(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-26
(54)【発明の名称】結晶共振器と制御回路の集積構造およびその集積方法
(51)【国際特許分類】
H01L 25/065 20060101AFI20220119BHJP
【FI】
H01L25/08 C
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021526567
(86)(22)【出願日】2019-11-05
(85)【翻訳文提出日】2021-05-14
(86)【国際出願番号】 CN2019115650
(87)【国際公開番号】W WO2020134600
(87)【国際公開日】2020-07-02
(31)【優先権主張番号】201811643124.6
(32)【優先日】2018-12-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519437928
【氏名又は名称】中芯集成電路(寧波)有限公司上海分公司
【氏名又は名称原語表記】NINGBO SEMICONDUCTOR INTERNATIONAL CORPORATION(SHANGHAI BRANCH)
【住所又は居所原語表記】Room 309, Area C, F3, Building 1,No.95, Lane 85, Cailun Road, China(Shanghai) Pilot Free Trade Zone, Shanghai 201210 China
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】特許業務法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】秦 暁珊
(57)【要約】
本発明は、結晶共振器と制御回路の集積構造およびその集積方法を提供した。下キャビディを、制御回路が形成されたデバイスウェハに形成し、上キャビティを基板に形成し、結合プロセスを用いてデバイスウェハと基板を結合して、圧電共振片をデバイスウェハと基板の間にクランプすることにより、結晶共振器と制御回路の集積配置を実現した。さらに、半導体チップを同一なデバイスウェハの背面にさらに集積でき、結晶共振器の集積度を大幅に向上させ、結晶共振器のパラメータのオンチップ変調を実現することに利く。従来の結晶共振器と比較して、本発明の結晶共振器は、サイズがより小さく、結晶共振器の消費電力を削減し、本発明の結晶共振器はまた、他の半導体部品との集積がより容易であり、デバイスの集積度を向上させることができる。
【選択図】
図2i
【特許請求の範囲】
【請求項1】
結晶共振器と制御回路の集積方法であって、
制御回路が形成されているデバイスウェハを提供するステップと、
前記デバイスウェハを前記デバイスウェハの正面からエッチングして、結晶共振器の下キャビディを形成するステップと、
基板を提供し、前記基板をエッチングして前記結晶共振器の上キャビティを形成し、かつ前記上キャビティを前記下キャビディと対応して配置するステップと、
前記デバイスウェハの正面および前記基板のうちのいずれか1つに形成する上電極、圧電ウェハおよび下電極を含む圧電共振片を形成するステップと、
第1接続構造を前記デバイスウェハまたは前記基板上に形成するステップと、
前記基板を前記デバイスウェハの正面に結合し、前記圧電共振片を前記デバイスウェハと前記基板の間に位置させ、前記上キャビティと前記下キャビディをそれぞれ前記圧電共振片の両側に位置し、前記圧電共振片の前記上電極および前記下電極の両方を、前記第1接続構造を介して前記制御回路に電気的に接続させるステップと、
半導体チップを前記デバイスウェハの背面に結合することにより、前記半導体チップを前記制御回路に電気的に接続する第2接続構造を形成するステップとを含む、ことを特徴とする結晶共振器と制御回路の集積方法。
【請求項2】
前記デバイスウェハは、ベースウェハと、前記ベースウェハ上に形成された誘電体層とを含み、前記下キャビディが前記誘電体層に形成されている、ことを特徴とする請求項1に記載の結晶共振器と制御回路の集積方法。
【請求項3】
前記ベースウェハは、シリコンオンインシュレータベースであり、背面から正面までの方向に沿って順次積み重ねられたベース層、埋め込み酸化物層、およびトップシリコン層を含み、前記下キャビディがまた、前記誘電体層から前記埋め込み酸化物層まで延在している、ことを特徴とする請求項2に記載の結晶共振器と制御回路の集積方法。
【請求項4】
前記圧電共振片が前記デバイスウェハの正面または前記基板上に形成され、
または、前記圧電共振片の前記下電極が、前記デバイスウェハの正面に形成され、前記圧電共振片の前記上電極および前記圧電ウェハが、前記基板上に順次形成され、
または、前記圧電共振片の前記下電極および前記圧電ウェハが、前記デバイスウェハの正面に順次形成され、前記圧電共振片の前記上電極が前記基板上に形成される、ことを特徴とする請求項1に記載の結晶共振器と制御回路の集積方法。
【請求項5】
前記圧電共振片を前記デバイスウェハの正面に形成するステップは、
前記下電極を前記デバイスウェハの正面の設定位置に形成するステップと、
前記圧電ウェハを前記下電極に結合するステップと、
前記圧電ウェハ上に前記上電極を形成するステップと、を含み、または、
前記圧電共振片の前記上電極および前記下電極を、前記圧電ウェハに形成し、これらの三者を、全体として前記デバイスウェハの正面に結合する、ことを特徴とする請求項4に記載の結晶共振器と制御回路の集積方法。
【請求項6】
前記圧電共振片を前記基板上に形成する方法は、
前記上電極を前記基板の表面の設定位置に形成するステップと、
前記圧電ウェハを前記上電極に結合するステップと、
前記下電極を前記圧電ウェハ上に形成するステップと、を含み、または、
前記圧電共振片の前記上電極および前記下電極を、前記圧電ウェハに形成し、これらの三者を、全体として前記基板上に結合する、ことを特徴とする請求項4に記載の結晶共振器と制御回路の集積方法。
【請求項7】
前記下電極を形成するステップは、蒸発プロセスまたは薄膜堆積プロセスを含み、
前記上電極を形成するステップは、蒸発プロセスまたは薄膜堆積プロセスを含む、ことを特徴とする請求項5または6に記載の結晶共振器と制御回路の集積方法。
【請求項8】
前記上電極が前記基板上に形成され、前記下電極がデバイスウェハの正面に形成され、前記上電極および前記下電極が、蒸着プロセスまたは薄膜堆積プロセスによって形成され、前記圧電ウェハが、前記上電極または前記下電極に結合されている、ことを特徴とする請求項4に記載の結晶共振器と制御回路の集積方法。
【請求項9】
前記制御回路は、第1相互接続構造および第2相互接続構造を含み、前記第1接続構造は、第1接続部材および第2接続部材を含み、
前記第1接続部材が、前記第1相互接続構造および前記圧電共振片の前記下電極に接続され、前記第2接続部材が、前記第2相互接続構造および前記圧電共振片の前記上電極に接続される、ことを特徴とする請求項1に記載の結晶共振器と制御回路の集積方法。
【請求項10】
前記デバイスウェハに前記下電極を形成した後、前記下電極は前記デバイスウェハの正面に設けられ、かつ前記下電極も前記圧電ウェハの下方から延びて前記第1相互接続構造に電気的に接続され、前記圧電ウェハから延びる前記下電極の一部は、前記第1接続部材を構成する、ことを特徴とする請求項9に記載の結晶共振器と制御回路の集積方法。
【請求項11】
前記下電極を前記デバイスウェハに形成する前に、前記第1接続部材を前記デバイスウェハに形成し、前記第1接続部材を、前記第1相互接続構造に電気的に接続させ、前記下電極を前記デバイスウェハに形成した後、前記第1接続部材を、前記下電極に電気的に接続させる、ことを特徴とする請求項9に記載の結晶共振器と制御回路の集積方法。
【請求項12】
前記第1接続部材は、前記第1相互接続構造に接続された再配線層を含み、前記下電極が前記デバイスウェハに形成された後、前記再配線層が前記下電極に電気的に接続される、ことを特徴とする請求項11に記載の結晶共振器と制御回路の集積方法。
【請求項13】
前記圧電ウェハが前記デバイスウェハの正面に形成され、前記上電極を前記デバイスウェハに形成する前に、前記第2接続部材を前記デバイスウェハに形成し、前記第2接続部材を、前記第2相互接続構造に電気的に接続させ、前記上電極が前記デバイスウェハ上に形成された後に、前記上電極が前記第2接続部材に電気的に接続される、ことを特徴とする請求項9に記載の結晶共振器と制御回路の集積方法。
【請求項14】
前記第2接続部材を形成するステップは、
樹脂封止層を前記デバイスウェハの正面に形成させるステップと、
貫通穴を前記樹脂封止層に形成し、導電性材料を前記貫通穴に充填して、底部を前記第2相互接続構造に電気的に接続させるとともに頂部を前記樹脂封止層において露出する導電性プラグを形成するステップと、
前記上電極を前記デバイスウェハに形成した後に、前記上電極が前記圧電ウェハから前記導電性プラグの頂部まで延在し、前記上電極を前記導電性プラグに電気的に接続させ、または前記上電極を前記デバイスウェハに形成した後に、一端が前記上電極を覆い、他端が前記導電性プラグを覆う相互接続線を、前記樹脂封止層上に形成するステップとを含む、ことを特徴とする請求項13に記載の結晶共振器と制御回路の集積方法。
【請求項15】
前記上電極および前記圧電ウェハが前記基板上に順次形成され、前記デバイスウェハと前記基板が結合される前に、前記第2接続部材を前記基板上に形成し、前記第2接続部材を、前記上電極に電気的に接続させ、前記デバイスウェハと前記基板が結合された後に、前記第2接続部材が前記第2相互接続構造に電気的に接続される、ことを特徴とする請求項9に記載の結晶共振器と制御回路の集積方法。
【請求項16】
前記第2接続部材を形成するステップは、
樹脂封止層を前記基板の表面に形成するステップと、
貫通穴を前記樹脂封止層に設け、前記貫通穴において前記上電極を露出し、導電性材料を前記貫通穴に充填して一端を前記上電極に電気的に接続させる導電性プラグを形成するステップと、
前記デバイスウェハと前記基板を結合する場合、前記導電性プラグの他端を、前記第2相互接続構造に電気的に接続させるステップとをさらに含む、ことを特徴とする請求項15に記載の結晶共振器と制御回路の集積方法。
【請求項17】
前記第2接続部材を形成するステップは、
前記デバイスウェハを前記デバイスウェハの正面からエッチングして、接続穴を形成するステップと、
導電性材料を前記接続穴に充填して、導電性プラグを形成するステップと、
前記導電性プラグと前記制御回路を接続させる接続線を、前記デバイスウェハの正面に形成するステップと、
前記導電性プラグが露出するまで、前記デバイスウェハを前記デバイスウェハの背面から薄化して、前記半導体チップに電気的に接続させるステップとを含む、ことを特徴とする請求項15記載の結晶共振器と制御回路の集積方法。
【請求項18】
前記第2接続構造を形成するステップは、
前記制御回路に電気的に接続させる接続線を、前記デバイスウェハの正面に形成するステップと、
前記デバイスウェハを前記デバイスウェハの背面からエッチングして、前記デバイスウェハを貫通する接続穴を形成することにより、前記接続線を露出させるステップと、
導電性材料を前記接続穴内に充填して、一端を前記接続線に接続させ、他端を前記半導体チップに電気的に接続させる導電性プラグを形成するステップとを含む、ことを特徴とする請求項1に記載の結晶共振器と制御回路の集積方法。
【請求項19】
前記デバイスウェハと前記基板とを結合するステップは、
接着層を前記デバイスウェハおよび/または前記基板上に形成し、前記接着層を用いて前記デバイスウェハと前記基板を互いに結合させるステップを含む、ことを特徴とする請求項1に記載の結晶共振器と制御回路の集積方法。
【請求項20】
前記圧電共振片の前記上電極および前記圧電ウェハが前記基板上に順次形成されており、
前記デバイスウェハと前記基板とを結合するステップは、
前記接着層を前記基板上に形成し、前記圧電ウェハの表面を前記接着層において露出させるステップと、
前記接着層を用いて、前記デバイスウェハと前記基板を結合するステップとを含む、ことを特徴とする請求項19に記載の結晶共振器と制御回路の集積方法。
【請求項21】
前記圧電共振片の前記下電極および前記圧電ウェハが前記デバイスウェハに順次形成されており、
前記デバイスウェハと前記基板とを結合するステップは、
前記接着層を前記デバイスウェハ上に形成し、前記圧電ウェハの表面を前記接着層において露出させるステップと、
前記接着層を用いて、前記デバイスウェハと前記基板を結合するステップとを含む、ことを特徴とする請求項19に記載の結晶共振器と制御回路の集積方法。
【請求項22】
前記基板を前記デバイスウェハの正面に結合させ、次に前記半導体チップを前記デバイスウェハの背面に結合させ、
または、前記半導体チップを前記デバイスウェハの背面に結合し、次に、前記基板を前記デバイスウェハの正面に結合させる、ことを特徴とする請求項1に記載の結晶共振器と制御回路の集積方法。
【請求項23】
結晶共振器と制御回路の集積構造であって、
制御回路と、正面に露出する下キャビディとが形成されているデバイスウェハと、
前記デバイスウェハの正面から前記デバイスウェハに結合され、開口が前記下キャビディの開口と対向して配置される上キャビティが形成されている基板と、
上電極、圧電ウェハおよび下電極を含み、前記デバイスウェハと前記基板との間に設けられ、両側がそれぞれ前記下キャビディと前記上キャビティに対応する圧電共振片と、
前記圧電共振片の前記上電極および前記下電極を、前記制御回路に電気的に接続するための接続構造と、
前記デバイスウェハの背面に結合される半導体チップと、
前記半導体チップを前記制御回路に電気的に接続するための第2接続構造とを含む、ことを特徴とする結晶共振器と制御回路の集積構造。
【請求項24】
前記デバイスウェハは、ベースウェハと、前記ベースウェハ上に形成された誘電体層とを含み、前記下キャビディが前記誘電体層に形成されている、ことを特徴とする請求項23に記載の結晶共振器と制御回路の集積構造。
【請求項25】
前記ベースウェハは、シリコンオンインシュレータベースであり、背面から正面までの方向に沿って順次積み重ねられたベース層、埋め込み酸化物層、およびトップシリコン層を含み、前記下キャビディがまた、前記誘電体層から前記埋め込み酸化物層まで延在している、ことを特徴とする請求項24に記載の結晶共振器と制御回路の集積方法。
【請求項26】
前記制御回路は、第1相互接続構造および第2相互接続構造を含み、前記接続構造が、第1接続部材および第2接続部材を含み、
前記第1接続部材が、前記第1相互接続構造および前記圧電共振片の前記下電極に接続され、前記第2接続部材が、前記第2相互接続構造および前記圧電共振片の前記上電極に接続される、請求項23に記載の結晶共振器と制御回路の集積構造。
【請求項27】
前記下電極は、デバイスウェハの正面に設けられ、前記圧電ウェハから延びて前記第1相互接続構造に電気的に接続され、前記圧電ウェハから延びる前記下電極の一部は、前記第1接続部材を構成する、ことを特徴とする請求項26に記載の結晶共振器と制御回路の集積構造。
【請求項28】
前記第2接続部材は、一端が前記上電極に電気的に接続され、他端が前記第2相互接続構造に電気的に接続される導電性プラグを含む、ことを特徴とする請求項26に記載の結晶共振器と制御回路の集積構造。
【請求項29】
前記第2接続部材は、
前記デバイスウェハの正面に形成され、底部が、前記第2相互接続構造に電気的に接続されている導電性プラグと、
一端が前記上電極を覆い、他端が前記導電性プラグの頂部を覆っている相互接続線とを含む、ことを特徴とする請求項26に記載の結晶共振器と制御回路の集積構造。
【請求項30】
前記第2接続構造は、
前記デバイスウェハを貫通し、一端が前記デバイスウェハの正面まで延び、他端が前記デバイスウェハの背面まで延びて、前記半導体チップに電気的に接続される導電性プラグと、
前記デバイスウェハの正面に形成され、前記導電性プラグと前記制御回路を接続させる接続線とを含む、ことを特徴とする請求項23に記載の結晶共振器と制御回路の集積構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体の技術分野に関し、結晶共振器と制御回路の集積構造およびその集積方法に関する。
【背景技術】
【0002】
結晶共振器は、圧電結晶の逆圧電効果で作られた共振デバイスであり、水晶発振器とフィルターの重要なコンポーネントであり、高周波電子信号で広く使用されており、正確なタイミング、周波数標準、フィルタリングなどの、測定および信号処理システムに不可欠な周波数制御機能を実現する。
【0003】
半導体技術の継続的な発展と集積回路の普及により、様々な部品のサイズが小型化される傾向にある。しかしながら、従来の結晶共振器は、他の半導体部品と集積することが難しいだけでなく、結晶共振器のサイズも比較的大きい。
【0004】
例えば、現在の一般的な結晶共振器には表面実装型結晶共振器が含まれ、具体的には、金属溶接(または接着剤)によってベースと頂部カバーを結合して密閉キャビティを形成し、結晶共振器の圧電共振片を、前記密閉キャビティに配置し、かつ圧電共振片の電極を、パッドまたはリードを介して対応する回路に電気的に接続させる。上記の結晶共振器に基づいて、デバイスのサイズをさらに小さくすることは困難であり、形成された結晶共振器も、溶接または接着によって対応する集積回路に電気的に接続する必要があり、それによって前記結晶共振器のサイズをさらに制限する。
【発明の概要】
【0005】
本発明の目的は、従来の結晶共振器のサイズが大きく、かつ集積化が容易でないという問題を解決するために、結晶共振器と制御回路の集積方法を提供することである。
【0006】
上記の技術的問題を解決するために、本発明によれば、
結晶共振器と制御回路の集積方法であって、
制御回路が形成されているデバイスウェハを提供するステップと、
前記デバイスウェハを前記デバイスウェハの正面からエッチングして、結晶共振器の下キャビディを形成するステップと、
基板を提供し、前記基板をエッチングして前記結晶共振器の上キャビティを形成し、かつ前記上キャビティを前記下キャビディと対応して配置するステップと、
前記デバイスウェハの正面および前記基板のうちのいずれか1つに形成する上電極、圧電ウェハおよび下電極を含む圧電共振片を形成するステップと、
第1接続構造を前記デバイスウェハまたは前記基板上に形成するステップと、
前記基板を前記デバイスウェハの正面に結合し、前記圧電共振片を前記デバイスウェハと前記基板の間に位置させ、前記上キャビティと前記下キャビディをそれぞれ前記圧電共振片の両側に位置し、前記圧電共振片の前記上電極および前記下電極の両方を、前記第1接続構造を介して前記制御回路に電気的に接続させるステップと、
半導体チップを前記デバイスウェハの背面に結合することにより、前記半導体チップを前記制御回路に電気的に接続する第2接続構造を形成するステップとを含む結晶共振器と制御回路の集積方法が提供される。
【0007】
本発明のもう一つの目的は、結晶共振器と制御回路の集積構造を提供することであり、
制御回路と、正面に露出する下キャビディとが形成されているデバイスウェハと、
前記デバイスウェハの正面から前記デバイスウェハに結合され、開口が前記下キャビディの開口と対向して配置される上キャビティが形成されている基板と、
上電極、圧電ウェハおよび下電極を含み、前記デバイスウェハと前記基板との間に設けられ、両側がそれぞれ前記下キャビディと前記上キャビティに対応する圧電共振片と、
前記圧電共振片の前記上電極および前記下電極を、前記制御回路に電気的に接続するための接続構造と、
前記デバイスウェハの背面に結合される半導体チップと、
前記半導体チップを前記制御回路に電気的に接続するための第2接続構造とを含む。
【0008】
本発明によって提供される結晶共振器の集積方法において、半導体プレーナー技術によって、それぞれデバイスウェハおよび基板に下キャビディと上キャビティを形成し、結合プロセスを用いて基板とデバイスウェハを結合して、圧電共振片をデバイスウェハと基板の間にクランプし、制御回路と結晶共振器を同じデバイスウェハに集積することができる。同時に、半導体チップを該デバイスウェハの背面にさらに集積でき、結晶共振器の集積度を大幅に向上させ、結晶共振器のパラメータ(例えば、結晶共振器の温度ドリフトおよび周波数補正などの元の偏差)のオンチップ変調を実現し、結晶共振器の性能を向上させるのに役立つ。
【0009】
本発明によって提供される結晶共振器は、他の半導体部品と集積することを可能にして、デバイスの集積度を向上させるだけでなく、従来の結晶共振器(例えば、表面実装型結晶共振器)と比較して、本発明によって提供される結晶共振器のサイズがより小さくなり、結晶共振器の小型化を実現することができ、製造コストおよび結晶共振器の消費電力を低減するのに有利であることが分かる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の実施例1における結晶共振器と制御回路の集積方法の概略フローチャートである。
【
図2a】本発明の実施例1における結晶共振器と制御回路の集積方法の製造プロセス中の概略構造図である。
【
図2b】本発明の実施例1における結晶共振器と制御回路の集積方法の製造プロセス中の概略構造図である。
【
図2c】本発明の実施例1における結晶共振器と制御回路の集積方法の製造プロセス中の概略構造図である。
【
図2d】本発明の実施例1における結晶共振器と制御回路の集積方法の製造プロセス中の概略構造図である。
【
図2e】本発明の実施例1における結晶共振器と制御回路の集積方法の製造プロセス中の概略構造図である。
【
図2f】本発明の実施例1における結晶共振器と制御回路の集積方法の製造プロセス中の概略構造図である。
【
図2g】本発明の実施例1における結晶共振器と制御回路の集積方法の製造プロセス中の概略構造図である。
【
図2g】本発明の実施例1における結晶共振器と制御回路の集積方法の製造プロセス中の概略構造図である。
【
図2i】本発明の実施例1における結晶共振器と制御回路の集積方法の製造プロセス中の概略構造図である。
【
図3a】本発明の実施例3における結晶共振器と制御回路の集積方法の製造プロセス中の概略構造図である。
【
図3b】本発明の実施例3における結晶共振器と制御回路の集積方法の製造プロセス中の概略構造図である。
【
図3c】本発明の実施例3における結晶共振器と制御回路の集積方法の製造プロセス中の概略構造図である。
【
図3d】本発明の実施例3における結晶共振器と制御回路の集積方法の製造プロセス中の概略構造図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の核となるアイデアは、結晶共振器と制御回路の集積構造およびその集積方法を提供することであり、半導体のプレーナー技術によって圧電共振器、および半導体チップの両方を、制御回路が形成されたデバイスウェハ上に集積させる。一方では、形成された結晶共振器のデバイスサイズをさらに小さくすることができ、他方では、前記結晶共振器を他の半導体部材と集積して、デバイスの集積度を向上させることができる。
【0012】
以下、添付の図面および具体的な実施例を参照して、本発明によって提案される結晶共振器と制御回路の集積構造およびその集積方法を、さらに詳細に説明する。以下の説明によれば、本発明の利点および特徴はより明確になる。なお、添付の図面は、すべて非常に単純化された形式を採用し、すべてが不正確な比率を使用し、これらは本発明の実施例の目的を便利かつ明確に説明するためにのみ使用される。
【0013】
図1は、本発明の一実施例における結晶共振器と制御回路の集積方法の概略フローチャートであり、
図2a~
図2iは、本発明の一実施例における結晶共振器と制御回路の集積方法の製造プロセス中の概略構造図である。以下、本実施例の結晶共振器を形成する各ステップについて、添付の図面を参照して詳細に説明する。
【0014】
ステップS100では、具体的には、
図2aを参照して、デバイスウェハ100を提供し、前記デバイスウェハ100内に制御回路110が形成されている。
【0015】
具体的には、前記デバイスウェハ100は、対向する正面100Uおよび背面100Dを有し、前記制御回路110は、複数の相互接続構造を含み、かつ相互接続構造の少なくとも一部が、前記デバイスウェハの正面まで延びる。前記制御回路110は、例えば、後で形成される圧電共振片に電気信号を印加するために使用することができる。
【0016】
さらに、同一なデバイスウェハ100上に同時に複数の結晶共振器を作製することができるため、前記デバイスウェハ100上に複数のデバイス領域AAが対応して定義されており、前記デバイス領域AAには前記制御回路110が形成されている。
【0017】
さらに、前記制御回路110は、第1回路111および第2回路112を含み、前記第1回路111および第2回路112は、後で形成される圧電共振片の上電極および下電極に電気的に接続するために使用される。
【0018】
図2aを引き続き参照すると、前記第1回路111は、第1トランジスタ、第1相互接続構造111aおよび第3相互接続構造111bを含み、前記第1トランジスタが、前記デバイスウェハ100に埋め込まれ、前記第1相互接続構造111aおよび第3相互接続構造111bも、前記第1トランジスタに接続され、かつ前記デバイスウェハ100の正面まで延在する。前記第1相互接続構造111aは、例えば、前記第1トランジスタのドレインに接続され、前記第2相互接続構造111bは、例えば、前記第1トランジスタのソースに接続される。
【0019】
同様に、前記第2回路112は、第2トランジスタ、第2相互接続構造112aおよび第4相互接続構造112bを含み、前記第2トランジスタが、前記デバイスウェハ100に埋め込まれ、前記第2相互接続構造112aおよび前記第4相互接続構造112bも、前記第2トランジスタに接続され、かつ前記デバイスウェハ100の正面まで延在する。前記第2相互接続構造112aは、例えば、前記第2トランジスタのドレインに接続され、前記第4相互接続構造112bは、例えば、前記第2トランジスタのソースに接続される。
【0020】
本実施例では、前記デバイスウェハ100は、ベースウェハ100Aおよび前記ベースウェハ100A上に形成される誘電体層100Bを含む。次に、前記第1トランジスタおよび前記第2トランジスタの両方も前記ベースウェハ100A上に形成され、前記誘電体層100Bが第1トランジスタおよび第2トランジスタを覆い、前記第3相互接続構造111b、前記第1相互接続構造111a、前記第2相互接続構造112aおよび前記第4相互接続構造は、すべて前記誘電体層100B内に形成され、かつ前記ベースウェハから離れた前記誘電体層100Bの表面まで延在している。
【0021】
前記ベースウェハ100Aは、シリコンウェハであってもよく、シリコンオンインシュレータ(silicon-on-insulator,SOI)であってもよい。前記ベースウェハ100Aがシリコンオンインシュレータである場合、前記ベースウェハは、具体的に、背面100Dから正面100Uまでの方向に沿って順次積み重ねられるボトムレイヤー101、埋め込み酸化物層102、およびトップシリコン層103を含んでもよい。
【0022】
なお、本実施例では、前記制御回路110の相互接続構造は、デバイスウェハの正面100Uまで延在しており、後で形成される半導体チップは、前記デバイスウェハの背面100Dに配置される。これに基づいて、後続のプロセスにおいて、第2接続構造を形成することにより、制御回路110の接続ポートをデバイスウェハの正面からデバイスウェハの背面に導出することができ、さらに、その後に形成される半導体チップに電気的接続させる。
【0023】
具体的には、第2接続構造は、導電性プラグと接続線を含み、前記導電性プラグは、デバイスウェハ100を貫通し、前記接続線が前記デバイスウェハ100の正面に形成され、かつ前記導電性プラグおよび前記制御回路に接続される。このようにして、前記第2接続構造の導電性プラグおよび接続線を使用して、半導体チップと接続するための前記制御回路内の接続ポートを、前記デバイスウェハの正面からデバイスウェハの背面に導出することができる。
【0024】
本実施例では、前記第2接続構造の導電性プラグは、第1導電性プラグ211bおよび第2導電性プラグ212bを含み、第2接続構造の接続線は、第1接続線221bおよび第2接続線222bを含む。前記第2接続構造の導電性プラグおよび接続線を形成する方法は、例えば、以下のステップを含む。
【0025】
第1ステップでは、前記デバイスウェハ100を前記デバイスウェハの正面100Uからエッチングして、接続穴を形成する。本実施例では、第1接続穴および第2接続穴が形成されている。具体的には、前記第1接続穴および第2接続穴の底部は、前記制御回路の底部よりも前記デバイスウェハの背面100Dに近い。
【0026】
第2ステップでは、具体的には
図2bを参照すると、導電性材料を前記接続穴に充填して、導電性プラグを形成する。本実施例では、導電性材料を前記第1接続穴および第2接続穴に充填して、それぞれ第1導電性プラグ211bおよび第2導電性プラグ212bを形成する。
【0027】
本実施例では、前記第1接続穴211bおよび第2接続穴212bの底部は、前記制御回路よりも前記デバイスウェハの背面100Dに近い。具体的には、前記第1トランジスタ111Tおよび前記第2トランジスタ112Tは、前記トップシリコン層103内に形成され、かつ前記埋め込み酸化物層102の上方に配置され、前記第1導電性プラグ211bおよび第2導電性プラグ212bは、誘電体層100Bおよびトップシリコン層103を順次貫通して、前記埋め込み酸化物層102まで止める。接続穴を形成するためにエッチングプロセスを実行する場合、エッチングプロセスのエッチング精度を正確に制御するように、前記埋め込み酸化物層102を、エッチング停止層として使用できると考えることができる。
第3ステップでは、
図2bを引き続き参照すると、接続線を前記デバイスウェハ100の正面に形成する。本実施例では、第1接続線221bおよび第2接続線222bが形成され、前記第1接続線221bは、前記第1導電性プラグ211bおよび第3相互接続構造111bに接続され、前記第2接続線222bは、第2導電性プラグ212bおよび前記第4相互接続構造112bに接続される。
【0028】
後続のプロセスでは、前記デバイスウェハの背面を薄くさせた後、前記第1導電性プラグ211bおよび第2導電性プラグ212bを、薄くされたデバイスウェハ100の背面から露出させ、半導体チップに電気的に接続する。
【0029】
なお、上記の第1導電性プラグ211bおよび第2導電性プラグ212bは、第1接続線221bおよび第2接続線222bが形成される前に、デバイスウェハの正面から作製された。しかしながら、前記第1導電性プラグ211bおよび第2導電性プラグ212bはまた、その後前記デバイスウェハが薄くされた後、前記デバイスウェハの背面から作製されてもよいことを認識されたい。デバイスウェハの背面から第1導電性プラグおよび第2導電性プラグを作製する方法を、その後前記デバイスウェハを薄くした後、詳細に説明する。
【0030】
ステップS200では、具体的には、
図2cを参照すると、前記デバイスウェハを、前記デバイスウェハ100の正面からエッチングして、前記結晶共振器の下キャビディ120を形成する。具体的には、前記下キャビディ120は、前記デバイスウェハの正面100Uから露出され、前記下キャビディ120は、例えば、後で形成される圧電共振片のための振動空間を提供するために使用される。
【0031】
本実施例では、前記下キャビディ120は、前記デバイスウェハの誘電体層100Bに形成され、各デバイス領域AAにも前記下キャビディ120が形成されている。即ち、前記下キャビディ120を形成する方法は、前記誘電体層100Bを前記ベースウェハ100Aまでエッチングして、前記誘電体層100Bに前記下キャビディ120を形成するステップを含む。ここで、前記下キャビディ120の深さは、実際の要件に従って調整することができ、ここでは限定されない。例えば、前記下キャビディ120を、前記誘電体層100B内にのみ形成してもよいか、または前記下キャビディ120を、前記誘電体層100Bから前記ベースウェハ100Aまでさらに延在してもよい。
【0032】
なお、添付の図面は、下キャビディ120、第1回路および第2回路の位置関係を模式的に示したものに過ぎず、具体的な解決策において、実際の回路レイアウトに応じて、第1回路と第2回路の配列方式を調整でき、ここでは限定されないことを認識されたい。
【0033】
また、上記のように、前記ベースウェハ100Aはまた、シリコンオンインシュレータであってもよい。次に、前記下キャビディを形成する場合、トップシリコン層をさらにエッチングすることができ、その結果、前記下キャビディが、誘電体層から前記埋め込み酸化物層までさらに延びる。
【0034】
ステップS300では、具体的に
図2dを参照すると、基板300を提供し、前記基板300をエッチングして前記結晶共振器の上キャビティ310を形成し、前記上キャビティを下キャビディと対応して配置する。同様に、前記下キャビディ310の深さは、実際の要件に従って調整することができ、ここでは限定されない。基板300が結合されたデバイスウェハ100をその後に形成する場合、前記上キャビティ310および前記下キャビディ120を、それぞれ、前記圧電共振片の両側に対応して配置する。
【0035】
前記デバイスウェハ100に対応して、前記基板300にも複数のデバイス領域AAが規定され、デバイスウェハ100の複数のデバイス領域と基板の複数のデバイス領域が互いに対応し、前記下キャビディ120がつまり、前記デバイス領域AAに形成されている。
【0036】
ステップS400では、上電極、圧電ウェハおよび下電極を含む圧電共振片を形成し、前記上電極、前記圧電ウェハおよび前記下電極を前記デバイスウェハ100の正面および前記基板300のうちの1つに形成する。
【0037】
即ち、上電極、圧電ウェハ、および下電極を含む圧電共振片をすべて、前記デバイスウェハ100の正面に形成してもよいか、またはすべて前記基板300上に形成してもよく、あるいは前記圧電共振片の下電極を、前記デバイスウェハ100の正面に形成し、前記圧電共振片の上電極および圧電ウェハを、前記基板300上に順次形成するか、または前記圧電共振片の下電極および圧電ウェハを、前記デバイスウェハ100の正面に順次形成し、前記圧電共振片の上電極を、前記基板300上に形成させる。
【0038】
本実施例では、前記圧電共振片の上電極、圧電ウェハ、および下電極はすべて、前記基板300上に形成される。具体的には、前記基板300上に前記圧電共振片を形成する方法は、以下のステップを含む。
【0039】
ステップ1では、具体的に
図2dを参照すると、上電極530を前記基板300の表面の設定位置に形成する。本実施例では、前記上電極530は、前記上キャビティ310の周囲に配置されている。後続のプロセスでは、前記上電極530を、制御回路110に電気的に接続させ、具体的には、前記上電極530を、前記第2回路112の前記相互接続構造に電気的に接続させる。
【0040】
ステップ2では、
図2dを引き続き参照すると、圧電ウェハ520を前記上電極530に結合する。本実施例では、前記圧電ウェハ520は、前記上キャビティ310の上方に配置され、かつ前記圧電ウェハ520のエッジは、前記上電極530にラッピングされている。ここで、前記圧電ウェハ520は、例えば、石英ウェハであってもよい。
【0041】
本実施例では、前記上キャビティ310のサイズは、前記圧電チップ520のサイズよりも小さいので、前記圧電チップ520のエッジを基板の表面にラッピングして、前記上キャビティ310の開口をキャッピングしやすい。
【0042】
しかしながら、他の実施例では、前記上キャビティは、例えば、第1キャビティおよび第2キャビティを有し、前記第1キャビティは、第2キャビティに対して前記ベースのより深い位置に位置し、第2キャビティが、前記ベースの表面に近く、かつ第1キャビティのサイズが前記圧電ウェハ520のサイズよりも小さく、第2キャビティのサイズが圧電ウェハのサイズよりも大きい。これに基づいて、前記圧電ウェハ520のエッジを前記第1キャビティにラッピングすることができ、前記圧電ウェハ520を、少なくとも部分的に前記第2キャビティ内に収容する。このとき、前記上キャビティの開口サイズは、前記圧電ウェハの幅サイズよりも大きいと考えられる。
【0043】
さらに、前記上電極530は、前記圧電ウェハ520の下方から横方向に延在して、上電極延長部を形成する。後のプロセスでは、前記上電極530を、前記上電極延長部を介して前記第2回路112の第2相互接続構造に接続することができる。
【0044】
ステップ3では、
図2eを引き続き参照すると、下電極510を前記圧電ウェハ520に形成する。前記下電極510からまた、前記圧電ウェハ520の中央領域を露出させることができる。後続のプロセスでは、前記下電極510を、制御回路110に電気的に接続させ、具体的には、下電極510を、前記第1回路111の前記第1相互接続構造に電気的に接続させる。
【0045】
即ち、前記制御回路110において、第1回路111は下電極510に電気的に接続され、第2回路112は上電極530に電気的に接続されて、電気信号を前記下電極510および前記上電極530に印加し、それにより、下電極510と前記上電極530との間に電界を発生させることができ、前記電界の作用下で、前記上電極530と前記下電極510との間に位置する前記圧電ウェハ520が機械的変形を発生させることができる。前記圧電ウェハ520は、前記電界の大きさに応じて、対応する程度に機械的変形することができ、上電極530と下電極510との間の電界の方向が反対である場合、圧電ウェハ520の変形方向も、それに応じて変更される。したがって、前記制御回路110を用いて上電極530および下電極510に交流電流を印加すると、圧電ウェハ520の変形方向は、正負の電界に従って交互に収縮または膨張し、機械的振動を発生させる。
【0046】
本実施例では、前記基板300上に前記下電極510を形成する方法は、以下のステップを含む。
第1ステップでは、具体的に
図2eを参照すると、第1樹脂封止層410を前記基板300上に形成し、前記第1樹脂封止層410が前記基板300を覆い、前記圧電ウェハ520を露出させる。なお、本実施例では、前記上電極530は、前記圧電ウェハ520の下方に形成され、前記圧電ウェハ520から横方向に延在して上電極延長部を形成し、したがって、前記第1樹脂封止層410が、前記上電極530の上電極延長部をさらに覆う。
【0047】
さらに、前記第1樹脂封止層410の表面は、圧電ウェハ520の表面よりも高くはない。本実施例では、前記第1樹脂封止層410を、平坦化プロセスによって形成し、その結果、前記第1樹脂封止層410の表面は、前記圧電ウェハ520の表面と同一平面上にある。
【0048】
第2ステップでは、
図2eを引き続き参照すると、前記圧電ウェハ520の表面上に下電極510を形成し、かつ前記下電極510も前記圧電ウェハ520から前記第1樹脂封止層410まで横方向に延在して、下電極延長部を形成する。後のプロセスでは、前記下電極510を、前記下電極延長部を介して制御回路(具体的には、前記第1回路の第1相互接続構造)に接続することができる。
【0049】
ここで、前記下電極510および前記上電極530の材料は両方とも、銀を含むことができる。そして、薄膜堆積プロセスまたは蒸着プロセスを順次使用して、前記上電極530および前記下電極510を形成することができる。
【0050】
なお、本実施例では、前記上電極530、圧電ウェハ520、および下電極510を、半導体プロセスを介して前記基板300上に順次形成させる。しかしながら、他の実施例では、上電極および下電極を、それぞれ圧電ウェハの両側に形成して、そして3つを、全体として前記基板に結合してもよい。
【0051】
選択可能な解決策では、前記下電極510を形成した後、第2樹脂封止層を前記第1樹脂封止層410上に形成して、前記基板300の表面をより平坦にし、それによって後続の結合プロセスを容易にするステップをさらに含む。
【0052】
具体的に
図2fを参照すると、第2樹脂封止層420を第1樹脂封止層410上に形成し、第2樹脂封止層420の表面が、前記下電極510の表面より高くなく、前記下電極510を露出させる。本実施例では、前記第2樹脂封止層420を、平坦化プロセスによって形成し、その結果、前記第2樹脂封止層420の表面が、前記圧電ウェハ510の表面と同一平面上にある。前記第2樹脂封止層420からまた、前記圧電ウェハ520の中央領域を露出させることができるので、後続のプロセスで前記基板300を前記デバイスウェハ100に結合させる場合、前記圧電ウェハ520の中央領域を、デバイスウェハ100の下キャビディ120に対応して配置することができる。
【0053】
ステップS500では、第1接続構造を前記デバイスウェハまたは前記基板300上に形成する。
後続のプロセスでは、基板300における下電極510を、前記第1接続構造を介してデバイスウェハ100の制御回路(具体的には、第1回路の第1相互接続構造)に電気的に接続させ、それに基板300の上電極530を、デバイスウェハ100の制御回路(具体的には、第2回路の第2相互接続構造)に電気的に接続させることができる。
【0054】
具体的には、前記第1接続構造は、第1接続部材と第2接続部材とを含み、前記第1接続部材が、前記第1相互接続構造111aおよび前記圧電共振片の下電極510に接続され、前記第2接続部材が、前記第2相互接続構造112aおよび前記圧電共振片の上電極530に接続される。
【0055】
具体的には、
図2gを参照すると、本実施例では、前記下電極510は、前記第2樹脂封止層420の表面から露出し、かつ下電極延長部を有し、前記第1相互接続構造111aの頂部も前記デバイスウェハ100の表面から露出している。したがって、デバイスウェハ100と基板300とを結合するとき、下電極510を、前記デバイスウェハ100の正面に配置することができ、下電極延長部を、前記第1相互接続構造111aに接続することができる。このとき、前記下電極510の下電極延長部は、前記第1接続部材を直接構成していると考えられる。
【0056】
次に、
図2gを参照すると、前記上電極530は、前記第1樹脂封止層410に埋め込まれているので、上電極530の上電極延長部を、第2接続部材を介して前記第2相互接続構造112aにさらに電気的に接続することができる。
【0057】
本実施例では、前記上電極530および前記圧電ウェハ520は、前記基板300上に順次形成され、第2接続部材を前記基板300上に形成することができる。具体的には、前記第2接続部材の形成方法は、
まず、樹脂封止層を前記基板300の表面に形成し、本実施例では、前記第1樹脂封止層を410および前記第2樹脂封止層420により、前記樹脂封止層を構成するステップと、
そして、具体的に
図2gを参照すると、貫通穴が前記上電極から露出するように、貫通穴を前記樹脂封止層に設け、導電性材料を前記貫通穴に充填して導電性プラグ(例えば、第3導電性プラグ230)を形成し、前記第3導電性プラグ230の一端を前記上電極530に電気的に接続させるステップとを含む。具体的には、前記第3導電性プラグ230は、前記上電極530の上電極延長部に接続されている。
【0058】
本実施例では、前記第2樹脂封止層420および前記第1樹脂封止層410を順次エッチングして前記貫通穴を形成し、導電性材料を前記貫通穴に充填して第3導電性プラグ230を形成し、前記第3導電性プラグ230の一端が前記上電極530に電気的に接続され、前記第3導電性プラグ230の他端が、前記第2樹脂封止層420の表面から露出し、それによって前記デバイスウェハ100と前記基板300を結合する場合、前記第3導電性プラグ230の他端を、前記第2相互接続構造に電気的に接続することができる。
【0059】
ステップS600において、具体的に
図2hを参照すると、前記基板300を前記デバイスウェハ100の正面から結合して、前記圧電共振片500を前記デバイスウェハ100と前記基板300との間に配置し、前記上キャビティ310および前記下キャビディ120を、それぞれ前記圧電共振片500の両側に配置して、結晶共振器を形成する。前記第1接続構造を介して、前記圧電共振片500の上電極530および下電極510の両方も前記制御回路に電気的に接続させる。
【0060】
上記のように、本実施例では、前記デバイスウェハ100と前記基板300を結合した後、前記制御回路において、第1回路111は、第1接続部材(即ち、下電極延長部)を介して前記下電極510に電気的に接続され、前記第2回路112は、第2接続部材(第3導電性プラグ230を含む)を介して前記上電極530に電気的に接続される。このようにして、前記制御回路を介して電気信号を、前記圧電ウェハ520の両側に印加することができ、その結果、前記圧電ウェハ520が変形して、前記上キャビティ310および前記下キャビディ120において振動する。
【0061】
前記デバイスウェハ100と前記基板300との結合方法は、例えば、接着層を前記デバイスウェハ100および/または基板300上に形成し、前記接着層を用いて前記デバイスウェハ100と基板を互いに結合させるステップを含む。具体的には、前記接着層を圧電ウェハが形成されたベース上に形成し、前記圧電ウェハの表面を前記接着層の表面から露出させた後、そして、前記接着層を用いて、前記圧電ウェハが形成されていないベースと互いに結合する。
【0062】
本実施例では、前記圧電共振片500が基板300上に形成され、前記デバイスウェハ100と前記基板300との結合方法は、例えば、接着層を前記基板300上に形成し、前記圧電共振片500の表面を、前記接着層の表面から露出し、次いで、前記接着層を使用して、前記基板300と前記デバイスウェハ100を互いに結合することができるステップを含む。
【0063】
即ち、本実施例では、前記圧電共振片500の上電極530、圧電ウェハ520、および下電極510はすべて前記基板300上に形成され、前記圧電共振片500を上キャビティ310の開口をキャッピングし、結合プロセスを実行した後、下キャビディ120を、前記上キャビティ310から離れた前記圧電共振器板500の一側に対応して結晶共振器を形成し、前記結晶共振器をデバイスウェハ100内の制御回路に電気的に接続することにより、結晶共振器と制御回路の集積配置を実現した。
【0064】
ステップS700では、具体的に
図2iを参照すると、半導体チップ700を前記デバイスウェハの背面に結合し、前記第2接続構造を介して、前記半導体チップ700を前記制御回路に電気的に接続する。
【0065】
ここで、前記半導体チップ700内に例えば、駆動回路が形成されており、前記駆動回路が電気信号を提供し、制御回路を介して前記電気信号を前記圧電共振片500に印加して前記圧電共振片500の機械変形を制御する。
【0066】
さらに、前記半導体チップ700は、前記デバイスウェハ100に対して異種チップを構成する。即ち、前記半導体チップ700のベース材料は、前記デバイスウェハ100のベース材料とは異なる。例えば、本実施例では、デバイスウェハ100のベース材料はシリコンであり、前記異種チップのベース材料は、III-V半導体材料またはII-VI半導体材料(具体的には、例えば、ゲルマニウム、シリコンゲルマニウムまたはガリウムヒ素など)であってもよい。
【0067】
上記のように、前記第2接続構造は、導電性プラグおよび接続線を含み、前記第2接続構造の導電性プラグおよび接続線を使用して、前記制御回路の接続ポートを、デバイスウェハの正面からデバイスウェハの背面に導出する。
【0068】
前記基板300を結合する前に、デバイスウェハをデバイスウェハの正面からエッチングして、前記第2接続構造の導電性プラグを形成し、さらに第2接続構造の接続線を形成することができる。このとき、前記半導体チップを結合する前に、デバイスウェハ100の背面から前記デバイスウェハを薄くして、前記導電性プラグを露出させるステップをさらに含む。このようにして、後で結合される半導体チップ700は、第2接続構造の導電性プラグに電気的に接続することができる。
【0069】
本実施例では、前記デバイスウェハをデバイスウェハ100の背面から薄くする場合、即ち、前記ベース層および前記埋め込み酸化物層を、前記トップシリコン層まで順次除去して、前記第1導電性プラグおよび前記第2導電性プラグを露出する。
【0070】
または、他の実施例では、第2接続構造の形成方法において、前記導電性プラグはまた、前記デバイスウェハをデバイスウェハ100の背面からエッチングすることによって形成されてもよい。例えば、他の実施例では、前記第2接続構造の形成方法は、
まず、前記基板300を結合する前に、前記制御回路に電気的に接続される接続線を、前記デバイスウェハ100の正面に形成し、本実施例では、即ち、第1接続線221bおよび第2接続線222bを、前記デバイスウェハ100の正面に形成し、前記第1接続線221bを前記第3相互接続構造111bに電気的に接続させ、前記第2接続線222bを、前記第4相互接続構造112bに電気的に接続させるステップと、
次に、前記デバイスウェハを前記デバイスウェハ100の背面からエッチングして、接続穴を形成し、前記接続穴が前記デバイスウェハ100を貫通して、前記接続線を露出させ、本実施例では、接続穴を形成するとき、第1接続穴および第2接続穴を形成することを含み、前記第1接続穴および前記第2接続穴が、それぞれ、前記第1接続線221bおよび前記第2接続穴222bを露出させるステップとを含み、
また、具体的には
図2iを参照すると、第1接続穴および第2接続穴を形成するために、前記デバイスウェハをエッチングする前に、前記デバイスウェハ100を前記デバイスウェハ100の背面から薄くして、前記デバイスウェハの厚さを削減することができる。このようにして、第1接続穴と第2接続穴を形成する場合、形成された接続穴の深さを浅くすることができ、形成された接続穴の形状を確実にするのに有利である。
【0071】
そして、導電性材料を前記接続穴内に充填して、導電性プラグを形成し、前記導電性プラグの一端を、前記接続線と接続させ、前記導電性プラグの他端を、前記半導体チップに電気的に接続させる。
【0072】
本実施例では、第1導電性プラグ211bおよび第2導電性プラグ212bが対応して形成され、前記第1導電性プラグ211bの一端が、第1接続線221bに接続され、前記第1導電性プラグ211bの他端が、前記半導体チップ700に電気的に接続され、前記第2導電性プラグ212bの一端が、第2接続線222bに接続され、前記第2導電性プラグ212bの他端が、前記半導体チップ700に電気的に接続するために使用される。
【0073】
後のプロセスにおいて、樹脂封止層を、前記デバイスウェハの背面に形成して、前記半導体チップをキャッピングすることができる。
【0074】
また、本実施例では、好ましくは、基板をデバイスウェハの正面に結合し、次に半導体チップをデバイスウェハの背面に結合することに留意されたい。しかしながら、他の実施例では、好ましくは、半導体チップをデバイスウェハの背面に結合し、次に、基板をデバイスウェハの正面に結合することも可能である。
【0075】
具体的には、別の実施例では、結晶共振器と制御回路の集積方法は、
まず、半導体チップを前記デバイスウェハの背面に結合して、第2接続構造を形成し、前記第2接続構造を介して前記半導体チップを前記制御回路に電気的に接続するステップと、
次に、前記デバイスウェハを前記デバイスウェハの正面からエッチングして、前記結晶共振器の下キャビディを形成するステップと、
その後、基板を提供し、基板を前記デバイスウェハの正面に結合して、第1接続構造を形成し、前記第1接続構造を介して、前記圧電共振片の上電極および下電極を、前記制御回路に電気的に接続させるステップとを含む。
実施例2
【0076】
実施例1との異なるところは、本実施例では、前記圧電共振片500の上電極530、圧電ウェハ520、および下電極510は、すべて前記デバイスウェハの正面に形成され、前記圧電共振片500で下キャビディ120の開口をキャッピングし、形成された結晶共振器が、デバイスウェハ100内の制御回路に電気的に接続され、次に結合プロセスを実行し、上キャビティ310を、前記下キャビディ120から離れた前記圧電共振片500の一側に対応して結晶共振器を形成し、それにより、結晶共振器と制御回路の集積配置を実現したことである。
【0077】
本実施例では、制御回路を備えたデバイスウェハが提供され、下キャビディを前記デバイスウェハに形成する方法は、実施例1を参照することができ、ここでは繰り返されない。
【0078】
そして、本実施例では、前記圧電共振片500を前記デバイスウェハ100上に形成する方法は、
まず、下電極510を、前記デバイスウェハ100の正面の設定位置に形成し、本実施例では、前記下電極510を、前記下キャビディ120の周囲に配置するステップと、
次に、圧電ウェハ520を前記下電極510に結合し、本実施例では、前記圧電ウェハ520を、前記下キャビディ120の上方に配置して、前記下キャビディ120の開口をキャッピングし、かつ前記圧電ウェハ520のエッジを、前記上電極510にラッピングするステップと、
その後、前記上電極530を前記圧電ウェハ520上に形成するステップとを含む。
【0079】
当然ながら、他の実施例では、上電極および下電極を、それぞれ圧電ウェハの両側に形成して、それらの3つを、全体として前記デバイスウェハ100の正面に結合することができる。
【0080】
さらに、本実施例では、前記下電極510および前記圧電ウェハ520を、前記デバイスウェハ100上に順次形成し、このとき、第1接続構造を前記デバイスウェハ100にも形成することができる。具体的には、前記第1接続構造は、下電極を電気的に接続するための第1接続部材と、上電極を電気的に接続するための第2接続部材とを含む。
【0081】
前記下電極510は、前記圧電ウェハ520に対して延在して下電極延長部を形成し、前記下電極延長部は、第1相互接続構造に電気的に接続することができる。このとき、前記下電極延長部は、即ち、下電極510と制御回路の接続を実現するための第1接続部材を構成したと考えることができる。
【0082】
さらに、前記第2接続部材は、前記圧電ウェハ520が形成された後、かつ前記上電極530が形成される前に形成されてもよい。具体的には、前記上電極を形成する前に前記第2接続部材を形成し、前記第2接続部材と上電極を電気的に接続する方法は、以下のステップを含む。
【0083】
ステップ1では、樹脂封止層を前記デバイスウェハ100の正面に形成し、本実施例では、前記樹脂封止層は、前記デバイスウェハ100の正面を覆い、前記圧電ウェハ520を露出させる。
【0084】
ステップ2では、貫通穴を前記樹脂封止層に設け、導電性材料を前記貫通穴に充填して導電性プラグ(例えば、第3導電性プラグ230)を形成し、前記第3導電性プラグの底部を前記第2導電性プラグに電気的に接続させ、前記第3導電性プラグの頂部を前記樹脂封止層から露出する。
【0085】
ステップ3では、前記上電極530を前記デバイスウェハ100上に形成した後、前記上電極530が、前記圧電ウェハ520を少なくとも部分的に覆い、前記圧電ウェハから前記第3導電性プラグの頂部までさらに延在して、前記上電極530と前記導電性プラグを電気的に接続させる。即ち、圧電ウェハから延在した前記上電極530の上電極延長部分は、前記第3導電性プラグ230に直接電気的に接続されている。
【0086】
または、ステップ3では、前記上電極530を前記圧電ウェハ520上に形成した後、相互接続線を前記上電極530上に形成してもよく、前記相互接続線は、前記上電極から前記第3導電性プラグの頂部まで延在して、前記相互接続線を介して、前記上電極を前記第3導電性プラグに電気的に接続させる。即ち、前記上電極530は、相互接続線を介して前記第3導電性プラグに電気的に接続されている。
【0087】
さらに、前記圧電共振片500をデバイスウェハ100上に形成し、前記上キャビティ310を基板300上に形成した後、前記デバイスウェハ100と前記基板300とを結合することができる。
具体的には、前記デバイスウェハ100と前記基板300とを結合する方法は、まず、接着層を前記デバイスウェハ100上に形成し、前記圧電ウェハの表面を前記接着層に露出ステップと、次に、前記接着層を使用して、前記デバイスウェハ100と前記基板300を結合するステップとを含む。
【0088】
結合プロセスを実行した後、基板300内の上キャビティを、前記下キャビディから離れた前記圧電ウェハ520の一側に対応して配置することができる。前記上キャビティのサイズは、前記圧電ウェハのサイズよりも大きくてもよく、その結果、前記圧電ウェハが前記上キャビティ内に配置することができる。
【0089】
本実施例では、デバイスウェハと基板が互いに結合された後、半導体チップを前記基板上に結合させ、第2接続構造を介して半導体チップと制御回路を電気的に接続させる。前記第2接続構造を形成し、前記半導体チップを結合する方法は、実施例1を参照することができ、ここでは繰り返さない。
実施例3
【0090】
実施例一および実施例二では、上電極、圧電ウェハ、および下電極を含む圧電共振片はすべて、基板または前記デバイスウェハ上に形成される。上記実施例との違いは、本実施例では、上電極および圧電ウェハが基板上に形成され、下電極がデバイスウェハ上に形成されることである。
【0091】
図3a~
図3dは、本発明の実施例3における結晶共振器と制御回路の集積方法の製造プロセス中の概略構造図であり、以下、本実施例における結晶共振器を形成する各ステップについて、添付図面を参照して詳細に説明する。
【0092】
まず、
図3aを参照すると、デバイスウェハ100を提供し、前記デバイスウェハ100内に制御回路を形成し、下電極510を前記デバイスウェハ100の正面に形成させ、前記下電極510が第1相互構造に電気的に接続されている。
【0093】
また、前記下電極510を形成する場合、再配線層610も同時に前記デバイスウェハ100上に配置することができ、前記再配線層610が、前記第2相互接続構造を覆う。
【0094】
さらに、前記下電極510を形成した後、第2樹脂封止層420を前記第1樹脂封止層100上に形成し、前記第2樹脂封止層420の表面が、前記下電極510の表面より高くなく、前記下電極510を露出させる。本実施例では、前記第2樹脂封止層420の表面は、再配線層610の表面よりも高くはなく、前記再配線層610を露出させる。後で結合プロセスを実行した後、前記下電極510を圧電ウェハの片側に配置することができ、再配線層610を、圧電ウェハの反対側にある上電極に電気的に接続することができる。
【0095】
前記第2樹脂封止層420を、平坦化プロセスによって形成し、その結果、前記第2樹脂封止層420の表面が、前記下電極510の表面と同一平面上にあり、このようにして、デバイスウェハ100の表面平坦度を効果的に向上させることができ、その後の結合プロセスを実現するのに有利である。
【0096】
図3aを引き続き参照すると、本実施例では、前記下電極510および前記第2樹脂封止層420を順次形成した後、前記第2樹脂封止層420および前記誘電体層100Bを順次エッチングして下キャビディ120を形成し、前記下電極510が前記下キャビディ120の周囲を取り囲むようにする。
【0097】
また、実施例1と同様に、本実施例では、第2接続構造を形成する場合も、デバイスウェハをデバイスウェハの正面からエッチングして、第2接続構造の導電性プラグ(第1導電性プラグ211bおよび第2導電性プラグ212bを含む)を形成し、また第2接続構造の接続線(第1接続線221bおよび第2接続線222bを含む)も、デバイスウェハの正面に形成する。
【0098】
次に、
図3bを参照すると、基板300を提供し、上キャビティに対応する基板300の上方に上電極530と圧電ウェハ520を順次形成する。前記上電極は、蒸着プロセスまたは薄膜堆積プロセスによって形成することができ、前記圧電ウェハは、前記上電極に結合される。
【0099】
具体的には、前記上電極530は、前記上キャビティ310の周囲に配置されている。後続のプロセスでは、前記上電極530を、デバイスウェハ100にある再配線層610に電気的に接続させ、前記上電極530を、前記第2回路112の前記相互接続構造112aに電気的に接続させる。前記圧電ウェハ520の中央領域は、基板300内の上キャビティ310に対応し、前記圧電ウェハ520のエッジが、前記上電極530にラッピングされ、前記上電極530は、前記圧電ウェハ 520の下方から横方向に延在して、上電極延長部を形成する。
【0100】
図3bを引き続き参照すると、本実施例では、前記圧電ウェハ520を形成した後、前記基板300上に第1樹脂封止層410を形成し、前記第1樹脂封止層410で前記基板300および前記上電極530の上電極延長部を覆い、前記第1樹脂封止層410の表面を、圧電ウェハ520の表面より高くはないようにし、前記圧電ウェハ520を露出するステップをさらに含む。
【0101】
同様に、本実施例では、前記第1樹脂封止層410を、平坦化プロセスによって形成することができ、その結果、前記第1樹脂封止層410の表面が、前記圧電ウェハ520の表面と同一平面上にあり、このようにして、前記基板300の表面をより平坦にし、その後の結合プロセスを実現するのに有利である。
【0102】
次に、
図3cを参照すると、第1接続構造の導電性プラグを、前記デバイスウェハ100または前記基板300上に形成し、その結果、後でデバイスウェハ100と基板300が結合された後、前記第1接続構造を使用して、前記上電極530と第2相互接続構造とを電気的に接続することができる。第1接続構造の導電性プラグの形成方法は、
まず、前記第1樹脂封止層410を含む樹脂封止層を、前記基板100の表面に形成するステップと、
次に、前記樹脂封止層をエッチングして貫通穴を形成し、本実施例では、前記第1樹脂封止層410をエッチングし、前記貫通穴が前記上電極530の前記上電極延長部を露出させ、導電性材料を前記貫通穴に充填して、導電性プラグ(例えば、第3導電性プラグ230)を形成し、前記第3導電性プラグ230の頂部を、前記第1樹脂封止層410の表面に露出させるステップとを含む。具体的には、前記第3導電性プラグ230は、前記上電極530の上電極延長部に接続されている。このようにして、前記上電極530は、前記第3導電性プラグ230および前記再配線層610を介して、第2相互接続構造に電気的に接続することができる。
【0103】
次に、
図3dを参照すると、前記基板300を、デバイスウェハの正面から結合し、それにより、前記上キャビティ310から離れた前記圧電ウェハ520の一側が、前記下キャビディ120に対応し、このとき、前記デバイスウェハ100の下電極510が、対応して、前記上電極530から離れた前記圧電チップ520の一側に配置されている。
【0104】
本実施例では、前記デバイスウェハ100と前記基板300とを結合する方法は、まず、接着層を前記基板300上に形成し、前記圧電ウェハ520の表面を前記接着層に露出ステップと、次に、前記接着層を使用して、前記デバイスウェハと前記基板を結合するステップとを含む。
【0105】
具体的には、前記デバイスウェハ100と前記基板300を結合した後、第2相互接続構造に接続されたデバイスウェハ100の再配線層610を、上電極530に接続された基板300の第3導電性プラグと電気的に接続することができ、それにより、上電極530が、前記制御回路に電気的に接続されている。
【0106】
後続のプロセスでは、第2接続構造を形成して、半導体チップを結合する方法は、実施例1を参照することができ、ここでは繰り返さない。
【0107】
上記の形成方法に基づいて、本実施例では、形成された結晶共振器と制御回路の集積構造を説明し、具体的には、
図2a~
図2iおよび
図3dを参照してもよく、前記結晶共振器は、
その中には、制御回路と、その正面に露出している下キャビディ120とが形成されているデバイスウェハ100において、本実施例では、前記制御回路内の相互接続構造の少なくとも一部は、前記デバイスウェハ100の正面まで延在する、デバイスウェハ100と、
デバイスウェハの正面から前記デバイスウェハ100に結合され、その中には、開口が、前記デバイスウェハ100に面しており、即ち、開口が前記下キャビディ120の開口と対向配置される上キャビティが形成されている基板と、
下電極510、圧電ウェハ520および上電極530を含み、前記デバイスウェハ100と前記基板300との間に設けられ、その両側がそれぞれ前記下キャビディ120と前記上キャビティ310に対応する圧電共振片500と、
前記圧電共振片500の上電極530および下電極510の両方も前記制御回路に電気的に接続するための第1接続構造と、
前記デバイスウェハ100の背面に結合され、その中には、例えば、電気信号を生成し、前記制御回路100を介して電気信号を圧電共振片500に伝送するための駆動回路が形成されている半導体チップ700と、
前記半導体チップ700を前記制御回路に電気的に接続するための第2接続構造とを含む。
【0108】
さらに、前記半導体チップ700は、前記デバイスウェハ100に対して異種チップを構成することができる。即ち、前記半導体チップ700のベース材料は、前記デバイスウェハ100のベース材料とは異なる。例えば、本実施例では、デバイスウェハ100のベース材料はシリコンであり、前記異種チップのベース材料は、III-V半導体材料またはII-VI半導体材料(具体的には、例えば、ゲルマニウム、シリコンゲルマニウムまたはガリウムヒ素など)であってもよい。
【0109】
即ち、半導体のプレーナー技術を使用して、下キャビディ120および上キャビティ310を、それぞれデバイスウェハ100および基板300上に形成し、結合プロセスによって、上キャビティ120と下キャビディ310を対応して配置し、それらをそれぞれ、圧電共振片500の2つの反対側に配置させ、その結果、制御回路に基いて、前記圧電共振片500が、前記上キャビティ310および前記下キャビディ120内に振動することができ、このようにして、圧電共振片500を制御回路と同じデバイスウェハに集積することができる。同時に、半導体チップをデバイスウェハ100にさらに集積でき、半導体チップおよび前記制御回路110によって、結晶共振器の温度ドリフトおよび周波数補正などの元の偏差のオンチップ変調を実現し、結晶共振器の性能を向上させるのに役立つ。本実施例の結晶共振器は、デバイスの集積度を向上させるだけでなく、半導体プロセスに基づいて形成される結晶共振器のサイズがより小さくなり、それによってデバイスの消費電力をさらに削減できることが分かる。
【0110】
図2aを引き続き参照すると、前記制御回路は、第1回路111および第2回路112を含み、前記第1回路111および第2回路112は、それぞれ前記圧電共振片の上電極および下電極に電気的に接続される。
【0111】
具体的には、前記第1回路111は、第1トランジスタ、第1相互接続構造111aおよび第3相互接続構造111bを含み、前記第1トランジスタが、前記デバイスウェハ100に埋め込まれ、前記第1相互接続構造111aおよび第3相互接続構造111bも、前記第1トランジスタに電気的に接続され、かつ両方とも前記デバイスウェハ100の正面まで延在する。前記第1相互接続構造111aは、前記下電極510に電気的に接続され、前記第3相互接続構造111bは、前記半導体チップに電気的に接続されている。
【0112】
同様に、前記第2回路112は、第2トランジスタ、第2相互接続構造112aおよび第4相互接続構造112bを含み、前記第2トランジスタが、前記デバイスウェハ100に埋め込まれ、前記第2相互接続構造112aおよび前記第4相互接続構造112bも、前記第2トランジスタに電気的に接続され、かつ両方とも前記デバイスウェハ100の正面まで延在する。前記第2相互接続構造112aは、前記上電極530に電気的に接続され、前記第4相互接続構造112bは、前記半導体チップに電気的に接続されている。
【0113】
さらに、前記第1接続構造は、第1接続部材と第2接続部材とを含み、前記第1接続部材が、前記第1相互接続構造111aおよび前記圧電共振片の下電極510に接続され、前記第2接続部材が、前記第2相互接続構造112aおよび前記圧電共振片の上電極530に接続される。
【0114】
本実施例では、前記下電極510は、前記デバイスウェハ100の正面に形成され、前記下キャビディ120の周囲に設けられ、前記下電極510はまた、前記圧電ウェハ520から横方向に延びて、下電極延長部を構成し、前記下電極延長部が前記第1回路111の第1相互接続構造111aを覆い、その結果、前記下電極510が、第1回路111の第1相互接続構造111aに電気的に接続される。したがって、前記下電極延長部は、即ち、前記第1接続部材を直接構成していると考えることができる。
【0115】
前記上電極530は、前記圧電ウェハ520上に形成され、前記上電極530は、前記第2接続部材を介して前記第2回路112の前記第2相互接続構造112aに電気的に接続されている。
具体的には、前記第2接続部材は、導電性プラグ(例えば、第3導電性プラグ230)を含み、前記第3導電性プラグ230の一端が、前記上電極530に電気的に接続され、前記第3導電性プラグ230の他端が、前記第2相互接続構造112aに電気的に接続されている。例えば、前記上電極530は、圧電ウェハから前記第3導電性プラグの端部まで延在している。
【0116】
さらに、前記デバイスウェハ100と前記基板300との間に樹脂封止層がさらに設けられ、前記樹脂封止層は、前記圧電ウェハ520の側壁を覆い、かつ上電極延長部および下電極延長部を覆っている。第2接続部材の前記第3導電性プラグ230は、前記樹脂封止層を貫通し、その結果、第3導電性プラグ230の一端が、前記上電極延長部に接続され、前記第3導電性プラグ230の他端が、前記第2相互接続構造に電気的に接続される。
【0117】
当然ながら、他の実施例では、前記第2接続部材はまた、相互接続線を含んでもよい。前記相互接続線の一端は、前記上電極530を覆い、前記相互接続線の他端は、前記第3導電性プラグの頂部を少なくとも部分的に覆い、それにより、前記上電極530が前記相互接続線および前記第3導電性プラグを介して、前記制御回路に電気的に接続される。
【0118】
さらに、半導体チップ700と前記制御回路を接続するための前記第2接続構造は、導電性プラグと接続線とを含み、第2接続構造の導電性プラグは、前記デバイスウェハ100を貫通して、それにより、前記導電性プラグの一端が前記デバイスウェハ100の正面まで延在し、および前記導電性プラグの他端が、前記デバイスウェハ100の背面まで延在して、前記半導体チップ700に電気的に接続され、前記接続線は、前記デバイスウェハの正面に形成され、前記接続線によって、前記導電性プラグと前記制御回路が接続されている。
【0119】
即ち、前記導電性プラグと前記接続線を使用して、半導体チップを電気的に接続するための制御回路内の接続ポートを、デバイスウェハの正面からデバイスウェハの背面まで導出することができ、その結果、半導体チップをデバイスウェハの背面に配置し、デバイスウェハの背面から制御回路に電気的に接続させる。
【0120】
本実施例では、前記第2接続構造の導電性プラグは、第1導電性プラグ211bおよび第2導電性プラグ212bを含み、第2接続構造の接続線は、第1接続線221bおよび第2接続線222bを含む。前記第1接続線221bは、前記第1導電性プラグ211bと前記第3相互接続構造111bを接続し、前記第2接続線222bは、前記第2導電性プラグ212bと前記第4相互接続構造112bを接続する。
【0121】
図2aを引き続き参照すると、本実施例では、前記デバイスウェハ100は、ベースウェハ100Aおよび誘電体層100Bを含む。前記第1トランジスタおよび前記第2トランジスタの両方も前記ベースウェハ100A上に形成され、前記誘電体層100Bが前記ベースウェハ100A上に形成され、かつ前記第1トランジスタおよび前記第2トランジスタを覆い、前記第3相互接続構造111b、前記第1相互接続構造111a、前記第4相互接続構造112bおよび前記第2相互接続構造112aがすべて前記誘電体層100B内に形成され、かつ前記ベースウェハ100Aから離れた前記誘電体層100Bの表面まで延在している。
【0122】
前記結晶共振器と制御回路との集積構造は、前記デバイスウェハの背面に形成され、前記半導体チップ700を覆う樹脂封止層をさらに含む。
【0123】
よって、本発明によって提供される結晶共振器と制御回路の集積方法において、下キャビディをデバイスウェハ内に形成し、上キャビティを基板に形成し、結合プロセスを用いてデバイスウェハと基板を結合して、圧電共振片をデバイスウェハと基板の間にクランプし、下キャビディと上キャビティをそれぞれ圧電共振片の両側に対応して配置し、それにより、制御回路と結晶共振器を同じデバイスウェハに集積することを実現した。これに基づいて、例えば、駆動回路が形成された半導体チップを、デバイスウェハの背面にさらに結合することができ、即ち、半導体チップ、制御回路、および結晶共振器はすべて同じ半導体基板上に集積され、それによって結晶共振器の温度ドリフトと周波数補正などの元の偏差のオンチップ変調を実現することに利く。さらに、従来の結晶共振器(例えば、表面実装型結晶共振器)と比較して、半導体のプレーナー技術に基づいて形成された本発明の結晶共振器は、サイズがより小さいので、それに応じて結晶共振器の電力消費を減らすことができる。また、本発明の結晶共振器は、他の半導体部品との集積がより容易であり、これは、デバイスの集積度を向上させるのに有利である。
【0124】
上記の説明は、本発明の好ましい実施例の説明にすぎず、本発明の範囲を限定するものではない。上記の開示内容に基づいて当業者によって行われる変更および修正は、すべて特許請求の保護範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0125】
100-デバイスウェハ、AA-デバイス領域、100U-正面、100D-背面、100A-ベースウェハ、100B-誘電体層、110-制御回路、111-第1回路、111a-第1相互接続構造、111b-第3相互接続構造、112-第2回路、112a-第2相互接続構造、112b-第4相互接続構造、120-下キャビディ、211b-第1導電性プラグ、212b-第2導電性プラグ、221b-第1接続線、222b-第2接続線、230-第3導電性プラグ、410-第1樹脂封止層、420-第2樹脂封止層、500-圧電共振片、510-下電極、520-圧電ウェハ、530-上電極、610-再配線層、700-半導体チップ。
【国際調査報告】