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特表2022-510132エアロゾル発生装置用の誘導加熱アセンブリ及びその製造方法
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  • 特表-エアロゾル発生装置用の誘導加熱アセンブリ及びその製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-26
(54)【発明の名称】エアロゾル発生装置用の誘導加熱アセンブリ及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   A24F 40/465 20200101AFI20220119BHJP
   H05B 6/10 20060101ALI20220119BHJP
【FI】
A24F40/465
H05B6/10 371
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021527894
(86)(22)【出願日】2019-11-21
(85)【翻訳文提出日】2021-05-19
(86)【国際出願番号】 EP2019082038
(87)【国際公開番号】W WO2020109123
(87)【国際公開日】2020-06-04
(31)【優先権主張番号】18208283.4
(32)【優先日】2018-11-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516004949
【氏名又は名称】ジェイティー インターナショナル エス.エイ.
【氏名又は名称原語表記】JT INTERNATIONAL S.A.
【住所又は居所原語表記】8,rue Kazem Radjavi,1202 Geneva,SWITZERLAND
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100188329
【弁理士】
【氏名又は名称】田村 義行
(72)【発明者】
【氏名】ギル,マーク
【テーマコード(参考)】
3K059
4B162
【Fターム(参考)】
3K059AA08
3K059AB24
3K059CD47
4B162AA03
4B162AA06
4B162AA22
4B162AB01
4B162AB12
4B162AB14
4B162AC22
4B162AE02
(57)【要約】
エアロゾル発生装置用の誘導加熱アセンブリ(1)であって、誘導加熱アセンブリ(1)は、使用中にエアロゾル発生物品を収容するための加熱チャンバ(6)、及び誘導コイルアセンブリ(14)を含む。誘導コイルアセンブリ(14)は、加熱チャンバ(6)を実質的に取り囲み、電気絶縁層(24)及び導電性トラック(22)を備える。誘導コイルアセンブリ(14)は、実質的に管状の構造を有し、誘導コイルアセンブリ(14)の少なくとも部分が、誘導コイルアセンブリ(14)の別の部分と軸方向に重なっている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル発生装置(100)用の誘導加熱アセンブリ(1)であって、前記誘導加熱アセンブリ(1)は、使用中にエアロゾル発生物品(200)を収容するための加熱チャンバ(6)と、前記加熱チャンバ(6)を実質的に取り囲む誘導コイルアセンブリ(14;32;36;40;44;48)とを備え、前記誘導コイルアセンブリ(14;32;36;40;44;48)は、電気絶縁層(24)及び導電性トラック(22;34;42;46;50)を備え、前記誘導コイルアセンブリ(14;32;36;40;44;48)は、実質的に管状の構造を有し、前記誘導コイルアセンブリ(14;32;36;40;44;48)の少なくとも部分が、前記誘導コイルアセンブリ(14;32;36;40;44;48)の別の部分と軸方向に重なっている、誘導加熱アセンブリ(1)。
【請求項2】
前記誘導コイルアセンブリ(14;32;36;40;44;48)はスパイラル構造を有する、請求項1に記載の誘導加熱アセンブリ(1)。
【請求項3】
前記導電性トラック(22;34;42;46;50)の端部(22a,22b)に電気的に接続され前記導電性トラック(22;34;42;46;50)から突出している、コネクタ脚部(26,28)を更に備える、請求項1又は2に記載の誘導加熱アセンブリ(1)。
【請求項4】
前記誘導コイルアセンブリ(14)の軸方向端部(14b)を支持する基部(8)を更に備える、請求項3に記載の誘導加熱アセンブリ(1)。
【請求項5】
前記基部(8)は、前記コネクタ脚部(26,28)を収容するためのスロット又は開口部(30)を備える、請求項4に記載の誘導加熱アセンブリ(1)。
【請求項6】
前記誘導コイルアセンブリ(14)を実質的に取り囲む電磁シールド(16)を更に備える、請求項1~5のいずれか一項に記載の誘導加熱アセンブリ(1)。
【請求項7】
前記誘導コイルアセンブリ(14)と前記電磁シールド(16)との間にギャップ(18)が存在する、請求項6に記載の誘導加熱アセンブリ(1)。
【請求項8】
エアロゾル発生装置(100)用の誘導加熱アセンブリ(1)であって、前記誘導加熱アセンブリ(1)は、使用中にエアロゾル発生物品(200)を収容するための加熱チャンバ(6)と、前記加熱チャンバ(6)を実質的に取り囲む誘導コイルアセンブリ(14;32;36;40;44;48)とを備え、前記誘導コイルアセンブリ(14;32;36;40;44;48)は、導電性トラック(22;34;42;46;50)を備え、前記導電性トラック(22;34;42;46;50)の少なくとも部分が、前記導電性トラック(22;34;42;46;50)の別の部分と軸方向に重なっている、誘導加熱アセンブリ(1)。
【請求項9】
前記誘導コイルアセンブリ(14;32;36;40;44;48)は、少なくとも前記導電性トラック(22;34;42;46;50)の前記重なっている部分の間に位置する電気絶縁層(24)を含む、請求項8に記載の誘導加熱アセンブリ(1)。
【請求項10】
誘導加熱アセンブリ(1)を製造する方法であって、前記方法は、
加熱チャンバ(6)を形成するステップと、
前記加熱チャンバ(6)の実質的に周囲に、誘導コイルアセンブリ(14;32;36;40;44;48)を形成又は配置するステップと、を含み、前記誘導コイルアセンブリ(14;32;36;40;44;48)は、(i)電気絶縁層(24)及び導電性トラック(22;34;42;46;50)を備え、前記誘導コイルアセンブリ(14;32;36;40;44;48)は実質的に管状の構造を有し、前記誘導コイルアセンブリ(14;32;36;40;44;48)の少なくとも部分が、前記誘導コイルアセンブリ(14;32;36;40;44;48)の別の部分と軸方向に重なっている、又は、(ii)導電性トラック(22;34;42;46;50)を備え、前記導電性トラック(22;34;42;46;50)の少なくとも部分が、前記導電性トラック(22;34;42;46;50)の別の部分と軸方向に重なっている、方法。
【請求項11】
前記誘導コイルアセンブリ(14;32;36;40;44;48)を形成又は配置する前記ステップは、前記誘導コイルアセンブリ(14;32;36;40;44;48)がスパイラル構造を有するように、前記電気絶縁層(24)及び/又は前記導電性トラック(22;34;42;46;50)を前記加熱チャンバ(6)の周囲に巻き付けるステップを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記加熱チャンバ(6)は支持体(2)の1つ以上の壁(4)によって画定され、前記電気絶縁層(24)及び/又は前記導電性トラック(22;34;42;46;50)は、前記1つ以上の壁(4)の周囲に巻き付けられており、前記支持体(2)は少なくとも1つのフランジ(8a,12a)を備え、前記少なくとも1つのフランジ(8a,12a)は前記1つ以上の壁(4)から外向きに延び、前記巻き付けプロセス中に、前記電気絶縁層(24)及び/又は前記導電性トラック(22;34;42;46;50)を導く、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記誘導コイルアセンブリ(14;32;36;40;44;48)は、前記導電性トラック(22;34;42;46;50)の端部に電気的に接続されたコネクタ脚部(26,28)を備え、前記誘導コイルアセンブリ(14;32;36;40;44;48)を形成又は配置する前記ステップは、前記コネクタ脚部(26,28)が前記導電性トラック(22;34;42;46;50)から突出するように実施される、請求項10~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記コネクタ脚部(26、28)をエアロゾル発生装置(100)の本体アセンブリ(102)のコネクタ(108、110)に電気的に接続するステップを更に含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記誘導コイルアセンブリ(14;32;36;40;44;48)の実質的に周囲に、電磁シールド(16)を形成又は配置するステップを更に含む、請求項10~14のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、エアロゾル発生装置用の誘導加熱アセンブリに関し、より具体的には、ユーザが吸入するためのエアロゾルを生成するエアロゾル発生物品を加熱するために使用され得る誘導加熱アセンブリに関する。
【0002】
本開示の実施形態はまた、誘導加熱アセンブリを組み込んだエアロゾル発生装置、及び誘導加熱アセンブリを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
エアロゾル形成材料を燃やすのではなく加熱して吸入用のエアロゾルを形成する装置が、近年、消費者に人気になってきている。
【0004】
そのような装置は、いくつかの異なる手法のうちの1つを使用して、エアロゾル形成材料に熱を供給することができる。そのような手法の1つは、誘導加熱システムを用いるエアロゾル発生装置を提供することであり、このエアロゾル発生装置には、エアロゾル形成材料を含むエアロゾル発生物品をユーザが取り外し可能に挿入することができる。そのような装置では、誘導コイルが装置に設けられ、誘導加熱可能サセプタも装置に設けられる。ユーザが装置を作動させると、電気エネルギーが誘導コイルに供給され、これにより交流電磁場が発生する。サセプタがこの電磁場と結合して熱を発生させ、この熱が、例えば伝導によって、エアロゾル形成材料に伝達され、エアロゾル形成材料を燃やすのではなく加熱するとエアロゾルが発生する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の第1の態様によれば、エアロゾル発生装置用の誘導加熱アセンブリが提供され、誘導加熱アセンブリは、使用中にエアロゾル発生物品を収容するための加熱チャンバと、加熱チャンバを実質的に取り囲む誘導コイルアセンブリとを備え、誘導コイルアセンブリは電気絶縁層及び導電性トラックを備え、誘導コイルアセンブリは実質的に管状の構造を有し、誘導コイルアセンブリの少なくとも部分が、誘導コイルアセンブリの別の部分と軸方向に重なっている。この軸方向は、誘導コイルアセンブリの軸方向である。
【0006】
誘導加熱アセンブリの加熱チャンバは、使用中にエアロゾル発生物品を収容するように適合されている。導電性トラックは誘導コイルを画定し、誘導コイルは、サセプタ内に渦電流及び/又は磁気ヒステリシス損失を誘起することにより、エアロゾル発生物品内の1つ以上のサセプタを加熱するための交流電磁場を生成する。サセプタは、アルミニウム、鉄、ニッケル、ステンレス鋼、及びそれらの合金、例えばニッケルクロム又はニッケル銅、のうちの1つ以上を含み得るが、これらに限定されない。
【0007】
エアロゾル発生物品は、エアロゾル形成材料を含み得る。誘導加熱アセンブリは、エアロゾル形成材料を燃やすことなくエアロゾル形成材料を加熱してエアロゾル形成材料の少なくとも1つの成分を揮発させ、それによりエアロゾル発生装置のユーザによる吸入のためのエアロゾルを発生させるように適合されている。
【0008】
一般論として、蒸気とは、臨界温度よりも低い温度で気相である物質である。これは、温度を低下させることなく圧力を増加させることにより、蒸気を液体に凝縮させることができることを意味する。一方、エアロゾルとは、空気中又は別のガス中の微細な固体粒子又は液滴の浮遊物である。しかしながら、本明細書では、「エアロゾル」及び「蒸気」という用語は、特に、ユーザによる吸入のために生成される吸入可能媒体の形態に関して互換的に使用されることがあることに留意されたい。
【0009】
エアロゾル発生物品は、エアロゾル形成材料の本体を備え得る。エアロゾル形成材料は、任意のタイプの固体又は半固体材料であってもよい。固体又は半個体の材料の例示的なタイプとしては、粉末、顆粒、ペレット、細片、ストランド、粒子、ゲル、条片、ルーズリーフ、カットフィラー、多孔質材料、発泡材料、又はシートが挙げられる。エアロゾル形成材料は、植物由来の材料、特にタバコを含み得る。
【0010】
エアロゾル形成材料は、エアロゾル形成剤を含み得る。エアロゾル形成剤の例としては、グリセリン又はプロピレングリコールなどの多価アルコール及びその混合物が挙げられる。典型的には、エアロゾル形成材料は、乾燥重量ベースで約5%~約50%のエアロゾル形成剤含有量を含み得る。いくつかの実施形態では、エアロゾル形成材料は、乾燥重量ベースで約10%~約20%のエアロゾル形成剤含有率、場合により乾燥重量ベースで約15%を含み得る。
【0011】
また、エアロゾル形成材料は、エアロゾル形成剤そのものであってもよい。この場合、エアロゾル形成材料は液体であり得る。また、この場合、エアロゾル発生物品は液体保持物質(例えば、繊維の束、セラミックなどの多孔質材料など)を含んでもよく、この液体保持物質は、エアロゾル化されることになる液体を保持し、液体保持物質からエアロゾルを形成し、例えばユーザによる吸入のために排気口に向けて、放出/放射することを可能にする。
【0012】
加熱すると、エアロゾル形成材料は揮発性化合物を放出し得る。揮発性化合物は、ニコチン又はタバコ香味料などの香味化合物を含み得る。
【0013】
本体の異なる領域が、異なるタイプのエアロゾル形成材料を含んでもよいし、異なるエアロゾル形成剤を含んでもよい、若しくは異なるエアロゾル形成剤含有量を有してもよいし、又は加熱時に異なる揮発性化合物を放出してもよい。
【0014】
エアロゾル発生物品の形状及び形態に制限はない。いくつかの実施形態では、エアロゾル発生物品は実質的に円筒状の形状であってもよく、したがって、加熱チャンバは、実質的に円筒状の物品を収容するように構成されていてもよい。このことは、気化性又はエアロゾル性の物質、特にタバコ製品が円筒形の形態で包装及び販売されることが多いので、有利であり得る。更に、管状構造が実質的に円筒形構造である誘導コイルアセンブリを使用することが便利であり、よって、エアロゾル発生物品を円筒形で提供することは、過剰な材料の使用を最小限に抑えながら誘導コイルアセンブリの中に効率的に嵌まるようにサイズ決めできるので、有利である。「管状構造」を有する誘導コイルアセンブリは、円筒形構造(すなわち、実質的に円形の断面を有する)に限定されず、誘導コイルアセンブリが、任意の好適な断面を有する、典型的には開口管である管の形又は形状を有することを単に規定していることが理解されるであろう。以下により詳細に説明するように、本開示の一実施形態では、管状構造を有する誘導コイルアセンブリが、誘導コイルアセンブリの軸の周りに好適なターン数でスパイラル形状に巻かれてもよい。
【0015】
エアロゾル形成材料は通気性材料の内部に保持され得る。通気性材料は、電気絶縁性で非磁性の通気性材料を含み得る。この材料は、高温に対する耐性を伴って、この材料を通って空気が流れることを可能にする高い通気性を有してもよい。好適な通気性材料の例としては、セルロース繊維、紙、綿、及び絹が挙げられる。通気性材料は、フィルタとしても機能し得る。一実施形態では、エアロゾル形成材料は紙に巻かれ得る。エアロゾル形成材料はまた、通気性を持たないが空気流を可能にする適切な穿孔又は開口部を備える材料の内部に保持されてもよく、又は材料がエアロゾル形成材料の全体に及んでいなくてもよい。例えば、エアロゾル形成材料は、通気性を持たないが、その端部が開口されてエアロゾル形成材料を通る空気流を可能にする材料管の中に保持され得る。代替として、エアロゾル発生物品は、エアロゾル形成材料自体の本体で構成されてもよい。
【0016】
導電性トラック及び電気絶縁層は、誘導コイルアセンブリが単純で信頼性の高い構造を有するように、一緒に結合又は固定されてもよい。一実施形態では、導電性トラックは、電気絶縁層上に形成されてもよい。代替として、導電性トラック及び電気絶縁層は一緒に結合又は固定されていないが、誘導コイルアセンブリ内で互いに隣接して配置され得る。
【0017】
誘導コイルアセンブリは、2つ以上の導電性トラックを備え得る。導電性トラックは、電気絶縁層に結合又は固定されてもよく、又は電気絶縁層上に形成されてもよい。導電性トラックは、誘導コイルアセンブリの軸方向に間隔を空けて配置されてもよい。各導電性トラックは誘導コイルを画定し、誘導コイルは、サセプタ内に渦電流及び/又は磁気ヒステリシス損失を誘起することにより、エアロゾル発生物品内の1つ以上のサセプタを加熱するための交流電磁場を生成する。導電性トラックは、軸方向に均等に又は不均等に間隔を空けて配置されて、エアロゾル発生物品が加熱チャンバ内に配置された時に、所望の電磁場分布及び/又はエアロゾル形成材料の所望の加熱を提供してもよい。
【0018】
各導電性トラックの片側だけが電気絶縁層に結合又は固定されて、各導電性トラックの反対側は結合又は固定されていないままであってもよい。このような誘導コイルアセンブリは、小型のサイズを有する。代替として、各導電性トラックの片側だけが電気絶縁層に結合又は固定されてもよく、各導電性トラックの反対側は、第2の電気絶縁層に結合又は固定されてもよい。このような誘導コイルアセンブリは、各導電性トラックが2つの電気絶縁層の間に挟まれているか又は埋め込まれているので、良好な電気絶縁を有し得る。
【0019】
誘導コイルアセンブリは、交互に構成又は積層された、複数の電気絶縁層及び導電性トラックを含んでもよい。そのような誘導コイルアセンブリは、導電性トラック間に良好な電気的絶縁性を有する単純で信頼性の高い構造を有し得る。
【0020】
各電気絶縁層は、例えばポリアミド又はポリイミドなどの、絶縁材料のストリップとして形成されてもよい。
【0021】
各導電性トラックは、(例えば、導電性層上に形成された)導電性材料のストリップとして、又は導電性材料の層として形成されてもよい。導電性材料は、例えば、銅、ステンレス鋼、又はアルミニウムなどの金属であり得る。導電性トラックの露出した外部表面は、トラックの電気抵抗を低減させ、その温度が許容できないレベルに達することを防止ために、増加させることができる。例えば、導電性トラックは、金属細線を含む織布(すなわち、マルチストランド導電性トラック)から形成されてもよく、又はトラックは、その長手方向に沿って延びる複数の微細な穴又はスリットを含んでもよい。
【0022】
一実施形態では、各導電性トラックの軸方向高さ(すなわち、誘導コイルアセンブリの軸方向におけるその寸法)は、誘導コイルアセンブリの円周方向に沿って実質的に変化しない。本明細書における「円周方向」へのいかなる言及も、誘導コイルアセンブリのスパイラル形状に沿った方向、すなわち、誘導コイルアセンブリの半径方向に最も内側のエッジから半径方向に最も外側のエッジへの方向、又はその逆の方向を意味することが容易に理解されるであろう。導電性トラックの軸方向高さは、電気絶縁層の軸方向高さと実質的に同じであってもよく、これにより、誘導コイルアセンブリに単純で信頼性の高い構造が提供される。代替として、各導電性トラックの軸方向高さは、誘導コイルアセンブリの円周方向に沿って変化又は変動し得る。例えば、導電性トラックの軸方向高さは、誘導コイルアセンブリの円周方向に沿って増加又は減少し得る。誘導コイルアセンブリ全体に対する、各導電性トラックの軸方向における位置は、誘導コイルアセンブリの円周方向に沿って同じであってもよく、又は誘導コイルアセンブリの円周方向に沿って変化又は変動してもよい。誘導コイルアセンブリの円周方向に沿って各導電性トラックの軸方向高さ及び/又は軸方向位置を変化させることは、誘導コイルアセンブリ全体の実質的に管状の構造により画定される三次元空間内において特定の形状及び構成を有する誘導コイルを、各導電性トラックが画定し得ることを意味する。
【0023】
導電性トラックの軸方向高さは、エアロゾル発生物品が加熱チャンバ内に収容された時に、エアロゾル発生物品のエアロゾル形成材料の本体と重なる加熱チャンバの部分の深さの半分に実質的に等しいか又はそれより大きくてもよい。加熱チャンバの深さは、誘導加熱アセンブリの軸方向での加熱チャンバの寸法である。そのような構成は、典型的には、エアロゾル形成材料の効果的な加熱をもたらす。
【0024】
誘導コイルアセンブリは全体として、その中心軸からの距離が連続的に増加するように加熱チャンバの周囲に巻かれるようなスパイラル構造を有してもよい。誘導コイルアセンブリは、任意の適切な数、例えば4つ又はそれ以上のターンを有してもよく、各ターンは先行するターンと重なってスパイラル構造を形成する。換言すれば、誘導コイルアセンブリは、加熱チャンバの周囲に少なくとも4回巻かれてもよい。これにより、誘導コイルアセンブリがエアロゾル発生装置に実装されている場合、誘導コイルアセンブリの物理的サイズとその加熱効率との良好なバランスが提供され得る。誘導コイルアセンブリの隣接するターンは、例えば接着剤層を使用して、互いに結合又は固定されて、小型の構造が形成され得る。
【0025】
電気絶縁層は、スパイラル構造を有してもよい。電気絶縁層は、導電性トラックの隣接するターンの間に挟入されて、例えば、良好な電気絶縁を維持してもよい。
【0026】
誘導コイルアセンブリの各導電性トラックは、スパイラル構造又はヘリカル構造を有し得る。導電性トラックは、任意の適切なターン数、例えば4つ以上を有することができる。これにより、誘導コイルアセンブリの物理的サイズとその加熱効率との良好なバランスが提供され得る。以下でより詳細に説明するように、導電性トラックが、誘導コイルアセンブリの中心軸からの距離が連続的に増加するように加熱チャンバの周囲に巻かれ、各ターンが先行するターンと重なってスパイラル構造を形成するように、各導電性トラックの軸方向位置が、誘導コイルアセンブリ全体に対して誘導コイルアセンブリの円周方向に沿って変化しない場合、各導電性トラックはスパイラル構造を有することができる。導電性トラックが、誘導コイルアセンブリの中心軸からの距離が連続的に増加するように加熱チャンバの周囲に巻かれ、各ターンが先行するターンから軸方向にオフセットされて(すなわち、ターンは完全に重なることはないが、しかし依然として部分的に重なっていてもよい)ヘリカル構造を形成するように、各導電性トラックの軸方向位置が、誘導コイルアセンブリ全体に対して誘導コイルアセンブリの円周方向に沿って変化又は変動する場合、各導電性トラックはヘリカル構造を有することができる。
【0027】
各導電性トラックの少なくとも一端はコネクタ脚部を含んでもよく、コネクタ脚部は、導電性トラックから突出し、誘導コイルアセンブリ用のコントローラ及び/又は電源を備え得る、エアロゾル発生装置の別個の部分(例えば、本体アセンブリ)への電気的接続を簡単且つ信頼性の高い方法で行うことを可能にする。最も好ましくは、各導電性トラックの両端は対応するコネクタ脚部を含み、コネクタ脚部は、導電性トラックから同じ方向に、典型的には軸方向に突出している。この結果、誘導加熱アセンブリにとって単純で小型の構造がもたらされる。一実施形態では、端部のコネクタ脚部の間の、例えば各導電性トラックの中間部分において、追加のコネクタ脚部が設けられてもよい。このような誘導コイルアセンブリは、「センタータップ付き」誘導コイルアセンブリと呼ばれる場合がある。追加のコネクタ脚部は、各導電性トラックの中央部分に又はその近くにおいて、その円周方向に沿って設けられてもよい。追加のコネクタ脚部は、導電性トラックの両端にあるコネクタ脚部と同じ方向に導電性トラックから突出していてもよい。追加のコネクタ脚部は、好ましくはローパスフィルタによって、例えば直流(DC)電源などの電源に電気的に接続されてもよい。ローパスフィルタは、例えば、チョークコイルを備え得る。そのような「センタータップ」誘導コイルアセンブリは効率的に動作する可能性があり、誘導コイルアセンブリが接続する電子回路の設計を単純化し得る。
【0028】
各コネクタ脚部は、エアロゾル発生装置の本体アセンブリとの電気的接続を行う目的で露出されるように、誘導加熱アセンブリから外に突出していてもよい。各コネクタ脚部は、誘導コイルアセンブリ内に2つ以上の導電性トラックが存在する場合は、それらに電気的に接続されてもよい。例えば、2つ以上の導電性トラックが電気絶縁層に結合若しくは固定される、又は電気絶縁層上に形成され、軸方向に間隔を空けて配置されている場合、2つ以上の導電性トラックは、2つのコネクタ脚部の間で並列に接続されてもよい。代替として、2つ以上の導電性トラックが誘導コイルアセンブリに存在する場合、各導電性トラックがそれぞれ、2つのコネクタ脚部に接続されてもよい。これにより、誘導コイルアセンブリによって生成される電磁場に対する制御を改善できる。
【0029】
各コネクタ脚部は、エアロゾル発生装置の本体アセンブリの対応するコネクタと係合されてもよい。各コネクタ脚部には、第1のタイプのコネクタ端部が設けられてもよく、本体アセンブリの対応するコネクタには、第1のタイプのコネクタ端部と係合可能な第2のタイプのコネクタ端部が設けられてもよい。
【0030】
誘導加熱アセンブリは、加熱チャンバを画定する支持体を備えてもよい。より具体的には、加熱チャンバは、支持体の1つ以上の壁によって画定されてもよい。一実施形態では、支持体は、実質的に円筒状のエアロゾル発生物品を収容するのに好適な加熱チャンバを画定する、実質的に円筒状の壁を備えてもよい。
【0031】
支持体は、良好な熱特性を有し、費用効果の高い方法で大量に製造され得る、比較的不活性な任意の好適な材料、例えば、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)などのプラスチック材料、又はアルミナ、ジルコニア、ケイ酸塩などのセラミック材料で形成されてもよい。
【0032】
誘導コイルアセンブリは、単純で信頼性の高い構造のために、支持体上に取り付けられてもよい。誘導加熱アセンブリは、誘導コイルアセンブリの軸方向の一端を支持する第1の表面を有する基部を備えてもよい。誘導加熱アセンブリは、誘導コイルアセンブリの軸方向の他端を支持する表面を有する上部を備えてもよい。基部及び上部の一方又は両方は、誘導コイルアセンブリが取り付けられている支持体の一体部分であってもよい。一実施形態では、基部及び上部は、外向きに延びるフランジとして形成されてもよく、そのフランジ間に誘導コイルアセンブリが軸方向に配置され、その軸方向端部が、対向するフランジ表面によって支持される。加熱チャンバを画定する支持体の壁は、基部と上部との間に、例えば、2つの外向きに延びるフランジの間に延びていてもよい。このような構造は、誘導コイルアセンブリが支持体の周囲にその場で巻かれるならば、すなわち支持体がコイル巻型として機能する場合に、誘導コイルアセンブリを支持及び導くのに役立つ場合があり、以下を参照されたい。誘導コイルアセンブリは、例えば好適な接着剤によって支持体に固着又は固定されて、誘導コイルアセンブリを加熱チャンバに対して所定位置に維持してもよい。これは信頼性の高い加熱を提供する。なぜなら、誘導コイルアセンブリと、加熱チャンバ内に収容されるエアロゾル発生物品におけるサセプタとの間の位置関係が重要だからである。
【0033】
加熱チャンバの底部に1つ以上の空気入口が形成されてもよい。空気入口は、例えば、誘導加熱アセンブリの基部に形成されてもよい。2つ以上の空気入口が設けられる場合、それらは、好ましくは、加熱チャンバの底部にわたって実質的に均等に間隔を空けて配置される。
【0034】
コネクタ脚部は、誘導加熱アセンブリの基部にあるスロット又は開口部を貫通し、それにより、コネクタ脚部が基部から軸方向外向きに突出し、エアロゾル発生装置の他の部分にある対応するコネクタと係合するように配置されてもよい。誘導加熱アセンブリは、エアロゾル発生装置の他の部分、例えば本体アセンブリ、に着脱可能に接続されるように適合されていてもよい。
【0035】
代替的実施形態では、誘導加熱アセンブリの基部にあるスロット又は開口部は、本体アセンブリの対応するコネクタを収容してもよく、その結果、コネクタ脚部との電気的接続を形成することができる。より具体的には、コネクタは、エアロゾル発生装置の他の部分(例えば、本体アセンブリ)から外向きに突出し、基部にあるスロット又は開口部を貫通し、その結果、コネクタがコネクタ脚部と係合するように配置されるように形成されていてもよい。
【0036】
誘導加熱アセンブリは、誘導コイルアセンブリを実質的に取り囲む電磁シールドを備えてもよい。したがって、誘導加熱アセンブリは、使用中に誘導コイルアセンブリによって生成される電磁場をシールドするための単純で信頼性の高い構造を有する。誘導加熱アセンブリの基部は、電磁シールドの軸方向端部を支持する第2の表面を備えてもよい。電磁シールドは、好ましくは、例えば、好適な接着剤によって第2の表面に固着又は固定される。誘導コイルアセンブリと電磁シールドとの間にギャップを維持して、対応する構成要素間に断熱を提供できる。誘導コイルアセンブリと電磁シールドとの間にギャップを設けることはまた、生成された電磁場の所望の電磁場分布を加熱チャンバ内で確保することを手助けし得る。すなわち、ギャップを使用して電磁場を「成形」することができる。ギャップは、誘導コイルアセンブリの外部表面と電磁シールドの内部表面との間に配置された1つ以上のスペーサによって、単純で信頼性の高い方法で維持され得る。スペーサは、電磁シールド、及び誘導加熱アセンブリの基部(例えば、支持体上)の一方又は両方において突起として形成されてもよく、スペーサは円周方向に間隔を空けて配置されてもよい。
【0037】
本開示の第2の態様によれば、エアロゾル発生装置用の誘導加熱アセンブリが提供され、誘導加熱アセンブリは、使用中にエアロゾル発生物品を収容するための加熱チャンバと、加熱チャンバを実質的に取り囲む誘導コイルアセンブリとを備え、誘導コイルアセンブリは、導電性トラックを備え、導電性トラックの少なくとも部分が、導電性トラックの別の部分と軸方向に重なっている。
【0038】
誘導コイルアセンブリは、少なくとも導電性トラックの重なる部分の間に位置する電気絶縁層を備えてもよい。
【0039】
本開示の第2の態様による誘導加熱アセンブリの他の特徴は、第1の態様について上述した通りであり得る。
【0040】
本開示の第3の態様によれば、上述したような誘導加熱アセンブリを備えるエアロゾル発生装置が提供される。
【0041】
エアロゾル発生装置は、加熱時に放出されるエアロゾルをユーザが吸入できる一体型フィルタを含む第1のタイプに従って、エアロゾル発生物品を収容するように構成され得る。エアロゾル発生装置はまた、第2のタイプによるエアロゾル発生物品を収容するように構成されてもよく、装置はマウスピースを更に備えてもよい。
【0042】
エアロゾル発生装置は、誘導加熱アセンブリが接続されている本体アセンブリを、任意選択で着脱可能な形態で、備えてもよい。本体アセンブリは、誘導加熱アセンブリ用のコントローラ及び/又は電源を備えてもよい。コントローラは、プログラム可能なデジタルコントローラを備えてもよい。
【0043】
本体アセンブリは、1つ以上のコネクタを備えてもよく、各コネクタは、誘導加熱アセンブリの対応するコネクタ脚部と係合するように適合されていてもよい。コネクタの使用は、誘導加熱アセンブリとエアロゾル発生装置の本体アセンブリとの間に電気的接続を提供する単純で信頼性の高い方法を提供する。
【0044】
本開示の第4の態様によれば、誘導加熱アセンブリを製造する方法が提供され、方法は、
加熱チャンバを形成するステップと;
加熱チャンバの実質的に周囲に、誘導コイルアセンブリを形成又は配置するステップと;を含み、誘導コイルアセンブリは、(i)電気絶縁層及び導電性トラックを備え、誘導コイルアセンブリは実質的に管状の構造を有し、誘導コイルアセンブリの少なくとも部分が、誘導コイルアセンブリの別の部分と軸方向に重なっている、又は、(ii)導電性トラックを備え、導電性トラックの少なくとも部分が、導電性トラックの別の部分と軸方向に重なっている。
【0045】
これにより、様々な異なる誘導コイルアセンブリを有する誘導加熱アセンブリを製造する単純な方法が提供される。
【0046】
上記のように、誘導コイルアセンブリは、全体として、適切なターン数、例えば4つ以上のターン数を有するスパイラル構造を有し得る。誘導コイルアセンブリは、事前に形成され、次いで、それが加熱チャンバを実質的に取り囲むように配置されてもよい。代替として、誘導コイルアセンブリは、加熱チャンバの周囲にその場で、具体的には、加熱チャンバを画定しコイル形成器として機能する支持体の周囲に巻くことによって、巻かれてもよい。加熱チャンバは、支持体の1つ以上の壁によって画定されてもよく、誘導コイルアセンブリは、適切なターン数で壁の周囲に巻かれてもよい。
【0047】
支持体は、加熱チャンバを画定する壁から外向きに延びる少なくとも1つのフランジを(例えば、支持体の基部又は上部の一部として)備えてもよい。各フランジは、誘導コイルアセンブリの対応する軸方向端部を支持してもよい。各フランジは、その場での巻き付けプロセス中に誘導コイルアセンブリを支持し導くことを手助けし得る。
【0048】
誘導コイルアセンブリの隣接するターンは、例えば接着剤層を使用して、互いに結合又は固定されて、小型の構造が形成され得る。
【0049】
誘導コイルアセンブリは、導電性トラックの端部と電気的に接続された少なくとも1つのコネクタ脚部を備えてもよい。典型的には、2つのコネクタ脚部が形成され、各コネクタ脚部が、導電性トラックの対応する端部に電気的に接続されることになる。各コネクタ脚部は、導電性トラック又は誘導加熱アセンブリから突出して、誘導コイルアセンブリ用のコントローラ及び/又は電源を備え得る、エアロゾル発生装置の別個の部分(例えば、本体アセンブリ)への電気的接続を簡単で信頼性の高い方法で行うことを可能にする。この方法は、各コネクタ脚部をエアロゾル発生装置の本体アセンブリのコネクタに電気的に接続するステップを含み得る。
【0050】
この方法は、誘導コイルアセンブリを実質的に取り囲む電磁シールドを形成又は配置するステップを含み得る。電磁シールドは事前に形成され、次いで、例えば支持体に固定されることによって、誘導コイルアセンブリの周囲に配置され得る。この場合、電磁シールドは、断熱を提供し、生成された電磁場の所望の電磁場分布を加熱チャンバ内で確保することを手助けし得るギャップによって、誘導コイルアセンブリから間隔を空けて配置されてもよい。代替として、電磁シールドは、誘導コイルアセンブリの周囲に形成又は巻かれ得る。
【0051】
本開示の第4の態様による方法によって形成される誘導加熱アセンブリの他の特徴は、第1の態様について上述した通りであり得る。
【図面の簡単な説明】
【0052】
図1】誘導加熱アセンブリの実施形態の概略断面図である。
図2図1の誘導加熱アセンブリの線A-Aに沿った実施形態の概略断面図である。
図3図2の誘導加熱アセンブリの線B-Bに沿った実施形態の概略断面図である。
図4図2の誘導加熱アセンブリの線C-Cに沿った実施形態の概略断面図である。
図5】誘導コイルアセンブリが巻かれる前の誘導コイルアセンブリの第1の実施形態の概略図である。
図6】誘導加熱アセンブリが本体アセンブリに接続される前、且つエアロゾル発生物品が誘導加熱アセンブリ内に収容される前の、エアロゾル発生装置の実施形態の概略断面図である。
図7】誘導加熱アセンブリが本体アセンブリに接続され、エアロゾル物品が誘導加熱アセンブリ内に収容された、図6のエアロゾル発生装置の概略断面図である。
図8】誘導コイルアセンブリが巻かれる前の誘導コイルアセンブリの第2の実施形態の概略図である。
図9図8の誘導コイルアセンブリを備える誘導加熱アセンブリの実施形態の概略断面図である。
図10】誘導コイルアセンブリが巻かれる前の誘導コイルアセンブリの第3の実施形態の概略図である。
図11図10の誘導コイルアセンブリを備える誘導加熱アセンブリの実施形態の概略断面図である。
図12】誘導コイルアセンブリが巻かれる前の誘導コイルアセンブリの第4の実施形態の概略図である。
図13図12の誘導コイルアセンブリを備える誘導加熱アセンブリの実施形態の概略断面図である。
図14】誘導コイルアセンブリが巻かれる前の誘導コイルアセンブリの第5の実施形態の概略図である。
図15図14の誘導コイルアセンブリを備える誘導加熱アセンブリの実施形態の概略断面図である。
図16】誘導コイルアセンブリが巻かれる前の誘導コイルアセンブリの第6の実施形態の概略図である。
図17図16の誘導コイルアセンブリを備える誘導加熱アセンブリの実施形態の概略断面図である。
図18】誘導コイルアセンブリが巻かれる前の誘導コイルアセンブリの第7の実施形態の概略断面図である。
図19】エアロゾル発生装置の電子回路の一部の回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0053】
ここで、本開示の実施形態について、あくまで例として添付の図面を参照しながら説明する。
【0054】
図1図4を参照すると、本開示の一実施形態による誘導加熱アセンブリ1が概略的に示されている。
【0055】
誘導加熱アセンブリ1は、加熱チャンバ6を画定する実質的に円筒状の壁4を有する支持体2を備える。支持体2は基部8を含み、基部8は加熱チャンバ6の底部を画定し、半径方向外向きに延びるフランジ8aを含む。空気入口10が、加熱チャンバ6の底部において基部8内に形成されている。
【0056】
支持体2はまた上部12を含み、上部12は加熱チャンバ6の開口部を画定し、半径方向外向きに延びるフランジ12aを含む。
【0057】
支持体2は、例えばポリエーテルエーテルケトン(PEEK)などのプラスチック材料から一体形成されている。
【0058】
誘導加熱アセンブリ1は、誘導コイルアセンブリ14を備える。誘導コイルアセンブリ14は、以下でより詳細に説明されるスパイラル構造を有し、一般に、実質的に円形の断面を有する開口管の形態をとる。誘導コイルアセンブリ14は、支持体2に取り付けられ、加熱チャンバ6を取り囲んでいる。より具体的には、誘導コイルアセンブリ14は、加熱チャンバ6を画定する実質的に円筒状の壁4の半径方向外側において、基部のフランジ8aと支持体の上部のフランジ12aとの間で軸方向に配置されている。誘導コイルアセンブリ14の軸方向端部14a、14bは、図示するように、基部及び上部の対向して面する環状フランジ表面8b、12bによって支持されている。
【0059】
実質的に円筒状の電磁シールド16が、誘導コイルアセンブリ14を実質的に取り囲んでいる。基部8は、電磁シールド16の軸方向端部16aを支持する環状フランジ表面8cを含む。誘導コイルアセンブリ14と電磁シールド16との間に半径方向のギャップ18が維持されて、構成要素間に断熱が提供され、生成された電磁場の所望の電磁場分布が加熱チャンバ6内において確保される。誘導コイルアセンブリ14と電磁シールド16との間のギャップ18は、電磁シールドの上部において電磁シールドの半径方向の内部表面に形成された半径方向内向きに延びる4つの突出部20の形態の円周方向に間隔を空けて配置されたスペーサと、電磁シールドの底部において電磁シールドの半径方向の内部表面に形成された半径方向内向き延びる4つの突出部20とによって維持されている。図1及び図4に示すように、底部突出部20は、フランジ8aの実質的に円筒状の半径方向の外部表面と接触し、上部突出部20は、上部12aの実質的に円筒状の半径方向の外部表面と接触している。代替的実施形態では、スペーサは、例えば、支持体の基部上に形成されてもよい。誘導コイルアセンブリ14は、例えば好適な接着剤によって支持体2に固着又は固定されて、誘導コイルアセンブリを加熱チャンバ6に対して所定位置に維持してもよい。
【0060】
スパイラル構造に巻かれる前の誘導コイルアセンブリ14を概略的に示す図5も参照すると、誘導コイルアセンブリは、電気絶縁層24に結合又は固定された導電性材料のストリップ22を備える。導電性材料は、例えば、銅、ステンレス鋼、又はアルミニウムなどの金属であってもよい。電気絶縁層24は、例えば、ポリアミド層又はポリイミド層であってもよい。ストリップ22は、巻かれていない電気絶縁層24の長さに沿って、すなわち、第1の端部24aから第2の端部24bまで延びている。図5に示す巻かれていない誘導コイルアセンブリ14の長さに沿った方向は、誘導コイルアセンブリがスパイラル構造に巻かれた時の、誘導コイルアセンブリの円周方向に対応することが容易に理解されるであろう。同様に、図5に示す巻かれていない誘導コイルアセンブリ14の幅に沿った方向は、誘導コイルアセンブリがスパイラル構造に巻かれた時の、誘導コイルアセンブリの軸方向に対応する。
【0061】
一実施形態では、誘導コイルアセンブリ14は、好適な接着剤でポリイミド(カプトン(登録商標))テープに結合又は固定された、厚さが約0.2mm、幅が約6.5mmの銅ストリップから形成されている。
【0062】
図1及び図2は、誘導コイルアセンブリ14がスパイラル構造に巻かれた後の誘導コイルアセンブリ14を概略的に示す。導電性材料のストリップ22及びそれが結合又は固定されている導電性層24は、誘導コイルアセンブリの中心軸からの距離が連続的に増加するように加熱チャンバ6の周囲に巻かれている。誘導コイルアセンブリ14の各ターンは先行するターンと完全に重なってスパイラル構造を形成する。誘導コイルアセンブリ14の部分は、誘導コイルアセンブリの別の部分と軸方向に重なっている。
【0063】
誘導コイルアセンブリ14は、支持体2の実質的に円筒状の壁4の周囲にその場で巻かれてもよく、ストリップ22及び電気絶縁層24は、巻き付けプロセス中に、向かい合う環状フランジ表面8b、12bによって導かれる。本実施形態では、支持体2はコイル巻型として機能する。代替として、支持体が好適に変更される場合、誘導コイルアセンブリは事前に形成され、次いで加熱チャンバ6の周囲に配置されてもよい。
【0064】
巻かれた誘導コイルアセンブリ14では、導電性材料のストリップ22の軸方向位置は、誘導コイルアセンブリ14の円周方向に沿って変化していない。ストリップ22は、誘導コイルアセンブリの中心軸からの距離が連続的に増加するように加熱チャンバ6の周囲に巻かれ、各ターンは先行するターンと完全に重なりスパイラル構造を形成している。導電性材料のストリップ22は、誘導コイルを画定している。ストリップ22は、電気絶縁層24に片側だけで結合又は固定されているが、誘導コイルアセンブリ14のスパイラル構造は全体として、ストリップ22の隣接するターンが、介在する電気絶縁層24によって互いに絶縁されていることを意味することが特に図2から分かる。
【0065】
第1のコネクタ脚部26はストリップ22の第1の端部22aから突出し、第2のコネクタ脚部28はストリップの第2の端部22bから突出している。第1及び第2のコネクタ脚部26、28は、示されるように、誘導コイルアセンブリ14を軸方向に超えて突出している。第1のコネクタ脚部26は、巻かれたストリップ22の半径方向に最も内側の部分に位置し、第2のコネクタ脚部28は、巻かれたストリップの半径方向に最も外側の部分に位置している。図2を参照すると、巻き付けプロセス中に、巻かれていない誘導コイルアセンブリ14は、ストリップ22の第1の端部22aが、実質的に円筒状の壁4に隣接し、電気絶縁層24によって壁4から間隔を空けるように配置されてもよく、次いで、ストリップ及び電気絶縁層は、実質的に円筒状の壁4の周囲に反時計回りの方向に一緒に巻かれる。
【0066】
第1及び第2のコネクタ脚部26、28は、支持体2の基部8内に形成されたスロット30を貫通している。
【0067】
誘導コイルアセンブリ14は、4.5ターンを有する。すなわち、誘導コイルアセンブリ14は、加熱チャンバ6の周囲に4.5回転延びている。半ターンとは、第1及び第2のコネクタ脚部26、28が、便宜上、互いに直径方向に対向して配置されることを意味する。スロット30もまた、互いに直径方向に対向して基部8に形成されている。
【0068】
図6及び図7を参照すると、本開示の一実施形態によるエアロゾル発生装置100が概略的に示されている。図1から図5を参照して上述した誘導加熱アセンブリ1は、エアロゾル発生装置100の部分を形成する。エアロゾル発生装置100は、コントローラ(例えば、デジタルコントローラ)104と再充電可能電池などの電源106とを有する本体アセンブリ102を更に備える。
【0069】
本体アセンブリ102は、第1のコネクタ108及び第2のコネクタ110を含む。第1のコネクタ108及び第2のコネクタ110は、誘導コイルアセンブリ14の第1及び第2のコネクタ脚部26、28と係合して、本体アセンブリ102と誘導加熱アセンブリ1との間に電気的接続を提供するように適合されている。誘導加熱アセンブリ1は、本体アセンブリ102に着脱可能に接続されるように設計されていてもよく(例えば、交換用誘導加熱アセンブリを取り付けることを可能にするために)、この場合、第1及び第2のコネクタ108、110と第1及び第2のコネクタ脚部26、28との間の係合は着脱可能な係合であってもよい。第1及び第2のコネクタ脚部26、28には、第1のタイプのコネクタ端部が設けられてもよく、第1及び第2のコネクタ108、110には、第1のタイプのコネクタ端部と係合可能な第2のタイプのコネクタ端部が設けられてもよい。図7は、誘導加熱アセンブリ1が、第1のコネクタ脚部26が第1のコネクタ108に係合し、第2のコネクタ脚部28が第2のコネクタ110に係合して、本体アセンブリ102に接続され得る方法を概略的に示す。したがって、誘導コイルアセンブリ14(及び特に、誘導コイルを画定する導電性材料のストリップ22)と、本体アセンブリ102のコントローラ104及び電源106との間に電気的接続が設けられる。したがって、誘導コイルアセンブリ14は、コントローラ104によって制御されて、サセプタ内に渦電流及び/又は磁気ヒステリシス損失が誘起されることにより、エアロゾル発生物品内の1つ以上のサセプタを加熱するための電磁場が生成されてもよい。
【0070】
エアロゾル発生物品200の1つのタイプの例を図6及び図7に概略的に示す。図7では、エアロゾル発生物品200は誘導加熱アセンブリ1の加熱チャンバ6内に収容され、そこで加熱され得る。エアロゾル発生物品200は、エアロゾル形成材料204の本体を備える。エアロゾル形成材料204は、1つ以上のサセプタ(図示せず)を備え、加熱すると揮発性化合物を放出する。揮発性化合物は、ニコチン又はタバコ香味料などの香味化合物を含み得る。エアロゾル発生物品200は、実質的に円筒状の形状であり、エアロゾル形成材料204は、例えば、紙などの空気不透過性材料のチューブ206の内側に保持されている。
【0071】
エアロゾル形成物品200の一端にフィルタ208が設けられており、加熱時にこれを通して放出されたエアロゾルをユーザが吸入できる。フィルタ208は、冷却空間210によって、エアロゾル形成材料204の本体から間隔を空けて配置されている。エアロゾル発生物品200の他方の端部に通気性フィルタ又はキャップ212が設けられて、エアロゾル形成材料204が収容される。使用中、エアロゾル発生物品200が加熱チャンバ6内に収容される場合、図7に概略的に示すように、フィルタ又はキャップ212は支持体2の基部8に隣接して配置される。空気入口10を通して空気が引き込まれ、フィルタ又はキャップ212を通ってエアロゾル発生物品200の中に入ってもよい。
【0072】
加熱チャンバ6の深さDは、エアロゾル発生物品200が加熱チャンバ6内に収容された時にエアロゾル形成材料204の本体と重なる、誘導加熱アセンブリ1の軸方向での寸法として定義されてもよい。導電性材料の巻かれていないストリップ22の幅は、巻かれている誘導コイルの軸方向高さを画定し、エアロゾル形成材料204の効果的な加熱をもたらすために、実質的に深さDの半分以上であってもよい。図1図7に概略的に示す誘導コイルアセンブリ14では、導電性材料のストリップ22の軸方向高さは、誘導コイルアセンブリ14の円周方向に沿って同じ状態が維持されている。これは、図5に最も明確に示され、巻かれていないストリップ22の幅Wは、巻かれていない電気絶縁層24の幅よりも僅かに小さいことが示され、電気絶縁層の全長に沿って、すなわち第1の端部24aから第2の端部24bまで、したがって、巻かれている誘導コイルアセンブリ14の円周方向に沿って、実質的に同じ状態が維持されている。
【0073】
図8及び図9では、本開示の第2の実施形態による誘導コイルアセンブリ32が概略的に示されている。誘導コイルアセンブリ32は、図1図7を参照して説明される誘導コイルアセンブリ14と類似しており、同様の部品には同じ参照記号が与えられている。誘導コイルアセンブリ32において、導電性材料のストリップ34の軸方向高さは、電気絶縁層24の高さと実質的に同じであり、それにより、製造が容易な構造が提供される。これは、図8に最も明確に示され、巻かれていないストリップ34の幅は、巻かれていない電気絶縁層24の幅と同じであることが示され、電気絶縁層の全長に沿って、したがって、巻かれている誘導コイルアセンブリ32の円周方向に沿って、実質的に同じ状態が維持されている。
【0074】
図10及び図11では、本開示の第3の実施形態による誘導コイルアセンブリ36が概略的に示されている。誘導コイルアセンブリ36は、図1図9を参照して説明される誘導コイルアセンブリ14、32と類似しており、同様の部品には同じ参照記号が与えられている。上述した誘導コイルアセンブリ14、32では、導電性材料のストリップ22、34の片側だけが電気絶縁層24に結合又は固定されている。ストリップ22、34の反対側は、結合されていない又は固定されていないままであるが、誘導コイルアセンブリ14、32がスパイラル構造に巻かれた場合に、半径方向に隣接するターンの電気絶縁層に隣接して配置される。図10及び図11に示す誘導コイルアセンブリ36では、導電性材料のストリップ22が第1の電気絶縁層24及び第2の電気絶縁層38に結合又は固定され、その結果、ストリップ22はそれらの間に挟まれるか又は埋め込まれる。図10では、ストリップ22及び第1の電気絶縁層24を示すために、第2の電気絶縁層38の一部が除去されている。
【0075】
図12及び図13では、本開示の第4の実施形態による誘導コイルアセンブリ40が概略的に示されている。誘導コイルアセンブリ40は、図1図11を参照して説明される誘導コイルアセンブリ14、32、及び36と類似しており、同様の部品には同じ参照記号が与えられている。巻かれる前の誘導コイルアセンブリ40を示す図12を参照すると、誘導コイルアセンブリ40は、電気絶縁層24に結合又は固定された導電性材料のストリップ42を備える。この実施形態では、ストリップ42の軸方向高さは、上述したストリップ22、34の軸方向高さよりも狭く、誘導コイルアセンブリ40の円周方向に沿って同じ状態が維持されている。図12を参照すると、巻かれていないストリップ42は、巻かれていない電気絶縁層24の一方の角から電気絶縁層を斜めに横切って反対側の角まで延びている。これは、誘導コイルアセンブリ40がスパイラル構造に巻かれた後、導電性材料のストリップ42がヘリカル構造を有する誘導コイルを画定することを意味する。誘導コイルの軸方向位置は、誘導コイルアセンブリ40の中心軸からの距離が連続的に増加するように誘導コイルが加熱チャンバの周囲に巻かれ、且つ各ターンが先行するターンから軸方向にオフセットされるように、巻かれた誘導コイルアセンブリ40の円周方向に沿って変化している。ストリップ42の隣接するターン間の、この軸方向のオフセットが、図13に最も明瞭に示されている。図13からまた、ストリップ42のターンが同一の円筒状平面内に配置されているのではなく、むしろ、誘導コイルアセンブリ40が全体的にスパイラル構造であることに起因して、第1のコネクタ脚部26が、巻かれたストリップ42の半径方向に最も内側の部分に位置し、第2のコネクタ脚部28が、巻かれたストリップの半径方向に最も外側の部分に位置していることに留意されたい。したがって、ストリップ42のターンは実際には円錐台平面内に配置され、ストリップによって画定される誘導コイルは、具体的には円錐形のヘリカル構造を有する。
【0076】
図14及び図15では、本開示の第5の実施形態による誘導コイルアセンブリ44が概略的に示されている。誘導コイルアセンブリ44は、図1図13を参照して説明される誘導コイルアセンブリ14、32、36、及び40と類似しており、同様の部品には同じ参照記号が与えられている。巻かれる前の誘導コイルアセンブリ44を示す図14を参照すると、誘導コイルアセンブリ44は、電気絶縁層24に結合又は固定された導電性材料の複数ストリップ46a、46b、…、46gを備える。図14及び図15では合計7つのストリップが示されているが、任意の好適な数が提供され得ることが理解されるであろう。ストリップ46a、46b、…、46gは、第1及び第2のコネクタ脚部26、28の間の導電性層24に沿って平行に延びている。導電性材料の各ストリップ46は、スパイラル構造を有する誘導コイルを画定している。特に、各ストリップ46a、46b、…、46gの軸方向位置は、誘導コイルアセンブリ44の円周方向に沿って変化することはなく、各ストリップは、誘導コイルアセンブリ44の中心軸からの距離が連続的に増加するように加熱チャンバ6の周囲に巻かれる。各ストリップの各ターン46a、46b、…、46gは先行するターンと完全に重なってスパイラル構造を形成する。
【0077】
ストリップ46a、46b、…、46gは、巻かれていない電気絶縁層24の幅に沿って(すなわち、巻かれた誘導コイルアセンブリ44の軸方向に)不均等に間隔を空けて配置されている。特に、ストリップ46a、46b、…、46gの隣接する各ペアの間の間隔は、巻かれていない電気絶縁層24の幅に沿って徐々に変化している。図15を参照すると、支持体2の上部12の近くに位置するストリップ46a、46bは、支持体の底部8の近くに位置するストリップ46f、46gよりも互いに接近している。これは、ストリップ46a、46b、…、46gによって画定される誘導コイルが、誘導コイルアセンブリ44の上部に集中していることを意味する。代替的実施形態では、誘導コイルを、誘導コイルアセンブリの中間又は基部に集中させることもできる。誘導コイルアセンブリ44の軸方向における誘導コイルの不均等な分布により、加熱チャンバ6内に所望の電磁場分布が提供され得る。代替的実施形態では、ストリップの隣接する各ペアの間の間隔は実質的に同じであってもよく、その結果、誘導コイルアセンブリ44の軸方向に、誘導コイルの実質的に均等な分布が存在する。
【0078】
図16及び図17では、本開示の第6の実施形態による誘導コイルアセンブリ48が概略的に示されている。誘導コイルアセンブリ48は、図1図15を参照して説明される誘導コイルアセンブリ14、32、36、40、及び44と類似しており、同様の部品には同じ参照記号が与えられている。巻かれる前の誘導コイルアセンブリ48を示す図16を参照すると、誘導コイルアセンブリ48は、電気絶縁層24に結合又は固定された導電性材料のストリップ50を備える。この実施形態では、ストリップ50は、巻かれた誘導コイルアセンブリ48の円周方向に沿って変化又は変動する軸方向高さを有する。図16を参照すると、巻かれていないストリップ50は、略三角形の形状を有する。これは、誘導コイルアセンブリ48がスパイラル構造に巻かれた後、導電性材料のストリップ50が誘導コイルを画定し、その軸方向高さが誘導コイルアセンブリの円周方向に沿って変化することを意味する。そのような誘導コイルは、加熱チャンバ6内に所望の電磁場分布を提供し得る。ストリップ50は、誘導コイルアセンブリ48の中心軸からの距離が連続的に増加するように加熱チャンバ6の周囲に巻かれ、各ターンは先行するターンと重なりスパイラル構造を形成している。
【0079】
図18では、本開示の第7の実施形態による誘導コイルアセンブリ52が概略的に示されている。誘導コイルアセンブリ52は、図5を参照して説明される誘導コイルアセンブリ14と類似しており、同様の部品には同じ参照記号が与えられている。巻かれる前の誘導コイルアセンブリ52を示す図18を参照すると、第3のコネクタ脚部54が、導電性材料のストリップ22の中央部分22cから突出している。したがって、第3のコネクタ脚部54は、ストリップ22の長さに沿って、第1のコネクタ脚部26と第2のコネクタ脚部28との間に配置される。上述した他の誘導コイルアセンブリのいずれも、同様の形態で第3のコネクタ脚部を含み得ることが容易に理解されるであろう。
【0080】
図19は、エアロゾル発生装置の電子回路の一部の回路図である。電子回路は、図18に示す誘導コイルアセンブリ52に電気的に接続されている。第1及び第2のコネクタ脚部26、28は、電子回路のパワー半導体スイッチT1、T2に電気的に接続されている。パワー半導体スイッチT1、T2は、第1及び第2のコネクタ脚部26、28のそれぞれを交互にグランドに接続するように高周波でオン及びオフするように制御されてもよく、その結果、電流が誘導コイルアセンブリ52を通って、特に導電性材料のストリップ22を通って、両方向に往復して流れ、導電性材料は誘導コイルを画定し、図19の回路図においてインダクタL1によって表される。したがって、パワー半導体スイッチT1、T2をオン及びオフにすることにより、サセプタ内に渦電流及び/又は磁気ヒステリシス損失を誘起させることにより、エアロゾル発生物品内の1つ以上のサセプタを加熱するための交流電磁場が生成されることになる。パワー半導体スイッチT1、T2は、例えば、MOSFETであり得る。コンデンサC1は、インダクタL1に対して並列に、第1及び第2のコネクタ脚部26、28に電気的に接続されている。インダクタL1とコンデンサC1とが一緒に並列LC回路を定義する。誘導コイルアセンブリ52の第3のコネクタ脚部54は、いわゆる「中央タップ」として機能し、チョークコイルL2によって表されるローパスフィルタによって電源に電気的に接続されている。チョークコイルL2は、インダクタL1における電流を許容可能なレベルに制限することができ、その周波数特性を最適化することを手助けすることができる。
【0081】
これまでの段落では、例示的な実施形態について説明してきたが、添付の特許請求の範囲から逸脱することなく、これらの実施形態に対して様々な修正を加えることができることを理解されたい。したがって、特許請求の広さ及び範囲は、上述した例示的な実施形態に限定されるべきではない。
【0082】
文脈上、明らかに別段の要請のない限り、本明細書及び特許請求の範囲全体を通じて、「含む、備える(comprise)」、「含んでいる、備えている(comprising)」などの語は、排他的意味又は網羅的意味とは反対に、包括的に、すなわち「含むが、限定されない」という意味で解釈されたい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
【国際調査報告】