(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-26
(54)【発明の名称】カーボンナノチューブ製品製造システムおよびその製造方法
(51)【国際特許分類】
D01F 9/12 20060101AFI20220119BHJP
C01B 32/168 20170101ALI20220119BHJP
D01D 5/06 20060101ALI20220119BHJP
【FI】
D01F9/12
C01B32/168
D01D5/06 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021544091
(86)(22)【出願日】2018-10-04
(85)【翻訳文提出日】2021-05-27
(86)【国際出願番号】 US2018054459
(87)【国際公開番号】W WO2020072066
(87)【国際公開日】2020-04-09
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521140490
【氏名又は名称】ウーツ・エル・エル・シー
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】特許業務法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ベンジオ,エリー・アムラム
(72)【発明者】
【氏名】マークス,アレクサンダー・ジョーセフ
【テーマコード(参考)】
4G146
4L037
4L045
【Fターム(参考)】
4G146AA11
4G146AB06
4G146BA04
4G146CB02
4G146CB07
4L037AT05
4L037CS03
4L037PF09
4L037PF19
4L045AA02
4L045BA34
4L045BA53
4L045CA05
4L045DA32
(57)【要約】
カーボンナノチューブ製品を製造する方法であって、整列していないカーボンナノチューブ材料を固体溶媒粒子とブレンドすることと、固体溶媒粒子を液化することによりナノチューブ溶媒を活性化することと、ナノチューブ溶媒および整列していないカーボンナノチューブ材料を混合することによりナノチューブドープ溶液を生成することと、ナノチューブドープ溶液を押し出すことによりカーボンナノチューブプロト製品を形成することと、カーボンナノチューブプロト製品を固化することにより整列したカーボンナノチューブ製品を形成することと、を含む、方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カーボンナノチューブ製品を製造する方法であって、
整列していないカーボンナノチューブ材料を固体溶媒粒子とブレンドすることと、
前記固体溶媒粒子を液化することによりナノチューブ溶媒を活性化することと、
前記ナノチューブ溶媒および前記整列していないカーボンナノチューブ材料を混合することにより、ナノチューブドープ溶液を生成することと、
前記ナノチューブドープ溶液を押し出すことによってカーボンナノチューブプロト製品を形成することと、
前記カーボンナノチューブプロト製品を固化することにより、整列したカーボンナノチューブ製品を形成することと、を含む、方法。
【請求項2】
前記カーボンナノチューブプロト製品を形成することは、前記ナノチューブドープ溶液をナノチューブフィラメントまたはナノチューブフィルムとして押し出すことを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記整列していないカーボンナノチューブ材料とブレンドする前に、前記ナノチューブ溶媒を低温凍結して前記固体溶媒粒子を形成することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記ナノチューブ溶媒を活性化することは、前記固体溶媒粒子を加熱することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
液体状態の前記ナノチューブ溶媒を前記整列していないカーボンナノチューブ材料に添加することをさらに含み、
前記ナノチューブドープ溶液を生成することは、液体状態の前記ナノチューブ溶媒を前記整列していないカーボンナノチューブ材料に剪断混合することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記ナノチューブ溶媒の劣化を防止するために、ガス状塩酸との並流下で蒸発により前記ナノチューブ溶媒を除去することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記ナノチューブドープ溶液中の最も低いアスペクト比のカーボンナノチューブ分子を除去するために前記ナノチューブドープ溶液を分別することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記整列したカーボンナノチューブ製品を形成することは、前記カーボンナノチューブプロト製品を放射線源に曝露することによって前記カーボンナノチューブプロト製品を固化することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記整列したカーボンナノチューブ製品を形成することは、前記カーボンナノチューブプロト製品を化学凝固剤に曝露することによって前記カーボンナノチューブプロト製品を固化することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記カーボンナノチューブプロト製品中のカーボンナノチューブ分子の整列を与えるために前記カーボンナノチューブプロト製品を延伸することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記整列したカーボンナノチューブ製品をドープすること、前記整列したカーボンナノチューブ製品の表面をコーティングすること、またはそれらの組み合わせをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記整列したカーボンナノチューブ製品を、前記整列したカーボンナノチューブ製品、他の材料、またはそれらの組み合わせの追加の例と統合して、ヤーン、糸、織物、積層フィルム、テープ、発泡体、複合プリプレグ、または離散長のチョップドファイバー材料を含む統合された構造を生成することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記整列したカーボンナノチューブ製品を、前記整列したカーボンナノチューブ製品、他の材料、またはそれらの組み合わせの追加の例と統合して、ワイヤアンテナ、パッチアンテナ、コイルトランス、または同軸ケーブルを含む構成要素を生成することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
カーボンナノチューブ製品を製造する方法であって、
整列していないカーボンナノチューブ材料を溶媒前駆体材料と混合することと、
前記溶媒前駆体を溶媒活性化剤と反応させることによってナノチューブ溶媒を活性化することと、
前記ナノチューブ溶媒および前記整列していないカーボンナノチューブ材料を混合することにより、ナノチューブドープ溶液を生成することと、
前記ナノチューブドープ溶液を押し出すことによってカーボンナノチューブプロト製品を形成することと、
前記カーボンナノチューブプロト製品を固化することにより、整列したカーボンナノチューブ製品を形成することと、を含む、方法。
【請求項15】
カーボンナノチューブ製品製造システムであって、
整列していないカーボンナノチューブ材料を固体溶媒粒子とブレンドするように構成されたブレンドユニットと、
均質化ユニットであって、
前記固体溶媒粒子を液化することによりナノチューブ溶媒を活性化し、かつ
前記ナノチューブ溶媒および前記整列していないカーボンナノチューブ材料を混合して、ナノチューブドープ溶液を生成するように構成された、均質化ユニットと、
前記ナノチューブドープ溶液をカーボンナノチューブプロト製品として押し出すように構成された押出アセンブリと、
前記カーボンナノチューブプロト製品を整列したカーボンナノチューブ製品として固化するように構成された固化モジュールと、を備える、カーボンナノチューブ製品製造システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一実施形態は、概して、カーボンナノチューブ製品を製造するためのシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
カーボンナノチューブ分子からの物品の生成は、多くの技術分野での応用が見出されている。特に、カーボンナノチューブ繊維およびシートの生成における研究開発は、無数の異なる方向に進んできた。しかしながら、一貫して生成可能な高品質のカーボンナノチューブ物品の入手可能性は、カーボンナノチューブ物品の特性を利用したいというその願望に対する懸念となっている。
【0003】
したがって、高品質のカーボンナノチューブ物品を製造するためのシステムの必要性が依然として残っている。ますます高まる商業的競争圧力、消費者の期待の高まり、市場における有意義な製品差別化の機会の減少を考慮すると、これらの問題に対する答えを見つけることがますます重要になっている。加えて、コストを削減し、効率とパフォーマンスを向上させ、かつ競争圧力に対応する必要性は、これらの問題に対する答えを見つけるための決定的な必要性にさらに大きな緊急性を追加する。
【0004】
これらの問題の解決策は長い間追求されてきたが、以前の開発は解決策を教示または示唆しておらず、したがって、これらの問題の解決策は当業者に長い間分からなかった。
【発明の概要】
【0005】
本発明の一実施形態は、カーボンナノチューブ製品を製造する方法であって、整列していないカーボンナノチューブ材料を固体溶媒粒子とブレンドすることと、固体溶媒粒子を液化することによりナノチューブ溶媒を活性化することと、ナノチューブ溶媒および整列していないカーボンナノチューブ材料を混合することによりナノチューブドープ溶液を生成することと、ナノチューブドープ溶液を押し出すことによりカーボンナノチューブプロト製品を形成することと、カーボンナノチューブプロト製品を固化することにより整列したカーボンナノチューブ製品を形成することと、を含む、方法を提供する。
【0006】
本発明の一実施形態は、カーボンナノチューブ製品を製造する方法であって、整列していないカーボンナノチューブ材料を溶媒前駆体材料と混合することと、溶媒前駆体を溶媒活性化剤と反応させることによりナノチューブ溶媒を活性化することと、ナノチューブ溶媒および整列していないカーボンナノチューブ材料を混合することによりナノチューブドープ溶液を生成することと、ナノチューブドープ溶液を押し出すことによりカーボンナノチューブプロト製品を形成することと、カーボンナノチューブプロト製品を固化することにより整列したカーボンナノチューブ製品を形成することと、を含む、方法を提供する。
【0007】
本発明の一実施形態は、カーボンナノチューブ製品製造システムであって、整列していないカーボンナノチューブ材料を固体溶媒粒子とブレンドするように構成された固体ブレンドユニットと、均質化ユニットであって、固体溶媒粒子を液化することによりナノチューブ溶媒を活性化し、かつナノチューブ溶媒および整列していないカーボンナノチューブ材料を混合して、ナノチューブドープ溶液を生成するように構成された、均質化ユニットと、ナノチューブドープ溶液をカーボンナノチューブプロト製品として押し出すように構成された押出アセンブリと、カーボンナノチューブプロト製品を整列したカーボンナノチューブ製品として固化するように構成された固化モジュールと、を備える、カーボンナノチューブ製品製造システムを提供する。
【0008】
本発明の特定の実施形態は、上記のものに加えて、またはそれらの代わりに、他のステップまたは要素を有する。ステップまたは要素は、添付の図面を参照して用いられたときに、以下の詳細な説明を読むことから当業者に明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】カーボンナノチューブ製品製造システムの概略図である。
【
図2】
図1のカーボンナノチューブ製品製造システム用の混合モジュールの概略図である。
【
図3】
図1のカーボンナノチューブ製品製造システムの押出モジュールの概略図である。
【
図4】
図1のカーボンナノチューブ製品製造システムの固化モジュールの概略図である。
【
図5】
図1のカーボンナノチューブ製品製造システムのポストプロダクションモジュールの概略図である。
【
図6】
図1のカーボンナノチューブ製品製造システムによる、
図1の整列したカーボンナノチューブ製品102の製造方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明は、一般に、整列していないカーボンナノチューブ材料を処理するためのシステム、方法、および装置に関する。一態様は、様々な形態の整列したカーボンナノチューブ材料を生成するためのシステムに関する。本明細書に開示されるシステムは、整列したカーボンナノチューブ材料を製造するためのモジュラーユニット、アセンブリ、デバイスなどを含む。
【0011】
以下の実施形態は、当業者が本発明を作成および使用することを可能にするのに十分詳細に記載されている。本開示に基づいて他の実施形態が明らかとなり、本発明の実施形態の範囲から逸脱することなく、システム、プロセス、または機械的変更をなし得ることを理解されたい。
【0012】
以下の説明では、本発明の完全な理解を提供するために、多くの特定の詳細が与えられている。しかしながら、本発明がこれらの特定の詳細なしで実施され得ることは明らかであろう。本発明の実施形態を曖昧にすることを回避するために、いくつかの既知の回路、システム構成、およびプロセスステップは詳細に開示されていない。
【0013】
システムの実施形態を示す図面は、半図解式であり、縮尺どおりではなく、特に、いくつかの寸法は、表示を明確にするためのものであり、図面では誇張されて示されている。同様に、説明を容易にするために図面における視点は、一般に同様の向きを示しているが、図のこの描写は、ほとんどの場合、任意である。一般に、本発明は、任意の向きで操作することができる。
【0014】
便宜上、出願全体で使用されている特定の用語がここに集められている。別に定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、本発明が属する当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。
【0015】
カーボンナノチューブ材料に関して、「実質的に純粋な」という用語は、カーボンナノチューブ材料を構成するカーボンナノチューブ分子に関して、少なくとも約75%、好ましくは少なくとも約85%、より好ましくは少なくとも約90%、最も好ましくは少なくとも約95%の純度であるカーボンナノチューブ材料を指す。言い換えれば、カーボンナノチューブ材料に関して「実質的に純粋」または「本質的に精製された」という用語は、所望のカーボンナノチューブ材料ではない分子の約20%未満、より好ましくは約15%、10%、8%、7%未満、最も好ましくは約5%、4%、3%、2%、1%未満、または1%未満を含むカーボンナノチューブ材料を指す。
【0016】
本明細書で使用される場合、「含んでいる」または「含む」という用語は、本発明に必須の組成物、方法、およびそれらのそれぞれの構成要素に関して使用されるが、必須であるか否かを問わず、不特定の要素を含むことに対して開かれている。さらなる例として、元素AおよびBを含む組成物は、A、BおよびCからなる組成物も包含する。「含んでいる」という用語は、「主に含むが、単独で必要なわけではない」を意味する。さらに、原形の「含む」および単数形の「含む」などの「含んでいる」という単語の変形は、それに応じて変化した意味を有する。「本質的になる」という用語は、「主に少なくとも1つを含むが、少なくとも1つだけを必要とするわけではない」を意味し、したがって、「1つ以上の、および任意の組み合わせの選択」を意味することを意図する。本明細書の文脈において、「含んでいる」という用語は、「主に含むが、単独で必要なわけではない」ことを意味する。
【0017】
本明細書で使用される場合、「本質的にからなる」という用語は、所与の実施形態に必要な要素を指す。この用語は、本発明のその実施形態の基本的および新規または機能的特徴に物質的に影響を及ぼさない追加の要素の存在を可能にする。
【0018】
「からなる」という用語は、本明細書に記載の組成物、方法、およびそれらのそれぞれの構成要素を指し、これらは、実施形態のその説明に記載されていない任意の要素を排除する。
【0019】
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈が別段の明確な指示をしない限り、複数の引用物を含む。したがって、例えば、「方法」への言及は、1つ以上の方法、および/または本明細書に記載のタイプのステップ、および/または本開示などを読むと当業者に明らかになるであろうステップを含む。
【0020】
前述の詳細な説明および以下の例は、例示にすぎず、本発明の範囲に対する制限として解釈されるべきではないことが理解される。当業者には明らかとなる、開示された実施形態に対する様々な変更および修正は、本発明の思想および範囲から逸脱することなく行われ得る。
【0021】
本発明は、本明細書に記載される特定の方法論、プロトコル、および試薬などに限定されず、それ自体が変化することができることを理解されたい。本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を説明することのみを目的としており、特許請求の範囲によってのみ定義される本発明の範囲を限定することを意図するものではない。
【0022】
ここで
図1を参照すると、カーボンナノチューブ製品製造システム100の概略図が示されている。カーボンナノチューブ製品製造システム100は、整列していないカーボンナノチューブ材料104から整列したカーボンナノチューブ製品102を生成することができる。整列していないカーボンナノチューブ材料104は、多数のカーボンナノチューブ分子106を含む構造である。例えば、整列していないカーボンナノチューブ材料104は、低密度のバルク固体繊維構造であることができる。カーボンナノチューブ分子106は、整列していないカーボンナノチューブ材料104および整列したカーボンナノチューブ製品102内の個々のカーボンナノチューブマクロ分子である。一例として、カーボンナノチューブ分子106は、単層カーボンナノチューブ分子であり得るが、カーボンナノチューブ分子106は、二層、多層カーボンナノチューブ分子、またはそれらの組み合わせなどの、他の構造、形状、または形態であることができることが理解される。整列していないカーボンナノチューブ材料104では、カーボンナノチューブ分子106は、ランダムに配向され、引力の分子間ファンデルワールス力によってまとまることができる。
【0023】
整列したカーボンナノチューブ製品102は、カーボンナノチューブ分子106を、カーボンナノチューブ分子106の長軸または長さのそれらの組み合わせに沿って軸方向に、長手方向に整列させることによって形成される材料である。一般に、整列したカーボンナノチューブ製品102は、引力の分子間ファンデルワールス力を克服し、引力の分子間力を縦方向に再確立することによって、カーボンナノチューブ分子106のそれぞれを互いに分離することによって生成することができ、これは、非常に望ましい機械的特性のための基礎を提供する。整列したカーボンナノチューブ製品102は、いくつかの異なる形態で生成することができる。例えば、整列したカーボンナノチューブ製品102は、フィラメント、繊維、フィルム、またはそれらの組み合わせの形態であることができ、これらは、糸、ヤーン、シート、織物、発泡体、またはテープなどの他の材料または構造に組み込まれるかまたは統合することができる。整列したカーボンナノチューブ製品102は、それ自体または他のタイプの材料と組み合わせることができる。
【0024】
整列したカーボンナノチューブ製品102を生成するために選択されたカーボンナノチューブ分子106は、長さ対直径(L/D)のアスペクト比、およびGバンド対Dバンド(G/D)比によって決定される純度によって、特徴付けることができる。例えば、カーボンナノチューブ分子106は、好ましくは、500より大きいアスペクト比および4より大きいG/D比を有することができ、より好ましくは、カーボンナノチューブ分子106は、1000より大きいアスペクト比および6より大きいG/D比を有することができ、最も好ましくは、カーボンナノチューブ分子106は、2000より大きいアスペクト比および10より大きいG/D比を有することができる。
【0025】
カーボンナノチューブ製品製造システム100は、整列したカーボンナノチューブ製品102を生成するための1つ以上の処理モジュールを含むことができる。処理モジュールのそれぞれは、整列したカーボンナノチューブ製品102を製造するための、デバイス、機械、機構、アセンブリ、物理的結合器具、またはそれらの組み合わせなどの1つ以上の物理的処理ユニットを含むことができる。カーボンナノチューブ製品製造システム100のユニットの例は、混合モジュール110、押出モジュール120、固化モジュール130、生成後モジュール140、またはそれらの組み合わせを含むことができる。さらなる例として、押出モジュール120は、均質化ユニット220に結合することができ、固化モジュール130は、押出モジュール130に結合することができ、生成後モジュール140は、固化モジュール130に結合することができる。さらに別の例では、モジュールは、統合されたインラインの連続または半連続プロセスであることができる。
【0026】
混合モジュール110は、押し出すことができるカーボンナノチューブ分子106の溶液を生成するためのものである。例えば、混合モジュール110は、整列されていないカーボンナノチューブ材料104からナノチューブドープ溶液112を生成するための処理ユニットを含むことができる。ナノチューブドープ溶液112は、カーボンナノチューブ分子106が溶媒中で互いに分離された液体溶液である。いくつかの実施形態では、混合モジュール110は、整列されていないカーボンナノチューブ材料104の固体ブレンド、整列されていないカーボンナノチューブ材料104の溶解および液体状態混合、またはそれらの組み合わせのためのユニットを含むことができる。いくつかの実施形態では、混合モジュール110は、ナノチューブドープ溶液112の濃度を調整するためのユニットを含むことができる。混合モジュール110の詳細については、以下でさらに説明する。
【0027】
押出モジュール120は、ナノチューブドープ溶液112を処理してカーボンナノチューブプロト製品122を形成するためのものである。例えば、押出モジュール120は、カーボンナノチューブプロト製品122の形成前に、ナノチューブドープ溶液112の温度、圧力、化学組成、またはそれらの組み合わせを均質化するためのものである。カーボンナノチューブプロト製品122は、カーボンナノチューブ分子106の完全な整列の前に、整列したカーボンナノチューブ製品102の初期の物理的形態を有する材料である。例えば、カーボンナノチューブプロト製品112は、押出モジュール120によって生成することができ、体積または重量分率によって測定されたとき、主に溶媒である組成物を有する。いくつかの実施形態では、押出モジュール120は、ナノチューブドープ溶液112を精製する、ナノチューブドープ溶液112を様々な物理的形態および形状に成形する、またはそれらの組み合わせを行うための処理ユニットを含むことができる。押出モジュール120の詳細については、以下でさらに説明する。
【0028】
固化モジュール130は、カーボンナノチューブプロト製品122から整列したカーボンナノチューブ製品102を生成するためのものである。いくつかの実施形態では、固化モジュール130は、カーボンナノチューブプロト製品122を固化させるための処理ユニット、カーボンナノチューブプロト製品122内のカーボンナノチューブ分子106に整列を与えるための処理ユニット、またはそれらの組み合わせを含むことができる。固化モジュール130の詳細については、以下でさらに説明する。
【0029】
生成後モジュール140は、整列したカーボンナノチューブ製品102を強化または修正するためのものである。いくつかの実施形態では、後処理モジュール140は、整列したカーボンナノチューブ製品102の精製、整列したカーボンナノチューブ製品102の任意の修正、整列したカーボンナノチューブ製品102の物理的形態の操作または変更、整列したカーボンナノチューブ製品102の追加の構造へのまたは追加の材料との統合のための処理ユニット、あるいはそれらの組み合わせを含むことができる。生成後モジュール140の詳細については、以下でさらに説明する。
【0030】
いくつかの実施形態では、カーボンナノチューブ製品製造システム100は、整列したカーボンナノチューブ製品102をカーボンナノチューブフィラメント、ファイバー、またはフィルムとして生成することができる。一例として、カーボンナノチューブ製品製造システム100によって生成されたフィラメント、ファイバー、またはフィルムの形態の整列したカーボンナノチューブ製品102は、引張強度、伸び、応力疲労、多孔性またはボイド率、分子配列、純度、導電率、またはそれらの組み合わせなどの1つ以上の特性によって特徴付けることができる。以下は、カーボンナノチューブ製品製造システム100によって達成される整列したカーボンナノチューブ製品102の特性の例である。
【0031】
整列したカーボンナノチューブ製品102の引張強度の特性は、3GPaを超えることができる。一般に、カーボンナノチューブ分子106の引張強度は約60GPaである。カーボンナノチューブ製品製造システム100は、最大40%の分子スケール特性を、整列したカーボンナノチューブ製品102のマクロスケールに変換する、整列したカーボンナノチューブ製品102を生成することができ、これは、24GPaのCNT繊維を生成することができる。比較のために、ケブラーは約3.6GPaであるが、多くの異なるグレードのケブラーが利用可能である。
【0032】
整列したカーボンナノチューブ製品102の伸びの特性は、破壊するまで0.5%~10%の伸びであることができる。カーボンナノチューブ製品製造システム100は、強度と伸びとの間のトレードオフに合わせて調整することができ、それにより、整列したカーボンナノチューブ製品102は、伸びを犠牲にしてより強くかつより堅くなることができ、またはその逆も可能である。
【0033】
整列したカーボンナノチューブ製品102の応力疲労の特性は、15%の変形で破壊するまで、数十億サイクルの変形に耐える。整列したカーボンナノチューブ製品102の多孔性またはボイド率の特性は、窒素(N2)または二酸化炭素(CO2)ガス吸収のブルナウアー-エメット-テラー(Brunauer-Emmett-Teller(BET))法によって決定された場合、好ましくは20%未満、より好ましくは10%未満、最も好ましくは5%未満のボイド率であることができる。整列したカーボンナノチューブ製品102の分子整列の特性は、X線および中性子回折などの回折または散乱技術によって測定した場合、好ましくは0.8、より好ましくは0.9、最も好ましくは0.95を超えるハーマン配向係数であることができる。整列したカーボンナノチューブ製品102の純度の特性は、ラマン分光法によって測定した場合、好ましくは5を超え、より好ましくは10を超え、最も好ましくは20を超えるG/D比であることができる。整列したカーボンナノチューブ製品102の導電率の特性は、10Λ6S/mを超えることができる。
【0034】
カーボンナノチューブ製品製造システム100は、整列したカーボンナノチューブ製品102と組み立てることができるデバイスおよびコンポーネントを生成するための追加のユニットまたはデバイスを含むことができる。例えば、整列したカーボンナノチューブ製品102から組み立てられたデバイスおよびコンポーネントは、ワイヤアンテナ、パッチアンテナ、コイルトランス、同軸ケーブルを含むことができる。別の例では、整列したカーボンナノチューブ製品102は、ロープ、ヤーン、織物、樹脂が予め含浸されたテープまたは布、発泡体、チョップドファイバーフィラー材料、または積層フィルムなどの他の構造に統合される構成要素であることができる。
【0035】
ここで
図2を参照すると、
図1のカーボンナノチューブ製品製造システム100の混合モジュール110の概略図が示されている。混合モジュール110は、整列していないカーボンナノチューブ材料104からナノチューブドープ溶液112を生成するための1つ以上の処理ユニットを含むことができる。例えば、混合モジュール110は、ブレンドユニット202、均質化ユニット220、濃度調整ユニット230、またはそれらの組み合わせを含むことができる。
【0036】
ブレンドユニット202は、材料の固体粉砕、分類、ブレンド、またはそれらの組み合わせのためのものである。より具体的には、ブレンドユニット202は、移送中に自発的に分離または隔離しない自由流動性の乾燥粉末ブレンド材料を生成することができる。例えば、一実施形態では、ブレンドユニット202は、ナノチューブ溶媒204を固体溶媒粒子206として整列していないカーボンナノチューブ材料104全体に均一に分散させて、固体ブレンド208を生成するように構成することができる。一般に、ナノチューブ溶媒204は固体溶媒粒子206中に固化されるので、固体溶媒粒子206と整列していないカーボンナノチューブ材料104との固体ブレンド208は乾燥混合物である。別の実施形態では、ブレンドユニット202は、溶媒前駆体材料240を整列していないカーボンナノチューブ材料104全体に均一に分散させて、固体ブレンド202を生成するように構成することができる。さらなる実施形態では、ブレンドユニット202は、ナノチューブ溶媒204を添加することなく、整列していないカーボンナノチューブ材料104を物理的に処理するように構成することができる。
【0037】
一例では、ナノチューブ溶媒204は、カーボンナノチューブ分子106を整列していないカーボンナノチューブ材料104に溶解することができる溶媒である。より具体的には、ナノチューブ溶媒204は、カーボンナノチューブ分子106のsp2炭素格子上で非局在化したπ電子をプロトン化することができる。一例として、カーボンナノチューブ溶媒204は、クロロスルホン酸(HSO3 Cl)、フルオロスルホン酸、フルオロ硫酸、塩酸、メタンスルホン酸、硝酸、フッ化水素酸、フルオロアンチモン酸、マジック酸、または任意の他のタイプのカルボランベースの酸などの酸であることができる。別の例として、ナノチューブ溶媒204は、その臨界点を超える温度および圧力の物質である超臨界流体であることができる。超臨界流体としてのナノチューブ溶媒204は、溶質分子、この場合はカーボンナノチューブ分子106間の静電相互作用のスクリーニングを提供して、表面張力効果および粒子-粒子相互作用を打ち消し、本明細書に記載のナノチューブドープ溶液112としての溶液処理を可能にする。ナノチューブ溶媒204の臨界点を超えると、その温度および圧力を、カーボンナノチューブ分子106の最大溶解度を維持するように調整することができ、これにより、超臨界状態のナノチューブ溶媒204を、すべての効果的な目的のために非熱的であると見なすことができる。一例として、超臨界流体としてのナノチューブ溶媒204は、超臨界二酸化炭素を含むことができる。
【0038】
溶媒前駆体材料240は、単独では、整列していないカーボンナノチューブ材料104を溶解することができない化合物である。一般に、溶媒前駆体材料240は、ナノチューブ溶媒204を生成するために溶媒活性化剤242と混合させることができる、反応させることができる、またはそれらの組み合わせの固体材料である。溶媒前駆体材料240および溶媒活性化剤242の例示的な組み合わせは、それぞれ、粉末形態の五塩化リンおよび硫酸であることができる。
【0039】
一実施形態では、ブレンドユニット202は、整列していないカーボンナノチューブ材料104および固体溶媒粒子206を受け入れてブレンドするように構成されたブレンドチャンバ210を含むことができる。一例として、ブレンドチャンバ210は、円錐形を有する容器であることができる。特定の例として、ブレンドチャンバ210は、固体ブレンド208の排出を容易にするために、45°~75°、最も好ましくは60°の安息角を有する壁を含むことができる。説明の目的で、ブレンドチャンバ210は円錐形を有することが示されているが、ブレンドチャンバ210は、円筒形、卵形プロファイル、または卵形などの他の形状または構成であることができることが理解される。
【0040】
ブレンドユニット202は、ブレンドチャンバ210内にブレンド要素を含むことができる。例えば、ブレンド要素は、ブレンドチャンバ210の内面によって決定される経路を移動するらせん形スクリューであることができる。
【0041】
ブレンド要素は、整列していないカーボンナノチューブ材料104を物理的に分離するための分離器具を含むことができる。例えば、分離器具は、小さな剛毛、爪、またはフックであることができる。分離器具は、ブレンド要素の表面に取り付けることができるか、またはブレンド要素の表面から延びていることができる。例えば、ブレンド要素は、整列していないカーボンナノチューブ材料104を引き離すために、それらの表面に沿って分離器具を含むことができる。いくつかの実施形態では、ブレンド要素は、整列していないカーボンナノチューブ材料104の表面を固体溶媒粒子206に露出させることができる。他の実施形態では、ブレンド要素は、整列していないカーボンナノチューブ材料104の表面を溶媒前駆体材料240に露出させることができる。
【0042】
ブレンドユニット202は、ブレンドチャンバ210の上面および側面からの充填能力を含む。例えば、整列していないカーボンナノチューブ材料104の充填能力は、1つ以上の機械的フィーダー機構を含むことができる。
【0043】
いくつかの実施形態では、液体状態のナノチューブ溶媒204のためのブレンドユニット202の充填能力は、ブレンドユニット202内の様々な位置に配置された、1つ以上のスプレーノズル、ミストノズル、噴霧器、またはそれらの組み合わせを含むことができる。特定の例として、スプレーノズルまたは噴霧器は、アモルファスまたは結晶性粒子の形態の固体溶媒粒子206の形成を促進するために、ナノチューブ溶媒204を液滴サイズで液体形態にて排出するように構成することができる。別の実施形態では、ナノチューブ溶媒204のためのブレンドユニット202への充填能力は、固体溶媒粒子206または溶媒前駆体材料240を導入する能力を含むことができる。
【0044】
固体充填能力の例は、粉体ディスペンサーまたは粉体塗装メカニズムを含むことができる。ブレンドユニット202は、ブレンドユニット202の底部を通る、固体ブレンド208のための排出能力を含むことができる。
【0045】
ブレンドユニット202は、ブレンド再循環ループ218を含むことができる。ブレンド再循環ループ218は、ブレンドユニット202の周りの閉じた再循環ループであることができる。ブレンド再循環ループ218は、ブレンドユニット202が、整列していないカーボンナノチューブ材料104を、ブレンドユニット202を通して連続的に再循環させることを可能にする。
【0046】
ブレンドユニット202は、温度制御装置を含むことができる。例えば、温度制御装置は、断熱層、液体窒素または液体ヘリウムで覆われた冷却システム、またはそれらの組み合わせを含むことができる。
【0047】
ブレンドユニット202は、均質化ユニット220に結合することができる。均質化ユニット220は、ナノチューブドープ溶液112を生成するためのものである。均質化ユニット220は、密閉された往復式混練アセンブリなどの、密閉された混合チャンバ224内に混合要素を含む装置またはデバイスであることができる。一例として、均質化ユニット220は、水平に配向することができ、混合要素は単軸または二軸スクリュー混練アセンブリとしてバレル内に密閉されている。混合要素は、均質化ユニット220内で材料を混合するための低-中程度の剪断を提供することができる。均質化ユニット220は、混合要素と密閉された混合チャンバ224との互換性を可能にするように構成することができる。
【0048】
いくつかの実施形態では、均質化ユニット220は、混合チャンバ224に沿った充填能力を含むことができる。いくつかの実施形態では、混合チャンバ224は、溶媒活性化剤242を混合チャンバ224に導入するためのスプレーヘッドまたはノズルを含むことができる。他の実施形態では、混合チャンバ224は、ナノチューブ溶媒204を混合チャンバ224に導入するためのスプレーヘッドまたはノズルを含むことができる。
【0049】
密閉された混合チャンバ224は、揮発性ガス除去能力含むことができる。特に、密閉された混合チャンバ224は、整列していないカーボンナノチューブ材料104のナノチューブ溶媒204への溶解、溶媒活性化剤242との溶媒前駆体材料240の反応、またはそれらの組み合わせの間に生成される、塩酸(HCl)ガスなどのガスおよび他の揮発性副生成物を排出することができる。
【0050】
均質化ユニット220は、均質化ユニット220内の温度を監視し、変更し、維持し、またはそれらの組み合わせのための温度制御能力を含むことができる。例えば、均質化ユニット220は、所与の期間にわたって温度を徐々にまたは漸進的に上昇させることができる。いくつかの実施形態では、均質化ユニット220の温度制御能力は、液体状態のナノチューブ溶媒204への固体溶媒粒子206の制御された液化を可能にすることができる。他の実施形態では、均質化ユニット220の温度制御能力は、溶媒前駆体材料240と溶媒活性化剤242との間の反応、混合、またはそれらの組み合わせを制御するために、温度の漸進的な上昇を可能することができる。
【0051】
ナノチューブドープ溶液112の品質を監視するために、均質化ユニット220に沿った1つ以上の位置に測定ユニットを含むことができる。例えば、測定ユニットは、カーボンナノチューブ骨格のプロトン化による波長シフトを測定するための分光計を含むインラインセンサーユニットであることができる。別の例として、測定ユニットは、ナノチューブドープ溶液112のレオロジー評価のためのデバイスであることができる。別の例では、測定ユニットは、ナノチューブドープ溶液112の複屈折を光学的に測定するためのデバイスであることができる。
【0052】
均質化ユニット220は、均質化ユニット220を通してナノチューブドープ溶液112を再循環させることを可能にするために、流れ再循環ループ226を含むことができる。高剪断ミキサーなどの追加の混合ハードウェアは、流れ再循環ループ226に沿って含むことができる。
【0053】
混合モジュール110は、破線輪郭矢印によって示されるように、任意選択で濃度調整ユニット230を含むことができる。濃度調整ユニット230は、ナノチューブドープ溶液112の濃度を調整するためのものである。濃度調整ユニット230は、ナノチューブドープ溶液112からまたはナノチューブドープ溶液112へ、指定された量のナノチューブ溶媒204を除去または添加するように構成された、圧力および温度制御された容器のうちの1つ以上を含むことができる。例えば、濃度調整ユニット230は、ナノチューブドープ溶液112からナノチューブ溶媒204を蒸発させるように構成された1つ以上の蒸留カラムまたは装置を含むことができる。例示の目的で、濃度調整ユニット230は、蒸留装置の単一の例で示されているが、濃度調整ユニット230は、ナノチューブドープ溶液112を処理するために、並列、直列、またはそれらの組み合わせで互いに結合された蒸留装置の複数の例を含むことができることが理解される。別の例では、濃度調整ユニット230は、濃度調整ユニット230を通してナノチューブドープ溶液112を再循環させるための濃度再循環ループ232を含むことができる。
【0054】
濃度調整ユニット230は、様々な大気条件および組成の下で動作するように構成することができる。例えば、濃度調整ユニット230は、ナノチューブドープ溶液112から蒸発したナノチューブ溶媒204と共フラックスすることができるHCl飽和した大気を提供することができる。別の例として、濃度調整ユニット230は、ある範囲の圧力、温度、またはそれらの組み合わせの下で動作するように構成することができる。一般に、濃度調整ユニット230は、30~35mmHgの圧力または0.039~0.046気圧および85~90℃の範囲の温度で動作するように構成することができる。
【0055】
濃度調整ユニット230は、ナノチューブドープ溶液112の濃度を監視するための測定デバイスを含むことができる。例えば、測定デバイスは、ナノチューブドープ溶液112の粘弾性および液晶性特性の接触または非接触評価のためのレオメータを含むことができる。別の例では、測定デバイスは、ラマン分光法によってナノチューブドープ溶液112中のカーボンナノチューブ分子106の骨格のプロトン化に関連する波長シフトを決定するための分光計を含むことができる。
【0056】
ここで
図3を参照すると、
図1のカーボンナノチューブ製品製造システム100の押出モジュール120の概略図が示されている。押出モジュール120は、ナノチューブドープ溶液112からカーボンナノチューブプロト製品122を生成するための1つ以上の処理ユニットを含むことができる。例えば、押出モジュール120は、フロー駆動機構312、濾過ユニット302、押出アセンブリ310、押出フローマニホルド316、またはそれらの組み合わせを含むことができる。
【0057】
押出モジュール120は、
図2の混合モジュール110に結合することができる。例えば、押出モジュール120は、パイプまたはチューブなどの流体移送経路350によって混合モジュール110に結合することができる。ナノチューブドープ溶液112は、流体移送経路350を介して、混合モジュール110から押出モジュール120に移送することができる。いくつかの実施形態では、流体移送経路350は、ナノチューブドープ溶液112のための持続的な乱流レジームを生成するための静的混合要素を含みことができ、これは、静的混合要素の内部の熱交換流体再循環、静的混合要素の外部の熱交換流体再循環、またはそれらの組み合わせからの、混合および制御された熱伝達を提供する。
【0058】
押出モジュール120は、フロー駆動機構312を介してナノチューブドープ溶液112を受け入れることができる。フロー駆動機構312は、押出モジュール120を通るナノチューブドープ溶液112の流れを促進し、ナノチューブドープ溶液112の均一な特性を維持するためのものである。フロー駆動機構312は、一定の圧力の発生を提供し、これは、押出モジュール120を通るナノチューブドープ溶液112の均一な流れを促進する。特定の例として、フロー駆動機構312は、ツインスクリュー押出機であることができ、これは、「飢餓供給」が可能であり、混練および混合要素のバランスを提供し、これは、ナノチューブドープ溶液112の温度、圧力、濃度、またはそれらの組み合わせなどの均一な特性を維持するのを助ける。
【0059】
いくつかの実施形態では、押出モジュール120は、濾過ユニット302を含むことができる。ナノチューブドープ溶液112の純度を高めるために、濾過ユニット302を含むことができる。例えば、濾過ユニット302は、金属触媒粒子、アモルファス炭素粒子、sp3炭素粒子、またはそれらの組み合わせなどの残留粒子をナノチューブドープ溶液112から除去するための濾過要素304を含むことができる。濾過ユニット302の異なる実施形態は、残留粒子のサイズまたは整列していないカーボンナノチューブ材料104の純度に応じて、濾過要素304の様々な構成および組み合わせを含むことができる。例えば、濾過ユニット302は、粗いスクリーンパックまたは粗いスクリーンチェンジャーなどの粗い濾過要素330の1つ以上、微細なスクリーンパックまたは微細なスクリーンチェンジャーなどの微細な濾過要素332の1つ以上、またはそれらの組み合わせを含むことができる。濾過要素304は、濾過ユニット302の動作中に連続的または半連続的に更新または変更可能であるように構成することができる。いくつかの実施形態では、濾過ユニット302は、濾過要素304を通るナノチューブドープ溶液112の流れを補助または促進するために必要に応じてブースターポンプおよび圧力センサーを含むことができる。
【0060】
押出フローマニホルド316は、濾過ユニット302に結合することができる。押出フローマニホルド316は、押出モジュール120内のナノチューブドープ溶液112の流れを方向付けるためのものである。より具体的には、ナノチューブドープ溶液112が押出ユニット120を出る前に通過する押出フローマニホルド316内の任意の通路は、押出ユニット120を出た後所望の結果を達成するためにナノチューブドープ溶液112の流れのパターンまたは対称性を変更するための調整可能な構造を有することができる。押出フローマニホルド316は、押出モジュール120を通る異なる流れスキームに対応するために、様々な構成でナノチューブドープ溶液112の流れを分離または併合することができる。一例として、押出フローマニホルド316は、ナノチューブドープ溶液112を濾過ユニット302に再循環させるための再循環ループ(図示せず)などの、分別ユニット306内の濾過ユニット302の濾過要素304の異なるスキームまたは配置を提供することができる。
【0061】
押出フローマニホルド316は、分別経路306を含むことができる。分別経路306は、カーボンナノチューブ分子106のアスペクト比に基づいて、ナノチューブドープ溶液112中のカーボンナノチューブ分子106を分離するためのものである。例えば、分別経路306は、ナノチューブドープ溶液112の流れに剪断力を与えるように構成された要素を含むことができる。十分に高い剪断下で、ナノチューブドープ溶液112は、ナノチューブドープ溶液112において最も高いアスペクト比を有するカーボンナノチューブ分子106から主に構成される高度に結晶性の相332と、ナノチューブドープ溶液112において最も低いアスペクト比を有するカーボンナノチューブ分子106から主に構成される濃縮された等方性の相330とに相分離すると予想される。
【0062】
押出フローマニホルド316は、分別経路306の異なる相のための、流れの異なるスキームまたは配置に対応することができる。例えば、分別経路306は、処理廃棄物または低品位材料として、濃縮された等方性の相330を高度に結晶性の相332から分離および方向転換するように構成された流れ分離および再結合マニホルドを含むことができる。高度に結晶性の相332は、押出アセンブリ310に向かって進ませることができる。任意選択で、押出フローマニホルド316は、高度に結晶性の相332および濃縮された等方性の相330の流れを押出フローマニホルド316を通って押出アセンブリ310へ駆動するためのポンプを含むことができる。
【0063】
押出アセンブリ310は、カーボンナノチューブプロト製品122を生成するためのものである。押出アセンブリ310は、押出ダイ314を含むことができる。押出ダイ314は、カーボンナノチューブプロト製品122を形成するためにナノチューブドープ溶液112を押し出すためのものである。例えば、押出ダイ314は、カーボンナノチューブプロト製品122の成形、初期整列、またはそれらの組み合わせのためのものであることができる。押出アセンブリ310は、押出ダイ314の1つ以上の例を含むように構成することができる。一般に、押出アセンブリ310は、カーボンナノチューブプロト製品122、および最終的には整列したカーボンナノチューブ製品102の形状因子に対応するダイ開口部またはアパーチャを備えた押出ダイ314を含むことができる。
【0064】
カーボンナノチューブプロト製品122を繊維またはフィラメント、またはフィルムとして形成、成形、および初期整列させるための押出ダイ314は、1つ以上の異なる構成に設定することができる。カーボンナノチューブプロト製品122をフィルムの形態で生成する場合、押出ダイ314はスロットダイであることができる。カーボンナノチューブプロト製品112を繊維またはフィラメントの形態で生成する場合、押出ダイ314は、単穴紡糸口金または多穴紡糸口金であることができる。一般に、押出ダイ314の穴は、ドメインを伸長し、カーボンナノチューブ分子106の整列を促進するのに適した長さの平坦な部分で終わる円錐形の断面プロファイルを有することができる。別の例として、押出ダイ314の紡糸口金ハウジングは静的であることができる。さらなる例では、押出ダイ314の紡糸口金ハウジングは、密封されたベアリングアセンブリ内に保持することができ、これにより、流動中にナノチューブドープ溶液112の液晶ドメインのねじれ、回転、またはそれらの組み合わせが可能になり、ドメインが、ねじれた構成、スパイラル構成、らせん構成、またはそれらの組み合わせで固化されると、カーボンナノチューブプロト製品122に追加の強度を付与する。
【0065】
押出アセンブリ310は、任意選択で、押出ダイ314と適合する、または押出ダイ314の上流における、振動装置を含むことができる。振動装置によって生成される振動は、押出ダイ314の出口の直前の望ましくない弾性乱流を妨害することによって、押出ダイ314を通るナノチューブドープ溶液112の流れを助けることができ、流れ面に沿った望ましくない摩擦および剪断効果を低減することによって、またはそれらの組み合わせによって、流れの安定性を改善する。
【0066】
押出フローマニホルド316は、ナノチューブドープ溶液112の共押出などのために、押出ダイ314の複数の例、様々なタイプ、および形状の包含に対応することができる。さらなる例では、押出フローマニホルド316は、異なる流量および生産速度に対応することができ、システムのアーキテクチャを実質的に変更することなく、生産能力を高めるために複数の上流および下流コンポーネントの使用を可能にする。
【0067】
ここで
図4を参照すると、
図1のカーボンナノチューブ製品製造システム100の固化モジュール130の概略図が示されている。固化モジュール130は、カーボンナノチューブプロト製品122から整列したカーボンナノチューブ製品102を生成するための1つ以上の処理ユニットを含むことができる。例えば、固化モジュール130は、初期整列ユニット402、照射凝固ユニット404、中間整列ユニット408、化学凝固ユニット410、固体整列ユニット414、またはそれらの組み合わせを含むことができる。
【0068】
初期整列ユニット402は、押出モジュール120から出た後、カーボンナノチューブプロト製品122内のカーボンナノチューブ分子106に整列を課すためのものである。例えば、初期整列ユニット402は、温度制御されたドラムまたはゴデットロールアセンブリであることができる。初期整列ユニット402は、
図3の押出ダイ314での流速よりも速い速度で、張力下でカーボンナノチューブプロト製品122を延伸するように構成することができ、それにより、カーボンナノチューブ分子106に整列を課し、カーボンナノチューブプロト製品122の断面積を引き下げる。
【0069】
照射凝固ユニット404は、カーボンナノチューブプロト製品122の照射固化用である。例えば、照射凝固ユニット404は、赤外線(IR)放射線エミッタのアレイなどの放射線源406を含むことができる。照射凝固ユニット404は、制御された大気においてプロト製品の周りに配置された放射線源406を含むことができる。放射線源406から放出された放射線は、カーボンナノチューブプロト製品122の凝固を誘発することができる。
【0070】
放射線源406は、ナノチューブ溶媒204による吸収が最小化され、カーボンナノチューブプロト製品122のカーボンナノチューブ分子106による吸収が最大化されるような波長で放射線を放出することができる。放射線源406は、局所的な加熱効果を防ぐために放射線をパルス化するように構成することができる。
【0071】
照射凝固ユニット404は、揮発性物質を排出し、カーボンナノチューブプロト製品122を取り巻く大気にガス流を強制するためのデバイスを含むことができる。これは、対流熱伝達を提供し、カーボンナノチューブプロト製品122の凝固速度を制御するのを助け、ならびにカーボンナノチューブプロト製品122を運ぶのを助ける。
【0072】
中間整列ユニット408は、部分的に固化した状態のカーボンナノチューブプロト製品122中のカーボンナノチューブ分子106に整列を与えるためのものである。例えば、中間整列ユニット408は、温度制御されたドラムまたはゴデットロールアセンブリであることができる。中間整列ユニット408は、カーボンナノチューブ分子106に整列を課すために、押出ダイ314での流速よりも速い速度において張力下でカーボンナノチューブプロト製品122を延伸するように構成することができる。カーボンナノチューブプロト製品122が中間整列ユニット408によって延伸される速度および張力は、初期整列ユニット402のものと同じか、それよりも大きいか、またはそれよりも小さくすることができる。
【0073】
化学凝固ユニット410は、カーボンナノチューブプロト製品122の化学的固化のためのものである。化学凝固ユニット410は、カーボンナノチューブプロト製品122を化学凝固剤412に曝露することができる。化学凝固剤412は、ナノチューブ溶媒204の溶媒であり、カーボンナノチューブプロト製品122の非溶媒である化合物である。例えば、化学凝固剤412は、アセトン、水、テトラヒドロフラン(THF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、エーテル、クロロホルム、水中の硫酸の混合物を含むことができる。一例として、化学凝固剤412の濃度は、20%未満の濃度、40%未満の濃度の水中の酢酸の混合物、またはそれらの組み合わせであることができる。
【0074】
例示の目的で、化学凝固ユニット410は、化学凝固剤412をカーボンナノチューブプロト製品122に適用するためのシャワーヘッドまたはスプレーノズルで示されているが、化学凝固ユニット410は、異なる構成であることができることが理解される。例えば、カーボンナノチューブプロト製品122は、カーボンナノチューブプロト製品122を化学凝固剤412に曝露する、浴または浸漬タンク、連続的に更新される流体膜、またはそれらの組み合わせを含むことができる。化学凝固ユニット410は、カーボンナノチューブプロト製品122の断面に沿って均一な凝固速度を提供するように構成することができる。化学凝固ユニット410は、揮発性物質の排出、カーボンナノチューブプロト製品122を取り巻く大気における強制されたガス流、およびカーボンナノチューブプロト製品122の運搬を助けることなどによって、化学凝固ユニット410内の対流伝熱を提供するためのデバイスおよび機構を含むことができる。
【0075】
固体整列ユニット414は、固化状態のカーボンナノチューブプロト製品122中のカーボンナノチューブ分子106に整列を与えるためのものである。例えば、固体整列ユニット414は、温度制御されたドラムまたはゴデットロールアセンブリであることができる。中間整列ユニット408は、カーボンナノチューブ分子106に整列を課すために、押出ダイでの流速よりも速い速度で、張力下でカーボンナノチューブプロト製品122を延伸するように構成することができる。整列したカーボンナノチューブ製品102の最終的な寸法は、固体整列ユニット414によって設定することができる。カーボンナノチューブプロト製品122が固体整列ユニット414によって延伸される速度および張力は、初期整列ユニット402、中間整列ユニット408、またはそれらの組み合わせのものと同じか、それよりも大きいか、またはそれもより小さくすることができる。固体整列ユニット414は、整列したカーボンナノチューブ製品102の取り込みおよび貯蔵のためのクリールを含むことができる。
【0076】
ここで
図5を参照すると、
図1のカーボンナノチューブ製品製造システム100の生成後モジュール140の概略図が示されている。生成後モジュール140は、整列したカーボンナノチューブ製品102を修正するための1つ以上の処理ユニットを含むことができる。例えば、生成後モジュール140は、精製ユニット502、機能化ユニット512、コーティングユニット514、ドーピングユニット516、製品統合ユニット518、またはそれらの組み合わせを含むことができる。
【0077】
精製ユニット502は、整列したカーボンナノチューブ製品102から残留処理物質を除去するためのものである。例えば、精製ユニット502は、
図2のナノチューブ溶媒204、
図4の化学凝固剤412、整列したカーボンナノチューブ製品102上の他の望ましくない残留粒子、またはそれらの組み合わせの残留量を除去するように構成することができる。精製ユニット502は、溶媒除去ユニット504、熱アニーリングユニット506、化学洗浄ユニット508、またはそれらの組み合わせを含むことができる。精製ユニット502は、整列したカーボンナノチューブ生成物102を受け取るために、直接または間接的に押出モジュール120に結合することができる。
【0078】
溶媒除去ユニット504は、整列したカーボンナノチューブ製品102からナノチューブ溶媒204の残留痕跡を除去するためのものである。例えば、溶媒除去ユニット504は、整列したカーボンナノチューブ製品102を洗浄するために、水性浴、シャワーヘッド、スプレーノズル、またはそれらの組み合わせを含むことができる。溶媒除去ユニット504は、例えば、約60℃~80℃の温度範囲で水性洗浄を送達および維持するように構成することができる。
【0079】
熱アニーリングユニット506は、整列したカーボンナノチューブ製品102から化学凝固剤412の残留痕跡を除去するためのものである。例えば、熱アニーリングユニット506は、整列したカーボンナノチューブ製品102の周囲の環境からガスおよび揮発性物質を排出するように構成されたオーブンまたは密閉された加熱要素を含むことができる。
【0080】
化学洗浄ユニット508は、整列したカーボンナノチューブ製品102からプロセス副産物物質の残留痕跡を除去するためのものである。例えば、化学洗浄ユニット508は、整列したカーボンナノチューブ製品102を化学洗浄溶液に曝すためのスプレーノズル、シャワーヘッド、浴またはタンク、連続的に更新される流体膜、またはそれらの組み合わせを含むことができる。化学洗浄溶液の選択は、
図4の化学凝固ユニット410で使用される化学凝固剤412の選択に依存することができる。
【0081】
任意選択で、生成後モジュール140は、整列したカーボンナノチューブ製品102をさらに処理するための1つ以上の追加のユニットを含むことができる。例えば、生成後モジュール140は、機能化ユニット512、コーティングユニット514、ドーピングユニット516、製品統合ユニット518、またはそれらの組み合わせなどの任意のユニットを含むことができる。一般に、破線および矢印で示されるように、生成後モジュール140の任意のユニットを含めることは、整列したカーボンナノチューブ製品102の意図された用途に依存することができる。
【0082】
機能化ユニット512は、整列したカーボンナノチューブ製品102の分子構造を変更するためのものである。例えば、機能化ユニット512は、整列したカーボンナノチューブ製品102の共有化学的機能化のための反応チャンバ、オーブン、またはそれらの組み合わせを含むことができる。
【0083】
コーティングユニット514は、整列したカーボンナノチューブ製品102にコーティング物質を塗布するためのものである。例えば、コーティングユニット514は、ディップコーター、ロールツーロールコーター、スライドコーター、浸漬コーター、またはそれらの組み合わせなどの、整列したカーボンナノチューブ製品102の機械的コーティングのための装置を含むことができる。別の例では、コーティングユニット514は、適切なゼータ電位レベルでの水分散のためのイオン性化合物を含む電解浴またはタンクなどの、整列したカーボンナノチューブ製品102の電解コーティングのための装置を含むことができる。さらなる例では、コーティングユニット514は、帯電した固体粒子の静電コーティングまたは整列したカーボンナノチューブ製品102への気相堆積が可能な装置を含むことができる。
【0084】
ドーピングユニット516は、整列したカーボンナノチューブ製品102の非共有化学的機能化のためのものである。ドーピングユニット516は、ドーピングプロセスに基づく機能性および能力を備えたドーピングチャンバを含むことができる。一例では、ドーピングユニット516は、気相ドーピングプロセスのための真空オーブンを含むことができる。別の例では、ドーピングユニット516は、液相ドーピングプロセスのために、スプレーノズル、シャワーヘッド、浴またはタンク、連続的に更新される流体膜、またはそれらの組み合わせを含むことができる。
【0085】
製品統合ユニット518は、整列したカーボンナノチューブ製品102をデバイス、コンポーネント、または構造に統合するためのものである。一例として、製品統合ユニット518は、整列したカーボンナノチューブ材料102の1つ以上の例を、ロープ、ヤーン、織物、発泡体、樹脂の事前含浸テープまたは布、チョップドファイバーフィラー材料、または積層材料などの構造に統合するためのユニットまたはデバイスを含むことができる。このようなユニットの例は、織機、クレードル、ワインダー、プレス、ローラー、またはレーザーカッターを含むことができる。同様に、製品統合ユニット518は、整列したカーボンナノチューブ製品102をデバイスまたはコンポーネントに統合するためのユニットを含むことができ、これは、ワイヤアンテナ、パッチアンテナ、コイルトランス、同軸ケーブル、またはそれらの組み合わせを含むことができる。
【0086】
ここで
図6を参照すると、
図1のカーボンナノチューブ製品製造システム100による
図1の整列したカーボンナノチューブ製品102の製造方法600のフローチャートが示されている。方法600は、整列したカーボンナノチューブ製品102を製造するためのいくつかのステップを含むことができる。以下の製造ステップは、例示の目的で以下に配置されているが、ステップは他の順序または配置で配置できることが理解される。
【0087】
本発明の一実施形態では、方法600は、材料調製ステップ602を含むことができる。材料調製ステップ602は、カーボンナノチューブ製品製造システム100によって処理される材料を調製するためのものである。例えば、材料調製ステップ602において、ナノチューブ溶媒204は、整列していないカーボンナノチューブ材料104との固体状態ブレンドのために調製され得る。
【0088】
いくつかの実施形態では、ナノチューブ溶媒204は、液体状態で、ブレンドユニット202のブレンドチャンバ210に提供することができ、
図2の両方、そして冷却されて、ナノチューブ溶媒204および整列していないカーボンナノチューブ材料104の固体ブレンドを可能にする。より具体的には、ブレンドチャンバ210の十分な冷却は、ナノチューブ溶媒204を液体状態から固体状態に変換し、ブレンドプロセスの期間中、乾燥固体状態を維持するために必要である。ブレンド中の固体溶媒粒子206の形成は、ナノチューブ溶媒204と整列していないカーボンナノチューブ材料104との間の反応の開始が防止されることを確実にすることができる。例えば、ナノチューブ溶媒214を導入する前に、材料調製ステップ602は、固体ブレンド温度に達するまで、液相または気相のチャンバ冷却剤をブレンドチャンバ210に導入することを含むことができる。具体的な例として、固体ブレンド温度は好ましくは100℃未満である。チャンバ冷却剤は、窒素(N2)またはヘリウム(He)などの化学的に不活性な物質であることが好ましい。チャンバ冷却剤は、冷却剤リザーバーからブレンドチャンバ210への封じ込められた経路に沿って向けられた圧力差によってブレンドチャンバ210に導入することができ、ブレンドチャンバ210の内部を固体ブレンド温度に冷却および維持する。任意選択で、ナノチューブ溶媒204を導入する前に固体ブレンド温度に冷却するために、整列していないカーボンナノチューブ材料104をブレンドユニット202に導入することができる。
【0089】
ナノチューブ溶媒204をブレンドチャンバ210に導入する前に、ナノチューブ溶媒204は、ブレンドユニット202の区画またはリザーバーに貯蔵することができる。固体ブレンド温度*まで冷却した後など、ブレンドチャンバ210が準備されると、方法600は、固体ブレンドステップ606に進むことができる。固体ブレンドステップ606は、材料の乾燥固体状態の粉砕、分類、ブレンド、またはそれらの組み合わせのためのものである。より具体的には、移送中に自発的に分離または隔離しない自由流動性の粉末ブレンド材料を生成することができる。例えば、固体ブレンドステップ606において、乾燥固体状態のナノチューブ溶媒204を、整列していないカーボンナノチューブ材料104とブレンドすることができ、乾燥混合物としての
図1の固体ブレンド208を形成する。固体ブレンドステップ606において、整列していないカーボンナノチューブ材料104は、ブレンドユニット202のブレンドチャンバ210に導入することができる。一例として、整列していないカーボンナノチューブ材料104は、「飢餓供給」状態を維持する速度でブレンドチャンバ210に導入することができる。
【0090】
一実施形態では、固体ブレンドステップ606は、
図2のナノチューブ溶媒204または溶媒前駆体材料240のブレンドチャンバ210への導入を継続することができる。固体ブレンドステップ606の1つの実装では、液体状態で提供されるナノチューブ溶媒204の場合、固体溶媒粒子206、より具体的には、非晶質または結晶質の粒子の形成を促進するように、ナノチューブ溶媒204をブレンドチャンバ210に導入することができる。固体溶媒粒子206の形成は、ナノチューブ溶媒204を凍結するための冷却速度を満たすのに十分に小さい液滴サイズでナノチューブ溶媒204を導入することによって達成することができる。この実装において、整列していないカーボンナノチューブ材料104は、固体溶媒粒子206とブレンドする前に、固体ブレンド温度に冷却することができる。
【0091】
ブレンドチャンバ210に導入されるナノチューブ溶媒204または溶媒前駆体材料240の量は、ナノチューブドープ溶液112のドープ濃度およびブレンドチャンバ210に供給される整列していないカーボンナノチューブ材料104の量に依存する。ドープ濃度は、整列していないカーボンナノチューブ材料104の重量によって決定される、ナノチューブ溶媒204中の整列していないカーボンナノチューブ材料104の濃度として定義される。例えば、目標濃度は、整列していないカーボンナノチューブ材料104の2~20質量%の範囲であることができるが、しかしながら、
図1の混合モジュール110において、濃度は、製造プロセスを通じて変化することができることが理解される。例えば、処理のこの段階でのナノチューブドープ溶液112のドープ濃度は、押出中のナノチューブドープ溶液112のドープ濃度よりも低くなることができる。
【0092】
固体ブレンドステップ606の別の実施形態では、整列していないカーボンナノチューブ材料104は、固体溶媒粒子206または溶媒前駆体材料240を添加することなく、ブレンドチャンバ202内で処理することができる。例えば、ブレンドチャンバ202内のブレンド要素の分離要素は、整列していないカーボンナノチューブ材料104を分離または分解して、整列していないカーボンナノチューブ材料104の露出表面積を増加させる、整列していないカーボンナノチューブ材料104を冷却する、整列していないカーボンナノチューブ材料104の乾燥または通気する、または下流の処理を容易にするための他のプロセスなど、整列していないカーボンナノチューブ材料104を処理することができる。
【0093】
固体ブレンドステップ606は、固体溶媒粒子206または溶媒前駆体材料240の、整列していないカーボンナノチューブ材料104の露出面への侵入を可能にすることができる。例えば、ブレンドチャンバ210内のブレンド要素の分離機器は、整列していないカーボンナノチューブ材料104を引き離して、固体溶媒粒子206または溶媒前駆体材料240の、整列していないカーボンナノチューブ材料104の表面へのブレンドを容易にすることができる。固体ブレンドステップ606は、整列していないカーボンナノチューブ材料104を通る固体溶媒粒子206の均一な分配が達成されるまで、整列していないカーボンナノチューブ材料104を固体溶媒粒子206に一定して再露出させるために、整列していないカーボンナノチューブ材料104をブレンドチャンバ210に再循環させることを含むことができる。固体溶媒粒子206のこの分配は、好ましくは、標的濃度によって定義される比率でランダム化され、非常に類似した溶媒および溶質粒子の形状およびサイズからなり、好ましくは最長粒子寸法に沿ったサイズの10%の標準偏差以内、より好ましくは最長粒子寸法に沿ったサイズの5%の標準偏差以内、最も好ましくは最長粒子寸法に沿ったサイズの1%の標準偏差以内である。
【0094】
固体ブレンドステップ606は、整列していないカーボンナノチューブ材料104へのナノチューブ溶媒204の制御された導入を提供し、これは、エンタルピー的に好ましくかつ拡散制限されたプロトン化反応を制御するために非常に重要であることが発見された。固体ブレンドステップ606は、固体溶媒粒子206の均一なブレンドが達成されるまで、ナノチューブ溶媒204と整列していないカーボンナノチューブ材料104との間の化学反応を開始することなくナノチューブ溶媒の分散を可能にし、これにより、ナノチューブ溶媒204への整列していないカーボンナノチューブ材料104の均一でかつ制御された溶解を提供する。これは、カーボンナノチューブ分子106の分散を最大化することができ、整列したカーボンナノチューブ製品102を生成するときにカーボンナノチューブ分子106の整列を最適化する。
【0095】
固体溶媒粒子206または溶媒前駆体材料240と整列していないカーボンナノチューブ材料104との間のブレンドが固体ブレンドステップ606において完了すると、方法600は、溶媒活性化ステップ610へ続くことができる。溶媒活性化ステップ610は、固体溶媒粒子206、溶媒前駆体材料240、またはそれらの組み合わせを活性化するためのものである。溶媒活性化ステップ610において、固体ブレンド208は、
図2の均質化ユニット220へ移送することができる。
【0096】
一実施形態では、ナノチューブ溶媒204は、固体溶媒粒子206を液化することによって活性化することができる。例えば、極低温固体状態のナノチューブ溶媒204は、固体ブレンド温度から溶液混合温度への制御された加熱によって活性化することができる。一般に、溶液混合温度は、ナノチューブ溶媒204の劣化を引き起こす温度よりも低い。クロロスルホン酸としてのナノチューブ溶媒204の特定の例では、溶液混合温度は25℃~80℃の範囲であり得るが、大気圧で154℃~156℃の沸点を超えてはならず、より好ましくは、80℃未満である。いくつかの実施形態において、溶液混合温度は、飽和HCl大気下で制御された場合、クロロスルホン酸の沸点を超えることができ、これは、クロロスルホン酸の劣化を防ぐことができる。
【0097】
固体溶媒粒子206を液化すると、ナノチューブ溶媒204と整列していないカーボンナノチューブ材料104との間のプロトン化反応が活性化される。プロトン化反応は、sp2炭素格子上の非局在化π電子がプロトン化され、カーボンナノチューブ分子106の分子骨格上のプロトン間の静電反発力が相互の引力のファンデルワールス力に打ち勝つときに、真の溶液の形成を開始し、カーボンナノチューブ分子106が分離して溶液になることを可能にする。
【0098】
溶媒活性化ステップ606の別の実施形態では、ナノチューブ溶媒204は、溶媒前駆体材料240を含む固体ブレンド208に
図2の溶媒活性化剤242を導入することによって活性化することができる。例えば、五塩化リンの溶媒前駆体材料240および硫酸の溶媒活性化剤242は、制御された加熱速度で密閉された混合チャンバ224内で反応することができ、クロロスルホン酸のナノチューブ溶媒204を生成する。
【0099】
溶媒活性化ステップ610に続いて、方法600は均質化ステップ614に進むことができる。均質化ステップ614は、ナノチューブドープ溶液112を生成するためのものである。均質化ステップ614において、均質化ユニット220は、整列していないカーボンナノチューブ材料104を、液体状態にあるナノチューブ溶媒204と混合することができる。均質化ステップ614の一実施形態では、固体溶媒粒子206の液化または溶媒前駆体材料240と溶媒活性化剤242との間の反応から生成されたナノチューブ溶媒204を、整列していないカーボンナノチューブ材料104と混合することができる。均質化ステップ614の別の実施形態では、液体クロロスルホン酸または超臨界流体などのナノチューブ溶媒204を均質化ユニット220に導入して、固体溶媒粒子206または溶媒前駆体材料240とブレンドされていない整列していないカーボンナノチューブ材料104と剪断混合することができる。整列していないカーボンナノチューブ材料104とナノチューブ溶媒204との混合は、光学的に複屈折性のネマチック液晶相にあるナノチューブドープ溶液112を生成することができる。
【0100】
一般に、ナノチューブドープ溶液112は、整列していないカーボンナノチューブ材料104の2~20質量%の範囲の濃度で生成することができるが、ナノチューブドープ溶液112は、異なる濃度で生成できることが理解される。例えば、追加の量を密閉された混合チャンバに導入して、ナノチューブドープ溶液112の濃度を低下させることができる。
【0101】
均質化ステップ614の間に、ナノチューブドープ溶液112を評価して、ナノチューブ溶媒204と整列していないカーボンナノチューブ材料104との間のプロトン化の程度を決定することができる。例えば、均質化ユニット220の測定装置は、波長シフトおよび粘度などのナノチューブドープ溶液112の特性または特質を監視して、ナノチューブドープ溶液112の適切な均質化が達成されたかどうかを決定することができる。1つの特定の例では、sp2炭素構造のプロトン化に関連する波長シフトは、インラインラマン分光計などの測定デバイスによって測定することができる。別の特定の例では、ナノチューブドープ溶液112の粘弾性および光学複屈折を測定して、機械的、光学的、または他の非接触レオメータなどの測定デバイスによって液晶形成の程度を決定することができる。ナノチューブドープ溶液112は、満足のいくプロトン化が達成されるまで、
図2の流れ再循環ループ226を介して均質化ユニット220を通して再循環させることができる。
【0102】
溶媒活性化ステップ610および均質化ステップ614の両方は、均質化ユニット220において実行することができる。均質化ユニット220は、溶媒活性化ステップ610、均質化ステップ614、またはそれらの組み合わせの間に、塩酸ガスなどのプロトン化反応から生成された副生成物を排出することができる。
【0103】
方法600は、破線の矢印および線によって示されるように、任意選択で濃度調整ステップ616を含むことができる。濃度調整ステップ616は、ナノチューブドープ溶液112の濃度を調整するためのものである。いくつかの実施形態では、整列していないカーボンナノチューブ材料104およびナノチューブ溶媒204は、
図1のナノチューブプロト製品122の形成中にナノチューブドープ溶液112の目標濃度よりも低い濃度を目標とするような比率でブレンドユニット202に充填することができ、混合モジュール110内の様々なユニットおよび要素へのひずみを低減する。ナノチューブドープ溶液112の最終目標濃度は、ナノチューブドープ溶液112の低濃度形態を
図2の濃度調整ユニット230に供給することによって達成することができ、これは、劣化することなくナノチューブ溶媒204を蒸発させることができる。
【0104】
濃度調整ステップ616において、濃度調整ユニット230は、ナノチューブ溶媒204の劣化を防ぐために、温度および大気条件下で操作することができる。例えば、濃度調整ユニット230は、ナノチューブドープ溶液112から蒸発したナノチューブ溶媒204と共フラックスまたは共流動することができる、HClガスに富むまたは飽和した大気を提供するように操作することができる。一般に、濃度調整ユニット230は、30~35mmHgの圧力または0.039から0.046気圧および85~90℃の範囲の温度で操作することができる。
【0105】
ナノチューブドープ溶液112の十分な混合および目標濃度が均質化ステップ614で達成されると、ナノチューブドープ溶液112は、受動的移送混合ステップ618を受けることができる。受動的移送混合ステップ618において、ナノチューブドープ溶液112は、混合モジュール110から押出モジュール120への移送中に、流体経路に沿って
図3の静的混合要素を介して追加の受動的混合を受けることができる。受動的移動混合ステップ618の目的は、ナノチューブドープ溶液112のための持続的な乱流レジームを作り出すことである。ナノチューブドープ溶液112の乱流は、静的混合要素の内側および外側の熱交換流体再循環を介するなど、ナノチューブドープ溶液112内の制御された熱伝達も提供しながら、継続的な混合を提供する。
【0106】
方法600は、ナノチューブドープ溶液112から不純物を除去するための濾過ステップ620を含むことができる。例えば、場合によっては、精製された整列していないカーボンナノチューブ材料104を使用しているにもかかわらず、複数の分散されていない望ましくない粒子、整列していないカーボンナノチューブ材料104の不十分に純粋な例、残留触媒粒子、残留非晶質またはsp3炭素、またはそれらの組み合わせなどの不純物が、ナノチューブドープ溶液112中に存在することができる。不純物は、ナノチューブドープ溶液112を
図3の濾過ユニット302に通すことにより、濾過ステップ620でナノチューブドープ溶液112から除去することができる。一例として、不純物の濾過は、粗い濾過要素330、微細濾過要素332、またはそれらの組み合わせなどの
図3の濾過要素304を通る流れによって達成することができる。粗い濾過要素330または微細濾過要素332の包含は、整列していないカーボンナノチューブ材料104の初期純度に依存することができる。
【0107】
濾過ステップ620に続いて、プロセスフローは、分別ステップ624に続くことができる。分別ステップ624は、カーボンナノチューブ分子106のアスペクト比に基づいて、ナノチューブドープ溶液112中のカーボンナノチューブ分子106を分離するためのものである。一般に、ナノチューブドープ溶液112は、広範囲のアスペクト比を有するカーボンナノチューブ分子106の混合物を含むことができる。分別ステップ624において、ナノチューブドープ溶液112は、
図3の両方で、押出フローマニホルド316の分別経路306内で剪断流に曝されることができる。十分に高い剪断下で、ナノチューブドープ溶液112は、ナノチューブドープ溶液112において最も高いアスペクト比を有するカーボンナノチューブ分子106から主に構成される
図3の高度に結晶性の相340と、ナノチューブドープ溶液112において最も低いアスペクト比を有するカーボンナノチューブ分子106から主に構成される
図3の濃縮された等方性の相342とに相分離すると予想される。
【0108】
分別ステップ624において、押出フローマニホルド316は、処理廃棄物または低品位材料として、濃縮された等方性相342を高度に結晶性の相340から分離および方向転換することができる。高度に結晶性の相は、
図3の押出アセンブリ310に向かって進むことができる。押出アセンブリ310への移送中に、追加の均質化および温度制御を、静的ミキサーまたは押出フローマニホルド316の静的ミキサーのアセンブリを介してナノチューブドープ溶液112に与えることができる。
【0109】
このプロセスは、分別ステップ624から押出ステップ626まで続く。押出ステップ626において、ナノチューブドープ溶液112は、カーボンナノチューブプロト製品122である整列したカーボンナノチューブ製品102の初期形態および整列を与えるために処理される。例えば、ナノチューブドープ溶液112は、
図3の押出アセンブリ310の様々な可能な構成のうちの1つを通って流れて、繊維、フィラメント、またはフィルムなどの特定の形態、形状、または寸法のカーボンナノチューブプロト製品122を生成することができる。いくつかの実施形態では、ナノチューブドープ溶液112の液晶ドメインは、押出ステップ626の間にねじれ、回転、またはそれらの組み合わせを行うことができ、ドメインがねじれた構成、スパイラル構成、らせん構成、またはそれらの組み合わせで固化されると、カーボンナノチューブプロト製品122に追加の強度を与える。
【0110】
押出ステップ626は、破線の矢印および線によって示されるように、任意選択で流動振動ステップ628を含むことができる。流動振動ステップ628は、押出ダイ314を通るナノチューブドープ溶液112の流れを促進するためのものである。例えば、流動振動ステップ628において、押出ダイ314は、振動装置によって振動させられて、押出ダイ314の出口の直前の望ましくない弾性乱流を妨害することによって、押出ダイ314を通るナノチューブドープ溶液112の流れを助けることができ、流れ面に沿った望ましくない摩擦および剪断効果、またはそれらの組み合わせを低減することにより、流れの安定性を改善する。
【0111】
押出ステップ626に続いて、カーボンナノチューブプロト製品122は、整列および固化ステップ630に進むことができる。この段階で、カーボンナノチューブプロト製品112は、体積または重量分率によって測定されるように、主にナノチューブ溶媒204からなる組成を有するように生成することができる。整列および固化ステップ630において、カーボンナノチューブプロト製品122は、延伸および整列プロセスの組み合わせで処理されて、整列したカーボンナノチューブ製品102を形成する。一例として、整列および固化ステップ630は、初期整列ステップ632、照射凝固ステップ634、中間整列ステップ636、化学的凝固ステップ638、固体整列ステップ640、またはそれらの組み合わせを含むことができる。
【0112】
初期整列ステップ632は、カーボンナノチューブプロト製品122に初期整列を与えるために、カーボンナノチューブプロト製品122の生成に続くことができる。例えば、初期整列ステップ632において、カーボンナノチューブプロト製品122は、
図4の初期整列ユニット402によって張力下で延伸され、カーボンナノチューブプロト製品122中のカーボンナノチューブ分子106を、例えば、初期整列ユニット402を、
図4の押出ダイ314を出るときのカーボンナノチューブプロト製品122の流速よりも速い速度である延伸速度で操作することによって、整列させることができる。一例として、初期整列ステップ632中の延伸速度は、インラインX線または中性子散乱技術で測定して、好ましくは少なくとも0.8、より好ましくは少なくとも0.9、最も好ましくは少なくとも0.95のヘルマン配向係数に対応する整列を生成するように設定することができる。
【0113】
照射凝固ステップ634は、初期整列ステップ632に続くことができる。照射凝固ステップ634は、カーボンナノチューブプロト製品122を
図4の放射線源406からの放射線に曝露することによって固化を開始するためのものである。照射凝固ステップ634において、カーボンナノチューブプロト製品122は、ナノチューブ溶媒204による吸収を最小にしかつカーボンナノチューブプロト製品122のカーボンナノチューブ分子106による放射線の吸収を最大にする波長で、放射線源406からの赤外放射線などの放射線に曝露される。一例として、照射凝固ユニット404は、1~130μmの範囲の波長で入射照射を生成することができる。照射凝固ステップ634は、カーボンナノチューブプロト製品122内およびそれに沿った局所的な加熱効果を防止するために、放射線源406のパルス化を含むことができる。照射凝固ステップ634は、例えば、照射凝固ユニット404からのナノチューブ溶媒204の排出によって対流熱伝達を提供し、カーボンナノチューブプロト製品122を取り巻く大気中でガス流を強制し、かつカーボンナノチューブプロト製品122を運ぶのを助けることができる。
【0114】
中間整列ステップ636は、照射凝固ステップ634に続くことができる。中間整列ステップ636は、カーボンナノチューブプロト製品122に整列を与えるためのものである。中間整列ステップ636において、カーボンナノチューブプロト製品122は、部分的に固化された状態にあり、
図4の中間整列ユニット408によって張力下で延伸され、カーボンナノチューブプロト製品122内のカーボンナノチューブ分子106を、例えば、中間整列ユニット408を、押出ダイ314を出るときのカーボンナノチューブプロト製品122の流速よりも速い速度で操作することによって、整列させることができる。カーボンナノチューブプロト製品122が中間整列ユニット408によって延伸される速度および張力は、初期整列ステップ632における初期整列ユニット402のものと同じか、それよりも大きいか、またはそれよりも小さくすることができる。
【0115】
化学凝固ステップ638は、中間整列ステップ636に続くことができる。化学凝固ステップ638において、カーボンナノチューブプロト製品122は、化学凝固剤412への曝露によって固化される。例えば、カーボンナノチューブプロト製品122は、
図4の化学凝固ユニット410内の化学凝固剤412に曝露されることができる。具体的な例として、カーボンナノチューブプロト製品122を化学凝固剤412に曝露することは、噴霧、浴浸漬、連続的に更新される流体膜の通過、またはそれらの組み合わせを含むことができる。化学凝固ステップ638は、カーボンナノチューブプロト製品122の断面に沿って均一な凝固速度を提供することができる。さらに、化学凝固ステップ638は、化学凝固ユニット410の大気制御、および揮発性物質の排出による対流熱伝達、ならびにカーボンナノチューブプロト製品122を取り巻く大気における強制されたガス流、ならびにカーボンナノチューブプロト製品122を運ぶのを助けることを含むことができる。
【0116】
固体整列ステップ640は、照射凝固ステップ634、化学的凝固ステップ638、またはそれらの組み合わせに続くことができる。固体整列ステップ640は、カーボンナノチューブプロト製品122の固体整列のためのものである。固体整列ステップ640において、カーボンナノチューブプロト製品122の固化はほぼ完了しており、
図4の固体整列ユニット414によって張力下で延伸され、カーボンナノチューブプロト製品122におけるカーボンナノチューブ分子106に最終的な程度の整列を課し、整列したカーボンナノチューブ製品102を形成するか、整列したカーボンナノチューブ製品102の最終寸法を設定するか、またはそれらの組み合わせを行うことができる。一例として、固体整列ユニット414は、押出ダイ314を出るときのカーボンナノチューブプロト製品122の流速よりも速い速度で操作することができる。カーボンナノチューブプロト製品122が固体整列ユニット414によって延伸させられる速度および張力は、初期整列ステップ632における初期整列ユニット402、中間整列ステップ404における中間整列ユニット408、またはそれらの組み合わせの速度および張力と同じか、それよりも大きいか、またはそれよりも小さくすることができる。整列したカーボンナノチューブ製品102は、固体整列ステップ640に続いて、貯蔵のためにクリールに巻くことができる。
【0117】
整列したカーボンナノチューブ製品102の生成に続いて、方法600は、精製ステップ650に進むことができる。精製ステップ650において、整列したカーボンナノチューブ製品102はナノチューブ溶媒204の残留量、化学凝固剤412の残留量、整列したカーボンナノチューブ製品102上の他の望ましくない残留粒子、またはそれらの組み合わせを除去するための1つ以上の処理の組合せを受けることができる。一例として、精製ステップ650は、水性洗浄ステップ652、熱アニーリングステップ654、化学的洗浄ステップ656、またはそれらの組み合わせを含むことができる。精製ステップ650は、整列したカーボンナノチューブ製品102を精製するための一実施形態を表すが、追加のステップおよび他の配列または配置を実施することができることが理解される。
【0118】
水性洗浄ステップ652は、整列したカーボンナノチューブ製品102からナノチューブ溶媒の残留痕跡を除去するためのものである。水性洗浄ステップ652において、整列したカーボンナノチューブ製品102は、
図5の溶媒除去ユニット504において、蒸留水または精製水などの水溶液に曝露されて、ナノチューブ溶媒204の残留量を除去することができる。例えば、整列したカーボンナノチューブ製品102を水溶液に曝露することは、噴霧、浴浸漬、連続的に更新される流体膜の通過、またはそれらの組み合わせを含むことができる。水性洗浄ステップ652の間、水溶液は、60℃~80℃の範囲の温度に維持することができる。
【0119】
熱アニーリングステップ654は、整列したカーボンナノチューブ製品102から化学凝固剤412の残留痕跡を除去するためのものである。熱アニーリングステップ654は、加熱され制御された環境において、
図5の熱アニーリングユニット506内で実行することができる。例えば、熱アニーリングステップ654において、整列したカーボンナノチューブ製品102は、熱アニーリングユニット506内で揮発温度に加熱されて、化学凝固剤412の残留量を除去することができる。具体的な例として、揮発温度は、120℃~250℃の範囲であることができる。
【0120】
化学洗浄ステップ656は、ナノチューブ凝固剤とナノチューブ溶媒204との間の反応からの副生成物を除去するためのものである。例えば、化学洗浄ステップ656において、整列したカーボンナノチューブ製品102は、
図5の化学洗浄ユニット508において、
図5の化学洗浄溶液に曝露することができる。具体的な例として、整列したカーボンナノチューブ製品102を化学洗浄溶液に曝露することは、噴霧、浴浸漬、連続的に更新される流体膜の通過、またはそれらの組み合わせを含むことができる。化学洗浄溶液は、ナノチューブ溶媒204と化学凝固剤412との間の反応の望ましくない副生成物を除去することができる非カーボンナノチューブ溶媒であることができる。
【0121】
方法600は、整列したカーボンナノチューブ製品102を修正するための1つ以上の任意のステップを含むことができる。例えば、方法600は、任意選択で、機能化ステップ660、コーティングステップ670、ドーピングステップ680、製品統合ステップ690、またはそれらの組み合わせを含むことができる。
【0122】
機能化ステップ660は、整列したカーボンナノチューブ製品102の分子構造を修正するためのものである。例えば、機能化ステップ660は、整列したカーボンナノチューブ製品102中のカーボンナノチューブ分子106を架橋することができる加硫プロセスを含むことができる。具体的な例として、加硫プロセスでは、整列したカーボンナノチューブ生成物102にポリスチレンスルホン酸(PEDOT)をドープすることにより、硫黄基をカーボンナノチューブ分子106の分子骨格に結合させることができ、これを次に
図5の機能化ユニット512のオーブン内の無酸素大気において800℃でアニールすることができる。設定された数の硫黄基がカーボンナノチューブ分子106の分子骨格に結合されると、硫黄基を架橋するための標準的な加硫反応を実行することができる。
【0123】
加硫を含む機能化ステップ660は、整列したカーボンナノチューブ製品102の機械的特性を向上させることができるが、整列したカーボンナノチューブ製品102の導電率を低下させることができる。同様に、他の形態の化学的機能化も可能であるが、導電率の低下を犠牲にする可能性もある。
【0124】
コーティングステップ670は、整列したカーボンナノチューブ製品102の表面をコーティングするためのものである。コーティングステップ670において、コーティング物質の層は、整列したカーボンナノチューブ製品102の表面に適用することができる。一例では、コーティング物質は、コーティング材料によって決定される、ディップコーティング、ロールツーロールコーティング、スライドコーティング、浸漬コーティング、または他の利用可能な機械的コーティング技術などの機械的プロセスを通じて、整列したカーボンナノチューブ製品102に適用することができる。別の例では、コーティング物質は、適切なゼータ電位レベルで水性分散液中にイオン性化合物を含む電解浴に整列したカーボンナノチューブ製品102を浸漬することを含む電解プロセスを介して、整列したカーボンナノチューブ製品102に適用することができる。さらなる例では、コーティング物質は、帯電した固体粒子の静電コーティングまたは気相堆積によって、整列したカーボンナノチューブ製品102に適用することができる。
【0125】
ドーピングステップ680は、整列したカーボンナノチューブ製品102の非共有化学的機能化のためのものである。例えば、ドーピングステップ680において、整列したカーボンナノチューブ製品102は、ヨウ素または硫酸などのp型ドナーによるp型ドーピングを受けることができる。一実施形態では、ドーピングステップ680は、ヨウ素ドーピングなどによる気相ドーピングを含むことができる。別の実施形態では、ドーピングステップ680は、酸ドーピングなどによる液相ドーピングを含むことができる。ドーピングステップ680に続いて、整列したカーボンナノチューブ製品102をコーティングステップ670でコーティングして、経時的なドーパントの安定性を確保することができる。
【0126】
製品統合ステップ690は、整列したカーボンナノチューブ製品102をデバイス、コンポーネント、または構造に統合するためのものである。例えば、整列および固化ステップ630、精製ステップ650、機能化ステップ660、コーティングステップ670、ドーピングステップ680、またはそれらの組み合わせの後に生成された整列したカーボンナノチューブ製品102は、インラインまたはセミインラインプロセスで様々な構造、デバイス、またはコンポーネントに統合することができる。構造の例は、ロープ、ヤーン、織物、発泡体、樹脂が予め含浸させられたテープまたはファブリック、チョップドファイバーフィラー材料、整列したカーボンナノチューブ製品102から作られた積層フィルム、またはケブラー、グラスファイバー、または金属などの他の材料との組み合わせを含むことができる。製品統合ステップ690において、整列したカーボンナノチューブ製品102は、ねじられ、編組され、織られ、プレスされ、圧延され、結合され、積層され、コーティングされ、切断され、またはそれらの組み合わせが行われ、様々な構造を形成することができる。
【0127】
整列したカーボンナノチューブ製品102のデバイスまたはコンポーネントへの統合の例は、ワイヤアンテナ、パッチアンテナ、コイルトランス、同軸ケーブルを含むことができる。ワイヤアンテナを生成する例では、整列したカーボンナノチューブ製品102のコーティングされた形態またはコーティングされていない形態を、特定の共振周波数によって決定される長さに切断できる単一またはマルチフィラメントの糸、ヤーン、またはロープに織ることができる。
【0128】
パッチアンテナを生成する例では、整列したカーボンナノチューブ製品102のコーティングされたまたはコーティングされていないフィルム形態の切断を、指定されたアンテナ形状に切断することができる。得られた形態は、誘電体基板上に堆積することができ、これは、溶融または溶液処理を使用して共押し出しすることができる。
【0129】
コイル変圧器を生成する例では、整列したカーボンナノチューブ製品102は、糸、ヤード、またはロープに織り込むことができ、これらは、フェライトまたは磁気コアの周りに巻かれ、コイルを形成することができる。巻線の数は、コイルによって達成されるインダクタンスによって決定することができる。
【0130】
同軸ケーブルを生成する例では、カーボンナノチューブプロト製品104を誘電体材料と共押し出しすることができる。カーボンナノチューブプロト製品104が固化されると、誘電体材料は、内部導体として整列したカーボンナノチューブ製品102を備えたカプセル化として固化することができる。
【0131】
その結果、本発明の実施形態のこれらのおよび他の価値ある態様は、技術の状態を少なくとも次のレベルにさらに進める。
【0132】
本発明は特定の最良の形態に関連して説明されてきたが、前述の説明に照らして、多くの代替、修正、および変形が当業者には明らかであることを理解されたい。したがって、添付の請求項の範囲内にあるそのようなすべての代替、修正、および変形を包含することが意図されている。本明細書に記載されている、または添付の図面に示されているすべての事項は、例示的かつ非限定的な意味で解釈されるべきである。
【手続補正書】
【提出日】2021-09-29
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カーボンナノチューブ製品を製造する方法であって、
該方法は、
カーボンナノチューブ分子を含む、整列していないカーボンナノチューブ材料を固体溶媒粒子とブレンドすることと、
前記固体溶媒粒子を液化することによりナノチューブ溶媒を活性化することと、
ここで、該ナノチューブ溶媒を活性化することは、任意選択で該固体溶媒粒子を加熱することを含み、
前記ナノチューブ溶媒および前記整列していないカーボンナノチューブ材料を混合することにより、ナノチューブドープ溶液を生成することと、
前記ナノチューブドープ溶液を押し出すことによってカーボンナノチューブプロト製品を形成することと、
ここで、該ナノチューブドープ溶液は、任意選択でナノチューブフィラメントまたはナノチューブフィルムとして押し出され、
整列したカーボンナノチューブ製品を形成することと、
を含み、
該整列したカーボンナノチューブ製品を形成することは、該カーボンナノチューブプロト製品を、赤外線放射源
に1~130μmの範囲の波長で曝露すること、ここで、赤外線は任意選択でパルス化されており、
前記曝露することの前および後の一方または両方で、該カーボンナノチューブプロト製品中のカーボンナノチューブ分子の整列が与えられ、ここで、カーボンナノチューブ分子の整列を与えることは、任意選択でカーボンナノチューブプロト製品を延伸させることを含み、ならびに
カーボンナノチューブプロト製品を化学凝固剤に曝露することより形成され、ここで該化学凝固剤は、ナノチューブ溶媒のための溶媒およびカーボンナノチューブプロト製品のための非溶媒である、
方法。
【請求項2】
前記整列していないカーボンナノチューブ材料とブレンドする前に、前記ナノチューブ溶媒を低温凍結して前記固体溶媒粒子を形成することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
液体状態の前記ナノチューブ溶媒を前記整列していないカーボンナノチューブ材料に添加することをさらに含み、
前記ナノチューブドープ溶液を生成することは、液体状態の前記ナノチューブ溶媒を前記整列していないカーボンナノチューブ材料に剪断混合することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記ナノチューブ溶媒の劣化を防止するために、ガス状塩酸との並流下で蒸発により前記ナノチューブ溶媒を除去することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記ナノチューブドープ溶液中の最も低いアスペクト比のカーボンナノチューブ分子を除去するために前記ナノチューブドープ溶液を分別することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記整列したカーボンナノチューブ製品をドープすること、前記整列したカーボンナノチューブ製品の表面をコーティングすること、またはそれらの組み合わせをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記整列したカーボンナノチューブ製品を、前記整列したカーボンナノチューブ製品、他の材料、またはそれらの組み合わせの追加の例と統合して、
(i)ヤーン、糸、織物、積層フィルム、テープ、発泡体、複合
予備含侵材料、
および離散長のチョップドファイバー材料
から選択される統合された構造を生成すること
、又は(ii)ワイヤアンテナ、パッチアンテナ、コイルトランス、および同軸ケーブルから選択される構成要素を生成すること
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
カーボンナノチューブ製品を製造する方法であって、
該方法は、
整列していないカーボンナノチューブ材料を溶媒前駆体材料と混合することと、
前記溶媒前駆体を溶媒活性化剤と反応させることによってナノチューブ溶媒を活性化することと、
前記ナノチューブ溶媒および前記整列していないカーボンナノチューブ材料を混合することにより、ナノチューブドープ溶液を生成することと、
前記ナノチューブドープ溶液を押し出すことによってカーボンナノチューブプロト製品を形成することと
、
整列したカーボンナノチューブ製品を形成することと、
を含み、
該整列したカーボンナノチューブ製品を形成することは、該カーボンナノチューブプロト製品を、赤外線放射源
に1~130μmの範囲の波長で曝露すること、
前記曝露することの前および後の一方または両方で、該カーボンナノチューブプロト製品中のカーボンナノチューブ分子の整列が与えられ、ここで、カーボンナノチューブ分子の整列を与えることは、任意選択でカーボンナノチューブプロト製品を延伸させることを含み、ならびに
カーボンナノチューブプロト製品を化学凝固剤に曝露することより形成され、ここで該化学凝固剤は、ナノチューブ溶媒のための溶媒およびカーボンナノチューブプロト製品のための非溶媒である、
方法。
【請求項9】
カーボンナノチューブ製品製造システムであって、
整列していないカーボンナノチューブ材料を固体溶媒粒子とブレンドするように構成されたブレンドユニットと、
均質化ユニットであって、
前記固体溶媒粒子を液化することによりナノチューブ溶媒を活性化し、かつ
前記ナノチューブ溶媒および前記整列していないカーボンナノチューブ材料を混合して、ナノチューブドープ溶液を生成するように構成された、均質化ユニットと、
前記ナノチューブドープ溶液をカーボンナノチューブプロト製品として押し出すように構成された押出アセンブリと、
前記カーボンナノチューブプロト製品を整列したカーボンナノチューブ製品として固化するように構成された固化モジュール
であって、
カーボンナノチューブプロト製品に赤外線放射源が1~130μmの範囲の波長で曝露するように配置された放射アセンブリを含む固化モジュール、
を備える、カーボンナノチューブ製品製造システム。
【請求項10】
整列したカーボンナノチューブ製品を熱アニーリングすることにより、該整列したカーボンナノチューブ製品から化学凝固剤を除くことをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
カーボンナノチューブプロト製品を
化学凝固剤に曝露することが、化学凝固剤を含む連続的に更新される流体膜に
曝すことを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
カーボンナノチューブ製品であって、
カーボンナノチューブ分子を含む、整列していないカーボンナノチューブ材料を固体溶媒粒子とブレンドすることと、
前記固体溶媒粒子を液化することによりナノチューブ溶媒を活性化することと、ここで、該ナノチューブ溶媒を活性化することは、任意選択で該固体溶媒粒子を加熱することを含み、
前記ナノチューブ溶媒および前記整列していないカーボンナノチューブ材料を混合することにより、ナノチューブドープ溶液を生成することと、
前記ナノチューブドープ溶液を押し出すことによってカーボンナノチューブプロト製品を形成することと、ここで、該ナノチューブドープ溶液は、任意選択でナノチューブフィラメントまたはナノチューブフィルムとして押し出され、
整列したカーボンナノチューブ製品を形成することと、
を含む方法であって、
該整列したカーボンナノチューブ製品を形成することは、該カーボンナノチューブプロト製品を、赤外線放射源に1~130μmの範囲の波長で曝露すること、ここで、赤外線は任意選択でパルス化されており、
前記曝露することの前および後の一方または両方で、該カーボンナノチューブプロト製品中のカーボンナノチューブ分子の整列が与えられ、ここで、カーボンナノチューブ分子の整列を与えることは、任意選択でカーボンナノチューブプロト製品を延伸させることを含み、ならびに
カーボンナノチューブプロト製品を化学凝固剤に曝露することより形成され、ここで該化学凝固剤は、ナノチューブ溶媒のための溶媒およびカーボンナノチューブプロト製品のための非溶媒である、
方法
により形成されたカーボンナノチューブ製品。
【国際調査報告】