(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-26
(54)【発明の名称】以前の画像を使用して画像を改善するコンピュータ断層撮影システムおよび方法
(51)【国際特許分類】
A61B 6/03 20060101AFI20220119BHJP
A61N 5/00 20060101ALI20220119BHJP
【FI】
A61B6/03 350Z
A61N5/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021521836
(86)(22)【出願日】2019-11-25
(85)【翻訳文提出日】2021-06-09
(86)【国際出願番号】 US2019063076
(87)【国際公開番号】W WO2020112675
(87)【国際公開日】2020-06-04
(32)【優先日】2018-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2018-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-01-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-02-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-02-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-03-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-03-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-04-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-04-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-05-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-07-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505172824
【氏名又は名称】アキュレイ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】特許業務法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ユイ チーツォン
(72)【発明者】
【氏名】ギャニオン ダニエル
【テーマコード(参考)】
4C082
4C093
【Fターム(参考)】
4C082AE03
4C093AA22
4C093AA25
4C093BA03
4C093BA10
4C093CA01
4C093EA06
4C093EA07
4C093FD20
4C093FE14
4C093FF11
4C093FF37
(57)【要約】
コンピュータ断層撮影(CT)システムおよび方法を提供する。本CTシステムは、取得されたCT画像を以前の患者画像または以前に取得された患者画像を使用して補完する、または改善することのできる画像改善方法、を実行するために使用され、取得されたCT画像を表す取得された投影データは、スキャンされた対象/患者を正確かつ安定的に復元するには一部欠落している、または不完全/不十分なことがある。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以前の画像データを使用してスキャン画像の品質を改善する方法であって、前記方法は、
患者の以前の画像に対応する画像データを受信するステップと、
前記患者の投影画像データを取得するステップであって、前記取得された投影画像データが一部欠落している、取得するステップと、
前記患者の前記取得された投影画像データに基づいて患者画像を再構成するステップと、
前記以前の画像を、前記再構成された患者画像にレジストレーションするステップと、
前記レジストレーションされた以前の画像に基づいて、仮想投影データを生成するステップと、
補完された投影画像データセットを再構成して、改善された患者画像を作成するステップであって、前記補完された投影画像データセットが、前記取得された投影画像データおよび前記仮想投影データを含む、再構成して作成するステップと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記患者の前記以前の画像が、コンピュータ断層撮影(CT)画像である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記患者の前記以前の画像が、コーンビームCT画像である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記患者の前記以前の画像が、磁気共鳴(MR)画像である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記患者の前記以前の画像が、前記患者の以前の計画画像である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
仮想投影データを生成する前記ステップが、前記取得された投影画像データの少なくとも1つのビューを拡張するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
仮想投影データを生成する前記ステップが、前記取得された投影画像データを補完するための追加のビューを生成するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
仮想投影データを生成する前記ステップが、仮想線源軌道を設定するステップと、前記レジストレーションされた以前の画像の仮想投影を取得するステップを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記取得された投影画像データが、軸方向および横方向に一部欠落している、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記患者の投影画像データを取得する前記ステップが、前記患者の連続ヘリカルファンビームコンピュータ断層撮影スキャンを使用して前記患者の投影画像データを取得するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記以前の画像を前記再構成された患者画像にレジストレーションする前記ステップが、変形可能な画像レジストレーションを実行するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記以前の画像を前記再構成された患者画像にレジストレーションする前記ステップが、剛体画像レジストレーションを実行するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記改善された患者画像と、前記取得された投影画像データとの間のデータ整合性を、反復プロセスを使用して強化するステップ、をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記以前の画像の前記レジストレーションを、反復プロセスを使用して、前記改善された患者画像に基づいて精緻化するステップ、をさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
以前の画像データを使用してスキャン画像の品質を改善する撮像装置であって、
撮像放射線用に構成されている第1の放射線源と、
前記第1の放射線源からの放射線を受信するように配置されている放射線検出器と、
プロセッサと、
を備えており、
前記プロセッサが、
患者の以前の画像に対応する画像データを受信するステップと、
前記放射線検出器から前記患者の投影画像データを取得するステップであって、前記取得された投影画像データが一部欠落している、取得するステップと、
前記患者の前記取得された投影画像データに基づいて患者画像を再構成するステップと、
前記以前の画像を、前記再構成された患者画像にレジストレーションするステップと、
前記レジストレーションされた以前の画像に基づいて仮想投影データを生成するステップと、
補完された投影画像データセットを再構成して、改善された患者画像を作成するステップであって、前記補完された投影画像データセットが、前記取得された投影画像データおよび前記仮想投影データを含む、再構成して作成するステップと、
を実行するためのロジック、を備えている、
撮像装置。
【請求項16】
少なくとも部分的に患者支持台の周囲に配置されている回転可能なガントリーシステムをさらに備えており、前記第1の放射線源および前記放射線検出器が前記回転可能なガントリーシステムに取り付けられており、前記患者の投影画像データを取得する前記ステップが、前記患者の連続ヘリカルファンビームコンピュータ断層撮影スキャンを使用して前記患者の投影画像データを取得するステップを含む、請求項15に記載の装置。
【請求項17】
少なくとも部分的に患者支持台の周囲に配置されているCアームガントリーシステムまたは少なくとも1つのロボットアームをさらに備えており、前記第1の放射線源および前記放射線検出器が、前記Cアームガントリーシステムまたは前記少なくとも1つのロボットアームに取り付けられている、請求項15に記載の装置。
【請求項18】
治療用放射線用に構成されている第2の放射線源をさらに備えており、前記第1の放射線源が、前記第2の放射線源より低いエネルギレベルを有し、前記プロセッサが、前記改善された患者画像に基づいて前記患者に前記第2の放射線源を介して治療用放射線の線量を送達するためのロジック、をさらに備えている、請求項15に記載の装置。
【請求項19】
前記第1の放射線源が、キロボルト(kV)放射線源を備えており、前記第2の放射線源が、メガボルト(MV)放射線源を備えている、請求項18に記載の装置。
【請求項20】
放射線治療送達装置であって、
少なくとも部分的に患者支持台の周囲に配置されている回転可能なガントリーシステムと、
前記回転可能なガントリーシステムに結合されている第1の放射線源であって、撮像放射線用に構成されている、前記第1の放射線源と、
前記回転可能なガントリーシステムに結合されている第2の放射線源であって、治療用放射線用に構成されており、前記第1の放射線源が前記第2の放射線源より低いエネルギレベルを有する、前記第2の放射線源と、
前記回転可能なガントリーシステムに結合されており、少なくとも前記第1の放射線源からの放射線を受信するように配置されている放射線検出器と、
データ処理システムであって、
患者の以前の画像に対応する画像データを受信するステップと、
前記放射線検出器から前記患者の投影画像データを取得するステップであって、前記取得された投影画像データが一部欠落している、取得するステップと、
前記患者の前記取得された投影画像データに基づいて患者画像を再構成するステップと、
前記以前の画像を、前記再構成された患者画像にレジストレーションするステップと、
前記レジストレーションされた以前の画像に基づいて仮想投影データを生成するステップと、
補完された投影画像データセットを再構成して、改善された患者画像を作成するステップであって、前記補完された投影画像データセットが、前記取得された投影画像データおよび前記仮想投影データを含む、再構成して作成するステップと、
適応IGRT時に、前記改善された患者画像に基づいて、前記患者に前記第2の放射線源を介して治療放射線の線量を送達するステップと、
を実行するように構成されている、前記データ処理システムと、
を備えている、放射線治療送達装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願]
本出願は、11個の米国仮特許出願、すなわち、第62/773,712号(出願日2018年11月30日)(代理人整理番号:38935/04001)、第62/773,700号(出願日2018年11月30日)(代理人整理番号:38935/04002)、第62/796,831号(出願日2019年1月25日)(代理人整理番号:38935/04004)、第62/800,287号(出願日2019年2月1日)(代理人整理番号:38935/04003)、第62/801,260号(出願日2019年2月5日)(代理人整理番号:38935/04006)、第62/813,335号(出願日2019年3月4日)(代理人整理番号:38935/04007)、第62/821,116号(出願日2019年3月20日)(代理人整理番号:38935/04009)、第62/836,357号(出願日2019年4月19日)(代理人整理番号:38935/04016)、第62/836,352号(出願日2019年4月19日)(代理人整理番号:38935/04017)、第62/843,796号(出願日2019年5月6日)(代理人整理番号:38935/04005)、第62/878,364号(出願日2019年7月25日)(代理人整理番号:38935/04008)、の利益を主張する。さらに本出願は、同じ日に出願された10個の米国非仮特許出願、すなわち、代理人整理番号38935/04019、タイトル「MULTIMODAL RADIATION APPARATUS AND METHODS」、代理人整理番号38935/04020、タイトル「APPARATUS AND METHODS FOR SCALABLE FIELD OF VIEW IMAGING USING A MULTI-SOURCE SYSTEM」、代理人整理番号38935/04011、タイトル「INTEGRATED HELICAL FAN-BEAM COMPUTED TOMOGRAPHY IN IMAGE-GUIDED RADIATION TREATMENT DEVICE」、代理人整理番号38935/04013、タイトル「OPTIMIZED SCANNING METHODS AND TOMOGRAPHY SYSTEM USING REGION OF INTEREST DATA」、代理人整理番号38935/04015、タイトル「HELICAL CONE-BEAM COMPUTED TOMOGRAPHY IMAGING WITH AN OFF-CENTERED DETECTOR」、代理人整理番号38935/04021、タイトル「MULTI-PASS COMPUTED TOMOGRAPHY SCANS FOR IMPROVED WORKFLOW AND PERFORMANCE」、代理人整理番号38935/04012、タイトル「METHOD AND APPARATUS FOR SCATTER ESTIMATION IN CONE-BEAM COMPUTED TOMOGRAPHY」、代理人整理番号38935/04014、タイトル「ASYMMETRIC SCATTER FITTING FOR OPTIMAL PANEL READOUT IN CONE-BEAM COMPUTED TOMOGRAPHY」、代理人整理番号38935/04018、タイトル「METHOD AND APPARATUS FOR IMPROVING SCATTER ESTIMATION AND CORRECTION IN IMAGING」、代理人整理番号38935/04022、タイトル「METHOD AND APPARATUS FOR IMAGE RECONSTRUCTION AND CORRECTION USING INTER-FRACTIONAL INFORMATION」、にも関する。上に記載した特許出願および特許の内容は、その全体が参照により本明細書に組み込まれている。
【0002】
開示する技術の態様は、コンピュータ断層撮影(CT)撮像に関し、より詳細には、以前の画像または以前に取得された画像(画像誘導放射線治療(IGRT)の一部として取得された画像を含む)からの情報を使用して、画像を改善するCTシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0003】
コンピュータ断層撮影(CT)撮像は、一般に、患者または患者の一部を放射線源に曝露させ、放射線源からのX線放射を受信するように放射線検出器を位置決めすることを含む。放射線源および放射線検出器は、患者の周囲の様々な位置に動き、受信された放射線を使用して患者の画像を生成する。場合によっては、患者または患者の一部分が放射線源によって十分に照射されないことがあり、一部欠落した画像データや不十分な投影が生成されることがある。
【0004】
放射線治療は、CT撮像が高い頻度で採用される分野である。放射線治療は、多くの場合、(例えばメガボルト範囲のエネルギレベルにおける)高エネルギのX線ビームを患者内の腫瘍や他の関心領域の方に導くことによって行われる。この治療の目標は、周囲の組織の被曝を最小限にしながら、高エネルギX線ビームを関心領域に集中させることである。いわゆる画像誘導放射線治療(IGRT)では、CT撮像を利用して、画像に基づく送達前ステップ(治療計画を含むことができる)で使用するための患者の画像を収集することができる。またCT画像取得は、治療用放射線ビームが関心領域に正しく導かれて関心領域を治療していることを確認する目的にも使用することができる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
一実施形態においては、以前の画像データを使用してスキャン画像の品質を改善する方法は、患者の以前の画像に対応する画像データを受信するステップと、患者の投影画像データを取得するステップであって、取得された投影画像データが一部欠落している、取得するステップと、患者の取得された投影画像データに基づいて患者画像を再構成するステップと、以前の画像を、再構成された患者画像にレジストレーションするステップと、レジストレーションされた以前の画像に基づいて、仮想投影データを生成するステップと、補完された投影画像データセットを再構成して、改善された患者画像(U1)を作成するステップであって、補完された投影画像データセットが、取得された投影画像データおよび仮想投影データを含む、再構成して作成するステップと、を含む。
【0006】
一実施形態に関連して説明および/または図示した特徴は、1つまたは複数の別の実施形態において同じ方法で、または類似する方法で、および/または、別の実施形態の特徴と組み合わせて、または別の実施形態の特徴の代わりに、使用することができる。
【0007】
本発明の説明は、請求項で使用されている単語、または請求項もしくは本発明の範囲を、限定するものではない。請求項で使用されている単語は、すべての通常の意味を持つ。
【図面の簡単な説明】
【0008】
添付の図面(本明細書に組み込まれており本明細書の一部を構成している)には、本発明の実施形態が図解されており、上に記載した本発明の一般的な説明および以下に記載する詳細な説明と合わせて、本発明の実施形態を例示する役割を果たす。なお図に示した要素の境界(例:長方形、長方形のグループ、またはその他の形状)は、境界の一実施形態を表すことが理解されよう。いくつかの実施形態においては、1つの要素を複数の要素として設計することができる、または複数の要素を1つの要素として設計することができる。いくつかの実施形態においては、別の要素の内部の構成要素として示されている要素は、外部の構成要素として実施することができ、逆も同様である。さらに、要素は正しい縮尺で描かれていないことがある。
【
図1】開示する技術の一態様による例示的な放射線治療送達装置の斜視図である。
【
図2】開示する技術の一態様による例示的な放射線治療送達装置の概略図である。
【
図3】改善または補正された画像を生成する例示的な方法を描いた流れ図である。
【
図4】開示する技術の態様に関連付けられる例示的なデータを示しているブロック図である。
【
図5】改善または補正された画像を生成する別の例示的な方法を描いた流れ図である。
【
図6】データ整合性の強化を伴う、改善または補正された画像を生成する例示的な方法を描いた流れ図である。
【
図7】データ整合性の強化および以前の画像の精緻化を伴う、改善または補正された画像を生成する例示的な方法を描いた流れ図である。
【
図8】データ整合性の強化を伴う、改善または補正された画像を生成する例示的な方法を描いた流れ図である。
【
図9】データ整合性の強化および以前の画像の精緻化を伴う、改善または補正された画像を生成する例示的な方法を描いた流れ図である。
【
図10】放射線治療装置を使用するIGRTの例示的な方法を描いた流れ図である。
【
図11】例示的な画像に基づく送達前ステップを描いたブロック図である。
【
図12】撮像または画像に基づく送達前ステップ時に利用することのできる例示的なデータを描いたブロック図である。
【0009】
すべての図面は線図であり、正しい縮尺では描かれていないことに留意されたい。これらの図の一部の相対的な寸法および比率は、図面の明確さおよび便宜上の理由で、誇張または縮小されて示されている。同じ参照番号は、一般には、異なる実施形態における対応するかまたは類似する特徴を参照するために使用されている。したがって図面および説明は、本質的に例示を目的としているとみなすべきであり、本発明を制限するようにはみなされないものとする。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下では、本開示全体を通じて使用される例示的な用語を定義しておく。すべての用語の単数形および複数形は、いずれも各用語の意味を持つ。
【0011】
本明細書で使用される「構成要素」は、ハードウェアの一部、ソフトウェアの一部、またはこれらの組合せとして定義することができる。ハードウェアの一部は、少なくともプロセッサおよびメモリの一部を含むことができ、メモリは、実行するための命令を含む。構成要素は装置に関連付けられることがある。
【0012】
本明細書で使用される「ロジック」(「回路」と同義)は、(1つまたは複数の)機能または(1つまたは複数の)動作を実行するためのハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、および/またはそれぞれの組合せを含み、ただしこれらに限定されない。例えばロジックは、所望の用途またはニーズに基づいて、ソフトウェアによって制御されるマイクロプロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)などのディスクリートロジック、または他のプログラマブルロジックデバイスおよび/またはコントローラを含むことができる。ロジックは、完全にソフトウェアとして実施することもできる。
【0013】
本明細書で使用される「プロセッサ」は、実質的に任意の数のプロセッサシステムまたはスタンドアロンプロセッサ(マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、中央処理装置(CPU)、およびデジタルシグナルプロセッサ(DSP)など)の1つまたは複数を任意の組合せで含み、ただしこれらに限定されない。プロセッサは、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み取り専用メモリ(ROM)、プログラマブル読み取り専用メモリ(PROM)、消去可能なプログラマブル読み取り専用メモリ(EPROM)、クロック、デコーダ、メモリコントローラ、または割り込みコントローラなど、プロセッサの動作をサポートする様々な別の回路に関連付けることができる。これらのサポート回路は、プロセッサまたはそれに関連する電子パッケージの内部または外部であってよい。サポート回路は、プロセッサと動作可能に通信する。ブロック図または他の図面において、サポート回路は必ずしもプロセッサとは別に示されていない。
【0014】
本明細書で使用される「信号」は、1つまたは複数の電気信号(アナログ信号またはデジタル信号を含む)、1つまたは複数のコンピュータ命令、ビットまたはビットストリームなどを含み、ただしこれらに限定されない。
【0015】
本明細書で使用される「ソフトウェア」は、コンピュータ、プロセッサ、ロジック、および/または他の電子デバイスに、機能、動作を実行させる、および/または所望の方法で挙動させる、1つまたは複数のコンピュータ可読および/またはコンピュータ実行可能の命令を含み、ただしこれらに限定されない。命令は、ルーチン、アルゴリズム、モジュール、または動的にリンクされるソースまたはライブラリからの個別のアプリケーションまたはコードを含むプログラムなど、さまざまな形式で実施することができる。
【0016】
後からさらに詳しく説明するように、開示する技術の態様は、CT撮像システムおよび方法に関し、スキャンされた対象/患者を正確に表すには、取得されたCT画像を表す取得された投影データが一部欠落している、または不完全/不十分であるときを含めて、取得されたCT画像を、以前の患者画像または以前に取得された患者画像(例:計画画像)を使用して補完する、または改善することができる。いくつかの実施形態においては、取得された画像を補完するために、以前の画像自体ではなく、以前の画像に関連付けられる特定の属性および/または情報が使用される。
【0017】
本開示では、CT撮像手順において(例えばファンビームCT撮像手順またはコーンビームCT(CBCT)撮像手順において)取得されるデータが、(例えば解析的再構成法において)十分な品質の画像を再構成するには不十分であることがあり、このため最終的に画像のアーチファクト(例:コーンビームアーチファクト)が生じうることを認識している。一例においては、一般的なCBCT放射線源の軌道は円形である。しかしながらこのような軌道から取得されるデータは、円形平面の外側に位置する画素について画像を正確に再構成するには十分ではない。このデータの不十分さの結果としてコーンビームアーチファクトが生じ、アーチファクトは、撮像平面が軌道平面から離れる(または検出器の縦方向のカバー範囲が大きくなる)と悪化することがある。
【0018】
別の一般的なコーンビームデータ取得ジオメトリは、ヘリカルである。このような軌道の場合、投影データが限られるため、良好な画質の関心ボリュームは、縦方向および軸方向においてスキャン長さより一般に短い。ヘリカル軌道の先頭または最後において、画像を良好に再構成するための十分な投影データが存在しないことがある、または再構成された画像に含まれるアーチファクトが多すぎることがある。
【0019】
これらの例では、上に述べた画像アーチファクトは、通常、軸方向において頻度が低い。1つの一般的な解決策は、追加の軌道を使用してさらなるデータを取得することである。円軌道を例にとると、円軌道に結合される追加の線は、拡張される縦方向のボリュームにおいて画像を正確に再構成するための追加のデータを提供する。しかしながら、このような追加のスキャンでは、追加の時間が必要である、患者の線量が増す、および/または、撮像のワークフローが複雑になる可能性がある。
【0020】
本開示では、上に述べた欠落データまたは不十分なデータが、通常では低頻度であることを認識している。例えば画像を再構成する目的には、これらの追加のデータを良好に近似することで十分であり得る。開示する技術の態様では、以前の画像または以前に取得された画像(例:計画CT画像)と、これらのデータセットに適用される仮想投影器を使用して、画像の再構成を改善するための追加のデータを生成することができる。このような方法は、多くの線源軌道(円軌道およびヘリカル軌道を含む、ただしこれらに限定されない)に適用可能である。後からさらに説明するが、このような方法を、1つまたは複数の反復的な画像再構成手法と組み合わせることができる。
【0021】
以下では、開示する技術の態様について、以前の画像または以前に取得された画像が以前の計画画像(例:IGRT手順に関連して使用するための治療計画を生成する目的で治療前に取得される画像)である場合に関連して説明するが、開示する技術の態様は、一般的な撮像環境において(例:IGRT用途とは別の標準的なコンピュータ断層撮影撮像環境において)実施できることが理解されよう。
【0022】
例えば、いくつかの実施形態においては、開示する技術は、放射線治療システムとは個別のCTシステムに関する。別の実施形態においては、放射線治療送達装置および方法は、IGRTと組み合わせて、またはIGRTの一部として使用するためのCT用の統合された低エネルギ放射線源を利用することができる。特に、例えば、放射線治療送達装置および方法は、ガントリー内で撮像するための低エネルギ放射線源と、治療処置用の高エネルギ放射線源とを組み合わせることができる。一実施形態においては、低エネルギ放射線源は、CTシステムの一部としてのキロボルト(kV)放射線源であり、治療処置用の高エネルギ放射線源は、メガボルト(MV)放射線源である。kV放射線源を言及している以下の実施形態では、別の低エネルギ放射線源を利用してもよい。
【0023】
上に述べたように、画像取得システムは、専用のkV撮像線源を有するIGRTシステムに関連付けられている必要はない。例えば、関与する画像取得システムは、MV X線管およびMV X線検出器、kV X線管およびkV X線検出器、または両方の組合せを含むことができる。後からさらに詳しく説明するように、これらの撮像線源および検出器は、CTのようなガントリー(例:スリップリングを有する)に、ロボットアームに、2本のロボットアームに、および/または他の取付け装置に、さまざまな組合せで取り付けることができる。
【0024】
一実施形態によれば、本方法は、
図1および
図2に示した以下に説明するシステムにおいて実行することができる。しかしながら、撮像方法は、開示する技術の範囲から逸脱することなく、異なるコンピュータ断層撮影システム(例:Cアームシステムなど、放射線源および/または検出器が1本または複数のロボットアームに動作可能に結合されているMV CTシステムおよび/またはkV CTシステム)において実行できることが理解されよう。
【0025】
図1および
図2を参照し、放射線治療装置10が提供される。放射線治療装置10は、画像誘導放射線治療または療法(IGRT)を含む(ただしこれに限定されない)様々な用途に使用できることが理解されよう。放射線治療装置10は、後からさらに詳しく説明する撮像方法を実行するために使用することができる。放射線治療装置10は、支持ユニットまたはハウジング14によって支持されている、または収容されている回転可能なガントリーシステム(ガントリー12と称する)を含む。本明細書におけるガントリーとは、ターゲットの周りを回転するときに1つまたは複数の放射線源および/または関連する検出器を支持することのできる1つまたは複数のガントリー(例:リングまたはCアーム)を備えたガントリーシステムを指す。例えば、一実施形態においては、第1の放射線源および関連する検出器を、ガントリーシステムの第1のガントリーに取り付けることができ、第2の放射線源および関連する検出器を、ガントリーシステムの第2のガントリーに取り付けることができる。別の実施形態においては、2つ以上の放射線源および関連する(1つまたは複数の)検出器を、ガントリーシステムの同じガントリーに取り付けることができる(例えばガントリーシステムが1つのガントリーのみから構成される場合を含む)。ガントリー、放射線源、および放射線検出器の様々な組合せを、様々なガントリーシステム構成に組み合わせて、同じ装置内で同じボリュームを撮像および/または治療することができる。例えば、kV放射線源およびMV放射線源を、ガントリーシステムの同じガントリーまたは異なるガントリーに取り付けて、IGRTシステムの一部としての撮像および/または治療に、選択的に使用することができる。異なるガントリーに取り付けられる場合、これらの放射線源は独立して回転することができるが、依然として同じ(またはほぼ同じ)ボリュームを同時に撮像することができる。回転可能なリングガントリー12は、毎分10回転(rpm)以上の能力とすることができる(例:高速スリップリング回転を使用し、例えば最大10rpm、最大20rpm、最大60rpm、またはそれ以上のrpmを含む)。回転可能なガントリー12は、ガントリーボア16を画成しており、撮像および/または治療のために患者をこのボアの中に入れて位置決めすることができる。一実施形態によれば、回転可能なガントリー12は、スリップリングガントリーとして構成されており、撮像用放射線源および関連する放射線検出器の連続的な回転を提供する一方で、検出器によって受信される撮像データの十分な帯域幅を提供する。スリップリングガントリーでは、装置に関連付けられる電力および信号を伝えるケーブルが巻き付く、および巻き付きが解除されるように、ガントリーの回転方向を交互にする必要がない。後からさらに詳しく説明するように、このような構成によって、たとえIGRTシステムに統合されているときでも、連続的なヘリカル(例:ファンビーム、コーンビームなど)コンピュータ断層撮影を可能にすることができる。上に述べたように、一回転のCBCTの場合の主たる問題は、中央のスライス(回転を含むスライス)を除くすべてのスライスにおける不十分なサンプリングである。この問題は、ヘリカル軌道のコーンビーム撮像によって克服することができる。
【0026】
患者支持台18は、回転可能なガントリー12に隣接して配置されており、回転可能なガントリー12内に動かす、およびガントリー12の中で縦方向に動かすことができるように、一般には水平姿勢で患者を支持するように構成されている。患者支持台18は、例えばガントリー12の回転面に垂直な方向に(ガントリー12の回転軸に沿って、または回転軸に平行に)患者を動かすことができる。患者支持台18は、患者および患者支持台18の動きを制御する患者支持台コントローラに動作可能に結合することができる。命令された撮像計画および/または治療計画に従って患者の縦方向軸を中心に回転するように、患者支持台コントローラを、回転可能なガントリー12と、回転するガントリーに取り付けられている放射線源とに同期させることができる。いくつかの実施形態においては、患者支持台がボア16の中に入った時点で、最適な治療のために患者の位置を調整する目的で、患者支持台を限られた範囲内で上下左右に動かすこともできる。開示する技術の範囲から逸脱することなく、別のバリエーションを採用できることが理解されよう。例えば、回転可能なガントリー12に対して(一定速度または可変速度で)動くように支持台が制御されるとき、患者支持台の上に支持されている患者の周りを、(上に説明したような連続的な回転ではなく)ガントリー12が「交互方向に」(例:右回転および左回転の交互に)回転するように、回転可能なガントリー12および患者支持台を制御することができる。別の実施形態においては、連続的なステップアンドシュート円形スキャン(step-and-shoot circular scans)の場合、所望のボリュームがキャプチャされるまで、縦方向における患者支持台18の移動(ステップ)と、回転可能なガントリー12によるスキャン回転とが交互に行われる。装置10は、ボリュームベースおよび平面ベースの画像取得に対応している。例えば、様々な実施形態においては、装置10を使用して、ボリューム画像および/または平面画像を取得し、後から説明する関連する処理方法を実行することができる。
【0027】
放射線源および/または患者支持台の様々な別のタイプの動きを利用して、投影データを生成するための、放射線源と患者の相対運動を達成することができる。放射線源および/または患者支持台の不連続な運動、連続的であるが可変/非一定の(線形および非線形を含む)直線運動、速度、および/または軌道など、およびその組合せを使用することができる(上に説明した放射線治療装置10の様々な実施形態との組合せを含む)。
【0028】
図2に示したように、放射線治療装置10は、回転可能なガントリー12に結合されている、またはガントリー12によって支持されている第1の放射線源20を含む。一実施形態によれば、第1の放射線源20は、患者の中の関心領域内の腫瘍の治療に使用される高エネルギ放射線源など、治療用放射線源として構成されている。治療用放射線源は、開示する技術の範囲から逸脱することなく、高エネルギX線ビーム(例:メガボルト(MV)X線ビーム)、および/または高エネルギ粒子ビーム(例:電子のビーム、光子のビーム、またはより重いイオン(炭素など)のビーム)、または別の適切な形態の高エネルギ放射線とすることができることが理解されよう。一実施形態においては、第1の放射線源20は、1MeV以上のメガ電子ボルトピーク光子エネルギ(MeV)を備えている。一実施形態においては、高エネルギX線ビームは、0.8MeVより高い平均エネルギを有する。別の実施形態においては、高エネルギX線ビームは、0.2MeVより高い平均エネルギを有する。別の実施形態においては、高エネルギX線ビームは、150keVより高い平均エネルギを有する。一般的に、第1の放射線源20は、第2の放射線源30より高いエネルギレベル(ピークおよび/または平均など)を有する。
【0029】
撮像システム(後から詳しく説明する)は、第2の放射線源30を備えており、この第2の放射線源30は、比較的低い強度かつ低エネルギの撮像用放射線を生成する独立したX線撮像源とすることができる。一実施形態においては、第2の放射線源30は、キロボルト(kV)線源として構成されたX線源(例:約20kV~約150kVの範囲内のエネルギレベルを有する臨床用X線源)である。いくつかの実施形態においては、kV放射線源は、最大150keVのキロ電子ボルトピーク光子エネルギ(keV)を備えている。撮像用放射線源は、撮像に適切な任意のタイプの透過スキャン用線源(transmission source)とすることができる。例えば、撮像用放射線源は、X線生成源(CT用を含む)、または十分なエネルギおよびフラックスを有する光子を生成する任意の別の方法(例えばガンマ線源(例:コバルト57、エネルギピーク122keV)、蛍光X線源(Pb k線を通じた蛍光源など、2つのピーク約70keVおよび約82keV)など)とすることができる。本明細書におけるX線、X線撮像、撮像X線源などの言及は、特定の実施形態において例示的である。さまざまな別の実施形態においては、これらに代えて別の撮像用透過スキャン用線源を使用することができる。
【0030】
第1の放射線源20は、患者支持台18の上に支持されている患者内の関心領域(ROI)の方に、1本または複数の放射線ビーム(全体を22によって示してある)を放出できることがさらに理解されよう。第1の放射線源は、治療計画に従って1本または複数の放射線ビームを放出することができる。治療計画は、線源の角度位置、ビームの幾何学形状、ビームの強度、変調、照射線量などに関する詳細なパラメータを含み得ることも理解されたい。
【0031】
一実施形態においては、第1の放射線源20は、治療用放射線(例:MV)を生成するLINACであり、撮像システムは、比較的低い強度かつ低エネルギの撮像用放射線(例:kV)を生成する独立した第2の放射線源30を備えている。別の実施形態においては、第1の放射線源20は、一般に1MeVを超えるエネルギを有することのできる放射性同位元素(例えばCo-60など)とすることができる。第1の放射線源20は、患者支持台18の上に支持されている患者内の関心領域(ROI)の方に、治療計画に従って1本または複数の放射線ビーム(全体を22によって示してある)を放出することができる。
【0032】
後から詳しく説明するように、放射線源20,30は、互いに組み合わせて使用して、より高い画質かつ利用価値の高い画像を生成することができる。別の実施形態においては、回転可能なガントリー12に少なくとも1つの追加の放射線源を結合して動作させ、放射線源20,30のピーク光子エネルギとは異なるピーク光子エネルギにおいて投影データを取得することができる。
【0033】
図1および
図2は、リングガントリー12に取り付けられた放射線源20を有する放射線治療装置10を描いているが、別の実施形態は、別のタイプの回転可能な撮像装置(例えば、Cアームガントリーおよびロボットアームベースのシステムを含む)を含むことができる。ガントリーベースのシステムでは、ガントリーが、アイソセンタを通る軸を中心に撮像用放射線源30を回転させる。ガントリーベースのシステムとしてはCアームガントリーが挙げられ、Cアームガントリーでは、撮像用放射線源30が、片持ち梁に似た方法で取り付けられており、アイソセンタを通る軸を中心に回転する。さらにガントリーベースのシステムとしてリングガントリー(例えばほぼトロイダル形状を有する回転可能なガントリー12)が挙げられ、リングガントリーでは、患者の身体がリング/トロイドのボアの中に延び、撮像用放射線源30がリングの周囲に取り付けられており、アイソセンタを通る軸を中心に回転する。いくつかの実施形態においては、ガントリー12は連続的に回転する。別の実施形態においては、ガントリー12は、順方向と逆方向とに反復的に回転するケーブルベースのシステムを利用する。
【0034】
第1の検出器24は、回転可能なガントリー12に結合する、またはガントリー12によって支持することができ、第1の放射線源20からの放射線22を受信するように配置されている。第1の検出器24は、減衰されていない放射線量を検出する、または測定することができ、したがって患者または関連する患者のROIによって実際に減衰されたものを(最初に生成されたものと比較して)推測することができる。第1の検出器24は、第1の放射線源20が患者の周囲を回転して患者の方に放射線を放出するときに、様々な角度からの減衰データを検出する、または収集することができる。収集された減衰データを処理して、患者の身体の1つまたは複数の画像に再構成することができる。
【0035】
放射線治療装置10内に統合されている撮像システムは、放射線送達手順(治療)を設定する(例:位置合わせおよび/またはレジストレーション)、計画する、および/または誘導するために使用される現在の画像を提供することができる。一般的な設定は、現在の(治療中)画像を、治療前画像情報(例:以前の画像情報または以前に取得された画像情報)と比較することによって達成される。治療前画像情報は、例えば、CTデータ、CBCTデータ、磁気共鳴画像法(MRI)データ、ポジトロン放出断層撮影法(PET)データ、または3D回転血管造影法(3DRA)データ、および/または、これらまたは別の画像診断法から得られる任意の情報を含むことができる。いくつかの実施形態においては、撮像システムは、治療中の患者、ターゲット、またはROIの動きを追跡することができる。
【0036】
従来の治療中画像は、一般に、CBCT画像または2次元画像(一般にはレントゲン写真)を含む。レントゲン写真は、1つまたは複数の異なる視点において取得することができ(例:立体X線画像)、3次元の治療前画像情報から導かれる2次元のデジタル再構成レントゲン写真(DRR:digitally reconstructed radiographs)と比較することができる。CBCTは、ターゲットボリュームの2D投影から3Dボリューム画像を直接構築することができる。この技術分野において公知であるように、一実施形態においては、CBCTは、ターゲットボリュームの周りのガントリーの一回転から、より等方性の空間分解能を有する3D画像ボリュームを形成する能力を有する。別の実施形態においては、CBCTは、ヘリカルスキャン軌道を利用することができる。しかしながら上で述べたように、散乱、不完全なデータ、および/またはアーチファクトは、CBCTシステムの大きな問題となることがあり、画質が制限される。理解できるように、従来の手法を使用するとき、これらおよび他の従来の放射線治療の治療時撮像システムは、画像に基づく送達前ステップ(リアルタイムの治療計画を含む)に適する高画質および/または完全な画像を生成する能力を持たない。
【0037】
図2に示したように、放射線治療装置10内に統合された撮像システムは、回転可能なガントリー12に結合されている、またはガントリー12によって支持されている第2の放射線源30を含む。上述したように、第2の放射線源30は、治療用の第1の放射線源20より低いエネルギレベルを有する、高品質の治療中画像のための撮像用放射線(例:kV)(全体を32として示してある)の線源として構成することができる。
【0038】
第2の検出器34(例:2次元のフラット検出器または湾曲した検出器)は、回転可能なガントリー12に結合する、またはガントリー12によって支持することができる。第2の検出器34は、第2の放射線源30からの放射線を受信するように配置されている。検出器34は、減衰されていない放射線量を検出する、または測定することができ、したがって患者または関連する患者のROIによって実際に減衰されたものを(最初に生成されたものと比較して)推測することができる。検出器34は、第2の放射線源30が患者の周囲を回転して患者の方に放射線を放出するときに、異なる角度からの減衰データを検出する、または収集することができる。
【0039】
コリメータまたはビームフォーマアセンブリ(全体を36として示してある)は、第2の放射線検出器34のアクティブ領域の一部分または領域を選択的に曝露させるために、第2の放射線源30によって放出される放射線ビーム32の形状を選択的に制御および調整する目的で、第2の放射線源30に対して配置されている。コリメータ36は、検出器34上の放射線ビーム32の配置状態も制御することができる。一実施形態においては、コリメータ36は、(例えばより薄い、またはより厚いスリットを形成するために)1つの角度/寸法を動かすことができる。別の実施形態においては、コリメータ36は、(例えば様々なサイズの長方形を形成するために)2つの角度/寸法を動かすことができる。別の実施形態においては、コリメータ36は、様々な別の動的に制御される形状(例えば平行四辺形を含む)に対応することができる。これらのすべての形状は、スキャン中に動的に調整することができる。いくつかの実施形態においては、コリメータの遮断部分を回転させる、および/または平行移動させることができる。
【0040】
コリメータ/ビームフォーマ36は、第2の放射線源30によって放出される放射線ビーム32の形状を調整することを可能にする様々な方法で構成することができる。例えば、第2の放射線源30からの放射線ビームがコリメートされた状態で通過できる開口部のサイズを定義および選択的に調整する一連の顎部または他の適切な部材を含むように、コリメータ36を構成することができる。1つの例示的な構成によれば、第2の放射線源30からの放射線ビームが通過する開口部のサイズを調整する目的と、撮像を最適化しかつ患者の線量を最小にするために、撮像される患者の部分のみが照射されるように患者に対してビーム32の位置を調整する目的で、コリメータ36は上側顎部および下側顎部を含むことができ、上側顎部および下側顎部は異なる方向(例:平行な方向)に可動である。例えば、コリメータは、マルチリーフコリメータ(MLC:multi-leaf collimator)として構成することができ、マルチリーフコリメータは、最小限に開いた位置または閉じた位置と、最大限に開いた位置との間の1つまたは複数の位置に動くように動作可能な複数のインターレースリーフ(interlaced leaves)を含むことができる。放射線源によって放出される放射線ビームの望ましい形状が達成されるように、リーフを所望の位置に動かすことができることが理解されよう。一実施形態においては、マルチリーフコリメータ(MLC)は、ミリメートル以下のターゲティング精度が可能である。
【0041】
一実施形態によれば、第2の放射線源30からの放射線ビーム32の形状を、画像の取得中に変化させることができる。言い換えれば、例示的な一実装形態によれば、スキャンの前またはスキャン中に、コリメータ36のリーフ位置および/または開口部の幅を調整することができる。例えば、一実装形態によれば、放射線ビーム32が、十分な主領域/影領域を持つ形状を有し、撮像中に関心オブジェクト(例:前立腺)のみが含まれるように調整されるように、第2の放射線源30の回転中にコリメータ36を選択的に制御し、動的に調整することができる。第2の放射線源30によって放出される放射線ビーム32の形状は、所望の画像取得に応じて、スキャン前、スキャン中、および/またはスキャン後に選択的に制御することができ、所望の画像取得は、後からさらに詳しく説明するように、撮像および/または治療のフィードバックに基づくことができる。
【0042】
第1の放射線源20は、ビームフォーマまたはコリメータを含む、またはビームフォーマもしくはコリメータに関連付けることができることがさらに理解されよう。第1の放射線源20に関連付けられるコリメータ/ビームフォーマは、第2の放射線源30に関連付けられるコリメータ36と同様に、複数の方法で構成することができる。
【0043】
コリメータアセンブリ36は、第2の放射線源30によって放出される放射線ビーム32の形状を、複数の幾何学形状に調整するように制御することができ、複数の幾何学形状は、ファンビーム、シックファンビーム、または1つの検出器列の幅と同程度に小さいビーム厚さ(幅)を有するコーンビーム、または複数の検出器列(これは検出器のアクティブ領域の一部分のみとすることができる)を含むビーム厚さ(幅)を有するコーンビームを含み、ただしこれらに限定されない。様々な実施形態においては、ビームの厚さは、より大きな検出器のアクティブ領域の数センチメールを曝露させることができる。例えば、5~6センチメートルの検出器のうち(検出器平面において縦方向に測定される)3~4センチメートルを、撮像用放射線32に選択的に曝露させることができる。しかしながら別の実施形態においては、曝露されるアクティブ領域の別の様々なサイズ、または検出器のアクティブ領域に対する曝露領域の別の様々な比率が、適切でありうる。
【0044】
例示的な一実施形態によれば、上では、放射線治療装置10を、第1の放射線源20と、第2の放射線源30と、第1の放射線源20からの放射線を受信するように配置されている第1の放射線検出器24と、第2の放射線源30からの放射線を受信するように配置されている第2の放射線検出器34とを含むものとして、説明してきた。しかしながら、開示する技術の範囲から逸脱することなく、放射線治療装置10は、第1の放射線源20(例:治療用放射線源)と、第2の放射線源30(例:kV放射線源)と、第2の放射線源30からの放射線を受信するように配置されている放射線検出器34のみを含むことができることが理解されよう。
【0045】
放射線源20は、放射線源30と同じ平面または異なる平面(オフセット)に取り付ける、構成する、および/または動かすことができる。いくつかの実施形態においては、放射線源20,30を同時に作動させることに起因する散乱は、放射線の平面をずらすことによって段階的に低減することができる。別の実施形態においては、作動を交互に行うことによって散乱を回避することができる。例えば、同時マルチモーダル撮像では、個別のパルスを同時に発生させることなく、取得を同時に行うことができる。別の実施形態においては、例えばkV検出器におけるMV散乱の問題に対処するために、影ベースの散乱補正(shadow-based scatter correction)を使用することができる。
【0046】
放射線治療装置として統合された装置10は、放射線送達手順(治療)を設定する(例:位置合わせおよび/またはレジストレーション)、計画する、および/または誘導するために使用される画像を提供することができる。一般的な設定は、現在の(治療中)画像を、治療前画像情報と比較することによって達成される。治療前画像情報は、例えば、CTデータ、CBCTデータ、MRIデータ、PETデータ、または3D回転血管造影法(3DRA)データ、および/または、これらまたは別の画像診断法から得られた任意の情報、を含むことができる。いくつかの実施形態においては、装置10は、治療中の患者、ターゲット、またはROIの動きを追跡することができる。
【0047】
再構成プロセッサ40は、第1の検出器24および/または第2の検出器34に動作可能に結合することができる。一実装形態においては、再構成プロセッサ40は、放射線源20,30から検出器24,34によって受信される放射線に基づいて患者画像を生成するように構成されている。再構成プロセッサ40は、後からさらに詳しく説明する本方法を実行するために使用されるように構成できることが理解されよう。装置10は、情報(処理および再構成アルゴリズムおよびソフトウェア、撮像パラメータ、以前の画像または以前に取得された画像(例:計画画像)からの画像データ、治療計画などを含む、ただしこれらに限定されない)を格納するのに適するメモリ44をさらに含むことができる。
【0048】
放射線治療装置10は、オペレータ/ユーザインタフェース48を含むことができ、放射線治療装置10のオペレータは、放射線治療装置10と対話する、または制御して、スキャンパラメータまたは撮像パラメータなどに関連する入力を行うことができる。オペレータインタフェース48は、任意の適切な入力デバイス(キーボード、マウス、音声作動式コントローラなど)を含むことができる。放射線治療装置10は、放射線治療装置10のオペレータに出力を提供するためのディスプレイ52、または人が読むことのできる他の要素も含むことができる。例えば、ディスプレイ52は、再構成された患者画像および他の情報(放射線治療装置10の動作に関連する撮像パラメータまたはスキャンパラメータなど)をオペレータが確認することを可能にすることができる。
【0049】
第2の放射線源30に対して配置されているコリメータアセンブリ36は、第2の放射線源30によって放出される放射線ビームを動的にコリメートするように構成できることが理解されよう。
【0050】
実行されている特定の撮像タスクに基づいて、第2の放射線源30からのビーム32が第2の検出器34の大きな部分または小さな部分を覆うように、コリメータアセンブリ36を制御することができる。例えば、単一検出器列からのファン厚さを有するファンビームを提供するように、コリメータ36を選択的に制御することができ、単一検出器列はミリメートル以下、最大数センチメートル、例えば3~4センチメートル(検出器平面において縦方向に測定)のビーム厚さを含む。このようなビーム形状は、開示する技術の態様に従って連続的なヘリカルファンビーム撮像モードにおいて使用することができる。別の実施形態においては、円形撮像モード(circular imaging mode)(より大きなファンビーム厚さまたはコーンビーム厚さの場合を含む)を使用することができる。例えば、任意のモードにおいて、約1センチメートルの厚さを有するビームを提供するように、コリメータ36を選択的に制御することができる。別の例示的な実施形態によれば、1センチメートルを超えるかまたは数センチメートル(例えば約2センチメートル~約4センチメートルの範囲内を含む)の厚さを有するビームを提供するように、コリメータ36を選択的に制御することができる。別の例示的な実施形態によれば、約15センチメートル~約30センチメートルの範囲内の厚さを有するビーム32を提供するように、コリメータ36を選択的に制御することができる。別の例示的な実施形態によれば、約35センチメートル~約40センチメートルの範囲内の厚さを有するビーム32を提供するように、コリメータ36を選択的に制御することができる。一般には、薄い(例:単一列)、厚い(例:複数列)、またはコーン形状であるビームを生成するように、システムおよびビーム形状を制御することができる。
【0051】
一実装形態によれば、第2の放射線源30からのビーム32の幾何学形状を、画像の取得中に変化させることができる。言い換えれば、例示的な一実装形態によれば、コリメータ36のリーフ位置および/または開口部の幅を、スキャン前またはスキャン中に調整することができる。例えば、一実施形態によれば、撮像中にビーム32が関心オブジェクト(例:前立腺)のみを含む長方形形状を有するように、第2の放射線源30の回転中にコリメータ36を選択的に制御して動的に調整することができる。
【0052】
図2に示したように、放射線治療装置10は、放射線治療システム10の1つまたは複数の構成要素に動作可能に結合されているコントローラ(全体を60として示してある)を含む。コントローラ60は、放射線治療装置10の全体的な機能および動作を制御する(第1の放射線源20および/または第2の放射線源30と、回転可能なガントリー12の回転速度および位置を制御するガントリーモータコントローラとに、電力およびタイミング信号を提供することを含む)。コントローラ60は、以下、すなわち、患者支持台コントローラ、ガントリーコントローラ、第1の放射線源20および/または第2の放射線源30に結合されているコントローラ、コリメータアセンブリコントローラ、第1の検出器24および/または第2の検出器34に結合されているコントローラ、その他、の1つまたは複数を包含し得ることが理解されよう。一実施形態においては、コントローラ60は、他の構成要素、装置、および/またはコントローラを制御することのできるシステムコントローラである。
【0053】
様々な実施形態においては、再構成プロセッサ40、オペレータインタフェース48、ディスプレイ52、コントローラ60、および/または他の構成要素を組み合わせて、1つまたは複数の構成要素または装置にすることができる。
【0054】
放射線治療システム10は、様々な構成要素、ロジック、およびソフトウェアを含むことができる。一実施形態においては、コントローラ60は、プロセッサ、メモリ、およびソフトウェアを備えている。本発明を制限することのない一例として、放射線治療システム(例えば
図1および
図2に示した放射線治療システム10など)は、特定の用途における撮像および/またはIGRTに関連する1つまたは複数のルーチンまたはステップを実施することのできる様々な他の装置および構成要素(例:特に、ガントリー、放射線源、コリメータ、検出器、コントローラ、電源、患者支持台)を含むことができ、ルーチンは、メモリに格納することのできるそれぞれの装置の設定、構成、および/または位置(例:経路/軌道)を含む、撮像、画像に基づく送達前ステップ、および/または治療送達を含むことができる。別のルーチンは、データおよび画像の処理に関連付けられるプロセスおよび/またはアルゴリズム(例えば後から説明するプロセスを含む)を含む。さらに、(1つまたは複数の)コントローラは、メモリに格納されている1つまたは複数のルーチンまたはプロセスに従って、1つまたは複数の装置および/または構成要素を直接的または間接的に制御することができる。直接的な制御の例は、撮像または治療に関連付けられる様々な放射線源またはコリメータのパラメータ(出力、速度、位置、タイミング、変調など)の設定である。間接的な制御の例は、患者支持台コントローラまたは別の周辺装置に、位置、経路、速度などを伝えることである。放射線治療装置10に関連付けることのできる様々なコントローラの階層は、適切な命令および/または情報が所望の装置および構成要素に伝えられるように、任意の適切な方法で編成することができる。
【0055】
さらに、本システムおよび本方法を別のコンピュータシステム構成を使用して実施できることが、当業者には理解されるであろう。本発明の図示した態様は、分散コンピューティング環境において実施することができ、分散コンピューティング環境では、特定のタスクは、通信ネットワークを通じてリンクされているローカルまたはリモートの処理装置によって実行される。例えば、一実施形態においては、再構成プロセッサ40を個別のシステムに関連付けることができる。分散コンピューティング環境では、プログラムモジュールを、ローカルのメモリ記憶装置およびリモートのメモリ記憶装置の両方に配置することができる。例えば、リモートデータベース、ローカルデータベース、クラウドコンピューティングプラットフォーム、クラウドデータベース、またはこれらの組合せを、放射線治療装置10で利用することができる。
【0056】
放射線治療装置10は、本発明の様々な態様を実施するために、コンピュータを含む例示的な環境を利用することができ、コンピュータは、コントローラ60(例:プロセッサおよびメモリ(メモリ44とすることができる)を含む)およびシステムバスを含む。システムバスは、システムの構成要素(メモリを含む、ただしこれに限定されない)をプロセッサに結合することができ、他のシステム、コントローラ、構成要素、装置、およびプロセッサと通信することができる。メモリは、読み取り専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、ハードディスクドライブ、フラッシュドライブ、および任意の他の形式のコンピュータ可読媒体を含むことができる。メモリは、ルーチンおよびパラメータを含む様々なソフトウェアおよびデータ(例えば治療計画を含みうる)を格納することができる。
【0057】
第1の放射線源20および/または第2の放射線源30は、第1の放射線源20および第2の放射線源30の相対的な動作を制御するように構成されているコントローラ60に結合することができる。例えば、第2の放射線源30を、第1の放射線源20と同時に制御および動作させることができる。これに加えて、またはこれに代えて、実施されている特定の治療計画および撮像計画に応じて、第2の放射線源30を、第1の放射線源20と順次に制御および動作させることができる。
【0058】
第2の検出器34は、開示する技術の範囲から逸脱することなく、複数の構造をとり得ることが理解されよう。
図2に示したように、第2の検出器34を、フラットパネル検出器(例:複数列フラットパネル検出器)として構成することができる。別の例示的な実施形態によれば、第2の検出器34を、湾曲した検出器として構成することができる。
【0059】
第2の放射線源30に対して配置されている、または第2の放射線源30に関連付けられるコリメータアセンブリ36は、第2の検出器34の構造または形状にかかわらず、第2の放射線検出器34の一部または全体が選択的に曝露されるように、第2の放射線源30によって放出される放射線ビーム32の形状を制御するように、選択的に制御できることが理解されよう。例えば例示的な一実施形態によれば、撮像用放射線のファンビームまたはコーンビームが提供されるように、第2の放射線源からのビームをコリメートする、または制御することができる。ビームのサイズおよび形状は、特定の所望の撮像用途に基づいて制御できることが理解されよう。開示する技術の一例によれば、第2の放射線源によって放出される放射線ビーム32が、約1センチメートルより大きい、および約1センチメートルのファンビーム厚さを有するファンビームであるように、コリメータアセンブリ36を選択的に制御することができる。上述したように、第2の放射線源によって放出される放射線ビーム32の形状は、所望の画像取得(撮像および/または治療のフィードバックに基づくことができる)に応じて、スキャン中またはスキャン後に変化させることができる。
【0060】
第2の放射線源30と、第2の放射線源30からの放射線を受信するように配置されている第2の検出器34は、撮像スキャン中に患者の周りを連続的に回転するように構成できることが理解されよう。さらに、第2の放射線源30の動きおよび照射を、患者支持台の縦方向の動きと同期させることによって、処置中に患者の画像をヘリカルファンビームによって連続的に取得することができる。
【0061】
続く流れ図およびブロック図は、上述したシステムによる、CTおよび/またはIGRTに関連付けられる例示的な構成および方法を示している。例示的な方法は、ロジック、ソフトウェア、ハードウェア、またはこれらの組合せにおいて実行することができる。さらに、これらの手順および方法は、ある順序で提示されているが、ブロックを異なる順序(連続的および/または並行を含む)で実行することができる。特に、例えば、第1の放射線源20および第2の放射線源30を、順次、および/または同時に作動させることができる。したがって、後から説明するステップ(撮像、画像処理、画像に基づく送達前ステップ、治療送達を含む)は、順次示してあるが、同時に実行することができる(リアルタイムでの実行を含む)。さらには、追加のステップを使用する、またはより少ないステップを使用することができる。
【0062】
図3は、改善または補正された画像を生成する例示的な方法300の流れ図である。この方法300は、画像レジストレーションおよび解析的再構成アルゴリズムを利用する画像補正方式を含む。
図4は、方法300に関連付けられる例示的なデータを示すブロック
図400である。引き続き
図3および
図4を参照し、ステップ310において、入力されるデータは、利用可能な線源軌道から取得される一次データ
【数1】
および以前の画像
【数2】
(例:以前に取得された計画CT画像)を含む(ただしこれらに限定されない)。方法300の説明を目的として、このような線源軌道は、関心ボリュームにおける正確または十分な画像再構成のための十分なデータを提供しないことがあることを理解されたい。追加の入力は、データ取得パラメータを含みうることが理解されよう。いくつかの実施形態においては、
【数3】
および
【数4】
は、横方向に一部欠落していない、またはこれらの横方向の一部欠落を良好に補正することができる。別の実施形態においては、横方向に一部欠落している投影データに基づく補正または画像改善に、本明細書に記載されている方法を適用できることが理解されよう。
【0063】
ステップ320においては、一次データ
【数5】
を使用しての最初の画像再構成を実行することができる(例:近似アルゴリズムを使用する)。便宜上、このような画像を
【数6】
と表す。この画像
【数7】
は、データの不完全性に起因して画像アーチファクト(例:コーンビームアーチファクト)を含み得ることが理解されよう。例えば円軌道の場合、この最初の画像
【数8】
は、任意の適切な3次元ボリューム再構成手法(Feldkamp-Davis-Kress(FDK)アルゴリズムなど)によって取得することができる。ヘリカル軌道の場合、1つの可能な再構成アルゴリズムは、重み付きフィルタ補正逆投影(weighted filtered-back-projection)である。
【0064】
ステップ330においては、最初の再構成
【数9】
と以前の画像/計画画像
【数10】
との間で画像レジストレーションを実行する。この説明を目的として、レジストレーションされた以前の画像/計画画像をI
1と表す。
【0065】
ステップ340は、ターゲットの関心ボリュームの画像再構成を改善する目的で、欠落データを提供する線源軌道の追加部分を設計する、または生成することを含む。次に、この追加の線源軌道に沿って、I
1に仮想順投影器を適用して新しい投影データのセット(P
1と表す)を生成する。このような順投影器は、開示する技術の範囲から逸脱することなく、1つまたは複数の適切な方法(例:Siddonの方法またはJosephの方法)を利用することができる。一実施形態においては、このような順投影法では、
【数11】
とP
1の整合性が確保されるように、一次データのデータ取得設定と同じデータ取得設定を使用することができる。
【0066】
しかしながら、追加の軌道部分のための検出器構成では、異なる次元および検出器画素サイズが可能であることが理解されよう。円形線源軌道を例にとると、線源軌道のこのような追加の部分は、円軌道に結合される線または円弧とすることができ、投影器は、管電位、管電流、スペクトルなどを含むことができる。ヘリカル軌道の場合、追加の線源軌道を、最初の線源軌道から縦方向に延ばすことができ、例えば螺旋、線、および円弧の形状とすることができる。
【0067】
ステップ350においては、
【数12】
およびP
1の両方を使用して、改善された画像再構成を実行する。説明を目的として、再構成された画像をU
1と表す。次に、この再構成された画像U
1を、基本補正方式の出力とみなす(全体を360として示してある)。円形線源軌道を例にとると、仮想的な線または円弧からの追加の投影データのセットP
1の助けを借りて、Katsevichタイプの再構成アルゴリズムを使用し、再構成350を実行してU
1を生成することができる。ヘリカル軌道の場合、最初の再構成に使用される再構成アルゴリズムと同じ再構成アルゴリズムを、軌道の追加部分に対して使用することができる。軌道の追加部分が異なるタイプである場合、関心ボリュームの拡張部分に対してKatsevichタイプの再構成アルゴリズムを使用することができる。
【0068】
次に
図5を参照し、例示的な画像処理/生成方法500の流れ図を提供する。画像生成方法500は、治療手順の前および/または治療手順中に患者画像をキャプチャすることのできるIGRT手順と組み合わせての撮像方法(例:CT)を含むことができることが理解されよう。一実施形態においては、方法500は、上述した放射線治療装置10に関連付けることができる。このような例示的な場合には、以前の画像または以前に取得された画像は、治療前画像または計画画像とすることができる。これに代えて、
図5に関連して説明されている撮像方法500は、IGRT用途とは独立して実施することができる。
【0069】
方法500はステップ510から始まり、ステップ510では、患者の以前の画像または以前に取得された画像に対応する画像データを受信する。一実施形態によれば、受信される画像データは、以前のCT画像(例:計画画像)とすることができる。これに代えて、受信される画像は、別の画像診断法からの画像(例:磁気共鳴(MR)画像)とすることができる。一実装形態によれば、受信される画像データは、IGRT手順で使用する目的でIGRT手順に関連して収集された以前の計画画像からのCT画像データとすることができる。
【0070】
ステップ520においては、(例:例えば装置10を使用してのkV撮像動作やMV撮像動作などのCT撮像動作を通じて)患者の投影画像データを取得することができる。一実施形態によれば、取得される投影画像データは、少なくとも軸方向に一部欠落していることがある。別の実施形態によれば、取得される投影画像データは、軸方向のみならず横方向に一部欠落していることがある。さらに別の実施形態においては、投影画像データは、一部欠落したデータではなく、または一部欠落したデータに加えて、アーチファクトを含むことがある。いくつかの実施形態においては、一部欠落したデータ、および/または、アーチファクトを有するデータを使用することができれば、スキャン時間を短縮することができ、これにより画像放射線量も低減できる。例えば、いくつかの実施形態においては、一部欠落したデータ、および/または、アーチファクトを有するデータを補正する、または改善することができれば、ヘリカルピッチを大きくすることが可能になり、結果として欠陥が含まれるが、スキャン時間が短縮される。
【0071】
ステップ530においては、取得された患者の投影画像データに基づいて画像再構成を実行して、患者画像を生成または取得することができる。開示する技術の範囲から逸脱することなく、複数の再構成手法/アルゴリズムのうちの任意の1つを採用できることが理解されよう。例えば、円形画像取得軌道と組み合わせてFDKアルゴリズムを採用することができ、ヘリカル画像取得軌道と組み合わせて重み付きフィルタ補正逆投影を採用することができる。
【0072】
ステップ540においては、患者の以前の画像を、取得された(再構成された)患者画像にレジストレーションすることができる(例:幾何学変換および/または局所変位を適用してそれぞれの画像を位置合わせする任意の適切なプロセスを使用する)。開示する技術の範囲から逸脱することなく、画像レジストレーションの任意の適切な方法を採用できることが理解されよう。例えば、適切な剛体画像レジストレーションプロセス(例:変換の後にすべての画素間の関係が同じであるように画素が均一に移動および/または回転する)を使用して、患者の以前の画像を、取得された患者画像にレジストレーションすることができる。別の例によれば、適切な変形可能な画像レジストレーションプロセス(例:画素間の関係が変化する)を使用して、患者の以前の画像を、取得された患者画像にレジストレーションすることができる。
【0073】
ステップ550においては、以前の画像または以前に取得された画像(例:計画画像)に基づいて仮想投影データを生成し、補完された投影画像データセット(患者の取得された投影画像データおよび仮想投影データを含む)を提供することができる。このステップは、ターゲットの関心ボリュームの画像再構成を改善する目的で、欠落データを理論的に提供する線源軌道の追加部分を設計する、または採用するステップを含むことができることが理解されよう。次に、この追加の線源軌道に沿って、仮想順投影器を、レジストレーションされた以前の画像または以前に取得された画像に適用して、新しい投影データのセットを生成することができる。このような順投影器は、開示する技術の範囲から逸脱することなく、1つまたは複数の適切な方法(例:Siddonの方法またはJosephの方法)を利用することができる。このような順投影法では、画像データセットの整合性が確保されるように、取得された投影画像データのデータ取得設定と同じデータ取得設定を使用するべきである。
【0074】
しかしながら、追加の線源部分のための検出器構成では、異なる次元および検出器画素サイズを可能であることが理解されよう。円形線源軌道を例にとると、線源軌道のこのような追加の部分は、円形軌道に結合される線または円弧とすることができ、投影器は、管電位、管電流、スペクトルなどを含むことができる。ヘリカル軌道の場合、追加の線源軌道を、最初の線源軌道から縦方向に延ばすことができ、例えば螺旋、線、および円弧の形状とすることができる。
【0075】
ステップ560においては、補完された投影画像データセットを再構成することができる。この場合にも、開示する技術の範囲から逸脱することなく、任意の数の再構成アルゴリズムまたは方法を採用できることが理解されよう。ステップ570においては、改善された、または補完された患者画像を、複数の診断用途および/または治療用途で使用できるように、出力することができる。改善された、または補完された患者画像は、補完された投影画像データに基づく。このように、改善された、または補完された患者画像は、投影画像データ取得時にキャプチャされていない画像データに基づく。
【0076】
図6は、改善または補正された画像を生成する別の例示的な方法600の流れ図である。この方法600は、画像レジストレーション、解析的再構成、および反復再構成アルゴリズムを利用する画像補正方式を含む。方法600は、データの整合性が強化されるように方法300を拡張することができる。説明を目的として、患者の解剖学的構造は2つの異なる時刻の間で同じではない可能性が高いため、投影データと以前の画像/計画画像は、通常では整合性がないことが理解されよう。したがって、例えば
図3に関連して上述した画像改善/補正方法の場合、P
1を使用して再構成される画像に新たなアーチファクトが生じる可能性がある。このような問題は、反復プロセスを使用して、再構成と一次投影データ
【数13】
との間のデータの整合性を高めることによって、克服することができる。
【0077】
図6の方法600は、例えば上述した
図3のステップ310~ステップ350(ステップ610として示した)からの補正または改善された画像を利用することができる。特に、620における入力は、
図3のステップ360に示した、方法300の出力U
1を含むことができる。ステップ620において、kは1に等しく設定され、
【数14】
はU
1に等しく設定される。
【0078】
説明を目的として、FPは順投影を意味し、Reconは解析的再構成アルゴリズムを意味し、このアルゴリズムは、
図3に関連して上述した最初の再構成に使用されるアルゴリズムと同じかまたは異なるアルゴリズムとすることができる。
【0079】
ステップ630においては、例えば一次投影データ
【数15】
に使用されたデータ取得設定と同じデータ取得設定を使用して、入力画像
【数16】
を順投影する。この説明を目的として、新しい投影データを
【数17】
と表す。
【0080】
ステップ640においては、新しい投影データ
【数18】
と一次投影データ
【数19】
との間の差を計算し、それを再構成して差分画像とする。説明を目的として、差分画像を
【数20】
と表す。このステップでは、開示する技術の範囲から逸脱することなく、様々な再構成アルゴリズムを使用できることが理解されよう。さらに、使用される再構成アルゴリズムは、
図3の方法のステップ320において最初の画像再構成のために使用された再構成アルゴリズムと同じである、または同じでなくてもよいことが理解されよう。
【0081】
ステップ650においては、現在の画像
【数21】
から差分画像
【数22】
を差し引く。差し引かれる値の大きさは、βとして表されるパラメータによって制御または重み付けることができる。更新の反復特性に影響を及ぼす目的に、任意の適切なβの値を使用することができる。更新された画像を
【数23】
と表す。
【0082】
ステップ660において、このプロセスを停止するかを、特定の基準に基づいて決定する(670において
【数24】
を出力する)。このような基準を停止基準と呼ぶことができ、例えば、規定された反復回数とすることができる、または
【数25】
の大きさが、規定されたしきい値より小さい。ステップ660において停止するための基準が満たされない場合、kをk+1にインクリメントし、方法600はステップ630に進んでさらなる処理を行う。さらなる処理は、基準に従って任意の回数だけ実行することができる。
【0083】
図7は、改善または補正された画像を生成する別の例示的な方法700の流れ図である。この方法700は、画像レジストレーション、解析的再構成、および反復再構成アルゴリズムを利用する画像補正方式を含む。方法700は、方法600を拡張することができ、補正方式および整合性の強化に反復プロセスを追加的に適用する。
図7に示した方法700は、以前の画像の精緻化方法を含むことが理解されよう。例えば、
図6の方法600によって生成される画像
【数26】
は、最初の再構成
【数27】
(
図3で言及されている)よりも良好である可能性が高く、したがって、
図3の方法および
図6の方法の両方の結果を改善するためのレジストレーションに再利用することができる。このようなプロセスは、画像改善/補正方法(例えば
図3の方法300(
図7では全体を300’として示してある))と、データ整合性強化方法(例えば
図6の方法600(
図7では全体を600’として示してある))との間に反復プロセスを追加することによって、達成することができる。上で述べたように、
図7の方法700は、以前の画像の精緻化方法を含む。この外側ループの反復回数(j)は、特定の基準に基づいて規定することができる。このような基準は停止基準と呼ぶことができ、例えば、規定された反復回数とすることができる、またはステップ740(後述する)における変化の大きさが、規定されるしきい値より小さい。この回数が1に設定される場合、
図7の方法は
図6の方法になることが理解されよう。
【0084】
この実施形態においては、方法700は、ステップ710においてステップ310を実行し、jは1に等しく設定される。次のステップ720は、ステップ320~ステップ350を実行する(反復jに基づいて画像を補正し、以前の画像を精緻化することを含む)。ステップ730において、方法700はステップ620を実行する(反復jに基づくことを含む)。次のステップ740は、ステップ630~ステップ660を実行する(k番目のループ、および反復jに基づいて整合性を強化することを含む)。ステップ750において、方法700は、レジストレーションループを停止するかを判定する。ステップ760において、停止の基準が満たされていない場合、jをj+1にインクリメントして
【数28】
をU
jに設定し、方法700は(ステップ720の)中間ステップ330に進んでさらなる処理を行う。ステップ750において停止の基準が満たされている場合、ステップ770において現在の画像を出力する。
【0085】
出力される患者画像をさらに改善する目的で、方法600および/または方法700を方法500と組み合わせることもできる。例えば、
図8は、例示的な画像処理/生成方法800の流れ図である。この方法800は、方法500のステップ510~ステップ560と、ステップ810(このステップによって上述した方法600が組み込まれる/組み合わされる)を含み、820において、改善された患者画像を出力する。
図9は、別の例示的な画像処理/生成方法900の流れ図である。この方法900は、方法500のステップ510~ステップ560と、ステップ910(このステップによって上述した方法600が組み込まれる/組み合わされる)と、ステップ920(このステップによって上述した方法700が組み込まれる/組み合わされる)を含み、930において、改善された患者画像を出力する。
【0086】
図10は、放射線治療装置(例:放射線治療装置10)を使用するIGRTの例示的な方法1000を描いた流れ図である。患者の以前の画像データ1005が使用可能である(例:以前の画像
【数29】
は、上述したように、以前に取得した計画画像(以前のCT画像を含む)とすることができる)。以前のデータ1005は、治療計画、ファントム情報、モデル、事前情報などを含むこともできる。いくつかの実施形態においては、以前の画像データ1005は、同じ放射線治療装置によって、ただしより早い時間に、生成される。ステップ1010においては、低エネルギ放射線(例:第2の放射線源30からのkV放射線)の線源を使用して、患者の撮像を実行する。ステップ1010は、(1つまたは複数の)画像または撮像データ1015(例:上述したように、利用可能な線源軌道から取得される一次データ
【数30】
を含む入力データ)を生成することができる。いくつかの実施形態においては、画質/解像度と線量との間のバランスを最適化するために、画質を調整することができる。言い換えれば、すべての画像が最高品質である必要はない、または、画質/解像度と画像取得時間との間のバランスを最適化するかまたはトレードオフする目的で、画質を調整することができる。撮像ステップ1010は、(例:上述した方法に従って)撮像データに基づいて患者の画像を生成するための画像処理をさらに含むことができる。画像処理ステップ1020は、撮像ステップ1010の一部として示してあるが、いくつかの実施形態においては、画像処理ステップ1020は個別のステップである(画像処理が個別の装置によって実行される場合を含む)。
【0087】
次にステップ1030において、1つまたは複数の、画像に基づく送達前ステップ(後から説明する)を、ステップ1010からの撮像データ1015に少なくとも部分的に基づいて実行する。後からさらに詳しく説明するように、ステップ1030は、治療処置および(次の)撮像計画に関連付けられる様々なパラメータを決定するステップを含むことができる。いくつかの実施形態においては、画像に基づく送達前ステップ(1030)では、治療送達(1040)前に、より多くの撮像(1010)を必要とすることがある。ステップ1030は、適応放射線治療ルーチン(adaptive radiotherapy routine)の一部として、撮像データ1015に基づいて治療計画を適応させるステップを含むことができる。いくつかの実施形態においては、画像に基づく送達前ステップ1030は、リアルタイムの治療計画を含むことができる。実施形態は、撮像用放射線源および治療用放射線源を同時に作動させる、一部が重なるように作動させる、および/または交互に作動させることを含むこともできる。リアルタイムの治療計画は、撮像用放射線および治療用放射線のこれらのタイプの作動方法(同時、重なり、および/または交互)のいずれかまたはすべてを含むことができる。
【0088】
次にステップ1040において、高エネルギ放射線(例:第1の放射線源20からのMV放射線)を使用して治療処置送達を実行する。ステップ1040では、治療計画に従って患者に治療線量1045を送達する。いくつかの実施形態においては、IGRT方法1000は、様々な間隔での追加の撮像のためにステップ1010に戻るステップを含むことができ、その後に必要に応じて、画像に基づく送達前ステップ(1030)および/または治療送達(1040)を行うことができる。このようにして、適応治療が可能な1台の放射線治療装置10を使用して、撮像データ1015を生成してIGRT時に利用することができる。上に述べたように、ステップ1010、ステップ1020、ステップ1030、および/またはステップ1040は、同時に、一部が重なるように、および/または交互に、実行することができる。
【0089】
IGRTは、少なくとも2つの一般的な目標、すなわち(i)高いレベルで適合する線量分布をターゲットボリュームに送達すること、および(ii)すべての治療フラクションの全体を通じて高い精度で治療ビームを送達すること、を含むことができる。第3の目標は、上記2つの一般的な目標を、フラクションあたりできる限り短い時間で達成すること、とすることができる。治療用ビームを正確に送達するには、高品質の画像を使用して、ターゲットボリュームのイントラフラクション(intrafraction)の位置を識別および/または追跡する能力が要求される。送達速度を高めるには、治療計画に従って放射線源を高い精度で迅速に動かす能力が要求される。
【0090】
図11は、上のステップ1030に関連付けることのできる例示的な画像に基づく送達前ステップ/オプションを描いたブロック
図1100である。上述した放射線治療装置(例:放射線治療装置10)は、本発明の範囲から逸脱することなく、画像に基づく送達前ステップ(1030)を含めて様々に使用することのできるkV画像を生成できることが理解されよう。例えば、放射線治療装置によって生成される画像1015を使用して、治療(1110)の前に患者を位置合わせすることができる。患者の位置合わせは、現在の撮像データ1015を、より早い時点での治療前のスキャンおよび/または計画(治療計画を含む)に関連する撮像データに関連付ける、またはレジストレーションするステップを含むことができる。さらに患者の位置合わせは、患者が送達システムの範囲内に物理的に位置しているかを確認する目的で、放射線源に対する患者の物理的位置に関するフィードバックを含むことができる。必要な場合、フィードバックに応じて患者を調整することができる。いくつかの実施形態においては、線量を最小限にし、ただし十分な位置合わせ情報が提供されるように、患者位置合わせ用の撮像を意図的に低い画質で行うことができる。
【0091】
放射線治療装置によって生成される画像は、治療計画または再計画(1120)にも使用することができる。様々な実施形態においては、ステップ1120は、治療計画を確認するステップ、治療計画を修正するステップ、新しい治療計画を生成するステップ、および/または、治療計画のセットから治療計画(場合によっては「本日の計画」とも称される)を選択するステップ、を含むことができる。例えば、ターゲットボリュームまたはROIが、治療計画が作成されたときと同じであることを撮像データ1015が示している場合、その治療計画を確認することができる。しかしながらターゲットボリュームまたはROIが同じではない場合、治療処置の再計画が必要でありうる。再計画の場合、(ステップ1010において放射線治療装置10によって生成された)撮像データ1015の品質が高いため、この撮像データ1015を治療の計画または再計画に使用することができる(例:新しい治療計画または修正された治療計画を生成する)。このようにして、異なる装置による治療前のCT撮像が必要ない。いくつかの実施形態においては、確認および/または再計画は、様々な治療の前および/または後に行われる手順とすることができる。
【0092】
別の例示的な使用例によれば、放射線治療装置10によって生成される画像を使用して、撮像線量を計算する(1130)ことができ、この撮像線量は、患者への総線量の進行中の決定、および/またはその後の撮像計画において、使用することができる。例えば画質と線量のバランスをとる目的で、その後の撮像の品質を、治療計画の一部として決定することもできる。別の例示的な使用例によれば、放射線治療装置10によって生成される画像を使用して、治療線量を計算する(1140)ことができ、この治療線量は、患者への総線量の進行中の決定に使用することができる、および/または、治療の計画または再計画の一部として含めることができる。
【0093】
別の例示的な使用例によれば、放射線治療装置10によって生成される画像を、別の撮像(1150)の計画または調整に関連して、および/または、別の治療(1160)のパラメータまたは計画に関連して、使用することができる(例えば適応治療および/または治療計画の生成の一部として使用することを含む)。別の例示的な使用例によれば、放射線治療装置10によって生成される画像は、適応治療モニタリング(1170)に関連して使用することができ、適応治療モニタリング(1170)は、治療送達のモニタリングおよび必要に応じた適合化を含むことができる。
【0094】
画像に基づく送達前ステップ(1030)は、互いに排他的ではないことを理解されたい。例えば、様々な実施形態において、治療線量の計算(1140)を、それ自体を1ステップとすることができる、および/または、適応治療モニタリング(1170)もしくは治療計画(1120)またはその両方の一部とすることができる。様々な実施形態においては、画像に基づく送達前ステップ(1030)は、自動的に実行する、および/または人の関与を伴って手動で実行することができる。
【0095】
図12は、撮像(1010)時に、および/またはその後の画像に基づく送達前ステップ(1030)(治療計画1120を含む)時に、以前のデータ1005に加えて利用することのできる例示的なデータ源を描いたブロック
図1200である。検出器データ1210は、画像放射線検出器34によって受信されるデータを表す。投影データ1220は、コリメートされたビーム領域(主領域と称されることがある)に入射した放射線によって生成されるデータである。半影データ1230は、半影領域に入射した放射線によって生成されるデータである。散乱データ1240は、周辺領域または散乱(のみ)領域に入射した放射線によって生成されるデータである。
【0096】
半影データ1230および/または散乱データ1240は、撮像ステップ1010によって生成される画像の品質を改善するために利用することができる。いくつかの実施形態においては、半影データ1230および/または散乱データ1240を投影データ1220と組み合わせることができる、および/または、適用可能な撮像設定1250と、治療設定1260(例:撮像用放射線および治療用放射線が同時の場合)と、撮像検出器34におけるデータ収集の時点で放射線治療装置10に関連付けられる任意の他のデータ1270とを考慮して、半影データ1230および/または散乱データ1240を分析することができる。別の実施形態においては、データを治療計画ステップ1120において使用することができる。
【0097】
上述したように、開示する技術の態様は、コンピュータ断層撮影(CT)撮像システムおよび方法であって、取得されたCT画像を、以前の画像または以前に取得された患者画像(例:計画画像)を使用して補完する、または改善することができ、正確かつ安定的な画像再構成のために、スキャンされた対象/患者を正確に復元するには、取得されるCT画像を表す取得された投影データが一部欠落している、または不完全/不十分でありうる、コンピュータ断層撮影(CT)撮像システムおよび方法、に関する。開示する方法では、1つまたは複数の追加の軌道を使用してデータを取得するための追加のスキャンが回避され、したがって患者の線量が増すことが回避され、撮像のワークフローが複雑になることが回避される。
【0098】
開示する技術を、特定の態様、一実施形態、または複数の実施形態に関連して図示および説明してきたが、当業者には、本明細書を添付の図面と併せて読み進めて理解した時点で、同等の変更および修正が明らかであろう。特に、上述した要素(構成要素、アセンブリ、装置、部材、合成物など)によって実行される様々な機能に関して、そのような要素を説明するために使用されている用語(「手段」の言及を含む)は、特に明記されていない限り、説明されている要素の指定された機能を実行する(すなわち機能的に同等である)任意の要素に対応するように意図されており、このことは、たとえ開示する技術の本明細書に示した例示的な態様、一実施形態、または複数の実施形態においてこれらの機能を実行する開示されている構造に構造的に同等でない場合にも、あてはまる。さらに、開示する技術の特定の特徴が、いくつかの図示した態様または実施形態のうちの1つまたは複数のみに関連して上に説明されているが、このような特徴は、任意の所与の用途または特定の用途において望ましく有利であるとき、別の実施形態の1つまたは複数の別の特徴と組み合わせることができる。
【0099】
本明細書で説明した実施形態は、上述したシステムおよび方法に関連しているが、これらの実施形態は例示を目的としており、これらの実施形態の適用性を本明細書に記載されている説明のみに制限するようには意図していない。本発明はその実施形態の説明によって示されており、これらの実施形態はある程度詳細に説明されているが、本出願人は、添付される請求項の範囲をそのような細部に制限する、またはいかようにも限定するようには意図していない。当業者には、さらなる利点および修正がただちに明らかであろう。したがって、より広い態様における本発明は、特定の細部、代表的な装置および方法、ならびに図示および説明されている例示的な例に制限されない。したがって、出願人の一般的な発明概念の趣旨または範囲から逸脱することなく、そのような細部の修正・変更を行うことができる。
【国際調査報告】