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特表2022-510310人体内の機能性物質を合成する光照射装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-26
(54)【発明の名称】人体内の機能性物質を合成する光照射装置
(51)【国際特許分類】
   A61N 5/06 20060101AFI20220119BHJP
【FI】
A61N5/06 B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021531082
(86)(22)【出願日】2019-11-29
(85)【翻訳文提出日】2021-07-27
(86)【国際出願番号】 KR2019016756
(87)【国際公開番号】W WO2020111877
(87)【国際公開日】2020-06-04
(31)【優先権主張番号】62/773,333
(32)【優先日】2018-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/826,004
(32)【優先日】2019-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/698,087
(32)【優先日】2019-11-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】506029004
【氏名又は名称】ソウル バイオシス カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SEOUL VIOSYS CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】65-16,Sandan-ro 163 Beon-gil,Danwon-gu,Ansan-si,Gyeonggi-do,Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】特許業務法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】ペ,ヒ ホ
(72)【発明者】
【氏名】ユン,ヨン ミン
(72)【発明者】
【氏名】イ,ア ヨン
【テーマコード(参考)】
4C082
【Fターム(参考)】
4C082PA03
4C082PC09
4C082PJ01
(57)【要約】
光照射装置は、可視光線波長帯域の第1光を出射する第1光源と、少なくとも一部の波長帯域が前記第1光源の波長帯域と異なり、光照射対象の機能性物質の合成を促進する第2光を出射する第2光源と、を含み、前記第2光は紫外線B波長帯域の光を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
可視光線波長帯域の第1光を出射する第1光源と;
少なくとも一部の波長帯域が前記第1光源の波長帯域と異なり、光照射対象の機能性物質の合成を促進する第2光を出射する第2光源と;を含み、
前記第2光は紫外線B波長帯域の光を含む光照射装置。
【請求項2】
前記第2光は約280nm~約315nmの波長帯域の光を含む、請求項1に記載の光照射装置。
【請求項3】
前記第2光は、紫外線A波長帯域の光及び紫外線C波長帯域の光をさらに含む、請求項1に記載の光照射装置。
【請求項4】
前記第2光が人体に照射されるとき、無害な範囲のドーズ量を許容ドーズ量とすると、前記第2光源は、許容ドーズ量内で前記第2光を出射する、請求項3に記載の光照射装置。
【請求項5】
前記第2光の許容ドーズ量は約30J/m~約10000J/mである、請求項4に記載の光照射装置。
【請求項6】
前記第2光の許容ドーズ量は、1日又は1年の所定期間によって異なる値に設定され、前記第2光源は、前記許容ドーズ量によって光量が制御される、請求項4に記載の光照射装置。
【請求項7】
前記第2光の許容ドーズ量は、人体の位置によって変化可能であり、前記第2光源は、前記第2光の許容ドーズ量によって光量が制御される、請求項4に記載の光照射装置。
【請求項8】
前記第1光源は、約380nm~約780nmの波長帯域を有し、色温度が約2600K~約7000Kの範囲内でノーマライズされた太陽光スペクトルの面積に対して約55%以上の面積を有する光を出射する、請求項1に記載の光照射装置。
【請求項9】
前記ノーマライズされた太陽光スペクトルは、下記の式1で表される、請求項8に記載の光照射装置。
[式1]
【数1】

λ:波長(um)
h:プランク定数
c:光の速度
T:絶対温度
k:ボルツマン定数
【請求項10】
人体を感知する感知センサーをさらに含む、請求項1に記載の光照射装置。
【請求項11】
前記人体の有無によって前記第1光源及び第2光源のオン/オフを制御する制御部と;
前記第1光源及び第2光源のうち少なくとも一つの光出射方向を制御する駆動部と;をさらに含む、請求項10に記載の光照射装置。
【請求項12】
前記感知センサーは、人体の移動の有無を感知し、前記駆動部は、前記人体の移動の有無によって前記第1光源及び第2光源の光出射方向を変更する、請求項11に記載の光照射装置。
【請求項13】
前記第1光源及び第2光源が実装された光源基板と;
前記光源基板上に設けられ、前記光源基板の傾斜角度を調節する傾斜部材と;をさらに含む、請求項12に記載の光照射装置。
【請求項14】
前記光照射装置は、前記第1光源及び第2光源のうち少なくとも一つのオン/オフがユーザーによって制御される、請求項12に記載の照明装置。
【請求項15】
前記光照射装置は、前記第1光源及び第2光源のうち少なくとも一つのオン/オフが既に設定されたプログラムによって制御される、請求項12に記載の光照射装置。
【請求項16】
位置情報を受信する位置情報受信部と;
前記位置情報受信部から前記位置情報を受信し、前記第1光源及び第2光源から出射された光のドーズ量を制御する制御部と;をさらに含み、
前記制御部は、前記位置情報に基づいて前記第1光源及び第2光源が出射する必要がある光のドーズ量を算出し、前記第1光源及び第2光源が前記ドーズ量の光を出射するように制御する、請求項1に記載の光照射装置。
【請求項17】
前記位置情報受信部は、前記光照射装置の位置情報を算出し、前記制御部は、前記位置情報を受信し、前記光照射装置が位置する場所での外部光のドーズ量を算出し、前記適正なドーズ量と前記外部光のドーズ量との差の前記光を前記第1光源及び第2光源が出射するように制御する、請求項16に記載の光照射装置。
【請求項18】
可視光線波長帯域の第1光を出射する第1光源と;
光照射対象の機能性物質の合成を促進し、紫外線B波長帯域を有する第2光を出射する第2光源と;を含み、
前記第1光は、約380nm~約780nmの波長帯域を有し、色温度が約2600K~約7000Kの範囲内でノーマライズされた太陽光スペクトルの面積に対して約55%以上の面積を有する光照射装置。
【請求項19】
位置情報を受信する位置情報受信部と;
前記位置情報受信部から前記位置情報を受信し、前記第1光源及び第2光源から出射された光のドーズ量を制御する制御部と;をさらに含み、
前記制御部は、前記位置情報に基づいて前記第1光源及び第2光源が出射する必要がある光のドーズ量を算出し、前記第1光源及び第2光源が前記ドーズ量の光を出射するように制御する、請求項18に記載の光照射装置。
【請求項20】
前記位置情報受信部は、前記光照射装置の位置情報を算出し、前記制御部は、前記位置情報を受信し、前記光照射装置が位置する場所での外部光のドーズ量を算出し、前記適正なドーズ量と前記外部光のドーズ量との差の前記光を前記第1光源及び第2光源が出射するように制御する、請求項19に記載の光照射装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人体内の機能性物質を合成する光照射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現代人は、室外活動の代わりに室内活動が多い生活パターンを有することが一般的である。これによって、太陽光に十分に接することができない状態で生活するようになるので、一般に適切な太陽光を浴びることができない。太陽光は、可視光線波長帯域のみならず、紫外線波長帯域及び赤外線波長帯域の光を含んでいる。太陽光の各波長帯域の光は、人体に良いか悪いかの多様な影響を及ぼし得るので、その結果、太陽光と類似するスペクトルを有し、危険性のない多様な機能を有する光照射装置の開発が必要である。
【0003】
ところが、ほとんどの光照射装置は、太陽光と異なる波長帯域を有することが一般的であり、暗い場所を照らす装置としてのみ使用されている。また、特定の機能を備えた特殊の光源が開発されているが、この場合、治療装置にのみ限定的に使用されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、人体内の機能性物質の合成を促進する光照射装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一実施形態は、人体内の機能性物質の合成を促進する光照射装置に関するものであって、光照射装置は、可視光線波長帯域の第1光を出射する第1光源と;少なくとも一部の波長帯域が前記第1光源の波長帯域と異なり、光照射対象の機能性物質の合成を促進する第2光を出射する第2光源とを含み、前記第2光は紫外線B波長帯域の光を含む。
【0006】
本発明の一実施形態において、前記第2光は、約280nm~約315nmの波長帯域の光を含んでもよい。
【0007】
本発明の一実施形態に係る光照射装置において、前記第2光は、紫外線A波長帯域の光及び紫外線C波長帯域の光をさらに含んでもよい。
【0008】
本発明の一実施形態において、前記第2光が人体に照射されるとき、無害な範囲のドーズ量を許容ドーズ量とすると、前記第2光源は、許容ドーズ量内で前記第2光を出射してもよい。
【0009】
本発明の一実施形態において、前記第2光の許容ドーズ量は約30J/m~約10000J/mであってもよい。
【0010】
本発明の一実施形態において、前記第2光の許容ドーズ量は、1日又は1年の所定期間によって異なる値に設定され、前記第2光源は、前記許容ドーズ量によって光量が制御されてもよい。
【0011】
本発明の一実施形態において、前記第2光の許容ドーズ量は、人体の位置によって変化可能であってもよく、前記第2光源は、前記第2光の許容ドーズ量によって光量が制御されてもよい。
【0012】
本発明の一実施形態において、前記第1光源は、約380nm~約780nmの波長帯域を有し、色温度が約2600K~約7000Kの範囲内でノーマライズされた太陽光スペクトルの面積に対して約55%以上の面積を有する光を出射してもよい。
【0013】
本発明の一実施形態において、前記ノーマライズされた太陽光スペクトルは、下記の式1で表すことができる。
【0014】
[式1]
【数1】

λ:波長(um)
h:プランク定数
c:光の速度
T:絶対温度
k:ボルツマン定数
【0015】
本発明の一実施形態において、光照射装置は、人体を感知するセンサー部をさらに含んでもよい。本発明の一実施形態において、光照射装置は、前記人体の有無によって前記第1光源及び第2光源のオン/オフを制御する制御部と、前記第1光源及び第2光源のうち少なくとも一つの光出射方向を制御する駆動部と、をさらに含んでもよい。
【0016】
本発明の一実施形態において、前記センサー部は、人体の移動の有無を感知し、前記駆動部は、前記人体の移動の有無によって前記第1光源及び第2光源の光出射方向を変更してもよい。
【0017】
本発明の一実施形態において、光照射装置は、前記第1光源及び第2光源が実装された光源基板と、前記光源基板上に設けられ、前記光源基板の傾斜角度を調節する傾斜部材と、をさらに含んでもよい。
【0018】
本発明の一実施形態において、前記光源基板、前記第1光源及び第2光源は複数設けられ、前記傾斜部材は、前記光源基板ごとに設けられ、独立して駆動されてもよい。
【0019】
本発明の一実施形態において、前記光照射装置は、前記第1光源及び第2光源のうち少なくとも一つのオン/オフを制御する一つ以上のスイッチをさらに含んでもよい。
【0020】
本発明の一実施形態において、前記光照射装置は、前記第1光源及び第2光源のうち少なくとも一つのオン/オフがユーザーによって制御されてもよく、又は前記第1光源及び第2光源のうち少なくとも一つのオン/オフが既に設定されたプログラムによって制御されてもよい。
【0021】
本発明の他の実施形態に係る光照射装置は、光を出射する光源と、位置情報を受信する位置情報受信部と、前記位置情報受信部から前記位置情報を受信し、前記光源から出射された光のドーズ量を制御する制御部と、を含み、前記制御部は、前記位置情報に基づいて前記光源部が出射する必要がある光のドーズ量を算出し、前記ドーズ量の光を出射するように制御する。
【0022】
本発明の他の実施形態において、前記制御部は、前記位置情報受信部から提供された位置情報に基づいて適正なドーズ量を算出し、前記光源が適正なドーズ量を出射するように制御してもよい。
【0023】
本発明の他の実施形態において、前記位置情報受信部は、前記光照射装置の位置情報を算出し、前記制御部は、前記位置情報を受信し、前記光照射装置が位置する場所での外部光のドーズ量を算出し、前記適正なドーズ量と前記外部光のドーズ量との差の光を出射するように制御してもよい。
【0024】
本発明の他の実施形態において、前記制御部は、前記位置情報から時間情報を算出し、前記時間情報によって前記光のドーズ量を制御してもよい。
【0025】
本発明の他の実施形態において、前記制御部は、許容ドーズ量以下の光を出射するように前記光源を制御してもよい。
【0026】
本発明の他の実施形態において、前記光源は、互いに異なる波長帯域の光を出射する複数の光源を含んでもよい。
【0027】
本発明の他の実施形態において、前記光源は、可視光線波長帯域の第1光を出射する第1光源と、前記第1光の波長帯域と異なる波長帯域の第2光を出射する第2光源とを含んでもよい。前記第2光は紫外線波長帯域を有してもよい。前記制御部は、前記第2光の最大許容ドーズ量以下の光を出射するように制御してもよい。前記第2光は、約240nm~約280nmの波長帯域を有してもよい。
【0028】
本発明の他の実施形態において、前記第1光は約380nm~約780nmの波長帯域を有し、色温度が約2600K~約7000Kの範囲内でノーマライズされた太陽光スペクトルの面積に対して約55%以上の面積を有してもよい。
【0029】
本発明の他の実施形態において、前記第1光は、約400nm~約500nmの波長帯域を含んでもよい。
【0030】
本発明の他の実施形態において、前記第2光は、赤色から近赤外線波長帯域を有してもよい。前記第2光は、約610nm~約940nmの波長帯域を有してもよい。
【0031】
本発明の他の実施形態において、前記光源は、可視光線波長帯域の第1光を出射する第1光源と、紫外線波長帯域の第2光を出射する第2光源と、赤外線波長帯域の第3光を出射する第3光源と、を含んでもよい。
【0032】
本発明の他の実施形態において、前記制御部は、前記第1光から第3光のうち少なくとも二つの光を混合して照射してもよい。
【0033】
本発明の他の実施形態において、前記光源は複数設けられ、前記光源ごとに独立して駆動されてもよい。
【発明の効果】
【0034】
本発明の一実施形態に係る光照射装置は、照明として使用できると同時に、人体内での機能性物質の合成を促進させるという効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る光照射装置を示した平面図である。
図2図2は、本発明の一実施形態において、第1光源から出射された第1光のスペクトルを示した図である。
図3a図3aは、本発明の一実施形態において、第1光源から出射された第1光のスペクトルを示した図である。
図3b図3bは、図3aに示した第1光のスペクトルを太陽光スペクトルと共に示した図である。
図4a図4aは、本発明の一実施形態に係る光照射装置を示したブロック図である。
図4b図4bは、本発明の一実施形態に係る光照射装置を示したブロック図である。
図4c図4cは、本発明の一実施形態に係る光照射装置を示したブロック図である。
図5a図5aは、本発明の一実施形態に係る光照射装置の平面図である。
図5b図5bは、図5aのI-I’線断面図である。
図6a図6aは、本発明の一実施形態に係る光照射装置の平面図である。
図6b図6bは、図6aのII-II’線断面図である。
図7a図7aは、本発明の一実施形態に係る光照射装置の平面図である。
図7b図7bは、図7aのIII-III’線断面図である。
図8a図8aは、本発明の一実施形態に係る光照射装置の平面図である。
図8b図8bは、図8aのIV-IV’線断面図である。
図8c図8cは、傾斜部材が採用された光照射装置において、傾斜部材の駆動によって光源基板が傾斜した例を示した断面図である。
図9図9は、1日の時間帯における太陽光の紫外線の強さを示した図である。
図10図10は、本発明の他の実施形態に係る光照射装置を示した平面図である。
図11図11は、本発明の他の実施形態に係る光照射装置を示したブロック図である。
図12図12は、本発明の他の実施形態に係る光照射装置の駆動方法を示したフローチャートである。
図13図13は、本発明の他の実施形態に係る光照射装置において、光源から出射された光のスペクトルを示した図である。
図14図14は、本発明の他の実施形態に係る光照射装置の駆動方法を示したフローチャートである。
図15a図15aは、本発明の他の実施形態に係る光照射装置において、光源が二つ、すなわち、第1光源及び第2光源が設けられる例を示した図である。
図15b図15bは、光源が三つ、すなわち、第1光源、第2光源、及び第3光源が設けられる例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
本発明は、多様な変更を加えることができ、様々な形態を有し得るので、ある特定の実施形態を図面に例示し、これについて本文で詳細に説明する。しかしながら、これは、本発明を特定の開示形態に限定するものではなく、本発明の思想及び技術範囲に含まれる全ての変更、均等物及び代替物を含むものと理解しなければならない。
【0037】
以下、添付の各図面を参照して、本発明の好適な実施形態をより詳細に説明する。
【0038】
図1は、本発明の一実施形態に係る光照射装置を示した平面図である。
【0039】
本発明の一実施形態に係る光照射装置100は、第1光を出射する第1光源30と、第2光を出射する第2光源40と、第1光源30及び第2光源40を実装する光源基板20とを含む。
【0040】
本発明の一実施形態に係る光照射装置100は、特定の波長帯域のスペクトル分布を実現できる個別の発光源であって、照明として使用されてもよい。このために、第1光源30は、可視光線波長帯域の光を出射することができる。また、本発明の一実施形態に係る光照射装置は、人体への照射時、人体が体内で所定の機能性物質を合成できるように機能性物質の合成反応を促進する光を提供する光源として使用されてもよい。このために、第2光源40は、人体内の機能性物質の合成を促進する波長帯域、例えば、紫外線波長帯域の光を出射する。言い換えると、第1光源からの第1光は可視光線波長帯域の光を含み、第2光源からの第2光は紫外線波長帯域の光を含む。ここで、第1光及び第2光は、少なくとも一部の波長帯域が互いに異なる。
【0041】
第1光源30及び第2光源40は、光源基板20の上に実装されるので、光源基板20は、第1光源30及び第2光源40を実装できるものであれば特に限定されず、多様な形態で提供され得る。光源基板20は、第1光源30及び第2光源40に電源を供給できるように配線が含まれた形態で提供されてもよい。光源基板20は、例えば、配線が形成された金属基板、プリント回路基板などから構成されてもよい。
【0042】
第1光源30及び第2光源40は、同時に又は個別にそれぞれ駆動可能である。すなわち、第1光源30及び第2光源40が同時にオン/オフしてもよく、第1光源30及び第2光源40のそれぞれが個別にオン/オフしてもよい。また、第1光源30及び第2光源40からの出射光、すなわち、第1光及び第2光の強さも同時に又は個別に制御することができる。
【0043】
本発明の一実施形態において、第1光源30は、可視光線波長帯域の光を出射し、所定の空間を照らす照明として使用可能なものとして設けられる。例えば、第1光源30は、可視光線波長帯域の光を出射する発光ダイオード、蛍光灯などであってもよい。しかしながら、第1光源30の種類はこれに限定されない。
【0044】
図2は、本発明の一実施形態に係る光照射装置において、第1光源から出射された第1光のスペクトルを示した図である。図2において、x軸は波長(nm)で、y軸は相対強度(relative intensity)である。本実施形態では、説明の便宜上、可視光線波長帯域の光を出射する発光ダイオードのスペクトルを一例として示した。
【0045】
図2を参照すると、第1光源は、第1光として約380nm~約780nmの波長帯域の光を出射する。第1光源は、所定領域を照らす照明として機能する。第1光源から出射された第1光は、紫外線領域や赤外線領域から出射された光を含み得るが、その強さは非常に微弱であり、ほとんどが可視光線波長帯域に分布している。
【0046】
本発明の一実施形態において、第2光源は、人体の特定の機能性物質の合成を誘導及び促進する光を出射する。第2光源が出射する光、すなわち、第2光は、人体の特定の機能性物質の合成を誘導し得る多様な波長帯域を含むことができる。例えば、第2光は、紫外線、可視光線及び/又は赤外線であってもよい。ここで、第2光は、第1光と一部の波長帯域で重畳してもよいが、少なくとも一部の波長帯域で第1光と互いに異なる波長帯域の光を出射する。
【0047】
本発明の一実施形態において、第2光は、紫外線波長帯域であってもよく、特に、紫外線波長帯域のうち紫外線Bの波長帯域であってもよい。
【0048】
本発明の一実施形態において、光照射対象は、所定の光に露出したときに特定の機能性物質が合成され得る生物体、例えば、植物や動物であってもよく、特に人体に該当し得る。人体の場合、所定の紫外線に露出したとき、人体内で機能性物質の一つであるビタミンDが合成され得る。このために、人体に照射される紫外線は紫外線B波長帯域であってもよく、ビタミンB波長帯域に人体が露出する場合、皮膚細胞内の7-デヒドロコレステロール(dehydrocholesterol)がコレカルシフェロール(Cholecalciferol)、すなわち、ビタミンD3を合成するようになる。
【0049】
本発明の一実施形態において、紫外線Bに該当する第2光は、約280nm~約315nmの波長帯域の光を含んでもよい。
【0050】
しかし、第2光の波長帯域は、これに限定されるものではなく、紫外線Bの波長帯域に加えて、紫外線A及び/又は紫外線C波長帯域の光を含んでもよい。
【0051】
一般に、紫外線は、人体に所定のドーズ量以上を照射したとき、人体に有害な影響を及ぼすものとして知られているので、本発明の一実施形態に係る光照射装置において、第2光は、許容ドーズ量以下で人体に照射される。ここで、許容ドーズ量とは、人体に照射されるとき、人体に無害な範囲のドーズ量を意味する。例えば、第2光の許容ドーズ量は約30J/m~約10000J/mであってもよい。
【0052】
上述したように、本発明の一実施形態に係る光照射装置は、一般的な照明のための第1光源と、機能性物質の合成を促進させる第2光源とを含むことによって、一般的な照明として使用できると同時に、人体での機能性物質の合成が促進されるという効果を得ることができる。
【0053】
本発明の一実施形態において、第1光源は、照明として使用可能な限度内で多様なものが使用され得る。
【0054】
図3aは、本発明の他の実施形態において、第1光源から出射された第1光のスペクトルを示した図である。図3aにおいて、x軸は波長(nm)で、y軸は相対強度である。
【0055】
図3aを参照すると、第1光源は、約380nm~約780nmの波長帯域を有する第1光を出射することができる。本実施形態での第1光は、太陽光と類似するスペクトルを有するので、第1光に対して太陽光と比較して説明する。
【0056】
図3bは、図3aに示した第1光のスペクトルを太陽光スペクトルと共に示した図である。
【0057】
図3bを参照すると、本実施形態において、第1光は、色温度が約2600K~約7000Kの範囲内でノーマライズされた太陽光スペクトルの面積に対して約55%以上の面積を有する光に該当する。ここで、約380nm~約490nmの波長帯域において、第1光のピークは、ノーマライズされた太陽光スペクトルに対して0.14以下の偏差を有してもよい。
【0058】
ノーマライズされた太陽光スペクトルは、下記の式1で表すことができる。
【0059】
[式1]
【数2】

λ:波長(um)
h:プランク定数
c:光の速度
T:絶対温度
k:ボルツマン定数
【0060】
RSとして表されたスペクトルは太陽光スペクトルで、ESとして表されたスペクトルは、本発明の一実施形態に係る光源が出射した光のスペクトルである。ここで、太陽光スペクトルは、色温度が5000Kであるときに該当する。
【0061】
本発明の一実施形態に係る第1光源は、太陽光と類似するスペクトルを有する。但し、本発明の一実施形態に係る第1光源は、紫外線波長帯域のほとんどを除いて出射するという点で太陽光と相違している。本発明の一実施形態に係る光源は、実質的に、可視光線の波長帯域全体に対応する約380nm~約780nmの波長帯域を有する光を出射する。
【0062】
本発明の一実施形態に係る第1光源は、可視光線の波長帯域全体の代わりに、可視光線の一部の波長帯域に対応する光を出射することができ、例えば、約400nm~約630nmの波長帯域を有する光を出射してもよい。
【0063】
本発明の一実施形態において、太陽光と類似するということは、ノーマライズされた太陽光スペクトルを基準としたとき、既存の発明と比べて重畳する面積が所定値以上であり、太陽光スペクトルに対するピークの偏差(太陽光スペクトルのピークを基準としたときに逸脱した度合い)も所定値以下であることを意味する。例えば、本発明の一実施形態において、光源は、ノーマライズされた太陽光スペクトルの面積に対して約55%以上の面積を有する光を出射してもよく、光のピークは、ノーマライズされた太陽光スペクトルに対して約0.14以下の偏差を有してもよい。
【0064】
また、太陽光は、時刻によって多様な色温度を有し得るが、本発明の一実施形態に係る光源は、互いに異なる色温度を有する太陽光と類似するスペクトルを有する光を出射してもよい。
【0065】
太陽光は、人体、特に人の目に適用されることによって多様な治療効果を生み出すことができる。例えば、太陽光に頻繁に露出する場合、近視有病率が低下し得る。室外活動時間が少ないことから適切な太陽光を浴びることができなくなると、眼球が長く成長しながら楕円形になり、近視になる可能性が増加し得るが、本発明のように太陽光と類似する第1光源を使用する場合、近視有病率が減少し得る。
【0066】
また、本実施形態の場合、第1光源が太陽光と非常に類似する形態の波長帯域の光を提供するので、過度な青色光による副作用が最小限に抑えられる。
【0067】
既存の光源(例えば、既存の発光ダイオード)を第1光源として使用する場合、図2で確認できるように、既存の発光ダイオードの特性上、青色波長帯域の光の強度が非常に大きいことがある。これに加えて、第2光源は主に紫外線波長帯域を含む光であるが、強度が弱くても、青色波長帯域の光が共に出射され得る。この場合、第2光の青色波長帯域の光が第1光源の青色波長帯域の光と重畳することによって、最終的に青色波長帯域の光の強度が非常に大きくなる可能性がある。ところが、過度な青色波長の光が持続的に眼球に露出すると、眼球の黄斑変性、白内障などの眼科疾患の発病危険が高くなるという問題がある。
【0068】
しかし、本発明の他の実施形態に係る光源を第1光源として用いる場合、太陽光と類似する形態で青色波長帯域の光が特に強く現われないので、青色波長の光を過度に出射することなく、全波長帯域で相対的に適切な強度の光を照射することができる。これによって、青色波長帯域での過度な光露光による副作用が最小限に抑えられる。
【0069】
また、本発明の一実施形態に係る光源を第1光源として使用する場合、380nm~約780nmの波長帯域の光を出射するので、紫外線波長帯域の光は、実質的に出射されないか、非常に少ない量が出射される。したがって、第2光源を用いて紫外線を提供する場合、太陽光と類似する度合いの紫外線、特に、太陽光と類似する度合いの紫外線Bの光を提供することができる。
【0070】
また、本発明の一実施形態に係る光照射装置を使用する場合、可視光線波長帯域の光を出射する第1光源のみならず、紫外線波長帯域の光を出射する第2光源のオン/オフも選択することができる。例えば、本発明の一実施形態に係る光照射装置には、第1光源及び/又は第2光源のオン/オフをユーザーが直接操作できるように、一つ以上のスイッチが設けられてもよい。スイッチは、第1光源及び/又は第2光源に隣接するように配置されてもよく、又は第1光源及び/又は第2光源と離隔して配置されてもよい。スイッチは、第1光源及び/又は第2光源に電気的且つ物理的に接続されてもよいが、これに限定されることはなく、無線で接続されてもよい。また、スイッチの形態は、多様に提供され得るので、信号の入力を受けることができるものであれば、その形態は限定されない。例えば、スイッチは、一般的な押しボタンの形態を有してもよく、又はタッチスクリーンを用いたタッチ入力機の形態を有してもよい。
【0071】
また、ユーザーは、第1光源及び/又は第2光源のオン/オフを直接手動で操作するだけでなく、自動プログラムを用いて操作することもできる。ユーザーは、予め第1光源及び/又は第2光源の駆動時間、発光度合いなどをプログラミングしたモードを設定することができ、これを実行することによって、ユーザーの追加入力がなくても自動的に第1光源及び/又は第2光源のオン/オフを制御することができる。
【0072】
したがって、太陽光の場合、紫外線波長帯域の光が含まれた状態で人体に照射されることによって、紫外線波長帯域の光に対する露出の有無を選択的に決定することが不可能であるが、本発明の一実施形態に係る光照射装置では、必要に応じて紫外線波長帯域の光に対する露出の有無をユーザーが決定することができる。その結果、特定の機能性物質の合成が必要な人の場合、第2光源を意図的にオンにすることによって効果的に機能性物質の合成を促進することができる。
【0073】
このように、本発明の一実施形態に係る光照射装置は、ユーザーが場所及び時間と関係なく、太陽光と非常に類似する光に接することを可能にし、これに加えて、紫外線などの特定の波長の光に選択的に接することを可能にする。
【0074】
本発明の一実施形態に係る光照射装置は、特定の機能性物質の合成が必要な病院の病室に適用されることによって、患者に対する治療効果を高めることができる。また、本発明の一実施形態に係る光照射装置は、多様な携帯用装置に適用することができるので、場所及び時間に対する制限がほとんどない。これによって、本発明の実施形態は、長時間にわたって室内で活動したり、主に夜間に活動することによって太陽光に接することができない人々に、太陽光から得ることができる多様な効果を提供する。
【0075】
本発明の一実施形態に係る光照射装置は多様な形態で実施することができる。
【0076】
図4aから図4cは、本発明の一実施形態に係る光照射装置を示したブロック図である。
【0077】
図4aを参照すると、本発明の一実施形態に係る光照射装置100は、第1光を出射する第1光源30と、第2光を出射する第2光源40と、第1光源30及び第2光源40を制御する制御部50と、制御部50、第1光源30及び第2光源40に電源を供給する電源供給部60とを含んでもよい。
【0078】
第1光源30及び第2光源40のそれぞれは、上述したように、可視光線波長帯域を含む第1光、及び紫外線波長帯域を含む第2光を出射することができる。
【0079】
制御部50は、第1光源30及び第2光源40からの光の出射の有無、光量、光の強度、出射時間などを制御することができる。制御部50は、多様な方式で光の出射の有無、光量、光の強度、出射時間を制御することができるので、例えば、持続的に光を出射する方式、光の強さを順次減少又は増加させる方式、点滅方式、又は混合した方式などを採用することができる。
【0080】
制御部50には、第1光源30及び第2光源40のオン/オフをユーザーが選択することを可能にする一つ以上のスイッチが接続されてもよい。
【0081】
電源供給部60は、第1光源30、第2光源40及び制御部50に電気的に接続され、第1光源30、第2光源40及び制御部50に電源を供給する。図面では、電源供給部60が制御部50を通じて第1光源30及び第2光源40に電源を供給する例を示したが、これに限定されることはなく、第1光源30及び第2光源40に電源供給部60が直接接続され、第1光源30及び第2光源40に電源を供給してもよい。
【0082】
光照射装置100には、第1光源30及び第2光源40から選択的に出射された光を集束又は発散させる光学部がさらに設けられてもよい。光学部は、第1光源30及び第2光源40から生成された光を、必要に応じて狭い範囲又は広い部位に集束することができる。あるいは、光を照射しようとする位置によって均一又は不均一な形態で集束又は分散させることができる。光学部は、必要に応じて少なくとも一つ以上のレンズを含むことができ、レンズは、第1光源30及び第2光源40からの光を集束、分散、均一化、不均一化するなどの多様な機能を有することができる。
【0083】
例えば、本発明の一実施形態に係る光照射装置100を用いて狭い面積に光を照射する場合、第1光源30及び第2光源40に光を集束するためのレンズが使用されてもよく、本発明の一実施形態に係る光照射装置100を用いて広い面積、例えば、部屋全体に光を提供する場合、光を分散させるためのレンズが使用されてもよい。
【0084】
図4bを参照すると、本発明の一実施形態に係る光照射装置100は、図4aに示した構成要素に加えて、光照射装置100からの光が照射される場所の環境を感知するセンサー部70をさらに含んでもよい。センサー部70で感知した結果に応じて、光照射装置100は手動モード又は自動モードで駆動することができる。
【0085】
センサー部70は、第1光源30及び第2光源40の駆動に影響を与える可能性のある多様な因子を感知するためのものであって、多様なものが設けられ得る。例えば、センサー部70は、人体の存在有無を感知するセンサー部70であって、人体のモーションを感知するモーションセンサーであってもよい。人体は、一般的に動きを伴うので、このような動きを感知することによって人体の存在有無又は動きの有無を確認することができる。また、センサー部70は、人体のみならず、光照射装置から出射された光が照射される場所での外部光の有無を感知する照度センサーを含んでもよい。制御部50は、照度センサー及び/又はモーションセンサーのうち少なくとも一つのセンシング結果によって第1光源30及び第2光源40の電源のオン/オフを駆動してもよい。
【0086】
モーションセンサーは、人体の活動の有無を感知することができる。モーションセンサーによってユーザーの活動が感知された場合、第1光源30及び第2光源40をオンにしてもよい。モーションセンサーによってユーザーの活動が感知されない場合、その反対に第1光源30及び第2光源40をオフにしてもよい。又は、モーションセンサーを通じて光照射装置とユーザーとの間の距離が既に設定された限界接近距離に到逹した場合、第2光源40をオフにすることができる。
【0087】
照度センサーは、周辺の外部光の照度を感知することができる。制御部50は、周辺光の照度範囲を少なくとも一つ以上に予め設定した後、感知された周辺光の照度範囲によって第1光源30及び第2光源40をオン/オフにしたり、第1光源30及び第2光源40からの光量を調節することができる。例えば、太陽光によって周辺の外部光の照度が高い場合、第1光源30の照度を下げ、第2光源40をオフにすることができる。
【0088】
これを通じて、本発明の一実施形態に係る光照射装置は、人体の活動の有無や外部光量によって第1光源30及び第2光源40を選択的に駆動するなどの多様な形態で使用可能であり、所要電力を節減することができるという効果を有する。
【0089】
図4cを参照すると、本発明の一実施形態に係る光照射装置は、図4bに示した構成要素に加えて、第1光源30及び第2光源40のうち少なくとも一つの光出射方向を制御する駆動部80をさらに含んでもよい。
【0090】
駆動部80は、上述したセンサー部70からのセンシング情報に基づいて、人体の有無及び人体の移動の有無を感知した後、人体に向かって光が出射されるように、又は人体を避けて光が出射されるように第1光源30及び第2光源40のうち少なくとも一つの光出射方向を変更することができる。
【0091】
駆動部80は、第1光源30及び第2光源40の光出射位置を調節できるものであれば特にその形態が限定されない。駆動部80は、例えば、後述する傾斜部材であってもよい。
【0092】
本図面では、説明の便宜上、ブロック図の形態で開示したが、本発明の一実施形態に係る光照射装置は多様な形態で実施することができる。以下では、光照射装置の具体的な実施形態を説明する。
【0093】
図5aは、本発明の一実施形態に係る光照射装置の平面図であり、図5bは、図5aのI-I’線断面図である。
【0094】
図5a及び図5bを参照すると、本発明の一実施形態に係る光照射装置は、第1光源30と、第2光源40と、第1光源30及び第2光源40が実装された光源基板20とを含んでもよい。
【0095】
本実施形態において、第1光源30は複数設けられてもよく、第2光源40も複数設けられてもよい。例えば、第1光源30及び第2光源40は同じ数設けられ、図示したように、行列状に交互に配置されてもよい。しかし、第1光源30及び第2光源40の個数はこれに限定されず、第1光源30の個数は、第2光源40の個数より多くてもよく、第2光源40の個数より少なくてもよい。また、本発明の一実施形態によれば、第1光源30及び第2光源40は、その個数によって規則的に又は不規則的に配列されてもよい。
【0096】
本発明の一実施形態に係る光照射装置は、第1光源30、第2光源40及び光源基板20を収納するハウジングをさらに含んでもよい。ハウジングには、第1光源30及び第2光源40から出射された光が透過する透過窓が設けられてもよく、第1光源30及び第2光源40から出射された光は、透過窓を通じて人体側に提供されてもよい。
【0097】
本発明の一実施形態において、光源基板20の上には、制御部50が多様な形態、例えば、光源基板20上に別途の回路配線で形成されたり、別途のチップで形成され、光源基板20上に実装されるなどの形態で提供されてもよい。
【0098】
図6aは、本発明の一実施形態に係る光照射装置の平面図であり、図6bは、図6aのII-II’線断面図である。
【0099】
図6a及び図6bを参照すると、本発明の一実施形態に係る光照射装置は、上述した各実施形態に開示された構成要素に加えて、第1光源30及び第2光源40が実装された光源基板20が装着されたベース基板10をさらに含んでもよい。
【0100】
ベース基板10は、第1光源30、第2光源40及び/又は光源基板20に電源を供給できるように配線が含まれた形態で提供されてもよい。ベース基板10は、多様な形態で提供可能であり、例えば、配線が形成された金属基板、プリント回路基板などから構成されてもよい。
【0101】
本実施形態において、光源基板20は複数設けられてもよく、各光源基板20には、第1光源30のうち少なくとも一つ、第2光源40のうち少なくとも一つ、又は第1光源30及び第2光源40のそれぞれが設けられてもよい。図面では、説明の便宜上、4個の光源基板20が設けられ、二つの光源基板20には第1光源30がそれぞれ設けられ、残りの二つの光源基板20には第2光源40がそれぞれ設けられる例を示した。このように、各光源基板20は、複数の光源が実装されたパッケージ形態で提供されてもよく、この場合、多数個のパッケージをベース基板10上に配列する形態で容易に光照射装置を製造することができる。
【0102】
本発明の一実施形態において、少なくとも一つの光源基板20及びベース基板10上には、制御部が、多様な形態、例えば、少なくとも一つの光源基板20及びベース基板10上に別途の回路配線で形成されたり、別途のチップで形成され、少なくとも一つの光源基板20及びベース基板10上に実装されるなどの形態で提供されてもよい。
【0103】
図7aは、本発明の一実施形態に係る光照射装置の平面図であり、図7bは、図7aのIII-III’線断面図である。
【0104】
図7a及び図7bを参照すると、本発明の一実施形態に係る光照射装置は、上述した各実施形態に開示された各構成要素に加えて、センサー部70をさらに含んでもよい。
【0105】
本発明の一実施形態において、センサー部70は、ベース基板10上に設けられてもよい。しかし、センサー部70の位置はこれに限定されず、光源基板20上に設けられてもよく、その他に、ベース基板10や光源基板20から離隔した場所に別途配置されてもよい。センサー部70がベース基板10や光源基板20から離隔した別の場所に配置される場合、センサー部70と制御部50は配線又は無線で接続されてもよい。
【0106】
センサー部70は、第1光源30及び第2光源40の駆動に影響を及ぼし得る多様な因子を感知するためのものであって、多様なものが設けられ得る。例えば、センサー部70は、人体の存在有無を感知するセンサーであって、人体のモーションを感知するモーションセンサーであってもよい。また、センサー部70は、人体のみならず、光照射装置から出射された光が照射される場所での外部光の有無を感知する照度センサーであってもよい。
【0107】
センサー部70には、センサー部70の感知方向を調節することができる回転部材や上下移動部材などがさらに備えられてもよい。このような回転部材や上下移動部材を用いてセンサー部70が感知しようとする対象を容易に感知することができる。
【0108】
本発明の一実施形態において、センサー部70が一つ設けられた例を示したが、これに限定されるものではなく、センサー部70は多様な個数で設けられてもよい。ここで、同一の種類のセンサー部70が複数設けられてもよく、もちろん、互いに異なるセンサー部70が多様な組み合わせで複数設けられてもよい。
【0109】
図8aは、本発明の一実施形態に係る光照射装置の平面図であり、図8bは、図8aのIV-IV’線断面図である。
【0110】
図8a及び図8bを参照すると、本発明の一実施形態に係る光照射装置は、上述した各実施形態に開示された各構成要素に加えて、駆動部をさらに含んでもよい。駆動部は、第1光源30及び第2光源40のうち少なくとも一つの光出射方向を制御するためのものである。
【0111】
駆動部は、第1光源30及び第2光源40のそれぞれに設けられ、個別に第1光源30及び第2光源40のそれぞれの光出射方向を制御することもできるが、光源基板20の傾斜を制御する方式で第1光源30及び第2光源40の光出射方向を制御することもできる。本実施形態では、2個の光源基板20が設けられ、各光源基板20上に第1光源30及び第2光源40が設けられるとき、各光源基板20とベース基板10との間に駆動部として傾斜部材90が設けられる例を示した。傾斜部材90は、ベース基板10と光源基板20との間に設けられ、光源基板20の傾斜角度を調節することができる。傾斜部材90は、傾斜部材90以外にも、光源基板20を所定方向に動かせる範囲内で多様な形態で提供され得る。
【0112】
駆動部は、上述したセンサー部70からのセンシング情報に基づいて、人体の有無及び人体の移動の有無を感知した後、人体に向かって光が出射されるように、又は人体を避けて光が出射されるように第1光源30及び第2光源40のうち少なくとも一つの光出射方向を変更することができる。
【0113】
本実施形態において、制御部50は、センサー部70からの人体の情報を受信し、第1光源30及び第2光源40のオン/オフを制御すると同時に、人体に光が出射されるように駆動部、すなわち、傾斜部材90を用いて光源基板20の角度を変更することができる。
【0114】
図8cは、傾斜部材90が採用された光照射装置において、傾斜部材90の駆動によって光源基板20が傾斜した例を示した断面図である。
【0115】
傾斜部材90は、光源基板20ごとに設けられ、独立して駆動することができる。言い換えると、本発明の一実施形態において、2個以上の駆動部が設けられる場合、各駆動部に接続された第1光源30及び第2光源40は個別的に駆動することができ、これによって互いに異なる方向へ個別に光の提供が可能である。これによって、例えば、センサー部70が多数の人体を感知する場合、人体の移動に応じた個別の照明の提供が可能である。
【0116】
また、多数の人体を感知した場合でないとしても、特定の領域を指定し、その特定の領域に個別の照明を提供する必要がある場合、複数個の領域で個別の照明の提供も可能である。例えば、病院内の病室で多数の区域に別途の治療用照明を提供する必要がある場合、多数個の駆動部を備えることによって多数の区域別に光が出射されるように配置し、それぞれの領域に照明を提供することができる。
【0117】
本発明の一実施形態に係る光照射装置は、上述したように、第1光源及び第2光源が制御部によって個別に制御されることによって、多様な強度で多様な方向に第1光及び第2光を提供することができる。特に、本発明の一実施形態に係る光照射装置は、太陽光の代わりに第1光源及び第2光源の少なくとも一部が所定の度合いのドーズ量で人体に提供され得るという利点を有する。
【0118】
人の場合、太陽光のうちの特定の波長帯域の光に露出することによって、機能性物質、例えば、ビタミンDの合成が促進される。これによって、所定の度合いの機能性物質を合成するために、人体は適切な度合いで太陽光に露出する必要がある。しかし、太陽光の場合、時期(例えば、1日のどの時間、1年のどの日であるのか)によって、又は位置(例えば、緯度や経度)によって太陽光の波長帯域及び強度が変わる。
【0119】
図9は、1日の時間帯による太陽光の紫外線の強度を示した図である。図9に示したように、太陽光は、1日の時間帯によって紫外線の強度が持続的に変わる。これによって、実際に人体が必要な度合いの第1光及び第2光に合わせて太陽光に人体を露出させることは容易でない。
【0120】
しかし、本発明の一実施形態に係る照明装置は、時間又は位置によって第1光源及び第2光源が制御されることによって、太陽光に相応する光を適切な量で人体に提供できるという利点を有する。すなわち、太陽の位置によって、そして、太陽光の紫外線の強さや照射時間によって、紫外線の最大許容量以下の光が人体に露出するように第1光源及び第2光源からの光量及び強度、特に紫外線に該当する第2光源からの光量及び強度を制御することができる。例えば、本発明の一実施形態において、第2光の許容ドーズ量は、季節によって異なる値に設定され、第2光源からの第2光は許容ドーズ量に応じて制御され得る。
【0121】
本発明の一実施形態に係る光照射装置において、第1光及び第2光の光量及び強度は、多様な複数のモードに設定可能であり、ユーザーは、多様なモードのうちいずれか一つを選択し、そのモードによって第1光及び第2光の照射を受けることができる。
【0122】
例えば、本発明の一実施形態に係る光照射装置は、第1モードから第5モードに設定されてもよい。ここで、第1モードは、基本照明モードであって、基本的な照明のみを提供するモード(すなわち、第1光源のみがオンになるモード)であってもよく、第2モードは、ダイナミックモードであって、朝、昼、夕方の時間帯に合わせて第1光及び第2光の色温度及び波長が変化するモードであってもよい。第3モードは、人工光強化モードであって、第1光と比べて第2光が主要光源としてさらに出射されるように第2光源がオンになるモードであってもよい。第4モードは、太陽光モードであって、太陽光と最も類似する度合いに第1光源及び第2光源がオンになるモードであってもよい。第5モードは、ユーザー設定モードであって、ユーザーが第1光源及び第2光源のオン/オフ及び第1光及び第2光の光量及び強度を選択するモードであってもよい。
【0123】
このように、本発明の一実施形態に係る光照射装置は、ユーザーが望む条件によって設定値を容易に変更することができる。
【0124】
本発明の一実施形態に係る光照射装置は、照明及び紫外線による治療が必要な場所に多様に適用可能であり、例えば、手術室、病院などの医療施設、公共衛生や個人衛生用光照射装置に使用されてもよい。特に、本発明の一実施形態に係る光照射装置は、患者の治療目的に使用されてもよい。
【0125】
本発明の光照射装置は、公共施設、公共使用空間及び共同使用製品などに適用して公共での治療目的に使用されてもよく、又は個人施設、個人使用空間及び個人使用製品などに適用して個人の治療目的に使用されてもよい。
【0126】
また、光照射装置専用として使用されるものではなく、他の治療装置に付加されて使用されてもよい。
【0127】
図10は、本発明の一実施形態に係る光照射装置を示した平面図で、図11は、本発明の一実施形態に係る光照射装置を示したブロック図である。
【0128】
図10及び図11を参照すると、本発明の一実施形態に係る光照射装置100は、光を出射する光源30と、位置情報を受信する位置情報受信部と、位置情報受信部から位置情報を受信し、光源30から出射された光のドーズ量を制御する制御部50とを含む。ここで、位置情報とは、GPS(global positioning system)を用いて取得することができる情報を意味する。
【0129】
光源30は、多様な波長帯域の光を出射するものであって、本実施形態に係る光照射装置100がどのような用途で使用されるのかによってその波長帯域が決定され得る。例えば、本発明の一実施形態に係る光照射装置100は、照明装置として使用される場合、可視光線波長帯域の光を出射することができ、傷殺菌用として使用される場合、紫外線波長帯域の光を出射することができる。以下では、光照射装置100が使用される用途による光源30の波長帯域に対して説明する。
【0130】
位置情報受信部45は、GPSを用いて衛星からの位置情報を受信することによって光照射装置100の現在の位置情報を算出するためのものである。すなわち、位置情報は、緯度及び経度などを含むことができ、位置情報受信部45が受信した位置情報によって現在の光照射装置100の緯度及び経度などの位置情報を把握することができる。位置情報信号を用いて得た位置情報は制御部50に提供される。
【0131】
制御部50は、位置情報受信部45から提供された位置情報に基づいて光源30が出射する必要がある光のドーズ量を算出し、ドーズ量だけの光を出射するように光源30を制御する。言い換えると、制御部50は、光の出射の有無、光量、光の強度、出射時間などを制御することができる。
【0132】
電源供給部60は、光源30及び位置情報受信部45に電気的に接続された制御部50に電気的に接続され、光源30及び位置情報受信部45に電源を供給する。図面では、電源供給部60が制御部50を通じて光源30及び位置情報受信部45に電源を供給する例を示したが、これに限定されるのではなく、光源30及び位置情報受信部45がそれぞれ電源供給部60に直接接続されてもよい。
【0133】
光源30及び位置情報受信部45は基板20上に配置されてもよい。基板20は、光源30及び位置情報受信部45のうち少なくとも一つが直接実装され得る配線や回路などが形成されたプリント回路基板であってもよいが、これに限定されるのではない。基板20は、光源30及び位置情報受信部45のうち少なくとも一つが配置され得るものであれば十分であり、その形状や構造は特に限定されず、省略されてもよい。
【0134】
本発明の一実施形態に係る光照射装置100は、光源30が出射する光の波長帯域及び駆動方法によって多様な用途で使用され得る。
【0135】
本発明の一実施形態に係る光照射装置100において、光源30が出射する光が太陽光と類似する波長帯域を有する場合、光照射装置100は、日常的な照明装置又は眼球疾患の治療や予防に使用され得る。特に、本発明の一実施形態は、ユーザーが場所や時間と関係なく、太陽光と非常に類似する光に接することを可能にする。
【0136】
太陽光は、地球上の全ての場所に同一の度合いで照射されるものではなく、緯度が低いほど太陽光のドーズ量が大きくなり、緯度が高いほど太陽光のドーズ量が小さくなる。また、高度が高いほど太陽光のドーズ量が大きくなり、高度が低いほど太陽光のドーズ量が小さくなる。これによって、どの国、どの場所にユーザーが存在するのかによって太陽光に露出する時間や露出する度合いが変わり得る。
【0137】
本発明の一実施形態では、位置情報を用いて光照射装置100の位置を把握し、その位置での太陽光のドーズ量を算出した後、太陽光のドーズ量に相応する可視光線の光をユーザーに照射することによって、人体には無害な限度内で太陽光に露出した効果を得ることができる。
【0138】
以下では、これを図面を参考にして説明する。
【0139】
図12は、本発明の一実施形態に係る光照射装置の駆動方法を示したフローチャートである。
【0140】
図12を参照すると、位置情報受信部は、位置情報を受信(S11)する。例えば、位置情報受信部から得た位置情報によって光照射装置がA国家のB都市にあると判断してもよい。
【0141】
受信された位置情報は制御部に提供され、制御部は、位置情報に基づいて光照射装置が出射する必要がある光の適正なドーズ量を確認又は算出(S13)する。例えば、A国家のB都市が決定されると、A国家のB都市での緯度や経度情報以外にも、日の出時間、日の入り時間、及び平均日照量などの情報などが算出され得る。緯度及び経度情報を用いると、緯度及び経度上での日の出及び日の入り時刻が容易に確認され得るので、制御部は、現在の緯度及び経度上で日の出及び日の入り時刻を算出するアルゴリズムを用いて昼間であるのか、それとも夜間であるのかなどを判断するように構成され得る。
【0142】
制御部は、日の出時間、日の入り時間、及び平均日照量などの情報を用いて、実際の太陽光と類似する度合い、すなわち、適正な度合いのドーズ量になるように光源のオンの時間、オフの時間、光の強さなどを算出することができる。特に、照度センサーなどを追加することなく昼間や夜間などを正確に判別し、光源の光照射の有無を適宜調節することができる。
【0143】
各場所での日の出時間、日の入り時間、及び平均日照量などの情報は、制御部内の別のメモリなどに格納されていてもよく、又は別のインターネットなどに接続することによって容易に収得することができる。
【0144】
制御部は、光源をオン又はオフにして算出された適正なドーズ量に該当する光が光源からユーザーに照射(S15)されるようにする。ユーザーは、自分がいる場所で室外に出なくても、太陽光と実質的に同一の度合いのドーズ量が照射され得る。
【0145】
本発明の一実施形態において、光源から出射された光は、全体的な波長帯域の光が均一に混ざった形態であって、太陽光と類似するスペクトルを有することができる。
【0146】
本発明の一実施形態に係る光源は、太陽光と類似し、実質的に可視光線の波長帯域全体に対応する約380nm~約780nmの波長帯域を有する光を出射することができる。本発明の一実施形態において、太陽光と類似するということは、ノーマライズされた太陽光スペクトルを基準としたとき、既存の発明と比べて重畳する面積が所定値以上であり、太陽光スペクトルに対するピークの偏差(太陽光スペクトルのピークを基準としたときに逸脱した度合い)も所定値以下である場合を意味する。
【0147】
ノーマライズされた太陽光スペクトルは、式1で表されてもよい。
【0148】
本発明の一実施形態において、第1光源は、ノーマライズされた太陽光スペクトルの面積に対して約55%以上の面積を有する光を出射することができ、第1光のピークは、ノーマライズされた太陽光スペクトルに対して約0.14以下の偏差を有することができる。例えば、本発明の一実施形態において、光源から出射された光は、図13に示したスペクトルを有する光であってもよい。
【0149】
本発明の一実施形態によると、例えば、長い間室内生活をしたり、病室や限定された空間内にいたり、主に夜間に活動することによって、ユーザーが太陽光に露出しにくい環境である場合にも、自分が現在位置した場所で太陽光と類似する光を適切な時間、適切なドーズ量で受けることができる。これによって、ユーザーは、慣れた環境内に置かれ、心理的な安定が可能になり、日の出や日の入り時間などの設定を通じて照射時間も制御することができ、日常的な生体リズムの回復が容易となる。
【0150】
また、太陽光は、人の目に適用されることによって多様な治療効果を生み出すことができる。例えば、太陽光に頻繁に露出する場合、近視有病率が低下し得る。室外活動時間が少ないことから適切な太陽光を浴びることができなくなると、眼球が長く成長しながら楕円形になり、近視になる可能性が増加し得るが、本発明の一実施形態によると、そのような可能性が減少し得る。
【0151】
これに加えて、本発明の一実施形態に係る光照射装置は、太陽光と類似する光を提供し、ユーザーに有害な波長帯域の光を意図的に排除した後で提供することができる。例えば、本発明の一実施形態に係る光源は、太陽光と異なって、白内障、翼状片、光角膜炎などを誘発する波長帯域の光が排除された光を提供することができる。これによって、近視予防及び治療目的で室外で太陽光を浴びるときは、時間、紫外線数値などを考慮して室外活動時間を調節しなければならないという問題が全く発生せず、長時間光に露出したときにも有害性がほとんどない。
【0152】
上述した実施形態において、光源から出射された光が太陽光と類似する光であることを一例として説明したが、これに限定されるのではなく、もちろんそれ以外の光、例えば、紫外線や赤外線も類似する形態で適用され得る。
【0153】
上述した実施形態では、位置情報に基づいて太陽光に取って代わる単独照明として使用された例を説明したが、本発明の一実施形態は、これに限定されるのではなく、太陽光や照明装置から出射された自然光、すなわち、外部光がある状態で外部光の不足する部分を補完する補正光源として使用されてもよい。例えば、緯度が高い地域に位置した場所の場合、日照量が緯度の低い地域より著しく低いことがあり、この場合、不足する日照量を補完する必要がある。日照量が低い場合、ユーザーに照射される可視光線波長帯域の光が不足することはもちろん、紫外線波長帯域の光が不足することもある。この場合、本発明の一実施形態に係る光照射装置は、不足する可視光線波長帯域の光、紫外線波長帯域の光を追加的に照射することによって不足する光を補完する役割をすることができる。
【0154】
図13は、本発明の一実施形態に係る光照射装置の駆動方法を示したフローチャートである。
【0155】
図13を参照すると、位置情報受信部は、位置情報を受信(S21)する。例えば、位置情報受信部から得た位置情報によって光照射装置がC国家のD都市にあると判断してもよい。
【0156】
受信された位置情報は制御部に提供され、制御部は、位置情報に基づいて現在のその位置での日の出時間、日の入り時間、及び平均日照量などの情報などを算出し、日の出時間、日の入り時間、及び平均日照量などの情報を用いて実際の太陽光の現在のドーズ量を算出(S23)する。
【0157】
次に、ユーザーに必要な適正なドーズ量と現在のドーズ量との差を算出(S25)する。例えば、C国家のD都市の場合、緯度が高い地域に位置しており、日照量が不足する場合、実際に必要な日照量が適正なドーズ量になり、適正なドーズ量から現在のドーズ量を引いた値が、不足するドーズ量になる。ユーザーに必要な適正なドーズ量は、制御部内の別のメモリなどに格納されていてもよく、又は別のインターネットなどに接続することによって容易に収得することができる。
【0158】
制御部は、光源をオン又はオフにして算出された適正なドーズ量と外部光のドーズ量との差に該当するドーズ量、すなわち、不足するドーズ量だけ該当する光が光源から被処理対象に照射(S27)されるようにする。
【0159】
ユーザーは、自分がいる場所と関係なく、ユーザーに最も適切な度合いのドーズ量で所定の光に照射され得る。
【0160】
本発明の一実施形態において、不足する特定の波長の光を補完することによって追加の効果を得ることができるので、例えば、赤色から近赤外線波長帯域の光を補完する場合、傷治療時の免疫機転を活性化することができる。また、青色波長帯域の光や紫外線波長帯域の光を補完する場合、病原体に対する殺菌効果を得ることができる。以下では、このような光の効果を説明する。
【0161】
赤色から近赤外線波長帯域の光は、皮膚内に照射されることによって血管を拡張させ、血液循環を促進するという効果を有する。すなわち、赤色から近赤外線波長帯域の光は血流を改善し、その結果、免疫作用が促進される。より詳細には、赤色可視光線から近赤外線は、被処理対象の皮膚に作用し、細胞内のミトコンドリアを刺激することによってATP(adenosine tri-phosphate)、ROS(reactive oxygen species)、及び/又はNO(nitrogen oxide)を生成する。ATP、ROS、及び/又はNOは、傷ついた部位に作用し、傷の治癒を促進する。ATP及びROSは、傷の治癒に必要な免疫反応である炎症反応に関与する各遺伝子、及び細胞の成長に必要な各遺伝子の発現を誘導する。また、ROS及び/又はNOは、傷ついた部位に侵透したバクテリアなどの病原体を殺菌する機能を有する。これによって、損傷した組織部分で炎症反応及び細胞成長が誘導され、結果的に傷が治癒される。NOは、免疫細胞の移動を促進し、組織治癒過程を加速化するための酸素及び栄養素の供給を増加させる。また、周辺組織の毛細血管を拡張し、新しい毛細血管の形成を誘導する。赤色から近赤外線波長帯域の光は、約610nm~約940nmの波長帯域の光に該当し得る。本発明の一実施形態において、赤色から近赤外線波長帯域の光は、赤色可視光線波長帯域、例えば、約610nm~約750nmの光であってもよく、又は、赤外線波長帯域、例えば、約750nm~約940nmの光であってもよい。又は、本発明の一実施形態において、赤色から近赤外線波長帯域の光は、赤外線波長帯域のうち約830nmの光、850nmの光、又は890nmの光であってもよい。
【0162】
青色波長帯域の光は、バクテリア、細菌、カビなどの微生物のような病原体内に存在する光増感剤(photosensitizer)に作用し、細胞を損傷させることによって微生物の死滅を誘導する。青色波長帯域の光は、細菌内に存在する光増感剤であるポルフィリン(porphyrin)の吸収波長に対応する。青色波長帯域の光は、特に400nm~420nm、455nm~470nmの波長で高い殺菌力を示し、これは、光増感剤であるポルフィリンの吸収波長帯域に該当する。ポルフィリンは、細胞内の酸素伝達過程の必須要素である顔料である。ポルフィリンは、特に約402nm~約420nmの波長で高い吸収率を示し、約455nm~470nmの波長も吸収する。本発明の一実施形態において、ポルフィリンは、バクテリアの種類によって含量の差を有するので、青色波長帯域の光の波長及び強度を調節することによって特定のバクテリアの死滅目的で使用されてもよい。細菌に青色波長帯域の光が照射されると、細菌内のポルフィリンは、青色波長帯域の光を吸収し、青色波長帯域の光のエネルギーによって細菌の細胞内に活性酸素(reactive oxygen species)が生成される。活性酸素は、細菌の細胞内に蓄積されることによって細菌の細胞壁を酸化させ、その結果、細菌が死滅するという効果を有する。青色波長帯域の光は、約400nm~約500nmの波長帯域の光に該当し得る。本発明の一実施形態において、青色波長帯域の光は、約400nm~約420nmの波長帯域の光であってもよい。本発明の一実施形態において、より詳細には、青色波長帯域の光は、405nmの波長を有する光であってもよい。
【0163】
紫外線波長帯域の光は、バクテリア、細菌、カビなどの病原体を死滅させるという効果を有するので、紫外線が細菌に照射されると、細菌内のDNAが紫外線を吸収し、紫外線のエネルギーによってDNA構造の変化が生じる。光の吸収によってDNA内のチミンとアデニンとの結合が切れるが、これは、DNAを構成する各塩基であるプリンやピリミジンなどが紫外線を強く吸収するためであり、光の吸収結果、チミンダイマーが形成される。このような過程を経てDNAの変形が起こり、変形したDNAは、細胞増殖能力を有しないので細菌の死滅につながる。DNAは、約240nm~約280nmの波長帯域の光を吸収することができる。これによって、自然光に加えて、追加の補完用光として紫外線が使用される場合、紫外線は、約100nm~約400nmの波長帯域の光であってもよく、UVA、UVB、UVCであってもよい。UVAは、約315nm~約400nmの波長帯域を有することができ、UVBは、約280nm~約315nmの波長帯域を有することができ、UVCは、約100nm~約280nmの波長帯域を有することができる。本発明の一実施形態において、紫外線はUVCに該当することができ、このとき、約240nm~約280nmの波長帯域を有することができる。本発明の一実施形態において、より詳細には、紫外線は、275nmの波長を有する光であってもよい。
【0164】
ここで、紫外線波長帯域の光は、人体内でのビタミンDの合成を促進するので、特にUVBの場合、ビタミンDの合成を促進するという効果を有する。人体に照射される紫外線は紫外線B波長帯域であってもよく、ビタミンB波長帯域に人体が露出する場合、皮膚細胞内の7-デヒドロコレステロール(dehydrocholesterol)がコレカルシフェロール(Cholecalciferol)、すなわち、ビタミンD3を合成するようになる。
【0165】
本発明の一実施形態において、紫外線照射時の光量は多様に変更可能であるが、殺菌しようとする対象への総ドーズ量は、人体に無害な範囲内に設定される。また、ビタミンDの合成を促進する限度内で、紫外線の光量は、光火傷を負わない無害な範囲のドーズ量に設定される。
【0166】
特に、紫外線が人体に照射されるとき、1日当たりの無害な範囲のドーズ量を許容ドーズ量とすると、光源は、許容ドーズ量内で紫外線を出射することができる。例えば、紫外線の許容ドーズ量は、約30mJ/m~約1000000J/mであってもよく、又は約30mJ/m~約10000J/mであってもよく、その量が波長帯域によって変わり得る。
【0167】
表1は、太陽の天頂角に応じた日焼けにかかる時間、日焼けを起こすUVBのドーズ量、ビタミンD1000IUを合成するのに必要なUVBのドーズ量を示したものである。ここで、UVBのドーズ量は、皮膚タイプI-IIの顔と手(10%)を基準として測定した。

【0168】
【表1】
【0169】
表1で確認できるように、紫外線は、太陽の高度によって異なる値で照射され、日差しによる日焼けに至るドーズ量も異なる。これは、地球上での位置によって照射される太陽光の紫外線ドーズ量が互いに異なることを意味し、日差しによる日焼けに至るドーズ量も異なることを意味する。これによって、位置情報による位置設定を通じて、その位置にいる人に必要なドーズ量及び最大許容ドーズ量が場所ごとに設定される必要があるということを確認することができる。本発明の一実施形態では、制御部がこのような情報をテーブル化してメモリなどに格納したり、インターネットなどを介してアクセスすることができ、これによって光源からの光量を制御することができる。その結果、本発明の一実施形態に係る照明装置においては、時期又は位置によって光源が制御されることによって、太陽光に相応する光、又は必要に応じてそのドーズ量が適切に補正された光が人体に提供され得るという利点を有する。
【0170】
上述した光照射装置の駆動方法は、光源の波長帯域によって多様な形態に変更されてもよい。以下では、光源の種類及び波長帯域による多様な実施形態について説明する。
【0171】
本発明の一実施形態において、光源は複数設けられてもよく、この場合、複数個の光源は互いに異なる波長帯域の光を出射することができる。複数個の光源は、同時に駆動してもよく、又はそれぞれが独立して駆動してもよい。
【0172】
図15aは、本発明の一実施形態に係る光照射装置において、光源が二つ、すなわち、第1光源及び第2光源が設けられる例を示した図で、図15bは、光源が三つ、すなわち、第1光源、第2光源、及び第3光源が設けられる例を示した図である。本発明の一実施形態において、各光源が2個及び3個設けられる例を示したが、本発明の一実施形態はこれに限定されず、もちろんこれと異なる個数設けられてもよい。
【0173】
図15aを参照すると、光源は、第1波長帯域の光を出射する第2光源と、第1波長帯域と異なる第2波長帯域の光を出射する第2光源とを含んでもよい。
【0174】
本発明の一実施形態において、第1光源は、上述した実施形態のような太陽光と類似する波長帯域の光、すなわち、紫外線、可視光線、及び赤外線を含む光を出射することができ、第2光源は紫外線波長帯域の光を出射することができる。
【0175】
本発明の一実施形態において、第1光源は可視光線波長帯域の光を出射することができ、第2光源は紫外線波長帯域の光を出射することができる。
【0176】
本発明の一実施形態において、第1光源は青色波長帯域の光を出射することができ、第2光源は紫外線波長帯域の光を出射することができる。
【0177】
本発明の一実施形態において、第1光源は可視光線波長帯域の光を出射することができ、第2光源は赤外線波長帯域の光を出射することができる。又は、第2光源は赤色から近赤外線波長帯域の光を出射することができる。
【0178】
本発明の一実施形態において、第1光源は青色波長帯域の光を出射することができ、第2光源は赤外線波長帯域の光を出射することができる。又は、第2光源は赤色から近赤外線波長帯域の光を出射することができる。
【0179】
本発明の一実施形態において、第1光源は紫外線波長帯域の光を出射することができ、第2光源は近赤外線波長帯域の光を出射することができる。又は、第2光源は赤色から近赤外線波長帯域の光を出射することができる。
【0180】
図15bを参照すると、光源は、第1波長帯域の光を出射する第2光源と、第1波長帯域と異なる第2波長帯域の光を出射する第2光源と、第1波長帯域及び第2波長帯域と異なる第3波長帯域の光を出射する第3光源とを含むことができる。第1光源から第3光源はそれぞれ独立して駆動し、これによって第1光源から第3光源は多様な形態で組み合わされてもよい。この場合、制御部は、それぞれの光を個別に提供したり、第1光から第3光のうち少なくとも二つの光を混合してユーザーに照射できるようになる。
【0181】
本発明の一実施形態において、第1光源は紫外線波長帯域の光を出射することができ、第2光源は可視光線波長帯域の光を出射することができ、第3光源は赤外線波長帯域の光を出射することができる。
【0182】
本発明の一実施形態に係る光照射装置において、光源からの光の光量及び強さは、多様な複数のモードに設定可能であり、ユーザーは、多様なモードのうちいずれか一つを選択し、そのモードによって光の照射を受けることができる。
【0183】
例えば、本発明の一実施形態に係る光照射装置が第1光源から第3光源を含む場合、第1モードは第1光源のみをオンにするモードで、第2モードは第1光源及び第2光源をオンにするモードで、第3モードは第1光源及び第3光源をオンにするモードで、第4モードは、第1光源を点滅し、第3光源をオンにするモードである多様な形態及び方式で各光源を制御することができる。
【0184】
このような各モードは、自動で設定されてもよいが、ユーザーによって手動で設定されてもよい。このように、本発明の一実施形態に係る光照射装置は、ユーザーが望む条件によって設定値を容易に変更することができる。
【0185】
本発明の一実施形態に係る光照射装置は、照明及び光治療が必要な場所に多様に適用可能であり、例えば、一般的な場所の照明装置のみならず、手術室、病院などの医療施設、公共衛生や個人衛生用光照射装置に使用されてもよい。特に、本発明の一実施形態に係る光照射装置は、患者の治療目的に使用されてもよい。
【0186】
特に、本発明の光照射装置は、公共施設、公共使用空間及び共同使用製品などに適用して公共での治療目的に使用されてもよく、個人施設、個人使用空間及び個人使用製品などに適用して個人の治療目的に使用されてもよい。また、本発明の光照射装置は、光照射装置専用として使用されるのではなく、他の治療装置に付加して使用されてもよい。
【0187】
以上では、本発明の好適な実施形態を参照して説明したが、該当の技術分野で熟練した当業者又は該当の技術分野で通常の知識を有する者であれば、後述する特許請求の範囲に記載した本発明の思想及び技術領域から逸脱しない範囲内で本発明を多様に修正及び変更可能であることを理解できるだろう。
【0188】
したがって、本発明の技術的範囲は、明細書の詳細な説明に記載した内容に限定されるのではなく、特許請求の範囲によって定められなければならない。
図1
図2
図3a
図3b
図4a
図4b
図4c
図5a
図5b
図6a
図6b
図7a
図7b
図8a
図8b
図8c
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15a
図15b
【国際調査報告】