(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-26
(54)【発明の名称】電気エネルギーの生産用の発光型太陽光集光器を有する複層ガラス
(51)【国際特許分類】
C03C 27/06 20060101AFI20220119BHJP
H01L 31/055 20140101ALI20220119BHJP
E06B 3/66 20060101ALI20220119BHJP
【FI】
C03C27/06 101J
H01L31/04 622
E06B3/66 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021547970
(86)(22)【出願日】2019-10-28
(85)【翻訳文提出日】2021-06-28
(86)【国際出願番号】 IB2019059229
(87)【国際公開番号】W WO2020089772
(87)【国際公開日】2020-05-07
(31)【優先権主張番号】102018000009908
(32)【優先日】2018-10-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517251177
【氏名又は名称】ユニベルシタ デッリ ストゥディ ディ ミラノ-ビコッカ
(71)【出願人】
【識別番号】520088605
【氏名又は名称】グラス・ト・パワー・ソチエタ・ペル・アツィオーニ
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100104374
【氏名又は名称】野矢 宏彰
(72)【発明者】
【氏名】メイナルディ,フランチェスコ
(72)【発明者】
【氏名】ブロベリ,セルジオ
(72)【発明者】
【氏名】ブルーニ,フランチェスコ
(72)【発明者】
【氏名】ガンディーニ,マリーナ
【テーマコード(参考)】
2E016
4G061
5F151
【Fターム(参考)】
2E016AA01
2E016BA00
2E016BA01
2E016CA01
2E016CB01
2E016CC03
2E016EA02
2E016GA00
4G061AA25
4G061BA03
4G061CD02
4G061CD21
5F151BA11
5F151JA21
(57)【要約】
透明または半透明の材料からなる少なくとも2つのパネル(4、5、6)を含む複層ガラス(1)。これらのパネルのうち少なくとも1つ(5)は、発光型太陽光集光器である。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2つのパネル(4、5、6)を含む複層ガラス(1)であって、これらパネルのうちの少なくとも1つ(5)が、発光型太陽光集光器であり、前記発光型太陽光集光器(5)が、前記発光型太陽光集光器(5)の面のうち、より大きい面積を有する方の面に垂直な軸(Z)に対して直角な方向(H)に変形可能であり、さらに、前記発光型太陽光集光器(5)の温度の変化およびその熱膨張に対して変形可能であり、
前記複層ガラス(1)が、前記複層ガラス(1)の外側の面に配置された2つのパネル(4、6)、および前記2つのパネル(4、6)の間に配置された、少なくとも1つの発光型太陽光集光器(5)を含み、前記2つのパネル(4、6)が透明材料、例えば、ガラスまたはプラスチック材料製であり、対向する縁部(7A、7C)において、前記発光型太陽光集光器(5)が、少なくとも1つのスペーサーユニット(17)と連携しており、前記スペーサユニット(17)が透明材料製の各々の隣接するパネル(4、6)から前記発光型太陽光集光器(5)を間隔をあけて配置しており、前記スペーサーユニット(17)が、逆「U」型の形状を有する2つの部分(19、20)を含み、逆「U」型の形状を有する前記2つの部分(19、20)が、前記発光型太陽光集光器(5)の端部(22)が配置されるチャネル(21)を定め、逆「U」型の形状を有する前記2つの部分(19、20)が、前記チャネル(21)を定める壁(27)により相互接続されており、前記スペーサーユニット(17)が、前記太陽光集光器の変形を受け止めることができる手段(30、50)を含むことを特徴とする、
複層ガラス(1)。
【請求項2】
前記太陽光集光器の変形を受け止めることができる前記手段が、前記スペーサーユニット(17)の前記チャネル(21)内に配置され、前記チャネル(21)の前記壁(27)と前記発光型太陽光集光器(5)の前記端部(22)との間に配置された、補償要素(30)を含み、前記要素が、柔軟であり、この要素が接触している前記発光型太陽光集光器(5)の変形に耐え、前記変形を補償することができることを特徴とする、請求項1に記載の複層ガラス。
【請求項3】
前記スペーサーユニット(17)の前記2つの部分(19、20)が、前記発光型太陽光集光器(5)から切り離されていることを特徴とする、請求項2に記載の複層ガラス。
【請求項4】
前記補償要素が、選択的に、プラスチック材料、ゴム、または発泡材料からなることを特徴とする、請求項2に記載の複層ガラス。
【請求項5】
各スペーサーユニット(17)が、少なくとも部分的に可撓性であり、かつ前記発光集光器(5)と、透明材料からなる前記パネル(4、6)との間に配置され、前記スペーサーユニットが、前記集光器(5)に面するそのアームまたは部分(47、48)によって、前記パネルと前記集光器(5)の両方に固定され、前記アームまたは部分(47、48)が、前記発光型太陽光集光器の変形を受け止めることができる前記手段を画定する変形可能な部分(50)によって接続されていることを特徴とする、請求項1に記載の複層ガラス。
【請求項6】
前記変形可能な部分(50)が、中間柔軟要素(55)を含むことを特徴とする、請求項5に記載の複層ガラス。
【請求項7】
前記スペーサーユニット(17)が、前記発光型太陽光集光器(5)を前記複層ガラスの外側の電気回路に接続する電気接続の通過用の穴(37)を含むことを特徴とする、請求項1に記載の複層ガラス。
【請求項8】
前記スペーサーユニット(17)が、前記発光型太陽光集光器のコネクターと共にスライドすることにより連携することができる電気接触手段を含み、スライドによる電気接触用の前記手段が、前記複層ガラスの外側の電気回路に接続されていることを特徴とする、請求項1に記載の複層ガラス。
【請求項9】
可変寸法を有する太陽電池(10)により構成される電気回路であって、抽出することができる電流を最大化することができる電気回路により特徴付けられる、請求項1に記載の複層ガラス。
【請求項10】
好ましくは前記発光型太陽光集光器(5)により生じたエネルギーを蓄積することができる少なくとも1つのバッテリー(81)によって、電気および/または電子デバイスに接続されているか、または前記電気および/または電子デバイスが直接接続されており、これらのデバイスが、カーテン用のアクチュエーター手段(84)、エレクトロクロマチック手段(82)、警報装置、または電力供給ソケット(88)からの少なくとも1つであることを特徴とする、請求項1に記載の複層ガラス。
【請求項11】
前記電気/電子デバイス(82、84、88)が、前記複層ガラス(1)の対フレーム(80)に結び付いていることを特徴とする、請求項10に記載の複層ガラス。
【請求項12】
窓またはフランス窓の一部である、請求項1に記載の複層ガラス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の対象は、主請求項の前提部分に記載の複層ガラスである。
【背景技術】
【0002】
知られているように、多重ガラス複層ガラスは、少なくとも2つのガラス質またはプラスチックのパネルにより構成されており、そのパネルは、透明または半透明で、密封されたスペーサーにより互いに分離している。したがって、パネル間に、通常、低熱伝導率を有する気体(例えばアルゴン、クリプトン)で満たされているチャンバーが存在し、複層ガラスの断熱性を改善することが可能になる。
【0003】
この従来の設計では、複層ガラスは、連続ファサードを有する建物の連続式ガラス壁を構成し、窓、フランス窓など(この場合、フレームを備えている)の開口部を閉じるように使用される。しかし、既知の複層ガラスは、そのパネルに当たる日射からエネルギーを生産することができない。
【0004】
発光型太陽光集光器は、また、それに供給される日射を電気エネルギーに変換するのに特に適していることが知られている。
知られているように、発光型太陽光集光器(またはLSC)は、集光器の本体を画定するガラスまたはプラスチック導波路を含み、本体は、高発光要素または一般にフルオロフォアと呼ばれる構成要素で塗装またはドープされている。直射および/または拡散した日光は、これらのフルオロフォアにより吸収され、より大きな波長で再発光する。したがって、発生する発光は、導波路の縁部への全反射によって伝搬し、集光器の本体の周囲に結合した光電池により電気エネルギーに変換される。
【0005】
適切に導波路のフルオロフォアの濃度およびその光学特性を選択することにより、必要なレベルの透明性および随意の形状を有する着色または無色のデバイスを製造することができ、デバイスは、例えば、太陽光発電の複層ガラスとして設計的に容易に統合することができる。
【0006】
米国特許出願第2014/130864号明細書は、その各々が太陽光集光器を含み得る2つのパネルを有する型の、窓で使用される透明な太陽光集光器を記載する。
国際公開第2015/152011号パンフレットは、その間に樹脂からなる平坦要素が配置されている2つのガラスパネルを含む多層パネルを記載する。スペーサーは、パネルと樹脂からなる要素との間に配置され、一方、樹脂からなる要素は、その周囲部分で、前記スペーサー間に配置される金属フレームの溝内に挿入される。密封要素は、ガラスパネルと、パネルと樹脂からなる要素との間に存在する中空スペース内の金属フレームとの間に配置される。
【0007】
金属フレームの溝には、樹脂製の要素の隣接する縁部を受け止めることができるパッド材料が配置される。このパッド材料は、また、フレームの両側面上に配置される必要はなく、または溝内に部分的に配置することができる。
【0008】
樹脂からなる平坦要素の使用は、多層パネルの耐破損性を改善し得るので、必要である。
国際公開第2018/132491号パンフレットは、電気を発生することができ、ガラスを含む第1および第2の平坦要素を含む窓、および日光が当たれば電気を発生することができる装置、例えば、これらの平坦要素の1つの内面上に提供される光起電装置を記載する。
【発明の概要】
【0009】
本発明の目的は、断熱性の利点の他に、受ける日射を電気エネルギーに変換する可能性も有する複層ガラスを提供することである。
別の目的は、隅に近い縁部の一部分に光がより少なく照射されるという事実とは無関係に、太陽光集光器の本体の周囲に結合する太陽電池が、集光器の縁部に沿って均一な量の電気エネルギーを発生することができる電気回路を構成する、複層ガラスを提供することである。
【0010】
別の目的は、長期間密閉が続く前記の型の複層ガラス、すなわち、それに含まれる低熱伝導率を有する気体が、ある期間にわたって漏出しない太陽光発電複層ガラスを提供することである。別の目的は、発生する電気エネルギーを、複層ガラスを使用する環境のバッテリーまたは電気幹線供給に簡単な方法で輸送することができる、複層ガラスを提供することである。
【0011】
さらなる目的は、例えば、盗難防止装置、Wi-Fiリピーター、照明要素などの複層ガラスが存在する環境内で使用される電気および/または電子デバイスへの電力の供給源として使用することができる複層ガラスを提供することである。
【0012】
当業者に明らかとなるこれらの目的およびその他は、主請求項に記載の複層ガラスにより達成される。
本発明をより良く理解するために、純粋に非限定的な表示として、以下の図面を添付する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明による複層ガラスの分解組立図で表された斜視図を示し、明確さを高めるため、一部が省略されている。
【
図2】
図1の複層ガラス下部の拡大部分斜視図を示し、明確さを高めるため、一部が省略されている。
【
図4】
図3に示すものの側面図を示すが、
図1の複層ガラスの構成要素の寸法と異なる。
【
図5】
図1の複層ガラスの構成要素の斜視図を示す。
【
図7】
図2のものと類似の図を示すが、本発明の範囲に入らない本発明の変形を示す。
【
図9】
図8のものと類似の図を示すが、
図7の複層ガラスの構成要素の寸法と異なる。
【
図10A】太陽光集光器による光子の発光の一般的プロファイル(実線P)および集光器の縁部に結合した一定寸法を有する太陽電池により生じた電流に関連するヒストグラムを示す。この構成では、得ることができる最大電流(破線L)は、集光器の末端の電池により発生する電流により制限される。
【
図10B】同一の寸法の太陽電池を有する太陽光集光器の側面図を模式的に示す。
【
図11A】
図11Aは、
図10の太陽光集光器による光子の発光と同じプロファイル(実線P)、および
図11Bに示す集光器それ自体の縁部に結合した可変寸法を有する太陽電池により生じた電流に関連するヒストグラムを示す。この構成では、得ることができる最大電流(破線L)は、縁部に沿った発光プロファイルから独立している。
【
図11B】
図11Aは、
図10の太陽光集光器による光子の発光と同じプロファイル(実線P)、および
図11Bに示す集光器それ自体の縁部に結合した可変寸法を有する太陽電池により生じた電流に関連するヒストグラムを示す。この構成では、得ることができる最大電流(破線L)は、縁部に沿った発光プロファイルから独立している。
【
図12】電源内蔵「スマート窓」で使用される複層ガラスを模式的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
前記の図に関して、複層ガラスは、1で示され、少なくとも2つのパネルにより画定される中央部を収容する。図で、例として、複層ガラスは、3つのパネルを含む:1つ目のアウターパネル4、中間パネル5、およびインナーパネル6。アウターおよびインナーは、複層ガラスが配置される単一のアパーチャまたは壁の環境を指す。
【0015】
アウターパネル4およびインナーパネル6は、ガラスまたはプラスチック材料からなり、一方、中間パネル5は、それ自体知られている型の発光型太陽光集光器(LSC)である。
【0016】
この集光器またはLSC5は、固体板(例えば、図に示すもの)、または透明支持体、例えば、プラスチック材料上に配置されるフィルムのいずれかの形態とすることができる。知られているように、発光型太陽光集光器またはLSC5は、そこに発光物質(例として、本体7内に明確に同定することができる要素8として
図1に示す)が存在するガラスまたはプラスチック材料からなるメインの本体7も含む。
【0017】
本体7の縁部7A、7B、7C、7Dには、複層ガラス1上での入射光照射(
図1で12と示される)の物質による吸収後に、LSC中に存在する発光物質8により発される光照射(
図1で11と示される)を回収することができる既知の光電池10が存在する。これらの光電池10は、LSC5の本体7上に既知の方式で光学的に結合している。
【0018】
この手段により、窓、フランス窓(およびこの場合、それは、
図12に示すように、周囲の対ーフレーム80を備えている)で、または環境の壁を画定(他の複層ガラス1と共に)するために、上記のように複層ガラス1を使用すると、複層ガラスに当たる光照射からの電気エネルギーを得ることが可能になる。しかし、発光型太陽光集光器5を構成する既知のプラスチック材料、または、いずれにしても、太陽光集光器(透明支持体上に固体板またはフィルムどちらかの形態で製造される)中に存在する材料のセットは、パネル4および6のガラスのものと異なる熱膨張係数を有する。この問題点が解決されなければ、標準複層ガラス用の従来の設計を使用して、複層ガラスは、構造の膨張および/または収縮に関連する機械的張力の結果、すぐ損傷することになる。
【0019】
本発明によれば、この問題点は、パネル4~6に配置されるスペーサーユニット(または単に「スペーサー」)17を使用することにより解決され、スペーサーは、パネル自体の膨張を受け止めることができ、パネル間に存在するチャンバーの密封は変化せず保たれる(およびチャンバーは、低熱伝導率を有する気体を含む)。
【0020】
さらに、各スペーサー17は、発光型太陽光集光器の周囲に存在する電気の、および太陽光発電の構成要素を収容するためのレセプタクルを有し、構成要素と電気エネルギーの抽出用回路との間の電気接触が可能になる。
【0021】
特に
図1~6に関して、各スペーサー17は、2つの部分19および20(実質的に逆「U」型で形成されている)を有する予め形成した本体18を含み、その部分は、互いに少し距離を置いて配置され、チャネル21を定める。LSC5の対応する端部22は、チャネルに導入され得る。また一方では、部分19および20は、スペーサーの外側に端部壁19Aおよび20Aを有し、従来の接着剤およびシール24(例えば、シリコーン系である)のおかげでパネル4および6と一体になっている。
【0022】
チャネル21は、本体7およびそれに結合する光電池10からなるLSCを収容する。しかし、発光型太陽光集光器またはLSC5は、接着剤または接着層によってこのスペーサーの本体18に接続していないので、予め形成したスペーサー17と一体になっていない。したがって、LSCは、チャネルで、壁27に向かって自由にスライドし、底(図を参照して)でチャネル21を定める(および部分19および20を接続する)。これは、発光型太陽光集光器5のいかなる膨張または収縮にも耐容である可能性のあるスペーサー17を提供する。
【0023】
スペーサー17は、補償要素30のチャネル21への挿入も可能にすることができ、前記の壁27に垂直な軸に直角な方向にLSC5の熱膨張および/または収縮を補償することができる。非限定例として、この要素は、プラスチックまたはゴム状材料または発泡体からなり得る。
【0024】
図4は、発光型太陽光集光器が温度の変化後に拡張する場合の上記のスペーサー17の作用原理を模式的に表す。この膨張(矢印Hで示す)は、集光器5のより大きな面積を有する面に直角な軸Zに垂直に(すなわち、スペーサー17の壁27に対して)起こる。この膨張後に起こることは、
図3と4の比較によっても示される。温度が上昇する場合、スペーサーは、補償要素30の圧縮のおかげでLSC5の熱膨張に対処することができる。したがって、(特にそのフレーム上で)修復できないほどに複層ガラスを損傷する可能性がある複層ガラスの構造の損傷および機械的張力は、回避される。
【0025】
他の方向、例えば、軸Zの方向へのLSCの膨張はどれも、チャネル21内で受け止められ、そのチャネルは、有利なことに前記複層ガラスを遊びを用いて受け止めるような寸法を有する。
【0026】
剛性のスペーサーが、発光型太陽光集光器5と補償要素30の両方を含むチャネル21を有する、図に示すような剛性のスペーサー17では、太陽光集光器5の光電池10と複層ガラスの外側の電気回路(未表示)との間の電気的結合を可能にするために解決策を実行する必要があり、電気回路は、例えば、
図12に示すように、対フレーム80に結び付いている。
【0027】
図5~6は、この要件に対する2つの可能な解決策を示す。
図5の構成によれば、LSC5の端部22に配置された光電池10に直接接続された電線またはケーブル(示されない)の通過を可能にするため、通過穴37は、スペーサー17の本体18の壁27内に提供される。
【0028】
あるいは、
図6の構成により、スペーサー17は、LSC5の補償要素と光電池10の間に配置された金属コンタクト40を有する(金属コンタクトはスライド式コネクターを有する、未表示)。したがって、これらのコンタクト40は、複層ガラスの外側に達する類似のケーブルまたは導体に接続されている。
【0029】
両方の解決策で、電気接続は、太陽電池と外部電気回路(それ自体知られている、未表示)との間に保証され、回路は、複層ガラスのフレームを囲む固定構造(例えば対フレーム80)に結び付いている(固定構造を
図12に示す、後で本明細書に記載されることになる)。
【0030】
図7~9の変形(
図1~6に関してすでに記載されたものに対応する要素は、同じ符号を用いて表示されている)では、部分的に可撓性のスペーサー17の使用が示され、スペーサーは、各パネル4および6と、LSC5との間に配置される。各スペーサーは、実質的に逆「U」型の形状を含み、剛性であり、それぞれ複層ガラスのアウターパネル4およびインナーパネル6(側面47)および発光型太陽光集光器5の本体7(側面48)上の接着層または接着剤240および241によって接着している平行なアーム47および48を有する。
【0031】
当該の場合では、スペーサー17は、前記のように、および
図1~6に示すように完全に剛性ではなく、アーム47と48を接続する可撓性部分50を有する。各スペーサー17のこの部分50により、スペーサーは、異なる材料からなる他のパネル4および6に比べて、発光型太陽光集光器5の熱膨張または収縮に対処することが可能になり、複層ガラス1は、機械的応力により生じる損傷を受けない。
【0032】
図8と9の比較は、LSC5が熱的変形を受け、変形(矢印H)するときの、各スペーサー17の変形を示す。
図7~9の解決策では、複層ガラスのフレームは、LSC5の変形用の縁部7A~7Dに自由空間を有しなければならないことを理解されたい。
【0033】
スペーサー17の部分50は、複層ガラスの剛性を維持しながら、部分50の変形を促進する、中間の柔軟または弾性またはプラスチックの構成要素55を含むことに留意されたい。
【0034】
通常、光電池10は、
図10Bに示すように特定の設計図に従い結合している。この結合後に、LSCの周囲に沿って発光した光子の分布は、
図10Aに示されるように一定ではない。
【0035】
より詳細には、非限定例として、
図10Aは、長さ15cmのLSCの側面の発光プロファイルを示す(発生する光子の数は、集光器の側面の中央から発する最大値を基準にして、標準単位で示される)。光の発光の不均一な分布は、LSCの固有な特性であり、したがって、その寸法から独立している。特に、側面の中央から発生する光子の数は、側面の2つの端部それ自体から発生する光子の数より常に大きいことに留意されたい。したがって、それに結合した光電池は、空間的に均一でない光照射の強度に暴露される。
【0036】
これにより、互いに連続して接続し、集光器の側面に結合した等しい寸法の一連の太陽電池により生じた電流は、一連のうちの最低照射の電池により生じた電流に限定されるということが言える。
【0037】
この作用は、
図10Aのヒストグラムに示され、同一の面積(ヒストグラム)を有する太陽電池10により生じた電流の空間分布は、集光器の側面から生じる光子の不均一な分布(実線)に従う。したがって、側面の端部に配置される電池10は、側面それ自体の中央部に配置される電池よりかなり少ない電流を生産する。これは、一連の電池全体から抽出することができる電流の固有の限界を示し、その限界は、具体的には、最低照射の電池により生じる電流により決定される。
【0038】
太陽光集光器から得ることができる電力を最大にすることが可能になるこの問題の解決策は、例えば、集光器の側面に沿った発光の異なる強度を補償するように、異なる寸法の光電池を使用することである。これは、
図11Bの設計図に従い実施することができ、より大きい面積を有する電池10Mが、集光器の側面の低い照明を有する部分に配置されている。この場合、電流は、照明の密度と照射面積の積に比例するので、
図11Aに示すように、発生する電流のプロファイルは、集光器の側面に沿って生じる光子の不規則な進展に従わず、一定である。この結果、一定寸法の太陽電池用で前記した場合よりかなり大きい、集光器の側面から抽出することができる電流の合計値が生じる。
【0039】
本発明のさらなる特性によれば、複層ガラス1は、電池内蔵「スマート窓」として作動する。この場合、
図12に示すように、発光型太陽光集光器またはLSC5に当たる光により生じた電気エネルギーは、電気接続811によって、複層ガラスのフレーム上に、または窓の対フレーム80上に固定したバッテリー81に移動する。
【0040】
バッテリー81は、複層ガラス1の光電池10に接続されている。様々なユーザー、または様々な機能を有することができるデバイスは、バッテリー81に接続することができる。例えば、バッテリー81は、複層ガラス、および/またはカーテンを動かすための装置(電動機)(未表示)、および/またはWi-Fiリピーター、LED灯、または別の型の照明装置、および/または警報装置(例えば、窓の開口部に接続されている、または容積がある)、および/またはHi-Fiリピーターまたは他の電気デバイス、例えば、種々の型のセンサーを目立たなくすることができるエレクトロクロミックデバイス82に電気ケーブル83によって接続することができる。これらのすべては、複層ガラスの内側または外側に配置される。
【0041】
電気ソケットおよび/またはUSBソケット84も、ケーブル87を通してバッテリー81に接続することができる。
バッテリーを用意する必要なく、電力を直接前記電子デバイスに供給するために電池10を使用することも可能である。
【0042】
本発明の様々な実施形態を説明してきた。他の変形、例えば、パネル4および6ならびに複数の中間LSC5を含むものが可能であることを理解されたい。これらの解決策も、添付の特許請求の範囲により定義するように本発明の範囲に入る。
【手続補正書】
【提出日】2021-07-01
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2つのパネル(4、5、6)を含む複層ガラス(1)であって、これらパネルのうちの少なくとも1つ(5)が、発光型太陽光集光器であり、前記発光型太陽光集光器(5)が、前記発光型太陽光集光器(5)の面のうち、より大きい面積を有する方の面に垂直な軸(Z)に対して直角な方向(H)に変形可能であり、さらに、前記発光型太陽光集光器(5)の温度の変化およびその熱膨張に対して変形可能であり、
前記複層ガラス(1)が、前記複層ガラス(1)の外側の面に配置された2つのパネル(4、6)、および前記2つのパネル(4、6)の間に配置された、少なくとも1つの発光型太陽光集光器(5)を含み、前記2つのパネル(4、6)が透明材料、例えば、ガラスまたはプラスチック材料製であり、対向する縁部(7A、7C)において、前記発光型太陽光集光器(5)が、少なくとも1つのスペーサーユニット(17)と連携しており、前記スペーサユニット(17)が透明材料製の各々の隣接するパネル(4、6)から前記発光型太陽光集光器(5)を間隔をあけて配置しており、前記スペーサーユニット(17)が、逆「U」型の形状を有する2つの部分(19、20)を含み、逆「U」型の形状を有する前記2つの部分(19、20)が、前記発光型太陽光集光器(5)の端部(22)が配置されるチャネル(21)を定め、逆「U」型の形状を有する前記2つの部分(19、20)が、前記チャネル(21)を定める壁(27)により相互接続されており、前記スペーサーユニット(17)が、前記太陽光集光器の変形を受け止めることができる手段(30、50)を含むことを特徴とする、
複層ガラス(1)。
【請求項2】
前記太陽光集光器の変形を受け止めることができる前記手段が、前記スペーサーユニット(17)の前記チャネル(21)内に配置され、前記チャネル(21)の前記壁(27)と前記発光型太陽光集光器(5)の前記端部(22)との間に配置された、補償要素(30)を含み、前記要素が、柔軟であり、この要素が接触している前記発光型太陽光集光器(5)の変形に耐え、前記変形を補償することができることを特徴とする、請求項1に記載の複層ガラス。
【請求項3】
前記スペーサーユニット(17)の前記2つの部分(19、20)が、前記発光型太陽光集光器(5)から切り離されていることを特徴とする、請求項2に記載の複層ガラス。
【請求項4】
前記補償要素が、選択的に、プラスチック材料、ゴム、または発泡材料からなることを特徴とする、請求項2に記載の複層ガラス。
【請求項5】
前記スペーサーユニット(17)が、前記発光型太陽光集光器(5)を前記複層ガラスの外側の電気回路に接続する電気接続の通過用の穴(37)を含むことを特徴とする、請求項1に記載の複層ガラス。
【請求項6】
前記スペーサーユニット(17)が、前記発光型太陽光集光器のコネクターと共にスライドすることにより連携することができる電気接触手段を含み、スライドによる電気接触用の前記手段が、前記複層ガラスの外側の電気回路に接続されていることを特徴とする、請求項1に記載の複層ガラス。
【請求項7】
可変寸法を有する太陽電池(10)により構成される電気回路であって、抽出することができる電流を最大化することができる電気回路により特徴付けられる、請求項1に記載の複層ガラス。
【請求項8】
好ましくは前記発光型太陽光集光器(5)により生じたエネルギーを蓄積することができる少なくとも1つのバッテリー(81)によって、電気および/または電子デバイスに接続されているか、または前記電気および/または電子デバイスが直接接続されており、これらのデバイスが、カーテン用のアクチュエーター手段(84)、エレクトロクロマチック手段(82)、警報装置、または電力供給ソケット(88)からの少なくとも1つであることを特徴とする、請求項1に記載の複層ガラス。
【請求項9】
前記電気/電子デバイス(82、84、88)が、前記複層ガラス(1)の対フレーム(80)に結び付いていることを特徴とする、請求項8に記載の複層ガラス。
【請求項10】
窓またはフランス窓の一部である、請求項1に記載の複層ガラス。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0042
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0042】
本発明の様々な実施形態を説明してきた。他の変形、例えば、パネル4および6ならびに複数の中間LSC5を含むものが可能であることを理解されたい。これらの解決策も、添付の特許請求の範囲により定義するように本発明の範囲に入る。
[態様]
[1]
少なくとも2つのパネル(4、5、6)を含む複層ガラス(1)であって、これらパネルのうちの少なくとも1つ(5)が、発光型太陽光集光器であり、前記発光型太陽光集光器(5)が、前記発光型太陽光集光器(5)の面のうち、より大きい面積を有する方の面に垂直な軸(Z)に対して直角な方向(H)に変形可能であり、さらに、前記発光型太陽光集光器(5)の温度の変化およびその熱膨張に対して変形可能であり、
前記複層ガラス(1)が、前記複層ガラス(1)の外側の面に配置された2つのパネル(4、6)、および前記2つのパネル(4、6)の間に配置された、少なくとも1つの発光型太陽光集光器(5)を含み、前記2つのパネル(4、6)が透明材料、例えば、ガラスまたはプラスチック材料製であり、対向する縁部(7A、7C)において、前記発光型太陽光集光器(5)が、少なくとも1つのスペーサーユニット(17)と連携しており、前記スペーサユニット(17)が透明材料製の各々の隣接するパネル(4、6)から前記発光型太陽光集光器(5)を間隔をあけて配置しており、前記スペーサーユニット(17)が、逆「U」型の形状を有する2つの部分(19、20)を含み、逆「U」型の形状を有する前記2つの部分(19、20)が、前記発光型太陽光集光器(5)の端部(22)が配置されるチャネル(21)を定め、逆「U」型の形状を有する前記2つの部分(19、20)が、前記チャネル(21)を定める壁(27)により相互接続されており、前記スペーサーユニット(17)が、前記太陽光集光器の変形を受け止めることができる手段(30、50)を含むことを特徴とする、
複層ガラス(1)。
[2]
前記太陽光集光器の変形を受け止めることができる前記手段が、前記スペーサーユニット(17)の前記チャネル(21)内に配置され、前記チャネル(21)の前記壁(27)と前記発光型太陽光集光器(5)の前記端部(22)との間に配置された、補償要素(30)を含み、前記要素が、柔軟であり、この要素が接触している前記発光型太陽光集光器(5)の変形に耐え、前記変形を補償することができることを特徴とする、1に記載の複層ガラス。
[3]
前記スペーサーユニット(17)の前記2つの部分(19、20)が、前記発光型太陽光集光器(5)から切り離されていることを特徴とする、2に記載の複層ガラス。
[4]
前記補償要素が、選択的に、プラスチック材料、ゴム、または発泡材料からなることを特徴とする、2に記載の複層ガラス。
[5]
各スペーサーユニット(17)が、少なくとも部分的に可撓性であり、かつ前記発光集光器(5)と、透明材料からなる前記パネル(4、6)との間に配置され、前記スペーサーユニットが、前記集光器(5)に面するそのアームまたは部分(47、48)によって、前記パネルと前記集光器(5)の両方に固定され、前記アームまたは部分(47、48)が、前記発光型太陽光集光器の変形を受け止めることができる前記手段を画定する変形可能な部分(50)によって接続されていることを特徴とする、1に記載の複層ガラス。
[6]
前記変形可能な部分(50)が、中間柔軟要素(55)を含むことを特徴とする、5に記載の複層ガラス。
[7]
前記スペーサーユニット(17)が、前記発光型太陽光集光器(5)を前記複層ガラスの外側の電気回路に接続する電気接続の通過用の穴(37)を含むことを特徴とする、1に記載の複層ガラス。
[8]
前記スペーサーユニット(17)が、前記発光型太陽光集光器のコネクターと共にスライドすることにより連携することができる電気接触手段を含み、スライドによる電気接触用の前記手段が、前記複層ガラスの外側の電気回路に接続されていることを特徴とする、1に記載の複層ガラス。
[9]
可変寸法を有する太陽電池(10)により構成される電気回路であって、抽出することができる電流を最大化することができる電気回路により特徴付けられる、1に記載の複層ガラス。
[10]
好ましくは前記発光型太陽光集光器(5)により生じたエネルギーを蓄積することができる少なくとも1つのバッテリー(81)によって、電気および/または電子デバイスに接続されているか、または前記電気および/または電子デバイスが直接接続されており、これらのデバイスが、カーテン用のアクチュエーター手段(84)、エレクトロクロマチック手段(82)、警報装置、または電力供給ソケット(88)からの少なくとも1つであることを特徴とする、1に記載の複層ガラス。
[1
前記電気/電子デバイス(82、84、88)が、前記複層ガラス(1)の対フレーム(80)に結び付いていることを特徴とする、10に記載の複層ガラス。
[12]
窓またはフランス窓の一部である、1に記載の複層ガラス。
【国際調査報告】