(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-26
(54)【発明の名称】3端子タンデム太陽光発電ユニット
(51)【国際特許分類】
H01L 51/44 20060101AFI20220119BHJP
H01L 31/078 20120101ALI20220119BHJP
【FI】
H01L31/04 122
H01L31/04 112Z
H01L31/06 600
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021531092
(86)(22)【出願日】2019-12-16
(85)【翻訳文提出日】2021-06-18
(86)【国際出願番号】 EP2019085326
(87)【国際公開番号】W WO2020127030
(87)【国際公開日】2020-06-25
(32)【優先日】2018-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520478437
【氏名又は名称】トタル エスイー
(71)【出願人】
【識別番号】507030070
【氏名又は名称】エレクトリシテ ド フランス
(71)【出願人】
【識別番号】592236245
【氏名又は名称】サントル・ナシオナル・ドゥ・ラ・ルシェルシュ・シアンティフィク
【氏名又は名称原語表記】CENTRE NATIONAL DE LARECHERCHE SCIENTIFIQUE
(71)【出願人】
【識別番号】521231374
【氏名又は名称】エコール ポリテクニーク
(71)【出願人】
【識別番号】521217080
【氏名又は名称】アンスティテュ フォトボルタイク ディル ド フランス
(71)【出願人】
【識別番号】521231385
【氏名又は名称】レール リキード ソシエテ アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ヒルト,フローリアン
(72)【発明者】
【氏名】シュルツ,フィリップ
(72)【発明者】
【氏名】ドライ,エチエンヌ
【テーマコード(参考)】
5F151
【Fターム(参考)】
5F151AA02
5F151AA03
5F151AA07
5F151AA08
5F151AA09
5F151AA10
5F151AA11
5F151DA15
5F151FA03
5F151FA04
5F151FA06
5F151FA16
5F151FA30
(57)【要約】
本発明は、3端子タンデム太陽光発電ユニット(1)に関し、3端子タンデム太陽光発電ユニット(1)は、-ペロブスカイト型の化合物から作られた第1の吸収層(7)と、-第2の吸収層(11、11’)と、-第1の吸収層(7)の表側に配置された第1および第2の櫛歯形表接点(5a、5b)であって、第1の表接点(5a)は第1の極性を有し、第2の表接点(5b)は第2の極性を有する、第1および第2の櫛歯形表接点(5a、5b)と、-第2の吸収層(11、11’)の裏側に配置された第1および第2の極性を有する裏接点(17、17’)と、-第1(7)および第2の吸収層(11、11’)の間に配置された界面層(9、90、9’、90’)であって、第1の極性に従ってドープされた第1の半導体副層(9a、90a、9a’、90a’)と、第2の極性に従ってドープされた第2の副層(9b、90b、9b’、90b’)とを含み、かつ、裏接点(17、17’)の極性とは異なる極性に関連したキャリアを第2の吸収層(11、11’)から第1の吸収層(7)に輸送し、裏接点(17、17’)の極性とは異なる極性を有する表接点(5a、5b)に収集可能に構成された界面層(9、90、9’、90’)と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
3端子タンデム太陽光発電ユニット(1)であって、
-ペロブスカイト型の結晶構造を有する化合物から作られ、かつ、表側と裏側とを備える第1の吸収層(7)と、
-表側と裏側とを備える第2の吸収層(11、11’)と、
-前記第1の吸収層(7)の前記表側に配置された第1および第2の櫛歯型表接点(5a、5b)であって、前記第1の表接点(5a)は第1の極性を有し、前記第2の表接点(5b)は第2の極性を有する、第1および第2の櫛歯型表接点(5a、5b)と、
-前記第2の吸収層(11、11’)の前記裏側に配置され、前記第1または第2の極性を有する裏接点(17、17’)と、
-前記第1(7)および第2(11、11’)の吸収層の間に配置された界面層(9、90、9’、90’)であって、前記第1の極性に従ってドープされた第1の半導体副層(9a、90a、9a’、90a’)と、前記第2の極性に従ってドープされた第2の副層(9b、90b、9b’、90b’)とを含み、かつ、前記裏接点(17、17’)の前記極性とは異なる極性に関連したキャリアを前記第2の吸収層(11、11’)から前記第1の吸収層(7)に輸送し、前記裏接点(17、17’)の前記極性とは異なる極性を有する前記表接点(5a、5b)で収集可能に構成された界面層(9、90、9’、90’)と、を備える3端子タンデム太陽光発電ユニット。
【請求項2】
前記界面層(9、90、9’、90’)がトンネル接合層である、請求項1に記載の3端子タンデム太陽光発電ユニット(1)。
【請求項3】
前記界面層(9、90、9’、90’)が、透明導電性酸化物の2つの副層から作られた再結合層である、請求項1に記載の3端子タンデム太陽光発電ユニット(1)。
【請求項4】
前記第2の吸収層(7)が結晶シリコンから作られている、請求項1~3のいずれか1項に記載の3端子タンデム太陽光発電ユニット(1)。
【請求項5】
前記第2の吸収層(7)は、
-III-V族半導体合金、
-ペロブスカイト型の結晶構造を有する化合物、
-銅インジウムガリウムセレン化物「CIGS」、
-テルル化カドミウム「CdTe」、の合金のうちの1つの合金から作られる、請求項1~3に記載の3端子タンデム太陽光発電ユニット(1)。
【請求項6】
前記第1の極性は、関連するキャリアとして正孔を有するp型極性に対応し、前記第2の極性は、関連するキャリアとして電子を有するn型極性に対応する、請求項1~5のいずれか1項に記載の3端子タンデム太陽光発電ユニット(1)。
【請求項7】
前記裏接点(17、17’)が前記第1の極性を有し、かつ、裏面電界(13)を含み、前記第2の吸収層(11、11’)が前記第1の極性に従ってドープされている、請求項6に記載の3端子タンデム太陽光発電ユニット(1)。
【請求項8】
前記トンネル接合は、前記第1の極性に従って高濃度にドープされ、かつ、前記第2の吸収層(11、11’)の前記表側と接触して配置された副層と、前記第2の極性に従ってドープされ、かつ、前記第1の吸収層(7)の前記裏側に接触して配置された副層と、を含む、請求項7に記載の3端子タンデム太陽光発電ユニット(1)。
【請求項9】
前記裏接点(17、17’)が前記第2の極性を有し、前記第2の吸収層(11、11’)が前記第2の極性に従ってドープされている、請求項6に記載の3端子タンデム太陽光発電ユニット(1)。
【請求項10】
前記トンネル接合は、前記第2の極性に従って高濃度にドープされ、かつ、前記第2の吸収層(11、11’)の前記表側と接触して配置された副層と、前記第1の極性に従ってドープされ、前記第1の吸収層(7)の前記裏側に接触して配置された副層と、を含む、請求項9に記載の3端子タンデム太陽光発電ユニット(1)。
【請求項11】
前記表および裏接点(5a、5b、17、17’)は、パッシベーション接点である、請求項1~10のいずれか1項に記載の3端子タンデム太陽光発電ユニット(1)。
【請求項12】
前記第1および第2の表接点(5a、5b)は、それぞれ正孔輸送層「HTL」および電子輸送層「ETL」を含む、請求項6に記載の3端子タンデム太陽光発電ユニット。
【請求項13】
前記正孔輸送層は、
-酸化ニッケル「NiO
X」
、
-酸化モリブデン「MoO
X」、
-酸化タングステン「WO
X」、
-2,2’,7,7’-テトラキス-(N,N-ジ-4-メトキシフェニルアミノ)-9,9’-スピロビフルオレン「スピロ-OMeTAD」、
-ポリ(トリアリールアミン)「PTAA」、
-ポリ(3-ヘキシルチオフェン)「P3HT」、
-ポリ(スチレンスルホン酸)でドープしたポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)「PEDOT:PSS」、
-チオシアン酸銅(I)「CuSCN」、
-酸化コバルト「CoO
X」、
-酸化クロム「CrO
X」、
-ヨウ化銅(I)「CuI」、
-硫化銅「CuS」、
-酸化銅「CuO
X」、
-酸化バナジウム「Vo
X」、のうちの1つから作られ、
前記電子輸送層は、
-酸化スズ「SnO
X」、
-酸化チタン「TiO
X」、
-酸化亜鉛「ZnO
X」、
-炭素、C
60および誘導体、
-ジルコニア「ZrO
X」、
-黒鉛、
-グラフェン、
-酸化グラフェン「rGO」、のうちの1つから作られる、請求項12に記載の3端子タンデム太陽光発電ユニット(1)。
【請求項14】
前記表および裏接点(5a、5b、17、17’)は、金属グリッドまたは透明導電性酸化物グリッドを含む、請求項1~13のいずれか1項に記載の3端子タンデム太陽光発電ユニット(1)。
【請求項15】
3端子タンデム太陽光発電ユニット(1)の製造プロセスであって、
-裏面および表面を有する光透過性基板を設けるステップ(101)と、
-前記基板の前記表面に第1または第2の極性を有する裏接点を堆積するステップ(102)と、
-前記裏接点に第2の吸収層を堆積するステップ(103)と、
-前記第2の吸収層上に、トンネル接合の第1の高濃度ドープ半導体副層を堆積するステップ(104)と、
-前記第1の副層上に、前記トンネル接合の第2のドープ半導体副層を堆積するステップ(105)と、
-前記第2の副層上に、ペロブスカイト型の結晶構造を有する化合物から作られた第1の吸収層を堆積するステップ(106)と、
-前記第1の吸収層上に、第1および第2の櫛歯型表接点を堆積するステップであって、前記第1の表接点が第1の極性を有し、前記第2の表接点が第2の極性を有する、ステップ(107)と、を含む製造プロセス。
【請求項16】
3端子タンデム太陽光発電ユニットの製造プロセスであって、
-結晶シリコン系光電池を設けるステップであって、前記結晶シリコン系光電池は、光が結晶シリコン層に当たる側になるように構成された表側、および前記表側と反対側の裏側を備える前記結晶シリコン層と、前記結晶シリコン層の前記裏側に配置された第1の組の層と、前記結晶シリコン層の前記表側に配置された第2の組の層と、を備える、ステップ(201)と、
-前記結晶シリコン光電池の前記第2の組の層を除去するステップ(202)と、
-前記結晶シリコン層の前記表側に、トンネル接合の第1の高濃度ドープ半導体副層を堆積するステップ(203)と、
-前記第1の副層上に、前記トンネル接合の第2のドープ半導体副層を堆積するステップ(204)と、
-前記第2の副層上に、ペロブスカイト型結晶構造から作られた第1の吸収層(7)を堆積するステップ(205)と、
-前記第1の吸収層上に、第1および第2の櫛歯形表接点(5a、5b)を堆積するステップであって、前記第1の表接点は第1の極性を有し、前記第2の表接点は第2の極性を有する、ステップ(206)と、を含む製造プロセス。
【請求項17】
前記第2の組の層を除去するステップ(202)は、フッ化水素酸またはフッ化水素酸と硝酸との混合物を使用するエッチングステップおよび/または研磨ステップを含む、請求項16に記載の製造プロセス。
【請求項18】
請求項1~14のいずれか1項に記載された3端子タンデム太陽光発電ユニットを機能させる方法であって、前記第1の吸収層(7)で生成された電流と、前記第2の吸収層(11,11’)で生成された電流とが釣り合うように、前記第1および第2の櫛歯形表接点(5a、5b)の間で生成される電流が調整される、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽光発電エネルギーの生成に関し、特に太陽エネルギーを電気に変換することが可能な太陽光発電ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
気候変動、地球温暖化、および、化石燃料の枯渇に伴い、代替資源、特に再生可能エネルギー資源を使用するための多くの技術が過去数年に渡って開発されてきた。
【0003】
主な技術の1つは、光電池を使用して太陽エネルギーを電気に変換することである。
【0004】
太陽電池は、光が吸収されて電子と正孔のペアを作成するPN接合と、一方側で電子を収集し、他方側で正孔を収集する対向電極と、を備える。
【0005】
太陽電池の効率を改善するための1つの方法は、複数の太陽電池を積み重ねて、多重接合、すなわちタンデム太陽電池を形成することである。
【0006】
種々の形式のタンデム太陽電池が開発されているが、構成ごとにいくつかの欠点があり得る。例えば、2端子(2T)構成では、直列に接続されたサブセルのために電流マッチングが必要となる。また、4端子(4T)構成ではより多くの層を要し、それゆえ、コストが高くなり、かつ、余分な寄生損失が発生してしまうおそれがある。
【0007】
3端子(3T)構成は、2Tおよび4T端子によって与えられる欠点を低減する可能性がある。ただし、3T構成では通常、櫛歯形裏接点(IBC)が必要であり、それによって長い拡散長のn型材料などの高品質の材料が必要なため、大量生産品である低コストのパシベーションエミッタおよびリアセル(PERC)の使用が妨げられてしまう。
【0008】
したがって、本発明の目的は、高い効率を備えた太陽光発電ユニットを提供し、同時にそのような太陽光発電ユニットの製造コストを抑えることである。
【発明の概要】
【0009】
本発明は3端子タンデム太陽光発電ユニットに関し、この3端子タンデム太陽光発電ユニットは、
-ペロブスカイト型の結晶構造を有する化合物から作られ、かつ、表側と裏側とを備える第1の吸収層と、
-表側と裏側とを備える第2の吸収層と、
-第1の吸収層の表側に配置された第1および第2の櫛歯形表接点であって、第1の表接点は第1の極性を有し、第2の表接点は第2の極性を有する、第1および第2の櫛歯形表接点と、
-第2の吸収層の裏側に配置され、第1または第2の極性を有する裏接点と、
-第1および第2の吸収層の間に配置された界面層であって、第1の極性に従ってドープされた第1の半導体副層と、第2の極性に従ってドープされた第2の副層とを含み、かつ、裏接点の極性とは異なる極性に関連したキャリアを第2の吸収層から第1の吸収層に輸送し、裏接点の極性とは異なる極性を有する表接点で収集可能に構成された界面層と、を備える。
【0010】
本発明の別の態様によれば、界面層はトンネル接合層である。
【0011】
本発明のさらなる態様によれば、界面層は、透明導電性酸化物の2つの副層から作られた再結合層である。
【0012】
本発明の追加の態様によれば、第2の吸収層は結晶シリコンから作られている。
【0013】
本発明の別の態様によれば、第2の吸収層は、
-III-V族半導体合金、
-ペロブスカイト型の結晶構造を有する化合物、
-銅インジウムガリウムセレン化物「CIGS」、
-テルル化カドミウム「CdTe」の合金のうちの1つの合金から作られる。
【0014】
本発明のさらなる態様によれば、第1の極性は、関連するキャリアとして正孔を有するp型極性に対応し、第2の極性は、関連するキャリアとして電子を有するn型極性に対応する。
【0015】
本発明の追加の態様によれば、裏接点が第1の極性を有し、かつ、裏面電界を含み、第2の吸収層が第1の極性に従ってドープされている。
【0016】
本発明の別の態様によれば、トンネル接合は、第1の極性に従って高濃度にドープされ、かつ、第2の吸収層の表側と接触して配置された副層と、第2の極性に従ってドープされ、かつ、第1の吸収層の裏側に接触して配置された副層と、を含む。
【0017】
本発明のさらなる態様によれば、裏接点が第2の極性を有し、第2の吸収層が第2の極性に従ってドープされている。
【0018】
本発明の追加の態様によれば、トンネル接合は、第2の極性に従って高濃度にドープされ、かつ、第2の吸収層の表側と接触して配置された副層と、第1の極性に従ってドープされ、第1の吸収層の裏側に接触して配置された副層と、を含む。
【0019】
本発明の別の態様によれば、表および裏接点はパッシベーション接点である。
【0020】
本発明のさらなる態様によれば、第1および第2の表接点は、それぞれ正孔輸送層「HTL」および電子輸送層「ETL」を含む。
【0021】
本発明の別の態様によれば、正孔輸送層は、
-酸化ニッケル「NiOX」、
-酸化モリブデン「MoOX」、
-タングステン酸化物「WOX」、
-2,2’,7,7’-テトラキス-(N,N-ジ-4-メトキシフェニルアミノ)-9,9’-スピロビフルオレン「スピロ-OMeTAD」、
-ポリ(トリアリールアミン)「PTAA」、
-ポリ(3-ヘキシルチオフェン)「P3HT」、
-ポリ(スチレンスルホン酸)でドープしたポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)「PEDOT:PSS」、
-チオシアン酸銅(I)「CuSCN」、
-酸化コバルト「CoOX」、
-酸化クロム「CrOX」、
-ヨウ化銅(I)「CuI」、
-硫化銅「CuS」、
-酸化銅「CuOX」、
-酸化バナジウム「VoX」のうちの1つから作られ、
電子輸送層は、
-酸化スズ「SnOX」、
-酸化チタン「TiOX」、
-酸化亜鉛「ZnOX」、
-炭素、C60および誘導体、
-ジルコニア「ZrOX」、
-黒鉛、
-グラフェン、
-酸化グラフェン「rGO」のうちの1つから作られる。
【0022】
本発明の追加の態様によれば、表および裏接点は、金属グリッドまたは透明導電性酸化物グリッドを含む。
【0023】
また、本発明は3端子タンデム太陽光発電ユニットの製造プロセスにも関し、
-裏面および表面を有する光透過性基板を設けるステップと、
-基板の表面に、第1または第2の極性を有する裏接点を堆積するステップと、
-裏接点に第2の吸収層を堆積するステップと、
-第2の吸収層上に、トンネル接合の第1の高濃度ドープ半導体副層を堆積するステップと、
-第1の副層上に、トンネル接合の第2のドープ半導体副層を堆積するステップと、
-第2の副層上に、ペロブスカイト型結晶構造を有する化合物から作られた第1の吸収層を堆積するステップと、
-第1の吸収層上に、第1および第2の櫛歯形表接点を堆積するステップであって、第1の表接点が第1の極性を有し、第2の表接点が第2の極性を有する、ステップと、を含む。
【0024】
本発明はまた、3端子タンデム太陽光発電ユニットの製造プロセスにも関し、
-結晶シリコン系光電池を設けるステップであって、結晶シリコン系光電池は、光が結晶シリコン層に当たる側になるように構成された表側、およびこの表側と反対側の裏側を備える結晶シリコン層と、結晶シリコン層の裏側に配置された第1の組の層と、結晶シリコン層の表側に配置された第2の組の層と、を備える、ステップと、
-結晶シリコン光電池の第2の組の層を除去するステップと、
-結晶シリコン層の表側に、トンネル接合の第1の高濃度ドープ半導体副層を堆積するステップと、
-第1の副層上に、トンネル接合の第2のドープ半導体副層を堆積するステップと、
-第2の副層上に、ペロブスカイト型結晶構造を有する化合物から作られた第1の吸収層を堆積するステップと、
-第1の吸収層上に、第1および第2の櫛歯形表接点を堆積するステップであって、第1の表接点が第1の極性を有し、第2の表接点が第2の極性を有する、ステップと、を含む。
【0025】
本発明の別の態様によれば、第2の組の層を除去するステップは、フッ化水素酸またはフッ化水素酸と硝酸との混合物を使用するエッチングステップおよび/または研磨ステップを含む。
【0026】
本発明はまた、3端子タンデム太陽光発電ユニットを機能させる方法にも関し、第1の吸収層で生成された電流と、第2の吸収層で生成された電流とが釣り合うように、第1および第2の櫛歯形表接点の間に生成される電流が調整される。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本発明の第1の実施形態による3端子タンデム太陽光発電ユニットの図である。
【
図2】本発明の第2の実施形態による3端子タンデム太陽光発電ユニットの図である。
【
図3】本発明の第3の実施形態による3端子タンデム太陽光発電ユニットの図である。
【
図4】本発明の第4の実施形態による3端子タンデム太陽光発電ユニットの図である。
【
図5】電流測定による3端子タンデム太陽光発電ユニットの図である。
【
図6】本発明の第1の実施形態による3端子タンデム太陽光発電ユニットを得るための別の製造プロセスのフローチャートである。
【
図7】本発明の第2実施形態による3端子タンデム太陽光発電ユニットを得るための製造プロセスの別のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下の成果は一例である。本明細書は1つまたは複数の実施形態を参照しているが、それぞれの参照が同一の実施形態を言及するわけではなく、さらに、特徴が1つの実施形態にのみ適用されるわけでもない。異なる実施形態の単純な特徴を組み合わせて、他の実施形態を提供することも可能である。
【0029】
本発明は、3つの端子を備えたタンデム太陽光発電ユニットに関する。そのようなタンデムセルは、直列に配置された2つの異なる吸収層を含み、これらの吸収層は異なるバンドギャップを有し、かつ、光スペクトルの異なる部分を吸収するように構成されている。3つの端子は、タンデム太陽光発電ユニットの片側に異なる偏光を有する2つの櫛歯形接点を使用することによって得られる。この場合、櫛歯形接点は、タンデム太陽光発電ユニットの表側に配置され、これにより、既存の標準セルをタンデム太陽光発電ユニットの裏セルとして使用することが可能となる。さらに、吸収層の1つは、限られたコストで高効率を提供するペロブスカイト型の結晶構造を有する化合物から作られている。
【0030】
図1は、本発明の第1の実施形態によるタンデム太陽光発電ユニット1の異なる層を表す。矢印3は光の入射方向を表す。各層のフォント側は最初に光が当たる側に対応する。したがって、光は裏の層に対して最初に表の層に到達する。
【0031】
タンデム太陽光発電ユニット1は、
-櫛歯形表接点5aおよび5b、
-第1の吸収層7、
-第1の吸収層7の裏側に配置された界面層9、
-界面層9の裏側に配置された第2の吸収層11、
-裏面フィールド層13、
-パッシベーション層15、
-裏接点層17、の層を備える。
【0032】
次に、種々の層の想定され得る組成について、より詳細に説明する。
【0033】
櫛歯形表接点5a、5bは、それぞれ、第1の極性、および、この第1の極性とは異なる第2の極性を有する2つの交互配置されたコーム50a、50bによって作られ得る。第1および第2の極性はn型とp型の材料を指す。第1および第2の交互配置されたコーム50a、50bは、それぞれ正孔輸送層(HTL)および電子輸送層(ETL)を指してよい。
【0034】
p型層、すなわち、HTLは例えば、
-酸化ニッケル「NiOX」、
-酸化モリブデン「MoOX」、
-タングステン酸化物「WOX」、
-2,2’,7,7’-テトラキス-(N,N-ジ-4-メトキシフェニルアミノ)-9,9’-スピロビフルオレン「スピロ-OMeTAD」、
-ポリ(トリアリールアミン)「PTAA」、
-ポリ(3-ヘキシルチオフェン)「P3HT」、
-ポリ(スチレンスルホン酸)でドープしたポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)「PEDOT:PSS」、
-チオシアン酸銅(I)「CuSCN」、
-酸化コバルト「CoOX」、
-酸化クロム「CrOX」、
-ヨウ化銅(I)「CuI」、
-硫化銅「CuS」、
-酸化銅「CuOX」、
-酸化バナジウム「VoX」、の要素のうちの1つから作られる。
【0035】
n型層、すなわち、ETLは例えば、
-酸化スズ「SnOX」、
-酸化チタン「TiOX」、
-酸化亜鉛「ZnOX」、
-炭素、C60および誘導体、
-ジルコニア「ZrOX」、
-黒鉛、
-グラフェン、
-酸化グラフェン「rGO」、の要素のうちの1つから作られる。
【0036】
表接点5a、5bはまた、インジウムスズ酸化物(ITO)またはフッ素ドープ酸化スズ(FTO)などの透明導電性酸化物から、または、銀層などの金属層から作られた薄い導電層51a、51bを含む。薄い導電層51a、51bは、それぞれ相互配置された第1および第2のコーム50a、50bのフォント側に配置されている。
【0037】
第1の吸収層7は、ペロブスカイト結晶構造を有する化合物から作られている。本発明における「ペロブスカイト」という用語は、式「A」「B」「X」3で表すことができる材料を意味し、「A」は少なくとも1つの陽イオンであり、「B」は少なくとも1つの陽イオンであり、「X」は少なくとも1つの陰イオンである。陽イオン「A」は、有機、無機、または有機無機陽イオンでよい。陽イオン「A」が有機である場合、有機陽イオンは式(R1R2R3R4N)n+、または、(R5R6N=CH-NR7R8)n+を有することができる。ここで、Rは水素、非置換もしくは置換アルキル、または、非置換もしくは置換アリールであり、nは1以上(例えば、「CH3NH3」+はMAを指し、「HC(NH2)2」+はFAを指し、「C(NH2)3」+はGAを指す)。陽イオン「A」が無機の場合、陽イオンは、Ag+、Li+、Na+、K+、Rb+、Cs+、Be2+、Mg2+、Ca2+、Pb2+、Sr2+、Ba2+、Fe2+、Sc3+、Y3+、および、La3+からなる群から選択することができる。陽イオンは、1つまたは複数のイオン(例えば、(Mg、Fe)SiO3)、YBaCuO3)として使用することができる。
【0038】
陽イオン「A」が有機無機である場合、陽イオンは「A」=(M1n(R21-xR3x)(100-n))のように1つまたは複数のイオンとして使用することができる。ここで、Rは好ましくは上記のような有機陽イオンであり、Mは、好ましくは上記のように含まれた無機陽イオン(例えば、FA1-xGax「B」「X」3、Csx(MAnFAL-n)(100-x)「B」「X」3)である。
【0039】
陽イオン「B」は、Pb2+、Sn2+、Ge2+、Bi2+、Cu2+、Au2+、Ag2+、Sb2+、Nb2+、Ti2+、Mg2+、Si2+、Ca2+、Sr2+、Cd2+、Ni2+、Mn2+、Fe2+、Zr4+、Co2+、Pd2+、Yb2+、Eu2+、Ce4+、および、Tb4+からなる群から選択された金属陽イオンであってもよい。
【0040】
陰イオン「X」は、C1-、Br-、I-、F-を含むハロゲン化物陰イオン、またはO2-、S2-、Se2-、Te2-を含むカルコゲニド陰イオン、または、BF4-、PF6-、SCN-を含む多価陰イオンからなる群から選択してよい。陰イオンは、「X」=(R1-xRx)のような1つまたは複数のイオンとして使用してよい。ここで、Rは上記の陰イオンである。本発明ではまた、精緻化することができる他の種類のペロブスカイト(銅酸化物ペロブスカイト(La2-xBaxCuO4、YBa2Cu3O7、Ba2Mcu3O7))も含まれる。ここで、Mは、Pr、Y、Nd、Sm、Gd、Dy、Hoなどの希土類イオン)。金属ペロブスカイトは、RT3M構造に基づいて製造してよい。ここで、Rは希土類イオン、Tは遷移金属イオン(Pd、Rh、Ru)、Mは軽質メタロイド(例えば、B、C)である。
【0041】
したがって、材料の範囲に関する上記の定義は、これらに限定はされないが、CH3NH3PbX3、Csx(CH3(NH2)2)1-xPbX3、Csx((CH3NH3)y(CH3(NH2)2)1-y)(1-x)PbX3、AxCsy((CH3NH3)z(CH3(NH2)2)1-z)1-yPbX3(ここで、Aはアルカリ金属(Li、Na、K、Rb))、BaTiO3、PbTiO3、CaTiO3、SrTiO3、PbZrO3、SrTiO3、KTaO3、KNbO3、NaNbO3、Pb(Mg1/3Nb2/3)O3、Pb(Zn1/3Nb2/3)O3、Pb(Mn1/3Sb2/3)O3、Pb(Co1/3Nb2/3)O3、Pb(Mn1/3Nb2/3)O3、Pb(Ni1/3Nb2/3)O3、Pb(Sb1/2Sn1/2)O3、Pb(Co1/2W1/2)O3、Pb(Mg1/2W1/2)O3、LiNbO3、LiTaO3、BiTiO3、NaTiO3、NaNbO3、KNbO3、La1-xSrxMnO3、La2NiO4、La2CoO4、GdBaCo2O5、PrBaCo2O5、NdBa1-xSrxCoO2O5、Ba1-xSrxCo1-yFeyO3、BiCr1-xGaxO3、NaNbO3、KNbO3、LaFeO3、LaCoxFe1-xO3、Lal-xSrxCoO3、LaSrNiO4、LaxSrx-1FeyBiy-1O3、La2NiO4、La2-xSrxCuO4、LaSrNi1-xAlxO4、LaMnO3、LaFeO3、LaCoO3、LaTi1-xCuxO3、LiTaO3、NaTaO3、KTaO3、CaTa2O6、SrTa2O6、BaTa2O6、(La1-xSrxCoO3、Pr1-xSrxCoO3、Sm1-xSrxCoO3、Gd1-xSrxCoO3、Tb1-xSrxCoO3、LaCoO3、La1-xSrxMnO3、LaCo1-xNixO3)の化合物を含む。
【0042】
図1に表される第1の実施形態によれば、界面層9はトンネル接合層9を指してよい。
【0043】
トンネル接合層9は、第1の極性に従ってドープされた第1の半導体副層9aと、第2の極性に従って高密度にドープされた第2の半導体副層9bと、を含む。
【0044】
第1の副層9aは、例えば、酸化ニッケル(NiOX)、酸化モリブデン(MoOX)、または、酸化タングステン(WOX)から作られたp型層である。
【0045】
第2の副層9bは、例えば、結晶シリコンから作られており、例えば、ホウ素またはリンのドーピングで第2の極性に従って高濃度にドープされたn型層である。
【0046】
図2に示される第2の実施形態によれば、界面層90は再結合層90を指す。再結合層90は、第1の極性に従ってドープされた透明導電性酸化物から作られた第1の半導体副層90aと、第2の極性に従ってドープされた透明導電性酸化物から作られた第2の半導体副層90bと、を含む。他の層は、第1および第2の実施形態において同一のままである。
【0047】
図1および
図2の実施形態では、第2の吸収層11は第1の極性を有する。第2の吸収層11は、結晶シリコン、または、
-III-V族半導体合金、
-第1の吸収層7について前述したようなペロブスカイト型の結晶構造を有する化合物、
-銅インジウムガリウムセレン化物(CIGS)、
-テルル化カドミウム(CdTe)の合金のうちの1つの合金から作られている。
【0048】
裏面フィールド層13は、アルミニウムから作られてよい。
【0049】
パッシベーション層15は、酸化アルミニウム/窒化ケイ素(AlOx/SiNx)、または、酸化ケイ素/窒化ケイ素(SiOx/SiNx)から作られてよい。
【0050】
裏接点層17はアルミニウムから作られてよく、スクリーン印刷によって得られてよい。
【0051】
テクスチャリングは、タンデム太陽光発電ユニットのさまざまな層(表面テクスチャ、裏面テクスチャ、または内部テクスチャ)で実現できることに留意されたい。すべての接点をパシベーション化することができ、トンネル接合層9または再結合層90はさらに他の層を含んでよい。ただし、ペロブスカイトから作られた第1の吸収層を使用すると、表接点をパシベーション化せずに行うことができる。
【0052】
図3は、タンデム太陽光発電ユニットの第3の実施形態を表す。
【0053】
この第3の実施形態では、タンデム太陽光発電ユニット1は、
-櫛歯形表接点5aおよび5b、
-第1の吸収層7、
-第1の吸収層7の裏側に配置された界面層9’、
-界面層9’の裏側に配置された第2の吸収層11’、
-エミッタ層12、
-パッシベーション層15’、
-裏接点層17’、の層を備える。
【0054】
この実施形態では、櫛歯形表接点5aおよび5b、並びに第1の吸収層7は、
図1および
図2に示される第1および第2の実施形態と同一でよい。
【0055】
界面層はトンネル接合層9’であり、第2の極性(n型)に従ってドープされた第1の半導体副層9a’と、第1の極性(p型)に従って高濃度にドープされた第2の半導体副層9b’と、を含む。
【0056】
第1の副層9a’は、例えば、酸化スズ(SnOx)、酸化チタン(TiOx)、または酸化亜鉛(ZnOx)から作られている。
【0057】
第2の副層9b’は、例えば、高濃度にドープされた結晶シリコンから作られている。
【0058】
図4に示される第4の実施形態によれば、界面層は、第1の極性に従ってドープされた透明導電性酸化物から作られた第1の半導体副層90a’と、第2の極性に従ってドープされた透明な導電性酸化物90b’から作られた第2の半導体副層と、を含む再結合層90’である。他の層は、第3および第4の実施形態と同一のままである。
【0059】
図3および
図4の実施形態では、第2の吸収層11’は第2の極性(n型)を有する。第2の吸収層11’は、例えば、結晶シリコン、または、ペロブスカイト、または、銅インジウムガリウムセレン化物(CIGS)、または、テルル化カドミウム(CdTe)から作られている。
【0060】
第1の極性に従ってドープされたエミッタ層12。エミッタ層12は、例えば、ホウ素から作られている。
【0061】
酸化アルミニウム/窒化ケイ素(AlOX/SiNX)または酸化ケイ素/窒化ケイ素(SiOX/SiNX)から作られたパッシベーション層15’。
【0062】
例えば、アルミニウム製の裏接点層17’。また、裏接点層17’はある割合のシリコンを含み得、そして、相蒸着(PVD)によって得ることができる。
【0063】
したがって、タンデム太陽光発電ユニット1によって、裏接点の極性とは異なる極性に関連するキャリアを第2の吸収層から第1の吸収層に移動させ、さらに、裏接点の極性とは異なる極性を有する表接点に該キャリアを収集されることが可能となる。
【0064】
図1および
図2に示される第1および第2の実施形態の場合、第2の極性(電子)に関連するキャリアを第2の吸収層から第1の吸収層に輸送させ、さらに、第2極性(n型)に関連する表接点で該キャリアを収集することが可能となるようにタンデム太陽光発電ユニット1が構成される。
【0065】
図3および
図4に示される第3および第4の実施形態の場合、第1の極性(正孔)に関連するキャリアを第2の吸収層から第1の吸収層に輸送させ、第1極性(p型)に関連する表接点で該キャリアを収集することが可能となるようにタンデム太陽光発電ユニット1が構成される。
【0066】
第1の7および第2の11、11’吸収層の特徴、特にそれらの厚さは、第1の吸収層7によって生成される電流と、第2の吸収層11、11’によって生成される電流とが略同一になるように選択される。
【0067】
さらに、
図5に示すように、第1の吸収層7によって生成された電流が第2の吸収層11、11’によって生成された電流と釣り合うかどうかを判断するために、表接点5a、5b間で測定された電流I
IFCと、表接点5a、5bと裏接点17、17’の間の電流I
F-Bと、を監視する。相違または不一致の場合には、タンデム太陽光発電ユニットの全体的な効率を最適化するために電流I
IFCの一部を抽出または再注入する。また、本発明は三端子タンデムソーラー発電ユニット1を機能させるための使用または方法にも関し、第1の吸収層7によって生成される電流が、第2の吸収層11、11’によって生成される電流と釣り合うように、第1および第2の櫛歯形表接点の間で生成される電流が調整される。
【0068】
図6は、第1の実施形態による製造プロセスの異なるステップのフローチャートを表す。
【0069】
第1のステップ101は、裏面および前面を有する光透過性基板を設けるステップを指す。
【0070】
第2のステップ102は、基板の表面に、第1または第2の極性を有する裏接点層17、17’を堆積するステップを指す。裏接点層はアルミニウム層を指す場合があり、相蒸着技術に従って堆積してよい。あるいは、アルミニウム層をスクリーン印刷してもよい。また、第2のステップ102は、パッシベーション層15、15’またはエミッタ層12を堆積することを指してもよい。
【0071】
第3のステップ103は、裏接点層17、17’の表側に(または、おそらくパッシベーション層15、15またはエミッタ層12の表側に)第2の吸収層11、11’に対応する吸収層を堆積するステップを指す。
【0072】
第4のステップ104は、第2の吸収層11、11’の表側に、トンネル接合の第1の高濃度ドープ半導体副層9b、9b’、90b、90b’を堆積するステップを指す。
【0073】
第5のステップ105は、第1の副層9b、9b’、90b、90b’の表側に、トンネル接合の第2のドープ半導体副層9a、9a’、90a、90a’を堆積するステップを指す。
【0074】
第6のステップ106は、第2の副層9a、9a’、90a、90a’の表側に、ペロブスカイト型結晶構造を有する化合物から作られた第1の吸収層7に対応する吸収層を堆積するステップを指す。
【0075】
第7のステップ107は、第1の吸収層7の表側に、第1および第2の櫛歯形表接点5a、5bを堆積するステップを指し、第1の表接点5aは、例えば、第1の極性を有し、第2の表接点5bは、例えば、第2の極性を有する。
【0076】
図7は、第2の実施形態による製造プロセスの異なるステップのフローチャートを表す。この実施形態の趣旨は、本発明によるタンデム太陽光発電ユニットを得るために、既存の太陽電池を改変することである。特に、既存の太陽電池は、全体的なコストとタンデム太陽光発電ユニットを制限するために、その低コストを理由に選択される。
【0077】
第1のステップ201は、結晶シリコン系光電池を設けるステップであって、この結晶シリコン系光電池は、結晶シリコンから作られた吸収層と、結晶シリコン層の裏側、例えば裏接点層に配置された第1の組の層と、結晶シリコン層の表側、例えば表接点層に配置された第2の組の層と、を備える。このような太陽電池は大量生産されており、低価格で入手できる。
【0078】
第2のステップ202は、結晶シリコン光電池の第2の組の層を除去するステップを指す。そのような除去は、エッチングおよび/または研磨プロセスによって行われる。エッチング生成物は、フッ化水素酸またはフッ化水素酸と硝酸との混合物であってよい。
【0079】
第3のステップ203は、結晶シリコン層の表側に、トンネル接合の第1の高濃度ドープ半導体副層を堆積するステップを指す。
【0080】
第4のステップ204は、第1の副層上に、トンネル接合の第2のドープ半導体副層を堆積するステップを指す。
【0081】
第5のステップ205は、第2の副層上に、ペロブスカイト型の結晶構造を有する化合物から作られた第1の吸収層を堆積するステップを指す。
【0082】
第6のステップ206は、第1の吸収層上に、第1および第2の櫛歯形表接点を堆積するステップを指し、第1の表接点が第1の極性を有し、第2の表接点が第2の極性を有する。
【0083】
他のステップ、特に追加の層の堆積することを、本発明の範囲から逸脱することなく
図6および7に基づいて開示された製造プロセスに追加してよいことに留意されたい。
【0084】
したがって、本発明よって、効率のよい3Tタンデムソーラー発電ユニットを得ることが可能であり、該3Tタンデムソーラー発電ユニットでは、表面の太陽電池セルが裏面の太陽電池セルと直列に結合されている。該タンデム発電ユニットは、全体を制限して効率/コスト比を最適化するために、利用可能な大量生産された裏セルの使用を可能にする櫛歯形表接点を備える。
【国際調査報告】