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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-26
(54)【発明の名称】再延伸及びアイロン掛けシステム
(51)【国際特許分類】
   B21D 22/28 20060101AFI20220119BHJP
   B21D 51/26 20060101ALI20220119BHJP
【FI】
B21D22/28 L
B21D51/26 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021531808
(86)(22)【出願日】2019-12-02
(85)【翻訳文提出日】2021-06-03
(86)【国際出願番号】 US2019063936
(87)【国際公開番号】W WO2020117641
(87)【国際公開日】2020-06-11
(31)【優先権主張番号】62/774,951
(32)【優先日】2018-12-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】506110243
【氏名又は名称】ノベリス・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】NOVELIS INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100156085
【弁理士】
【氏名又は名称】新免 勝利
(74)【代理人】
【識別番号】100138885
【弁理士】
【氏名又は名称】福政 充睦
(72)【発明者】
【氏名】ノブレガ,カルロス ジー ダブリュー
(72)【発明者】
【氏名】パク,ジェソク
(72)【発明者】
【氏名】ゲデス,マテウス
(72)【発明者】
【氏名】ショレス,ジェイ マイケル
(72)【発明者】
【氏名】レーマン,ロバート
【テーマコード(参考)】
4E137
【Fターム(参考)】
4E137AA06
4E137AA08
4E137AA11
4E137AA17
4E137BB04
4E137CA07
4E137CA11
4E137CA15
4E137CA24
4E137CA29
4E137DA11
4E137DA15
4E137EA01
4E137FA02
4E137FA10
4E137FA12
4E137FA13
4E137FA14
4E137FA15
4E137FA24
4E137GA02
4E137GB06
4E137GB16
(57)【要約】
缶再延伸及びアイロン掛けシステムは、ラム、パンチ、及びセンサシステムを含む。ラムは、ラム本体及びラムノーズを含む。パンチは、ラムノーズの上で支持され、アイロン掛けプロセス中に金属ブランクと係合するように構成される。センサシステムは、ラムにかかる総力を検出する第1のセンサ、及びラムノーズにかかる力を検出する第2のセンサを含む。
【選択図】図1及び図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
再延伸及びアイロン掛けシステムであって、
ラム本体及びラムノーズを備えるラムと、
前記ラムノーズの上で支持され、再延伸及びアイロン掛けプロセス中に金属ブランクと係合するように構成されたパンチと、
第1のセンサ及び第2のセンサを備えるセンサシステムであって、第1のセンサ及び第2のセンサが、前記再延伸及びアイロン掛けプロセス中にプロセス条件を検出するように構成される、前記センサシステムと
を備える、前記再延伸及びアイロン掛けシステム。
【請求項2】
前記プロセス条件が、前記ラムにかかる力、前記ラムでの温度、前記ラム内の圧力、または前記ラムの加速のうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の再延伸及びアイロン掛けシステム。
【請求項3】
前記ラムノーズが、前記ラム本体の前端部から延び、ラムノーズ端部を備え、前記第1のセンサが前記ラム本体上にあり、前記第2のセンサが、前記ラムノーズの少なくとも1つの上、前記ラム本体の前記前端部と前記ラムノーズ端部との間、または前記ラムノーズ端部の上にある、請求項1に記載の再延伸及びアイロン掛けシステム。
【請求項4】
前記パンチがパンチノーズ及びパンチスリーブを備え、前記パンチノーズが、処理中に前記金属ブランクと係合するように構成され、前記パンチスリーブが、前記パンチノーズと前記ラム本体との間の前記ラムノーズ上で支持される、請求項1に記載の再延伸及びアイロン掛けシステム。
【請求項5】
再延伸及びアイロン掛けシステムであって、
ラム本体及びラムノーズを備えるラムと、
前記ラムノーズの上で支持され、再延伸及びアイロン掛けプロセス中に金属ブランクと係合するように構成されたパンチと、
第1のセンサ及び第2のセンサを備えるセンサシステムであって、前記第1のセンサが、前記ラムにかかる総力を検出するように構成され、前記第2のセンサが、前記金属ブランクから形成された缶の側壁にまたは底部にかかる力を検出するように構成される、前記センサシステムと
を備える、前記再延伸及びアイロン掛けシステム。
【請求項6】
前記ラムノーズが、前記ラム本体の前端部から延び、ラムノーズ端部を備え、前記第1のセンサが前記ラム本体上にあり、前記第2のセンサが、前記ラムノーズの少なくとも1つの上、前記ラム本体の前記前端部と前記ラムノーズ端部との間、または前記ラムノーズ端部の上にある、請求項5に記載の再延伸及びアイロン掛けシステム。
【請求項7】
前記パンチがパンチノーズ及びパンチスリーブを備え、前記パンチノーズが、処理中に前記金属ブランクと係合するように構成され、前記パンチスリーブが、前記パンチノーズと前記ラム本体との間の前記ラムノーズ上で支持される、請求項5に記載の再延伸及びアイロン掛けシステム。
【請求項8】
前記ラム本体が前端部及び後端部を備え、前記ラムノーズが前記前端部から延び、前記パンチスリーブが前記前端部で前記ラム本体に当接する、請求項7に記載の再延伸及びアイロン掛けシステム。
【請求項9】
前記パンチノーズと前記ラムノーズとの間にスペーサをさらに備え、前記スペーサが、前記パンチノーズにかかる力が、前記パンチノーズが前記パンチスリーブと係合する前に前記ラムノーズに向けられるように、前記パンチノーズと前記パンチスリーブとの間に隙間を画定する、請求項7に記載の再延伸及びアイロン掛けシステム。
【請求項10】
前記スペーサが、前記パンチノーズから前記ラムノーズに向けられる前記力を検出するように構成された前記センサシステムの第3のセンサを備える、請求項9に記載の再延伸及びアイロン掛けシステム。
【請求項11】
前記第1のセンサ及び前記第2のセンサに通信で結合されたコントローラをさらに備え、前記コントローラが、
総力データを前記第1のセンサから受信し、
ラムノーズ力データを前記第2のセンサから受信し、
前記総力データ及び前記ラムノーズ力データに基づいて、前記パンチと缶本体との間の摩擦力を決定する
ように構成される、請求項5に記載の再延伸及びアイロン掛けシステム。
【請求項12】
前記ラムが、外面及び内部チャンバを画定する内面を備え、前記第2のセンサが、前記ラムノーズ上の前記ラムの前記外面上にあり、前記第1のセンサが前記ラム本体の前記内部チャンバ内にある、請求項5に記載の再延伸及びアイロン掛けシステム。
【請求項13】
再延伸及びアイロン掛けシステムであって、
ラム本体及びラムノーズを備えるラムと、
前記ラム本体に対して配置された第1のセンサ、及び前記ラムノーズに対して配置された第2のセンサを備えるセンサシステムであって、前記第1のセンサが、前記ラムにかかる総力を検出するように構成され、前記第2のセンサが、金属ブランクから形成された缶の側壁にまたは底部にかかる力を検出するように構成される、前記センサシステムと
を備える、前記再延伸及びアイロン掛けシステム。
【請求項14】
前記ラム本体が前端部及び後端部を備え、前記ラムノーズが、前記ラム本体の前端部から延び、ラムノーズ端部を備え、前記第1のセンサが前記ラム本体上にあり、前記第2のセンサが、前記ラムノーズの少なくとも1つの上、前記ラム本体の前記前端部と前記ラムノーズ端部との間、または前記ラムノーズ端部の上にある、請求項13に記載の再延伸及びアイロン掛けシステム。
【請求項15】
前記ラムノーズ上で支持されたパンチをさらに備え、前記パンチがパンチノーズ及びパンチスリーブを備え、前記ラムノーズが、アイロン掛けプロセス中に前記パンチノーズを金属ブランクと係合させるように構成される、請求項13に記載の再延伸及びアイロン掛けシステム。
【請求項16】
前記パンチノーズと前記ラムノーズとの間にスペーサをさらに備え、前記スペーサが、前記パンチノーズにかかる力が、前記パンチノーズが前記パンチスリーブと係合する前に前記ラムノーズに向けられるように、前記パンチノーズと前記パンチスリーブとの間に隙間を画定する、請求項15に記載の再延伸及びアイロン掛けシステム。
【請求項17】
前記スペーサが、前記パンチノーズから前記ラムノーズに向けられる前記力を検出するように構成された前記センサシステムの第3のセンサを備える、請求項16に記載の再延伸及びアイロン掛けシステム。
【請求項18】
前記ラムノーズ上で支持されたパンチ、及び前記第1のセンサ及び前記第2のセンサに通信で結合されたコントローラをさらに備え、前記コントローラが、
総力データを前記第1のセンサから受信し、
ラムノーズ力データを前記第2のセンサから受信し、
前記総力データ及び前記ラムノーズ力データに基づいて、前記パンチと缶本体との間の摩擦力を決定する
ように構成される、請求項13に記載の再延伸及びアイロン掛けシステム。
【請求項19】
前記ラムが、外面及び内部チャンバを画定する内面を備え、前記第2のセンサが、前記ラムノーズ上の前記ラムの前記外面上にあり、前記第1のセンサが前記ラム本体の前記内部チャンバ内にある、請求項13に記載の再延伸及びアイロン掛けシステム。
【請求項20】
前記内部チャンバ内で一定の圧力を印加するように構成された圧力システムをさらに備える、請求項19に記載の再延伸及びアイロン掛けシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の参照
本出願は、参照によりその内容が全体として本明細書に組み込まれる、2018年12月4日に出願され、「REDRAW AND IRONING SYSTMS AND METHODS」と題する米国仮出願第62/774,951号の利益を主張する。
【0002】
本出願は、一般に金属加工技術に関し、より具体的には再延伸及びアイロン掛けのための改善されたシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
食品及び飲料用の缶、消火器、ガソリンタンク、オイルフィルタケーシング、ダンパケーシングなどの多くの缶及びシリンダ形状の物品、ならびに多くの他のタイプの物品は、アルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス鋼、真鍮、低炭素鋼などの金属材料、及び多様な他の適切な材料から製造されている。金属材料から缶またはシリンダ形状の物品を形成するプロセスは、一般に、金属材料からブランクを製造し、次にブランクを延伸して浅いカップを形成することを含む。浅いカップを最初に延伸した後に、その直径を小さくし、カップを深くするために、浅いカップを再延伸する場合がある。カップは、次に壁厚を減少させて、最終的に缶またはシリンダ形状の物品の本体を提供するためにアイロンを掛けられる。アイロン掛けは、一般に、金属材料を1つ以上のアイロン掛けダイスを通して軸方向に運んで、ラム及びパンチを有するアイロン掛けシステムで壁厚を減少させることを含む。多様なプロセス条件が存在する場合があり、再延伸及びアイロン掛け中に、多様な力がパンチ、アイロン掛けダイス、及び/または金属材料に印加される場合があり、これらの力は、再延伸及びアイロン掛け中に制御できる多様な要因に相互に関連し得る。しかしながら、既存の再延伸及びアイロン掛けシステムでは、これらの力またはプロセス条件を測定することはできず、したがって再延伸及びアイロン掛けのプロセスの多様な態様を効果的に制御することができない。
【発明の概要】
【0004】
本特許で使用する用語「発明(invention)」、「本発明(the invention)」、「本発明(this invention)」、及び「本発明(the present invention)」は、本特許の主題のすべて及び以下の特許請求の範囲を広く指すことを意図している。これらの用語を含む記載は、本明細書で説明する主題を限定する、または以下の特許請求の範囲の意味や範囲を限定するものではないと理解されるべきである。本特許が包含する本発明の実施形態は、この発明の概要ではなく、以下の特許請求の範囲によって定義される。この発明の概要は、本発明の多様な実施形態の高次の概要であり、以下の発明を実施するための形態の項にさらに説明する概念のいくつかを紹介している。この発明の概要は、特許請求された主題の重要な、または本質的な特徴を特定することを意図しておらず、また、特許請求された主題の範囲を決定するために単独で使用されることも意図されていない。主題は、本特許の明細書全体、いずれかまたはすべての図面、及び各請求項の適切な部分を参照することによって理解されるべきである。
【0005】
本開示の特定の例によれば、アイロン掛けシステムは、ラム、パンチ、及びセンサシステムを含む。ラムは、ラム本体及びラムノーズを含む。パンチは、ラムノーズの上で支持され、アイロン掛けプロセス中に金属ブランクと係合するように構成される。センサシステムは、第1のセンサ及び第2のセンサを含む。第1のセンサは、ラムにかかる総力を検出するように構成され、第2のセンサは、金属ブランクから形成された缶の側壁にまたは底部にかかる力を検出するように構成される。
【0006】
本開示の多様な例によれば、アイロン掛けシステムは、ラム及びセンサシステムを含む。ラムは、ラム本体及びラムノーズを含む。センサシステムは、ラム本体上に第1のセンサ、ラムノーズ上に第2のセンサを含む。第1のセンサは、ラムにかかる総力を検出するように構成され、第2のセンサは、金属ブランクから形成された缶の側壁にまたは底部にかかる力を検出するように構成される。
【0007】
本開示のいくつかの例によれば、アイロン掛けプロセス中に缶にかかる再延伸の力及びアイロン掛けの力を制御する方法は、アイロン掛けシステムのパンチを金属ブランクと係合させることを含み、パンチは、アイロン掛けシステムのラムのラムノーズ上で支持される。また、この方法は、缶本体を形成するためにラムを作動させることによって金属ブランクをアイロン掛けダイスを通して導くことも含む。方法は、ラムノーズにかかる力を、センサシステムの第1のセンサを用いてノーズ力データとして測定すること、及び金属ブランクをアイロン掛けダイスを通して導きながら、ラムにかかる総力を、第2のセンサを用いて総力データとして測定することをさらに含む。
【0008】
本開示の特定の実施形態によれば、再延伸及びアイロン掛けシステムは、ラム、パンチ、及びセンサシステムを含む。ラムは、ラム本体及びラムノーズを含む。パンチは、ラムノーズの上で支持され、再延伸及びアイロン掛けプロセス中に金属ブランクと係合するように構成される。センサシステムは、第1のセンサ及び第2のセンサを含み、第1のセンサ及び第2のセンサは、再延伸及びアイロン掛けプロセス中にプロセス条件を検出するように構成される。
【0009】
本開示に説明する多様な実施態様は、必ずしも本明細書に明示的に開示することができないが、以下の発明を実施するための形態及び添付図面を調べると、当業者に明らかになる追加のシステム、方法、特徴、及び利点を含むことができる。すべてのそのようなシステム、方法、特徴、及び利点が、本開示の中に含まれ、かつ添付の特許請求の範囲によって保護されることが意図される。
【0010】
以下の図の特徴及び構成要素は、本開示の一般的な原理を強調するために示されている。図全体の対応する特徴及び構成要素は、一貫性及び明確さのために一致する参照文字によって指定できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本開示の態様に係るアイロン掛けシステムの一部分の図である。
図2】アイロン掛け中に図1のアイロン掛けシステムのパンチにかかる力を示す。
図3】本開示の態様に係るアイロン掛けシステムの一部分の図である。
図4図3のアイロン掛けシステムの別の部分の図である。
図5】本開示の態様に係るアイロン掛けシステムの一部分の図である。
図6図5のアイロン掛けシステムの別の部分の図である。
図7】本開示の態様に従って、アイロン掛け中に再延伸の力及びアイロン掛けの力を測定し、制御するプロセスを示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の実施形態の主題は、法定要件を満たすために特異性をもって本明細書に説明されているが、この説明は、必ずしも特許請求の範囲を限定することを意図していない。特許請求された主題は、他の方法で具現化され得、異なる要素またはステップを含み得、他の既存のまたは将来の技術と併せて使用され得る。この説明は、個々のステップの順序または要素の配置が明示的に記述されている場合を除き、多様なステップまたは要素の中のまたはそれらの間の特定の順序または配置を暗示するとして解釈されるべきではない。「上へ」、「下へ」、「上部」、「底部」、「左」、「右」、「前部」、及び「背部」などの方向の参照は、とりわけ構成要素及び方向が参照している1つの図(または複数の図)中に示され、説明される向きを参照することを意図している。
【0013】
図1及び図2は、本開示の特定の態様に係るアイロン掛けシステム100の一部分を示す。アイロン掛けシステム100は、パンチ102、パンチ102を軸方向104に作動させるラムアセンブリ(図1には図示せず)、及び少なくとも1つのアイロン掛けダイス106を含む。図1に示すように、アイロン掛けダイス106は、進入面108及び内面110を含む。内面110は、開口部または隙間112を画定する。アイロン掛け中、パンチ102は、金属物品114の側壁が初期の厚さ116から最終厚さ118にアイロン掛けされるように、金属物品114をアイロン掛けダイス106の隙間112を通して軸方向104に運ぶ。アイロン掛けプロセスは、所望の壁厚を有する本体を製造するために、所望の回数(及び所望されるほど多くのタイプのアイロン掛けダイスを用いて)繰り返し得る。
【0014】
図2は、アイロン掛け中にパンチ102にかかる力のいくつかの例を示す。形成総力220は、アイロン掛け中にパンチ102によって(ラムアセンブリを通して)金属物品に印加される力である。形成総力220は、一般に、パンチ102と金属物品の側壁との間の摩擦力222、及びパンチ102と金属物品の底部との間のパンチノーズ力224の和を表す。いくつかの場合、形成総力220は、ラムアセンブリ自体で、ダイスで、ダイスホルダーで、及び/またはボルスタープレートで測定される。形成総力220は、摩擦力222及びパンチノーズ力224の和であるが、既存の再延伸システム及びアイロン掛けシステムでは、摩擦力222及び/またはパンチノーズ力224を独立して測定または決定することができない。
【0015】
図3及び図4は、本開示の態様に係る、パンチ302、ラムアセンブリ326、及びセンサシステム348を含む再延伸及びアイロン掛けシステム300の部分を示す。
【0016】
ラムアセンブリ326は、前端部330及び後端部332を有するラム本体328を含む。ラムノーズ334は、ラム本体328の前端部330から延び、ラムノーズ端部336で終端する。多様な態様では、ラムノーズ334の直径は、ラム本体328の直径よりも小さい。ラムアセンブリ326は、金属物品をカップに形成するためにアイロン掛けプロセス中にアクチュエータによって軸方向104に作動される。いくつかの例では、アクチュエータは線形アクチュエータであるが、他の例では、アクチュエータは線形アクチュエータである必要はない。多様な態様では、ラムアセンブリ326は、毎分所望の数のカップを製造するために多様な適切な速度で作動される。いくつかの非限定的な例として、ラムアセンブリ326は、毎分約400~450ストロークの速度で作動され得、1ストロークは、1つのカップを係合、形成、及び解放する1つのサイクルを指す。言い換えると、毎分200~450ストロークでは、アセンブリは、毎分約200~450ストロークの速度でカップを係合、形成、及び解放しなければならない。
【0017】
図3に示すように、多様な例では、センサシステム348は、1つ以上のプロセス条件を検出するように構成された第1のセンサ350及び第2のセンサ352を含む。いくつかの場合、再延伸及びアイロン掛けシステムの他の態様を測定するために追加のセンサを使用することができる。プロセス条件は、力もしくは負荷、圧力、温度、音、振動、加速、それらの組み合わせ、またはアイロン掛けプロセスの他の適切なプロセス条件を含み得るが、これらに限定されない。したがって、センサ350、352は、オペレータまたは他のなんらかのソースから入力(例えば、所望の温度分布プロファイル、所望の形状など)を受け取るために適した多様な入力装置であってよい。例えば、センサ904は、ロードセル、加速度計、光学センサ、磁気センサ、エネルギーセンサ、電流センサ、周波数検出器、熱センサ、圧力センサ、任意の適切なセンサ、ユーザーインタフェース付きのデバイス、またはそれらの任意の組み合わせを含み得るが、これらに限定されない。2つのセンサが示されているが、他の例では、センサシステム348は、複数のタイプのプロセス条件が検出されるときなど、2つ以上のセンサを有する場合がある。センサ350及び352は、ロードセルまたは多様な他の適切なセンサであってよい。センサ350及び352は、コントローラ351または他の適切なデバイスに通信で接続され得る。
【0018】
1つの非限定的な例として、第1のセンサ350は、形成総力220の量を検出するように構成され得、第2のセンサ352は、パンチノーズ力224の量を検出するように構成され得る。この例では、センサ350及び352は、コントローラ351に通信で結合され得、コントローラ351は、アイロン掛け中に発生する摩擦力222及び/または他の力を決定するために力データを使用し得る。
【0019】
他の非限定的な例として、第1のセンサ350及び/または第2のセンサ352は、噴出圧力及び噴出圧力のタイミングを検出するように構成された圧力センサ(複数可)、アイロン掛けの多様な段階中にアイロン掛けシステム300の多様な場所で温度を検出するように構成された温度センサ(複数可)、アイロン掛けの多様な段階中にアイロン掛けシステム300の多様な構成要素の振動を検出するように構成された振動センサ(複数可)、アイロン掛けの多様な段階中にアイロン掛けシステム300の構成要素の移動及び/または位置決めを検出するように構成された加速センサ(複数可)などであってよい。
【0020】
コントローラ351は、汎用処理ユニット、アイロン掛け分析及び/またはアイロン掛けアプリケーション用に特別に設計されたプロセッサ、(Cypress Semiconductorのプログラマブルシステムオンチップまたは他の適切なプロセッサなどの)無線通信用に特別に設計されたプロセッサの1つ以上を含む場合がある。他の例で、センサシステム348はメモリを含む必要はないが、センサシステム348の多様なセンサによって収集されたデータを格納するために、メモリはコントローラ351を具備してもよい。メモリは、長期記憶装置及び/または短期作業メモリを含み得る。メモリは、プロセッサ命令の作業セットを記憶するためにコントローラ351によって使用され得る。プロセッサは、データをメモリに書き込み得る。メモリは、従来のディスクデバイスを含む場合がある。いくつかの態様では、メモリは、メモリディスク、USBドライブ、フラッシュドライブ、遠隔接続された記憶媒体、仮想ディスクドライブなどを含むためにディスクベースのストレージデバイスまたはいくつかの他のタイプの記憶媒体の1つのどちらかを含むであろう。通信回路/ユニット、任意選択のディスプレイ、任意選択のスピーカ、及び/または電力貯蔵設備を含むが、これらに限定されない多様な他の特徴も、コントローラ351に含まれ得る。いくつかの態様では、コントローラ351の構成要素のいくつかまたはすべては、同じエンクロージャの中など、単一のパッケージまたはセンサセットにともに含まれ得る。追加の態様または代替の態様では、構成要素のいくつかは、エンクロージャにともに含まれ得、他の構成要素は別個であり得る。したがって、コントローラ351は分散システムであり得る。これは単に一例にすぎず、他の構成も実装され得、ラム本体328に設けられ得る。ただし、他の例では、コントローラ351は、ラムアセンブリ326の他の場所に及び/またはラムアセンブリ326上である場合もあれば、ない場合もある他の適切な場所に設けられ得る。したがって、コントローラ351の特定の場所は、本開示を限定すると見なされるべきではない。
【0021】
多様な態様では、コントローラ351は、コントローラ351がセンサ350、352からデータ信号を受信するようにセンサ350、352(及びおそらく他のセンサ)とデータを通信する。多様な例では、データ信号は、多様なセンサによって検出された力、圧力、温度、加速、振動などを含む。コントローラ351は、センサ350、352からのデータを分析し、アイロン掛けシステム300の1つ以上のパラメータ(例えば、アイロン掛けプロセスに影響を与えるパラメータなど)を制御することができる。他の例では、コントローラ351は、アイロン掛けプロセスの前に受信された入力に基づいて1つ以上のパラメータを制御できる。
【0022】
第1のセンサ及び第2のセンサ352は、所望されるように、システム300の中の多様な場所に設け得る。いくつかの非限定的な例として、第1のセンサ350及び/または第2のセンサ352は、ラム本体、ラムノーズ、ラムの背後のシステム300の別個のパーツもしくは構成要素上に、ラム本体328の内部チャンバ340の中に設けられ得、パンチノーズ、ラム背部のプレスの別の部分、ラムノーズの前の別個のパーツもしくは構成要素、パンチスリーブ342、ラム本体とパンチノーズ344との間のスペーサ上、パンチスリーブ342の背後のスペーサ上(例えば、パンチスリーブ342とラム本体328との間)、及び/または多様な他の場所に埋め込まれ得る。したがって、第1のセンサ350及び/または第2のセンサ352について示す場所は、本開示を限定すると見なされるべきではない。図3図6は、第1のセンサ350がラム本体328に設けられ、第2のセンサ352がラムノーズ334に設けられる例を示す。しかしながら、上述のように、センサ350及び/または352の場所は、本開示を限定すると見なされるべきではない。例えば、他の場合、第1のセンサ350は、ラムの背後の別個の部分、ラムの背後のプレスの別の部分であってよい、及び/または多様な他の場所に設けられてよい。同様に、第2のセンサ350は、ラムの前の別個の部分であってよい、及び/または多様な他の場所に設けられてよい。いくつかの例では、第2のセンサ352は、ラム本体328の前端部330とラムノーズ端部336との間のラムノーズ334に設けられる。他の例では、第2のセンサ352は、ラムノーズ端部336に設けられる。多様な例では、第1のセンサ350及び/または第2のセンサ352は、それらが高速または他の動作条件でのラムアセンブリ326の正常な動作に干渉しないように、ラムアセンブリ326の多様な構成要素と一体で設けられる。1つの非限定的な例として、第1のセンサ350及び第2のセンサ352は、ラムアセンブリ326がセンサからの干渉を受けずに高速で連続して動作できるように、ラム本体328と一体で設けられ得る。
【0023】
図3に示すように、いくつかの任意選択の例では、ラムアセンブリ326は、内部チャンバ340を画定する内面338を含む。他の例で内部チャンバ340は延びる必要はないが、内部チャンバ340は任意選択でラムノーズ端部336まで延びる。他の例で第1のセンサ350は設けられる必要ないが、いくつかの任意の例では、第1のセンサ350は内部チャンバ340の中に設けられる。特定の例では、ラムアセンブリ326は、ラム本体328内部の冷却剤及び/または水分が最小限に抑えられる及び/または低減されるように、内部チャンバ340内で一定の圧力を維持する圧力システムを含む。1つの非限定的な例として、圧力システムは、内部チャンバ340内の約5~10PSIなどの、内部チャンバ内の約1~20PSIの圧力を維持し得る。ただし、他の例では、他の圧力が維持されてもよい。内部チャンバ340内の冷却剤または水分を最小限に抑える及び/または低減することによって、センサ350、352が短絡する可能性は最小限に抑えられる、及び/または低減される。
【0024】
パンチ302は、パンチスリーブ342及びパンチノーズ344を含む。パンチスリーブ342は、ラムノーズ334上で支持される。多様な態様では、パンチスリーブ342は、前端部330でラム本体328に当接する。いくつかの例では、パンチスリーブ342及びパンチノーズ344は、パンチノーズ344がパンチスリーブ342に対して移動できるように別個の構成要素である。他の例では、パンチスリーブ342及びパンチノーズ344は、単一のまたはモノリシックな構成要素として形成される。図3及び図4の例では、パンチスリーブ342は、パンチノーズ344の少なくとも一部分を受け入れる凹部346を画定する。いくつかの例では、凹部346は、パンチノーズ344がパンチスリーブ342に対して自由に移動できるような寸法に作られ、これによってラムノーズ334はパンチノーズ力224を取り込むことが可能になり得る。
【0025】
アイロン掛け中、パンチノーズ344は、金属物品の底部と係合し、パンチノーズ力224を受け取る。その力はパンチスリーブ342に伝達され、パンチスリーブ342も摩擦で金属物品の側壁と係合し、摩擦力222を受け取る。(ともに形成総力220を形成する)結合された摩擦力222及びパンチノーズ力224は、パンチスリーブ342からラム本体328に伝達される。パンチノーズ力224もラムノーズ334に伝達される。いくつかの例では、パンチスリーブ342は、ラムノーズ334が摩擦力222の影響を受けないように、ラムノーズ334上で支持される。多様な例では、及びセンサ350、352が力センサであるときは、第1のセンサ350はラム本体328に設けられ、第2のセンサ352はラムノーズ334に設けられるため、第1のセンサ350は、総力データとして総摩擦力220の量を検出することができる。同様に、第2のセンサ352は、底部力データとしてパンチノーズ力224を検出できる。いくつかの任意選択の例では、第1のセンサ350は、総力データをコントローラ351に送信し、第2のセンサ352は、底部力データをコントローラ351に送信する。特定の例では、第1のセンサ350及び/または第2のセンサ352は、リアルタイムでデータを送信し得るが、他の例では、第1のセンサ350及び/または第2のセンサ352は、所定の時間間隔でデータを送信し得る。多様な例では、コントローラ351は、総力データ及び底部力データに基づいて摩擦力222を決定できる。例えば、いくつかの場合、コントローラ351は、総力データと底部力データの差を決定して、摩擦力222を決定することができる。上述のように、他の例では、センサ350、352は、他のプロセス条件を検出し得、コントローラ351は、アイロン掛けシステム及び/またはアイロン掛けプロセスの多様な態様を制御するために他のプロセス条件を決定することができる。
【0026】
いくつかの場合、コントローラ351は、センサ350、352からのデータに基づいて1つ以上のプロセス条件のプロセス条件曲線を決定し得る。多様な例では、プロセス条件曲線は、乾式ストローク(つまり、金属部品のないストローク)から、及び/または金属物品のあるストローク(「負荷ストローク」)から決定し得る。特定の例では、プロセス条件データは、ストローク別にプロセス条件曲線を取得するためにアイロン掛けシステム300の位置データと同期され得る。コントローラ351は、平均プロセス条件(例えば、平均負荷または平均温度)、ストローク中のプロセス条件の変動、プロセス条件の頻度などの特定のプロセス条件の多様な特徴を決定するためにプロセス条件曲線をさらに制御し得る。1つの非限定的な例として、平均プロセス条件は、乾式ストローク及び負荷ストロークの1つ以上のプロセス条件から決定し得る。別の非限定的な例として、乾式ストロークプロセス条件曲線は、金属物品の形成に関連していない、アイロン掛けプロセスに固有の慣性及び/または他の要因を取り除くために、負荷ストロークプロセス条件から差し引き得る。別の非限定的な例として、乾式ストロークプロセス条件曲線は、ゼロ条件値を確立し、プロセス条件曲線の風袋錘を計るために使用し得る。別の非限定的な例として、プロセスの特定の部分(例えば、再延伸または多様なダイスで)の、またはツールの特定の位置(例えば、中壁、厚壁、摩耗帯など)でのプロセス条件は、プロセス条件曲線に基づいて決定し得る。いくつかの非限定的な例では、測定されたプロセス条件曲線(及び/または1つ以上のプロセス条件曲線の平均)は、アイロン掛けプロセス及び/またはアイロン掛けシステムに対する調整が必要とされるかどうかを判断するために、制御曲線と比較され得る。いくつかの非限定的な例では、プロセス条件曲線の部分は、クラスタにグループ化し、潜在的な障害、不良条件を予測するまたはトラブルシューティングを行うために使用し得る。
【0027】
再延伸及びアイロン掛けシステム300を通じて、形成総力220及びパンチノーズ力224は、直接的に測定することができ、摩擦力222は、検出された形成総力220及びパンチノーズ力224に基づいて間接的に決定することができる。特定の態様では、検出された形成総力220、摩擦力222、及び/またはパンチノーズ力224のいずれか1つまたは組み合わせに基づいて、アイロン掛けプロセスを制御するために、再延伸及びアイロン掛けシステム300の多様な態様を制御することができる。例えば、いくつかの場合、金属物品に使用される金属のタイプ、パンチ304及び/または金属物品の多様な表面特性、使用される潤滑のタイプ、ラム、パンチ、もしくはアイロン掛けダイスの設計、機械速度、または再延伸及びアイロン掛けシステム300の多様な他の態様は、検出した力に基づいて制御し得る。一例として、アイロン掛け中に金属物品の側壁にかかるより高い摩擦力222は、欠陥、つまり「剥ぎ取り」の可能性の増加と直接的に相関し得る。いくつかの場合、剥ぎ取りの発生率を減少させ、再延伸力を制御し、ダイス上の摩耗を監視及び制御し、しわの形成を抑制し、潤滑不足を監視及び制御し、突き抜けまたは他のタイプの欠陥を監視及び制御するなどのために、検出した摩擦力222に基づいて、再延伸及びアイロン掛けシステム300の多様な態様を制御し得る。いくつかの場合、センサ350及び352が検出した力は、プロセスパラメータを調節して、運転コストを削減する及び/または生産効率を高めるために使用し得る。非限定的な例として、検出されたより低い力は、潤滑の量を減少させる及び/または速度を加速して、運転コストを削減する機会を示す場合があり、より高い力は、ダイスが摩耗してダウンタイムを減少させるまたは回避することを示す場合がある。
【0028】
図5及び図6は別の再延伸及びアイロン掛けシステム500の例を示す。再延伸及びアイロン掛けシステム500は、再延伸及びアイロン掛けシステム500が、ラムノーズ334とパンチノーズ344との間に配置され、ラムノーズ334及びパンチノーズ344に当接しているスペーサ554をさらに含む点を除き、再延伸及びアイロン掛けシステム300に実質的に類似している。図6に最もよく示すように、ラムノーズ334とパンチノーズ344との間に配置されたスペーサ554は、パンチノーズ344とパンチスリーブ342との間に隙間556を画定する。多様な態様では、隙間556を画定することによって、スペーサ554は、パンチノーズ344にかかるパンチノーズ力224を、第2のセンサ352がそれを検出することができるラムノーズ334の上に向ける。いくつかの例では、スペーサ554は、パンチノーズ344がパンチスリーブ342と係合する前に、パンチノーズ力224をラムノーズ334の上に向ける。他の例では、スペーサ554は、パンチノーズ力224がパンチスリーブ342に伝達されないように隙間556を維持する。いくつかの任意選択の例では、スペーサ554は、センサシステム348のセンサであってよい。そのような例では、第2のセンサ352が省略される場合もあれば、スペーサ554が第2のセンサ352に加えて使用される場合もある。センサ350及び352のように、スペーサ554の場所は、本開示を限定すると見なされるべきではなく、所望されるように多様な他の場所に設けられるであろう。1つの非限定的な例として、スペーサ554はパンチに埋め込み得る。他の例で、スペーサ554は、所望されるように、多様な他の場所に設け得る。
【0029】
図7は、本開示の特定の態様に係る再延伸及びアイロン掛けプロセス中に再延伸の力及びアイロン掛けの力を測定し、制御するプロセス700である。
【0030】
ブロック702で、再延伸及びアイロン掛けプロセスが完了しているかどうかが判断される。再延伸及びアイロン掛けプロセスが完了している場合、プロセスは終了する。
【0031】
ブロック704で、金属物品114は再延伸及びアイロン掛けのために準備される。金属物品を準備することは、金属物品を適切な形状及び寸法に切断すること、潤滑を適用することなどを含む場合がある。限定ではなく一例として、円板がアルミニウム板から打ち抜かれる。ブランクは、打ち抜きまたは切断などの当該技術で既知の任意の方法によって形成し得る。一実施形態では、外側切削工具はアルミニウム板を円板に切断し、円板はただちにカップに延伸される。円板は、内側カップ形成工具を用いてカップに延伸されてもよい。切断及び延伸は、第1の動作が円板の切断を実行し、第2の動作が連続した動きでカップ形成を実行する、複動プレスによって実施され得る。多様な態様では、形成されたカップはかなり大きい直径を有し、後続の操作を容易にするためにそのサイズをより小さい直径に減少させるための追加の操作を必要とする。これは再延伸プロセスによって達成される。適切な再延伸プロセスは、例えば、類似するカップ形成工具を使用してその直径を小さくし、材料を動かすことによってカップをカップ基部の内部から延伸して、より高いカップ壁を形成する直接的な再延伸プロセスを含み得る。本明細書に説明する方法で使用するための別の適切な再延伸プロセスは、カップをカップの底部から延伸し、金属を反対方向に折り畳んでより高いカップ壁を形成する逆再延伸プロセスである。本明細書に開示する方法は、これらの再延伸プロセスのいずれかを含み得るが、これらの再延伸プロセスに限定されない。機械の要件、制限、及びプロセス要件に応じて、複数の再延伸プロセスまたは再延伸プロセスの組み合わせがある場合がある。以下に詳しく説明するように、カップが最終的な直径に延伸された後、アイロン掛け工具は、カップ壁を伸ばし、薄くして最終的な壁の厚さ及び長さを達成する。また、金属物品を準備することは、アイロン掛けのために、金属物品114をパンチ304及びアイロン掛けダイス106に対して配置することを含む場合もある。
【0032】
ブロック706で、パンチ304は、金属物品114と係合し、金属物品114をアイロン掛けダイス106を通して軸方向104に運ぶ。金属物品114がアイロン掛けダイス106を通して運ばれるにつれて、金属物品114の壁厚は減少し、カップが形成される。
【0033】
ブロック708で、形成総力220はセンサシステム348の第1のセンサ350で検出され、パンチノーズ力224はセンサシステム348の第2のセンサ352で検出される。任意選択で、ブロック708は、第2のセンサ352に加えてまたは第2のセンサ352の代わりに、スペーサ554を用いてパンチノーズ力224を測定することを含む。他の例でブロック708及びブロック706は同時に実行される必要はないが、いくつかの態様では、ブロック708及びブロック706は同時に実行される。他の例では、第1のセンサ350及び/または第2のセンサ352は、所望されるように、圧力、温度、加速、頻度、振動などの力以外の追加の及び/または代替のプロセス条件を検出し得ることが理解される。
【0034】
ブロック710で、缶本体とパンチ304との間の摩擦力222は、ノーズ力データ及び総力データに基づいて決定される。多様な例では、摩擦力222は、再延伸及びアイロン掛けシステムのコントローラ351によって決定される。力以外のプロセス条件が測定されるときなどの他の例では、ブロック710は省略されてよい。
【0035】
ブロック712で、検出されたアイロン掛け総力、底部力、及び/または摩擦力は、所定の形成総力、底部力、及び/または摩擦力と比較される。いくつかの例では、所定の形成総力、底部力、及び/または摩擦力は、カップの特性と相関し得る。一例として、所定の形成総力、底部力、及び/または摩擦力は、欠陥または剥ぎ取りの特定の発生率に対応する場合がある。力以外のプロセス条件が測定されるときなどの他の例では、ブロック712は、検出されたプロセス条件(例えば、圧力、温度、加速、頻度、振動など)を所定のプロセス条件と比較することを含み得る。そのような例では、所定のプロセス条件は、カップの特性と相関し得る。
【0036】
ブロック714で、アイロン掛け総力、底部力、及び/または摩擦力のいずれか1つまたは組み合わせを調整する必要があるかどうかが判断される。特定の場合、ブロック714での判断は、検出されたアイロン掛け総力、底部力、及び/または摩擦力が、所定のアイロン掛け総力、底部力、及び/または摩擦力に等しい、またはそれらとは異なることに基づいて下される。一例として、ブロック714での判断は、検出された摩擦力と、高い剥ぎ取りの発生率と対応する所定の摩擦力との比較に基づいて下されてもよい。力以外のプロセス条件が測定されるときなどの他の例では、ブロック714は、プロセス条件(例えば、圧力、温度、加速、頻度、振動など)が調整される必要があるかどうかを判断することを含み得る。これらの場合の判断は、検出されたプロセス条件が所定のプロセス条件に等しい、または所定のプロセス条件とは異なることに基づいてよい。
【0037】
ブロック716で、再延伸及びアイロン掛けシステムの少なくとも1つの態様は、力の1つが調整される必要がある(または1つ以上のプロセス条件が調整される必要がある)旨の判断に基づいて制御される。一例として、パンチでの潤滑、パンチの表面特性、金属物品を形成する金属の特性、及び/またはラムの機械速度は、検出された摩擦力が高い剥ぎ取りの発生率と対応する所定の摩擦力に等しいまたはそれよりも大きいことに基づいて調整される。
【0038】
任意選択で、延伸及びアイロン掛けプロセスが完了すると、底部、つまりドーム外形が形成されるドーム形成操作が実行される。
【0039】
本明細書に説明する概念に従ってさまざまな例のタイプの追加の説明を提供する「EC」(例の組み合わせ)として明示的に列挙された少なくともいくつかを含む例示的な例の集合体を以下に示す。これらの例は、相互に排他的、網羅的、または制限的であることを意図しておらず、本発明は、これらの例示的な例に限定されるのではなく、むしろ発行された特許請求の範囲及びその均等物の範囲内のすべての考えられる修正及び変形を包含する。
【0040】
EC1.再延伸及びアイロン掛けシステムであって、ラム本体及びラムノーズを備えるラムと、前記ラムノーズ上で支持され、アイロン掛けプロセス中に金属ブランクと係合するように構成されたパンチと、第1のセンサ及び第2のセンサを備えるセンサシステムであって、前記第1のセンサは、前記ラムにかかる総力を検出するように構成され、前記第2のセンサは、前記金属ブランクから形成された缶の側壁にまたは底部にかかる力を検出するように構成される、前記センサシステムとを備える、前記再延伸及びアイロン掛けシステム。
【0041】
EC2.前記第1のセンサは前記ラム本体上にあり、前記第2のセンサは前記ラムノーズ上にある、先行または後続の例の組み合わせのいずれかに記載の再延伸及びアイロン掛けシステム。
【0042】
EC3.前記ラムノーズは、前記ラム本体の前端部から延び、ラムノーズ端部を備え、前記第1のセンサは前記ラム本体上にあり、前記第2のセンサは、前記ラム本体の前記前端部と前記ラムノーズ端部との間の前記ラムノーズ上にある、先行または後続の例の組み合わせのいずれかに記載の再延伸及びアイロン掛けシステム。
【0043】
EC4.前記ラムノーズは前記ラム本体の前端部から延び、ラムノーズ端部を備え、前記第1のセンサは前記ラム本体上にあり、前記第2のセンサは前記ラムノーズ端部上にある、先行または後続の例の組み合わせのいずれかに記載の再延伸及びアイロン掛けシステム。
【0044】
EC5.前記パンチはパンチノーズ及びパンチスリーブを備え、前記パンチノーズは、処理中に金属ブランクと係合するように構成され、前記パンチスリーブは、前記パンチノーズと前記ラム本体との間の前記ラムノーズ上で支持される、先行または後続の例の組み合わせのいずれかに記載の再延伸及びアイロン掛けシステム。
【0045】
EC6.前記ラム本体は、前端部及び後端部を備え、前記ラムノーズは前記前端部から延び、前記パンチスリーブは前記前端部で前記ラム本体に当接する、先行または後続の例の組み合わせのいずれかに記載の再延伸及びアイロン掛けシステム。
【0046】
EC7.前記パンチノーズと前記ラムノーズとの間にスペーサをさらに備え、前記スペーサは、前記パンチノーズにかかる力が、前記パンチノーズが前記パンチスリーブと係合する前に前記ラムノーズに向けられるように前記パンチノーズと前記パンチスリーブとの間に隙間を画定する、先行または後続の例の組み合わせのいずれかに記載の再延伸及びアイロン掛けシステム。
【0047】
EC8.前記スペーサは、前記パンチノーズから前記ラムノーズに向けられる前記力を検出するように構成された前記センサシステムの第3のセンサを備える、先行または後続の例の組み合わせのいずれかに記載の再延伸及びアイロン掛けシステム。
【0048】
EC9.前記パンチスリーブは、前記パンチノーズに対して移動できる、先行または後続の例の組み合わせのいずれかに記載の再延伸及びアイロン掛けシステム。
【0049】
EC10.前記第1のセンサ及び前記第2のセンサに通信で結合されたコントローラをさらに備え、前記コントローラは、総力データを前記第1のセンサから受信し、ラムノーズ力データを前記第2のセンサから受信し、前記総力データ及び前記ラムノーズ力データに基づいて前記パンチと缶本体との間の摩擦力を決定するように構成される、先行または後続の例の組み合わせのいずれかに記載の再延伸及びアイロン掛けシステム。
【0050】
EC11.前記第1のセンサ及び前記第2のセンサは、各々、ロードセルを備える、先行または後続の例の組み合わせのいずれかに記載の再延伸及びアイロン掛けシステム。
【0051】
EC12.前記ラムは、外面及び内部チャンバを画定する内面を備え、前記第2のセンサは、前記ラムノーズ上の前記ラムの前記外面上にあり、前記第1のセンサは前記ラム本体の前記内部チャンバ内にある、先行または後続の例の組み合わせのいずれかに記載の再延伸及びアイロン掛けシステム。
【0052】
EC13.前記内部チャンバ内で一定の圧力を印加するように構成された圧力システムをさらに備える、先行または後続の例の組み合わせのいずれかに記載の再延伸及びアイロン掛けシステム。
【0053】
EC14.再延伸及びアイロン掛けシステムであって、ラム本体及びラムノーズを備えるラムと、前記ラム本体上に第1のセンサ、及び前記ラムノーズ上に第2のセンサを備えるセンサシステムであって、前記第1のセンサは、前記ラムにかかる総力を検出するように構成され、前記第2のセンサは、金属ブランクから形成された缶の側壁にまたは底部にかかる力を検出するように構成される、前記センサシステムとを備える前記再延伸及びアイロン掛けシステム。
【0054】
EC15.前記ラム本体は前端部及び後端部を備え、前記ラムノーズは前記前端部から延び、ラムノーズ端部を備え、前記第2のセンサは前記ラム本体の前記前端部と前記ラムノーズ端部との間の前記ラムノーズ上にある、先行または後続の例の組み合わせのいずれかに記載の再延伸及びアイロン掛けシステム。
【0055】
EC16.前記ラム本体は前端部及び後端部を備え、前記ラムノーズは前記前端部から延び、ラムノーズ端部を備え、前記第2のセンサは前記ラムノーズ端部上にある、先行または後続の例の組み合わせのいずれかに記載の再延伸及びアイロン掛けシステム。
【0056】
EC17.前記ラムノーズ上で支持されたパンチをさらに備え、前記パンチはパンチノーズ及びパンチスリーブを備え、前記ラムノーズは、アイロン掛けプロセス中に前記パンチノーズを金属ブランクと係合させるように構成される、先行または後続の例の組み合わせのいずれかに記載の再延伸及びアイロン掛けシステム。
【0057】
EC18.前記パンチスリーブは、前記ラムノーズ上で支持され、そのラム本体と選択的に当接する、先行または後続の例の組み合わせのいずれかに記載の再延伸及びアイロン掛けシステム。
【0058】
EC19.前記パンチスリーブは、前記パンチスリーブが処理中に前記ラムノーズに対して力をかけないように前記ラムノーズ上で支持される、先行または後続の例の組み合わせのいずれかに記載の再延伸及びアイロン掛けシステム。
【0059】
EC20.前記パンチノーズと前記ラムノーズとの間にスペーサをさらに備え、前記スペーサは、前記パンチノーズにかかる力が、前記パンチノーズが前記パンチスリーブと係合する前に前記ラムノーズに向けられるように、前記パンチノーズと前記パンチスリーブとの間に隙間を画定する、先行または後続の例の組み合わせのいずれかに記載の再延伸及びアイロン掛けシステム。
【0060】
EC21.前記スペーサは、前記パンチノーズから前記ラムノーズに向けられる前記力を検出するように構成された前記センサシステムの第3のセンサを備える、先行または後続の例の組み合わせのいずれかに記載の再延伸及びアイロン掛けシステム。
【0061】
EC22.前記ラムノーズ上で支持されたパンチと、前記第1のセンサ及び前記第2のセンサに通信で結合されたコントローラとをさらに備え、前記コントローラは、総力データを前記第1のセンサから受信し、ラムノーズ力データを前記第2のセンサから受信し、前記総力データ及び前記ラムノーズ力データに基づいて前記パンチと缶本体との間の摩擦力を決定するように構成される、先行または後続の例の組み合わせのいずれかに記載の再延伸及びアイロン掛けシステム。
【0062】
EC23.前記第1のセンサ及び前記第2のセンサは、各々、ロードセルを備える、先行または後続の例の組み合わせのいずれかに記載の再延伸及びアイロン掛けシステム。
【0063】
EC24.前記ラムは、外面及び内部チャンバを画定する内面を備え、前記第2のセンサは、前記ラムノーズ上の前記ラムの前記外面上にあり、前記第1のセンサは前記ラム本体の前記内部チャンバ内にある、先行または後続の例の組み合わせのいずれかに記載の再延伸及びアイロン掛けシステム。
【0064】
EC25.前記内部チャンバ内で一定の圧力を印加するように構成された圧力システムをさらに備える、先行または後続の例の組み合わせのいずれかに記載の再延伸及びアイロン掛けシステム。
【0065】
EC26.アイロン掛けプロセス中に再延伸の力及びアイロン掛けの力を測定し、制御する方法であって、再延伸及びアイロン掛けシステムのパンチを金属ブランクと係合させることであって、前記パンチは前記再延伸及びアイロン掛けシステムのラムのラムノーズ上で支持される、前記係合させることと、前記ラムを作動させることによって前記金属ブランクをアイロン掛けダイスを通して導いて、缶本体を形成することと、前記ラムノーズにかかる力を、センサシステムの第1のセンサを用いて、ノーズ力データとして測定し、前記金属ブランクを前記アイロン掛けダイスを通して導きながら、前記ラムにかかる総力を、第2のセンサを用いて総力データとして測定することとを含む、前記方法。
【0066】
EC27.前記ノーズ力データ及び前記総力データに基づいて、前記缶本体と前記パンチとの間の摩擦力を決定することをさらに含む、先行または後続の例の組み合わせのいずれかに記載の方法。
【0067】
EC28.前記力の測定値のいずれかに基づいて、前記再延伸及びアイロン掛けシステムの少なくとも1つの態様を調整することをさらに含む、先行または後続の例の組み合わせのいずれかに記載の方法。
【0068】
EC29.前記再延伸及びアイロン掛けシステムの前記少なくとも1つの態様は、前記パンチ上での潤滑、前記金属ブランクの金属属性、前記パンチの表面特性、または前記ラムの機械速度のうちの少なくとも1つを含む、先行または後続の例の組み合わせのいずれかに記載の方法。
【0069】
EC30.前記ラムはラム本体をさらに備え、前記ラム本体は内部チャンバを備え、前記第2のセンサは前記内部チャンバ内にあり、前記方法は、前記内部チャンバ内で一定の圧力を維持することをさらに含む、先行または後続の例の組み合わせのいずれかに記載の方法。
【0070】
EC31.前記第2のセンサは、前記金属ブランクから形成された前記缶の前記側壁と前記底部の両方にかかる前記力を検出するように構成される、先行または後続の例の組み合わせのいずれかに記載のシステムまたは方法。
【0071】
EC32.再延伸及びアイロン掛けシステムであって、ラム本体及びラムノーズを備えるラムと、前記ラムノーズ上で支持され、再延伸及びアイロン掛けプロセス中に金属ブランクと係合するように構成されたパンチと、第1のセンサ及び第2のセンサを備えるセンサシステムであって、前記第1のセンサ及び前記第2のセンサは、前記再延伸及びアイロン掛けプロセス中にプロセス条件を検出するように構成される、前記センサシステムとを備える、前記再延伸及びアイロン掛けシステム。
【0072】
EC33.前記プロセス条件は、前記ラムにかかる力、前記ラムでの温度、前記ラム内の圧力、または前記ラムの加速のうちの少なくとも1つを含む、先行または後続の例の組み合わせのいずれかに記載の再延伸及びアイロン掛けシステム。
【0073】
EC34.前記ラムノーズは、前記ラム本体の前端部から延び、ラムノーズ端部を備え、前記第1のセンサは前記ラム本体上にあり、前記第2のセンサは、前記ラムノーズの少なくとも1つの上、前記ラム本体の前記前端部と前記ラムノーズ端部との間、または前記ラムノーズ端部の上にある、先行または後続の例の組み合わせのいずれかに記載の再延伸及びアイロン掛けシステム。
【0074】
EC35.前記パンチはパンチノーズ及びパンチスリーブを備え、前記パンチノーズは、処理中に前記金属ブランクと係合するように構成され、前記パンチスリーブは、前記パンチノーズと前記ラム本体との間の前記ラムノーズ上で支持される、先行または後続の例の組み合わせのいずれかに記載の再延伸及びアイロン掛けシステム。
【0075】
上述の態様は、本開示の原理を明確に理解するために単に記述される実施態様の考えられる例にすぎない。本開示の精神及び原理から実質的に逸脱することなく、上述の実施形態(複数可)に多くの変形及び修正を加えることができる。そのようなすべての修正及び変形は、本開示の範囲内で本明細書に含まれることが意図され、要素またはステップの個々の態様または組み合わせに対するすべての考えられる請求は、本開示によって裏付けられることが意図される。さらに、特定の用語が本明細書及び以下の特許請求の範囲で使用されているが、それらは一般的かつ説明的な意味でのみ使用されており、説明された発明または以下の特許請求の範囲を限定する目的ではない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【国際調査報告】