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特表2022-510197吐出システムを作動させるための方法および吐出システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-26
(54)【発明の名称】吐出システムを作動させるための方法および吐出システム
(51)【国際特許分類】
   B05D 1/26 20060101AFI20220119BHJP
   E04F 21/165 20060101ALI20220119BHJP
   B05C 17/01 20060101ALI20220119BHJP
   B05C 5/00 20060101ALI20220119BHJP
   B05D 3/00 20060101ALI20220119BHJP
【FI】
B05D1/26 Z
E04F21/165 P
B05C17/01
B05C5/00 A
B05D3/00 B
B05D3/00 D
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021530058
(86)(22)【出願日】2019-11-25
(85)【翻訳文提出日】2021-05-26
(86)【国際出願番号】 EP2019082376
(87)【国際公開番号】W WO2020120113
(87)【国際公開日】2020-06-18
(31)【優先権主張番号】18212582.3
(32)【優先日】2018-12-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591010170
【氏名又は名称】ヒルティ アクチエンゲゼルシャフト
【住所又は居所原語表記】Feldkircherstrasse 100, 9494 Schaan, LIECHTENSTEIN
(74)【代理人】
【識別番号】100123342
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 承平
(72)【発明者】
【氏名】マーティン クーン
(72)【発明者】
【氏名】クリスティアン ヘーフェレ
【テーマコード(参考)】
4D075
4F041
4F042
【Fターム(参考)】
4D075AC06
4D075AC09
4D075AC84
4D075AC88
4D075AC91
4D075AC93
4D075AC94
4D075BB08X
4D075BB16X
4D075CA47
4D075CA48
4D075DA31
4D075DB11
4D075DB12
4D075DC01
4D075DC05
4D075EA27
4D075EA35
4D075EA39
4D075EB03
4D075EB45
4D075EB56
4F041AA08
4F041AB01
4F041BA02
4F041BA34
4F041BA43
4F041CB03
4F041CB04
4F041CB55
4F042AA16
4F042AB00
4F042BA04
4F042BA08
4F042BA12
4F042CA06
4F042CB03
4F042CB11
4F042CB27
4F042DH02
4F042DH09
(57)【要約】
カートリッジデバイスが少なくとも2つのカートリッジを有するように構成された吐出システムを動作させるための方法。異なる送り出し速度で動作可能な少なくとも2つの押出ピストンを有する押出デバイスが提供される。方法は、第2の信号に応じて、押出ピストンの送り出し速度の比率を制御デバイスの記憶デバイスに記憶するステップ(S5)と、第1の押出ピストンのスタンプ部材がカートリッジデバイスの第1のカートリッジに実質的に当接し、第2の押出ピストンのスタンプ部材が第2のカートリッジカートリッジデバイスに実質的に当接する開始位置に、2つの押出ピストンを変位させるために、制御デバイスによって少なくとも1つの駆動デバイスを作動させるステップ(S7)と、ユーザの要求に応じて、制御デバイスの記憶デバイスに記憶されている押出ピストンの送り出し速度の比率で、制御デバイスによって少なくとも1つの駆動デバイスを作動させるステップ(S10)と、を含む。さらに、かかる方法を動作させるための吐出システムが記載されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
吐出装置(10)およびカートリッジデバイス(40)を備える吐出システム(1)を動作させるための方法であって、前記カートリッジデバイス(40)は、少なくとも2つのカートリッジ(41、42)を有するように構成され、前記吐出装置(10)は前記カートリッジデバイス(40)を受容するための受容空間(11)を有するように構成され、押出デバイス(24)が少なくとも2つの異なる押出速度で動作可能な押出ピストン(25、26)を有しており、前記押出ピストン(25、26)が各々、カートリッジ(41、42)、制御デバイス(33)、少なくとも1つの駆動デバイス(30、32)、および電源(31)と協働するように構成されており、
前記方法は、
前記カートリッジデバイス(40)を前記受容空間(11)に挿入するステップ(S1)と、
前記カートリッジデバイス(40)の信号発生器(62)から少なくとも第1の信号を発するステップ(S2)と、
前記吐出デバイス(10)の少なくとも1つのセンサ(61)によって前記カートリッジデバイス(40)の前記少なくとも1つの信号を受信するステップ(S3)と、
前記センサ(61)から前記制御デバイス(33)へ第2の信号を送信するステップ(S4)と、
前記第2の信号の関数として、前記制御デバイス(33)の記憶デバイス(34)に前記押出ピストン(25、26)の送り出し速度の比率を記憶するステップ(S5)と、
前記第1の押出ピストン(25)のスタンプ部材(27)が前記カートリッジデバイス(40)の前記第1のカートリッジ(41)と実質的に接触し、前記第2の押出ピストン(26)のスタンプ部材(28)が前記カートリッジデバイス(40)の前記第2のカートリッジ(42)と実質的に接触している開始位置に、前記2つの押出ピストン(25、26)を変位させるために、前記制御デバイス(33)によって、前記少なくとも1つの駆動デバイス(30、32)を作動させるステップ(S7)と、
ユーザの要求に応じて、前記制御デバイス(33)の前記記憶デバイス(34)に記憶された前記押出ピストン(25、26)の送り出し速度の比率で、前記制御デバイス(33)によって前記少なくとも1つの駆動デバイス(30、32)を作動させるステップ(S10)と
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記制御デバイス(33)が、前記記憶デバイス(34)に記憶された前記押出ピストン(25、26)の前記送り出し速度の比率からそれぞれの前記押出ピストン(25、26)の前記開始位置を決定する、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記カートリッジデバイス(40)の前記信号送信機(62)から、少なくとも1つの第3の信号を発し、前記少なくとも1つの第3の信号が、前記記憶デバイス(34)にそれぞれの前記押出ピストン(25、26)の開始位置を記憶させる、ことを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記カートリッジデバイス(40)の前記信号発生器(62)から少なくとも1つの第4の信号を発し、前記第4の信号が前記制御デバイス(33)に記憶されているしきい値より大きい場合(S6)に、少なくとも1つの駆動デバイス(30、32)を非作動状態に切り替える(S8)、ことを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記第2の信号が前記制御デバイス(33)に記憶された値に一致しない場合、警告信号発生器(70)によって警告信号を発する、ことを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記第4の信号によって前記駆動手段(30、32)が前記非作動状態にされたときに、警告信号発生器(70)によって警告信号を発する、ことを特徴とする請求項4または5に記載の方法。
【請求項7】
吐出装置(10)およびカートリッジデバイス(40)を有する、請求項1~6のいずれかに記載の方法を実施するための吐出システム(1)であって、前記カートリッジデバイス(40)が少なくとも2つのカートリッジ(41、42)を有するように構成され、前記吐出装置(10)が前記カートリッジデバイス(40)を受容するための受容空間(11)を有するように構成され、押出デバイス(24)が少なくとも2つの異なる押出速度で動作可能な押出ピストン(25、26)を有し、各前記押出ピストン(25、26)が、カートリッジ(41、42)、制御デバイス(33)、少なくとも1つの駆動デバイス(30、32)、および電源(31)と協働するように構成されている、吐出システム(1)。
【請求項8】
ワイヤレス伝送デバイス(60)が、前記カートリッジデバイス(40)に関連付けられたセンサ(62)、および前記吐出装置(10)に関連付けられた少なくとも1つのセンサ(61)を備える、ことを特徴とする請求項7に記載の吐出システム。
【請求項9】
前記ワイヤレス伝送デバイス(60)が、光伝送デバイスまたは無線伝送デバイスであり、RFID伝送デバイスとして、Bluetooth(登録商標)伝送デバイスとして、NFC伝送デバイスとして、WiFi(登録商標)伝送デバイスとして、QR伝送デバイスとして、またはDMC伝送として、W(無線)LAN伝送デバイスとして、ZigBee(登録商標)伝送デバイスとして、Wibree伝送デバイスとして、WiMAX(登録商標)伝送デバイスとして、IrDA(登録商標)伝送デバイスとして、または光指向性無線通信によって動作する伝送デバイスとして構成されていることを特徴とする、請求項8に記載の吐出システム。
【請求項10】
前記少なくとも1つのセンサ(61)が、さらなる伝送手段(65)によって前記制御デバイス(33)に接続され、前記さらなる伝送デバイス(65)が有線のものか、またはワイヤレスのものとして構成されていることを特徴とする、請求項8または9のいずれかに記載の吐出システム。
【請求項11】
前記さらなる伝送デバイス(65)が、RFID伝送デバイスとして、Bluetooth(登録商標)伝送デバイスとして、NFC伝送デバイスとして、WiFi(登録商標)伝送デバイスとして、QR伝送デバイスとして、またはDMC伝信として、W(無線)LAN伝送デバイスとして、ZigBee(登録商標)伝送デバイスとして、Wibree伝送デバイスとして、WiMAX(登録商標)伝送デバイス、光指向性無線通信によって動作するIrDA(登録商標)伝送デバイスとして構成されている、ことを特徴とする請求項10に記載の吐出システム。
【請求項12】
出力デバイス(70)が前記吐出装置(10)のハウジング(12)に設けられる、ことを特徴とする請求項7~11のいずれか1項に記載の吐出システム。
【請求項13】
前記第1の押出ピストン(25)と前記第2の押出ピストン(26)との異なる送り出し速度の比率を設定するために構成された伝送デバイスが提供され、前記押出ピストン(25、26)が、共通駆動デバイスによって作動され得る、ことを特徴とする請求項7~12のいずれか1項に記載の吐出システム。
【請求項14】
2つの駆動デバイス(30、32)が提供され、前記第1の駆動デバイス(30)が前記第1の押出ピストン(25)を作動させるように構成され、第2の駆動デバイス(32)が前記第2の押出ピストン(26)を作動させるように構成されている、ことを特徴とする請求項7~12のいずれか1項に記載の吐出システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前文に記載の吐出装置(ディスペンサー)およびカートリッジデバイスを備える吐出システムを動作させるための方法に関する。さらに、本発明は、請求項7の主文に記載の方法を実行するための吐出システムに関する。
【背景技術】
【0002】
吐出装置(ディスペンサー)は、例えば、カートリッジデバイスからシリコーンまたは他の液体または粘性の建築材料を吐出すために、建設業界において使用される。2つのチャンバを有するカートリッジデバイスを受容するように構成された、既知の吐出装置も知られている。かかるカートリッジデバイスには、例えば、二成分または多成分のモルタル組成物が入っており、硬化性樹脂成分はカートリッジデバイスのチャンバまたはカートリッジに配置され、硬化性成分は反応を阻止するよう処理された、カートリッジデバイスのさらなるチャンバまたはカートリッジに入れられる。かかる二成分モルタル組成物が入ったカートリッジデバイスは、例えば、レンガ、コンクリートまたは天然石で作られた建物などを、例えば、鉱物基質中の金属元素で化学的に固定のための注入モルタルとして使用される。実施に際しては、固着される手段を取り付けるために適宜必要となるボアホールがまず鉱物基質に穿設され、その後、硬化性樹脂成分が二成分モルタル組成物のうちの硬化性成分と混合されてこのボアホールに導入され、その上で、固定される対象の固着される手段が挿入され位置調整された後、モルタル組成物が硬化される。
【0003】
かかる吐出装置の一般的な構造は、プッシュロッド上に配置された押出ピストンを備え、それぞれがスタンプ部材をそれぞれカートリッジデバイスのカートリッジまたはチャンバの出力開口部の方向に送り出し得る。各スタンプ部材はそれぞれのカートリッジに作用し、それぞれのカートリッジの内容物を吐出開口部の方向に押圧する。プッシュロッドは、共通の駆動機構によって駆動される。異なる処方による二成分モルタル組成物に対しては、カートリッジデバイスの個々のカートリッジにおける成分の異なる混合比が必要である。通常、これは、同一の駆動速度および異なる直径を有するカートリッジを押し出すことによって達成される。
【0004】
エラーフリーの動作を保証するためには、それぞれの場合に使用されるカートリッジデバイスが吐出装置に適合し、その吐出装置が、使用されるカートリッジデバイスに適合した動作モードで動作することが必要である。カートリッジデバイスと吐出装置とが適合していない組み合わせで使用されると、一方では、カートリッジデバイスの損傷または吐出装置の損傷をもたらし得、他方では、現在使用されているカートリッジデバイス向けのカートリッジに配置された成分間の望ましくない混合比がもたらされ得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、押出ピストンを異なる送り出し速度で動作させ得る吐出システムを動作させるための方法、およびかかる方法を実行するための吐出システムを提供することであり、この方法により、挿入されたカートリッジデバイスおよび/または使用される吐出装置に対する損傷を防止する単純かつ確実な方法、ならびにカートリッジ内に存在する成分間の所望の混合比が簡単な方法で達成される。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的は、吐出装置(ディスペンサー)およびカートリッジデバイスを備える吐出システムを動作させるための方法によって達成される。カートリッジデバイスは、少なくとも2つのカートリッジおよび2つの別個のチャンバを有するように構成され、吐出装置は、カートリッジデバイスを受容するための受容空間を有するように構成され、この吐出装置は、少なくとも2つの異なる押出速度で動作可能な押出ピストンを有し、各押出ピストンは、カートリッジ、制御デバイス、少なくとも1つの駆動デバイス、および電源と協働するように構成されている。方法は、
カートリッジデバイスを受容空間に挿入するステップと、
カートリッジデバイスの信号発生器から少なくとも第1の信号を発するステップと、
吐出装置の少なくとも1つのセンサによってカートリッジデバイスの少なくとも1つの信号を受信するステップと、
センサから制御デバイスに第2の信号を送信するステップと、
第2の信号に応じて、押出ピストンの送り出し速度の比率を制御デバイスの記憶デバイスに記憶するステップと、
第1の押出ピストンのスタンプ部材がカートリッジデバイスの第1のカートリッジに実質的に当接し、第2の押出ピストンのスタンプ部材がカートリッジデバイスの第2のカートリッジに実質的に当接する開始位置に、2つの押出ピストンを変位させるために、制御デバイスによって少なくとも1つの駆動デバイスを作動させるステップと、
ユーザの要求に応じて、制御デバイスの記憶デバイスに記憶された押出ピストンの送り出し速度の比率で、制御デバイスによって少なくとも1つの駆動デバイスを作動させるステップと、
を含む。
本発明による吐出システムでは、このために吐出装置に備えられた作動スイッチをユーザが選択または作動させたとき、使用されるカートリッジデバイスに合致した押出ピストンの送り出し速度の比率で押出ピストンがユーザによって動作され、それによって、カートリッジ内に存在する化合物間で所望の混合比率が達成されることが、簡単な方法で保証され得る。さらに、本発明による方法では、本発明による方法により、押出ピストンの開始位置への位置決めおよび押出ピストンの作動が、ユーザの要求に応じて使用されるそれぞれのカートリッジデバイスと一致するすため、カートリッジデバイスおよび/または吐出装置を損傷するリスクが確実に防止される。さらに、カートリッジデバイスおよび/または吐出装置の機能に対するユーザ側の誤った運用の影響が低減または防止され得る。さらに、適合性のある押し出しであるかどうか、すなわち、カートリッジデバイスが吐出装置での使用に適しているかどうかを容易に認識され得る。このことにより、使用されるカートリッジデバイスおよび/または吐出装置への損傷のリスクをも低減する。
【0007】
本発明の方法では、カートリッジデバイスの個々のカートリッジ内の成分の異なる混合比は、2つ以上の送り出しロッドの異なる駆動速度によって実現され得る。その結果、同一のカートリッジデバイスを使用する場合でも、カートリッジまたはチャンバに含まれる成分の異なる混合比が達成され得る。このことにより、カートリッジデバイスのコストを削減し、適用を簡素化する。
【0008】
本発明による方法により、カートリッジまたはカートリッジデバイスのチャンバ内に配置された材料の所望の混合比が、簡単な方法で設定され得る。得られる混合比は、断面、特に、押出ピストンのそれぞれの送り出し速度の比率に関連して、それぞれのカートリッジまたはチャンバの直径に依存する結果となる。カートリッジは、異なる断面、具体的には、異なる直径を有してもよい。具体的には、カートリッジは、押出ピストンの送り出し速度の比率に本質的に対応した、押出ピストンの送り出し方向の長さ比を有することが実現され得る。これにより、両方のカートリッジが本質的に同時に空になることを保証する。
【0009】
カートリッジデバイスのカートリッジ内の成分の異なる混合比を達成するために、異なるタイプのカートリッジデバイスが吐出装置の受容空間に挿入され得る。吐出装置の受容空間に挿入され得るカートリッジデバイスは、それぞれ少なくとも2つのカートリッジを有し、そのうちの1つのカートリッジは第1の断面を有し、別のカートリッジは第2の断面を有する。異なるカートリッジデバイスは、特に、押出ピストンの送り出し方向における個々のカートリッジの長さに関してのみ異なる。カートリッジの長さ比を適切に選択することにより、所望の混合比で両方のカートリッジが実質的に同時に使い果たされることを簡単な方法で達成することが可能である。
【0010】
挿入されたすべてのカートリッジデバイスのカートリッジが押出ピストンの送り出し方向に固定長を有する場合、本発明による方法の有利な態様では、制御デバイスは、記憶デバイスに記憶された押出ピストンの送り出し速度の比率からそれぞれの押出ピストンの開始位置を容易に決定し得る。
【0011】
本発明の有利な態様は、カートリッジデバイスの信号発生器から、少なくとも1つの第3の信号を発し、この少なくとも1つの第3の信号が、それぞれの押出ピストンの開始位置を記憶デバイスに記憶させることを特徴とする。その結果、押出ピストンのピストンは、少なくとも1つの駆動デバイスの対応する作動によって、それぞれの開始位置に自動的に至り得る。
【0012】
第4の信号が制御デバイスに記憶されたしきい値を超えているか、所定の範囲外である場合に、駆動デバイスが非作動状態になる、すなわち、駆動デバイスがこの状態になるか、またはこの状態に留まっているカートリッジデバイスの信号発生器によって少なくとも第4の信号が発せられることが可能になり得る。その結果、例えば、カートリッジデバイスの有効期限を超えた場合、またはカートリッジデバイスに記憶された許容温度範囲にない場合、ユーザ側の要求による押出ピストンの変位が簡単な方法で防止され得る。
【0013】
好ましい態様において、第2の信号が制御デバイスに記憶された値に一致しない場合、警告信号が警告信号発生器によって発せられる。このことにより、例えば、吐出装置と適合性のないカートリッジデバイスが存在する場合、またはカートリッジデバイスに必要な混合比を吐出装置によって実施できないことがあり得る場合に、音響的、視覚的または触覚的方法でユーザに通知され得る。
【0014】
追加的または代替的に、かかる警告信号は、駆動デバイスが第4の信号によって非作動状態になる、および/または第4の信号が制御デバイスに記憶されたしきい値を超える場合、警告信号発生器によって送信され得る。
【0015】
さらに、かかる方法を実行するための吐出システムが提案され、その吐出システムは、吐出装置および、少なくとも2つのカートリッジを有するように構成されるカートリッジデバイスを有するように構成され、吐出装置は、カートリッジデバイスを受容するための受容空間を有するように構成され、吐出装置は少なくとも2つの異なる送り出し速度で動作可能な押出ピストンを有し、各押出ピストンは、カートリッジ、制御デバイス、少なくとも1つの駆動デバイス、および電源と協働するように構成されている。
【0016】
本発明による吐出システムでは、このために吐出装置に備えられた作動スイッチをユーザが選択または作動させたとき、使用されるカートリッジデバイスに合致した押出ピストンの送り出し速度の比率で、押出ピストンが作動されることが、簡単な方法で保証され得る。その結果、カートリッジデバイスおよび/または吐出装置への損傷のリスクが確実に排除される。さらに、適切な場合、カートリッジデバイスおよび/または吐出装置の機能に対するユーザ側の誤った操作の影響が低減または防止され得る。さらに、適合性のある吐出になっているかどうか、すなわち、カートリッジデバイスがその吐出装置での使用に適しているかどうかを容易に認識され得る。このことにより、使用されるカートリッジデバイスおよび/または吐出装置への損傷のリスクをも低減する。
【0017】
構造的に単純な方法でカートリッジデバイスと吐出装置との間の信号伝送を実施するために、ワイヤレス伝送デバイスは、カートリッジデバイスに割り当てられた信号送信機、および吐出装置に関連付けられた少なくとも1つのセンサを備えてもよい。伝送デバイスによって、カートリッジデバイスから吐出装置への信号伝達が可能であり、それにより、吐出のプロセスは、それぞれ使用されるカートリッジデバイスに関して最適化され得る。
【0018】
好ましい態様では、ワイヤレス伝送デバイスは、光伝送デバイスまたは無線伝送デバイスである。伝送デバイスは、異なる動作原理および/または規格に基づき得る。伝送デバイスの動作モードは、例えば超短波、短波または中波周波数による無線周波数範囲での信号伝送、ならびに赤外線または光周波数範囲での信号伝送に基づき得る。具体的には、伝送デバイスは、RFID伝送デバイスとして、Bluetooth(登録商標)伝送デバイスとして、NFC伝送デバイスとして、WiFi(登録商標)伝送デバイスとして、QR伝送デバイスとして、またはDMC伝送デバイスとして構成される。さらに、伝送デバイスは、W(無線)LAN伝送デバイスとして、ZigBee(登録商標)伝送デバイスとして、Wibree伝送デバイスとして、WiMAX(登録商標)伝送デバイスとして、IrDA(登録商標)伝送デバイス、または光指向性無線で動作する伝送デバイスとして実施され得る。
【0019】
カートリッジデバイスによって発せられ、少なくとも1つのセンサ信号によって受信された信号の制御装置への送信は、少なくとも1つのセンサと制御デバイスとの間にさらなる伝送デバイスを備えることによって実装される単純な構成で達成され、その伝送デバイスは有線のものであるかまたはワイヤレスのものであるように構成されている。
【0020】
さらなる伝送デバイスは、基本的に、伝送デバイスに相当するように構成され得、例えば、RFID伝送デバイスとして、Bluetooth(登録商標)伝送デバイスとして、NFC伝送デバイスとして、WiFi(登録商標)伝送デバイスとして、QR伝送デバイスとして、またはDMC伝送デバイスとして構成され得る。さらに、伝送デバイスは、W(無線)LAN伝送デバイスとして、ZigBee(登録商標)伝送デバイスとして、Wibree伝送デバイスとして、WiMAX(登録商標)伝送デバイスとして、IrDA(登録商標)伝送デバイス、または光指向性無線で動作する伝送デバイスとして実施され得る。
【0021】
構造的に単純な方法でユーザとのインタラクションを達成することができるようにするために、有利な態様では、出力デバイスが、吐出装置のハウジングに設けられる。出力デバイスは、例えば、光、音響、および/または触覚信号を出力するように構成された警告デバイスとして構成され得る。本態様において、出力デバイスは、例えば、好ましくはディスプレイの形態で、吐出装置に配置されたディスプレイデバイスを備えてもよい。代替的または追加的に、出力デバイスは、例えば、移動無線デバイスまたはスマートフォンなどの別個のディスプレイデバイスへのワイヤレス接続のために構成された伝送デバイスの一部であり得る。
【0022】
有利な態様では、吐出装置は、第1の信号、第2の信号、第3の信号、および/または第4の信号を少なくとも一時的に記憶するように構成された少なくとも1つの読み出し可能な記憶デバイスを有する。この記憶デバイスは、好ましくは、記憶デバイスに記憶されたデータが評価され得るように、出力デバイスによって読み出しできる。
【0023】
2つの押出ピストンの異なる送り出し速度比を簡単な方法で達成するために、第1の押出ピストンと第2の押出ピストンの異なる送り出し速度の比率を設定するように構成された伝送デバイスが提供されており、その押出ピストンは共通の駆動デバイスによって作動され得る。単一の駆動手段によって異なる送り出し比率の比率の実施を可能にすることにより、安価に実装可能な吐出システムが作り出される。
【0024】
代替的な態様において、2つの駆動手段が提供され、第1の駆動手段は、第1の押出ピストンを作動させるように構成され、第2の駆動手段は、第2の押出ピストンを作動させるように構成される。その結果、第1の押出ピストンと第2の押出ピストンとの間の送り出し速度の比率を特に正確に無段階に調整することが達成される。
【0025】
さらなる利点は、以下の図の記載に見出され得る。図には本発明の実施例が示されている。図、詳細な説明および特許請求の範囲は、多数の特徴が組み合わされて含まれる。当業者は、特徴を詳細に有利に調べ、さらに追加の組み合わせを想起し得る。
【0026】
図において、同一および同等の構成要素に同一の符号が付されている。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】吐出システムの吐出装置の簡略化された3次元表示を示す。
図2図1による吐出システムの吐出装置の簡略化された側面図を示す。
図3図1および図2による、吐出装置と協働するように構成された、吐出システムのカートリッジデバイスの三次元図を示し、ここではカートリッジデバイスは、2つのカートリッジを有するように構成されている。
図4図1および図2による吐出装置の概略図であり、カートリッジデバイスが、吐出装置の受容空間に配置されている。
図5】吐出システムの図4に対応する図を示しており、吐出装置の押出ピストンが開始位置に変位している。
図6図4および図5に対応する、ユーザが吐出装置を作動中の吐出システムの図である。
図7図4図6に対応する、カートリッジデバイスのカートリッジを実質的に完全に空にした後の吐出システムの図である。
図8図1図7による、吐出システムを動作させるための本発明による方法の実施例の簡略化されたフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明による吐出システム1の好ましい実施例が図1および図2に示される。図1および図2には、吐出システム1の吐出装置(ディスペンサー)10が示され、図2には、吐出システム1のカートリッジデバイス40が示される。
【0029】
本実施例において、吐出装置(ディスペンサー)10は、多成分化合物を吐出するために構成されており、化合物は、例えば、建設業界における充填、接着またはシーリングまたは同様の用途のために提供され得る。
【0030】
本実施例において、吐出装置10は、カートリッジ41および42として構成された2つの容器を有する、図3に示されるカートリッジデバイス40と協働するように構成されている。カートリッジデバイス40は、吐出装置10のハウジング12の受容空間11に配置され得、例えば、二成分モルタル化合物を入れることができる。本実施例において、硬化性樹脂成分は、カートリッジデバイス40のチャンバすなわちカートリッジ41に入れることができ、硬化剤成分は、カートリッジデバイス40の別のチャンバまたはカートリッジ42に入れることができ、カートリッジデバイス40は、反応を避けるために、後者とは別に配置される。硬化性樹脂成分と硬化性成分を混合した後に得られる化合物は、例えば、特にレンガ、コンクリートまたは天然石で作られた建物などの鉱物基質中の金属元素の化学固定用の注入モルタルとして使用される。本実施例において、固定手段を取り付けるために適宜必要になるボアホールがまず鉱物基材に穿設され、その後、硬化性樹脂成分が二成分モルタル組成物の硬化性成分と混合され、このボアホールに導入され、その上で、固定される対象の固着される手段が導入され位置調整され、次いでモルタル塊が硬化される。
【0031】
本実施例において、吐出装置10のハウジング12は、実質的に軸方向Aに沿って延在し、機能部14および操作部16を有する。機能部14は、実質的に、受容空間11と、機能部14の処理側遠位端18において、カートリッジ41、42の吐出開口部(詳細には図示せず)が貫通する加工ヘッド19とを含む。カートリッジ41、42から出力された化合物は、具体的には、カートリッジデバイス40の混合領域49で混合され、機能部14の処理側遠位端18で処理される対象の場所に送達される。
【0032】
ハウジング12の操作部16は、ハンドル21に加えて、ハンドル21の領域に配置された作動スイッチ22を有し、この作動スイッチは、例えば、いわゆるMOSFETスイッチとして実施され得る。カートリッジ41、42の押し出しのために、押出デバイス24が提供され、本実施例において、押出ロッド29Aまたは29Bにそれぞれしっかりと接続されている2つの押出ピストン25、26を備えるように構成されている。押出ピストン25、26はそれぞれ、カートリッジ41および42に面するその端部にスタンプ部材27および28を有する。
【0033】
さらに、2つの駆動デバイスがあり、具体的には電気モータ30および32として構成され、図5図7に極めて概略的な形体で示されており、電動機30は、プッシュロッド29Aによって軸方向Aに押出ピストン25を変位させるように構成され、電動機32は、押出ピストン26を押し棒29Bによって変位させるように構成され、カートリッジ41、42からの押し出し開口部を介してカートリッジ41、42に存在する化合物を出力するために、押出ピストン25、26は、電気モータ30、32によって送り出し方向Vに駆動することができるプッシュロッド29Aおよび29Bによって、遠位端18の方向に個別に制御され得る。
【0034】
電気モータ30および32は、本実施例において、蓄電器として構成された電源31によってエネルギーが供給される。代替的に、吐出装置10は外部電源により作動されてもよく、電源システムに結合され得るプラグも設け得る。吐出デバイス10は、作動スイッチ22によってユーザの要求にしたがって電気モータ30および32を作動させるように構成された制御デバイス33をさらに備える。
【0035】
電気モータ30、32は、制御デバイス33によって異なる動作モードに移行され得、電流が蓄電器31から電気モータ30、32に供給されず、作動スイッチ22が作動してもプッシュロッド29Aおよび29Bが変位しない非作動モードが提供される。電気モータ30、32はさらに、作動スイッチ22のユーザ側の作動が、それぞれ適合された速度での送り出し方向Vでの押出ピストン25および26の変位をもたらす動作モードに変位可能である。
【0036】
本実施例において、カートリッジデバイス40のカートリッジ41、42はそれぞれ、第1の端壁45または46と反対側の第2の端壁47および48をそれぞれ有する実質的に円筒形のベースボディ43または44を有する。第1の端壁45および46には、それぞれに出力開口部が提供されており、これらの開口部は、混合領域49を介して互いに接続されている。例えば、ソケットの形状の出力デバイスが混合領域49に接続され得る。第2の端壁47および48は、それぞれの押出ピストン25および26のスタンプ部材27および28と協働するように構成されており、押出ピストン25および26が第1の端壁45および46の方向に送り出し方向Vに変位し、カートリッジ41または42それぞれの本体43または44の容積が減少し、その結果、カートリッジ41および42内のそれぞれの化合物は、出力開口部によって出力され、混合領域49で混合され、出力デバイスによって押し出される。
【0037】
吐出システム1はさらに、吐出装置10に設けられた少なくとも1つのセンサ61と、およびカートリッジデバイス40上に配置された信号発生器62とを有する伝送デバイス60を有する。伝送デバイス60はワイヤレスのものであり、様々な送信原理によって動作し得る。具体的には、それはRFID伝送デバイスであるが、代替的に、例えば、Bluetooth(登録商標)伝送デバイスとして、NFC伝送デバイスとして、WiFi(登録商標)伝送デバイスとして、QR伝送デバイスとして、またはDMC伝送として、W(無線)LAN伝送デバイスとして、ZigBee(登録商標)伝送デバイスとして、Wibree伝送デバイスとして、WiMAX(登録商標)伝送デバイスとして、IrDA(登録商標)伝送デバイスとして、または光指向性無線通信によって動作する伝送デバイスとして構成さてもよい。
【0038】
本実施例において、信号送信機62は、カートリッジデバイス40の混合領域49の端面50に配置され、一方、センサ61は、吐出装置10のハウジング12上に配置され、これにより、カートリッジデバイス40が受容空間11に配置され、信号が信号発生器62からセンサ61に送信され得るとき、カートリッジデバイス40の信号送信機62が所定の方法でセンサ61と協働し得る。このために、センサ61は、例えば、受容空間11の遠位端領域を区切るハウジング12の壁面領域に配置される。
【0039】
センサ61は、さらなる伝送デバイス65によって制御デバイス33に結合され、追加の伝送デバイス65は、ワイヤレスのものであるかまたは有線のものであり得る。さらなる伝送デバイス65は、伝送デバイス60と同一の送信メカニズムに基づいて実施されてもよい。
【0040】
図2によるカートリッジデバイス40のカートリッジ41および42はそれぞれ、軸方向Aにおいて実質的に同一の長さを有する。カートリッジ41および42に含まれる化合物間の所望の混合比は、本実施例において、それぞれの電気モータ30または32による実質的に同一の速度での押出ピストン25および26の作動によって達成される。
【0041】
図4図7によるカートリッジデバイス40のカートリッジ41および42は、軸方向Aで異なる長さを有し、図4による第1のカートリッジ41は、軸方向Aにおいて、第2のカートリッジ42よりも軸方向Aよりも長くなるように構成されている。本実施例において、第1のカートリッジ41は、例えば、第2のカートリッジ42の軸方向Aの3倍の長さである。第1のカートリッジ41および第2のカートリッジ42に位置する化合物間の所望の混合比を達成するために、本実施例において、第1のカートリッジ41は、第2のカートリッジ42の押出ピストン26よりも3倍大きい第1の押出ピストン25の送り出し速度で作動される。
【0042】
図5において、押出ピストン25、26はそれぞれ開始位置に移動され、第1の押出ピストン25のスタンプ部材27は、カートリッジデバイス40の第1のカートリッジ41および第2の押出ピストン26のスタンプ部材28に実質的に当接し、カートリッジデバイス40の第2のカートリッジ42に実質的に当接している。
【0043】
図6は、作動スイッチ22のアプリケーション側作動中の吐出システム1の状態を概略的に示しており、押出ピストン25は、押出ピストン26が第2のカートリッジ42に作用する送り出し速度の3倍の送り出し速度で第1のカートリッジ41に作用する。押出ピストン25および26の送り出し速度の比率は、カートリッジ41および42の長さの比に対応する。
【0044】
図7は、完全に伸長した位置にある押出ピストン25および26をそれぞれ示しており、第1のカートリッジ41および第2のカートリッジ42の両方が実質的に完全に押し出されている。
【0045】
図8は、吐出システム1を動作させるための本発明による方法の実施例を示し、具体的には、現在使用されているカートリッジデバイス40と一致する押出ピストン25および26の動作は、この方法によって調整可能である。本実施例において、吐出装置10とカートリッジデバイス40の両方の損傷の可能性を伴う誤調整が確実に防止され得る。
【0046】
方法は、開始Sから開始する。ステップS1において、カートリッジデバイス40が、受容空間11に挿入される。ステップS2において、カートリッジデバイス40の信号発生器62が第1の信号を送信し、第1の信号は、具体的には、個々のカートリッジ41および42の長さに関してカートリッジデバイス40を指定する。さらに、本実施例において、カートリッジデバイス40は、第3の信号および第4の信号をさらに送信し、第3の信号は、それぞれの押出ピストン25および26の開始位置を指定する。第4の信号は、例えば、カートリッジデバイス40の有効期限、処理のための周囲領域の許容温度範囲などを含む。カートリッジデバイス40によって発せられた信号は、ステップS3において、ディスペンサー10のセンサ61によって受信され、カートリッジデバイス40は、受容空間11内に所定の方法で配置されている。
【0047】
次いで、ステップS4において、第1信号、第3信号、第4信号に対応し、第1信号、第3信号、第4信号からそれぞれ生成された第2信号がセンサ61から制御デバイス33に送信される。次のステップS5において、第1の信号で伝送された押出ピストン25および26の送り出し速度の比率が、制御デバイス33の記憶デバイス34に記憶される。同様に、第3の信号で伝送された押出ピストン25および26の開始位置は、本実施例において、記憶デバイス34に記憶される。
【0048】
照会ステップS6において、第4の信号と相関する第2の信号は、例えば、温度センサによって検出された現在の周囲温度と比較され、現在の周囲温度がカートリッジデバイス40の許容温度範囲内にある場合、ステップS7が継続される。代替的または追加的に、照会ステップS5において、現在の日付がカートリッジデバイス40の許容される有効期限より前であるかどうかを比較され得る。結果が肯定の場合、照会ステップS7が継続される。
【0049】
照会ステップS6において否定の照会結果であった場合、電気モータ30および32は、ステップS8において制御デバイス33によって非作動モードにされ、その結果、作動スイッチ22が作動しても、プッシュロッド29Aおよび29Bは変位せず、したがって押出ピストン25および26も変位しない。
【0050】
照会ステップS6において肯定の照会結果であった後、電気モータ30、32は、ステップS8においてコントローラ33を制御し、その結果、記憶デバイス34に記憶された開始位置に移動され、その開始位置において、各スタンプ部材27および28が実質的にカートリッジ41および42と当接している。続いて、電気モータ30および32は、ステップS9において、制御デバイス33によってそれぞれ動作モードに切り替えられる。ステップS10において、作動スイッチ22のその後のユーザ側での作動により、電気モータ30、32によって押出ピストン25、26が変位する。
【0051】
ステップS8およびS10に続く照会ステップS11において、設定される対象の関連するフレームワーク条件が所定の範囲で変更されたかどうかに関して照会が行われる。照会結果が肯定の場合、方法はステップS1に進む。照会結果が否定の場合、ステップEの手順は終了する。
【0052】
吐出システム1を操作するための方法によって、簡単な方法で、それぞれの場合に使用されるカートリッジデバイス40が、押出ピストン25および26の意図された送り出し速度で吐出装置10によって押出され、カートリッジ41および42に存在する化合物の所望の混合比が達成されることを確実にすることが可能である。さらに、例えば、押出ピストンの送り出し速度の比率を不適切に設定することによって、従来の吐出システムで発生し得る、吐出装置(ディスペンサー)10およびカートリッジデバイス40の両方への損傷が防止される。さらに、対応するデータをカートリッジデバイス40から吐出装置10に送信することにより、カートリッジデバイス40が、許容できないものとして定義され得、望ましくない処理結果につながり得るフレームワーク条件で使用されることを簡単な方法で防止することが可能性である。信号発生器62およびセンサ61が信号発生器62とセンサ61との間の信号伝送が、カートリッジデバイス40が受容空間11内に所定の範囲に配置されている場合にのみ行われるように構成および配置されている場合、受容空間に誤って配置されたカートリッジデバイス40によるカートリッジデバイス40および/または吐出装置10への損傷も防止され得る。
【0053】
吐出装置10は、具体的には、ステップS9において、電気モータ30および32が制御デバイス33によって動作モードに切り替えられたときに、例えば、光学的、音響的および/または触覚的方法で警告信号を出力するように構成された出力デバイス70を有する。制御デバイス33は、第1の信号、第2の信号、第3の信号および/または第4の信号を少なくとも一時的に記憶するように構成され、出力デバイスを介して読み出され得る、さらなる記憶デバイス72をも有し得る。このようにして、吐出システム1の利用情報は、簡単な方法で評価され得る。
【符号の説明】
【0054】
1 吐出システム
10 吐出装置(ディスペンサー)
11 受容空間
12 ハウジング
14 機能部
16 操作部
18 遠位端
19 加工ヘッド
21 グリップハンドル
22 作動スイッチ
24 押出デバイス
25 押出ピストン
26 押出ピストン
27 スタンプ部材
28 スタンプ部材
29A プッシュロッド
29B プッシュロッド
30 駆動デバイス、電気モータ
31 エネルギー供給、蓄電器
32 駆動デバイス、電気モータ
33 制御デバイス
34 記憶デバイス
40 カートリッジデバイス
41 第1のカートリッジ
42 第2のカートリッジ
43 本体
44 本体
45 第1の端壁
46 第1の端壁
47 第2の端壁
48 第2の端壁
49 混合領域
50 フロントサイド
60 伝送デバイス
61 センサ
62 信号発生器
65 さらなる伝送デバイス
70 出力デバイス
72 記憶デバイス
A 軸方向
V 送り出し方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【国際調査報告】