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特表2022-510157注射器用安全キャップおよびこれを含む安全注射器
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-26
(54)【発明の名称】注射器用安全キャップおよびこれを含む安全注射器
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/32 20060101AFI20220119BHJP
【FI】
A61M5/32 500
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021529439
(86)(22)【出願日】2018-11-27
(85)【翻訳文提出日】2021-05-25
(86)【国際出願番号】 KR2018014741
(87)【国際公開番号】W WO2020111295
(87)【国際公開日】2020-06-04
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508131716
【氏名又は名称】デウン ファーマシューティカル カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】DAEWOONG PHARMACEUTICAL CO., LTD
【住所又は居所原語表記】35-14,Jeyakgongdan 4-gil,Hyangnam-eup,Hwaseong-si,Gyeonggi-do Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100189555
【弁理士】
【氏名又は名称】徳山 英浩
(72)【発明者】
【氏名】イム,ドクス
(72)【発明者】
【氏名】キム,ジュンシク
(72)【発明者】
【氏名】オ,ジヨン
(72)【発明者】
【氏名】キム,インホ
【テーマコード(参考)】
4C066
【Fターム(参考)】
4C066BB01
4C066CC01
4C066DD08
4C066EE14
4C066FF05
4C066NN01
(57)【要約】
本発明は注射器用安全キャップおよびこれを含む安全注射器に関し、本発明の一側面によると、注射器のシリンダーに装着されるための装着部を有するベース部、ベース部に回転可能に連結されたリンク部、リンク部がベース部に対して回転するように回転力を提供する第1弾性部、リンク部に回転可能に連結され、ベース部に分離可能に固定され、ベース部から分離されて回転する時に前記注射器の注射針を囲む安全カバー部および安全カバー部がリンク部に対して回転するように回転力を提供する第2弾性部を含む注射器用安全キャップが提供される。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
注射器のシリンダーに装着されるための装着部を有するベース部;
ベース部に回転可能に連結されたリンク部;
リンク部がベース部に対して回転するように回転力を提供する第1弾性部;
リンク部に回転可能に連結され、ベース部に分離可能に固定され、ベース部から分離されて回転する時に前記注射器の注射針を囲む安全カバー部;および
安全カバー部がリンク部に対して回転するように回転力を提供する第2弾性部を含む、注射器用安全キャップ。
【請求項2】
ベース部に対するリンク部の回転中心を提供する第1軸部およびリンク部に対する安全カバー部の回転中心を提供する第2軸部の間に注射器の注射針が位置する、請求項1に記載の注射器用安全キャップ。
【請求項3】
第2軸部は、安全カバー部が注射針を囲む過程で、注射器の針に近づくように移動される、請求項2に記載の注射器用安全キャップ。
【請求項4】
ベース部に対するリンク部の回転中心を提供する第1軸部およびリンク部に対する安全カバー部の回転中心を提供する第2軸部は平行するように配列された、請求項1に記載の注射器用安全キャップ。
【請求項5】
安全カバー部が注射針を囲む過程で、ベース部に対するリンク部の回転方向およびリンク部に対する安全カバー部の回転方向が同一に設けられた、請求項1に記載の注射器用安全キャップ。
【請求項6】
安全カバー部が注射針を囲む過程で、ベース部に対するリンク部の回転角度はリンク部に対する安全カバー部の回転角度より小さく設けられた、請求項1に記載の注射器用安全キャップ。
【請求項7】
リンク部は、ベース部に安全カバー部が固定された状態で、注射器のシリンダーを囲むように配置され、安全カバー部が注射針を囲む過程で、注射器のシリンダーから離脱する、請求項1に記載の注射器用安全キャップ。
【請求項8】
第1弾性部および第2弾性部はそれぞれスプリングを含む、請求項1に記載の注射器用安全キャップ。
【請求項9】
第1弾性部はリンク部およびベース部を連結し、少なくとも一部の領域が折り曲げられた一つ以上のブリッジを含み、
第2弾性部はスプリングを含む、請求項1に記載の注射器用安全キャップ。
【請求項10】
ブリッジは互いに反対方向に折り曲げられた第1ブリッジおよび第2ブリッジを含む、請求項9に記載の注射器用安全キャップ。
【請求項11】
第1ブリッジおよび第2ブリッジは折り曲げられた角度が互いに異なる、請求項9に記載の注射器用安全キャップ。
【請求項12】
ベース部は、注射器のシリンダーの外周面を円周方向に囲みながら結合される装着部を提供する結合リング;
前記結合リングに連結されて前記注射器のシリンダーの長さ方向に沿って延長形成され、第1軸部を形成する第1回転軸または第1結合孔のうちいずれか一つが形成された第1延長バー;および
前記結合リングに設けられ、安全カバー部と分離可能に結合されるように設けられた固定突起を含む、請求項2に記載の注射器用安全キャップ。
【請求項13】
固定突起は前記注射器のシリンダーの半径方向に突出形成されて第1直径を有する柱および前記柱の上端部に形成されて前記第1直径より大きい第2直径を有するストッパーを含む、請求項12に記載の注射器用安全キャップ。
【請求項14】
リンク部は、安全カバー部がベース部に固定された状態で、前記注射器のシリンダーの外周面を囲むように形成され、第2軸部を形成する第2回転軸または第2結合具のうち一つを有するリンク胴体および前記リンク胴体に連結され、前記第1軸部を形成する第1回転軸または第1結合孔のうち残りの一つが形成された第2延長バーを含む、請求項13に記載の注射器用安全キャップ。
【請求項15】
前記安全カバー部は内側に注射器の注射針が収容され、第2軸部を形成する第2回転軸または第2結合孔のうち残りの一つが備えられたカバー胴体を含み、
カバー胴体は前記カバー胴体の長さ方向に沿って延びるように貫通形成されて前記固定突起と結合される結合スリットを有する、請求項14に記載の注射器用安全キャップ。
【請求項16】
結合スリットはストッパーが挿入されるように前記第2直径より大きい第3直径を有する第1挿入溝、および結合スリットの中央部に前記第1挿入溝に前記ストッパーが挿入された状態で、前記安全カバー部が前記シリンダーに沿って移動することになると、前記柱が挿入固定されるように第1直径よりは大きく、前記第2直径よりは小さい第4直径を有する第2挿入溝を含む、請求項15に記載の注射器用安全キャップ。
【請求項17】
安全カバー部は回転が完了して注射針を囲む時、注射針の一部の領域が挿入される結合具を有する、請求項1に記載の注射器用安全キャップ。
【請求項18】
前記第1軸部および前記第2軸部はそれぞれ回転中心軸が前記シリンダーの中心軸方向にそれぞれ垂直となるように設けられた、請求項3に記載の注射器用安全キャップ。
【請求項19】
内部に薬液が収容されるためのシリンダー;
前記シリンダーの一端部に備えられる注射針;および
前記シリンダーに結合され、選択的に前記注射針を覆うように設けられた請求項1~請求項18のいずれか一項に記載された注射器用安全キャップを含む、安全注射器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は注射器用安全キャップおよびこれを含む安全注射器に関し、特に注射針を安全に保護して針刺し事故を防止できる、注射器用安全キャップおよびこれを含む安全注射器に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に注射器は、内部に注射液が貯蔵され得るように空間部が形成されている円筒状のシリンダーと、シリンダーの内部で注射液を吸入したり排出するために移動するピストンと、シリンダーの前方に結合される針ホルダーおよび針ホルダーに結合されている針を含んでいる。
【0003】
一方、注射器針の安全性の確保は非常に重要であるが、偶然な場合に致命的でもある針刺しを減少させ、薬物乱用者による注射器の再使用を防止することによって薬物乱用の蓋然性と伝染性疾病の拡散を抑制できるようにするために、再使用防止のための使い捨て注射器および輸液セットの必要性が台頭している。
【0004】
これは、患者を専門的に助ける医師および看護師などの医療機関の従事者が、偶然な針刺しによって2次感染して患者にならざるを得ない致命的な危険性を回避できるようにするためにも必要である。
【0005】
これに伴い、医療関係者の病院感染などを防止できる安全注射器が使われている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、注射針を安全に保護して針刺し事故を防止でき、操作が便利な注射器用安全キャップおよびこれを含む安全注射器を提供することを解決しようとする課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記の課題を解決するために、本発明の一側面によると、注射器のシリンダーに装着されるための装着部を有するベース部、ベース部に回転可能に連結されたリンク部、リンク部がベース部に対して回転するように回転力を提供する第1弾性部、リンク部に回転可能に連結され、ベース部に分離可能に固定され、ベース部から分離されて回転する時に前記注射器の注射針を囲む安全カバー部および安全カバー部がリンク部に対して回転するように回転力を提供する第2弾性部を含む注射器用安全キャップが提供される。
【0008】
また、本発明のさらに他の側面によると、内部に薬液が収容されるためのシリンダー、前記シリンダーの一端部に備えられる注射針および前記シリンダーに結合され、選択的に前記注射針を覆うように設けられた前記注射器用安全キャップを含む安全注射器が提供される。
【発明の効果】
【0009】
以上で詳察したように、本発明の少なくとも一実施例と関連した注射器用安全キャップおよびこれを含む安全注射器は次のような効果を有する。
【0010】
ベース部の固定突起と安全カバー部との間の結合を解除させる簡単な動作だけで、安全カバー部およびリンク部が第1弾性部および第2弾性部によって提供される弾性力によって自動で回転され得、安全カバー部は注射針を囲んで保護することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施例に係る注射器用安全キャップを含む安全注射器を示した斜視図である。
図2】本発明の一実施例に係る注射器用安全キャップを示した斜視図である。
図3】本発明の一実施例に係る注射器用安全キャップを示した分解斜視図である。
図4】本発明の一実施例に係る注射器用安全キャップの作動例を示した例示図である。
図5】本発明の一実施例に係る注射器用安全キャップの作動例を示した例示図である。
図6】本発明の一実施例に係る注射器用安全キャップの作動例を示した例示図である。
図7】本発明の一実施例に係る注射器用安全キャップの側面図である。
図8】安全カバー部の結合具のさらに他の実施例を説明するための主要部斜視図である。
図9】本発明の一実施例に係る注射器用安全キャップの一作動状態を説明するための側面図である。
図10】本発明のさらに他の実施例に係る注射器用安全キャップを示す主要部斜視図である。
図11図10に図示された注射器用安全キャップの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施例に係る注射器用安全キャップおよびこれを含む安全注射器を、添付された図面を参照して詳細に説明する。
【0013】
以下、添付した図面を参照して本発明を説明することにする。しかし、本発明は多様な異なる形態で具現され得、したがってここで説明する実施例に限定されるものではない。そして、図面で本発明を明確に説明するために説明に関わらない部分は省略し、明細書全体を通じて類似する部分に対しては類似する図面符号を付した。
【0014】
明細書全体において、ある部分が他の部分と「連結(接続、接触、結合)」されているとする時、これは「直接的に連結」されている場合だけでなく、その中間に他の構成部材を挟んで「間接的に連結」されている場合も含む。
【0015】
図1は本発明の一実施例に係る注射器用安全キャップを含む安全注射器を示した斜視図であり、図2は本発明の一実施例に係る注射器用安全キャップを示した斜視図であり、図3は本発明の一実施例に係る注射器用安全キャップを示した分解斜視図である。
【0016】
また、図7は本発明の一実施例に係る注射器用安全キャップの側面図であり、図8は安全カバー部の結合具のさらに他の実施例を説明するための主要部斜視図であり、図9は本発明の一実施例に係る注射器用安全キャップの一作動状態を説明するための側面図である。
【0017】
図1図3に図示されたように、安全注射器(または「注射器」とも略称する)はシリンダー200、注射針300および注射器用安全キャップ400を含むことができる。
【0018】
シリンダー200は安全注射器の本体を形成することができ、内部には薬液が収容されたり、互いに異なる製剤または薬剤がそれぞれ収容され得る。2つ以上の製剤または薬剤が収容される場合、シリンダー200の内部には少なくとも2つ以上のゴム材質のストッパーが配列され得、ストッパーによって隔離されたシリンダー内のそれぞれの収容空間に互いに異なる製剤または薬剤がそれぞれ収容され得る。
【0019】
注射針300はシリンダー200の一端部に備えられ得る。この時、シリンダー200の一端部には針ホルダー301がさらに備えられ得、注射針300は針ホルダー301に結合され得る。すなわち、注射針300は針ホルダー301に固定され、針ホルダー301がシリンダー200に装着され得る。
【0020】
また、シリンダーの他端部にはプランジャーロッド(plunger rod)が結合され得る。使用者はプランジャーロッドを注射針300側に加圧することによって、シリンダー内の収容空間の薬液を注射針300を通じて外部に排出させることができる。
【0021】
また、注射器用安全キャップ400はシリンダー200に結合され得る。例えば、注射器用安全キャップ400は注射針300に隣接したシリンダーの一端部に結合され得る。注射器用安全キャップ400は注射針300を選択的に覆うことができ、これを通じて、注射針300による針刺し事故を防止することができる。例えば、前記注射器用安全キャップ400はシリンダー200に嵌合されてもよく、シリンダー200に熱接合されてもよい。
【0022】
また、本発明の一実施例(第1実施例)と関連した注射器用安全キャップ400は、ベース部410、リンク部430、第1弾性部440、安全カバー部450および第2弾性部460を含むことができる。
【0023】
具体的には、注射器用安全キャップ400は注射器のシリンダー200に装着されるための装着部を有するベース部410、ベース部410に回転可能に連結されたリンク部430およびリンク部430がベース部410に対して回転するように回転力を提供する第1弾性部440を含む。
【0024】
また、注射器用安全キャップ400はリンク部430に回転可能に連結され、ベース部410に分離可能に固定され、ベース部410から分離されて回転する時に前記注射器の注射針300を囲む安全カバー部450および安全カバー部450がリンク部430に対して回転するように回転力を提供する第2弾性部460を含む。
【0025】
まず、ベース部410は内部に薬液が収容されるシリンダー200の一端部に結合され得る。
【0026】
また、リンク部430はベース部410に軸結合(または連結)され得る。本文書で、「軸結合(または連結)」とは、所定の回転軸を中心に回転可能に結合(連結)された構成を意味する。例えば、注射器用安全キャップはベース部410に対するリンク部430の回転中心を提供する第1軸部を有することができる。また、第1軸部は前述した第1弾性部430を含むことができる。
【0027】
この時、第1軸部は第1回転軸434および第1回転軸434が回転可能に装着される第1結合孔417を含むことができる。具体的には、リンク部430は第1軸部を形成する第1回転軸434および第1結合孔417のうちいずれか一つを具備し、ベース部410は第1軸部を形成する第1回転軸434および第1結合孔417のうち残りの一つを具備することができる。例えば、図3を参照すると、リンク部430は第1回転軸434を具備することができ、ベース部410は第1結合孔417を具備することができるが、これに制限されず、その反対の場合も可能であることは言うまでもない。
【0028】
また、安全カバー部450はリンク部430に軸結合(または連結)され得る。注射器用安全キャップはリンク部430に対する安全カバー部450の回転中心を提供する第2軸部を有することができる。また、第2軸部は前述した第2弾性部460を含むことができる。
【0029】
この時、第2軸部は第2回転軸452および第2回転軸452が回転可能に装着される第2結合孔433を含むことができる。具体的には、リンク部430は第2軸部を形成する第2回転軸452および第2結合孔433のうちいずれか一つを具備し、安全カバー部450は第2軸部を形成する第2回転軸452および第2結合孔433のうち残りの一つを具備することができる。例えば、図3を参照すると、安全カバー部450は第2回転軸452を具備することができ、リンク部430は第2結合孔433を具備することができるが、これに制限されず、その反対の場合も可能であることは言うまでもない。
【0030】
また、ベース部410に対するリンク部430の回転中心を提供する第1軸部およびリンク部330に対する安全カバー部の回転中心を提供する第2軸部の間に注射器の注射針300が位置することができる。すなわち、第1軸部と第2軸部の間に注射針300が位置することができる。
【0031】
例えば、リンク部430の一端部に第1軸部が位置し、他端部に第2軸部が位置することができる。また、リンク部430は、ベース部410に安全カバー部450が固定された状態で、注射器のシリンダー200を一部の領域を囲むように配置され得る。また、ベース部410から安全カバー部450が分離されて安全カバー部450が注射針300を囲む過程で、注射器のシリンダー200から離脱され得る。
【0032】
一方、第2軸部は、安全カバー部450が注射針を囲む過程で、注射器の注射針200に近づくように移動され得る。これとは異なり、第1軸部は、安全カバー部450が注射針を囲む過程で、位置変化がないように設けられ得る。
【0033】
また、ベース部410に対するリンク部430の回転中心を提供する第1軸部およびリンク部430に対する安全カバー部450の回転中心を提供する第2軸部は、平行するように配列され得る。一方、前記第1軸部および前記第2軸部は、それぞれ回転中心軸が前記シリンダーの中心軸C方向にそれぞれ垂直となるように設けられ得る。本文書で、符号Cはシリンダーの中心軸を示し、前記シリンダーの中心軸は注射針300と同一軸上に位置することができる。
【0034】
また、安全カバー部450が注射針300を囲む過程で、ベース部410に対するリンク部430の回転方向およびリンク部430に対する安全カバー部450の回転方向が同一に設けられ得る。すなわち、安全カバー部450が注射針300を囲む過程で、第1軸部および第2軸部でなされる回転は同じ方向(例えば、第1回転方向)になされ得る。
【0035】
また、安全カバー部450がベース部410から分離(または結合が解除)されて安全カバー部450が注射針300を囲む過程で、ベース部410に対するリンク部430の回転角度はリンク部430に対する安全カバー部450の回転角度より小さく設けられ得る。すなわち、安全カバー部450はベース部410に対するリンク部430の回転より大きな角度で回転され得る。
【0036】
また、第1軸部に介在される第1弾性部440および第2軸部に介在される第2弾性部460は、それぞれスプリング(例えば、ねじりスプリング)を含むことができる。
【0037】
前述した通り、図3を参照すると、リンク部430は一端部が第1回転軸434を通じてベース部410に回転可能に結合され得、第1回転軸434を中心に第1回転方向(R1、図5参照)に回転時にシリンダー200の一端部の外側に移動され得る。
【0038】
第1弾性部440は第1回転軸434に装着され得、リンク部430が第1回転方向(R1、図5参照)に回転するように弾性力を提供することができる。
【0039】
また、安全カバー部450は一端部が第2回転軸452によってリンク部430に回転可能なように結合され得、第2回転軸452を中心に第1回転方向(R1、図5参照)に回転して注射針300を覆うことができる。すなわち、第1回転方向R1は、ベース部410に対する安全カバー部450の結合が解除されて、リンク部430および安全カバー部450が広げられる方向であり得る。
【0040】
また、第2弾性部460は第2回転軸452に装着され得、安全カバー部450が第1回転方向(R1、図5参照)に回転するように弾性力を提供することができる。
【0041】
したがって、安全カバー部450がベース部410に結合された状態で、外部から力を加えて安全カバー部450とベース部410の間の結合を解除させると、安全カバー部450は第2弾性部460で発生する弾性力によって第1回転方向(R1、図5参照)に回転することになり、同時にリンク部430は第1弾性部440で発生する弾性力によって第1回転方向(R1、図5参照)に回転することになる。
【0042】
すなわち、使用者が安全カバー部450とベース部410の間の結合を解除させる一つの動作だけで、安全カバー部450が注射針300を覆うように動作させることができ、これを通じて、安全カバー部450が注射針300を保護して針刺し事故が防止され得る。
【0043】
図3を参照すると、ベース部410は結合リング411、第1延長バー412および固定突起413を有することができる。前記ベース部410は、例えば、樹脂材質で形成され得る。
【0044】
ベース部410は、注射器のシリンダーの外周面を円周方向に囲みながら結合される装着部を提供する結合リング411、前記結合リング411に連結されて前記注射器のシリンダー200の長さ方向(または中心軸方向)に沿って延長形成され、第1軸部を形成する第1回転軸または第1結合孔のうちいずれか一つが形成された第1延長バー412および前記結合リング411に設けられ、安全カバー部450と分離可能に結合されるように設けられた固定突起413を含むことができる。
【0045】
具体的には、結合リング411はシリンダー200の一端部の外周面を円周方向に囲みながら結合され得る。
【0046】
また、第1延長バー412は結合リング411に連結されてシリンダー200の一端部方向に延びるように形成され得る。また、第1延長バー412はあらかじめ設定された間隔で離隔して位置する一対で備えられ得る。また、第1延長バー412には互いに対称となるように一対の第1結合孔417が形成され得る。
【0047】
一方、固定突起413は柱414およびストッパー415を有することができる。
【0048】
柱414は結合リング411に注射器のシリンダー200の半径方向に突出形成され得る。柱414は第1直径D1を有することができる。
【0049】
ストッパー415は柱414の上端部に形成され得、第2直径D2を有することができる。第2直径D2は第1直径D1より大きくてもよい。
【0050】
また、リンク部430はリンク胴体431および第2延長バー432を有することができる。前記リンク部430は、例えば、樹脂材質で形成され得る。
【0051】
また、リンク部430は、安全カバー部450がベース部410に固定された状態で、前記注射器のシリンダー200の外周面を囲むように形成され、第2軸部を形成する第2回転軸452または第2結合孔433のうち一つを有するリンク胴体431および前記リンク胴体431に連結され、前記第1軸部を形成する第1回転軸434または第1結合孔417のうち残りの一つが形成された第2延長バーを含むことができる。
【0052】
図3には、リンク胴体431には第2結合孔433および第1回転軸434がそれぞれ備えられた実施例が図示されている。
【0053】
図2および図3を参照すると、リンク胴体431はシリンダー200の一端部に形成される段差部201の外周面を囲むように形成され得る。
【0054】
また、リンク胴体431の両端部は互いに離隔して形成され得、シリンダー200の外側に延びるように形成され得る。図3を参照すると、リンク胴体431の両端部には一対の第2結合孔433が形成され得る。
【0055】
第2延長バー432はリンク胴体431に連結され得、シリンダー200の長さ方向に垂直な方向に延長され得る。
【0056】
第2延長バー432はあらかじめ設定された間隔で一対が離隔して形成され得、図3を参照すると、第2延長バー432の一端部には第1回転軸434が形成され得る。
【0057】
また、第2延長バー432の間にはベース部410の第1延長バー412が挿入され得、第1回転軸434は第1結合孔417に結合され得る。その結果、リンク部430は第1回転軸434を中心に回転することができる。
【0058】
第1回転軸434はシリンダー200の長さ方向(または中心軸方向)に垂直に形成され得る。
【0059】
第1弾性部440は第1軸434に結合され得る。例えば、第1弾性部440はコイルスプリングまたはねじりスプリングであり得、リンク部430が第1回転軸434を中心に第1回転方向(R1、図5参照)に回転するように弾性力を提供することができる。
【0060】
この時、リンク部430が第1回転軸434を中心に第1回転方向(R1、図5参照)に回転することになると、リンク胴体431はベース部410の一端部の外側に移動される。また、リンク部430が第1回転軸434を中心に第1回転方向(R1、図5参照)の反対方向である第2回転方向に回転することになると、リンク胴体431はシリンダー200の一端部に形成される段差部201に位置し得、段差部201はリンク胴体431の内側に位置し得る。第2回転方向は、安全カバー部450がベース部410に固定され得るように、リンク部430および安全カバー部450が折り曲げられる方向であり得る。
【0061】
一方、安全カバー部450は内側に注射器の注射針300が収容され、第2軸部を形成する第2回転軸452または第2結合孔433のうち残りの一つ(図3実施例では、第2回転軸)が備えられたカバー胴体451を含むことができる。また、安全カバー部450のカバー胴体451は前記カバー胴体451の長さ方向に沿って延びるように貫通形成されて前記固定突起413と結合される結合スリット454を有することができる。前記安全カバー部450は、例えば、樹脂材質で形成され得る。
【0062】
前記カバー胴体451は内側に注射針300が収容されるように凹むように形成され得、カバー胴体451の一端部には第2回転軸452が備えられ得る。第2回転軸452は一対が互いに対称となるように備えられ得る。また、カバー胴体451はその長さ方向に沿って傾斜せずに平たい形状を有することができる。
【0063】
図3に図示された実施例を参照すると、第2回転軸452はリンク部430の第2結合孔433に結合され得る。第2回転軸452はシリンダー200の長さ方向(または中心軸方向)に垂直に形成され得る。
【0064】
結合スリット454はカバー胴体451の中央に貫通形成され得、カバー胴体451の長さ方向に沿って延びるように形成され得る。
【0065】
安全カバー部450が第1回転方向の反対方向である第2回転方向に回転が完了して、カバー胴体451が結合リング411に密着することになると、結合スリット454には固定突起413が挿入されて結合され得る。
【0066】
結合スリット454の少なくとも一部の領域の幅Wは固定突起413の柱414の第1直径D1より小さく形成され得る。好ましくは、結合スリット454の少なくとも一部の領域の幅Wは第1直径D1より一回り小さくなるように形成され得る。
【0067】
また、結合スリット454は第1挿入溝455および第2挿入溝456を有することができる。
【0068】
第1挿入溝455は結合スリット454の一端部に形成され得る。第1挿入溝455はストッパー415が挿入されるように、ベース部410のストッパー415の第2直径D2より大きい第3直径D3を有するように形成され得る。したがって、ストッパー415は第1挿入溝455に挿入され得る。
【0069】
そして、第2挿入溝456は結合スリット454の中央部に形成され得る。第2挿入溝456は柱414の第1直径D1よりは大きく、ストッパー415の第2直径D2よりは小さい第4直径D4を有するように形成され得る。
【0070】
これに伴い、固定突起413のストッパー415が第1挿入溝455に挿入された状態で、安全カバー部450がシリンダー200に沿って移動(例えば、他端部方向に移動)することになると、柱414は結合スリット454に沿って移動されて第2挿入溝456に挿入され得る。
【0071】
ここで、結合スリット454の少なくとも一部の領域の幅Wは柱414の第1直径D1よりは小さいが、安全カバー部450がシリンダー200の他端部方向に移動する時に柱414によって結合スリット454が広がりながら柱414は第2挿入溝456に挿入され得る。第2挿入溝456に挿入された柱414は別途の外力が加えられない限り、第2挿入溝456に固定され得る。
【0072】
その後、安全カバー部450に外力が加えられて安全カバー部450がシリンダー200の一端部方向に移動されると、柱414は結合スリット454に沿って第1挿入溝455に移動され得、安全カバー部450が第2回転軸452を中心に第1回転方向R1に回転することになると、第1挿入溝455からストッパー415が抜け出ることができるようになり、安全カバー部450と固定突起413の間の結合は解除される。
【0073】
第2弾性部460は第2軸452に結合され得る。第2弾性部460はコイルスプリングまたはねじりスプリングであり得、安全カバー部450が第2回転軸452を中心に第1回転方向(R1、図5参照)に回転するように弾性力を提供することができる。
【0074】
安全カバー部450が第2回転軸452を中心に第1回転方向(R1、図5参照)に回転することになると、安全カバー部450が注射針300側に回転することになって注射針300がカバー胴体451の内側に収容され得る。
【0075】
カバー胴体451は回転が完了する時、注射針300を十分に覆うことができるように、長さ方向の両側縁に翼部451aを有することができる。図7を参照すると、カバー胴体451がベース部410に固定された状態で、シリンダーの中心軸Cに平行な仮想の線分Lを基準として、翼部451aはシリンダーの半径方向に沿ってさらに突出するように設けられ得る。
【0076】
安全カバー部450は回転が完了して注射針300を囲む時、注射針300の一部の領域が挿入される結合溝457を有することができる。また、結合溝457の一端部はカバー胴体451の内周面と離隔するように形成され得る。これに伴い、結合溝457の一端部とカバー胴体451の内周面の間には離隔部457aが形成され得る。
【0077】
カバー胴体451が第2回転軸452を中心に第1回転方向R1に回転が完了して注射針300を覆うことになると、注射針300はカバー胴体451の内側に収容され得、注射針300の一端部は離隔部457aを通じて挿入されて結合溝457に結合され得る。
【0078】
図8を参照すると、結合具は注射針300の収容空間Sを形成するように離隔して位置する第1および第2突起部458、459を含むことができる。この時、結合具は第1および第2突起部458、459の間の空間に注射針300が挿入され得るように設けられ、第1突起部458には注射針300の離脱を防止するための係止突起458aが設けられる。もちろん、係止突起458aと第2突起部459の間には所定の空間部が設けられ、前記空間部は収容空間Sより狭い幅を有するように形成される。また、係止突起458aと第2突起部459には注射針300の流入側に傾斜面がそれぞれ設けられ得る。
【0079】
以下では、注射器用安全キャップの作動に対して説明する。
【0080】
図4図6は、本発明の一実施例に係る注射器用安全キャップの作動例を示した例示図である。
【0081】
まず、図4の(a)に示されたように、注射器が使われる前には、注射針300にはニードルキャップ10が被せられた状態であり得る。
【0082】
注射器用安全キャップ400はニードルキャップ10がシリンダー200の一端部に結合されることを妨害しないことができる。
【0083】
ニードルキャップ10が結合された状態の時、注射器用安全キャップ400のリンク部430は、第2回転方向に回転が完了してシリンダー200の段差部201の外周面を囲むように位置した状態であり得、安全カバー部450も第2回転方向に回転が完了してベース部410の固定突起413に結合されて拘束された状態であり得る。これに伴い、安全カバー部450およびリンク部430はそれぞれ第1回転方向R1に回転しないように固定され得る。
【0084】
そして、図4の(b)に示されたように、注射器を使う前にニードルキャップ10は除去され得る。ニードルキャップ10は使用者が軽く押し上げて除去することができる。ニードルキャップ10が除去された後、使用者は患者などに注射することができる。
【0085】
一方、使用が完了した状態で、固定突起413の柱414は第2挿入溝456に挿入された状態であり得る。この状態で、図5の(a)に示されたように、使用者が安全カバー部450を上側に押し上げると、図5の(b)に示されたように、固定突起413の柱414は結合スリット454に沿って移動されて第1挿入溝455に移動することになり、リンク部430は第1回転軸434を中心に第1回転方向R1に回転することになる。
【0086】
そして、この状態で使用者が安全カバー部450を持ち上げてストッパー415が第1挿入溝455から抜け出ることになると、第2弾性部460で提供する弾性力によって安全カバー部450は第1回転方向R1に回転することになる。そして、これと同時に、第1弾性部440で提供する弾性力によってリンク部430も第1回転方向R1に回転することになる。
【0087】
そうすると、図6に示されたように、リンク部430のリンク胴体431は第1回転軸434を中心に段差部201の外側に移動され、第2回転軸452はシリンダー200の上側に移動され得る。また、安全カバー部450は第2回転軸452を中心に回転して安全カバー部450の上端部はシリンダー200の上側に移動され得る。
【0088】
すなわち、安全カバー部450およびリンク部430がシリンダー200の上側に移動されながら広げられ得、カバー胴体451の内側に注射針300が収容され得る。
【0089】
また、注射針300の一端部は安全カバー部450の結合溝457に挿入結合され得、これを通じて、安全カバー部450と注射針300が意図せずに分離されることが防止され得る。
【0090】
このように、本発明によると、固定突起413と安全カバー部450の間の結合力を解除させる簡単な動作だけで、安全カバー部450およびリンク部430が第1弾性部440および第2弾性部460によって提供される弾性力によって同時に自動で回転され得、安全カバー部450は注射針300をカバーすることができる。
【0091】
図10は本発明のさらに他の実施例(第2実施例)に係る注射器用安全キャップを示す主要部斜視図であり、図11図10に図示された注射器用安全キャップの側面図である。
【0092】
図10および図11を参照すると、第2実施例に係る注射器用安全キャップは第1弾性部と第1軸部の構成においてのみ第1実施例に係る注射器用安全キャップと差を有し、他の構成要素はすべて同一である。以下では、第1実施例と差を有する構成についてのみ詳細に説明することにする。
【0093】
具体的には、第1弾性部500はリンク部430およびベース部410を連結し、少なくとも一部の領域が折り曲げられた一つ以上のブリッジ510、520を含む。第2実施例では、ベース部410に対するリンク部430の回転はブリッジの折り曲げ形状を利用して回転力を利用するように設けられる。
【0094】
また、第2弾性部は、第1実施例と同様にスプリングを含む。
【0095】
具体的には、ブリッジは互いに反対方向に折り曲げられた第1ブリッジ510および第2ブリッジ520を含むことができる。第1ブリッジおよび第2ブリッジはそれぞれ概略「V」字状に折り曲げられ得る。
【0096】
また、第1ブリッジ510および第2ブリッジ520は折り曲げられた角度が互いに異なり得る。また、第1ブリッジ510および第2ブリッジ520は個数が互いに異なり得る。例えば、第1弾性部500は一対の第1ブリッジ510を含み、一対の第1ブリッジ510の間に第2ブリッジ520が配置され得る。
【0097】
また、第2実施例では、第1軸部が回転軸と結合具を通じて構成されず、リンク部430およびベース部410を連結する一つ以上のブリッジで構成され得る。
【0098】
以上で説明された本発明の好ましい実施例は例示の目的のために開示されたものであり、本発明に対する通常の知識を有する当業者であれば本発明の思想と範囲内で多様な修正、変更、付加が可能であり、このような修正、変更および付加は下記の特許請求の範囲に属するものと見なされるべきである。
【産業上の利用可能性】
【0099】
本発明の少なくとも一実施例と関連した注射器用安全キャップおよびこれを含む安全注射器によると、ベース部の固定突起と安全カバー部の間の結合を解除させる簡単な動作だけで、安全カバー部は注射針を囲んで保護することができる。
図1
図2
図3
図4(a)】
図4(b)】
図5(a)】
図5(b)】
図6
図7
図8
図9(a)】
図9(b)】
図10
図11
【国際調査報告】