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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-26
(54)【発明の名称】ロボットアーム
(51)【国際特許分類】
   B25J 9/08 20060101AFI20220119BHJP
【FI】
B25J9/08
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021531540
(86)(22)【出願日】2019-12-04
(85)【翻訳文提出日】2021-07-06
(86)【国際出願番号】 GB2019053423
(87)【国際公開番号】W WO2020115476
(87)【国際公開日】2020-06-11
(31)【優先権主張番号】1819824.2
(32)【優先日】2018-12-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(31)【優先権主張番号】1819825.9
(32)【優先日】2018-12-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(31)【優先権主張番号】1819826.7
(32)【優先日】2018-12-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516017204
【氏名又は名称】ユニバーシティ オブ プリマス
【氏名又は名称原語表記】UNIVERSITY OF PLYMOUTH
【住所又は居所原語表記】Drake Circus Plymouth Devon The United Kingdom
(71)【出願人】
【識別番号】521238166
【氏名又は名称】フィールドワーク ロボティクス リミテッド
【氏名又は名称原語表記】FIELDWORK ROBOTICS LIMITED
【住所又は居所原語表記】Research and Innovation, Floor 2, Marine Building, University of Plymouth, Plymouth, Devon, PL4 8AA, United Kingdom
(74)【代理人】
【識別番号】110002295
【氏名又は名称】特許業務法人森脇特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】サウエルワルド トーマス
(72)【発明者】
【氏名】レケナ イグナシオ マーティン
(72)【発明者】
【氏名】クノルザイセン マクシミリアン
(72)【発明者】
【氏名】マーシュ カイアン
(72)【発明者】
【氏名】ウィルモット アルフレッド
(72)【発明者】
【氏名】ストーレン マーティン
(72)【発明者】
【氏名】ブッシュ サンドラ
【テーマコード(参考)】
3C707
【Fターム(参考)】
3C707AS22
3C707CU09
3C707DS01
3C707HS27
3C707HT04
3C707HT21
3C707KS20
3C707KT03
3C707LS15
3C707LT11
3C707LV01
3C707MT01
(57)【要約】
【課題】概括的には、モジュール式ロボットアームを提供する。
【解決手段】各関節モジュール及び/又はエンドエフェクタモジュールは、交換用モジュールと取換又は交換が可能である。モジュールは、対をなすインターロック機構により相互接続されており、容易かつ反復可能に連結及び分離させることができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モジュール式ロボットアームであって、第1の関節モジュールと第2のモジュールとを備え、
前記第1の関節モジュールは
第1の剛体リンクと第2の剛体リンクとの間で運動を生じさせるために可動である第1の関節と、
前記第1の関節を動かすために作動可能な1つ又は複数の弾性力部材を有する第1の可変剛性アクチュエータと、を備え、前記第1のリンク又は前記第2のリンク第2のリンクは第1のインターロック機構を有し、
前記第2のモジュールは、第1のモジュールの前記第1のインターロック機構と連結するように構成される第2のインターロック機構を備え、
前記ロボットアームは、前記第2のインターロック機構を前記第1のインターロック機構と連結させることにより、前記第2のモジュールと前記第1のモジュールとが動作可能に接続する動作モードと、前記第2のインターロック機構を前記第1のインターロック機構から分離させることにより、前記第1のモジュール又は前記第2のモジュールを交換用モジュールに交換することができる再構成モードとを有し、
前記1つ又は複数の弾性力部材は、前記動作の構成では前記第2のモジュールに係合しないことを特徴とする、ロボットアーム。
【請求項2】
前記第2のモジュールは、エンドエフェクタモジュール、又は第2の関節モジュールのいずれかを構成し、
前記エンドエフェクタモジュールは、対象物を操作するように配置されたエンドエフェクタを備え、
前記第2の関節モジュールは、
第3の剛体リンクと第4の剛体リンクとの間で運動を生じさせるために可動である第2の関節と、
前記第2の関節を動かすために作動可能な1つ又は複数の弾性力部材を有する第2の可変剛性アクチュエータと、を備え、前記第3のリンク又は前記第4のリンクは、前記第2のインターロック機構を有することを特徴とする、請求項1記載のロボットアーム。
【請求項3】
前記第1のリンクは前記第1のインターロック機構を備え、
前記第2のリンク第2のリンクは第3のインターロック機構を備え、
前記ロボットアームは、前記動作モードで前記第1のモジュールの前記第3のインターロック機構と連結するように配置された、第4のインターロック機構を有する第3のモジュールを備え、
前記第3のインターロック機構と前記第4のインターロック機構とは、前記第1のモジュール又は前記第3のモジュールを交換用モジュールと交換可能な再構成モードで分離されることを特徴とする、請求項1又は請求項2記載のロボットアーム。
【請求項4】
前記第1及び第2のインターロック機構のうち片方は雌要素を備え、もう一方は、前記第1及び第2のインターロック機構がまとめて連結されるように、前記雌型要素内に入れ子になるように配置される雄型要素を備えることを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか一項記載のロボットアーム。
【請求項5】
前記第1及び第2のインターロック機構は、摺動接続により連結されることを特徴とする、請求項1乃至4のいずれか一項記載のロボットアーム。
【請求項6】
前記第1及び第2のインターロック機構は、摩擦係合により連結されることを特徴とする、請求項1乃至5のいずれか一項記載のロボットアーム。
【請求項7】
前記第1及び第2のインターロック機構は、ワンステップの接続により連結されることを特徴とする、請求項1乃至6のいずれか一項記載のロボットアーム。
【請求項8】
前記第1及び第2のインターロック機構は、追加の固定手段なく連結されることを特徴とする、請求項1乃至7のいずれか一項記載のロボットアーム。
【請求項9】
前記第1及び第2のインターロック機構は、協働する摺動ダブテール関節機構を備えることを特徴とする、請求項1乃至8のいずれか一項記載のロボットアーム。
【請求項10】
前記第3及び第4のインターロック機構は、請求項4乃至9のいずれか一項記載の前記第1及び第2のインターロック機構の任意の機能を備えることを特徴とする、請求項3記載のロボットアーム。
【請求項11】
前記動作モードでは、前記1つ又は複数の弾性力部材が、連結されている前記第1及び第2のインターロック機構を横切って延在することはないことを特徴とする、請求項1乃至10のいずれか一項記載のロボットアーム。
【請求項12】
前記第1及び/又は第2の可変剛性アクチュエータは、
張力が増加すると関節を第1の方向に付勢するよう作動可能な前記1つ又は複数の弾性力部材である第1の弾性力部材と、
張力が増加すると関節を前記第1の方向と反対の第2方向に付勢するよう作動可能な前記1つ又は複数の弾性力部材である第2の弾性力部材とを備えることを特徴とする、請求項1乃至11のいずれか一項記載のロボットアーム。
【請求項13】
前記第1及び/又は第2の可変剛性アクチュエータは、第1及び第2の双方向アクチュエータを構成し、
前記双方向アクチュエータはそれぞれ、
張力が増加すると関節を第1の方向に付勢するように作動可能な前記1つ又は複数の弾性力部材である第1の弾性力部材と、
張力が増加すると関節を前記第1の方向とは反対の第2方向に付勢するよう作動可能な前記1つ又は複数の弾性力部材である第2の弾性力部材とを備えることを特徴とする、請求項1乃至12のいずれか一項記載のロボットアーム。
【請求項14】
前記第1及び/又は第2の可変剛性アクチュエータは、前記1つ又は複数の弾性力部材の結果として生じる張力が相対的に低い低剛性モードと、前記1つ又は複数の弾性力部材の結果として生じる張力が相対的に高い高剛性モードとで動作することができることを特徴とする、請求項1乃至13のいずれか一項記載のロボットアーム。
【請求項15】
前記1つ又は複数の弾性力部材それぞれは、前記第1のリンク及び前記第2のリンク第2のリンクに接続されていることを特徴とする、請求項1乃至14のいずれか一項記載のロボットアーム。
【請求項16】
前記第1及び/又は前記2の可変剛性アクチュエータは1つ又は複数のアクチュエータを構成し、
前記アクチュエータはそれぞれ、前記第1のリンクに対して回動可能かつ前記第2のリンク第2のリンクと共に回動可能な第1のプーリと、前記第1のリンクに対して回動可能である第2のプーリと、前記第1のプーリと前記第2のプーリとの間で延在する作動リンクとを備え、
前記作動リンクが前記第1のプーリと前記第2のプーリとの間で延在する前記1つ又は複数の弾性力部材の内、少なくとも1つを含むことにより、前記第1のプーリ又は前記第2のプーリの回動が関節の運動を生じさせることを特徴とする、請求項1乃至15のいずれか一項記載のロボットアーム。
【請求項17】
部品のキットであって、
請求項1乃至16のいずれか一項記載のロボットアームと、
前記第1のモジュールの前記第1のインターロック機構と連結するように配置された更なる第2のインターロック機構を含む交換用の第2のモジュールとを備え、
前記動作の構成では、前記第2のモジュール又は前記交換用の第2のモジュールの内いずれかを、前記第1のモジュールに作動可能に接続することができることを特徴とする、部品のキット。
【請求項18】
請求項1乃至16のいずれか一項記載のロボットアームを動作させる方法であって、
前記第1及び第2のインターロック機構を切り離すステップと、
前記第1又は第2のモジュールを、さらなるインターロック機構を備える交換用モジュールと交換するステップと、
前記動作モードで前記ロボットアームを配置するために、前記第1又は第2のインターロック機構を前記さらなるインターロック機構と連結させるステップとを含むことを特徴とする、方法。
【請求項19】
請求項1乃至16のいずれか一項記載の1つ又は複数のロボットアームを支持する可動式ベースを備えることを特徴とする、果物又は野菜を収穫するためのシステム。
【請求項20】
第1のリンクと第2のリンク第2のリンクとの間で相対的な運動を生じさせるために可動である関節と、
1つ又は複数の弾性力部材を備える作動リンク及び前記作動リンクを係合する作動部材を含む可変剛性アクチュエータと、を備え、
前記作動部材は、軸からの作動距離によって画定された円弧に沿って、前記軸を中心に前記作動リンクを動かすために可動であるので、前記1つ又は複数の弾性力部材の張力を変化させ、関節の運動を生じさせ、
前記作動距離は、前記関節運動の1つ以上のパラメータを変化させるために可変であることを特徴とする、ロボットアーム。
【請求項21】
前記作動部材は前記軸を中心に回動可能なプーリを備え、
前記プーリは、前記作動距離によって画定された前記円弧に沿って、前記作動リンクと係合するトラックを有し、
前記トラックは、前記作動距離を変化させるために前記軸に対して可動であることを特徴とする、請求項20記載のロボットアーム。
【請求項22】
前記作動部材は、前記軸を中心に回動可能な第1のプーリ及び第2のプーリを備え、
前記第1のプーリ及び第2のプーリはそれぞれ、前記作動距離によって画定された前記円弧に沿って、前記作動リンクと係合するトラックを有し、
前記第1のプーリのトラックは第1の作動距離を有し、前記第2のプーリのトラックは前記第1の作動距離とは異なる第2の作動距離を有し、
前記第1のプーリ又は前記第2のプーリのいずれかと前記作動リンクを係合することによって前記作動距離は変更可能であることを特徴とする、請求項20又は21記載のロボットアーム。
【請求項23】
前記第1のプーリ及び前記第2のプーリは、前記軸を中心として前記トラックが同時に回動できるように一体化されていることを特徴とする、請求項22記載のロボットアーム。
【請求項24】
前記第1のプーリと第2のプーリは、前記トラックが独立して前記軸を中心とし回動できるように、独立していることを特徴とする、請求項22記載のロボットアーム。
【請求項25】
前記1つ又は複数の弾性力部材の張力が相対的に低い低張力構成と、前記1つ又は複数の弾性力部材の張力が相対的に高い高張力構成とを有する張力制御機構を備えることを特徴とする、請求項20乃至24のいずれか一項記載のロボットアーム。
【請求項26】
前記可変剛性アクチュエータは、
張力が増加すると関節を第1の方向に付勢するよう作動可能な前記1つ又は複数の弾性力部材である第1の弾性力部材と、
張力が増加すると関節を前記第1の方向と反対の第2方向に付勢するよう作動可能な前記1つ又は複数の弾性力部材である第2の弾性力部材とを備えることを特徴とする、請求項20乃至25のいずれか一項記載のロボットアーム。
【請求項27】
前記可変剛性アクチュエータは、第1及び第2の双方向アクチュエータを構成し、
前記双方向アクチュエータはそれぞれ、
張力が増加すると関節を第1の方向に付勢するように作動可能な前記1つ又は複数の弾性力部材である第1の弾性力部材と、
張力が増加すると関節を前記第1の方向とは反対の第2方向に付勢するよう作動可能な前記1つ又は複数の弾性力部材である第2の弾性力部材とを備えることを特徴とする、請求項20乃至26のいずれか一項記載のロボットアーム。
【請求項28】
前記可変剛性アクチュエータは、前記1つ又は複数の弾性力部材の結果として生じる張力が相対的に低い低剛性モードと、前記1つ又は複数の弾性力部材の結果として生じる張力が相対的に高い高剛性モードとで動作することができることを特徴とする、請求項20乃至27のいずれか一項記載のロボットアーム。
【請求項29】
前記1つ又は複数の弾性力部材はそれぞれ、前記第1のリンク及び前記第2のリンク第2のリンクに接続されていることを特徴とする、請求項20乃至28のいずれか一項記載のロボットアーム。
【請求項30】
前記可変剛性アクチュエータは1つ又は複数のアクチュエータを構成し、
前記アクチュエータはそれぞれ、前記第1のリンクに対して回動可能かつ前記第2のリンク第2のリンクと共に回動可能な第1のプーリと、前記第1のリンクに対して回動可能である第2のプーリと、前記第1のプーリと前記第2のプーリとの間で延在する作動リンクとを備え、
前記作動リンクが前記第1のプーリと前記第2のプーリとの間で延在する前記1つ又は複数の弾性力部材の内、少なくとも1つを含むことにより、前記第1のプーリ又は前記第2のプーリの回動が関節の運動を生じさせ、
前記作動距離は、第1のプーリ及び/又は第2のプーリを修正することにより変更することができることを特徴とする、請求項20乃至29のいずれか一項記載のロボットアーム。
【請求項31】
請求項20乃至30のいずれか一項記載のロボットアームを備える部品のキットであって、
前記可変剛性アクチュエータは、前記軸を中心に回動可能であり、前記作動距離によって画定された前記円弧に沿って、前記作動リンクと係合するトラックを有するプーリを含み、
前記キットは、前記プーリの代わりに設置する交換用プーリをさらに含み、
前記交換用プーリは取り付けると、前記軸を中心に回動可能であり、前記作動距離によって画定された前記円弧に沿って、前記作動リンクと係合するトラックを有し、
前記プーリのトラックは、第1の作動距離を有し、前記交換用プーリのトラックは、前記第1の作動距離とは異なる第2の作動距離を有することを特徴とする、部品のキット。
【請求項32】
請求項20乃至30のいずれか一項記載のロボットアームを動作させる方法であって、
前記作動距離が第1の作動距離を構成する第1のモードで前記可変剛性アクチュエータを動作させ関節を動かすステップと、
前記作動距離を前記第1の作動距離とは異なる第2の作動距離に変更するよう前記可変剛性アクチュエータを修正するステップと、
前記作動距離が前記第2の作動距離を構成する第2のモードで前記可変剛性アクチュエータを動作させ関節を動かすステップと、を含むことを特徴とする、方法。
【請求項33】
請求項32記載の方法であって、前記可変剛性アクチュエータを修正するステップは、
前記1つ又は複数の弾性力部材の張力を、請求項6記載の張力制御機構を任意で用いて減少させるステップと、
前記作動距離を前記第2の作動距離に変化させるステップと、
前記1つ又は複数の弾性力部材の張力を、請求項6記載の前記張力制御機構を任意で用いて増加させるステップと、を含むことを特徴とする、方法。
【請求項34】
請求項20乃至30のいずれか一項記載の1つ又は複数のロボットアームを支持する可動式ベースを備えることを特徴とする、果物又は野菜を収穫するためのシステム。
【請求項35】
ロボットアームへの取り付けに適応したベース及び前記ベースから外向きに延在している一対のアームを備える剛体静的部分と、
対象物を切断するためのワイヤの切断部分を画定する前記一対のアーム間に延在する切断用ワイヤと、
前記一対のアームに対してその長さに沿って前記切断部分の前記ワイヤを往復運動させるように配置される駆動システムと、を備えることを特徴とする、ロボットアーム用のエンドエフェクタ。
【請求項36】
前記駆動システムは、第1及び第2のアタッチ部材をそれぞれの軸を中心に回動するように構成されるモータを備え、
前記切断用ワイヤの第1の自由端は、その軸からオフセットした点で前記第1のアタッチ部材に取り付けられ、
前記切断用ワイヤの第2の自由端は、その軸からオフセットした点で前記第2のアタッチ部材に取り付けられ、
前記第1及び第2のアタッチ部材の回動により、前記切断部分で前記ワイヤは往復運動を行うことを特徴とする、請求項35記載のエンドエフェクタ。
【請求項37】
前記駆動装置は前記ベースに配置され、
前記切断用ワイヤは、前記切断部から前記駆動装置まで、前記一対のアームのそれぞれに沿って延在することを特徴とする、請求項35又は36に記載のエンドエフェクタ。
【請求項38】
一対のプーリを備え、
前記プーリはそれぞれ、前記一対のアームのそれぞれに回動可能に取り付けられており、
前記切断用ワイヤはプーリそれぞれを囲むように通過することを特徴とする、請求項1乃至37のいずれか一項記載のエンドエフェクタ。
【請求項39】
前記切断用ワイヤの前記切断部分は、その表面すべての位置で均一に切断可能であることを特徴とする、請求項35乃至38のいずれか一項記載のエンドエフェクタ。
【請求項40】
ロボットアームへの取り付けに適応した剛性の高い静的部分と、
前記静的部分から延在するループを形成するベルトと、
前記ベルトを前記静的部分に対して移動させて前記ループの大きさを変化させ、それによって前記ループで囲まれている物体を前記ベルトが把持できるようにするように構成される駆動システムと、を備えることを特徴とする、ロボットアーム用のエンドエフェクタ。
【請求項41】
前記ベルトの第1部分は、前記静的部分に対して静止しており、ベルトの第2部分は、前記ループのサイズを変更するために、前記静的部分に対して可動であることを特徴とする、請求項40記載のエンドエフェクタ。
【請求項42】
前記静的部分は、前記ベルトが通過する1つ以上のベルトガイドを備えることを特徴とする、請求項40又は41に記載のエンドエフェクタ。
【請求項43】
前記駆動システムは、前記ベルトの第2部分に係合するように配置された1つ又は複数のローラーを備えることによって、前記ベルトの第2部分を第1部分に対して移動させて、前記ループの大きさを変更することを特徴とする、請求項40乃至42のいずれか一項記載のエンドエフェクタ。
【請求項44】
請求項35乃至43のいずれか一項記載のエンドエフェクタを備えることを特徴とする、ロボットアーム。
【請求項45】
請求項44に記載の1つ又は複数のロボットアームを支持する可動式ベースを備えることを特徴とする、果物又は野菜を収穫するためのシステム。
【請求項46】
請求項35乃至39のいずれか一項記載のエンドエフェクタを含む第1のロボットアームと、請求項40乃至43のいずれか一項記載のエンドエフェクタを含む第2のロボットアームとを備え、
前記第2のロボットアームは、収穫する果物又は野菜を把持するように前記エンドエフェクタを制御するように構成されており、
前記第1のロボットアームは、クランプした果物又は野菜の茎を切断するために前記切断部を利用するよう、前記エンドエフェクタを制御するように構成されることを特徴とする、果物又は野菜を収穫するためのシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、パッシブコンプライアント(受動的柔軟性を有する)ロボットアームの特徴に関連する実施例及び方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
パッシブコンプライアント・ロボットアームは相対的に、外部からの荷重に起因するたわみに対しては低抵抗である。そのため、ロボットアーム自体は人間と共に行われる作業に適しているが、ロボットアームが人間に偶然接触する場合もあり得る。
【0003】
Stoelen,M.らは、「プリンタブル・ロボットアームにおけるアクチュエータ(作動装置)の拮抗とバイオインスパイア(生体模倣)制御の共同研究」における進歩について詳しく調査した。適応行動のシミュレーションについての国際会議,SAB 2016:From Amimals to Aminats 14 244―255頁,2016年。本出願の焦点は、パッシブコンプライアント・ロボットアームのハードウェアと動作を改善し、可撓性と耐久性をもって使用できるようにすることである。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Elio Tuci他,From Amimals to Aminats 14 244―255頁,2016年
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の第1の態様は、概括的にはモジュール式ロボットアームを提供することであり、各関節モジュール及び/又はエンドエフェクタモジュールは、交換用モジュールと取換又は交換が可能である。モジュールは、対をなすインターロック機構により相互接続されており、容易かつ反復可能に連結及び分離させることができる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様では、第1の関節モジュールと第2モジュールとを備えるモジュール式ロボットアームを提供する。
第1の関節モジュールは、第1の剛体リンクと第2の剛体リンクとの間で運動を生じさせるために可動である第1の関節(第1のリンク又は第2のリンクが第1インターロック機構を備える)と、第1の関節を動かすために作動可能な1つ又は複数の弾性力部材を備える第1の可変剛性アクチュエータ(作動装置)と、を備える。
第2モジュールは、第1のモジュールの第1のインターロック機構と連結するように構成される第2インターロック機構を備える。
ロボットアームは、第2インターロック機構を第1のインターロック機構と連結させることにより、第2のモジュールと第1のモジュールとが動作可能に接続する動作モードと、第2のインターロック機構を第1のインターロック機構から分離させることにより、第1又は第2のモジュールを交換用モジュールに交換することができる再構成モードとを有する。1つ又は複数の弾性力部材は、動作構成(モード)では第2のモジュールに係合しない。
【0007】
例えば計画的なメンテナンスや稼働中の修理におけるロボットアームのダウンタイムを短縮するために、このようなモジュール配置を用いてロボットアームのモジュールを容易かつ反復的に取り外したり交換することができる。さらに、1つ又は複数のモジュールを、異なる作動特性を有する他のモジュールと交換してもよい。例えば、異なる機能を備えた様々なタイプのエンドエフェクタを有するエンドエフェクタモジュールの中から、1つのエンドエフェクタモジュールを選択することができる。同様に、関節モジュールを、例えば速度vsトルク出力特性が異なるといった、異なる性能を備えた同等の関節モジュールと交換することも可能である。
【0008】
さらに、可変剛性アクチュエータは単一のモジュール内に収められており、その1つ又は複数の弾性力部材はどれも第2のモジュールとは係合していないので、第1の関節モジュールの機能を変更することなく、このモジュール配置を達成することができる。すなわち、1つ又は複数の弾性力部材が、第1及び第2のインターロック機構の間の結合部を横切ることはない。別の言い方をすれば、動作モードでは、1つ又は複数の弾性力部材が、連結されている第1及び第2のインターロック機構を横切って延在することはない。
【0009】
第1及び第2のインターロック機構が動作モードで連結されるとき、第1及び第2のモジュールに関連する動作が、第1及び第2のインターロック機構間の結合部で生じないように、好適には、第1及び第2のモジュール間は剛体接続により連結されている。
【0010】
好ましい実施例において第2のモジュールは、エンドエフェクタモジュール、又は第2の関節モジュールのいずれかを構成する。
エンドエフェクタモジュールは、対象物を操作するように配置されたエンドエフェクタを備える。
第2の関節モジュールは、第3の剛体リンクと第4の剛体リンクとの間で運動を生じさせるために可動である第2の関節(第3のリンク又は第4のリンクは第2のインターロック機構を備える)と、第2の関節を動かすよう作動することができる1つ又は複数の弾性力部材を有する第2の可変剛性アクチュエータと、を備える。
【0011】
いくつかの実施形態では、第1のリンクは第1のインターロック機構を備え、第2のリンクは第3のインターロック機構を備える。ロボットアームは、動作モードで第1のモジュールの第3のインターロック機構と連結するように配置された、第4のインターロック機構を有する第3のモジュールを有する。第3のインターロック機構と第4のインターロック機構とは、第1のモジュール又は第3のモジュールを交換用モジュールと交換可能な再構成モードで分離される。
【0012】
好適には、第1及び第2のインターロック機構のうち片方は雌要素を備え、もう一方は雄型要素を備える。この雄型要素を雌型要素内に入れ子になるように配置することにより、第1及び第2のインターロック機構がまとめて連結される。これにより機械的でシンプルな連結配置となり、さらにこの配置により、各モジュールは隣にあるモジュールに対しいつも正しい位置に置かれる。
【0013】
第1及び第2のインターロック機構は、摺動接続により連結され得る。この種の配置は、使用が特に容易であり、また、製造も容易である。
【0014】
第1及び第2のインターロック機構は、摩擦係合により連結されることが好ましい。これにより、インターロック機構間は密接嵌合されるので、モジュールは互いに正しい位置にある。
【0015】
第1及び第2のインターロック機構は、ワンステップの接続により連結され得る。すなわちこの結合は、(インターロック)機構を連結し、第1のモジュールと第2のモジュールとをまとめて接続させる1つの動作によって、第1及び第2のインターロック機構を相互に接続できるので好ましい。この結合を確実するために、もしくは必要に応じてフェイルセーフ・バックアップ接続を提供するために次のステップを含めてもよい。
【0016】
第1及び第2のインターロック機構は、追加の固定手段なく連結されることが好ましい。すなわち好適には、第1及び第2のインターロック機構を連結するための追加の留め具は必要ではない。このような留め具を、フェイルセーフ又はバックアップ接続として含めてもよいが、剛体インターロック係合とするのに必要ではない。
【0017】
特に好ましい実施例において、第1及び第2のインターロック機構は、協働する摺動ダブテール関節機構を備える。
【0018】
第3及び第4のインターロック機構は、本明細書で定められるような第1及び第2のインターロック機構の任意の機能を備えることができる。
【0019】
第1及び/又は第2の可変剛性アクチュエータは、張力が増加すると関節を第1の方向に付勢するよう作動可能な1つ又は複数の弾性力部材である第1の弾性力部材と、張力が増加すると関節を第1の方向とは反対の第2方向に付勢するよう作動可能な1つ又は複数の弾性力部材である第2の弾性力部材と、を備えることができる。
【0020】
第1及び/又は第2の可変剛性アクチュエータは、第1及び第2の双方向アクチュエータを構成してもよい。各双方向アクチュエータは、張力が増加すると関節を第1の方向に付勢するよう作動可能な1つ又は複数の弾性力部材である第1の弾性力部材と、張力が増加すると関節を第1の方向とは反対の第2方向に付勢するよう作動可能な1つ以上の弾性力部材である第2の弾性力部材と、を備える。
【0021】
第1及び/又は第2の可変剛性アクチュエータは、1つ又は複数の弾性力部材の結果として生じる張力が相対的に低い低剛性モードと、1つ又は複数の弾性力部材の結果的として生じる張力が相対的に高い高剛性モードとで動作することができる。
【0022】
1つ又は複数の弾性力部材はそれぞれ第1のリンク及び第2のリンクと接続していることが好ましい。この接続は、直接であっても間接的であってもよい。例えば、1つ又は複数の弾性力部材は、第1のリンク又は第2のリンクに取り付けられたプーリーホイールによって駆動される作動リンクの一部を構成してもよく、そうでなければ作動リンクは、第1のリンク又は第2のリンクのもう一方に接続される。
【0023】
第1及び/又は第2の可変剛性アクチュエータは、1つ以上のアクチュエータを構成してもよい。各アクチュエータは、第1のリンクに対して回動可能かつ第2のリンクと共に回動可能な第1のプーリと、第1のリンクに対して回動可能な第2プーリと、第1のプーリと第2プーリとの間で延在する作動リンクとを含む。作動リンクが第1のプーリと第2プーリとの間で延在する1つ又は複数の弾性力部材の内、少なくとも1つを含むことにより、第1のプーリ又は第2プーリの回動が関節運動を生じさせる。
【0024】
本発明はまた、第1の態様によるロボットアームと、第1のモジュールの第1のインターロック機構と連結するように配置された更なる第2のインターロック機構を備える交換用の第2のモジュールとを備える部品キットを提供する。動作構成(モード)では、第2のモジュール又は交換用の第2のモジュールの内いずれかを、第1のモジュールに作動可能に接続することができる。
【0025】
本発明では更に、第1の態様によるロボットアームを動作させる方法が提供される。この方法は、第1及び第2のインターロック機構を切り離すステップと、第1又は第2のモジュールを、さらなるインターロック機構を備える交換用モジュールと交換するステップと、動作モードでロボットアームを配置するために、第1又は第2のインターロック機構をさらなるインターロック機構と連結させるステップとを含む。
【0026】
この方法は、果物又は野菜を収穫するために動作モードでロボットアームを動作させるステップをさらに含み得る。同様に本発明は、第1の態様による1つ又は複数のロボットアームを支持する可動式ベースを含む、果物又は野菜を収穫するためのシステムを提供する。
【0027】
本発明の第2の態様は、概括的には、ロボットアームの関節のトルクvs速度出力を制御することができる手段を提供する。すなわち所望のトルクvs速力特性を供給するために、関節を作動させる可変剛性アクチュエータに対して修正を行うことが可能である。この修正は、作動リンクが回転する作動距離を変化させることによって達成される。
【0028】
このように本発明の第2の態様ではロボットアームが提供され、このロボットアームは、第1のリンクと第2のリンク第2のリンクとの間で相対的な運動を生じさせるために可動である関節と、1つ又は複数の弾性力部材を備える作動リンク及びこの作動リンクを係合する作動部材を含む可変剛性アクチュエータとを備える。作動部材は、軸からの作動距離によって画定された円弧に沿って、軸を中心に作動リンクを動かすために可動であり、これにより、1つ又は複数の弾性力部材の張力を変化させ、関節の運動を生じさせる。作動距離は、関節運動の1つ以上のパラメータを変化させるために可変である。
【0029】
この配置により、アームの特定用途に合わせて関節の機能を調整することができる。例えば、相対的に高いトルク出力が必要とされる場合は、作動距離は相対的に高くてもよく、相対的に高い共同の可動速度が必要とされる場合は、作動距離は相対的に低くてもよい。
【0030】
いくつかの実施例において、作動部材は軸を中心に回動可能なプーリを備え、プーリは、作動距離によって画定された円弧に沿って、作動リンクと係合するトラックを有し、トラックは作動距離を変化させるために軸に対して可動である。例えば、トラックはリング状に配置されており、作動距離を変化させるためにそれぞれ半径方向に移動可能な複数の分離部分から構成されていてもよい。
【0031】
同様に作動部材は、軸を中心に回動可能な第1のプーリ及び第2のプーリを備え、第1のプーリ及び第2のプーリはそれぞれ、作動距離によって画定された円弧に沿って、作動リンクと係合するトラックを有し、第1のプーリのトラックは第1の作動距離を有し、第2プーリのトラックは第1の作動距離とは異なる第2の作動距離を有し、第1のプーリ又は第2プーリのいずれかと作動リンクを係合することによって作動距離は変更可能である。
【0032】
いくつかの実施例において、第1のプーリ及び第2プーリは、軸を中心としてトラックが同時に回動できるように一体化されている。そのため、作動リンクを一方のプーリから他方のプーリに交換しても、追加のステップは必要ではない。
【0033】
また第1のプーリと第2プーリは、トラックが独立して軸を中心とし回動できるように独立していてもよい。この場合、第1のプーリと第2プーリのうち、どちらか一方だけが軸を中心とし回動可能であってもよい(すなわち、可変剛性アクチュエータに取り付けられる)。エンドユーザー(利用者)は第1のプーリ及び第2プーリを、特定用途で必要とされる関節の動作特性に応じて交換することができる。
【0034】
好ましい実施例では、1つ又は複数の弾性力部材の張力が相対的に低い低張力構成と、1つ又は複数の弾性力部材の張力が相対的に高い高張力構成とを有する張力制御機構を備える。例えば、低張力構成における相対的に低い張力は、例えば作動部材(プーリ)を変更又は交換することによって作動距離を変化させることができるように十分に低くあり得、及び/又は、高張力構成における相対的に高い張力は、作動部材(プーリ)が作動リンクを効果的に駆動可能な動作張力を提供するために十分高くあり得る。
【0035】
このような張力制御機構は、作動リンクの一部(例えば作動リンクの自由端)をそれぞれクランプ(固定)する1つ又は複数のクランプ部材を含み、各クランプ部材は、作動部材(プーリ)に対して可動(例えば摺動可能)であり、これによって作動リンクの有効長を変化させる。各クランプ部材は、摺動ブロック内で動くことができるスライダを備えてもよい。調整部材がこのクランピング部材(スライダ)のねじ山と協働可能なねじ山を有し、この調整部材は回動可能であるため、クランプ部材を移動させることができる。
【0036】
1つ又は複数のクランプ部材は、ロボットアームの作動部材(プーリ)以外の部分に好ましくは取り外し可能に取り付けられる。例えば、この1つ又は複数のクランプ部材を、作動リンクと係合している更なる(他の)プーリに取り外し可能に取り付けてもよい。この更なるプーリは従動プーリで構成されていてもよく、これにより使用の際は、作動リンクの運動により従動プーリの運動が生じる。このように、1つ又は複数のクランプ部材は、ロボットアームの作動部材(プーリ)以外の部分に取り付けられている取り付け済構成と、ロボットアームの作動部材(プーリ)以外の部分から取り外される取り外し構成とを有することが好ましい。
【0037】
1つ又は複数のクランプ部材の取り外し構成では、作動リンクを交換用作動リンクと交換することができる。例えば、作動部材(例えば第1のプーリ)を、異なる作動距離を有する交換用作動部材(例えば第2のプーリ)と交換する実施例では、作動部材(例えば第1のプーリ)に取り付けられており、その作動部材に適した長さを有する作動リンクが、交換用作動部材(例えば第2のプーリ)に取り付けられており、その交換用作動部材に適した長さを有する作動リンクと交換してもよい。したがって、まず1つ又は複数のクランプ部材を取り外し構成とすることにより、作動部材と、これに取りられている作動リンクとを容易に交換することができる。
【0038】
例えば、作動リンクは1つ又は複数のクランプ部材を備え、交換用作動リンクも1つ又は複数の交換用クランプ部材を備えることができる。それにより、1つ又は複数のクランプ部材を取り外し構成とし、作動部材及び作動リンクを取り外し、交換用作動部材及び交換用作動リンクを取り付け、1つ以上の交換クランプ部材を取り付け状態とすることにより、作動部材及び作動リンクの交換を行うことができる。1つ又は複数の交換用クランプ部材を作動部材に対してさらに移動させることにより、交換用作動リンクの有効長を短くし、交換用作動リンクの1つ又は複数の弾性力部材の張力を増加させることができる。
【0039】
好ましい実施例において、1つ又は複数のクランプ部材(及び/又は1つ又は複数の交換用クランプ部材)はそれぞれ、作動部材(プーリ)に対して可動であり、これにより所定の長さを有する所定の経路に沿って作動リンクの有効長を変更する。このように、1つ又は複数のクランプ部材を所定の経路全長に沿って移動させることで、それぞれの作動リンクを所定の長さとする効果がある。これにより各作動リンクに的確なプリテンションを与えるための、信頼性があり反復可能な配置が可能となる。
【0040】
可変剛性アクチュエータは、張力が増加すると関節を第1の方向に付勢するよう作動可能な1つ又は複数の弾性力部材である第1の弾性力部材と、張力が増加すると関節を第1の方向と反対の第2方向に付勢するよう作動可能な1つ又は複数の弾性力部材である第2の弾性力部材とを備えてもよい。
【0041】
可変剛性アクチュエータは、第1及び第2の双方向アクチュエータを構成してもよく、各双方向アクチュエータは、張力が増加すると関節を第1の方向に付勢するように作動可能な1つ又は複数の弾性力部材である第1の弾性力部材と、張力が増加すると関節を第1の方向とは反対の第2方向に付勢するよう作動可能な1つ又は複数の弾性力部材である第2の弾性力部材とを備える。
【0042】
可変剛性アクチュエータは、1つ又は複数の弾性力部材の結果として生じる張力が相対的に低い低剛性モードと、1つ又は複数の弾性力部材の結果として生じる張力が相対的に高い高剛性モードとで動作することができる。
【0043】
1つ又は複数の弾性力部材それぞれは、第1のリンク及び第2のリンク第2のリンクに接続されていることが好ましい。この接続は直接であっても間接的であってもよい。例えば、1つ又は複数の弾性力部材は、第1のリンク又は第2のリンク第2のリンクに取り付けられたプーリーホイールによって駆動される作動リンクの一部を構成してもよく、そうでなければ作動リンクは、第1のリンク又は第2のリンク第2のリンクのもう一方に接続される。
【0044】
可変剛性アクチュエータは1つ又は複数のアクチュエータを構成してもよい。各アクチュエータは、第1のリンクに対して回動可能かつ第2のリンク第2のリンクと共に回動可能な第1のプーリと、第1のリンクに対して回動可能である第2のプーリと、第1のプーリと第2のプーリとの間で延在する作動リンクとを備える。作動リンクが第1のプーリと第2のプーリとの間で延在する1つ又は複数の弾性力部材の内、少なくとも1つを含むことにより、第1のプーリ又は第2のプーリの回動が関節の運動を生じさせる。作動距離は、第1のプーリ及び/又は第2のプーリを修正することにより変更することができる。
【0045】
本発明はまた、第2の態様によるロボットアームを備える部品のキットを提供する。可変剛性アクチュエータは、軸を中心に回動可能であり、作動距離によって画定された円弧に沿って、作動リンクと係合するトラックを有するプーリを含む。このキットは、(取り外す)プーリの代わりに設置する交換用プーリをさらに含み、この交換用プーリは取り付けると、軸を中心に回動可能であり、作動距離によって画定された円弧に沿って、作動リンクと係合するトラックを有する。プーリのトラックは、第1の作動距離を有し、交換用プーリのトラックは、第1の作動距離とは異なる第2の作動距離を有する。
【0046】
同様に、本発明は第2の態様によるロボットアームを動作させる方法を提供する。この方法は、作動距離が第1の作動距離を構成する第1のモードで可変剛性アクチュエータを動作させ関節を動かすステップと、作動距離を第1の作動距離とは異なる第2の作動距離に変更するよう可変剛性アクチュエータを修正するステップと、作動距離が第2の作動距離を構成する第2のモードで可変剛性アクチュエータを動作させ関節を動かすステップとを含む。
【0047】
本発明の方法は、果物又は野菜を収穫するために、ロボットアームを動作モードで動作させるステップをさらに含んでいてもよい。また本発明は、第2の態様による1つ又は複数のロボットアームを支持する可動式ベースを含む、果物又は野菜を収穫するためのシステムを提供する。
【0048】
本発明の第3の態様では、ブレードに対して任意の方向で切断することができる切断ブレードを設けるエンドエフェクタを提供する。
【0049】
したがって本発明の第3の態様ではロボットアーム用のエンドエフェクタが提供され、このエンドエフェクタは、ロボットアームへの取り付けに適応したベース及びこのベースから外向きに延在している一対のアームを備える剛体静的部分と、対象物を切断するためのワイヤの切断部分を画定する一対のアーム間に延在する切断用ワイヤと、一対のアームに対してその長さに沿って切断部分のワイヤを往復運動させるように配置される駆動システムと、を備える。
【0050】
そのため切断部分は、切断部分に対して通常は斜め(例えば通常は垂直)に、任意の方向で切断され得る。さらに切断用ワイヤは曲げに耐性があるため、他の機械や人、又は植物による衝撃等の環境因子によって加えられる力に耐性がある。またこの配置は、ロボットアームが静止しているとき、すなわち往復運動が行われていないときには切断用ワイヤは安全であり切断が不可能であるので、エンドエフェクタを搭載したロボットアームの近くで作業する人にとって特に安全性が高い。このエンドエフェクタは、野菜や果物の茎を切断するのに特に適している。
【0051】
駆動システムは、第1及び第2のアタッチ部材をそれぞれの軸を中心に回動するように構成されるモータを備えることができ、切断用ワイヤの第1の自由端は、その軸からオフセットした点で第1のアタッチ部材に取り付けられ、切断用ワイヤの第2の自由端は、その軸からオフセットした点で第2のアタッチ部材に取り付けられ、第1及び第2のアタッチ部材の回動により、切断部分でワイヤは往復運動を行う。この配置は、切断用ワイヤが往復運動を行うための、特に強固な機械的配置となる。
【0052】
駆動装置は好ましくはベースに配置され、切断用ワイヤは、切断部から駆動装置まで、一対のアームのそれぞれ(1本ずつ)に沿って延在する。
【0053】
エンドエフェクタは一対のプーリを備え、各プーリは一対のアームのそれぞれ(1本ずつ)に回動可能に取り付けられており、ここを切断用ワイヤが各プーリを囲むように通過する。
【0054】
好ましい実施例では、切断用ワイヤの切断部分は、その表面すべての位置で均一に切断することができる。例えば切断用ワイヤは、切断用ワイヤの切断部分の外縁に延在する1つ以上のすくい面を有していてもよい。この1つ以上のすくい面は、切断部分が往復運動を行うときに切断効果をもたらすように構成された複数の鋸歯(セレーション)、歯、又は他の切断部材で構成されていてもよい。特に好ましい実施例では、切断部が往復運動を行っていないときには、1つ以上のすくい面は切断効果をもたらさないように構成されている。例えばすくい面は、切断用ワイヤの切断部分から半径方向外側に突出する複数のとがっていないか、丸みを帯びた突出部で構成されていてもよい。
【0055】
本発明の第4の態様では、例えば対象物に対して後続の処理ステップを適用できるように、対象物をクランプ、もしくはその他の方法で把持することが可能なエンドエフェクタを提供する。このエンドエフェクタはループ状に配置されたベルトを備え、ループの大きさは、ループで囲まれた対象物を保持することができるように可変である。
【0056】
したがって本発明の第4の態様ではロボットアーム用のエンドエフェクタが提供され、このエンドエフェクタは、ロボットアームへの取り付けに適応した剛性の高い静的部分と、静的部分から延在するループを形成するベルトと、ベルトを静的部分に対して移動させてループの大きさを変化させ、それによってこのループで囲まれている物体をベルトが把持できるようにするように構成される駆動システム、とを備える。
【0057】
この配置では、ロボットアームを用いて対象物をクランプする、特に強固で反復可能な方法が提供される。この配置は特に、大きな野菜や果物を把持し、茎を切断する等の後処理に適している。
【0058】
ベルトの第1部分は、静的部分に対して静止し(固定され)ており、ベルトの第2部分は、ループのサイズを変更するために、静的部分に対して可動である。
【0059】
静的部分は、ベルトが通過する1つ以上のベルトガイドを備えていてもよい。ベルトガイドにより、ベルトがエンドエフェクタの静止部分に対して、したがってエンドエフェクタが取り付けられたアームに対して一貫した位置を必ず維持できるようにする。
【0060】
駆動システムは、ベルトの第2部分に係合するように配置された1つ又は複数のローラーを備えることによって、ベルトの第2部分を第1部分に対して移動させて、ループの大きさを変更することができる。これは、ループの大きさを制御するための、特に容易かつ機械的に強固な方法である。
【0061】
本発明の第5の態様ではロボットアーム用のエンドエフェクタが提供される。このエンドエフェクタは、中央ノードから外側に延在する複数のフィンガーを有し、フィンガーのうちの1つ又は複数は、複数のフィンガー間にある物体を把持するために駆動システムにより動作させられる。エンドエフェクタはさらに、中央ノードに位置センサを備え、位置センサは、複数のフィンガーが把持する物体の位置を検出するように構成されており、駆動システムは位置センサの物体検出に応答して、物体を把持するために1つ又は複数のフィンガーを動作させるよう制御が可能である。
【0062】
このように、把握する対象物に対する、エンドエフェクタの位置決め精度は、最大限まで高めることが可能である。
【0063】
本発明はまた、第3、第4又は第5の態様によるエンドエフェクタを備えるロボットアームを提供する。例えばロボットアームは、第1の態様によるモジュール式ロボットアームを構成してもよく、第2のモジュールは、第3、第4又は第5の態様によるエンドエフェクタを構成してもよい。本発明はさらに、1つ又は複数のこのようなロボットアームを支持する可動式ベースを備えた果物又は野菜を収穫するためのシステムを提供することができる。本発明はまた、第3、第4及び/又は第5の態様によるロボットアーム及び複数のエンドエフェクタを含む部品のキットを提供してもよい。
【0064】
本発明はまた、第3の態様によるエンドエフェクタを含む第1のロボットアームと、第4又は第5の態様によるエンドエフェクタを含む第2のロボットアームとを備えた、果物又は野菜を収穫するためのシステムを提供する。第2のロボットアームは、収穫する果物又は野菜を把持するようにエンドエフェクタを制御するように構成されており、第1のロボットアームは、クランプした果物又は野菜の茎を切断するために切断部を利用するよう、エンドエフェクタを制御するように構成されている。
【0065】
以下の特徴は、個々に又は組合せて、本発明の態様に適用され得る。
【0066】
可変剛性アクチュエータは、独立して動作可能な第1及び第2の可変剛性アクチュエータを構成してもよい。第1及び第2の可変剛性アクチュエータを、互いに対抗するように動作させることによって、反対に作用する高剛性モード(拮抗モード)で動作させることができる。この配置により、相対的に高い関節剛性と相対的に低いパッシブコンプライアンス(受動的柔軟性)とが得られる(すなわち関節は相対的に、外部から加えられるトルクに起因するたわみに対しては高抵抗である)。
【0067】
特に好ましい実施例において、第1及び第2の可変剛性アクチュエータはそれぞれ双方向のアクチュエータである。すなわち、各双方向アクチュエータは、関節を第1の方向に付勢する第1の構成と、関節を第1の方向とは反対の第2方向に付勢する第2の構成とで動作可能である。このような配置では、高剛性モードに加えて、双方向アクチュエータは、利用できるトルク出力を2倍にするために一緒に動作する協調モード(高トルクモード)でも動作可能である。この配置により、相対的に低い関節剛性と相対的に高いパッシブコンプライアンスが得られる(すなわち関節は相対的に、外部から加えられるトルクに起因するたわみに対しては低抵抗である)。
【0068】
第1及び第2の双方向アクチュエータはそれぞれ、1つ又は複数の弾性力部材である第1及び第2の弾性力部材を備えることができる。第1の弾性力部材で張力が増加することにより(すなわち第1構成の動作)、関節は第1の方向への運動を生じ、第2の弾性力部材で張力が増加することにより(すなわち第2構成の動作)、関節は第2の方向とは反対の第2方向への運動を生じる。
【0069】
第1及び第2の弾性力部材はそれぞれ、加えられる力と、結果として生じる伸張との間に、単調に増加する非線形関係を有し得る。したがって、高剛性/拮抗モードにおける相対的に高い剛性は、第1及び第2の弾性力部材の非線形力―たわみの関係における複合的な効果に起因する。
【0070】
弾性力部材はそれぞれ、弾性力要素、腱、その他の弾性力部材を備えることができ、それらを伸長させ(引き延ばし)その中の張力を増加させることにより、関節の動きを付勢する(促す)ことができる。
【0071】
いくつかの実施例において1つ又は複数の弾性力部材は、通常の弾性力を有する部分と、相対的に剛性の高い部分とを含む複合材料より構成される。通常の弾性力を有する部分が大きな伸長を可能にする一方で、相対的に剛性の高い部分は生じ得る伸長に制限を与えるので、弾性力部材の複合材料は弾性力部材に特に適した形態である。重要であるのは、弾性力部分が固有の減衰を提供することである。このような減衰は、関節の動きに起因する関節における振動の振幅を減少させる。
【0072】
通常の弾性力を有する部分は、1つ以上の弾性力特性を示しており、例えばこれは、張力が加えられ変形(例えば伸長)し、その逆も同じであり、張力を除去すると元の形状及びサイズに戻る能力である。通常の弾性力を有する部分はゴム弾性力の1つ以上の特性(例えば架橋ポリマー鎖)を示してもよく、これにより、通常の弾性力を有する部分の伸長は可能となるが、加えられた力を取り除くと、伸長していない構成に付勢するよう作用する復元力が提供される。
【0073】
相対的に剛性の高い部分が、加えられた張力下で伸長する場合もある。好ましくは、その剛性(すなわち伸長に対する抵抗)は、伸長すると共に増加する。このように弾性力部材が伸長するに従い、相対的に剛性の高い部分がそれぞれの弾性力部材の剛性を高めることが好ましい。
【0074】
一般的な弾性力部分と相対的に剛性の高い部分との組み合わせにより、弾性力部材は、加えられた張力下で伸長し、張力を取り除くと元の長さに戻る能力を有し、伸長と加えられる力(張力)との間には、弾性力部材が伸長すると剛性(すなわち、伸長に対する抵抗)が増加するという関係が合わさる。
【0075】
好ましい実施例において複合材料は、弾性力部材が伸長するにつれ、最初は弾性力部分が大部分の荷重を担うが、伸長が進むにつれて、相対的に剛性の高い部分が徐々に高い割合の荷重を担い、さらなる伸長に対しての抵抗が増すように構成される。
【0076】
好ましい実施例において、弾性力部分が複合材料の中心部を構成し、相対的に剛性の高い部分は外囲部を構成する。相対的に剛性の高い部分は、好ましくは、長手方向の伸長に応じて横方向の収縮を示す構成を有する。この配置は、伸長に対して最初は抵抗が低く、伸長が増加するに従い伸長に対する抵抗を徐々に増加させるのに特に適している。すなわち、弾性力部材が伸長する力を受けると、相対的に剛性の高い部分の長手方向の伸長の結果として、横方向の収縮が生じる。この横方向の収縮は、複合材料の中心部にある弾性力部分による抵抗を受け、この抵抗と弾性力部分の結果的な変形が、伸長に対する抵抗を徐々に増加させる。このような構成の一例として、相対的に剛性の高い部分は、弾性力部分を包み込むスパイラル状の材料で構成されていてもよい。もしくはメッシュシースなどで構成されていてもよい。
【0077】
弾性力部分は、熱可塑性エラストマーなどのエラストマーを備えることが好ましい。相対的に剛性の高い部分は、熱可塑性ポリマーなどのポリマーからなることが好ましい。
【0078】
弾性力部材は、関節に制御可能な程度のパッシブコンプライアンスを提供する。すなわち、外部から加えられるトルクに起因するたわみに対する関節の全体的な抵抗を制御することができる。したがって、請求項に記載される配置は、構造化されていないか、もしくは部分的に構造化されていない環境で、不確かな感覚情報を用いて操作するのに特に適していると考えられる。
【0079】
このような環境の例として、生食用の果物や野菜の選択的なロボットによる収穫がある。このような環境では、環境における制御されていない性質(例えば、風、雨などにより目標物が移動する)と、環境における本質的にノイズの多い性質(例えば、太陽光の量が変化する)のため、典型的に感覚情報は急速に変化する。
【0080】
本明細書の記述及び特許請求の範囲において、「comprise(備える/構成する)」及び「contain(含む)」という言葉、ならびにその変形である「comprising」及び「comprises」は、「~を含むがこれに限定されない」という意味であり、他の構成要素、整数やステップ(工程)を除外するものではない。さらに単数形は、文脈上別段の解釈を要する場合を除き、複数形も含んでいる。特に不定冠詞が使用されている場合、本明細書は、文脈上別段の解釈を要する場合を除き、単数だけでなく複数も想定していると理解される。
【0081】
本発明の各態様の好ましい特徴は、他の態様のいずれかに関連して記載したとおりである。本出願の範囲において、前述の段落、特許請求の範囲、及び/又は以下の説明と図面に記載されている様々な態様、実施形態、実施例、及び代替手段、そして特にその個々の特徴は、独立し又は任意に組み合わせることができると明示的に意図されている。すなわち、すべての実施例及び/又は任意の実施例の特徴は、そのような特徴が相容れない場合を除き、任意の方法で、及び/又はこれを組み合わせることができる。
【0082】
添付の図面を参照し本発明の1つ以上の実施例について、一例として挙げるに過ぎないが、説明する。
【図面の簡単な説明】
【0083】
図1】本発明の一実施例によるロボットアームの側面図である。
図2図1のロボットアームの等角図である。
図3】本発明の実施例で使用するのに適した手首関節モジュールの等角図である。
図4図3の手首関節モジュールの平面図である。
図5図3の手首関節モジュールの側面図である。
図6図3の手首関節モジュールの原動プーリーホイールの等角図である
図7A図3の手首関節モジュールの従動プーリーホイールの図である。
図7B図3の手首関節モジュールの従動プーリーホイールの図である。
図7C図3の手首関節モジュールの従動プーリーホイールの図である。
図7D図3の手首関節モジュールの従動プーリーホイールの図である。
図8】本発明の実施例での使用に適した弾性力部材を図示する。
図9】本発明の実施例での使用に適したエンドエフェクタモジュールの等角図である。
図10図9のエンドエフェクタモジュールの部分図であり、切断用ワイヤが見えるようにトップカバー部分が省略されている。
図11図9のエンドエフェクタモジュールの駆動システムの図である。
図12図9のエンドエフェクタモジュールの駆動システムの図である。
図13図9のエンドエフェクタモジュールの駆動システムの図である。
図14】本発明の実施例での使用に適したエンドエフェクタジュールの等角図である。
図15】ベルトが省略された図14のエンドエフェクタジュールを示す。
図16A図14のエンドエフェクタの駆動システムの図である。
図16B図14のエンドエフェクタの駆動システムの図である。
図16C図14のエンドエフェクタの駆動システムの図である。
図17】本発明の一実施例による、ロボットアームのエンドエフェクタにより描かれる軌道と、軌道を通って移動する間の、アームにある1つ以上の関節の剛性の変化とをそれぞれ図式化して示している。
図18】本発明の一実施例による、ロボットアームの1つ以上の関節の動きのバリスティック(ballistic)位相(図18A)と、閉ループ関節制御位相(図18B)とのための制御アーキテクチャの実施例について図示している。
図19】本発明の一実施例による、複数のロボットアームを組み込んだ果物又は野菜のピッキングシステムを示す図である。
図20】本発明の実施例による、ロボットアームに適した別の肘関節モジュールを示しており、この肘関節モジュールは、交換可能な原動プーリーホイールを有する。
図21図20Aの肘関節モジュールの側面図である
図22図20Aの肘関節モジュールの原動プーリーホイールを取り外した状態の側面図である。
図23】明確にするために原動プーリーホイールの1つを省略した、図20Aの肘関節モジュールの一部の等角図である。
【発明を実施するための形態】
【0084】
図1及び図2は、本発明の一実施例によるロボットアーム100の側面図及び等角図をそれぞれ図示する。アーム100はベース10と備え、ベース10を介してアーム100を構造物に取り付けることができ、またベースを介して、電力供給(図示せず)及び/又は制御信号を受けることができる。
【0085】
アーム100は、肩関節20と、肘関節30と、手首関節40とを含む複数の関節部を有する。
【0086】
これらの関節は6自由度を備え、これはカルテシアン(デカルト)空間ではXYZ軸に沿った変位と、XYZの各軸を中心とした回動に相当する。関節の動きにより、エンドエフェクタ50(図1及び図2には示されない)の位置と向きが制御され、エンドエフェクタにより物体を操作することができる。
【0087】
手首関節40により、エンドエフェクタ50側へ延在する第1の剛体リンク41と、肘関節30側へ延在する第2の剛体リンク43との間で、軸40Aを中心とした相対的な運動が可能となる。
第1のリンク41は、エンドエフェクタ50(図1及び図2に示されない)を、剛体接続によりアーム100に取り外し可能に取り付けることができるよう構成されるエンドエフェクタコネクタ42を備える。
第2のリンク第2のリンク43は、第2のリンク第2のリンク43を肘関節30に取り外し可能に取り付けることができるよう構成される肘コネクタ44を備える。このように手首関節40が手首関節モジュールを構成する。
【0088】
同様に肘関節30により、手首関節40側へ延在する第3の剛体リンク32と、肩関節20側へ延在する第4の剛体リンク34との間で、軸30Aを中心とした相対的な運動が可能となる。
第3のリンク32は、第2のリンク第2のリンク43の肘コネクタ44と取り外し可能に係合するように構成された肘コネクタ33を備え、第3のリンク32と第2のリンク第2のリンク43とは剛体接続される。
第4のリンク34は、第4のリンク34を肩関節20に取り外し可能に取り付けることができるように、肩関節の対応するコネクタと取り外し可能に係合するように構成された肩コネクタ35を備える。このように肘関節30が肘関節モジュールを構成する。
【0089】
肩関節20は、肩関節モジュールを形成するが、本願明細書では詳しく説明はしない。当業者であれば、肘及び手首関節に関して記載されている原理が肩関節20に、又はロボットアーム100の他の関節に適用することができると容易に理解するであろう。
【0090】
肩関節20と、肘関節30と、手首関節40とはそれぞれ、関節のパッシブコンプライアンス(すなわち外部からの力/トルクによるたわみに対する抵抗)の制御を可能にする可変剛性関節を備える。可変剛性関節の原理については、肘関節30及び手首関節40に関して後述するが、当業者であればこれらの原理が肩関節20又はロボットアーム100の他の関節に適用することができると容易に理解するであろう。
【0091】
手首関節40(図3乃至図7で最も明確に確認できる)における、第1のリンク41及び第2のリンク第2のリンク43間の相対的な運動は、第1の双方向アクチュエータ(作動装置)45a及び第2の双方向アクチュエータ(作動装置)45bによって制御され、これらが組み合わさり、手首関節40が可変剛性関節として機能できる。各双方向アクチュエータ45a、45bは原動プーリーホイール46a,46bを駆動するモータ(図示せず)を備えており、この原動プーリーホイール46a,46bは第1のリンク41に剛体接続されているが、第2のリンク第2のリンク43に対しては回動可能である。各原動プーリーホイールは可撓性の作動リンク47a、47bと係合している。作動リンク47a、47bはそれぞれ、原動プーリーホイール46a、46b及び従動プーリーホイール48a、48b間で、切れ目のないループ状に延在する可撓性の細長いコードを備える。したがって各原動プーリーホイールは、ベルト駆動配置により従動プーリーホイールをそれぞれ駆動させることができる。
【0092】
従動プーリーホイール48a、48bはそれぞれ第2のリンク第2のリンク43に回動可能に取り付けられている。このように原動プーリーホイール46a、46bの回動に応答し従動プーリーホイール48a、48bが回動することにより、第1のリンク及び第2のリンク第2のリンク間で相対的な運動が生じ、これにより手首関節40の運動が生じる。
【0093】
図4及び図7に最もよく示されているように、従動プーリーホイール48a、48bはそれぞれ、共通の回転軸を共有し隣接する2本のプーリトラック67、68を有するダブルプーリを備える。作動リンクの一部が軸40Aを中心として弧を描き原動ホイールとともに動くように、各作動リンク47a、47bはそれぞれの原動ホイール46a、46bに固定されている。このことは、図示される実施例では、図6で示すように原動ホイールとクランプ部材61と間で細長い作動リンクの2つの自由端63a、63bをクランプすることによって達成されるが、他の実施例では、各作動リンクが、原動ホイールにクランプもしくは固定された、切れ目のないループを備えていてもよい。各作動リンク47a、47bは、それから各従動プーリーホイール48a、48bの第1のプーリトラック67を囲むように通路69を通って第2のプーリトラック68へと延在し、それから第2のプーリトラック68を囲むように原動ホイール46a、46bへと戻る。
【0094】
このダブルプーリ配置では、シングルプーリ配置と比較し2倍のトルク出力が提供される。しかし従動プーリーホイール48a、48bがシングルプーリーホイールを備えた配置(装置)も本出願に含まれる。
【0095】
いくつかの実施例において各作動リンクは、通常は非伸長性である部分を2つ有するループを備え、この部分が原動及び従動プーリーホイールを係合する。これらはそれぞれ、原動及び従動プーリーホイール間で延在する第1の腱部60a、60b(第1の弾性力部材60a、60bとも呼ばれる)と、駆動及び従動プーリーホイール間で延在する第2の腱部62a、62b(第2の弾性力部材62a、62bとも呼ばれる)である。他の実施例では、作動リンクが、通常は非伸長性である部分を備えない場合もある。
【0096】
第1の腱部60a、60b及び第2の腱部62a、62bはそれぞれ、加えられた力と、結果として生じる伸長との間で単調に増加する非線形関係を有する。すなわち、加えられる力が増加すると、伸長(剛性)に対する抵抗は高まる。
【0097】
第1の腱部60a、60b及び第2の腱部62a、62bの実施例が図8に示される。各腱部は細長い弾性力芯64を備え、その周囲には渦巻又は螺旋状に補剛部分66が巻き付けられている。弾性力芯64は円形断面を有し、張力(引張力)を受けると大きく伸長し(例えば最大700%まで長くなり)、張力が除去されると、元の形状とサイズに戻ることができるエラストマー材料から形成されている。弾性力芯64の適切な材料は、Recreus社製のFilaflex(登録商標)といったTPE熱可塑性エラストマーである。一方で補剛部分66の材料は非弾性力であるのが通例であり、適切な材料はナイロンである。
【0098】
各腱に伸長張力が加わった場合、補剛部66の螺旋形状は、長手方向(力が加わる方向)に長くなる一方で、横方向(長手方向と直交する方向)に狭くなることを意味する。この横方向の収縮は弾性力芯64による抵抗を受ける。そしてこの抵抗とその結果として生じる弾性力部分の変形により、力の増加とともに伸長に対する抵抗も徐々に増加する。このようにして、腱が伸長すると、最初は弾性力部分が大部分の荷重を負うが、伸長が進むにつれて相対的に剛性の高い部分が徐々に高い割合で荷重を負うようになり、さらなる伸長に対しての抵抗が増加する。
【0099】
使用時には、各双方向アクチュエータ45a、45bは、第1の方向(図1及び図2にあるような、第1のリンク41に対する第2のリンク第2のリンク43の時計回りの動き)と、第1の方向とは反対の第2方向の両方で、手首関節40を動かすことが可能である。第1の方向への運動は、モータを動作させて各原動プーリ46a、46bを回転させることにより、第1腱部62a、62bの張力を増加させ、第2腱部64a、64bの張力を減少させる。同様に第2方向への運動は、モータを動作させて各原動プーリ46a、46bを回転させ、第2腱部64a、64bの張力を増加させ、それにより第1腱部62a、62bの張力を減少させる。
【0100】
このようにして、双方向アクチュエータ45a、45bはそれぞれ、手首関節40を第1の方向に付勢する第1の構成と、第2方向に付勢する第2の構成とで動作可能である。第1の双方向アクチュエータ45a及び第2の双方向アクチュエータ45b両方をそれぞれ独立して制御し、関節の動きを制御することによって、関節の位置を制御しながら、関節の剛性(外力に対する抵抗)を変化させることができる。
【0101】
すなわち、高トルクモード(協調モード)では、双方向アクチュエータ45a、45bはそれぞれ、利用可能なトルク出力を最大化するために、共に作用するよう動作することができる(すなわち、両方が第1構成又は第2構成)。このモードでは、関節の剛性は相対的に低く、パッシブコンプライアンスは相対的に高くなる。もう一方で(その対極では)、双方向アクチュエータ45a、45bを、互いに打ち消し合う高剛性モード(拮抗モード)で動作させてもよい(すなわち、一方が第1構成で、他方が第2構成)。このモードでは、関節の剛性は相対的に高く、パッシブコンプライアンスは相対的に低い。
【0102】
双方向アクチュエータ45a、45bは、高トルクモードと高剛性モードとの間で連続スペクトルに沿った任意の点で動作させることもでき、その結果、関節の剛性が低下すると利用可能なトルク出力を増大させることができ、その逆も可能である。これにより、低い関節剛性が必要な場合(後述するバリスティック位相の動き等)には、関節のトルク出力を最大化することができる。
【0103】
第1の双方向性アクチュエータ45aと第2の双方向性アクチュエータ45bの関係は、原動プーリ46a、46bの差動位置Pによって記載することができる。すなわち、高トルクモードでは差動位置が最大値「1」、高剛性モードでは最大値「―1」となり、「1」と「―1」との間の値は、これらの極値間のスペクトルにおける差動位置を表していると考えられる。
【0104】
別の実施形態では、双方向アクチュエータ45a、45bをそれぞれ単方向アクチュエータ(図示なし)と置き換えてもよい。例えば、第1の単方向アクチュエータ45aには第2の腱部はなく、第1の腱部60aのみを備え、第2の単方向アクチュエータ45bには第1の腱部はなく、第2の腱部62bのみを備えてもよい。
このように、第1の腱部60aの張力を増大させるために、第1の単方向アクチュエータ45aの原動プーリ46aを動作させることにより、手首関節40の第1の方向への動きを実現してもよい。また、第2の腱部62bの張力を増大させるために、第2の単方向アクチュエータ45bの原動プーリ46bを動作させることにより、手首関節40の第方向への動きを実現してもよい。さらに、第1及び第2の単方向アクチュエータを一緒に動作させ、双方向アクチュエータの実施例にある高剛性モード(拮抗モード)に関して上述したのと同様の方法で、手首関節40の全体的な剛性を制御してもよい。
【0105】
なお、肩関節20及び肘関節30を含むアーム100の各関節は、手首関節40に対して上述したような可変剛性関節を有していてもよい。手首関節40は、アーム100における任意の可変剛性関節の単なる典型例として記載されている。
【0106】
特に、肘関節30は手首関節40と大まかには類似しているので、本明細書では、肘関節30の異なる特徴に焦点を当てて記載する。
【0107】
肘関節30における第3のリンク32及び第4のリンク34間の相対的な運動は、第1の双方向アクチュエータ35a及び第2の双方向アクチュエータ35bによって制御され、これらが組み合わさり、肘関節30が可変剛性関節として機能できる。各双方向アクチュエータ35a、35bは、回動可能に第4のリンク33に取り付けられた原動プーリーホイール36a、36bを駆動するモーター(図示せず)を備え、各原動プーリ36a、36bは、可撓性の作動リンク37a、37bと係合する。作動リンク37a、37bはそれぞれ、原動プーリーホイール36a、36b及び従動プーリーホイール38a、38b間で、切れ目のないループ状に延在する可撓性の細長いコードを備える。したがって各原動プーリーホイールは、ベルト駆動配置により従動プーリーホイールをそれぞれ駆動させることができる。
【0108】
従動プーリーホイール38a、38bは、第3のリンク31にそれぞれ剛体接続されるが、第4のリンク33に対しては回動可能である。このように原動プーリーホイール36a、36bの回動に応答し従動プーリーホイール38a、38bが回動することにより、第3及び第4のリンク間で相対的な運動が生じ、これにより肘関節30の動きが生じる。
【0109】
第1の双方向アクチュエータ35a及び第2の双方向アクチュエータ35bは、肘関節30の従動プーリ38a、38bが、ダブルプーリではなくシングルプーリを備える場合を除いて、手首関節40の第1の双方向性アクチュエータ45a及び第2の双方向性アクチュエータ45bと同一である。他の点では、手首関節40に対して上述した、作動リンクを含むアクチュエータの特徴と、それらがどのように操作され得るかは、肘関節30にも同様に適用される。
【0110】
例示の実施例において、コネクタ(エンドエフェクタコネクタ42、肘コネクタ32、44、及び肩コネクタ34を含む)はそれぞれ、摺動ダブテール関節結合機構を備える。より概括的には、一対の協働するコネクタでは、一方のコネクタは雄突出型を備え、もう一方のコネクタは、雄型が係合可能な雌型を備え、雄型と雌型とを剛体接続させる。雄型は幅方向に外側に向かって細くなる突出部を備え、雌型は、両者間で押し込み嵌合させるように内側に向かって細くなる凹部を備える。
【0111】
当業者であれば、雄型と雌型の具体的な形状や構成は重要ではなく、重要なのは、雄型と雌型とを剛体接続させるために、ワンステップの接続手順で容易に相互連結させ、その後は容易に分離させることができることにあると理解するであろう。
【0112】
エンドエフェクタ50は、エンドエフェクタ50の手首コネクタ52(下記参照)を手首関節40のエンドエフェクタコネクタ42と連結させることで、ロボットアーム100に組み込まれ得るエンドエフェクタモジュールを構成する。
【0113】
手首関節40は、肘コネクタ34、44を連結させ、そして、エンドエフェクタコネクタ42を、エンドエフェクタ50(後述)の対応する手首コネクタ52と連結させることで、ロボットアーム100に組み込まれ得る手首関節モジュールを構成する。
【0114】
同様に肘関節30は、肘コネクタ34、44を連結させ、肩コネクタ35を肩関節の対応する肘コネクタに連結することによって、ロボットアーム100に組み込まれ得る肘関節モジュールを構成する。
【0115】
最後に、肩関節20は、それぞれのコネクタをベース10及び肘モジュールの対応するコネクタと連結させることによって、ロボットアーム100に組み込まれ得る肩関節モジュールを構成する。
【0116】
この配置では、ロボットアーム100は、関節モジュール20、30、40それぞれを交換用の関節に交換することができ、エンドエフェクタ50を交換用のエンドエフェクタに交換することができるように、モジュール化することができる。
【0117】
例えば、各関節モジュールを取り外し、同等の関節モジュールと交換することで、メンテナンスの必要性や使用中の不具合に対応する。もしくは、アーム100の動作特性を様々な動作条件に合わせて調整することができるように、アクチュエータを、異なるレベルのトルクや速度を出力する関節モジュールと交換してもよい。
【0118】
同様に、エンドエフェクタモジュール50は、メンテナンスの必要性や使用中の不具合に対応するために、同等の交換用エンドエフェクタモジュールと交換してもよいし、或いは異なる機能性を有するエンドエフェクタと交換してもよい。例えば、果物や野菜を把持し摘み取るのに適した指を有するエンドエフェクタモジュールを、後述するエンドエフェクタモジュール50Aのような、果物や野菜の茎を切るのに適した刃を有するエンドエフェクタモジュールに交換することができる。
【0119】
このモジュール配置を可能にするための大切な特徴は、作動リンクがどのコネクタにも、或いは対をなす協働/連結するコネクタにも延在しないということである。そのため、双方向アクチュエータやその作動リンクを取り外したり、変更したり、調節する必要なく、関節モジュール全体を取り外したり、交換したりすることができる。実際、モジュールの取り外しは、そのコネクタを外すだけで可能である。
【0120】
図示される実施形態の変形例では、各アクチュエータの原動ホイールプーリ及び/又は従動ホイールプーリの有効径を変更することにより、関節20、30、40のいずれかのトルク対速度特性を変化させることが可能である。そのため、各アクチュエータのギア比(すなわち従動プーリーホイールと原動プーリーホイールのトラック径の比)を変化させることが可能である。
【0121】
これは、さまざまな方法で達成することができる。例えば、プーリの内1つ以上を、有効径が異なる他のプーリと交換してもよい(すなわち、作動リンクが通過するトラックの直径が異なる)。また、1つ以上のプーリは、作動リンクが通ることのできる複数のトラックで構成されていてもよい。各トラックは、共通の軸を持つが直径が異なるため、作動リンクはトラック間で入れ替えが可能である。最後に、プーリの内1つ以上は、様々な直径を有するトラックを備え得る。例えば、トラックは、トラック全体の直径を大きく又は小さくするために半径方向に移動可能な複数の別々の領域を備えてもよい。
【0122】
例えば、肘関節30を例にとると、双方向アクチュエータ35a、35bの原動プーリーホイール36a、36bは、トラック直径を大きく又は小さくするために交換もしくは変更することができ、これにより原動プーリーホイール36a、36bと従動プーリーホイール38a、38bの直径間の比率が変更される。この種の配置は、図20~23に示されており、図1~9に示される実施例の肘関節30と交換可能な肘関節130を示している。
【0123】
図20Aの肘関節130の原動プーリーホイール136a、136bはトルク出力を高めるために相対的に小径である。その一方で、図20Bの原動プーリーホイール136a、136bは、相対的に大径の等価なプーリーホイールと置き換えられており、これにより速度出力が高められる。従動プーリーホイール138a、138bはそれぞれ、原動プーリーホイール136a、136bを別の小型又は大型のプーリーホイールと交換するとき、容易かつ直接それぞれの作動リンク137a、137bの有効長(及びその張力)を制御することができる張力制御機構140を組み込む。
【0124】
各従動プーリーホイール138a、138bの張力制御機構140は、一対のスライダ機構142を備え、各スライダ機構142は、作動リンク137a、137bの自由端をクランプするスライダ144を有しており、スライダ144はスライダブロック146内で摺動可能である。スライダ144がスライダブロック146内を摺動すると、作動リンク137a、137bの自由端が移動し、それにより全長が変化し、その結果、張力が変化する。スライダブロック146内のスライダ144の位置は、雌ネジとスライダ14と協働する雄ネジ山を備えるネジ148の回転によって制御される。
【0125】
このように、作動リンク137a、137b上の張力は、スライダ機構142の片方または両方のネジ148を回転させることにより、直ちにシンプルに修正が可能である。図21Aは、予め張力がかけられた(プリテンションされた)構成の張力制御機構140を示し、図21Bは、各スライダブロック146に沿ってスライダ144を摺動させることによって、張力がかけられた後の機構を示す。
【0126】
各スライダ144は、スライダ144から分離するまでネジ148を回転させることで、それぞれのスライダブロック146から取り除かれ得る。それから、取り外されたスライダ144は、作動リンク137a、137bには接続しているが、従動プーリーホイール138a、138bには接続していない。原動プーリーホイール136a、136bを取り外すには、張力制御機構140を用いて、図21Aに示される位置までそれぞれのスライダブロック146に沿って各スライダ144を摺動させることにより、作動リンク137a、137bの各々の張力を減少させる。それからスライダ144は、作動リンク137a、137bと従動プーリーホイール138a、138b間で何も接続がない状態となるように、完全に各スライダブロック146から取り外される。
【0127】
それから原動プーリーホイール136a、136bは、図22に示すように取り外され、作動リンク137a、137bはこれより取り外される(図22では、スライダブロック146からスライダ144を取り外す前に、原動プーリーホイール136a、136bが取り外されている配置を示しているが、このステップは逆の順序で行われると想定される)。図23は、原動プーリーホイール136bが固定される据付プレート139bをより詳細に示している。各据付プレート139a、139bには、第4のリンク133内に含まれるモータ間のインターフェースが設けられているので、モータは据付プレート139a、139bを回動させるように動作することができる。
【0128】
それから、交換用原動プーリーホイールを各据付プレート139a、139bに固定することによって、原動プーリーホイール136a、136bは、異なる有効径のプーリーホイールと置き換えられる。作動リンク137a、137bも、交換用プーリーホイールの直径に適した、異なる有効長を有する対応する交換作動リンクと置き換えられる。好ましい配置では、オリジナル又は交換用作動リンクはそれぞれ、オリジナル又は交換用原動プーリーホイールに強固に接続している。例えば原動プーリーホイール136a、136bは、図4、6、及び7で示される従動プーリーホイール48a、48bに関して記載したタイプの、ダブルプーリを備えることができ、作動リンクはプーリーホイールにクランプされる。
【0129】
交換用作動リンクはそれぞれ、自由端に接続しているスライダ144に対応する交換用スライダを有する。一旦交換用原動プーリーホイールが取り付けられると、交換用スライダが各スライダブロック146に取り付けられ、それから、張力制御機構140を用いて、図21Bに示される位置まで(又は、その位置に向かって)それぞれのスライダブロック146に沿って各スライダ144を摺動させることにより、そこにある張力を動作張力まで増加させる。
【0130】
エンドエフェクタモジュール50は、異なる用途に適した異なる特徴のエンドエフェクタを有する一組のエンドエフェクタモジュールから選択してもよい。例えば、柔らかい果物を摘み取るのに適したエンドエフェクタ50は、その自由端に柔軟なパッドを備えた2つの対向する剛体フィンガー部材を備えてもよい。フィンガー部材は、柔軟なパッドの間で対象物(図示せず)を把持するピンサー構成であり、可動である。あるいはエンドエフェクタは、複数の可撓性のフィンガーを備えてもよい。
【0131】
図9図13は、果物又は野菜の茎を切断するための刃を備えたエンドエフェクタモジュール50Aを示し、図14~16は、その茎を切断する一方で、果物又は野菜を把持するためのベルト又はバンドを備えた関連するエンドエフェクタモジュール50Bを示す。
【0132】
エンドエフェクタ・ブレードモジュール50Aは、V形状の2本の分岐アームを備えたベース部分を構成する剛体静的部分52を備える。ベース部分は、静的部分52とアーム100の第1のリンク41とを剛体接続させるために、エンドエフェクタコネクタ42と相互連結するように構成される手首コネクタ53を含む。切断用ワイヤ54は、静的部分52の各アームの自由端の回動可能なプーリ55を囲むように延在し、その間に切断部54Aを形成する。それからワイヤ54は各アームに沿って駆動システム56へと進む。駆動システム56は、アライメントされたギア軸を中心として歯付ギア58が一緒に回動するように、対をなす歯付ギア58を駆動するモータ57を備える。切断用ワイヤ54の自由端はそれぞれ、ギア軸からオフセットした各歯付ギア58上の静止位置59に取り付けられる。このようにして、歯付ギア58が回動すると、切断用ワイヤ54はその長さ方向に沿って往復運動を行う。このように、切断部分54Aのワイヤが静的部分52に対してノコギリ状に動作することで、切断部分54Aを野菜や果物の茎に押し当てて切断することができる。
【0133】
切断用ワイヤ54は、その表面を囲むすべての位置で均等に切断することができる。本実施例において、切断用ワイヤ54は、4本の鋼線が編まれているか、撚り合わされた編組線を備え、各鋼線は、さらに細い鋼線が螺旋状に巻き付けられた線芯を備える。そのため、この細い鋼線は、各線芯から半径方向に突出する鈍角(又は丸い)突起を形成する。このように、これらの突起は切断用ワイヤ54が動いていないときには無害であるが、切断用ワイヤ54が往復運動すると切断歯又は鋸歯(セレーション)として作用する。当業者であれば、その表面のすべての位置で均等に切断できる他の形態の切断用ワイヤも利用可能であり、本実施例での使用に適していることを理解するだろう。
【0134】
ベルトモジュール50Bは、駆動システム56´を支持するベース部分を含む剛体静的部分52´と、2つのベルトガイド51´と、静的部分52´とアーム100の第1のリンク41とを剛体接続させるためにエンドエフェクタコネクタ42と相互連結するよう構成される手首コネクタ53´とを備える。ベルト54´はベルトガイド51´間でループ状に延在する。ベルト54´の片端は固定されているが、他端は、ループのサイズを大きくしたり小さくしたりするために、駆動システム56´の作用により固定端に対して可動である自由端で構成される。駆動システム56´は、一対の従動ローラー58´を駆動するモータ57´を備える。従動ローラー58´の回動が、ベルトの自由端を固定端に対して移動させるように、ベルト54´は従動ローラー58´と一対のパッシブローラー59´との間を通過する。
【0135】
使用の際には、摘み取る野菜又は果物をベルト54´のループが囲むように、ベルトモジュール50Bを備えるロボットアーム100を制御する。それから駆動システム56´を動作させ、ループのサイズを小さくすることによって野菜や果物をベルト54´で把持する。ブレードモジュール50Aを備えた第2のロボットアーム100は、切断用ワイヤ54の切断部分54Aが野菜又は果物の茎に押し付けられるように制御され、ワイヤの往復運動によって切断部分54Aで茎を切断する。その後、切断された野菜や果物は、ベルトモジュールを備えたロボットアームによって回収容器に移動させられる。そして駆動システム56´が動作し、ベルト54´のループサイズを大きくすることにより野菜や果物が解放される。
【0136】
好ましい実施例において、ロボットアーム100はまた、エンドエフェクタ50と共に動くようにアームのエンドリンク(例えば、第1のリンク41又はエンドエフェクタモジュールの静的部分)に取り付けられた、センサ制御位相ステレオカメラ(図示なし)及びカラーカメラ(図示なし)を備える。このようにして、センサ制御フェーズステレオカメラとカラーカメラとは、エンドエフェクタ50が動作可能な環境領域、及びエンドエフェクタ50を取り囲む環境の限られた部分の連続画像を提供する。センサ制御ステレオカメラとカラーカメラとは、以下でさらに説明するが、ロボットアーム100の動きのセンサ制御(最終接近)位相で使用される。
【0137】
エンドエフェクタ50が、物体を把持するように動くことができる、向かい合う2本以上のフィンガーを備える実施例では、センサ制御位相ステレオカメラ及び/又はカラーカメラを、選択的にフィンガー間の中央領域に取り付けて、カメラの位置とエンドエフェクタの位置を特に密接に関連させることができる。
【0138】
また、各ロボットアーム100は、ベース10の静止位置に配置され、取り付けられた関節制御位相のステレオカメラ(図19の250、図1及び図2には示されていない)を有し、アーム100のエンドエフェクタ50がアクセス可能なすべてのポイントを含む画像を提供する。
【0139】
使用時には、ロボットアーム100は、手首関節40、肘関節30、肩関節20を含む各関節の位置を制御することで、エンドエフェクタ50の位置を制御すると同時に、それら各関節の剛性を制御する。
【0140】
図17A及び図17Bには、ロボットアーム100が4位相の動きを介して制御される本発明の実施例が示されている。この4位相の動きは、果物や野菜を摘み取るといった、エンドエフェクタ50が、対象物を係合又は操作する用途に特に適していると考えられる。
【0141】
図17Aは果物又は野菜を摘み取る動きの例示的な軌道を示す。その一方で、図17Bはその軌道上にある肘関節30(又は肩関節20、手首関節40、又は他の関節)における関節剛性の変化を図式化して示す。エンドエフェクタ50は、tから始まり、t、t、tを介してバリスティック位相を進行する。tからtまでの軌道は閉ループの関節制御位相を表し、tからtまでの軌道はセンサ制御位相を表す。tでは、エンドエフェクタ50は果物又は野菜を把持、係合、もしくは操作しており、tからtまでの軌道は果物又は野菜が育っている(が付いている)茎、(節のある)茎、低木、つる、茎、又は木から果物又は野菜が分離している、いずれかの分離位相を表している。
【0142】
図18A及び図18Bは、それぞれバリスティック位相と閉ループ関節制御位相の制御アーキテクチャを示している。以下では理解のために、1つの関節(手首関節40)の動きのみについて説明するが、当業者であれば、実際にはアーム100のすべての関節がエンドエフェクタ50の動きを実現するために動くと理解するであろう。
【0143】
バリスティック位相(図18A)は、入力として所望の関節角度(θ)及び所望の関節剛性(c)を有する。反対の関節モデルは、所望の関節角度及び所望の関節剛性に基づいて、所望の関節角度及び所望の関節剛性を、原動プーリ46a、46bの対応する差動位置(p)にマップするために用いる。平衡方程式を用いて、差動位置(p)と所望の関節剛性(c)両方を達成する、第1の双方向アクチュエータ45aの原動プーリ46aの角度位置(α)及び第2の双方向アクチュエータ45bのプーリ46bの角度位置(α)を決定する。
【0144】
における関節制御のバリスティック位相の出力は関節角(θ)であるがこれは、θに近く、好ましくはθの50%以上、理想的にはθの60%、70%、80%、もしくは85%以上である。したがってバリスティック位相により、エンドエフェクタ50は、摘み取る果物の初期の推定位置近傍に移動させられる(後述)。
【0145】
閉ループ関節制御位相(図18B)も入力として所望の関節角度(θ)と所望の関節剛性(c)とを有する。現在の関節角度(θ)はコントローラにフィードバックされ、現在の関節角度(θ)と所望の関節角度(θ)の間の関節角度差(Δθ)を決定することにより、その差(Δθ)を低減させる。フィードバック制御則ステップでは、関節角度差(Δθ)に基づいて、関節角度差(Δθ)を低減させる差動位置の変化(Δp)を決定する。そして、これを差動位置(p)に変換し、平衡方程式を用いて、差動位置(p)と所望の関節剛性(c)両方を実現する、第1の双方向アクチュエータ45aの原動プーリ46aの角度位置(α1)と、第2の双方向アクチュエータ45bのプーリ46bの角度位置(α2)とを決定する。
【0146】
における関節制御の閉ループ関節制御位相の出力は関節角度(θ)であるが、これはよりθに近く、好ましくは完全にθである。しかし、アーム100の関節は剛体ではないが、多かれ少なかれこれに準拠しているので、所望の関節角度(θ)を達成しても、エンドエフェクタが果実に係合もしくは操作するのに適した位置に正確に配置されるとは限らない。さらに、対象物が風などで動いている場合や、関節制御位相のステレオカメラの位置情報が不正確な場合もある。センサ制御位相では、軌道の最後でtからtへとこれらの誤差を補正する。
【0147】
次に、アームの使用時の制御方法の一例として、図17Aの軌道を通る動きについて説明する。上述のように以下では、理解のために1つの関節(手首関節40)の動きのみについて説明するが、当業者であれば、実際にはアーム100のすべての関節がエンドエフェクタ50の動きを実現するために動くと理解するであろう。
【0148】
では、バリスティック位相のステレオカメラを使用して、摘み取る果物のターゲット位置(又は別の利用では他のターゲット位置)を含む3次元点群を生成する。各ターゲットは、アーム100のベース10又はその近傍を、原点又は基準点とした直交座標系での位置を有している。点群から関心地点が選択されると、tまでのバリスティック位相軌道が生成され、t、t、t各点における第1の双方向アクチュエータ45aの原動プーリ46aの角度位置(α1)と、第2の双方向アクチュエータ45bの原動プーリ46bの角度位置(α2)とが、図18Aを参照し上述の制御アーキテクチャを用いて計算される。
【0149】
次に、計算された角度位置に到達するように双方向アクチュエータ45a、45bを制御することにより、関節をtからt2へ、そしてtへと移動させ、これによりバリスティック位相軌道の各点における原動プーリ46a、46bの相対位置は確実に、関節が所望のレベルの剛性で所望の関節ポーズをとる。
【0150】
図17Bにあるように、バリスティック位相では関節の剛性は相対的に低いが、閉ループ関節制御位相に近づくとtからtへ、で上昇する。この位相では関節の動きは相対的に速く、開ループ制御では、必要な制御ステップ数を減らすことで、tでの到達をさらに速めることができる。このように制御を限定した状態での高速移動は、アーム100と外部物体(人や構造物等)の衝突を引き起こす可能性がある。しかし、関節剛性が相対的に低いため、アーム100はバリスティック位相においては相対的に高いレベルのパッシブコンプライアンスを有しており、その結果、こういった衝突では、アーム100又は本体外部にも損傷を与えないようになっている。関節を動かすために利用可能なトルクを最大にするバリスティック位相では、高トルクモードを利用してもよい。
【0151】
で、閉ループ関節制御位相が開始される。図18Bを参照した上述の制御アーキテクチャを使用して、関節角度差(Δθ)を減少させるのに必要な原動プーリ46aの角度位置(α1)とプーリ46bの角度位置(α2)との各変化を計算する。計算された角度位置に到達するように双方向アクチュエータ45a、45bを制御することで、関節をtに向かって徐々に移動させ、関節角度差(Δθ)がゼロ、もしくはゼロの許容範囲内になるまで繰り返す。
【0152】
図17Bにおいて、tからtまでの閉ループ関節制御位相では関節の剛性が相対的に高いレベルまで上昇し続けることがわかる。この高剛性モードではパッシブコンプライアンスは低下するが、関節位置の精度は向上する。
【0153】
からtまでのセンサ制御位相では、高剛性モードが維持される。この位相では、センサ制御位相のステレオカメラとカラーカメラを用いて得た視覚データに基づいて、関節の動きを制御する。カラーカメラで得た画像を分析し、画像認識アルゴリズムを用いて、摘み取る果物や野菜を特定する。例えば、特定の色範囲または特定のパターンにある画素のクラスタが、果物や野菜の存在を示し得る。また、画像を分析して、識別された果物や野菜が熟しているかどうか、及び/又は傷があるかどうか、したがって収穫すべきかどうかを判断してもよい。
【0154】
果物や野菜が識別されると、アプローチ(接近)位相のステレオカメラで得た画像が分析され、エンドエフェクタのローカル直交座標系で識別された果物や野菜の感知された位置が確定される。
【0155】
決定され感知された位置は、エンドエフェクタ50の既知の位置と比較され、エンドエフェクタ50を進める軌道が計算される。計算された軌道に沿った運動を実現するのに必要とされる関節位置を実現するのに必要な原動プーリ46a、46bの角度位置が決定され、エンドエフェクタを、感知した位置に移動させるために関節が動かされる。カメラからの新しいデータが得られるに従い、感知される位置は経時的に変化し得る。例えば、果物や野菜がわずかに動いているかもしれないし、エンドエフェクタが果物や野菜に接近すると、確定位置の精度が向上し得る。したがって、このプロセスは、エンドエフェクタ50が果実を把持、係合、もしくは操作可能となる最終的な位置に到達するまで繰り返してもよい。
【0156】
エンドエフェクタの静止位置にある(つまり、エンドエフェクタと一緒に動くことができる)センサ(ステレオカメラ及びカラーカメラ)を使用することで、センサ制御位相でエンドエフェクタが移動する軌道をローカル座標系内で計算することができ、必要な関節動作を計算するために必要な処理ステップを低減させ、センサ制御位相でのエンドエフェクタの動作速度を最大にすることができる。
【0157】
さらに、センサ制御位相では、関節の位置(角度)を開ループ制御又は閉ループ制御で制御することができる。開ループ制御の方が、制御コマンドの数が少なくて済み、処理が速く、その結果、関節の動きが速くなるため好ましい。
【0158】
からtまでの任意の分離位相では、このように果実又は野菜を茎から切り離すことができる場合、エンドエフェクタ50が急速に下向きに移動して果実又は野菜を切り離す。この位相での関節の運動は、バリスティック位相と同様の方法で、開ループ制御で制御される。図17Bによるとこの位相では、関節の剛性が最小剛性レベルまで急速に低下することがわかる。関節剛性の急速な低下は、双方向アクチュエータ45a、45bにおいて強いプリテンションがかけられた腱が急速に解放されることによって生じる可能性がある。この急速な解放は、分離位相の初期におけるエネルギーの突然の解放であり、果物又は野菜をその茎から分離させるのに役立ち得る。
【0159】
図19は、本発明による果物又は野菜のピッキングシステムの実施例を示す。このシステムは、ホイール210、又はレールもしくはガントリーシステム(図示せず)によって動かすことができるマルチアーム移動式プラットフォーム200を備える。プラットフォーム200は、上述の第1実施例による4本のロボットアーム100を垂直に積み重ねて支持しており、それぞれがベース10を介してプラットフォーム200の垂直支持部220に取り付けられている。各ロボットアーム100は、摘み取った果物や野菜を、パンネットやトレイなどの専用の保管容器230に受け渡す。プラットフォーム200はまた、果物や野菜の保存期間を最大化するために、冷却貯蔵ユニット240を支持しており、保存容器230が満杯になったら冷却貯蔵ユニット240に収納される。
【0160】
各ロボットアーム100は、アーム100のエンドエフェクタ50がアクセス可能なすべてのポイントを含む画像を提供する、取り付けられたバリスティック位相のステレオカメラ250を有する。各アーム100はまた、エンドエフェクタ50に対して静止位置を有するように、そしてカラーカメラ及び接近位相のステレオカメラによって撮影された画像が取り囲む領域を照明するように、アームに取り付けられたLED光源(図示せず)を含む。この照明により、夜間など、暗い場所であっても果物や野菜を摘み取ることができ、また、環境光の変化によりデータ品質が変動するのを防ぐために、光条件を制御するためにも役立つ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図7C
図7D
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16A
図16B
図16C
図17A
図17B
図18
図19
図20A
図20B
図21A
図21B
図22
図23
【手続補正書】
【提出日】2021-08-13
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モジュール式のロボットアームであって、第1の関節モジュールと第2のモジュールとを備え、
前記第1の関節モジュールは
第1の剛体リンクと第2の剛体リンクとの間で運動を生じさせるために可動である第1の関節と、
前記第1の関節を動かすために作動可能な1つ又は複数の弾力性部材を有する第1の可変剛性アクチュエータと、を備え、前記第1の剛体リンク又は前記第2の剛体リンクは第1のインターロック機構を有し
前記第2のモジュールは、前記第1の関節モジュールの前記第1のインターロック機構と連結するように構成される第2のインターロック機構を備え、
前記ロボットアームは、前記第2のインターロック機構を前記第1のインターロック機構と連結させることにより、前記第2のモジュールと前記第1の関節モジュールとが動作可能に接続する動作モードと、前記第2のインターロック機構を前記第1のインターロック機構から分離させることにより、前記第1の関節モジュール又は前記第2のモジュールを交換用モジュールに交換することができる再構成モードとを有し、
前記1つ又は複数の弾力性部材は、前記動作の構成では前記第2のモジュールに係合せず、
前記1つ又は複数の弾力性部材のそれぞれは、前記第1の剛体リンク及び前記第2の剛体リンクに接続され、
前記1つ又は複数の弾力性部材のそれぞれは、張力が加えられると伸長し、前記張力を除去すると元の長さに戻るように付勢される弾力性部分を備えることを特徴とする、ロボットアーム。
【請求項2】
前記第2のモジュールは、エンドエフェクタモジュール、又は第2の関節モジュールのいずれかを構成し、
前記エンドエフェクタモジュールは、対象物を操作するように配置されたエンドエフェクタを備え、
前記第2の関節モジュールは、
第3の剛体リンクと第4の剛体リンクとの間で運動を生じさせるために可動である第2の関節と、
前記第2の関節を動かすために作動可能な1つ又は複数の弾性力部材を有する第2の可変剛性アクチュエータと、を備え、前記第3の剛体リンク又は前記第4の剛体リンクは、前記第2のインターロック機構を有することを特徴とする、請求項1記載のロボットアーム。
【請求項3】
前記第1の剛体リンクは前記第1のインターロック機構を備え、
前記第2の剛体リンクは第3のインターロック機構を備え、
前記ロボットアームは、前記動作モードで前記第1の関節モジュールの前記第3のインターロック機構と連結するように配置された、第4のインターロック機構を有する第3のモジュールを備え、
前記第3のインターロック機構と前記第4のインターロック機構とは、前記第1の関節モジュール又は前記第3のモジュールを交換用モジュールと交換可能な前記再構成モードで分離されることを特徴とする、請求項1又は請求項2記載のロボットアーム。
【請求項4】
前記第1及び第2のインターロック機構のうち片方は雌要素を備え、もう一方は、前記第1及び第2のインターロック機構がまとめて連結されるように、前記雌型要素内に入れ子になるように配置される雄型要素を備えることを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか一項記載のロボットアーム。
【請求項5】
前記第1及び第2のインターロック機構は、摺動接続、摩擦係合、又はワンステップの接続の内1つ以上により連結されることを特徴とする、請求項1乃至4のいずれか一項記載のロボットアーム。
【請求項6】
前記第1及び第2のインターロック機構は、追加の固定手段なく連結されることを特徴とする、請求項1乃至のいずれか一項記載のロボットアーム。
【請求項7】
前記第3及び第4のインターロック機構は、請求項4乃至のいずれか一項記載の前記第1及び第2のインターロック機構のうちいずれかの特徴を備えることを特徴とする、請求項3記載のロボットアーム。
【請求項8】
前記動作モードでは、前記1つ又は複数の弾性力部材が、連結されている前記第1及び第2のインターロック機構を横切って延在することはないことを特徴とする、請求項1乃至のいずれか一項記載のロボットアーム。
【請求項9】
前記第1及び/又は第2の可変剛性アクチュエータは、
張力が増加すると関節を第1の方向に付勢するよう作動可能な前記1つ又は複数の弾性部材である第1の弾性力部材と、
張力が増加すると関節を前記第1の方向と反対の第2方向に付勢するよう作動可能な前記1つ又は複数の弾性力部材である第2の弾性力部材とを備えることを特徴とする、請求項1乃至のいずれか一項記載のロボットアーム。
【請求項10】
前記第1及び/又は第2の可変剛性アクチュエータは、第1及び第2の双方向アクチュエータを構成し、
前記双方向アクチュエータはそれぞれ、
張力が増加すると関節を第1の方向に付勢するように作動可能な前記1つ又は複数第1の弾性力部材と、
張力が増加すると関節を前記第1の方向とは反対の第2方向に付勢するよう作動可能な前記1つ又は複数第2の弾性力部材とを備えることを特徴とする、請求項1乃至のいずれか一項記載のロボットアーム。
【請求項11】
前記第1及び/又は第2の可変剛性アクチュエータは、前記1つ又は複数の弾性力部材の結果として生じる張力が相対的に低い低剛性モードと、前記1つ又は複数の弾性力部材の結果として生じる張力が相対的に高い高剛性モードとで動作することができることを特徴とする、請求項1乃至10のいずれか一項記載のロボットアーム。
【請求項12】
前記第1及び/又は前記2の可変剛性アクチュエータは1つ又は複数のアクチュエータを構成し、
前記アクチュエータはそれぞれ、前記第1の剛体リンクに対して回動可能かつ前記第2の剛体リンク共に回動可能な第1のプーリと、前記第1の剛体リンクに対して回動可能である第2のプーリと、前記第1のプーリと前記第2のプーリとの間で延在する作動リンクとを備え、
前記作動リンクが前記第1のプーリと前記第2のプーリとの間で延在する前記1つ又は複数の弾性力部材の内、少なくとも1つを含むことにより、前記第1のプーリ又は前記第2のプーリの回動が関節の運動を生じさせることを特徴とする、請求項1乃至11のいずれか一項記載のロボットアーム。
【請求項13】
部品のキットであって、
請求項1乃至12のいずれか一項記載のロボットアームと、
前記第1の関節モジュールの前記第1のインターロック機構と連結するように配置された更なる第2のインターロック機構を含む交換用の第2のモジュールとを備え、
前記動作の構成では、前記第2のモジュール又は前記交換用の第2のモジュールの内いずれかを、前記第1の関節モジュールに作動可能に接続することができることを特徴とする、部品のキット。
【請求項14】
請求項1乃至12のいずれか一項記載のロボットアームを動作させる方法であって、
前記第1及び第2のインターロック機構を切り離すステップと、
前記第1又は第2のモジュールを、さらなるインターロック機構を備える交換用モジュールと交換するステップと、
前記動作モードで前記ロボットアームを配置するために、前記第1又は第2のインターロック機構を前記さらなるインターロック機構と連結させるステップとを含むことを特徴とする、方法。
【請求項15】
請求項1乃至12のいずれか一項記載の1つ又は複数のロボットアームを支持する可動式ベースを備えることを特徴とする、果物又は野菜を収穫するためのシステム。
【国際調査報告】