(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-26
(54)【発明の名称】意図的な機能アクティブ化を必要とする安全システム及び意図的な機能アクティブ化を必要とする安全システムを備える材料試験システム
(51)【国際特許分類】
G05B 9/02 20060101AFI20220119BHJP
【FI】
G05B9/02 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021531018
(86)(22)【出願日】2019-11-29
(85)【翻訳文提出日】2021-07-26
(86)【国際出願番号】 US2019063873
(87)【国際公開番号】W WO2020113179
(87)【国際公開日】2020-06-04
(32)【優先日】2018-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-11-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】591203428
【氏名又は名称】イリノイ トゥール ワークス インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【氏名又は名称】森本 有一
(74)【代理人】
【識別番号】100211177
【氏名又は名称】赤木 啓二
(72)【発明者】
【氏名】マリー エリザベス ポープ
(72)【発明者】
【氏名】エレナ ローズ マンガノ
(72)【発明者】
【氏名】アンドリュー デウルフ
【テーマコード(参考)】
5H209
【Fターム(参考)】
5H209AA15
5H209BB07
5H209CC03
5H209GG05
5H209HH02
5H209HH04
5H209HH17
5H209JJ09
5H209SS05
(57)【要約】
意図的な機能アクティブ化を必要とする安全システムと、意図的な機能アクティブ化を必要とする安全システムを備える材料試験システムとが開示されている。一例示の材料試験システムは、この材料試験システムのオペレータアクセス可能構成要素を制御するように構成されるアクチュエータと、複数の入力を備えるオペレータインターフェースと、材料試験プロセス又はオペレータインターフェースからの入力のうちの少なくとも一方に基づいてアクチュエータを制御し、アクチュエータの少なくとも1つの動作を可能にするために、所定の閾値時間内に受信される2つ以上の入力を必要とするように構成される1つ以上のプロセッサとを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
材料試験システムであって、
該材料試験システムのオペレータアクセス可能構成要素を制御するように構成されるアクチュエータと、
複数の入力を備えるオペレータインターフェースと、
1つ以上のプロセッサであって、
材料試験プロセス又は前記オペレータインターフェースからの入力のうちの少なくとも一方に基づいて前記アクチュエータを制御し、
前記アクチュエータの少なくとも1つの動作を可能にするために、所定の閾値時間内に受信される2つ以上の入力を必要とする、
ように構成される、1つ以上のプロセッサと、
を備える、材料試験システム。
【請求項2】
前記1つ以上のプロセッサは、該プロセッサによって前記アクチュエータの各動作を開始するために前記2つ以上の入力を必要とするように構成される、請求項1に記載の材料試験システム。
【請求項3】
前記1つ以上のプロセッサは、前記アクチュエータの前記動作の一時停止又は中止に応答して、前記動作の再開又は異なる動作の開始のために前記2つ以上の入力を必要とするように構成される、請求項1に記載の材料試験システム。
【請求項4】
前記オペレータインターフェースは、ボタンが押下されている間、ロック解除信号を出力するように構成される該ボタンを備え、前記1つ以上のプロセッサは、前記ロック解除信号を前記2つ以上の入力のうちの1つとして使用するように構成される、請求項1に記載の材料試験システム。
【請求項5】
前記オペレータアクセス可能構成要素は、試験対象材料を把持するように構成される自動グリップを備え、前記アクチュエータは、前記自動グリップを作動させるように構成され、前記少なくとも1つの動作は、前記自動グリップを介して閾値圧力よりも高い圧力を印加することを含む、請求項1に記載の材料試験システム。
【請求項6】
前記2つ以上の入力よりも少ない入力が受信されている間、前記1つ以上のプロセッサは、前記アクチュエータの制御が前記自動グリップを介して前記閾値圧力よりも低い圧力を印加することを可能にするように構成される、請求項5に記載の材料試験システム。
【請求項7】
前記オペレータアクセス可能構成要素は、移動して試験対象材料を位置決めすること又は前記試験対象材料に力を印加することを行うように構成されるクロスヘッドを含み、前記少なくとも1つの動作は、前記クロスヘッドの移動又は前記試験対象材料への前記力の印加のうちの少なくとも一方を含む、請求項1に記載の材料試験システム。
【請求項8】
前記オペレータアクセス可能構成要素は、移動して試験対象材料を位置決めすること又は前記試験対象材料に力を印加することを行うように構成されるクロスヘッドを含み、前記少なくとも1つの動作は、前記クロスヘッドを少なくとも閾値速度で移動させることを含む、請求項1に記載の材料試験システム。
【請求項9】
前記2つ以上の入力よりも少ない入力が受信されている間、前記1つ以上のプロセッサは、前記アクチュエータの制御が前記クロスヘッドを前記閾値速度未満で移動することを可能にするように構成される、請求項8に記載の材料試験システム。
【請求項10】
前記1つ以上のプロセッサは、前記アクチュエータの動作中に、前記2つ以上の入力のうちの少なくとも1つがもはや受信されていないとの判断に応答して、前記アクチュエータの動作を中止するように構成される、請求項1に記載の材料試験システム。
【請求項11】
前記1つ以上のプロセッサは、前記アクチュエータの動作中に、前記2つ以上の入力のいずれもが受信されていないとの判断に応答して、前記アクチュエータの動作を中止するように構成される、請求項1に記載の材料試験システム。
【請求項12】
前記1つ以上のプロセッサは、前記アクチュエータの動作中に、前記2つ以上の入力がもはや受信されなくなった後に前記アクチュエータの動作を継続するように構成される、請求項1に記載の材料試験システム。
【請求項13】
前記1つ以上のプロセッサは、前記材料試験プロセスの終結、前記材料試験プロセス内での一時停止、又は前記オペレータインターフェースからの入力のうちの少なくとも1つに基づいて前記アクチュエータの動作を中止するように構成される、請求項12に記載の材料試験システム。
【請求項14】
前記1つ以上のプロセッサは、
前記アクチュエータの前記制御を実行するように構成される制御プロセッサと、
前記2つ以上の入力を識別し、前記アクチュエータの少なくとも1つの動作を可能にするように構成される1つ以上の安全プロセッサと、
を含む、請求項1に記載の材料試験システム。
【請求項15】
材料試験システムであって、
該材料試験システムのオペレータアクセス可能構成要素を制御するように構成されるアクチュエータと、
複数の入力を備えるオペレータインターフェースと、
カメラ及びビデオプロセッサであって、
前記カメラによって出力される画像を処理することによって侵入を検出し、
侵入が検出されていないとの判断に応答して非検出信号を出力する、
ように構成される、カメラ及びビデオプロセッサと、
1つ以上のプロセッサであって、
材料試験プロセス又は前記オペレータインターフェースからの入力のうちの少なくとも一方に基づいて前記アクチュエータを制御し、
前記アクチュエータの少なくとも1つの動作を可能にするために、受信される2つ以上の入力を必要とする、
ように構成され、前記2つ以上の入力のうちの少なくとも1つは前記非検出信号を含む、1つ以上のプロセッサと、
を備える、材料試験システム。
【請求項16】
材料試験システムであって、
該材料試験システムのオペレータアクセス可能構成要素を制御するように構成されるアクチュエータと、
複数の入力を備えるオペレータインターフェースと、
感圧面であって、
前記面に圧力の存在を検出し、
前記圧力の検出に応答して圧力信号を出力する、
ように構成される、感圧面と、
1つ以上のプロセッサであって、
材料試験プロセス又は前記オペレータインターフェースからの入力のうちの少なくとも一方に基づいて前記アクチュエータを制御し、
前記アクチュエータの少なくとも1つの動作を可能にするために、受信される2つ以上の入力を必要とする、
ように構成され、前記2つ以上の入力のうちの少なくとも1つは前記非検出信号を含む、1つ以上のプロセッサと、
を備える、材料試験システム。
【請求項17】
材料試験システムであって、
該材料試験システムのオペレータアクセス可能構成要素を制御するように構成されるアクチュエータと、
複数の入力を備えるオペレータインターフェースと、
オペレータ検出スイッチが作動されている間、スイッチ信号を出力するように構成される該オペレータ検出スイッチと、
1つ以上のプロセッサであって、
材料試験プロセス又は前記オペレータインターフェースからの入力のうちの少なくとも一方に基づいて前記アクチュエータを制御し、
前記アクチュエータの少なくとも1つの動作を可能にするために、受信される2つ以上の入力を必要とする、
ように構成され、前記2つ以上の入力のうちの少なくとも1つは前記スイッチ信号を含む、1つ以上のプロセッサと、
を備える、材料試験システム。
【請求項18】
材料試験システムであって、
該材料試験システムのオペレータアクセス可能構成要素を制御するように構成されるアクチュエータと、
複数の入力を備えるオペレータインターフェースと、
存在検出器であって、
既定の体積領域内でオペレータの存在を検出し、
オペレータが前記体積領域内で検出されると、存在信号を出力する、
ように構成される、存在検出器と、
1つ以上のプロセッサであって、
材料試験プロセス又は前記オペレータインターフェースからの入力のうちの少なくとも一方に基づいて前記アクチュエータを制御し、
前記アクチュエータの少なくとも1つの動作を可能にするために、受信される2つ以上の入力を必要とする、
ように構成され、前記2つ以上の入力のうちの少なくとも1つは前記存在信号を含む、1つ以上のプロセッサと、
を備える、材料試験システム。
【請求項19】
材料試験システムであって、
該材料試験システムのオペレータアクセス可能構成要素を制御するように構成されるアクチュエータと、
複数の入力を備えるオペレータインターフェースと、
近接センサであって、
オペレータが前記近接スイッチの所定の近接範囲内にいるか否かを監視し、
オペレータが前記所定の近接範囲内で検出されないときは非近接信号を出力する、
ように構成される、近接センサと、
1つ以上のプロセッサであって、
材料試験プロセス又は前記オペレータインターフェースからの入力のうちの少なくとも一方に基づいて前記アクチュエータを制御し、
前記アクチュエータの少なくとも1つの動作を可能にするために、受信される2つ以上の入力を必要とする、
ように構成され、前記2つ以上の入力のうちの少なくとも1つは前記非近接信号を含む、1つ以上のプロセッサと、
を備える、材料試験システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願]
本国際出願は、「SAFETY SYSTEMS REQUIRING INTENTIONAL FUNCTION ACTIVATION AND MATERIAL TESTING SYSTEMS INCLUDING SAFETY SYSTEMS REQUIRING INTENTIONAL FUNCTION ACTIVATION」と題する2018年11月30日に出願された米国仮特許出願第62/773,947号及び「SAFETY SYSTEMS REQUIRING INTENTIONAL FUNCTION ACTIVATION AND MATERIAL TESTING SYSTEMS INCLUDING SAFETY SYSTEMS REQUIRING INTENTIONAL FUNCTION ACTIVATION」と題する2019年11月27日に出願された米国特許出願第16/697,891号の優先権を主張する。米国仮特許出願第62/773,947号及び米国特許出願第16/697,891号の全体は、引用することにより本明細書の一部をなす。
【0002】
本開示は、包括的には、材料試験に関し、より詳細には、意図的な(intentional:計画的な)機能アクティブ化を必要とする安全システム、及び、意図的な機能アクティブ化を必要とする安全システムを備える材料試験システムに関する。
【背景技術】
【0003】
万能試験機械は、機械試験、例えば、材料又は構成要素上の圧縮強さ試験又は引張強さ試験を実行するのに用いられる。
【発明の概要】
【0004】
意図的な機能アクティブ化を必要とする安全システム、及び、意図的な機能アクティブ化を必要とする安全システムを備える材料試験システムが、実質的に図面のうちの少なくとも1つによって図示されるとともにその図に関して説明され、特許請求の範囲においてより完全に明記されるように開示される。
【0005】
本開示のこれらの特徴、態様、及び利点並びに他の特徴、態様、及び利点は、以下の詳細な説明が添付図面を参照して読まれるとより良好に理解され、図面を通して同様の参照符号は同様の部分を表す。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】本開示の態様による、機械特性試験を実行する一例示の試験デバイスの図である。
【
図2】
図1の試験デバイスの一例示の実施態様のブロック図である。
【
図3】
図2の安全システムの一例示の実施態様のブロック図である。
【
図4】
図1~
図3のオペレータインターフェースを実施するために使用することができる一例示のオペレータインターフェースを示す図である。
【
図5】
図1~
図3のオペレータインターフェースを実施するために使用することができる別の例示のオペレータインターフェースを示す図である。
【
図6】非制限モードにおける
図1~
図3の材料試験システムの作動を制御するために
図2及び
図3の安全システムによって実行することができる例示の機械可読命令を表すフローチャートである。
【
図7】材料試験システムを動作させる入力信号を安全システムに提供するように構成されるカメラ及びビデオプロセッサを備える一例示の材料試験システムを示す図である。
【
図8】材料試験システムを動作させる入力信号を安全システムに提供するように構成される感圧面を備える一例示の材料試験システムを示す図である。
【
図9】材料試験システムを動作させる入力信号を安全システムに提供するように構成されるオペレータ検出スイッチを備える一例示の材料試験システムを示す図である。
【
図10】材料試験システムを動作させる入力信号を安全システムに提供するように構成される存在検出器を備える一例示の材料試験システムを示す図である。
【
図11】材料試験システムを動作させる入力信号を安全システムに提供するように構成される近接センサを備える一例示の材料試験システムを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
図面は、必ずしも正確な縮尺ではない。適切な場合は、同様の又は同一の参照番号を使用して、同様の又は同一の構成要素を指す。
【0008】
従来の材料試験システムは、オペレータの安全性を改善するために、構成スイッチ、ガード(guarding:防御)、力制限制御、運動制限、及び/又は保護等の緩和技法を使用する。しかしながら、従来の材料試験システムは、国際規格に常に準拠するとは限らないことが頻繁にある。従来の緩和技法では、オペレータが、安全な相互作用又は試験等の適切な動作モードにシステムを置く必要がある。多くの従来の安全技法は、プログラマブルロジックコントローラ(PLC:programmable logic controller)及び/又はリレー等の既製の安全構成要素を使用して実施することができる。PLC及びリレーは、通常、かなりのコストを材料試験システムに付加する。
【0009】
開示される例示の材料試験システムは、国際規格に準拠する安全システムを材料試験システム内に内蔵又は統合する。安全システムは材料試験システム内に統合されるので、開示される例示の材料試験システムは、安全性の改善をもたらし、安全システムは材料試験システムの既存の電子機器、半導体、及び/又は回路基板内に統合されるので、既製の部品を使用して行われるよりもはるかに低いコストをもたらす。統合によって、信頼性は更に改善され、これによって、購入される安全構成要素間の外部配線が削減又は除去される。
【0010】
以下でより詳細に説明するように、材料試験システムの開示される例示の安全システムは、動作制限の観点から試験機械の状態を視覚的に示す機械状態インジケータを備える。材料試験システムの開示される例示の安全システムは、高い信頼性と、材料試験システム内の内部障害チェック及び/又は電源診断を含むことができる機械制御点において監視されるアクティブ化メカニズムとを提供する。いくつかの例では、空気圧グリップに、2段階グリップ圧力制御及び監視が設けられる。開示される例示の材料試験システムは、冗長性な又はそれぞれ異なる接点を有するインターロック式ガードシステムと互換性がある。そのようなガードシステムは、冗長な、それぞれ異なる、及び/又は動的なリアルタイムでの監視を使用することによってISO安全規格に準拠する。開示される例示の材料試験システムは、冗長なクロスヘッド移動量限界監視部を備える。開示される例の材料試験システムシャットダウン回路は、ISO13849-1を含む国際安全規格に準拠している。
【0011】
加えて、PLCとともに使用される従来の既製の安全リレー構成要素は、PLC内のファームウェアの余分なレイヤを使用して、緊急停止イベント中に可動構成要素の運動を停止する。材料試験システムの開示される例示の安全システムは、安全プロセッサ内の組み込みファームウェアが動作しているか否かを問わず、ハードウェア(例えば、緊急停止ボタン)がアクチュエータ(複数の場合もある)に対する電力増幅器の駆動を直接シャットダウンすることを可能にするように構成される。
【0012】
開示される例示の材料試験システムは、「制御システムの安全関連部品(Safety Related Parts of Control Systems)」に関するISO13849-1規格に規定されたルールに従った欧州機械指令(European Machinery Directive)に準拠している。システムリスク解析によって特定される以下の機能は、材料試験システム内に組み込まれる。安全システムは、駆動クロスヘッドからエネルギーを除去する無効駆動状態と、把持システムからエネルギーを除去する無効駆動状態と、オペレータセットアップ用の制限駆動状態とを提供する。制限駆動状態では、例示の安全システムは、クロスヘッド速度を上限速度未満に維持するためにクロスヘッド速度を監視し、クロスヘッドの意図的な手動による移動(ジョグ)を監視し、閉じるときの低減された把持圧力を監視し、及び/又は意図的なグリップ閉鎖を監視する。
【0013】
本明細書において使用される場合、「クロスヘッド」は、方向のある力(軸方向力)及び/又は回転力を試料に印加する材料試験システムの構成要素を指す。材料試験システムは、1つ以上のクロスヘッドを有することができ、クロスヘッド(複数の場合もある)は、材料試験システムにおいて任意の適切な位置及び/又は方位に配置することができる。
【0014】
回路、アクチュエータ、及び/又は他のハードウェアの無効化は、ハードウェア、ソフトウェア(ファームウェアを含む)、又はハードウェア及びソフトウェアの組み合わせを介して行うことができ、物理的な接続解除、通電遮断、及び/又はコマンドが回路、アクチュエータ、及び/又は他のハードウェアをアクティブ化するために実施されることを制限するソフトウェア制御を含むことができる。同様に、回路、アクチュエータ、及び/又は他のハードウェアの有効化は、無効化に使用されるメカニズムと同じメカニズムを使用して、ハードウェア、ソフトウェア(ファームウェアを含む)、又はハードウェア及びソフトウェアの組み合わせを介して行うことができる。ファームウェアは、安全適合組み込みソフトウェア(SRESW:Safety Rated Embedded Software)及び/又は安全適合アプリケーションソフトウェア(SRASW:Safety Rated Application Software)等の記憶された命令を含むことができる。
【0015】
開示される例示の材料試験システムは、制限駆動状態におけるチェックを取り除くことを可能にする非制限駆動状態を更に含む。いくつかの例では、非制限駆動状態には、デュアルアクティブ化メカニズムを介して入ることができ、この状態では、材料試験機能が実行され、オペレータはシステムとインタラクトしない。
【0016】
開示される例示の材料試験システムは、オペレータがインタラクトすることができるとき及び危険が存在するときを明確に示すために、あらゆる機械における無効状態表示、セットアップ状態(例えば、制限駆動モード)表示、注意状態(例えば、非制限駆動モード)表示、及び試験状態(例えば、非制限駆動モード)表示等の種々の状態のインジケータを備える。
【0017】
開示される例示の材料試験システムは、クロスヘッド又はグリップ等の構成要素の運動の開始及び/又は継続に優先するように構成される1つ以上の停止機能を備える。さらに、1つ以上の停止機能は、安全システムのソフトウェア部分が無効にされているときであっても、これらの停止機能が材料試験システムを無効にするのに有効であるようにハードウェアを介して冗長に構成することができる。開示されるシステムに含めることができるそのような停止機能の例は、インターロックされたガード及び/又は緊急停止スイッチを含む。
【0018】
いくつかの開示される例示の材料試験システムは、材料試験フレーム及び/又は把持システムを開始するための単一の制御点の選択及び実施を含む。いくつかの例示のシステムは、電力が復旧すると、システムが非制限動作を停止し、材料試験システムを無効駆動状態に置くことを確保するために、電力障害監視及び/又は保護を提供する。いくつかの例では、電力障害に応答して、任意の空気圧試料把持の通電が自動的に遮断される。
【0019】
開示される例示の安全システム及び材料試験システムは、増加された内部診断と、機器の機能不良又は冗長入力、冗長出力、及び/又は冗長プロセス間の不一致等のシステム内の重大のエラーのオペレータへの報告とを含む。開示される例示の材料試験システムは、材料試験システムを無効にすることもなく、ガードドアを必要とすることもなく、試験空間内でオペレータの動作を可能にする試験機械の安全なセットアップモードに起因して、従来の材料試験システムよりも高速な試料の除去及び/又は挿入を可能にする。開示される例示のシステムは、試験空間内部でシステムをセットアップ及び構成するときに、クロスヘッドの運動及び/又はグリップによって作用させることができる限定された運動及び/又は力を制限するセットアップ状態の使用に少なくとも部分的に起因して、オペレータの安全性を更に改善する。
【0020】
開示される材料試験システム及び安全システムは、開示される例示の構成において利用されて、特定されたリスク緩和を達成するように特別に構成することができる。開示される材料試験システムは、汎用的な既製の個別の安全構成要素を購入するよりも大幅に効率的であり、材料試験向けである。
【0021】
開示される例示の材料試験システムは、この材料試験システムのオペレータアクセス可能構成要素を制御するように構成されるアクチュエータと、複数の入力を備えるオペレータインターフェースと、材料試験プロセス又はオペレータインターフェースからの入力のうちの少なくとも一方に基づいてアクチュエータを制御し、アクチュエータの少なくとも1つの動作を可能にするために、所定の閾値時間内に受信される2つ以上の入力を必要とするように構成される1つ以上のプロセッサとを備える。
【0022】
いくつかの例では、1つ以上のプロセッサは、プロセッサによってアクチュエータの各動作を開始するために2つ以上の入力を必要とするように構成される。いくつかの例では、1つ以上のプロセッサは、アクチュエータの動作の一時停止又は中止に応答して、動作の再開又は異なる動作の開始のために2つ以上の入力を必要とするように構成される。いくつかの例では、オペレータインターフェースは、ボタンが押下されている間、ロック解除信号を出力するように構成されるボタンを備え、1つ以上のプロセッサは、ロック解除信号を2つ以上の入力のうちの1つとして使用するように構成される。
【0023】
いくつかの例では、オペレータアクセス可能構成要素は、試験対象材料を把持するように構成される自動グリップを備え、アクチュエータは、自動グリップを作動させるように構成され、少なくとも1つの動作は、自動グリップを介して閾値圧力よりも高い圧力を印加することを含む。いくつかの例では、2つ以上の入力よりも少ない入力が受信されている間、1つ以上のプロセッサは、アクチュエータの制御が自動グリップを介して閾値圧力よりも低い圧力を印加することを可能にするように構成される。いくつかの例では、オペレータアクセス可能構成要素は、移動して試験対象材料を位置決めすること又は試験対象材料に力を印加することを行うように構成されるクロスヘッドを含み、少なくとも1つの動作は、クロスヘッドの移動又は試験対象材料への力の印加のうちの少なくとも一方を含む。
【0024】
いくつかの例では、オペレータアクセス可能構成要素は、移動して試験対象材料を位置決めすること又は試験対象材料に力を印加することを行うように構成されるクロスヘッドを含み、少なくとも1つの動作は、クロスヘッドを少なくとも閾値速度で移動させることを含む。いくつかの例では、2つ以上の入力よりも少ない入力が受信されている間、1つ以上のプロセッサは、アクチュエータの制御がクロスヘッドを閾値速度未満で移動することを可能にするように構成される。いくつかの例では、1つ以上のプロセッサは、アクチュエータの動作中に、2つ以上の入力のうちの少なくとも1つがもはや受信されていないとの判断に応答して、アクチュエータの動作を中止するように構成される。
【0025】
いくつかの例では、1つ以上のプロセッサは、アクチュエータの動作中に、2つ以上の入力のいずれもが受信されていないとの判断に応答して、アクチュエータの動作を中止するように構成される。いくつかの例示の材料試験システムでは、1つ以上のプロセッサは、アクチュエータの動作中に、2つ以上の入力がもはや受信されなくなった後にアクチュエータの動作を継続するように構成される。いくつかのこのような例では、1つ以上のプロセッサは、材料試験プロセスの終結、材料試験プロセス内での一時停止、又はオペレータインターフェースからの入力のうちの少なくとも1つに基づいてアクチュエータの動作を中止するように構成される。
【0026】
いくつかの例示の材料試験システムでは、1つ以上のプロセッサは、アクチュエータの制御を実行するように構成される制御プロセッサと、2つ以上の入力を識別し、アクチュエータの少なくとも1つの動作を可能にするように構成される1つ以上の安全プロセッサとを含む。
【0027】
いくつかの開示される例示の材料試験システムは、この材料試験システムのオペレータアクセス可能構成要素を制御するように構成されるアクチュエータと、複数の入力を備えるオペレータインターフェースと、カメラ及びビデオプロセッサであって、カメラによって出力される画像を処理することによって侵入を検出し、侵入が検出されていないとの判断に応答して非検出信号を出力するように構成される、カメラ及びビデオプロセッサと、材料試験プロセス又はオペレータインターフェースからの入力のうちの少なくとも一方に基づいてアクチュエータを制御し、アクチュエータの少なくとも1つの動作を可能にするために、受信される2つ以上の入力を必要とするように構成される1つ以上のプロセッサとを備え、2つ以上の入力のうちの少なくとも1つは非検出信号を含む。
【0028】
いくつかの開示される材料試験システムは、この材料試験システムのオペレータアクセス可能構成要素を制御するように構成されるアクチュエータと、複数の入力を備えるオペレータインターフェースと、感圧面であって、この面に圧力の存在を検出し、圧力の検出に応答して圧力信号を出力するように構成される、感圧面と、材料試験プロセス又はオペレータインターフェースからの入力のうちの少なくとも一方に基づいてアクチュエータを制御し、アクチュエータの少なくとも1つの動作を可能にするために、受信される2つ以上の入力を必要とするように構成される1つ以上のプロセッサとを備え、2つ以上の入力のうちの少なくとも1つは非検出信号を含む。
【0029】
いくつかの開示される材料試験システムは、この材料試験システムのオペレータアクセス可能構成要素を制御するように構成されるアクチュエータと、複数の入力を備えるオペレータインターフェースと、オペレータ検出スイッチが作動されている間、スイッチ信号を出力するように構成される当該オペレータ検出スイッチと、材料試験プロセス又はオペレータインターフェースからの入力のうちの少なくとも一方に基づいてアクチュエータを制御し、アクチュエータの少なくとも1つの動作を可能にするために、受信される2つ以上の入力を必要とするように構成される1つ以上のプロセッサとを備え、2つ以上の入力のうちの少なくとも1つはスイッチ信号を含む。
【0030】
いくつかの開示される材料試験システムは、この材料試験システムのオペレータアクセス可能構成要素を制御するように構成されるアクチュエータと、複数の入力を備えるオペレータインターフェースと、存在検出器であって、既定の体積領域内でオペレータの存在を検出し、オペレータが体積領域内で検出されると、存在信号を出力するように構成される、存在検出器と、材料試験プロセス又はオペレータインターフェースからの入力のうちの少なくとも一方に基づいてアクチュエータを制御し、アクチュエータの少なくとも1つの動作を可能にするために、受信される2つ以上の入力を必要とするように構成される1つ以上のプロセッサとを備え、2つ以上の入力のうちの少なくとも1つは存在信号を含む、1つ以上のプロセッサとを備える。
【0031】
いくつかの開示される材料試験システムは、この材料試験システムのオペレータアクセス可能構成要素を制御するように構成されるアクチュエータと、複数の入力を備えるオペレータインターフェースと、近接センサであって、オペレータが近接スイッチの所定の近接範囲内にいるか否かを監視し、オペレータが所定の近接範囲内で検出されないときは非近接信号を出力するように構成される、近接センサと、材料試験プロセス又はオペレータインターフェースからの入力のうちの少なくとも一方に基づいてアクチュエータを制御し、アクチュエータの少なくとも1つの動作を可能にするために、受信される2つ以上の入力を必要とするように構成される1つ以上のプロセッサとを備え、2つ以上の入力のうちの少なくとも1つは非近接信号を含む。
【0032】
図1は、機械特性試験を実行する一例示の材料試験システム100を示している。例示の材料試験システム100は、例えば、静止機械試験が可能である万能試験システムとすることができる。材料試験システム100は、例えば、圧縮強さ試験、引張強さ試験、せん断強さ試験、曲げ強さ試験、撓み強さ試験、引裂強さ試験、剥離強さ試験(例えば、接着剤結合の強さ)、ねじり強さ試験、及び/又は他の任意の圧縮及び/又は引張試験を実行することができる。加えて又は代替的に、材料試験システム100は、動的試験を実行することができる。
【0033】
例示の材料試験システム100は、試験装置102と、試験装置102に通信可能に結合されたコンピューティングデバイス104とを備える。試験装置102は、試験対象材料106に負荷を印加し、試験対象材料106の変位及び/又は試験対象材料106に印加された力等の試験の機械特性を測定する。例示の試験装置102は、デュアルカラム装置として示されているが、シングルカラム試験装置等の他の装置も使用することができる。
【0034】
例示のコンピューティングデバイス104は、試験装置102を構成し、試験装置102を制御し、及び/又は、処理、表示、報告、及び/又は他の任意の所望の目的で、試験装置102から測定データ(例えば、力及び変位等のトランスデューサ測定値)及び/又は試験結果(例えば、ピーク力、破断変位(break displacement)等)を受信するのに用いることができる。
【0035】
図2は、
図1の材料試験システム100の一例示の実施態様のブロック図である。
図2の例示の材料試験システム100は、試験装置102と、コンピューティングデバイス104とを備える。例示のコンピューティングデバイス104は、汎用コンピュータ、ラップトップコンピュータ、タブレットコンピュータ、モバイルデバイス、サーバ、オールインワンコンピュータ、及び/又は他の任意のタイプのコンピューティングデバイスとすることができる。
【0036】
図2の例示のコンピューティングデバイス104は、プロセッサ202を備える。例示のプロセッサ202は、任意の製造者からの任意の汎用中央処理装置(CPU:central processing unit)とすることができる。他のいくつかの例では、プロセッサ202は、ARMコアを有するRISCプロセッサ、画像処理装置、デジタル信号プロセッサ、及び/又はシステムオンチップ(SoC)等の1つ以上の専用処理装置を含むことができる。プロセッサ202は、プロセッサにおいて(例えば、内蔵キャッシュ又はSoCに)、ランダムアクセスメモリ206(又は他の揮発性メモリ)に、リードオンリーメモリ208(又はフラッシュメモリ等の他の不揮発性メモリ)に、及び/又はマスストレージデバイス210にローカルに記憶することができる機械可読命令204を実行する。例示のマスストレージデバイス210は、ハードドライブ、ソリッドステートストレージドライブ、ハイブリッドドライブ、RAIDアレイ、及び/又は他の任意のマスデータストレージデバイスとすることができる。
【0037】
バス212は、プロセッサ202、RAM206、ROM208、マスストレージデバイス210、ネットワークインターフェース214、及び/又は入力/出力インターフェース216間の通信を可能にする。
【0038】
例示のネットワークインターフェース214は、コンピューティングデバイス104を、インターネット等の通信ネットワーク218に接続するハードウェア、ファームウェア、及び/又はソフトウェアを含む。例えば、ネットワークインターフェース214は、通信を送信及び/又は受信するために、IEEE 202.X準拠無線及び/又は有線通信ハードウェアを含むことができる。
【0039】
図2の例示のI/Oインターフェース216は、プロセッサ202に入力を提供する及び/又はプロセッサ202から出力を提供するために、1つ以上の入力/出力デバイス220をプロセッサ202に接続するハードウェア、ファームウェア、及び/又はソフトウェアを含む。例えば、I/Oインターフェース216は、ディスプレイデバイスとインターフェース接続する画像処理装置、1つ以上のUSB準拠デバイスとインターフェース接続するユニバーサルシリアルバスポート、FireWire(登録商標)、フィールドバス、及び/又は他の任意のタイプのインターフェースを含むことができる。例示の材料試験システム100は、I/Oインターフェース216に結合されたディスプレイデバイス224(例えば、LCDスクリーン)を備える。他の例示のI/Oデバイス(複数の場合もある)220は、キーボード、キーパッド、マウス、トラックボール、ポインティングデバイス、マイクロフォン、オーディオスピーカー、ディスプレイデバイス、光メディアドライブ、マルチタッチタッチスクリーン、ジェスチャー認識インターフェース、磁気メディアドライブ、及び/又は他の任意のタイプの入力及び/又は出力デバイスを含むことができる。
【0040】
例示のコンピューティングデバイス104は、I/Oインターフェース216及び/又はI/Oデバイス(複数の場合もある)220を介して非一時的機械可読媒体222にアクセスすることができる。
図2の機械可読媒体222の例は、光ディスク(例えば、コンパクトディスク(CD)、デジタルバーサタイル/ビデオディスク(DVD)、Blu-ray(登録商標)ディスク等)、磁気メディア(例えば、フロッピー(登録商標)ディスク)、ポータブル記憶媒体(例えば、ポータブルフラッシュドライブ、セキュアデジタル(SD)カード等)、及び/又は他の任意のタイプの取り外し可能及び/又はインストール済み機械可読媒体を含む。
【0041】
図1の例示の材料試験システム100は、コンピューティングデバイス104に結合された試験装置102を更に含む。
図2の例では、試験装置102は、USBポート、Thunderboltポート、FireWire(登録商標)(IEEE 1394)ポート、及び/又は他の任意のタイプのシリアル又はパラレルデータポート等のI/Oインターフェース216を介して、コンピューティングデバイスに結合される。他のいくつかの例では、試験装置102は、直接又はネットワーク218を介して、有線又は無線接続(例えば、Ethernet(登録商標)、Wi-Fi等)を介してネットワークインターフェース214及び/又はI/Oインターフェース216に結合される。
【0042】
図2の試験装置102は、フレーム228と、ロードセル230と、変位トランスデューサ232と、クロスメンバーローダ234と、材料固定具236と、制御プロセッサ238と、安全システム240とを備える。フレーム228は、試験を実行する試験装置102の他の構成要素の剛性構造支持を提供する。ロードセル230は、グリップ236を介して、クロスメンバーローダ234によって試験対象材料に印加された力を測定する。クロスメンバーローダ234は、試験対象材料に力を印加し、一方、材料固定具236(グリップとも称される)は、試験対象材料を把持するか、又は別の方法で試験対象材料をクロスメンバーローダ234に結合する。例示のクロスメンバーローダ234は、モータ242(又は他のアクチュエータ)及びクロスヘッド244を備える。クロスヘッド244は、材料固定具236をフレーム228に結合し、モータ242は、クロスヘッドをフレームに対して移動させて材料固定具236を位置決めし、及び/又は、試験対象材料に力を印加する。材料試験システム100の構成要素の力及び/又は運動を与えるのに使用することができる例示のアクチュエータは、電気モータ、空気圧アクチュエータ、油圧アクチュエータ、圧電アクチュエータ、リレー、及び/又はスイッチを含む。
【0043】
例示のグリップ236は、試験されている機械特性及び/又は試験対象材料に応じて、圧縮プラテン、顎部又は他のタイプの固定具を含む。グリップ236は、手動で構成することもできるし、手動入力を介して制御することもできるし、及び/又は制御プロセッサ238によって自動的に制御することもできる。クロスヘッド244及びグリップ236は、オペレータアクセス可能構成要素である。
【0044】
例示の制御プロセッサ238は、コンピューティングデバイス104と通信して、例えば、コンピューティングデバイス104から試験パラメーターを受信し、及び/又は測定値及び/又は他の結果をコンピューティングデバイス104に報告する。例えば、制御プロセッサ238は、コンピューティングデバイス104との通信を可能にする1つ以上の通信又はI/Oインターフェースを含むことができる。制御プロセッサ238は、印加される力を増減させるようにクロスメンバーローダ234を制御し、試験対象材料を把持又は解放するように固定具(複数の場合もある)236を制御し、及び/又は変位トランスデューサ232、ロードセル230及び/又は他のトランスデューサから測定値を受信することができる。
【0045】
例示の安全システム240は、監視及び制御の追加のレイヤを試験装置102に提供する。安全システム240は、オペレータ入力及び試験装置102の状態を監視する。
図2の例では、安全システム240は、機械が適切な状態にあるときにのみ試験装置102がユーザーによって制御可能であるように、ユーザーによる試験装置102の操作を制限する。1つ以上の状態を検出したことに応答して、安全システム240は、試験装置102に制限状態(例えば、危険な状態を提示することができる全ての電力及び運動を無効にする制限されたセットアップ状態等)に自動的に進ませる。
【0046】
以下でより詳細に論述するように、安全システム240は、材料試験システム100からの入力信号、安全システム240からの入力信号、及び/又は制御プロセッサ238からの制御信号を監視することに基づいて材料試験システムの動作に対する制限を選択的に追加し、除去し、増加し、及び/又は減少させる。安全システム240は、材料試験システム100が任意の所与の時点において動作される状態を複数の所定の状態から決定することによって、材料試験システム100の動作を制御する。例示の所定の状態は、材料試験システム100の1つ以上の動作が制限される(例えば、無効にされる、限定される等)1つ以上の制限状態と、制限状態の制限が削減及び/又は除去される1つ以上の非制限状態とを含む。
図2の例では、安全プロセッサ240は、制御プロセッサ238によるクロスメンバーローダ234及び/又は固定具(複数の場合もある)236の制御に付随し及び/又はこの制御に割り込みをかける。いくつかの他の例では、安全システム240は、アクチュエータに対して任意の適用可能な制限を実施しながらクロスメンバーローダ234及び/又は固定具(複数の場合もある)236を直接制御することができる。
【0047】
例示の制限状態は、セットアップ状態及び無効状態を含む。セットアップ状態では、安全システム240は、1つ以上のアクチュエータ(例えば、モータ242及び/又はグリップアクチュエータ(複数の場合もある)246)を制限し、オペレータ入力に応答してこれらのアクチュエータを制御する(又はこれらのアクチュエータの制御を可能にする)。モータ242及び/又はクロスヘッド244に対する例示の制限は、試験装置102に対するクロスヘッド244の上限速度、及び/又は上限位置若しくは下限位置を含むことができる。グリップアクチュエータ(複数の場合もある)246に対する例示の制限は、上限圧力及び/又は上限グリップ力を含むことができる。無効状態では、安全システム240はアクチュエータを制限し、制御プロセッサ238は、オペレータ入力に応答してアクチュエータを制御しない(例えば、モータ242及び/又はグリップアクチュエータ(複数の場合もある)246の制御を試みないか、又は通電遮断を介してモータ242及び/又はグリップアクチュエータ(複数の場合もある)246の制御を妨げられる)。
【0048】
例示の非制限状態は、注意状態及び試験状態を含む。例示の注意状態では、安全システム240は、アクチュエータ(例えば、モータ242及び/又はグリップアクチュエータ(複数の場合もある)246)に対する制限を削減し、アクチュエータ(複数の場合もある)モータ242及び/又はグリップアクチュエータ(複数の場合もある)246を制御しない。注意状態では、制御プロセッサ238は、クロスヘッド244の高速ジョグ及び/又は空気圧グリップ248によるグリップ力の増加等の動作を実行するようにアクチュエータ(複数の場合もある)を制御することができ、そのため、オペレータは、クロスヘッド244及び/又は空気圧グリップ248に物理的に近接するべきでない。例示の試験状態では、安全システム240は、アクチュエータに対する制限を削減するとともに、制御プロセッサ238は、(例えば、制御プロセッサ238によって実行される材料試験手順又はプログラムに従って)試験を行うようにアクチュエータ(複数の場合もある)を制御する。
【0049】
図2の例示の材料試験システム100は、複数の状態インジケータ252と1つ以上のモードスイッチ254とを備える1つ以上の制御パネル250を更に備えることができる。モードスイッチ254は、ボタン、スイッチ、及び/又はオペレータ制御パネル上に配置される他の入力デバイスを含むことができる。例えば、モードスイッチ254は、クロスヘッド244をフレーム228上の特定の位置にジョグさせる(例えば、位置決めする)ようにモータ242を制御するボタン、空気圧グリップ248を開閉するようにグリップアクチュエータ246を制御するスイッチ(例えば、フットスイッチ)、安全システム240が非制限状態において動作を許可することを可能にする別のボタンとともに押下されるモード制御ボタン、及び/又は非制限状態において動作をもたらすことができる他の任意の入力デバイスを含むことができる。
【0050】
状態インジケータ252は、安全システム240が材料試験システム100に対して設定することができる一組の所定の状態(例えば、上述した無効状態、セットアップ状態、注意状態、及び試験状態)に対応する。以下でより詳細に説明するように、安全システム240は、安全システム240によって判断される材料試験システム100の現在の状態に関する表示を提供するように状態インジケータ252を制御する。状態インジケータ252は、ライト、ディスプレイ、オーディオ、機械システム、及び/又はオペレータが識別することができる他の任意の表示を含むことができる。
【0051】
図3は、
図2の安全システム240の一例示の実施態様のブロック図である。
図3に示すように、安全システム240は安全プロセッサ302を備える。
【0052】
例示の安全プロセッサ302は、複数の冗長処理コア304a、304bを備える。処理コア304a、304bは、試験装置102の通常動作中は、実質的に同一の出力を生成するように、冗長命令306a、306bを実行し、冗長入力を受信する。安全プロセッサ302は、(例えば、冗長コア304a、304bを介して)複数の入力を監視し、これらの入力に基づいて材料試験システム100の状態を判断する。安全プロセッサ302は、冗長命令306a、306bの出力を比較し、この出力の比較に基づいて材料試験システム100の状態を制御することができる。
【0053】
例示の安全プロセッサ302及び/又は冗長処理コア304a、304bは、任意の製造業者が提供している汎用中央処理装置(CPU)を含むことができる。いくつかの他の例では、安全プロセッサ302及び/又は冗長処理コア304a、304bは、ARMコアを有するRISCプロセッサ、画像処理装置、デジタル信号プロセッサ及び、/又はシステムオンチップ(SoC)等の1つ以上の専用処理装置を含むことができる。安全プロセッサ302及び/又は冗長処理コア304a、304bは、プロセッサにおいて(例えば、内蔵キャッシュ又はSoCに)、ランダムアクセスメモリ、リードオンリーメモリ、及び/又はマスストレージデバイス等の記憶デバイスにローカルに記憶することができる、冗長命令306a、306b等の機械可読命令を実行する。
【0054】
冗長処理コア304a、304b及び冗長命令306a、306bは、冗長な及び/又はそれぞれ異なる入力及び出力を安全システム240によって処理することを可能にし、これによって、高い信頼性を有する予測可能なシステムが提供される。したがって、
図3には代表的な入力及び出力が示されているが、これらの入力及び/又は出力は、冗長処理コア304a、304b及び冗長命令306a、306bをサポートするために複製することができる。安全プロセッサ302によって実行される冗長命令306a、306b(例えば、組み込みソフトウェア、オペレーティングシステム、及び生成されたコード)は、国際規格に概説されたプロセスに準拠している。これらの国際規格には、「制御システムの安全関連部品」に関するISO13849-1が含まれるが、これに限定されるものではない。例示の安全プロセッサ302は、複数の冗長処理コアを備えるが、他の例では、安全プロセッサ302は、単一の処理コア、又は複数の非冗長処理コアを備えることができる。
【0055】
図3の安全システム240は、電力増幅器310がクロスヘッド244のモータ242にエネルギーを提供することを選択的に無効にするアクチュエータ無効回路308を更に備える。加えて又は代替的に、アクチュエータ無効回路308(又は別のアクチュエータ無効回路)は、グリップアクチュエータ(複数の場合もある)246がエネルギーを空気圧グリップ(複数の場合もある)248に提供することを無効にすることができる。電力増幅器310は、モータ242に対する入力電力及び出力電力を受信し、クロスヘッド244の移動を制御する。例示のアクチュエータ無効回路308及び電力増幅器310は、安全適合安全トルクオフ(STO:Safe Torque Off)高信頼性サーボ電力増幅器を使用して実施することができる。制御プロセッサ238は、電力増幅器310へのモータ制御信号312を介してモータ242及びクロスヘッド244の移動を制御することができる。
【0056】
安全プロセッサ302からのSTO信号314に応答して、アクチュエータ無効回路308は、接続されたアクチュエータ(例えば、モータ242)を無効にする。例えば、アクチュエータ無効回路308は、或る特定の定められた期間よりも短い期間において、モータ242(及び/又は材料試験システム100内の他の可動部分)への全てのエネルギーを接続解除することができる。例示のアクチュエータ無効回路308は、このアクチュエータ無効回路308が現在アクチュエータを無効にしているか否かを示すSTOフィードバック信号315を安全プロセッサ302に提供することができる。安全プロセッサ302は、STO信号314をSTOフィードバック信号315と比較して、障害を検出することができる。
【0057】
例示の材料試験システム100では、可動クロスヘッド244及び任意の内部構成要素の移動は、国際規格によって指定されるように、STO信号314のアクティブ化後に停止される。本明細書に開示される安全システム240のサブシステムのほとんどは、機械を安全に停止させるためにアクチュエータ無効回路308をアクティブ化する。加えて、電力増幅器310は、STO信号314を印加する前にモータ242を減速するモータ制動回路316を備えることができる。モータ制動回路316は、駆動電力の遮断後の機械的慣性による継続した移動を除去することによって、モータ242がより制御された方法で停止することを可能にする。制動の事前無効化を使用することによって、モータ242への通電遮断後のクロスヘッド244の運動が低減又は最小化される。したがって、例示のアクチュエータ無効回路308及びモータ制動回路316は、「機械類の電気安全規格(Electrical Safety Standard for Machinery)」であるIEC60204-1規格に定義されているカテゴリー1の停止を提供する。
【0058】
例示の安全プロセッサ302は、制動の事前無効化が行われている間、モータ242及び/又はモータ制動回路316を監視して、モータ242が制動していることを確認する。安全プロセッサ302が、モータ242が制動中に減速していないと判断した場合には、安全プロセッサ302は、制動を中止してモータ242への通電を直ちに遮断する制動故障軽減を実行する。2段階無効シーケンスに対して制動故障軽減を実施することによって、安全プロセッサ302は、制動の効果がない状況において停止距離を短くすることができる。制動の事前無効化が作用しているときに停止距離が最短となるが、制動の事前無効化が完全に作用しているわけではないとき、作用していない制動の事前無効化を伴う2段階シーケンスは、単一段階シーケンス(例えば、接続解除のみ)よりも長い停止距離を有する可能性がある。制動故障軽減の副次的な利点は、この軽減によって、より広範囲の構成要素及びシステムを、制動システムの故障を捕らえることができる制動故障軽減プロセスとともに、高性能の制動に使用することができるという点で、2段階無効シーケンスを実施する際の柔軟性をより高くすることができるということである。
【0059】
例示の安全システム240は、緊急停止入力信号320を安全プロセッサ302に提供する緊急停止部318(例えば、ボタン、スイッチ等)を更に備える。緊急停止部318は、相補型安全機能である、手動操作される緊急停止ボタンとすることができる。緊急停止部318は、シグナリング用の2チャネル冗長性を有する。緊急停止部318は、緊急停止スイッチ322と、緊急停止検出回路324と、アクチュエータ無効回路326とを備えることができる。緊急停止部318は、安全プロセッサ302のハードウェア及び組み込みソフトウェアを使用して独立して制御可能である。例えば、緊急停止検出器324からの緊急停止入力信号320の検出に応答して、安全プロセッサ302は、材料試験システム100の状態を無効状態に設定し、緊急停止出力信号321を緊急停止部318(例えば、緊急停止スイッチ322)に与える。
【0060】
緊急停止スイッチ322は、緊急停止出力信号321に応答して、モータ242を停止させるようにアクチュエータ無効回路326及び/又はモータ制動回路314を制御する。例示のアクチュエータ無効回路326は、モータ制動回路314への第1の接続と、アクチュエータ無効回路308への第2の冗長接続とを有することができる。アクチュエータ無効回路326がトリガーされると、アクチュエータ無効回路326は、モータ制動回路314をアクティブ化し、制動が行われることを可能にする時間の間、遅延を実施し、その後、アクチュエータ無効回路308をアクティブ化し、適用可能なアクチュエータの通電を遮断する。
【0061】
安全プロセッサ302を介した制御に加えて又はその代わりに、緊急停止スイッチ322は、安全プロセッサ302とアクチュエータ無効回路308との間のSTO信号314の物理的な割り込み等によって電力増幅器310内のアクチュエータ無効回路308を直接作動させることができる。安全プロセッサ302は、緊急停止検出回路324を監視し、ハードウェアの冗長モニタとしての役割を果たす。緊急停止スイッチ322が解除されても、材料試験システム100が無効状態(例えば制限状態)に留まり、モータ242の動作を再度有効にするにはユーザー相互作用を必要とするように、安全プロセッサ302は、STO信号314を出力し、モータ242を無効にし続けるようにアクチュエータ無効回路308を制御する。
【0062】
例示の材料試験システム100(例えば、試験装置102)は、冗長な又はそれぞれ異なる接点を有するインターロック式ガードシステムと互換性がある。例示の安全システム240は、非制限状態において動作している間に材料試験システム100へのオペレータアクセスに対する物理的バリア及び/又は仮想的バリアを提供するように構成される1つ以上のガード328及びガードインターロック330を備えることができる。例えば、ガード328は、空気圧グリップ248及び/又はクロスヘッド244(及び/又は他の可動構成要素)の周囲の体積領域(volume)へのアクセスを制御するために開閉される物理的バリアを含むことができる。例示の物理的バリアは、冗長安全スイッチを使用して、保護体積領域をガードするドアが開放されているのか又は閉鎖されているのかを監視することができるガードドアを含む。各ドアスイッチは、(例えば、ガードインターロック330によって)動的にパルス化することができ、及び/又は、それ以外に入力装置として収容することができる機械的にリンクされた通常時開放型接点及び通常時閉鎖型接点を有する。パルス化によって、リアルタイムでのガードドアスイッチの妥当性(plausibility)診断チェックが可能になる。
【0063】
加えて又は代替的に、ガード328は、体積領域内への侵入の有無について、空気圧グリップ248及び/又はクロスヘッド244の周囲の体積領域を監視する仮想的ガードを含むことができる。例示の仮想的ガードは、ライトカーテン、近接センサ、及び/又は圧力パッドを含むことができる。仮想的ガードは、アクセスを物理的に妨げるものではないが、仮想的ガードは、ガード信号をガードインターロック330に出力し、ガードインターロック330は、インターロック信号332を安全プロセッサ302及び/又はアクチュエータ無効回路308に出力する(例えば、上述した緊急停止スイッチ322と同様)。
【0064】
インターロック330は、アクチュエータ無効回路308をトリガーして、モータ242の通電を遮断することができる。いくつかの例では、ガードインターロック330がもはやトリガーされていないとき、上述した緊急停止スイッチ322と同様の方法で、安全プロセッサ302は電力増幅器310の再有効化を制御する。
【0065】
加えて又は代替的に、例示の安全システム240は、オペレータが材料試験システム100の保護体積領域に入ると、デフォルトで、制限された「セットアップ」状態になることができる。システム100のアクチュエータを無効にするか又はこのアクチュエータの通電を遮断する代わりに、このセットアップ状態は、速度、圧力、又は他の活動に対して制限を実施する。
【0066】
例示の安全システム240は、複数の状態インジケータ252及びモードスイッチ254を備える。例示の安全プロセッサ302は、例えば、モードスイッチ254を動的にパルス化してモードスイッチ入力信号338(例えば、モードスイッチ254のそれぞれについて1つ以上のモードスイッチ入力)を生成又は取得することによってモードスイッチ254を監視する。いくつかの例では、モードスイッチ254は高信頼性スイッチである。安全プロセッサ302は、周期的に、非周期的に、イベント(例えば、材料試験機械の始動時)に応答して、所定のスケジュールに基づいて、及び/又は他の任意の時点に、短絡又は他の障害状態の有無についてモードスイッチ254を試験することができる。
【0067】
例示の安全プロセッサ302は、材料試験システム100の状態をオペレータに示すように状態インジケータ252を制御する。例えば、安全プロセッサ302は、インジケータ信号342を状態インジケータ252に出力することができる。状態インジケータ252がライトである場合には、出力インジケータ信号342は、例えば、オン状態、オフ状態、点滅状態、及び/又はライトの他の任意の出力状態になるようにライトのそれぞれを制御することができる。いくつかの例では、安全プロセッサ302は、インジケータフィードバック信号340を介してインジケータの状態を判断する。例示のインジケータフィードバック信号340は、状態インジケータ252のそれぞれがオンであるのか、オフであるのか、短絡しているのか、開回路であるのか、及び/又はインジケータ252の他の任意のステータス若しくは状態であるのかを安全プロセッサ302に示すことができる。状態インジケータ252のうちの1つ以上が命令された適切な状態にないとプロセッサが判断した場合には、安全プロセッサ302は、制限状態になるように材料試験システムを制御し、通知を(例えば、制御パネル250又は他の通知を介して)オペレータに提供する。
【0068】
安全システム240は、材料試験システム100の構成要素に電力を提供する電源(例えば、DC電源及びAC電源)を監視する電源モニタ344を備える。電源モニタ344は、監視される電源がそれぞれの電圧範囲内及び/又は電流範囲内にあるか否かを示す1つ以上の電源ステータス信号346を安全プロセッサ302及び/又はウォッチドッグ回路362(以下で説明される)に提供する。電源のうちの1つ以上が許容範囲外にあると電源モニタ344が判断した場合には、安全プロセッサ302及び/又はウォッチドッグ回路362は、材料試験システム100を無効にし、オペレータにアラートすることができる。
【0069】
例示の安全システム240は、1つ以上の速度センサ348を更に備える。例示の速度センサ(複数の場合もある)348は、一体化された速度監視センサ、冗長の速度監視センサ、及び/又はそれぞれ異なる速度監視センサとすることができる。速度センサ(複数の場合もある)348は、クロスヘッド速度を表す速度信号(複数の場合もある)350を安全プロセッサ302に提供する。安全プロセッサ302は、クロスヘッド244が、機械の現在の動作モードによって決まる上限速度(例えば、クロスヘッド移動量限界(複数の場合もある)352)を越えないことを確保するために、速度信号(複数の場合もある)350を監視する。例えば、上限速度の値は、材料試験システム100が制限状態にあるのか又は非制限状態にあるのかに依存することができる。いくつかの例では、異なる原理で動作する2つの速度センサを材料試験システム100において使用して、センサ348が共通の原因故障を被ることを防止することができる。各速度センサ348の速度信号350は、安全プロセッサ302によって読み取られて比較され、速度信号350が一致していることが検証される。1つの速度センサ348が、別の速度センサ348と異なる速度を示している場合には、安全プロセッサ302は、(例えば、アクチュエータ無効回路308を介して)材料試験システム100を無効にする。
【0070】
例示のクロスヘッド移動量限界(複数の場合もある)352は、クロスヘッド244の位置に関する限界を指定する移動量限界を含むことができる。クロスヘッド移動量限界(複数の場合もある)352に達すると、安全プロセッサ302は、クロスヘッド244の運動を停止する。いくつかの例では、クロスヘッド移動量限界(複数の場合もある)352は、トリガーされる限界の数が、クロスヘッド移動量限界(複数の場合もある)352をどの程度越えているかを示すマルチレベル限界である。いくつかの例では、第1レベル限界は、モータ242等の適用可能なアクチュエータ(又は全てのアクチュエータ)の動作を停止させるように安全プロセッサ302によってハンドリングされる。クロスヘッド244が、第1レベル限界を越えて移動し続け、第2レベル限界(例えば、許容可能範囲の外側の第1レベル限界よりも遠くにある)に達すると、クロスヘッド移動量限界352は、アクチュエータ無効回路308及び/又はモータ制動回路316、及び/又はアクチュエータ無効回路326への直接接続(例えば、ハードウェア接続)をトリガーして、モータ242の2相無効化をトリガーすることができる。
【0071】
材料試験システム100が自動把持(例えば、空気圧動力供給型グリップ、油圧動力供給型グリップ、電気動力供給型グリップ、電気機械動力供給型グリップ、電磁動力供給型グリップ等)を備えるいくつかの例では、安全システム240は、マルチ圧力把持方式に従ってグリップアクチュエータを制御するグリップコントローラ354を備える。マルチ圧力把持方式は、材料試験試料を材料試験システム100の空気圧グリップ248に設置するときにオペレータへの傷害のリスクを低減(例えば、最小化、除去)する。
【0072】
安全プロセッサ302が、セットアップ状態において材料試験システム100を制御しているとき、安全プロセッサ302は、圧力信号356をグリップコントローラ354に提供する。グリップコントローラ354は、グリップアクチュエータ(複数の場合もある)246を制御することによって、グリップ248を介して印加することができる圧力に関する上限を制御する。圧力信号356(試料把持力に正比例することができる)は、グリップ248を介して試料を把持するには十分な圧力であるが、オペレータに重傷をもたらすには十分でない圧力を可能にするように制限される。逆に、安全プロセッサ302が、注意状態又は試験状態において材料試験システム100を制御しているとき、安全プロセッサ302は、試験中に試験試料を把持するのに使用されるより高い圧力をグリップコントローラ354に可能にさせる圧力信号356を提供する。例示のグリップコントローラ354は、メインシステム圧力を(例えば、圧力センサ(複数の場合もある)358を介して)監視することができ、及び/又は、空気圧グリップ(複数の場合もある)248(例えば、上側グリップ及び下側グリップ)における圧力(複数の場合もある)を監視することができる。グリップコントローラ354は、命令された圧力が実施されていることを検証するために、圧力信号360を安全プロセッサ302に供給する。
【0073】
いくつかの例では、グリップコントローラ354は、フットペダルスイッチを使用したオペレータ入力を介して制御される。例えば、フットペダルスイッチは、空気圧グリップ(複数の場合もある)248を介した圧力印加及び圧力解除を行う個別のスイッチを備えることができる。これらのスイッチは、スイッチ間の妥当性のチェック及び/又はスイッチ内の潜在的な障害(例えば、電気的障害)の監視を行うために動的にパルス化することができる機械的にリンクされたスイッチとすることができる。
【0074】
安全プロセッサ302は、材料試験システム100への電力が無効にされると、グリップアクチュエータ(複数の場合もある)246の通電を遮断するようにグリップコントローラ354を更に制御する。例えば、安全プロセッサ302は、電力供給を受けているときに加圧を可能にするが、空気圧アクチュエータの場合に、材料試験システム100が電力供給を受けていないときは空気圧グリップ(複数の場合もある)248が把持力を印加することが妨げられるように通常時は減圧されるように、(例えば、1つ以上の弁、リレー等を介して)グリップアクチュエータ(複数の場合もある)246を制御することができる。
【0075】
例示の安全システム240は、ウォッチドッグ回路362を更に備える。ウォッチドッグ回路362は、周期的に、非周期的に、1つ以上のイベント若しくはトリガーに応答して、及び/又は他の任意の時点に安全プロセッサ302と通信して、安全プロセッサ302の動作を検証する。例えば、安全プロセッサ302は、ハートビート信号、又はウォッチドッグ回路362からの問いかけに対する応答を通信し、安全システム240が適切に動作していることをウォッチドッグ回路362に示すことができる。ウォッチドッグ回路362が、予想された信号を安全プロセッサ302から受信しない場合には、ウォッチドッグ回路362は、材料試験システム100を無効にし、オペレータに通知する。
【0076】
例示の安全プロセッサ302、例示の緊急停止部322、例示のガードインターロック330、例示のクロスヘッド移動量限界(複数の場合もある)352、及び/又は例示のウォッチドッグ回路362は、アクチュエータ無効回路326に結合される(例えば、ハードウェアを介して接続される)。安全プロセッサ302、緊急停止部322、ガードインターロック330、クロスヘッド移動量限界(複数の場合もある)352、及び/又はウォッチドッグ回路362のうちのいずれかが、それぞれの条件が、材料試験システム100を無効にするために(例えば、緊急停止スイッチ322のアクティブ化、ガード328のトリッピング、クロスヘッド移動量限界352の超過、及び/又はウォッチドッグ回路362のトリガー)満たされていると判断すると、アクチュエータ無効回路326が使用されて、モータ制動回路316及びアクチュエータ無効回路308がアクティブ化される。安全プロセッサ302は、材料試験システム100の状態が無効状態であると判断することができる。
【0077】
例示の制御プロセッサ238及び安全プロセッサ302は、別々のプロセッサとして示されているが、他の例では、制御プロセッサ238及び安全プロセッサ302は、単一のプロセッサ、又は、制御機能及び安全機能に分割されない一組のプロセッサに組み合わせることができる。さらに、制御プロセッサ238、安全プロセッサ302、及び/又は組み合わされたプロセッサは、1つ以上の専用機能を実行するアナログ回路及び/又はデジタル回路等の非処理回路を備えることができる。
【0078】
図4は、
図2及び
図3の制御パネル250を実装するのに使用することができる一例示のオペレータインターフェース400を示している。オペレータインターフェース400は、例示の試験装置102に取り付けることもできるし、試験装置に近接して配置することもできるし、及び/又は試験装置102から遠隔に配置することもできる。例えば、オペレータインターフェース400は、試験装置102のベーストレイ上に組み込み式のオペレータパネル又はスイッチとして実装することができる。
【0079】
例示のオペレータインターフェース400は、入力を
図2及び/又は
図3の制御プロセッサ238及び/又は安全システム240に提供する複数の入力デバイス(例えば、ボタン、スイッチ等)を備える。例示の入力デバイスは、状態制御ボタン402を備える。この状態制御ボタン402は、制限状態(例えば、セットアップ状態)から非制限状態(例えば、注意状態、試験状態)への遷移を制御し、非制限状態を伴う動作を実行するために使用されることが要求される場合がある。状態制御ボタン402は、非制限状態での材料試験システムの使用を可能にする「ロック解除」ボタン又は安全入力装置とみなすことができる。
【0080】
ジョグボタン404、406は、クロスヘッド244を上方向若しくは下方向(若しくは左方向及び右方向、若しくは他の任意の方位に基づく方向)(方向クロスヘッド移動の場合)、及び/又は、右回転方向若しくは左回転方向(回転クロスヘッド移動の場合)にジョグさせるようにモータ242を制御する。ジョグボタン404、406は、個別に押下されると、クロスヘッド244を低速(例えば、安全プロセッサ302によって決定される)で上方又は下方に移動させるように制御する。ジョグボタン404、406が、状態制御ボタン402と同時に押下されると、安全プロセッサ302は、モータ242に対する速度制限を削減し、より高速でのクロスヘッド244のジョグを可能にすることができる。例示のジョグボタン404、406は、方向入力装置としての機能を果たすことができる。クロスヘッド244が回転力又は回転運動を提供する例では、方向入力装置は、右回転及び左回転等の回転入力装置を含むことができる。
【0081】
本明細書において使用される場合、「同時に」受信されるとは、双方の入力が任意の所与の時点にアクティブ化又は押下されることを指し、双方のボタンが最初に正確に同じ瞬間に押下されなければならないことを必ずしも指さない。
【0082】
開始ボタン408は、材料試験を開始するように制御プロセッサ238を制御する。復帰ボタン410は、クロスヘッド244を所定の位置に復帰させるように制御プロセッサ238を制御し、この復帰は、低速又は高速で行うことができる。いくつかの例では、安全プロセッサ302は、開始ボタン408及び/又は復帰ボタン410が状態制御ボタン402とともに押下されることを必要とする。停止ボタン412は、動作中の試験を停止又は一時停止するように制御プロセッサ238を制御する。緊急停止スイッチ414は、
図3の緊急停止スイッチ322を実装するために含めることができる。
【0083】
オペレータインターフェース400は、材料試験システム100の現在の状態の表示を出力する状態インジケータ416~422を更に備える。例示の状態インジケータ416~422は、安全プロセッサ302が判断することができる材料試験システム100の状態のそれぞれを表すライトである。
図4の例では、オペレータインターフェース400は、無効状態インジケータ416と、セットアップ状態インジケータ418と、注意状態インジケータ420と、試験状態インジケータ422とを備える。状態インジケータ416~422のそれぞれは、材料試験システム100が対応する状態にあると安全プロセッサ302が判断したときに点灯され、現在の状態に対応していない状態インジケータ416~422は消灯される。
【0084】
図5は、
図2及び
図3の制御パネル250を実装するのに使用することができる別の例示のオペレータインターフェース500を示している。この例示のオペレータインターフェース500は、限られた一組の入力デバイス(例えば、ボタン、スイッチ等)を有するハンドセットとすることができる。オペレータインターフェース500は、例示の試験装置102に取り付けることもできるし、試験装置に近接して配置することもできるし、及び/又は試験装置102から遠隔に配置することもできる。オペレータインターフェース500は、状態制御ボタン502(例えば、
図4の状態制御ボタン402と類似又は同一)と、ジョグボタン504、506(例えば、ジョグボタン404、406と類似又は同一)と、開始ボタン508(例えば、開始ボタン408と類似又は同一)と、復帰ボタン510(例えば、復帰ボタン410と類似又は同一)とを備える。
【0085】
オペレータインターフェース400、500は、プログラマブル機能をオペレータに提供するカスタムボタン512、又はソフトキーを備えることができる。いくつかの例では、プログラマブル機能は、制限状態のうちの1つ以上の制限を受ける。
【0086】
図6は、非制限モードにおいて
図1~
図3の材料試験システム100の作動を制御するために
図2及び
図3の安全システム240によって実行することができる例示の機械可読命令600を表すフローチャートである。例示の命令600は、制限状態から非制限状態への遷移を可能にするために複数の入力がタイムアウト期間内に必要とされるデュアルアクティブ化要件を実施する。
【0087】
例示の命令600は、材料試験システムの状態を複数の所定の状態から決定し、アクチュエータに対する制限を実施し、アクチュエータの制御を伴う動作の完了に応答して材料試験システムの状態を制限状態のうちの1つに自動的に設定するために実行することができる。
【0088】
ブロック602において、材料試験システム100及び/又は1つ以上のサブシステムの電源をオンにすることができる。材料試験システム100の電源がオンにされていない場合には、ブロック602は、材料試験システム100がオンにされるまで反復する。材料試験システム100の電源がオンにされているときは(ブロック602)、ブロック604において、安全システム240は、材料試験システム100の状態を無効状態に設定し、1つ以上のアクチュエータ(例えば、モータ242、グリップアクチュエータ(複数の場合もある)246)を無効にする。例えば、安全システム240は、アクチュエータ無効回路308をモータ242の通電遮断にデフォルト設定することができる。
【0089】
ブロック606において、安全プロセッサ302が初期化される。例えば、安全プロセッサ302は、障害チェック(例えば、入力、出力、及び/又は付属デバイスの開回路及び/又は閉回路のチェック)、冗長性チェック(例えば、冗長入力及び/又は冗長出力が一致しているとの判断)、及び/又は他の初期化プロセスを実行することができる。
【0090】
ブロック608において、安全プロセッサ302は、何らかの障害が安全システム240に検出される(例えば、初期化プロセス中に検出される)か否かを判断する。障害が検出された場合には(ブロック608)、ブロック610において、安全プロセッサ302は障害アラートを(例えば、制御パネル250、コンピューティングデバイス104等を介して)出力する。例示の命令600は、その後、終了することができる。
【0091】
障害が検出されないときは(ブロック608)、ブロック611において、安全プロセッサ302は、材料試験システム100を無効状態からセットアップ状態に遷移させるオペレータ入力が受信されているか否かを判断する。例えば、安全プロセッサ302は、無効状態から遷移するために1つ以上の指定された入力(例えば、ロック解除ボタンの押圧)を必要とすることができる。オペレータ入力が受信されていない場合には(ブロック611)、ブロック611は、材料試験システム100が無効モードに留まってオペレータ入力を待ち受けている間反復する。
【0092】
オペレータ入力が受信されると(ブロック611)、ブロック612において、安全プロセッサ302は、材料試験システム100の状態をセットアップ状態に設定する。このセットアップ状態の設定に従って、安全プロセッサ302は、アクチュエータ(複数の場合もある)(例えば、モータ242)を有効にし、アクチュエータ(複数の場合もある)を制限し、状態を(例えば、状態インジケータ252を介して)セットアップ状態として示す。いくつかの例では、安全プロセッサ302は、材料試験システム100の状態がセットアップ状態であることに基づいて、オペレータ選択可能入力のうちの対応する入力(例えば、モードスイッチ254)を選択的に強調するように制御パネル250上の1つ以上の視覚インジケータを制御する。例えば、安全プロセッサ302は、セットアップモードにおいてオペレータが使用することができる入力を強調するとともに、セットアップモードにおいて使用することができない入力をあまり強調しないように視覚インジケータを制御することができる。
【0093】
ブロック614において、安全プロセッサ302は、安全システム240の入力信号(例えば、センサ信号320、332、338、346、350)、フィードバック信号(例えば、フィードバック信号315、340、360)、制御信号(例えば、制御プロセッサ238からの信号)、及び/又はインターロック信号(例えば、ガードインターロック330からのガード信号332)を監視する。安全プロセッサ302は、例えば、安全プロセッサ302に材料試験システム100の状態の変化を認識させるオペレータコマンド及び/又は状態を識別する信号を監視することができる。
【0094】
ブロック616において、安全プロセッサ302は、第1のオペレータ入力が受信されたか否かを判断する。一例示の第1のオペレータ入力は、モードスイッチ254(例えば、ロック解除キー、ロック解除ボタン、又はロック解除スイッチ)、存在センサ(例えば、近接センサ、感圧面、運動センサ、ライトカーテン、機械的ガードドア、カメラ及び処理回路等)、又は他の任意のオペレータ入力源を含むことができる。第1のオペレータ入力は、オペレータが保護体積領域にアクセスすることができず、第2のオペレータ入力にアクセスすることができる第1のロケーションに存在するとの判断を含むことができる。加えて又は代替的に、第1のオペレータ入力は、保護体積領域内自体に存在しないことを含むことができる。第1のオペレータ入力が受信されていない場合には(ブロック616)、制御は、ブロック614に戻って監視を継続する。
【0095】
第1のオペレータ入力が受信されると(ブロック616)、ブロック618において、安全プロセッサ302は、タイムアウトタイマを初期化する。このタイムアウトタイマは、ソフトウェアタイマ、専用ハードウェアタイマ、又はハードウェア及びソフトウェアの任意の組み合わせとすることができる。いくつかの例では、第1のオペレータ入力は、安全プロセッサ302に、状態が注意状態にあると判断させ、注意状態が現在の状態であることを(例えば、状態インジケータ252を介して)示させることができる。
【0096】
ブロック620において、安全プロセッサ302は、第2のオペレータ入力が受信されたか否かを判断する。例示の第2のオペレータ入力は、モードスイッチ254(例えば、ロック解除キー、ロック解除ボタン、又はロック解除スイッチ)、存在センサ(例えば、近接センサ、感圧面、運動センサ、ライトカーテン、機械的ガードドア、カメラ及び処理回路、入室検出器等)、又は他の任意のオペレータ入力源を含むことができる。安全プロセッサ302は、第1の入力及び第2の入力の組み合わせが、所望の動作(例えば、制限されたセットアップ速度よりも高速でのクロスヘッド244のジョグ、材料試験の開始、所望の位置へのクロスヘッド244の復帰、閾値圧力よりも高圧での空気圧グリップ248の作動)と、意図表示入力(例えば、ロック解除ボタン、保護体積領域内に存在しないこと、保護体積領域から離れたロケーションに存在すること)との双方を含むことを必要とすることができる。
【0097】
いくつかの例では、安全プロセッサ302は、所望の動作入力及び意図表示入力が必要な順序(例えば、意図表示入力の前に所望の動作入力又は所望の動作入力の前に意図表示入力)で受信されることを必要とすることができる。
【0098】
第2のオペレータ入力が受信されていない場合には(ブロック620)、ブロック622において、安全プロセッサ302は、タイムアウトタイマが満了したか否かを判断する。例えば、タイムアウトタイマは、動作を実行するオペレータ意図を示すために(例えば、意図的でない作動を回避するために)、2つのオペレータ入力が受信されなければならない所定の閾値期間の間動作した後に満了するように設定することができる。タイムアウトタイマが満了していない場合には(ブロック622)、制御は、ブロック620に戻って第2のオペレータ入力の監視を継続する。タイムアウトタイマが満了した場合には(ブロック622)、第1のオペレータ入力はタイムアウトし、制御は、ブロック614に戻って監視を継続する。
【0099】
第2のオペレータ入力が、タイムアウト時間の満了前に受信されると、(ブロック620)、ブロック624において、安全プロセッサ302は、材料試験システム100をオペレータ入力に対応する状態(例えば、注意状態又は試験状態等の非制限状態)に設定する。例えば、第1のオペレータ入力及び第2のオペレータ入力が試験開始(例えば、状態スイッチボタン502及び開始ボタン510)に対応するときは、安全プロセッサ302は、材料試験システム100を注意状態に遷移させ、その後、試験状態に遷移させることができる。安全プロセッサ302は、オペレータ入力に対応する動作を実行するために、設定状態に関連した制限も削減及び/又は除去する。
【0100】
ブロック626において、制御プロセッサ238は、第1のオペレータ入力及び第2のオペレータ入力に対応する動作を実行する。例えば、制御プロセッサ238は、プログラミングされた材料試験を実行し、クロスヘッドのジョグ及び/又は所望の位置へのクロスヘッドの復帰を行うようにモータ242を制御し、高いグリップ圧力又はクランプ圧力を印加し、及び/又はオペレータ入力に対応する他の任意の動作を実行することができる。ブロック628において、安全プロセッサ302は、動作が完了したか否かを判断する。動作は、例えば、第1の入力又は第2の入力のいずれかがもはや受信されていないときに、制御プロセッサ238がプログラミングされた材料試験を完了した場合、インターロックがトリガーされた場合に完了することができる。いくつかの例では、安全プロセッサ302は、2つの入力のうちの一方がもはや受信されていないとの判断に応答してアクチュエータの動作を中止する。いくつかの他の例では、安全プロセッサ302は、入力のうちの少なくとも1つが受信されている間、アクチュエータの動作が継続することを可能にし、2つ以上の入力のいずれもが受信されていないとの判断に応答してアクチュエータの動作を中止する。いくつかの例では、安全プロセッサ302は、入力がもはや受信されていないときであっても(例えば、持続期間が延長された試験の間)アクチュエータの動作が継続することを可能にし、材料試験プロセスの終結、材料試験プロセス内での一時停止、又はオペレータインターフェースからの入力(例えば、
図4の停止ボタン412の押圧)に応答してアクチュエータの動作を中止する。
【0101】
動作が完了していない場合には(ブロック628)、制御は、ブロック626に戻って動作の実行を継続する。動作が完了すると(ブロック628)、制御は、ブロック612に戻ってセットアップ状態に戻る。安全プロセッサ302は、その後、対応する制限を再適用することができる。
【0102】
図7は、材料試験システム700を動作させる入力信号を安全システム240に提供するように構成されるカメラ702及びビデオプロセッサ704を備える一例示の材料試験システム700を示している。この例示の材料試験システム700は、安全システム240と、
図5のオペレータインターフェース500とを備える
図1~
図3の材料試験システム100を含む。
【0103】
カメラ702は、保護体積領域706(例えば、試験装置102に隣接する体積領域)を監視する。ビデオプロセッサ704は、カメラ702によって出力される画像を処理することによって侵入を検出し、侵入が検出されていないとの判断に応答して非検出信号を安全システム240に出力する。安全システム240は、例えば、ビデオプロセッサ704からの入力をポーリングして、検出又は非検出を表す値を求めることができる。例示の安全システム240は、その後、非検出信号を(例えば、
図6の命令600における)第1の入力信号又は第2の入力信号として使用して、材料試験システム100のいくつかの動作を可能にすることができる。オペレータ又は物体が体積領域706内でカメラ702及びビデオプロセッサ704によって検出されると、ビデオプロセッサ704は、安全システム240への非検出信号の提供を停止する(又は検出信号を安全システム240に提供する)。安全システム240は、その後、材料試験システム100の動作を無効にする。オペレータインターフェース500は、どのオペレータが望ましいのかを示す追加の信号を提供することができる。
【0104】
図8は、材料試験システム800を動作させる入力信号を安全システム240に提供するように構成される感圧面802を備える一例示の材料試験システム800を示している。この例示の材料試験システム800は、安全システム240と、
図5のオペレータインターフェース500とを備える
図1~
図3の材料試験システム100を含む。
【0105】
圧力パッド等の感圧面802は、面802上の圧力(例えば、オペレータ)の存在を検出する。圧力の存在が検出されると、感圧面802は、圧力信号を安全システム240に出力する。存在が検出されているときに、感圧面802上に立っているオペレータが保護体積領域の圏外であるように又はそれ以外に保護体積領域に達することができないように感圧面802を配置することができる。安全システム240は、例えば、感圧面802からの入力をポーリングして、検出又は非検出を表す値を求めることができる。例示の安全システム240は、その後、圧力信号を(例えば、
図6の命令600における)第1の入力信号又は第2の入力信号として使用して、材料試験システム100のいくつかの動作を有効にすることができる。オペレータ又は物体が感圧面802によってもはや検出されていないとき、感圧面802は、安全システム240への検出信号の提供を停止する(又は非検出信号を安全システム240に提供する)。安全システム240は、その後、材料試験システム100の動作を無効にする。オペレータインターフェース500は、どのオペレータが望ましいのかを示す追加の信号を提供することができる。
【0106】
図9は、材料試験システム900を動作させる入力信号を安全システム240に提供するように構成されるオペレータ検出スイッチ902を備える一例示の材料試験システム900を示している。この例示の材料試験システム900は、安全システム240と、
図5のオペレータインターフェース500とを備える
図1~
図3の材料試験システム100を含む。
【0107】
デッドマンスイッチ等のオペレータ検出スイッチ902は、当該スイッチをトリガーすることによってオペレータの存在を検出し、スイッチ902を連続して押下していないと、スイッチ902は自動的に解除される。スイッチの押下が行われると、オペレータ検出スイッチ902は、スイッチ信号を安全システム240に出力する。スイッチ902が押下されるとき、スイッチ902を押下するオペレータが保護体積領域の圏外であるように又はそれ以外に保護体積領域に達することができないようにオペレータ検出スイッチ902を配置することができる。安全システム240は、例えば、オペレータ検出スイッチ902からの入力をポーリングして、検出又は非検出を表す値を求めることができる。例示の安全システム240は、その後、スイッチ信号を(例えば、
図6の命令600における)第1の入力信号又は第2の入力信号として使用して、材料試験システム100のいくつかの動作を有効にすることができる。スイッチ902がもはや押下されていないとき、オペレータ検出スイッチ902は、安全システム240へのスイッチ信号の提供を停止する(又はスイッチ902の非アクティブ化を示す信号を安全システム240に提供する)。安全システム240は、その後、材料試験システム100の動作を無効にする。オペレータインターフェース500は、どのオペレータが望ましいのかを示す追加の信号を提供することができる。
【0108】
図10は、材料試験システム1000を動作させる入力信号を安全システム240に提供するように構成される存在検出器1002を備える一例示の材料試験システム1000を示している。この例示の材料試験システム1000は、安全システム240と、
図5のオペレータインターフェース500とを備える
図1~
図3の材料試験システム100を含む。
【0109】
入室検出器、存在センサ又は運動センサ等の存在検出器1002は、特定のエリアにおけるオペレータの存在を検出する。存在検出器1002によって検出が行われると、存在検出器1002は、存在信号を安全システム240に出力する。存在検出器1002がオペレータの存在を認識しているとき、オペレータが保護体積領域の圏外であるように又はそれ以外に保護体積領域に達することができないように存在検出器1002を配置することができる。安全システム240は、例えば、存在検出器1002からの入力をポーリングして、検出又は非検出を表す値を求めることができる。例示の安全システム240は、その後、存在信号を(例えば、
図6の命令600における)第1の入力信号又は第2の入力信号として使用して、材料試験システム100のいくつかの動作を有効にすることができる。存在検出器1002が存在をもはや検出していないとき、存在検出器1002は、安全システム240への存在信号の提供を停止する(又は非存在を示す信号を安全システム240に提供する)。安全システム240は、その後、材料試験システム100の動作を無効にする。オペレータインターフェース500は、どのオペレータが望ましいのかを示す追加の信号を提供することができる。
【0110】
図11は、材料試験システム1100を動作させる入力信号を安全システム240に提供するように構成される近接センサ1102を備える一例示の材料試験システム1100を示している。この例示の材料試験システム1100は、安全システム240と、
図5のオペレータインターフェース500とを備える
図1~
図3の材料試験システム100を含む。
【0111】
近接センサ1102は、保護体積領域1104(例えば、試験装置102に隣接する体積領域)を監視し、オペレータが近接していることが検出されないとの判断に応答して非近接信号を安全システム240に出力する。安全システム240は、例えば、近接センサ1102からの入力をポーリングして、近接又は非近接を表す値を求めることができる。例示の安全システム240は、その後、非近接信号を(例えば、
図6の命令600における)第1の入力信号又は第2の入力信号として使用して、材料試験システム100のいくつかの動作を可能にすることができる。オペレータ又は物体が体積領域1104内で近接センサ1102によって検出されると、近接センサ1102は、安全システム240への非検出信号の提供を停止する(又は検出信号を安全システム240に提供する)。安全システム240は、その後、材料試験システム100の動作を無効にする。オペレータインターフェース500は、どのオペレータが望ましいのかを示す追加の信号を提供することができる。
【0112】
本方法及びシステムは、ハードウェア、ソフトウェア、及び/又はハードウェア及びソフトウェアの組み合わせで実現することができる。本方法及び/又はシステムは、少なくとも1つのコンピューティングシステムにおいて集中的に、又はいくつかの相互接続されたコンピューティングシステムにわたって異なる要素が分散される分散的に、実現することができる。本明細書に記載した方法を実行するように適合された任意の種類のコンピューティングシステム又は他の装置が適している。ハードウェア及びソフトウェアの典型的な組み合わせは、汎用コンピューティングシステムを、ロードされ実行されるとコンピューティングシステムを本明細書に記載した方法を実行するように制御するプログラム又は他のコードとともに、含むことができる。別の典型的な実施態様は、特定用途向け集積回路又はチップを含むことができる。いくつかの実施態様は、非一時的機械可読(例えば、コンピュータ可読)媒体(例えば、フラッシュドライブ、光ディスク、磁気記憶ディスク等)を含むことができ、そうした非一時的機械可読媒体は、機械によって実行可能なコードの1つ以上のラインを記憶し、それにより、機械に、本明細書に記載したようなプロセスを実施させる。本明細書において使用される場合、「非一時的機械可読媒体」という用語は、全てのタイプの機械可読記憶媒体を含み、伝播信号を排除するように定義される。
【0113】
本明細書において使用される場合、「回路(circuit)」及び「回路(circuitry)」という用語は、物理的な電子構成要素(すなわち、ハードウェア)と、ハードウェアを構成することができ、ハードウェアが実行することができ、及び/又は他の方法でハードウェアに関連付けることができる、任意のソフトウェア及び/又はファームウェア(「コード」)とを指す。本明細書において使用される場合、例えば特定のプロセッサ及びメモリは、コードの第1の1つ以上のラインを実行しているとき、第1の「回路」を含むことができ、コードの第2の1つ以上のラインを実行しているとき、第2の「回路」を含むことができる。本明細書において使用される場合、「及び/又は」は、「及び/又は」によって連結されるリストにおける項目のうちの任意の1つ以上の項目を意味する。一例として、「x及び/又はy」は、3つの要素の組{(x),(y),(x,y)}のうちの任意の要素を意味する。言い換えれば、「x及び/又はy」は、「x及びyのうちの一方又は両方」を意味する。別の例として、「x、y及び/又はz」は、7つの要素の組{(x),(y),(z),(x,y),(x,z),(y,z),(x,y,z)}のうちの任意の要素を意味する。言い換えれば、「x、y及び/又はz」は、「x、y及びzのうちの1つ以上」を意味する。本明細書において使用される場合、「例示的な」という用語は、非限定的な例、事例又は例証としての役割を果たすことを意味する。本明細書において使用される場合、「例えば」という用語は、1つ以上の非限定的な例、事例又は例証のリストを開始する。本明細書において使用される場合、回路は、或る機能を実施するために必要なハードウェア及びコード(いずれかが必要である場合)を含む場合はいつでも、その機能の実施が(例えば、ユーザーが構成可能な設定、工場トリム等により)無効にされる又は有効にされていないか否かにかかわらず、回路はその機能を実行するように「動作可能」である。
【0114】
本方法及び/又はシステムを、或る特定の実施態様を参照して記載してきたが、当業者であれば、本方法及び/又はシステムの範囲から逸脱することなく、種々の変更を行うことができること及び均等物に置き換えることができることを理解するであろう。例えば、開示した例のブロック及び/又は構成要素を、組み合わせ、分割し、再配置し、及び/又は他の方法で変更することができる。加えて、本開示の範囲から逸脱することなく、本開示の教示に対して特定の状況又は材料を適合させるように多くの改変を行うことができる。したがって、本方法及び/又はシステムは、開示されている特定の実施態様に限定されない。代わりに、本方法及び/又はシステムは、字義どおりにでも均等論のもとにおいても、添付の特許請求の範囲内に入る全ての実施態様を含む。
【国際調査報告】