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特表2022-510387ガンマデルタT細胞集団の選択的生体内増殖方法及びその組成物
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-26
(54)【発明の名称】ガンマデルタT細胞集団の選択的生体内増殖方法及びその組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 45/00 20060101AFI20220119BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20220119BHJP
   A61P 31/00 20060101ALI20220119BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20220119BHJP
   A61P 37/02 20060101ALI20220119BHJP
   A61K 45/06 20060101ALI20220119BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20220119BHJP
   A61K 38/19 20060101ALI20220119BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20220119BHJP
   A61K 38/20 20060101ALI20220119BHJP
   A61K 35/17 20150101ALI20220119BHJP
   A61K 31/675 20060101ALI20220119BHJP
   A61K 31/663 20060101ALI20220119BHJP
   A61K 48/00 20060101ALI20220119BHJP
【FI】
A61K45/00
A61P35/00
A61P31/00
A61P29/00
A61P37/02
A61K45/06
A61P43/00 121
A61P43/00 111
A61K38/19
A61K39/395 N
A61K39/395 T
A61K39/395 D
A61K39/395 E
A61K38/20
A61K35/17 Z
A61K31/675
A61K31/663
A61K48/00 ZNA
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021531558
(86)(22)【出願日】2019-12-03
(85)【翻訳文提出日】2021-07-29
(86)【国際出願番号】 US2019064319
(87)【国際公開番号】W WO2020117862
(87)【国際公開日】2020-06-11
(31)【優先権主張番号】62/774,817
(32)【優先日】2018-12-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517171347
【氏名又は名称】アディセット バイオ, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ヤコボヴィッツ, アヤ
(72)【発明者】
【氏名】サトパエフ, ダウレット
(72)【発明者】
【氏名】フォード, オリット
(72)【発明者】
【氏名】ジン, イフォン フランク
(72)【発明者】
【氏名】シャオ, フイ
【テーマコード(参考)】
4C084
4C085
4C086
4C087
【Fターム(参考)】
4C084AA02
4C084AA13
4C084AA17
4C084AA18
4C084BA44
4C084DA01
4C084DA12
4C084DA14
4C084DA16
4C084MA02
4C084MA35
4C084MA52
4C084MA66
4C084NA05
4C084NA14
4C084ZB071
4C084ZB072
4C084ZB111
4C084ZB112
4C084ZB261
4C084ZB262
4C084ZB351
4C084ZB352
4C084ZC021
4C084ZC022
4C084ZC751
4C085AA13
4C085AA14
4C085BB31
4C085BB41
4C085BB43
4C085CC22
4C085CC23
4C085DD62
4C085EE01
4C085EE03
4C085GG02
4C085GG08
4C086AA01
4C086AA02
4C086DA34
4C086DA38
4C086MA02
4C086MA03
4C086MA04
4C086NA05
4C086NA14
4C086ZB07
4C086ZB11
4C086ZB26
4C086ZB35
4C086ZC02
4C086ZC75
4C087AA01
4C087AA02
4C087BB43
4C087MA02
4C087NA05
4C087NA14
4C087ZB07
4C087ZB11
4C087ZB26
4C087ZB35
4C087ZC02
4C087ZC75
(57)【要約】
本発明は、γδT細胞集団(複数可)の選択的生体内活性化、増殖、及び/または維持方法、その組成物及び混合物、ならびにそれを治療薬として使用する方法に関する。本開示の方法及び組成物は、様々ながん、感染性疾患、及び免疫障害の治療に有用である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象におけるγδT細胞集団を活性化、増殖、及び/または維持するための生体内方法であって、前記対象に、有効量の、δ1T細胞、δ2T細胞、もしくはδ3T細胞、またはそれらの組み合わせを選択的に増殖させる1つ以上の薬剤を投与することを含み、
δ1T細胞を選択的に増殖させる前記1つ以上の薬剤が、δ1TCRに特有の活性化エピトープに結合し、
δ2T細胞を選択的に増殖させる前記1つ以上の薬剤が、δ2TCRに特有の活性化エピトープに結合し、
δ3T細胞を選択的に増殖させる前記1つ以上の薬剤が、δ3TCRに特有の活性化エピトープに結合し、
それによって前記対象における前記γδT細胞集団を活性化、増殖、及び/または維持する、前記方法。
【請求項2】
前記方法が、前記対象に、有効量の、δ1T細胞を選択的に増殖させる1つ以上の薬剤を投与することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
δ1T細胞を選択的に増殖させる前記薬剤が、TS-1及びTS8.2から選択される抗体と同じエピトープに結合する薬剤から選択される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
δ1T細胞を選択的に増殖させる前記薬剤が、TS-1、TS8.2、またはR9.12と競合しない薬剤から選択される、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
δ1T細胞を選択的に増殖させる前記薬剤が、δ1可変領域を含むエピトープに特異的に結合する薬剤から選択される、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
δ1T細胞を選択的に増殖させる前記薬剤が、δ1可変領域の残基Arg71、Asp72、及びLys120を含むエピトープに結合する、請求項2に記載の方法。
【請求項7】
δ1T細胞を選択的に増殖させる前記薬剤が、デルタJ1及びデルタJ2のK120に突然変異を含む突然変異体δ1TCRポリペプチドに対する低減された結合を有する、請求項2に記載の方法。
【請求項8】
δ1T細胞を選択的に増殖させる前記薬剤が、ヒトδ1TCRのδ1TCRビン1δ1エピトープ、ビン1bδ1エピトープ、ビン2δ1エピトープ、ビン2bδ1エピトープ、ビン2cδ1エピトープ、ビン3δ1エピトープ、ビン4δ1エピトープ、ビン5δ1エピトープ、ビン6δ1エピトープ、ビン7δ1エピトープ、ビン8δ1エピトープ、またはビン9δ1エピトープに結合する薬剤である、請求項2に記載の方法。
【請求項9】
δ1T細胞を選択的に増殖させる前記薬剤が、δ1-05、δ1-08、δ1-18、δ1-22、δ1-23、δ1-26、δ1-35、δ1-37、δ1-39、δ1-113、δ1-143、δ1-149、δ1-155、δ1-182、δ1-183、δ1-191、δ1-192、δ1-195、δ1-197、δ1-199、δ1-201、δ1-203、δ1-239、δ1-253、δ1-257、δ1-278、δ1-282、及びδ1-285からなる群から選択される抗体と同じ、もしくは本質的に同じエピトープに結合するか、またはそれと競合する薬剤から選択される、請求項2に記載の方法。
【請求項10】
δ1T細胞を選択的に増殖させる前記薬剤が、δ1-05、δ1-08、δ1-18、δ1-22、δ1-23、δ1-26、δ1-35、δ1-37、δ1-39、δ1-113、δ1-143、δ1-149、δ1-155、δ1-182、δ1-183、δ1-191、δ1-192、δ1-195、δ1-197、δ1-199、δ1-201、δ1-203、δ1-239、δ1-253、δ1-257、δ1-278、δ1-282、及びδ1-285からなる群から選択される抗体である、請求項2に記載の方法。
【請求項11】
δ1T細胞を選択的に増殖させる前記薬剤が、δ1T細胞及びδ3T細胞を選択的に増殖させる、請求項2に記載の方法。
【請求項12】
δ1T細胞を選択的に増殖させる前記薬剤が、抗体δ1-35もしくはδ1-08のCDRを含むか、または抗体δ1-08もしくはδ1-35と同じエピトープに結合する、請求項2に記載の方法。
【請求項13】
δ1T細胞を選択的に増殖させる前記薬剤が、抗体δ1-35のCDRを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項14】
δ1T細胞を選択的に増殖させる前記薬剤が、δ1、δ3、δ4、及びδ5γδT細胞を選択的に増殖させる、請求項2に記載の方法。
【請求項15】
前記方法が、前記対象に、有効量の、δ2T細胞を選択的に増殖させる1つ以上の薬剤を投与することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
δ2T細胞を選択的に増殖させる前記薬剤が、15D及びB6から選択される抗体と同じエピトープに結合する薬剤から選択される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
δ2T細胞を選択的に増殖させる前記薬剤が、δ2可変領域を含むエピトープに特異的に結合する薬剤から選択される、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
δ2T細胞を選択的に増殖させる前記薬剤が、δ2可変領域のG35に突然変異を含む突然変異体δ2TCRポリペプチドに対する低減された結合を有する、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
δ2T細胞を選択的に増殖させる前記薬剤が、ヒトδ2TCRのδ2TCRビン1δ2エピトープ、ビン2δ2エピトープ、ビン3δ2エピトープまたはビン4δ2エピトープに結合する、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
δ2T細胞を選択的に増殖させる前記薬剤が、δ2-14、δ2-17、δ2-22、δ2-30、δ2-31、δ2-32、δ2-33、δ2-35、δ2-36、及びδ2-37からなる群から選択される抗体と同じ、もしくは本質的に同じエピトープに結合するか、またはそれと競合する薬剤である、請求項15に記載の方法。
【請求項21】
δ2T細胞を選択的に増殖させる前記薬剤が、δ2-14、δ2-17、δ2-22、δ2-30、δ2-31、δ2-32、δ2-33、δ2-35、δ2-36、及びδ2-37からなる群から選択される抗体である、請求項15に記載の方法。
【請求項22】
δ2T細胞を選択的に増殖させる前記薬剤が、抗体δ2-37のCDRを含むか、または抗体δ2-37と同じエピトープに結合する、請求項15に記載の方法。
【請求項23】
前記方法が、前記対象に、有効量の、δ3T細胞を選択的に増殖させる1つ以上の薬剤を投与することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項24】
δ3T細胞を選択的に増殖させる前記薬剤が、δ3-08、δ3-20、δ3-23、δ3-31、δ3-42、δ3-47、及びδ3-58からなる群から選択される抗体と同じ、もしくは本質的に同じエピトープに結合するか、またはそれと競合する薬剤から選択される、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
δ3T細胞を選択的に増殖させる前記薬剤が、δ3-08、δ3-20、δ3-23、δ3-31、δ3-42、δ3-47、及びδ3-58からなる群から選択される抗体である、請求項23に記載の方法。
【請求項26】
δ3T細胞を選択的に増殖させる前記薬剤が、抗体δ3-23のCDRを含むか、または抗体δ3-23と同じエピトープに結合する、請求項23に記載の方法。
【請求項27】
前記方法が、前記患者に操作型及び/または非操作型γδT細胞の集団を投与することを含む、請求項1~26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記方法が、δ1T細胞、δ2T細胞、またはδ3T細胞を選択的に増殖させる前記1つ以上の薬剤を投与する前に、前記操作型及び/または非操作型γδT細胞の集団を投与することを含む、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記操作型及び/または非操作型γδT細胞の投与集団が、前記対象に対して自家性の細胞の集団である、請求項27に記載の方法。
【請求項30】
前記操作型及び/または非操作型γδT細胞の投与集団が、前記対象に対して同種異系の細胞の集団である、請求項27に記載の方法。
【請求項31】
前記操作型及び/または非操作型γδT細胞の投与集団が、少なくとも60%のδ1γδT細胞を含む集団であり、前記方法が、前記γδT細胞を投与することと、δ1T細胞を選択的に増殖させる前記1つ以上の薬剤を順次または同時に投与することと、を含む、請求項27に記載の方法。
【請求項32】
前記操作型及び/または非操作型γδT細胞の投与集団が、少なくとも60%のδ2γδT細胞を含む集団であり、前記方法が、γδT細胞を投与することと、δ2T細胞を選択的に増殖させる1つ以上の薬剤を順次または同時に投与することと、を含む、請求項27に記載の方法。
【請求項33】
前記操作型及び/または非操作型γδT細胞の投与集団が、少なくとも60%のδ3γδT細胞を含む集団であり、前記方法が、γδT細胞を投与することと、δ3T細胞を選択的に増殖させる1つ以上の薬剤を順次または同時に投与することと、を含む、請求項27に記載の方法。
【請求項34】
前記方法が、アミノホスホネートまたはプレニルホスホネートを投与することを含む、請求項1~33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
前記方法が、アミノホスホネートを投与することを含み、前記アミノホスホネートが、ゾレドロネート、パミドロン酸、アレンドロン酸、リセドロン酸、イバンドロン酸、及びインカドロン酸、もしくはそれらの塩、ならびに/またはそれらの水和物からなる群から選択される、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
δ1T細胞、δ2T細胞、もしくはδ3T細胞、またはそれらの組み合わせを選択的に増殖させる前記薬剤が、多価であり、好ましくは多価薬剤が、同じ抗原に特異的に結合する少なくとも2つの抗原結合部位を含むか、または前記多価薬剤が、同じ抗原の同じエピトープに特異的に結合する少なくとも2つの抗原結合部位を含む、請求項1~9、12~24、または25~35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
δ1T細胞、δ2T細胞、もしくはδ3T細胞、またはそれらの組み合わせを選択的に増殖させる前記薬剤が、二価、三価、もしくは四価であるか、または少なくとも二価、三価、もしくは四価である、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記方法が、サイトカインを前記対象に同時または順次に投与することを含む、請求項1~37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
前記方法が、操作型γδT細胞を前記対象に投与することを含み、前記操作型γδT細胞が、分泌サイトカインをコードする導入遺伝子を含む、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記サイトカインが、一般的なガンマ鎖サイトカイン、またはIL-2、IL-15、及びIL-4からなる群から選択されるサイトカインであり、好ましくは前記サイトカインが、IL-2、IL-15、及び/またはIL-4である、請求項38または39に記載の方法。
【請求項41】
前記方法が、リンパ球枯渇プロトコルを前記対象に、γδT細胞を投与する前に投与することを含む、請求項1~40のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
前記方法が、δ1T細胞、δ2T細胞、及び/またはδ3T細胞を選択的に増殖させる前記1つ以上の薬剤を繰り返し投与することを含む、請求項1~41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
前記方法が、前記対象における投与されたγδT細胞の集団を増殖または維持することを含む、請求項1~42のいずれか一項に記載の方法。
【請求項44】
前記方法が、前記対象における内因性γδT細胞の集団を増殖または維持することを含む、請求項1~43のいずれか一項に記載の方法。
【請求項45】
前記方法が、δ1T細胞、δ2T細胞、及び/またはδ3T細胞を選択的に増殖させる前記1つ以上の薬剤を投与されていない対象におけるγδT細胞の量に対して少なくとも10%、前記対象における内因性及び/または投与されたγδT細胞の集団を増殖させることを含む、請求項1~44のいずれか一項に記載の方法。
【請求項46】
前記方法が、δ1T細胞、δ2T細胞、及び/またはδ3T細胞を選択的に増殖させる前記1つ以上の薬剤を投与されていない対象におけるγδT細胞の数に対して少なくとも10%大きな、前記対象における内因性及び/または投与されたγδT細胞の集団を維持することを含む、請求項1~45のいずれか一項に記載の方法。
【請求項47】
請求項1~46に記載の方法のうちのいずれか1つを実施することによって、がん、感染性疾患、炎症性疾患、または自己免疫疾患の治療を必要とする対象において前記がん、前記感染性疾患、前記炎症性疾患、または前記自己免疫疾患を治療する方法。
【請求項48】
δ1T細胞、δ2T細胞、またはδ3T細胞を選択的に増殖させる薬剤の、それを必要とする対象におけるγδT細胞の生体内増殖のための医薬品の製造における使用。
【請求項49】
対象における前記γδT細胞の生体内増殖が、前記対象におけるがん、感染性疾患、炎症性疾患、または自己免疫疾患を治療することを含む、請求項48に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2018年12月3日に出願された米国仮特許出願第62/774,817号の優先権の利益を主張するものであり、これを以て参照によりその内容をあらゆる目的のために全体的に援用する。
【背景技術】
【0002】
Tリンパ球による抗原認識は、多様性に富む異種二量体受容体であるT細胞受容体(TCR)によって成し遂げられ得る。血液及びリンパ器官の中のヒトT細胞のおよそ95%は、異種二量体αβTCR受容体(αβT細胞系統)を発現する。血液及びリンパ器官の中のヒトT細胞のおよそ5%は、異種二量体γδTCR受容体(γδT細胞系統)を発現する。これらのT細胞サブセットはそれぞれ「αβ」及び「γδ」T細胞と呼称されることがある。αβ及びγδT細胞は機能が異なる。しかも、αβT細胞の活性化は、抗原提示細胞(APC)が抗原をクラスI/IIのMHCと関連付けて提示するときに起こる。αβT細胞とは対照的に、γδT細胞は、MHC拘束とは無関係に抗原を認識することができる。さらに、γδT細胞は、自然免疫及び養子免疫による認識及び応答を両方とも併せ持っている。
【0003】
γδT細胞は、体細胞再構成された別個の可変遺伝子(V)、多様性遺伝子(D)、結合遺伝子(J)及び定常遺伝子(C)の組を利用する。γδT細胞は、αβT細胞よりも少ないV、D及びJセグメントを含有する。生殖細胞系のVγ及びVδ遺伝子の数には、Vα及びVβTCR遺伝子のレパートリーよりも限りがあるが、TCRのγ鎖及びδ鎖の再構成中に接合部の多様化プロセスがより大々的であることによって、潜在的なγδTCRレパートリーはαβTCRのそれよりも広くなる(Carding and Egan,Nat Rev Immunol(2002)2:336)。
【0004】
ヒトγδT細胞は、3つの主要なVδ(Vδ1、Vδ2、Vδ3)領域遺伝子と、多くて6つのVγ領域遺伝子とを使用してそれらのTCRを作る(Hayday AC.,Annu Rev Immunol.2000;18,975-1026)。2つの主要なVδサブセットは、Vδ1及びVδ2のγδT細胞である。種々のVγを有するVδ1T細胞は、粘膜γδT細胞の上皮内サブセットの多数を占め、この場合、TCRは上皮細胞上のストレス分子を認識するようである(Beagley KW,Husband AJ.Crit Rev Immunol.1998;18(3):237-254)。Vγ9を共発現するのが一般的であるVδ2T細胞は、末梢血及びリンパ系に豊富に存在している。
【0005】
疾患細胞上の抗原を直接認識し、腫瘍細胞を殺傷する本来備わっている能力を発揮する、γδT細胞の能力は、γδT細胞を魅力的な治療ツールにする。γδT細胞の豊富なVγ9Vδ2サブタイプは、微生物化合物(E)-4-ヒドロキシ-3-メチル-ブタ-2-エニルピロリン酸などのピロリン酸化合物を認識する。しかしながら、他のγδT細胞サブタイプによって認識されるリガンドは不明である。
【0006】
Vγ9Vδ2T細胞の養子移入は、研究段階でのがんの治療において限られた目標臨床応答をもたらし(Kondo et al,Cytotherapy,10:842-856,2008、Lang et al,Cancer Immunology,Immunotherapy:CII,60:1447-1460,2011、Nagamine et al,2009、Nicol et al,British Journal of Cancer,105:778-786,2011、Wilhelm et al,Blood.2003 Jul 1;102(1):200-6)、新たなγδT細胞集団を単離して臨床において試験する必要性を示唆した。
【0007】
強力な抗腫瘍活性を有するγδT細胞サブセット集団を、向上した純度及び臨床上妥当なレベルで選択的に増殖させる能力は、非常に望ましいものである。抗体とサイトカインとのカクテルは、γδT細胞のより多様な組を増殖させるために使用されてきたが、特定のγδT細胞サブセットを十分な純度及び臨床上妥当なレベルにまで活性化させることは成し遂げられなかった(Dokouhaki et al,2010、Kang et al,2009、Lopez et al,2000、Kress,2006)。
【0008】
γδT細胞サブタイプの選択的増殖は、Vγ9Vδ2の既知のリガンドの使用によって生体外及び生体内で実証されている。例えば、Pressey et al.,Medicine(Baltimore).2016 Sep;95(39):e4909は、静脈内ゾレドロネート、合成ピロリン酸模倣物、及び皮下IL-2を使用したVγ9Vδ2の生体内増殖を報告する。選択的に結合及び架橋する固定化抗体、例えば、δ1、δ2、及びδ3サブタイプを使用して、他のγδT細胞サブタイプの選択的増殖が生体外で実証されている。WO2016/081518、WO2017/197347、及びWO2019/099744を参照されたく、これらの内容は全体が組み込まれる。しかしながら、残念ながら、生体内固定化は、典型的には、抗体を細胞表面のFc受容体に結合させることによって行われ、これは一般に、抗体依存性細胞媒介性細胞傷害性(ADCC)効果を誘導し、それによって抗体によって認識されるγδT細胞の集団を減少させることが予想されるであろう。同様に、Fc受容体と抗体との間の相互作用を低下させる方法もまた、固定化を低下させるため、堅牢な生体内増殖を達成することも期待されない。したがって、特定のγδT細胞サブセットを生体内で増殖させる臨床上妥当な方法及びそれによって製造された細胞は、大いに必要とされている。
【発明の概要】
【0009】
本発明者らは、i)δ1TCRに特異的な活性化エピトープに結合することによってδ1T細胞を選択的に活性化及び増殖させる活性化剤、ii)δ2TCRに特異的な活性化エピトープに結合することによってδ2T細胞を選択的に活性化及び増殖させる活性化剤、ならびにδ3TCRに特異的な活性化エピトープに結合することによってδ3T細胞を選択的に活性化及び増殖させる活性化剤を特定した。本発明者らは驚くべきことに、生理学的に適切な環境において、かかる抗体が、生体内で養子移入キメラ抗原受容体(CAR)γδT細胞及び/または内因性γδT細胞を効果的に活性化し、増殖し、かつその持続性を支持することができることを見出した。
【0010】
γδT細胞の生体内増殖のために、これらの活性化剤を個別に、または組み合わせて使用するための方法及び組成物が本明細書に記載される。これらの方法及び組成物は、1つ以上のγδT細胞亜集団の選択的活性化及び増殖に好適であり得る。生体内増殖方法及び組成物は、内因性γδT細胞またはその亜集団を維持及び/または増殖させるために好適であり得る。加えて、またはあるいは、生体内増殖方法及び組成物は、対象に投与されたγδT細胞またはその亜集団を維持及び/または増殖させるために好適であり得る。
【0011】
第1の態様では、本発明は、対象におけるT細胞集団を活性化、増殖、及び/または維持するための生体内方法を提供し、方法は、対象に、有効量の、δ1T細胞、δ2T細胞、もしくはδ3T細胞、またはそれらの組み合わせを選択的に増殖させる1つ以上の薬剤を投与することを含み、δ1T細胞を選択的に増殖させる1つ以上の薬剤は、δ1TCRに特有の活性化エピトープに結合し、δ2T細胞を選択的に増殖させる1つ以上の薬剤は、δ2TCRに特有の活性化エピトープに結合し、δ3T細胞を選択的に増殖させる1つ以上の薬剤は、δ3TCRに特有の活性化エピトープに結合し、それによって対象におけるγδT細胞集団を活性化、増殖、または維持する。
【0012】
いくつかの実施形態では、方法は、対象に、有効量の、δ1T細胞を選択的に増殖させる1つ以上の薬剤を投与することを含む。いくつかの実施形態では、δ1T細胞を選択的に増殖させる薬剤は、TS-1及びTS8.2から選択される抗体と同じエピトープに結合する薬剤から選択される。いくつかの実施形態では、TS-1及びTS8.2から選択される抗体と同じエピトープに結合する薬剤は、TS-1もしくはTS8.2のCDRを含み、及び/またはヒト化TS-1もしくはTS8.2である。いくつかの実施形態では、δ1T細胞を選択的に増殖させる薬剤は、TS-1、TS8.2、またはR9.12と競合しない薬剤から選択される。いくつかの実施形態では、δ1T細胞を選択的に増殖させる薬剤は、δ1可変領域を含むエピトープに特異的に結合する薬剤から選択される。いくつかの実施形態では、δ1T細胞を選択的に増殖させる薬剤は、δ1可変領域の残基Arg71、Asp72、及びLys120を含むエピトープに結合する。いくつかの実施形態では、δ1T細胞を選択的に増殖させる薬剤は、デルタJ1及びデルタJ2のK120に突然変異を含む突然変異体δ1TCRポリペプチドに対する低減された結合を有する。
【0013】
いくつかの実施形態では、δ1T細胞を選択的に増殖させる薬剤は、ヒトδ1TCRのδ1TCRビン1δ1エピトープ、ビン1bδ1エピトープ、ビン2δ1エピトープ、ビン2bδ1エピトープ、ビン2cδ1エピトープ、ビン3δ1エピトープ、ビン4δ1エピトープ、ビン5δ1エピトープ、ビン6δ1エピトープ、ビン7δ1エピトープ、ビン8δ1エピトープ、またはビン9δ1エピトープに結合する薬剤である。いくつかの実施形態では、δ1T細胞を選択的に増殖させる薬剤は、δ1-05、δ1-08、δ1-18、δ1-22、δ1-23、δ1-26、δ1-35、δ1-37、δ1-39、δ1-113、δ1-143、δ1-149、δ1-155、δ1-182、δ1-183、δ1-191、δ1-192、δ1-195、δ1-197、δ1-199、δ1-201、δ1-203、δ1-239、δ1-253、δ1-257、δ1-278、δ1-282、及びδ1-285からなる群から選択される抗体と同じ、もしくは本質的に同じエピトープに結合するか、またはそれと競合する薬剤から選択される。
【0014】
いくつかの実施形態では、δ1T細胞を選択的に増殖させる薬剤は、δ1-05、δ1-08、δ1-18、δ1-22、δ1-23、δ1-26、δ1-35、δ1-37、δ1-39、δ1-113、δ1-143、δ1-149、δ1-155、δ1-182、δ1-183、δ1-191、δ1-192、δ1-195、δ1-197、δ1-199、δ1-201、δ1-203、δ1-239、δ1-253、δ1-257、δ1-278、δ1-282、及びδ1-285からなる群から選択される抗体である。いくつかの実施形態では、δ1T細胞を選択的に増殖させる薬剤は、δ1T細胞及びδ3T細胞を選択的に増殖させる。いくつかの実施形態では、δ1T細胞を選択的に増殖させる薬剤は、δ1、δ3、δ4、及びδ5γδT細胞を選択的に増殖させる。
【0015】
いくつかの実施形態では、方法は、対象に、有効量の、δ2T細胞を選択的に増殖させる1つ以上の薬剤を投与することを含む。いくつかの実施形態では、δ2T細胞を選択的に増殖させる薬剤は、15D及びB6から選択される抗体と同じエピトープに結合する薬剤から選択される。いくつかの実施形態では、15D及びB6から選択される抗体と同じエピトープに結合する薬剤は、15DもしくはB6のCDRを含み、及び/またはヒト化15D及びB6である。いくつかの実施形態では、δ2T細胞を選択的に増殖させる薬剤は、抗体15D及び/またはB6とは異なるエピトープに結合する薬剤から選択される。いくつかの実施形態では、δ2T細胞を選択的に増殖させる薬剤は、δ2可変領域を含むエピトープに特異的に結合する薬剤から選択される。いくつかの実施形態では、δ2T細胞を選択的に増殖させる薬剤は、δ2可変領域のG35に突然変異を含む突然変異体δ2TCRポリペプチドに対する低減された結合を有する。いくつかの実施形態では、δ2T細胞を選択的に増殖させる薬剤は、ヒトδ2TCRのδ2TCRビン1δ2エピトープ、ビン2δ2エピトープ、ビン3δ2エピトープ、またはビン4δ2エピトープに結合する。
【0016】
いくつかの実施形態では、δ2T細胞を選択的に増殖させる薬剤は、δ2-14、δ2-17、δ2-22、δ2-30、δ2-31、δ2-32、δ2-33、δ2-35、δ2-36、及びδ2-37からなる群から選択される抗体と同じ、もしくは本質的に同じエピトープに結合するか、またはそれと競合する薬剤である。いくつかの実施形態では、δ2T細胞を選択的に増殖させる薬剤は、δ2-14、δ2-17、δ2-22、δ2-30、δ2-31、δ2-32、δ2-33、δ2-35、δ2-36、及びδ2-37からなる群から選択される抗体である。
【0017】
いくつかの実施形態では、方法は、対象に、有効量の、δ3T細胞を選択的に増殖させる1つ以上の薬剤を投与することを含む。いくつかの実施形態では、δ3T細胞を選択的に増殖させる薬剤は、δ3-08、δ3-20、δ3-23、δ3-31、δ3-42、δ3-47、及びδ3-58からなる群から選択される抗体と同じ、もしくは本質的に同じエピトープに結合するか、またはそれと競合する薬剤から選択される。いくつかの実施形態では、δ3T細胞を選択的に増殖させる薬剤は、δ3-08、δ3-23、δ3-31、δ3-42、δ3-47、及びδ3-58からなる群から選択される抗体と同じ、もしくは本質的に同じエピトープに結合するか、またはそれと競合する薬剤から選択される。いくつかの実施形態では、δ3T細胞を選択的に増殖させる薬剤は、δ3-23、δ3-31、δ3-42、δ3-47、及びδ3-58からなる群から選択される抗体と同じ、もしくは本質的に同じエピトープに結合するか、またはそれと競合する薬剤から選択される。
【0018】
いくつかの実施形態では、δ3T細胞を選択的に増殖させる薬剤は、δ3-08、δ3-20、δ3-23、δ3-31、δ3-42、δ3-47、及びδ3-58からなる群から選択される抗体またはその断片である。いくつかの実施形態では、δ3T細胞を選択的に増殖させる薬剤は、δ3-08、δ3-23、δ3-31、δ3-42、δ3-47、及びδ3-58からなる群から選択される抗体またはその断片である。いくつかの実施形態では、δ3T細胞を選択的に増殖させる薬剤は、δ3-23、δ3-31、δ3-42、δ3-47、及びδ3-58からなる群から選択される抗体またはその断片である。
【0019】
一般に、薬剤は、ヒトもしくはヒト化薬剤、例えば、ヒト抗体もしくはその断片、またはヒト化抗体もしくはその断片である。いくつかの事例では、δ1T細胞、δ2T細胞、もしくはδ3T細胞、またはそれらの組み合わせを選択的に増殖させる薬剤は、多価であり、好ましくは、多価薬剤は、同じ抗原に特異的に結合する少なくとも2つ以上の抗原結合部位を含むか、または多価薬剤は、同じ抗原の同じエピトープに特異的に結合する少なくとも2つ以上の抗原結合部位を含む。いくつかの事例では、δ1T細胞、δ2T細胞、もしくはδ3T細胞、またはそれらの組み合わせを選択的に増殖させる薬剤は、三価、四価、もしくは五価であるか、または少なくとも三価、四価、もしくは五価である。いくつかの事例では、δ1T細胞、δ2T細胞、もしくはδ3T細胞、またはそれらの組み合わせを選択的に増殖させる薬剤は、三価、四価、もしくは五価であるか、または少なくとも三価、四価、もしくは五価であり、かつ単一特異性である。
【0020】
いくつかの実施形態では、方法は、患者に操作型及び/または非操作型γδT細胞の集団を投与することを含む。いくつかの実施形態では、方法は、δ1T細胞、δ2T細胞、またはδ3T細胞を選択的に増殖させる1つ以上の薬剤を投与する前に、操作型及び/または非操作型γδT細胞の集団を投与することを含む。いくつかの実施形態では、方法は、δ1T細胞、δ2T細胞、またはδ3T細胞を選択的に増殖させる1つ以上の薬剤を投与した後に、操作型及び/または非操作型γδT細胞の集団を投与することを含む。いくつかの実施形態では、方法は、対象にδ1T細胞、δ2T細胞、またはδ3T細胞を選択的に増殖させる1つ以上の薬剤を投与することと、対象から生体内増殖γδT細胞を含む試料を単離することと、任意に1つ以上の単離されたγδT細胞を操作することと、任意に1つ以上の単離(例えば、及び操作型)γδT細胞を生体外で増殖させることと、次いで、単離、操作型、及び/または非操作型、及び/または生体外増殖γδT細胞の集団を同じまたは異なる対象に投与することと、を含む。いくつかの実施形態では、操作型及び/または非操作型γδT細胞の投与集団は、対象に対して自家性の細胞の集団である。
【0021】
いくつかの実施形態では、操作型及び/または非操作型γδT細胞の投与集団は、対象に対して同種異系の細胞の集団である。いくつかの実施形態では、操作型及び/または非操作型γδT細胞の投与集団は、少なくとも60%(例えば、少なくとも70%、80%、もしくは90%、約60%~約80%、または約60%~約90%)のδ1γδT細胞を含む集団であり、方法は、γδT細胞を投与することと、δ1T細胞を選択的に増殖させる1つ以上の薬剤を順次または同時に投与することと、を含む。
【0022】
いくつかの実施形態では、操作型及び/または非操作型γδT細胞の投与集団は、少なくとも60%(例えば、少なくとも70%、80%、もしくは90%、約60%~約80%、または約60%~約90%)のδ2γδT細胞を含む集団であり、方法は、γδT細胞を投与することと、δ2T細胞を選択的に増殖させる1つ以上の薬剤を順次または同時に投与することと、を含む。
【0023】
いくつかの実施形態では、操作型及び/または非操作型γδT細胞の投与集団は、少なくとも10%(例えば、少なくとも10%、20%、25%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、もしくは90%、約10%~約80%、約20%~約40%、約20%~約50%、または約20%~約60%)のδ3γδT細胞を含む集団であり、方法は、γδT細胞を投与することと、δ3T細胞を選択的に増殖させる1つ以上の薬剤を順次または同時に投与することと、を含む。
【0024】
いくつかの実施形態では、方法は、アミノホスホネート(例えば、アミノビスホスホネート)またはプレニルホスホネートを投与することを含む。いくつかの実施形態では、方法は、ゾレドロネート、パミドロン酸、アレンドロン酸、リセドロン酸、イバンドロン酸、及びインカドロン酸、もしくはそれらの塩、ならびに/またはそれらの水和物からなる群から選択される、アミノホスホネートを投与することを含む。いくつかの実施形態では、方法は、δ1T細胞、δ2T細胞、及び/またはδ3T細胞を選択的に増殖させる1つ以上の薬剤を繰り返し投与することを含む。いくつかの実施形態では、方法は、対象における投与されたγδT細胞の集団を増殖または維持することを含む。いくつかの実施形態では、方法は、対象における内因性γδT細胞の集団を増殖または維持することを含む。いくつかの実施形態では、方法は、対象における内因性γδT細胞の集団を活性化、増殖、または維持することと、対象から内因性γδT細胞を含有する試料を単離することと、単離された試料のγδT細胞を(例えば、精製、生体外増殖、及び/または操作によって)操作することと、操作されたγδT細胞を同じまたは異なる対象に投与することと、次いで1つ以上の選択的生体内活性化剤を投与することによって、同じまたは異なる対象における投与されたγδT細胞の集団を活性化、増殖、または維持することと、を含む。
【0025】
いくつかの実施形態では、方法は、対象における内因性及び/または投与されたγδT細胞の集団を、δ1T細胞、δ2T細胞、及び/またはδ3T細胞を選択的に増殖させる1つ以上の薬剤を投与されていない対象におけるγδT細胞の量に対して、検出可能な量(例えば、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、75%、2倍、10倍、もしくは50倍、または約10%~約20%、約10%~約50%、約10%~約75%、約10%~約2倍、約10%~約10倍、約2倍~約10倍、または約10倍~約50倍)で増殖させることを含む。いくつかの実施形態では、方法は、対象における内因性及び/または投与されたγδT細胞のより大きな集団を、δ1T細胞、δ2T細胞、及び/またはδ3T細胞を選択的に増殖させる1つ以上の薬剤を投与されていない対象におけるγδT細胞の数に対して、検出可能な量(例えば、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、75%、2倍、10倍、もしくは50倍、または約10%~約20%、約10%~約50%、約10%~約75%、約10%~約2倍、約10%~約10倍、約2倍~約10倍、または約10倍~約50倍)で維持することを含む。
【0026】
いくつかの実施形態では、δ1T細胞、δ2T細胞、もしくはδ3T細胞、またはそれらの組み合わせを選択的に増殖させる薬剤は、多価であり、好ましくは、多価薬剤は、同じ抗原に特異的に結合する少なくとも2つの抗原結合部位を含むか、または多価薬剤は、同じ抗原の同じエピトープに特異的に結合する少なくとも2つの抗原結合部位を含む。いくつかの実施形態では、δ1T細胞、δ2T細胞、もしくはδ3T細胞、またはそれらの組み合わせを選択的に増殖させる薬剤は、多価であり、好ましくは、多価薬剤は、同じ抗原に特異的に結合する少なくとも3つの抗原結合部位を含むか、または多価薬剤は、同じ抗原の同じエピトープに特異的に結合する少なくとも3つの抗原結合部位を含む。いくつかの事例では、δ1T細胞、δ2T細胞、もしくはδ3T細胞、またはそれらの組み合わせを選択的に増殖させる薬剤は、二価、三価、四価、もしくは五価であるか、または少なくとも二価、三価、四価、もしくは五価である。いくつかの事例では、δ1T細胞、δ2T細胞、もしくはδ3T細胞、またはそれらの組み合わせを選択的に増殖させる薬剤は、三価、四価、もしくは五価であるか、または少なくとも三価、四価、もしくは五価である。いくつかの事例では、δ1T細胞、δ2T細胞、もしくはδ3T細胞、またはそれらの組み合わせを選択的に増殖させる薬剤は、四価であるか、または少なくとも四価である。
【0027】
いくつかの実施形態では、方法は、サイトカインを対象に同時または順次に投与することを含む。いくつかの実施形態では、方法は、操作型γδT細胞を対象に投与することを含み、操作型γδT細胞は、分泌サイトカインをコードする導入遺伝子を含む。いくつかの実施形態では、サイトカインは、一般的なガンマ鎖サイトカイン、またはIL-2、IL-15、及びIL-4からなる群から選択されるサイトカインであり、好ましくはサイトカインは、IL-2、IL-15、及び/またはIL-4である。いくつかの実施形態では、方法は、リンパ球枯渇プロトコルを対象に、γδT細胞を投与する前に投与することを含む。
【0028】
第2の態様では、本発明は、それを必要とする対象におけるがん、感染性疾患、炎症性疾患、または自己免疫疾患を治療する方法を提供し、方法は、前述の生体内増殖方法のうちのいずれか1つを行うこと、及び/またはそれを必要とする対象におけるγδT細胞の生体内増殖のために本明細書に記載のγδT細胞活性化剤のうちのいずれか1つ以上を使用することを含む。
【0029】
第3の態様では、本発明は、δ1T細胞、δ2T細胞、またはδ3T細胞を選択的に増殖させる薬剤の、それを必要とする対象におけるγδT細胞の生体内増殖のための医薬品の製造における使用を提供する。いくつかの実施形態では、対象におけるγδT細胞の生体内増殖は、対象におけるがん、感染性疾患、炎症性疾患、または自己免疫疾患を治療することを含む。
【0030】
参照による組込み
本明細書において言及される全ての刊行物、特許及び特許出願は、個々の刊行物、特許及び特許出願を参照により援用することを具体的かつ個別に示したのと同じ程度に、参照により本明細書に援用される。
【0031】
本発明の新規な特徴は別記の特許請求の範囲において詳しく明示されている。本発明の特徴及び利点についてのよりよい理解は、本発明の原理が利用されている例示的実施形態を示す以下の詳細な説明、及び添付の図面(さらに、本明細書中の「図(figure)」及び「図(Fig.)」)を参照することによって得られよう。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】δ1特異的MAbの重鎖のフレームワーク及び相補性決定領域のアミノ酸配列を描写する。
図2図1に記載のδ1特異的MAbの軽鎖のフレームワーク及び相補性決定領域のアミノ酸配列を描写する。
図3】δ2特異的MAbの重鎖のフレームワーク及び相補性決定領域のアミノ酸配列を描写する。
図4図3に記載のδ2特異的MAbの軽鎖のフレームワーク及び相補性決定領域のアミノ酸配列を描写する。
図5】δ3特異的抗γδTCR抗体の可変領域配列を示す。重鎖可変領域の上の配列。軽鎖可変領域の下の配列。
図6】ヒトγδT細胞をマウスに養子移植した後、マウス血液、骨髄、肺、及び脾臓で検出された総ヒトCD45+細胞の数に対するγδT細胞サブタイプ特異的活性化剤の生体内効果を示す。未処置マウスは、活性化剤で処置されなかった。処置済みマウスは、示されるように、3または10μgの活性化剤で処置された。D1-35は、本明細書に記載のδ1γδT細胞特異的抗体δ1-35を指す。いくつかの動物はまた、細胞の投与の4~5時間前に、非特異的マウスIgG画分の腹腔内注射を受けて、占有されていないFc受容体を飽和させた。
図7A】3及び10μg用量レベルの両方での細胞子孫における色素希釈に起因して、CellTrace Violetトレースが減少したMFIに向かって左にシフトすることによって証明されるように、活性化剤での処置の5日後までに、血液、骨髄、及び脾臓中の養子移入されたヒトγδT細胞の増殖を示す。
図7B】3及び10μg用量レベルの両方での細胞子孫における色素希釈に起因して、CellTrace Violetトレースが減少したMFIに向かって左にシフトすることによって証明されるように、活性化剤での処置の5日後までに、血液、骨髄、及び脾臓中の養子移入されたヒトγδT細胞の増殖を示す。
図8】CellTrace Violetによって検出されるように、示される活性化抗体D1-35及びD1-08(δ1-08)の生体内活性化効果を示す。1行目、マウスは活性化剤で処置されなかった。2行目、マウスは活性化剤D1-35で処置された。3行目、マウスは活性化剤で処置され、非特異的マウスIgGで処置されなかった。4行目、マウスはhIgG4アイソタイプバージョンのD1-35活性化剤で処置された。5行目、マウスは活性化剤D1-08で処置された。
図9A】CellTrace Violet色素希釈によって検出される、それぞれD2-37(δ2-37)及びD3-23(δ3-23)活性化抗体で処置された動物の骨髄及び脾臓で検出されたVδ2及びVδ3細胞の生体内増殖を示す。
図9B】CellTrace Violet色素希釈によって検出される、それぞれD2-37(δ2-37)及びD3-23(δ3-23)活性化抗体で処置された動物の骨髄及び脾臓で検出されたVδ2及びVδ3細胞の生体内増殖を示す。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本明細書には本発明の様々な実施形態が示され記載されているが、当業者であれば、そのような実施形態が単に例として提供されているに過ぎないことは明らかであろう。当業者であれば、本発明から逸脱することなく多くの変型、変更及び代用を着想し得る。本発明の実施形態の様々な代替策を採用してもよいことは理解されるべきである。
【0034】
定義
特に定義されない限り、本明細書中で使用する全ての科学技術用語は、本明細書に記載の本発明が属する分野において通常の技量を有する者に普通に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書を解説する目的のために以下の定義を適用することとし、適当と認められる場合には、単数形で使用される用語に複数形も含めることとし、その逆もまた同様である。明示されている何らかの定義が、参照により本明細書に援用される何らかの文献と矛盾する場合、以下に明示する定義が優先されることとする。
【0035】
本明細書中で使用する「γδT細胞(ガンマデルタT細胞)」という用語は、1つのγ鎖と1つのδ鎖とからなる独特のT細胞受容体(TCR)であるγδTCRを表面に発現するT細胞のサブセットを指す。「γδT細胞」という用語は、具体的には、限定することなくVδ1、Vδ2、及びVδ3γδT細胞、ならびにナイーブ、エフェクターメモリー、セントラルメモリー、及び終末分化γδT細胞を含めた、γδT細胞及びそれらの組み合わせの全てのサブセットを含む。さらに例を挙げると、「γδT細胞」という用語は、Vδ4、Vδ5、Vδ7及びVδ8γδT細胞、ならびにVγ2、Vγ3、Vγ5、Vγ8、Vγ9、Vγ10、Vγ11γδT細胞を含む。
【0036】
本明細書中で使用される場合、「Tリンパ球」または「T細胞」という用語は、CD3を発現しており(CD3+)かつT細胞受容体を発現している(TCR+)免疫細胞を指す。T細胞は、細胞性免疫において中心的な役割を果たす。
【0037】
本明細書中で使用される場合、「TCR」または「T細胞受容体」という用語は、アルファ-ベータまたはガンマ-デルタ受容体を形成している異種二量体型の細胞表面シグナル伝達タンパク質を指す。αβTCRが、MHC分子によって提示される抗原を認識するのに対して、γδTCRは、MHC提示とは無関係に抗原を認識する。
【0038】
「MHC」(主要組織適合性複合体)という用語は、細胞表面抗原提示タンパク質をコードする遺伝子のサブセットを指す。ヒトにおいてはこれらの遺伝子はヒト白血球抗原(HLA)遺伝子と呼ばれる。本明細書において、略語MHCまたはHLAは互換的に使用される。
【0039】
本明細書中で使用される場合、「末梢血リンパ球(複数可)」または「PBL(複数可)」という用語は、最も広い意味で使用され、幅広い分化段階及び機能的段階のT細胞及びB細胞、形質細胞、単球、マクロファージ、ナチュラルキラー細胞、好塩基球、好酸球などを含めた白血球細胞(複数可)を指す。末梢血中のTリンパ球の範囲は約20~80%である。
【0040】
本明細書中で使用される場合、「細胞集団」という用語は、適切な供給源から(大抵、哺乳動物から)直接単離によって得られた多くの細胞を指す。単離された細胞集団は、その後、試験管内で培養され得る。当業者であれば、本発明と共に用いられる、細胞集団を単離及び培養する様々な方法、ならびに本発明で用いられるのに適する、細胞集団中の細胞の様々な数を熟知していよう。細胞集団は、種々の培養技術及び/または特定の細胞型の陰性もしくは陽性選択によって、均質性、実質的な均質性、または1つ以上の細胞型(例えば、αβT細胞)を枯渇するように精製され得る。細胞集団は、例えば、末梢血試料、臍帯血試料、腫瘍、幹細胞前駆体、腫瘍生検、組織、リンパ、皮膚、腫瘍浸潤リンパ球の、もしくはこれを含有する試料、または外部環境に直接接触している対象の上皮部位に由来するか、あるいは幹前駆細胞に由来する、混合異種細胞集団であり得る。あるいは、混合細胞集団は、末梢血試料、臍帯血試料、腫瘍、幹細胞前駆体、腫瘍生検、組織、リンパ、皮膚、腫瘍浸潤リンパ球の、もしくはこれを含有する試料から、または外部環境に直接接触している対象の上皮部位から確立される、哺乳動物細胞の試験管内培養物に由来するか、または幹前駆細胞に由来し得る。
【0041】
「濃縮」細胞集団または製剤は、出発混合細胞集団に由来する、含有している特定細胞種の百分率が出発集団中のその細胞種の百分率よりも高い細胞集団を指す。例えば、出発混合細胞集団を特定γδT細胞集団に関して濃縮することができる。一実施形態では、濃縮γδT細胞集団は、含有しているδ1細胞の百分率が出発集団中の細胞種の百分率よりも高い。別の例を挙げると、濃縮γδT細胞集団は、含有しているδ1細胞の百分率及びδ3細胞の百分率が出発集団中のそれぞれの細胞種の百分率よりも高いものであり得る。さらに別の例を挙げると、濃縮γδT細胞集団は、含有しているδ1細胞の百分率及びδ4細胞の百分率が出発集団中のそれぞれの細胞種の百分率よりも高いものであり得る。別の例を挙げると、濃縮γδT細胞集団は、含有しているδ1細胞の百分率及びδ5細胞の百分率が出発集団中のそれぞれの細胞種の百分率よりも高いものであり得る。さらに別の例を挙げると、濃縮γδT細胞集団は、含有しているδ1T細胞、δ3T細胞、δ4T細胞及びδ5T細胞の百分率が出発集団中のそれぞれの細胞種の各々の百分率よりも高いものであり得る。別の実施形態では、濃縮γδT細胞集団は、含有しているδ2細胞の百分率が出発集団中のその細胞種の百分率よりも高い。別の実施形態では、濃縮γδT細胞集団は、含有しているδ3細胞の百分率が出発集団中のその細胞種の百分率よりも高い。さらに別の実施形態では、濃縮γδT細胞集団は、含有しているδ1細胞及びδ2細胞の百分率が両方とも出発集団中のそれぞれの細胞種の百分率よりも高い。さらに別の実施形態では、濃縮γδT細胞集団は、含有しているδ1細胞、δ2細胞、及びδ3細胞の百分率が出発集団中のそれぞれの細胞種の百分率よりも高い。全ての実施形態において、濃縮γδT細胞集団は、αβT細胞集団をより低い百分率で含有する。
【0042】
本明細書中で使用する「増殖済み」とは、濃縮済み製剤中の所望の細胞種すなわち標的細胞種(例えば、δ1及び/またはδ2T細胞及び/またはδ3T細胞)の数が、初期細胞集団中すなわち出発細胞集団中での数よりも大きいことを意味する。
【0043】
「選択的に増殖させる」とは、標的細胞種(例えば、δ1、δ2、またはδ3T細胞)を他の非標的細胞種、例えば、αβT細胞もしくはNK細胞、またはγδT細胞の未標的化亜集団よりも優先的に増殖させることを意味する。特定の実施形態では、本発明の活性化剤は、αβT細胞の増殖を伴わずに、またはαβT細胞の顕著な増殖を伴わずに、例えば、操作型または非操作型δ1、δ2、及び/またはδ3T細胞を選択的に増殖させる。特定の実施形態では、本発明の活性化剤は、δ2T細胞の増殖を伴わずに、またはδ2T細胞の顕著な増殖を伴わずに、例えば、操作型または非操作型δ1T細胞を選択的に増殖させる。他の実施形態では、本発明の活性化剤は、δ1T細胞の増殖を伴わずに、またはδ1T細胞の顕著な増殖を伴わずに、例えば、操作型または非操作型δ2T細胞を選択的に増殖させる。特定の実施形態では、本発明の活性化剤は、δ2T細胞の増殖を伴わずに、またはδ2T細胞の顕著な増殖を伴わずに、δ1T細胞の増殖を伴わずに、またはδ1T細胞の顕著な増殖を伴わずに、例えば、操作型または非操作型δ3T細胞を選択的に増殖させる。特定の実施形態では、本発明の活性化剤は、δ2T細胞の増殖を伴わずに、またはδ2T細胞の顕著な増殖を伴わずに、例えば操作型または非操作型の、δ1及びδ3T細胞を選択的に増殖させる。特定の実施形態では、本発明の活性化剤は、δ2T細胞の増殖を伴わずに、またはδ2T細胞の顕著な増殖を伴わずに、例えば操作型または非操作型の、δ1及びδ4T細胞を選択的に増殖させる。特定の実施形態では、本発明の活性化剤は、δ2T細胞の増殖を伴わずに、またはδ2T細胞の顕著な増殖を伴わずに、例えば操作型または非操作型の、δ1及びδ5T細胞を選択的に増殖させる。特定の実施形態では、本発明の活性化剤は、δ2T細胞の増殖を伴わずに、またはδ2T細胞の顕著な増殖を伴わずに、例えば操作型または非操作型の、δ1、δ3、δ4及びδ5T細胞を選択的に増殖させる。これとの関連において、「顕著な増殖を伴わずに」という用語は、優先的に増殖した細胞集団が基準細胞集団よりも少なくとも10倍、好ましくは100倍、より好ましくは1,000倍多く増殖させられていることを意味する。
【0044】
本明細書中で使用する「混合物」という用語は、混合異種細胞集団に由来する2つ以上の単離された濃縮細胞集団の組み合わせを指す。特定の実施形態によれば、本発明の細胞集団は、単離されたγδT細胞集団である。特定の実施形態によれば、本発明の細胞集団は、生体外で増殖され、及び/または生体内で提供され、対象に投与され、それにより、生体内γδT細胞集団になる。特定の実施形態によれば、本発明の細胞集団は、γδT細胞集団を選択的に増殖させる1つ以上の薬剤を投与することによって、生体内で増殖される。
【0045】
細胞集団に対して適用される「単離された」という用語は、生体内または試験管内で上記細胞集団に関連付けられる1つ以上の細胞集団を実質的に含まない、ヒトまたは動物の体から単離された細胞集団を指す。
【0046】
細胞集団との関連において、「接触させること」という用語は、本明細書中で使用される場合、単離された細胞集団を試薬、例えば、ビーズか細胞かのどちらかに繋げられることができる抗体、サイトカイン、リガンド、マイトジェンまたは共刺激分子と共にインキュベートすることを指す。抗体またはサイトカインは、可溶性形態であってもよいし、または固定されていてもよい。一実施形態では、固定されている抗体またはサイトカインは、ビーズまたはプレートに緊密に結合または共有結合している。一実施形態では、抗体はFc被覆ウェルに固定されている。望ましい実施形態では、接触は、生体内で起こる。
【0047】
本明細書中で使用される場合、「抗体」という用語は、免疫グロブリン分子及び、免疫グロブリン(Ig)分子の免疫学的活性部分、すなわち抗原と特異的に結合する(免疫反応する)抗原結合部位を含有する分子を指す。「特異的に結合する」または「免疫反応する」または「指向する」とは、抗体が、所望の抗原の1つ以上の抗原決定基とは反応するが、他のポリペプチドとは反応しないかまたははるかに低い親和性(KD>10-6モル)で結合する、ということを意味する。抗体としては、限定されないが例えば、ポリクローナル、モノクローナル、キメラ、sdAb(重鎖または軽鎖単一ドメイン抗体)、一本鎖のFab、Fab’及びF(ab’)2断片、scFv、ダイアボディ、ミニボディ、ナノボディ、ならびにFab発現ライブラリーが挙げられる。
【0048】
対象におけるγδT細胞の生体内集団を増殖または維持する生体内方法の文脈における「有効量」とは、対象におけるγδT細胞の生体内集団の増殖または維持の確かめられる増加をもたらす用量を指す。一例として、有効用量は、投与されたγδT細胞の標的集団を検出可能な量(例えば、少なくとも1%、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも25%、少なくとも50%、少なくとも75%、少なくとも2倍、または約1%~約10%、または約10%~約2倍)で選択的に増殖させ得る。別の例として、有効用量は、内因性生体内γδT細胞の標的集団を検出可能な量(例えば、少なくとも1%、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも25%、少なくとも50%、少なくとも75%、少なくとも2倍、または約1%~約10%、または約10%~約2倍)で選択的に増殖させ得る。別の例として、有効用量は、γδT細胞を選択的に増殖させる1つ以上の薬剤を投与されない対照対象と比較して、対象中または対象の組織(例えば、腫瘍組織)中のより大きな数の生存標的γδT細胞を維持し得る。
【0049】
それを必要とする対象におけるがん、感染性疾患、炎症性疾患、または自己免疫疾患を治療する生体内方法の文脈で本明細書中で使用する「有効量」という用語は、治療される疾患、障害、または状態の症状のうちの1つ以上を治癒させるか、もしくは少なくとも部分的に停止させるか、またはある程度緩和するために十分な、疾患、状態、または障害を既に患っている対象、例えば、ヒト患者に投与されるγδT細胞を選択的に増殖させる1つ以上の薬剤を含有する組成物の量を指す。そのような組成物の有効性は、限定されないが、疾患、障害、または状態の重症度及び経過、以前の療法、患者の健康状態及び薬物への応答、ならびに処置する医師の判断を含む、条件に依存する。単なる例を示すと、治療的有効量は、慣習的な実験、限定されないが例えば、用量漸増治験によって決定され得る。
【0050】
本明細書中で使用する「キメラ抗原受容体(CAR)」という用語は、人工T細胞受容体、Tボディ、一本鎖免疫受容体、キメラT細胞受容体、またはキメラ免疫受容体を指し得、例えば、特定の免疫エフェクター細胞に人工的な特異性を融合させる操作型受容体を包含し得る。CARは、モノクローナル抗体の特異性をT細胞に付与してそれによって例えば養子細胞療法用の多数の特異的T細胞を生じさせるために採用され得る。具体的な実施形態において、CARは、細胞の特異性を例えば腫瘍関連抗原へ差し向ける。いくつかの実施形態では、CARは、(標的指向性部分と標的腫瘍細胞などの標的細胞との係合に際してT細胞を活性化させる)細胞内活性化ドメインと、膜貫通ドメインと、疾患または障害関連抗原結合領域、例えば腫瘍抗原結合領域を含んでおり長さが様々であり得る細胞外ドメインとを含む。詳しい態様において、CARは、CD3-ゼータ膜貫通ドメイン及び細胞内ドメインと融合した、モノクローナル抗体に由来する一本鎖可変断片(scFv)の融合体を含む。他のCAR設計の特異性は、受容体(例えばペプチド)のリガンド、またはデクチンなどのパターン認識受容体に由来し得る。特定の事例では、抗原認識ドメインの間隔を調整して活性化誘導細胞死を低減することができる。特定の事例では、CARは、追加の共刺激シグナル伝達のためのドメイン、例えばCD3-ゼータ、FcR、CD27、CD28、CD137、DAP10/12、及び/またはOX40、ICOS、TLRなどを含む。いくつかの事例では、共刺激分子、造影用(例えばポジトロン断層撮影用)のレポーター遺伝子、プロドラッグの添加によってT細胞を条件的に取り除く遺伝子産物、帰巣受容体、ケモカイン、ケモカイン受容体、サイトカイン及びサイトカイン受容体を含めた分子をCARと一緒に共発現させることができる。
【0051】
基本的な抗体構造単位は、四量体を含むことが知られている。各四量体は、ポリペプチド鎖の2つの同一対からなり、各対は1つの「軽鎖」(約25kDa)と1つの「重鎖」(約50~70kDa)とを有する。各鎖のアミノ末端部分は、抗原認識を主として担う、約100~110またはそれより多いアミノ酸の可変領域を含む。各鎖のカルボキシ末端部分は、エフェクター機能を主として担う定常領域を画定している。一般に、ヒトから得られた抗体分子は、クラスIgG、IgM、IgA、IgE及びIgDのいずれかに関係しており、それらは分子中に存在する重鎖の性質が互いに異なっている。特定のクラスは、IgG、IgGなどといったサブクラスも有する。さらに、ヒトにおいては、軽鎖はカッパ鎖またはラムダ鎖であり得る。
【0052】
「Fab」という用語は、L鎖全体(V及びC)に加えてH鎖の可変領域ドメイン(V)と1本の重鎖の第1定常ドメイン(CH1)とから構成される抗体断片を指す。完全抗体のパパイン消化を用いて2つのFab断片を生じさせることができ、その各々は、1つの抗原結合部位を含有する。典型的には、パパイン消化によって生成するFabのL鎖とH鎖断片は鎖間ジスルフィド結合によって繋がっている。
【0053】
「Fc」という用語は、スルフィド結合によってまとめ合わされた、両H鎖のカルボキシ末端部分(CH2及びCH3)とジヒンジ領域の一部とを含む、抗体断片を指す。抗体のエフェクター機能は、Fc領域の配列によって決まり、この領域は、特定の種類の細胞上に見受けられるFc受容体(FcR)によって認識される部分でもある。1つのFc断片は、完全抗体のパパイン消化によって得られる。
【0054】
「F(ab’)」という用語は、完全抗体のペプシン消化によって生成する抗体断片を指す。F(ab’)断片は、ジスルフィド結合によってまとめ合わされた、2つのFab断片とヒンジ領域の一部とを含有する。F(ab’)断片は、二価の抗原結合活性を有し、抗原を架橋することができる。
【0055】
Fab’という用語は、F(ab’)断片の還元の生成物である抗体断片を指す。Fab’断片は、抗体ヒンジ領域からの1つ以上のシステインを含んでいるCH1ドメインのカルボキシ末端に少数の追加残基を有する点においてFab断片とは異なる。Fab’-SHは、定常ドメインのシステイン残基(複数可)が遊離チオール基を有しているFab’に対する本明細書中での呼称である。
【0056】
「Fv」という用語は、緊密に非共有結合的に会合している1つの重鎖可変領域ドメインと1つの軽鎖可変領域ドメインとの二量体から構成される抗体断片を指す。これらの2つのドメインの折りたたみによって、抗原結合のためのアミノ酸残基に寄与しかつ抗体に抗原結合特異性を付与する6つの超可変ループ(H鎖及びL鎖からそれぞれ3つずつのループ)が生まれる。しかしながら、一本の可変ドメイン(または抗原に対して特異的であるCDRを3つしか含んでいないFvの半分)であっても、完全な結合部位よりも親和性が大抵低いものの、抗原を認識して抗原に結合する能力は有している。
【0057】
「sFv」または「scFv」とも略される「一本鎖Fv」という用語は、1本のポリペプチド鎖として連結されたVH及びVL抗体ドメインを含む抗体断片を指す。典型的には、scFvポリペプチドは、VHドメインとVLドメインとの間に、抗原結合のための所望の構造をscFvが形成することを可能にするものであるポリペプチドリンカーをさらに含む。scFvの総説については、例えば、Pluckthun,The Pharmacology of Monoclonal Antibodies,vol.113,Rosenburg and Moore eds.,Springer-Verlag,New York,pp.269-315(1994)、及びMalmborg et al.,J.Immunol.Methods 183:7-13,1995を参照されたい。
【0058】
「直鎖状抗体」という表現は、1対の抗原結合領域を形成する1対のタンデムV-C1セグメント(V-C1-V-C1)を含むポリペプチドを指して使用される。直鎖状抗体は、二重特異性または単一特異性であり得、例えば、Zapata et al.,Protein Eng.8(10):1057-1062(1995)において記載がなされている。
【0059】
「可変」という用語は、可変ドメインの特定部分が、抗体間での配列の違いを広範囲に有しており、各特定抗体のその特定抗原に対する結合性及び特異性において使用される、という事実を指す。しかしながら、可変性は、抗体の可変ドメイン全体にわたって一様に分布してはいない。それは、軽鎖可変ドメインと重鎖可変ドメインとの両方において、超可変領域と呼ばれる3つのセグメントに集中している。より高度に保存されている可変ドメインの部分は、フレームワーク領域(FR)と呼ばれる。天然の重軽鎖の可変ドメインはそれぞれ、概ねベータシート配置を採っている4つのFRを含み、それらは、ベータシート構造を連結しかついくつかの事例においてはベータシート構造の一部を形成するループを形成している3つの超可変領域によって連結されている。各鎖の中の超可変領域は、FRによってごく近傍にまとめ合わされており、他方の鎖からの超可変領域と共に抗体の抗原結合部位の形成に寄与する(Kabat et al(1991)Sequences of Proteins of Immunological Interest,5th Ed.Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,Md.を参照のこと)。定常ドメインは、抗体を抗原と結合させるのに直接関与しないが、様々なエフェクター機能、例えば、抗体依存性細胞傷害性(ADCC)における抗体の関与を呈する。
【0060】
「抗原結合部位」または「結合部分」という用語は、抗原結合に関与する免疫グロブリン分子の部分を指す。抗原結合部位は、重(「H」)鎖及び軽(「L」)鎖のN末端の可変(「V」)領域のアミノ酸残基によって形成される。重軽鎖のV領域内の差異の大きい3つの範囲は、「超可変領域」と呼ばれており、「フレームワーク領域」または「FR」として知られる両脇のより保存された範囲の間に挟まれている。このように、「FR」という用語は、免疫グロブリンの超可変領域同士の間でそれらに隣接して天然に見受けられるアミノ酸配列を指す。抗体分子において、軽鎖の3つの超可変領域と、重鎖の3つの超可変領域は、互いに関して三次元空間に配置されて抗原結合表面を形成している。抗原結合表面は、結合した抗原の三次元表面に対して相補的であり、重軽鎖の各々の3つの超可変領域は、「相補性決定領域」または「CDR」と呼ばれる。各ドメインへのアミノ酸の割り当ては、Kabat Sequences of Proteins of Immunological Interest(National Institutes of Health,Bethesda,Md.(1987 and 1991))、またはChothia&Lesk J.Mol.Biol.196:901-917(1987),Chothia et al.Nature 342:878-883(1989)の定義による。
【0061】
「超可変領域」、「HVR」または「HV」という用語は、配列が超可変性であり、かつ/または構造的に画定されたループを形成する、抗体可変ドメインの領域を指す。一般に、抗体は、VH(H1、H2、H3)に3つと、VL(L1、L2、L3)に3つとの、6つのHVRを含む。天然抗体においては、6つのHVRの中ではH3及びL3が最大の多様性を呈し、特にH3は、抗体に微妙な特異性を付与する独特の役割を果たすと考えられている。例えば、Xu et al.,Immunity 13:37-45(2000)、Johnson and Wu,in Methods in Molecular Biology 248:1-25(Lo,ed.,Human Press,Totowa,N.J.,2003)を参照されたい。実際、重鎖のみから構成される天然に存在するラクダ抗体は軽鎖の非存在下で機能的かつ安定である。例えば、Hamers-Casterman et al.,Nature 363:446-448(1993)、Sheriff et al.,Nature Struct.Biol.3:733-736(1996)を参照されたい。
【0062】
「フレームワーク領域」(FR)は、CDR残基以外の可変ドメイン残基である。各可変ドメインは、典型的には、FR1、FR2、FR3及びFR4として同定される4つのFRを有する。CDRがKabatによって定義される場合、軽鎖FR残基は、残基約1~23(LCFR1)、35~49(LCFR2)、57~88(LCFR3)及び98~107(LCFR4)のところに位置しており、重鎖FR残基は、重鎖残基の残基約1~30(HCFR1)、36~49(HCFR2)、66~94(HCFR3)、及び103~113(HCFR4)のところに位置している。CDRが超可変ループからのアミノ酸残基を含む場合、軽鎖FR残基は、軽鎖の残基約1~25(LCFR1)、33~49(LCFR2)、53~90(LCFR3)及び97~107(LCFR4)のところに位置しており、重鎖FR残基は、重鎖残基の残基約1~25(HCFR1)、33~52(HCFR2)、56~95(HCFR3)、及び102~113(HCFR4)のところに位置している。ある場合には、CDRがKabatによって定義されるCDRと超可変ループのそれとの両方からのアミノ酸を含む場合、FR残基はそれに応じて調節されるであろう。例えば、CDRH1がアミノ酸H26~H35を含む場合、重鎖FR1残基は位置1~25にあり、FR2残基は位置36~49にある。
【0063】
「ヒトコンセンサスフレームワーク」は、ヒト免疫グロブリンのVLまたはVHフレームワーク配列の選択肢のうち最も一般的に生じるアミノ酸残基を表すフレームワークである。通常、ヒト免疫グロブリンのVLまたはVH配列の選択肢は、可変ドメイン配列のサブグループからのものである。通常、配列のサブグループは、Kabatにおけるようなサブグループである。ある場合では、VLについて、サブグループは、KabatにおけるようなサブグループカッパIである。ある場合では、VHについて、サブグループは、KabatにおけるようなサブグループIIIである。
【0064】
本明細書に記載の抗体は、ヒト化されることができる。非ヒト(例えば、齧歯類)抗体の「ヒト化」形態は、非ヒト抗体に由来する最小配列を含有するキメラ抗体である。ほとんどの部分について、ヒト化抗体は、レシピエントの超可変領域由来の残基が、所望の抗体特異性、親和性、及び能力を有するマウス、ラット、ウサギ、または非ヒト霊長類などの非ヒト種(ドナー抗体)の超可変領域由来の残基によって置き換えられる、ヒト免疫グロブリン(レシピエント抗体)である。ある場合では、ヒト免疫グロブリンのフレームワーク領域(FR)残基は、対応する非ヒト残基によって置き換えられる。さらに、ヒト化抗体は、レシピエント抗体またはドナー抗体には見られない残基を含み得る。これらの修飾は、抗体性能をさらに洗練するために行われる。一般に、ヒト化抗体は、超可変ループの全てまたは実質的に全てが非ヒト免疫グロブリンの超可変ループに対応し、FRの全てまたは実質的に全てがヒト免疫グロブリン配列のFRである、少なくとも1つ、典型的には2つの可変ドメインの実質的に全てを含むであろう。ヒト化抗体はまた、任意に免疫グロブリン定常領域(Fc)、典型的にはヒト免疫グロブリンの少なくとも一部分を含むであろう。さらなる詳細について、Jones et al.,Nature 321:522-525(1986)、Riechmann et al.,Nature 332:323-329(1988)、及びPresta,Curr.Op.Struct.Biol.2:593-596(1992)を参照されたい。以下の総説論文及びその中で引用される参考文献も参照されたい:Vaswani and Hamilton,Ann.Allergy,Asthma and Immunol.,1:105-115(1998)、Harris,Biochem.Soc.Transactions,23:1035-1038(1995)、Hurle and Gross,Curr.Op.Biotech.,5:428-433(1994)。
【0065】
「ヒト抗体」は、ヒトによって産生される抗体のアミノ酸配列に対応するアミノ酸配列を有するものであり、かつ/または本明細書に開示されるヒト抗体を作製するための技法のいずれかを使用して作製されたものである。ヒト抗体のこの定義は、非ヒト抗原結合残基を含むヒト化抗体を特異的に除外する。ヒト抗体は、ファージディスプレイライブラリを含む、当該技術分野で既知の様々な技法を使用して産生することができる。Hoogenboom and Winter,J.Mol.Biol.,227:381(1991)、Marks et al.,J.Mol.Biol.,222:581(1991)。ヒトモノクローナル抗体の調製には、Cole et al.,Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy,Alan R.Liss,p.77(1985)、Boerner et al.,J.Immunol.,147(1):86-95(1991)に記載される方法も利用可能である。またvan Dijk and van de Winkel,Curr.Opin.Pharmacol.,5:368-74(2001)を参照されたい。ヒト抗体は、抗原チャレンジに応答してそのような抗体を産生するように修飾されているが、その内因性遺伝子座が無効化されているトランスジェニック動物、例えば、免疫化異種マウスに抗原を投与することによって調製することができる(例えば、XENOMOUSE(商標)技術に関する米国特許第6,075,181号及び同第6,150,584号を参照されたい)。ヒトB細胞ハイブリドーマ技術を介して生成されたヒト抗体に関して、例えば、Li et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,103:3557-3562(2006)も参照されたい。
【0066】
例えば、本明細書に記載の抗体またはその抗原結合断片などのγδT細胞の活性化に有用な本明細書に記載の抗原結合部分は、多価であり得る。例えば、F(ab’)断片は、二価の抗原結合活性を有し、抗原を架橋することができる。同様に、抗原結合部分、例えば、IgGまたは他のカノニカル抗体アーキテクチャは、二価構造を有し得る。いくつかの事例では、抗原結合部分は、二価よりも大きい。いくつかの事例では、抗原結合部分は、三価抗体などの三価部分であり得る。いくつかの事例では、抗原結合部分は、四価抗体などの四価、例えば、IgA抗体であり得る。いくつかの事例では、抗原結合部分は、10の価を有することができる。例えば、抗原結合部分は、IgM抗体であり得る。本明細書に記載の好ましい多価抗原結合部分、例えば、抗体またはその断片は、典型的には、各抗原結合部位において、同じ抗原、ある場合では同じ抗原の同じエピトープに結合する。いくつかの事例では、多価抗原結合部分は、多価抗原結合部分の1つの他の抗原結合部位とは異なる少なくとも1つの抗原結合部位を含む。
【0067】
本明細書中で使用する場合、「Kd」または「Kd値」は、表面プラズモン共鳴アッセイを用いて、例えばBIAcore.TM.-2000またはBIAcore.TM.-3000(BIAcore,Inc.,Piscataway,N.J.)を使用して、約10応答ユニット(RU)の抗原または抗体が固定されたCM5チップによって25℃で測定される、解離定数を指す。二価抗体または他の多価抗体の場合には、アビディティーによって誘導される解離定数の測定結果との干渉を回避するために抗体を固定するのが典型的である。さらなる詳細については例えばChen et al.,J.Mol.Biol.293:865-881(1999)を参照されたい。
【0068】
結合親和性を指すために本明細書で使用される場合、「~以上」とは、分子とその結合パートナーとの間のより強い結合を指す。本明細書で使用される場合、「~以上」とは、より小さい数値K値によって表される、より強い結合を指す。例えば、抗体は「0.6nM以上」の抗原に対する親和性を有し、抗原に対する抗体の親和性は、≦0.6nM、すなわち、0.59nM、0.58nM、0.57nMなど、または0.6nM以下の任意の値である。
【0069】
「エピトープ」という用語は、免疫グロブリンまたはT細胞受容体と特異的に結合することができる任意のタンパク質決定基、脂質または炭化水素決定基を含む。エピトープ決定基は大抵、アミノ酸、脂質または糖側鎖などの分子の活性表面群から構成され、大抵、特有の三次元構造特徴及び特有の電荷特徴を有する。抗体は、平衡解離定数(K)が10-6~10-12M、またはそれ以上の範囲内である場合、抗原に特異的に結合するとされる。特異的結合は、他の非標的エピトープに結合するための解離定数と比較して、少なくとも10倍、好ましくは100倍、またはより好ましくは1,000倍より厳しい解離定数(より低いK)を有する標的エピトープへの結合を指し得る。いくつかの事例では、標的エピトープは、デルタ3TCRのδ1、δ2、またはδ3鎖のエピトープである。いくつかの事例では、非標的エピトープは、αβTCRである。いくつかの事例では、非標的エピトープは、異なるサブタイプのデルタ鎖である。結合の特異性は、(例えば、ELISAプレート上に固定化されたFc融合物として、または細胞上に発現されるように)γδ-TCR及び/またはαβ-TCRの細胞外領域への結合の文脈で決定することができる。
【0070】
「活性化エピトープ」は、結合によって特定のγδT細胞集団を活性化させることができる。T細胞増殖は、T細胞活性化及び増殖を示す。
【0071】
抗体が基準抗体と「本質的に同じエピトープ」に結合するというのは、2つの抗体が同一または立体的に重複するエピトープを認識する場合である。2つのエピトープが同一または立体的に重複するエピトープと結合するか否かを判定するための最も広く用いられている迅速な方法は、標識抗原か標識抗体かのどちらかを使用する、多種多様な方式で構成され得る競合アッセイである。いくつかの実施形態では、抗原を96ウェルプレートに固定し、標識抗体の結合を遮断する未標識抗体の能力を、放射性標識または酵素標識を使用して測定する。あるいは、標識抗体及び未標識抗体を使用する競合試験は、抗原発現細胞に対するフローサイトメトリーを用いて実施する。
【0072】
「エピトープ位置特定」は、抗体の標的抗原にある、抗体の結合部位またはエピトープを特定するプロセスである。抗体エピトープは、直鎖状エピトープまたは配座エピトープであり得る。直鎖状エピトープは、プロテイン中のアミノ酸の連続配列によって形成される。配座エピトープは、タンパク質配列中では不連続であるがタンパク質のその三次元構造体への折りたたみによって寄せ集められるアミノ酸から形成される。
【0073】
本明細書において定義されるところの「エピトープビニング」は、抗体が認識するエピトープに基づいて抗体を分類するプロセスである。より詳しくは、エピトープビニングは、抗体のエピトープ認識特性に基づいて抗体をクラスター化するため及び別個の結合特異性を有する抗体を同定するためのコンピュータプロセスと組み合わせられた、異なる抗体のエピトープ認識特性を区別するための方法及びシステムを含む。
【0074】
本発明による「薬剤」または「化合物」は、小分子、ポリペプチド、タンパク質、抗体または抗体断片を含む。小分子は、本発明との関連において、一実施形態では分子量1000ダルトン未満、詳しくは800ダルトン未満、より詳しくは500ダルトン未満の化学物質を意味する。「治療剤」という用語は、生物学的活性を有する薬剤を指す。「抗がん剤」という用語は、がん細胞に対する生物学的活性を有する薬剤を指す。
【0075】
本明細書中で使用する場合、「細胞培養物」という用語は、細胞の任意の試験管内培養物を指す。この用語には、(例えば、不死化表現型を有する)連続細胞株、初代細胞培養物、有限細胞株(例えば、非形質転換細胞)、及び試験管内で維持される他の細胞集団、例えば、幹細胞、血液細胞、胚性臍帯血細胞、腫瘍細胞、形質導入細胞などが含まれる。
【0076】
「処置する」または「処置」という用語は、望ましくない生理学的変化または障害を防止するかまたは鈍化(減少)させることを目的とする、治療的処置と予防的または防止的手段との両方を指す。有益な、または所望の臨床結果としては、限定されないが例えば、検出可能であるか検出不能であるかにかかわらず、症候の軽減、疾患度合いの減弱(例えば、腫瘍の大きさ、腫瘍負荷または腫瘍分布の低減)、安定化された(つまり、悪化していない)疾患状態、疾患進行の遅延または鈍化、疾患状態の改善または緩和、及び(部分的であるか完全であるかにかかわらない)寛解が挙げられる。「処置」は、生存期間を、処置を受けていない場合に予想される生存期間よりも長くすることも意味し得る。処置を必要とする者には、症状または障害を既に有する者の他に、症状もしくは障害を有する傾向にある者または症状または障害が防止されるべき者が含まれる。
【0077】
1つ以上のさらなる治療剤「と組み合わせた」投与は、同時(同時発生的)投与及び任意の順序での連続投与を含む。
【0078】
「同一」という用語は、本明細書中で使用される場合、同じである2つ以上の配列または小配列を指す。さらに、「実質的に同一」という用語は、本明細書中で使用される場合、比較窓または比較アルゴリズムを使用するかもしくは手動での整列及び目視検査によって測定される指定領域にわたって最大の一致が得られるように比較及び整列されたときに同じである配列単位の百分率を有する2つ以上の配列を指す。単なる例を示すと、2つ以上の配列は、配列単位が特定領域にわたって約60%同一、約65%同一、約70%同一、約75%同一、約80%同一、約85%同一、約90%同一または約95%同一である場合に「実質的に同一」であり得る。そのような百分率は、2つ以上の配列の「同一性パーセント」を表現する。配列の同一性は、長さが少なくとも約75~100配列単位である領域、長さが少なくとも約50配列単位である領域または、指定のない場合には配列全体にわたって、存在し得る。この定義は、試験配列の相補体にも言及するものである。さらに、単なる例を示すと、2つ以上のポリヌクレオチド配列は、核酸残基が同じである場合には同一であるが、2つ以上のポリヌクレオチド配列は、核酸残基が特定領域にわたって約60%同一、約65%同一、約70%同一、約75%同一、約80%同一、約85%同一、約90%同一、または約95%同一である場合には「実質的に同一」である。同一性は、少なくとも約75~約100核酸の長さの領域、約50核酸の長さの領域、または、指定のない場合には、ポリヌクレオチド配列の配列全体にわたって、存在し得る。
【0079】
「薬学的に許容できる」という用語は、本明細書中で使用される場合、化合物の生物学的活性または特性を無効にせずしかも比較的無毒である材料、すなわち、望ましくない生物学的作用を引き起こすことまたは組成物中に含まれているいずれかの成分と有害な相互作用をすることを伴わずに個体に投与され得る、材料、限定されないが例えば、塩、担体または希釈剤を指す。
【0080】
「対象」または「患者」という用語は、本明細書中で使用される場合、脊椎動物を指す。特定の実施形態では、脊椎動物は哺乳動物である。哺乳動物としては、限定されないが例えば、ヒト、非ヒト霊長類、家畜動物(例えばウシ)、競技用動物、及びペット(例えば、ネコ、イヌ及びウマ)が挙げられる。特定の実施形態では、哺乳動物はヒトである。
【0081】
抗原提示細胞(APC)という用語は、野生型APCまたは、操作型もしくは人工の抗原提示細胞(aAPC)を指す。APCは、APCの照射済み集団として提供されることができる。APCは、固定化細胞株から提供されることができ(例えば、固定化細胞株に由来するK562または操作型aAPC)、または、ドナーからの細胞の画分として提供されることができる(例えば、PBMC)。
【0082】
本明細書中で使用する場合、タンパク質もしくはそのポリペプチド断片またはエピトープに関して「構造的に異なる」及び「構造的に別個」という用語は、少なくとも2つの異なるタンパク質、そのポリペプチド断片またはエピトープの間での共有結合的な(つまり構造的な)差異を指す。例えば、2つの構造的に異なるタンパク質(例えば抗体)は、異なる一次アミノ酸配列を有する2つのタンパク質を指し得る。いくつかの事例では、構造的に異なる活性化剤は、構造的に異なるエピトープ、例えば異なる一次アミノ酸配列を有するエピトープに結合する。
【0083】
本明細書中で使用する場合、特定受容体活性(例えば、NKp30活性、NKp44活性及び/またはNKp46活性)とは「無関係」な「抗腫瘍性細胞傷害性」という用語は、特定受容体または受容体の特定の組み合わせが細胞で発現するかまたは機能的であるか否かにかかわらず発揮される抗腫瘍性細胞傷害性を指す。このように、NKp30活性、NKp44活性及び/またはNKp46活性とは無関係な抗腫瘍性細胞傷害性を呈するγδT細胞は、NKp30活性依存性の抗腫瘍性細胞傷害性、NKp44活性依存性の抗腫瘍性細胞傷害性及び/またはNKp46活性依存性の抗腫瘍性細胞傷害性を呈するものでもあり得る。
【0084】
本明細書中で使用する場合、「NKp30活性依存性の抗腫瘍性細胞傷害性」、「NKp44活性依存性の抗腫瘍性細胞傷害性」及び「NKp46活性依存性の抗腫瘍性細胞傷害性」という用語は、特定受容体の機能的発現を必要とする抗腫瘍性細胞傷害性を指す。そのような受容体依存性の抗腫瘍性細胞傷害性の存否は、PCT/US17/32530の実施例48で実施するような標準的な試験管内細胞傷害性アッセイを特定受容体に対する拮抗薬の存在下または非存在下で実施することによって判定することができる。例えば、NKp30活性依存性の抗腫瘍性細胞傷害性の存否は、試験管内細胞傷害性アッセイの抗NKp30拮抗薬の存在下での結果と、抗NKp30拮抗薬の非存在下で得られた結果とを比較することによって判定することができる。
【0085】
さらに、1つ以上の細胞傷害性受容体NKp30、NKp44、及び/またはNKp46のmRNA発現について、γδT細胞またはγδT細胞集団をアッセイすることができることが理解される。そのような事例では、発現アッセイは、受容体依存性抗腫瘍性細胞傷害性の存在または非存在を示すことができる。例えば、γδT細胞またはγδT細胞集団の測定されたmRNA発現は、(例えば、アンタゴニストの存在下及び非存在下での試験管内細胞傷害性アッセイによって検証されるような)特定の受容体依存性細胞傷害性を示さない細胞または細胞株を使用して陽性対照と比較することができる。
【0086】
抗腫瘍性細胞傷害性の少なくとも特定「%」分が特定受容体活性(例えば、NKp30活性、NKp44活性及び/またはNKp46活性)と「無関係」である、抗腫瘍性細胞傷害性を含むγδT細胞集団は、本明細書中で使用される場合、特定受容体を遮断することによって測定抗腫瘍性細胞傷害性がその数値%値分より大きく低下することがない細胞を指す。したがって、抗腫瘍性細胞傷害性のうち少なくとも50%がNKp30活性とは無関係である、抗腫瘍性細胞傷害性を含むγδT細胞集団は、NKp30拮抗薬の存在下では、NKp30拮抗薬の非存在下と比べて試験管内抗腫瘍性細胞傷害性の50%以下の低下を示すであろう。
【0087】
概説
ヒトにおいて、γδT細胞(複数可)は、自然免疫応答と適応免疫応答との関連性を提供するT細胞のサブセットである。これらの細胞は、V-(D)-Jセグメント再構成を経て抗原特異的なγδT細胞受容体(γδTCR)を生み出し、γδT細胞(複数可)は、γδTCRか、独立もしくは協働して作用してγδT細胞エフェクター機能を活性化させる他の非TCRタンパク質かのどちらかによる抗原認識によって直接活性化されることができる。γδT細胞は、哺乳類においてT細胞集団全体の小画分を占め、末梢血中及びリンパ器官中のT細胞のおよそ1~5%を占めており、またそれらは、皮膚、肝臓、消化管、気道及び生殖管のような上皮細胞に富む区画に主として存在しているようである。主要組織適合性複合体分子(MHC)に結合している抗原を認識するαβTCRとは違い、γδTCRは、細菌抗原、ウイルス抗原、疾患細胞で発現するストレス抗原、及び完全タンパク質または非ペプチド化合物の形態の腫瘍抗原を直接認識することができる。
【0088】
TS-1、TS8.2、B6及び15Dは、γδT細胞を活性化させることができる。理論に拘泥しないが、異なるドナーから生じる培養物の活性化及び増殖の異なるレベルは、ドナーのγδ可変TCRレパートリー、及び抗体結合エピトープに起因するものであり得る。特定のγδT細胞サブセットに結合する全ての薬剤が、特定のγδT細胞を活性化させること、特に、濃縮培養物中の特定のγδT細胞集団を臨床上妥当なレベル、すなわち10個超の標的γδT細胞にまで活性化させることができるわけでない、ということが発見された。同様に、γδT細胞集団の全ての結合エピトープが、活性化エピトープである、つまり結合によって特定のγδT細胞集団を活性化させることができる、というわけではない。
【0089】
本発明者らは、特定のγδT細胞サブタイプの強力な活性化に関連する特定のγδ可変TCR結合領域を同定し、したがって、γδT細胞サブタイプの生体内または生体外活性化及び増殖を可能にした。同定されたTCR結合領域への結合による生体外活性化及び増殖を使用して、患者に投与されることができる、純度の向上した臨床上妥当なレベルの高濃縮γδT細胞集団及びその混合物を生じさせることができる。生体内活性化を使用して、投与されたγδT細胞集団(またはその1つ以上のサブタイプ)を増殖及び/または維持し、内因性γδT細胞集団(またはその1つ以上のサブタイプ)、またはそれらの組み合わせの増殖を誘導することができる。いくつかの事例では、生体内活性化は、生体内で内因性γδT細胞集団を増殖させるために使用することができ、増殖した集団の一部分は、本明細書に記載の方法を使用して生体外で単離及び増殖させることができる。生体内増殖、単離、及び生体外増殖されたγδT細胞は、それを必要とする対象に貯蔵されるか、任意に操作されるか、及び/または投与されることができる。操作は、生体外増殖前または生体外増殖後に実施することができる。投与された細胞は、γδT細胞を選択的に増殖させる1つ以上の薬剤を対象に投与することによって、生体内で増殖及び/または維持することができる。
【0090】
γδT細胞サブタイプの強化された活性化及び増殖を誘導することができる活性化エピトープに特異的に結合する、抗体または他の結合剤を含めた活性化リガンドも企図され、本明細書にさらに記載される。いくつかの実施形態では、γδT細胞の生体内増殖及び/またはそれを必要とする対象に投与する方法を含む、本明細書に記載の方法及び組成物において使用される活性化剤は、生体外増殖のためのPCT/US2015/061189及び/またはPCT/US17/32530に記載される薬剤である。いくつかの実施形態では、γδT細胞の生体内増殖及び/またはそれを必要とする対象に投与する方法を含む、本明細書に記載の方法及び組成物において使用される活性化剤は、生体外増殖のためのPCT/US18/061384に記載されるδ3特異的活性化剤である。PCT/US17/32530及びPCT/US18/061384は、γδT細胞活性化剤、γδT細胞組成物、ならびにγδT細胞活性化、γδT細胞増殖、治療、投与、及び投薬の方法に関する全ての開示を含むあらゆる目的のために参照により全体的に援用される。
【0091】
いくつかの態様では、本発明は、操作型または非操作型γδT細胞を増殖させる生体外方法を提供する。一般に、生体外増殖方法は、本明細書に記載の操作型または非操作型γδT細胞の増殖のために生体内増殖及び/または維持方法と組み合わせて使用される。例えば、γδT細胞またはその1つ以上の亜集団を選択的に増殖させる1つ以上の薬剤の投与によって、γδT細胞を生体内で選択的に増殖させることができる。生体内で選択的に増殖させたγδT細胞の一部分を単離し、次いでさらに、例えば、選択的に、生体外で増殖させることができる。いくつかの事例では、生体外増殖γδT細胞は、以前に生体内増殖したか否かにかかわらず、それを必要とする対象に投与されることができる。いくつかの事例では、生体外増殖γδT細胞、またはその一部分は、初期集団が単離された同じ対象に投与される。いくつかの事例では、生体外増殖γδT細胞、またはその一部分は、初期集団が単離された異なる対象に投与される。いくつかの事例では、投与された生体外増殖γδT細胞は、対象にγδT細胞を選択的に増殖させる1つ以上の薬剤を投与することによって、生体内でさらに増殖または維持される。
【0092】
γδT細胞の生体内増殖
本開示は、非操作型及び操作型γδT細胞の集団の生体内増殖及び/または維持方法を提供する。本開示の非操作型または操作型γδT細胞は、生体内増殖または維持の前及び/または後に、生体外で追加的に活性化及び/または増殖させられ得る。いくつかの実施形態では、本開示の非操作型または操作型γδT細胞の生体内活性化、増殖、及び/または維持は、アミノホスホネートまたはプレニルホスホネートを投与することなく行うことができる。いくつかの実施形態では、本開示の非操作型または操作型γδT細胞の生体内活性化、増殖、及び/または維持は、少なくとも部分的に、アミノホスホネートまたはプレニルホスホネートを投与することによって、行うことができる。例えば、生体内活性化及び/または増殖は、δ1、δ2、もしくはδ3γδT細胞、またはそれらの組み合わせに特有のエピトープに結合することによって、本開示の非操作型または操作型γδT細胞を選択的に増殖させる1つ以上の薬剤を投与することを含む方法によって行うことができ、方法は、アミノホスホネートまたはプレニルホスホネートを投与することをさらに含む。
【0093】
一般に、方法は、対象にγδT細胞を選択的に増殖させる1つ以上の薬剤を対象に有効量で投与することを含む。いくつかの実施形態では、方法は、γδT細胞集団及びγδT細胞を選択的に増殖させる1つ以上の薬剤を含む薬学的組成物を提供することと、提供された薬学的組成物を対象に投与することと、を含む。いくつかの実施形態では、方法は、γδT細胞を対象に投与することと、次いでγδT細胞を選択的に増殖させる1つ以上の薬剤を投与することと、を含む。いくつかの実施形態では、方法は、γδT細胞を選択的に増殖させる1つ以上の薬剤を投与することと、次いでγδT細胞を対象に投与することと、を含む。特定の実施形態では、γδT細胞は、1回以上投与され、γδT細胞を選択的に増殖させる1つ以上の薬剤は、投与されたγδT細胞を増殖させるか、または維持するために有効量で対象に定期的に投与される。
【0094】
いくつかの事例では、方法は、γδT細胞を選択的に増殖させる1つ以上の薬剤を対象に多回、例えば、少なくとも2回、少なくとも3回、または少なくとも4回投与することを含む。いくつかの事例では、方法は、γδT細胞を選択的に増殖させる1つ以上の薬剤を対象に1~2回、1~3回、1~5回、1~10回、2~4回、2~10回、または5~10回投与することを含む。いくつかの事例では、方法は、γδT細胞を選択的に増殖させる1つ以上の薬剤を対象に2~4週間、2~6週間、1ヶ月(例えば、約30日)、2ヶ月、または1~2ヶ月の投薬期間で投与することを含む。いくつかの事例では、方法は、γδT細胞を選択的に増殖させる1つ以上の薬剤を対象に周期的に少なくとも2ヶ月(例えば、約60日)、少なくとも3ヶ月(例えば、約90日)、少なくとも4ヶ月(例えば、約120日)、または少なくとも6ヶ月(例えば、約180日)間投与することを含む。
【0095】
本発明の方法は、様々なγδT細胞集団、例えば、Vγ1、Vγ2、またはVγ3γδT細胞集団を生体内で増殖させることができる。いくつかの事例では、本発明の方法は、Vδ1T細胞集団;Vδ1及びVδ3T細胞集団;Vδ1及びVδ4T細胞集団;Vδ1及びVδ2T細胞集団;またはVδ1、Vδ3、Vδ4及びVδ5T細胞集団を増殖させることができる。
【0096】
ある場合では、γδT細胞集団は、45日未満、40日未満、35日未満、または30日未満で、検出可能な量(例えば、少なくとも10%、少なくとも25%、少なくとも50%、少なくとも75%、少なくとも2倍、または約10%~約2倍)生体内増殖させることができる。ある場合では、γδT細胞集団は、45日未満、40日未満、35日未満、または30日未満で、約10%~約10倍、約50%~約10倍以上に生体内増殖させることができる。ある場合では、γδT細胞集団は、45日未満、40日未満、35日未満、または30日未満で、約10~約50倍に生体内増殖させることができる。
【0097】
いくつかの態様では、γδT細胞を活性化剤と接触させることによって操作型及び非操作型γδT細胞を含め、様々なγδT細胞を生体内で選択的に増殖させる方法が提供される。いくつかの事例では、活性化(activation)または活性化(activating)剤は、γδT細胞の細胞表面受容体上の特有のエピトープに結合する。活性化剤は、抗体、例えばモノクローナル抗体であり得る。活性化剤は、1つ以上のタイプのγδT細胞、例えば、δ1;δ2;δ3;δ1及びδ3;δ1及びδ4;δ1及びδ5;δ1、δ3、及びδ4;もしくはδ1、δ3、δ4、及びδ5細胞集団、またはこれらの組み合わせの成長を特異的に活性化させることができる。いくつかの実施形態では、活性化剤は、δ1細胞集団の成長を特異的に活性化させて、δ1T細胞集団を生体内で増殖または維持させる。他の事例では、活性化剤は、δ2細胞集団の成長を特異的に活性化させて、δ2T細胞集団を生体内で増殖または維持させる。他の事例では、活性化剤は、δ3細胞集団の成長を特異的に活性化させて、δ3T細胞集団を生体内で増殖または維持させる。他の事例では、活性化剤は、δ1及びδ3細胞集団の成長を特異的に活性化させて、δ1及びδ3T細胞集団を生体内で増殖または維持させる。他の事例では、活性化剤は、δ1及びδ4細胞集団の成長を特異的に活性化させて、δ1及びδ3T細胞集団を生体内で増殖または維持させる。他の事例では、活性化剤は、δ1及びδ5細胞集団の成長を特異的に活性化させて、δ1及びδ5T細胞集団を生体内で増殖または維持させる。
【0098】
いくつかの事例では、δ1T細胞、δ2T細胞、もしくはδ3T細胞、またはそれらの組み合わせを選択的に増殖させる薬剤は、多価であり、好ましくは、多価薬剤は、同じ抗原に特異的に結合する少なくとも2つの抗原結合部位を含むか、または多価薬剤は、同じ抗原の同じエピトープに特異的に結合する少なくとも2つの抗原結合部位を含む。いくつかの事例では、δ1T細胞、δ2T細胞、もしくはδ3T細胞、またはそれらの組み合わせを選択的に増殖させる薬剤は、同じ抗原に特異的に結合する少なくとも3つの抗原結合部位を含むか、または多価薬剤は、同じ抗原の同じエピトープに特異的に結合する少なくとも3つの抗原結合部位を含む。いくつかの事例では、δ1T細胞、δ2T細胞、もしくはδ3T細胞、またはそれらの組み合わせを選択的に増殖させる薬剤は、二価、三価、四価、もしくは五価であるか、または少なくとも二価、三価、四価、もしくは五価である。
【0099】
1つ以上の活性化剤が生体内でγδT細胞(例えば、活性化物質γδT細胞天然受容体)に接触し得、同時または順次に共刺激分子がγδT細胞に接触してさらなる刺激を提供し得、かつγδT細胞を増殖させ得る。いくつかの実施形態では、活性化剤及び/または共刺激剤は、植物及び非植物に由来するレクチン、γδT細胞を活性化させるモノクローナル抗体、及びその他の非レクチン/非抗体剤であり得る。他の事例では植物レクチンはコンカナバリンA(ConA)であり得るが、他の植物レクチンなどが使用されてもよい。レクチンの他の例としては、ピーナッツ凝集素タンパク質(PNA)、ダイズ凝集素(SBA)、les culinaris凝集素(LCA)、pisum sativum凝集素(PSA)、Helix pomatia凝集素(HPA)、Vicia gramineaレクチン(VGA)、Phaseolus Vulgarisエリスロアグルチニン(PHA-E)、Phaseolus Vulgarisロイコアグルチニン(PHA-L)、Sambucus Nigraレクチン(SNA、EBL)、Maackia Amurensis,レクチンII(MAL II)、Sophora Japonica凝集素(SJA)、Dolichos Biflorus凝集素(DBA)、Lens Culinaris凝集素(LCA)、Wisteria Floribundaレクチン(WFA、WFL)が挙げられる。
【0100】
活性化剤及び共刺激分子の非限定的な例としては、本明細書に記載のδもしくはγ鎖またはそれらのサブタイプに対して選択的である任意の1つ以上の抗体、5A6.E9、B1、TS8.2、15D、B6、B3、TS-1、γ3.20、7A5、IMMU510、R9.12、11F2などの抗体、またはそれらの組み合わせが挙げられる。活性化剤及び共刺激分子の他の例としては、ゾレドロネート、ホルボール 12-ミリステート-13-アセテート(TPA)、メゼレイン、ブドウ球菌エンテロトキシンA(SEA)、連鎖球菌プロテインAまたはそれらの組み合わせが挙げられる。
【0101】
他の事例では、活性化剤及び/または共刺激剤は、αTCR、βTCR、γTCR、δTCR、CD277、CD28、CD46、CD81、CTLA4、ICOS、PD-1、CD30、NKG2D、NKG2A、HVEM、4-1BB(CD137)、OX40(CD134)、CD70、CD80、CD86、DAP、CD122、GITR、FcεRIγ、CD1、CD16、CD161、DNAX、補助分子-1(DNAM-1)、1つ以上のNCR(例えば、NKp30、NKp44、NKp46)、SLAM、コクサッキーウイルス及びアデノウイルス受容体、またはそれらの組み合わせに対する抗体またはリガンドであり得る。
【0102】
本明細書に記載の活性化剤及び共刺激剤を使用してγδT細胞の生体内活性化、増殖及び/または維持を実施して、特異的γδT細胞増殖及び持続性の集団を誘発することができる。一態様では、特異的γδT細胞活性化シグナルをもたらす薬剤は、γδTCRを指向する種々のモノクローナル抗体(MAb)であり得る。
【0103】
一態様では、MAbはδTCR及び/またはγTCRの定常または可変領域上の異なるエピトープに結合することができる。一態様では、MAbはγδTCR汎MAbを含み得る。一態様では、γδTCR汎MAbは、δ1、δ2、及びδ3T細胞集団を含めたγ鎖上かδ鎖上かのどちらかまたは両鎖上の種々のγ及びδTCRに共通しているドメインを認識し得る。一態様では、抗体は、5A6.E9(Thermo scientific)、B1(Biolegend)、IMMU510及び/または11F2(11F2)(Beckman Coulter)であり得る。
【0104】
一態様では、MAbを、γ鎖の可変領域に固有の特定ドメイン(Vγ9TCRを指向する7A5Mab(Thermo Scientific #TCR1720))、またはVδ1可変領域上のドメイン(Mab TS8.2(Thermo Scientific #TCR1730;MAb TS-1(ThermoFisher #TCR 1055)、MAb R9.12(Beckman Coulter #IM1761))、またはVδ2鎖(MAb 15D(Thermo Scientific #TCR1732またはLife technologies #TCR2732)、B6(Biolegend #331402)、図1~2に記載されているδ1-#抗体のうちの1つ、図3~4に記載されているδ2-#抗体のうちの1つ、または図5に記載されているδ3-#抗体のうちの1つに差し向けることができる。
【0105】
特定の実施形態では、活性化剤は、図1~2に記載されるδ1-#抗体のうちの1つ、図3~4に記載されるδ2-#抗体のうちの1つ、または図5に記載されるδ3-#抗体のうちの1つと同じか、または本質的に同じエピトープに結合する薬剤である。特定の実施形態では、活性化剤は、図1~2に記載されるδ1-#抗体のうちの1つ、図3~4に記載されるδ2-#抗体のうちの1つ、または図5に記載されるδ3-#抗体のうちの1つと競合する薬剤である。追加の活性化剤は、本明細書、ならびに2017年5月12日に出願されたPCT/US17/32530、及び代理人整理番号ADC-0003-PR1、米国仮特許出願第62/586,782号に記載されており、これは本明細書と同時出願された。
【0106】
特定の実施形態では、生体内活性化、増殖、及び/または維持は、サイトカインまたはIL-2、IL-4、IL-7、IL-9、IL-12、IL-15、IL-18、IL-19、IL-21、IL23、IL-33、IFNγ、顆粒球-マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)、または顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)などの他の刺激剤を同時または順次に投与することによってさらに支持され得る。いくつかの事例では、サイトカインは、IL-2、IL-15、IL-12、またはIL-21である。いくつかの事例では、サイトカインは、IL-2である。いくつかの事例では、サイトカインは、IL-15である。いくつかの事例では、サイトカインは、IL-4である。いくつかの事例では、サイトカインは、IL-2、IL-4、IL-7、IL-9、IL-15、及びIL-21、またはそれらの組み合わせからなる群から選択される一般的なガンマ鎖サイトカインである。
【0107】
特定の実施形態では、活性化剤を投与する前に、及び/またはγδT細胞(例えば、γδCAR-T細胞)を投与する前に、対象にリンパ球枯渇プロトコルを投与することによって、生体内増殖または維持をさらに支持することができる。いくつかの事例では、リンパ球枯渇プロトコルは、フルダラビン及びシクロホスファミドを投与することを含む。いくつかの事例では、リンパ球枯渇は、白血球除去輸血を含むか、またはさらに含む。いくつかの事例では、リンパ球枯渇は、ベンダムスチンを含むか、またはさらに含む。いくつかの事例では、リンパ球枯渇は、CART細胞が投与される時点でリンパ球減少症と診断されるか、またはその疑いのある患者には投与されない。
【0108】
γδT細胞の単離
いくつかの実施形態では、本発明は、単離された混合細胞集団から濃縮γδT細胞集団を製造する生体外方法であって、δ1TCR;δ1及びδ4TCR;またはδ1、δ3、δ4及びδ5TCRに特有のエピトープに結合することによってそれぞれδ1T細胞;δ1T細胞及びδ3T細胞;δ1T細胞及びδ4T細胞;またはδ1、δ3、δ4及びδ5T細胞を選択的に増殖させる1つ以上の薬剤に、混合細胞集団を接触させて、濃縮γδT細胞集団をもたらすことを含む、当該方法を提供する。他の態様では、本発明は、単離された混合細胞集団から濃縮γδ2T細胞集団を製造する生体外方法であって、δ2TCRに特有のエピトープに結合することによってδ2T細胞を選択的に増殖させる1つ以上の薬剤と、混合細胞集団を接触させて、濃縮γδ2T細胞集団をもたらすことを含む、方法を提供する。他の態様では、本発明は、単離された混合細胞集団から濃縮γδ3T細胞集団を製造する生体外方法であって、δ3TCRに特有のエピトープに結合することによってδ3T細胞を選択的に増殖させる1つ以上の薬剤と、混合細胞集団を接触させて、濃縮γδ3T細胞集団をもたらすことを含む、方法を提供する。
【0109】
他の態様では、本開示は、対象から単離されたγδT細胞を遺伝子操作する方法を提供する。濃縮、増殖、例えば、陽性及び/もしくは陰性選択による精製、または遺伝子操作の方法は、単独で、または組み合わせて、任意の順序で実施することができる。一実施形態では、γδT細胞は、対象において生体内で増殖させ、対象から単離し、遺伝子操作し、次いで生体外で増殖させ、任意に対象に投与することができる。別の実施形態では、γδT細胞は、対象から単離し、遺伝子操作し、任意に生体外で活性化及び増殖させ、対象に投与し、次いで生体内で増殖または維持することができる。いくつかの事例では、γδT細胞が単離される対象及びγδT細胞が投与される対象は、同じ対象である。いくつかの事例では、γδT細胞が単離される対象及びγδT細胞が投与される対象は、異なる対象である。
【0110】
操作型または非操作型の、γδT細胞集団を、例えば、直接、対象の複合試料から増殖させることができる。いくつかの事例では、複合試料は、標的γδT細胞集団を選択的に増殖させる1つ以上の薬剤と複合試料を直接接触させることによって単離され、生体外で増殖させる。いくつかの事例では、複合試料は、単離され、次いで生体外増殖が実施される前に陽性または陰性選択によって精製される。
【0111】
複合試料は、末梢血試料(例えば、PBLまたはPBMC)、白血球アフェレーシス試料、臍帯血試料、腫瘍、幹細胞前駆体、腫瘍生検材料、組織、リンパ、または外部環境に直接接している対象の上皮部位からのもの、または幹前駆細胞に由来するものであり得る。いくつかの事例では、本開示は、Vδ1細胞、Vδ2細胞、Vδ3細胞、Vδ1細胞及びVδ3細胞、Vδ1細胞及びVδ4細胞、Vδ1細胞、Vδ3細胞、Vδ4細胞及びVδ5細胞、またはそれらの任意の組み合わせを選択的に増殖させる方法を提供する。
【0112】
末梢血単核細胞は、例えばFicoll-Paque(商標)PLUS(GE Healthcare)システムまたは別の適切な装置/システムを含めたアフェレーシス機械で、対象から採集することができる。採集した試料からγδT細胞(複数可)、またはγδT細胞(複数可)の所望の亜集団を例えばフローサイトメトリー技術によって精製することができる。対象が誕生する間に臍帯血から臍帯血細胞を得ることもできる。PBMC単離、γδT細胞活性化ならびにγδT細胞活性化剤の製造及び使用のための方法及び組成物を含めるが限定はされないあらゆる目的のために参照により本明細書に援用される、WO2016/081518を参照されたい。
【0113】
γδT細胞は、例えば第1増殖ステップにおいて、γδTCRのエピトープに特異的に結合することによってγδT細胞を増殖させる1つ以上の薬剤に混合細胞集団を接触させることによって試験管内で培養される単離された複合試料または混合細胞集団から増殖させられて、濃縮γδT細胞集団をもたし得る。いくつかの実施形態では、全PBMC集団中に含まれているγδT細胞を、1つ以上の特定細胞集団、例えば、次の非γδT細胞単球:αβT細胞、B細胞及びNK細胞のうちの1つ以上または全ての事前の除去を伴うことなく活性化及び増殖させることができ、結果として濃縮γδT細胞集団が得られる。いくつかの態様では、γδT細胞の活性化及び増殖は、天然型または操作型APCの存在を伴わずに実施される。いくつかの態様では、γδT細胞の単離及び増殖は、本明細書において提供されるγδTCRの活性化エピトープに結合する固定化γδT細胞マイトジェン、例えば、γδTCRの活性化エピトープに特異的な抗体及びレクチンを含めた他の活性化剤を使用して実施することができる。
【0114】
特定の実施形態では、単離された混合細胞集団は、例えば、陽性及び/または陰性選択によって、任意に精製され、γδT細胞を増殖させる1つ以上の薬剤と、約もしくは少なくとも約2日間、約3日間、約4日間、約5日間、約6日間、約7日間、約8日間、約9日間、約10日間、約11日間、約12日間、約13日間、約14日間、約15日間、約17日間、約19日間、約21日間、約25日間、約29日間、約30日間、またはその中の任意の範囲にわたって接触させる。例えば、単離された混合細胞集団は、γδT細胞を増殖させる1つ以上の薬剤と、約1~約4日間、約2~約4日間、約2~約5日間、約3~約5日間、約5~約21日間、約5~約19日間、約5~約15日間、約5~約10日間、または約5~約7日間にわたって接触させて、第1の濃縮γδT細胞集団をもたらす。別の例では、単離された混合細胞集団は、γδT細胞を増殖させる1つ以上の薬剤と、約7~約21日間、約7~約19日間、約7~約23日間、または約7~約15日間にわたって接触させて、第1の濃縮γδT細胞集団をもたらす。
【0115】
いくつかの事例では、第1増殖ステップと第2増殖ステップとの間で精製または単離ステップを実施する。いくつかの事例では、単離ステップは1つ以上の活性化剤の除去を含む。いくつかの事例では、単離ステップは、γδT細胞またはそのサブタイプの特異的な単離を含む。いくつかの事例では、1つ以上(例えば全て)の活性化剤(例えば、細胞培養用培地の一般的成分でない全ての活性化剤、例えば血清成分及び/またはIL-2)が第1増殖ステップと第2増殖ステップとの間で除去されるが、γδT細胞は他の細胞種(αβT細胞)から特異的に単離されない。
【0116】
いくつかの実施形態では、第1濃縮ステップ及び場合によっては第2濃縮ステップにおいてγδTCRの活性化エピトープに結合する活性化剤を使用してγδT細胞を活性化及び増殖させた後、第2、第3、第4、第5などの濃縮ステップにおいて当技術分野で知られている技術を用いて本発明の例えば第1の濃縮γδT細胞集団(複数可)をさらに濃縮または精製して第2またはさらなる濃縮γδT細胞集団(複数可)を得てもよい。例えば、例えば、第1の、濃縮γδT細胞集団(複数可)は、αβT細胞、B細胞、及びNK細胞が枯渇してもよい。採集されたγδT細胞(複数可)上に発現される細胞表面マーカーの正及び/または負の選択を用いて例えば第1の濃縮γδT細胞集団(複数可)から、同様の細胞表面マーカーを発現しているγδT細胞またはγδT細胞(複数可)の集団を直接単離することができる。例えば、CD2、CD3、CD4、CD8、CD24、CD25、CD44、Kit、TCRα、TCRβ、TCRγ(1つ以上のTCRγサブタイプを含む)、TCRδ(1つ以上のTCRδサブタイプを含む)、NKG2D、CD70、CD27、CD28、CD30、CD16、OX40、CD46、CD161、CCR7、CCR4、NKp30、NKp44、NKp46、DNAM-1、CD242、JAML及びその他の適切な細胞表面マーカーなどのマーカーの陽性または陰性発現に基づいてγδT細胞を(例えば第1及び/または第2増殖ステップの後の)濃縮γδT細胞集団から単離することができる。
【0117】
いくつかの実施形態では、第1増殖ステップの後(例えば、第1増殖ステップに続いて実施される単離ステップの後)に、増殖済み細胞を場合によって希釈し、第2増殖ステップにおいて培養する。好ましい実施形態では、第2増殖ステップは、培養用培地が第2増殖ステップにおいて約1~2日、約1~3日、約1~4日、約1~5日、約2~5日、約2~4日または約2~3日ごとに補給される条件下で実施される。いくつかの実施形態では、第2増殖ステップは、γδT細胞のさらなる1倍、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍またはそれ以上の増殖を支援する密度に細胞が希釈または調節される条件下で実施される。いくつかの事例では、細胞密度調節は、培養用培地の補給と同時期(すなわち、同日または同時)に実施される。例えば、細胞密度は第2増殖ステップにおいて1~2日、1~3日、1~4日、1~5日、2~5日、2~4日または2~3日ごとに調節され得る。γδT細胞のさらなる増殖を支援する典型的な細胞密度としては、限定されないが例えば、培養物に対して約1×10、2×10、3×10、4×10、5×10、6×10、7×10、8×10、9×10、1×10、2×10、3×10、4×10、5×10細胞/mL、10×10細胞/mL、15×10細胞/mL、20×10細胞/mL、または30×10細胞/mLが挙げられる。
【0118】
いくつかの実施形態では、細胞密度は、約0.5×10~約1×10細胞/mL、約0.5×10~約1.5×10細胞/mL、約0.5×10~約2×10細胞/mL、約0.75×10~約1×10細胞/mL、約0.75×10~約1.5×10細胞/mL、約0.75×10~約2×10細胞/mL、約1×10~約2×10細胞/mL、または約1×10~約1.5×10細胞/mL、約1×10~約2×10細胞/mL、約1×10~約3×10細胞/mL、約1×10~約4×10細胞/mL、約1×10~約5×10細胞/mL、約1×10~約10×10細胞/mL、約1×10~約15×10細胞/mL、約1×10~約20×10細胞/mL、または約1×10~約30×10細胞/mLの密度に調節される。
【0119】
いくつかの実施形態では、第2増殖ステップは、細胞を監視して所定細胞密度(または密度区間)に維持する条件、及び/または所定グルコース含有量を有する培養用培地中に細胞を維持する条件のもとに実施される。例えば、細胞は、約0.5×10~約1×10細胞/mL、約0.5×10~約1.5×10細胞/mL、約0.5×10~約2×10細胞/mL、約0.75×10~約1×10細胞/mL、約0.75×10~約1.5×10細胞/mL、約0.75×10~約2×10細胞/mL、約1×10~約2×10細胞/mL、または約1×10~約1.5×10細胞/mL、約1×10~約3×10細胞/mL、約1×10~約4×10細胞/mL、約1×10~約5×10細胞/mL、約1×10~約10×10細胞/mL、約1×10~約15×10細胞/mL、約1×10~約20×10細胞/mL、約1×10~約30×10細胞/mLの生細胞密度に維持され得る。
【0120】
いくつかの事例では、細胞は、増殖の少なくとも一部にわたってより高い濃度で維持され得る。例えば、第1または第2増殖の第1部分にわたって細胞の生存能はより高い細胞濃度で増強される可能性がある。別の例を挙げると、第1または第2増殖の最終部分にわたってより高い細胞濃度で最も効率的に培養物体積が利用される可能性がある。したがって、いくつかの実施形態では、第1もしくは第2増殖培養の少なくとも一部または第1もしくは第2増殖培養の全体にわたって細胞は約1×10~約20×10細胞/mLの生細胞密度で維持され得る。
【0121】
別の例を挙げると、細胞は、約0.5g/L~約1g/L、約0.5g/L~約1.5g/L、約0.5g/L~約2g/L、約0.75g/L~約1g/L、約0.75g/L~約1.5g/L、約0.75g/L~約2g/L、約1g/L~約1.5g/L、約1g/L~約2g/L、約1g/L~約3g/L、または約1g/L~約4g/Lのグルコース含有量を有する培養用培地中で維持され得る。いくつかの実施形態では、細胞は、約1.25g/Lのグルコース含有量を有する培養用培地中で維持され得る。いくつかの事例、例えば、高細胞密度培養を維持する場合において、細胞は、約1g/L~約5g/L、約1g/L~約4g/L、約2g/L~約5g/L、または約2g/L~約4g/Lのグルコース含有量を有する培養用培地中で維持され得る。
【0122】
典型的には、グルコース含有量は、新鮮な血清を含有する培養用培地、または無血清培養用培地を培養物に添加することによって維持される。いくつかの実施形態では、細胞は、例えば各パラメータを監視すること及び新鮮な培地を添加してパラメータを所定限界内に維持することによって、所定の生細胞密度区間で、所定のグルコース含有量区間を有する培養用培地中で維持され得る。いくつかの実施形態では、グルコース含有量は、灌流バイオリアクターで細胞を内部に保持しつつ使用済み培地を除去する間に、新鮮な血清を含有する培養用培地、または無血清培養用培地を培養物に添加することによって、維持される。いくつかの実施形態では、γδT細胞増殖(例えば、選択的γδT細胞増殖)中、または本明細書に記載の第1もしくは第2γδT細胞増殖(例えば、選択的γδT細胞増殖)ステップ中に、pH、Oの分圧、O飽和度、COの分圧、CO飽和度、ラクテート、グルタミン、グルタメート、アンモニウム、ナトリウム、カリウム及びカルシウムのうちの1つ以上を非限定的に含めた追加パラメータを監視及び/または維持する。
【0123】
γδT細胞サブタイプは、
i)δ1TCRのエピトープに特異的に結合することによってδ1T細胞を選択的に増殖させるか、
ii)δ2TCRのエピトープに特異的に結合することによってδ2T細胞を選択的に増殖させるか、
iii)δ1及びδ4TCRのエピトープに特異的に結合することによってδ1及びδ4T細胞を選択的に増殖させるか、
iv)δ1、δ3、δ4及びδ5TCRのエピトープに特異的に結合することによってδ1、δ3、δ4及びδ5T細胞を選択的に増殖させるか、または
v)δ3TCRのエピトープに特異的に結合することによってδ3T細胞を選択的に増殖させる、1つ以上の薬剤と、混合細胞集団を接触させることによって、試験管内で培養される単離された複合試料または混合細胞集団から選択的に増殖されて、
例えば、第1の濃縮ステップにおいて、濃縮γδT細胞集団を提供し得る。
【0124】
いくつかの事例では、1つ以上の薬剤は、δ1J1、δ1J2もしくはδ1J3 TCR、またはそれらのうちの2つ、またはそれらの全てに特異的に結合する。いくつかの実施形態では、全PBMC集団中のγδ細胞を、特定の細胞集団、例えば、単球、αβT細胞、B細胞及びNK細胞の事前の除去を伴わずに活性化及び増殖させることができ、その結果として濃縮γδT細胞集団を生じさせることができる。いくつかの態様では、γδT細胞の活性化及び増殖は、天然型または操作型APCの存在を伴わずに実施される。いくつかの態様では、腫瘍検体からのγδT細胞の活性化及び増殖は、δ1TCR;δ1、δ3、δ4、及びδ5TCR;δ1及びδ4TCR;δ3TCR;またはδ2TCRに特有の活性化エピトープに対して特異的である抗体ならびに、δ1TCR;δ1、δ3、δ4、及びδ5TCR;δ1及びδ4TCR;δ3TCR;またはδ2TCRに特有の活性化エピトープに結合するレクチンを含めた他の活性化剤を含む固定化γδT細胞マイトジェンを使用して実施され得る。
【0125】
特定の実施形態では、δ1、δ1及びδ4、δ2、δ3、δ1及びδ2、またはδ1、δ2、及びδ3T細胞を選択的に増殖させる1つ以上の薬剤に、単離された混合細胞集団を約5日間、6日間、約7日間、約8日間、約9日間、約10日間、約11日間、約12日間、約13日間、約14日間、約15日間またはそれらの間の任意の範囲にわたって接触させる。例えば、δ1またはδ2T細胞を選択的に増殖させる1つ以上の薬剤に、単離された混合細胞集団を約1~約3日間、約1~約4日間、約1~約5日間、約2~約3日間、約2~約4日間、約2~約5日間、約3~約4日間、約3~約5日間、約4~約5日間、約5~約15日間、または約5~約7日間にわたって接触させて、第1濃縮γδT細胞集団をもたらす。いくつかの実施形態では、選択的に増殖させたδ1、δ1及びδ3、δ1及びδ4、δ2、δ3、δ1及びδ2、またはδ1、δ2及びδ3T細胞は、本明細書に記載されているように第2の増殖ステップにおいてさらに増殖させる。
【0126】
特定の実施形態では、単離された出発混合細胞集団、例えば、末梢血試料は、約20~80%の範囲のTリンパ球を含む。特定の実施形態では、本発明の濃縮γδT細胞集団(複数可)中の残留αβT細胞及びNK細胞のパーセントはそれぞれ、約2.5%またはそれ未満、及び約1%またはそれ未満である。本発明の濃縮γδT細胞集団(複数可)中の残留αβT細胞またはNK細胞のパーセントは、約1%もしくはそれ未満、約0.5%もしくはそれ未満、約0.4%もしくはそれ未満、約0.2%もしくはそれ未満、約0.1%もしくはそれ未満、または約0.01%もしくはそれ未満である。特定の実施形態では、本発明の濃縮γδT細胞集団(複数可)中の残留αβT細胞のパーセントは、(例えば、γδT細胞もしくはそのサブタイプの正の選択のステップの後、またはαβT細胞の除去の後で)約0.4%もしくはそれ未満、約0.2%もしくはそれ未満、約0.1%もしくはそれ未満、または約0.01%もしくはそれ未満である。いくつかの実施形態では、第1及び/または第2γδT細胞増殖の前または後に、αβT細胞は除去されるが、NK細胞は除去されない。特定の態様では、単離された混合細胞集団は、単一ドナーに由来する。他の態様では、単離された混合細胞集団は、1より多い数のドナーまたは多数のドナー(例えば、2、3、4、5、または2~5、2~10、または5~10、またはそれより多い数のドナー)に由来する。
【0127】
かくして、いくつかの実施形態において本発明の方法は、臨床上妥当な数(10超、10超、1010超、1011超または1012超、または約10~約1012)の増殖済みγδT細胞をたったの1ドナーからもたらすことができる。いくつかの事例では、本発明の方法は、臨床上妥当な数(10超、10超、1010超、1011超または1012超、または約10~約1012)の増殖済みγδT細胞を、ドナー試料を得た時から19日未満または21日未満のうちにもたらすことができる。
【0128】
δ1、δ1及びδ3TCR、δ1及びδ4TCR、またはδ2TCRに特有の活性化エピトープに結合する活性化剤を使用する第1濃縮ステップにおける特定γδT細胞サブセットの特異的活性化及び増殖に続いて、第2、第3、第4、第5などの濃縮ステップにおいて当技術分野で知られている技術を用いて本発明の第1濃縮γδT細胞集団(複数可)をさらに濃縮または精製して第2またはさらなる濃縮γδT細胞集団(複数可)を得てもよい。例えば、第1の濃縮γδT細胞集団(複数可)は、αβT細胞、B細胞、及びNK細胞が枯渇してもよい。採集されたγδT細胞(複数可)上に発現される細胞表面マーカーの正及び/または負の選択を用いて第1濃縮γδT細胞集団(複数可)から、同様の細胞表面マーカーを発現しているγδT細胞またはγδT細胞(複数可)の集団を直接単離することができる。例えば、CD2、CD3、CD4、CD8、CD24、CD25、CD44、Kit、TCRα、TCRβ、TCRγ(またはその1つ以上のサブタイプ)、TCRδ(またはその1つ以上のサブタイプ)、NKG2D、CD70、CD27、CD28、CD30、CD16、OX40、CD46、CD161、CCR7、CCR4、DNAM-1、JAML及びその他の適切な細胞表面マーカーなどのマーカーの陽性または陰性発現に基づいてγδT細胞を第1濃縮γδT細胞集団から単離することができる。
【0129】
いくつかの実施形態では、本発明の第1γδT細胞増殖、第1濃縮ステップ、第2γδT細胞増殖及び/または第2濃縮ステップの後に濃縮γδT細胞集団は、例えば10mL未満、25mL未満、50mL未満、100mL未満、150mL未満、200mL未満、500mL未満、750mL未満、1L未満、2L未満、3L未満、4L未満、5L未満、10L未満、20L未満または25L未満の培養物体積において臨床上妥当なレベルの、108細胞より多いγδT細胞サブセットを含む。例えば、本発明の方法は、10~100mL、25~100mL、50~100mL、75~100mL、10~150mL、25~150mL、50~150mL、75~150mL、100~150mL、10~200mL、25~200mL、50~200mL、75~200mL、100~200mL、10~250mL、25~250mL、50~250mL、75~250mL、100~250mL、150~250mL、5~1,000mL、10~1,000mL、または100~1,000mL、150~1,000mL、200~1,000mL、250~1,000mL、400mL~1L、1L~2L、2L~5L、2L~10L、4L~10L、4L~15L、4L~20L、または4L~25Lの体積を有する増殖培養物中の>10細胞の臨床上妥当なレベルのγδT細胞サブセットを提供することができる。他の実施形態では、本発明の第2、第3、第4、第5などの濃縮ステップ後、濃縮されたγδT細胞集団は、>10の臨床上妥当なレベルのγδT細胞サブセットを含む。
【0130】
いくつかの実施形態では、γδT細胞(複数可)は、1つ以上の抗原との接触に応答して急速に増殖することができる。いくつかのγδT細胞(複数可)、例えばVγ9Vδ2+のγδT細胞(複数可)は、プレニルピロリン酸、アルキルアミン、及び組織培養中の代謝産物または微生物抽出物のようないくつかの抗原との接触に応答して試験管内で急速に増殖する。さらに、いくつかの野生型γδT細胞(複数可)、例えばVγ2Vδ2+のγδT細胞(複数可)は、特定種類のワクチン接種(複数可)に応答してヒトの生体内で急速に増殖する。刺激されたγδT細胞は、数々の抗原提示、共刺激及び、複合試料からのγδT細胞(複数可)の単離を容易にすることができる接着分子を呈することができる。例えば抗体または固定化抗体などの本明細書に記載の選択的γδT細胞増殖剤による増殖との組み合わせ、その前、またはその後において、複合試料中のγδT細胞(複数可)を少なくとも1つの抗原で1日間、2日間、3日間、4日間、5日間、6日間、7日間、約5~15日間、5~10日間または5~7日間、または別の適切な期間にわたって試験管内で刺激することができる。適切な抗原によるγδT細胞の刺激は、対象に1つ以上の適切な薬剤を投与することによって生体内で、または試験管内で、γδT細胞集団を増殖させることができる。
【0131】
複合試料からのγδT細胞(複数可)の試験管内での増殖を刺激するために使用され得る抗原の非限定的な例としては、プレニルピロリン酸、例えばイソペンテニルピロリン酸(IPP)、アルキルアミン、ヒト微生物病原体の代謝産物、共生細菌の代謝産物、-メチル-3-ブテニル-1-ピロリン酸(2M3B1PP)、(E)-4-ヒドロキシ-3-メチル-ブタ-2-エニルピロリン酸(HMB-PP)、エチルピロリン酸(EPP)、ファルネシルピロリン酸(FPP)、ジメチルアリルリン酸(DMAP)、ジメチルアリルピロリン酸(DMAPP)、エチル-アデノシン三リン酸(EPPPA)、ゲラニルピロリン酸(GPP)、ゲラニルゲラニルピロリン酸(GGPP)、イソペンテニル-アデノシン三リン酸(IPPPA)、モノエチルリン酸(MEP)、モノエチルピロリン酸(MEPP)、3-ホルミル-1-ブチル-ピロリン酸(TUBAg1)、X-ピロリン酸(TUBAg2)、3-ホルミル-1-ブチル-ウリジン三リン酸(TUBAg3)、3-ホルミル-1-ブチル-デオキシチミジン三リン酸(TUBAg4)、モノエチルアルキルアミン、アリルピロリン酸、クロトイルピロリン酸、ジメチルアリル-γ-ウリジン三リン酸、クロトイル-γ-ウリジン三リン酸、アリル-γ-ウリジン三リン酸、エチルアミン、イソブチルアミン、sec-ブチルアミン、イソアミルアミン、及び窒素を含有するビスホスホネート(例えば、アミノホスホネート)が挙げられる。
【0132】
本明細書に記載の活性化剤及び共刺激剤を使用してγδT細胞の活性化及び増殖を実施して、特異的γδT細胞増殖及び持続性の集団を誘発することができる。いくつかの実施形態では、異なる培養物からのγδT細胞の活性化及び増殖は、別個のクローン性または混合ポリクローン性の集団サブセットを実現することができる。いくつかの実施形態では、種々の作動薬を使用して、特異的γδ活性化シグナルをもたらす薬剤を同定することができる。一態様では、特異的γδ活性化シグナルをもたらす薬剤は、γδTCRを指向する種々のモノクローナル抗体(MAb)であり得る。
【0133】
一態様では、MAbはγTCR及び/またはδTCRの定常または可変領域上の異なるエピトープに結合することができる。一態様では、MAbはγδTCR汎MAbを含み得る。一態様では、γδTCR汎MAbは、δ3細胞集団を含めたγ鎖上かδ鎖上かのどちらかまたは両鎖上の種々のγ及びδTCRに共通しているドメインを認識し得る。一態様では、抗体は、5A6.E9(Thermo scientific)、B1(Biolegend)、IMMU510及び/または11F2(11F2)(Beckman Coulter)であり得る。一態様では、MAbを、γ鎖の可変領域に固有の特定ドメイン(Vγ9TCR類似体を指向する7A5 MAb(Thermo Scientific #TCR1720))、またはVδ1可変領域上のドメイン(Mab TS8.2(Thermo Scientific #TCR1730);MAb TS-1(ThermoFisher #TCR1055)、MAb R9.12(Beckman Coulter #IM1761))、またはVδ2鎖(MAb 15D(Thermo Scientific #TCR1732またはLife technologies #TCR2732)、B6(Biolegend #331402)、図1~2中に記載されているδ1-#抗体のうちの1つ以上、図3~4中に記載されているδ2-#抗体のうちの1つ以上、または図5中に記載されているδ3-08、δ3-20、δ3-23、δ3-31、δ3-42、δ3-47、及びδ3-58のうちの1つ以上に差し向けることができる。
【0134】
いくつかの実施形態では、γδTCRの種々のドメインに対する抗体(汎抗体及び、サブセット集団上の特有の可変領域エピトープを認識する抗体)を組み合わせて、γδT細胞の活性化を強化するそれらの能力を評価することができる。いくつかの実施形態では、γδT細胞活性化物質は、γδTCR結合剤、例えばMICA、NKG2Dに対する作動薬抗体、MICAと例えばFcタグとの融合タンパク質、ULBP1、またはULBP3(R&D systems Minneapolis,MN)ULBP2、またはULBP6(Sino Biological Beijing,China)を含み得る。いくつかの実施形態では、細胞のアネルギー及びアポトーシスを誘導することなく特異的γδT細胞増殖を誘発するのを支援するコンパニオン共刺激剤を同定することができる。これらの共刺激剤は、γδ細胞上に発現する受容体に対するリガンド、例えば、以下のうちの1つ以上に対するリガンド(複数可)を含み得る:NKG2D、CD161、CD70、JAML、DNAX、CD81補助分子-1(DNAM-1)、ICOS、CD27、CD196、CD137、CD30、HVEM、SLAM、CD122、DAP、及びCD28。いくつかの態様では、共刺激剤は、CD2及びCD3分子上の独特のエピトープに対する特異的抗体であり得る。CD2及びCD3は、αβまたはγδT細胞(複数可)上で発現する場合に異なる配座構造を有し得、いくつかの事例では、CD3及びCD2に対する特異的抗体はγδT細胞の選択的活性化をもたらすことができる。
【0135】
γδT細胞(複数可)の集団を、γδT細胞(複数可)の操作に先立って生体外で増殖させてもよい。γδT細胞集団の試験管内での増殖を促進するために使用することができる試薬の非限定的な例としては、抗CD3または抗CD2、抗CD27、抗CD30、抗CD70、抗OX40抗体、IL-2、IL-4、IL-7、IL-9、IL-12、IL-15、IL-18、IL-19、IL-21、IL23、IL-33、IFNγ、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)、顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)、CD70(CD27リガンド)、コンカバリンA(ConA)、ポークウィード(PWM)、ピーナッツ凝集素タンパク質(PNA)、ダイズ凝集素(SBA)、Les Culinaris凝集素(LCA)、Pisum Sativum凝集素(PSA)、Helix pomatia凝集素(HPA)、Vicia gramineaレクチン(VGA)、Phaseolus Vulgarisエリスロアグルチニン(PHA-E)、Phaseolus Vulgarisロイコアグルチニン(PHA-L)、Sambucus Nigraレクチン(SNA、EBL)、Maackia Amurensis,レクチンII(MAL II)、Sophora Japonica凝集素(SJA)、Dolichos Biflorus凝集素(DBA)、Lens Culinaris凝集素(LCA)、Wisteria Floribundaレクチン(WFA、WFL)、またはT細胞増殖を刺激することができる別の適切なマイトジェンが挙げられる。
【0136】
γδT細胞(複数可)の遺伝子操作は、αβTCRや、γδTCRや、抗体、その抗原結合断片またはリンパ球活性化ドメインをコードするCARなどの腫瘍認識部分を発現する構築物を、単離されたγδT細胞(複数可)のゲノムの中に安定的に組み込むことを含み得、T細胞の生体外及び生体内での増殖、生存及び機能を強化するサイトカイン(例えば、IL-15、IL-12、IL-2、IL-7、IL-21、IL-18、IL-19、IL-33、IL-4、IL-9、IL-23またはIL1β)を含み得る。いくつかの事例では、サイトカインは、IL-2、IL-15、IL-12、またはIL-21である。いくつかの事例では、サイトカインは、IL-2である。いくつかの事例では、サイトカインは、IL-15である。いくつかの事例では、サイトカインは、IL-4である。いくつかの事例では、サイトカインは、IL-2、IL-4、IL-7、IL-9、IL-15、及びIL-21、またはそれらの組み合わせからなる群から選択される一般的なガンマ鎖サイトカインである。単離されたγδT細胞の遺伝子操作はまた、単離されたγδT細胞のゲノム中の1つ以上の内在性遺伝子、例えば、MHC遺伝子座(複数可)からの遺伝子発現を欠失させるか、または妨害することを含み得る。
【0137】
γδT細胞の生体外増殖
他の態様では、本開示は、養子移入療法のために非操作型及び操作型γδT細胞の集団を生体外で増殖させる方法を提供する。本開示の非操作型または操作型γδT細胞は、生体外で増殖させられ得る。生体外増殖は、生体内増殖、単離、及び任意の精製後に実施することができる。生体外増殖は、生体内増殖の前に追加的または代替的に実施されて、γδT細胞集団を提供することができ、それは次いで対象に投与され、本明細書に記載の1つ以上の生体内増殖または維持方法に供される。生体外増殖は、例えば、γδT細胞を含有する単離された試料を、γδT細胞を選択的に増殖させる1つ以上の薬剤と直接接触させることによって、混合細胞集団で行うことができる。追加的または代替的には、生体外増殖は、γδT細胞もしくはその1つ以上のサブタイプについての陽性選択、及び/またはαβT細胞、B細胞、もしくはNK細胞のうちの1つ以上を除去するための陰性選択の後に行われ得る。
【0138】
本開示の非操作型または操作型γδT細胞は、APCによる活性化を伴わずに、またはAPC及び/またはアミノホスホネートとの共培養を伴わずに、試験管内で増殖させられることができる。さらに、またはあるいは、本開示の非操作型または操作型γδT細胞は、APC及び/または1つ以上のアミノホスホネートによる活性化またはそれとの共培養を含む少なくとも1つの増殖ステップによって試験管内で増殖させられることができる。
【0139】
いくつかの実施形態では、本開示の非操作型または操作型γδT細胞は、第1γδT細胞増殖においてAPCによる活性化を伴わずに試験管内で増殖させられることができ、その後、第2γδT細胞増殖においてAPCによる活性化を伴って試験管内で増殖させられることができる。いくつかの事例では、第1γδT細胞増殖は、(a)γδT細胞を増殖させるか、または(b)δ1TCR;δ2TCR;δ1及びδ4TCR;もしくはδ1、δ3、δ4及びδ5TCRに特有の活性化エピトープに結合することによってそれぞれδ1T細胞;δ2T細胞;δ1T細胞及びδ3T細胞;δ1T細胞及びδ4T細胞;もしくはδ1、δ3、δ4及びδ5T細胞を選択的に増殖させる、1つ以上の薬剤に、γδT細胞を接触させることを含む。
【0140】
いくつかの事例では、第2γδT細胞増殖は、第1γδT細胞増殖で使用される1つ以上の薬剤を含まない培養用培地中で実施される。いくつかの事例では、第2γδT細胞増殖は、(a)T細胞を増殖させるか、(b)γδT細胞を増殖させるか、または(c)δ1TCR;δ2TCR;δ1及びδ4TCR;もしくはδ1、δ3、δ4及びδ5TCRに特有の活性化エピトープに結合することによってそれぞれδ1T細胞;δ2T細胞;δ1T細胞及びδ3T細胞;δ1T細胞及びδ4T細胞;もしくはδ1、δ3、δ4及びδ5T細胞を選択的に増殖させる1つ以上の第2薬剤を含有する培養用培地中で実施される。
【0141】
いくつかの事例では、第2薬剤は、第1γδT細胞増殖で使用される薬剤と比べて異なっている(例えば、異なる一次アミノ酸配列を有し、かつ/または構造的に異なるγδTCRエピトープに結合する)。いくつかの事例では、第2薬剤は、第1γδT細胞増殖で使用される薬剤と重複するγδTCRエピトープもしくは同じγδTCRエピトープに結合するものであるか、またはγδTCRへの結合を当該薬剤と競合することができるものである。いくつかの事例では、第2薬剤はAPCの細胞表面に発現する。いくつかの事例では、第2薬剤は、例えば第2薬剤の定常領域とAPCの表面上のFc受容体との結合相互作用によって、APCの表面に結合している。いくつかの事例では、第2薬剤は可溶性である。いくつかの事例では、第2γδT細胞増殖は、可溶性の第2薬剤とAPCとを含有する培養用培地中で実施され、場合によってAPCは、γδT細胞集団を増殖または選択的に増殖させる薬剤をその細胞表面上に発現するかまたはその表面に結合させる。
【0142】
いくつかの事例では、第1γδT細胞増殖は、APCを伴わずに実施され、第2γδT細胞増殖は、APCを伴って実施される。いくつかの事例では、第2γδT細胞増殖は、APCと、(a)T細胞を増殖させるか、(b)γδT細胞を増殖させるか、または(c)δ1TCR;δ2TCR;δ1及びδ4TCR;もしくはδ1、δ3、δ4及びδ5TCRに特有の活性化エピトープに結合することによってそれぞれδ1T細胞;δ2T細胞;δ1T細胞及びδ3T細胞;δ1T細胞及びδ4T細胞;もしくはδ1、δ3、δ4及びδ5T細胞を選択的に増殖させる1つ以上の第2薬剤とを使用して実施される。
【0143】
当業者であれば、特定の実施形態では本明細書に記載の第2増殖ステップの方法を第1増殖ステップとして実施してもよく、本明細書に記載の第1ステップの方法を第2増殖ステップとして実施してもよいということを理解するであろう。限定することなく一例を挙げると、いくつかの実施形態では、細胞の混合集団(例えばPBMC)を、第1ステップにおいてAPCと接触させることによって増殖させることができ、その後、例えばδ1TCR;δ2TCR;δ1及びδ4TCR;またはδ1、δ3、δ4及びδ5TCRに特有の活性化エピトープに結合することによってそれぞれδ1T細胞;δ2T細胞;δ1T細胞及びδ3T細胞;δ1T細胞及びδ4T細胞;またはδ1、δ3、δ4及びδ5T細胞を選択的に増殖させる固定化薬剤に第1増殖ステップからの増殖済み集団を接触させることによって、APCの非存在下で増殖させることができる。
【0144】
本発明の方法は、様々なγδT細胞(複数可)集団、例えば、Vγ1、Vγ2またはVγ3γδT細胞集団を増殖させることができる。いくつかの事例では、本発明の方法は、Vδ1T細胞集団;Vδ1及びVδ3T細胞集団;Vδ1及びVδ4T細胞集団;Vδ1及びVδ2T細胞集団;またはVδ1、Vδ3、Vδ4及びVδ5T細胞集団を増殖させることができる。
【0145】
ある場合には、γδT細胞集団を36日未満、35日未満、34日未満、33日未満、32日未満、31日未満、30日未満、29日未満、28日未満、27日未満、26日未満、25日未満、24日未満、23日未満、22日未満、21日未満、20日未満、19日未満、18日未満、17日未満、16日未満、15日未満、14日未満、13日未満、12日未満、11日未満、10日未満、9日未満、8日未満、7日未満、6日未満、5日未満、4日未満または3日未満の間、試験管内で増殖させることができる
【0146】
いくつかの態様では、混合細胞集団からのγδT細胞を活性化剤と接触させることによって操作型及び非操作型γδT細胞を含めた様々なγδT細胞を選択的に増殖させる方法が提供される。いくつかの事例では、活性化(activation)または活性化(activating)剤は、γδT細胞の細胞表面受容体上の特有のエピトープに結合する。活性化剤は、抗体、例えばモノクローナル抗体であり得る。活性化剤は、1種類以上のγδT細胞、例えば、δ1、δ2、δ1及びδ3、またはδ1及びδ4細胞集団の成長を特異的に活性化させることができる。いくつかの実施形態では、活性化剤はδ1細胞集団の成長を特異的に活性化させて濃縮δ1T細胞集団をもたらす。他の事例では、活性化剤はδ2細胞集団の成長を特異的に活性化させて濃縮δ2T細胞集団をもたらす。他の事例では、活性化剤はδ3細胞集団の成長を特異的に活性化させて濃縮δ3T細胞集団をもたらす。
【0147】
活性化剤は、操作型及び非操作型γδT細胞の増殖を速い成長速度で刺激し得る。例えば、薬剤は、30時間未満に1回の細胞分裂、29時間未満に1回の細胞分裂、28時間未満に1回の細胞分裂、27時間未満に1回の細胞分裂、26時間未満に1回の細胞分裂、25時間未満に1回の細胞分裂、24時間未満に1回の細胞分裂、23時間未満に1回の細胞分裂、22時間未満に1回の細胞分裂、21時間未満に1回の細胞分裂、20時間未満に1回の細胞分裂、19時間未満に1回の細胞分裂、18時間未満に1回の細胞分裂、17時間未満に1回の細胞分裂、16時間未満に1回の細胞分裂、15時間未満に1回の細胞分裂、14時間未満に1回の細胞分裂、13時間未満に1回の細胞分裂、12時間未満に1回の細胞分裂、11時間未満に1回の細胞分裂、10時間未満に1回の細胞分裂、9時間未満に1回の細胞分裂、8時間未満に1回の細胞分裂、7時間未満に1回の細胞分裂、6時間未満に1回の細胞分裂、5時間未満に1回の細胞分裂、4時間未満に1回の細胞分裂、3時間未満に1回の細胞分裂、2時間未満に1回の細胞分裂の平均速度でγδT細胞集団の増殖を刺激する。
【0148】
いくつかの事例では、活性化剤は、約4時間ごとに約1回の分裂の平均速度、約5時間ごとに約1回の分裂の平均速度、約6時間ごとに約1回の分裂の平均速度、約7時間ごとに約1回の分裂の平均速度、約8時間ごとに約1回の分裂の平均速度、約9時間ごとに約1回の分裂の平均速度、約10時間ごとに約1回の分裂の平均速度、約11時間ごとに約1回の分裂の平均速度、約12時間ごとに約1回の分裂の平均速度、約13時間ごとに約1回の分裂の平均速度、約14時間ごとに約1回の分裂の平均速度、約15時間ごとに約1回の分裂の平均速度、約16時間ごとに約1回の分裂の平均速度、約17時間ごとに約1回の分裂の平均速度、約18時間ごとに約1回の分裂の平均速度、約19時間ごとに約1回の分裂の平均速度、約20時間ごとに約1回の分裂の平均速度、約21時間ごとに約1回の分裂の平均速度、約22時間ごとに約1回の分裂の速度、約23時間ごとに約1回の分裂の速度、約24時間ごとに約1回の分裂の平均速度、約25時間ごとに約1回の分裂の平均速度、約26時間ごとに約1回の分裂の平均速度、約27時間ごとに約1回の分裂の平均速度、約28時間ごとに約1回の分裂の速度、約29時間ごとに約1回の分裂の速度、約30時間ごとに約1回の分裂の平均速度、約31時間ごとに約1回の分裂の平均速度、約32時間ごとに約1回の分裂の平均速度、約33時間ごとに約1回の分裂の平均速度、約34時間ごとに約1回の分裂の速度、約35時間ごとに約1回の分裂の速度、約36時間ごとに約1回の分裂の平均速度で操作型及び非操作型γδT細胞の増殖を刺激し得る。
【0149】
いくつかの事例では、活性化剤はγδT細胞増殖培養物における操作型及び/または非操作型γδT細胞の急速な増殖を刺激し得、当該急速な増殖は、細胞分裂の上記平均速度のいずれか1つで約1連続日~約19連続日、約1連続日~約14連続日、約1連続日~約7連続日、約1連続日~約5連続日、約2連続日~約19連続日、約2連続日~約14連続日、約2連続日~約7連続日、約2連続日~約5連続日、約4連続日~約19連続日、約4連続日~約14連続日、約4連続日~約7連続日、または約4連続日~約5連続日にわたって維持されるものである。
【0150】
いくつかの事例では、活性化剤は、約2連続日~約7連続日、または約2~約5連続日にわたって維持されているγδT細胞増殖培養物において約12時間(例えば10~12時間)ごとに約1回の分裂の平均速度、約13時間(例えば10~13時間)ごとに約1回の分裂の平均速度、約14時間(例えば10~14時間)ごとに約1回の分裂の平均速度、約15時間(例えば10~15時間)ごとに約1回の分裂の平均速度、約16時間(例えば10~16時間)ごとに約1回の分裂の平均速度、約17時間(例えば10~17時間または12~17時間)ごとに約1回の分裂の平均速度、約18時間(例えば10~18時間または12~18時間)ごとに約1回の分裂の平均速度、約19時間(例えば10~19時間または12~19時間)ごとに約1回の分裂の平均速度、約20時間(例えば、12~20時間、16~20時間または18~20時間)ごとに約1回の分裂の平均速度、約21時間(例えば、12~21時間、16~21時間または18~21時間)ごとに約1回の分裂の平均速度、約22時間(例えば、12~22時間、16~22時間または18~22時間)ごとに約1回の分裂の速度、約23時間以下(例えば、12~23時間、16~23時間または18~23時間)ごとに約1回の分裂の速度、約24時間(例えば、12~24時間、16~24時間または18~24時間)ごとに約1回の分裂の平均速度で操作型及び/または非操作型γδT細胞の増殖を刺激し得る。
【0151】
いくつかの事例では、活性化剤は、約2連続日~約7連続日、または約2~約5連続日にわたって維持されているγδT細胞増殖培養物において約25時間(例えば、12~25時間、16~25時間、18~25時間または20~25時間)ごとに約1回の分裂の平均速度、約26時間(例えば、12~26時間、16~26時間、18~26時間または20~26時間)ごとに約1回の分裂の平均速度、約27時間(例えば、12~27時間、16~27時間、18~27時間または20~27時間)ごとに約1回の分裂の平均速度、約28時間(例えば、12~28時間、16~28時間、18~28時間、20~28時間または22~28時間)ごとに約1回の分裂の速度、約29時間(例えば、16~29時間、18~29時間、20~29時間または22~29時間)ごとに約1回の分裂の速度、約30時間(例えば、16~30時間、18~30時間、20~30時間または22~30時間)ごとに約1回の分裂の平均速度、約31時間(例えば、16~31時間、18~31時間、20~31時間、22~31時間または24~31時間)ごとに約1回の分裂の平均速度、約32時間(例えば、18~32時間、20~32時間、22~32時間または24~32時間)ごとに約1回の分裂の平均速度、約33時間(例えば、18~33時間、20~33時間、22~33時間または24~33時間)ごとに約1回の分裂の平均速度、約34時間(例えば、18~34時間、20~34時間、22~34時間または24~34時間)ごとに約1回の分裂の速度、約35時間(例えば、18~35時間、20~35時間、22~35時間または24~35時間)ごとに約1回の分裂の速度、約36時間(例えば、18~36時間、20~36時間、22~36時間または24~36時間)ごとに約1回の分裂の平均速度で操作型及び/または非操作型γδT細胞の増殖を刺激し得る。
【0152】
いくつかの事例では、活性化剤は、少なくとも14連続日にわたって維持されているγδT細胞増殖培養物において約12時間(例えば10~12時間)ごとに約1回の分裂の平均速度、約13時間(例えば10~13時間)ごとに約1回の分裂の平均速度、約14時間(例えば10~14時間)ごとに約1回の分裂の平均速度、約15時間(例えば10~15時間)ごとに約1回の分裂の平均速度、約16時間(例えば10~16時間)ごとに約1回の分裂の平均速度、約17時間(例えば10~17時間または12~17時間)ごとに約1回の分裂の平均速度、約18時間(例えば10~18時間または12~18時間)ごとに約1回の分裂の平均速度、約19時間(例えば10~19時間または12~19時間)ごとに約1回の分裂の平均速度、約20時間(例えば、12~20時間、16~20時間または18~20時間)ごとに約1回の分裂の平均速度、約21時間(例えば、12~21時間、16~21時間または18~21時間)ごとに約1回の分裂の平均速度、約22時間(例えば、12~22時間、16~22時間または18~22時間)ごとに約1回の分裂の速度、約23時間以下(例えば、12~23時間、16~23時間または18~23時間)ごとに約1回の分裂の速度、約24時間(例えば、12~24時間、16~24時間または18~24時間)ごとに約1回の分裂の平均速度で操作型及び/または非操作型γδT細胞の増殖を刺激し得る。
【0153】
いくつかの事例では、活性化剤は、少なくとも14連続日にわたって維持されているγδT細胞増殖培養物において約25時間(例えば、12~25時間、16~25時間、18~25時間または20~25時間)ごとに約1回の分裂の平均速度、約26時間(例えば、12~26時間、16~26時間、18~26時間または20~26時間)ごとに約1回の分裂の平均速度、約27時間(例えば、12~27時間、16~27時間、18~27時間または20~27時間)ごとに約1回の分裂の平均速度、約28時間(例えば、12~28時間、16~28時間、18~28時間、20~28時間または22~28時間)ごとに約1回の分裂の速度、約29時間(例えば、16~29時間、18~29時間、20~29時間または22~29時間)ごとに約1回の分裂の速度、約30時間(例えば、16~30時間、18~30時間、20~30時間または22~30時間)ごとに約1回の分裂の平均速度、約31時間(例えば、16~31時間、18~31時間、20~31時間、22~31時間または24~31時間)ごとに約1回の分裂の平均速度、約32時間(例えば、18~32時間、20~32時間、22~32時間または24~32時間)ごとに約1回の分裂の平均速度、約33時間(例えば、18~33時間、20~33時間、22~33時間または24~33時間)ごとに約1回の分裂の平均速度、約34時間(例えば、18~34時間、20~34時間、22~34時間または24~34時間)ごとに約1回の分裂の速度、約35時間(例えば、18~35時間、20~35時間、22~35時間または24~35時間)ごとに約1回の分裂の速度、約36時間(例えば、18~36時間、20~36時間、22~36時間または24~36時間)ごとに約1回の分裂の平均速度で操作型及び/または非操作型γδT細胞の増殖を刺激し得る。
【0154】
いくつかの事例では、活性化剤は、少なくとも19連続日にわたって維持されているγδT細胞増殖培養物において約12時間(例えば10~12時間)ごとに約1回の分裂の平均速度、約13時間(例えば10~13時間)ごとに約1回の分裂の平均速度、約14時間(例えば10~14時間)ごとに約1回の分裂の平均速度、約15時間(例えば10~15時間)ごとに約1回の分裂の平均速度、約16時間(例えば10~16時間)ごとに約1回の分裂の平均速度、約17時間(例えば10~17時間または12~17時間)ごとに約1回の分裂の平均速度、約18時間(例えば10~18時間または12~18時間)ごとに約1回の分裂の平均速度、約19時間(例えば10~19時間または12~19時間)ごとに約1回の分裂の平均速度、約20時間(例えば、12~20時間、16~20時間または18~20時間)ごとに約1回の分裂の平均速度、約21時間(例えば、12~21時間、16~21時間または18~21時間)ごとに約1回の分裂の平均速度、約22時間(例えば、12~22時間、16~22時間または18~22時間)ごとに約1回の分裂の速度、約23時間以下(例えば、12~23時間、16~23時間または18~23時間)ごとに約1回の分裂の速度、約24時間(例えば、12~24時間、16~24時間または18~24時間)ごとに約1回の分裂の平均速度で操作型及び/または非操作型γδT細胞の増殖を刺激し得る。
【0155】
いくつかの事例では、活性化剤は、少なくとも19連続日にわたって維持されているγδT細胞増殖培養物において約25時間(例えば、12~25時間、16~25時間、18~25時間または20~25時間)ごとに約1回の分裂の平均速度、約26時間(例えば、12~26時間、16~26時間、18~26時間または20~26時間)ごとに約1回の分裂の平均速度、約27時間(例えば、12~27時間、16~27時間、18~27時間または20~27時間)ごとに約1回の分裂の平均速度、約28時間(例えば、12~28時間、16~28時間、18~28時間、20~28時間または22~28時間)ごとに約1回の分裂の速度、約29時間(例えば、16~29時間、18~29時間、20~29時間または22~29時間)ごとに約1回の分裂の速度、約30時間(例えば、16~30時間、18~30時間、20~30時間または22~30時間)ごとに約1回の分裂の平均速度、約31時間(例えば、16~31時間、18~31時間、20~31時間、22~31時間または24~31時間)ごとに約1回の分裂の平均速度、約32時間(例えば、18~32時間、20~32時間、22~32時間または24~32時間)ごとに約1回の分裂の平均速度、約33時間(例えば、18~33時間、20~33時間、22~33時間または24~33時間)ごとに約1回の分裂の平均速度、約34時間(例えば、18~34時間、20~34時間、22~34時間または24~34時間)ごとに約1回の分裂の速度、約35時間(例えば、18~35時間、20~35時間、22~35時間または24~35時間)ごとに約1回の分裂の速度、約36時間(例えば、18~36時間、20~36時間、22~36時間または24~36時間)ごとに約1回の分裂の平均速度で操作型及び/または非操作型γδT細胞の増殖を刺激し得る。
【0156】
活性化剤は、操作型または非操作型γδT細胞の亜集団の増殖を様々な成長速度で刺激し得る。例えば、薬剤はδ1細胞集団の成長を、1日~90日の培養(例えば、約1日~約19、21または23日の培養)の期間にわたる増殖が別のγδT細胞集団、例えばδ2またはδ3集団よりも;増殖前のγδT細胞の開始時個数よりも;増殖前のγδ1T細胞の開始時個数よりも;または培養物中のαβT細胞集団よりも約10倍超、約100倍超、約200倍超、約300倍超、約400倍超、約500倍超、約600倍超、約700倍超、約800倍超、約900倍超、約1,000倍超、約10,000倍超、約20,000倍超、約30,000倍超、約50,000倍超、約70,000倍超、約100,000倍超または約1,000,000倍超だけ大きい増殖をもたらすようなより速い速度で刺激し得る。
【0157】
他の事例では、薬剤はδ1及びδ4集団の成長を、1日~90日の培養(例えば、約1日~約19、21または23日の培養)の期間にわたる増殖がδ2T細胞集団よりも;別のγδT細胞亜集団よりも;増殖前のγδT細胞の開始時個数よりも;増殖前のγδ1T細胞の開始時個数よりも;増殖前のγδ1及びγδ3T細胞の開始時個数よりも;または培養物中のαβT細胞集団よりも10倍超、100倍超、200倍超、300倍超、400倍超、500倍超、600倍超、700倍超、800倍超、900倍超、1,000倍超、10,000倍超、20,000倍超、30,000倍超、50,000倍超、70,000倍超、100,000倍超または1,000,000倍超だけ大きい増殖をもたらすようなより速い速度で刺激し得る。
【0158】
他の事例では、薬剤はδ1及びδ4集団の成長を、1日~90日の培養(例えば、約1日~約19、21または23日の培養)の期間にわたる増殖がδ2T細胞集団よりも;別のγδT細胞亜集団よりも;増殖前のγδT細胞の開始時個数よりも;増殖前のγδ1T細胞の開始時個数よりも;増殖前のγδ1及びγδ4T細胞の開始時個数よりも;または培養物中のαβT細胞集団よりも10倍超、100倍超、200倍超、300倍超、400倍超、500倍超、600倍超、700倍超、800倍超、900倍超、1,000倍超、10,000倍超、20,000倍超、30,000倍超、50,000倍超、70,000倍超、100,000倍超または1,000,000倍超だけ大きい増殖をもたらすようなより速い速度で刺激し得る。
【0159】
他の事例では、薬剤はδ1、δ3、δ4及びδ5集団の成長を、1日~90日の培養(例えば、約1日~約19、21または23日の培養)の期間にわたる増殖がδ2T細胞集団よりも;別のγδT細胞亜集団よりも;増殖前のγδT細胞の開始時個数よりも;増殖前のγδ1T細胞の開始時個数よりも;増殖前のγδ1及びγδ3T細胞の開始時個数よりも;増殖前のγδ1、γδ3、γδ4及びγδ5T細胞の開始時個数よりも;または培養物中のαβT細胞集団よりも10倍超、100倍超、200倍超、300倍超、400倍超、500倍超、600倍超、700倍超、800倍超、900倍超、1,000倍超、10,000倍超、20,000倍超、30,000倍超、50,000倍超、70,000倍超、100,000倍超または1,000,000倍超だけ大きい増殖をもたらすようなより速い速度で刺激し得る。
【0160】
他の事例では、薬剤はδ2集団の成長を、1日~90日の培養(例えば、約1日~約19、21または23日の培養)の期間にわたる増殖がδ1T細胞集団よりも;δ3T細胞集団よりも;別のγδT細胞亜集団よりも;増殖前のγδT細胞の開始時個数よりも、増殖前のγδ2T細胞の開始時個数よりも、またはαβT細胞よりも10倍超、100倍超、200倍超、300倍超、400倍超、500倍超、600倍超、700倍超、800倍超、900倍超、1,000倍超、10,000倍超、20,000倍超、30,000倍超、50,000倍超、70,000倍超、100,000倍超または1,000,000倍超だけ大きい増殖をもたらすようなより速い速度で刺激し得る。
【0161】
いくつかの態様では、本開示は、急速な速度、例えば、30時間ごとに約1回の細胞分裂、またはそれより速い速度でγδT細胞集団の増殖を刺激する薬剤に接触している操作型または非操作型γδT細胞集団を提供する。いくつかの事例では、薬剤は、δ1;δ2;δ1及びδ4;またはδ1、δ3、δ4及びδ5T細胞のいずれかの増殖を選択的に刺激する。γδT細胞集団は、ある量の非操作型γδT細胞及びある量の操作型γδT細胞を含み得る。いくつかの事例では、γδT細胞集団は、δ1、δ2、δ3及びδ4T細胞を異なる百分率で含む。操作型または非操作型γδT細胞集団は、例えば、90%未満のδ1T細胞、80%未満のδ1T細胞、70%未満のδ1T細胞、60%未満のδ1T細胞、50%未満のδ1T細胞、40%未満のδ1T細胞、30%未満のδ1T細胞、20%未満のδ1T細胞、10%未満のδ1T細胞または5%未満のδ1T細胞を含み得る。あるいは、操作型または非操作型γδT細胞集団は、5%超のδ1T細胞、10%超のδ1T細胞、20%超のδ1T細胞、30%超のδ1T細胞、40%超のδ1T細胞、50%超のδ1T細胞、60%超のδ1T細胞、70%超のδ1T細胞、80%超のδ1T細胞または90%超のδ1T細胞を含み得る。いくつかの事例では、薬剤は、本明細書に記載の選択的増殖剤のうちの1つである。いくつかの事例では、薬剤は、細胞培養表面またはAPCの表面などの表面に固定されている(例えば、APCの表面に発現しているかまたは、APCの表面に発現したFc受容体と結合している)。
【0162】
操作型または非操作型γδT細胞集団は、例えば、90%未満のδ2T細胞、80%未満のδ2T細胞、70%未満のδ2T細胞、60%未満のδ2T細胞、50%未満のδ2T細胞、40%未満のδ2T細胞、30%未満のδ2T細胞、20%未満のδ2T細胞、10%未満のδ2T細胞または5%未満のδ2T細胞を含み得る。あるいは、操作型または非操作型γδT細胞集団は、5%超のδ2T細胞、10%超のδ2T細胞、20%超のδ2T細胞、30%超のδ2T細胞、40%超のδ2T細胞、50%超のδ2T細胞、60%超のδ2T細胞、70%超のδ2T細胞、80%超のδ2T細胞または90%超のδ2T細胞を含み得る。
【0163】
操作型または非操作型γδT細胞集団は、例えば、90%未満のδ1及びδ4T細胞、80%未満のδ1及びδ4T細胞、70%未満のδ1及びδ4T細胞、60%未満のδ1及びδ4T細胞、50%未満のδ1及びδ4T細胞、40%未満のδ1及びδ4T細胞、30%未満のδ1及びδ4T細胞、20%未満のδ1及びδ4T細胞、10%未満のδ1及びδ4T細胞または5%未満のδ1及びδ4T細胞を含み得る。あるいは、操作型または非操作型γδT細胞集団は、5%超のδ1及びδ4T細胞、10%超のδ1及びδ4T細胞、20%超のδ1及びδ4T細胞、30%超のδ1及びδ4T細胞、40%超のδ1及びδ4T細胞、50%超のδ1及びδ4T細胞、60%超のδ1及びδ4T細胞、70%超のδ1及びδ4T細胞、80%超のδ1及びδ4T細胞または90%超のδ1及びδ4T細胞を含み得る。
【0164】
操作型または非操作型γδT細胞集団は、例えば、90%未満のδ4T細胞、80%未満のδ4T細胞、70%未満のδ4T細胞、60%未満のδ4T細胞、50%未満のδ4T細胞、40%未満のδ4T細胞、30%未満のδ4T細胞、20%未満のδ4T細胞、10%未満のδ4T細胞または5%未満のδ4T細胞を含み得る。あるいは、操作型または非操作型γδT細胞集団は、5%超のδ1及びδ4T細胞、10%超のδ1及びδ4T細胞、20%超のδ1及びδ4T細胞、30%超のδ1及びδ4T細胞、40%超のδ1及びδ4T細胞、50%超のδ1及びδ4T細胞、60%超のδ1及びδ4T細胞、70%超のδ1及びδ4T細胞、80%超のδ1及びδ4T細胞または90%超のδ1及びδ4T細胞を含み得る。操作型または非操作型γδT細胞集団は、例えば、90%未満のδ1及びδ4T細胞、80%未満のδ1及びδ4T細胞、70%未満のδ1及びδ4T細胞、60%未満のδ1及びδ4T細胞、50%未満のδ1及びδ4T細胞、40%未満のδ1及びδ4T細胞、30%未満のδ1及びδ4T細胞、20%未満のδ1及びδ4T細胞、10%未満のδ1及びδ4T細胞または5%未満のδ1及びδ4T細胞を含み得る。
【0165】
特定の実施形態では、本発明は、10~90%のδ1T細胞及び90~10%のδ2T細胞を含む増殖済みγδT細胞集団の混合物を提供する。特定の実施形態では、本発明は、10~90%のδ1及びδ3T細胞ならびに90~10%のδ2T細胞を含む増殖済みγδT細胞集団の混合物を提供する。特定の実施形態では、本発明は、10~90%のδ1及びδ4T細胞ならびに90~10%のδ2T細胞を含む増殖済みγδT細胞集団の混合物を提供する。特定の実施形態では、本発明は、10~90%のδ1、δ3、δ4及びδ5T細胞ならびに90~10%のδ2T細胞を含む増殖済みγδT細胞集団の混合物を提供する。
【0166】
1つ以上の活性化剤がγδT細胞(例えば、活性化物質γδT細胞天然受容体)に接触し得、その後、共刺激分子がγδT細胞に接触してさらなる刺激を提供し得、かつγδT細胞を増殖させ得る。いくつかの実施形態では、活性化剤及び/または共刺激剤は、植物及び非植物に由来するレクチン、γδT細胞を活性化させるモノクローナル抗体、及びその他の非レクチン/非抗体剤であり得る。他の事例では植物レクチンはコンカナバリンA(ConA)であり得るが、他の植物レクチンなどが使用されてもよい。レクチンの他の例としては、ピーナッツ凝集素タンパク質(PNA)、ダイズ凝集素(SBA)、les culinaris凝集素(LCA)、pisum sativum凝集素(PSA)、Helix pomatia凝集素(HPA)、Vicia gramineaレクチン(VGA)、Phaseolus Vulgarisエリスロアグルチニン(PHA-E)、Phaseolus Vulgarisロイコアグルチニン(PHA-L)、Sambucus Nigraレクチン(SNA、EBL)、Maackia Amurensis,レクチンII(MAL II)、Sophora Japonica凝集素(SJA)、Dolichos Biflorus凝集素(DBA)、Lens Culinaris凝集素(LCA)、Wisteria Floribundaレクチン(WFA、WFL)が挙げられる。
【0167】
活性化剤及び共刺激分子の非限定的な例としては、本明細書に記載のδもしくはγ鎖またはそれらのサブタイプに対して選択的である任意の1つ以上の抗体、5A6.E9、B1、TS8.2、15D、B6、B3、TS-1、γ3.20、7A5、IMMU510、R9.12、11F2などの抗体、またはそれらの組み合わせが挙げられる。活性化剤及び共刺激分子の他の例としては、ゾレドロネート、ホルボール 12-ミリステート-13-アセテート(TPA)、メゼレイン、ブドウ球菌エンテロトキシンA(SEA)、連鎖球菌プロテインAまたはそれらの組み合わせが挙げられる。
【0168】
他の事例では、活性化剤及び/または共刺激剤は、αTCR、βTCR、γTCR、δTCR、CD277、CD28、CD46、CD81、CTLA4、ICOS、PD-1、CD30、NKG2D、NKG2A、HVEM、4-1BB(CD137)、OX40(CD134)、CD70、CD80、CD86、DAP、CD122、GITR、FcεRIγ、CD1、CD16、CD161、DNAX、補助分子-1(DNAM-1)、1つ以上のNCR(例えば、NKp30、NKp44、NKp46)、SLAM、コクサッキーウイルス及びアデノウイルス受容体、またはそれらの組み合わせに対する抗体またはリガンドであり得る。
【0169】
操作型γδT細胞
操作型γδT細胞は、当技術分野で知られている様々な方法によって生成され得る。操作型γδT細胞は、特定の腫瘍認識部分を安定的に発現するように設計され得る。腫瘍認識部分または別のタイプの認識部分を含む発現カセットをコードするポリヌクレオチドは、トランスポゾン/トランスポゼース系またはウイルスに基づく遺伝子移入系、例えばレンチウイルスもしくはレトロウイルス系、または別の適切な方法、例えばトランスフェクション、電気穿孔、形質導入、リポフェクション、リン酸カルシウム(CaPO)、ナノ操作型物質、例えばOrmosil、アデノウイルス、レトロウイルス、レンチウイルス、アデノ随伴ウイルスを含めたウイルス送達方法、または別の適切な方法によってγδT細胞内へ安定的に導入され得る。αβまたはγδのいずれかである抗原特異的TCRは、抗原特異的TCRの遺伝コードを含むポリヌクレオチドをγδT細胞のゲノムの中に安定的に挿入することによって、操作型γδT細胞内に導入されることができる。腫瘍認識部分を有するCARをコードするポリヌクレオチドは、ポリヌクレオチドをγδT細胞のゲノムの中に安定的に挿入することによって操作型γδT細胞内に導入され得る。いくつかの事例では、操作された腫瘍認識部分は操作型T細胞受容体であり、操作型γδT細胞のゲノムの中に組み込まれる発現カセットは、操作されたTCRα(TCRアルファ)遺伝子、操作されたTCRβ(TCRベータ)遺伝子、TCRδ(TCRデルタ)遺伝子または操作されたTCRγ(TCRガンマ)遺伝子をコードするポリヌクレオチドを含む。いくつかの事例では、操作型γδT細胞のゲノムの中に組み込まれる発現カセットは、抗体断片またはその抗原結合部分をコードするポリヌクレオチドを含む。いくつかの事例では、抗体断片またはその抗原結合断片は、キメラ抗原受容体(CAR)構築物の、またはCARとT細胞受容体(TCR)とを含んでいるかもしくは異なる抗原を指向する抗体を有するCARを含んでいる二重特異性構築物の一部として、細胞表面腫瘍抗原に結合する、全抗体、抗体断片、一本鎖可変断片(scFv)、単一ドメイン抗体(sdAb)、Fab、F(ab)、Fc、抗体上の軽鎖もしくは重鎖、抗体の可変もしくは定常領域、またはそれらの任意の組み合わせをコードする、ポリヌクレオチドである。いくつかの事例では、ポリヌクレオチドは、ヒトに由来するか、または別の種に由来する。非ヒト種に由来する抗体断片または抗原結合断片のポリヌクレオチドは、ヒトにおいて天然に産生する抗体変異型とそれらとの類似性を向上させるように改変されることができ、抗体断片または抗原結合断片は、部分的または完全にヒト化されることができる。抗体断片または抗原結合断片のポリヌクレオチドは、キメラ、例えばマウス-ヒト抗体キメラであることもできる。CARを発現する操作型γδT細胞は、腫瘍認識部分によって認識される抗原に対するリガンドを発現するように操作されることもできる。
【0170】
当技術分野で知られている様々な技術を使用して、腫瘍認識部分の遺伝コードを含んでいるクローニングされたかまたは合成的に操作された核酸を操作型γδT細胞のゲノム内の特定位置に導入することができる。WO201409370、WO2003087341、WO2014134412及びWO2011090804(参照によりそれらの各々の全体を本明細書に援用する)にそれぞれ記載されている、微生物の規則的な間隔をもってクラスター化された短鎖反復回文配列(CRISPR)システムからのRNAガイドCas9ヌクレアーゼ、亜鉛フィンガーヌクレアーゼ(ZFN)、転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)、及びメガヌクレアーゼの技術を用いてγδT細胞(複数可)における効率的なゲノム操作をもたらすことができる。本明細書に記載の技術は、ある遺伝子のノックアウトと別の遺伝子のノックインとを同時にもたらすゲノム位置へ発現カセットを挿入するために用いられることもできる。例えば、MHC遺伝子をコードするゲノム領域内に、本開示の発現カセットを含むポリヌクレオチドを挿入することができる。そのような操作は、1つ以上の遺伝子、例えば発現カセット内に含まれている遺伝子のノックインと、別の遺伝子、例えばMHC遺伝子座のノックアウトとを同時にもたらすことができる。
【0171】
1つの事例では、腫瘍認識部分をコードする核酸を含むSleeping Beautyトランスポゾンを、操作されようとしているγδT細胞の細胞内に導入する。野生型Sleeping Beautyと比較して強化された組込みを提供する突然変異体Sleeping Beautyトランスポゼース、例えばUS7,985,739(参照によりその全体を本明細書に援用する)に記載されているトランスポゼースを使用してポリヌクレオチドを操作型γδT細胞に導入してもよい。
【0172】
いくつかの事例では、ウイルスによる方法を用いて操作型γδT細胞のゲノムの中に、腫瘍認識部分を含むポリヌクレオチドを導入する。ウイルスによる多くの方法、例えばWO1993020221(参照によりその全体を本明細書に援用する)に記載されている方法がヒト遺伝子療法のために使用されている。γδT細胞を操作するために用いることができる、ウイルスによる方法の非限定的な例としては、レトロウイルス、アデノウイルス、レンチウイルス、単純ヘルペスウイルス、ワクチニアウイルス、ポックスウイルスまたはアデノウイルス随伴ウイルスによる方法が挙げられる。
【0173】
腫瘍認識部分の遺伝コードを含有するポリヌクレオチドは、操作型γδT細胞の成長、増殖、活性化状態に影響を与える突然変異もしくはその他の導入遺伝子、または精巣特異的がん抗原などの腫瘍細胞特異的な抗原を含み得る。本開示のγδT細胞は、抗原認識部分に繋げられた活性化ドメイン、例えば、TCR-CD3複合体中の分子、または共刺激因子を含んでいるポリヌクレオチドを発現するように操作され得る。操作型γδT細胞は、Tリンパ球活性化ドメインである細胞内シグナル伝達ドメインを発現することができる。γδT細胞は、細胞内活性化ドメイン遺伝子または細胞内シグナル伝達ドメインを発現するように操作され得る。細胞内シグナル伝達ドメイン遺伝子は、例えば、CD3ζ、CD28、CD2、ICOS、JAML、CD27、CD30、OX40、NKG2D、CD4、OX40/CD134、4-1BB/CD137、FcεRIγ、IL-2RB/CD122、IL-2RG/CD132、DAP分子、CD70、サイトカイン受容体、CD40、またはそれらの任意の組み合わせであり得る。いくつかの事例では、操作型γδT細胞は、サイトカイン、抗原、細胞受容体、または他の免疫調節分子を発現するようにさらに操作される。
【0174】
操作型γδT細胞で発現させる適切な腫瘍認識部分は、処置すべき疾患に基づいて選択することができる。例えば、いくつかの事例では、腫瘍認識部分はTCRである。いくつかの事例では、腫瘍認識部分は、がん細胞上に発現するリガンドに対する受容体である。適切な受容体の非限定的な例としては、NKG2D、NKG2A、NKG2C、NKG2F、LLT1、AICL、CD26、NKRP1、CD244(2B4)、DNAM-1、NKp30、NKp44、NKp46及びNKp80が挙げられる。いくつかの事例では、腫瘍認識部分は、リガンド、例えばIL-13リガンド、または腫瘍抗原に対するリガンド模倣体、例えばIL13Rに対するIL-13模倣体を含むことができる。
【0175】
γδT細胞は、NKG2D、NKG2A、NKG2C、NKG2F、LLT1、AICL、CD26、NKRP1、CD244(2B4)、DNAM-1、または抗腫瘍抗体、例えば抗Her2neuもしくは抗EGFRに由来するリガンド結合ドメインと、CD3-ζ、Dap10、Dap12、CD28、41BB及びCD40Lから得られるシグナル伝達ドメインとを含むキメラ腫瘍認識部分を発現するように操作され得る。いくつかの例では、キメラ受容体は、MICA、MICB、Her2neu、EGFR、EGFRvIII、メソテリン、CD38、CD20、CD19、BCMA、PSA、RON、CD30、CD22、CD37、CD38、CD56、CD33、CD138、CD123、CD79b、CD70、CD75、CA6、GD2、アルファフェトタンパク質(AFP)、CS1、がん胎児性抗原(CEA)、CEACAM5、CA-125、MUC-16、5T4、NaPi2b、ROR1、ROR2、PLIF、Her2/Neu、EGFRvIII、GPMNB、LIV-1、糖脂質F77、線維芽細胞活性化タンパク質(FAP)、PSMA、STEAP-1、STEAP-2、c-Met、CSPG4、CD44v6、PVRL-4、VEGFR2、C4.4a、PSCA、葉酸結合タンパク質/受容体、SLC44A4、Cripto、CTAG1B、AXL、IL-13Rα2、IL-3R、IL-3、EPHA3、SLTRK6、gp100、MART1、チロシナーゼ、SSX2、SSX4、NYESO-1、上皮腫瘍抗原(ETA)、MAGEAファミリー遺伝子(例えば、MAGEA3.MAGEA4)、KKLC1、突然変異型ras(H、N、K)、BRaf、p53、β-カテニン、EGFRT790、MHCクラスI鎖関連分子A(MICA)もしくはMHCクラスI鎖関連分子B(MICB)、またはHPV、CMV、もしくはEBVのうちの1つ以上の抗原に結合する。
【0176】
いくつかの事例では、腫瘍認識部分は、腫瘍関連ペプチドと複合体化したMHCクラスI分子(HLA-A、HLA-BまたはHLA-C)を標的とする。MHCクラスI分子と複合体化した腫瘍関連ペプチドを標的とする腫瘍認識部分を生成及び使用するための方法及び組成物としては、例えば、Weidanz et al.,Int.Rev.Immunol.30:328-40,2011、Scheinberg et al,Oncotarget.4(5):647-8,2013、Cheever et al,Clin.Cancer Res.15(17):5323-37,2009、Dohan&Reiter Expert Rev Mol Med.14:e6,2012、Dao et al.,Sci Transl Med.2013 Mar 13;5(176):176ra33、U.S.9,540,448、及びWO2017/011804に記載されているものが挙げられる。いくつかの実施形態では、ペプチドMHC複合体の標的化腫瘍関連ペプチドは、ウィルムス腫瘍タンパク質1(WT1)、ヒトテロメラーゼ逆転写酵素(hTERT)、サバイビン、マウス二重微小染色体2相同体(MDM2)、シトクロムP450(CYP1B)、KRAS、またはBRAFのペプチドである。
【0177】
遺伝学的に異なるか実質的に異なるかもしくは実質的に同一である、操作型γδT細胞から安定的に発現するαβTCRポリヌクレオチドから、または操作型γδT細胞に安定的に組み込まれた遺伝学的に別個のαβTCRポリヌクレオチドから、2つ以上の腫瘍認識部分をγδT細胞で発現させてもよい。遺伝学的に別個のαβTCR(複数可)の事例では、同じ症状に関連している異なる抗原を認識するαβTCR(複数可)を利用してもよい。1つの好ましい実施形態では、γδT細胞は、異なるMHCハプロタイプとの関連において同じ抗原を認識する1つ以上の発現カセットから、ヒトまたはマウスを起源とする異なるTCRを発現するように操作される。別の好ましい実施形態では、γδT細胞は、1つのTCRと、異なるMHCハプロタイプと複合体化している所与の抗原からの同じまたは異なるペプチドを指向する2つ以上の抗体とを発現するように操作される。いくつかの事例では、操作型γδT細胞による単一のTCRの発現は、適切なTCR対合を促進する。異なるTCRを発現する操作型γδT細胞は、普遍的な同種異系操作型γδT細胞を提供することができる。もう1つの好ましい実施形態では、γδT細胞は、ペプチド-MHC複合体を指向する1つ以上の異なる抗体を発現するように操作され、各抗体は、同じまたは異なるMHCハプロタイプと複合体化した同じまたは異なるペプチドを指向するものである。いくつかの事例では、腫瘍認識部分は、ペプチド-MHC複合体に結合する抗体であり得る。
【0178】
γδT細胞は、異なるMHCハプロタイプとの関連において同じ抗原を認識する1つ以上の発現カセットからのTCRを発現するように操作され得る。いくつかの事例では、操作型γδT細胞は、操作型細胞内でのTCR誤対合の可能性を最小限に抑えるために、単一のTCRまたは、CARと組み合わせたTCRを発現するように設計される。2つ以上の発現カセットから発現する腫瘍認識部分は、好ましくは、異なるポリヌクレオチド配列を有し、例えば異なるHLAハプロタイプとの関連において同じ標的の異なるエピトープを認識する腫瘍認識部分をコードする。そのような異なるTCRまたはCARを発現する操作型γδT細胞は、普遍的な同種異系操作型γδT細胞を提供することができる。
【0179】
いくつかの事例では、γδT細胞は、1つ以上の腫瘍認識部分を発現するように設計される。γδT細胞において操作された遺伝学的に同一または実質的に同一の抗原特異的キメラ(CAR)ポリヌクレオチドから、2つ以上の腫瘍認識部分を発現させてもよい。γδT細胞において操作された遺伝学的に別個のCARポリヌクレオチドから2つ以上の腫瘍認識部分を発現させてもよい。遺伝学的に別個のCAR(複数可)は、同じ症状に関連している異なる抗原を認識するように設計されてもよい。
【0180】
γδT細胞は、あるいは二重特異性であってもよい。二重特異性操作型γδT細胞は、2つ以上の腫瘍認識部分を発現することができる。二重特異性操作型γδT細胞は、TCR腫瘍認識部分とCAR腫瘍認識部分との両方を発現することができる。二重特異性操作型γδT細胞は、同じ症状に関連している異なる抗原を認識するように設計されることができる。操作型γδT細胞は、同一または実質的に同一の抗原を認識する2つ以上のCAR/TCR(複数可)二重特異性ポリヌクレオチドを発現することができる。操作型γδT細胞は、別個の抗原を認識する2つ以上のCAR/TCR(複数可)二重特異性構築物を発現することができる。いくつかの事例では、本開示の二重特異性構築物は、標的細胞の活性化及び不活性化ドメインに結合し、それにより、向上した標的特異性を提供する。γδT細胞は、少なくとも1個の腫瘍認識部分、少なくとも2個の腫瘍認識部分、少なくとも3個の腫瘍認識部分、少なくとも4個の腫瘍認識部分、少なくとも5個の腫瘍認識部分、少なくとも6個の腫瘍認識部分、少なくとも7個の腫瘍認識部分、少なくとも8個の腫瘍認識部分、少なくとも9個の腫瘍認識部分、少なくとも10個の腫瘍認識部分、少なくとも11個の腫瘍認識部分、少なくとも12個の腫瘍認識部分、または別の適切な数の腫瘍認識部分を発現するように操作され得る。
【0181】
適切なTCR機能は、ITAMモチーフを含む2つの機能性ζ(ゼータ)タンパク質によって強化され得る。適切なTCR機能は、αβまたはγδ活性化ドメイン、例えば、CD3ζ、CD28、CD2、CTLA4、ICOS、JAML、PD-1、CD27、CD30、41-BB、OX40、NKG2D、HVEM、CD46、CD4、FcεRIγ、IL-2RB/CD122、IL-2RG/CD132、DAP分子、及びCD70によっても強化され得る。発現したポリヌクレオチドは、腫瘍認識部分、リンカー部分及び活性化ドメインの遺伝コードを含み得る。操作型γδT細胞によるポリヌクレオチドの翻訳は、タンパク質リンカーによって繋ぎ合わされた腫瘍認識部分と活性化ドメインとを提供し得る。大抵、リンカーは、腫瘍認識部分及び活性化ドメイン折りたたみを妨げないアミノ酸を含む。リンカー分子は、長さが少なくとも約5アミノ酸、約6アミノ酸、約7アミノ酸、約8アミノ酸、約9アミノ酸、約10アミノ酸、約11アミノ酸、約12アミノ酸、約13アミノ酸、約14アミノ酸、約15アミノ酸、約16アミノ酸、約17アミノ酸、約18アミノ酸、約19アミノ酸または約20アミノ酸であり得る。いくつかの事例では、リンカー中のアミノ酸のうちの少なくとも50%、少なくとも70%、または少なくとも90%は、セリンまたはグリシンである。
【0182】
いくつかの事例では、活性化ドメインは1つ以上の突然変異を含み得る。適する突然変異は、例えば、活性化ドメインを恒常的に活性にする突然変異であり得る。1つ以上の核酸の同一性を変更することは、翻訳されるアミノ酸のアミノ酸配列を変化させる。コードされるアミノ酸を極性、無極性、塩基性または酸性のアミノ酸に改変するような核酸突然変異をもたらすことができる。腫瘍からのエピトープを認識するように腫瘍認識部分を最適化するような核酸突然変異をもたらすことができる。操作された腫瘍認識部分、操作された活性化ドメイン、またはγδT細胞の別の操作された構成要素は、1個より多いアミノ酸突然変異、2個のアミノ酸突然変異、3個のアミノ酸突然変異、4個のアミノ酸突然変異、5個のアミノ酸突然変異、6個のアミノ酸突然変異、7個のアミノ酸突然変異、8個のアミノ酸突然変異、9個のアミノ酸突然変異、10個のアミノ酸突然変異、11個のアミノ酸突然変異、12個のアミノ酸突然変異、13個のアミノ酸突然変異、14個のアミノ酸突然変異、15個のアミノ酸突然変異、16個のアミノ酸突然変異、17個のアミノ酸突然変異、18個のアミノ酸突然変異、19個のアミノ酸突然変異、20個のアミノ酸突然変異、21個のアミノ酸突然変異、22個のアミノ酸突然変異、23個のアミノ酸突然変異、24個のアミノ酸突然変異、25個のアミノ酸突然変異、26個のアミノ酸突然変異、27個のアミノ酸突然変異、28個のアミノ酸突然変異、29個のアミノ酸突然変異、30個のアミノ酸突然変異、31個のアミノ酸突然変異、32個のアミノ酸突然変異、33個のアミノ酸突然変異、34個のアミノ酸突然変異、35個のアミノ酸突然変異、36個のアミノ酸突然変異、37個のアミノ酸突然変異、38個のアミノ酸突然変異、39個のアミノ酸突然変異、40個のアミノ酸突然変異、41個のアミノ酸突然変異、42個のアミノ酸突然変異、43個のアミノ酸突然変異、44個のアミノ酸突然変異、45個のアミノ酸突然変異、46個のアミノ酸突然変異、47個のアミノ酸突然変異、48個のアミノ酸突然変異、49個のアミノ酸突然変異、または50個のアミノ酸突然変異を含み得る。
【0183】
いくつかの事例では、本開示のγδT細胞は1つ以上のMHC分子を発現しない。操作型γδT細胞における1つ以上のMHC遺伝子座の欠失は、宿主免疫系によって操作型γδT細胞が認識される可能性を低減することができる。ヒトの主要組織適合性複合体(MHC)遺伝子座は、ヒト白血球抗原(HLA)系として知られ、γδT細胞を含めた抗原提示細胞において発現する大きな遺伝子ファミリーを構成する。HLA-A、HLA-B及びHLA-C分子は、抗原としての細胞内ペプチドを抗原提示細胞に提示するように機能する。HLA-DP、HLA-DM、HLA-DOA、HLA-DOB、HLA-DQ及びHLA-DR分子は、抗原としての細胞外ペプチドを抗原提示細胞に提示するように機能する。HLA遺伝子のいくつかの対立遺伝子は、GVHD、自己免疫障害及びがんと関連付けられてきた。本明細書に記載の操作型γδT細胞は、1つ以上のHLA遺伝子の遺伝子発現が欠如するかまたは妨害されるようにさらに操作されることができる。本明細書に記載の操作型γδT細胞は、MHC複合体の1つ以上の構成要素の遺伝子発現が欠如するかまたは妨害されるように、例えば、MHC遺伝子のうちの1つ以上が完全に欠失するか、特定のエクソンが欠失するかまたはβ2マイクログロブリン(B2m)が欠失するように、さらに操作されることができる。少なくとも1つのHLA遺伝子の遺伝子切除または遺伝子妨害は、宿主対移植片疾患を引き起こすことなく任意のHLAハプロタイプを有する対象に投与されることができる臨床上治療的なγδT細胞をもたらすことができる。本明細書に記載の操作型γδT細胞は、任意のHLAハプロタイプを有するヒト対象のための普遍的ドナーとなることができる。
【0184】
γδT細胞は、1つまたは様々なHLA遺伝子座(複数可)が欠如するように操作されることができる。操作されたγδT細胞は、HLA-A対立遺伝子、HLA-B対立遺伝子、HLA-C対立遺伝子、HLA-DR対立遺伝子、HLA-DQ対立遺伝子またはHLA-DP対立遺伝子が欠如するように操作されることができる。いくつかの事例では、HLA対立遺伝子は、ヒトの症状、例えば自己免疫症状に関連している。例えば、HLA-B27対立遺伝子は関節炎及びぶどう膜炎と関連付けられており、HLA-DR2対立遺伝子は全身性紅斑性狼瘡及び多発性硬化症に関連付けられており、HLA-DR3対立遺伝子は21-水酸化酵素欠損症に関連付けられており、HLA-DR4は関節リウマチ及び1型糖尿病に関連付けられている。例えばHLA-B27対立遺伝子が欠如している操作型γδT細胞は、対象の免疫系によってすぐに認識されることなく、関節炎を患う対象に投与されることができる。いくつかの事例では、1つ以上のHLA遺伝子座の欠失は、任意のHLAハプロタイプを有する任意の対象のための普遍的ドナーである操作型γδT細胞をもたらす。
【0185】
いくつかの事例では、γδT細胞を操作することは、γδT細胞ゲノムの一部の欠失を必要とする。いくつかの事例では、ゲノムの欠失部分は、MHC遺伝子座(複数可)の一部を含む。ある場合には、操作型γδT細胞は野生型ヒトγδT細胞に由来し、MHC遺伝子座はHLA遺伝子座である。いくつかの事例では、ゲノムの欠失部分は、MHC複合体中のタンパク質に対応する遺伝子の一部を含む。いくつかの事例では、ゲノムの欠失部分は、β2マイクログロブリン遺伝子を含む。ある場合には、ゲノムの欠失部分は、免疫チェックポイント遺伝子、例えば、PD-1、CTLA-4、LAG3、ICOS、BTLA、KIR、TIM3、A2aR、B7-H3、B7-H4及びCECAM-1を含む。いくつかの事例では、操作型γδT細胞は、T細胞の活性化及び細胞傷害性を強化する活性化ドメインを発現するように設計されることができる。操作型γδT細胞で発現させることができる活性化ドメインの非限定的な例としては、CD2、ICOS、4-1BB(CD137)、OX40(CD134)、CD27、CD70、CD80、CD86、DAP分子、CD122、GITR、FcεRIγが挙げられる。
【0186】
操作型γδT細胞のゲノムの任意の部分を欠失させて内在性γδT細胞遺伝子の発現を妨害することができる。γδT細胞のゲノムにおいて欠失させるかまたは妨害することができるゲノム領域の非限定的な例としては、プロモーター、アクチベーター、エンハンサー、エクソン、イントロン、非コードRNA、マイクロRNA、核内低分子RNA、可変数縦列型反復配列(VNTR)、短鎖縦列型反復配列(STR)、SNPパターン、超可変領域、ミニサテライト、ジヌクレオチド反復配列、トリヌクレオチド反復配列、テトラヌクレオチド反復配列、または単純反復配列が挙げられる。いくつかの事例では、ゲノムの欠失部分は、1核酸~約10核酸、1核酸~約100核酸、1核酸~約1,000核酸、1核酸~約10,000核酸、1核酸~約100,000核酸、1核酸~約1,000,000核酸の範囲、または他の適切な範囲である。
【0187】
操作型γδT細胞におけるHLA遺伝子発現は、当技術分野で知られている様々な技術を用いて妨害することもできる。いくつかの事例では、操作型γδT細胞ゲノムから遺伝子を切除するかまたは操作型γδT細胞における少なくとも1つのHLA遺伝子座の遺伝子発現を妨害するために、広い遺伝子座の遺伝子編集技術が用いられる。操作型γδT細胞のゲノム上の所望の遺伝子座を編集するために用いることができる遺伝子編集技術の非限定的な例としては、WO201409370、WO2003087341、WO2014134412及びWO2011090804(参照によりそれらの各々の全体を本明細書に援用する)にそれぞれ記載されている、規則的な間隔をもってクラスター化された短鎖反復回文配列(CRISPR)-Cas、亜鉛フィンガーヌクレアーゼ(ZFN)、転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)、及びメガヌクレアーゼの技術が挙げられる。
【0188】
γδT細胞は、腫瘍認識部分を既に発現する単離された非操作型γδT細胞から操作されてもよい。操作型γδT細胞は、単離された、例えば腫瘍試料の腫瘍内浸潤リンパ球から単離された野生型γδT細胞で内在的に発現する腫瘍細胞認識部分を保持することができる。いくつかの事例では、野生型γδTCRが操作型γδT細胞の腫瘍細胞認識部分で置き換えられる。
【0189】
γδT細胞は、1つ以上の帰巣分子、例えばリンパ球帰巣分子を発現するように操作されることができる。帰巣分子は、例えば、リンパ球帰巣受容体または細胞接着分子であり得る。帰巣分子は、操作型γδT細胞を対象に投与した時に操作型γδT細胞が遊走して標的化固形腫瘍を含めた固形腫瘍に浸潤することを助けることができる。帰巣受容体の非限定的な例としては、CCRファミリーのメンバー、例えば、CCR2、CCR4、CCR7、CCR8、CCR9、CCR10、CLA、CD44、CD103、CD62L、E-セレクチン、P-セレクチン、L-セレクチン、インテグリン、例えばVLA-4及びLFA-1が挙げられる。細胞接着分子の非限定的な例としては、ICAM、N-CAM、VCAM、PE-CAM、L1-CAM、ネクチン(PVRL1、PVRL2、PVRL3)、LFA-1、インテグリン アルファXベータ2、アルファvベータ7、マクロファージ-1抗原、CLA-4、糖タンパク質IIb/IIIaが挙げられる。細胞接着分子のさらなる例としては、T-カドヘリンなどのカルシウム依存分子及び、MMP9またはMMP2などのマトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)に対する抗体が挙げられる。
【0190】
T細胞の成熟、活性化、増殖及び機能に関係するステップは、免疫チェックポイントタンパク質を介する共刺激性及び抑制性のシグナルによって調節され得る。免疫チェックポイントは、免疫系に本来備わっている共刺激性及び抑制性の要素である。免疫チェックポイントは、疾患症状、例えば細胞形質転換または感染に免疫系が応答するときに組織に対する損傷を防止すべく自己寛容を維持しかつ生理学的免疫応答の持続期間及び大きさを調節するのを助ける。γδT細胞かαβT細胞かのどちらかからの免疫応答を制御するために用いられる共刺激シグナルと抑制シグナルとの平衡は、免疫チェックポイントタンパク質によって調節され得る。免疫チェックポイントタンパク質、例えばPD1及びCTLA4は、T細胞の表面に存在しており、免疫応答の「入」または「切」を切り替えるために使用され得る。腫瘍は、とりわけ腫瘍抗原に特異的なT細胞に対して、チェックポイントタンパク質機能を免疫耐性機序として調節不全にし得る。本開示の操作型γδT細胞は、1つ以上の免疫チェックポイント遺伝子座(複数可)、例えば、PD-1、CTLA-4、LAG3、ICOS、BTLA、KIR、TIM3、A2aR、CEACAM1、B7-H3、及びB7-H4が欠如するようにさらに操作されることができる。あるいは、本開示の操作型γδT細胞における内在性免疫チェックポイント遺伝子の発現を遺伝子編集技術によって妨害することができる。
【0191】
免疫学的チェックポイントは、本開示の操作型γδT細胞において抑制シグナル伝達経路を調節する分子(例を挙げると、CTLA4、PD1及びLAG3)または刺激シグナル伝達経路を調節する分子(例を挙げると、ICOS)であり得る。幅広い免疫グロブリンスーパーファミリー内のいくつかのタンパク質は、免疫学的チェックポイントのリガンドとなり得る。免疫チェックポイントリガンドタンパク質の非限定的な例としては、B7-H4、ICOSL、PD-L1、PD-L2、MegaCD40L、MegaOX40L、及びCD137Lが挙げられる。いくつかの事例では、免疫チェックポイントタンパク質は、腫瘍で発現する抗原である。いくつかの事例では、免疫チェックポイント遺伝子はCTLA-4遺伝子である。いくつかの事例では、免疫チェックポイント遺伝子はPD-1遺伝子である。
【0192】
PD1は、CD28/CTLA4ファミリーに属する抑制性受容体であり、活性化されたTリンパ球、B細胞、単球、DC及びT-regにおいて発現する。PD1に対する2つの既知のリガンド、PD-L1及びPD-L2が存在し、それらはT細胞、APC及び悪性細胞において発現するものであり、自己反応性リンパ球を抑制しかつTAA特異的な細胞傷害性Tリンパ球(CTL)のエフェクター機能を抑制するように機能する。したがって、PD1が欠如している操作型γδT細胞はその細胞傷害活性を、腫瘍細胞によるPD-L1及びPD-L2の発現に関係なく保持することができる。いくつかの事例では、本開示の操作型γδT細胞にはPD-1遺伝子の遺伝子座が欠如している。いくつかの事例では、操作型γδT細胞におけるPD-1遺伝子の発現は遺伝子編集技術によって妨害される。
【0193】
CTLA4(細胞傷害性Tリンパ球抗原4)は、CD152(分化抗原152)としても知られている。CTLA4は、配列相同性及びリガンド(CD80/B7-1及びCD86/B7-2)を共刺激分子CD28と共有しているものの、CTLA4を受容体として発現しているT細胞に抑制シグナルを送達する点で異なる。CTLA4は、両リガンドに対する全親和性がよりはるかに高く、リガンド密度が限られている場合に結合に関してCD28を凌駕することができる。CTLA4は、CD8エフェクターT細胞の表面に発現することが多く、ナイーブ及びメモリーT細胞の両方の初期活性化段階において機能的役割を果たす。CTLA4は、T細胞活性化の初期段階の間、CD80及びCD86に対する増加した親和性によってCD28の活性を打ち消す。CTLA4の主要な機能には、ヘルパーT細胞の下方制御及び調節性T細胞の免疫抑制活性の強化が含まれる。ある場合には、本開示の操作型γδT細胞にはCTLA4遺伝子が欠如している。いくつかの事例では、操作型γδT細胞におけるCTLA4遺伝子の発現は遺伝子編集技術によって妨害される。
【0194】
LAG3(リンパ球活性化遺伝子3)は、活性化された抗原特異的細胞傷害性T細胞上に発現し、調節性T細胞の機能を強化することができ、独立してCD8エフェクターT細胞活性を抑制することができる。LAG3は、MHCクラスIIタンパク質に対する高い結合親和性を有するCD4様の負の調節性タンパク質であり、いくつかの上皮癌では上方制御されており、T細胞増殖及び恒常性の寛容をもたらす。LAG-3-IG融合タンパク質を使用するLAG-3/クラスII相互作用の軽減は、抗腫瘍免疫応答を強化し得る。いくつかの事例では、本開示の操作型γδT細胞にはLAG3遺伝子の遺伝子座が欠如している。ある場合には、操作型γδT細胞におけるLAG3遺伝子の発現は遺伝子編集技術によって妨害される。
【0195】
非操作型及び操作型γδT細胞の表現型
操作型γδT細胞は、対象の体の特定の身体位置に帰巣し得る。操作型γδT細胞の遊走及び帰巣は、特定のケモカイン及び/または接着分子の発現と作用との複合に依存し得る。操作型γδT細胞の帰巣は、ケモカインとその受容体との相互作用によって制御され得る。例えば、限定されないがCXCR3(そのリガンドはIP-10/CXCL10及び6Ckine/SLC/CCL21で表される)、CCR4+CXCR5+(RANTES、MIP-1α、MIP-1βの受容体)、CCR6+及びCCR7を含めてサイトカインは操作型γδT細胞の帰巣に影響を与え得る。いくつかの事例では、操作型γδT細胞は、炎症及び損傷の部位ならびに疾患細胞に帰巣して修復機能を発揮し得る。いくつかの事例では、操作型γδT細胞はがんに帰巣することができる。いくつかの事例では、操作型γδT細胞は、胸腺、骨髄、皮膚、喉頭、気管、胸膜、肺、食道、腹部、胃、小腸、大腸、肝臓、膵臓、腎臓、尿道、膀胱、精巣、前立腺、精管、卵巣、尿管(uretus)、乳腺、副甲状腺、脾臓または対象の体の別の部位に帰巣し得る。操作型γδT細胞は、1つ以上の帰巣部分、例えば、特定のTCR対立遺伝子及び/またはリンパ球帰巣分子を発現することができる。
【0196】
操作型γδT細胞は特定の表現型を有し得、表現型は細胞表面マーカー発現の観点から表されることができる。様々なタイプのγδT細胞を本明細書で記載されているとおりに操作することができる。好ましい実施形態では操作型γδT細胞はヒトに由来するが、操作型γδT細胞が別の供給源、例えば哺乳動物または合成細胞に由来するものであってもよい。
【0197】
活性化及び/または増殖済み細胞集団の免疫表現型は、限定されないがCD137、CD27、CD45RA、CD45RO、CCR7及びCD62Lを含めたマーカーを使用して決定され得る(Klebanoff et al.,Immunol Rev.211:214 2006)。CD137、または4-1BBは、活性化誘導共刺激分子であり、免疫応答の重要な調節因子である。Pollok et al.,J.Immunol.150,771-81(1993)。CD45RAは、ナイーブTリンパ球上に発現し、抗原との遭遇によりCD45ROに置き換えられるが、後のエフェクター細胞において再発現し(Michie et al.,Nature 360,264-265(1992)、CD62Lは、二次リンパ組織に進入する帰巣分子として作用する細胞接着分子であり、T細胞がエフェクター機能を獲得する場合、T細胞活性化の後に消失する(Sallusto et al.,Nature.401:708(1999))。CD27は、T細胞分化中に消失する共刺激マーカーである(Appay et al.,Nat Med.8:379(2002)、Klebanoff et al.,Immunol Rev.211:214 2006)。追加的または代替的な活性化マーカーには、CD25、PD-1、及びCD69のうちの1つ以上が含まれるが、これらに限定されない。
【0198】
抗原
本明細書において開示される本発明は、抗原認識部分を発現する操作型γδT細胞を提供し、この場合、抗原認識部分は、疾患に特有のエピトープを認識する。抗原は、免疫応答を惹起する分子であり得る。この免疫応答は、抗体産生か、免疫応答能を有する特定細胞の活性化かのどちらか、またはその両方を伴い得る。抗原は、例えば、ペプチド、タンパク質、ハプテン、脂質、炭水化物、細菌、病原体またはウイルスであり得る。抗原は腫瘍抗原であり得る。腫瘍エピトープは、MHCIまたはMHCII複合体によって腫瘍細胞の表面に提示され得る。エピトープは、細胞表面に発現して腫瘍認識部分によって認識される、抗原の一部であり得る。
【0199】
操作型γδT細胞によって認識される抗原の非限定的な例としては、CD19、CD20、CD30、CD22、CD37、CD38、CD56、CD33、CD138、CD123、CD79b、CD70、CD75、CA6、GD2、アルファフェトタンパク質(AFP)、がん胎児性抗原(CEA)、RON、CEACAM5、CA-125、MUC-16、5T4、NaPi2b、ROR1、ROR2、PLIF、Her2/Neu、EGFRvIII、GPMNB、LIV-1、糖脂質F77、線維芽細胞活性化タンパク質(FAP)、PSMA、STEAP-1、STEAP-2、メソテリン、c-Met、CSPG4、PVRL-4、VEGFR2、PSCA、CLEC12a、L1CAM、GPC2、GPC3、葉酸結合タンパク質/受容体、SLC44A4、Cripto、CTAG1B、AXL、IL-13R、IL-3Rα2、SLTRK6、gp100、MART1、チロシナーゼ、SSX2、SSX4、NYESO-1、WT-1、PRAME、上皮腫瘍抗原(ETA)、MAGEAファミリー遺伝子(例えば、MAGEA3.MAGEA4)、KKLC1、突然変異型ras、VRaf、p53、MHCクラスI鎖関連分子A(MICA)もしくはMHCクラスI鎖関連分子B(MICB)または、HPV、CMVもしくはEBVの1つ以上の抗原が挙げられる。
【0200】
抗原は細胞の細胞内区画または細胞外区画において発現し得、操作型γδT細胞は細胞内または細胞外腫瘍抗原を認識することができる。いくつかの事例では、操作型γδT細胞のαβTCRは、細胞内腫瘍抗原か細胞外腫瘍抗原かのどちらかに由来するペプチドを認識する。例えば、抗原は、ウイルスに感染した細胞によって細胞内または細胞外に産生されるタンパク質、例えば、HIV、EBV、CMVまたはHPVタンパク質であり得る。抗原は、がん細胞で細胞内または細胞外に発現するタンパク質であってもよい。
【0201】
抗原認識部分は、ストレス下にある細胞、例えば、がん細胞またはウイルスに感染している細胞からの抗原を認識し得る。例えば、ヒトMHCクラスI鎖関連遺伝子(MICA及びMICB)は6番染色体のHLAクラスI領域内に位置している。MICA及びMICBタンパク質は、ヒト上皮での「ストレス」のマーカーであると考えられ、一般的なナチュラルキラー細胞受容体(NKG2D)を発現する細胞にとってのリガンドとして作用する。MICA及びMICBは、がん細胞からストレスマーカーとして高発現し得る。操作型γδT細胞はMICAまたはMICB腫瘍エピトープを認識することができる。
【0202】
腫瘍認識部分は、特定のアビディティーで抗原を認識するように操作され得る。例えば、TCRまたはCAR構築物によってコードされる腫瘍認識部分は、少なくとも少なくとも10fM、少なくとも100fM、少なくとも1ピコモル(pM)、少なくとも10pM、少なくとも20pM、少なくとも30pM、少なくとも40pM、少なくとも50pM、少なくとも60pM、少なくとも7pM、少なくとも80pM、少なくとも90pM、少なくとも100pM、少なくとも200pM、少なくとも300pM、少なくとも400pM、少なくとも500pM、少なくとも600pM、少なくとも700pM、少なくとも800pM、少なくとも900pM、少なくとも1ナノモル(nM)、少なくとも2nM、少なくとも3nM、少なくとも4nM、少なくとも5nM、少なくとも6nM、少なくとも7nM、少なくとも8nM、少なくとも9nM、少なくとも10nM、少なくとも20nM、少なくとも30nM、少なくとも40nM、少なくとも50nM、少なくとも60nM、少なくとも70nM、少なくとも80nM、少なくとも90nM、少なくとも100nM、少なくとも200nM、少なくとも300nM、少なくとも400nM、少なくとも500nM、少なくとも600nM、少なくとも700nM、少なくとも800nM、少なくとも900nM、少なくとも1μM、少なくとも2μM、少なくとも3μM、少なくとも4μM、少なくとも5μM、少なくとも6μM、少なくとも7μM、少なくとも8μM、少なくとも9μM、少なくとも10μM、少なくとも20μM、少なくとも30μM、少なくとも40μM、少なくとも50μM、少なくとも60μM、少なくとも70μM、少なくとも80μM、少なくとも90μMまたは少なくとも100μMの解離定数で抗原を認識し得る。
【0203】
ある場合には、腫瘍認識部分は、10fM以下、100fM以下、1ピコモル(pM)以下、10pM以下、20pM以下、30pM以下、40pM以下、50pM以下、60pM以下、7pM以下、80pM以下、90pM以下、100pM以下、200pM以下、300pM以下、400pM以下、500pM以下、600pM以下、700pM以下、800pM以下、900pM以下、1ナノモル(nM)以下、2nM以下、3nM以下、4nM以下、5nM以下、6nM以下、7nM以下、8nM以下、9nM以下、10nM以下、20nM以下、30nM以下、40nM以下、50nM以下、60nM以下、70nM以下、80nM以下、90nM以下、100nM以下、200nM以下、300nM以下、400nM以下、500nM以下、600nM以下、700nM以下、800nM以下、900nM以下、1μM以下、2μM以下、3μM以下、4μM以下、5μM以下、6μM以下、7μM以下、8μM以下、9μM以下、10μM以下、20μM以下、30μM以下、40μM以下、50μM以下、60μM以下、70μM以下、80μM以下、90μM以下または100μM以下の解離定数で抗原を認識するように操作され得る。
【0204】
処置方法
非操作型濃縮γδT細胞集団、操作型濃縮γδT細胞集団及び/またはその混合物を含有する、本明細書に記載の医薬組成物は、予防及び/または治療処置のために投与され得る。追加または代替的に、本明細書に記載のγδT細胞集団を選択的に増殖させる1つ以上の薬剤を含有する医薬組成物は、予防及び/または治療処置のために投与され得る。治療用途では、疾患または症状を既に患っている対象に、疾患または症状の症候を治癒させるかまたは少なくとも部分的に阻止するのに十分な量の組成物を投与することができる。組成物は、状態の発症、罹患、または悪化の可能性を低くするために投与することもできる。治療に使用する非操作型濃縮γδT細胞集団、操作型濃縮γδT細胞集団、その混合物、及び/またはγδT細胞集団を選択的に増殖させる1つ以上の薬剤の有効量は、疾患もしくは状態の重症度及び経過、以前の療法、対象の健康状態、体重、ならびに/または薬物への応答、ならびに/または処置する医師の判断に基づいて様々であり得る。
【0205】
本開示の組成物は、症状の処置を必要とする対象を処置するために使用されることができる。症状の例としては、がん、感染性疾患、自己免疫障害、及び敗血症が挙げられる。対象は、ヒト、非ヒト霊長類、例えばチンパンジー及びその他の類人猿ならびにサル種;畜産動物、例えば、ウシ、ウマ、ヒツジ、ヤギ、ブタ;飼育動物、例えば、ウサギ、イヌ及びネコ;実験動物、例えば齧歯動物、例えば、ラット、マウス及びモルモットなどであり得る。対象は任意の年齢であり得る。対象は、例えば、高齢成体、成体、青年、少年、小児、幼年、乳児であり得る。
【0206】
本開示の組成物及びその組み合わせは、様々なレジメン(例えば、タイミング、濃度、投薬量、処置間隔、及び/または剤形)で投与され得る。対象は、本開示の生体内増殖剤及び/もしくは濃縮γδT細胞集団、またはその混合物を受ける前に、例えば、化学療法、放射線、または両方の組み合わせによって前処置することもできる。処置の一部として、組成物を対象に第1レジメンにおいて投与してもよく、第1レジメンにおいて処置が治療有効性の所与のレベルを満たしているかを判定すべく対象を監視してもよい。いくつかの事例では、操作型γδT細胞または別の操作型γδT細胞を第2レジメンにおいて対象に投与してもよい。
【0207】
いくつかの実施形態では、第1操作では、所与の症状(例えば、がん)を有するかまたはその疑いのある対象に本明細書に記載の少なくとも1つの組成物を投与する。第1レジメンにおいて組成物を投与してもよい。第2操作では、対象は例えば医療提供者(例えば、処置する医師または看護師)によって監視され得る。ある例においては、対象は、対象の症状の処置における組成物の有効性を決定または測定するために監視される。ある状況では、対象におけるγδT細胞集団の生体内活性化、増殖、または細胞数を判定するために対象を監視してもよい。次に、第3操作では、本明細書に記載の少なくとも1つの組成物を第2レジメンにおいて対象に投与する。第2レジメンは、第1レジメンと同じであってもよいし、または第1レジメンとは異なっていてもよい。ある状況においては、例えば第1操作における組成物の投与が効果的である(例えば、症状を処置するのに1回目の投与で十分であり得る)と判明している場合には、第3操作を実施しない。同種異系で普遍的なドナー特性ゆえに、操作型γδT細胞の集団は、種々のMHCハプロタイプを有する様々な対象に投与され得る。操作型γδT細胞は、対象に投与される前に冷凍または凍結保存され得る。
【0208】
γδT細胞(すなわち、操作型または非操作型)の濃縮集団及び/またはその混合物は、対象に投与される前に冷凍または凍結保存されてもよく、任意に投与されたγδT細胞を選択的に増殖させる1つ以上の薬剤の投与によってさらに生体内で活性化及び増殖、ならびに/または維持されてもよい。特定の実施形態では、操作型濃縮γδT細胞の集団は、同一の腫瘍認識部分、異なる腫瘍認識部分、または同一の腫瘍認識部分と異なる腫瘍認識部分との組み合わせを発現する2つ以上の細胞を含み得る。
【0209】
例えば、操作型濃縮γδT細胞の集団は、異なる抗原、または同じ抗原の異なるエピトープを認識するように設計されたいくつかの別個の操作型γδT細胞を含み得る。例えば、メラノーマに罹患しているヒト細胞は、NY-ESO-1がん遺伝子を発現し得る。ヒトの中の感染細胞は、NY-ESO-1腫瘍性タンパク質をより小さい断片にプロセシングすることができ、NY-ESO-1タンパク質の様々な部分を抗原認識のために提示することができる。操作型濃縮γδT細胞の集団は、NY-ESO-1タンパク質の異なる部分を認識するように設計された異なる腫瘍認識部分を発現する様々な操作型γδT細胞を含むことができる。
【0210】
いくつかの実施形態では、本発明は、メラノーマ抗原NY-ESO-1の異なるエピトープを認識する操作型γδT細胞の集団によって対象を処置する方法を提供する。第1操作では、同じ抗原の異なるエピトープを認識する操作型γδT細胞の集団を選択する。例えば、操作型γδT細胞の集団は、NY-ESO-1タンパク質の異なる部分を認識する異なる腫瘍認識部分を発現している2つ以上の細胞を含み得る。第2操作では、操作型γδT細胞の集団が第1レジメンにおいて投与され得る。第2操作では、対象は例えば医療提供者(例えば、処置する医師または看護師)によって監視され得る。第3操作では、対象は、生体内で投与されたγδT細胞を選択的に増殖させ、それによって生体内で投与されたγδT細胞集団を増殖及び/または維持する1つ以上の薬剤を投与され得る。第4操作では、対象は、生体内増殖及び/または維持の有効性を判定するために、監視され得る。いくつかの実施形態では、第2操作は行われない。いくつかの実施形態では、第4操作は行われない。
【0211】
本開示の1つ以上の組成物は、様々な状態を処置するために使用され得る。いくつかの事例では、本開示の組成物は、固形腫瘍及び血液悪性腫瘍を含む、がんを治療するために使用され得る。がんの非限定的な例としては、急性リンパ芽球性白血病、急性骨髄性白血病、副腎皮質癌腫、AIDS関連癌、AIDS関連リンパ腫、肛門癌、虫垂癌、星細胞腫、神経芽腫、基底細胞癌腫、胆管癌、膀胱癌、骨癌、脳腫瘍、例えば、小脳星細胞腫、大脳星細胞腫/悪性神経膠腫、上衣腫、髄芽腫、テント上原始神経外胚葉腫瘍、視路視床下部神経膠腫、乳癌、気管支腺腫、バーキットリンパ腫、原発不明の癌腫、中枢神経リンパ腫、小脳星細胞腫、子宮頸癌、小児癌、慢性リンパ球性白血病、慢性骨髄性白血病、慢性骨髄増殖性障害、結腸癌、皮膚T細胞リンパ腫、線維形成性小円形細胞腫瘍、子宮内膜癌、上衣腫、食道癌、ユーイング肉腫、胚細胞腫瘍、胆嚢癌、胃癌、消化管カルチノイド腫瘍、消化管間質腫瘍、神経膠腫、有毛細胞白血病、頭頸部癌、心臓癌、肝細胞(肝臓)癌、ホジキンリンパ腫、下咽頭癌、眼内メラノーマ、膵島細胞癌腫、カポジ肉腫、腎臓癌、喉頭癌、口唇及び口腔癌、脂肪肉腫、肝臓癌、肺癌、例えば非小細胞及び小細胞肺癌、リンパ腫、白血病、マクログロブリン血症、骨の悪性線維組織球腫/骨肉腫、髄芽腫、メラノーマ、中皮腫、原発不明の転移性扁平頸部癌、口腔癌、多発性内分泌腫瘍症候群、骨髄異形成症候群、骨髄性白血病、鼻腔及び副鼻腔癌、鼻咽頭癌腫、神経芽腫、非ホジキンリンパ腫、非小細胞肺癌、口腔癌、中咽頭癌、骨肉腫/骨の悪性線維組織球腫、卵巣癌、上皮性卵巣癌、卵巣胚細胞腫瘍、膵臓癌、膵島細胞癌、副鼻腔及び鼻腔癌、副甲状腺癌、陰茎癌、咽頭癌、クロム親和性細胞腫、松果体星細胞腫、松果体胚腫、下垂体腺腫、胸膜肺芽腫、形質細胞性新生物、中枢神経原発リンパ腫、前立腺癌、直腸癌、腎細胞癌腫、腎盂及び尿管移行上皮癌、網膜芽細胞腫、横紋筋肉腫、唾液腺癌、肉腫、皮膚癌、皮膚メルケル細胞癌腫、小腸癌、軟部組織肉腫、扁平上皮癌腫、胃癌、T細胞リンパ腫、咽喉癌、胸腺腫、胸腺癌腫、甲状腺癌、栄養膜腫瘍(妊娠性)、原発部位不明のがん、尿道癌、子宮肉腫、膣癌、外陰癌、ワルデンストレームマクログロブリン血症、ならびにウィルムス腫瘍が挙げられる。
【0212】
いくつかの事例では、本開示の組成物は、感染性疾患を治療するために使用され得る。感染性疾患は、例えば、病原性細菌またはウイルスによって引き起こされ得る。様々な病原性タンパク質、核酸、脂質またはその断片が疾患細胞で発現し得る。抗原提示細胞は、そのような病原性分子を例えば食作用または受容体媒介性エンドサイトーシスによって内在化させることができ、適切なMHC分子に結合した抗原断片を提示することができる。例えば、病原性タンパク質の様々な9mer断片がAPCによって提示され得る。本開示の操作型濃縮γδT細胞は、病原性細菌またはウイルスの様々な抗原及び抗原断片を認識し得る。病原性細菌の非限定的な例は、a)Bordetella属、例えばBordetella pertussis種;b)Borrelia属、例えばBorrelia burgdorferi種;c)Brucelia属、例えばBrucella abortus、Brucella canis、Brucela meliterisis、及び/またはBrucella suis種;d)Campylobacter属、例えばCampylobacter jejuni種;e)Chlamydia及びChlamydophila属、例えばChlamydia pneumonia、Chlamydia trachomatis、及び/またはChlamydophila psittaci種;f)Clostridium属、例えばClostridium botulinum、Clostridium difficile、Clostridium perfringens、Clostridium tetani種;g)Corynebacterium属、例えばCorynebacterium diphtheria種;h)Enterococcus属、例えばEnterococcus faecalis、及び/またはEnterococcus faecium種;i)Escherichia属、例えばEscherichia coli種;j)Francisella属、例えばFrancisella tularensis種;k)Haemophilus属、例えばHaemophilus influenza種など;l)Helicobacter属、例えばHelicobacter pylori種;m)Legionella属、例えばLegionella pneumophila種;n)Leptospira属、例えばLeptospira interrogans種;o)Listeria属、例えばListeria monocytogenes種;p)Mycobacterium属、例えばMycobacterium leprae、mycobacterium tuberculosis、及び/またはmycobacterium ulcerans種;q)Mycoplasma属、例えばMycoplasma pneumonia種;r)Neisseria属、例えばNeisseria gonorrhoeae及び/またはNeisseria meningitidia種;s)Pseudomonas属、例えばPseudomonas aeruginosa種;t)Rickettsia属、例えばRickettsia rickettsii種;u)Salmonella属、例えばSalmonella typhi及び/またはSalmonella typhimurium種;v)Shigella属、例えばShigella sonnei種;w)Staphylococcus属、例えばStaphylococcus aureus、Staphylococcus epidermidis、及び/またはStaphylococcus saprophyticus種;x)Streptpcoccus属、例えばStreptococcus agalactiae、Streptococcus pneumonia、及び/またはStreptococcus pyogenes種;y)Treponema属、例えばTreponema pallidum種;z)Vibrio属、例えばVibrio cholera;及び/またはaa)Yersinia属、例えばYersinia pestis種に見出すことができる。
【0213】
いくつかの事例では、本開示の組成物は、感染性疾患を治療するために使用され得、感染性疾患は、ウイルスによって引き起こされ得る。ウイルスの非限定的な例は、以下のウイルスの科に見出すことができ、典型的な種と共に示す:a)Adenoviridae科、例えばアデノウイルス種;b)Herpesviridae科、例えば、単純ヘルペス1型、単純ヘルペス2型、水痘帯状疱疹ウイルス、エプスタイン・バールウイルス、ヒトサイトメガロウイルス、ヒトヘルペスウイルス8型種;c)Papillomaviridae科、例えばヒトパピローマウイルス種;d)Polyomaviridae科、例えば、BKウイルス、JCウイルス種;e)Poxviridae科、例えば天然痘種;f)Hepadnaviridae科、例えばB型肝炎ウイルス種;g)Parvoviridae科、例えば、ヒトボカウイルス、パルボウイルスB19種;h)Astroviridae科、例えば、ヒトアストロウイルス種;i)Caliciviridae科、例えばノーウォークウイルス種;j)Flaviviridae科、例えば、C型肝炎ウイルス(HCV)、黄熱ウイルス、デングウイルス、西ナイルウイルス種;k)Togaviridae科、例えば風疹ウイルス種;l)Hepeviridae科、例えばE型肝炎ウイルス種;m)Retroviridae科、例えばヒト免疫不全ウイルス(HIV)種;n)Orthomyxoviridaw科、例えばインフルエンザウイルス種;o)Arenaviridae科、例えば、グアナリトウイルス、フニンウイルス、ラッサウイルス、マチュポウイルス、及び/またはサビアウイルス種;p)Bunyaviridae科、例えばクリミア・コンゴ出血熱ウイルス種;q)Filoviridae科、例えばエボラウイルス及び/またはマールブルグウイルス種;Paramyxoviridae科、例えば、麻疹ウイルス、おたふく風邪ウイルス、パラインフルエンザウイルス、呼吸器合胞体ウイルス、ヒトメタニューモウイルス、ヘンドラウイルス及び/またはニパウイルス種;r)Rhabdoviridae属、例えば狂犬病ウイルス種;s)Reoviridae科、例えばロタウイルス、オルビウイルス、コルチウイルス及び/またはバンナウイルス種。いくつかの例では、ウイルスは、D型肝炎など、ウイルス科に割り当てられないものである。
【0214】
いくつかの事例では、本開示の組成物は、免疫疾患、例えば、自己免疫疾患を治療するために使用され得る。自己免疫疾患を含めた炎症性疾患は、B細胞障害に関連する疾患の部類でもある。自己免疫状態を含めた免疫疾患または状態の例としては、関節リウマチ、リウマチ熱、多発性硬化症、実験的自己免疫性脳脊髄炎、乾癬、ぶどう膜炎、真性糖尿病、全身性紅斑性狼瘡(SLE)、狼瘡腎炎、湿疹、強皮症、多発性筋炎/強皮症、多発性筋炎/皮膚筋炎、潰瘍性直腸炎、潰瘍性大腸炎、重症複合免疫不全症(SCID)、ディ・ジョージ症候群、毛細血管拡張性運動失調症、季節性アレルギー、通年性アレルギー、食物アレルギー、アナフィラキシー、肥満細胞症、アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎、パーキンソン病、アルツハイマー病、脾機能亢進症、白血球接着不全症、X連鎖リンパ増殖性疾患、X連鎖無ガンマグロブリン血症、選択的免疫グロブリンA欠損症、高IgM症候群、HIV、自己免疫性リンパ増殖症候群、ウィスコット・アルドリッチ症候群、慢性肉芽腫症、分類不能型免疫不全症(CVID)、高免疫グロブリンE症候群、橋本甲状腺炎、急性特発性血小板減少性紫斑病、慢性特発性血小板減少性紫斑病、皮膚筋炎、シデナム舞踏病、重症筋無力症、多腺性症候群、水疱性類天疱瘡、ヘノッホ・シェーンライン紫斑病、連鎖球菌感染後腎炎、結節性紅斑、多形性紅斑、gA腎症、高安動脈炎、アジソン病、サルコイドーシス、潰瘍性大腸炎、結節性多発性動脈炎、強直性脊椎炎、グッドパスチャー症候群、閉塞性血栓性血管炎(thromboangitisubiterans)、シェーグレン症候群、原発性胆汁性肝硬変、橋本甲状腺炎、甲状腺中毒症、慢性活動性肝炎、多発性軟骨炎、尋常性天疱瘡(pamphigus vulgaris)、ウェゲナー肉芽腫症、膜性腎症、筋萎縮性側索硬化症、脊髄癆、巨細胞性動脈炎/多発筋痛症、悪性貧血(peraiciousanemia)、急速進行性糸球体腎炎、乾癬、線維化肺胞炎、及びがんが挙げられる。
【0215】
本開示の組成物による処置は、症状の臨床的発症の前、間及び後に対象に提供され得る。処置は、疾患の臨床的発症から1日後、1週間、6ヶ月後、12ヶ月後または2年後に対象に提供され得る。処置は、疾患の臨床的発症の後、1日間、1週間、1ヶ月間、6ヶ月間、12ヶ月間、2年間、3年間、4年間、5年間、6年間、7年間、8年間、9年間、10年間またはそれ以上にわたって対象に提供され得る。処置は、疾患の臨床的発症の後、1日未満、1週間未満、1ヶ月未満、6ヶ月未満、12ヶ月未満または2年未満にわたって対象に提供され得る。処置は治験でヒトを処置することも含み得る。処置は、γδT細胞集団を選択的に増殖させる1つ以上の薬剤を含む医薬組成物を対象に投与することを含むことができる。処置は、本開示の非操作型濃縮γδT細胞集団、操作型濃縮γδT細胞集団及び/またはその混合物を対象に投与することを含むことができる。いくつかの事例では、医薬組成物は、本開示のγδT細胞集団及び非操作型濃縮γδT細胞集団、操作型濃縮γδT細胞集団、ならびに/またはその混合物を選択的に増殖させる本開示の1つ以上の薬剤を含む。
【0216】
いくつかの事例では、本開示の組成物の対象への投与は、対象の体内での内因性リンパ球の活性を調節する。いくつかの事例では、本開示の組成物の対象への投与は、内因性T細胞に抗原を提供し、免疫応答を増強し得る。いくつかの事例では、メモリーT細胞はCD4T細胞である。いくつかの事例では、メモリーT細胞はCD8T細胞である。いくつかの事例では、本開示の組成物の対象への投与は、別の免疫細胞の細胞傷害性を活性化させる。いくつかの事例では、他の免疫細胞は、CD8+T細胞である。いくつかの事例では、他の免疫細胞は、ナチュラルキラーT細胞である。いくつかの事例では、組成物の対象への投与は、調節性T細胞を抑制する。いくつかの事例では、調節性T細胞は、Fox3+Treg細胞である。いくつかの事例では、調節性T細胞は、Fox3-Treg細胞である。γδT細胞集団によって活性を調節されることができる細胞の非限定的な例としては、造血幹細胞、B細胞、CD4、CD8、赤血球、白血球(white blood cells)、樹状細胞、例えば樹状抗原提示細胞、白血球(leukocytes)、マクロファージ、メモリーB細胞、メモリーT細胞、単球、ナチュラルキラー細胞、好中性顆粒球、Tヘルパー細胞、及びTキラー細胞が挙げられる。
【0217】
大抵の骨髄移植の間、対象の免疫系による移植物中の造血幹細胞(HSC)の拒絶反応を防止するためにシクロホスファミドと全身照射との組合せが慣例的に採用される。いくつかの事例では、生体外でのドナー骨髄とインターロイキン-2(IL-2)とのインキュベーションを実施して骨髄でのキラーリンパ球の産生を強化する。インターロイキン-2(IL-2)は、野生型リンパ球の成長、増殖及び分化に必要とされるサイトカインである。ヒトにγδT細胞を養子移入する現在の研究は、γδT細胞とインターロイキン-2との共投与を要求し得る。しかしながら、低投薬量及び高投薬量のIL-2はどちらも有毒な副作用を有し得る。IL-2毒性は、多数の臓器/系、最も顕著には心臓、肺、腎臓及び中枢神経系において顕在化し得る。いくつかの事例では、本開示は、サイトカイン、例えば、IL-2、IL-15、IL-12またはIL-21の共投与を伴わずに非操作型濃縮γδT細胞集団、操作型濃縮γδT細胞集団及び/またはその混合物を対象に投与する方法を提供する。いくつかの事例では、非操作型濃縮γδT細胞集団、操作型濃縮γδT細胞集団及び/またはその混合物は、IL-2の共投与を伴わずに対象へ投与されることができる。いくつかの事例では、非操作型濃縮γδT細胞集団、操作型濃縮γδT細胞集団及び/またはその混合物は、骨髄移植などの手順の間に、IL-2の共投与を伴わずに対象へ投与される。
【0218】
いくつかの事例では、本開示は、非操作型濃縮γδT細胞集団、操作型濃縮γδT細胞集団、及び/またはその混合物を、対象に、サイトカインまたは他の刺激剤、例えば、IL-2、IL-4、IL-7、IL-9、IL-12、IL-15、IL-18、IL-19、IL-21、IL23、IL-33、IFNγ、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)、または顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)の同時または連続共投与と共に投与する方法を提供する。いくつかの事例では、サイトカインは、IL-2、IL-15、IL-12、またはIL-21である。いくつかの事例では、サイトカインは、IL-2である。いくつかの事例では、サイトカインは、IL-15である。いくつかの事例では、サイトカインは、IL-4である。いくつかの事例では、サイトカインは、IL-2、IL-4、IL-7、IL-9、IL-15、及びIL-21、またはそれらの組み合わせからなる群から選択される一般的なガンマ鎖サイトカインである。
【0219】
投与方法
選択的増殖剤、非操作型濃縮γδT細胞集団、操作型濃縮γδT細胞集団、及び/またはその混合物を含む本発明の1つまたは複数の組成物は、任意の順序で、または同時に対象に投与されることができる。同時の場合、組成物は、静脈注射などの単回一体化形態で、または多回形態として、例えば、多回静脈内注入、s.c、注射、もしくは錠剤として提供することができる。組成物は、単一のパッケージまたは複数のパッケージに、一緒または別々に包装することができる。本発明の組成物のうちの1つまたは全てを多回用量で与えることができる。同時でない場合、多回用量間のタイミングは、約1週間、1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月または約1年もの長さまで様々であり得る。いくつかの事例では、投与されたγδT細胞集団、操作型濃縮γδT細胞集団、及び/またはその混合物は、対象への投与後に、生体内で、対象の体内で増殖することができる。γδT細胞及び/または活性化剤を含む医薬組成物は、キットとして包装されることができる。キットは、本明細書に記載の組成物のうちの1つ以上に加えて、組成物の使用に関する説明(例えば、説明書)を含み得る。
【0220】
いくつかの事例では、がんを治療する方法は、本明細書に記載の組成物を投与することを含み、当該投与によってがんが治療される。いくつかの実施形態では、治療的有効量の組成物は、少なくとも約10秒間、30秒間、1分間、10分間、30分間、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、12時間、24時間、2日間、3日間、4日間、5日間、6日間、1週間、2週間、3週間、1ヶ月間、2ヶ月間、3ヶ月間、4ヶ月間、5ヶ月間、6ヶ月間または1年間にわたって投与される。
【0221】
本明細書に記載の1つ以上の組成物は、疾患または症状の発生の前、間または後に投与されることができ、医薬組成物を投与するタイミングは様々であり得る。例えば、1つ以上の組成物は、予防薬として使用されることができ、疾患または状態の発生の可能性を低くするために状態または疾患の傾向を有する対象に継続的に投与されることができる。1つ以上の組成物は、症候の発症の間、またはその後できるだけ早く、対象へ投与され得る。1つ以上の組成物の投与は、症候発症時まで、症候発症後の最初の3時間以内、症候発症後の最初の6時間以内、症候発症後の最初の24時間以内、症候発症から48時間以内、または症候発症から任意の時間までに、早急に開始され得る。初回投与は、任意の実用的な経路を介して、例えば、本明細書に記載の任意の製剤を使用して本明細書に記載の任意の経路によって行うことができる。いくつかの例では、本開示の1つ以上の組成物の投与は、静脈内投与である。1つ以上の組成物の1回分または多回分の投薬量は、がん、感染性疾患、免疫疾患、敗血症の発症後に実施可能になり次第、または骨髄移植と共に、かつ免疫疾患の治療に必要な長さの時間にわたって、例えば、約24時間~約48時間、約48時間~約1週間、約1週間~約2週間、約2週間~約1ヶ月間、約1ヶ月間~約3ヶ月間にわたって、投与され得る。がんの治療のためには、1つ以上の組成物の1回または複数回の投薬量を、がんの発症から数年後、かつ他の治療の前または後に投与することができる。いくつかの例では、本明細書に記載の1つ以上の組成物を少なくとも約10分間、30分間、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、12時間、24時間、少なくとも48時間、少なくとも72時間、少なくとも96時間、少なくとも1週間、少なくとも2週間、少なくとも3週間、少なくとも4週間、少なくとも1ヶ月間、少なくとも2ヶ月間、少なくとも3ヶ月間、少なくとも4ヶ月間、少なくとも5ヶ月間、少なくとも6ヶ月間、少なくとも7ヶ月間、少なくとも8ヶ月間、少なくとも9ヶ月間、少なくとも10ヶ月間、少なくとも11ヶ月間、少なくとも12ヶ月間、少なくとも1年間、少なくとも2年間、少なくとも3年間、少なくとも4年間、または少なくとも5年間にわたって投与することができる。処置の長さは各対象で異なり得る。
【0222】
投薬量
本明細書において開示される非操作型濃縮γδT細胞集団、操作型濃縮γδT細胞集団及び/またはその混合物は、正確な投薬量の単回投与に適した単位剤形として製剤化され得る。いくつかの事例では、単位剤形はさらなるリンパ球を含む。単位剤形では製剤が、1つ以上の化合物を適切な量で含有する単位用量に分割されている。単位投薬量は、製剤の個々の量を含有するパッケージの形態とすることができる。非限定的な例は、包装された錠剤またはカプセル、及びバイアルまたはアンプルに入った粉末である。水性懸濁液組成物は単回用量の再封不可能容器に入れることができる。多回用量の再封可能容器を、例えば保存料と組み合わせて、または保存料なしで使用することができる。いくつかの例では、医薬組成物は保存料を含まない。非経口注射用製剤は、単位剤形、例えばアンプルで、または保存料と共に多回用量容器で提供することができる。
【0223】
本明細書に記載の非操作型濃縮γδT細胞集団、操作型濃縮γδT細胞集団及び/またはその混合物は、少なくとも5細胞、少なくとも10細胞、少なくとも20細胞、少なくとも30細胞、少なくとも40細胞、少なくとも50細胞、少なくとも60細胞、少なくとも70細胞、少なくとも80細胞、少なくとも90細胞、少なくとも100細胞、少なくとも200細胞、少なくとも300細胞、少なくとも400細胞、少なくとも500細胞、少なくとも600細胞、少なくとも700細胞、少なくとも800細胞、少なくとも900細胞、少なくとも1×10細胞、少なくとも2×10細胞、少なくとも3×10細胞、少なくとも4×10細胞、少なくとも5×10細胞、少なくとも6×10細胞、少なくとも7×10細胞、少なくとも8×10細胞、少なくとも9×10細胞、少なくとも1×10細胞、少なくとも2×10細胞、少なくとも3×10細胞、少なくとも4×10細胞、少なくとも5×10細胞、少なくとも6×10細胞、少なくとも7×10細胞、少なくとも8×10細胞、少なくとも9×10細胞、少なくとも1×10細胞、少なくとも2×10細胞、少なくとも3×10細胞、少なくとも4×10細胞、少なくとも5×10細胞、少なくとも6×10細胞、少なくとも7×10細胞、少なくとも8×10細胞、少なくとも9×10細胞、少なくとも1×10細胞、少なくとも2×10細胞、少なくとも3×10細胞、少なくとも4×10細胞、少なくとも5×10細胞、少なくとも6×10細胞、少なくとも7×10細胞、少なくとも8×10細胞、少なくとも9×10細胞、少なくとも1×10細胞、少なくとも2×10細胞、少なくとも3×10細胞、少なくとも4×10細胞、少なくとも5×10細胞、少なくとも6×10細胞、少なくとも7×10細胞、少なくとも8×10細胞、少なくとも9×10細胞、少なくとも1×10細胞、少なくとも2×10細胞、少なくとも3×10細胞、少なくとも4×10細胞、少なくとも5×10細胞、少なくとも6×10細胞、少なくとも7×10細胞、少なくとも8×10細胞、少なくとも9×10細胞、少なくとも1×10細胞またはそれより多い量で組成物中に存在し得る。
【0224】
本発明の非操作型濃縮γδT細胞集団、操作型濃縮γδT細胞集団及び/またはその混合物の治療的有効用量は、約1細胞~約10細胞、約1細胞~約100細胞、約1細胞~約10細胞、約1細胞~約20細胞、約1細胞~約30細胞、約1細胞~約40細胞、約1細胞~約50細胞、約1細胞~約60細胞、約1細胞~約70細胞、約1細胞~約80細胞、約1細胞~約90細胞、約1細胞~約100細胞、約1細胞~約1×10細胞、約1細胞~約2×10細胞、約1細胞~約3×10細胞、約1細胞~約4×10細胞、約1細胞~約5×10細胞、約1細胞~約6×10細胞、約1細胞~約7×10細胞、約1細胞~約8×10細胞、約1細胞~約9×10細胞、約1細胞~約1×10細胞、約1細胞~約2×10細胞、約1細胞~約3×10細胞、約1細胞~約4×10細胞、約1細胞~約5×10細胞、約1細胞~約6×10細胞、約1細胞~約7×10細胞、約1細胞~約8×10細胞、約1細胞~約9×10細胞、約1細胞~約1×10細胞、約1細胞~約2×10細胞、約1細胞~約3×10細胞、約1細胞~約4×10細胞、約1細胞~約5×10細胞、約1細胞~約6×10細胞、約1細胞~約7×10細胞、約1細胞~約8×10細胞、約1細胞~約9×10細胞、約1細胞~約1×10細胞、約1細胞~約2×10細胞、約1細胞~約3×10細胞、約1細胞~約4×10細胞、約1細胞~約5×10細胞、約1細胞~約6×10細胞、約1細胞~約7×10細胞、約1細胞~約8×10細胞、約1細胞~約9×10細胞、約1細胞~約1×10細胞、約1細胞~約2×10細胞、約1細胞~約3×10細胞、約1細胞~約4×10細胞、約1細胞~約5×10細胞、約1細胞~約6×10細胞、約1細胞~約7×10細胞、約1細胞~約8×10細胞、約1細胞~約9×10細胞、約1細胞~約1×10細胞、約1細胞~約2×10細胞、約1細胞~約3×10細胞、約1細胞~約4×10細胞、約1細胞~約5×10細胞、約1細胞~約6×10細胞、約1細胞~約7×10細胞、約1細胞~約8×10細胞、約1細胞~約9×10細胞、または約1細胞~約1×10細胞であり得る。
【0225】
いくつかの事例では、本発明の非操作型濃縮γδT細胞集団、操作型濃縮γδT細胞集団及び/またはその混合物の治療的有効用量は、約1×10細胞~約2×10細胞、約1×10細胞~約3×10細胞、約1×10細胞~約4×10細胞、約1×10細胞~約5×10細胞、約1×10細胞~約6×10細胞、約1×10細胞~約7×10細胞、約1×10細胞~約8×10細胞、約1×10細胞~約9×10細胞、約1×10細胞~約1×10細胞、約1×10細胞~約2×10細胞、約1×10細胞~約3×10細胞、約1×10細胞~約4×10細胞、約1×10細胞~約5×10細胞、約1×10細胞~約6×10細胞、約1×10細胞~約7×10細胞、約1×10細胞~約8×10細胞、約1×10細胞~約9×10細胞、約1×10細胞~約1×10細胞、約1×10細胞~約2×10細胞、約1×10細胞~約3×10細胞、約1×10細胞~約4×10細胞、約1×10細胞~約5×10細胞、約1×10細胞~約6×10細胞、約1×10細胞~約7×10細胞、約1×10細胞~約8×10細胞、約1×10細胞~約9×10細胞、約1×10細胞~約1×10細胞、約1×10細胞~約2×10細胞、約1×10細胞~約3×10細胞、約1×10細胞~約4×10細胞、約1×10細胞~約5×10細胞、約1×10細胞~約6×10細胞、約1×10細胞~約7×10細胞、約1×10細胞~約8×10細胞、約1×10細胞~約9×10細胞、約1×10細胞~約1×10細胞、約1×10細胞~約2×10細胞、約1×10細胞~約3×10細胞、約1×10細胞~約4×10細胞、約1×10細胞~約5×10細胞、約1×10細胞~約6×10細胞、約1×10細胞~約7×10細胞、約1×10細胞~約8×10細胞、約1×10細胞~約9×10細胞、約1×10細胞~約1×10細胞、約1×10細胞~約2×10細胞、約1×10細胞~約3×10細胞、約1×10細胞~約4×10細胞、約1×10細胞~約5×10細胞、約1×10細胞~約6×10細胞、約1×10細胞~約7×10細胞、約1×10細胞~約8×10細胞、約1×10細胞~約9×10細胞、約1×10細胞~約1×10細胞であり得る。
【0226】
いくつかの事例では、本発明の非操作型濃縮γδT細胞集団、操作型濃縮γδT細胞集団及び/またはその混合物の治療的有効用量は、約1×10細胞~約2×10細胞、約1×10細胞~約3×10細胞、約1×10細胞~約4×10細胞、約1×10細胞~約5×10細胞、約1×10細胞~約6×10細胞、約1×10細胞~約7×10細胞、約1×10細胞~約8×10細胞、約1×10細胞~約9×10細胞、約1×10細胞~約1×10細胞、約1×10細胞~約2×10細胞、約1×10細胞~約3×10細胞、約1×10細胞~約4×10細胞、約1×10細胞~約5×10細胞、約1×10細胞~約6×10細胞、約1×10細胞~約7×10細胞、約1×10細胞~約8×10細胞、約1×10細胞~約9×10細胞、約1×10細胞~約1×10細胞、約1×10細胞~約2×10細胞、約1×10細胞~約3×10細胞、約1×10細胞~約4×10細胞、約1×10細胞~約5×10細胞、約1×10細胞~約6×10細胞、約1×10細胞~約7×10細胞、約1×10細胞~約8×10細胞、約1×10細胞~約9×10細胞、約1×10細胞~約1×10細胞、約1×10細胞~約2×10細胞、約1×10細胞~約3×10細胞、約1×10細胞~約4×10細胞、約1×10細胞~約5×10細胞、約1×10細胞~約6×10細胞、約1×10細胞~約7×10細胞、約1×10細胞~約8×10細胞、約1×10細胞~約9×10細胞、約1×10細胞~約1×10細胞、約1×10細胞~約2×10細胞、約1×10細胞~約3×10細胞、約1×10細胞~約4×10細胞、約1×10細胞~約5×10細胞、約1×10細胞~約6×10細胞、約1×10細胞~約7×10細胞、約1×10細胞~約8×10細胞、約1×10細胞~約9×10細胞、約1×10細胞~約1×10細胞、約1×10細胞~約2×10細胞、約1×10細胞~約3×10細胞、約1×10細胞~約4×10細胞、約1×10細胞~約5×10細胞、約1×10細胞~約6×10細胞、約1×10細胞~約7×10細胞、約1×10細胞~約8×10細胞、約1×10細胞~約9×10細胞、または約1×10細胞~約1×1010細胞であり得る。
【0227】
抗体または他の活性化剤、例えば、図1~5のいずれか1つに記載の抗体と同じもしくは本質的に同じエピトープに結合するか、またはそれと競合する薬剤が投与される場合、通常の投薬量は、投与経路に応じて、1日当たり哺乳動物体重の約10ng/kg~最大100mg/kg以上、好ましくは約1μg/kg/日~10mg/kg/日で変化し得る。特定の投薬量及び送達方法に関するガイダンスが文献に提供され、例えば、米国特許第4,657,760号、同第5,206,344号、または同第5,225,212号を参照されたい。異なる製剤が、異なる処置用化合物及び異なる障害に有効であり、例えば、ある臓器または組織を標的とする投与が、それとは異なる様式で別の臓器または組織への送達を必要とし得ることが予想される。
【0228】
免疫関連疾患の治療または重症度の低減のために、本発明の組成物の適切な投薬量は、上で定義されるように、処置される疾患の種類、疾患の重症度及び経過、薬剤が予防または治療目的で投与されるか、以前の療法、患者の臨床履歴及び化合物への応答、ならびに主治医の裁量に依存するであろう。組成物は、対象に、一度で、または一連の処置にわたって適切に投与することができる。
【0229】
例えば、疾患の種類及び重症度に応じて、約1mg/kg~15mg/kg(例えば、0.1~20mg/kg)の活性化剤(例えば、ポリペプチドまたは抗体)は、例えば、1回以上の別個の投与によって、または連続注入によってにかかわらず、対象への投与のための初期候補投薬量である。典型的な1日の投薬量は、上述の因子に応じて、約1mg/kg~100mg/kg以上の範囲であってもよい。数日以上にわたる繰り返し投与については、状態に応じて、疾患症状の所望の抑制が生じるまで処置を維持する。しかしながら、他の投薬レジメンが有用であり得る。この療法の進捗は、従来の技法及びアッセイによって容易に監視される。
【0230】
保存
いくつかの実施形態では、生体内活性化または増殖γδT細胞集団の生体外増殖によって得られる濃縮γδT細胞集団、及び/またはその混合物は、冷凍用培地で製剤化され、少なくとも約1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月、1年、2年、3年、または少なくとも5年の長期保存のために液体窒素冷凍庫(-195℃)または超低温冷凍庫(-65℃、-80℃、または-120℃)などの凍結保存ユニット内に置かれ得る。冷凍用培地は、ジメチルスルホキシド(DMSO)、及び/または塩化ナトリウム(NaCl)、及び/またはデキストロース、及び/または硫酸デキストラン、及び/またはヒドロキシエチルデンプン(HES)を生理学的pH緩衝剤と共に含有して、約6.0~約6.5、約6.5~約7.0、約7.0~約7.5、約7.5~約8.0、または約6.5~約7.5のpHを維持することができる。凍結保存されたγδT細胞は、解凍され、本明細書に記載の抗体、タンパク質、ペプチド、及び/またはサイトカインによる刺激によってさらに処理されることができる。凍結保存されたγδT細胞は、解凍されて、本明細書に記載のウイルスベクター(レトロウイルス及びレンチウイルスベクターを含む)または非ウイルス的手段(RNA、DNA及びタンパク質を含む)によって遺伝子改変されることができる。いくつかの事例では、非操作型γδT細胞は、本明細書に記載の方法によって増殖させることができ、方法は、生体内増殖のステップを含み、遺伝子改変して、凍結保存することができる。
【0231】
このようにして、遺伝子操作型及び/または非操作型γδT細胞をさらに凍結保存して、凍結溶媒地中1mL当たり少なくとも約10、10、10、10、10、10、10、10、10または少なくとも約1010細胞の、少なくとも1、5、10、100、150、200、500バイアルの量の細胞バンクを生成することができる。凍結保存された細胞バンクは、その機能性を保持し得、解凍されてさらに刺激され増殖することができる。いくつかの態様では、解凍された細胞を細胞培養バッグ及び/またはバイオリアクターなどの適切な閉鎖容器内で刺激して増殖させて、多量の細胞を同種異系細胞製品として作り出すことができる。凍結保存されたγδT細胞は、凍結保管条件下でその生物学的機能を少なくとも約6ヶ月間、7ヶ月間、8ヶ月間、9ヶ月間、10ヶ月間、11ヶ月間、12ヶ月間、13ヶ月間、15ヶ月間、18ヶ月間、20ヶ月間、24ヶ月間、30ヶ月間、36ヶ月間、40ヶ月間、50ヶ月間または少なくとも約60ヶ月間にわたって維持することができる。いくつかの態様では、製剤に保存料を使用しない。凍結保存されたγδT細胞は、解凍され、同種異系の市販細胞製品として複数の患者に投与(例えば、注入)されることができる。γδT細胞を選択的に増殖させる本明細書に記載の1つ以上の薬剤を投与することによって、投与された対象(複数可)において、注入細胞を増殖及び/または維持することができる。
【0232】
本明細書中で言及する全ての刊行物及び特許は、参照によりそれらの全体が、例えば本明細書に記載の本発明に関連して用いられる可能性のある当該刊行物に記載の構築物及び方法論を記述及び開示することを目的として本明細書に援用される。本明細書において述べられている刊行物は、単に本願の出願日の前でのその開示のために提供されているに過ぎない。本明細書中のいかなるものも、本明細書に記載の本発明者らが先行発明またはその他任意の理由のためにそのような開示に先行する権利を有さないということの承認として解釈されるべきではない。
【実施例
【0233】
実施例1.δ1TCR、δ2TCR、及び/またはδ3TCRに選択的に結合する1つ以上の薬剤でのγδT細胞の生体内増殖による腫瘍の処置
γδT細胞活性化剤の投与がヒトγδT細胞の増殖及び活性化ならびに腫瘍の処置に及ぼす効果を異種移植マウスモデルにおいて試験する。異なる血液腫瘍細胞株(例えば、Raji、Daudi、Mino、NALM6、JVM-2、HL-60、MOLM-13、K562、KG-1a、Mv4-11、MOLT-4、または他)及び固形腫瘍細胞株(例えば、HCT116、結腸癌COLO205、メラノーマSK-MEL5、膵臓BcPC3またはASPC-1、乳癌、例えば、MDA-MB-231、前立腺癌、例えば、PC3またはLNCAP、肝臓癌HepG2及びHuh7など)は、SCID/SCID、NODーSCID、NSG、NOG(登録商標)(Taconic)、NCG(登録商標)(Charles River Laboratories)、またはCD34hu-NSG(登録商標)(Jackson Labs)マウスに皮下、腹腔内、同所、または静脈内(例えば、1×10~1×10細胞)に注射される。皮下、同所性、または播種性腫瘍成長は、キャリパーまたはイメージングによって1週間に2回測定する。腫瘍細胞投与の日、または腫瘍が確立されたとき(50~200mm)、またはバイオマーカーの出現によって見られるように、本明細書に記載される非操作型または操作型の、δ1、δ2、またはδ3γδT細胞(1~100×10細胞)は、IL-2、IL-15、またはIL-7などのサイトカインの非存在または存在下で、腫瘍担持マウスへの尾静脈または腹腔内注射を介してPBS中で養子移入する。各群の動物は、処置群(異なる活性化剤で処置)またはビヒクル対照群に分ける。γδT細胞養子移入の前または後の所定の時点で(例えば、-1日目、0日目、1日目、2日目、3日目以降)、動物に、ビヒクル対照またはδ1もしくはδ2もしくはδ3特異的活性化剤を投与する。(同じまたは異なる用量及び/または投薬スケジュールで)アミノビスホスホネートと組み合わされた活性化剤の効果も試験する。活性化剤は、試験終了までの1サイクル以上で、マウスにおける薬剤半減期及び効力に基づいて1週間に1~2回投与される。活性化剤は、動物当たり0.001~1mgの用量で1週間に1~4回与えることができる。
【0234】
生まれたときに生着CD34+前駆細胞によってヒト化されたCD34+hu-NSG(登録商標)または同等のマウスを使用することは、ヒト異種移植腫瘍の存在下または非存在下でそのようなモデル動物において発生する内因性γδT細胞集団に対する活性化剤の効果を示す。
【0235】
実施例2.生体内でのγδT細胞集団の増殖
活性化剤は、例えば、生体外増殖後に、非操作型または操作型細胞として、対象に投与される対象の内因性γδT細胞及び/またはγδT細胞の異なるγδT細胞集団を活性化及び増殖させるために使用される。
【0236】
生体内増殖γδ1T細胞集団について、対象は、1つ以上のδ1γδT細胞活性化剤を受ける。生体内増殖γδ2T細胞集団について、患者は、1つ以上のδ2γδT細胞活性化剤を受け、生体内増殖γδ3T細胞集団について、患者は、1つ以上のδ3γδ細胞活性化剤を受ける。MAbなどの活性化剤は、γδT細胞集団が存在する血液、腫瘍組織、及び他の組織に抗体を送達することができる任意の経路を介して投与されるように製剤化される。投与経路としては、静脈内、腹腔内、筋肉内、腫瘍内、皮内などが挙げられるが、これらに限定されない。処置は、一般に、許容可能な投与経路を介して、典型的には、0.01、0.05、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、または25mg/体重kgを含むが、これらに限定されない範囲の用量で、活性化MAb調製物の繰り返し投与を伴う。一般に、1週間当たり10~1000mgのMAbの範囲の用量は、有効であり、十分に忍容される。好ましくは、初期負荷用量は、90分以上の注入として投与される。定期的な維持用量は、初回用量が十分に忍容されたことを条件として、30分以上の注入として投与される。当業者には理解されるように、様々な因子は、特定の事例における理想的な用量レジメンに影響を及ぼし得る。そのような因子としては、例えば、使用されるMAbの結合親和性及び半減期、対象における循環または標的組織常在γδT細胞の数、MAbアイソタイプ、所望の定常状態抗体濃度レベル、処置頻度、ならびに本発明の生体内増殖方法と併用される化学療法剤または他の薬剤の影響、ならびに特定の患者の健康状態が挙げられる。
【0237】
約4mg/患者体重kgのIVの初回負荷用量、続いて約2mg/MAb調製物kgのIVの週次用量は、例示的な投薬レジメンを表す。1つ以上の活性化剤は、処置の1つ以上のサイクルについて、上記に列挙される考慮事項に基づいて毎週、隔週、または毎月投与される。非限定的な好ましいヒト単位用量は、例えば、500μg~1mg、1mg~50mg、50mg~100mg、100mg~200mg、200mg~300mg、400mg~500mg、500mg~600mg、600mg~700mg、700mg~800mg、800mg~900mg、900mg~1g、または1mg~700mgである。特定の実施形態では、用量は、2~5mg/体重kgの範囲であり、例えば、1~3mg/kgの週次用量、続いて、例えば、週次用量よる2、3、または4週間で、0.5mg、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10mg/体重kg、例えば、続いて週次用量による2、3、または4週間で、0.5~10mg/体重kg、毎週225、250、275、300、325、350、375、400mg/体表面積m、毎週1~600mg/体表面積m、毎週225~400mg/体表面積mに続き、これらの用量には、2、3、4、5、6、7、8、9、19、11、または12週間以上の週次用量に続くことができる。
【0238】
用量及び投与頻度は、妥当なγδT細胞集団の増殖または維持を支持するように選択される。患者の循環γδT細胞の頻度、表現型、及び活性化状態に対する効果を、活性化剤投与の1、2、3、7、14、または28日後に試験する。加えて、αβT細胞、NK細胞、及び/または樹状細胞の頻度、表現型、及び活性化状態に対する効果を試験することができる。
【0239】
いくつかの処置レジメンでは、活性化剤は、IL-2、またはIL-15を含むが、これに限定されない、他のサイトカインと併せて投与される。活性化剤がアミノビスホスホネートと共に投与される場合、アミノビスホスホネート(例えば、パミドロネートまたはゾレドロン酸)は、活性化剤投与の前に、それと併せて、またはその後に投与される。
【0240】
活性化剤の治療効果は、臨床応答に基づいて評価される。例えば、固形腫瘍の処置のために、Recist基準を使用することができる。応答は、処置開始後1、3、6、9、及び12ヶ月で測定される。バイタルサイン、心電図、臨床検査結果、及び有害事象を使用して安全性を評価する。コンピュータ断層撮影(CT)スキャンなどの腫瘍評価は、ベースライン及び対象が試験に参加している間8週間毎に実施される。注入細胞の存在について各対象から連続血液試料を採取する。有効性及び安全性データの分析に使用される全ての統計的試験は、両側であり、0.05レベルの有意性で実施され、90%信頼区間が計算される。
【0241】
記載された研究は、多施設試験で実施され、以前に処置されているか、または有効な標準処置が利用可能でない局所進行性及び/もしくは転移性血液もしくは固形癌を有する対象で実施される。非操作型または操作型γδT細胞(各用量レベルで1×10、2×10、5×10、及び1×10-1コホート)を、4時間にわたって1回、または各サイクルの1日目に4週間毎に静脈内投与する。
【0242】
実施例3.生体内でのγδT細胞集団の増殖
hIL-15導入遺伝子を発現するNOG非担腫瘍マウスは、Taconic(NOD.Cg-PrkdcscidIL2rgtm1SugTg(CMV-IL2/IL15)1-1Jic/JicTac)から得られ、WO2017/197347またはWO2019/099744に記載されるように増殖したVδ1、Vδ2、またはVδ3γδCAR-T細胞を接種した。細胞を増殖後に凍結保存し、IL-2を含有する細胞培養培地への投与の1日前に解凍した。投与当日、製造業者の説明書に従って、細胞をCellTrace Violateで30分間標識し、20×10細胞/動物でiv投与した。動物のサブセットはまた、細胞の投与の4~5時間前に非特異的マウスIgG画分のip注射を受けた。
【0243】
細胞投与後の2日目に、示されるように、動物にVδサブタイプ特異的活性化剤を投与した。対照動物に活性化剤を投与しなかった。4日目または5日目に、動物を出血させ、同定、活性化マーカー、及び増殖について循環ヒトγδT細胞を特徴付けた。細胞投与後7日目に、動物を屠殺し、種々の臓器を採取した。脾臓及び骨髄をGentleMax(Miltenyi)デバイスを使用して崩壊させ、単一細胞懸濁液をフローサイトメトリーで分析した。
【0244】
図6に示すように、活性化剤の両方の用量で対照未処置動物と比較して、循環中及び肺中の総ヒトCD45細胞の検出数が減少した(動物当たり3及び10μg)。試験した他の組織(骨髄、脾臓)で見出された細胞の数は、有意な減少を経験しなかった。
【0245】
図7に示すように、血液、骨髄、及び脾臓中の細胞は、CellTrace Violetプロファイルが、両方の用量レベルでの細胞子孫における色素希釈に起因して減少した蛍光強度に向かって左にシフトすることによって証明されるように、活性化剤での処置後5日目までに増殖している。D1~35MAb活性化剤で処置した循環細胞におけるCD137上方調節も検出し、活性化のさらなる指標を提供した。
【0246】
図8に示すように、D1-35活性化MAbを投与されたが、IgG画分を投与されなかった動物(3行目)は、IgG画分及びD1-35の両方を投与された動物(2行目)と比較して増加した活性化を示した。同様に、D1-35とは異なるエピトープに結合するVδ1特異的抗体である活性化剤D1-08MAb(5行目)も、生体内で活性化特性を有し、CellTrace Violetによって検出されるように細胞増殖を誘導する。対照的に、D1-35抗体のアイソタイプをhIgG4に変更することは、MAbが細胞増殖を誘導する能力を有意に損なった(4行目)。hIgG4は、Fc受容体に対する有意に低減した親和性を示す。したがって、細胞増殖を誘導する能力の低下は、Fc受容体への固定化の低下に起因し得る。理論に拘束されることを望むものではないが、本発明者らは、Fc受容体を発現する細胞の表面上に固定化することが、おそらく固定化抗体と架橋することによってTCR凝集を増加させることによって、投与されたγδT細胞に対して投与された抗体によって提供される活性化効果を増加させると仮定する。本発明者らはさらに、高い価、例えば、IgGより高い価を有する抗原結合部分を使用して、この増加したTCR凝集を達成することもできると仮定する。したがって、本発明の1つの目的は、例えば、単一特異性で、非常に多価のγδT細胞活性化剤である。例えば、堅牢なγδT細胞活性化、増殖、及び/または維持は、γδT細胞を、例えば、三価、四価、五価などの活性化剤と接触させることによって得ることができる。いくつかの事例では、接触は、生体内で(例えば、活性化剤を対象に投与することによって)実施される。
【0247】
図9A~Bに示すように、Vδ2及びVδ3細胞の増殖は、それぞれ、CellTerace Violet色素希釈によって検出されるように、D2-37及びD3-23MAbで処置した動物の骨髄及び脾臓において検出された。
【0248】
本発明の好ましい実施形態を本明細書において示し記載してきたが、当業者にはそのような実施形態が単なる例として提供されているに過ぎないことが明らかであろう。今や当業者は、本発明から逸脱することなく数値の変動、変化及び置換を思い付くであろう。本発明の実施において本明細書に記載の本発明の実施形態に対する様々な変更が採用され得ることは理解されるべきである。以下の請求項によって本発明の範囲が画定されること、ならびにそれによってこれらの請求項の範囲内にある方法及び構造体とそれらの均等物とを包含することが意図される。
図1-1】
図1-2】
図2-1】
図2-2】
図3-1】
図3-2】
図4-1】
図4-2】
図5-1】
図5-2】
図6
図7A
図7B
図8
図9A
図9B
【配列表】
2022510387000001.app
【国際調査報告】