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特表2022-510333肺疾患の迅速診断用の気管支内カテーテルシステムおよび方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-26
(54)【発明の名称】肺疾患の迅速診断用の気管支内カテーテルシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 8/12 20060101AFI20220119BHJP
   A61B 10/02 20060101ALI20220119BHJP
   A61B 10/04 20060101ALI20220119BHJP
【FI】
A61B8/12
A61B10/02 110
A61B10/04
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021531330
(86)(22)【出願日】2019-12-06
(85)【翻訳文提出日】2021-07-28
(86)【国際出願番号】 US2019064951
(87)【国際公開番号】W WO2020118190
(87)【国際公開日】2020-06-11
(31)【優先権主張番号】62/776,677
(32)【優先日】2018-12-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/776,667
(32)【優先日】2018-12-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521234386
【氏名又は名称】ヴェラン メディカル テクノロジーズ,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100112874
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 薫
(72)【発明者】
【氏名】ホルシング,トロイ
(72)【発明者】
【氏名】ハンター,マーク
(72)【発明者】
【氏名】リー,クリストファー
【テーマコード(参考)】
4C601
【Fターム(参考)】
4C601BB06
4C601EE09
4C601EE11
4C601FE01
4C601FF06
4C601GA19
4C601GB04
4C601GB18
(57)【要約】
医療機器およびその使用方法は、カテーテル、カテーテルの遠位端内に配置される少なくとも2つの電磁感知コイル、およびカテーテルの遠位端内に配置され、かつ超音波エネルギーを送受信するように構成される多重素子の平面超音波変換素子列を含む。この機器はまた、超音波変換素子に結合される画像化システムを含み、カテーテル本体から直交して延びる第1の標的平面に組織の画像を形成するように用いられる。この医療機器はまた、第1の標的平面内の第2の標的範囲内の組織の音響スペクトル特性を受信しかつ評価する際に用いる後方散乱評価システムを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)患者の肺組織に接近できる気管支鏡作動経路を経て用いるように構成されるカテーテル組立品を共に形成する近位取手部および遠位端部を含む細長カテーテル本体を有するカテーテル、
b)前記遠位端部内に配置される少なくとも2つの電磁感知コイル、
c)超音波エネルギーを送受信するための、前記遠位端部内に配置されかつ前記カテーテル先端部に前記カテーテル本体の軸に平行に配置される多重素子の平面超音波変換素子列、
d)前記カテーテル本体から直交して延びる第1の標的平面内に組織の画像を形成するための、前記超音波変換素子に結合される画像化システム、および
e)第1の標的範囲から選択される第2の縮小標的範囲に位置する組織の音響スペクトル特性を受信しかつ評価する後方散乱評価システム、を含む医療機器システム。
【請求項2】
前記多重素子の平面超音波変換素子列を含む遠位端の領域は音響レンズを含む、請求項1に記載の医療機器。
【請求項3】
前記超音波変換素子と同心にある、前記遠位端の近位に配置された試料採取システムをさらに含む、請求項1に記載の医療機器。
【請求項4】
前記試料採取システムは針であり、前記針は、前記カテーテル本体内から開口部を経て展開される、請求項2に記載の医療機器。
【請求項5】
医療機器システムを用いて患者内の所定の領域を画像化する方法であって、
a)前記医療機器システムを提供する工程、
ここで前記医療機器システムは、
i)近位取手部および遠位端部を含む細長カテーテル本体を有するカテーテル組立品、
ii)前記遠位端部内に配置される少なくとも2つの電磁感知コイル、
iii)患者の肺組織に接近できる、気管支鏡作動経路を経て用いられるように構成された前記カテーテル組立品、
iv)超音波エネルギーを送受信するために前記遠位端部内に配置され、かつ前記カテーテル先端部に前記カテーテル本体の軸に平行に配置される多重素子の平面超音波変換素子列、
v)前記カテーテル本体から直交して延びる第1の標的平面内に組織の画像を形成するための、前記平面超音波変換素子列に結合される画像化システム、および
vi)第1の標的範囲から選択される第2の縮小標的範囲に位置する組織の音響スペクトル特性を受信しかつ評価する後方散乱評価システムを含み、
b)前記カテーテル本体の遠位端部を第1の位置に誘導する工程、
c)前記第1の標的平面および前記第2の縮小標的範囲で組織を観察する工程、
d)前記第2の縮小標的範囲内の前記組織の音響スペクトルを評価する工程、
e)前記第2の縮小標的範囲内の位置に試料採取器具を展開する工程、および
f)全て同一の時間に同一の位置で取得される超音波画像データ、音響スペクトル特性データ、および位置データを医師に提供して、医学的判断を通知する工程、を含む方法。
【請求項6】
患者の肺組織内の目的とする領域を診断する方法であって、
a)気管支鏡作動経路を経てカテーテルを通過させて前記肺組織に接近する工程、
ここで前記カテーテルは、
i)軸および遠位端部を含む細長カテーテル本体、
ii)前記遠位端部内に配置される少なくとも2つの電磁感知コイル、および
iii)前記遠位端部内に配置され、かつ前記カテーテル本体の軸に平行に配置される多重素子の平面超音波変換素子列を含み、
b)前記2つの電磁感知コイルと相互作用するナビゲーションシステムを用いて、カテーテルの前記遠位端を前記目的とする領域に近位の第1の位置に誘導する工程、
c)前記目的とする領域に第1の超音波エネルギーを送信する工程、
d)画像化システムで変換素子列からの第1の超音波エネルギーを受信する工程、
e)画像化システムに、気道および血管を含む一式の組織から選択される解剖組織を示す、前記目的とする領域の画像を形成する工程、
f)前記解剖組織を含まない、前記目的とする領域の前記画像内の標的範囲を識別する工程、
g)前記ナビゲーションシステムを用いて、カテーテルの前記遠位端を前記標的範囲に近位の第2の位置に移動させる工程、
h)前記変換素子列から前記標的範囲内に第2の超音波エネルギーを送信する工程、
i)後方散乱評価システムで前記変換素子列からの第2の超音波エネルギーを受信する工程、および
j)前記後方散乱評価システムで、前記受信した第2の超音波エネルギーの音響スペクトルを評価して、前記目的とする領域の前記標的範囲の診断情報を抽出する工程、を含む方法。
【請求項7】
k)試料採取器具を前記第2の標的範囲内の位置に展開する工程をさらに含む、請求項6に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は、両方とも2018年12月7日付けの米国仮特許出願第62/776,677号と第62/776,667号の優先権を主張する通常出願であり、その内容の全体は参照により本明細書に組込まれる。
【発明の分野】
【0002】
癌の診断用の多重モードの基礎を提供すべく、患者の肺の中で使用するための電磁(EM)ナビゲーション/位置情報および超音波(US)画像およびスペクトル後方散乱評価情報を統合して使用者に提供する医療機器カテーテルシステムを提供する。このカテーテルシステムは、気管支内の接近装置を経て肺に送達できる。評価後に、気管支内の接近装置を介して治療を提供でき、診断と治療の両方を1回の行為に組み合わせる簡潔で効率的な医療行為を提供できる。肺がん治療の文脈で開示されてはいるが、この方法は他の肺疾患にも有用である。
【背景技術】
【0003】
肺がん診断での現状の標準技術
現在、通常の癌の治療手順では、日常検査(X線、CT)で見出された疑いのある組織の身体試料(生検試料)の採取を必要とする。生検試料を顕微鏡評価のために検査室に送付して、検査室の病理医が病気の診断となる試料の病理結果を明言する。
【0004】
次に、患者とその担当医は、適切な治療計画を選択する。この計画には、肺がんの場合に、外科的摘出、化学療法、または切除が含まれる。組織が進行した肺がんを示す場合には、緩和ケアやホスピスケアが示唆される。組織が慢性閉塞性肺疾患(COPD)またはその他の疾患の症例を示す場合には、それに適切な治療計画が選択される。組織が正常であるなら、医療行為は必要としない。
【0005】
この通常の診断法では、疾患の診断的特徴を確実にするために繰返しを必要として数回にわたる医療行為を実施するが、このことは望ましくない。この通常の方法ではまた、診断の精度も低くなる。多くの病気の症例で、特に最も容易に治療可能な初期段階の肺疾患が見落とされる。また誤診により不必要な医療行為に至る場合もある。

肺疾患の評価に用いられる現状の技術
【0006】
肺気管支鏡検査への電磁ナビゲーションの応用は、1990年代の初頭に開始された。Veran Medical Technologies社は、気管支鏡を用いて、すなわち胸壁を貫通して、非常に小さな組織塊を正確に標的化しかつそれに到達できる一式のカテーテルシステムを開発した。カテーテルシステムを介して生検器具を標的塊に到達させて、分析のために身体組織試料を採取できる。
【0007】
この技術は、「内視鏡用途での4次元軟組織ナビゲーションのための装置および方法」(Apparatus and Method for Four Dimension Soft Tissue Navigation in Endoscopic Applications)と題された米国特許第8,696,549号に詳細に記載されている。この特許は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0008】
概要を述べると、電磁ナビゲーションの特徴は、電磁ナビゲーションシステムに指数付けされる肺の手術前のCT検査から始まる。肺空間のモデルが形成され、かつ時間の経過とともに追跡されるので、体内の電磁装置の位置が計算モデル空間内に表示される。既知の電磁センサーの位置または場所を用いて、身体的生検用の装置の正確な位置を示すための実時間計算を実行できる。一般に、手術前のコンピューター断層撮影X線(CT)検査を用いて、患者体内の気道のナビゲーションモデルを構築する。留置カテーテル表面にある電磁センサーは非常に小さく、3次元空間(3D)内のカテーテル先端の位置と方向の情報を提供する。Veranのシステムはまた、4次元の時変追跡情報も提供する。Veranのシステムでは呼吸の追跡が利用可能であり、この追跡は、仮想表示内のプローブの見掛けの位置を変更して、電磁センサーが身体の呼吸運動とともに移動する際の電磁センサーの物理的な位置に一致させるのに効果的であり、これは本発明の装置では非常に有用である。本発明の4次元追跡による利点としては、肺内の困難な構造内に位置する非常に少量の組織に再接近することを可能とし、さらなる精度向上が挙げられる。
【0009】
本発明の目的は、3次元空間での既知の位置を移動させ、かつCTまたはその他の画像診断法から形成された画像空間内にこの既知の位置を正確に対照させる能力により、超音波評価の下での正確な位置の高精度な情報の取得を可能とし、正確に同じ位置に対して身体的生検および潜在効果のある治療の両方を可能とし、それにより結節を治療可能とすることである。
【0010】
現在では、肺気管支鏡の検査機器に超音波画像を利用する周知の装置が、いくつかの製造業者から提供されている。これらの気管支内超音波システム(EBUS)により、操作者は気道の外側で観察することができる。EBUSには、放射状EBUSと線状EBUSの2種の型式がある。典型的な視野は、可能な限り最大量の組織を検査するように、意図的にかなり広くかつかなり深くなっている。その解剖学的な詳細画像を、典型的には、医師はナビゲーションのために使用する。目的とする標的は、画像の特徴だけで規定され、そこにEBUSカテーテルを介して標的部位に送達される生検器具が接近する。
【0011】
従来の超音波の臨床的応用には、走査平面にエコー振幅を表示する濃淡階調「Bモード」撮像;経時的に特定の固定位置での動きを追跡するMモード撮像;走査平面での動きを表示する二重色調のパワードップラー撮像;入射超音波に対する非線形応答を表示する高調波撮像;相対的な組織の剛性を表示する弾性撮像;および血液で充満された空間を表示する造影剤、または特定の薬剤結合組織形態を表示する標的薬剤を用いる造影剤撮像などの多くの撮像モードを組み込んでいる。あまり周知されていない超音波技術として、定量超音波(QUS)と呼ばれるものがあり、これにより組織から後方散乱された受信エコー信号の周波数の関数として電力分布を解析する。定量超音波は、結果として得られるスペクトルのパラメータを利用して、組織ごとに特徴付けして区別する。
【発明の概要】
【0012】
本発明者らの見解では、患者の病歴とともに一組の音響測定値を用いて、組織試料を癌性であると断定できる。この評価は、通常の病理学評価と同程度に高精度であると期待される。人工知能システムを追加して、複数の発生源からのデータを組み合わせることもできる。例えば、もう一つ可能性のある撮像技術は、トレーニングデータセットに基づいて組織を特徴付けるためのCTおよび超音波撮像経路の様々な段階で重畳型ニューラルネットワーク(Convolutional Neural Network)などのAI技術を応用している。このAIが支援する画像データ評価は、全体的に診断を高速化でき、これは望ましいことである。
【0013】
本発明のカテーテルおよびその関連システムは、医療行為中にその場で標的組織に接近し、識別して特徴付けることを可能にする。この診断データは、全て同一時間に同一場所で取得される。この総観的なデータセットにより、他のデータや通常の医学判断と組み合わせて、直ちに治療法の決定に到達できる。概略の標的組織の位置には、手術前のCT検査に基づきかつ形成された肺モデルに従って気管支鏡を介するナビゲーションによって、従来の手法で到達できる。使用者はカテーテルを操作し、電磁ナビゲーションを用いて、モニター上に医師に提示されるモデル画像空間内の肺組織を視覚化することで、標的組織の位置に接近する。ナビゲーションシステムからの位置情報は、導き出された肺モデル内のどこに現在位置するかを医師に知らせる。次に、超音波撮像を用いて、目的とする組織の第1の標的平面または第1の標的容積とその正確な位置を規定する。次に使用者は、組織の均質な試料を含むこの標的容積の縮小版を規定する。この第2の縮小標的平面または縮小標的容積は、無関係な解剖組織を排除して、疑わしい腫瘍組織の均質試料を表示する画像平面または画像容積を形成するように選択される。第2の縮小標的は、定量超音波技術の実行により、音響生検に対する必要量を用いて評価される。全般的にカテーテルシステムは、身体的生検の試料採取器具の配置を可能とする。次に、この器具、例えば針またはブラシを、音響的に評価された同一の標的部位に配置し、リンパ節または他の目的とする標的組織などの同一の組織から選択された組織試料を音響による生検に供する。
【0014】
上述に示唆したように、超音波システムは、2つの操作モード、すなわち比較的大きな第1の標的範囲を断片毎に表示する第1の画像化モード、および第2の縮小標的範囲からの後方散乱放射を選択する第2の定量スペクトル評価モードを有する。
【0015】
超音波画像化システムは、カテーテルの遠位端の周りに制御された視野を提供する。超音波変換素子の好ましい実施態様は、カテーテルの遠位端内の位置に固定された平面列である。この平面列を、カテーテル本体が静止している間に数回にわたって数ヶ所で採取されるデータから形成される表示画像平面を構築する合成開口モードに用いてもよい。カテーテルを第1の位置から第2の近傍位置に平行移動させることが可能である。カテーテルの動きを単独で用いて、解剖組織を排除して第2の縮小標的範囲を形成してもよい。カテーテルの動きにより、画像の縮小または後方散乱の評価に使用する行程容積を形成する。
【0016】
典型的には、超音波変換素子の視野は60度以下であるが、上記に示すように、その素子を機械的に回転または平行移動し、あるいは電子的に操作して、視野のサイズを制御できる。広範囲の組織の広い視野が所望される典型的なEBUSシステムとは対照的に、視野の深さあるいは範囲を制限してもよい。通常、超音波の視野にはいくつかの組織形態が包含される。医学的に判断して、カテーテルシステムを調整しかつ標的組織の近傍に配置して、音響生検のための目的とする標的組織を血管などの他の解剖学的特徴から分離する。このように、医学の専門知識により、疑わしい腫瘍組織を包含する第1の標的範囲を選択する。まず、第1の標的容積の部分集合を後方散乱分析のために選択する。この第2の縮小標的範囲は、外来の解剖組織を含まずに、スペクトル評価に適する後方散乱をもたらす比較的均質な組織試料を提供するように選択される。
【0017】
電磁ナビゲーションシステムの電磁配置部によって記録される音響生検の位置を用いて、統合された生検試料装置を音響生検位置に誘導できる。この針先端の配置は、電磁センサーの4次元位置情報からの情報で計算されるので、非常に高精度で実施できる。
【0018】
従って、実際には超音波システムを用いて、第1の標的範囲と呼ばれる組織の容積を画像化し、次に操作者は、カテーテルシステムを操作して、超音波センサー操作によるより小さな定量モードの視野内に目的とする組織を含む第2の縮小標的範囲を分離する。組織が分離された状態で、音響後方散乱放射が評価されて、組織の性質が識別される。定量超音波手法を使用して、非常に小さな試料は、その場で、かつ必要に応じて治療を提供するように再接近できるその既知の場所で実行される「音響生検」すなわち「音波生検」に効率的に供される。
【0019】
さらに、定量超音波を用いて、腫瘍間質および微小血管系の性質を分析し、細胞死および/またはアポトーシスに関連するパラメータを提供して、化学療法、近接照射療法、細胞毒性剤(薬物)または切除などの治療の確定データまたは監視データを提供できる。この分析は、有効散乱径や有効音響濃度などのパラメータを用いて、治療に対する腫瘍応答の中間のフィードバックを提供できる。腫瘍または組織の剛性の不均一性は、複数の異なる方向から結節を評価し、かつ超音波信号の浸透深さを測定して解析できる。
【0020】
結節の3次元または4次元の超音波画像を形成する能力を用いて、使用者は、3次元画像または4次元画像の非組織パラメータおよび組織パラメータの両方を計算できる。隣接構造(胸膜、裂溝、血管など)に対応するサイズ、形状、位置記述子などの非組織の特徴は、超音波空間内で規定できる。さらに、画素強度ヒストグラムや連長(連続した類似の階調または高周波レベル)、共起などの組織に基づく特徴により、微細な組織から粗い組織の計量値を定義できる。コントラスト、エネルギー、均質性、エントロピー、平均確率および最大確率などの共起計量値を用いて、結節内の組織を特徴付けでき、画像を直交成分に分解して、これらの画像にウェーブレット特性を提供できる。カーネルを当てはめて、画像内の特定の型または異なる型の構造を反映または強調表示できる。複数の方向に基づいて複数のカーネルを当てはめて、結節の組織を特徴付けできる。AI技術を用いて、画像ドメイン中の組織に基づく分類を増強できる。
【0021】
例示的な超音波システムには、最新の微細加工技術を用いて製造された圧電変換素子を用いている。一般に、個々の変換素子要素の配列はアドレス指定可能であり、個別に活性化できる。典型的に配列には、特定の共振周波数を動作させる分割された要素が含まれる。単一の周波数配列が可能であるが、配列には少なくとも2種の周波数で動作可能な要素が含まれることが期待される。これら要素は、ドラムサイズと呼ばれることもある直径と深さを有すると見做すことができ、これはドラムのように、この各要素はその形状に関連する共振周波数を有する。一般に、PZT、pMUT、またはcMUT系の素子を含む超音波変換素子列を製造するための方法には多くの選択肢がある。これらのうちのいずれかを用いて組織情報を収集できると予想される。考慮すべき相反関係があり、素子の部分帯域幅を最大化することが望まれる。種々の組織型に対する共通または一貫した特性評価は、変換素子を既知の性能特性に校正することで達成されるか、pMUTなどの集積回路から提供される再現性のある性能を用いて行われる。この正規化は、組織の再現性のある識別を提供するための鍵となる。このシステムは、超音波変換素子の様々な周波数を見越しており、それにより複数の周波数(4~50MHz)で組織データを捕捉できる。撮像は20MHzで最適化できるが、音響生検は典型的にはより高い異なる周波数域で取得されてもよい。
【0022】
現状の超音波システムには、目的とする組織の超音波変換素子からの距離に応じて変化する信号を生成する横方向の解像度が低下するという制限がある。超音波変換素子の列構造は、全体の視野(FOV)に対して、または変換素子からの種々の深さにわたって、横方向に増大し一貫性のある解像度を提供する。
【0023】
統合された電磁位置特定を備える超音波システムは、複数の超音波画像平面を記録し、容積を再構築して、3次元および4次元の超音波容積を収集することを可能にする。これらの容積は、目的とする同一の組織位置で形成された複数の容積を持つように呼吸により開閉できる(すなわち、一回呼吸量の吸気、一回呼吸量の呼気、あるいは呼吸サイクルに沿う中間状態)。これらの容積は、生の電気信号データから分析用のビーム形成されたBモード画像データまでの複数の処理状態であってもよい。
【0024】
統合された電磁センサーにより、複数の視点または角度から目的とする同一の組織を試料採取して、各視点に基づいて変動または変化を測定できる。血管、裂溝などの構造、あるいは周囲からの感染を回避することにより、より純粋な音響生検が提供され、また回避することにより他の構造からの干渉に基づいて収集された音響生検の品質を判断できる。
【0025】
超音波変換素子を目的とする組織に可能な限り接近させるために、素子を直径2mm未満に小型化し、かつ小回りできるように可能な限り短くして患者の気道を通してカテーテルの柔軟性を維持することが重要となる。気管支内の実施態様では、あるいは現在では、少なくとも64個の撮像素子を有することが想定されるが、16個から256個を超えるその他の構成でも作動可能とできる。これらの複数の撮像要素を多重化して、20~30フレーム/秒のフレーム回数を維持しながら、超音波変換素子を駆動するために可能な限り少ない配線数を可能とする。
【0026】
電磁システムおよび登録されたCTデータを用いることで、判断を増強できる関連する複数の画像診断法を提供する。PET-CTなどの追加の画像診断法を登録して、目的とする組織を識別できる。超音波画像は、手術前または手術中の画像の変形に使用できる電磁システム以外の追加のデータ点を提供する。点の群として記録できる経路だけでなく、気道外側の経路の容積も点の群の一部として収集できる。
【0027】
Gurney, Mayo Clinic, Herder, VA、Peking University People’s Hospital、Brock Universityによる「胸部の研究評価および治療」(Thoracic Research Evaluation and Treatment)および「ベイズ確率推定による悪性腫瘍計算表」(Bayesian Inference Malignancy Calculator)などの臨床プロファイル、人口統計学的および画像化データ(CT、FDG-PET、増殖率)を用いる肺結節を有する患者での悪性腫瘍の確率を推定するモデルは周知である。それらモデルにより医師の見解を提供するが、結節が悪性であるかどうかを明確に決定するには十分ではない。さらに、CT画像データに基づいて悪性腫瘍の可能性をさらに提供するために、ラジオミクス(radiomics)がCT画像に適用されてきた。統合された電磁能力を備えたこの超音波システムにより、CTおよびFDG-PET画像データを患者に登録し、超音波、CTおよびFDG-PET画像データを患者内の正確な位置で同時に相関させることが可能となる。さらに、赤外線、紫外線、可視光線によって気管支鏡画像データ(組織の色調変化)が形成される。圧力センサーを統合して、目的とする組織の圧力データを提供してもよい。別種のセンサーを素子に含めることができ、例えば、温度センサーを統合して、組織と目的とする組織領域との間の温度変化を測定できる。酸素センサーを統合して、組織間の酸素濃度の変化を測定できる。他種のセンサーを用いて、組織の代謝特性を監視することができる。この追加のセンサー値を用いて、癌の存在を決定するのに役立つ。
【0028】
当然ではあるが、この装置は肺に限定されず、複数の器官(肺、肝臓、腎臓、前立腺、軟組織、膵臓など)に使用してもよい。目的とする組織に到達する経路は、気道または血管、あるいは直接的な経皮接近、または自然開口部を介する接近であってもよい。また治療の確定ならびに結節の診断に使用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1は、本発明の文脈の概略図である。
【0030】
図2は、カテーテルシステムの近位部分の概略図である。
【0031】
図3は、カテーテルシステムの遠位部分の概略図である。
【0032】
図4Aは、カテーテルの遠位端の近傍で得られた断面の概略図である。
【0033】
図4Bは、カテーテル本体の一区画の詳細部分である。
【0034】
図5は、システムの電子部分の概略ブロック図である。
【0035】
図6は、第1の標的画像平面を示す概略図である。
【0036】
図7は、縮小された第2の標的画像平面を示す概略図である。
【0037】
図8は、定量超音波の例示的な音響パラメータを示すスペクトル図である。
【代表的な実施態様の詳細な説明】
【0038】
図1を参照すると、患者(表示されていない)は、スコープ(内視鏡)10を介して気管支内の医療行為を受けている。図2図3にさらに詳細に示されるカテーテル組立品14は、遠位端すなわち先端16で終端し、かつ取手部12を通して近位握り部20から延びる細長カテーテル本体18を含む。この組立品は、取手部12と回転部材15によって操作される。組立品14は、次に、スコープ10の作業経路17内に挿入される。注目すべきこととして、取手部は、スコープ10から独立して移動でき、回転矢印13によって図中に示されるような回転運動は、スコープ10を固定させた状態で回転部材15の操作によって達成できる。このようにして、カテーテルシステム14は、スコープ10を介して肺(図示せず)内に導かれる。医師は、スコープ10および近位の握り部20および取手部12を介してカテーテルシステムを操作できる。
【0039】
図3は、カテーテル本体18の遠位端16を単独でより詳細に示す。カテーテル本体18は、図2に見るように取手部12を通って延在し、それは、スコープの遠位端内への収縮を可能にし、センサーに小さな動きをもたらすのに十分な小範囲にわたってカテーテルの近位握り部20によって調節できる。スコープ長内に収容するように、スコープ10内の組立品14の全長と位置は、伸縮式延長部分24を用いて調節され、カテーテル位置の小さな移動は、取手部12と近位握り部20を用いて実行される。カテーテル本体18の遠位部分は、本体18中の開口部から出現するように示される針26などの器具を導入するように使用できる接近用の空洞を保持する。
【0040】
図4Aは、開口部の遠位にある遠位端の断面を示す。多要素平面超音波列30は、カテーテル本体18内にあり、カテーテルの長手方向軸21に平行に配置され(図1図3に示される)、かつ音響レンズ32によって覆われている。電子回路パッケージ34が、コイル38とコイル36として表示される電磁コイル近くの先端部内に配置される。その他のパッケージング手法も同様に動作可能であると実証できる。
【0041】
図4Bは、ステンレス鋼または他の材料で形成でき、その柔軟性を形成かつ制御できる細長カテーテル本体18の一部分を示す。管状の構造は、1つ以上の平面での柔軟性を可能にするらせんパターンにレーザー切断されていてもよい。レーザー切断の切り口19は、屈曲し易いように方向付けされている。
【0042】
図5は、カテーテルシステムとそれに付随する画像化システムの電子構成部分の分割図であり、かつ本発明で実行するシステムの非限定的な説明となる。
【0043】
図4の電子パッケージ34は、特にプログラム可能なチップを含んで列30を構成する。多重変換装置は、データをフォーマットして、カテーテルシステムから、患者とともにベッド横の担架に吊るされる患者用インターフェースモジュールすなわちPIM42に送信する。このPIM42は、患者を保護する電気絶縁を含み、またカテーテルそのもの、A/D変換、およびカテーテルの騒音性能の改善をPIM中で達成する様々な緩衝プロセスのための電源を含む。この実行に際し、個別の「ピザボックス」形の封入容器は、合成開口ビームの形成および制御、ならびに定量超音波プロセス44の後方散乱信号のスペクトル分析のための専用ハードウェアを搭載している。この封入容器は、ワークステーションに基づくナビゲーションおよび表示カートに結合されている。ピザボックス形封入容器内にある定量超音波後方散乱評価システム44は、分離していてもよく、あるいは超音波信号および分析の視覚画像が表示されるワークステーション46自体に組み込まれていてもよい。
【0044】
他の場所で簡潔に説明するように、カテーテル本体18は、微細加工技術を用いて列30に組み込まれた個々にアドレス指定可能な圧電変換器または圧電素子を含む。図4Aに素子31と33として示される列の各素子は、特定の変換素子の位置から発出する球面波として超音波エネルギーを放出するように駆動でき、列内の各素子は、後方散乱された音響の機械的エネルギーを電気信号に変換する受信機として機能できる。所定の対の一方の素子31から球面波が発射されると、素子33などの他方の変換素子は、生体組織から反射される後方散乱エネルギーを遅れて検出できる。合成開口の設定では、1個の変換素子33のみが変換素子31の送信を一度に受信する。
【0045】
一般に複数対の素子は、音響エネルギーの送信機として機能する一方の素子31および受信機として機能する他方の素子33として作動する。これら素子は空間に配列されているので、列中でいくつもの観察点が存在する。従来技術の手法と比較した場合に、このことにより遥かに改善された横方向の解像度を提供する。
【0046】
そのデータが保存されると、列内の次の変換素子が作動して音響エネルギーを送信し、その相補的な変換素子が後方散乱された帰還信号を受信する。多くの、例えば64個の変換素子が様々な位置にあると、全ての位置からの全ての帰還エネルギーの複合値を用いて、計算により変換素子の平面に直交する画像平面を形成できる。
【0047】
同時に複数対の変換素子を作動させることができ、例示的な実施態様では、4個のチャネルのデータが同期して収集される。この限界は、データ経路の複雑さ、電力損失、および帯域幅に基づいている。従って、その他の構成も可能であり、かつそれら構成を特許請求の範囲内として予測できる。空間内の様々な点で送受信される時系列の多重化データから平面内の画像を抽出することは、数学的に複雑ではあるが、この分野ではよく知られており、当然なことでもある。一般に、表示される画像平面は、異なる時間に取得された空間内の多くの位置で得られるデータから合成され、これらデータは集合的に単一の画像平面内に畳み込まれるので、「合成開口」という用語で呼ばれる。カテーテルを経路に沿って移動すると、合成開口による画像平面がある容積を掃出する。これによると、ある組織容積の比較的低解像度の画像となるが、解剖の範囲を分解して、2次元の第1画像平面範囲での気道や血管などの解剖組織の検出を補完するのに役立てることができる。この点に関して、本発明の方法は、平面内の第1の標的画像範囲に依ってもよく、あるいは第1の標的画像容積と呼ばれる3次元容積に依ってもよい。後者の場合には、カテーテルの移動を用いて、標的組織の第1の3次元容積を規定する。
【0048】
使用中の超音波変換素子列には、2つの作動モードがある。第1のモードでは、後方散乱音響エネルギーからの振幅および包絡線情報を用いて、臨床医に提示される画像を形成する。この画像は、標的組織の第1の2次元断片または標的組織の3次元容積であってもよい。第2のモードでは、送信電力が低減されて、第1の画像平面または画像容積内により小さな標的平面または容積が選択される。この縮小された視野は、2次元断片の場合には第2の縮小領域または断片と呼ばれ、3次元容積の場合には第2の縮小容積と呼ばれる。いずれの場合も、縮小された視野は、第1の視野内に解剖学的な細部が観察されないように選択される。肉眼での解剖組織の除外により、定量分析のために均質試料が選択される。縮小面の断片または容積からの後方散乱エネルギーのスペクトルは、定量的かつ自動的に評価され、画像の形成のために使用されるのではない。画像を含まない定量情報を用いて、組織の縮小領域が癌性組織の音響特性を示すか否かを決定する。癌の高精度な特性または音響特性については、現在の研究課題でもある。
【0049】
図6は、図中に60と印付けした位置「1」に配置される遠位端を備えるカテーテル本体18を示す。斜線で示された第1の標的平面62は、気道66の近くに位置し、図中に68と標識された血管が2度も交わる疑いのある腫瘍塊64と交差する画像平面である。この画像モードの超音波データを用いて、疑いのある腫瘍塊を見出し、その位置を検証して記録する。疑いのある腫瘍塊の位置および識別を支援するために、カテーテル本体18は、軸方向経路11に沿って平行移動されるか、または図1に示す回転部材15を介して回転経路13で示されるように回転されてもよい。
【0050】
図7は、縮小標的平面72に関連する後方散乱が血管または気道と交差しないように、カテーテル本体18を再配置し、あるいは僅かに移動したことを示している。これは、定量超音波の後方散乱評価に用いられる縮小された第2の画像平面である。留意すべきこととして、カテーテルの動作は医師が操作してもよく、あるいは列の異なる部分が作動して同一の効果を達成してもよい。一般に、自動化システムは、第1の標的平面内の初期画像から縮小標的範囲を選択する。自動化システムは、図5の素子44に示される定量超音波システムの一部を形成してもよい。一般にこのプロセスは、隣接性とコントラストに基づいて画像成分を除外して、例えば血管と気道を自動的に除去する。列内の変換素子の電力水準を、自動プロセスで画像の一部分を切り取るように適合させるか、あるいは画像平面を別の場所で合成して、検出された解剖細部を除外できる。最終的な目標は、完全に超音波情報の自動評価に基づいて、推奨または診断を提供することである。
【0051】
図8は、スペクトルのグラフであり、Y軸に正規化された反射音響出力、X軸に対応する周波数を示す。四角印100は、対応する周波数における反射出力の振幅を表す。これらのデータ点100から「最近似」直線102を描くことができる。この直線の傾きは、図に識別されるように、有用なパラメータ104である。この最近似直線102がy軸と交差する点は、Y切片88である。中帯域を規定するように高周波と低周波の両方を除外すると、残りの数値の算術平均により、図に示す中帯域での最良適合値86を得る。
【0052】
【0053】
較正および代替の実施態様
【0054】
一般に、超音波スペクトルを正規化して、定量超音波パラメータとして機能させる。但し、反射信号の絶対エネルギーは診断値のみを有し、非正規化のスペクトルも臨床的に使用されることが予想される。この理由により、特に個々のカテーテルセンサーを較正することが重要となる。超音波変換素子技術ならびに製造方法により、感度やその他の音響特性が大きく異なってくる。当然のことだが、各センサーは、製造プロセスで特性が決まり、その動作範囲全体にわたってセンサーの補償特性が生成される。この独自の較正表はカテーテルに搭載して記憶され、メモリから適切に読み取られる。
【0055】
【0056】
線形平面の超音波変換素子列を保持して本発明の工程を実行することが一般的に好ましいが、代わりに、センサーは、パイ形状の視野を形成する線形構造であってもよい。またこのパイ形状の視野は、回転運動13によって機械的または電子的に円の周りを移動してもよい。
【0057】
追加の電磁センサーを、取手部内に配置してもよく、この近位電磁センサーシステムを遠位端の電磁センサー列と共に使用して、センサーに影響を与える医師の動作を解釈して、カテーテルシステムの方向について、医師に情報を提供しかつフィードバックできる。この場合には、カテーテルの既知の形状とともに2つの電磁センサーの相対運動または位置により、カテーテルの先端位置または別の属性の計算を可能とする。
【0058】
別の実施態様では、本明細書に記載の医療機器を用いて患者内の領域を画像化する方法が開示されている。この方法は、以下の工程を含む。
【0059】
図1に示すようにカテーテル組立品14を提供する。カテーテル14は、近位取手部12および遠位端部16を含み、共にカテーテル組立品14を形成する細長カテーテル本体18を有する。図4Aに示すように、遠位端部16内に少なくとも2つの電磁感知コイル36と38が配置される。図1に戻ると、カテーテル組立品14は、患者の肺または他の組織に接近できるように、気管支鏡10の作業経路17を経て用いるように構成されることが示されている。
【0060】
図4Aに、さらに図6図7に示すように、多重素子の平面超音波変換素子列30は、カテーテル組立品14の遠位端部16内に配置される。列30は、超音波エネルギーを送受信するように構成される。列30を、前記カテーテル本体18の軸21に平行になるように、カテーテル先端部16に配置する。
【0061】
図5~7に示すように、医療機器システムは、前記カテーテル本体18から直交して延びる第1の標的平面62に組織の画像を形成するために、前記超音波変換素子列30に結合された画像化システムをさらに備える。後方散乱評価システム44を、第1の標的平面62から選択される第2の縮小標的範囲72に位置する組織の音響スペクトル特性を受信かつ評価するために提供する。
【0062】
医療機器の遠位端を、図6に示す方法などで第1の位置に誘導する。ここで、組織を、第1の標的平面および前記第2の縮小標的範囲で、図6図7に示す方法などで観察する。前記第2の標的範囲内で観察される組織の音響スペクトルを分析する。針26などの試料採取器具を、前記第2の縮小標的範囲内のリンパ節などの標的組織に展開する。
【0063】
図6図8に示す超音波画像データ、音響スペクトル特性データ、および位置データを、全て同一時間に同一場所で採取し、医学的判断を通知するように医師に表示する。
【0064】
あるいは、患者の肺組織内の目的とする領域を診断する方法は、以下の工程を含む。
【0065】
図1に示す型式のカテーテル14を、気管支鏡作動経路17を経て前記肺組織に接近する。このカテーテルは、軸21および遠位端部16を含む細長カテーテル本体18を備える。図4Aに示すように、少なくとも2つの電磁感知コイル36と38を前記遠位端部内に配置する。また遠位端部16には、多重素子の平面超音波変換素子列30を配置している。平面列30を、前記カテーテル本体の軸21に平行に配置する。図6に示すように、カテーテル18の遠位端部16を、2つの電磁感知コイル36と38と相互作用するナビゲーションシステム46を用いて、目的とする領域に近位の第1の位置に誘導する。このシステムは、次に列30を介して第1の超音波エネルギーを図6に示す目的とする領域に送信する。列30は、第1の超音波エネルギーを受信し、それを画像化システム46に送信する。
【0066】
画像化システムでは、図6に示す目的とする領域の画像を作成する。この画像は、解剖組織を示し、前記解剖組織は、気道および血管を含む一式の構造から選択される。次にこのシステムは、解剖組織を含まない目的とする領域の画像内の標的範囲を識別する。
【0067】
この遠位端を、前記ナビゲーションシステムを用いて、標的範囲に近位の第2の位置に移動する。次に列30は、第2の超音波エネルギー信号を標的範囲内に送信し、帰還信号を図5に示す後方散乱評価システム44を用いて評価する。後方散乱評価システムでは、受信された第2の超音波エネルギーの音響スペクトルを評価して、目的とする領域の標的範囲の診断情報を抽出する。
【0068】
本発明の多くの特徴および利点は、上述の説明から明白である。当業者は、多数の変更および変形を容易に考え付くであろう。それらの変更は可能であるので、本発明は、図示されかつ説明された構成および操作に厳格に限定されるべきではない。むしろ本発明は、以下の特許請求の範囲によってのみ限定されるべきである。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8
【国際調査報告】