(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-26
(54)【発明の名称】屋内農業用無土壌栽培培地
(51)【国際特許分類】
A01G 31/02 20060101AFI20220119BHJP
【FI】
A01G31/02
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021530859
(86)(22)【出願日】2019-11-25
(85)【翻訳文提出日】2021-07-27
(86)【国際出願番号】 US2019062957
(87)【国際公開番号】W WO2020112610
(87)【国際公開日】2020-06-04
(32)【優先日】2018-11-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515134106
【氏名又は名称】ジャスト グリーンズ,エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】特許業務法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ハーウッド,エドワード,ディー.
(72)【発明者】
【氏名】ゼイバ,ジェームズ
【テーマコード(参考)】
2B314
【Fターム(参考)】
2B314PD13
2B314PD27
2B314PD31
(57)【要約】
本開示内容の実施形態は、屋内農業用の光反射面および光吸収面を有する無土壌栽培培地、ならびに種子を発芽させて植物を発育させるために該培地を使用する方法に関する。幾つかの実施形態では、該無土壌栽培培地は、該光反射植物支持面織布の織糸と該光吸収織布基底面の織糸とを織物中で連結する連結用織糸により継ぎ合わせることができる2つの織布から作製される織物でありうる。本開示内容の実施形態における無土壌栽培培地を使用することにより、栄養送達システムからの蒸発を低減し、かつ環境制御型農業の作業能率を改善することができる。
【選択図】
図5B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下、すなわち、
植物の発芽および発育を支持する透根性基材、ここで該透根性基材は光反射植物支持面および反対側の光吸収基底面を有し、該透根性基材は支持体の上に配置され、該支持体は根側および発育中の植物側を有し、該基材の該光反射植物支持面と該支持体の発育中の植物に面した側とを同じ方向に向けて該基材を該支持体の上に配置し、該基材を該支持体の上に配置する場合には該基材の該光吸収基底面と該支持体の根側とを同じ方向に向けるものとし、かつ
ここで該基材の該光反射植物支持面は該光吸収基底面よりも植物を発育させるために使用される光を多く反射するものとする、
を含む製品。
【請求項2】
前記光吸収基底面が平らな質感を有し、かつ前記光反射面よりも植物を発育させるために使用される光を多く吸収する、請求項1に記載の製品。
【請求項3】
前記基材の前記光反射植物支持面が粗い質感を有する、請求項1に記載の製品。
【請求項4】
前記光反射植物支持面の上に発育中の植物をさらに含む、請求項3に記載の製品。
【請求項5】
屋内農業用フラットであって、以下、すなわち
光反射植物支持面である第1織布および光吸収基底面である第2織布を有する織物を含む無土壌栽培培地、ここで該織物はトレイに周辺領域に沿って取り付けられており、該トレイは根側および発育中の植物側を有するものとし、該織物を該トレイに取り付ける場合には該織物の該光反射植物支持面と該トレイの発育中の植物に面した側とを同じ方向に向けて該織物を該トレイに取り付け、かつ該織物を該トレイに取り付ける場合には該織物の該光吸収基底面と該織物の該トレイ根側とを同じ方向に向けるものとし、
ここで該光反射植物支持面は起毛した質感を有しかつ該光吸収面より多くの光を反射する織糸を含み、また該光吸収基底面は起毛していない質感を有しかつ該光反射面より多くの光を吸収する織糸を含むものとする、
を含む上記屋内農業用フラット。
【請求項6】
前記織物が、前記光反射植物支持面を有する前記第1織布と前記光吸収基底面を有する前記第2織布とを連結する連結用織糸を含む二重編み織物である、請求項5に記載の屋内農業用フラット。
【請求項7】
前記織物が前記トレイ上で伸張させた形状であり、前記織物が前記トレイの外縁を緩やかに覆いかつこの布と前記トレイとの間にスカラップまたは隙間が存在しない、請求項6に記載の屋内農業用フラット。
【請求項8】
前記織物が前記織物の1つ以上の縁領域に固定された末端を有するランニングステッチをさらに含み、該ランニングステッチが光を反射する、請求項7に記載の屋内農業用フラット。
【請求項9】
前記織物がバランスが取られた織物である、請求項8に記載の屋内農業用フラット。
【請求項10】
屋内農業の方法であって、以下、すなわち
植物を発育させるのに適した光を、発育中の植物および光反射植物支持面および光吸収基底面を含む無土壌栽培培地に供給すること、ここで該光は該無土壌栽培培地の該光反射植物支持面に供給され、該無土壌栽培培地はトレイに周辺領域に沿って配置され、該トレイは根側および発育中の植物側を有し、該無土壌栽培培地を該トレイ上に配置する場合にはこの織物の該光反射植物支持面と該トレイの発育中の植物側とを同じ方向に向け、かつ該無土壌栽培培地を該トレイ上に配置する場合には該無土壌栽培培地の該光吸収基底面と該トレイの該トレイ根側とを同じ方向に向けて該無土壌栽培培地を該トレイ上に配置するものとし、
ここで該光反射植物支持面は粗い質感を有しかつ該光吸収面よりも植物を発育させるのに適した波長の光を多く反射する素材を含み、かつ該光吸収基底面は平らな質感を有しかつ該光反射面よりも植物を発育させるのに適した波長の光を多く吸収する素材を含むものとする、
を含む、上記の屋外農業の方法。
【請求項11】
前記無土壌栽培培地の前記光吸収基底面を通って突出する前記植物の根に培養液を供給することをさらに含む、請求項10に記載の屋内農業の方法。
【請求項12】
前記無土壌栽培培地が、前記植物支持面第1織布と前記光吸収基底面第2織布とを前記織物中で連結する連結用織糸を含む二重編み織物である、請求項10に記載の屋内農業の方法。
【請求項13】
前記トレイに取り付けた前記二重編み織物が伸張させた形状であり、かつ前記トレイの外縁に十分なドレープ付きで覆い被さる、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記二重編み織物がランニングステッチをさらに含み、該ランニングステッチが前記織物の1つ以上の縁領域に固定された末端を有し、該ランニングステッチが光を反射する素材を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
発育中の植物がその上にある光反射植物支持面および根がそこを通って伸長する光吸収基底面を有する無土壌栽培培地を含むグロースチャンバー内の培養液濃度を維持する方法であって、該方法が以下、すなわち、
該光吸収基底面および発育中の植物の根に培養液を施用すること、ここで該培養液はこの織物の該光吸収基底面の下に配置された養分供給源から提供され、該無土壌栽培培地はトレイの上に該トレイの外縁を覆う十分なドレープ付きで配置され、かつ該織物と該トレイとの間にスカラップまたは隙間が存在しないものとする、ならびに
植物を発育させるのに適した光を発育中の植物に供給すること、該光反射植物支持面から該光の一部を反射させること、および該光吸収基底面により該光の一部を吸収させること
を含む上記方法。
【請求項16】
前記無土壌栽培培地が前記トレイの外縁に十分なドレープ付きで覆い被さる、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記光反射植物支持面が粗い質感を有する、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
屋内農業用フラットであって、以下、すなわち、
光反射植物支持面および光吸収基底面を含む無土壌栽培培地、該無土壌栽培培地を支持するトレイ、ここで該トレイは根側および発育中の植物側を有し、該無土壌栽培培地を該トレイで支持する場合には該無土壌栽培培地の該光反射植物支持面と該トレイの発育中の植物に面した側とを同じ方向に向けて該無土壌栽培培地を該トレイで支持し、かつ該無土壌栽培培地を該トレイで支持する場合には該無土壌栽培培地の該光吸収基底面と該トレイの根側とを同じ方向に向けるものとする、
を含む上記屋内農業用フラット。
【請求項19】
前記無土壌栽培培地が布または織物である、請求項18に記載の屋内農業用フラット。
【請求項20】
前記フラットが養分供給源の上に配置され、受け皿が前記無土壌栽培培地の前記光吸収基底面および該養分供給源の下にあり、該受け皿が光吸収素材を含む、請求項18に記載の屋内農業用フラットを含むグロースチャンバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2018年11月29日に出願されかつ米国特許出願番号第62/772,873号が付与された、「屋内農業用無土壌栽培培地」と題する仮特許出願の優先権による利益を主張するものである。前述の仮特許出願の内容は、参照により本明細書中に組み込まれるものとする。
【0002】
技術分野
本開示内容の実施形態は、無土壌植物栽培培地、ならびに種子を発芽させて植物を発育させるために屋内農業に該培地を使用する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
水耕または気耕(aeroponic)栽培技術を採用している屋内農場では、無土壌栽培培地を利用することによりその上で種子を発芽させて植物の発育を支持する。一部の気耕農業では、該無土壌栽培培地は、金属トレイに載せてグロースチャンバー(growth chamber)内に置いた布(cloth)であってもよく、その際、培養液は該布より下から根に供給される。適切な周波数の光を該布の上から発育中の植物に供給する。
【0004】
布は植物を生育させるための基材として有用である。布を使用すれば、その表面上で種子を発芽させることが可能であり、また発育中の植物からの根が該布を通って貫通することができる。布は、リサイクルする前に、グロースチャンバーから取り外し、洗浄して、何度も再利用することができる。
【0005】
ロックウールは、無機物から高温で製造される繊維状基材である、屋内農業において一般的に使用される栽培培地である。その繊維状の性質は小粒子を生じ、この素材の扱いを煩雑なものにしている。植物を生育させるためにロックウールを使用すると、その根を除去して他の植物を生育させるために該ロックウールを再利用することは困難である。高温およびエネルギー集約型再溶融および紡糸を利用すれば、該素材を再生することができる。
【0006】
布は、水分の、皮膚から該布を通りかつ該水分が蒸発する外表面への移動を促進するために、機能性衣類に使用されている。かかる衣類には、より吸湿性でありかつ内表面から外表面への水分の移動を助ける繊維が組み込まれており、これはZhou, L., X. Feng、およびY. LI;Influences of the fiber hygroscopicity of connecting yarn on the liquid water transfer property of knitted double-layer fabric. Fibres & Textiles in Eastern Europe, 2010, Vol.18, No.6(83), pp. 72-75に記載のとおりである。
【0007】
何度も再利用可能であり、扱いやすく清潔で、かつ総合的な屋内農業効率を改善する、改善された無土壌栽培培地が引き続き必要とされている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Zhou, L., X. Feng、およびY. LI;Influences of the fiber hygroscopicity of connecting yarn on the liquid water transfer property of knitted double-layer fabric. Fibres & Textiles in Eastern Europe, 2010, Vol.18, No.6(83), pp. 72-75
【発明の概要】
【0009】
本明細書中に開示した実施形態は、屋内用グロースチャンバー中の培養液組成の維持を改善し、かつ屋内農場内の湿度制御に関連するコストを削減する装置および方法を提供することにより、これらおよび他の需要を満たす。本開示内容の実施形態は、水耕または気耕用グロースチャンバーでの植物の発育に使用する無土壌栽培培地に関連する蒸発および/またはオーバースプレーを低減することができるし、またかかるチャンバーにおいて藻類繁殖の条件を抑制することができる。
【0010】
本開示内容の実施形態は、植物の発芽および発育を支持しうる透根性無土壌栽培培地基材を有する屋内農業用のフラット(flat)を含んでもよく、この透根性基材は光反射植物支持面および反対側の光吸収基底面を有しうる。該透根性基材を支持体の上に配置してもよく、該支持体は根側(root side)および発育中の植物側(developing plant side)を有しうる。該基材は、該基材の該光反射植物支持面と該支持体の発育中の植物に面した側とを同じ方向に向けて該支持体の上に配置することが可能であり、また該基材を該支持体の上に配置する場合には該基材の該光吸収基底面と該支持体の根側とを同じ方向に向けることができる。該基材の該光反射植物支持面は、該光吸収基底面より多くの光を反射する。
【0011】
前記屋内農業用フラットの幾つかの実施形態では、前記無土壌栽培培地の前記光吸収基底面は平らな質感を有し、前記光反射面より多くの光を吸収する。幾つかの実施形態では、該無土壌栽培培地の該光吸収基底面は、該培地の該光反射植物支持面より20%~96%、またはそれ以上多くの光を吸収する平らな質感を有する。他の実施形態では、該基材の該光反射植物支持面は粗い質感を有する。本開示内容のさらに他の実施形態では、該光吸収基底面は平らな質感を有し、かつ該基材の該光反射植物支持面は粗い質感を有する。該無土壌栽培培地の該光反射面より多くの光を吸収することで、該光吸収基底面は、グロースチャンバー内の該無土壌栽培培地および発育中の植物の根の下に位置する培養液(nutrient solution)に到達する光の量をさらに減少させることができる。
【0012】
本開示内容の実施形態により、光反射植物支持面および光吸収基底面有する織物(fabric)を含みうる無土壌栽培培地を組み込んだ屋内農業用フラットが提供される。該織物の各表面は、織糸(yarn)、および発育中の植物の根がそこを通って貫通することを許容する該織糸の部分間の開口部(opening)を有しうる。該織物はトレイのその周辺領域に沿って取り付けることが可能であり、該トレイは根側および発育中の植物側を有しうる。該織物は、該織物の該光反射植物支持面と該トレイの発育中の植物側とを同じ方向に向けて配置することができ、また、該織物を該トレイに取り付ける場合には該織物の該光吸収基底面と該トレイの根側とを同じ方向に向けて配置することができる。幾つかの実施形態では、該織物の該光反射植物支持面は起毛した質感(napped texture)を有してもよく、また該光吸収基底面の織糸より多くの量の光を反射する色を持つ織糸を含む。該光吸収基底面は平らな質感を有し、また該織物の該光反射植物支持面の織糸より多くの光を吸収する織糸で作製することができる。幾つかの実施形態では、該光吸収基底面は平らな質感を有し、また該織物の該光反射植物支持面の織糸より少なくとも20%以上多くの光を吸収する織糸を含む。該織物は該トレイ上に伸張させた形状で配置することが可能であり、該織物は該トレイの外縁を十分なドレープ(good drape)付きで覆い、該織物と該トレイの間にはスカラップ(scallop)または隙間が存在しない。
【0013】
本開示内容の実施形態における前記織物は、2つの別個の織布(web)から形成しうるバランスが取られた(balanced)または実質的にバランスが取られた編み構造を有しうる。前記屋内農業用フラットの幾つかの実施形態では、該織物は向かい合う(opposing)織布表面にバランスが取られた編み方を有する。前記屋内農業用フラットの幾つかの実施形態では、該織物は向かい合う織布表面にバランスが取られた編み方を有し、かつ該織布は継ぎ合わされている。幾つかの実施形態では、該織物は、前記光反射植物支持面織布の織糸と前記光吸収基底面の織糸を二重編み織物中で連結するかまたは継ぎ合わせる連結用織糸(tie-in yarn)をさらに含む、該二重編み織物でありうる。幾つかの他の実施形態では、該連結用織糸は該光反射植物支持面の織糸と同色である。さらに幾つかの他の実施形態では、該連結用織糸は該光吸収面の織糸と同色である。
【0014】
前記屋内農業用フラットの他の実施形態では、前記織物は、前記織物の1つ以上の縁または周辺領域に固定された末端を有するランニングステッチ(running stitch)をさらに含む。該ランニングステッチは、幾つかの実施形態では光反射色を、または他の実施形態では光吸収色を有しうる。幾つかの実施形態では、該織物は2つ以上の実質的に等間隔のランニングステッチを有しうる。該屋内農業用フラットのさらに他の実施形態では、該織物は、該織物の1つ以上の縁または周辺領域に固定された末端を有するランニングステッチをさらに含む二重編み織物である。該ランニングステッチは、幾つかの実施形態では光反射色を、または他の実施形態では光吸収色を有しうる。幾つかの実施形態では、該二重編み織物は2つ以上の実質的に等間隔のランニングステッチを有しうる。
【0015】
本開示内容の前記屋内農業用フラットの実施形態では、前記光吸収基底面を含む層の厚さは、前記光反射植物支持面を含む層の厚さの25%未満でありうる。
【0016】
本開示内容の実施形態における前記農業用フラットは、水耕または気耕栽培のために屋内垂直農法で使用することができる。幾つかの実施形態では、該農業用フラットは屋内水耕または気耕栽培のために使用することができる。本開示内容の1実施形態は、先に本明細書中に記載した該フラットを含むグロースチャンバーであり、該フラットは前記織物の前記光吸収基底面および養分供給源の下にある受け皿と共に、該養分供給源の上に配置されている。該受け皿(drip)は光吸収素材で作製されうる。該グロースチャンバーは屋内農場または温室内に設置しうる。
【0017】
本開示内容のさらなる実施形態は、植物を発育させるのに適した1つ以上の波長の光を前記の無土壌栽培培地の光反射植物支持面およびその上の発育中の植物に提供する行為または工程を含む農業の方法である。該無土壌栽培培地は光吸収基底面をさらに含む。該無土壌栽培培地は、根が該無土壌栽培培地の厚さを通って貫通することを可能にする穴を有する。幾つかの実施形態では、該無土壌栽培培地の該光吸収基底面および該光反射植物支持面は、織糸および該織糸の部分間にある根のための開口部を含む織物でありうる。該無土壌栽培培地は、根に面した側および発育中の植物に面した側を有するトレイの周辺領域に沿って配置するかまたは取り付けることができる。該無土壌栽培培地は、該無土壌栽培培地を該トレイに配置するかまたは取り付ける場合には該織物の該光反射植物支持面と該トレイの発育中の植物側とを同じ方向に向けて、該トレイに配置するかまたは取り付けることができる。該無土壌栽培培地の該光吸収基底面と該トレイの根側は、該無土壌栽培培地を該トレイに配置するかまたは取り付ける場合には同じ方向に向ける。該無土壌栽培培地の該光反射植物支持面は、幾つかの実施形態で粗いかまたは起毛した質感を有してもよく、また該光吸収基底面を構成しうる織糸よりも、植物を発育させるために使用される光を多く反射する色を有する織糸を含みうる。該光吸収基底面は平らな質感を有してもよく、また該光反射面のために使用しうる織糸よりも、植物を発育させるために使用される光を多く吸収する織糸を含みうる。幾つかの実施形態では、該光吸収基底面は平らな質感を有し、かつ該織物の該光反射植物支持面の織糸よりも少なくとも20%以上多く光を吸収する織糸を含む。該無土壌栽培培地は、フラットを形成するために該トレイ上で伸張させた形状をとることができ、該無土壌栽培培地は該トレイの外縁を緩やかに覆い(drapes over)、また該無土壌栽培培地とトレイとの間にスカラップまたは隙間は存在しない。
【0018】
前記方法の幾つかの実施形態は、前記無土壌栽培培地の前記光吸収基底面を通って突出した発育中の植物の根に、または他の実施形態では前記織物の前記光吸収基底面の織布に、培養液を供給することを含む。該方法の幾つかの他の実施形態では、該培養液を、該無土壌栽培培地の該光吸収基底面に、または他の実施形態では該織物の該光吸収基底面の織布に、培養液のスプレーとして供給することができる。
【0019】
前記方法の実施形態では、織物の無土壌栽培培地は、2つの別個の織布から形成しうるバランスが取られたかまたは実質的にバランスが取られた編み構造を有しうる。前記屋内農業用フラットの幾つかの実施形態では、該織物は向かい合う織布表面にバランスが取られた編み方を有する。該屋内農業用フラットの幾つかの実施形態では、該織物は向かい合う織布表面にバランスが取られた編み方を有し、かつ該織布は継ぎ合わされている。幾つかの実施形態では、該織物は、前記光反射植物支持面織布の織糸と前記光吸収基底面の織糸を二重編み織物中で連結するかまたは継ぎ合わせる連結用織糸をさらに含む該二重編み織物である。幾つかの他の実施形態では、該連結用織糸は該光反射植物支持面の織糸と同色である。
【0020】
本開示内容の別の実施形態は、交換可能な無土壌栽培培地の光吸収基底面側をトレイ上に配置するかまたは取り付けることを含む、屋内農業用フラットを作製する方法である。該トレイは根に面した側および発育中の植物に面した側を有する。該無土壌栽培培地は貫根性であり、かつ該無土壌栽培培地を該トレイ上に配置する場合には該無土壌栽培培地の該光反射植物支持面と該トレイの発育中の植物側とを同じ方向に向けて該トレイ上に配置する。該無土壌栽培培地を該トレイ上に配置する場合には、該無土壌栽培培地の該光吸収基底面と該トレイの根側とを同じ方向に向ける。本開示内容のまたさらなる実施形態は、2つの織布から作製した交換可能な織物の光吸収基底面側をトレイ上に取り付けることを含む、フラットを作製する方法である。該トレイは根に面した側および発育中の植物に面した側を有し、2つの織布から作製した該織物を、該織物を該トレイに取り付ける場合には該織物の該光反射植物支持面と該トレイの発育中の植物側とを同じ方向に向けて該トレイに取り付け、該織物を該トレイに取り付ける場合には該織物の該光吸収基底面と該トレイの根側とを同じ方向に向ける。フラットを作製する幾つかの実施形態では、該織物は1つ以上のランニングステッチを含み、該ランニングステッチは該織物の外周縁上にある該織物の1つ以上の取り付け位置の部分に固定することができる。該織物は二重編み織物でありうる。前記の交換可能な無土壌栽培培地は、該トレイから取り出し、浄化して根および残滓を除去してから、植物を発育させるために再利用することができる。他の実施形態では、この交換可能な無土壌栽培培地を該トレイから取り出して堆肥にすることができる。
【0021】
本開示内容の実施形態は、無土壌栽培培地を利用するグロースチャンバー内の培養液組成物濃度を維持する方法を含みうる。幾つかの実施形態では、該無土壌栽培培地は、バランスが取られた構造を有しておりかつ別個の織布から作製される織物の栽培培地である。該無土壌栽培培地の一方の織布表面は、発育中の植物をその上に有する起毛した光反射植物支持面を有してもよく、また他方の無土壌栽培培地表面は、根がそこを通って伸長する平らな光吸収基底面を有しうる。該方法は、該光吸収基底面を通って突出した発育中の植物の根に有効量の培養液を施用する工程または行為を含む。該培養液は、該吸収底面および植物根に、該無土壌栽培培地の該光吸収基底面の下に配置しうるスプレーノズル、タンク、栄養フィルム、またはこれらの組み合わせなどの供給源から供給することができる。該方法は、該無土壌栽培培地の該光反射植物支持面および発育中の植物に植物を発育させるための光を供給すること、ならびに/または該光反射面および発育中の植物全体に気流を供給することをさらに含みうる。
【0022】
有利なことに、本開示内容の実施形態は、水耕および気耕用グロースチャンバーならびに垂直農法のシステムにおいて使用する培養液組成の維持を容易にしかつ改善する。本開示内容の実施形態における前記無土壌栽培培地は、これらの培養液からの水の蒸発損失を低減することができる。より少ない蒸発損失は、生育サイクル中に該培養液に追加する補給水を少量しか必要とせず、この追加分の作製に関連する運転コストおよび設備費を削減することが可能であり、また前記の発育中の植物のためのより一貫した生育環境を提供することができる。これらの無土壌栽培培地から蒸発するより少量の水は、屋内農場内の湿度を制御するために使用する空調設備に関するサイズおよび運転コストもまた削減することができる。本開示内容の実施形態は、栄養供給容器および受け皿に当たる光の量も低減することが可能であり、また藻類の繁殖と、浄化ならびに受け皿および栄養貯蔵器などの栽培システム構成要素からの藻類除去に関連するコストを抑制することができる。該無土壌栽培培地が織物である実施形態では、該織物はバランスが取られた構造を有することができ、これは該織物を取り付けるトレイの縁のカール形成およびスカラップを生じる隙間の減少をもたらし得る。スカラップが生じる隙間がより少なくなり、またカール形成が減ると、フラットの縁における隙間および栄養分のオーバースプレーに起因する栄養分の損失および植物の葉焼けが減少する。前記光吸収基底面の非起毛または平らな表面の質感により該織物をより容易に洗浄することが可能となり、また該織物への植物残渣による負荷が軽減すると、結果として、両側に起毛面を有する織物と比較して、生育サイクル間に該織物を再調整するためにより少量の洗浄液が必要となる。この平らな非起毛面は、該織物を補修の際に一段と容易に積み重ねることも可能にする。
【0023】
本開示内容およびその利点のより完全な理解は、後述の説明を、同様の参照番号が同様の特徴を示しかつ以下の通りである添付の図面と併せて参照することにより得られるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】
図1は、布無土壌栽培培地の縁と支持体フレームとの間のスカラップおよび隙間を例示した、上面に発育中の植物を有する先行技術の布のイメージを示す図である。
【
図2】
図2は、織物とフレームの縁との間のカールおよび隙間を例示した、発育中の植物が存在しない、トレイに載せた先行技術の布のイメージを示す図である。
【
図3】
図3Aは、起毛側および非起毛側ならびに織物の縁に沿って形成されたカールを有する、非伸張布のイメージを示す図である。
図3Bは、
図3Aの織物をその下にあるトレイに取り付けた、隣り合うフラットAおよびフラットBのイメージを示す図であり、フラットAおよびフラットBはその上面に発育中の植物を有する。
図3Bは、該トレイの縁との隙間を形成して該フラット上の栽培面積の減少を招く、該織物の縁に沿うカールおよびスカラップをさらに例示した図である。
【
図4】
図4は、本開示内容の実施形態における織物である無土壌栽培培地の糸(thread)および構造の説明図である。
【
図5A】
図5Aは、織物でありうる無土壌栽培培地のイメージを示す図である。該イメージは、該無土壌栽培培地の光反射側および光吸収側を、トレイに該無土壌栽培培地を取り付けるための固定具と共に例示したものである。
【
図5B】
図5Bは、本開示内容の実施形態における織物でありうる無土壌栽培培地のイメージを示す図である。該イメージは、該無土壌栽培培地をトレイに取り付けることにより屋内農業用フラットを形成するための固定具を備えた光反射側および光吸収側を例示したものである。該トレイの根側および発育中の植物側も示されている。
【
図6】
図6Aは、3種の屋内農業用フラットのイメージを示す図であり、中央のイメージ(屋内農業用フラットA)は、グロースチャンバー内の(その上で植物が発育している)トレイに取り付けた織物無土壌栽培培地を有する本開示内容の実施形態における屋内農業用フラットの実施形態であり、右(フラットB(先行技術))は該グロースチャンバー内の(その上で植物が発育している)トレイに取り付けた先行技術の布であり、左(フラットC(先行技術))は該グロースチャンバー内の(その上で植物が発育している)トレイに取り付けた、先行技術の布(フラットBと同一の布)である。
図6Bは、屋内農業用フラットA(本開示内容の実施形態における無土壌栽培培地)とフラットB(先行技術)の間の領域を例示した、
図6Aのイメージの上部(破線円)の詳細図であり、該フラットB(先行技術)の縁に沿って形成されたスカラップをさらに例示したものである。
【
図7】
図7は、
図6Aのイメージの底部の詳細図であり、屋内農業用フラットA(本開示内容の無土壌栽培培地の実施形態)とフラットB(先行技術)との間の領域を例示したものであり、異なる無土壌栽培培地を有するこれら2つのフラット上の織物の裏面の一部を例示したものである。
【
図8】
図8(A~B)は、(A)非伸張状態、および(B)第1の布方向に伸張させた状態の、両面を起毛させた布を示す図である。
図8Bは、実施例4に記載した、第1の方向に伸張させた布およびその縁のカール形成を示す図である。
【
図9】
図9(A~B)は、(A)非伸張状態および(B)第2の布方向(第1の方向に対して垂直)に伸張させた状態の
図8(A~B)の布を示す図である。
図9Bは、実施例4に記載した、第2の方向に伸張させた布およびその縁のカール形成を示す図である。
【
図10】
図10(A~B)は、(A)非伸張状態および(B)第1の織物方向に伸張させた状態の、片面は起毛しておりかつ反対面は平らな、本開示内容の実施形態における織物である無土壌栽培培地を示す図である。
図10Bは、実施例4に記載した、第1の方向に伸張させた無土壌栽培培地織物(縁のカール形成が本質的に無い)を示す図である。
【
図11】
図11(A~B)は、(A)非伸張状態の、および(B)第1の方向(
図10Bと同じ方向)に伸張させた状態の、片面は起毛しておりかつ反対面は平らな無土壌栽培培地織物(該無土壌栽培培地織物は、
図10(A~B)に示した向きと入れ替わっている)を示す図である。
図11Bは、実施例4に記載した、第1の方向に伸張させた織物(縁のカール形成が本質的に無い)を示す図である。
【
図12】
図12(A~B)は、(A)非伸張状態および(B)第2の無土壌栽培培地織物の方向に伸張させた状態の、片面は起毛しておりかつ反対面は平らな無土壌栽培培地織物を示す図である(
図10Aと比較した白色縞模様の方向に留意されたい)。
図12Bは、実施例4に記載した、第2の方向に伸張させた無土壌栽培培地織物(縁のカール形成が本質的に無い)を示す図である。
【
図13】
図13(A~B)は、植物の発芽および発育を支持しかつ光反射植物支持面および反対側の光吸収基底面を有する本開示内容の実施形態における透根性無土壌栽培培地基材を透過する光の減少を、光反射植物支持面および光反射底面を有する隣の透根性基材と比較して例示した図であり、該基材を透過する光の量は、これら2つの異なる基材の下の受け皿表面から反射する光の量および光の外観(appearance)により示される。
【
図14】
図14は、実質的に種子のサイズと同じ規模である質感を有しうる無土壌栽培培地表面を例示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下の記述において、「上」、「底」、「外向き」、「内向き」等といった用語は、便宜上の単語であって、用語を限定するものと解釈すべきでないことは理解されよう。本明細書中では本開示内容の実施形態に詳細に言及するが、該実施形態は添付図および実施例において例示されている。通常は図面を参照すれば、例示は本開示内容の特定の実施形態を説明するためのものであって、該本開示内容を限定する意図はないことが理解されよう。
【0026】
本開示内容の特定の実施形態が1グループの少なくとも1つの要素およびその組み合わせを含むかまたは該要素からなる場合は常に、該実施形態は該グループの該要素のいずれかを個々に、または該グループの他の要素のいずれかと組み合わせて含むかまたはそれからなる場合があることを理解されたい。該実施形態のこれらの、および他の態様は、説明および添付図面と併せて考慮すると、より正しく評価され理解されよう。説明は、様々な実施形態およびその非常に多くの具体的詳細を示してはいるが、例示のために提供されるものであって、限定するためのものではない。多くの代用、改変、追加または再構成を様々な実施形態の範囲内で行ってもよく、本開示内容はかかる代用、改変、追加および再構成を全て包含するものである。
【0027】
伸張させた形状でフレームまたはトレイ上に配置する先行技術の布培地に関する問題点は、該布の縁がフレームの縁から離れる方へカールする可能性があり、また該フレームとの取り付け部にスカラップおよび隙間を形成する可能性があるということである。スカラップおよび隙間は該トレイに対する該布の不適切なフィットおよび生育のための該布表面の不十分な利用につながる可能性がある。該カールまたは該スカラップは、該フレームまたは該トレイと布との間に開口部または隙間を形成する可能性もあり、これは下から植物根に供給される培養液が該布の上面上の発育中の植物と接触することを可能にする。発育中の植物の茎および葉と該培養液との接触は植物へのダメージおよび生産物の損失をもたらす。過剰なカール形成を伴う布は使用に適さなくなって補修または交換を必要とする可能性があり、これが運転コスト全体を増大させて廃棄物を生み出す。
【0028】
これらの無土壌栽培布素材の表面からの培養液に含有される水の蒸発は多いことがある。この蒸発は、屋内栽培環境において湿度を制御するための空調に関する固定費および運転コストの増大をもたらしうる。該布からの蒸発は、該培養液の濃度の経時的な変化をもたらす可能性もあり、成分濃度を維持するために培養液組成の調整が必要となる。該無土壌栽培培地からの蒸発を低減しつつ、該培地を通る根の貫通も可能にする必要がある。
【0029】
図1は、先行技術の布無土壌栽培培地110のイメージを示す図であり、該布の上面には発育中の植物120がある。グロースチャンバー内で、隣接するフラットA 102およびフラットB 104、トレイまたはフレーム130および135にそれぞれ取り付けられたかまたは固定された該布110が示されている。
図1は、該布の縁と該フレームまたは該トレイの直線縁との間のスカラップ形状の隙間140、150、および160を例示している。該布はその下にあるトレイの縁全てに沿う十分なドレープを有していない。この織物はスカラップに沿って下に巻くかまたはカールしている。
図1に例示した隙間140、150、および160は、植物を生育させるために利用可能な布の面積を減少させて、該布の下に位置するノズルからの栄養スプレーが植物120に接触してダメージを与えうる。これらの隙間を通じた培養液からの水の蒸発も多い可能性がある。
【0030】
図2は、1つ以上のハトメによりフレームまたはトレイ240の上面230に取り付けた先行技術の布210のイメージを示す図である。該布は伸張させた形状である。220および260ではカールした織物により露出し、またフレームの角250では覆い被さっている織物により覆われている、トレイ240の側縁が例示されている。
図2は、フレーム240の縁に沿った220および260での織物のカールおよび隙間を例示した図であり、フレームの該縁に沿う十分なドレープを有していない織物の1例である。該カールは隙間、およびフラット上の栽培面積の減少を招く可能性がある。
図2中の布は起毛した上面の質感および起毛した底面の質感を有する。
【0031】
図3Aは、起毛側330および非起毛側340、ならびに該非起毛側340の方向に丸まった織物の縁に沿って形成されたカール320を有する、布310のイメージを示す図である。該イメージはバランスが取られていない(unbalanced)織物の1例を例示している。固定具350(ハトメ)は該織物に固定されており、該布をトレイまたはフレームに取り付けるために使用できる。
図3Bは、2つの隣接するフラット、フラットA 302(左)およびフラットB 304(右)(各フラットの上面には発育中の植物を有する)上の
図3Aに示す織物のイメージを示す図である。
図3Bは、カール370(フラットA 302上の織物)およびカール380(フラットB 304上の織物)により形成される、フラットA 302の織物とフラットB 304の織物の間の隙間360を例示した図である。該織物の縁に沿ったこれらのようなカールおよびスカラップは、トレイの縁またはフレームの縁との隙間360を形成することができ、該フラット(複数可)上の栽培面積を減少させる。該フラット上の栽培面積の減少は、作物を生産するためのコストを増大させる。
【0032】
本開示内容の実施形態は、無土壌栽培培地を組み込んだ、屋内農業用フラットでありうる製品を提供する。該無土壌栽培培地は光反射植物支持面および光吸収基底面を有しうる。該無土壌栽培培地の各表面は、該光反射植物支持面から入りかつ該光吸収基底面を通る、発育中の植物の根の貫通を可能にする開口部を有しうる。該無土壌栽培培地はトレイの上に配置することが可能であり、該トレイは根側および発育中の植物側を有する。本開示内容の実施形態における屋内農業用フラットは、水耕または気耕栽培のための屋内垂直農法に使用できる。幾つかの実施形態では、該屋内農業用フラットを、光吸収素材で製造されうる養分供給源または容器の上に配置することができる。
図6A中、中央の屋内農業用フラットAは、グロースチャンバー内で発育中の植物をその上に有するトレイの上に配置しうる、本開示内容の実施形態における無土壌栽培培地を有する屋内農業用フラットの1例である。
図13Aは、グロースチャンバー内で受け皿および養分供給源の上に配置した屋内農業用フラットをさらに例示したものである。
図13A中の無土壌栽培培地は、植物の発芽および発育を支持し、かつ光反射植物支持面および反対側の光吸収基底面を有する透根性基材を例示したものである。
【0033】
本開示内容の実施形態は、透根性無土壌栽培培地基材上での植物の発芽および発育を支持しうる該基材を有する、屋内農業用フラットまたは栽培システムなどの製品を含みうる。該透根性基材は、光反射植物支持面および反対側の光吸収基底面を有しうる。該透根性基材をトレイまたはフレームなどの支持体の上に配置してもよく、該支持体は根側および発育中の植物側を有しうる。該無土壌栽培培地基材は、該支持体の上に配置することができ、該基材を支持体の上に配置する場合には該基材の該光反射植物支持面と該支持体の発育中の植物に面した側とを同じ方向に向け、かつ該基材の該光吸収基底面と該支持体の根側とを同じ方向に向けることができる。該基材の該光反射植物支持面は、該光吸収基底面より多くの光を反射する。該製品の幾つかの実施形態では、該無土壌栽培培地基材の該光吸収基底面は平らな質感を有し、かつ該光反射面より多くの光を吸収する。幾つかの実施形態では、該無土壌栽培培地の該光吸収基底面は、該基材の該光反射植物支持面よりも植物を発育させるための光を20%~90%、またはそれ以上多く吸収する平らな質感を有する。他の実施形態では、該基材の該光反射植物支持面は粗い質感を有する。本開示内容のさらに他の実施形態では、該光吸収基底面は平らな質感を有し、かつ該基材の該光反射植物支持面は粗い質感を有する。幾つかの実施形態では、この粗い質感は織物または布の毛羽(nap)でありうる。
【0034】
本開示内容の幾つかの実施形態は、無土壌栽培培地を利用する気耕または水耕栽培のための装置および方法に関する。該無土壌栽培培地は、織物のカール形成および培養液の蒸発を実質的に減少させうる2つの継ぎ合わされた編み織布(knit web)により形成される織物でありうる。本開示内容の実施形態における該無土壌栽培培地は、フラット上の利用可能な栽培面積を増大させることが可能であり、グロースチャンバー内の培養液組成の維持を改善することが可能であり、また屋内農場内の湿度制御に関連するコストを削減することができる。該無土壌栽培培地は、水耕または気耕用グロースチャンバー内で植物の発育に使用する先行技術の無土壌栽培培地に関連する蒸発および/またはオーバースプレーを低減することができる。
【0035】
本開示内容の実施形態では、「発育中の植物」という用語は、通常は前記栽培培地の上面上に存在する1つ以上の発芽中の種子、本葉が出たかもしくは出ていない1つ以上の幼植物、1つ以上の生育中の植物、またはこれらの任意の組み合わせを指すことがある。
【0036】
本開示内容の実施形態は、織物、布、およびセルロースを含む複合素材などのテキスタイルを含む無土壌栽培培地を使用することができる。本開示内容の実施形態における無土壌栽培培地は、種子の発芽および植物の発育を支持する。幾つかの実施形態では、該無土壌栽培培地は、交絡繊維、織糸、縫糸(thread)およびこれらの組み合わせで作製されうる。布および織物という用語は、本開示内容および特許請求の範囲においては互換的に使用される場合がある。
【0037】
本開示内容の実施形態では、無土壌栽培培地の「側(side)」は、言及される該栽培培地の該側の質感または粗さを含む一般的特性に応じて、「(表)面」、「層」、または場合によっては「領域」と称することもできる。側、(表)面、層、および領域という用語は、本明細書を通して互換的に使用することができる。例えば、植物支持面への言及は、該無土壌栽培培地およびその質感によっては、植物支持層、植物指示領域、または植物支持側への言及でもありうる。同様に、光吸収基底面への言及もまた、該無土壌栽培培地およびその質感によっては、光吸収基底層、光吸収基底領域、または光吸収基底側への言及でありうる。
【0038】
本開示内容の実施形態では、前記無土壌栽培培地は光反射植物支持面および光吸収基底面を有しうる。この基材の該光反射植物支持面は、該光吸収基底面よりも、植物を発育させるために使用される光の吸収が少ないものであり得る。該基材の該光反射植物支持面はまた、該光吸収基底面よりも、植物を発育させるために使用される光を多く反射し得る。該無土壌栽培培地の該光反射植物支持面は、植物を発育させるために使用される光を反射する素材で作製することができる。この光反射性素材は色、例えば黄色のような淡色を有してもよく、該光反射性素材は白色でありうる外観を有してもよく、または該光反射性素材は金属などの別の物理的特性、もしくは光を該光反射植物支持面から反射させるこれらのものの任意の組み合わせを有し得る。該無土壌栽培培地表面の該光吸収基底面は、植物を発育させるために使用される光を吸収する素材で作製することができる。この光吸収素材は色、例えば灰色または褐色のような暗色を有することができ、該光吸収素材は黒色でありうる外観を有し得るか、または該光吸収素材は光を捕捉してこれを熱に変換しうる別の物理的特性、もしくは一部の光を該光吸収基底面により吸収させるこれらのものの任意の組み合わせを有し得る。
【0039】
本開示内容の実施形態では、前記の織物上、テキスタイル上または他の無土壌栽培培地素材上の1つ以上の表面に、本明細書中では概して「ナッピング」と称する、ブラッシング、サンディング、ナッピング、または同様の作業を行うことにより、該素材または該織物の表面に毛羽立てた繊維を生み出し、それによって該無土壌栽培培地を含む該素材、織糸、または織物の厚さおよび表面積を増大させることが可能である。他の実施形態では、該テキスタイルまたは織物に、ブラッシング、ディンプル加工、または他の作業を行うことにより、該無土壌栽培培地の1つ以上の表面上に粗い質感を生み出してもよい。
【0040】
十分なドレープ(良好なドレープ)とは、トレイまたはフレームの縁全てを覆ってフィットする、本開示内容の実施形態における織物、テキスタイル、または他の無土壌栽培培地素材を指す。本開示内容の幾つかの実施形態では、織糸の織布からなる織物はトレイに取り付けた場合に伸張させた形状であってもよく、また該織物は該トレイの縁を覆う十分なドレープを有しうる。
図5Bは、伸張させた形状でフレームに取り付けた、十分なドレープ付きの織物またはテキスタイルを例示した図である。
図5Bでは、該織物はトレイの縁を覆う十分なドレープ570を有する。十分なドレープは、フラット上で使用するテキスタイル、織物、および他の無土壌栽培培地にとって重要な性質であり、これは十分なドレープが該織物または該無土壌栽培培地とトレイの間の隙間を解消し、それによって気耕栽培システムにおいて培養液の蒸発を低減しかつ植物への養分のオーバースプレーを低減することができるからである。無土壌栽培培地または織物の十分なドレープは、該織物とトレイの間の隙間を解消することにより、フラットの有用な栽培面積も維持する。
【0041】
本開示内容の実施形態におけるグロースチャンバーは、トレイを、該トレイの上に配置するかまたは該トレイに取り付けかつ植物がその根部分の上方に確保されるよう適合させた無土壌栽培培地と共に含む。該根は該無土壌栽培培地を通って突出し、水耕法または気耕法を利用して培養液および栽培環境に直接曝露させることができる。該培養液は、該無土壌栽培培地の光吸収基底面の下に配置されるスプレーノズル、噴霧器、タンク、または他の容器などの供給源により、該根に供給することができる。該グロースチャンバーは、未使用の培養液を回収するための構造とこの回収した培養液を植物根に戻して再循環させる機器をさらに含みうる。該グロースチャンバーは、植物を発育させるための適切な波長の光子を十分に提供する1つ以上の光の供給源、例えば発光ダイオードまたは高圧ナトリウムランプを含みうる。一般に、トレイまたはフレームにより支持されるかまたはこれに取り付けた無土壌栽培培地の上面上に種子を置く。該種子は該無土壌栽培培地上で発芽し、その後該トレイ上の無土壌栽培培地をグロースチャンバー内に設置する。該グロースチャンバー内では、該無土壌栽培培地の上側に適切な波長および強度の光を与えることにより発育中の植物の生育を促進することが可能であり、該無土壌栽培培地の下側および発育中の根の集団は培養液を受け取ることができる。種子から得られる植物は、所望の生育段階で収穫する。該グロースチャンバーを互いに積み重ねる、ならびに/または並べて配置することにより、施設内の空間を節約すること、ならびに該グロースチャンバーに培養液、温度、湿度、および二酸化炭素を供給するサブシステムの共有を可能にすることができる。本開示内容の幾つかの実施形態では、培養液供給源は、植物の露出した根部分に直接養分ミストを送達する噴霧装置により該グロースチャンバーに供給されうる。幾つかの実施形態では、複数のグロースチャンバーをグロータワーに組み込むことができる。
【0042】
本開示内容の実施形態における、織物(fabrics)を含め、無土壌栽培培地は、光吸収面および光反射面を含む。該光反射面は、該無土壌栽培培地の該光吸収面よりも植物を発育させるために使用される光を多く反射し、また該光吸収面は、該光反射面よりも植物を発育させるために使用される光を多く吸収する。該光反射面は明るい外観、例えば淡黄色、灰白色、輝白色、または入射光の大半を反射する特性を有しうる。幾つかの実施形態では、該光反射面は植物を発育させるために使用する入射光に対して75%~90%反射性である。該光吸収面は黒色または青紫色などの暗い外観、または植物を発育させるために使用する入射光の大半を吸収する特性を有しうる。幾つかの実施形態では、該無土壌栽培培地または織物の該光吸収面は、植物を発育させるために使用する入射光の約75%~96%を吸収しうる(4%~25%反射性)。
【0043】
本製品の幾つかの実施形態では、前記無土壌栽培培地の前記光吸収基底面は平らな質感を有し、かつ前記光反射面よりも植物を発育させるために使用される光を多く吸収する。幾つかの実施形態では、該無土壌栽培培地の該光吸収基底面は、該培地の前記光反射植物支持面よりも植物を発育させるために使用される光を20%~96%、またはそれ以上多く吸収しうる平らな質感を有する。他の実施形態では、この基材の該光反射植物支持面は、該培地の該光吸収基底面よりも植物を発育させるために使用される光を20%~90%、またはそれ以上多く反射しうる粗い質感を有する。本開示内容の該無土壌栽培培地のさらに他の実施形態では、該無土壌栽培培地の該光吸収基底面は、該無土壌栽培培地の該光反射植物支持面よりも植物を発育させるために使用される光を20%~96%、またはそれ以上多く吸収しうる平らな質感を有し、かつ該無土壌栽培培地の該光反射植物支持面は、該培地の該光吸収基底面よりも植物を発育させるために使用される光を20%~90%、またはそれ以上多く反射しうる粗い質感を有する。該無土壌栽培培地の該光反射面より多くの光を吸収することにより、該光吸収基底面は、該培地および発育中の植物の根より下に位置する培養液に到達する光の量をさらに低減することができる。該光吸収基底面にとって、平らな質感は、培養液を吸収および保持するために利用可能な表面積を減少させて、該無土壌栽培培地からの蒸発を低減するのに役立ちうる。
【0044】
本開示内容の実施形態におけるトレイまたはフレームとは、本開示内容の無土壌栽培培地のための任意のサイズまたは形状の支持体を指すことができる。該トレイはグロースチャンバー内に配置するかまたははめ込むことが可能であり、また該栽培培地およびフレーム構造を支持するために横材を含みうる。本明細書中ではフラットまたは屋内農業用フラットと称される、無土壌栽培培地の位置をその上に有するトレイまたはフレームは、種子を発芽させて植物を発育させるために使用できる。幾つかの実施形態では、任意のワイヤーインサート、ラッティス(格子)、または支持物を備えたフレームを、該無土壌栽培培地を支持するトレイとして使用できる。トレイおよびフレームという用語は、本開示内容の実施形態においては互換的に使用できる。トレイの周囲長はメートルまたはセンチメートルで測定することが可能であり、またトレイは様々な幾何学的および非幾何学的形状を有しうる。トレイはグロースチャンバーの上縁、へり、溝(track)、または他の構造に載せるかまたは据え付けることができる。フレーム上に配置した種子を有する無土壌栽培培地を、オープングロースチャンバー内に設置することができる。種子を有する該無土壌栽培培地の上側に、適切な周波数の光および水分を与えることにより、該種子からの発芽および発育中の植物の生育を促進することができる。培養液は、グロースチャンバー内の温度、湿度、および二酸化炭素を制御しながら、噴霧または断続的な水没により、光吸収面または層から突出する植物の発育中の根の集団と接触させることができる。水耕栽培では、植物上の空気の湿度、温度、および二酸化炭素を制御できると同時に、培養液中の発育中の植物の根を曝気するかまたは酸素の供給源に曝露することができる。気耕または水耕システムで得られる発育中の植物は、所望の生育段階で収穫することができる。
【0045】
幾つかの実施形態では、前記無土壌栽培培地は織物または布でありうる。該培地の一方の表面は、平らな質感を有しかつ光反射植物支持面の織糸よりも光を多く吸収する繊維または織糸で作製される2つ目の光吸収面よりも、植物を発育させるための光を多く反射する、繊維または織糸を含む起毛した質感を持つ光反射植物支持面でありうる。該織物は連結用織糸を用いて継ぎ合わせられる2つの織布からなりうる。種子を有する該織物または布の無土壌栽培培地は、オープングロースチャンバー内に設置することができる。種子を有する該無土壌栽培培地の上側に適切な周波数の光および水分を与えることにより、該種子からの発芽および発育中の植物の生育を促進することができる。培養液は、該織物または布の光吸収面を通って突出する該植物の発育中の根の集団と接触させることができる。気耕システムの場合、該培養液は、グロースチャンバー内の温度、湿度、および二酸化炭素を制御しながら、例えば噴霧または断続的な水没により、根と接触させることができる。発育中の植物は所望の生育段階で収穫する。水耕システムの場合、無土壌栽培培地を貫通する発育中の植物の根を、完全にまたは部分的に培養液中に吊り下げることができる。この無土壌水耕栽培培地中の発育中の植物は、オープングロースチャンバー内に設置して適切な周波数の光を与えることができる。該植物上の空気の湿度、温度および二酸化炭素を制御できると同時に、培養液中の発育中の植物の根を曝気するかまたは酸素の供給源に曝露することができる。気耕または水耕システムで得られる発育中の植物は、所望の生育段階で収穫することができる。
【0046】
有利なことに、編み織布(編まれた織布)を含む、本開示内容の実施形態における織物無土壌栽培培地は、起毛した質感を持つ光反射植物支持面、および該織物からの水の蒸発の減少をもたらす非起毛または平らな質感を持つ光吸収基底面を有しうる。織物無土壌栽培培地からの蒸発の減少は、それがグロースチャンバー(複数可)内で使用する該培養液からの水の損失を低減し、それによって工程安定性を改善するため、有利である。水の損失の減少は、グロースチャンバー内の培養液濃度を維持するための注入設備、センサー、および化学分析に関連する設備費および運転コストを削減することもできるし、また屋内農場内の湿度レベルを維持するために使用する設備費およびエネルギーも削減する。
【0047】
前記無土壌栽培培地が織物である本開示内容の幾つかの実施形態では、該織物は連結用織糸で継ぎ合わせた2つの編み織布を含んでもよく、また該織物は任意で、該織物の1つ以上の織布の内外に織糸または縫糸を通すことにより形成される「ランニングステッチ」をさらに含みうる。該ランニングステッチは、該織物の1つ以上の縁領域に固定された末端を有してもよく、また任意で、ハトメなどの固定具により保持される該ステッチの末端を有していてもよい。ランニングステッチの1つ以上の線を該織物に使用してもよい。該ランニングステッチを形成する織糸または縫糸は、色を有しうるか、または前記織布の一方と同様に光を反射しうる。ランニングステッチを使用できるが、仮縫いのステッチすなわち「テーラーズタック」、ダーニングステッチ、ホルバインすなわちダブルランニングステッチ、ダブルダーニングステッチ、またはこれらのうちの1つ以上の任意の組み合わせを含むがこれらに限定されない他の同様のステッチもまた使用できる。
【0048】
本開示内容の屋内農業の方法のうちの幾つかにおいて使用する織物は、植物支持面の織糸織布と基底面の織糸織布とを該織物中で連結する連結用織糸を含む二重編み織物でありうる。該連結用織糸は、植物を発育させるために使用される光を反射しうる。該方法に使用する織物はランニングステッチをさらに含んでもよく、また該ランニングステッチは該織物の1つ以上の縁領域に固定されたその末端の1つ以上を有し得る。該ランニングステッチは植物を発育させるために使用される光を反射しうる。
【0049】
図5Aは、本開示内容の実施形態における織物である無土壌栽培培地のイメージを示す図であって、光反射側および光吸収側を例示したものであり、該織物の周辺領域に沿ってこれを貫通させて取り付けられた固定具520を有する該光反射面が示されている。該固定具はハトメ、ホック、スナップ等であってもよく、トレイに該織物を取り付けるために使用される。
図5Bは、本開示内容の実施形態における織物である無土壌栽培培地のイメージを示す図であり、該織物の起毛光反射植物支持側550および該織物の非起毛光吸収根側560が該トレイ上の支柱(posts)またはホックに取り付けた固定具520と併せて示されている。同様に、該トレイの根側または底部側540、該トレイの発育中の植物側または上側530、および該トレイの縁580も示されている。該織物は該トレイ上で伸張させた形状であり、また該トレイの外縁を覆う該織物が示されており、該布とトレイの間にはスカラップまたは隙間が存在しない。該織物は、570a~570bのドレープ付きの織物の下に見える該トレイ外縁の下層の角により例示されるように、フレームの縁を覆う十分なドレープを有する。
【0050】
図5Bは、前記織物を前記トレイに取り付けたときに前記無土壌栽培培地織物の前記起毛光反射植物支持面550と前記トレイの発育中の植物に面した上側530とを同じ方向に向け、該織物を該トレイに取り付けたときに該無土壌栽培培地織物の該非起毛光吸収基底面560と該トレイの該トレイ根底部に面した側540とを同じ方向に向け、固定具520により該トレイに周辺領域に沿って取り付けた該無土壌栽培培地織物を例示した図でもある。
【0051】
示していない幾つかの実施形態では、織物などの前記無土壌栽培培地を、1つ以上の隣接するトレイ、グロースチャンバーの壁、またはこれらの任意の組み合わせとの摩擦嵌合(friction fit)により前記トレイに取り付けてもよい。該織物の縁は、該織物を保持するために隣接するトレイの縁に挟まれているか、または押さえつけられていてもよい。さらに、摩擦による取り付けと1つ以上の固定具との組み合わせを利用して織物をトレイに取り付けてもよい。
【0052】
図6Aは、グロースチャンバー内の異なる織物無土壌栽培培地を有する3つのフラット、フラットA 602およびフラットB 604、およびフラットC 606のイメージを示す図である。フラットA 602は、中央トレイ上の伸張させた形状の織物である本開示内容の実施形態であり、該織物は該トレイの外縁を覆っていて、スカラップまたは隙間が存在しない。フラットA 602の織物はこの第1トレイの縁を覆う十分なドレープ、ならびに該織物の起毛光反射植物支持側および該織物の非起毛光吸収根側を有する
図5に例示した培地と同様の構造を有する。フラットB 604は、先行技術の1例であり、両面が起毛しておりかつ最も右側のトレイ上の伸張させた形状の織物である織物を有し、該織物は該織物とトレイ620との間にスカラップまたは隙間630および640を有する。フラットC 606もまた先行技術であり、両面が起毛しておりかつ最も左側のトレイ上の伸張させた形状である織物を有し、該織物もまた該織物とトレイとの間にスカラップまたは隙間を有する。
図6Bは、フラットA 602(本開示内容の実施形態)とフラットB 604(先行技術)の間の領域を例示した、
図6A中のイメージの上部の詳細図であり、フラットB 604のスカラップまたは隙間630および640をさらに例示したものである。
【0053】
図7は、フラットA 702(本開示内容の無土壌栽培培地の実施形態)とフラットB 704(先行技術の布素材)の間の領域を例示した、
図6Aのイメージの底部の詳細図であり、異なる無土壌栽培培地のこれら2つのフラット上の織物の裏面の一部を例示したものである(その縁の角は底面を示すために上方に折り畳まれている)。フラットA 702上の織物無土壌栽培培地はその上部光反射面上に起毛した質感750を有し、かつその下部光吸収面上に非起毛760の平らな質感を有する。フラットB 704上の織物は、起毛した質感を持つ上部光反射面770および起毛した質感を持つ下部光反射面780を有する。
【0054】
前記無土壌栽培培地は全体的な厚さを有してもよく、また前記無土壌栽培培地の前記の光反射および光吸収層または領域の各々は別個の厚さを有してもよい。本開示内容の幾つかの実施形態では、該無土壌栽培培地は約3ミリメートルまたはそれ未満という全体的な厚さを有してもよく、幾つかの実施形態では該無土壌栽培培地の全体的な厚さは2ミリメートル(mm)~3ミリメートルでありうる。より薄い無土壌栽培培地が、該培地に貯蔵され蒸発する水分の量を減少させる上で有益でありうる。幾つかの実施形態では、該無土壌栽培培地の光吸収面または層は、0ミリメートル~約1 mmよりも大きい厚さ、および高さが0ミリメートルより大きくかつ高さが約0.5 mm未満である粗さを有しうる。一部の無土壌栽培培地の場合、特に該栽培培地の貫通根が存在しない場所では、より厚い光吸収層はより薄い層よりも多くの光を遮断することができる。幾つかの実施形態では、光反射面または層は、0ミリメートル~約2 mmより大きい厚さ、および高さが0ミリメートルより大きくかつ高さが約2 mm未満である粗さを有しうる。幾つかの実施形態では、該光反射面または層の粗さは高さが約1~2 mmでありうる。該光反射層および該光吸収層の粗さは、非圧縮表面または層の突出部と谷部との間で測定することができる。該無土壌栽培培地が織物である本開示内容の実施形態では、該織物の全体的な厚さは約3ミリメートルまたはそれ未満でありうる。幾つかの実施形態では、該織物の厚さは2~3ミリメートルであってもよく、該光吸収面または層は厚さが約1 mmまたはそれ未満であってもよく、かつ該光反射面または層は高さが0ミリメートルより大きくかつ高さが約2 mm未満である粗さを持つ圧縮されていない毛羽を有しうる。幾つかの実施形態では、該光反射面層の圧縮されていない毛羽の粗さは約1~2 mmである。
【0055】
本開示内容の幾つかの実施形態では、植物および種子を支持する前記光反射面は、質感または粗さを有しうる。前記無土壌栽培培地の該光反射面は、該種子と実質的に同じ規模またはサイズである質感を有しうる。該種子は通常、該無土壌栽培培地の毛羽立てた質感、ディンプル、または毛羽の間の低い場所に置くことができる。例えば、該無土壌栽培培地の外向きの毛羽は、該種子のサイズと同様の特徴サイズ(例えば、約±5X倍またはそれ以下の範囲内のサイズ)を有しうる。
図14は、
図14中の破線円1420内の質感「∩」および種子「〇」で示されるように、実質的に該種子と同じ規模およびサイズである、破線円1410内の小さな「∩」の隆起のような模様により例示される特徴を持つ質感を有しうる無土壌栽培培地表面を例示した図である。本開示内容の幾つかの実施形態では、光吸収基底面は平らな質感を有し、かつ該光反射面より多くの光を吸収する。他の実施形態では、この基材の該光反射植物支持面は粗い質感を有する。本開示内容のさらに他の実施形態では、該無土壌栽培培地は、粗い質感を持つ光反射面および平らな質感を持つ光吸収基底面を有しうる。
【0056】
前記無土壌栽培培地が織物である本開示内容の実施形態では、該織物はバランスが取られたかまたは実質的にバランスが取られた構造を有しうる。バランスが取られた構造は、各織物表面上に通常は同じかまたは実質的に同じ順序で示される、シリンダーおよびダイヤル型針床により製造された、同一またはほぼ同一の数の各タイプのステッチを各織布が有する、2つ以上の編み織布で構成される織物構造でありうる。本開示内容の実施形態における2つ以上の編み織布で構成されるバランスが取られた織物構造の1例は、二重編み織物である。本開示内容の幾つかの実施形態における2つ以上の織布のバランスが取られた織物は、平らな表面に実質的に適合する。幾つかの実施形態では、(トレイの上面と同様に)平らな表面上で伸張張力下にある該織物は、実質的に平行な上側と下側を有し、またこの平らな表面と該織物のカールした表面との間で測定した際に該織物の厚さの2倍より大きい高さを有する隙間を形成する該織物の縁に沿うウェーブまたはカールが存在しない。他の実施形態では、平らな表面上で伸張張力下にある該織物は、実質的に平行な上側および下側を有し、またこの平らな表面と該織物のカールした表面との間で測定した際に該織物の厚さより大きい高さを有する隙間を形成する該織物の縁に沿うウェーブまたはカールが存在しない。無土壌栽培培地、特にトレイ上で伸張させるものとして使用する上でバランスが取られた構造または実質的にバランスが取られた構造を持つ織物の利点は、このバランスが取られた織物が、該トレイの縁でのカール形成およびスカラップにより形成される隙間を(例えば
図6A中のフラットA(バランスが取られた)とフラットB(バランスが取られてない)を比較して)縮小または解消し、それによって培養液蒸発、藻類の繁殖を引き起こす受け皿への光の貫通を低減し、かつ植物の発芽および発育のための使用できる平らな面積を全体的に増大させるということである。
【0057】
図4は、本開示内容の幾つかの実施形態において無土壌栽培培地のために使用できる織物410の構造の断面の説明図である。該織物は織布420および440を含む。該織布は編機のシリンダーおよびダイヤル針を使用して形成しうる。幾つかの実施形態では、例えば
図4に例示するように、別個の織布420および440を、織糸または縫糸430により断続的に輪を作るか、または
図4に示すように連続的に輪を作る連結用織糸またはシメ織糸(binding yarn)により継ぎ合わせることができる。該織布の一方は光反射性である織糸または縫糸で作製され、他方の織布は光吸収性の織糸または縫糸で作製される。光反射織布面は、光吸収織布面に含まれる織糸よりも多くの光を反射する織糸を含む。本開示内容の実施形態では、該光反射面の該織糸を粗面化するかまたは起毛させることが可能であり、また該光吸収基底面の該織糸は平らな、または起毛していない質感を有しうる。
【0058】
幾つかの実施形態では、前記織物は、この織物をフレームに配置しかつ取り付ける際に1つの(任意のトレーサー線同士の幅)方向に0.1~20%の二方向伸張を有し、また長さ(任意のトレーサー線に平行)の点では0.1~10%の二方向伸張を有する。前記の2つの織布からなる織物は、熱で収縮しうる。収縮の量はこの素材を所与の温度で維持する時間の長さに依存する。該素材は、最終的な収縮を制限するために少なくとも洗浄サイクル中に経験する最高温度まで加熱することができる。本開示内容の実施形態では、該織物の収縮は5%×5%未満である。このレベルの寸法安定性を達成するために、該織物が熱で収縮するのに十分な時間、該織物を選択した温度で保持することができる。該熱をその後除去する。その寿命期間中の収縮を低減した織物は、トレイの縁でカールおよびスカラップを形成しにくい。
【0059】
幾つかの実施形態では、前記織物は、該織物の1つ以上の制御方向に培地の間隔を空けて1つ以上のランニングステッチ(押さえ糸(restraining yarn)とも称されうる)をさらに含む。該ランニングステッチに使用する縫糸は、該織物中の他の縫糸と同一の組成を有しうる。幾つかの実施形態では、該織物は、トレイ上の該織物の寸法(複数可)を維持しうる1つ以上のランニングステッチを含む。該ランニングステッチは、該織物の1つ以上の縁領域に固定された末端を有しうる。幾つかの実施形態では、該ランニングステッチを、ハトメを該織物に取り付ける場所に固定することができる。該ランニングステッチは、該織物の幾つかの実施形態では光反射色を、または該織物の他の実施形態では光吸収色を有しうる。
【0060】
本開示内容の幾つかの実施形態では、前記織物は、連結用縫糸またはシメ縫糸により接合された2つの織布から作製される二重編み起毛織物である。該織物の一方の織布は、暗色または黒色、ならびに第1のデニールおよびフィラメント数の半艶消し非起毛面仕上げを有しうる。2つ目の織布は、ピンで毛羽立てた(pin brushed)かまたは起毛させた仕上げおよび半艶消し仕上げ、ならびに第2のデニールおよびフィラメント数を伴う光反射色を有しうる。この布の重量は225~250グラム/平方メートルでありうる。有利なことに、該織布の一方の起毛部分を通過する該光反射面への入射光は、より暗色の光吸収織布により部分的に、またはほぼ完全に吸収されうる。この光吸収は、該織物の下側の、または下層の受け皿中の任意の藻類の生育条件を低減することができる。該織物の非起毛面は、起毛面よりも少ない水を保持する。この織物を取り付けたトレイは、それらがより少ない水を保有し、またより少ない水を蒸発の際に上部起毛面に移動させうるため、より軽くなる。
【0061】
前記の無土壌栽培培地、布、または織物は、根の貫通を可能にし、水分、例えば、培養液、水等への制御付きのアクセスを提供し、またその上にある種子および植物を支持するよう構成し寸法を合わせることができる。該無土壌栽培培地、該布または該織物は、例えば、ナッピングの有無を問わず、ポリエステル素材、アクリル素材、非生分解性合成素材等からなる群より選択できる。栽培システムは通常、少なくとも1つの無土壌栽培培地、該無土壌培地のための支持体要素、光源、および培養液供給源を含む。本開示内容の幾つかの実施形態では、該織物を構成する1つ以上の織布は100%テクスチャード加工ポリエステルでありうる。
【0062】
本開示内容の実施形態における織物の非起毛面上の主織糸は、押出染色した黒色でありうる。任意のガイドラインまたはトレーサー織糸(tracer yarn)は、この黒色を背景に引き立つ色または外観を有してもよく、また白色でありうるが、限定されない他の色、例えば黄色または赤色であってもよい。「トレーサー」織糸は、
図5Aおよび
図5B中の織物の黒色光吸収面上の白色線で例示されるように、非バイアス幅裁断を容易にするために使用できる。該トレーサー織糸は、有利なことに、トレイ上の対応する突出部に該織物を取り付けるためのハトメなどの固定具の配置にも役立ちうる。該トレーサー織糸は、任意で、1つ以上の前記ランニングステッチでもありうる。該トレーサーは、利用者がこの基材を特定の方向またはパターンで裁断することを容易にする、前記無土壌栽培培地に組み込まれた任意の素材でありうる。
【0063】
前記無土壌栽培培地織物をトレイまたはフレームに取り付けることにより、フラットを形成することができる。本開示内容の幾つかの実施形態では、該織物に固定したハトメを、該トレイの1つ以上の表面上のホックまたは突出部に取り付けることができる。他の実施形態では、該織物を、対応するスナップ、ジッパー、1つ以上のクランプ等を使用して該トレイまたは該フレームに取り付けることができる。該織物は、該織物に培養液の滞留を引き起こすたるみ、または該フレームの開口部と伸張させた織物によって形成されるスカラップの間を養液が通過できるようにする開口部がない、実質的に平らな織物表面を与える伸張させた形状で該トレイに固定する。該トレイに固定された該織物は、該トレイ/フラット上で伸張させた形状でありうる。該トレイに取り付けた該織物は該トレイの外縁を覆い、また該織物と該トレイとの間にスカラップまたは隙間が存在しないことがある。該トレイに固定された該織物は、該トレイの上に面する表面を覆い、かつ該トレイの側面に十分なドレープ付きで覆い被さる(overhangs)ように寸法を決めることができる。幾つかの実施形態では、該織物は、該トレイの厚さになるまで、または該トレイの根側の底縁に至るまでの十分なドレープ付きで該トレイの縁に覆い被さるように寸法を決めることができる。他の実施形態では、該織物は、該トレイの縁より下ではあるが該トレイの縁の厚さの2倍未満までの十分なドレープ付きで該トレイの縁に覆い被さるように寸法を決めることができる。織物の張り出しの量を最小限に抑えることは、それが何千枚もの布を使用する屋内農場における織物のコストを削減するため有利であることがあり、また織物の張り出しを最小限に抑えることは、栄養スプレー供給源からの培養液に関する該織物と根との干渉も制限または除去する。
【0064】
一般的な実験条件
本開示内容の実施形態によれば、気耕および水耕農業の方法の改善点も提供される。気耕システムを利用する場合、該システムには、Harwoodの米国特許公報第20140137471号(該文献の記載内容はその全体が参照により本明細書中に組み込まれるものとする)に開示されているような、トレイに取り付けた織物を備えたフラット、受け皿、栄養噴霧器および排水設備を有するグロースチャンバー、ならびに照明を含めた。さらに、本開示内容の実施形態における該方法は通常、該布/織物の少なくとも1つの光吸収面から突出する発育中の植物の根に培養液を噴霧することを含む。該織物はその下にあるトレイに固定されており、培養液の存在下で発芽および植物の発育を支持することが可能であり、また該フラットの表面全体にわたり実質的に平面であり続ける。
【0065】
本開示内容のシステムは通常、Harwoodに開示されている1つ以上の発芽要素および植物発育要素を満たす。該発芽要素としては、例えば、温度範囲、pHレベル範囲、相対湿度範囲、光強度範囲、光スペクトル、電気伝導率範囲、傷付け処理などの種子の処理、予熱または予冷等のうちの少なくとも1つを挙げることができる。該温度範囲は約5℃~約35℃でありうる。該pHレベル範囲は約4~約8でありうる。該相対湿度範囲は約20%~約100%でありうる。該光強度範囲は約0μmol・m-2・s-1~約250μmol・m-2・s-1でありうる。該光スペクトルは約400 nm~約700 nmでありうるが、UV-B照射(例えば、約280 nm~約315 nm)にある程度の耐性がありうる。該電気伝導率範囲は約1.5 dS・m-1~約3.0 dS・m-1でありうる。一部の種子に関しては、明期と暗期の両方を必要とする光周性が存在する場合がある。幾つかの実施形態では、例えば、一部の寒冷期の葉物野菜(例えば、ルッコラ(Eruca sativa))に関しては、好適な温度は約22℃であってもよく、該pHレベル範囲は約5.0~約6.0、および好適な実施においては約5.0~約5.5であってもよく、該電気伝導率範囲は約2.0 dS・m-1~約2.5 dS・m-1であってもよく、さらに該相対湿度は約50%でありうる。幾つかの実施形態では、例えば、一部の寒冷期の葉物野菜に関しては、発芽時の該光強度は、成熟の幼若期には約50μmol・m-2・s-1~約250μmol・m-2・s-1でありうる。植物が発生したら、有利な生育のために最大約1000 ppmのCO2を適用してもよい。幾つかの実施形態では、発芽後の該光スペクトルは約440 nm(青)および約660 nm(赤)でありうる。しかしながら、本明細書中に提供される範囲が別の種子または植物を発芽および生育させるための要件および/または最適環境に応じて変動しうることは理解すべきである。
【0066】
サンプル無土壌栽培培地布素材上での植物の生育および発育要素は、通常、LED照明を使用し、同一の培養液を供給し、かつ実質的に同様の温度、気動、および湿度を有する単一グロースチャンバー内で実施された。光強度レベルは0マイクロモル/平方メートル/秒(μmol-1 m-2 s-1)より大きく300μmol-1 m-2 s-1までの間で変更可能とした。該グロースチャンバー内の付加的な気象条件、例えば摂氏で測定される温度は、5℃~約35℃とすることができた。該培養液の電気伝導率は、デシジーメンス/メートル(dS/m)で測定可能であった。特に、該培養液に関する栽培環境条件としては、約15℃~約25℃の養分温度範囲、約4.3~約6.6のpHレベル範囲、および約1.3 dS/m~約2.9 dS/mの電気伝導率範囲を挙げることができる。
【0067】
ウィッキング高さに関しては、織物素材の細片を液体と共に皿に入れ、必要に応じて、ウィッキングを開始するためにこの布を該液体中に押し込んだ。浸漬皿を水で満たし、少量の食紅(例えば、水、グリセリン、FD&C red 40、クエン酸、および安息香酸ナトリウムを含む食品用着色料)を添加することにより、該ウィッキング高さの判定に役立てた。
【0068】
吸収度に関しては、約1インチ×3.5インチの織物の細片を試験のために裁断した。該細片をクリップ上に配置し、浸漬皿に落とし込んだ。落とした後約3分および約6分の時点で前記ウィッキング高さを測定した。この布の細片を次に該浸漬皿に浸漬させて、該浸漬皿から取り出し、滴が落ちるままにした、すなわち、各滴下の間に約5秒超が過ぎるまで各布から滴が落ちるままにした。次に、この浸漬した布は、吸収度を判定するために秤でその重さを量った。
【実施例1】
【0069】
起毛光反射植物支持面および非起毛光吸収基底面を有する試験フリース織物からの水の蒸発について試験し、共に光反射性でありかつ本質的に白色または灰白色である外観を有する2つの実質的に起毛した表面を有するHarwoodの米国特許公報第20140137471号に開示されたポーラーフリース対照布と比較した。該試験フリース織物は、
図4に例示されるような、連結用織糸により継ぎ合わされた2つの織布からなるものであった。該試験フリース織物は100%ポリエステルであり、また起毛側と白色のガイド織糸を含む非起毛(フラットジャージー)側を有していた。該織糸の内容の仕様は、延伸加工織糸(DTY)1/70/34 SD 黒色(織布420を参照されたい)、DTY 1/70/36 SD(連結用織糸430を参照されたい)、および2/75/72 SD(織布440を参照されたい)であった。該試験織物の重量は237グラム/平方メートル(g/m
2)であった。その光反射面に、起毛した、または毛羽の深い柔らかい質感を生み出すために、ピンで毛羽立てる仕上げを施した。該試験織物は、白色または本質的に白色に見える起毛光反射植物支持面、および前記ガイド織糸由来の白色の縞模様を有する灰色に見える非起毛光吸収基底面を有していた。
【0070】
本試験の設備には、経時的な重量の変化を測定するためにトレイの下に配置されたデータポートを有する0~400ポンド対応の秤を含めた。
【0071】
本試験の装置内の気温、湿度および水温は、センサー、および該センサーの出力を記録するためのデータロガーを利用して測定した。
【0072】
前記トレイは約(1.5メートル×0.75メートル;5フィート×2.5フィート)であり、また本試験のために試験織物または対照織物の無土壌栽培培地が装着されていた。該試験織物および該対照織物は該トレイ/フラット上で伸張させた形状であり、該試験織物は該トレイの外縁を緩やかに覆っていて、この布と該トレイの間にはスカラップまたは隙間が存在しなかった。該試験または該対照織物を装着したトレイを、前記秤と接続した皿に置いた。ファンおよび光源を本試験の装置に取り付けることにより、グロータワー内の蒸発環境を模倣した。
【0073】
室温(華氏約70度)で5ガロンの貯留水を、前記試験および対照布を浸漬するために使用した。
【0074】
前記秤をゼロの目盛りに合わせて、前記の乾燥した試験培地をトレイおよび皿の上に置き、さらに蒸発試験装置に入れることにより、乾燥重量を得た。
【0075】
1ガロンの室温水を2ガロン容量のバケツに注ぎ入れ、次いで前記試験培地を該バケツに入れてから、これを水中に沈めて1分間浸漬させた。該バケツ内の水の温度を記録した。該試験培地を該バケツから取り出してこれを該バケツ中に滴らせた後、トレイに取り付けた。前記秤をゼロの目盛りに合わせてから該トレイを本試験の装置内に入れ、該トレイを前記皿の中心に置いた。この皿を該秤と接続することにより、織物の重量変化を該織物から蒸発した水として測定した。該秤、温度および湿度データロガー、LEDライトラックおよびファンをオンにした。重量、温度、および湿度の示度を1分毎に記録した。1時間後に本試験を終了した。
【0076】
本蒸発試験により、結合ループまたは連結ループを介して織糸により接合されておりかつ光源およびファンの方に向けた起毛光反射植物支持面と該光源および該ファンから離れる方に向けた非起毛光吸収基底面を有する編み織布を備えた前記試験織物は、Harwoodの前記対照織物よりも11.1%少ない重量を蒸発により喪失したことが示された。該蒸発試験では、これと同一の二重編み織物が、光源の方に向けた非起毛光吸収基底面ならびに光源およびファンから離れる方に向けた光反射植物支持面を用いて試験した場合に、該対照織物よりも37.5%多くの重量を蒸発により喪失したことがさらに示された。
【0077】
理論に束縛されることを望むものではないが、光吸収面を有する継ぎ合わされた編み織布を備えた前記織物がファンおよび光源の方を向いている場合、該織物は、その光吸収層のより暗い色に起因する前記対照と比較してより多くの蒸発、および起毛側から非起毛側への水分の移動をもたらした。逆に該起毛光反射植物支持側がファンおよび光源の方に上に向いている場合、光は上面から反射しかつより少ない水が保持されて該織物の該非起毛光吸収層から該起毛側へ移動するため、該対照と比較してより少ない蒸発が生じた。
【0078】
前記織物からのより少ない蒸発は、それが前記培養液からの水の損失を低減し、それによって培養液組成および植物生育工程の安定性を改善するため、有利である。より少ない水の損失は、該培養液の濃度を維持するための注入設備、センサー、および化学分析に関連する設備および運転コストも削減する。
【実施例2】
【0079】
幼植物を、実施例1で使用したものと同様の試験織物無土壌栽培培地および対照織物無土壌栽培培地上で生育させた。これらの試験および対照無土壌栽培培地織物の各々8フラットに同一量のルッコラ(Arugula)を播種し、90%超まで発芽させた。グロータワー内での植物発育のための同じ期間および条件後、該対照織物は8つの試験フラットに関して平均2.2ポンド(1 kg)/フラットを生じ、発育中の植物を支持する光反射面および栄養ノズルおよび受け皿に面した光吸収基底面を有する2つの継ぎ合わされた織布からなる織物を装着した該試験フラットは、8つの試験フラットに関して2.03 lbsの平均収量を得た。本試験の結果を表1に要約した。
【0080】
【0081】
結果は、前記試験織物培地が植物を発芽および発育させるために使用できることを示している。
【実施例3】
【0082】
サンプル試験織物は、灰色、または黒色に見える平らな質感を持ち、かつ間隔を空けた白色の縞模様を含む光吸収側を1つ有していた。該試験織物は白色、または灰白色に見えて、かつ起毛したポリエステル質感を有する2つめの光反射側を有していた。該試験織物は実施例1で使用したものと同様であった。該試験織物を、Harwoodの米国特許公報第20140137471号(この文献の記載内容はその全体が参照により本明細書中に組み込まれるものとする)に記載されている通りに、ウィッキングおよび水吸収度について評価した。
1. 蒸留水および食紅で満たした桶型容器
2. ウィッキングの高さを測定するための定規に隣接する布細片セット
3. 吸収度を評価するための浸漬用布サンプル(1”×3.5”;22.58 cm2)
4. 湿潤および乾燥サンプルの重さを量るために±0.1グラムの測定尺度(scale)を使用した。
【0083】
ウィッキング-3分の時点の前記試験織物は、水面の上方2と5/8インチ(6.66センチメートル)まで、また6分で3と3/8”(8.57 cm)まで吸い上げた。
【0084】
水吸収度-前記試験織物は、滴間の時間が5秒に達した時に5.3グラムの水を保持していた。空気の閉じ込めの証拠は観察されなかった。前記桶型容器の水から取り出した時の布の滴下パターンは、最初は水流、続いて3~5滴となり、その後それ以上の滴は認められなかった。グラム/平方センチメートルでの水吸収度は5.3 g/22.25 cm2=0.23 g/cm2であった。
【0085】
Harwoodにより報告された前記ポーラーフリース素材(米国特許公報第20140137471号の表1および2を参照されたい)は、2.5 cm~5.5 cmのウィッキング高さ、および0.22 g/cm2~0.32 g/cm2の水吸収度を有していた。視覚的には、これらの素材の両側は実質的に同一であるように見えた。
【0086】
本実施例の結果は、光反射面および光吸収面を有する前記試験織物が6.6 cmというウィッキング高さと0.23 g/cm2という水吸収度を有していたことを示している。
【実施例4】
【0087】
本実施例は、伸張させた形状でトレイに固定された織物が経験するものと同様の伸張(ピンと張った)条件下の素材のカール形成を比較するものである。伸張させた素材は、培養液、種子、または幼植物の滞留を引き起こすたるみがなく、かつ発育中の植物へフレームの側面に沿って培養液を通過させるスカラップまたはカールがない、実質的に平らな植物発育面の提供を助ける。対照織物は、共に光反射性でありかつ外観が本質的に灰白色または黄色である2つの実質的に起毛した表面を有する、HarwoodのWO2014081663に開示されたポーラーフリース素材とした。試験織物は継ぎ合わせた2つの織布から作製されており、一方の織布は白色または灰白色に見える起毛光反射植物支持面を有し、かつ2つ目の織布は黒色に見える織糸を含む非起毛光吸収基底面を有していた。
【0088】
前記の対照織物および試験織物サンプルを、伸張させた形状でトレイに取り付けたハトメ付き織物が経験するものと同様の力でフラット表面上にこの素材をしっかりと引き延ばすことにより伸張させた。該力は該織物または布を引き裂く力よりは弱いが、力のさらなる適用により該織物が5%未満伸長する程度には十分に強いものであった。この伸張力によってカールが生じる場合に該織物が上向きにカールする(例えば
図8Bを参照されたい)ような面に関して該織物を試験した。
【0089】
図8(A~B)は、(A)非伸張状態および(B)1つ目の布方向に伸張させた状態の、両面を起毛させた布800を示す図である。
図8Bは、1つ目の方向に伸張させた該布800を示す図である。1つ目の方向に伸張させた状態でカール810が形成された。該カールの高さは
図8(A)中の織物の厚さの約2~3倍であった。
【0090】
図9(A~B)は、(A)非伸張状態および(B)2つ目の布方向(前記の1つ目の方向に対して横方向)に伸張させた状態の、
図8(A~B)の布900を示す図である。
図9Bは、2つ目の方向に伸張させた該布900を示す図である。2つ目の方向に伸張させた状態でカール910が形成された。該カールの高さは
図9(A)中の織物の厚さの約2~3倍であった。
【0091】
図10(A~B)は、一方の面1050(底面)を起毛させた前記試験織物を示す図であり、該試験織物は、非伸張状態(A)および1つ目の織物方向に伸張させた状態(B)で反対側の上面1060に非起毛または平らな質感を有していた。
図10Bは、1つ目の方向に伸張させた該織物を示す図である。これらの条件下では、該織物について本質的に縁のカール形成は観察されなかった。
【0092】
図11(A~B)は、上面1050を起毛させた前記試験織物を示す図であり、該試験織物は、(A)非伸張状態および(B)1つ目の方向(
図10Bと同じ方向)に伸張させた状態で反対面1060(該試験織物は
図10(A~B)に示すものと入れ替わっている)に非起毛または平らな質感を有していた。
図11Bは、起毛側を上に向けて1つ目の方向に伸張させた該織物を示す図である。これらの条件下では、該織物について本質的に縁のカール形成が観察されなかった。
【0093】
図12(A~B)は、一方の面(1050)を起毛させた前記試験織物を示す図であり、該試験織物は非伸張状態(A)および2つ目の織物方向に伸張させた状態(B)で反対面(1060)に非起毛または平らな質感を有していた。
図12Bは、2つ目の方向に伸張させた該織物を示す図である。光吸収織布面を上に向けた該織物について、本質的に縁のカール形成は観察されなかった。
【0094】
本試験の結果は、
図8(A~B)中の両面を起毛させた前記布と比較して、
図10(A~B)中の2つの織布から作製したバランスが取られた構造を有する前記織物は、該織物をトレイ上に取り付けた場合に経験するものと同様の伸張条件下では、その縁でのカール形成に抵抗するかまたはカール形成を示さなかったということを示している。
【実施例5】
【0095】
本実施例は、光反射上部植物支持面および反対側の底部光反射底面を有する透根性基材と比較した場合の、光反射上部植物支持面および反対側の底部光吸収基底面を有する透根性基材を通じて吸収されかつ透過されない光の量の差を例示するものである。
【0096】
図13Aは、2つの異なる無土壌栽培培地を有する屋内栽培用フラットを示す、グロースチャンバーの一部を例示した図である。この屋内農業用フラットを、該グロースチャンバーの受け皿1320の上に配置した。無土壌栽培培地1310および1330は同一であり(先行技術の布)、また光反射上部面および反対側の光反射下部面を有していた(
図7、フラットBを参照されたい)。栽培培地1340は光反射上部面1342および光吸収下部面1346を有していた。栽培培地1330および1340を有するフラットは
図6A~Bおよび
図7にも示されている。
図6A中、フラットAは
図13A中の栽培培地1340を有するフラットに相当する。
図6A中、フラットBは
図13A中の栽培培地1330を有するフラットに相当する。該無土壌栽培培地1330および1340は、フラットを形成するためのフレームまたはトレイにより支持されている。例えば、長方形のフレームまたはトレイ1324を利用することで、フラットを形成するために栽培培地1340を支持した。該フラットを栄養供給用噴霧器(図には示さず)および受け皿1320の上に配置した。
図13Aでは、フレーム1324および栽培培地1340を含むフラットの片側は受け皿1320の縁の上方に持ち上げられ、栽培培地1310および1330を有するフラットは該受け皿の棚上に残されている。照明(図には示さず)を栽培培地1310、1330、および1340の上部面に設け、また植物を発育させるために該栽培培地の下側に培養液を供給した。
【0097】
全栽培培地1310、1330、および1340は、
図13A中でそれぞれ1314および1354により示される、該栽培培地の植物支持面上で発育中の幼植物を有し、幼植物は
図6Aおよび6B中の栽培培地1330および1340上に示されている。根1348は透根性基材1340を貫通し、根は基材1310および1330も貫通した(
図13(A~B)には示さず)。
【0098】
栽培培地1340は植物1354の発芽および発育を支持する透根性基材であった。該透根性基材は、光反射植物支持面1342および反対側の光吸収基底面1346を有していた。
図13A中には長方形のフレームまたはトレイ1324の縁を覆う十分なドレープ付きの光反射植物支持面1342が示されている。栽培培地1340のより暗色の光吸収面1346領域間にある
図13A~B中の淡色の織糸素材の線(複数可)1344により例示される、任意のより明るい色のトレーサー素材を、非バイアス幅裁断を容易にするために前記無土壌栽培培地に組み込んだ。植物支持面1342は粗く、かつ起毛した質感、および特に上向きの毛羽の質感を有していた。下部面1346は、
図13A中、および
図7中(フラットA)にも示すように、比較的平らな質感を有し、起毛していなかった。栽培培地1310および1330用の植物支持面は、
図7に示すように(フラットBが1330に相当)上部面と下部面の両方に外向きの毛羽を有していた。
【0099】
前記透根性無土壌栽培培地基材1340を、支持体1324の上に配置した。該支持体は、受け皿表面領域1322(a)に向けた根側、および該基材の上方に配置したグローライトに向けた発育中の植物側1342を有していた。無土壌栽培培地基材1340を支持体1324の上に、該基材の光反射植物支持面1342と該支持体の発育中の植物に面した側とを同じ方向に向けて配置し、該基材を該支持体の上に配置したときに該基材の光吸収基底面1346と該支持体の根側とを同じ方向に(該受け皿の方へ)向けた。
【0100】
図13A~B中の前記受け皿の内部表面は、該表面が、前記の発育中の植物により、または種々の栽培培地1310、1330、および1340により吸収されなかった前記フラットを照らす光を反射したことを示している。例えば、領域1316および1318で示される該受け皿の表面は共に淡色、ほぼ白色に見えており、これは栽培培地1310および1330を通過した光が吸収されず、領域1316および1318における該受け皿の内部表面まで透過して反射されたことを示している。対照的に、栽培培地1340の下にある、領域1322(a)および1322(b)で示される該受け皿表面は非常に暗く、ほぼ黒色であった。該受け皿表面からのこの暗色の反射は、栽培培地1340によって、特に1346のような下部面領域によって、栽培培地1310または1330の場合よりも多くの光が吸収されたことを例示していた。
【0101】
図13Bは、
図13Aに示す前記受け皿内部表面の一部のより詳細な図である。
図13B中、参照番号1322(a)で示される該受け皿の表面領域は受け皿表面領域1316より実質的に暗く見えており、このことは、光吸収底面1346を持つ光栽培培地1340によって、該光吸収底面を持たない栽培培地1330によって吸収された光の量よりも多くの光が吸収されたことを示していた。
図13B中、栽培培地1340に組み込まれた任意のより淡色の素材1344がより明るく見えるのは、該素材が、栽培培地1340の隣接するより暗い光吸収下部面領域1346よりも少ない光を吸収する(より多くの光を透過する)からである。その少ない光はトレーサー領域素材により吸収され、このことは
図13Bに示す受け皿表面に反射した、例えば1360および1362での該トレーサー領域からの通過した、または吸収されなかった光の反射によっても立証される。
【0102】
本実施例は、光反射上部植物支持面および光吸収基底面を有する貫根性無土壌栽培培地が植物の発芽および発育を支持しうることを例示するものである。かかる無土壌栽培培地は発育中の植物により利用されない入射光を吸収し、かつ気耕または水耕栽培用チャンバー内で使用する受け皿または他の栄養容器表面に到達する光の量を低減する。これらの栄養容器表面に到達する光の量の低減は、該栽培培地の下または下層の受け皿表面上の藻類の繁殖を抑制することができる。
【0103】
以下の項は、本開示内容の特定の態様および実施形態を定義するものである。
【0104】
第1項.屋内農業用フラットであって、光反射植物支持面を有する第1織布および光吸収基底面を有する第2織布を有する織物を含む無土壌栽培培地、ここで該織物はトレイに周辺領域に沿って取り付けられており、該トレイは根側および発育中の植物側を有し、該織物を該トレイに取り付ける場合には該織物の該光反射植物支持面と該トレイの発育中の植物に面した側とを同じ方向に向けて該織物を該トレイに取り付け、かつ該織物を該トレイに取り付ける場合には該織物の該光吸収基底面と該トレイの該トレイ根側とを同じ方向に向けるものとし、
ここで該光反射植物支持面は起毛した質感を有しかつ該光吸収基底面よりも多くの光を反射する織糸を含み、また該光吸収基底面は起毛していない質感を有しかつ該光反射面より多く吸収する織糸を含むものとする、を含む上記屋内農業用フラット。
【0105】
第2項.前記織物が、前記光反射植物支持面を有する前記第1織布と前記光吸収基底面を有する前記第2織布を連結する連結用織糸を含む二重編み織物である、第1項の屋内農業用フラット。
【0106】
第3項.前記織物が前記トレイ上で伸張させた形状であり、前記織物が前記トレイの外縁を覆いかつこの布と前記トレイとの間にスカラップまたは隙間が存在しない、前項のいずれか1項にあるような屋内農業用フラット。
【0107】
第4項.前記織物が、前記織物の1つ以上の縁領域に固定された末端を有するランニングステッチをさらに含み、該ランニングステッチが光反射色を有する、前項のいずれか1項にあるような屋内農業用フラット。
【0108】
第5項.前記トレイに取り付けた前記織物が前記トレイの外縁に十分なドレープ付きで覆い被さる、前項のいずれか1項にあるような屋内農業用フラット。
【0109】
第6項.前記トレイに取り付けた前記織物がバランスが取られた織物であり、かつ前記トレイの縁領域でカールを形成しない、前項のいずれか1項にあるような屋内農業用フラット。
【0110】
第7項.第1項のフラットを含むグロースチャンバーであって、該フラットが養分供給源ならびに前記織物の前記光吸収基底面および該養分供給源の下にある受け皿の上に配置されており、該受け皿が光吸収素材を含む、該グロースチャンバー。
【0111】
第8項.屋内農業の方法であって、植物を発育させるのに適した波長の光を、1つ以上の発育中の植物、光反射植物支持面を有する第1織布および光吸収基底面を有する第2織布を有する織物無土壌栽培培地を含む無土壌栽培培地に供給すること、ここで該光は該織物無土壌栽培培地の該光反射植物支持面に供給され、該織物はトレイに周辺領域に沿って取り付けられ、該トレイは根側および発育中の植物側を有し、該織物を該トレイに取り付ける場合には該織物の該光反射植物支持面と該トレイの発育中の植物側とを同じ方向に向け、かつ該織物を該トレイに取り付ける場合には該織物の該光吸収基底面と該トレイの根側とを同じ方向に向けて該織物を該トレイに取り付けるものとし、ここで該光反射植物支持面は起毛した質感を有しかつ植物を発育させるのに適した光を該光吸収面より多く反射する色を有する織糸を含み、かつ該光吸収基底面は平らな質感を有しかつ植物を発育させるのに適した光を該光反射面より多く吸収する色を有する織糸を含むものとする、を含む上記の屋内農業の方法。
【0112】
第9項.前記織物の前記光吸収基底面を通って突出する根に培養液を供給することをさらに含む、第8項の屋内農業の方法。
【0113】
第10項.前記織物の前記光吸収基底面を通って突出する根に培養液の噴霧を提供することをさらに含む、第8項、または第9項のいずれか1項にあるような屋内農業の方法。
【0114】
第11項.前記織物が、前記植物支持面第1織布と前記光吸収基底面第2織布とを前記織物中で連結する連結用織糸を含む二重編み織物である、第8項、第9項、または第10項のいずれか1項にあるような屋内農業の方法。
【0115】
第12項.前記トレイに取り付けた前記織物が伸張させた形状であり、かつ前記トレイの外縁に十分なドレープ付きで覆い被さる、第8項、第9項、第10項、または第11項のいずれか1項にあるような屋内農業の方法。
【0116】
第13項.前記織物がランニングステッチをさらに含み、該ランニングステッチが前記織物の1つ以上の縁領域に固定された末端を有し、該ランニングステッチが光を反射する素材を含む、第8項、第9項、第10項、第11項、または第12項のいずれか1項にあるような屋内農業の方法。
【0117】
第14項.フラットを作製する方法であって、トレイ上に交換可能な無土壌栽培培地を取り付けること、ここで該無土壌栽培培地は光反射植物支持面を有する第1織布および光吸収基底面を有する第2織布を有する織物を含み、該トレイは根に面した側および発育中の植物に面した側を有し、該織物を該トレイに取り付ける場合には該織物の該光反射植物支持面と該トレイの発育中の植物に面した側とを同じ方向に向け、かつ該織物を該トレイに取り付ける場合には該織物の該光吸収基底面と該トレイの根側とを同じ方向に向けて該織物を該トレイに取り付けるものとする、を含む上記のフラットを作製する方法。
【0118】
第15項.前記織物を前記トレイ上に伸張させた形状で配置することをさらに含み、前記織物が前記トレイの外縁に十分なドレープ付きで覆い被さる、第14項の方法。
第16項.前記織物が、前記織物の外周縁上の1つ以上の取付部に固定された1つ以上のランニングステッチを含む、第14項、または第15項の方法。
【0119】
第17項.発育中の植物がその上にある光反射植物支持面、および根がそこを通って伸長する光吸収基底面を有する無土壌栽培培地を含むグロースチャンバー内の培養液濃度(concentration)を維持する方法であって、該方法が以下、すなわち、
該光吸収基底面および発育中の植物の根に培養液を施用すること、ここで該培養液は該織物の該光吸収基底面の下に配置された養分供給源から供給され、該無土壌栽培培地はトレイの上に該トレイの外縁を覆う十分なドレープ付きで配置され、かつ該織物と該トレイとの間にスカラップまたは隙間が存在しないものとする、ならびに
植物を発育させるのに適した光を該発育中の植物に供給すること、該光反射植物支持面から該光の一部を反射させること、および該光吸収基底面により該光の一部を吸収させること
を含む上記方法。
【0120】
第18項.前記無土壌栽培培地が織物であり、該織物が前記トレイの外縁に十分なドレープ付きで覆い被さる伸張させた形状である、第17項の方法。
【0121】
第19項.前記光反射植物支持面が粗い質感を有する、第17項、または第18項のいずれか1項にあるような方法。
【0122】
第20項.前記光反射植物支持面全体に気流を供給することをさらに含む、第17項、第18項、または第19項のいずれか1項にあるような方法。
【0123】
第21項.前記培養液の供給が噴霧することを含む、第17項、第18項、第19項、または第20項のいずれか1項にあるような方法。
【0124】
第22項.以下、すなわち、
植物の発芽および発育を支持する透根性基材、ここで該透根性基材は光反射植物支持面および反対側の光吸収基底面を有し、該透根性基材は支持体の上に配置され、該支持体は根側および発育中の植物側を有し、該基材の該光反射植物支持面と該支持体の発育中の植物に面した側とを同じ方向に向けて該基材を該支持体の上に配置し、該基材を該支持体の上に配置する場合には該基材の該光吸収基底面と該支持体の根側とを同じ方向を向けるものとし、
ここで該基材の該光反射植物支持面は該光吸収基底面よりも多くの光を反射するものとする、
を含む製品。
【0125】
第23項.前記基材の前記光反射植物支持面が粗い質感を有する、第22項の製品。
【0126】
第24項.前記光吸収基底面が平らな質感を有する、第22~23項のいずれか1項にあるような製品。
【0127】
第25項.前記無土壌栽培培地が布または織物である、第22~24項のいずれか1項にあるような製品。
【0128】
第26項.前記の粗い質感が毛羽または上向きの毛羽を含む、第22~25項のいずれか1項にあるような製品。
【0129】
第27項.光反射植物支持面の上に発育中の植物をさらに含む、第22~26項のいずれか1項にあるような製品。
【0130】
第27項.前記のフラットが養分供給源の上に配置され、受け皿が前記無土壌栽培培地の前記光吸収基底面および該養分供給源の下あり、該受け皿が光吸収素材を含む、第22項の製品を含むグロースチャンバー。
【0131】
有利なことに、本開示内容の実施形態は、トレイ上に配置することが可能であり、植物を発芽および発育させて前記グロースチャンバー(複数可)内で使用する培養液からの水の損失を最小限に抑え、それによって工程安定性を改善するために使用できる無土壌栽培培地を提供する。培養液からのより少ない水の損失は、グロースチャンバー内の該培養液の濃度を維持するための注入設備、化学センサー、および化学分析に関連する設備および運転コストを削減し、また同様に屋内農場内の湿度レベルを維持するための設備費およびエネルギー使用量も削減する。
【0132】
近似用語は、本明細書および特許請求の範囲を通してこれらの文書中で使用する場合、それが関連する基本的機能に変化を生じさせることなく許容される程度に変更しうる任意の定量的または定性的表現を修飾するために適用される場合がある。従って、「約」などの用語または数値範囲により修飾される値は特定の正確な値に限定されるものではなく、またその特定の値とは異なる値を含む場合がある。少なくとも幾つかの例においては、前記近似用語は、該値を測定するための機器の精度に相当する場合がある。
【0133】
本開示内容の精神および範囲を逸脱することなく本開示内容の方法およびシステムに様々な改変および変更を加えうることが当業者には明らかであろう。従って、本開示内容は、添付の特許請求の範囲の範囲内にある改変および変更ならびにその等価物を含むものとする。
【国際調査報告】