IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ エリコン メトコ(ユーエス)インコーポレイテッドの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-26
(54)【発明の名称】プラズマ・ガン用電極
(51)【国際特許分類】
   C23C 4/134 20160101AFI20220119BHJP
   H05H 1/48 20060101ALI20220119BHJP
【FI】
C23C4/134
H05H1/48
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021530995
(86)(22)【出願日】2019-11-27
(85)【翻訳文提出日】2021-07-28
(86)【国際出願番号】 US2019063495
(87)【国際公開番号】W WO2020112929
(87)【国際公開日】2020-06-04
(31)【優先権主張番号】62/773,776
(32)【優先日】2018-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515195347
【氏名又は名称】エリコン メテコ(ユーエス)インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】北村 順也
(72)【発明者】
【氏名】モルツ、ロナルド ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】山根 俊幸
【テーマコード(参考)】
2G084
4K031
【Fターム(参考)】
2G084AA04
2G084BB11
2G084CC23
2G084DD01
2G084DD12
2G084DD21
2G084DD68
2G084FF02
4K031DA04
4K031EA09
(57)【要約】
プラズマ・ガン用の電極は、第1の端部及び第2の端部を有する本体を含み、第1の端部は突出部を有する。カソードを使用する方法は、カソードをプラズマ・ガン内部に取り付けるステップと、突出部を介してアーク放電を生成するステップとを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の端部及び第2の端部を有する本体と、
前記第1の端部から延在する突出部とを備え、
前記突出部が約4mm未満の放射領域の直径を有する、プラズマ・ガン用のカソード。
【請求項2】
前記突出部が、縮小された直径の突起、又は縮小された断面の突起のうちの1つであり、本体の最も前方の部分であり、約2mm未満の軸方向長さを有する、請求項1に記載のカソード。
【請求項3】
前記突出部が、前記本体の他のすべての部分よりも小さな直径又は小さな断面のうちの少なくとも1つを有する、請求項1に記載のカソード。
【請求項4】
前記第1の端部が第1の材料であり、前記第2の端部が第2の材料である、請求項1に記載のカソード。
【請求項5】
前記第1の端部と前記第2の端部が異なる材料である、請求項1に記載のカソード。
【請求項6】
前記突出部が前記第1の端部の平坦な表面から突出する、請求項1に記載のカソード。
【請求項7】
前記突出部が前記第1の端部の円錐表面から突出する、請求項1に記載のカソード。
【請求項8】
前記突出部が前記第1の端部のドーム形状の表面から突出する、請求項1に記載のカソード。
【請求項9】
前記突出部が約0.5mm~約2.0mmの直径であり、前記第1の端部の周囲の表面から少なくとも0.5mm、及び約2mm未満突出する、請求項1に記載のカソード。
【請求項10】
前記第1の材料がタングステン又はドープタングステンである、請求項2に記載のカソード。
【請求項11】
前記カソードの前記第1の端部が放射端部である、請求項1に記載のカソード。
【請求項12】
前記第2の材料が銅である、請求項4に記載のカソード。
【請求項13】
前記カソードが水冷されている、請求項1に記載のカソード。
【請求項14】
前記突出部が前記本体の中心軸線と同軸に配置されている、請求項1に記載のカソード。
【請求項15】
前記カソードをプラズマ・ガン内部に取り付けるステップと、
前記突出部を介してアーク放電を生成するステップと
を含む、請求項1に記載のカソードを使用する方法。
【請求項16】
前記突出部が放射領域又はスプレー範囲の大きさを限定する、請求項1に記載のカソードを使用する方法。
【請求項17】
前記突出部が放射領域の電流密度を増大させる、請求項1に記載のカソードを使用する方法。
【請求項18】
第1の端部及び第2の端部を有するタングステン体を備え、前記第1の端部が、中央に配置された、縮小された直径又は断面のアーク放電延長部を有する、プラズマ・ガンに使用するための電極。
【請求項19】
第1の端部及び第2の端部を有するタングステン体を備え、前記第1の端部が、前記本体の最も前方部分を形成する、縮小された直径又は断面のアーク放電延長部を有する、プラズマ・ガンに使用するための電極。
【請求項20】
第1の端部及び第2の端部を有するタングステン体と、
前記第1の端部の端面から突出又は延在している縮小された直径のタングステン部分と
を備えるプラズマ・ガン用のカソード。
【請求項21】
前記突出部が約0.5mm~約2mmの基部直径を有し、前記端面から
少なくとも約0.5mm、及び
前記突出部の直径の2倍又は3倍以下突出する、請求項20に記載のカソード。
【請求項22】
前記第1及び第2の端部が、一体的に形成された部材に配置されている、請求項20に記載のカソード。
【請求項23】
前記縮小された直径の部分が、前記第1の端部の平坦な端面から突出する、請求項20に記載のカソード。
【請求項24】
前記縮小された直径の部分が、前記第1の端部の円錐端面から突出する、請求項20に記載のカソード。
【請求項25】
前記縮小された直径の部分が、前記第1の端部のドーム形状の端面から突出する、請求項20に記載のカソード。
【請求項26】
放射端部及び取付端部を有するタングステン本体を備え、前記放射端部が、前記本体の最も前方部分を形成する縮小された直径又は断面のアーク放電延長部を有する、プラズマ・ガンに使用するための電極。
【請求項27】
アーク放電端部及び取付端部を有するタングステン体と、
前記アーク放電端部の端面から突出又は延在する縮小された直径の部分と
を備えるプラズマ・ガン用のカソード。
【請求項28】
前記縮小された直径又は縮小された断面の部分が約0.5mm~約2.0mmの直径であり、表面から少なくとも0.5mm、及び/又は前記縮小された直径又は縮小された断面の部分の直径の2倍又は3倍以下突出する、請求項27に記載のカソード。
【請求項29】
アーク放電端部及び取付端部を有するタングステン体と、
前記アーク放電端部のより大きな直径の端面から突出又は延在する、テーパ状又は尖った縮小された直径の部分と
を備えるプラズマ・ガン用のカソード。
【請求項30】
前記縮小された直径の部分が約0.5mm~約2.0mmの直径であり、表面から少なくとも0.5mm、及び/又は前記縮小された直径の部分の直径の2倍又は3倍以下突出する、請求項29に記載のカソード。
【請求項31】
アーク放電端部及び取付端部を有するタングステン体と、
前記アーク放電端部の端面から突出又は延在する縮小された直径の半球状又は球根状の部分と
を備えるプラズマ・ガン用のカソード。
【請求項32】
前記縮小された直径の部分が、約0.5mm~約2.0mmの直径であり、表面から少なくとも0.5mm、及び/又は前記縮小された直径の部分の直径の2倍又は3倍以下突出する、請求項31に記載のカソード。
【請求項33】
アーク放電端部及び取付端部を有するタングステン体と、
前記アーク放電端部の端面から突出又は延在する縮小された直径の段付き形状の部分と
を備えるプラズマ・ガン用のカソード。
【請求項34】
前記縮小された直径の部分が約0.5mm~約2.0mmの直径であり、表面から少なくとも0.5mm、及び/又は前記縮小された直径の部分の直径の2倍又は3倍以下突出する、請求項33に記載のカソード。
【請求項35】
アーク放電端部及びねじ付き取付端部を有するタングステン体と、
前記アーク放電端部の端面から突出又は延在する縮小された直径のリング形状の部分と
を備えるプラズマ・ガン用のカソード。
【請求項36】
前記縮小された直径の部分が約0.5mm~約2.0mmの直径であり、表面から少なくとも0.5mm、及び/又は前記縮小された直径の部分の直径の2倍又は3倍以下突出する、請求項35に記載のカソード。
【請求項37】
少なくとも1つの概ね円柱状の部分と、
アーク放電端部と、
取付端部と、
前記アーク放電端部の端面から突出又は延在する単一の軸方向を向き中央に配置された縮小された直径の部分と
を備えるタングステン体を備えるプラズマ・ガン用のカソード。
【請求項38】
前記縮小された直径の部分が約0.5mm~約2.0mmの直径であり、表面から少なくとも0.5mm、及び/又は前記縮小された直径の部分の直径の2倍又は3倍以下突出する、請求項37に記載のカソード。
【請求項39】
少なくとも1つの概ね円柱状の部分と、
アーク放電端部と、
取付端部と、
前記アーク放電端部の最も前方の部分である単一の軸方向を向き中央に配置された縮小された直径の部分と
を備える一体金属体を備えるプラズマ・ガン用のカソード。
【請求項40】
前記縮小された直径の部分が約0.5mm~約2.0mmの直径であり、表面から少なくとも0.5mm、及び/又は前記縮小された直径の部分の直径の2倍又は3倍以下突出する、請求項39に記載のカソード。
【請求項41】
プラズマ・ガンのカソードを修正する方法であって、
前記プラズマ・ガンから前記カソードを取り外すステップと、
単一の中央に配置され軸方向を向いた突出部を有するように最も前方の端部又はアーク放電端部を形づくるために、前記カソードの金属の除去又は加工を実施するステップと、
前記プラズマ・ガンに前記カソードを再取付けするステップと
を含む、方法。
【請求項42】
コーティング材料の適用時、あるパワーで前記プラズマ・ガンを動作させるステップであって、前記パワーが、前記カソードが修正される前に前記プラズマ・ガンを動作させるのに使用されたパワーに比べて低いパワーである、ステップをさらに含む、請求項41に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2018年11月30日に出願された米国仮出願第62/773,776号の、米国特許法第119条(e)に基づく優先権を主張する。その開示は、その内容全体が参照によって明示的に本明細書に組み込まれる。
【0002】
資金提供を受けた研究又は開発には、該当しない。
【背景技術】
【0003】
小さな部品又は高い熱入力を受けることができない部品にスプレーすることを含むプラズマ・スプレーの適用では、ほとんどのプラズマ・ガンに課題がある。小さな部品にスプレーすると、スプレーされた材料又はスプレーされた粉末のほとんどは標的の小さな部品から外れるので、標的効率(TE:target efficiency)が低くなる。これらの小さな部品はしばしば熱入力に敏感であり、材料又は粉末を堆積させるように加熱する及び/又は加速するのに必要な全パワー量によって損傷を受けることがある。
【0004】
より小さなパワー・レベル及び/又はより小さなガンを使用すると、材料又は粉末を処理するためのエネルギー密度が低くなる又は下がるので、しばしば、材料又は粉末の処理が悪くなる、又は堆積効率(DE:deposition efficiency)が下がる。さらに、小さなプラズマ・プルームを生成するために小さなプラズマ・ノズル孔を使用すると、プルーム速度が、材料又は粉末の適切な処理及び堆積に対して速すぎることにもなる。
【0005】
図1図9は、交換可能で取替え可能なカソード110を有する従来技術のプラズマ・ガン100(例示のために、ガンの特定の主要部分のみが示されている)の1つの非限定的な実例を示す。容易に分かるように、カソード110は、接続部を介してプラズマ・ガン100の主要部分150に機械的及び電気的に接続される。シール160は、この接続部から軸方向に間隔を置いて配置される。
【0006】
図5で分かるように、カソード110は取付部120及び先端130を有し、プラズマ・スプレー中、先端130の前方端132からプラズマ・アークが連続的に放出される。先端130は後方部131を有し、後方部131は、取付部120の受入れ領域124に固定され、その中に延在する。取付部120は主内部空間121を含み、主内部空間121は、内部に冷却流体を受け入れ、冷却管140の前方部を内部に収容するような大きさと構成になっている。冷却流体は、プラズマ・ガン100の主冷却通路170を経て管140を通過する。取付部120はまた雄ねじ122を含み、雄ねじ122は、構成部品150の対応する雌ねじ151にねじ込まれ、カソード110をプラズマ・ガン100の主内部構成部品150に軸方向に機械的に固定し、電気的に接続するように機能する。カソード110と構成部品150との間をシールするために、とりわけ、冷却流体(典型的には加圧された冷却流体)が空間121から漏れ出ることを防ぐために、シール又はOリング160が、カソード110の境界結合面123と内部構成部品150の境界結合面152との間に形成された環状の接続境界面の領域以外の場所に設けられる。Oリング160は、境界面123/152から間隔を置いて、概ね円周状の溝125内に配置される。溝125は、カソード110に外周溝として配置することができる。図示の構成の結果、標準化された接続部が構成部品110と150との間に設けられる。
【0007】
次に、図6図9を参照すると、従来技術のカソード110は、概ね円柱状の取付部120、及び概ね円柱状の先端130を有し、プラズマ・スプレー中、先端130の前方端132からプラズマ・アークが連続的に放出されることが分かる。取付部120は概ね円柱状の主内部空間121を含み、主内部空間121は、内部に冷却流体を受け入れ、冷却管140の前方部を内部に収容するような大きさと構成になっている(図5参照)。取付部120はまた、取付部120の後方端に配置された雄ねじ122、及び先端130に隣接して配置された六角形状部を含む。六角形状部は、作業者が、レンチ又はソケット・レンチなどの適切な工具を用いてカソード110を取り外すことができ、カソード110を取り外すとき、このように、内部構成部品150の雌ねじ151から雄ねじ122を外すことができるような大きさと構成になっている。同じ六角形状部によって、作業者は、レンチ又はソケット・レンチなどの適切な工具を用いてカソード110を取り付けることができ、このように、カソード110の取付時、内部構成部品150の雌ねじに雄ねじ122をねじ込むことができる。カソード110に、外周溝として溝125を配置することができ、この溝125は、カソード110の境界結合面123から軸方向に間隔を置いて配置される。
【0008】
溶射用に使用されるプラズマ・ガンは、カソードに重大な損傷又は溶融なしに、広い熱電子放出領域を生成して、物理的にできるだけ大きなパワーでプラズマ・ガンを動作させることができるように設計された、丸みを帯びた、平坦な、又は傾斜した形状(図17図19参照)を有するカソードを有する。
【0009】
C+Plasma Model 3Aなどのプラズマ・ガンも知られており、このモデルは、比較的狭い放射領域を生成するタングステン先端を有する銅カソードを使用する。しかしながら、このガンは典型的には、最高120kWなど、ずっと高いパワー・レベルで動作し、望まれる放射領域はかなり大きく、例えば、直径4mmで長さ2mmである。
【0010】
当該技術において必要なことは、十分なエネルギー密度であるが、生じる粒子/材料/粉末の温度又は速度に悪影響なしにより低い全パワー・レベルでプラズマ・プルームを生成する方法である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の非限定的な実施例は、第1の端部及び第2の端部を有する本体であって、第1の端部が突出部を有する、本体を備えるプラズマ・ガン用の電極を含む。突出部は突起又は延長部であってもよく、電極の最も前方の部分を形成するように構成された、縮小された直径又は縮小された断面の先端又は部分を有してもよい。直径が4mmよりもかなり小さな放射領域を形成するように、縮小された直径の部分の直径は典型的には3又は4mm未満で、長さ又は突出は2mmより短い。
【0012】
本発明の非限定的な実施例は、第1及び第2の端部を有する細長体であって、第1の端部が突出部を有する、細長体を備えるプラズマ・ガン用のカソードを含む。
【0013】
いくつかの実施例では、第1の端部は第1の材料から作られ、第2の端部は第2の材料から作られる。
【0014】
いくつかの実施例では、第1の端部と第2の端部は異なる材料から作られる。
【0015】
いくつかの実施例では、突出部は平坦な表面から突出する。
【0016】
いくつかの実施例では、突出部は円錐表面から突出する。
【0017】
いくつかの実施例では、突出部はドーム形状の表面から突出する。
【0018】
いくつかの実施例では、突出部は約0.5mm~約2.0mmの直径であり、表面から少なくとも0.5mm、及び/又は突出部の直径の2又は3倍以下突出する。
【0019】
いくつかの実施例では、第1の材料はタングステン又はドープタングステンのうちの少なくとも1つである。
【0020】
いくつかの実施例では、カソードの第1の端部は放射端部である。
【0021】
いくつかの実施例では、第2の材料は銅である。
【0022】
いくつかの実施例では、カソードは水冷されている。
【0023】
いくつかの実施例では、突出部は細長体の中心軸線と同軸に配置されている。
【0024】
本発明の非限定的な実施例は、カソードをプラズマ・ガン内部に取り付けるステップと、突出部を介してアーク放電を生成するステップとを含む上記のカソード又は電極を使用する方法を含む。
【0025】
いくつかの実施例では、突出部は放射領域の大きさを限定する。
【0026】
いくつかの実施例では、突出部は放射領域の電流密度を増大させる。
【0027】
本発明の非限定的な実施例は、第1の端部及び第2の端部を有する本体を備え、第1の端部がアーク放電延長部を有する、プラズマ・ガンに使用するための電極を含む。
【0028】
本発明の非限定的な実施例は、第1の端部及び第2の端部を有する本体又は細長体と、第1の端部の端面から突出する突出部とを備えるプラズマ・ガン用のカソードを含む。
【0029】
いくつかの実施例では、突出部は約0.5mm~約2mmの基部直径を有し、端面から少なくとも0.5mm、及び/又は突出部の直径の2又は3倍以下突出する。
【0030】
いくつかの実施例では、第1の端部と前記第2の端部は異なる材料から作られる。
【0031】
いくつかの実施例では、突出部は平坦な端面から突出する。
【0032】
いくつかの実施例では、突出部は円錐端面から突出する。
【0033】
いくつかの実施例では、突出部はドーム形状の端面から突出する。
【0034】
いくつかの実施例では、放射端部及び取付端部を有する本体を備え、放射端部が、本体の最も前方部分を形成する縮小された直径又は断面のアーク放電延長部を有する、プラズマ・ガンに使用するための電極も提供される。
【0035】
いくつかの実施例では、アーク放電端部及び取付端部を有する金属体と、アーク放電端部の端面から突出又は延在する縮小された直径の部分とを備えるプラズマ・ガン用のカソードも提供される。
【0036】
いくつかの実施例では、縮小された直径又は縮小された断面の部分は約0.5mm~約2.0mmの直径であり、表面から少なくとも0.5mm、及び/又は突出部の直径の2又は3倍以下突出する。
【0037】
いくつかの実施例では、アーク放電端部及び取付端部を有する金属体と、アーク放電端部の端面から突出又は延在する、テーパ状又は尖った縮小された直径の部分とを備えるプラズマ・ガン用のカソードも提供される。
【0038】
いくつかの実施例では、アーク放電端部及び取付端部を有する金属体と、アーク放電端部の端面から突出又は延在する、縮小された直径の半球状又は球根状の部分とを備えるプラズマ・ガン用のカソードも提供される。
【0039】
いくつかの実施例では、アーク放電端部及び取付端部を有する金属体と、アーク放電端部の端面から突出又は延在する、縮小された直径の段付き形状の部分とを備えるプラズマ・ガン用のカソードも提供される。
【0040】
いくつかの実施例では、アーク放電端部及び取付端部を有する金属体と、アーク放電端部の端面から突出又は延在する、縮小された直径のリング形状の部分とを備えるプラズマ・ガン用のカソードも提供される。
【0041】
突出部又は鋭い先端を有するようにカソード又は電極の形状を変えることによって、より集中したプラズマ・プルームを生じさせることができ、これによって、より小さな全パワーを使用し、標的に粉末及び/又はコーティングを施工するのに必要なエネルギー密度を保って、小さな標的にスプレーするのに適するより限られたスプレー外形が生成される。
【0042】
本発明の非限定的な実施例を図面から見ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
図1】本明細書で説明するタイプのカソードを使用するために修正することができる従来技術のプラズマ・ガンの前面図である。
図2】本明細書で説明するタイプのカソードを使用するために修正することができる従来技術のプラズマ・ガンの背面図である。
図3図1及び図2に示したプラズマ・ガンの断面図である。
図4図3に示したプラズマ・ガンの内側部分の断面図である。
図5図4に示した部分の内側部分の断面図である。
図6図1及び図2のプラズマ・ガンに使用される従来技術のカソードの図である。
図7図1及び図2のプラズマ・ガンに使用される従来技術のカソードの図である。
図8図1及び図2のプラズマ・ガンに使用される従来技術のカソードの図である。
図9図1及び図2のプラズマ・ガンに使用される従来技術のカソードの図である。
図10図6図9に示したカソードに代えて使用することができる本発明の一実施例によるカソードの部分図である。
図10A図10のカソードの前面図である。
図10B図10のカソードの拡大側面図である。
図11図10のカソードの断面図である。
図12図6図9に示したカソードに代えて使用することができる本発明の別の実施例によるカソードの部分断面図である。
図13図6図9に示したカソードに代えて使用することができる本発明の別の実施例によるカソードの部分断面図である。
図14図6図9に示したカソードに代えて使用することができる本発明の別の実施例によるカソードの部分断面図である。
図14A図14のカソードの拡大側面図である。
図15図6図9に示したカソードに代えて使用することができる本発明の別の実施例によるカソードの部分断面図である。
図15A図15のカソードの拡大側面図である。
図16図6図9に示したカソードに代えて使用することができる本発明の別の実施例によるカソードの部分断面図である。
図16A図16のカソードの拡大側面図である。
図17】従来技術のカソードの部分断面図である。
図18】従来技術のカソードの部分断面図である。
図19】従来技術のカソードの部分断面図である。
図20】平板にスプレーすることによって形づくられた堆積物の3つの外形の図である。
図21】本発明の電極と標準(従来技術)の電極との比較を示すための鋼棒でのTDEの図である。
図22】本発明の電極と標準(従来技術)の電極との比較を示すための平板でのDEの図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
本明細書に示す詳細は、一例であり、本発明の実施例の例示的議論のみを目的とし、本発明の原理及び概念的側面の最も有用で容易に理解される説明と信じるものを提供するために提示される。これに関し、本発明を基本的に理解するために必要であることより詳細には本発明の構造的な詳細を示すことを試みず、本説明は、図面と併せて、本発明のいくつかの形態を実際に具現化することができる方法を当業者に明らかにする。
【0045】
さらに、以下の説明では、添付の図面に関して本開示の様々な実施例を説明する。本明細書では、必要に応じて、本開示の実施例のうちの詳細な実施例を論じるが、開示する実施例は、様々で代替的な形態で具現化することができる本開示の実施例の単なる代表的なものであることを理解されたい。図は必ずしも原寸に比例したものではなく、いくつかの特徴は、特定の構成部品の詳細を示すために誇張されるか、又は極小化されることがある。したがって、本明細書に開示する特定の構造的及び機能的な詳細は、限定するものとして解釈すべきではなく、本開示を様々に使用するために当業者に教示するための単なる代表的な基礎として解釈すべきである。
【0046】
本明細書に示す詳細は、一例であり、本開示の実施例の例示的議論のみを目的とし、本開示の原理及び概念的側面の最も有用で容易に理解される説明と信じるものを提供するために提示される。これに関し、本開示を基本的に理解するために必要であることより詳細には本開示の構造的な詳細を示すことを試みず、その結果、本説明は、図面と併せて、本開示の形態を実際に具現化することができる方法を当業者に明らかにする。
【0047】
本明細書では、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、及び「その(the)」は、文脈においてそうでないことを明示していなければ、複数形を含む。例えば、「1つのスプレー装置」の言及は、明確に除外しなければ、複数又は多数のスプレー装置の使用を排除しない。例えば、本明細書では、不定冠詞「1つの(a)」は1つ及び1つより多いことを示し、必ずしも、指示した名詞を単数と限定するものではない。
【0048】
別に指摘する場合を除いて、本明細書及び特許請求の範囲において使用される数量を表わすすべての数は、すべての場合、用語「約(about)」によって修飾されているものとして理解されたい。例えば、1~5の範囲は、約1~約5の範囲を含む、又はそれに相当することを意図する。したがって、反することを指摘していなければ、本明細書及び特許請求の範囲に記載の数値パラメータは、本開示の実施例によって得られるように求められる所望の性質に応じて変わり得る近似値である。最低限でも、特許請求の範囲への均等論の適用を制限しようとするものとして考えるべきではなく、各数値パラメータは、有効桁数及び通常の丸め方式を考慮して解釈されるべきである。
【0049】
本明細書では、用語「約」及び「およそ」は、対象の量又は値が、指定された特定の値又はその近傍の他の値であり得ることを示す。一般に、特定の値を示す用語「約」及び「およそ」は、その値の±5%以内の範囲を示すことを意図する。一例として、「約100」という表現は、100±5の範囲、すなわち95~105の範囲を示す。一般に、用語「約」及び「およそ」が使用されるとき、本開示による結果又は効果と同様な結果又は効果を、示された値の±5%の範囲内で得ることができると期待することができる。
【0050】
さらに、本明細書内での数値範囲の記載は、(他に明示的に示されなければ)その範囲内の全ての数値及び範囲の開示であると考えられる。例えば、範囲が約1~約50の場合、これは例えば1、7、34、46.1、23.7、又はこの範囲内の任意の他の数値又は範囲を含むものと見なされる。
【0051】
本明細書では、用語「及び/又は」は、言及された群の要素のすべて又は1つだけが存在してもよいことを示す。例えば、「A及び/又はB」は、「Aのみ、又はBのみ、又はA及びBの両方」を意味するものとする。「Aのみ」の場合、この用語は、Bが存在しない可能性、すなわち「AのみであってBではない」という可能性も含む。
【0052】
「実質的に平行」などの用語は、平行整列からの逸脱が20°未満であることを指すことができ、用語「実質的に垂直」は、垂直整列からの逸脱が20°未満であることを指す。用語「平行」は、数学的に正確な平行整列からの逸脱が5°未満であることを指す。同様に、「垂直」は、数学的に正確な垂直整列からの逸脱が5°未満であることを指す。
【0053】
用語「少なくとも部分的に」は、後続する特性が、ある程度又は完全に満たされることを示すことを意図する。
【0054】
用語「実質的に」及び「本質的に」は、後続する特徴、特性、又はパラメータが、完全に(全体的に)実現され、又は満足される、或いは、意図した結果に悪影響を及ぼさない程度まで実現され又は満足されることを示すために使用される。
【0055】
本明細書では、用語「含む(comprising)」は、非排他的で無制限であることを意図する。したがって、例えば、化合物Aを含む組成物は、A以外の他の化合物を含んでもよい。しかしながら、用語「含む」は、「本質的に~から成る(consisting essentially of)」及び「~から成る」という、より限定的な意味も包含し、その結果、例えば、「化合物Aを含む組成物」はまた、(本質的に)化合物Aから成る場合もある。
【0056】
本明細書に開示される様々な実施例は、特に反することが述べられていなければ、別々に、且つ様々に組み合わせて使用することができる。
【0057】
本発明の非限定的な態様による電極10は、非限定的な例として、図1図9に示した電極110を置き換えるために使用することができる。図10図10A図10B、及び図11の例で分かるように、カソードC又は電極10は、1つ又は複数の概ね円柱状の部分を有する本体又は細長体12の放射端部11に配置された突出部Pを含む。突出部Pは突起又は延長部であり、縮小された直径又は縮小された断面を有し、電極の最も前方の部分を構成する先端又は部分を形成する。突出部Pは、カソードCの本体と一体的に形成することができる、又はカソードCの本体に取り付けられた、別個に形成された部材とすることができる。突出部Pは、放射領域及び/又はカソード軸線CAの中央に配置することができ、突出部の無い同等なカソードによって通常生成される大きさ又は領域よりも小さな大きさ又は領域に放射領域を限定するのに役立つ。例えば、より小さな放射領域は、図1図9に示したプラズマ・ガンなどの典型的なプラズマ・ガンのカソードによって生成される範囲より約50%小さくすることができる。図1のSimplex Pro 90プラズマ・ガンで使用されるパワー・レベルは約42kWであるが、類似のコーティング材料をスプレーするために使用されるとき、このような小さな放射領域に使用されるパワー・レベルは約28kWにすることができる。
【0058】
図10及び図11に示す実例では、突出部Pは丸みを帯びた形状を有し、約3.2mmの直径を有する平坦な円形の稜から突出している。突起Pは、約0.5mm~約2mmの基部の直径Bを有し、及び少なくとも約0.5mmの距離A突出している。突起Pは、放射領域の大きさ及び範囲を限定し、より詰まった、より電流密度の高いプラズマ・アークを形成し、その結果、より高エネルギー密度のより狭いプラズマ・プルームを生じる電荷集中を生成するような大きさと構成である。
【0059】
他の実施例が図12図16に示されており、これらの実施例では、突出部Pの突起の高さ又は長さは、約0.2mm~約2.0mmの範囲とすることができる。突出部の底部又は基部の直径Bは約0.5mm~約2.0mmの範囲とすることができるが、電極10の本体12の直径は約5~約19mmの範囲とすることができる。突出部の高さ/底部の直径の比は約0.5~約2.0の範囲とすることができる。
【0060】
突出部Pの例示的な実施例又は形状は、図12の場合のような山形の突出部、図13図15、及び図16の場合のような段付きの突出部、並びに図14及び図16の場合のようなリング状の突出部を含むことができる。他の突出部の形状又はこれらの組合せもまた使用されてもよい。さらに、突出部は一般的に、電極本体の中心軸線の中央に配置され、中心から約0mm~1mmの間で変わってもよく、それは約0~約0.5mmが最も望ましい。
【0061】
したがって、図12の実施例では、カソード10‘は本体12‘と、放射端部11‘と、尖った形状又は山形の突出部P’とを有する。
【0062】
図13の実施例では、カソード10‘‘は、細長体12‘‘と、放射端部11‘‘と、とんがって段付き形状の突出部P‘’を有する。
【0063】
図14の実施例では、カソード10‘‘‘は、細長体12‘‘‘と、放射端部11‘‘‘と、リング状の凹んだ形状の突出部P‘‘‘を有する。
【0064】
図15の実施例では、カソード10IVは、細長体12IVと、放射端部11IVと、とんがって段付き形状の突出部PIVを有する。
【0065】
図16の実施例では、カソード10は、細長体12と、放射端部11と、とんがって段付き形状の突出部Pを有する。
【0066】
本発明の例示的な電極を使用するプラズマの動作パワーは、正規のパワー限界が80kWのプラズマ・ガンに対して、40kW未満とすることができ、35kW未満とすることができることが好ましく、30kW未満とすることができることがより好ましい。一般に、特定のガンに対して、パワーは、最大ガン・パワー・レベルの50%未満に制限することができ、それは、44%未満が好ましく、38%未満が最も好ましい。パワーは、プラズマ・ガンがプラズマ・アークを維持することができる、最大パワーの少なくとも約7.5%又は最低動作パワーのどちらか小さい方にすべきである。
【0067】
プラズマ・ガンのハードウェアの寿命、最も具体的にはカソードの寿命は、動作パワーが低いことによるハードウェア寿命の延長、又はプラズマ・アーク密度が高いことによるハードウェア寿命の短縮の影響を受け得る。特定の用途及びパラメータの組に応じて結果は変わり得る。
【実施例
【0068】
図10及び図11に示したタイプのカソードC又は10は、(図1図9のカソード110又は先端130に代えて)Oerlikon Metco Sinplex-proプラズマ・ガンに使用することができ、基部の直径Bが約0.75mmで高さAが約0.35mmの球根形状の突出部(例えば、図10及び図11に示す)を有する突起Pを有することができる。このような電極に使用することができる非限定的なパワー・レベルは、約28kWとすることができ、この実例は、図1図9の実施例に使用されるカソードによって生成される範囲の約25%の範囲の放射領域を使用することができる。
【0069】
別の実例又は上記の実施例の修正では、本発明のカソードを使用するプラズマ・ガンは、約27.8kWのパワー・レベルに対して約300アンペア及び約92.5ボルトで動作することができ、これは、450アンペア及び94ボルトで動作し、約42.3kWのパワー・レベルを使用する従来技術のカソードを有するプラズマ・ガンよりもかなり低い。
【0070】
スプレーして、平板での堆積効率(DE:Deposition Efficiency)、及び小径部品を代表する5mmの鋼棒での標的堆積効率(TDE:Target Deposition Efficiency)の両方を測定するために、試験装置を使用して試験が実行された。平板の単位時間当たりの重量増加を用いてDEを決定し、一方、また、平板上にスプレーされた粉末の外形を用いてスプレー・パターンの幅を決定した。同様に、鋼棒の重量増加を用いてTDEを決定した。このような試験は、本発明の1つ又は複数の実施例の動作をうまく示した。
【0071】
図20は、平板に堆積したアルミナのスプレー外形を示す。X軸は、ミリメートル(mm)で示した外形断面にわたる距離を表し、Y軸はスプレー堆積物の高さを表す。「従来技術1」と印した実例は、標準の電極を装備したOerlikon Metco Sinplex Proプラズマ・ガンを用いて施工されたスプレー・コーティングを表す。「従来技術2」は、標準の電極を装備したOerlikon Metco 9MBガンを用いてコーティングをスプレーするように使用された。「本発明」と名付けた外形は、図10及び図11に示したカソードを有するOerlikon Metco Sinplex Proプラズマ・ガンを用いてコーティングをスプレーするように使用された。「本発明」のカソードではまた、相対幅が最も狭いスプレー・パターンを生成し、スプレー箇所の相対高さが最も集中した。標的幅5mmの鋼棒がスプレーされる部品を代表すると想定すると、本発明のカソードを使用するときにTDEがかなり高いことが容易に分かる。
【0072】
図21及び図22は、従来技術1及び本発明のカソードに対して、28kWで動作するOerlikon Metco Sinplex Proプラズマ・ガンを用いて、鋼棒で得られた測定TDE(上のグラフ)、及び平板で得られた測定DE(下のグラフ)を示す。明らかなように、本発明のカソードをプラズマ・ガンが装着すると、両方の値は大きく上昇する。キャリアガス流は、両方のスプレー条件に対して最適な堆積を示すように変更された。
【0073】
他の実施例は、図17図19に示した従来技術のカソードのいずれか1つに対して、図10図16に示した突出部のいずれか1つを付け加える、又は形成することを含む。このようなカソードは概ね円柱状の本体、及び短い(図17)又は長いテーパ状の端部(図18及び図19)のどちらかを有する。このような修正は、プラズマ・ガンからカソードを取り外すステップと、本明細書で示し説明したタイプの単一の中央に配置され軸方向を向いた突出部を有するように最も前方の端部を形づくるために、カソードの金属の除去又は加工を実施するステップと、プラズマ・ガンにカソードを再取付けするステップとを含むことができる。次いで、コーティング材料の適用時、パワーをかなり下げてプラズマ・ガンを動作させることができる。
【0074】
当業者であれば、当該業界で現在利用可能な様々な方法を用いてDE及びTDEの両方、並びにTEを測定するために他の方法を見出すことができる。さらに、当業者であれば、本発明の範囲内にある類似の突出部形状及びそれらの組合せを思いつくことができる。
【0075】
前述の実例は、単に説明の目的で提供したのであり、本発明を限定するものとは決して解釈すべきでないことに留意されたい。例示的な実施例を参照して本発明を説明してきたが、本明細書で用いた文言は限定の文言ではなく説明及び例示の文言であることが理解される。ここに記載され、補正される添付の請求項の範囲内で、本発明の範囲及び趣旨から逸脱することなくその態様の変更を行うことができる。特定の手段、材料、及び実施例を参照して本発明を本明細書で説明してきたが、本発明は、本明細書に開示される特定のものに限定することを意図せず、むしろ、本発明は、すべての機能的に等価な構造、方法、及び用途、例えば、添付の請求項の範囲内のものにまで及ぶ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図10A
図10B
図11
図12
図13
図14
図14A
図15
図15A
図16
図16A
図17
図18
図19
図20
図21
図22
【手続補正書】
【提出日】2021-07-30
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の端部及び第2の端部を有する本体と、
前記第1の端部から延在する突出部とを備え、
前記突出部が約4mm未満の放射領域の直径を有する、プラズマ・ガン用のカソード。
【請求項2】
前記突出部が、縮小された直径の突起、又は縮小された断面の突起のうちの1つであり、本体の最も前方の部分であり、約2mm未満の軸方向長さを有する、請求項1に記載のカソード。
【請求項3】
前記突出部が、前記本体の他のすべての部分よりも小さな直径又は小さな断面のうちの少なくとも1つを有する、請求項1に記載のカソード。
【請求項4】
前記第1の端部が第1の材料であり、前記第2の端部が第2の材料である、請求項1に記載のカソード。
【請求項5】
前記第1の端部と前記第2の端部が異なる材料である、請求項1に記載のカソード。
【請求項6】
前記突出部が前記第1の端部の平坦な表面から突出する、請求項1に記載のカソード。
【請求項7】
前記突出部が前記第1の端部の円錐表面から突出する、請求項1に記載のカソード。
【請求項8】
前記突出部が前記第1の端部のドーム形状の表面から突出する、請求項1に記載のカソード。
【請求項9】
前記突出部が約0.5mm~約2.0mmの直径であり、前記第1の端部の周囲の表面から少なくとも0.5mm、及び約2mm未満突出する、請求項1に記載のカソード。
【請求項10】
前記第1の材料がタングステン又はドープタングステンである、請求項2に記載のカソード。
【請求項11】
前記カソードの前記第1の端部が放射端部である、請求項1に記載のカソード。
【請求項12】
前記第2の材料が銅である、請求項4に記載のカソード。
【請求項13】
前記カソードが水冷されている、請求項1に記載のカソード。
【請求項14】
前記突出部が前記本体の中心軸線と同軸に配置されている、請求項1に記載のカソード。
【請求項15】
前記カソードをプラズマ・ガン内部に取り付けるステップと、
前記突出部を介してアーク放電を生成するステップと
を含む、請求項1に記載のカソードを使用する方法。
【請求項16】
前記突出部が放射領域又はスプレー範囲の大きさを限定する、請求項1に記載のカソードを使用する方法。
【請求項17】
前記突出部が放射領域の電流密度を増大させる、請求項1に記載のカソードを使用する方法。
【請求項18】
プラズマ・ガンのカソードを修正する方法であって、
前記プラズマ・ガンから前記カソードを取り外すステップと、
単一の中央に配置され軸方向を向いた突出部を有するように最も前方の端部又はアーク放電端部を形づくるために、前記カソードの金属の除去又は加工を実施するステップと、
前記プラズマ・ガンに前記カソードを再取付けするステップと
を含む、方法。
【請求項19】
コーティング材料の適用時、あるパワーで前記プラズマ・ガンを動作させるステップであって、前記パワーが、前記カソードが修正される前に前記プラズマ・ガンを動作させるのに使用されたパワーに比べて低いパワーである、ステップをさらに含む、請求項18に記載の方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2018年11月30日に出願された米国仮出願第62/773,776号の、米国特許法第119条(e)に基づく優先権を主張する。その開示は、その内容全体が参照によって明示的に本明細書に組み込まれる。
【0002】
資金提供を受けた研究又は開発には、該当しない。
【背景技術】
【0003】
小さな部品又は高い熱入力を受けることができない部品にスプレーすることを含むプラズマ・スプレーの適用では、ほとんどのプラズマ・ガンに課題がある。小さな部品にスプレーすると、スプレーされた材料又はスプレーされた粉末のほとんどは標的の小さな部品から外れるので、標的効率(TE:target efficiency)が低くなる。これらの小さな部品はしばしば熱入力に敏感であり、材料又は粉末を堆積させるように加熱する及び/又は加速するのに必要な全パワー量によって損傷を受けることがある。
【0004】
より小さなパワー・レベル及び/又はより小さなガンを使用すると、材料又は粉末を処理するためのエネルギー密度が低くなる又は下がるので、しばしば、材料又は粉末の処理が悪くなる、又は堆積効率(DE:deposition efficiency)が下がる。さらに、小さなプラズマ・プルームを生成するために小さなプラズマ・ノズル孔を使用すると、プルーム速度が、材料又は粉末の適切な処理及び堆積に対して速すぎることにもなる。
【0005】
図1図9は、交換可能で取替え可能なカソード110を有する従来技術のプラズマ・ガン100(例示のために、ガンの特定の主要部分のみが示されている)の1つの非限定的な実例を示す。容易に分かるように、カソード110は、接続部を介してプラズマ・ガン100の主要部分150に機械的及び電気的に接続される。シール160は、この接続部から軸方向に間隔を置いて配置される。
【0006】
図5で分かるように、カソード110は取付部120及び先端130を有し、プラズマ・スプレー中、先端130の前方端132からプラズマ・アークが連続的に放出される。先端130は後方部131を有し、後方部131は、取付部120の受入れ領域124に固定され、その中に延在する。取付部120は主内部空間121を含み、主内部空間121は、内部に冷却流体を受け入れ、冷却管140の前方部を内部に収容するような大きさと構成になっている。冷却流体は、プラズマ・ガン100の主冷却通路170を経て管140を通過する。取付部120はまた雄ねじ122を含み、雄ねじ122は、構成部品150の対応する雌ねじ151にねじ込まれ、カソード110をプラズマ・ガン100の主内部構成部品150に軸方向に機械的に固定し、電気的に接続するように機能する。カソード110と構成部品150との間をシールするために、とりわけ、冷却流体(典型的には加圧された冷却流体)が空間121から漏れ出ることを防ぐために、シール又はOリング160が、カソード110の境界結合面123と内部構成部品150の境界結合面152との間に形成された環状の接続境界面の領域以外の場所に設けられる。Oリング160は、境界面123/152から間隔を置いて、概ね円周状の溝125内に配置される。溝125は、カソード110に外周溝として配置することができる。図示の構成の結果、標準化された接続部が構成部品110と150との間に設けられる。
【0007】
次に、図6図9を参照すると、従来技術のカソード110は、概ね円柱状の取付部120、及び概ね円柱状の先端130を有し、プラズマ・スプレー中、先端130の前方端132からプラズマ・アークが連続的に放出されることが分かる。取付部120は概ね円柱状の主内部空間121を含み、主内部空間121は、内部に冷却流体を受け入れ、冷却管140の前方部を内部に収容するような大きさと構成になっている(図5参照)。取付部120はまた、取付部120の後方端に配置された雄ねじ122、及び先端130に隣接して配置された六角形状部を含む。六角形状部は、作業者が、レンチ又はソケット・レンチなどの適切な工具を用いてカソード110を取り外すことができ、カソード110を取り外すとき、このように、内部構成部品150の雌ねじ151から雄ねじ122を外すことができるような大きさと構成になっている。同じ六角形状部によって、作業者は、レンチ又はソケット・レンチなどの適切な工具を用いてカソード110を取り付けることができ、このように、カソード110の取付時、内部構成部品150の雌ねじに雄ねじ122をねじ込むことができる。カソード110に、外周溝として溝125を配置することができ、この溝125は、カソード110の境界結合面123から軸方向に間隔を置いて配置される。
【0008】
溶射用に使用されるプラズマ・ガンは、カソードに重大な損傷又は溶融なしに、広い熱電子放出領域を生成して、物理的にできるだけ大きなパワーでプラズマ・ガンを動作させることができるように設計された、丸みを帯びた、平坦な、又は傾斜した形状(図17図19参照)を有するカソードを有する。
【0009】
C+Plasma Model 3Aなどのプラズマ・ガンも知られており、このモデルは、比較的狭い放射領域を生成するタングステン先端を有する銅カソードを使用する。しかしながら、このガンは典型的には、最高120kWなど、ずっと高いパワー・レベルで動作し、望まれる放射領域はかなり大きく、例えば、直径4mmで長さ2mmである。
【0010】
当該技術において必要なことは、十分なエネルギー密度であるが、生じる粒子/材料/粉末の温度又は速度に悪影響なしにより低い全パワー・レベルでプラズマ・プルームを生成する方法である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の非限定的な実施例は、第1の端部及び第2の端部を有する本体であって、第1の端部が突出部を有する、本体を備えるプラズマ・ガン用の電極を含む。突出部は突起又は延長部であってもよく、電極の最も前方の部分を形成するように構成された、縮小された直径又は縮小された断面の先端又は部分を有してもよい。直径が4mmよりもかなり小さな放射領域を形成するように、縮小された直径の部分の直径は典型的には3又は4mm未満で、長さ又は突出は2mmより短い。
【0012】
本発明の非限定的な実施例は、第1及び第2の端部を有する細長体であって、第1の端部が突出部を有する、細長体を備えるプラズマ・ガン用のカソードを含む。
【0013】
いくつかの実施例では、第1の端部は第1の材料から作られ、第2の端部は第2の材料から作られる。
【0014】
いくつかの実施例では、第1の端部と第2の端部は異なる材料から作られる。
【0015】
いくつかの実施例では、突出部は平坦な表面から突出する。
【0016】
いくつかの実施例では、突出部は円錐表面から突出する。
【0017】
いくつかの実施例では、突出部はドーム形状の表面から突出する。
【0018】
いくつかの実施例では、突出部は約0.5mm~約2.0mmの直径であり、表面から少なくとも0.5mm、及び/又は突出部の直径の2又は3倍以下突出する。
【0019】
いくつかの実施例では、第1の材料はタングステン又はドープタングステンのうちの少なくとも1つである。
【0020】
いくつかの実施例では、カソードの第1の端部は放射端部である。
【0021】
いくつかの実施例では、第2の材料は銅である。
【0022】
いくつかの実施例では、カソードは水冷されている。
【0023】
いくつかの実施例では、突出部は細長体の中心軸線と同軸に配置されている。
【0024】
本発明の非限定的な実施例は、カソードをプラズマ・ガン内部に取り付けるステップと、突出部を介してアーク放電を生成するステップとを含む上記のカソード又は電極を使用する方法を含む。
【0025】
いくつかの実施例では、突出部は放射領域の大きさを限定する。
【0026】
いくつかの実施例では、突出部は放射領域の電流密度を増大させる。
【0027】
本発明の非限定的な実施例は、第1の端部及び第2の端部を有する本体を備え、第1の端部がアーク放電延長部を有する、プラズマ・ガンに使用するための電極を含む。
【0028】
本発明の非限定的な実施例は、第1の端部及び第2の端部を有する本体又は細長体と、第1の端部の端面から突出する突出部とを備えるプラズマ・ガン用のカソードを含む。
【0029】
いくつかの実施例では、突出部は約0.5mm~約2mmの基部直径を有し、端面から少なくとも0.5mm、及び/又は突出部の直径の2又は3倍以下突出する。
【0030】
いくつかの実施例では、第1の端部と第2の端部は異なる材料から作られる。
【0031】
いくつかの実施例では、突出部は平坦な端面から突出する。
【0032】
いくつかの実施例では、突出部は円錐端面から突出する。
【0033】
いくつかの実施例では、突出部はドーム形状の端面から突出する。
【0034】
いくつかの実施例では、放射端部及び取付端部を有する本体を備え、放射端部が、本体の最も前方部分を形成する縮小された直径又は断面のアーク放電延長部を有する、プラズマ・ガンに使用するための電極も提供される。
【0035】
いくつかの実施例では、アーク放電端部及び取付端部を有する金属体と、アーク放電端部の端面から突出又は延在する縮小された直径の部分とを備えるプラズマ・ガン用のカソードも提供される。
【0036】
いくつかの実施例では、縮小された直径又は縮小された断面の部分は約0.5mm~約2.0mmの直径であり、表面から少なくとも0.5mm、及び/又は突出部の直径の2又は3倍以下突出する。
【0037】
いくつかの実施例では、アーク放電端部及び取付端部を有する金属体と、アーク放電端部の端面から突出又は延在する、テーパ状又は尖った縮小された直径の部分とを備えるプラズマ・ガン用のカソードも提供される。
【0038】
いくつかの実施例では、アーク放電端部及び取付端部を有する金属体と、アーク放電端部の端面から突出又は延在する、縮小された直径の半球状又は球根状の部分とを備えるプラズマ・ガン用のカソードも提供される。
【0039】
いくつかの実施例では、アーク放電端部及び取付端部を有する金属体と、アーク放電端部の端面から突出又は延在する、縮小された直径の段付き形状の部分とを備えるプラズマ・ガン用のカソードも提供される。
【0040】
いくつかの実施例では、アーク放電端部及び取付端部を有する金属体と、アーク放電端部の端面から突出又は延在する、縮小された直径のリング形状の部分とを備えるプラズマ・ガン用のカソードも提供される。
【0041】
突出部又は鋭い先端を有するようにカソード又は電極の形状を変えることによって、より集中したプラズマ・プルームを生じさせることができ、これによって、より小さな全パワーを使用し、標的に粉末及び/又はコーティングを施工するのに必要なエネルギー密度を保って、小さな標的にスプレーするのに適するより限られたスプレー外形が生成される。
【0042】
本発明の非限定的な実施例を図面から見ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
図1】本明細書で説明するタイプのカソードを使用するために修正することができる従来技術のプラズマ・ガンの前面図である。
図2】本明細書で説明するタイプのカソードを使用するために修正することができる従来技術のプラズマ・ガンの背面図である。
図3図1及び図2に示したプラズマ・ガンの断面図である。
図4図3に示したプラズマ・ガンの内側部分の断面図である。
図5図4に示した部分の内側部分の断面図である。
図6図1及び図2のプラズマ・ガンに使用される従来技術のカソードの図である。
図7図1及び図2のプラズマ・ガンに使用される従来技術のカソードの図である。
図8図1及び図2のプラズマ・ガンに使用される従来技術のカソードの図である。
図9図1及び図2のプラズマ・ガンに使用される従来技術のカソードの図である。
図10図6図9に示したカソードに代えて使用することができる本発明の一実施例によるカソードの部分図である。
図10A図10のカソードの前面図である。
図10B図10のカソードの拡大側面図である。
図11図10のカソードの断面図である。
図12図6図9に示したカソードに代えて使用することができる本発明の別の実施例によるカソードの部分断面図である。
図13図6図9に示したカソードに代えて使用することができる本発明の別の実施例によるカソードの部分断面図である。
図14図6図9に示したカソードに代えて使用することができる本発明の別の実施例によるカソードの部分断面図である。
図14A図14のカソードの拡大側面図である。
図15図6図9に示したカソードに代えて使用することができる本発明の別の実施例によるカソードの部分断面図である。
図15A図15のカソードの拡大側面図である。
図16図6図9に示したカソードに代えて使用することができる本発明の別の実施例によるカソードの部分断面図である。
図16A図16のカソードの拡大側面図である。
図17】従来技術のカソードの部分断面図である。
図18】従来技術のカソードの部分断面図である。
図19】従来技術のカソードの部分断面図である。
図20】平板にスプレーすることによって形づくられた堆積物の3つの外形の図である。
図21】本発明の電極と標準(従来技術)の電極との比較を示すための鋼棒でのTDEの図である。
図22】本発明の電極と標準(従来技術)の電極との比較を示すための平板でのDEの図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
本明細書に示す詳細は、一例であり、本発明の実施例の例示的議論のみを目的とし、本発明の原理及び概念的側面の最も有用で容易に理解される説明と信じるものを提供するために提示される。これに関し、本発明を基本的に理解するために必要であることより詳細には本発明の構造的な詳細を示すことを試みず、本説明は、図面と併せて、本発明のいくつかの形態を実際に具現化することができる方法を当業者に明らかにする。
【0045】
さらに、以下の説明では、添付の図面に関して本開示の様々な実施例を説明する。本明細書では、必要に応じて、本開示の実施例のうちの詳細な実施例を論じるが、開示する実施例は、様々で代替的な形態で具現化することができる本開示の実施例の単なる代表的なものであることを理解されたい。図は必ずしも原寸に比例したものではなく、いくつかの特徴は、特定の構成部品の詳細を示すために誇張されるか、又は極小化されることがある。したがって、本明細書に開示する特定の構造的及び機能的な詳細は、限定するものとして解釈すべきではなく、本開示を様々に使用するために当業者に教示するための単なる代表的な基礎として解釈すべきである。
【0046】
本明細書に示す詳細は、一例であり、本開示の実施例の例示的議論のみを目的とし、本開示の原理及び概念的側面の最も有用で容易に理解される説明と信じるものを提供するために提示される。これに関し、本開示を基本的に理解するために必要であることより詳細には本開示の構造的な詳細を示すことを試みず、その結果、本説明は、図面と併せて、本開示の形態を実際に具現化することができる方法を当業者に明らかにする。
【0047】
本明細書では、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、及び「その(the)」は、文脈においてそうでないことを明示していなければ、複数形を含む。例えば、「1つのスプレー装置」の言及は、明確に除外しなければ、複数又は多数のスプレー装置の使用を排除しない。例えば、本明細書では、不定冠詞「1つの(a)」は1つ及び1つより多いことを示し、必ずしも、指示した名詞を単数と限定するものではない。
【0048】
別に指摘する場合を除いて、本明細書及び特許請求の範囲において使用される数量を表わすすべての数は、すべての場合、用語「約(about)」によって修飾されているものとして理解されたい。例えば、1~5の範囲は、約1~約5の範囲を含む、又はそれに相当することを意図する。したがって、反することを指摘していなければ、本明細書及び特許請求の範囲に記載の数値パラメータは、本開示の実施例によって得られるように求められる所望の性質に応じて変わり得る近似値である。最低限でも、特許請求の範囲への均等論の適用を制限しようとするものとして考えるべきではなく、各数値パラメータは、有効桁数及び通常の丸め方式を考慮して解釈されるべきである。
【0049】
本明細書では、用語「約」及び「およそ」は、対象の量又は値が、指定された特定の値又はその近傍の他の値であり得ることを示す。一般に、特定の値を示す用語「約」及び「およそ」は、その値の±5%以内の範囲を示すことを意図する。一例として、「約100」という表現は、100±5の範囲、すなわち95~105の範囲を示す。一般に、用語「約」及び「およそ」が使用されるとき、本開示による結果又は効果と同様な結果又は効果を、示された値の±5%の範囲内で得ることができると期待することができる。
【0050】
さらに、本明細書内での数値範囲の記載は、(他に明示的に示されなければ)その範囲内の全ての数値及び範囲の開示であると考えられる。例えば、範囲が約1~約50の場合、これは例えば1、7、34、46.1、23.7、又はこの範囲内の任意の他の数値又は範囲を含むものと見なされる。
【0051】
本明細書では、用語「及び/又は」は、言及された群の要素のすべて又は1つだけが存在してもよいことを示す。例えば、「A及び/又はB」は、「Aのみ、又はBのみ、又はA及びBの両方」を意味するものとする。「Aのみ」の場合、この用語は、Bが存在しない可能性、すなわち「AのみであってBではない」という可能性も含む。
【0052】
「実質的に平行」などの用語は、平行整列からの逸脱が20°未満であることを指すことができ、用語「実質的に垂直」は、垂直整列からの逸脱が20°未満であることを指す。用語「平行」は、数学的に正確な平行整列からの逸脱が5°未満であることを指す。同様に、「垂直」は、数学的に正確な垂直整列からの逸脱が5°未満であることを指す。
【0053】
用語「少なくとも部分的に」は、後続する特性が、ある程度又は完全に満たされることを示すことを意図する。
【0054】
用語「実質的に」及び「本質的に」は、後続する特徴、特性、又はパラメータが、完全に(全体的に)実現され、又は満足される、或いは、意図した結果に悪影響を及ぼさない程度まで実現され又は満足されることを示すために使用される。
【0055】
本明細書では、用語「含む(comprising)」は、非排他的で無制限であることを意図する。したがって、例えば、化合物Aを含む組成物は、A以外の他の化合物を含んでもよい。しかしながら、用語「含む」は、「本質的に~から成る(consisting essentially of)」及び「~から成る」という、より限定的な意味も包含し、その結果、例えば、「化合物Aを含む組成物」はまた、(本質的に)化合物Aから成る場合もある。
【0056】
本明細書に開示される様々な実施例は、特に反することが述べられていなければ、別々に、且つ様々に組み合わせて使用することができる。
【0057】
本発明の非限定的な態様による電極10は、非限定的な例として、図1図9に示した電極110を置き換えるために使用することができる。図10図10A図10B、及び図11の例で分かるように、カソードC又は電極10は、1つ又は複数の概ね円柱状の部分を有する本体又は細長体12の放射端部11に配置された突出部Pを含む。突出部Pは突起又は延長部であり、縮小された直径又は縮小された断面を有し、電極の最も前方の部分を構成する先端又は部分を形成する。突出部Pは、カソードCの本体と一体的に形成することができる、又はカソードCの本体に取り付けられた、別個に形成された部材とすることができる。突出部Pは、放射領域及び/又はカソード軸線CAの中央に配置することができ、突出部の無い同等なカソードによって通常生成される大きさ又は領域よりも小さな大きさ又は領域に放射領域を限定するのに役立つ。例えば、より小さな放射領域は、図1図9に示したプラズマ・ガンなどの典型的なプラズマ・ガンのカソードによって生成される範囲より約50%小さくすることができる。図1のSimplex Pro 90プラズマ・ガンで使用されるパワー・レベルは約42kWであるが、類似のコーティング材料をスプレーするために使用されるとき、このような小さな放射領域に使用されるパワー・レベルは約28kWにすることができる。
【0058】
図10及び図11に示す実例では、突出部Pは丸みを帯びた形状を有し、約3.2mmの直径を有する平坦な円形の稜から突出している。突起Pは、約0.5mm~約2mmの基部の直径Bを有し、及び少なくとも約0.5mmの距離A突出している。突起Pは、放射領域の大きさ及び範囲を限定し、より詰まった、より電流密度の高いプラズマ・アークを形成し、その結果、より高エネルギー密度のより狭いプラズマ・プルームを生じる電荷集中を生成するような大きさと構成である。
【0059】
他の実施例が図12図16に示されており、これらの実施例では、突出部Pの突起の高さ又は長さは、約0.2mm~約2.0mmの範囲とすることができる。突出部の底部又は基部の直径Bは約0.5mm~約2.0mmの範囲とすることができるが、電極10の本体12の直径は約5~約19mmの範囲とすることができる。突出部の高さ/底部の直径の比は約0.5~約2.0の範囲とすることができる。
【0060】
突出部Pの例示的な実施例又は形状は、図12の場合のような山形の突出部、図13図15、及び図16の場合のような段付きの突出部、並びに図14及び図16の場合のようなリング状の突出部を含むことができる。他の突出部の形状又はこれらの組合せもまた使用されてもよい。さらに、突出部は一般的に、電極本体の中心軸線の中央に配置され、中心から約0mm~1mmの間で変わってもよく、それは約0~約0.5mmが最も望ましい。
【0061】
したがって、図12の実施例では、カソード10‘は本体12‘と、放射端部11‘と、尖った形状又は山形の突出部P’とを有する。
【0062】
図13の実施例では、カソード10‘‘は、細長体12‘‘と、放射端部11‘‘と、とんがって段付き形状の突出部P‘’を有する。
【0063】
図14の実施例では、カソード10‘‘‘は、細長体12‘‘‘と、放射端部11‘‘‘と、リング状の凹んだ形状の突出部P‘‘‘を有する。
【0064】
図15の実施例では、カソード10IVは、細長体12IVと、放射端部11IVと、とんがって段付き形状の突出部PIVを有する。
【0065】
図16の実施例では、カソード10は、細長体12と、放射端部11と、とんがって段付き形状の突出部Pを有する。
【0066】
本発明の例示的な電極を使用するプラズマの動作パワーは、正規のパワー限界が80kWのプラズマ・ガンに対して、40kW未満とすることができ、35kW未満とすることができることが好ましく、30kW未満とすることができることがより好ましい。一般に、特定のガンに対して、パワーは、最大ガン・パワー・レベルの50%未満に制限することができ、それは、44%未満が好ましく、38%未満が最も好ましい。パワーは、プラズマ・ガンがプラズマ・アークを維持することができる、最大パワーの少なくとも約7.5%又は最低動作パワーのどちらか小さい方にすべきである。
【0067】
プラズマ・ガンのハードウェアの寿命、最も具体的にはカソードの寿命は、動作パワーが低いことによるハードウェア寿命の延長、又はプラズマ・アーク密度が高いことによるハードウェア寿命の短縮の影響を受け得る。特定の用途及びパラメータの組に応じて結果は変わり得る。
【実施例
【0068】
図10及び図11に示したタイプのカソードC又は10は、(図1図9のカソード110又は先端130に代えて)Oerlikon Metco Sinplex-proプラズマ・ガンに使用することができ、基部の直径Bが約0.75mmで高さAが約0.35mmの球根形状の突出部(例えば、図10及び図11に示す)を有する突起Pを有することができる。このような電極に使用することができる非限定的なパワー・レベルは、約28kWとすることができ、この実例は、図1図9の実施例に使用されるカソードによって生成される範囲の約25%の範囲の放射領域を使用することができる。
【0069】
別の実例又は上記の実施例の修正では、本発明のカソードを使用するプラズマ・ガンは、約27.8kWのパワー・レベルに対して約300アンペア及び約92.5ボルトで動作することができ、これは、450アンペア及び94ボルトで動作し、約42.3kWのパワー・レベルを使用する従来技術のカソードを有するプラズマ・ガンよりもかなり低い。
【0070】
スプレーして、平板での堆積効率(DE:Deposition Efficiency)、及び小径部品を代表する5mmの鋼棒での標的堆積効率(TDE:Target Deposition Efficiency)の両方を測定するために、試験装置を使用して試験が実行された。平板の単位時間当たりの重量増加を用いてDEを決定し、一方、また、平板上にスプレーされた粉末の外形を用いてスプレー・パターンの幅を決定した。同様に、鋼棒の重量増加を用いてTDEを決定した。このような試験は、本発明の1つ又は複数の実施例の動作をうまく示した。
【0071】
図20は、平板に堆積したアルミナのスプレー外形を示す。X軸は、ミリメートル(mm)で示した外形断面にわたる距離を表し、Y軸はスプレー堆積物の高さを表す。「従来技術1」と印した実例は、標準の電極を装備したOerlikon Metco Sinplex Proプラズマ・ガンを用いて施工されたスプレー・コーティングを表す。「従来技術2」は、標準の電極を装備したOerlikon Metco 9MBガンを用いてコーティングをスプレーするように使用された。「本発明」と名付けた外形は、図10及び図11に示したカソードを有するOerlikon Metco Sinplex Proプラズマ・ガンを用いてコーティングをスプレーするように使用された。「本発明」のカソードではまた、相対幅が最も狭いスプレー・パターンを生成し、スプレー箇所の相対高さが最も集中した。標的幅5mmの鋼棒がスプレーされる部品を代表すると想定すると、本発明のカソードを使用するときにTDEがかなり高いことが容易に分かる。
【0072】
図21及び図22は、従来技術1及び本発明のカソードに対して、28kWで動作するOerlikon Metco Sinplex Proプラズマ・ガンを用いて、鋼棒で得られた測定TDE(上のグラフ)、及び平板で得られた測定DE(下のグラフ)を示す。明らかなように、本発明のカソードをプラズマ・ガンが装着すると、両方の値は大きく上昇する。キャリアガス流は、両方のスプレー条件に対して最適な堆積を示すように変更された。
【0073】
他の実施例は、図17図19に示した従来技術のカソードのいずれか1つに対して、図10図16に示した突出部のいずれか1つを付け加える、又は形成することを含む。このようなカソードは概ね円柱状の本体、及び短い(図17)又は長いテーパ状の端部(図18及び図19)のどちらかを有する。このような修正は、プラズマ・ガンからカソードを取り外すステップと、本明細書で示し説明したタイプの単一の中央に配置され軸方向を向いた突出部を有するように最も前方の端部を形づくるために、カソードの金属の除去又は加工を実施するステップと、プラズマ・ガンにカソードを再取付けするステップとを含むことができる。次いで、コーティング材料の適用時、パワーをかなり下げてプラズマ・ガンを動作させることができる。
【0074】
当業者であれば、当該業界で現在利用可能な様々な方法を用いてDE及びTDEの両方、並びにTEを測定するために他の方法を見出すことができる。さらに、当業者であれば、本発明の範囲内にある類似の突出部形状及びそれらの組合せを思いつくことができる。
【0075】
前述の実例は、単に説明の目的で提供したのであり、本発明を限定するものとは決して解釈すべきでないことに留意されたい。例示的な実施例を参照して本発明を説明してきたが、本明細書で用いた文言は限定の文言ではなく説明及び例示の文言であることが理解される。ここに記載され、補正される添付の請求項の範囲内で、本発明の範囲及び趣旨から逸脱することなくその態様の変更を行うことができる。特定の手段、材料、及び実施例を参照して本発明を本明細書で説明してきたが、本発明は、本明細書に開示される特定のものに限定することを意図せず、むしろ、本発明は、すべての機能的に等価な構造、方法、及び用途、例えば、添付の請求項の範囲内のものにまで及ぶ。
【0076】
別の態様によれば、本発明は、第1の端部及び第2の端部を有するタングステン体を備え、第1の端部が、中央に配置された、縮小された直径又は断面のアーク放電延長部を有する、プラズマ・ガンに使用するための電極に関する。
【0077】
別の態様によれば、本発明は、第1の端部及び第2の端部を有するタングステン体を備え、第1の端部が、本体の最も前方部分を形成する、縮小された直径又は断面のアーク放電延長部を有する、プラズマ・ガンに使用するための電極に関する。
【0078】
別の態様によれば、本発明は、第1の端部及び第2の端部を有するタングステン体と、第1の端部の端面から突出又は延在している縮小された直径のタングステン部分とを備えるプラズマ・ガン用のカソードに関する。
【0079】
カソードの一実施形態では、突出部が約0.5mm~約2mmの基部直径を有し、端面から少なくとも約0.5mm、及び突出部の直径の2倍又は3倍以下突出する。
【0080】
カソードの一実施形態では、第1及び第2の端部が、一体的に形成された部材に配置されている。
【0081】
カソードの一実施形態では、縮小された直径の部分が、第1の端部の平坦な端面から突出する。
【0082】
カソードの一実施形態では、縮小された直径の部分が、第1の端部の円錐端面から突出する。
【0083】
カソードの一実施形態では、縮小された直径の部分が、第1の端部のドーム形状の端面から突出する。
【0084】
別の態様によれば、本発明は、放射端部及び取付端部を有するタングステン本体を備え、放射端部が、本体の最も前方部分を形成する縮小された直径又は断面のアーク放電延長部を有する、プラズマ・ガンに使用するための電極に関する。
【0085】
別の態様によれば、本発明は、アーク放電端部及び取付端部を有するタングステン体と、アーク放電端部の端面から突出又は延在する縮小された直径の部分とを備えるプラズマ・ガン用のカソードに関する。
【0086】
カソードの一実施形態では、縮小された直径又は縮小された断面の部分が約0.5mm~約2.0mmの直径であり、表面から少なくとも0.5mm、及び/又は縮小された直径又は縮小された断面の部分の直径の2倍又は3倍以下突出する。
【0087】
別の態様によれば、本発明は、アーク放電端部及び取付端部を有するタングステン体と、アーク放電端部のより大きな直径の端面から突出又は延在する、テーパ状又は尖った縮小された直径の部分とを備えるプラズマ・ガン用のカソードに関する。
【0088】
カソードの一実施形態では、縮小された直径の部分が約0.5mm~約2.0mmの直径であり、表面から少なくとも0.5mm、及び/又は縮小された直径の部分の直径の2倍又は3倍以下突出する。
【0089】
別の態様によれば、本発明は、アーク放電端部及び取付端部を有するタングステン体と、アーク放電端部の端面から突出又は延在する縮小された直径の半球状又は球根状の部分とを備えるプラズマ・ガン用のカソードに関する。
【0090】
カソードの一実施形態では、縮小された直径の部分が、約0.5mm~約2.0mmの直径であり、表面から少なくとも0.5mm、及び/又は縮小された直径の部分の直径の2倍又は3倍以下突出する。
【0091】
別の態様によれば、本発明は、アーク放電端部及び取付端部を有するタングステン体と、アーク放電端部の端面から突出又は延在する縮小された直径の段付き形状の部分と
を備えるプラズマ・ガン用のカソードに関する。
【0092】
カソードの一実施形態では、縮小された直径の部分が約0.5mm~約2.0mmの直径であり、表面から少なくとも0.5mm、及び/又は縮小された直径の部分の直径の2倍又は3倍以下突出する。
【0093】
別の態様によれば、本発明は、アーク放電端部及びねじ付き取付端部を有するタングステン体と、アーク放電端部の端面から突出又は延在する縮小された直径のリング形状の部分とを備えるプラズマ・ガン用のカソードに関する。
【0094】
カソードの一実施形態では、縮小された直径の部分が約0.5mm~約2.0mmの直径であり、表面から少なくとも0.5mm、及び/又は縮小された直径の部分の直径の2倍又は3倍以下突出する。
【0095】
別の態様によれば、本発明は、少なくとも1つの概ね円柱状の部分と、アーク放電端部と、取付端部と、アーク放電端部の端面から突出又は延在する単一の軸方向を向き中央に配置された縮小された直径の部分とを備えるタングステン体を備えるプラズマ・ガン用のカソードに関する。
【0096】
カソードの一実施形態では、縮小された直径の部分が約0.5mm~約2.0mmの直径であり、表面から少なくとも0.5mm、及び/又は縮小された直径の部分の直径の2倍又は3倍以下突出する。
【0097】
別の態様によれば、本発明は、少なくとも1つの概ね円柱状の部分と、アーク放電端部と、取付端部と、アーク放電端部の最も前方の部分である単一の軸方向を向き中央に配置された縮小された直径の部分とを備える一体金属体を備えるプラズマ・ガン用のカソードに関する。
【0098】
カソードの一実施形態では、縮小された直径の部分が約0.5mm~約2.0mmの直径であり、表面から少なくとも0.5mm、及び/又は縮小された直径の部分の直径の2倍又は3倍以下突出する。
【国際調査報告】