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特表2022-510475HIV成熟阻害活性を有するアミノ-ルパン化合物のメシル酸塩
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  • 特表-HIV成熟阻害活性を有するアミノ-ルパン化合物のメシル酸塩 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-26
(54)【発明の名称】HIV成熟阻害活性を有するアミノ-ルパン化合物のメシル酸塩
(51)【国際特許分類】
   C07J 63/00 20060101AFI20220119BHJP
   A61K 31/541 20060101ALI20220119BHJP
   A61P 31/18 20060101ALI20220119BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20220119BHJP
   A61K 9/20 20060101ALI20220119BHJP
   A61K 9/48 20060101ALI20220119BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20220119BHJP
   A61K 47/38 20060101ALI20220119BHJP
   A61K 47/36 20060101ALI20220119BHJP
   A61K 47/26 20060101ALI20220119BHJP
   A61K 47/32 20060101ALI20220119BHJP
   A61K 47/12 20060101ALI20220119BHJP
   A61K 9/28 20060101ALI20220119BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20220119BHJP
   A61K 31/5365 20060101ALI20220119BHJP
   A61K 31/4985 20060101ALI20220119BHJP
【FI】
C07J63/00 CSP
A61K31/541
A61P31/18
A61P43/00 121
A61P43/00 111
A61K9/20
A61K9/48
A61K9/08
A61K47/38
A61K47/36
A61K47/26
A61K47/32
A61K47/12
A61K9/28
A61K45/00
A61K31/5365
A61K31/4985
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021532391
(86)(22)【出願日】2019-12-09
(85)【翻訳文提出日】2021-07-13
(86)【国際出願番号】 IB2019060564
(87)【国際公開番号】W WO2020121161
(87)【国際公開日】2020-06-18
(31)【優先権主張番号】62/777,432
(32)【優先日】2018-12-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/874,557
(32)【優先日】2019-07-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516302052
【氏名又は名称】ヴィーブ ヘルスケア ユーケー(ナンバー4)リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】特許業務法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ウッズ,エイミー
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4C086
4C091
【Fターム(参考)】
4C076AA12
4C076AA36
4C076AA44
4C076AA53
4C076BB01
4C076BB11
4C076CC35
4C076DD38
4C076DD41
4C076EE16
4C076EE31
4C076EE38
4C084AA19
4C084MA02
4C084NA05
4C084ZB331
4C084ZB332
4C084ZC412
4C084ZC75
4C086AA01
4C086AA03
4C086BC88
4C086CB22
4C086MA03
4C086MA05
4C086MA16
4C086MA35
4C086MA37
4C086MA52
4C086MA66
4C086NA05
4C086NA14
4C086ZB33
4C086ZC75
4C091AA06
4C091BB02
4C091CC01
4C091DD01
4C091EE02
4C091FF02
4C091FF06
4C091GG03
4C091GG05
4C091HH01
4C091JJ03
4C091KK01
4C091LL03
4C091LL06
4C091MM01
4C091NN01
4C091PA02
4C091PA11
4C091QQ05
4C091QQ15
4C091RR12
4C091SS01
4C091SS05
(57)【要約】
本発明は、以下の化合物(I)のメシル酸(CH3SO2)塩に関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
化合物
【化1】
のメシル酸塩。
【請求項2】
請求項1に記載のメシル酸塩の結晶形態。
【請求項3】
請求項1に記載のメシル酸塩の無水結晶形態。
【請求項4】
実質的に図1に従うXRPDパターンを示すことを特徴とする、請求項1に記載のメシル酸塩の無水結晶形態。
【請求項5】
実質的に表2に記載される通りのXRPDパターンを示すことを特徴とする、請求項1に記載のメシル酸塩の無水結晶形態。
【表1】
【請求項6】
°2θ:7.6±0.3、9.5±0.3、11.4±0.3、11.7±0.3、12.3±0.3及び13.1±0.3に代表的な回折ピークを有するXRPDパターンを特徴とする、請求項1に記載のメシル酸塩の無水結晶形態。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか一項に記載の塩を含む医薬組成物。
【請求項8】
薬学的に許容される賦形剤をさらに含む、請求項7に記載の医薬組成物。
【請求項9】
錠剤、カプセル剤の形態又は注射に好適な形態である、請求項8に記載の医薬組成物。
【請求項10】
微結晶セルロース、マンニトール、デンプングリコール酸ナトリウム、ポビドン及びステアリン酸マグネシウムからなる群から選択される少なくとも1種の薬学的に許容される賦形剤をさらに含む、請求項9に記載の錠剤。
【請求項11】
ポリマーベースのフィルムコーティングでコーティングされている、請求項10に記載の錠剤。
【請求項12】
請求項7~11のいずれか一項に記載の医薬組成物を投与することを含む、ヒトにおけるHIV感染を処置する方法。
【請求項13】
ヌクレオシドHIV逆転写酵素阻害剤、非ヌクレオシドHIV逆転写酵素阻害剤、HIVプロテアーゼ阻害剤、HIV融合阻害剤、HIV付着阻害剤、CCR5阻害剤、CXCR4阻害剤、HIV出芽又は成熟阻害剤及びHIVインテグラーゼ阻害剤からなる群から選択されるHIV感染の処置に使用される少なくとも1種の他の薬剤をヒトに投与することをさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記他の薬剤がドルテグラビル、ビクテグラビル及びカボテグラビルからなる群から選択される、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
ヒトにおけるHIV感染の処置に使用される医薬の製造における請求項1~6のいずれか一項に定義される塩の使用。
【請求項16】
治療に使用される、請求項1~6のいずれか一項に定義される塩。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、(i)HIVに感染した対象におけるHIVの複製を阻害するための、又は(ii)HIVに感染した対象を処置するための、化合物、その薬学的に許容される塩、医薬組成物及びその使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ヒト免疫不全ウイルス1型(HIV-1)感染は、後天性免疫不全症候群(AIDS)の罹患の原因となる。HIV感染の症例数は増加を続けており、現在世界中で2500万を超える人がHIVウイルス感染を患っている。現在のところ、抗レトロウイルス薬によるウイルス複製の長期抑制がHIV-1感染を処置するための唯一の選択肢である。
【0003】
4つのタンパク質ドメインであるマトリックス(MA)、カプシド(CA)、ヌクレオカプシド(NC)及びp6並びに2つのスペーサーペプチドであるSP1及びSP2から構成されるHIV Gagポリタンパク質前駆体(Pr55Gag)は、新規の治療標的である。Gagポリタンパク質の切断は、感染性ウイルス粒子産生の進行において中心的な役割を果たすが、この機序のために承認された抗レトロウイルス薬は現在まで存在しない。
【0004】
ほとんどの細胞型において、細胞膜(plasma membrane)でアセンブリが生じ、GagのMAドメインが膜結合を媒介する。アセンブリは、細胞からの未成熟粒子の出芽(budding)により完了する。粒子放出と同時に、ウイルスによりコードされたPRがGagを4つの成熟タンパク質ドメイン、MA、CA、NC及びp6並びに2つのスペーサーペプチド、SP1及びSP2へと切断する。Gag-PolもPRにより切断され、ウイルス酵素PR、RT及びINを遊離させる。Gagタンパク質分解プロセシングにより、成熟として公知の粒子内での形態学的再配列が誘発される。成熟により未成熟のドーナツ型の粒子が成熟ビリオンへと変換され、成熟ビリオンは、ウイルス酵素RT及びINとNCとの複合体中のウイルスRNAゲノムを囲むCAシェルから構成される凝縮した円錐形のコアを含有する。成熟により、ウイルスは新たな細胞に感染する準備ができ、成熟は粒子の感染性に絶対的に必要不可欠なものである。
【0005】
米国特許第9,527,882号は、HIV成熟の阻害剤であり、HIV感染の処置に有用である以下に示される化合物を開示している。この化合物は、(1R)-4-[(1R,3aS,5aR,5bR,7aR,11aS,11bR,13aR,13bR)-3a-{[2-(1,1-ジオキシド-4-チオモルホリニル)エチル]アミノ}-5a,5b,8,8,11a-ペンタメチル-1-(1-プロペン-2-イル)-2,3,3a,4,5,5a,5b,6,7,7a,8,11,11a,11b,12,13,13a,13b-オクタデカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]クリセン-9-イル]-1-(フルオロメチル)-3-シクロヘキセン-1-カルボン酸であり、‘882号特許では実施例2bである。この化合物は、本出願で「化合物A」と称する場合がある。
【0006】
【化1】
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第9,527,882号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
簡潔に述べると、一態様では、本発明は化合物A:
【0009】
【化2】
【0010】
のメシル酸塩を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
別の態様では、本発明は、化合物Aのメシル酸塩を含む医薬組成物を提供する。
【0012】
別の態様では、本発明は、ヒトにおけるHIV感染を処置する方法であって、化合物Aのメシル酸塩をそれを必要とするヒト患者に投与することを含む、方法を提供する。
【0013】
別の態様では、本発明は、治療に使用される化合物Aのメシル酸塩を提供する。
【0014】
別の態様では、本発明は、HIV感染処置のための医薬製造のための化合物Aのメシル酸塩の使用を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】化合物Aのメシル酸塩の無水結晶形態のX線粉末回折である。
図2】化合物Aのメシル酸塩の無水結晶形態の示差走査熱量測定である。
図3】化合物Aのメシル酸塩の無水結晶形態の偏光顕微鏡法画像である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
好ましくは、化合物Aのメシル酸塩は結晶性である。
【0017】
好ましくは、化合物Aのメシル酸塩は結晶性かつ無水である。一実施形態では、本発明は、実質的に図1に従うXRPDパターンを示すことを特徴とする、化合物Aのメシル酸塩の無水結晶形態を提供する。別の実施形態では、本発明は、実質的に表2に記載される通りのXRPDパターンを示すことを特徴とする、化合物Aのメシル酸塩の無水結晶形態を提供する。
【0018】
【表1】
【0019】
別の実施形態では、本発明は、°2θ:7.6±0.3、9.5±0.3、11.4±0.3、11.7±0.3、12.3±0.3及び13.1±0.3に代表的な回折ピークを有するXRPDパターンを特徴とする、化合物Aのメシル酸塩の無水結晶形態を提供する。
【0020】
一実施形態では、本発明の医薬組成物は、薬学的に許容される賦形剤をさらに含む。本発明の方法では、好ましい投与経路は、経口及び皮下送達するための注射による。したがって、本発明の好ましい医薬組成物は、錠剤、カプセル剤及び注射に好適な形態を含む種々の剤形を調製するのに好適である。好適な剤形は、20~300mgの間の化合物A(遊離塩基の重量に基づく)を含有する。特に好ましい錠剤及びカプセル剤は、1日1回の投薬に好適なものである。
【0021】
錠剤又はカプセル剤に組み込むのに好適な粉末は、本発明の塩を、例えば微細化により好適な微細サイズにし、同様に調製された薬学的に許容される賦形剤と混合することにより調製されてもよい。薬学的に許容される賦形剤として、例えば滑剤、希釈剤、例えば微結晶セルロース及びマンニトール、崩壊剤、例えばデンプングリコール酸ナトリウム、結合剤、例えばポビドン、潤滑剤、例えばステアリン酸マグネシウム及び他の好適な賦形剤が挙げられる。一実施形態では、医薬組成物は錠剤である。錠剤は、任意選択でポリマーベースのフィルムコーティングでコーティングされてもよい。
【0022】
本発明の塩は、単独で又はHIV感染の予防若しくは処置に有用な他の医薬活性剤との組合せで用いられてもよい。本発明の塩及び任意の他の薬剤(複数可)は、一緒に又は別々に投与されてもよく、別々に投与される場合、投与は同時に又は任意の順序で逐次的に行われてもよい。本発明の塩及び他の医薬活性剤(複数可)の量並びに投与の相対的な時機は、所望の組み合わされた治療効果を達成するように選択される。本発明の塩と他の処置剤との組合せでの投与は、(1)複数の薬剤を含む単一の医薬組成物、又は(2)それぞれが薬剤の1種を含む別個の医薬組成物としての同時投与による組合せであってもよい。代替的に、組合せは、1種の処置剤が最初に投与され、次に他の第2の薬剤が投与される又はその逆も可能であり、かつ適切な場合は異なる薬剤が異なるスケジュールで投与されてもよい逐次的な態様で別々に投与することができる。そのような逐次的投与は、時間的に近接してもよく、又は時間的に離れていてもよい。本発明の化合物、又はその塩及び他の医薬活性剤(複数可)の量並びに投与の相対的な時機は、所望の組み合わされた治療効果を達成するように選択される。
【0023】
そのような他の薬剤として、例えばヌクレオシドHIV逆転写酵素阻害剤、非ヌクレオシドHIV逆転写酵素阻害剤、HIVプロテアーゼ阻害剤、HIV融合阻害剤、HIV付着阻害剤、CCR5阻害剤、CXCR4阻害剤、HIV出芽又は成熟阻害剤及びHIVインテグラーゼ阻害剤が挙げられる。好ましい他の薬剤として、例えばドルテグラビル、ビクテグラビル、ラミブジン、フォステムサビル、カボテグラビル、マラビロク、リルピビリン(rilpiverine)、レイアタッツ、テノホビル、アラフェナミド(Afenamide)、EfDA、ドラビリン及びプリジスタ(Preziata)が挙げられる。特に好ましい他の薬剤として、例えばドルテグラビル、ビクテグラビル、EfDA、ラミブジン、フォステムサビル及びカボテグラビルが挙げられる。
【実施例
【0024】
化合物Aは、例えば米国特許第9,527,882号の実施例2bに記載されるように調製されてもよい。
【0025】
Bruker D8 Advance X線粉末回折計を用いてX線粉末回折(XRPD)データを取得した。取得条件は、放射線:Cu Kα、発生装置電圧:40kV、発生装置電流:40mA、開始角度:2.0°2θ、終了角度:40.0°2θ、ステップサイズ:0.02°2θ、ステップ当たりの時間:0.325秒であった。試料をシリコンウェハ(ゼロバックグラウンド)プレート上に載せ、粉末の薄層を得ることにより試料を調製した。
【0026】
TA Instruments Q20 DSCを用いて示差走査熱量測定(DSC)データを取得した。方法パラメータは、加熱プログラム:窒素ガス流動下で1分当たり10℃の加熱速度を使用して30℃~300℃であった。
【0027】
Zeiss Axioplan 2 Microscopeを用いて偏光を使用して偏光顕微鏡法(PLM)画像を取得した。
【0028】
化合物Aの無水結晶メシル酸塩の第1のシードの調製
粗化合物Aを50体積当量(「voleq」)の酢酸エチル中に懸濁した。次に懸濁液を40℃に加熱して溶液を形成した。1モル当量の3モル濃度のメタンスルホン酸水溶液を室温で溶液に添加した。得られた溶液を、温度を40℃~5℃の間で循環させながら3日間撹拌した。次に懸濁液を濾過し、1時間空気乾燥させ化合物Aのメシル酸塩の無水結晶形態を得た。X線粉末回折(「XRPD」)及び示差走査熱量測定(「DSC」)により、化合物Aのメシル酸塩の独特かつ新規の結晶形態が確認された。この形態を形態1と表す。化合物Aのメシル酸塩のこの形態1を、今後の調製におけるシードとして使用することができる。
【0029】
化合物Aの無水結晶メシル酸塩の調製
およそ20mgの粗化合物Aをおよそ0.9gの酢酸エチル(EtOAc)中に懸濁した。次に懸濁液を40~50℃に加熱して溶液を形成した。およそ9ulの3モル濃度のメタンスルホン酸(MSA)水溶液を室温で溶液に添加した。得られた溶液を、温度を40℃~5℃の間で循環させながら3日間撹拌した。次に懸濁液を濾過し、1時間空気乾燥させ化合物Aのメシル酸塩の無水結晶形態1を得た。化合物Aのメシル酸塩のこの形態1を、今後の調製におけるシードとして使用することができる。X線粉末回折(「XRPD」)及び示差走査熱量測定(「DSC」)により、化合物Aのメシル酸塩の独特かつ新規の結晶形態が確認された。
【0030】
化合物Aのメシル酸塩の結晶形態1の調製
1gの粗化合物Aを18.8gの酢酸エチル:ジメチルスルホキシド(39:1、wt:wt)中に懸濁した。次に懸濁液を48~53℃に加熱し、完全な溶解が達成されるまでその温度で維持した。清澄濾過を別の容器に実施し、移送デバイスからの残留溶液を0.8gの酢酸エチル:ジメチルスルホキシド(39:1、wt:wt)ですすいだ。次に、0.22gのメタンスルホン酸(MSA)/EtOAc溶液(MSA/EtOAc=0.18:4.5、wt:wt)を化合物A溶液に投入した。得られた溶液に、0.3gの酢酸エチル中0.006gの化合物Aのメシル酸塩の形態1の娘シードを播種した。懸濁液を1時間(h)熟成させ、その後3.7gのメタンスルホン酸(MSA)/EtOAc溶液(0.18:4.5、wt:wt)をおよそ5時間かけて投入した。懸濁液を5時間かけて3~8℃に冷却し、その後8時間熟成させた。次に懸濁液を真空下で濾過し、続いてケーキをおよそ4gの酢酸エチルで3回洗浄した。次いでケーキを真空中20~30℃で6時間乾燥させ、その後48~52℃でさらに30時間乾燥させ、化合物Aのメシル酸塩の形態1を得た。X線粉末回折(「XRPD」)及び示差走査熱量測定(「DSC」)により、化合物Aのメシル酸塩の独特かつ新規の結晶形態が確認された。
【0031】
化合物Aのメシル酸塩の結晶形態1の調製
粗化合物Aを21Voleqの98:2v/vの酢酸エチル:ジメチルスルホキシド(「DMSO」)中に懸濁した。次に懸濁液を50℃に加熱し、完全な溶解が達成されるまでその温度で維持した。清澄濾過を別の容器に実施し、残留溶液を1Voleqの酢酸エチルで移した。溶液の温度を50℃に維持し、5Voleqの酢酸エチル中1.1モル当量のメタンスルホン酸を含有する酸溶液10%重量当量(10% weight equivalent)(「wteq」)を化合物A溶液に投入した。得られた溶液に、0.5Voleqの酢酸エチル中0.5%wteqの化合物Aのメシル酸塩の形態1の娘シードを播種した。懸濁液を1時間(「h」)熟成させ、その後残りの酸溶液を6時間かけて投入した。懸濁液を6時間かけて5℃に冷却し、その後8時間熟成させた。次に懸濁液を真空下で濾過し、続いてケーキを5voleqの酢酸エチルで3回洗浄した。ケーキを真空中50℃で20時間乾燥させ、化合物Aのメシル酸塩の形態1を得た。当量は、粗遊離塩基のアッセイに基づく。
【0032】
遊離塩基及びメタンスルホン酸の重量パーセントをイオンクロマトグラフィーにより決定し、メタンスルホン酸と化合物Aの間の1/1のモル比が確認された。X線粉末回折(「XRPD」)及び示差走査熱量測定(「DSC」)により、化合物Aのメシル酸塩の独特かつ新規の結晶形態が確認された。図1及び2を参照されたい。図2は、化合物Aの結晶メシル酸塩の形態1が、およそ242℃で溶融を開始することを示す。偏光顕微鏡法により複屈折が示され、化合物Aのメシル酸塩の形態1の固体の結晶性(結晶化度)が確認される。図3を参照されたい。
【0033】
すべての医薬化合物及び組成物と同様に、化合物Aの塩の化学的及び物理的特性は、新規のHIV治療薬としてのその商業的開発において重要である。これらの特性には、以下に限定されないが、(1)充填特性、例えばモル体積、密度及び吸湿性、(2)熱力学的特性、例えば溶融温度、蒸気圧及び溶解度、(3)動的特性、例えば溶解速度及び安定性(周囲条件での、特に水分に対する、及び保存条件下での安定性を含む)、(4)表面特性、例えば表面積、湿潤性、界面張力及び形状、(5)機械的特性、例えば硬度、引張強度、緻密性(compactibility)、取扱い性、流動及びブレンド、並びに(6)濾過特性が含まれる。
【0034】
本発明者らは、化合物Aのメシル酸塩、特に結晶形態1は、化合物Aの親遊離塩基及びBis-HCl塩に対して特定の利点を有することを見出した。化合物AのBis-HCl塩は、‘882号特許に開示されている。化合物Aの親遊離塩基は、空腹時人工腸液(「FaSSIF」)及び摂食時人工腸液(「FeSSIF」)へのその低い溶解度に基づき、開発に好適なバージョンとしては除外された。化合物Aのbis-HCl塩と比較すると、化合物Aのメシル酸塩の形態1は、FaSSIFとFeSSIFの両方においてより高い溶解度を有する。親化合物A、化合物Aのbis-HCl塩及び化合物Aのメシル酸塩の形態1の、制御された周囲室温での種々の媒体に対する溶解度を以下の表1にまとめる。
【0035】
【表2】
【0036】
さらに、化合物Aのbis-HCl塩と比較すると、化合物Aのメシル酸塩の形態1は、周囲湿度条件での水分収着/吸着時に、有意な形態変化を生じることなくより低い吸湿性を有し、これにより、より高い物理的安定性をもたらす。Surface Measurement System DVS Advantageを使用して、25℃で水蒸気収着実験を実施した。化合物AのBis-HCl塩は、25℃で0%~90%の間の相対湿度で、水の重量当たりおよそ7重量%を可逆的に吸収した。40%の相対湿度での曝露時に、化合物AのBis-HCl塩は、水の重量当たりおよそ4重量%を可逆的に吸収し、多形形態へと変換された。70%の相対湿度での曝露時に、化合物AのBis-HCl塩は、水の重量当たりさらにおよそ3重量%を可逆的に吸収し、一過性の水和固体状態の形態へと変換された。変換は脱着時に可逆的であった。化合物Aの結晶メシル酸塩の形態1は、25℃で0%~90%の間の相対湿度で、水の重量当たりおよそ1.6重量%を可逆的に吸収した。
【0037】
化合物Aのbis-HCl塩と比較すると、化合物Aのメシル酸塩の結晶形態1は、顕著により高い溶融温度を有する。さらに、化合物Aのbis-HCL塩は、加熱中に対イオンの熱損失を示すのに対し、化合物Aのメシル酸塩はこの挙動を示さない。これは、メシル酸塩の形態1が、bis-HCL塩より熱的及び物理的に安定であることを示唆する。
【0038】
錠剤:
本発明の無水結晶メシル酸塩の形態1、微結晶セルロース、マンニトール、デンプングリコール酸ナトリウム、ポビドン及びステアリン酸マグネシウムを使用して錠剤を調製した。錠剤を、Colorconから市販のポリマーベースのフィルムコーティングであるOpadry Film Coat、白色/OY-S-28876でコーティングした。遊離塩基の重量に対して25mg又は100mgの化合物Aの無水結晶メシル酸塩の形態1を含有する錠剤を、以下の配合の顆粒を使用して調製した。処方の分量は重量%として示す。
化合物Aの結晶メシル酸塩の形態1、活性物質-54.83%
微結晶セルロース、Avicel PH101、希釈剤-18.00%
マンニトール、Pearlitol 25C、希釈剤-15.17%
デンプングリコール酸ナトリウム、Glycolys、崩壊剤-7.00%
ポビドン、Plasdone K29/32、結合剤-5%
【0039】
遊離塩基の重量に対して25mgの化合物Aのメシル酸塩の形態1を含有する錠剤を、上記の顆粒を使用して以下の処方で調製した:
顆粒-51.625mg
微結晶セルロース、Avicel PH102、希釈剤-105mg
マンニトール、Pearlitol200SD、希釈剤-189.88mg
ステアリン酸マグネシウム、Ligamed MF-2-V又はMF-2-K Oral、潤滑剤-3.50mg
【0040】
次に、得られた錠剤を10.50mgのOpadry Film Coat、白色OY-S-28876でコーティングした。
【0041】
遊離塩基の重量に対して100mgの化合物Aのメシル酸塩の形態1を含有する錠剤を、上記の顆粒を使用して以下の処方で調製した:
顆粒-206.50mg mg
微結晶セルロース、Avicel PH102、希釈剤-105mg
マンニトール、Pearlitol200SD、希釈剤-35.00mg
ステアリン酸マグネシウム、Ligamed MF-2-V又はMF-2-K Oral、潤滑剤-3.50mg
【0042】
次に、得られた錠剤を10.50mgのOpadry Film Coat、白色OY-S-28876でコーティングした。
図1
図2
図3
【国際調査報告】