(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-26
(54)【発明の名称】薬物送達シャトルポンプシステムと弁アセンブリ
(51)【国際特許分類】
F04B 23/00 20060101AFI20220119BHJP
A61M 5/142 20060101ALI20220119BHJP
F04B 53/10 20060101ALI20220119BHJP
【FI】
F04B23/00 B
A61M5/142 500
F04B53/10 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021530276
(86)(22)【出願日】2019-11-27
(85)【翻訳文提出日】2021-05-27
(86)【国際出願番号】 US2019063615
(87)【国際公開番号】W WO2020113006
(87)【国際公開日】2020-06-04
(32)【優先日】2018-11-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519167449
【氏名又は名称】インスレット コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【氏名又は名称】森本 有一
(72)【発明者】
【氏名】スティーブン カーディナリ
(72)【発明者】
【氏名】ルーカス マクガーレン
(72)【発明者】
【氏名】ニコラス ロー
(72)【発明者】
【氏名】イアン マクロフリン
【テーマコード(参考)】
3H071
4C066
【Fターム(参考)】
3H071AA01
3H071BB01
3H071CC33
3H071CC34
3H071DD25
3H071DD42
4C066BB01
4C066CC01
4C066DD11
4C066QQ15
4C066QQ92
(57)【要約】
形状記憶合金(SMA)製のワイヤによって電力供給される多重パルス容積シャトルポンプが開示される。いくつかの実施形態では、シャトルポンプシステムは、ポンプ室と、ポンプ室と共に動作可能な弁と、弁の位置を制御するために弁の弁軸に連結されたワイヤとを有しうる。シャトルポンプシステムは、カムの差込経路内に配置されたピンをさらに有することができ、ピンは、弁軸の作動に応じて差込経路の複数の位置の間で移動可能である。
【選択図】
図14
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャトルポンプシステムにおいて、
前記シャトルポンプシステムは、
ポンプ室と、
前記ポンプ室と共に動作可能な弁と、
前記弁の位置を制御するために前記弁の弁軸に連結されたワイヤと、
カムの差込経路内に配置されたピンと、を備え、
前記ピンは、前記弁軸の作動に応じて前記差込経路の複数の位置の間で移動可能である、シャトルポンプシステム。
【請求項2】
前記シャトルポンプシステムは、
ベースと、
前記ベースのスロット内に配置されたカムブロックであって、前記差込経路を有する、カムブロックと、
前記差込経路内の前記ピンによって前記弁軸と前記カムブロックに連結されたピストン把持部とを更に備える、請求項1に記載のシャトルポンプシステム。
【請求項3】
前記ワイヤは、形状記憶合金(SMA)製のワイヤである、請求項1に記載のシャトルポンプシステム。
【請求項4】
前記差込経路は、高度下降特徴部まで延在している1つ又は複数の傾斜面を備える、請求項1に記載のシャトルポンプシステム。
【請求項5】
前記シャトルポンプシステムは、
ハウジング内のボールベアリングであって、前記ワイヤに連結されている、ボールベアリングと、
開位置と閉位置との間で動作可能な少なくとも1つのゲートであって、前記ゲートが前記閉位置にあるときに前記ボールベアリングの移動が制限される、ゲートとを更に備える、請求項1に記載のシャトルポンプシステム。
【請求項6】
前記シャトルポンプシステムは、前記ワイヤに連結されたカムブラケットをさらに備え、前記差込経路は、前記カムブラケットを通して提供され、前記ピンは、前記ポンプ室の外面から延在する、請求項1に記載のシャトルポンプシステム。
【請求項7】
前記カムブラケットは、前記ポンプ室の前記外面とブラケット壁との間に延在する、請求項6に記載のシャトルポンプシステム。
【請求項8】
前記シャトルポンプシステムは、
前記弁に隣接する室であって、内面に沿った前記差込経路を有する、室と、
前記室内に延在する第2シャフトであって、前記ピンは、前記第2シャフトの先端から延在しており、前記差込経路内での前記ピンの移動によって、前記室を前記第2シャフトの周りで回転させる、第2シャフトとをさらに備える、請求項1に記載のシャトルポンプシステム。
【請求項9】
前記シャトルポンプシステムは、
前記第2シャフトに連結されたストッパと、
前記ストッパに当接された室ばねであって、前記第2シャフトの周囲に延在する室ばねとを更に備える、請求項8に記載のシャトルポンプシステム。
【請求項10】
前記シャトルポンプシステムは、前記弁軸と前記第2シャフトとを共に連結するブラケットをさらに備える、請求項8に記載のシャトルポンプシステム。
【請求項11】
弁アセンブリにおいて、
前記弁アセンブリは、
ポンプ室と共に動作可能な弁と、
前記弁の位置を制御するために前記弁の弁軸に連結されたワイヤと、
カムの差込経路内に配置されたピンとを備え、
前記ピンは、前記弁軸の作動に応じて前記差込経路の複数の位置の間で移動可能である、弁アセンブリ。
【請求項12】
前記ワイヤは、形状記憶合金(SMA)製のワイヤである、請求項11に記載の弁アセンブリ。
【請求項13】
前記差込経路は、高度下降特徴部まで延在している1つ以上の傾斜面を有する、請求項11に記載の弁アセンブリ。
【請求項14】
前記弁アセンブリは、前記ワイヤに連結されたカムブラケットをさらに備え、
前記差込経路は前記カムブラケットを通して提供され、
前記ピンは前記ポンプ室の外面から延在し、前記カムブラケットは、前記ポンプ室の前記外面とブラケット壁との間に延在する、請求項11に記載の弁アセンブリ。
【請求項15】
前記弁アセンブリは、
前記弁に隣接する室であって、内面に沿った前記差込経路を有する室と、
前記室内に延在する第2シャフトであって、前記ピンは、前記第2シャフトの先端から延在し、前記差込経路内での前記ピンの移動によって、前記室を前記第2シャフトの周りで回転させる、第2シャフトと、
前記ワイヤと前記第2シャフトとを共に連結するブラケットと、を更に備える、請求項11に記載の弁アセンブリ。
【請求項16】
前記弁アセンブリは、
前記第2シャフトに連結されたストッパと、
前記ストッパに当接している室ばねとを備え、
前記室ばねは前記第2シャフトの周囲に延在する、請求項15に記載のシャトルポンプシステム。
【請求項17】
装着可能な薬物送達システムにおいて、
前記装着可能な薬物送達システムは、
ポンプ室と、
前記ポンプ室に出入りする流体を制御するように動作可能な弁と、
前記弁の位置を制御するために前記弁の弁軸に連結されたワイヤであって、形状記憶合金(SMA)製のワイヤであるワイヤと、
カムの差込経路内に配置されたピンであって、前記弁軸の作動に応じて前記差込経路の複数の位置の間で移動可能であるピンと、を備えるワイヤとを備える、装着可能な薬物送達システム。
【請求項18】
前記装着可能な薬物送達システムは、
ベースと、
前記ベースのスロット内に配置されたカムブロックであって、前記差込経路を有する、カムブロックと、
前記差込経路内の前記ピンによって前記弁軸と前記カムブロックに連結されたピストン把持部とをさらに備える、請求項17に記載の装着可能な薬物送達システム。
【請求項19】
前記差込経路が、高度下降特徴部まで延在している1つ以上の傾斜面を備える、請求項16に記載の装着可能な薬物送達システム。
【請求項20】
前記装着可能な薬物送達システムは、前記弁軸に連結されたカムブラケットをさらに備え、
前記差込経路が前記カムブラケットを通して提供されており、
前記ピンが前記ポンプ室の外面から延在し、
前記カムブラケットが前記ポンプ室の前記外面とブラケット壁との間に延在する、請求項16に記載の装着可能な薬物送達システム。
【請求項21】
前記装着可能な薬物送達システムは、
前記弁に隣接する室であって、内面に沿った前記差込経路を有する室と、
前記室内に延在する第2シャフトであって、前記ピンは、前記第2シャフトの先端から延在し、前記差込経路内での前記ピンの移動によって、前記室を前記第2シャフトの周りで回転させる、第2シャフトと、
前記弁軸と前記第2シャフトを共に連結するブラケットとをさらに備える、請求項16に記載の装着可能な薬物送達システム。
【請求項22】
前記装着可能な薬物送達システムは、
前記第2シャフトに連結されたストッパと、
前記ストッパ及び前記室の端壁と当接している室ばねであって、前記室内のストッパ及びピンを付勢するために前記第2シャフトの周囲で延在している室ばねとを備える、請求項21に記載の装着可能な薬物送達システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2018年11月28日出願の米国仮特許出願第62/772,547号に対する優先権を主張し、当該出願の全内容が参照することによって本明細書に組み込まれている。いくつかの実施形態は、一般に、シャトルポンプに関する。より詳細には、いくつかの実施形態は、多重パルスシャトルポンプ及び弁アセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
多くの薬物送達装置は、従来の往復ポンピング機構を用いて、リザーバから利用者に流体を送達する。これらの従来の往復ポンピング機構は、典型的には、小型化を提供する1対1の往復ポンピング機構であり、それによって、薬物送達装置全体をより小型でコンパクトにすることが可能になる。
【0003】
さらに、現在のポンピング機構は、利用者がリザーバを充填しかつ流体(例えば、インスリン)を供給することを可能にするための弁スイッチを有する。利用者がリザーバを満たしている間は弁を遮断させられ、ポンプが作動を開始する時に弁は開く必要がある。また、弁はポンプの充填と供給を区別する必要がある。これは、例えば、閉鎖、充填のために開放、供給のために開放などの、弁についての3つの状態を必要とする。しかしながら、これらの従来のポンプの寸法が小型であるために、これらの従来のポンプのための精度公差は、投与精度要件の観点から、満たすことが非常に困難である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、所望の投与精度を達成しながら、小型かつコンパクトにすることができるリザーバと共に使用するために、改良されたポンピング機構が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の1つのアプローチにおいて、シャトルポンプシステムは、ポンプ室と、ポンプ室と共に動作可能な弁と、弁の位置を制御するために弁の弁軸に連結されたワイヤとを有しうる。シャトルポンプシステムは、カムの差込経路内に配置されたピンをさらに有することができ、ピンは、弁軸の作動に応じて差込経路の複数の位置の間で移動可能である。
【0006】
本開示の別のアプローチでは、弁アセンブリは、ポンプ室と共に動作可能な弁と、弁の位置を制御するために弁の弁軸に連結されたワイヤと、カムの差込経路内に配置されたピンを有することができ、ピンは、弁軸の作動に応じて差込経路の複数の位置の間で移動可能である。
【0007】
本開示の別のアプローチでは、装着可能な薬物送達システムは、ポンプ室と、ポンプ室に出入りする流体を制御するように動作可能な弁と、弁の位置を制御するために弁の弁軸に連結されたワイヤとを有することができ、ワイヤは、形状記憶合金(SMA)製のワイヤである。装着可能な薬物送達システムは、カムの差込経路内に配置されたピンをさらに有することができ、ピンは、弁軸の作動に応じて差込経路の複数の位置の間で移動可能である。
【0008】
添付図面は、以下のように、その原理の実用化を含む、本開示の例示的アプローチを示す。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、本開示の実施形態による、多重パルスシャトルポンプシステムの第1例示的実施形態を示す図である。
【
図2】
図2は、本開示の実施形態による、
図1の多重パルスシャトルポンプシステムの一部の横断側面図を示す。
【
図3】
図3は、本開示の実施形態による、
図1の多重パルスシャトルポンプシステムのカムブロックを示す。
【
図4】
図4は、本開示の実施形態による、
図3のカムブロックの上から見下ろした図を示す。
【
図5】
図5は、本開示の実施形態による、
図1の多重パルスシャトルポンプシステムのシャトルポンプの側面図を示す。
【
図6】
図6は、本開示の実施形態による、
図1の多重パルスシャトルポンプシステムと共に使用できる第1代替カムブロックを示す図である。
【
図7】
図7は、本開示の実施形態による、
図6のカムブロックの上から見下ろした図を示す。
【
図8】
図8は、本開示の実施形態による、
図1の多重パルスシャトルポンプシステムと共に使用され得る第2代替カムブロックを示す。
【
図9】
図9は、本開示の実施形態による、
図1の多重パルスシャトルポンプシステムと共に使用され得る第3代替カムブロックを示す。
【
図10】
図10は、本開示の実施形態による
図9のカムブロックの上から見下ろした図を示す。
【
図11】
図11は、本開示の実施形態による、ワイヤを備える第2多重パルスシャトルポンプシステムを示す図である。
【
図12】
図12は、本開示の実施形態による、
図11の多重パルスシャトルポンプシステムの一部の第1拡大図を示す。
【
図13】
図13は、本開示の実施形態による、
図11の多重パルスシャトルポンプシステムの一部の第2拡大図を示す。
【
図14】
図14は、本開示の実施形態によるシャトルポンプシステムの一部を示す図である。
【
図17】
図17Aは、本開示の実施形態によるシャトルポンプシステムの一部を示す図である。
【
図18A】
図18Aは、本開示の実施形態によるシャトルポンプシステムの一部を示す図である。
【
図19A】
図19Aは、本開示の実施形態によるシャトルポンプシステムの一部を示す図である。
【
図20】
図20は、本開示の実施形態による、代替の差込経路を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図面は必ずしも縮尺通りではない。図面は、単なる例示であり、本開示の特定のパラメータを描写することを意図したものではない。図面は、開示の実施形態を描写することを意図したものであり、したがって、範囲を限定するものとみなされるべきではない。図面において、同様な参照番号は同様の要素を表す。
【0011】
更に、図の幾つかの中の特定の要素は、例示的な明瞭さのために、省略されよく、又は、正確でない縮尺で示されている場合がある。断面図は、例示的明瞭さのために、他の点で「真の」断面図で見える特定の背景線を省略した、「断片」又は「近視点」の断面図の形態となっている場合がある。さらに、特定の図面では、いくつかの参照番号を省略している場合がある。
【0012】
本開示は、ワイヤによって動作される多重パルス容積シャトルポンプを生成するための種々のシステム、構成要素及び方法を提示する。本明細書に開示されるシステム、構成要素及び方法の各々は、従来のシステム、構成要素及び方法に対する1つ以上の利点を提供する。本明細書におけるいくつかのアプローチは、多くの異なる形態で実施可能であり、本明細書に記載する実施形態に限定されるものと解釈されるべきではない。その代わりに、これらの実施形態が提供されるので、この開示は、徹底的かつ完全なものとなり、当業者に上記アプローチの技術的範囲を完全に伝えるであろう。
【0013】
様々な態様は、多重パルス容積シャトルポンプを有する。シャトルポンプは、SMA製ワイヤによって給電することができる。SMA製ワイヤは、シャトルポンプのポンピングピストンに連結することができる。ピンは、SMA製ワイヤ及びポンピングピストンに連結することができるピストン把持部に連結することができる。ピンは、移動ガイドのコース内に配置することができる。SMA製ワイヤが、SMA製ワイヤをパルス化するために順次的に駆動及び駆動解除されると、移動ガイド及びピンは、シャトルポンプのストローク長を延長するために応答して移動することができ、それによって、シャトルポンプの精度が向上する。
【0014】
様々な態様は、SMA製ワイヤの使用を可能にしながら、約3:1から5:1の往復ポンプを提供する。ポンプは、様々な設計に従って、3~5パルス後に完全にリセットすることができる。合計ワイヤストロークは、例えば、ポンプの全周期あたりのパルス数によって増加させることができる。その結果、ポンプシステムの特定の構成要素の全体的な大きさは、それが使用される薬物送達装置の全体的な大きさを実質的に増大させることなく、より大きくすることができる。さらに、ストロークが大きくなると、精度公差を満たすのが難しくなくなるので、容積精度が向上する。
【0015】
様々な態様は、複数の状態の間で作動するために「プッシュ-プッシュ(push-push)」機構を使用する。例えば、SMA製ワイヤを用いて、弁が閉じた状態から、充填するために開き、供給するために開く。利用者は、装置のためにリザーバを1回作動させることができるので、弁の閉状態を製造中にのみ採用することができる。SMA製ワイヤの第1作動後、機構は、充填及び供給のために、2つの開状態を循環する。SMA製ワイヤは、弁及び弁軸の摩擦力に抗して、並びに、SMA製ワイヤが非作動状態である間に弁を正しい状態に保持する戻しばねに抗して引張られうる。1つの非限定的な実施において、ピストン室の面に沿って移動するブラケットが、SMA製ワイヤと、複数の状態の間で弁を作動させるために弁軸とに連結される。ピストン室の壁からの押し出しは、ブラケットのトラックを横断するように動作可能なピンとしうる。トラックとピンは、ブラケット又はピストン室のどちらかから交換可能に切り替えることができる。
【0016】
別の非限定的な実施例において、室は、室を形成するシリンダの内壁に沿ったトラックを有する。ピンが室内に延在し、トラックに沿って移動し、複数の状態の間で弁を作動させることができる。ピンは、ブラケットに取り付けられた、角度をつけられた又は曲がった針としうる。ブラケットは、さらに、弁軸に連結することができ、したがって、弁軸が異なる弁状態の間で切り替わるときに、ピン及び弁軸の両方を安定化させる。曲げられた針及び弁軸は、共に直線的に移動することができ、曲げられた針は、室が回転するときに、規定された軌道に追従する。いくつかの実施形態では、戻しばねが、弁軸を異なる保持状態で保持する。
【0017】
図1は、第1例示的実施形態の多重パルスシャトルポンプシステム(以下、「システム」という)を示す図である。システム100は、ベース102と、移動ガイド又はカムブロック104と、シャトルポンプ106と、ポンピングピストン108と、ピストン把持部110と、第1ばね112と、第2ばね114と、第1アンカー又はブロック116と、第2アンカー又はブロック118と、ワイヤ120(例えば、形状記憶合金(SMA))と、ピン122とを有しうる。システム100の構成要素の配置及び動作は、ポンピングピストン108のストロークを延ばすことができ、それによって、シャトルポンプ106及びその動作をより正確にすることができる。
【0018】
図1に示されるように、ポンピングピストン108は、ピストン把持部110に連結され得る。ピストン把持部110は、第1アンカー116及び第2アンカー118にそれぞれ連結されている第1ばね112及び第2ばね114に連結することができる。ポンピングピストン110は、SMA製ワイヤ120にさらに連結される。SMA製ワイヤ120は、SMA製ワイヤ120を駆動するための構成要素(
図1には図示せず)に連結することができる。カムブロック104は、ベース102のスロット132内に配置される。カムブロック104は、ピン122を配置することができるコース又はコース124を有する。ピン122は、ピストン把持部110に連結することができ、又は、その一部とすることができる。第1軸線126(例えば、x軸)及び第2軸線128(例えば、y軸)が参照のために示されており、第1軸線126と第2軸線128は互いに直交している。図示のように、コース124は、カムブロック104に挿入され又は区画され得る。
【0019】
簡単のために、シャトルポンプ106の一部のみが、明瞭にするために簡略化された方法で示された部分と共に示されている。一般に、シャトルポンプ106は、流体を貯留するリザーバ又は室に連結することができ、また、シャトルポンプ106から排出された流体を受け入れることができる出口ポートに連結することもできる。
【0020】
作動中、SMA製ワイヤ120を駆動させて、ピストンポンプ108を引張ることができる。SMA製ワイヤ120は、第1アンカー116及び第2アンカー118から離れるように、ピストンポンプ108をy軸128に平行な第1方向に移動しようとすることができる。SMA製ワイヤ120が駆動されない場合、SMA製ワイヤ120は緩和することができ、第1ばね112及び第2ばね114は、第1アンカー116及び第2アンカー118に向かって、y軸128に平行な第2方向(例えば、第1方向とは反対の方向)にピストンポンプ108を移動しようとすることができる。
【0021】
SMA製ワイヤ120の駆動及び駆動解除は、ピン122をコース124を横断させることができる。コース124を通るピン122の移動を提供するように、カムブロック104はスロット132内を移動することができる。様々な態様では、カムブロック104は、SMA製ワイヤ120が代替的に駆動及び緩和されるときに、x軸126に平行な方向に移動することができ、それによって、ピン122(及びポンピングピストン110)が、コース124を横断しながら、y軸128に平行な方向に移動することができる。一般に、システム100の動作によって、ピン122(及びポンピングピストン108)をy軸128に平行な方向に(例えば、直線的に)移動させつつ、カムブロックがx軸126に平行な方向に移動する。
【0022】
システム100の全ストロークは、コース124の全体を横断するピン122に対応しうる。SMA製ワイヤ120の駆動は、システム100のパルスに対応しうる。各パルスについて、ピン122は、コース124の一部を横断する。システム100の全ストロークの一部は、コース124の一部を横断するピンに対応しうる。本明細書に記載されるように、コース124は、各パルスに対応するピン122の指定位置又は状態を提供するように整形することができ、及び/又は、各パルスに対応するピン122の指定位置又は状態を提供する特徴を有しうる。本明細書に記載されるように、SMA製ワイヤ120の順次的な駆動及び駆動解除により、ピストンポンプ108のストロークを延長又はより長くすることができる。
【0023】
基準要素130は、
図2に示されるシステム100の視点を表す。
図1は、システム100の第1図を表すことができる。
【0024】
図2は、システム100(又はその一部)の第2図を示す。
図2は、
図1に示す視点130から見たシステム100(又はその一部)の側断面図を表すことができる。図示されるように、ピン122は、第1コース部分206と第2コース部分208と第3コース部分210を有しうるコース124内に配置される。ピン122は、第1コース部分206内に配置することができ、下降部分又は突起212によって第2コース部分208内に移動するのを制限することができる。下降部分212は、コース124内の特定の方向へのピン122の移動を保証することができるコース124の特徴部の一例としうる。様々な態様では、ピン122は、所望の方法で第2コース部分208から第1コース部分206へ横断することができ、次いで、(例えば、後方へ)第2コース部分208へ戻る移動を制限させることができる。
【0025】
図2にさらに示されるように、SMA製ワイヤ120をピストン把持部110に接続するために、接続部又は連結部202が設けられている。任意のタイプの接続部又は連結部202を使用することができる。ピストン把持部110は、ピン122に連結されたフィンガーばね204を有しうる。フィンガーばね204は、ピン122が、本明細書に記載されるように、コース124の形状及び/又は特徴部を横断するように(例えば、
図2のピンの図示に対して上下に)移動できるようにすることができる。
【0026】
図3は、カムブロック104を示す。図示のように、コース124は、異なる部分を有しうる。第1部分302は、コース124の第1部分を表すことができる。ピン122が第1部分302に沿って進むと、ポンピングピストン108は、流体を貯蔵するリザーバに通じうる。したがって、ピンが第1部分302を横断するときに、ポンピングピストン108は、リザーバ内に貯蔵された流体で再装填され得る。第1部分302は、傾斜させることができ、例えば、傾斜路を形成する。第1下降部分308は、コース124の第1部分302と第2部分304-1との間に配置することができる。第1下降部分308は、第1部分302と第2部分304-1のインターフェイスによって形成されてもよく、又はそのインターフェイスに配置されうる。
【0027】
図3にさらに示されるように、コース124は、第3部分306-1と第4部分304-2と第5部分306-2と第6部分304-3とを有しうる。第2部分304-1と第4部分304-2と第6部分304-3は、同様に整形され及び/又は傾斜しうる。すなわち、第2部分304-1と第4部分304-2と第6部分304-3は、それぞれ、同じ方向に向けられた傾斜又は傾斜路を形成することができる。第3部分306-1及び第5部分306-2は、例えば、第2部分304-1と第4部分304-2と第6部分304-3の整形及び/又は傾斜とは反対の方法で、同様に整形及び/又は傾斜させることができる。ピン122が第2部分304-1と第3部分306-1と第4部分304-2と第5部分306-2と第6部分304-3を横断するとき、ピストンポンプ108は、ピストンポンプ108から排出される液体を送達システムに供給することができるポートに通じることができる。
【0028】
順次的な又は隣接する部分の間のインターフェイスは、コース124を横断するときにピン122の移動をガイドするための下降部分を有しうる。第1下降部分308と共に、第2下降部分310は、部分304-1と部分306-1との間に配置することができ、第3下降部分312は、部分306-1と部分304-2との間に配置することができ、第4下降部分314は、部分304-2と部分306-2との間に配置することができ、第5下降部分316は、部分306-2と304-3との間に配置することができ、第6下降部分318は、部分304-3と302との間に配置することができる。
【0029】
コース124の異なる部分の傾斜と、コース124の異なる部分の間に配置された下降部分とによって、ピン122が、SMA製ワイヤ120の順次的な駆動/駆動解除に基づいて、経路に沿って所望のルートを横断することを保証することができる。例えば、ピン122は、部分304-1を横断した後、ピン122は、部分304-1の上昇部分から部分306-1の下側部分に下降することができ、部分304-1の上昇部分と部分306-1の下側部分との間のインターフェイスが下降部分310を形成する。下降部分310は、ピン122が部分306-1から部分304-1内に戻るのを防ぐことができる。
【0030】
図4は、カムブロック104の上から見下ろした図を示す。図示のように、
図4は、(例えば、参照番号420が付けられたルートによって集合的に参照される矢印の配列によって示されるように)ピン122のルート402を示す。様々な態様では、カムブロック104の関連する移動に関連して、ピン122にコース124のルート402を横断させるために、SMA製ワイヤ120を順次的に駆動及び駆動解除させることができる。一例として、ピン122は、部分302を横断することができ、次いで、部分304-1、部分306-1、部分304-2、部分306-2、部分304-3を横断してから、部分302に戻ることができる。様々な態様では、システム100の全ストロークは、
図4において「1」と付けされた初期位置で始まり、初期「1」位置に戻るピン122に対応する。
【0031】
ピン122によって横断されるルート402は、複数のパルスに分断され得る。コース124によって提供される特徴に関連する、SMA製ワイヤ120の制御に基づいて、ピン122によって横断されるルート402は、2つ以上のパルスに分断され得る。ある実施形態において、ピン122によって横断されるルート402は、3つ以上のパルスに分断され得る。各パルスは、SMA製ワイヤ120の(例えば、緩和された後の)駆動に対応しうる。ピン122のさらなる位置又は状態は、
図4において「2」及び「3」と付けされた後続の位置によってさらに示される。ある実施形態において、位置「2」は、SMA製ワイヤ122の第2パルス及び第3パルスの後のピン122の位置を表すことができる。さらに、ピン122の複数の位置の間の距離は、システム100の各パルスのストロークを表すことができる。例えば、距離404は、位置「2」と位置「3」の間のパルスのストロークを、例えば、第2パルスと第3パルスの間のストロークを表すことができる。図示のように、距離402は、y軸128に沿っている。他の示された複数の位置の間の同様の距離は、システム100の全ストロークを提供するように決定することができる。
【0032】
図5は、シャトルポンプ106の拡大側面図を示す。図示のように、シャトルポンプ106は、ピストン把持部110に連結されたポンピングピストン108を有しうる。図に示されるように、シャトルポンプ106は、簡略化された方法で示される。一般的に、シャトルポンプ106は、ポンピングピストン108に吸引され、次いで、ポンピングピストン108が液体で再装填される前に、ポンピングピストン108から排出され得る液体のリザーバに連結され得る。様々な態様では、システム100は、ポンピングピストン108から排出された液体が薬物送達システムの使用者又は患者に提供され得るように、薬物送達システムの構成要素としうる。
【0033】
図6は、第1代替カムブロック(又は移動ガイド)602を示す。カムブロック602は、カムブロック602に挿入又は形成された経路又はコース604を有する。カムブロック602は、カムブロック104の代替として使用することができる。図示のように、カムブロック602は、第1軸線に沿って延在又は延在する第1部分606と、第1軸線に垂直に延在又は続いている第2軸線に沿って延在又は続いている複数の第2部分608とを有しうる。参考のために、第1軸線はy軸とみなすことができ、第2軸線はx軸とみなすことができる。したがって、第1部分606はy軸に沿って配向され、第2部分608はx軸に沿って配向される。カムブロック602は、例えば、カムブロック104に対して、部分606及び608の配置/配向に基づいて、x軸に沿って、より小さくすることができ、それによって、カムブロック602を有するシステムをより小さくかつよりコンパクトにすることができる。一実施形態では、ポンピングピストン108が連結されたリザーバからより多くの流体を引き込むようになっている時、部分606がピン122(
図6に示されていない)によって横断されることができ、ポンピングピストン108が複数のパルスにわたって吸引された流体を利用者に送り出す(例えば、吸引された流体を排出する)時、部分608がピン122(によって横断されることができる。
【0034】
図7は、カムブロック602の上から見下ろした図を示す。
図7に示すように、カムブロック602は、(SMA製ワイヤ102及び第1ばね112及び第2ばね114に対して)第2SMA製ワイヤ702及び第3ばね704と併せて使用することができる。部分608は、完全にx軸126に沿って配向されるので、SMA製ワイヤ702及びばね704を使用して、カムブロック602の作動を容易にすることができる。一実施形態によると、SMA製ワイヤ702は、各パルスについて第1方向(例えば、x軸126に対して正のx方向)にカムブロック602を引張ることができ、ばね704は、カムブロック602を第2反対方向(例えば、負のx方向)に押し戻すことができる。SMA製ワイヤ120は、ポンピングピストン108が連結されたリザーバから流体を引き込む(又はシステムをリセットする)毎に、ポンピングピストン108(いずれも簡略化のために
図7には示されていない)を引張ることができる。
【0035】
図8は、第2代替カムブロック(又は移動ガイド)802を示す。カムブロック802は、カムブロック802に挿入又は形成された経路又はコース804を有する。カムブロック802は、カムブロック104の代替として使用することができる。図示のように、カムブロック602は、第1部分806と、第2部分808と、第3部分810とを有しうる。ピン122(図示せず)は、部分806、部分808及び部分810を横断して、ポンピングピストン108に、連結されたリザーバから流体を吸引させ、次いで、吸引された流体をポンピングピストン108から排出させることができる。一実施形態によると、ピン122にコース804を横断させるために、カムブロック802を1つ又は複数の追加のSMA製ワイヤ又はばねと共に使用することができる。図示されるように、一実施形態において、カムブロック802はより小さくかつよりコンパクトにすることができ、それにより、カムブロック104及びカムブロック602が、カムブロック802を使用する薬物送達装置をより小型でコンパクトにすることができる。
【0036】
図9は、第3代替カムブロック(又は移動ガイド)902を示す。カムブロック902は、カムブロック902に挿入又は形成された経路又はコース904を有する。カムブロック902は、カムブロック104の代替として使用することができる。コース904は、複数の異なる部分を有しうる。さらに、カムブロック902は、図示されるように、コース904の隣接する複数の部分の間(例えば、界面において)に配置された複数の下降部分又は突起906を有しうる。
【0037】
図10は、カムブロック902の上から見下ろした図を示す。図示のように、カムブロック902は、例えば、参照番号1002と付けられたルートによって集合的に参照される矢印の配列によって示されるように)ピン122のルート1002を有する。様々な実施形態では、カムブロック902の関連する移動に関連してピン122にコース904のルート1002を横断させるために、SMA製ワイヤ120を順次的に駆動及駆動解除させることができる。一実施形態では、ピン122の例示的な位置は、「1」、「2」及び「3」と付けされて示されている。「1」において、ピン122は、SMA製ワイヤ120の駆動に基づいて、傾斜路又は傾斜を引き上げることができる。「2」において、ピン122は、下降部分906を越えて下降することができ、後方に移動することを制限することができる。位置「2」に到達するピン122は、システムの単一パルスに対応しうる。「3」において、ピン122は、隣の下降部分906を越えて下降することができ、SMA製ワイヤ120の作動によって、コース904の隣のスロット又は部分に移動することができる。このプロセスを繰り返して、ピン122がコース904に沿ってルート1002を横断するようにすることができる。
【0038】
図11は、第2例示的実施形態の多重パルスシャトルポンプシステム(以下「システム」という)1100を示す。システム1100は、SMA製ワイヤ120と、ハウジング1114と、ボールベアリング1102と、トラック1104と、第1ゲート1106と、第1バックストップ1108と、第2ゲート1110と、ゲートアクチュエータ1112とを有しうる。SMA製ワイヤ120は、ポンプ、例えば、ポンピングピストン108に取り付けることができる。ボールベアリング1102は、SMA製ワイヤ120に堅固に接続することができる。トラック1104は、ボールベアリング1102のためのガイドを提供することができる。特に、ボールベアリング1102は、SMA製ワイヤ120の作動によって決定されるように、ピストンポンプ108の直線運動に従って、ハウジング1114と共にトラック1104に沿って前後に移動することができる。
【0039】
第1ゲート1106は、第1ゲート1106を越えてボールベアリング1102の移動を可能にする、開位置で示されている。ゲートバックストップ1108は、閉位置にあるときに、第1ゲート1106があまりに遠くに揺れないように阻止することができる。第2ゲート1110は、閉位置で示されており、第2ゲート1110を通過する方向へのボールベアリング1102のさらなる移動を制限することができる。ボールベアリング1102の移動を制限することによって、第2ゲート1110(又は任意の閉じたゲート)は、例えば、所定の容積間隔でポンピングピストン108の充填プロセスを中断することによって、ポンピングピストン108の動作を中断することができる。ゲートアクチュエータ1112は、第2ゲート1110の動作を制御することができる。各ゲートは、対応するゲートアクチュエータによって、開位置又は閉位置になるように制御することができる。
【0040】
任意の数のゲートがシステム1100と共に使用され得るので、システム1100は示されるゲートの数に限定されない。更に、各ゲートは、対応するゲートに対して閉位置を設定するためにゲートバックストップを伴うことができる。SMA製ワイヤ120が駆動されると、開放ゲート1106から閉鎖ゲート1110に向かって(例えば、ハウジング1114の閉鎖端に向かって)ボールベアリング1102を引張ることができる。SMA製ワイヤ120が駆動解除されると、ボールベアリング1102は、反対方向に引張られることができる。各方向について、ボールベアリング1102の移動は、ゲート1106及び1110によって調節され、流体によるポンピングピストン108の充填を制御し、ポンピングピストン108から流体を排出するのを制御することができる。特に、ゲート1106及び1110は、SMA製ワイヤ120のパルスに基づいて、固定された所定の間隔又は位置で、ボールベアリング1102の移動及びポンピングピストン108の対応する直線運動を制御することができる。
【0041】
図12は、システム1100の一部の第1拡大図を示す。示されるように、SMA製ワイヤ1202は、ゲートアクチュエータの一部として使用され得る。例えば、ゲートに連結されたレバー1204は、駆動されるいくつかのSMA製ワイヤ1202の内の1つによって引張られ、対応するゲートを開閉することができる。このようにして、各ゲートの状態を制御することができる。
【0042】
図13は、システム1100の一部の第2拡大図を示す。一実施形態では、ゲート1110と、対応するバックストップと、ボールベアリング1102(図示せず)とを使用して、電気接触センサとして動作させることができる。このようにして、それぞれのゲートを制御するためのSMA製ワイヤ108又はSMA製ワイヤ1202をいつ駆動/駆動解除させるかを決定することができるように、ボールベアリング1102の位置をシステム1100の動作中に決定することができる。
【0043】
図14は、本開示の実施形態による、シャトルポンプシステム(以下「システム」という)1400の一部を示す。示されるように、システム1400は、流体(例えば、インスリン)を貯蔵するためのリザーバとしうる、ポンプ室1440を有する。ポンプ室1440は、弁1447を有する弁アセンブリ1445に一体的に形成又は連結されうる。本明細書でより詳細に説明されるように、弁1447は、ポンプ室1440と動作可能であり、ポンプ室1440から流体を充填及び供給するための2つの開状態を循環する。システム1400は、弁軸1408に連結されたワイヤ1420をさらに有することができ、ワイヤ1420は、ワイヤ1420が(例えば、負のx方向に)引張られると、弁軸1408を移動させうる。いくつかの実施態様において、ワイヤ1420は、形状記憶合金(SMA)製のワイヤである。
【0044】
システム100は、システム1400のカムブラケット1450をさらに有しうる。図示のように、カムブラケット1450は、ワイヤ1420と弁軸1408とを共に連結しうる。いくつかの実施形態では、カムブラケット1450は、弁軸1408と係合する一対の渦巻いた先端1451、1452を有する。図示のように、弁軸1408は、第2部分1408-2に垂直に延在する第1部分1408-1を有しうる。例えば、第1部分1408-1は、概して、x方向に平行に延在し、第2部分1408-2は、概して、y方向に平行に延在しうる。いくつかの実施形態では、渦巻いた先端1451は、ワイヤ1420に直接的に連結され、渦巻いた先端1452は、1つ以上のばね1454に連結されうる。動作中、ばね1454は、カムブラケット1450を正のx方向に沿って付勢することができ、一方、ワイヤ1420は、引張られると、負のx方向に沿ってカムブラケット1450に付勢することができる。その整合を維持するために、カムブラケット1450は、ポンプ室1440の外面1458とブラケット壁1460との間に配置されうる。いくつかの実施形態では、ブラケット壁1460は、弁1447及びポンプ室1440の両方に連結される。
【0045】
図14及び
図15Aに示されるように、カムブラケット1450は、非対称の差込経路1404を有するカム1461をさらに有することができ、ポンプ室1440の外面1458から延在するピン(図示せず)は、動作中に差込経路1404を横断するように構成されている。いくつかの実施態様では、差込経路1404は、カムブラケット1450の第1主側面1462と第2主側面1463との間に完全に又は部分的に延在しうる。代替の実施形態では、カム1461及び差込経路1404は、ポンプ室1440の外面1458に沿って設けられ、一方、ピンは、カムブラケット1450の第2主側面1462に沿って設けられうる。
【0046】
図15Bは、カム1461及び差込経路1404をより詳細に示す。図示のように、差込経路1404は、一次ループ1471に接続された第1分岐部1470を有しうる。
図15Bの丸(1)、丸(2)及び丸(3)は、弁1447の3つの一次状態を表す。例えば、状態(1)は、弁1447が閉じている第1保持状態に対応し、状態(2)は、弁1447が開いて充填している状態に対応し、状態(3)は、弁1447が開いている状態及び供給している状態に対応する。いくつかの実施形態では、状態(1)は、例えば、製造中に、弁アセンブリ1145のライフサイクルにおいて1回のみ発生し得る。ピンが一次ループ1471に入った後、ピン位置は状態(2)と状態(3)の間で交互に切り替わる。いくつかの実施態様において、ブラケット1450は、x方向及びy方向のみに移動するように構成される。
【0047】
図16A~
図16Eに戻り、
図15Bの差込経路1404を参照して、本開示の実施形態によるシステム1400のさらなる動作をより詳細に説明する。
図16Aに示されるように、弁アセンブリ1445は、
図15Bに示される状態(1)などの初期の閉状態としうる。ピン1475は、差込経路1404の第1分岐部1470内に配置されうる。図示のように、弁軸1408を通して形成される開口部1476、1477及び1478の全ては、弁1447の第1内側シリンダ1479によって覆われる。ワイヤ1420が緩和状態にあるとき、ばね1454は、ブラケット1450及び弁軸1408を正のx方向(すなわち、右側に向かって)に引張る。
【0048】
図16Bに示されるように、次いで、ワイヤ1420は、負のx方向(すなわち、左側に向かって)に引張られ、ブラケット1450及び弁軸1408も負のx方向に移動させる。それに応じて、ピン1475は、差込経路1404の第1ノッチ1481に入って係合しうる。次に、開口部1476、1477及び1478は、弁1447の第2内側シリンダ1480によって覆われうる。第1内側シリンダ1479と第2内側シリンダ1480は、間隙1482によって互いに分離されうる。距離「D1」によって示されるように、第1分岐部1470から第1ノッチ1481に移動するピン1475は、ワイヤ1420の最大ストロークを表す。
【0049】
図16Cに示されるように、ワイヤ1420の張力が解放又は緩和され得、ブラケット1450は、概して、正のx方向及び負のy方向に移動し、弁軸1408は、ばね1454のばね力によって正のx方向に移動する。それに応じて、ピン1475は、差込経路1404の第2ノッチ1483に入って係合しうる。開口部1476及び1477は、弁1447の第2内側シリンダ1480によって覆われたままであるが、開口部1478は、間隙1482内で露出される。弁軸1408のこの位置では、弁アセンブリ1445は、
図15Bに示される状態(2)などの第1開状態とすることができ、これによって、ポンプ室1440が充填されることが可能になる。
【0050】
図16Dに示されるように、ワイヤ1420の張力を増加させ、ブラケット1450を、概して、負のx方向及び負のy方向に移動させうる。それに応じて、ピン1475は、差込経路1404の第3ノッチ1484に入って係合しうる。弁軸1408が負のx方向に移動することによって、再び、弁軸1408の開口部1476、1477及び1478を弁1447の第2内側シリンダ1480によって覆う。
【0051】
図16Eに示されるように、ワイヤ1420の張力は解放又は緩和され得、ブラケット1450を、概して、正のx方向及び正のy方向に移動させ、弁軸1408は、ばね1454のばね力によって正のx方向に移動する。それに応じて、ピン1475は、差込経路1404の第4ノッチ1485に入って係合しうる。開口部1477及び1478は、弁1447の第1内側シリンダ1479によって覆われるが、開口部1476は、間隙1482内で露出される。弁軸1408のこの位置では、弁アセンブリ1445は、
図15Bに示される状態(3)などの第2開状態とし、これによって、ポンプ室1440は、そこから液体薬物(例えば、インスリン)を供給することが可能になる。
【0052】
図17A~
図17Cに戻ると、本開示の実施形態によるシャトルポンプシステム(以下「システム」という)1700の一部について説明する。示されるように、システム1700は、流体(例えば、インスリン)を貯蔵するためのリザーバとしうる、ポンプ室1740を有する。ポンプ室1740は、弁1747を有する弁アセンブリ1745に一体的に形成又は連結されうる。弁1447は、ポンプ室1740と動作可能であり、ポンプ室1740から流体を充填及び供給するための2つの開状態を循環する。システム1700は、弁軸1708に連結されたワイヤ1720をさらに有することができ、ワイヤ1720が(例えば、正のx方向に)引張られると、ワイヤ1720によって弁軸1708を移動させうる。いくつかの実施形態では、ワイヤ1720は、形状記憶合金(SMA)製のワイヤである。
【0053】
さらに示されるように、弁アセンブリ1745は、弁1747に隣接する室1748を有することができ、室1748は、その内面に沿った非対称の差込経路1704を有する。弁アセンブリ1745は、室1745内に延在する第2シャフト1750をさらに有することができ、ピン1775は、第2シャフト1750の先端から延在し、差込経路1704内でのピン1775の移動によって、室1748は、第2シャフト1750の回りで回転する。図示のように、第2シャフト1750は、曲げられた針として構成することができ、ピン1775は、概して、第2シャフト1750の残部に対して垂直に延在する。差込経路1704は、室1748の内部を包囲し、ピン1775を所望のコースに従うように制限する。
図17Bの差込経路1704に沿った番号(1)、(2)及び(3)は、ピン1775及び第2シャフト1750の異なる保持位置又は状態に対応する。いくつかの実施態様では、差込み経路1704は、室1748の内孔1749内を続いている。しかしながら、差込経路1704は、室1748の壁を完全には貫通しておらず、したがって、中実の円柱状の外面1781を室1748に設けうる。
【0054】
弁アセンブリ1745は、弁軸1708と第2シャフト1750とを共に連結するブラケット1751を有しうる。限定的ではないが、ブラケット1751は、第2シャフト1750を受け入れる円柱状のレセプタクル1753と、弁軸1708を受け入れる渦巻いたアーム1753とを有するプレートとして構成されうる。図示のように、ワイヤ1720は、ブラケット1751に直接的に連結されうる。
【0055】
図17Cに最良に示されるように、いくつかの実施形態では、弁アセンブリ1745は、第2シャフト1750に連結されるストッパ1757と、ストッパ1757と当接する室ばね1759とをさらに有しうる。図示のように、室ばね1759は、室1748内でストッパ1757及びピン1775を負のx方向に付勢して、第2シャフト1750の周囲に延在しうる。ワイヤ1720がx方向に引張られると、室ばね1759は、室1748の端壁1761に対して圧縮される。
【0056】
図17A~
図17Cに示す初期状態において、室ばね1759によって、ストッパ1757及びピン1775を差込経路1704の第1ノッチ1763に押し込む。第2シャフト1750のこの位置では、弁アセンブリ1745は、
図17Bに示される状態(1)などの閉状態としうる。その結果、弁軸1708を貫通して形成される開口部1776、1777及び1778(
図17A)の全ては、弁1747の第1内側シリンダ1779によって覆われうる。ワイヤ1720を緩和状態にすると、室ばね1759によって、弁軸1708及び第2シャフト1750を負のx方向に(すなわち、左側に向かって)押す。
【0057】
次に、
図18A~
図18Cで実証されているように、ワイヤ1720は、正のx方向に(すなわち、右側に向かって)引張られ、ブラケット1751、弁軸1708及び第2シャフト1750も正のx方向に移動させる。ワイヤ1720が引張られると、室1748は、ピン1775に関して回転し、ピン1775を最初に差込経路1704の第2ノッチ1765に入って係合させうる。次いで、ワイヤ1720を解放又は緩和させ、室ばね1759からのばね力に応じて、ブラケット1751、弁軸1708及び第2シャフト1750を負のx方向に移動させうる。次いで、ワイヤ1720が緩和されている間、ピン1775は第3ノッチ1767に入って係合しうる。
図18Aに示されるように、開口部1776及び1777は、弁1747の第1内側シリンダ1779によって覆われたままである。しかしながら、開口部1778は、間隙1782内で露出される。弁軸1708のこの位置では、弁アセンブリ1745は、充填のために弁1747をポンプ室1740に接続する、
図18Bに示される状態(2)などの第1開状態としうる。
【0058】
次に、
図19A~
図19Cで実証されているように、ワイヤ1720が再び正のx方向に引張られ、ブラケット1751、弁軸1708及び第2シャフト1750も正のx方向に移動する。ワイヤ1720が引張られると、室1748は、ピン1775が差込経路1704の第4切欠き1769に入って係合するまで再び回転する。次いで、ワイヤ1720を解放又は緩和させると、ピン1775が第5切欠き1771に入って係合するまで、ブラケット1751、弁軸1708及び第2シャフト1750を負のx方向に移動させうる。
図19Aに示されるように、開口部1777及び1778は、弁1747の第2内側シリンダ1780によって覆われる。しかしながら、開口部1776は、間隙1782内で露出される。弁軸1708のこの位置では、弁アセンブリ1745は、患者に液体薬物を供給するために弁1747を開く、
図19Bに示される状態(3)などの第2開状態としうる。液体薬物が供給された後、ピン1775が差込経路1704の先端1772に到達するまで、ワイヤ1720を再び引張ることができる。いくつかの実施形態では、ピン1775は、ピン1775が第1ノッチ1763に係合された状態(1)などの閉状態に差込経路1704に沿って戻ることができる。
【0059】
図20は、本開示の実施形態による、代替の差込経路2004を示す。ここで、ピン(図示せず)は、閉位置又は状態(1)で始まり、次いで、ワイヤの作動時に開状態(2)と開状態(3)との間を循環する。先の実施形態と同様に、開状態(2)は、ポンプ室が充填される状態に対応し、開状態(3)は、流体がポンプ室から供給される状態に対応しうる。本実施形態では、シャフトがばねによって状態(3)に押し戻されると、シャフトが第1ノッチ2072に到達するまで、シャフトは上側壁2070に沿って移動して上側壁2070と係合し得る。次いで、差込経路2004は、ピンを、開状態(2)に対応する第2ノッチ2073に下降させるように構成される。
【0060】
前述の議論は、図示及び説明の目的で提示されており、本開示を本明細書に開示される形態に限定することを意図していない。例えば、本開示の種々の特徴は、本開示を合理化する目的で、1つ又は複数の態様、実施形態又は構成で共にグループ化されうる。しかしながら、本開示の特定の態様、実施形態、又は構成の種々の特徴は、代替の態様、実施形態、又は構成と組み合わされうることを理解されたい。
【0061】
本明細書で使用されるように、単数項に記載されかつ「a」又は「an」という語が付く要素又はステップは、排除する意図が明示的に言及されない限り、複数の要素又はステップを排除しないものとして理解されるべきである。さらに、本開示の「一実施形態(one embodiment)」を参照することは、同様に記載された特徴を組み入れるさらなる実施形態の存在を排除するものと解釈されるべきではない。
【0062】
本明細書における「有する(including)」、「備える(comprising)」、又は「有する(having)」という語及びそれらの変形の使用は、その後に列挙された項目及びその均等物並びに追加の項目を包含することを意味する。したがって、「有する(including)」、「備える(comprising)」、又は「有する(having)」という語及びそれらの変形は、自由な表現であり、本明細書において互換的に使用することができる。
【0063】
本明細書で使用される、「少なくとも1つ」、「1つ以上」、及び、「及び/又は」という語は、有効で接続的かつ離接的な自由な表現である。例えば、「A、B及びCの内の少なくとも1つ」、「A、B又はCの内の少なくとも1つ」、「A、B及びCの内の1つ以上」、「A、B又はCの内の1つ以上」、及び/又は、「A、B及び/又はC」という語は、A単独、B単独、C単独、A及びB、A及びC、B及びC、又は、A、B及びCを意味する。
【0064】
全ての方向基準(例えば、近位(proximal)、遠位(distal)、上側(upper)、下側(lower)、上方(upward)、下方(downward)、左側(left)、右側(right)、横方向(lateral)、長手方向(longitudinal)、前方(front)、後方(back)、上部(top)、下面(bottom)、上に(above)、下に(below)、垂直(vertical)、水平(horizontal)、半径方向(radial)、軸方向(axial)、時計回り(clockwise)、及び、反時計回り(counterclockwise))は、本開示の読者の理解を助けるための識別目的のためにのみ使用されているだけであり、特に、本開示の位置、方向、又は使用に関して制限を生じない。接続の基準(例えば、取付、連結、接続、及び、接合)は、広く解釈されるべきであり、特に示されない限り、複数の要素からなる集合の間の中間部材と、複数の要素の間の相対的な移動を含みうる。このように、接続の基準は、必ずしも2つの要素が直接的に接続され、互いに固定された関係にあると推測するものではない。
【0065】
さらに、同定基準(例えば、一次、二次、第1、第2、第3、第4等)は、重要性又は優先度を意味することを意図したものではなく、一つの特徴を他の特徴と区別するために使用される。図面は単なる図示を目的とするものであり、本明細書に添付された図面に反映される寸法、位置、順序及び相対的な大きさは変わり得る。
【0066】
さらに、「実質的」又は「実質的に」という語、並びに、「おおよその(approximate)」又は「約(approximately)」は、いくつかの実施形態では交換可能に使用することができ、当業者が許容する任意の相対的尺度を用いて記述することができる。例えば、これらの語は、意図された機能を提供することができる偏差を示すために、基準パラメータに対する比較の役目を果たすことができる。限定的ではないが、基準パラメータからの偏差は、例えば、1%未満、3%未満、5%未満、10%未満、15%未満、20%未満等の量としうる。
【0067】
さらに、本明細書に開示される種々の方法は、一連の行為又は事象として記載されるが、本開示は、特に記載されない限り、そのような行為又は事象の図示の順序付けによって制限されない。例えば、幾つかの行為は、本開示に従って、本明細書に図示され及び/又は記載されたものとは別の他の行為又は事象が異なる順序で及び/又は同時的に発生し得る。加えて、本開示による方法を実施するために、全ての図示の行為又は事象が要求されるわけではない。さらに、本方法は、本明細書に図示されて説明された構造の形成及び/又は処理、並びに、図示されない他の構造と関連して実施することができる。
【0068】
本開示の範囲は、本明細書に記載した具体的な実施形態に限定されるものではない。上述したもの以外の本開示の様々な実施形態及び変形例は、本明細書に説明したものと同様に、上述の説明及び添付図面から当業者には明らかである。このため、そのような上記以外の実施形態及び変形例は、本開示の範囲に含まれるものである。さらに、本開示は、本明細書において、特定の目的のための特定の環境における特定の実施という観点で説明されてきた。当業者であれば、その有用性はこれに限定されるものではなく、本開示は、任意の数の目的のために、任意の数の環境において有益に実施され得ることを認識するであろう。したがって、以下に記載される請求項は、本明細書に記載される本開示の全幅及び精神に鑑みて解釈される。
【国際調査報告】