献1に教示されている。
【0006】
また、充填時に開いて加圧ガス源との接続解除時に閉じられる分離フラップが組み込まれた充填コネクタを使用することが特許文献2に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】国際公開第2013/135983号
【特許文献2】国際公開第2013/014355号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
貯蔵容器の充填終了時には、充填コネクタを加圧ガス源から連結解除することが必要であり、そのためには、一体になった分離フラップの上流の充填コネクタの内部を大気圧に戻すことが必要となる。そうするために、充填コネクタの上流で減圧して連結解除できるようにする機能を有するドレンシステムを加圧ガス源に組み込むことが知られている。しかしながら、このドレンシステムが故障した場合には、充填コネクタのレベルで安全性や取り扱いの問題が生じる。
【0009】
本発明の目的は、特に、加圧ガス源に組み込まれたドレンシステムが故障した場合であっても、充填コネクタと加圧ガス源との間の連結解除に必要な減圧を確実に行うことができるガスの充填及び回収装置を提案することにより、前述の欠点を解消することである。
【0010】
本発明の他の目的は、充填、回収、減圧、及び特に外部または下流への漏出リスクについての安全機能を有するガスの安全な調節を保証するすべての機能を統合した充填及び回収装置を提供することである。
【0011】
本発明の他の目的は、コンパクトで軽量な充填及び回収装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この目的のために、本発明に係るガスの充填及び回収装置は、
加圧されたガスの貯蔵容器と接続するように構成された貯蔵コネクタが設けられた上流端部と、減圧されたガスを回収するための回収装置と接続するように構成された回収コネクタが設けられた下流端部とを有する回収回路であって、少なくとも1つの被駆動分離ゲート及び少なくとも1つの圧力調節器を備える回収回路と、
貯蔵容器に充填するための加圧ガス源と接続するように構成された充填コネクタが設けられた上流端部と、回収回路の上流端部に接続された下流端部とを有する充填回路と、
を備え
前記装置は、充填コネクタが、内部に充填ダクトを区画し、前記充填ダクト内に横方向へ開口する少なくとも1つのドレンオリフィスを有するピストンを備え、前記ピストンが、外部に接続される漏出回路に接続されたドレンダクトが設けられたドレンボディの少なくとも内部で移動可能であり、前記ドレンダクトが、ピストンの周りに取り付けられた2つのシールの間でピストンの外周に開口し、前記ピストンが、
前記充填ダクトと充填回路の上流端部とが連通し、ドレンオリフィスがドレンダクトと一致しない開位置と、
前記充填ダクトと充填回路の上流端部との間の連通を遮断し、ドレンオリフィスがドレンダクトと一致して前記充填ダクトと漏出回路とが連通する閉位置と、
の間で選択的に移動可能であることを特徴とする。
【0013】
したがって、充填コネクタと加圧ガス源との連結が解除されると、ピストンが閉位置に移動し、それによってドレンオリフィスがドレンダクトと一致し、漏出回路ひいては外部へ流れるドレンを介して自動的な減圧が可能になる。この連結解除時の自動ドレン流出は、ドレンダクトがピストンの周りに取り付けられた2つのシールの間でピストンの外周に開口しているので、安全な二重シールバリアになる。
【0014】
一つの特徴によれば、充填コネクタは、充填ダクトの上流の閉位置と充填ダクトの下流の開位置との間でシートに対して移動可能な分離フラップを備え、ピストンは、
前記ピストンが前記分離フラップにその下流位置へ向かって作用するその開位置と、
前記ピストンが分離フラップに作用せずに付勢部材によって上流位置へ向かって付勢されるその閉位置と、
の間で選択的に移動可能である。
【0015】
したがって、充填コネクタが加圧ガス源から接続解除されると、この分離フラップの上流で自動的な減圧が自然に行われ、分離フラップは、ドレンオリフィスがドレンダクトと一致する配置になる前に閉じられる。
【0016】
他の特徴によれば、ピストンはねじ締め込み/緩めによって変位可能である。一般に、ピストンは、その開位置とその閉位置との間でのピストンの平行移動の動作を保証する任意の機械的な動作によって移動可能であり、ピストンは充填コネクタにしっかりと接続されたままである。変形例として、ピストンは、直角掛け機構(quarter-turn mechanism)または他の同等の機構により移動可能である。
【0017】
特定の実施形態では、貯蔵コネクタが、回収回路の上流端部に接続された主通路と、漏出回路に接続され且つ2つの同心のシールの間で開口する漏出通路とを有する。
【0018】
したがって、主通路のレベルで漏れが発生した場合は、漏出ガスが第1シールを通過すると、漏出ガスは第2のシールを通過するのではなく、自然に漏出通路へ、したがって漏出回路へ向かうため、この貯蔵コネクタのレベルで完全な安全性が保証される。
【0019】
特定の実施形態では、少なくとも1つの圧力調節器は、
入口にある高圧チャンバと、
出口にある低圧チャンバと、
一側で低圧チャンバからのガスに押圧され、他側で第1付勢部材に押圧される可動の調節部と、
調節部と協働し、且つ、低圧チャンバと高圧チャンバとの間の連通を遮断する上流位置と、低圧チャンバと高圧チャンバとの間の連通を可能にする下流位置との間で、膨張シートに対して移動可能な調節フラップと、
を備え、
低圧チャンバのガスの圧力が予め定められた閾値を超えると、調節フラップが上流位置になり、低圧チャンバが漏出回路に接続された排出通路と連通する。
【0020】
したがって、この装置では、圧力調節器の下流(回収装置側)で過圧力が発生した場合に圧力調節器が閉じられ、加圧されたガスを漏出回路に排出して装置の安全性が保証される。
【0021】
好適には、この排出通路は、圧力調節器の収容ボア内で圧力調節器の周りに取り付けられた2つのシールによって囲まれる。
【0022】
本発明の可能な例によれば、回収回路は直列に接続された2つの圧力調節器を備え、各圧力調節器は、漏出回路に接続された排出通路であって、前記低圧チャンバ内のガス圧力が各圧力調節器に固有の予め定められた閾値を超えたときに、対応する低圧チャンバと連通するように配置された排出通路を有する。
【0023】
直列に接続された2つの圧力調節器を使用することにより、高圧の貯蔵容器と低圧で動作する回収装置との間で圧力を確実に調整できる。
【0024】
本発明の他の可能な例によれば、漏出回路が逆止弁を有し、これによって、漏出回路内を循環し且つ装置の種々の構成要素(コネクタ、圧力調節器、...)から来るガスを一点で回収できるので、外部への連通孔を制限できる。
【0025】
好適には、装置は、さらに、回収回路の上流端に接続された上流端と、外部に接続された下流端とを有する安全回路を備え、前記安全回路は、高圧安全弁及び/または高温安全弁から選択される少なくとも1つの安全弁を有する。
【0026】
本発明の他の特徴によれば、安全回路は、少なくとも1つの安全弁と並列に配置された、フローリミッタを備えたドレンタップを有する。
【0027】
また、漏出回路は、回収回路の上流端部に接続される入口を備えた高圧安全弁を有する。
【0028】
また、本発明は、本発明に係る充填及び回収装置の使用に関し、貯蔵コネクタが加圧された水素ガスの貯蔵容器に接続され、回収コネクタが燃料電池型の回収装置に接続される。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】
図1は、本発明に係る充填及び回収装置の可能な実施形態の構造を示す概略図である。
【
図2】
図2は、本発明に係る充填及び回収装置を
図3,
図4,
図5とは異なる角度から視た概略斜視図である。
【
図3】
図3は、本発明に係る充填及び回収装置を
図2,
図4,
図5とは異なる角度から視た概略斜視図である。
【
図4】
図4は、本発明に係る充填及び回収装置を
図2,
図3,
図5とは異なる角度から視た概略斜視図である。
【
図5】
図5は、本発明に係る充填及び回収装置を
図2,
図3,
図4とは異なる角度から視た概略斜視図である。
【
図8】
図8は、開位置における
図2から
図7の装置の充填コネクタの概略断面図である。
【
図9】
図9は、閉位置における
図2から
図7の装置の充填コネクタの概略断面図である。
【
図19】
図19は、明確化のために(装置の本体内ではなく)試験体内に示した、
図2から
図7の装置の低圧安全弁の概略断面図である。
【
図20】
図20は、モータリゼーションを表さずに試験体内に示した、
図2から
図7の装置の被駆動分離ゲートの概略断面図である。
【
図21】
図21は、
図2から
図7の装置の第1圧力調節器または高圧力調節器の休止形態または調節開放形態の概略断面図である。
【
図22】
図22は、
図2から
図7の装置の第1圧力調節器または高圧力調節器の、低圧チャンバが過圧力である場合の閉鎖排出形態の概略断面図である。
【
図24】
図24は、
図2から
図7の装置の第2圧力調節器または低圧力調節器の、調節を禁止するロック形態の概略断面図である。
【
図25】
図25は、
図2から
図7の装置の第2圧力調節器または低圧力調節器の、シャッターフィンガーを上げた後の第1のリセット段階でのロック解除形態の概略断面図である。
【
図26】
図26は、
図2から
図7の装置の第2圧力調節器または低圧力調節器の、第2のリセット段階でのロック解除形態の概略断面図である。
【
図27】
図27は、
図2から
図7の装置の第2圧力調節器または低圧力調節器の、開放調節形態の概略断面図である。
【
図31】
図31は、
図2から
図7の装置の高温安全弁を試験体内で示す、閾値温度より高い開放構造での概略断面図である。
【
図32】
図32は、
図2から
図7の装置の高温安全弁を試験体内で示す、閾値温度より低い閉鎖構造での概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明の他の特徴と効果は、添付図面を参照してなされる非限定的な実施例についての以下の詳細な説明を読むことにより明らかになるであろう。
【0031】
本発明に係るガスの充填及び回収装置1は、回収回路2を有し、回収回路2は、
加圧されたガスの貯蔵容器REに接続するように構成された貯蔵コネクタ3が設けられた上流端部21と、
減圧されたガスの回収装置(図示せず)に接続するように構成された回収コネクタ25が設けられた下流端部22と、
を有する。
【0032】
回収回路2は、これら2つの端部21,22の間で、上流端部21から、被駆動分離ゲート4、第1圧力調節器5、及び第2圧力調節器6を順に備えている。また、回収回路2は、被駆動分離ゲート4の上流に、温度プローブ23と圧力プローブ24とを有する。
【0033】
第1圧力調節器5は、回収回路2と漏出回路10との間の下流に配置された排出弁50と結合または一体化しており、この排出弁50は、下流で過圧力が発生した場合、つまり下流の圧力が(調整値または校正値とも呼ばれる)所定の第1閾値圧力を超えた場合に、漏出回路10へ排出するように構成されている。
【0034】
言い換えると、下流の圧力がこの第1閾値圧力を超えると、排出弁50の排出フラップが付勢部材の力に対抗して上昇し、その結果、排出弁50が開いて漏出回路10内(出口側)で下流の圧力が低下する。排出弁50は、下流の圧力が第1閾値の圧力を下回るとすぐに閉じる。
【0035】
第2圧力調節器6は、回収回路2と漏出回路10との間の下流に配置された排出弁60と結合または一体化しており、この排出弁60は、下流の過圧力が発生した場合、つまり下流の圧力が(調整値または校正値とも呼ばれる)所定の第2閾値圧力を超えた場合に、漏出回路10に向かって排出するように構成されている。
【0036】
言い換えると、下流の圧力がこの第2閾値の圧力を超えると、排出弁60の排出フラップが付勢部材の力に対抗して上昇し、その結果、排出弁60が開いて漏出回路10内(出口側)で下流の圧力が低下する。排出弁60は、下流の圧力が第2閾値の圧力を下回るとすぐに閉じる。
【0037】
この第2圧力調節器6に続いて、下流の圧力が低下した場合に回収回路2を閉じるために、手動リセットを備えた安全システム601を有するフローリミッタ600が設けられている。
【0038】
また、この装置1は、貯蔵容器REに充填するための加圧ガス源SOに接続するように構成された充填コネクタ8が設けられた上流端部71と、回収回路2の上流端部21に接続された下流端部72とを有する充填回路7を備えている。
【0039】
この装置1は、安全回路9を有し、安全回路9は、
回収回路2の上流端部21に接続された上流端部91と、
外部EXTに接続された上流端部92であって、外部への集合点を形成する上流端部92と、
を有する。
【0040】
この安全回路9は、並列に接続された高圧安全弁93、高温安全弁94、及びフローリミッタを備えたドレンタップ95を有する。ドレンタップ95の主な機能は、貯蔵容器REの排出制御を可能にすることである。
【0041】
この装置1は、漏出回路10を有し、漏出回路10は、
外部EXTに接続、より詳細には安全回路9の上流端部92に接続される出口と、
後述するように、装置1の種々の部材、特に安全弁50,60に接続される入口と、を有する。
【0042】
この漏出回路10は、逆止弁11と低圧安全弁12とを有し、低圧安全弁12は、
第2圧力調節器6の下流且つフローリミッタ600の下流で回収回路2の下流端部22に接続された入口と、
逆止弁11の上流側に接続された排出口と、
を有する。
【0043】
この装置1では、安全回路9と漏出回路10とが連通し、外部EXTに接続された1つの同じ回路を一緒になって形成している。
【0044】
この説明の残り部分は、小型軽量で信頼でき、安全性の高いこの装置1の例示的な実施形態に関する。
【0045】
この装置1は、回収回路2、充填回路7、漏出回路10及び安全回路9の経路を形成するボアと、装置1の種々の部材のための収容キャビティとが形成された本体13を有する。
【0046】
貯蔵コネクタ3は、回収回路2の上流端部21に接続された主通路31が横切る一側から突出する円筒状のコネクタ30を有し、このコネクタ30は、主通路31内をガスが循環するように、貯蔵容器REに接続されるように構成されている。当然ながら、コネクタ30の形状は、貯蔵容器REの接続インターフェースによって定められる。
【0047】
また、貯蔵コネクタ3は、漏出回路10に接続され且つ2つの同心のシール33,34の間で開口する漏出通路32を備え、これらのシール33,34はコネクタ30の周りに配置されている。したがって、コネクタ30で漏れが発生した場合の最適な安全性のために、漏出通路32の間に二重のシールバリアが設けられている。
【0048】
被駆動分離ゲート4は、回収回路2を閉じる位置と回収回路を開く位置との間でモータ部材41によって制御されるゲート40を備え、モータ部材41が作動しない場合はゲート40を閉位置に向かって付勢する付勢部材42が補完する。
【0049】
図20において、ゲート40は、モータ部材41の作用の下で変位可能なピストン43を備え、このピストン43は、シート45に圧接する分離フラップ44を有する。モータ部材41は、入口46と出口47との間でゲート40を開口するために、分離フラップ44をシート45から離す方向へピストン43の変位を制御する。付勢部材42は,特にコイルバネタイプで、その一部は、ゲート40を閉じるために分離フラップ44をシート45に再び押し付ける方向へピストン43を付勢する力を加える。
【0050】
ゲート40は、漏出回路10に接続され且つ分離フラップ44の上流に配置された漏出通路48を一体的に有し、ゲート40を受け入れるボアのレベルでも可動ピストン43のレベルでも漏出回路10に向かって漏出物を排出する。この漏出通路48は、シール480、481、482によって囲まれ、漏れの管理に関して二重のシールバリアが保証される。
【0051】
ゲート40は、漏出回路10に接続され且つ分離フラップ44の下流に配置された別の漏出通路49(
図11に示す)を一体的に有し、ゲート40を受け入れるボアのレベルでも可動ピストン43のレベルでも漏出回路10に向かって漏出物を排出する。この漏出通路49は、シール490,491によって囲まれ、漏れの管理に関して二重のシールバリアを保証している。
【0052】
モータ部材41は、本体13に固定されたモータケーシング410に取り付けられ、モータケーシング410の外側には電気ソケット411が設けられている。ケーシング410の外側にはホイール412も設けられ、このホイール412により、モータ部材41を非作動にして取り外すことができ、その結果、付勢部材42のみがゲート40を閉じる方向に作用する。
【0053】
第1圧力調節器5について
図21から
図23を参照して以下に説明する。この第1圧力調節器5はボアの内部に取り付けられ、ボアの底部はゲート40の出口と連通する。
【0054】
この第1圧力調節器5は、外部からアクセス可能なカバーまたはプラグを形成し且つ本体13にねじ込んで固定するための外ネジ510を有する静的な下流ボディ51を備え、この下流ボディ51は、
上面の、ねじ締め込み/緩め工具のための上部有底穴511と、
外周の、外ネジ510の下方の2つのOリングシール512と、
上面に対向する下面の、第1圧力調節器5の出口に低圧チャンバ513を形成するキャビティであって、低圧チャンバ513が第2圧力調節器6の入口に接続されるキャビティと、
を有する。
【0055】
本体13に形成された漏出通路17(
図10に示す)は、漏出回路10に接続され、2つのシール512の間で第1圧力調節器5のボアに開口し、この場合も二重のシールバリアが構成される。
【0056】
この第1圧力調節器5は、下流ボディ51の下面を支持するように形成された可動ピストン52で形成された調節部を有し、このピストン52は、外周にOリングシール522が設けられ、貫通する内部通路520を有し、
低圧チャンバ513に面して排出シート521を形成する、下流ボディ51側の上端と、
中間チャンバ524へ開放される反対側の下端523と、を有する。
【0057】
この第1圧力調節器5は、下部55によって延長された上部54を有する静的な上流ボディ53を有し、上部54がピストン52に対向して、ピストン52と上流ボディ53の上部54との間に中間チャンバ524が区画されている。中間チャンバ524は、
図17及び
図18に示す本体13に形成された排出通路14を介して、漏出回路10または安全回路9に接続される。
【0058】
上部54は、この上部54がシール541を介してボアの内側肩部に当接するまで、本体13にねじ込むことによって固定するために、より具体的には対応するボアの底部に固定するために、外ネジ540を有する。
【0059】
上流ボディ53は、第1圧力調節器5の入口の高圧チャンバ56をボアの底部とともに内側肩部の下方に区画し、この高圧チャンバ56はゲート40の出口に接続される。
【0060】
上部54は、貫通する内部通路542を有し、内部通路542は、中間チャンバ524に開口する上端と高圧チャンバ56に開口する下端とを有する。
【0061】
下部55は、高圧ガスの入口EN用のボアの底部に支持された下部ドーム550を有し、この下部ドーム550には高圧チャンバ56に開口する横穴551が設けられている。
【0062】
下部ドーム550は、内部通路542の下端に対向する上面を有し、この上面に、膨張シート552を形成するためにキャビティが形成されている。
【0063】
下部55は、下部ドーム550の上面を囲む円筒壁553を有し、この円筒壁553には高圧チャンバ56に開口する横穴554が設けられている。
【0064】
したがって、入口でガスは
図21に矢印ENで示すように下部ドーム550の内部へ入り、次にガスは横穴551を通って高圧チャンバ56から出て、
図21に矢印CHで示すたように横穴554を通って膨張シート552のレベルへ入る。このガスの流れは、好適には所望のガス膨張機能に関与する。
【0065】
この第1圧力調節器5は、内部通路570に設けられた管状のバルブロッド57を有し、このバルブロッド57は、ピストン52の内部通路520と上流ボディ53の上部54の内部通路542の両方を通過する。そして、このバルブロッド57は、
排出シート521(言い換えると内部通路520の上端)に当接するのに適合した排出フラップ571を形成するフレア状の上端と、
膨張シート552に当接するのに適合した調節フラップ572を形成する下端と、
を有する。
【0066】
調節フラップ572は、膨張シート552に対して、
低圧チャンバ513と高圧チャンバ56との間の連通を(内部通路570を介して)遮断する上流位置であって、調節フラップ572が膨張シート552に当接する上流位置と、
低圧チャンバ513と高圧チャンバ56との間の連通を(内部通路570を介して)可能にする下流位置であって、調節フラップ572が膨張シート552から離れる下流位置と、
の間で移動可能である。
【0067】
排出フラップ571は、排出シート521に対して、
低圧チャンバ513と中間チャンバ524との間の連通を(内部通路520を介して)遮断する上流位置であって、排出フラップ571が排出シート521に当接する上流位置と、
低圧チャンバ513と中間チャンバ524との間の連通を(内部通路520を介して)可能にする下流位置であって、排出フラップ571が排出シート521から離れる下流位置と、
の間で移動可能である。
【0068】
また、この第1圧力調節器5は、ピストン52と上流ボディ53との間で圧縮されてピストン52を下流ボディ51の方向(言い換えるとピストン52を下流ボディ51に押し付ける方向)へ付勢する、この場合はコイルバネである第1付勢部材58を有する。
【0069】
また、この第1圧力調節器5は、ピストン52とバルブロッド57に固定されたプレート573との間で圧縮される、この場合はコイルバネである第2付勢部材59を有する。この第2付勢部材59は、第1付勢部材58の内部で延び、プレート573は、例えば、バルブロッド57の周りに締め付けられるサークリップで形成してもよい。この第2付勢部材59は、バルブロッド57をピストン52に対して、排出フラップ571が排出シート521に押し付けられる方向へ、言い換えると排出フラップ571が上流の閉位置に向かう方向へ付勢する。
【0070】
以下の説明は、第1圧力調節器5の動作に関する。
【0071】
図21に関し、静止形態、つまり第1圧力調節器5の入口(ゲート40が閉)と出口の圧力が不足する状態では、
ピストン52は第1付勢部材58の作用で下流ボディ51の下面に接し、
排出フラップ571は第2付勢部材59の作用で上流の閉位置になり、
調節フラップ572は第1圧力調節器5が開くように下流の開位置になる。
【0072】
図21に関し、調節形態、すなわち入口が高圧(ゲート40が開)で、出口で減圧するように圧力を調節すべき状態では、
調節フラップ572が下流の開位置にあって膨張シート552で膨張作用が生じ、ガスはバルブロッド57の内部通路570を通って低圧チャンバ513に到達し、
低圧チャンバ513内の圧力がピストン52に下流ボディ51から離れる方向に作用して第1圧力調節器5で圧力調節が行われ、
排出フラップ571は第2付勢部材59の作用で上流の閉位置になる。
【0073】
図22に関し、低圧チャンバ513内で過圧力が発生した場合、つまり下流の圧力(または低圧チャンバ513内の圧力)が(ガス接触面及び付勢部材58,59のバネ定数によって決まる)予め定められた第1閾値圧力を超えた場合の、閉じた排出形態において、
低圧チャンバ513内の過圧力が、第2付勢部材59がバルブロッド57を押す作用で、調節フラップ572を上流側の閉位置にするのに十分に、下流ボディ51から離れる方向へピストン52に作用し、
バルブロッド57が膨張シート552に接してピストン52が下流ボディ51から十分に離れ、排出フラップ571が排出シート521から離脱して下流の開位置になり、低圧チャンバ513と漏出回路10に接続された排出通路14とが連通し、漏出回路10において吐出が行われて下流の圧力が解放される。
【0074】
この第1圧力調節器5では、排出フラップ571と第2付勢部材59とが一緒に、
図1に関して前述した排出弁50を形成する。
【0075】
第2圧力調節器6について
図24から
図28を参照して以下に説明する。この第2圧力調節器6は、ボアの内部に取り付けられ、ボアの底部は第1圧力調節器5の出口と連通している。
【0076】
この第2圧力調節器6は、外部からアクセス可能なカバーまたはプラグを形成し、且つ本体13に複数のネジで固定するための周縁支持部610が設けられた静的な下流ボディ61を備え、この下流ボディ61は、
外周の、周辺支持部610の下方の2つのOリングシール612と、
上面(または外面)の、回収回路2の下流端22に回収コネクタ25(雌コネクタ)を形成するネジ付きオリフィスと、
上面に対向する下面の、第2圧力調節器6の出口に低圧チャンバ613を形成するキャビティであって、内側通路614を介して回収コネクタ25に接続される低圧チャンバ613と、
を有する。
【0077】
本体13に形成された漏出通路18(
図10に示す)は漏出回路10に接続され、2つのシール612の間で第2圧力調節器6のボアに開口し、この場合も二重のシールバリアが構成される。
【0078】
この第2圧力調節器6は、下流ボディ61の下面に当接するように形成された可動のピストン62で形成された調節部を有し、このピストン62は、外周にOリングシール622が設けられ、貫通する内部通路620を有し、さらに、
低圧チャンバ613と対向し、排出シート621を形成する、下流ボディ61の側の上端と、
中間チャンバ624へ開放される反対側の下端623と、
を有する。
【0079】
この第2圧力調節器6は、下部65によって延長された上部64を有する静的な上流ボディ63を有し、上部64がピストン62と対向して、ピストン62と上流ボディ63の上部64との間に中間チャンバ624が区画されている。中間チャンバ624は、
図16及び
図18に示す本体13に形成された排出通路15を介して、漏出回路10または安全回路9に接続される。
【0080】
上部64には、この上部64がシール641を介してボアの内側肩部に当接するまで本体13にねじ込んで固定するために、より具体的には対応するボアの底部に固定するために、外ネジ640が設けられている。
【0081】
上流ボディ63は、第2圧力調節器6の入口の高圧チャンバ66をボアの底部とともに内側肩部の下方に区画し、この高圧チャンバ66は、第1圧力調節器5の出口に、言い換えるとこの第1圧力調節器5の低圧チャンバ513に接続される。
【0082】
上部64は、貫通する内部通路642を有し、内部通路642は、中間チャンバ624へ開放される上端と、高圧チャンバ66に開放される下端とを有する。
【0083】
下部65は、高圧ガスの入口ENのためにボアの底部に接する下部ドーム650を有し、この下部ドーム650には高圧チャンバ66へ開口する横穴651が設けられている。
【0084】
下部ドーム650は、内部通路642の下端に対向する上面を有し、この上面に、膨張シート652を形成するためにキャビティが形成されている。
【0085】
下部65は、下部ドーム650の上面を囲む円筒壁653を有し、この円筒壁653には高圧チャンバ66へ開口する横穴654が設けられている。
【0086】
したがって、入口でガスが下部ドーム650の内部へ入り、次にガスは横穴651を通って高圧チャンバ66から流出して、膨張シート652のレベルで横穴654を通って流入する。このガス経路は、好適には所望のガス膨張機能に関与する。
【0087】
この第2圧力調節器6は、内部通路670が設けられた管状のバルブロッド67を備え、このバルブロッド67は、ピストン62の内部通路620と上流ボディ63の上部64の内部通路642の両方を通過するので、このバルブロッド67は、
排出シート621(言い換えると内部通路620の上端)に当接するのに適合した排出フラップ671を形成するフレア状の上端と、
膨張シート652に当接するのに適合した調節フラップ672を形成する下端と、
を有することになる。
【0088】
調節フラップ672は、圧力排出シート652に対して、
低圧チャンバ613と高圧チャンバ66との間の連通を(内部通路670を介して)遮断する上流位置であって、調節フラップ672が膨張シート652に当接する上流位置と、
低圧チャンバ613と高圧チャンバ66との間の連通を(内部通路670を介して)可能にする下流位置であって、調節フラップ672が膨張シート652から離れる下流位置と、
の間で移動可能である。
【0089】
排出フラップ671は、排出シート621に対して、
低圧チャンバ613と中間チャンバ624との間の連通を(内部通路620を介して)遮断する上流位置であって、排出フラップ671が排出シート621に当接する上流位置と、
低圧チャンバ613と中間チャンバ624との間の連通を(内部通路620を介して)可能にする下流位置であって、排出フラップ671が排出シート621から離れる下流位置と、
の間で移動可能である。
【0090】
また、この第2圧力調節器6は、ピストン62と上流ボディ63との間で圧縮され、ピストン62を下流ボディ61の方向(言い換えるとピストン62を下流ボディ61に押し付ける方向)へ付勢する、この場合はコイルバネである第1付勢部材68を有する。
【0091】
また、この第2圧力調節器6は、ピストン62とバルブロッド67に固定されたプレート673との間で圧縮される、この場合はコイルバネである第2付勢部材69を有する。この第2付勢部材69は、第1付勢部材68の内部で延び、プレート673は、例えば、バルブロッド67の周りに締め付けられたサークリップで形成してもよい。この第2付勢部材69は、バルブロッド67をピストン62に対して、排出フラップ671が排出シート621に押し付けられる方向へ、言い換えると排出フラップ671が上流の閉位置に向かう方向へ付勢する。
【0092】
この第2圧力調節器6は、第2圧力調節器6の上流の圧力が、第1圧力調節器5の下流の圧力、言い換えるとこの第1圧力調節器5で解放される圧力に対応するため、寸法が異なるという第1の相違点はあるが、前述の第1圧力調節器に比較的近い。
【0093】
第1圧力調節器5は、出口を特に10barから30barの範囲の中程度の圧力にするために、特に350barから700barの範囲の高圧圧力を膨張する機能を有し、第2圧力調節器6は、出口を特に0.5barから5barの範囲の低圧圧力にするために、特に10barから30barの範囲のこの中程度の圧力を膨張する機能を有する。
【0094】
したがって、第2圧力調節器6のピストン62の上面の面積は、第1圧力調節器5のピストン52の面積よりも大きい。また、付勢部材68,69のバネ定数は、付勢部材58,59のバネ定数とは異なる。
【0095】
第2の相違点は、第2圧力調節器6が、下流の漏出、特に回収装置における漏出に繋がり得る低圧チャンバ613の圧力低下(第2圧力調節器6の出口におけるオーバーフローに相当)が生じた場合に手動でリセットできる安全システム601を有することである。
【0096】
このような安全システム601は、
下流の圧力(低圧チャンバ613の圧力)が低閾値圧力PSB(または設定値)よりも低下した場合に、低圧チャンバ613と高圧チャンバ66との間の連通を遮断する機能と、
圧力低下の不具合(または回収装置における漏出)が解消されない間は、第2圧力調節器6の運転再開を禁止する機能と、
圧力低下の不具合(または回収装置における漏出)が解消されると、手動リセットによってのみ第2圧力調節器6の運転再開を許容する機能と、
を有する。
【0097】
低閾値圧力PSBは、第2圧力調節器6の出口でのガス流量の最大値QMを考慮して設定でき、漏出に相当し得る回収装置レベルの不具合を反映するため、流量に対して超えてはならない高い閾値であると考えられる。そして、この最大値QMは、第2圧力調節器6の出口における(回収装置による動作圧力に相当する)公称圧力と低閾値圧力PSBとの差と比較される。
【0098】
この安全システム601は、バルブロッド67の開口した上端に対向して下流ボディ61に移動可能に取り付けられたシャッターフィンガー602を備え、このシャッターフィンガー602は、
シャッターフィンガー602がバルブロッド67の開口した上端に接近し、その結果、その上端を塞いで下側チャンバ圧力613と高圧チャンバ66との間の連通を遮断できる(
図24及び
図27に示す)下降位置と、
シャッターフィンガー602がバルブロッド67の開口した上端から離れる(
図25及び
図26に示す)上昇位置と、
の間で選択的に移動可能である。
【0099】
このシャッターフィンガー602は、下流ボディ61を貫通して形成されたオリフィス615に2つのOリングシール616を介して摺動可能に取り付けられ、下流ボディ61には、漏出回路10に接続される漏出通路617が、2つのシール616の間のオリフィス615に開口することにより形成されている。
【0100】
この安全システム601は、シャッターフィンガー602の上方に、オリフィス615に設けられたネジにねじ込まれる調整ネジ603を備え、この調整ネジ603は、外部からアクセス可能で、シャッターフィンガー602に接する状態になる調整ネジ603のねじ締め込み/緩めにより、シャッターフィンガー602を選択的に変位させることができる。
【0101】
この安全システム601は、調整ネジ603の上方に、オリフィス615に設けられたネジにもねじ込まれる止めネジ604を備える。この止めネジ604は、調整ネジ603へ適切な工具でアクセスできるように中空であり、この止めネジ604は、調整ネジ603の上側ストッパ部を形成し、調整ネジ603の下側ストッパ部はオリフィス615の内側肩部605により形成される。
【0102】
以下の説明は、第2圧力調節器6の動作に関する。
【0103】
図24は、安全システム601が閉鎖モードで、第2圧力調節器6に関する調節を阻止するロック形態に対応する初期形態を示している。この初期形態は、装置1のスイッチがオンにされるとき(つまり起動時)の形態に対応し、下流の圧力が低閾値圧力よりも低下して安全システム601が自動的に閉じられた後の形態にも対応する。
【0104】
この初期形態では
調整ネジ603が下側ストッパ部605上にあり、その結果、シャッターフィンガー602が下降位置になり、
ピストン62が、第1付勢部材68の作用で下流ボディ61の下面の方向へ上昇し、したがってバルブロッド67が上昇して、このバルブロッド67の開口した上端がシャッターフィンガー602に当接してその上端で内部通路670をブロックし、それによって低圧チャンバ613と高圧チャンバ66との間の連通が遮断される。
【0105】
この初期形態では、(第2圧力調節器6の入口に)上流の圧力が存在する場合に、安全システム601が閉じたままになり、且つ第2圧力調節器6が閉じたままになり、そして自動リセットによってのみこの第2圧力調節器6を運転状態に戻すことができる。
【0106】
図25は、第1のリセット段階でロック解除された形態を示し、
調整ネジ603が止めネジ604の当接部まで引き上げられ、
ピストン62が、第1付勢部材68の作用で下流ボディ61の下面に当接するまで上昇し、したがってシャッターフィンガー602が上昇位置に向かって自由に移動するようにスラスト力が発揮され(必ずしも上昇位置に完全に到達する必要はない)、
回収コネクタ25のレベルで回収装置との接続が遮断され、下流の圧力(低圧チャンバ613内の圧力)が確定する。
【0107】
図26は、第2のリセット段階でロック解除された形態を示し、
上流の圧力(第2圧力調節器6の入口または高圧チャンバ66の圧力)が(特にゲート40の開放後に)印加され、
この上流の圧力の影響でシャッターフィンガー602が上昇位置に向かって押されてシャッターフィンガー602がバルブロッド67の開口した上端にもはや当接しなくなり、低圧チャンバ613と高圧チャンバ66とが再び連通し、
調節フラップ672が下流の開位置にあって膨張シート652で膨張が行われ、ガスがバルブロッド67の内部通路670を通過して低圧チャンバ613に到達し、
低圧チャンバ613内の圧力がピストン62に下流ボディ61から離れる方向に作用する結果、第2圧力調節器6で圧力調節が行われ、
排出フラップ671が、第2付勢部材69の作用で上流の閉位置になる。
【0108】
図27は、開放された調節形態を示し、
回収コネクタ25のレベルで回収装置との接続が解放され、
調整ネジ603がその下側ストッパ部605の上へ下降して、シャッターフィンガー602が下降位置になり、
(低圧チャンバ613内の)下流の圧力の影響で、シャッターフィンガー602がバルブロッド67の開口した上端に当接しないように、ピストン62が下流ボディ61から十分に離れ、実際、調整ネジ603のストロークとピストン62のストロークとの間にクリアランス差が設けられて、解放された調節形態においてシャッターフィンガー602がバルブロッド67のこの開口した上端をブロックしない。
【0109】
下流の圧力(低圧チャンバ613内の圧力)が(注意として、出口でのオーバーフロー、したがって下流のリークを反映する)低閾値圧力より低くなると、シャッターフィンガー602がバルブロッド67の開口した上端に当接するまでピストン62が(第1付勢部材68の効果で)上昇し、第2圧力調節器6が
図24の初期形態に戻る。
【0110】
下流の圧力(低圧チャンバ613内の圧力)が(ガス接触面と付勢部材68,69のバネ定数によって決まる)予め定義された第2閾値圧力を超えた場合の動作は第1圧力調節器5の動作と同様になり、すなわち
低圧チャンバ613内の過圧力が、バルブロッド67を押す第2付勢部材69の効果により、膨張フラップ672が上流側の閉位置になるのに十分、下流ボディ61から離れる方向へピストン62に作用し、
バルブロッド67が膨張シート652に当接し、ピストン62が下流ボディ61から十分に離れると、排出フラップ671が排出シート621から離れて下流の開位置へ移行し、低圧チャンバ613と漏出回路10に接続された排出通路15とが連通できるようになり、漏出回路10で吐出が行われて下流の圧力が放出される。
【0111】
この第2圧力調節器6では、排出フラップ671、排出シート671及び第2付勢部材69が一緒になって、
図1を参照して前述した排出弁60を形成する。
【0112】
充填コネクタ8について、
図8及び
図9を参照して以下に説明する。
【0113】
この充填コネクタ8は、外部からアクセス可能なカバーまたはプラグを形成し且つ本体13にねじ込むことによって固定するための外ネジ800が設けられた静的な中空の上流ボディ80を有し、この中空の本体80は、中心孔802を貫通する長い内ネジ801を有する。
【0114】
この充填コネクタ8は、上流ボディ80の内ネジ801にねじ込まれるとともに内部に充填ダクト82を有するピストン81を備えている。
【0115】
このピストン81は、順に、
ピストン81をネジ止め/ネジ外しするために手動または適切なツールで掴むことができ、ガス源SOのオス型ソケットと接続するために設けられ且つ充填ダクト82と連通するメス型ソケット812を備えたグリップ部811と、
上流ボディ80の内ネジ801にねじ込まれるネジ部813と、
平滑部814と、
スラストフィンガーを形成する端部815と、
を有する。
【0116】
充填ダクト82は、外周孔820を介して、端部814の手前で平滑部814の端部において開口している。
【0117】
また、この平滑部分814は、外周孔820から離れた位置に、充填ダクト82内へ横方向に開口する少なくとも1つのドレンオリフィス816を有する。
【0118】
この充填コネクタ8は外ネジ830が設けられた静的な下流ボディ83を有し、外ネジ830は、この下流ボディ83またはボアの内側肩部に当接するまで、本体13へのねじ込みによる固定のために、より具体的には対応するボアの底部への固定のために設けられる。
【0119】
この下流ボディ83は内部通路を有し、内部通路は,順に、
充填ダクト82が外周孔820を介して開口する拡がった上流部831と、
端部815が横切る狭まった下流部832であって、シート833を形成する下流端を有する下流部832と、
を有する。
【0120】
この充填コネクタ8は、上流ボディ80と下流ボディ83との間に介在するドレンボディ84であって、本体13に形成された
図13に示すドレン通路16を介して漏出回路10または安全回路9に接続される少なくとも1つのドレンダクト841を有するドレンボディ84を備える。このドレンダクト841は、ピストン81の平滑部分814の周縁部において、上流ボディ80及び下流ボディ83にこの平滑部814の周囲に取り付けられた2つのシール817の間で開口している。
【0121】
この充填コネクタ8は、さらに、本体13のボアの内部に、シート833に対して、
分離フラップ85がシート833に当接することにより充填ダクト82と充填回路7の上流端72との間の連通が遮断される、充填ダクト82を閉じるための(
図9に示す)上流位置と、
分離フラップ85がシート833から離れることによって充填ダクト82と充填回路7の上流端72とが連通する、充填ダクト82を開くための(
図8に示す)下流位置と、
の間で移動可能な分離フラップ85を有する。
【0122】
また、この充填コネクタ8は、分離フラップ85を上流側の閉位置に向かって付勢する、特にコイルバネタイプの付勢部材86を有する。
【0123】
ピストン81は、(
図8に示す)開位置と(
図9に示す)閉位置との間で選択的にねじ締め込み/緩めによって変位可能である。
【0124】
一般に、ピストン81は、開位置と閉位置との間でのピストンの平行移動の進動作を保証する任意の機械的な動作によって変位可能であり、ピストン81は上流側ボディ80内でシールされたままである。代わりの例として、ピストン81は、直角掛け機構(quarter-turn mechanism)または他の同等の機構を用いて変位可能にしてもよい。
【0125】
開位置では
ピストン81は、端部815が付勢部材86に抗して分離フラップ85に開位置へ向かってスラスト力を与えるように下流にねじ込まれ、
ピストン81に設けられたドレンオリフィス816は、ドレンボディ84に設けられたドレンダクト841とは一致しない。
【0126】
閉位置では、
付勢部材86によって閉位置に向かって付勢されている分離フラップ85から端部815を遠ざけるように、ピストン81を上流へネジを緩め、
ピストン81に設けられたドレンオリフィス816が、ドレンボディ84に設けられたドレンダクト841と一致して、充填ダクト82と漏出回路10または安全回路9とが連通する。
【0127】
したがって、動作時には、ピストン81がその閉位置にあってガス源SOがソケット812に接続され、その後に、ピストン81がその開位置に向かってねじ込まれてガス源SOが開放されて貯蔵容器REに充填される。
【0128】
充填の終了時には、ガス源SOが閉じられ、ピストン81がその閉位置に向けてネジが緩められて、充填ダクト82の自動的な減圧が漏出回路10または安全回路9に向かってドレンオリフィス816を介して行われ、最後にはガス源SOが雌型ソケット812から外される。
【0129】
図29及び
図30に示すように、高圧安全弁93は、
回収回路2の上流端21、言い換えると充填コネクタ8の出口に接続され、貯蔵コネクタ3の主通路31に接続される入口930と、
漏出回路9の上流端92(または外部の回収点)に接続された出口931と、
を有する。
【0130】
高圧安全弁93は、付勢部材934の作用で、入口で開放されたシート933に当接するフラップ932を有する。
【0131】
入口930の圧力が、貯蔵容器REで定められた最大圧力よりも大きい閾値(例えば730barから780barの範囲の閾値)を超える場合、フラップ932がこの高圧の影響を受けて開き、入口930と出口931とが連通する。この高圧安全弁93は、このように、装置1内が過圧力になった場合にガスを外部に排出する機能を有する。
【0132】
図31及び
図32に示すように、高温安全弁94は、
回収回路2の上流端21、言い換えると充填コネクタ8の出口に接続され、貯蔵コネクタ3の主通路31に接続された入口940と、
漏出回路9の上流端92(または外部の回収ポイント)に接続された出口941であって、流れを制限するためにキャリブレートオリフィスを形成する狭窄部が設けられた出口93と、
を有する。
【0133】
高温安全弁94は、入口940と出口941との間の連通を遮断するロッド943が設けられたピストン942と、それ自体は焼結金属スクリーン947に当接する熱可溶性のペレット945に当接するベース944とを有する。
【0134】
付勢部材946は、ベース944に当接し、ピストン942を熱可溶性のペレット945に対して付勢する。
【0135】
図32に示すように、温度がしきい値(例えば90°Cから120°Cの範囲)より低いと、熱可溶性のペレット945は溶融せず、ロッド943が入口940と出口941との間の連通を遮断するので、高温安全弁94が閉じる。
【0136】
図31に示すように、温度が閾値よりも高いと、熱可溶性ペレット945が溶融して、ロッド943が付勢部材946及び/または入力圧力940によって入口940と出口941とが連通する方向に付勢され、その結果、高温安全弁94が開く。
【0137】
図19に示すように、低圧安全弁12は、
回収回路2の下流端部22に接続された入口120と、
逆止弁11の上流で漏出回路10に接続された排出口121と、
を有する。
【0138】
低圧安全弁12は、入口120に開放されたシート123に付勢部材124の作用で当接するフラップ122を有する。入口120の圧力が、回収装置で定められる最大圧力よりも大きい閾値(例えば2barから5barの範囲の閾値)を超えると、フラップ122はこの圧力の影響を受けて開き、入口120と出口121とが接続される。したがって、この低圧安全弁12は、回収装置内に過圧力が生じた場合にガスを外部に排出する機能を有する。
【0139】
なお、装置1は、回収装置に組み込まれた安全弁と重複する場合には、この低圧安全弁12を設けなくてもよい。もちろん、回収装置がそれ自体に安全弁を有する場合に、低圧安全弁12を装置1に設けてもよい。
【0140】
したがって、前述した装置1は、
2段階の膨張を可能にする直列に接続された2つの圧力調節器5,6による膨張の質と正確さ、
特に、圧力調節器5,6に組み込まれた排出弁50,60、及び高圧安全弁93と高温安全弁94を有する安全システム601と他の安全システムによる、不具合や事故が発生した場合の安全性、
充填コネクタと加圧ガス源との間の接続解除時の自動減圧(またはドレン)機能が組み込まれた充填コネクタ8による充填動作中の安全性、
装置1内で外部、上流及び下流への漏出を確実に抑える特に効果的な二重のシールバリアを形成する2つのシールによって組織的に包囲された、漏出、排出、及びドレンのダクト14、15、16、17、18、32をまとめた漏出回路10による安全性、及び
適切なボアと種々の通路の多くの構成要素と、種々の回路2、7、9、10の通路を入れるために最適化された本体13が小型で軽量であること、
に関して多くの利点を有する。
【国際調査報告】