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特表2022-510334重合型高分子立体障害アミン及びその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-26
(54)【発明の名称】重合型高分子立体障害アミン及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   C08G 73/06 20060101AFI20220119BHJP
   C08L 101/00 20060101ALI20220119BHJP
   C08L 79/04 20060101ALI20220119BHJP
【FI】
C08G73/06
C08L101/00
C08L79/04 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021531334
(86)(22)【出願日】2020-05-28
(85)【翻訳文提出日】2021-05-28
(86)【国際出願番号】 CN2020092974
(87)【国際公開番号】W WO2020259195
(87)【国際公開日】2020-12-30
(31)【優先権主張番号】201910552502.8
(32)【優先日】2019-06-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521234607
【氏名又は名称】北京天▲かん▼助剤有限責任公司
(74)【代理人】
【識別番号】100088063
【弁理士】
【氏名又は名称】坪内 康治
(72)【発明者】
【氏名】安晶晶
(72)【発明者】
【氏名】陳▲うぇい▼
(72)【発明者】
【氏名】高勇年
(72)【発明者】
【氏名】李靖
(72)【発明者】
【氏名】劉▲かん▼
【テーマコード(参考)】
4J002
4J043
【Fターム(参考)】
4J002AA001
4J002AA072
4J002CH002
4J002CM022
4J002FD032
4J002FD132
4J002GL00
4J002GN00
4J002GQ00
4J043PA02
4J043PA18
4J043PC166
4J043QB64
4J043RA02
4J043SA05
4J043UA331
4J043UA511
4J043ZB03
4J043ZB42
4J043ZB45
(57)【要約】
本発明は、分子量が高く、ポリマー製品から溶出しにくく、熱安定性に優れるなどの利
点を有し、光、熱又は酸化に敏感な有機物質に対して安定化及び/又は難燃化作用を有し
、そして置換基を変えることによって、さまざまな種類の高分子材料と良好な相溶性を有
する一般式Iの重合型高分子立体障害アミンを開示する。
(I)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式Iが以下に示される重合型高分子立体障害アミン。
(I)
(式中、mnは1~20の間の整数であり、nは1~20の間の整数であり、
A1、A2、A3、A4、A5、A6……Anは同一でも異なってもよく、前記A1、
A2、A3、A4、A5、A6……An構造は、独立して、一般式II、III、IV又はVから
選ばれ、
(II)、
(III)、
(IV)、
(V)、
ただし、G1とG2は同一でも異なってもよく、独立して、C1~C18アルキル基、
C2~C18アルケニル基、C2~C18アルキニル基、フェニル基、C3~C12シク
ロアルキル基又はC2~C12ヘテロシクロアルキル基から選ばれ、又はG1、G2はG
1とG2の間の炭素原子とC3~C12シクロアルキル基を形成し、アルキル基、アルケ
ニル基、アルキニル基、フェニル基、シクロアルキル基又はヘテロシクロアルキル基上の
任意の水素原子はヒドロキシ基、-NO2、ハロゲン、アミノ基、シアノ基、-R21、
-OR21、-COOR21又は-COR21によって置換されてもよく、前記複素環中
のヘテロ原子は酸素、窒素、硫黄、リン又はケイ素であってもよく、
前記R21は、水素、未置換又は任意の水素原子がC1~C18アルキル基によって置
換されたC1~C40アルキル基、未置換又は任意の水素原子が1~3個の-OH又はC
1~30アルキル基によって置換されたフェニル基、未置換又はフェニル基の任意の水素
原子が1~3個の-OHとC1~30アルキル基によって置換されたC7-9フェニルア
ルキル基から選ばれ、
Eは、-CO-、又は-(CH2)a-から選ばれ、aは0、1、又は2から選ばれ、
R1とR2は同一でも異なってもよく、独立して、水素、C1~C50アルキル基、C
3~C12シクロアルキル基、C2~C12ヘテロシクロアルキル基から選ばれ、前記ア
ルキル基、シクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基中のH原子はヒドロキシ基、-N
O2、ハロゲン、アミノ基、シアノ基、-R21、-OR21、-COOR21又は-C
OR21によって置換されてもよく、前記複素環中のヘテロ原子は酸素、窒素、硫黄、リ
ン又はケイ素であってもよく、
R3は、C1~C50アルキレン基、C3~C12シクロアルキレン基、C2~C12
ヘテロシクロアルキレン基から選ばれ、前記アルキレン基、シクロアルキレン基、ヘテロ
シクロアルキレン基中のH原子はヒドロキシ基、NO2、ハロゲン、アミノ基、シアノ基
、-R21、-OR21、-COOR21又は-COR21によって置換されてもよく、
前記複素環中のヘテロ原子は酸素、窒素、硫黄、リン又はケイ素から選ばれ、
かつ、R1、R2及びR3の炭素原子数の総和は50以下であり、
Q1とQ2は同一でも異なってもよく、独立して、-O-、-O-CO-O-、-CO
-O-、-CO-NR22-、-NR22-、-NR22-CO-NR23-又は-(C
H2)b-から選ばれ、bは0、1、又は2であり、
ただし、前記R22、R23は、独立して、水素、未置換又は任意の水素原子がC1~
C18アルキル基によって置換されたC1~C40アルキル基、未置換又は任意の水素原
子が1~3個の-OH又はC1~30アルキル基によって置換されたフェニル基、未置換
又はフェニル基が1~3個の-OHとC1~30アルキル基によって置換されたC7-9
フェニルアルキル基から選ばれ、
Tの構造式は、未置換又は任意のH原子がC1~C5アルキル基によって置換されたC
1~C10アルキレン基、


又は
から選ばれ、
mpは1~20の間の整数であり、
R7、R8は同一でも異なってもよく、水素、C1~C40アルキル基、C3~C12
シクロアルキル基、C2~C12ヘテロシクロアルキル基から選ばれ、前記アルキル基、
シクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基中のH原子はヒドロキシ基、NO2、ハロゲ
ン、アミノ基、シアノ基、-R21、-OR21、-COOR21又は-COR21によ
って置換されてもよく、又はR7、R8はR7とR8との間のN原子とC3~C12シク
ロアルキレン基、C2~C12ヘテロシクロアルキレン基を形成し、前記シクロアルキレ
ン基、ヘテロシクロアルキレン基中のH原子はヒドロキシ基、NO2、ハロゲン、アミノ
基、シアノ基、-R21、-OR21、-COOR21又は-COR21によって置換さ
れてもよく、前記複素環中のヘテロ原子は酸素、窒素、硫黄、リン又はケイ素から選ばれ

Q3は、-O-、-O-CO-O-、-CO-O-、-CO-NR22-、-NR22
-、NR22-CO-NR23-又は-(CH2)b-から選ばれ、bは0、1、又は2
であり、
R4、R5は同一でも異なってもよく、独立して、水素、C1~C50アルキル基、C
3~C12シクロアルキル基、C2~C12ヘテロシクロアルキル基から選ばれ、前記ア
ルキル基、シクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基中のH原子はヒドロキシ基、-N
O2、ハロゲン、アミノ基、シアノ基、-R21、-OR21、-COOR21又は-C
OR21によって置換されてもよく、前記複素環中のヘテロ原子は酸素、窒素、硫黄、リ
ン又はケイ素から選ばれ、
R6は、C1~C50アルキレン基、C3~C12シクロアルキレン基、C2~C12
ヘテロシクロアルキレン基から選ばれ、前記アルキレン基、シクロアルキレン基、ヘテロ
シクロアルキレン基中のH原子は、ヒドロキシ基、NO2、ハロゲン、アミノ基、シアノ
基、-R21、-OR21、-COOR21又は-COR21によって置換されてもよく
、前記複素環中のヘテロ原子は酸素、窒素、硫黄、リン又はケイ素から選ばれ、
かつ、R4、R5及びR6中の炭素原子数の総和は50以下であり、
S1は、-CH2-、-CO-又は-NR24-から選ばれ、
S2は、N又はCから選ばれ、
S3は、-O-、-CH2-、-CO-又は-NR24-から選ばれ、
R24は、水素、C1~C50アルキル基、C3~C12シクロアルキル基、C2~C
12ヘテロシクロアルキル基から選ばれ、前記アルキル基、シクロアルキル基、ヘテロシ
クロアルキル基中のH原子は、ヒドロキシ基、-NO2、ハロゲン、アミノ基、シアノ基
、-R21、-OR21、-COOR21又は-COR21によって置換されてもよく、
前記複素環中のヘテロ原子は酸素、窒素、硫黄、リン、ケイ素又はハロゲンから選ばれ、
wは1~20の間の整数から選ばれ、zは2~20の間の整数から選ばれ、
UはR24又は
から選ばれ、
gは0~20の間の整数から選ばれ、hは1~20の間の整数から選ばれ、
Vは
から選ばれ、
R12、R13はポリマーのキャッピング基であり、前記R12、R13は同一でも異
なってもよく、独立して、水素、未置換又は任意のH原子がヒドロキシ基、-NO2、ハ
ロゲン、アミノ基、シアノ基、-R21、-OR21、-COOR21、-COR21又
はC1~C10アルキル基によって置換されたC4~C30アルキル基、未置換又は任意
のH原子がヒドロキシ基、-NO2、ハロゲン、アミノ基、シアノ基、-R21、-OR
21、-COOR21、-COR21又はC1~30アルキル基によって置換されたフェ
ニル基、未置換又はフェニル基の任意のH原子がヒドロキシ基、-NO2、ハロゲン、ア
ミノ基、シアノ基、-R21、-OR21、-COOR21、-COR21又はC1~3
0アルキル基によって置換されたC7-9フェニルアルキル基、


又は
から選ばれる。)
【請求項2】
G1、G2は、独立して、C1~C4アルキル基から選ばれ、前記R21はC1~C2
0アルキル基から選ばれ、Eは-CO-、又は-CH2-から選ばれ、前記Q1、Q2は
、独立して、-O-、-CO-O-、-CO-NR22-又は-NR22-から選ばれ、
前記R22、R23は、独立して、水素、C1~C20アルキル基から選ばれる、ことを
特徴とする請求項1に記載の重合型高分子立体障害アミン。
【請求項3】
G1、G2は、独立してメチル基から選ばれ、前記A1、A2、A3、A4、A5、A
6……Anは下記の構造式から選ばれる、ことを特徴とする請求項2に記載の重合型高分
子立体障害アミン。










(式中、モノマーに2個の重合部位がある場合、線形ポリマーが形成され、モノマーに
3個の重合部位がある場合、ハイパーブランチポリマーが形成される。)
【請求項4】
前記R1とR2は、独立して、水素、C1~C40アルキル基から選ばれ、前記アルキ
ル基中のH原子は-R21、-OR21、-COOR21又は-COR21によって置換
されてもよく、前記R3はC1~C40アルキレン基から選ばれ、前記アルキレン基中の
H原子は-R21、-OR21、-COOR21又は-COR21によって置換されても
よく、前記R1、R2及びR3の炭素原子数の総和は40以下であり、
前記R7とR8は、独立して、水素、未置換又は-R21によって置換されたC1~C
20アルキル基から選ばれ、又はR7、R8はR7とR8との間のN原子と未置換のC3
~C12シクロアルキレン基又はC2~C12ヘテロシクロアルキレン基を形成し、
好ましくは、前記C2~C12ヘテロシクロアルキレン基は、好ましくはC2~C12
酸素含有ヘテロシクロアルキレン基であり、
前記Q3は-O-、-CO-O-、-CO-NR22-又は-NR22-から選ばれ、
前記R4とR5は、独立して、水素、C1~C40アルキル基から選ばれ、前記アルキ
ル基中のH原子は-R21、-OR21、-COOR21又は-COR21によって置換
されてもよく、前記R6はC1~C40アルキレン基から選ばれ、前記アルキレン基中の
H原子は-R21、-OR21、-COOR21又は-COR21によって置換されても
よく、前記R4、R5及びR6の炭素原子数の総和は40以下である、ことを特徴とする
請求項3に記載の重合型高分子立体障害アミン。
【請求項5】
前記R21は水素又はC1~C12アルキル基から選ばれ、
Q1、Q2は、独立して、-CO-O-、-CO-NR22-又は-NR22-から選
ばれ、
前記R22、R23は、独立して、水素、C1~C12アルキル基から選ばれ、
前記R7とR8は、独立して、未置換のC1~C20アルキル基から選ばれ、又はR7
、R8はR7とR8との間のN原子と未置換のC3~C10シクロアルキレン基又はC2
~C8酸素含有シクロアルキレン基を形成し、
Q3は-NR22-から選ばれる、ことを特徴とする請求項4に記載の重合型高分子立
体障害アミン。
【請求項6】
前記一般式Iの重合型高分子立体障害アミンは下記の重合形態から選ばれてもよい、こ
とを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の重合型高分子立体障害アミン。












(式中、A、Bは重合可能な部位を表し、且つA部位はB部位と重合可能であり、ポリマー
における重合がABである場合、線形ポリマーが形成され、ポリマーにおける重合がAB
2である場合、ハイパーブランチポリマーが形成され、
mnは1~20の間の整数であり、
R1、R2は、独立して、水素又はC1~C40アルキル基から選ばれ、R3はC1~
C40アルキレン基から選ばれ、R1、R2及びR3の炭素原子数の総和は40以下であ
り、
R22はC1~C5アルキル基から選ばれ、
R7、R8は、独立して、C1~C10アルキレン基から選ばれ、又はR7、R8はR
7とR8との間のN原子とC3~C10シクロアルキレン基及びC2~C8酸素含有シク
ロアルキレン基を形成し、
R4、R5は、独立して、水素又はC1~C40アルキル基から選ばれ、R6はC1~
C40アルキレン基から選ばれ、R4、R5及びR6の炭素原子数の総和は40以下であ
り、
Q1、Q2、Q3は、独立して、-CO-O-、-CO-NR22-又は-NR22-
から選ばれ、R22はC1~C5アルキル基から選ばれる。)
【請求項7】
重合性モノマーを溶媒に溶解するか、又は溶融状態となるまで昇温し、触媒とヒドロペ
ルオキシドを順次加えて反応させ、一般式Iの前記重合型高分子立体障害アミンを生成す
ることを含み、前記重合性モノマーの構造一般式は以下に示される、請求項1に記載の一
般式Iの重合型高分子立体障害アミンの製造方法。









又は
(式中、
RとR’は同一でも異なってもよく、C1~C50アルキル基、C3~C12シクロア
ルキル基、C2~C12ヘテロシクロアルキル基から選ばれ、前記アルキル基、シクロア
ルキル基、ヘテロシクロアルキル基中のH原子はヒドロキシ基、NO2、ハロゲン、アミ
ノ基、シアノ基、-R21、-OR21、-COOR21又は-COR21によって置換
されてもよく、前記複素環中のヘテロ原子は酸素、窒素、硫黄、リン又はケイ素から選ば
れ、かつ、RとR’の炭素原子数は50以下であり、
前記溶媒はジクロロベンゼン、クロロベンゼン、トルエン、ハロゲン化炭化水素、メタ
ノール、エタノール、エチレングリコール、メチルエーテル又は水であり、
前記触媒は金属化合物であり、金属化合物中の金属が元素周期表の第4族、第5族、第
6族、第7族及び第8族の金属元素から選ばれ、好ましくは、前記金属化合物がバナジル
アセチルアセトナート、バナジウムアセチルアセトナート(三価)、コバルトカルボニル
、酸化クロム(六価)、チタン酸n-ブチル、チタン酸イソプロピル、モリブデンヘキサ
カルボニル、三酸化モリブデン、五酸化バナジウム、三酸化クロム及び/又は三酸化タン
グステンから選ばれ、
前記ヒドロペルオキシドは無機ヒドロペルオキシド又は有機ヒドロペルオキシドであり
、前記無機ヒドロペルオキシドはH2O2であり、前記有機ヒドロペルオキシドはアルキ
ルヒドロペルオキシド及びアリールヒドロペルオキシドである。)
【請求項8】
好ましくは、一般式Iの重合型高分子立体障害アミンは光、熱又は酸化に敏感な有機物
質に対して安定化及び/又は難燃化作用を有する、請求項1に記載の一般式Iの重合型高
分子立体障害アミンの、安定剤及び/又は難燃剤としての用途。
【請求項9】
光、熱又は酸化に敏感な1種又は2種以上の有機物質と、少なくとも1種の一般式Iの
重合型高分子立体障害アミンとを含み、前記有機物質と一般式Iの重合型高分子立体障害
アミンは各種の割合で使用され得る、組成物。
【請求項10】
高分子材料は、たとえばプラスチック、塗料、バインダなどであり、自動車の内装材又
は外装材、フローティング装置、道路交通装置、農業製品、電気製品、家具、靴類、衛生
製品、健康製品の分野から選ばれる、任意の高分子材料製品の製造における請求項9に記
載の組成物の応用。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は高分子材料の分野に属し、特に重合型高分子立体障害アミン及びその製造方法
に関し、前記立体障害アミンは、ポリマー及びそのブレンド物を安定化して光及び/又は
熱による侵害から保護する場面、及びポリマーの難燃剤としての場面において、有益な效
果がある。
【背景技術】
【0002】
高分子材料は加工、貯蔵や使用の過程において、物理的性質、化学的性質や機械的性能
が次第に悪くなる現象がよく存在する。たとえば、プラスチックの場合、黄変、脆化やひ
び割れ、ゴムの場合、ベタつき、硬化、亀裂や絶縁性能の低下がある。繊維製品の場合、
変色、退色、強度低下、断裂などの現象がある。これらの現象を総称して高分子材料の老
化や分解と呼ぶ。高分子材料の老化を引き起こす要因は多く、その中でも、酸素、光、熱
の影響が最も顕著である。老化を防止又は遅延させ、耐用年数を延ばすために、高分子材
料に特定の機能を持つ化学助剤を添加することが一般的である。光安定剤は高分子材料の
光誘導分解の物理化学的過程を干渉できる化合物であり、最もよく使われ最も重要な高分
子材料添加剤の一つである。その中でも、ヒンダードアミン光安定剤は、その優れた光老
化防止効果のために広く注目され、ここ20~30年来、国内外で最も活発に研究された
光安定剤である。
【0003】
ヒンダードアミン光安定剤には、ピペリジン誘導体、イミダゾロン誘導体やアザシクロ
アルカノン誘導体などの系列がある。ピペリジン誘導体は比較的多く研究され、発展も最
も速く、Tinuvin 770、 Chimassorb 944、 UV-3346
、 Chimassorb 2020(EP782994)、 TiangangR H
S-950、Tinuvin 292、 Tinuvin 119、 UV-3529、
TiangangR HS-625、 Tinuvin 123、 Tinuvin
NOR 371(CN101484423A)、 FIamestab NOR 116
(US20110160453A1)、 TiangangR FR- 810など、多
くの品種が市販されている。
【0004】
すでに商業化されている製品に加えて、各国の科学研究者は新しい構造を持つヒンダー
ドアミン光安定剤についても積極的に研究している。特許文献CN105636954A
には、トリアジン、ピペリジン及びピロリジニルヒンダードアミン光安定剤が開示されて
おり、特許文献CN101048378Aには、N-アルコキシアミンの合成方法が開示
されており、特許文献CN102307940Aには、N-置換大環状トリアジン水素A
LS安定剤が開示されており、特許文献CN1753871Aには、水相溶性の立体障害
アルコキシアミン及びヒドロキシ置換アルコキシアミン等が開示されている。
【0005】
しかしながら、今まで、ヒンダードアミン光安定剤はまだいくつかの欠点が存在してお
り、たとえばポリマー加工中、低分子量のヒンダードアミン光安定剤は揮発しやすく、ヒ
ンダードアミン光安定剤の熱安定性が悪く、ポリマーマトリックスとの相溶性が悪く、こ
れらはヒンダードアミン光安定剤の更なる応用を制限している。
【0006】
また、高分子材料に難燃性が要求される応用分野がますます多くなっており、その中で
最も広く応用されている難燃剤は主に臭素系とリン系の化合物である。しかし、難燃化効
果を達成するために、これらの難燃剤の添加量が高く、高分子材料の他の性能に影響を与
え、しかも、薄型製品の場合は、難燃剤の添加量が多くても難燃化効果が得られない。近
年、研究により、光安定剤に加えて、アルコキシ置換ヒンダードアミン光安定剤も難燃剤
として利用できることが見出された。
【0007】
特許US 6599963及びWO 99/00450は、ヒンダードアミン光安定剤
を難燃剤としてポリマー製品に添加することを記載している。特許WO 99/0045
0は、ヒンダードアミン光安定剤の薄型製品(たとえばフィルム又は繊維)における効果
が理想的でないことを指摘しており、その原因は、一方では、ヒンダードアミン光安定剤
自体の色により最終製品の変色を招き、他方では、ヒンダードアミン光安定剤は分子量が
比較的小さいため、ポリマー製品中に析出しやすいことである。したがって、これらの欠
点を解決するためには、光安定剤としても難燃剤としても使用できる、新規なアルコキシ
置換ヒンダードアミン光安定剤の開発が急務となっている。
【0008】
特許US 8765848は、アルコキシ置換ヒンダードアミンをポリオレフィンワッ
クスにグラフト化し、新規なヒンダードアミン光安定剤を得ることを記載している。これ
らの助剤は高分子量で、析出しにくく、ポリオレフィンとの相溶性に優れている。しかし
、グラフト率をうまく制御できないため、ポリマー製品に対する難燃性と光安定性に影響
を与え、また、このようなヒンダードアミン光安定剤は、ポリオレフィンワックスにグラ
フトしているため、他のタイプの樹脂との相溶性が悪いという欠点がまだ存在する。
【0009】
本発明では、本発明者らは、ヒンダードアミン光安定剤を重合反応させることにより、
重合型高分子量立体障害アミンを得る。この新規な立体障害アミンは、分子量が高く、ポ
リマー製品から溶出しにくく、熱安定性に優れるなどの利点を有し、そして置換基を変え
ることによって、さまざまな種類の高分子材料と良好な相溶性を有する。
また、この新規な立体障害アミンは、繰り返し単位中に老化防止及び難燃性に作用する
構造を含むため、より効率的な老化防止及び難燃性を有する。
【発明の概要】
【0010】
本発明の目的は、重合型高分子量立体障害アミンを提供することであり、本発明の別の
目的は重合型高分子量立体障害アミンの製造方法を提供することであり、本発明の別の目
的は重合型高分子量立体障害アミンの用途を提供することであり、本発明のさらなる目的
は、重合型高分子量立体障害アミンを含む組成物及びその用途を提供することである。
【0011】
本発明は一般式Iが以下に示される重合型高分子立体障害アミンを提供する。
(I)
(式中、mnはポリマー中の各モノマーの重合度を示し、mnは1~20の間の整数で
あり、nは1~20の間の整数である。
A1、A2、A3、A4、A5、A6……Anは同一でも異なってもよく、前記A1、
A2、A3、A4、A5、A6……An構造は一般式II、III、IV又はVから選ばれ、
(II)、
(III)、
(IV)、
(V)
ただし、G1とG2は同一でも異なってもよく、独立して、C1~C18アルキル基、
C2~C18アルケニル基、C2~C18アルキニル基、フェニル基、C3~C12シク
ロアルキル基又はC2~C12ヘテロシクロアルキル基から選ばれ、又はG1、G2はG
1とG2との間の炭素原子とC3~C12シクロアルキル基を形成し、アルキル基、アル
ケニル基、アルキニル基、フェニル基、シクロアルキル基又はヘテロシクロアルキル基上
の任意の水素原子はヒドロキシ基、-NO2、ハロゲン、アミノ基、シアノ基、-R21
、-OR21、-COOR21又は-COR21によって置換されてもよく、前記複素環
中のヘテロ原子は酸素、窒素、硫黄、リン又はケイ素であってもよい。
好ましくは、G1、G2は、独立して、C1~C4アルキル基から選ばれる。
より好ましくは、G1、G2は、独立して、メチル基から選ばれる。
前記R21は水素、未置換又はC1~C18アルキル基によって置換されたC1~C4
0アルキル基、未置換又は任意の水素原子が1~3個の-OH又はC1~30アルキル基
によって置換されたフェニル基、未置換又はフェニル基上の任意の水素原子が1~3個の
-OH又はC1~30アルキル基によって置換されたC7-9フェニルアルキル基から選
ばれる。
好ましくは、前記R21はC1~C20アルキル基から選ばれる。
より好ましくは、前記R21はC1~C12アルキル基から選ばれる。
Eは-CO-、又は-(CH2)a-から選ばれ、aは0、1、又は2から選ばれ、
好ましくは、Eは-CO-、又は-CH2-から選ばれる。
R1、R2は同一でも異なってもよく、独立して、水素、C1~C50アルキル基、C
3~C12シクロアルキル基、C2~C12ヘテロシクロアルキル基から選ばれ、前記ア
ルキル基、シクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基中のH原子はヒドロキシ基、-N
O2、ハロゲン、アミノ基、シアノ基、-R21、-OR21、-COOR21又は-C
OR21によって置換されてもよく、前記複素環中のヘテロ原子は酸素、窒素、硫黄、リ
ン又はケイ素であってもよく、R21の値は前記のとおりである。
R3はC1~C50アルキレン基、C3~C12シクロアルキレン基、C2~C12ヘ
テロシクロアルキレン基から選ばれ、前記アルキレン基、シクロアルキレン基、ヘテロシ
クロアルキレン基中のH原子はヒドロキシ基、NO2、ハロゲン、アミノ基、シアノ基、
-R21、-OR21、-COOR21又は-COR21によって置換されてもよく、前
記複素環中のヘテロ原子は酸素、窒素、硫黄、リン又はケイ素であってもよい。
かつ、R1、R2及びR3の炭素原子数の総和は50以下である。
好ましくは、前記R1とR2は、独立して、水素、C1~C40アルキル基から選ばれ
、前記アルキル基中のH原子は-R21、-OR21、-COOR21又は-COR21
によって置換されてもよい。
好ましくは、前記R3はC1~C40アルキレン基から選ばれ、前記アルキレン基中の
H原子は-R21、-OR21、-COOR21又は-COR21によって置換されても
よい。
好ましくは、前記R1、R2及びR3の炭素原子数の総和は40以下である。
Q1とQ2は同一でも異なってもよく、独立して、-O-、-O-CO-O-、-CO
-O-、-CO-NR22-、-NR22-、-NR22-CO-NR23-又は-(C
H2)b-から選ばれ、bは0、1、又は2である。
好ましくは、前記Q1、Q2は、独立して、-O-、-CO-O-、-CO-NR22
-又は-NR22-から選ばれる。)
【0012】
本発明の好ましい実施形態では、Q1、Q2は、独立して、-CO-O-、-CO-N
R22-又は-NR22-から選ばれる。
【0013】
前記R22、R23は、独立して、水素、未置換又は任意の水素原子がC1~C18ア
ルキル基によって置換されたC1~C40アルキル基、未置換又は任意の水素原子が1~
3個の-OH又はC1~30アルキル基によって置換されたフェニル基、未置換又はフェ
ニル基の任意の水素原子が1~3個の-OH及びC1~30アルキル基によって置換され
たC7-9フェニルアルキル基から選ばれる。
【0014】
好ましくは、前記R22、R23は、独立して、水素、C1~C20アルキル基から選
ばれる。
【0015】
より好ましくは、前記R22、R23は、独立して、水素、C1~C12アルキル基か
ら選ばれる。
【0016】
Tの構造式は、未置換又はC1~C5アルキル基によって置換されたC1~C10アル
キレン基、


又は
から選ばれ、
ただし、Tの構造式は
又は
である場合、構造式中のTは繰り返し単位であり、Q1とQ2との間に次のT基が連結さ
れ、
mpは1~20の間の整数である。
R7、R8は同一でも異なってもよく、水素、C1~C40アルキル基、C3~C12
シクロアルキル基、C2~C12ヘテロシクロアルキル基から選ばれ、前記アルキル基、
シクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基中のH原子はヒドロキシ基、NO2、ハロゲ
ン、アミノ基、シアノ基、-R21、-OR21、-COOR21又は-COR21によ
って置換されてもよく、前記複素環中のヘテロ原子は酸素、窒素、硫黄、リン又はケイ素
であってもよい。
又はR7、R8はR7とR8との間のN原子とC3~C12シクロアルキレン基、C2
~C12ヘテロシクロアルキレン基を形成し、前記シクロアルキレン基、ヘテロシクロア
ルキレン基中のH原子はヒドロキシ基、NO2、ハロゲン、アミノ基、シアノ基、-R2
1、-OR21、-COOR21又は-COR21によって置換されてもよく、前記複素
環中のヘテロ原子は酸素、窒素、硫黄、リン又はケイ素であってもよい。
好ましくは、前記R7とR8は、独立して、水素、未置換又は-R21によって置換さ
れたC1~C20アルキル基から選ばれ、又はR7、R8はR7とR8との間のN原子と
未置換のC3~C12シクロアルキレン基又はC2~C12ヘテロシクロアルキレン基を
形成する。
好ましくは、前記C2~C12ヘテロシクロアルキレン基は、好ましくはC2~C12
酸素含有ヘテロシクロアルキレン基である。
【0017】
本発明の好ましい実施形態では、前記R7とR8は、独立して、未置換のC1~C20
アルキル基から選ばれ、又はR7、R8はR7とR8との間のN原子と未置換のC3~C
10シクロアルキレン基又はC2~C8酸素含有シクロアルキレン基を形成する。
Q3は-O-、-O-CO-O-、-CO-O-、-CO-NR22-、-NR22-
、-NR22-CO-NR23-又は-(CH2)b-から選ばれ、bは0、1、又は2
である。
【0018】
好ましくは、前記Q3は-O-、-CO-O-、-CO-NR22-又は-NR22-
から選ばれる。
【0019】
本発明の好ましい実施形態では、Q3は、独立して-NR22-から選ばれ、R22、
R23の値は前記のとおりである。
R4、R5は同一でも異なってもよく、独立して、水素、C1~C50アルキル基、C
3~C12シクロアルキル基、C2~C12ヘテロシクロアルキル基から選ばれ、前記ア
ルキル基、シクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基中のH原子はヒドロキシ基、-N
O2、ハロゲン、アミノ基、シアノ基、-R21、-COOR21又は-COR21によ
って置換されてもよく、前記複素環中のヘテロ原子は酸素、窒素、硫黄、リン又はケイ素
であってもよく、R21の値は前記のとおりである。
R6はC1~C50アルキレン基、C3~C12シクロアルキレン基、C2~C12ヘ
テロシクロアルキレン基から選ばれ、前記アルキレン基、シクロアルキレン基、ヘテロシ
クロアルキレン基中のH原子はヒドロキシ基、NO2、ハロゲン、アミノ基、シアノ基、
-R21、-OR21、-COOR21又は-COR21によって置換されてもよく、前
記複素環中のヘテロ原子は酸素、窒素、硫黄、リン又はケイ素であってもよい。
かつ、R4、R5及びR6の炭素原子数の総和は50以下である。
好ましくは、前記R4とR5は、独立して、水素、C1~C40アルキル基から選ばれ
、前記アルキル基中のH原子は-R21、-OR21、-COOR21又は-COR21
によって置換されてもよい。
好ましくは、前記R6は、C1~C40アルキレン基から選ばれ、前記アルキレン基中
のH原子は-R21、-OR21、-COOR21又は-COR21によって置換されて
もよい。
好ましくは、前記R4、R5及びR6の炭素原子数の総和は40以下である。
S1は-CH2-、-CO-又は-NR24-から選ばれ、
S2はN又はCから選ばれ、
S3は-O-、-CH2-、-CO-又は-NR24-から選ばれ、
R24は水素、C1~C50アルキル基、C3~C12シクロアルキル基、C2~C1
2ヘテロシクロアルキル基から選ばれ、前記アルキル基、シクロアルキル基、ヘテロシク
ロアルキル基中のH原子はヒドロキシ基、-NO2、ハロゲン、アミノ基、シアノ基、-
R21、-OR21、-COOR21又は-COR21によって置換されてもよく、前記
複素環中のヘテロ原子は酸素、窒素、硫黄、リン又はケイ素であってもよく、
wは1~20の間の整数から選ばれ、zは2~20の間の整数から選ばれる。
好ましくは、S1は-CH2-、-CO-から選ばれ、
S2はNから選ばれ、
S3は-O-、-CH2-、-CO-から選ばれ、
wは1~7の間の整数から選ばれ、zは2~5の間の整数から選ばれる。
UはR24又は
から選ばれ、
ここでUの構造式は
である場合、構造式中のUは繰り返し単位であり、S2は次のU基に連結され、
gは0~20の間の整数から選ばれ、hは1~20の間の整数から選ばれ、
Vは
から選ばれ、Q2とTの値は前記のとおりである。
R12、R13はポリマーのキャッピング基であり、前記R12、R13は同一でも異
なってもよく、独立して、水素、未置換又は任意のH原子がヒドロキシ基、-NO2、ハ
ロゲン、アミノ基、シアノ基、-R21、-OR21、-COOR21、-COR21又
はC1~C10アルキル基によって置換されたC4~C30アルキル基、未置換又は任意
のH原子がヒドロキシ基、-NO2、ハロゲン、アミノ基、シアノ基、-R21、-OR
21、-COOR21、-COR21又はC1~30アルキル基によって置換されたフェ
ニル基、未置換又はフェニル基の任意のH原子がヒドロキシ基、-NO2、ハロゲン、ア
ミノ基、シアノ基、-R21、-OR21、-COOR21、-COR21又はC1~3
0アルキル基によって置換されたC7-9フェニルアルキル基


又は
から選ばれ、R7、R8の値は前記のとおりである。
好ましくは、前記R12、R13は、独立して、水素、未置換又は任意のH原子がヒド
ロキシ基、-NO2、ハロゲン、アミノ基、シアノ基、-R21、-OR21、-COO
R21、-COR21又はC1~C10アルキル基によって置換されたC4~C30アル
キル基、2つの-NR7R8によって置換されたs-トリアジニル基から選ばれる。
最も好ましくは、前記R12、R13は、独立して、水素、未置換又は任意のH原子が
ヒドロキシ基、-NO2、ハロゲン、アミノ基、シアノ基、-R21、-OR21、-C
OOR21、-COR21又はC1~C10アルキル基によって置換されたC4~C30
アルキル基から選ばれる。
【0020】
本発明の好ましい実施形態では、前記A1、A2、A3、A4、A5、A6……Anは
、下記の構造式から選ばれる。










【0021】
本発明では、C原子が4以上の炭素鎖が触媒の作用により活性化点を生じ、ピペリジン
環に結合したOが反応する。上記のように、モノマーに2個の重合部位がある場合、線状
ポリマーが形成され、モノマーに3個の重合部位がある場合、3個の部位がすべて重合し
て、ハイパーブランチポリマーを形成することができる。本発明の前記ハイパーブランチ
ポリマーはABX(X=2)型モノマーの重縮合反応により生成する高分岐ポリマーであ
り、完全なデンドリマーではなく、ハイパーブランチポリマーと呼ばれる特定の重合形態
で重合されたポリマーである。A、Bはそれぞれ連結作用を有する機能基である。非特許
文献「Flory, P. J. J. Am, Chem. Soc. 1952, 74,2718.」に記載されているように、ハ
イパーブランチポリマーの概念は19世紀末に提案され、現在も広く研究されている。
【0022】
したがって、本発明の好ましい実施形態では、前記一般式Iの重合型高分子立体障害ア
ミンは下記の重合形態から選ばれてもよい。













(式中、A、Bは重合可能な部位を表し、且つA部位はB部位と重合可能であり、ポリマー
における重合がABである場合、線形ポリマーが形成され、単にA-B-A-Bで示され
、ポリマーにおける重合がAB2である場合、ハイパーブランチポリマーが形成され、単
に構造
で示される。)
【0023】
又は、本発明の好ましい実施形態では、前記一般式Iの重合型高分子立体障害アミンは
下記の重合形態から選ばれてもよい。

上記重合形態では、mnはポリマーの各モノマーの重合度を表し、同一でも異なっても
よく、mnは1~20の間の整数である。
好ましくは、R1、R2は、独立して、水素又はC1~C40アルキル基から選ばれ、
R3はC1~C40アルキレン基から選ばれ、R1、R2及びR3の炭素原子数の総和は
40以下である。
R22はC1~C5アルキル基から選ばれる。
R7、R8は、独立して、C1~C10アルキレン基から選ばれ、又はR7、R8はR
7とR8との間のN原子とC3~C10シクロアルキレン基及びC2~C8酸素含有シク
ロアルキレン基を形成する。
R4、R5は、独立して、水素又はC1~C40アルキル基から選ばれ、R6はC1~
C40アルキレン基から選ばれ、R4、R5及びR6の炭素原子数の総和は40以下であ
る。
Q1、Q2は、独立して、-CO-O-、-CO-NR22-又は-NR22-から選
ばれ、R22はC1~C5アルキル基から選ばれる。
【0024】
本発明では、前記アルキル基という用語は、所定の範囲内の炭素原子を含むものであり
、たとえば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、s-ブ
チル基、イソブチル基、t-ブチル基、2-エチルブチル基、n-ペンチル基、イソペン
チル基、1-メチルペンチル基、1,3-ジメチルブチル基、n-ヘキシル基、1-メチ
ルヘキシル基、n-ヘプチル基、イソヘプチル基、1,1,3,3-テトラメチルブチル基
、1-メチルヘプチル基、3-メチルヘプチル基、n-オクチル基、2-エチルヘキシル
基、1,1,3-トリメチルヘキシル基、1,1,3,3-テトラメチルペンチル基、ノニル
基、デシル基、ウンデシル基、1-メチルウンデシル基、ドデシル基、1,1,3,3,5,
5-ヘキサメチルヘキシル基である。
【0025】
アルケニル基の例は、所定の炭素原子範囲内のビニル基、アリル基、及びブテニル基、
ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基、
ウンデカセニル基、及びドデカセニル基の分岐及び直鎖の異性体であり、アルケニルとい
う用語には、共役又は非共役の二重結合を1つ以上有する基も含まれ、たとえば二重結合
を1つ含んでいてもよい。
【0026】
シクロアルキル基のいくつかの例は、シクロプロピル基、シクロブチル基、メチルシク
ロブチル基、シクロペンチル基、メチルシクロペンチル基、ジメチルシクロペンチル基、
トリメチルシクロペンチル基、エチルシクロペンチル基、プロピルシクロペンチル基、イ
ソプロピルシクロペンチル基、シクロヘキシル基、メチルシクロヘキシル基、ジメチルシ
クロヘキシル基、エチルシクロヘキシル基、シクロヘプチル基、メチルシクロヘプチル基
、シクロオクチル基である。
【0027】
ヘテロシクロアルキル基の例は、N、O、S、Siなどの元素を含有するシクロアルキ
ル基である。
【0028】
アルキレン基の例は、所定の炭素原子範囲内のエチレン基、プロピレン基、イソプロピ
レン基、ブチレン基、s-ブチレン基、イソブチレン基、2-エチルブチレン基、ペンチ
レン基、イソペンチレン基、1-メチルペンチレン基、1,3-ジメチルブチレン基、ヘ
キシレン基、1-メチルヘキシレン基、ヘプチレン基、1,1,3,3-テトラメチルブチ
レン基、1-メチルヘプチレン基、3-メチルヘプチレン基、オクチレン基、2-エチル
ヘキシレン基、1,1,3-トリメチルヘキシレン基、1,1,3,3-テトラメチルペンチ
レン基、ノニリレン基、デシレン基、ウンデシリデン基、及びドデシレン基の分岐及び直
鎖の異性体である。
【0029】
本発明の前記C7~9フェニルアルキル基は、好ましくは、フェニルメチル基及び2-
フェニルエチル基である。
【0030】
本発明の前記1~3個のC1~4アルキル基によって置換されたC7~9フェニルアル
キル基は、好ましくは、メチルフェニルメチル基、ジメチルフェニルメチル基、トリメチ
ルフェニルメチル基又はt-ブチルフェニルメチル基である。
【0031】
本発明は、重合性モノマーを溶媒に溶解するか、又は溶融状態となるまで昇温し、触媒
とヒドロペルオキシドを順次加えて反応させ、一般式Iの前記重合型高分子立体障害アミ
ンを生成することを含み、前記重合性モノマーの構造一般式が以下に示される一般式Iの
重合型高分子立体障害アミンの製造方法を提供する。










(式中、
RとR’は同一でも異なってもよく、C1~C50アルキル基、C3~C12シクロア
ルキル基、C2~C12ヘテロシクロアルキル基から選ばれ、前記アルキル基、シクロア
ルキル基、ヘテロシクロアルキル基中のH原子はヒドロキシ基、NO2、ハロゲン、アミ
ノ基、シアノ基、-R21、-OR21、-COOR21又は-COR21によって置換
されてもよく、前記複素環中のヘテロ原子は酸素、窒素、硫黄、リン又はケイ素であって
もよく、かつ、RとR’の炭素原子数は50以下であり、一般式における他のパラメータ
の値は前記のとおりである。)
【0032】
上記の重合性モノマーは、本分野で知られているものであり、一部が市販品であるか、
又は本分野で知られている方法で合成することができる。
【0033】
本発明の方法で使用される溶剤は芳香族炭化水素(たとえば、ベンゼン、ジクロロベン
ゼン、クロロベンゼン等)、ハロゲン化炭化水素、アルコール類(たとえば、メタノール
、エタノール、エチレングリコール又はメチルエーテル)等の一般的に使用される有機溶
剤又は水である。
【0034】
好ましくは、前記溶媒は、ベンゼン、ジクロロベンゼン、クロロベンゼン等の芳香族炭
化水素類溶媒である。
【0035】
本発明の方法では、反応温度は0~250℃、好ましくは25~100℃、より好まし
くは45~150℃である。
【0036】
本発明の方法で使用される触媒は金属化合物であり、金属化合物中の金属が周期律表第
4族、第5族、第6族、第7族及び第8族の金属元素から選ばれる。
【0037】
好ましくは、前記金属化合物は、バナジルアセチルアセトナート、バナジウムアセチル
アセトナート(三価)、コバルトカルボニル、酸化クロム(六価)、チタン酸n-ブチル
、チタン酸イソプロピル、モリブデンヘキサカルボニル、三酸化モリブデン、五酸化バナ
ジウム、三酸化クロム及び/又は三酸化タングステンから選ばれる。
【0038】
本発明の好ましい実施形態では、前記金属化合物は、三酸化モリブデン、五酸化バナジ
ウム、三酸化クロム、及び/又は三酸化タングステンである。
【0039】
本発明では、触媒の使用量は、重合性モノマーのモル当量に対して、0.0001~0
.6モル当量、好ましくは0.01~0.3モル当量、より好ましくは0.01~0.1
5モル当量である。
【0040】
本発明の方法で使用されるヒドロペルオキシドは、無機ヒドロペルオキシド又は有機ヒ
ドロペルオキシドである。
【0041】
好ましくは、前記無機ヒドロペルオキシドはH2O2であり、前記有機ヒドロペルオキ
シドは、アルキルヒドロペルオキシド及びアリールヒドロペルオキシドである。
【0042】
好ましくは、前記アルキルヒドロペルオキシドは、t-ブチル過酸化水素、t-ペンチ
ル過酸化水素、t-ヘキシル過酸化水素、又はt-オクチル過酸化水素などのt-アルキ
ルヒドロペルオキシドであり、前記アリールヒドロペルオキシドは、エチルベンゼンヒド
ロペルオキシド、テトラリンパーオキサイド又はクメン過酸化水素である。
【0043】
本発明の好ましい実施形態では、前記ヒドロペルオキシドは、H2O2、t-ブチル過
酸化水素又はクメン過酸化水素から選ばれる。
【0044】
本発明では、ヒドロペルオキシドの使用量は、重合性モノマーのモル当量に対して1~
20モル当量、好ましくは1~10モル当量、より好ましくは1~5モル当量である。
【0045】
本発明の方法は、窒素ガス、ヘリウムガス又はアルゴンガスなどの不活性雰囲気中で実
施され、0.5~30bar、好ましくは0.5~20bar、特に0.5~10bar
で実施することができ、また環境圧力下で実施することができる。
【0046】
本発明は、一般式Iの重合型高分子立体障害アミンの、安定剤及び/又は難燃剤として
の用途を提供する。
【0047】
好ましくは、一般式Iの重合型高分子立体障害アミンは、光、熱又は酸化に敏感な有機
物質に対して安定化及び/又は難燃化作用を有する。
【0048】
本発明は、光、熱又は酸化に敏感な1種又は2種以上の有機物質と、少なくとも1種の
一般式Iの重合型高分子立体障害アミンとを含む組成物を提供する。
【0049】
好ましくは、前記組成物は、酸化防止剤、紫外線吸収剤、ヒンダードアミン光安定剤、
強化剤、充填剤、難燃剤又は他の添加剤のうちの1つ又は2つ以上の組み合わせをさらに
含む。前記他の添加剤は、可塑化剤、潤滑剤、乳化剤、顔料、レオロジー添加剤、触媒、
流動制御剤、光学増光剤、耐火剤、帯電防止剤及び発泡剤から選ばれる。
【0050】
好ましくは、前記組成物では、一般式Iの重合性高分子立体障害アミンの量は、有機物
質の性質、最終用途及び添加剤によって決定され、一般式Iの重合性高分子立体障害アミ
ンは各種の割合で使用され得る。
【0051】
好ましくは、前記一般式Iの重合型高分子立体障害アミンの量は、有機物質の重量の0
.01%~5%である。
【0052】
より好ましくは、前記一般式Iの重合型高分子立体障害アミンの量は、有機物質の重量
の0.05%~2%である。
【0053】
最も好ましくは、前記一般式Iの重合型高分子立体障害アミンの量は有機物質の重量の
0.05%~1%である。
【0054】
前記有機物質は、ポリオレフィン、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン、ポリ塩
化ビニル、ポリメチルメタクリレート、ポリアセタール、ポリアミド、ポリイミド、エポ
キシ樹脂、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリエステル、ポリスルホ
ン、ポリウレア、ポリスチレン、熱可塑性エラストマー、エチレン-酢酸ビニルコポリマ
ーから選ばれる1種又は2種以上の組み合わせである。
【0055】
前記ポリオレフィンは、エチレン及び/又はプロピレンベースのゴム相を含有するポリ
エチレン又はポリプロピレンから選ばれる。前記ポリアセタールは、ポリオキシメチレン
と、エチレンオキシドを共重合モノマーとして含有するポリオキシメチレンと、熱可塑性
ポリウレタン、アクリル酸エステル又はMBSで変性されたポリアセタールとを含む。
【0056】
前記ポリアミドは、ポリアミド4、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド610、
ポリアミド69、ポリアミド612、ポリアミド46、ポリアミド1212、ポリアミド
11、ポリアミド12など、ジアミン及びジカルボン酸から誘導され、及び/又はアミノ
カルボン酸又は対応するラクタムから誘導されたポリアミド及びコポリアミド;メタキシ
リレンジアミンとアジピン酸から得られる芳香族ポリアミド;ヘキサメチレンとイソフタ
ル酸又は/及びテレフタル酸とから変性剤としてのエラストマーの存在下又は非存在下で
得られるポリアミドを含む。
【0057】
前記ポリエステルは、ジカルボン酸とジオール及び/又はヒドロキシカルボン酸又はそ
れに対応するラクトンから誘導されるポリエステル、たとえば、ポリエチレンテレフタレ
ート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ1,4-ジメチロールシクロヘキサンテレフタ
レート及びポリヒドロキシ安息香酸エステル;ヒドロキシを末端基とするポリエーテル誘
導体のブロック共重合ポリエーテルエステル;及びポリカーボネート又はMBSで変性さ
れたポリエステルなどを含む。
【0058】
前記熱可塑性エラストマーは、ポリオレフィン熱可塑性エラストマーと、ブロック共重
合型ポリスチレン熱可塑性エラストマーとを含む。ポリオレフィン熱可塑性エラストマー
は、ポリオレフィン樹脂(たとえばハードセグメントとして機能するポリエチレン、ポリ
プロピレン)と、ゴム組成物(たとえば、ソフトセグメントとして機能するエチレン-プ
ロピレン-ジエンエラストマー(EPDM))とを含む。ブロックコポリマー型ポリスチ
レン熱可塑性エラストマーは、ハードセグメントとして機能するポリスチレンと、ソフト
セグメントとして機能するポリジエン(たとえば、ポリブタジエン又はポリイソプレン)
とを含む。あるいは、本発明の熱可塑性エラストマーとしては、ポリオレフィンエラスト
マーとポリスチレンエラストマーとの混合物を用いることもできる。ソフトセグメントと
ハードセグメントを熱可塑性エラストマーに組み合わせる方法は、簡単な混和、共重合に
よる植え込み、及び動的架橋に大別できる。ポリスチレン熱可塑性エラストマーセグメン
トの組み合わせは、SBS、SIS、SEBS、SEPS、これらの4つのコポリマーの
いずれかの水素添加ポリマー、SBRの水素添加ポリマー(HSBR)、及びポリプロピ
レンとこれらのポリマーから選ばれる1つ以上の任意のメンバーとの混合物を含む。
【0059】
前記酸化防止剤は、フェノール及び/又はアミン系酸化防止剤、亜リン酸エステル、チ
オエステル等から選ばれる。酸化防止剤1010、酸化防止剤1076、酸化防止剤10
98、酸化防止剤168などが好ましい。
【0060】
前記紫外線吸収剤は、サリチル酸エステル系、安息香酸エステル系、ベンゾフェノン系
、ベンゾトリアゾール系、トリアジン系紫外線吸収剤から選ばれる。
【0061】
前記ヒンダードアミン光安定剤は、本発明の化合物又はその混合物と異なる構造を有す
るヒンダードアミン光安定剤、たとえば、セバシン酸ビス(2,2,6,6-テトラメチル
-4-ピペリジニル)、コハク酸と4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチル-1-
ピペリジンエタノールとのポリマー、Chimassorb 944、Chimasso
rb 2020、UV-3346、UV-3529、Tinuvin 770、Tinu
vin 622LD、Tinuvin 292、TiangangRHS-625、Ti
angangRHS-950等のヒンダードアミン光安定剤から選ばれる。
【0062】
前記充填剤及び強化剤は、炭酸カルシウム、ケイ酸塩、ガラス繊維、ガラスビーズ、ア
スベスト、タルク、カオリン、マイカ、硫酸バリウム、金属酸化物及び水酸化物、カーボ
ンブラック、黒鉛、木粉及び小麦粉、又は他の天然物繊維、合成繊維から選ばれる。
【0063】
本発明では、高分子材料は、たとえばプラスチック、塗料、バインダ等であり、自動車の
内装材又は外装材、フローティング装置、道路交通装置、農業製品、電気製品、家具、靴
類、衛生製品、健康製品の分野から選ばれる、任意の高分子材料製品の製造における前記
組成物の応用を提供する。
【0064】
前記プラスチック製品は、当業者に周知の如何なる方法によっても製造することができ
、これには、押出、押出ブロー成形、フィルム流延、圧延、射出成形、ブロー成形、プレ
ス成形、熱成形、スピニング成形、ブロー押出成形、及び回転鋳造成形が含まれるが、こ
れらに限定されない。
【発明を実施するための形態】
【0065】
以下、本発明の実施例における技術案を明確かつ完全に説明するが、説明される実施例
は本発明の一部の実施例にすぎず、全てではないことは明らかである。本発明の実施例に
基づいて、当業者が創造的な努力を必要とせずに得る他のすべての実施例は、本発明の特
許範囲に属する。
【0066】
実施例1
2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジンドデシルアミン81gと三酸化モリブデ
ン2gをクロロベンゼン400mLに溶解し、120℃に加熱して、次に、t-ブチルヒ
ドロペルオキシド(70%水溶液)60gを緩やかに滴下し、12h撹拌し続けた。完全
に反応させた後、過量の飽和亜硫酸ナトリウム溶液を加えて、撹拌して相分離し、ろ過し
て有機相を濃縮させ、対象製品60gを得た。
分子量:1650(Mn)
動粘度(140℃):152 mPas
【0067】
実施例2
2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジンドデシルアミン81gと三酸化モリブデ
ン1gをクロロベンゼン400mLに溶解し、140℃に加熱して、次に、t-ブチルヒ
ドロペルオキシド(70%水溶液)35gを緩やかに滴下し、48h撹拌し続けた。完全
に反応させた後、過量の飽和亜硫酸ナトリウム溶液を加えて、撹拌して相分離し、ろ過し
て有機相を濃縮させ、対象製品70gを得た。
分子量:1850(Mn)
動粘度(140℃):178 mPas
【0068】
実施例3
2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジンドデシルアミン81gと三酸化モリブデ
ン3gをクロロベンゼン400mLに溶解し、140℃に加熱して、次に、t-ブチルヒ
ドロペルオキシド(70%水溶液)を緩やかに滴下し、60h撹拌し続けた。完全に反応
させた後、過量の飽和亜硫酸ナトリウム溶液を加えて、撹拌して相分離し、ろ過して有機
相を濃縮させ、対象製品75gを得た。
分子量:2028(Mn)
動粘度(140℃):232 mPas
【0069】
実施例4
N-ドデシル-2,2,6,6-テトラメチルピペラジノン85gと三酸化モリブデン3
gをクロロベンゼン400mLに溶解し、140℃に加熱して、次に、t-ブチルヒドロ
ペルオキシド(70%水溶液)50gを緩やかに滴下し、60h撹拌し続けた。完全に反
応させた後、過量の飽和亜硫酸ナトリウム溶液を加えて、撹拌して相分離し、ろ過して有
機相を濃縮させ、対象製品77gを得た。
分子量:1950(Mn)
動粘度(140℃):241 mPas
【0070】
実施例5
2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジニルステアリン酸エステル106gと三酸
化モリブデン3gをクロロベンゼン400mLに溶解し、140℃に加熱して、次に、t
-ブチルヒドロペルオキシド(70%水溶液)50gを緩やかに滴下し、60h撹拌し続
けた。完全に反応させた後、過量の飽和亜硫酸ナトリウム溶液を加えて、撹拌して相分離
し、ろ過して有機相を濃縮させ、対象製品90gを得た。
分子量:2080(Mn)
動粘度(140℃):267 mPas
【0071】
実施例6
(1)シアヌル酸クロリド36.9gをキシレン300mLに溶解し、10℃に冷却し
た後、N-(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジニル)n-ブチルアミン(シアヌ
ル酸クロリドとN-(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジニル)n-ブチルアミン
とのモル比は1:1である)42.4gを加えて1h撹拌し、次に、ドデシルアミン(シ
アヌル酸クロリドとドデシルアミンとのモル比は1:1である)37gを加えて、60℃
で3h撹拌し、次に、水酸化ナトリウム水溶液(30%)50gを加え、3h撹拌して相
分離し、最後に、モルホリン(シアヌル酸クロリドとモルホリンとのモル比は1:1であ
る)17.5gを加えて、110℃に昇温し、さらに6h撹拌した。完全に反応させた後
、相分離を行い、有機相を水で複数回洗浄し、次いで、有機相を分離して減圧濃縮させ、
中間体1 116.1gを得た。
中間体1
(2)中間体1 86gと三酸化モリブデン3gをクロロベンゼン400mLに溶解し
、140℃に加熱して、次に、t-ブチルヒドロペルオキシド(70%水溶液)50gを
緩やかに滴下し、60h撹拌し続けた。完全に反応させた後、過量の飽和亜硫酸ナトリウ
ム溶液を加え、撹拌して相分離し、ろ過して有機相を濃縮させ、対象製品72gを得た。
分子量:1800(Mn)
動粘度(140℃):532 mPas
【0072】
実施例7
(1)シアヌル酸クロリド36.9gをキシレン300mLに溶解し、10℃に冷却し
た後、N-(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジニル)n-ブチルアミン(シアヌ
ル酸クロリドとN-(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジニル)n-ブチルアミン
とのモル比は1:1である)42.4gを加えて1h撹拌し、次に、水酸化ナトリウム水
溶液(30%)50gを加えて3h撹拌し、相分離し、次に、ドデシルアミン(シアヌル
酸クロリドとドデシルアミンとのモル比は1:2である)74gを加えて、100℃に昇
温し、さらに6h撹拌した。完全に反応させた後、相分離を行い、有機相を水で複数回洗
浄し、次いで、有機相を分離して減圧濃縮させ、中間体2 134gを得た。
中間体2
(2)中間体2 98gと三酸化モリブデン3gをクロロベンゼン400mLに溶解し
、140℃に加熱して、次に、t-ブチルヒドロペルオキシド(70%水溶液)50gを
緩やかに滴下し、60h撹拌し続けた。完全に反応させた後、過量の飽和亜硫酸ナトリウ
ム溶液を加え、撹拌して相分離し、ろ過して有機相を濃縮させ、対象製品85gを得た。
分子量:1863(Mn)
動粘度(140℃):650 mPas
【0073】
実施例8
(1)シアヌル酸クロリド36.9gをキシレン300mLに溶解し、20℃に冷却し
た後、N-(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジニル)n-ブチルアミン(シアヌ
ル酸クロリドとN-(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジニル)n-ブチルアミン
とのモル比は1:2である)84.8gを加えて1h撹拌し、水酸化ナトリウム水溶液(
30%)50gを加えて3h撹拌し、相分離し、次に、ドデシルアミン(シアヌル酸クロ
リドとドデシルアミンとのモル比は1:1である)37gを加えて、110℃に昇温し、
さらに6hに撹拌した。完全に反応させた後、相分離を行い、有機相を水で複数回洗浄し
、次いで、有機相を分離して減圧濃縮させ、中間体3 140.2gを得た。
中間体3
(2)中間体3 102.6gと三酸化モリブデン3gをクロロベンゼン400mLに
溶解し、120℃に加熱し、次に、t-ブチルヒドロペルオキシド(70%水溶液)60
gを緩やかに滴下し、60h撹拌し続けた。完全に反応させた後、過量の飽和亜硫酸ナト
リウム溶液を加えて、撹拌して相分離し、ろ過して有機相を濃縮させ、対象製品95gを
得た。
分子量:1950(Mn)
動粘度(140℃):693 mPas
【0074】
実施例9
2,2,4,4-テトラメチル-4-ピペリジニルドデシルアミド88gと三酸化モリブ
デン3gをクロロベンゼン400mLに溶解し、140℃に加熱して、次に、t-ブチル
ヒドロペルオキシド(70%水溶液)50gを緩やかに滴下し、60h撹拌し続けた。完
全に反応させた後、過量の飽和亜硫酸ナトリウム溶液を加えて、撹拌して相分離し、ろ過
して有機相を濃縮させ、対象製品75gを得た。
分子量:1873(Mn)
動粘度(140℃):337 mPas
【0075】
実施例10
2,2,4,4-テトラメチル-20-ラウリルオキシカルボニルエチル-7-オキサ-
3,20-トリアザビススピロ[5.1.11.2]エイコサン-21-オン150.5
gと三酸化モリブデン3gをクロロベンゼン400mLに溶解し、140℃に加熱して、
次に、t-ブチルヒドロペルオキシド(70%水溶液)50gを緩やかに滴下し、60h
撹拌し続けた。完全に反応させた後、過量の飽和亜硫酸ナトリウム溶液を加えて、撹拌し
て相分離し、ろ過して有機相を濃縮させ、対象製品135.7gを得た。
分子量:1815(Mn)
動粘度(140℃):527 mPas
【0076】
実施例11
2,2,4,4-テトラメチル-7-オキサ-3,20-トリアザビススピロ[5.1.1
1.2]エイコサン-21-オン90.5gと三酸化モリブデン3gをクロロベンゼン4
00mLに溶解し、140℃に加熱して、次に、t-ブチルヒドロペルオキシド(70%
水溶液)50gを緩やかに滴下し、60h撹拌し続けた。完全に反応させた後、過量の飽
和亜硫酸ナトリウム溶液を加えて、撹拌して相分離し、ろ過して有機相を濃縮させ、対象
製品78gを得た。
分子量:1835(Mn)
動粘度(140℃):417 mPas
【0077】
実施例12
3-ドデシル-1-(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジニル)ピロリジン-
2,5-ジオン101.5gと三酸化モリブデン3gをクロロベンゼン400mLに溶解
し、140℃に加熱して、次に、t-ブチルヒドロペルオキシド(70%水溶液)50g
を緩やかに滴下し、60h撹拌し続けた。完全に反応させた後、過量の飽和亜硫酸ナトリ
ウム溶液を加えて、撹拌して相分離し、ろ過して有機相を濃縮させ、対象製品90gを得
た。
分子量:1932(Mn)
動粘度(140℃):384mPas
【0078】
実施例13
2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジンドデシルアミン32.4g、2,2,6,6
-テトラメチル-4-ピペリジニルステアリン酸エステル42.3g、及び三酸化モリブ
デン3gをクロロベンゼン400mLに溶解し、140℃に加熱して、次に、t-ブチル
ヒドロペルオキシド(70%水溶液)50gを緩やかに滴下し、60h撹拌し続けた。完
全に反応させた後、過量の飽和亜硫酸ナトリウム溶液を加えて、撹拌して相分離し、ろ過
して有機相を濃縮させ、対象製品67gを得た。
分子量:2054(Mn)
動粘度(140℃):243 mPas
【0079】
実施例14
中間体1 57.5g、中間体3 68.4g及び三酸化モリブデン3gをクロロベン
ゼン400mLに溶解し、140℃に加熱して、次に、t-ブチルヒドロペルオキシド(
70%水溶液)50gを緩やかに滴下し、60h撹拌し続けた。完全に反応させた後、過
量の飽和亜硫酸ナトリウム溶液を加えて、撹拌して相分離し、ろ過して有機相を濃縮させ
、対象製品108gを得た。
分子量:2628(Mn)
動粘度(140℃):983 mPas
【0080】
実施例15
2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジンドデシルアミン32.4g、2,2,6,6
-テトラメチル-4-ピペリジニルステアリン酸エステル42.3g、中間体157.5
g、及び三酸化モリブデン3gをクロロベンゼン400mLに溶解し、140℃に加熱し
て、次に、t-ブチルヒドロペルオキシド(70%水溶液)50gを緩やかに滴下し、6
0h撹拌し続けた。完全に反応させた後、過量の飽和亜硫酸ナトリウム溶液を加えて、撹
拌して相分離し、ろ過して有機相を濃縮させ、対象製品110gを得た。
分子量:2207(Mn)
動粘度(140℃):413 mPas
【0081】
実施例16
2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジンドデシルアミン81gと三酸化モリブデ
ン3gをクロロベンゼン400mLに溶解し、140℃に加熱して、次に、t-ブチルヒ
ドロペルオキシド(70%水溶液)50gを緩やかに滴下し、60h撹拌し続けた。完全
に反応させた後、過量の飽和亜硫酸ナトリウム溶液を加えて、撹拌して相分離し、ろ過し
て有機相を濃縮させ、中間体4 75gを得た。
中間体4 60gとジ-n-ブチルアミン32.3gをクロロベンゼン400mLに溶
解し、140℃に加熱して、6h撹拌し続けた。反応終了後、有機相を濃縮させて対象製
品85gを得た。
分子量:2286(Mn)
動粘度(140℃):271mPas
【0082】
実施例17 ポリプロピレン材料に対する安定化実験
基礎処方:
標準ポリマー:79.8wt%熱可塑性ポリプロピレン;20wt%ハイドロタルサイ
ト;0.20wt%酸化防止剤(AO-1010);
1#:100wt%標準ポリマー;
2#:99.7wt%標準ポリマー、0.3wt%立体障害アミン(実施例3);
3#:99.7wt%標準ポリマー、0.3wt%立体障害アミン(実施例5);
4#:99.7wt%標準ポリマー、0.3wt%立体障害アミン(実施例6);
5#:99.7wt%標準ポリマー、0.3wt%立体障害アミン(実施例8);
6#:99.7wt%標準ポリマー、0.3wt%立体障害アミン(実施例13);
7#:99.7wt%標準ポリマー、0.4wt%立体障害アミン(実施例14);
8#:99.7wt%標準ポリマー、0.3wt%立体障害アミン(実施例15);
テストサンプルの製造:
各成分を混合機にて予備混合し、次に、220℃で二軸押出機にて押し出して造粒した
。80℃で8h乾燥させ、次に、240℃で射出成形機を用いて射出成形した。最後に、
サンプルについてSAE J 2527標準に準じてキセノンランプ老化テストを行い、
テスト結果を表1を示す。
表1 キセノンランプ老化後のサンプルの△E*(低値は好ましい)
【0083】
実施例18 熱可塑性ポリエチレンに対する安定化試験
基礎処方:
標準ポリマー:79.8wt%熱可塑性ポリエチレン;20wt%炭酸カルシウム;0
.20wt%酸化防止剤(AO-1010);
1#:100wt%標準ポリマー;
2#:99.6wt%標準ポリマー、0.4wt%立体障害アミン(実施例3);
3#:99.6wt%標準ポリマー、0.4wt%立体障害アミン(実施例5);
4#:99.6wt%標準ポリマー、0.4wt%立体障害アミン(実施例6);
5#:99.6wt%標準ポリマー、0.4wt%立体障害アミン(実施例8);
6#:99.6wt%標準ポリマー、0.4wt%立体障害アミン(実施例13);
7#:99.6wt%標準ポリマー、0.4wt%立体障害アミン(実施例14);
8#:99.6wt%標準ポリマー、0.4wt%立体障害アミン(実施例15);
テストサンプルの製造:
各成分を混合機にて予備混合し、次に、190℃で二軸押出機にて押し出して造粒した
。80℃で8h乾燥させ、次に、200℃でブロー機を用いてブロー成形した。最後に、
サンプルについてGB/T 16422.2-2014標準に準じて人工キセノンランプ
加速老化テストを行い、テスト結果を表2に示す。
表2 引張強度保持率%
【0084】
実施例19 熱可塑性ポリ塩化ビニルに対する安定化試験
基礎処方:
標準ポリマー:
65.5wt%熱可塑性ポリ塩化ビニル;31.5wt%可塑剤;1.6wt%エポキ
シ化大豆油;1.4wt%カルシウム亜鉛安定剤;
1#:100wt%標準ポリマー;
2#:99.5wt%標準ポリマー、0.25wt%UV-531;0.25wt%立
体障害アミン(実施例3);
3#:99.5wt%標準ポリマー、0.25wt%UV-531;0.25wt%立
体障害アミン(実施例5);
4#:99.5wt%標準ポリマー、0.25wt%UV-531;0.25wt%立
体障害アミン(実施例6);
5#:99.5wt%標準ポリマー、0.25wt%UV-531;0.25wt%立
体障害アミン(実施例8);
テストサンプルの製造:
各成分を混合機にて予備混合し、次いで、165℃でダブルロールグラインダーにて7
分間混練し、所望のサンプルを得た。最後に、サンプルについてGB/T 16422.
2-2014標準に準じてキセノンランプ老化テストを行い、テスト結果を表3に示す。
表3 破断伸び保持率%

【0085】
実施例20 熱可塑性ポリアミド6に対する安定化試験
基礎処方:
標準ポリマー:79.8wt%熱可塑性ポリアミド6;20wt%炭酸カルシウム;0
.20wt%酸化防止剤(AO-1098);
1#:100wt%標準ポリマー;
2#:99.6wt%標準ポリマー、0.4wt%立体障害アミン(実施例3);
3#:99.6wt%標準ポリマー、0.4wt%立体障害アミン(実施例9);
4#:99.6wt%標準ポリマー、0.4wt%立体障害アミン(実施例10);
5#:99.6wt%標準ポリマー、0.4wt%立体障害アミン(実施例11);
6#:99.6wt%標準ポリマー、0.4wt%立体障害アミン(実施例12);
テストサンプルの製造:
各成分を混合機にて予備混合し、次に、260℃で二軸押出機にて押し出して造粒し、
80℃で12h乾燥させ、次に、265℃で射出成形機を用いて射出成形した。最後に、
サンプルについてGB/T 16422.2-2014標準に準じてキセノンランプ老化
テストを行い、テスト結果を表4に示す
表4 キセノンランプ老化後のサンプルの△E*(低値は好ましい)

【0086】
実施例21 PP薄膜における難燃剤としての性能のテスト
基礎処方:
標準ポリマー:99.65wt%熱可塑性ポリプロピレン;0.05wt%ステアリン
酸カルシウム;0.30wt%酸化防止剤(AO-1010:AO-168=1:1);

1#:100wt%標準ポリマー;
2#:99.6wt%標準ポリマー、0.4wt%立体障害アミン(実施例3);
3#:99.6wt%標準ポリマー、0.4wt%立体障害アミン(実施例5);
4#:99.6wt%標準ポリマー、0.4wt%立体障害アミン(実施例6);
5#:99.6wt%標準ポリマー、0.4wt%立体障害アミン(実施例8);
テストサンプルの製造:
各成分を混合機にて予備混合し、次に、220℃で二軸押出機にて押し出して造粒した
。80℃で8h乾燥させ、次に、ホットプレス機にて加圧成形して製造した。最後に、サ
ンプルについてDIN 4102-B2標準に準じてサンプルの難燃性をテストし、テス
ト結果を表5に示す
表5 サンプルの難燃性能

【0087】
実施例22 ポリアミド6における難燃剤としての性能のテスト
基礎処方:標準ポリマー:79.8wt%熱可塑性ポリアミド6;20wt%炭酸カル
シウム;0.20wt%酸化防止剤(AO-1098);
1#:100wt%標準ポリマー;
2#:99.6wt%標準ポリマー、0.4wt%立体障害アミン(実施例3);
3#:99.6wt%標準ポリマー、0.4wt%立体障害アミン(実施例9);
4#:99.6wt%標準ポリマー、0.4wt%立体障害アミン(実施例10);
5#:99.6wt%標準ポリマー、0.4wt%立体障害アミン(実施例11);
6#:99.6wt%標準ポリマー、0.4wt%立体障害アミン(実施例12);
テストサンプルの製造:
各成分を混合機にて予備混合し、次に、260℃で二軸押出機にて押し出して造粒し、
80℃で12h乾燥させ、次に、265℃で射出成形機を用いて射出成形した。最後に、
サンプルについてUL94標準に準じてサンプルの難燃性をテストし、テスト結果を表6
に示す
表6 サンプルの難燃性能
【0088】
なお、上記の実施例は、本発明の技術案を説明するためにのみ使用されるものであって
、それを限定するものではない。前述の各実施例を参照して本発明を詳細に説明したが、
当業者が理解できるように、前述の各実施例に記載された技術案を補正したりその一部若
しくは全部の技術的特徴を均等に置き換えたりすることができる。これらの補正又は置換
により、対応する技術案の本質が本発明の各実施例の技術案の範囲から逸脱することはな
い。

【国際調査報告】