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特表2022-510243回転力を増加させるためのクランク可変速ギア装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-26
(54)【発明の名称】回転力を増加させるためのクランク可変速ギア装置
(51)【国際特許分類】
   B62M 11/14 20060101AFI20220119BHJP
   B62M 9/00 20060101ALI20220119BHJP
   F16H 3/44 20060101ALI20220119BHJP
【FI】
B62M11/14
B62M9/00 A
F16H3/44 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021530304
(86)(22)【出願日】2019-11-08
(85)【翻訳文提出日】2021-05-26
(86)【国際出願番号】 KR2019015180
(87)【国際公開番号】W WO2020111569
(87)【国際公開日】2020-06-04
(31)【優先権主張番号】10-2018-0147326
(32)【優先日】2018-11-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521229500
【氏名又は名称】スピードテック カンパニー リミテッド
(71)【出願人】
【識別番号】521229511
【氏名又は名称】ハン,ザン ヨン
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】特許業務法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ハン,ザン ヨン
(72)【発明者】
【氏名】ソ,ダル ウォン
【テーマコード(参考)】
3J528
【Fターム(参考)】
3J528EA25
3J528EB33
3J528EB35
3J528EB42
3J528EB64
3J528FB06
3J528FC13
3J528FC23
3J528GA19
3J528HA27
3J528JA01
(57)【要約】
【課題】変速効率に優れ、動力伝達構造が簡単で、クランク可変速ギアを小型化できるクランク可変速ギア装置を提供する。
【解決手段】クランク可変速ギア装置のハウジングにはギアアセンブリーと、ラッチアセンブリーが配置される。ギアアセンブリーは、第1ラッチ止め部が形成されたサンギア、遊星ギア、及びリングギアを含む。ラッチアセンブリーは、多数のラッチサイトが形成されたラッチ本体、ラッチサイトの多数の第1ラッチ、ラッチ本体内部に挿入配置されて第2ラッチ止め具が形成されたラッチリング、サンギアの放射状外面上の第2ラッチ挿入溝に配置されて第2ラッチ止め具に上段部がかかる第2ラッチ、ラッチ本体内に配置されるラッチガイド、ラッチ本体の放射状外面上のロックリング、及びラッチ本体の一側面上に固定される締結ブラケットを含む。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自転車のフレーム構造体(F)に設けられたシェル(S)内で軸ハウジング(110)により回転可能に支持されるクランク軸(112)、及び前記クランク軸(112)の両端部で相互位相が反対になるように対称をなして内側端部がそれぞれ固定装着される一対のクランクアーム(114、116)を含む自転車用クランク可変速ギア装置(100)において、
(a)前記クランク軸(112)上に装着されるハウジング(120)を備え、前記ハウジング(120)の内部には中央開口部(121)が貫通して形成されて、前記ハウジング(120)の第1側放射状内部にはリセス(122)が形成されて、前記ハウジング(120)の第2側にはチェーンリング装着部(123)が前記ハウジング(120)の他側から一定長さだけ突出して形成され、
(b)前記ハウジング(120)の内部と前記リセス(122)に配置されるギアアセンブリーを備え、前記ギアアセンブリーは、前記ハウジング(120)内で前記軸ハウジング(110)放射状外面上に装着されたサンギア(140)、放射状一側を通じて前記サンギア(140)と噛み合いながら前記サンギア(140)を中心に公転するように配置された遊星ギア(150)、及び前記遊星ギア(150)の放射状他側と噛み合うように前記遊星ギア(150)の外部に配置されて放射状内面上に第2ギア歯形(162)が形成されたリングギア(160)を含み、及び
(c)前記ハウジング(120)の内部及び前記ハウジング(120)の第2側に結合して配置されるラッチアセンブリーを備え、前記ラッチアセンブリーは、放射状内面上に多数のラッチサイト(175)が形成されたラッチ本体(170)、前記ラッチサイト(175)にそれぞれ配置された多数の第1ラッチ(118)、前記ラッチ本体(170)内部に挿入して配置されて放射状内面上に第2ラッチ止め具(182)が形成されたラッチリング(180)、前記サンギア(140)の放射状外面上に形成された第2ラッチ挿入溝(147)に配置されて前記第2ラッチ止め具(182)に上段部がかかるように配置された第2ラッチ(176)、前記ラッチ本体(170)内に配置されるラッチガイド(190)、前記ラッチ本体(170)の放射状外面上に装着されるロックリング(200)、及び前記ラッチ本体(170)の一側面上に固定装着されるリング形状の締結ブラケット(220)を含む、ことを特徴とする自転車用クランク可変速ギア装置。
【請求項2】
前記クランク軸(112)の両側端部にはスプライン(sp)とスプライン溝(sp/h)がそれぞれ形成されて、これに対応して前記クランクアーム(114、116)の内側端部(114a、116a)には前記スプライン(sp)とスプライン溝(sp/h)が対応して嵌められるスプライン溝とスプラインを有する回転防止部(115a、115b)がそれぞれ提供されて、前記クランクアーム(114、116)のうち第1クランクアーム(114)の内側端部一側面上で前記回転防止部(115a、115b)のうち第1回転防止部(115a)の放射状外側位置には多数の遊星ギア回転軸(152)が一側方向に一定長さだけ突出して形成されたことを特徴とする請求項1に記載の自転車用クランク可変速ギア装置。
【請求項3】
前記サンギア(140)は円筒形のサンギア本体(144)を備えて、前記サンギア(140)を前記軸ハウジング(110)放射状外面上に装着する場合に前記サンギア(140)の第1側は前記第1回転防止部(115a)の近くに位置するようになり、前記サンギア(140)の第2側は前記第1回転防止部(115a)に対して相対的に遠い方に位置するようになり、前記サンギア(140)の放射状外面上で前記第1側近くの位置には第1ギア歯形(143)が形成されて、前記サンギア((140)の前記第1側の自由段部と前記第1ギア歯形(143)の間の位置で前記サンギア(140)の放射状外面上には第1ベアリング(231)が配置されて、前記サンギア(140)の第2側放射状外面上には第1ラッチ止め具(145)が形成されたことを特徴とする請求項2に記載の自転車用クランク可変速ギア装置。
【請求項4】
前記第1ラッチ(118)は前記ハウジング(120)の放射状内面で前記第1ラッチ(118)の内側端部に隣接して配置された第1ラッチスプリング(119)によって弾力的に支持されて、前記第1ギア歯形(143)と前記第1ラッチ止め具(145)の間の位置で前記サンギア本体(144)の放射状外面上にはスプリング挿入溝(146)が形成されて、前記スプリング挿入溝(146)の中間位置で前記サンギア本体(144)の放射状外面上には多数の第2ラッチ挿入溝(147)が形成されて、前記第2ラッチ挿入溝(147)には前記第2ラッチ(176)がそれぞれ配置されて、前記スプリング挿入溝(146)には前記第2ラッチ(176)の下部を弾力的に支持するための第2ラッチスプリングが配置されて、前記第2ラッチ挿入溝(147)の近くの位置で前記サンギア本体(144)の放射状外面上には第2ベアリング(232)が配置されたことを特徴とする請求項3に記載の自転車用クランク可変速ギア装置。
【請求項5】
前記ラッチガイド(190)はリング形状のラッチガイドフランジ(192)及び前記ラッチガイドフランジ(192)の一側面から側方向に一定長さだけ延びて形成されたラッチガイド延長部(194)を備えて、前記ラッチガイド延長部(194)は前記第1ラッチ(118)と接触して前記第1ラッチ(118)の動作を制御できるように前記第1ラッチ(118)の隣接位置に置かれて、前記ラッチ本体(170)内に前記ラッチリング(180)と前記ラッチガイド(190)が配置される場合、前記ラッチガイド延長部(194)の外部に前記ラッチリング(180)が嵌められる方式で配置されて、前記ラッチガイドフランジ(192)の外周部一側にはラッチ操縦レバー(196)が放射状外部に一定長さだけ突出して形成されたことを特徴とする請求項1に記載の自転車用クランク可変速ギア装置。
【請求項6】
前記ラッチ本体(170)は環形状のラッチフランジ(171)及び前記ラッチフランジ(171)の一側から側方向に一定の長さだけ延びたリング形状のラッチ延長部(174)を備えて、前記ラッチアセンブリーを組み立てる場合に、前記ラッチ操縦レバー(196)は前記ラッチフランジ(171)の中間に一部分を切開して形成されたガイド溝(178)内に位置して、前記ラッチ操縦レバー(196)の外側端部は別途のワイヤーを経て自転車取っ手側に設置された変速レバーに機械的に連結されたことを特徴とする請求項5に記載の自転車用クランク可変速ギア装置。
【請求項7】
前記チェーンリング装着部(123)の放射状外面上にはそれぞれ異なる直径の第1及び第2チェーンリング(131、132)が装着されて、前記ロックリング(200)の放射状外面上には前記第1及び第2チェーンリング(131、132)とは異なる直径の第3チェーンリング(133)が装着されたことを特徴とする請求項1に記載の自転車用クランク可変速ギア装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転力を増加させるためのクランク可変速ギア装置に関し、より詳細には、ギアアセンブリーとラッチアセンブリーを通じてギア比を1.6倍速乃至1.8倍速に加速すると同時に必要によってギア比を1倍速に変速でき、変速効率に優れ、操作が便利で、自転車の小型化及び軽量化を可能にするクランク可変速ギア装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、自転車は、人が足で踏む力を、ペダル・クランク機構・チェーンを経て後輪に伝達するのが基本的である。最近では、走行速度と状態によって変速比を変更でき、より効率的な走行が可能な自転車が一般化している。自転車の回転力を向上させて走行速度を改善するため、自転車クランク軸の一側に形成されるスプロケットや後輪駆動輪側に形成されるスプロケットを、直径がそれぞれ異なる設定とした多段のスプロケットに構成し、動力伝達媒体であるチェーンの位置を変更できる変速装置が適用されている。
【0003】
特許文献1には、自転車の動力伝達装置が開示される。この特許は、自転車のペダルアームの回転半径を小さくでき、少ない力で既存のものと同様な回転力を得るものである。しかしながら、この特許では、リングギア(311)を支持するための回転ドラム(310)を備えており、ディスク形態の設置板(321、322)間に複数の遊星ギア(323、324)を固定配置して一側面上に従動ギア(332)が配置されたスプロケットホイールを備えているので、動力伝達構造が相対的に複雑で構成部品間の摩擦によって動力伝達効果が低下するという問題がある。また、ギア比の変速構造が複雑で所望のギア比変換を達成することが困難であるとの問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】韓国登録特許第10-0921178号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、ギア比加速及び変速効果に優れ、動力伝達構造が簡単で、変速操作が便利で、自転車の小型化及び軽量化を可能にするクランク可変速ギア装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による自転車用クランク可変速ギア装置は、自転車のフレーム構造体に設けられたシェル内で軸ハウジングにより回転可能に支持されるクランク軸、及び前記クランク軸の両端部で相互位相が反対になるように対称をなし内側端部がそれぞれ固定装着される一対のクランクアームを含む自転車用クランク可変速ギア装置において、
(a)前記クランク軸上に装着されるハウジングを備え、前記ハウジングの内部には中央開口部が貫通して形成されて、前記ハウジングの第1側放射状内部にはリセスが形成されて、前記ハウジングの第2側にはチェーンリング装着部が前記ハウジングの他側から一定長さだけ突出して形成され、
(b)前記ハウジングの内部と前記リセスに配置されるギアアセンブリーを備え、前記ギアアセンブリーは、前記ハウジング内で前記軸ハウジング放射状外面上に装着されたサンギア、放射状一側を通じて前記サンギアと噛み合いながら前記サンギアを中心に公転するように配置された遊星ギア、及び前記遊星ギアの放射状他側と噛み合うように前記遊星ギアの外部に配置されて放射状内面上に第2ギア歯形が形成されたリングギアを含み、及び
(c)前記ハウジングの内部及び前記ハウジングの第2側に結合して配置されるラッチアセンブリーを備え、前記ラッチアセンブリーは、放射状内面上に多数のラッチサイトが形成されたラッチ本体、前記ラッチサイトにそれぞれ配置された多数の第1ラッチ、前記ラッチ本体内部に挿入して配置されて放射状内面上に第2ラッチ止め具が形成されたラッチリング、前記サンギアの放射状外面上に形成された第2ラッチ挿入溝に配置されて前記第2ラッチ止め具に上段部がかかるように配置された第2ラッチ、前記ラッチ本体内に配置されるラッチガイド、前記ラッチ本体の放射状外面上に装着されるロックリング、及び前記ラッチ本体の一側面上に固定装着されるリング形状の締結ブラケットを含むことを特徴とする。
【0007】
前記クランク軸の両側端部にはスプラインとスプライン溝がそれぞれ形成されて、これに対応して前記クランクアームの内側端部には前記スプラインとスプライン溝が対応して嵌められるスプライン溝とスプラインを有する回転防止部がそれぞれ提供されて、前記クランクアームの中の第1クランクアームの内側端部一側面上で前記回転防止部の中の第1回転防止部の放射状外側位置には多数の遊星ギア回転軸が一側方向に一定長さだけ突出して形成されたことを特徴とする。
【0008】
前記サンギアは円筒形のサンギア本体を備え、前記サンギアを前記軸ハウジング放射状外面上に装着する場合に、前記サンギアの第1側は前記第1回転防止部に近く位置するようになり、前記サンギアの第2側は前記第1回転防止部に対して相対的に遠い方に位置するようになり、前記サンギアの放射状外面上で前記第1側近くの位置には第1ギア歯形が形成されて、前記サンギアの前記第1側の自由段部と前記第1ギア歯形の間の位置で前記サンギアの放射状外面上には第1ベアリングが配置されて、前記サンギアの第2側放射状外面上には第1ラッチ止め具が形成されたことを特徴とする。
【0009】
前記第1ラッチは前記ハウジングの放射状内面で前記第1ラッチの内側端部に隣接して配置された第1ラッチスプリングによって弾力的に支持されて、前記第1ギア歯形と前記第1ラッチ止め具の間の位置で前記サンギア本体の放射状外面上にはスプリング挿入溝が形成されて、前記スプリング挿入溝の中間位置で前記サンギア本体の放射状外面上には多数の第2ラッチ挿入溝が形成されて、前記第2ラッチ挿入溝には前記第2ラッチがそれぞれ配置されて、前記スプリング挿入溝には前記第2ラッチの下部を弾力的に支持するための第2ラッチスプリングが配置されて、前記第2ラッチ挿入溝の近くの位置で前記サンギア本体の放射状外面上には第2ベアリングが配置されたことを特徴とする。
【0010】
前記ラッチガイドはリング形状のラッチガイドフランジ及び前記ラッチガイドフランジの一側面から側方向に一定長さだけ延長して形成されたラッチガイド延長部を備えて、前記ラッチガイド延長部は前記第1ラッチと接触して前記第1ラッチの動作を制御できるように前記第1ラッチの隣接位置に置かれ、前記ラッチ本体内に前記ラッチリングと前記ラッチガイドが配置される場合、前記ラッチガイド延長部の外部に前記ラッチリングが嵌められる方式で配置されて、前記ラッチガイドフランジの外周部一側にはラッチ操縦レバーが放射状外部に一定長さだけ突出して形成されたことを特徴とする。
【0011】
前記ラッチ本体は環形状のラッチフランジ及び前記ラッチフランジの一側から側方向に一定長さだけ延長されたリング形状のラッチ延長部を備えて、前記ラッチアセンブリーを組み立てる場合に、前記ラッチ操縦レバーは前記ラッチフランジ中間に一部分を切開して形成されたガイド溝内に位置し、前記ラッチ操縦レバーの外側段部は別途のワイヤーを経て自転車取っ手側に設置された変速レバーに機械的に連結されたことを特徴とする。
【0012】
前記チェーンリング装着部の放射状外面上にはそれぞれ異なる直径の第1及び第2チェーンリングが装着されて、前記ロックリングの放射状外面上には前記第1及び第2チェーンリングとは異なる直径の第3チェーンリングが装着されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明の自転車用クランク可変速ギア装置によれば、前輪の自転車ペダルによって伝達される動力を基にギアアセンブリーとラッチアセンブリーを通じてギア比を1.6倍速乃至1.8倍速に加速すると同時に必要によってギア比を1倍速に変速できるので、変速効率に優れ、また操作が便利で、クランク可変速ギア装置を小さく構成できる。また、自転車の小型化及び軽量化ができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の好ましい実施例で、回転力を増加させるためのクランク可変速ギア装置の分解斜視図である。
図2図1のハウジング及びその一側に結合されるギアアセンブリーの構造を示す図である。
図3図1のハウジング及びその他側に結合されるラッチアセンブリーの構造を示す図である。
図4図1のクランク可変速ギア装置の結合状態断面図である。
図5図1のクランク可変速ギア装置の動作状態図で、第2ラッチの動作状態を示す図である。
図6図1のクランク可変速ギア装置の動作状態図で、第1ラッチの動作状態を示す図である。
図7図1のクランク可変速ギア装置の動作状態図で、第1ラッチの動作状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付の図面を参照して、本発明による自転車用クランク可変速ギア装置の好ましい実施例を詳細に説明する。
【0016】
まず、図1には、本発明の好ましい実施例による自転車用クランク可変速ギア装置の全体的な構造を示す。図4にはクランク可変速ギア装置の結合状態が断面図として示される。図1及び図4に示すように、回転力を増加させるための自転車用クランク可変速ギア装置(100)は、自転車のフレーム構造体(F)に設けられるシェル(S)内で軸ハウジング(110)により回転可能に支持されるクランク軸(112)、及びクランク軸(112)の両端部で相互位相が反対になるように対称をなしてディスク形状の内側端部(114a、116a)がそれぞれ固定装着される一対のクランクアーム(114、116)を含む。クランクアーム(114、116)の自由段部に該当する外側端部(114b、116b)には、通常の自転車と同様に、ペダル(図示しない)がペダル軸を中心に自由に回転可能に設置される。
【0017】
クランクアーム(114、116)の固定装着のためにクランク軸(112)の両側端部にはスプライン(sp)とスプライン溝(sp/h)がそれぞれ形成されて、これに対応してクランクアーム(114、116)の内側端部(114a、116a)にはスプライン(sp)とスプライン溝(sp/h)が対応して嵌められるスプライン溝(図示しない)とスプライン(図示しない)を有する回転防止部(115a、115b)がそれぞれ提供され、これにより相互回転が防止される構造をなすようになる。クランク軸(112)のスプライン(sp)とスプライン溝(sp/h)、及びこれに対応するクランクアーム(114、116)の回転防止部(115a、115b)結合構造によってクランク軸(112)の両側端部上にクランクアーム(114、116)が結合された状態でクランクアーム(114、116)を貫通してクランク軸(112)に挿入される締結ボルト(B)によりその結合状態が安定して維持される。
【0018】
第2クランクアーム(116)の第2内側端部(116a)から一側方向に一定長さだけ突出して形成された第2回転防止部(115b)の露出した一側面上にはベアリングが内蔵された第2回転連結片(212)の一側が転がり接触可能に装着されて、第2回転連結片(212)の他側はフレーム構造体(F)のシェル(S)の一側に挿入して装着される。これに対向してフレーム構造体(F)のシェル(S)の他側には第1回転連結片(211)の一側が挿入して装着されて、第1回転連結片(211)の他側露出面は下記で説明するラッチアセンブリーの締結ブラケッ(220)の一側と転がり接触するようになる。
【0019】
一方、第1クランクアーム(114)の第1内側端部(114a)で第1回転防止部(115a)の放射状外側位置には多数の遊星ギア回転軸(152)が一側方向に一定長さだけ突出して形成される。遊星ギア回転軸(152)はクランク軸(112)を中心に同心円に配置される。それぞれの遊星ギア回転軸(132)には中央内部に貫通孔が形成された遊星ギア(150)が嵌め装着される。
【0020】
添付図面図2にはクランク軸(112)上に装着されるハウジング(120)及びその一側に結合されるギアアセンブリー(参照符号省略)の構造が示される。図1及び図2に示すように、ギアアセンブリーは内部に中央開口部(121)が形成されたハウジング(120)の内部及び一側に配置されるが、詳細には中央開口部(121)内にサンギア(140)が配置されて、ハウジング(120)の一側に階段状の多段構造で形成されたリセス(122)内に多数の遊星ギア(150)及びリングギア(160)が収容されて配置される。
【0021】
サンギア(140)は、ハウジング(120)内でクランク軸(112)の軸ハウジング(110)放射状外面上に装着される。サンギア(140)は円筒形のサンギア本体(144)を備えるが、サンギア(140)をクランク軸(112)の軸ハウジング(110)放射状外面上に装着する場合にサンギア(140)の第1側は第1クランクアーム(114)の第1回転防止部(115a)に近く位置するようになり、サンギア(140)の第2側は第1クランクアーム(114)の第1回転防止部(115a)に対して相対的に遠い方に位置するようになる。
【0022】
サンギア(140)の放射状外面上で第1側近くの位置には、第1ギア歯形(143)が形成される。第1ギア歯形(143)には、遊星ギア(150)の放射状一側が噛み合いながらサンギア(140)を中心に公転するように配置される。遊星ギア(150)の放射状他側は、その外部に配置されるリングギア(160)の放射状内面上に形成された第2ギア歯形(162)に噛み合うようになる。サンギア(140)の自由段部と第1ギア歯形(143)の間の位置でサンギア(140)の放射状外面上には第1ベアリング(231)が配置される。
【0023】
サンギア(140)の第2側放射状外面上には、一方向に傾いたねじ山形態の第1ラッチ止め具(145)が形成される。第1ラッチ止め具(145)の放射状外側には多数の第1ラッチ(118)(図3参照)が配置されるが、第1ラッチ(118)はハウジング(120)の放射状内面で第1ラッチ(118)の内側端部に隣接して配置された第1ラッチスプリング(119)(図3参照)によって弾力的に支持されながらその外側端部が第1ラッチ止め具(145)にかかるか、その終端部に擦れるように接触できるように配置される。
【0024】
第1ギア歯形(143)と第1ラッチ止め具(145)の間の位置でサンギア本体(144)の放射状外面上にはスプリング挿入溝(146)が形成されて、スプリング挿入溝(146)の中間位置には多数の第2ラッチ挿入溝(147)が形成される。第2ラッチ挿入溝(147)には第2ラッチ(176)(図5参照)がそれぞれ配置される。スプリング挿入溝(146)には第2ラッチ(176)の下部を弾力的に支持するための第2ラッチスプリング(図示しない)が配置される。第2ラッチ挿入溝(147)の近くの位置でサンギア本体(144)の放射状外面上には第2ベアリング(232)が配置される。
【0025】
このように形成されたサンギア(140)と多数の遊星ギア(150)及びリングギア(160)は自転車搭乗者によって加えられるクランクアーム(114、116)の回転力を一定比率で増加させるためのギアアセンブリーを構成するようになる。図3にはクランク軸(112)上に装着されるハウジング(120)及びその他側に結合されるラッチアセンブリー(参照符号省略)の構造が示される。
【0026】
図1及び図3に示すように、ハウジング(120)の他側にはチェーンリング装着部(123)が提供されるが、チェーンリング装着部(123)はハウジング(120)の他側から一定長さだけ突出して階段状の多段構造で形成される。チェーンリング装着部(123)の放射状外面上にはコグキャリア(図示しない)が装着されて、その上には直径が互いに異なる複数のチェーンリング(131、132)(図4参照)が配置されて、これらの間にはスペーサー(図示しない)が配置される。好ましくは、互いに異なる直径の第1及び第2チェーンリング(131、132)がチェーンリング装着部(123)の放射状外面上に装着される。チェーンリング(131、132)はチェーンリング装着部(123)と一体をなすように配置されて、ギア変速によって変速チェーンギア(図示しない)に連結されたチェーン(図示しない)の選択的な噛み合いとして変速できるように構成される。ハウジング(120)でリセス(122)とチェーンリング装着部(123)の中間位置には大体環形状を有するハウジングフランジ(124)が放射状外部に突出して形成される。ハウジングフランジ(124)には多数の第1締結孔(125)が貫通して形成される。
【0027】
ハウジング(120)の一側に提供されたリセス(122)と中央開口部(121)内にギアアセンブリーが装着された状態でサンギア本体(144)の放射状外面上にはラッチ本体(170)が装着される。ラッチ本体(170)は環形状のラッチフランジ(171)及びラッチフランジ(171)の一側から側方向に一定の長さだけ延びたリング形状のラッチ延長部(174)を備える。ラッチフランジ(171)には多数の第2締結孔(172)が円周方向に沿って等間隔で貫通して形成される。第2締結孔(172)間には第3締結孔(173)がラッチフランジ(171)を貫通して形成される。ハウジング(120)の中央開口部(121)内にラッチ延長部(174)が挿入されるようにラッチ本体(170)をサンギア本体(144)の放射状外面上に装着する場合、ラッチフランジ(171)の一面がハウジングフランジ(124)の一面と密着接触されて、このような状態でハウジングフランジ(124)の第1締結孔(125)とラッチフランジ(171)の第2締結孔(172)を貫通する別途の締結ボルト(図示しない)とナット(図示しない)によってラッチ本体(170)がハウジング(120)の他側に固定される。
【0028】
ラッチ延長部(174)の放射状内周面上には谷と床との対からなる多数のラッチサイト(latch sites)(175)が形成されている。ラッチサイト(175)には第1ラッチ(118)及び第1ラッチ(118)を弾性的に支持するための第1ラッチスプリング(119)が対をなして配置される。このように構成されたラッチ本体(170)内にはラッチリング(180)とラッチガイド(190)が配置される。ラッチリング(180)の放射状内面上には一方向に傾いたねじ山形態の第2ラッチ止め具(182)が形成される。第2ラッチ止め具(182)には前述した第2ラッチ(176)の突出した上部がかかるようになる(図5参照)。
【0029】
ラッチガイド(190)はリング形状のラッチガイドフランジ(192)及びラッチガイドフランジ(192)の一側面から側方向に一定長さだけ延びて形成されたラッチガイド延長部(194)を備える。ラッチガイド延長部(194)はラッチ本体(170)のラッチサイト(175)に位置している第1ラッチ(118)と必要によって接触して第1ラッチ(118)の動作を制御できるように第1ラッチ(118)の隣接位置に置かれる。
【0030】
ラッチ本体(170)内にラッチリング(180)とラッチガイド(190)が配置される場合、ラッチガイド(190)のラッチガイド延長部(194)にラッチリング(180)が嵌められる方式で配置される。ラッチガイドフランジ(192)の外周部一側にはラッチ操縦レバー(196)が放射状外部に一定長さだけ突出して形成される。ラッチアセンブリーを組み立てる場合に、ラッチガイド(190)のラッチ操縦レバー(196)はラッチ本体(170)のラッチフランジ(171)中間に一部分を切開して形成されたガイド溝(178)内に位置するようになる。ラッチ調整レバー(196)の外側端部は別途のワイヤー(図示しない)を経て自転車取っ手側に設置された変速レバー(図示しない)に機械的に連結される。
【0031】
自転車の速度を変速するために変速レバー(図示しない)を操縦するようになれば、ラッチガイド(190)のラッチ操縦レバー(196)がラッチ本体(170)のガイド溝(178)内で左右に動くようになり、このような動きによってラッチガイド(190)が左右に回転するようになれば、ラッチガイド延長部(194)が第1ラッチ(118)と接触して第1ラッチ(118)の姿勢を変化させて第1ラッチ(118)によりサンギア(140)のメーンラッチ止め具(145)にかかるか止めが解除されるようにする。
【0032】
一方、第1ラッチ(118)はその内側端部が第1ラッチスプリング(119)によってラッチ本体(170)の放射状内面上に弾力的に固定されてその外側端部がサンギア(140)のメーンラッチ止め具(145)にかかるかその終端部に擦れるように接触できるように配置される。この時、ラッチガイド延長部(194)は、上述したように、第1ラッチ(118)の止め動作と解除動作を案内する役割を遂行するようになる。
【0033】
内部にラッチリング(180)とラッチガイド(190)が配置された状態でラッチ本体(170)のラッチ延長部(174)放射状外面上にはロックリング(200)が装着されて、ロックリング(200)の放射状外面上には第3チェーンリング(133)が装着される。ラッチ本体(170)のラッチフランジ(171)露出面にはリング形状の締結ブラケット(220)が固定装着される。締結ブラケット(220)には多数の第4締結孔(222)が貫通して形成される。締結ブラケット(220)は第4締結孔(222)とラッチ本体(170)のラッチフランジ(171)に形成された第3締結孔(173)を貫通する別途の締結ボルト(図示しない)とナット(図示しない)によってラッチフランジ(171)の露出面に固定される。
【0034】
下記では前述したように構成された本発明の好ましい実施例による自転車用クランク可変速ギア装置(100)の作動過程を簡単に説明する。
図6及び7は図1に示されるクランク可変速ギア装置(100)の動作状態図であって、第1ラッチ(118)の動作状態を示す図面である。先ず、図1及び図6を参照すれば、自転車搭乗者がクランク可変速ギア装置(100)を用いて自転車の速度を1.6倍速乃至1.8倍速に変速するために変速レバー(図示しない)を操作した後、自転車のペダル(図示しない)を正方向に回す場合、ラッチガイド(190)のラッチ操縦レバー(196)がラッチ本体(170)のガイド溝(178)内で左右に動くようになり、このような動きによってラッチガイド(190)が左右に回転するようになれば、ラッチガイド延長部(194)が第1ラッチ(118)と接触して第1ラッチ(118)の姿勢を変化させて第1ラッチ(118)によりその外側端部がサンギア(140)に向かうように放射状内側方向に突出して第1ラッチ止め具(145)に堅くかかるようにする。
【0035】
そうすると、サンギア(140)がクランク(112)軸上に固定された状態でサンギア(140)を中心にサンギア(140)の第1ギア歯形(143)に噛み合う遊星ギア(150)が第1ギア歯形(143)に沿って公転しながら回転するようになり、継続して遊星ギア(150)に噛み合うリングギア(160)が回転するようになる。
【0036】
図5は、クランク可変速ギア装置(100)の動作状態図であって、第2ラッチ(176)の動作状態を示す図面である。前述したように第1ラッチ(118)が動作する時、図5に示されるように、サンギア(140)のサンギアラッチ本体(144)放射状外面上に配置された第2ラッチ(176)は第2ラッチスプリング(図示しない)によって弾力的に支持される状態でラッチリング(180)の放射状内面上に形成された第2ラッチ止め具(182)にかかって同心円上外側に離脱しない状態になり円滑な走行が行われる。
【0037】
結果的に、サンギア(140)、遊星ギア(150)及びリングギア(160)で構成されたギアアセンブリーによって構成される1.6倍速乃至1.8倍速の加速効果がハウジング(120)のチェーンリング(131、132、133)に配置された自転車チェーン(図示しない)を経て自転車後輪側に伝達される。
【0038】
これとは違って、図1及び図7を参照すれば、自転車搭乗者がクランク可変速ギア装置(100)を用いて自転車の速度を1倍速に変速するために変速レバー(図示しない)を操作した後自転車のペダル(図示しない)を正方向に回す場合、ラッチガイド(190)のラッチ操縦レバー(196)がラッチ本体(170)のガイド溝(178)内で左右に動くようになり、このような動きによってラッチガイド(190)が左右に回転するようになれば、ラッチガイド延長部(194)が第1ラッチ(118)と接触して第1ラッチ(118)の姿勢を変化させて第1ラッチ(118)によりその外側端部がサンギア(140)の第1ラッチ止め具(145)にかからないようになり、それにより第1ラッチ(118)が第1ラッチ止め具(145)の終端部に擦れるように接触する状態でサンギア(140)が一方向に回転するようになる。
【0039】
図5を参照して前述したように、サンギアラッチ本体(144)の放射状外面上に配置された第2ラッチ(176)が第2ラッチスプリング(図示しない)によって弾力的に支持される状態でラッチリング(180)の放射状内面上に形成された第2ラッチ止め具(182)にかかっているため、サンギア(140)は自体の回転方向に遊星ギア(150)を押しながらリングギア(160)と共に1:1の回転比で回転するようになる。
【符号の説明】
【0040】
100 自転車用クランク可変速ギア装置
110 軸ハウジング
112 クランク
114 クランクアーム
114a 内側端部
114b 外側端部
115a 第1回転防止部
115b 第2回転防止部
116 クランクアーム
116a 第2内側端部
116b 外側端部
118 第1ラッチ
119 第1ラッチスプリング
120 ハウジング
121 中央開口部
122 リセス
123 チェーンリング装着部
124 ハウジングフランジ
125 第1締結孔
131 チェーンリング
132 チェーンリング
133 チェーンリング
140 サンギア
143 第1ギア歯形
144 サンギアラッチ本体
145 第1ラッチ止め具
146 スプリング挿入溝
147 第2ラッチ挿入溝
150 遊星ギア
152 遊星ギア回転軸
160 リングギア
170 ラッチ本体
171 ラッチフランジ
172 第2締結孔
173 第3締結孔
174 ラッチ延長部
175 ラッチサイト
176 第2ラッチ
178 ガイド溝
180 ラッチリング
182 第2ラッチ止め具
190 ラッチガイド
192 ラッチガイドフランジ
194 ラッチガイド延長部
196 ラッチ操縦レバー
200 ロックリング
211 第1回転連結片
212 第2回転連結片
220 締結ブラケット
222 第4締結孔
F 自転車のフレーム構造体
S シェル
B 締結ボルト
sp スプライン
sp/h スプライン溝
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【国際調査報告】