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特表2022-510549多段ラテックスポリマー粒子を含む水性組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-27
(54)【発明の名称】多段ラテックスポリマー粒子を含む水性組成物
(51)【国際特許分類】
   C08F 265/00 20060101AFI20220120BHJP
   D06M 15/263 20060101ALI20220120BHJP
   D06M 15/273 20060101ALI20220120BHJP
【FI】
C08F265/00
D06M15/263
D06M15/273
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021520164
(86)(22)【出願日】2018-10-10
(85)【翻訳文提出日】2021-05-28
(86)【国際出願番号】 CN2018109641
(87)【国際公開番号】W WO2020073229
(87)【国際公開日】2020-04-16
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】590002035
【氏名又は名称】ローム アンド ハース カンパニー
【氏名又は名称原語表記】ROHM AND HAAS COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100217663
【弁理士】
【氏名又は名称】末広 尚也
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】シュエ、イン
(72)【発明者】
【氏名】ク、ツァオフイ
(72)【発明者】
【氏名】ヤン、ミャオ
【テーマコード(参考)】
4J026
4L033
【Fターム(参考)】
4J026AA17
4J026AA45
4J026AA53
4J026AC23
4J026BA25
4J026BA27
4J026BA30
4J026DA04
4J026DA07
4J026DA16
4J026DB04
4J026DB08
4J026DB16
4J026FA04
4J026FA07
4J026GA01
4J026GA09
4L033AB07
4L033AC11
4L033AC15
4L033CA18
4L033CA21
(57)【要約】
多段ラテックスポリマー粒子を含む水性組成物が提供される。多段ラテックスポリマー粒子は、(A)(i)2つのカルボン酸基を有するエチレン性不飽和酸モノマーおよび(ii)第1のビニルモノマーを含有する第1段階のポリマーと、(B)(i)エポキシ基を有するエチレン性不飽和モノマーおよび(ii)第2のビニルモノマーを含有する第2段階のポリマーと、を含む。水性組成物が含浸された不織布を含む物品も提供される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水性組成物であって、
(A)
(i)2つのカルボン酸基を含むエチレン性不飽和酸モノマー、
(ii)第1のビニルモノマーを含む第1段階のポリマーと、
(B)
(i)エポキシ基を含むエチレン性不飽和モノマー、
(ii)第2のビニルモノマーを含む第2段階のポリマーと、を含む多段ラテックスポリマー粒子を含む、水性組成物。
【請求項2】
前記第2段階のポリマーが、10,000g/mol~400,000g/molのMwを有する、請求項1に記載の水性組成物。
【請求項3】
前記第1段階のポリマーが、前記第1段階のポリマーの乾燥重量に基づいて、1.0重量%~10.0重量%の前記2つのカルボン酸基を含むエチレン性不飽和酸モノマーの重合単位を含む、請求項1または2に記載の水性組成物。
【請求項4】
前記多段ラテックスポリマー粒子が、前記多段ラテックスポリマー粒子の総分子量に基づいて、0.50%~5.0%のエポキシ含有量を有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の水性組成物。
【請求項5】
前記2つのカルボン酸基を含むエチレン性不飽和酸モノマーが、イタコン酸である、請求項1~4のいずれか一項に記載の水性組成物。
【請求項6】
前記エポキシ基を含むエチレン性不飽和モノマーが、メタクリル酸グリシジルである、請求項1~5のいずれか一項に記載の水性組成物。
【請求項7】
前記第1のビニルモノマーおよび前記第2のビニルモノマーが各々独立して、アクリル酸ブチル、アクリル酸エチル、スチレン、メタクリル酸ヒドロキシエチル、アクリル酸2-エチルヘキシル、アクリル酸、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリロニトリル、メタクリル酸、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1~6のいずれか一項に記載の水性組成物。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか一項に記載の水性組成物が含浸された不織布を含む、物品。
【請求項9】
物品であって、
コーティングが含浸された不織布を含み、
前記コーティングが、
(A)
(i)2つのカルボン酸基を含むエチレン性不飽和酸モノマー、
(ii)第1のビニルモノマーを含む第1段階のポリマーと、
(B)
(i)エポキシ基を含むエチレン性不飽和モノマー、
(ii)第2のビニルモノマーを含む第2段階のポリマーと、を含む多段ラテックスポリマー粒子を含む組成物を含む、物品。
【請求項10】
前記コーティングが、架橋されており、
前記物品が、40%~100%のIPA引張り保持を有する、請求項8または9に記載の物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ラテックスポリマー粒子を含有する水性組成物は、織物の結合剤として使用される。ラテックスポリマーは、伝統的に、メチロールアクリルアミド(MOA)モノマー等、重合中にホルムアルデヒドを生成するモノマーで形成される。ホルムアルデヒドは、発がん性物質として知られている。
【0002】
ホルムアルデヒドを含まないラテックスポリマーは、イタコン酸モノマーで形成されている。しかしながら、イタコン酸モノマーを含有するポリマーは、伝統的に、水性組成物が含浸された物品において十分な機械的特性を示すために、外部架橋剤の添加を必要とする。外部架橋剤は織物に含浸させることが困難であり、水または溶媒に暴露された物品の引張り強度の保持に悪影響を与えるため、外部架橋剤には問題がある。さらに、外部架橋剤は限られたポットライフを有するため、外部架橋剤には問題がある。
【0003】
当技術分野は、織物用の架橋可能な結合剤としての使用に好適であるラテックスポリマー粒子を含有するホルムアルデヒドを含まない水性組成物の必要性を認識している。当技術分野は、水または溶媒へ暴露された後に許容レベルの引張り強度保持を示すラテックスポリマー粒子を含有するホルムアルデヒドを含まない水性組成物の必要性をさらに認識している。
【発明の概要】
【0004】
本開示は、水性組成物を提供する。水性組成物は、多段ラテックスポリマー粒子を含む。多段ラテックスポリマー粒子は、(A)(i)2つのカルボン酸基を有するエチレン性不飽和酸モノマーおよび(ii)第1のビニルモノマーを含有する第1段階のポリマーと、(B)(i)エポキシ基を有するエチレン性不飽和モノマーおよび(ii)第2のビニルモノマーを含有する第2段階のポリマーと、を含む。
【0005】
本開示は、物品も提供する。物品は、コーティングが含浸された不織布を含む。コーティングは、多段ラテックスポリマー粒子を含有する組成物を含む。多段ラテックスポリマー粒子は、(A)(i)2つのカルボン酸基を有するエチレン性不飽和酸モノマーおよび(ii)第1のビニルモノマーを含有する第1段階のポリマーと、(B)(i)エポキシ基を有するエチレン性不飽和モノマーおよび(ii)第2のビニルモノマーを含有する第2段階のポリマーと、を含む。
【0006】
定義
元素周期表へのいかなる参照も、CRC Press,Inc.によって1990-1991に発行されたときのものである。この表における元素の族への参照は、族の番号付けの新しい表記法による。
【0007】
米国特許慣行の目的のため、いかなる参照される特許、特許出願、または刊行物の内容も、特に定義の開示(本開示に具体的に提供されるいかなる定義とも矛盾しない程度まで)および当技術分野の一般知識に関して、それらの全体が参照によって組み込まれる(またはその同等の米国版が、参照によってそのように組み込まれる)。
【0008】
本明細書に開示される数値範囲は、下限値および上限値を含む、下限値から上限値のすべての値を含む。明示的な値を含有する範囲(例えば、1、または2、または3~5、または6、または7の範囲)の場合、任意の2つの明示的な値の間の任意の部分範囲が含まれる(例えば、上記の範囲1~7には、部分範囲1~2、2~6、5~7、3~7、5~6等を含む)。
【0009】
反対の記載がない限り、または当技術分野において慣習的にそうでないと述べられていない限り、文脈から示唆されない限り、すべての部およびパーセントは重量を基準としており、すべての試験方法は本開示の出願日現在のものである。
【0010】
「アルキル」および「アルキル基」は、飽和直鎖状、環状、または分岐状炭化水素基を指す。好適なアルキル基の非限定的な例には、メチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、n-ブチル、t-ブチル、i-ブチル(または2-メチルプロピル)等が含まれる。一実施形態では、アルキル基は、1~20個の炭素原子を有する。
【0011】
「アルケニル」または「アルケニル基」は、少なくとも1つのC=C二重結合を含有するヒドロカルビル基を指す。アルキル基は、直鎖状、環状、または分枝状であり得る。好適なアルケニル基の非限定的な例には、エテニル基、n-プロペニル基、i-プロペニル基、n-ブテニル基、t-ブテニル基、i-ブテニル基等が含まれる。
【0012】
「水性」は、水を含有する組成物を指す。水性組成物は、水性組成物の総重量に基づいて、20重量%、または25重量%、または30重量%、または35重量%、または40重量%、または45重量%、または50重量%、または55重量%、または60重量%、または65重量%、または70重量%~75重量%、または80重量%、または85重量%、または90重量%、または95重量%、または99重量%、または100重量%未満の水を含む。
【0013】
「アラルキル」および「アラルキル基」は、1つ以上の水素原子をアリール基で置き換えることによって芳香族炭化水素から誘導される有機ラジカルを指す。
【0014】
「アリール」および「アリール基」は、芳香族炭化水素から1つの水素原子を欠失することによって芳香族炭化水素から誘導される有機ラジカルを指す。アリール基は、単環系および/または縮合環系であってもよく、これらの各環は、好適には、5~7個、好ましくは5個または6個の原子を含有する。2つ以上のアリール基が単結合を介して結合している構造も含まれる。具体的な例には、限定されないが、フェニル、トリル、ナフチル、ビフェニル、アントリル、インデニル、フルオレニル、ベンゾフルオレニル、フェナントリル、トリフェニレニル、ピレニル、ペリレニル、クリセニル、ナフタセニル、フルオランテニル等が含まれる。
【0015】
「ブレンド」、「ポリマーブレンド」等の用語は、2つ以上のポリマーの組成物である。そのようなブレンドは、混和性であっても、そうでなくてもよい。このようなブレンドは、相分離していても、していなくてもよい。そのようなブレンドは、透過電子分光法、光散乱、X線散乱、ならびにドメイン構成を測定および/または特定するために使用される任意の他の方法から決定されるような、1つ以上のドメイン構成を含有しても、含有しなくてもよい。
【0016】
「カルボン酸部分」および「カルボン酸基」は、-COOH基を含有する置換基を指す。
【0017】
「組成物」という用語は、組成物を含む材料の混合物、ならびに組成物の材料から形成された反応産生物および分解産生物を指す。
【0018】
「含む(comprising)」、「含む(including)」、「有する(having)」という用語、およびそれらの派生語は、任意の追加の構成要素、ステップ、または手順が、具体的に開示されるかに関わらず、それらの存在を除外するようには意図されない。いかなる疑念を避けるために、「含む」という語の使用を通じて請求項に記載されるすべての組成物は、反対の記述がない限り、重合されているかどうかに関わらず、任意の追加の添加剤、助剤、または化合物を含み得る。対照的に、「~から本質的になる」という用語は、任意の後続の詳述の範囲から、操作性に必要不可欠ではないものを除き、任意の他の構成成分、ステップ、または手順を除外する。「~からなる(consisting of)」という用語は、具体的に記述または列挙されていない任意の成分、ステップ、または手順を除外する。「または」という用語は、別途記載がない限り、列挙された部材を個々に、および任意の組み合わせで指す。単数形の使用には、複数形の使用が含まれ、逆の場合も同じである。
【0019】
「架橋性」および「硬化性」は、物品に成形される前または後のポリマーが、硬化も架橋もされておらず、実質的な架橋を誘発した処理に供されても、曝露されてもいないが、ポリマーが、このような処理(例えば、水への曝露)に供されるかまたは曝露されたときに実質的な架橋をもたらす添加剤(複数可)または機能性を含むことを示す。
【0020】
「架橋された」および同様の用語は、ポリマー組成物は、物品に成形される前または後に、90重量パーセント以下のキシレンまたはデカリン抽出性(extractable)(すなわち、10重量パーセント以上のゲル含有量)を有することを示す。
【0021】
「エポキシ部分」および「エポキシ基」は、以下の構造(A)を有する置換基を指す。
【化1】
【0022】
「生地」は、個々の繊維または糸から形成された織られた構造または不織の(編まれた等)構造である。
【0023】
「繊維」および類似の用語は、絡み合ったフィラメントの細長いカラムを指す。繊維径は、様々な方法で測定および報告することができる。一般に、繊維径は、1つのフィラメントあたりのデニールで測定される。デニールは、繊維の長さ9,000メートルあたりのその繊維のグラムとして定義される織物用語である。モノフィラメントは、一般に、15を超える、通常は30を超える1つのフィラメントあたりのデニールを有する押出ストランドを指す。細いデニール繊維は、一般に、15デニール以下を有する繊維を指す。マイクロデニール(別名マイクロ繊維)は、一般に、直径が100マイクロメートル以下を有する繊維を指す。
【0024】
「フィラメント」および類似の用語は、一般に、円形の断面、および10を超える長さ対直径の比を有する細長い材料の単一の連続したストランドを指す。
【0025】
「ハロゲン」は、フッ素(F)、塩素(Cl)、臭素(Br)、ヨウ素(I)、アスタチン(At)を含む元素周期表のlUPACグループ17の元素である。
【0026】
「ヘテロ原子」は、炭素または水素以外の原子である。ヘテロ原子は、周期表の第IV、V、VI、およびVII族からの非炭素原子であり得る。ヘテロ原子の非限定的な例には、ハロゲン、N、O、P、B、S、およびSiが含まれる。
【0027】
「ヒドロカルビル」および「炭化水素」という用語は、分岐または非分岐、飽和または不飽和、環式、多環式または非環式の種を含む水素および炭素の原子のみを含有する置換基を指す。ヒドロカルビル基の非限定的な例には、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルカジエニル基、シクロアルケニル基、シクロアルカジエニル基、アリール基、アラルキル基、およびアルキニル基が含まれる。
【0028】
「イオン性」は、その共重合されたモノマー残基が1~14のpHでイオン性電荷を有するモノマーを指す。
【0029】
「ニット生地」は、手によって、編み針で、または機械上で、一連の連結したループ内で糸またを繊維絡み合せることから形成される。生地は、縦編みまたは横編み、平編み、および丸編みによって形成することができる。好適な縦編みの非限定的な例には、トリコット、ラッセルパワーネット、およびレースが含まれる。好適な横編みの非限定的な例には、丸編み、平編み、およびシームレス(これは多くの場合丸編みのサブセットと見なされる)が含まれる。
【0030】
「ラテックスポリマー」は、水性乳化重合によって調製されたポリマー化合物である。ラテックスポリマーは、連続的な水性媒体全体に浮遊する粒子として存在する。
【0031】
「非イオン性」は、その共重合されたモノマー残基が1~14のpHでイオン性電荷を有さないモノマーを指す。
【0032】
「不織の」は、ランダムに差し込まれているが、ニット生地の場合のように識別可能な様式ではない、個々の繊維またはより糸の構造を有するウェブまたは生地である。
【0033】
「ポリマー」は、同じタイプであるか異なるタイプであるかにかかわらず、モノマーを重合することによって調製されるポリマー化合物である。したがって、ポリマーという総称は、「ホモポリマー」(微量の不純物がポリマー構造に組み込まれ得るという理解の下で、1種類のモノマーのみから調製されたポリマーを指すために用いられる)、および「インターポリマー」という用語を包含し、これはコポリマー(2つの異なる種類のモノマーから調製されたポリマーを指すのに用いられる)、ターポリマー(3つの異なる種類のモノマーから調製されるポリマーを指すのに用いられる)、および4つ以上の異なる種類のモノマーから調製されるポリマーを含む。例えば、触媒残渣等の微量の不純物が、ポリマー中および/またはポリマー内に組み込まれ得る。この用語は、コポリマーのすべての形態、例えば、ランダム、ブロック等も包含する。ポリマーは多くの場合、1つ以上の特定のモノマー「から作製されて」いること、特定のモノマーまたはモノマーの種類「に基づいて」いること、特定のモノマー含有量「を含有して」いる等と称されるが、この文脈において、「モノマー」という用語は、非重合種ではなく、特定のモノマーの重合残余物を指していることが理解される。一般に、本明細書におけるポリマーは、対応するモノマーの重合形態である「単位」に基づくものを指す。
【0034】
「置換ヒドロカルビル」および「置換炭化水素」は、1つ以上の非ヒドロカルビル置換基で置換されたヒドロカルビル基を指す。非ヒドロカルビル置換基の非限定的な例には、ヘテロ原子、ヘテロ原子含有部分、酸素含有部分(例えば、アルコール、アクリレート、アクリル酸、アルデヒド、カルボン酸、エステル、エーテル、ケトン、およびペルオキシド基)、および窒素含有部分(例えば、アミド、アミン、アゾ、イミド、イミン、ニトレート、ニトリル、およびニトライト基)が含まれる。
【0035】
「織物」は、天然繊維、人工繊維、およびそれらの組み合わせのネットワークで構成される柔軟な材料である。織物には、生地および布が含まれる。
【0036】
「ポリマーの重量」は、ポリマーの乾燥重量を指す。
【0037】
「織られた」は、識別可能な方法で、パターンで差し込まれる個々の繊維またはより糸の構造を有するウェブまたは生地を指す。織られた生地の非限定的な例は、ニット生地である。
【0038】
「糸」は、織られたか、またはニット生地の製造に使用することができる、連続した長さの撚られたか、またはそうでなければ絡み合ったフィラメントである。
【0039】
試験方法
50の粒子サイズは、Coulter Corporationから入手可能なCoulter LS230レーザー光散乱粒径測定器を使用して測定される。D50粒子サイズは、MSLPPの質量の50%がこの値未満の直径を有する粒子からなり、MSLPPの質量の50%が、該値より大きい直径を有する粒子からなる粒径である。粒子サイズは、ミクロン(μm)で測定される。
【0040】
エポキシ含有量は、全ポリマーの分子量に対するエポキシ基の分子量の比率を決定することによって計算される。エポキシ含有量は、パーセンテージ(%または重量%)として報告される。
【0041】
ホルムアルデヒド含有量。水性組成物またはラテックスポリマー中のホルムアルデヒドの存在(または不在)は、ASTM D5910-05に従って決定される。
【0042】
ガラス転移温度(Tg)は、ASTM-D3418-15に従って測定される。
【0043】
ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)
サンプル分析には、Agilentアイソクラティックポンプが装備されたAgilent1200従来型ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)システムが使用される。濃度検出器は、Agilent微分屈折率(DRI)検出器である。データは、Agilent Chemstation(バージョンB02.01-SR1)およびAgilent GPC-付加ソフトウェア(Rev.B01.01)を使用して取得および処理される。キャリア溶媒は、ギ酸(FA)を有するテトラヒドロフラン(THF)である(体積比:95:5)。システムには、Agilentからのオンライン溶媒脱気デバイスが装備されている。カラム区画は、40℃で作動される。カラムは、2つの混合B30cm、10ミクロンカラムである。流量は、1.0mL/分であり、注入体積は、100μLである。「2mg/mL」のサンプル濃度は、ギ酸(FA)を有するテトラヒドロフラン(THF)である(体積比:95:5)にサンプルを一晩溶解することによって調製される。次に、GPC分析の前に、サンプルを0.45μmのポリテトラフルオロエチレン(PTFE)フィルターで濾過する。
【0044】
GPCカラムセットは、10の狭い分子量分布ポリスチレン標準物で実験することによって較正される。標準物の分子量(MW)は、162g/mol~2,329,000g/molの範囲であり、標準物は、3つの「カクテル」混合物に含有されている。各標準物混合物は、個々の分子量間で少なくとも10離れている。
【0045】
対数分子量較正は、3次多項式当て嵌めを溶出体積の関数として使用して生成される。数平均および重量平均分子量は、以下の等式:
【数1】

【数2】
に従って計算され、式中、WfおよびMが、それぞれ溶出成分iの重量分率および分子量である。
【0046】
引張り強度
乾燥引張り強度、湿潤引張り強度、およびイソプロピルアルコール(IPA)引張り強度は各々、Instron5943で測定される。
【0047】
各サンプルは、水性組成物の総重量に基づいて、12重量%の固形含有量を有するように脱イオン(DI)水で希釈される。28cm×46cmであるWHATMAN(商標)グレード4セルロース濾紙(Whatman Ltd.から入手可能)である基材が提供される。基材は、(i)300mLの希釈サンプルに30秒の間浸漬され、(ii)希釈サンプルから取り出され、(iii)Mathis(商標)パダーでパディングされ、(iv)150℃の温度のオーブンで3分間乾燥および架橋されて、架橋物品を形成する。ポリマー粒子の付加は、全架橋物品の15重量%~17重量%に制御される。
【0048】
架橋物品は、1インチ×4インチの試験ストリップに切断され、ここで、4インチの方向は、試験ストリップの幅方向(CD)である。
【0049】
試験ストリップの引張り強度は、Instron5943で、乾燥、湿潤、IPAの3つの条件下で測定される。「乾燥」状態は、切断後に処理されていない試験ストリップで測定される。「湿潤」状態は、試験ストリップを0.1重量%のTRITON(商標)X-100(The Dow Chemical Companyから入手可能な界面活性剤であるオクチルフェノールエトキシレート)を含有する溶液に30分間浸漬した直後に測定される。湿潤引張り強度は、架橋物品の水に対する耐性を示す。「IPA」状態は、試験ストリップをイソプロピルアルコール(IPA)に30分間浸漬した直後に測定される。IPA引張り強度は、架橋物品のIPAに対する耐性を示す。
【0050】
Instron5943の2つのクランプ間のギャップは、試験前に50mmに事前設定される。Instron5943の速度は、1分あたり300mm(mm/分)に事前設定される。各試験ストリップの最大引張り強度が記録され、9つのサンプルの平均が記録される。
【0051】
引張り強度は、1インチあたりのキログラム力(kgf/in)で測定される。
【0052】
引張り強度保持
湿潤引張り保持は、等式(A)に従って計算される。
【数3】
【0053】
IPA引張り保持は、等式(B)に従って計算される。
【数4】
【発明を実施するための形態】
【0054】
本開示は、水性組成物を提供する。水性組成物は、多段ラテックスポリマー粒子を含む。多段ラテックスポリマー粒子は、(A)(i)2つのカルボン酸基を有するエチレン性不飽和酸モノマーおよび(ii)第1のビニルモノマーを含有する第1段階のポリマーと、(B)(i)エポキシ基を有するエチレン性不飽和モノマーおよび(ii)第2のビニルモノマーを含有する第2段階のポリマーと、を含む。
【0055】
「多段ラテックスポリマー粒子」(「MSLPP」)は、粒子が第1段階のポリマーおよび第2段階のポリマーを含み、第1段階のポリマーが第2段階のポリマーに結合しているラテックスポリマーである。MSLPPは2つ以上の重合段階で調製される。段階のうちの1つでは、乳化重合プロセスを実行して、第1段階のポリマー粒子を産生する。次の段階では、乳化重合プロセスが第1段階のポリマー粒子の存在下で実行され、第2段階のポリマーを形成する。1つ以上の追加の重合段階が、任意選択で実行される:(i)第1段階のポリマーの形成前、および/または(ii)第1段階のポリマーの形成と第2段階のポリマーの形成との間、および/または(iii)第2段階のポリマーの形成後、および/または(iv)それらの組み合わせ。
【0056】
実施形態では、第1段階のポリマーの形成と第2段階のポリマーの形成との間に、検出可能な重合が起こらない期間が存在する。第2段階のポリマーの形成において、第2段階のポリマーの半分以上(第2段階のポリマーの重量に基づいて、重量で)が、第1段階のポリマー粒子の表面上に形成され、第2段階のポリマーは、第1段階のポリマーに結合している。第2段階のポリマーは、第1段階のポリマー粒子をカプセル化するか、または実質的にカプセル化する。
【0057】
A.第1段階のポリマー
本多段ラテックスポリマー粒子は、(A)(i)2つのカルボン酸基を有するエチレン性不飽和酸モノマーと、(ii)第1のビニルモノマーと、を含有する第1段階のポリマーを含む。
【0058】
(i)2つのカルボン酸基を有するエチレン性不飽和酸モノマー
第1段階のポリマーは、2つのカルボン酸基を有するエチレン性不飽和酸モノマー(COOH-EUAM)を含む。
【0059】
「2つのカルボン酸基を有するエチレン性不飽和酸モノマー」(「COOH-EUAM」)は、以下の構造(1)を有する化合物であり、
【化2】
式中、R、R、R、およびRは各々独立して、水素、ハロゲン、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、およびそれらの組み合わせから選択されるが、ただし、R、R、R、およびRのうちの2つの置換基がカルボン酸基を含むことを条件とする。
【0060】
実施形態では、R、R、R、およびRのうちの2つの置換基、および2つの置換基のみが、構造(1)にカルボン酸基を含む。
【0061】
好適なCOOH-EUAMの非限定的な例は、イタコン酸(IA)である。イタコン酸は、以下の構造(1A)を有する。
【化3】
【0062】
COOH-EUAMは、アクリル酸等の単一のカルボン酸基を有するエチレン性不飽和酸モノマーを除外する。
【0063】
COOH-EUAMは、本明細書に開示される2つ以上の実施形態を含み得る。
【0064】
(ii)第1のビニルモノマー
第1段階のポリマーは、第1のビニルモノマーを含む。
【0065】
「ビニルモノマー」は、以下の構造(2)を有する化合物であり、
【化4】
式中、R、R、R、およびRは各々独立して、水素、ハロゲン、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、およびそれらの組み合わせから選択されるが、ただし、R、R、R、およびRのうちの1つ以下がカルボン酸基を含むことを条件とする。
【0066】
ビニルモノマーが1つ以下のカルボン酸基を含むのに対し、COOH-EUAMは2つのカルボン酸基を必要とするため、ビニルモノマーは、COOH-EUAMとは異なる。実施形態では、ビニルモノマーは、カルボン酸基を除外する。
【0067】
好適なビニルモノマーの非限定的な例には、スチレン(STY)、α-メチルスチレン、酢酸ビニル、ネオデカン酸ビニル、アクリロニトリル(AN)、メタクリル酸(MAA)、アクリル酸(AA)、メタクリルアミド、アクリルアミド、アクリル酸ブチル(BA)、アクリル酸エチル(EA)、メタクリル酸メチル(MMA)、アリルメタクリレート(ALMA)、ジビニルベンゼン(DVB)、メタクリル酸ヒドロキシエチル(HEMA)、アクリル酸2-エチルヘキシル(EHA)、フタル酸ジアリル、ジメタクリル酸1,4-ブチレングリコール、ジメタクリル酸1,2-エチレングリコール、ジアクリル酸1,6-ヘキサンジオール、およびそれらの組み合わせが含まれる。
【0068】
実施形態では、第1のビニルモノマーは、BA、EA、STY、HEMA、EHA、AA、MMA、MAA、AN、およびそれらの組み合わせから選択される。
【0069】
実施形態では、第1のビニルモノマーは、BA、EA、STY、HEMA、EHA、AA、およびそれらの組み合わせから選択される。
【0070】
実施形態では、第1のビニルモノマーは非イオン性である。
【0071】
第1のビニルモノマーは、本明細書に開示される2つ以上の実施形態を含み得る。
【0072】
実施形態では、第1段階のポリマーは、(i)COOH-EUAMと、(ii)BA、EA、STY、HEMA、EHA、AA、AN、MMA、MAA、およびそれらの組み合わせから選択される第1のビニルモノマーと、を含有するか、それらから本質的になるか、またはそれらからなる。
【0073】
実施形態では、第1段階のポリマーは、(i)COOH-EUAMと、(ii)BA、EA、STY、HEMA、EHA、AA、およびそれらの組み合わせから選択される第1のビニルモノマーと、を含有するか、それらから本質的になるか、またはそれらからなる。
【0074】
実施形態では、第1段階のポリマーは、第1段階のポリマーの乾燥重量に基づいて、1.0重量%、または1.5重量%、または2.0重量%、または2.5重量%~5.0重量%、または5.5重量%、または6.0重量%、または7.0重量%、または8.0重量%、または9.0重量%、または10.0重量%のCOOH-EUAMの重合単位を含有する。実施形態では、第1段階のポリマーは、第1段階のポリマーの乾燥重量に基づいて、1.0重量%~10.0重量%、または1.0重量%~5.0重量%のCOOH-EUAMの重合単位を含有する。
【0075】
実施形態では、第1段階のポリマーは、第1段階のポリマーの乾燥重量に基づいて、(i)1.0重量%、または1.5重量%、または2.0重量%、または2.5重量%~5.0重量%、または5.5重量%、または6.0重量%、または7.0重量%、または8.0重量%、または9.0重量%、または10.0重量%のCOOH-EUAMと、(ii)逆量の第1のビニルモノマー、または90重量%、91重量%、もしくは92重量%、もしくは93重量%、もしくは94重量%、もしくは95重量%~97.5重量%、もしくは98重量%、もしくは98.5重量%、99重量%の第1のビニルモノマーと、を含有する。
【0076】
実施形態では、第1段階のポリマーは、IA、BA、STY、およびAAを含有するか、それらから本質的になるか、またはそれらからなる。さらなる実施形態では、第1段階のポリマーは、第1段階のポリマーの乾燥重量に基づいて、(i)1.0重量%、または1.5重量%、または2.0重量%、または2.5重量%~3.0重量%、または3.5重量%、または4.0重量%、または5.0重量%のIAと、(ii)70重量%、または75重量%、または80重量%、または81重量%~82重量%、または85重量%、または90重量%のBAと、(iii)5重量%、または10重量%、または12重量%、または14重量%~15重量%、または18重量%、または20重量%のSTYと、(iv)0.5重量%、または1.0重量%、または1.5重量%、または2.0重量%~2.5重量%、または3.0重量%、または4.0重量%、または5.0重量%のAAと、を含む。
【0077】
実施形態では、第1段階のポリマーは、IA、BA、EA、およびHEMAを含有するか、それらから本質的になるか、またはそれらからなる。さらなる実施形態では、第1段階のポリマーは、第1段階のポリマーの乾燥重量に基づいて、(i)1.0重量%、2.0重量%、3.0重量%、または3.5重量%、または4.0重量%、または4.5重量%~5.0重量%、または5.5重量%、または6.0重量%、または6.5重量%、または7.0重量%のIAと、(ii)45重量%、または50重量%、または55重量%、または60重量%、または64重量%~65重量%、または70重量%、または75重量%、または80重量%のBAと、(iii)15重量%、または20重量%、または25重量%、または30重量%~35重量%、または40重量%、または45重量%のEAと、(iv)0.1重量%、または0.2重量%、または0.3重量%、または0.4重量%、または0.5重量%~0.6重量%、または0.7重量%、または0.8重量%、または0.9重量%、または1.0重量%、または1.5重量%、または2.0重量%、または5.0重量%のHEMAと、を含む。
【0078】
実施形態では、第1段階のポリマーは、IA、EA、およびEHAを含有するか、それらから本質的になるか、またはそれらからなる。さらなる実施形態では、第1段階のポリマーは、第1段階のポリマーの乾燥重量に基づいて、(i)1.0重量%、2.0重量%、3.0重量%、または3.5重量%、または4.0重量%、または4.5重量%~5.0重量%、または5.5重量%、または6.0重量%、または6.5重量%、または7.0のIAと、(ii)50重量%、または55重量%、または60重量%、または65重量%、または70重量%、または75重量%~80重量%、または85重量%、または90重量%のEAと、(iii)9重量%、または10重量%、または15重量%、または17重量%、または20重量%~22重量%、または25重量%、または30重量%、または35重量%、または40重量%、または45重量%、または49重量%のEHAと、を含む。
【0079】
成分(i)~(iv)の凝集体は、第1段階のポリマーの100重量%の量に達することが理解される。
【0080】
実施形態では、第1段階のポリマーは、エポキシ基を有するエチレン性不飽和モノマー(エポキシ-EUM)を欠いているか、または実質的に欠いている。
【0081】
第1段階のポリマーは、本明細書に開示される2つ以上の実施形態を含み得る。
【0082】
B.第2段階のポリマー
本多段ラテックスポリマー粒子は、(B)(i)エポキシ基を有するエチレン性不飽和モノマーと、(ii)第2のビニルモノマーと、(iii)任意選択で、添加剤と、を含有する第2段階のポリマー含む。
【0083】
(i)エポキシ基を有するエチレン性不飽和モノマー
第2段階のポリマーは、エポキシ基を有するエチレン性不飽和モノマー(エポキシ-EUM)を含む。
【0084】
「エポキシ基を有するエチレン性不飽和モノマー」(「エポキシ-EUM」)は、以下の構造(3)を有する化合物であり、
【化5】
式中、R、R10、R11、およびR12は各々独立して、水素、ハロゲン、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、およびそれらの組み合わせから選択されるが、ただし、R、R10、R11、およびR12のうちの少なくとも1つの置換基がエポキシ基を含むことを条件とする。
【0085】
実施形態では、R、R10、R11、およびR12の1~2、または3つの置換基は、構造(3)にエポキシ基を含む。別の実施形態では、R、R10、R11、およびR12のうちの1つおよび1つの置換基のみが、構造(3)にエポキシ基を含む。
【0086】
好適なエポキシ-EUMの非限定的な例は、メタクリル酸グリシジル(GMA)である。GMAは、以下の構造(3A)を有する。
【化6】
【0087】
エポキシ-EUMは、本明細書に開示される2つ以上の実施形態を含み得る。
【0088】
(ii)第2のビニルモノマー
第2段階のポリマーは、第2のビニルモノマーを含む。
【0089】
第2のビニルモノマーは、本明細書に開示される任意のビニルモノマーであり得る。
【0090】
第2のビニルモノマーは、第1段階のポリマー中の第1のビニルモノマーと同じであっても、異なっていてもよい。実施形態では、第2段階のポリマーの第2のビニルモノマーは、第1段階のポリマーの第1のビニルモノマーと同じである。第2段階のポリマーの第2のビニルモノマーが第1段階のポリマーの第1のビニルモノマーと同じである場合、第2のビニルモノマーおよび第1のビニルモノマーは、同一のビニルモノマー、またはビニルモノマーの同一のブレンドを同一の重量比で含む。別の実施形態では、第2段階のポリマーの第2のビニルモノマーは、第1段階のポリマーの第1のビニルモノマーとは異なる。
【0091】
第2のビニルモノマーは、本明細書に開示される2つ以上の実施形態を含み得る。
【0092】
(iii)任意選択の添加剤
実施形態では、第2相ポリマーは、任意選択の添加剤を含む。好適な添加剤の非限定的な例には、連鎖移動剤、イオン性モノマー、およびそれらの組み合わせが含まれる。
【0093】
「連鎖移動剤」(「CTA」)は、重合プロセスにおける分子量を制御するために使用される。連鎖移動は、ポリマー鎖の成長の停止に関連し、したがって、ポリマー材料の最終的な分子量を制限する。連鎖移動剤は、典型的には、成長中のポリマー鎖と反応し、鎖の重合反応を停止させる水素原子ドナーである。これらの薬剤は、飽和炭化水素または不飽和炭化水素からアルデヒド、ケトン、またはアルコールまで、多くの異なる種類のものであり得る。選択された連鎖移動剤の濃度を制御することによって、ポリマー鎖の長さ、したがって分子量を制御し得る。「連鎖移動剤システム」または「CTAシステム」は、単一のCTAまたはCTAの混合物を含む。CTAシステムは、ラジカルを含有する成長中のポリマー分子に水素原子を移動させることができる成分を含み、これによって、ラジカルがCTA分子に移動され、次にそれが新しいポリマー鎖の開始を起こし得る。
【0094】
好適なCTAの非限定的な例は、メルカプトプロピオン酸メチル(MMP)である。
【0095】
実施形態では、第2相ポリマーは、残留量のCTA(例えば、MMP)を含む。別の実施形態では、第2相ポリマーは、第2相ポリマーの乾燥重量に基づいて、0重量%超、または0.01重量%、または0.05重量%、または0.1重量%、または0.2重量%、または0.3重量%、または0.4重量%、または0.5重量%~0.6重量%、または0.7重量%、または0.8重量%、または0.9重量%、または1.0重量%、または5.0重量%のCTAを含有する。別の実施形態では、第2相ポリマーは、第2相ポリマーの乾燥重量に基づいて、0.01重量%~5.0重量%、または0.1重量%~1.0重量%、または0.2重量%~0.8重量%のCTAを含有する。
【0096】
実施形態では、第2相ポリマーは、イオン性モノマーを含む。好適なイオン性モノマーの非限定的な例は、スチレンスルホン酸ナトリウム(SSS)である。一切の特定の理論に拘束されることを望まないが、イオン性モノマーは、改善された安定性を有する水性組成物を提供すると考えられている。
【0097】
実施形態では、第2相ポリマーは、第2相ポリマーの乾燥重量に基づいて、0重量%超、または0.01重量%、または0.05重量%、または0.1重量%、または0.2重量%、または0.3重量%、または0.4重量%、または0.5重量%~0.6重量%、または0.7重量%、または0.8重量%、または0.9重量%、または1.0重量%、または5.0重量%のSSSを含有する。別の実施形態では、第2相ポリマーは、第2相ポリマーの乾燥重量に基づいて、0.01重量%~5.0重量%、または0.1重量%~1.0重量%、または0.2重量%~0.8重量%のSSSを含有する。
【0098】
任意選択の添加剤は、本明細書に開示される2つ以上の実施形態を含み得る。
【0099】
実施形態では、第2相ポリマーは、10,000g/mol~500,000g/mol、または10,000g/mol~400,000g/molの重量平均分子量(Mw)を有する。実施形態では、第2相ポリマーは、10,000g/mol、または12,000g/mol、または15,000g/mol、または17,000g/mol、または20,000g/mol~100,000g/mol、または150,000g/mol、または200,000g/mol、または250,000g/mol、または300,000g/mol、または350,000g/mol、または400,000g/mol、または500,000g/molのMwを有する。さらなる実施形態では、10,000g/mol~300,000g/mol、または15,000g/mol~250,000g/mol、または20,000g/mol~200,000g/molのMwとしての第2相ポリマー。
【0100】
実施形態では、第2段階のポリマーは、(i)エポキシ-EUM、ならびに(ii)BA、EA、STY、HEMA、EHA、AA、AN、MAA、MMA、およびそれらの組み合わせから選択される第2のビニルモノマーから誘導される重合単位を含有するか、それから本質的になるか、またはそれからなる。
【0101】
実施形態では、第2段階のポリマーは、(i)エポキシ-EUM、ならびに(ii)BA、EA、STY、HEMA、EHA、AA、およびそれらの組み合わせから選択される第2のビニルモノマーから誘導される重合単位を含有するか、それから本質的になるか、またはそれからなる。
【0102】
実施形態では、第2段階のポリマーは、第2段階のポリマーの乾燥重量に基づいて、25重量%、または30重量%、または35重量%、または40重量%、または45重量%~50重量%、または55重量%、または60重量%、または65重量%、または70重量%、または75重量%のエポキシ-EUMの重合単位を含有する。別の実施形態では、第2段階のポリマーは、第2段階のポリマーの乾燥重量に基づいて、25重量%~75重量%、または40重量%~60重量%のエポキシ-EUMの重合単位を含有する。
【0103】
実施形態では、第2段階のポリマーは、第2段階のポリマーの乾燥重量に基づいて、(i)25重量%、または30重量%、または35重量%、または40重量%、または45重量%~50重量%、または55重量%、または60重量%、または65重量%、または70重量%、または75重量%のエポキシ-EUMと、(ii)逆量の第2のビニルモノマー、または25重量%、もしくは30重量%、もしくは35重量%、もしくは40重量%、もしくは45重量%~50重量%、もしくは55重量%、もしくは60重量%、もしくは65重量%、もしくは70重量%、もしくは75重量%の第2のビニルモノマーと、を含有する。
【0104】
実施形態では、第2段階のポリマーは、第2段階のポリマーの乾燥重量に基づいて、(i)25重量%、または30重量%、または35重量%、または40重量%、または45重量%~50重量%、または55重量%、または60重量%、または65重量%、または70重量%、または75重量%のエポキシ-EUMと、(ii)25重量%、または30重量%、または35重量%、または40重量%、または45重量%~50重量%、または55重量%、または60重量%、または65重量%、または70重量%、または75重量%の第2のビニルモノマーと、(iii)0重量%超、または0.01重量%、または0.05重量%、または0.1重量%、または0.2重量%、または0.3重量%、または0.4重量%、または0.5重量%~0.6重量%、または0.7重量%、または0.8重量%、または0.9重量%、または1.0重量%、または5.0重量%の添加剤、例えば、MMPおよび/またはSSSと、を含有する。
【0105】
実施形態では、第2段階のポリマーは、GMA、BA、およびAAを含有するか、それらから本質的になるか、またはそれらからなる。さらなる実施形態では、第2段階のポリマーは、第2段階のポリマーの乾燥重量に基づいて、(i)35重量%、または40重量%、または45重量%~50重量%、または55重量%、または60重量%のGMAと、(ii)30重量%、または35重量%、または40重量%~45重量%、または50重量%、または55重量%のBAと、(iii)1重量%、または2重量%、または3重量%、または4重量%、または5重量%~6重量%、または7重量%、または8重量%、または9重量%、または10重量%のAAと、を含む。第2相ポリマーは、10,000g/mol、または12,000g/mol、または15,000g/mol、または17,000g/mol、または20,000g/mol~100,000g/mol、または150,000g/mol、または200,000g/mol、または250,000g/mol、または300,000g/mol、または400,000g/molのMwを有する。
【0106】
実施形態では、第2段階のポリマーは、GMA、BA、AA、およびMMPを含有するか、それらから本質的になるか、またはそれらからなる。さらなる実施形態では、第2段階のポリマーは、第2段階のポリマーの乾燥重量に基づいて、(i)30重量%、または35重量%、または40重量%、または45重量%~50重量%、または55重量%、または60重量%のGMAと、(ii)30重量%、または35重量%、または40重量%~45重量%、または50重量%、または55重量%のBAと、(iii)1重量%、または2重量%、または3重量%、または4重量%、または5重量%~6重量%、または7重量%、または8重量%、または9重量%、または10重量%のAAと、(iv)0重量%超、または0.01重量%、または0.05重量%、または0.1重量%、または0.2重量%、または0.3重量%、または0.4重量%、または0.5重量%~0.6重量%、または0.7重量%、または0.8重量%、または0.9重量%、または1.0重量%、または5.0重量%のMMPと、を含む。第2相ポリマーは、10,000g/mol、または12,000g/mol、または15,000g/mol、または17,000g/mol、または20,000g/mol~25,000g/mol、または30,000g/mol、または35,000g/mol、または40,000g/molのMwを有する。
【0107】
実施形態では、第2段階のポリマーは、GMA、STY、およびSSSを含有するか、それらから本質的になるか、またはそれらからなる。さらなる実施形態では、第2段階のポリマーは、第2段階のポリマーの乾燥重量に基づいて(i)30重量%、または35重量%、または40重量%、または45重量%~50重量%、または55重量%、または60重量%のGMAと、(ii)30重量%、または35重量%、または40重量%、または45重量%~50重量%、または55重量%、または60重量%のSTYと、(iii)0重量%超、または0.01重量%、または0.05重量%、または0.1重量%、または0.2重量%、または0.3重量%、または0.4重量%、または0.5重量%~0.6重量%、または0.7重量%、または0.8重量%、または0.9重量%、または1.0重量%、または5.0重量%のSSSと、を含む。第2相ポリマーは、10,000g/mol、または12,000g/mol、または15,000g/mol、または17,000g/mol、または20,000g/mol~100,000g/mol、または150,000g/mol、または200,000g/mol、または250,000g/mol、または300,000g/mol、または350,000g/mol、または400,000g/molのMwを有する。
【0108】
実施形態では、第2段階のポリマーは、GMA、EHA、およびSSSを含有するか、それらから本質的になるか、またはそれらからなる。さらなる実施形態では、第2段階のポリマーは、第2段階のポリマーの乾燥重量に基づいて、(i)30重量%、または35重量%、または40重量%、または45重量%~50重量%、または55重量%、または60重量%のGMAと、(ii)30重量%、または35重量%、または40重量%、または45重量%~50重量%、または55重量%、または60重量%のEHAと、(iii)0重量%超、または0.01重量%、または0.05重量%、または0.1重量%、または0.2重量%、または0.3重量%、または0.4重量%、または0.5重量%~0.6重量%、または0.7重量%、または0.8重量%、または0.9重量%、または1.0重量%、または5.0重量%のSSSと、を含む。第2相ポリマーは、10,000g/mol、または12,000g/mol、または15,000g/mol、または17,000g/mol、または20,000g/mol~100,000g/mol、または150,000g/mol、または200,000g/mol、または250,000g/mol、または300,000g/mol、または350,000g/mol、または400,000g/molのMwを有する。
【0109】
成分(i)~(iv)の凝集体は、第2段階のポリマーの100重量%の量に達することが理解される。
【0110】
実施形態では、第2段階のポリマーは、COOH-EUAMを欠いているか、または実質的に欠いている。
【0111】
第2段階のポリマーは、本明細書に開示される2つ以上の実施形態を含み得る。
【0112】
第1段階のポリマーは、第2段階のポリマーに結合している。実施形態では、第1段階のポリマーは、第1段階のポリマー中の少なくとも1つのモノマーと第2段階のポリマー中の少なくとも1つのモノマーとの間の架橋反応によって第2段階のポリマーに結合している。
【0113】
実施形態では、MSLPPは、MSLPPの総乾燥重量に基づいて、50重量%、または55重量%、または60重量%、または65重量%、または70重量%、または75重量%、または80重量%、または85重量%、または90重量%~95重量%、または99重量%の第1段階のポリマーを含む。実施形態では、MSLPPは、MSLPPの総乾燥重量に基づいて、80重量%~99重量%、または85重量%~95重量%、または90重量%~95重量%の第1段階のポリマーを含む。
【0114】
実施形態では、MSLPPは、MSLPPの総乾燥重量に基づいて、1重量%、または2重量%、または5重量%~10重量%、または15重量%、または20重量%、または25重量%、または30重量%、または35重量%、または40重量%、または45重量%、または50重量%の第2段階のポリマーを含む。別の実施形態では、MSLPPは、MSLPPの総乾燥重量に基づいて、1重量%~20重量%、または1重量%~15重量%、または5重量%~10重量%の第2段階のポリマーを含む。
【0115】
実施形態では、MSLPP中の第1段階のポリマー対第2段階のポリマーの重量比は、1:1、または4:1、または5:1、または9:1~19:1、または20:1、または50:1、または75:1、または99:1である。別の実施形態では、MSLPP中の第1段階のポリマー対第2段階のポリマーの重量比は、1:1~99:1、または4:1~99:1、または9:1~19:1である。
【0116】
実施形態では、MSLPPは、MSLPPの総分子量に基づいて、0.50%、または0.75%~1.5%、または2.0%、または3.0%、または4.0%、または5.0%のエポキシ含有量を有する。さらなる実施形態において、MSLPPは、MSLPPの総分子量に基づいて、0.50%~5.0%、または0.50%~2.0%、または0.75%~1.5%のエポキシ含有量を有する。
【0117】
実施形態では、MSLPPは、0.03μm、または0.05μm、または0.1μm、または0.5μm、または1.0μm~5μm、または10μm、または15μm、または20μmのD50粒子サイズを有する。
【0118】
実施形態では、MSLPPは、ホルムアルデヒド生成モノマーを欠いているか、または実質的に欠いている。「ホルムアルデヒド生成モノマー」は、重合および/または架橋反応中にホルムアルデヒドを産生する化合物である。ホルムアルデヒド生成モノマーの非限定的な例は、メチロールアクリルアミド(MOA)モノマーである。
【0119】
(A)第1段階のポリマーおよび(B)第2段階のポリマーを有する本MSLPPは、単一の重合ステップで調製されたポリマー等の単相ポリマーを除外する。代わりに、本MSLPPは、一緒に結合された異なるモノマーを有する2つの異なるポリマー((A)COOH-EUAMと第1のビニルモノマーとを含有する第1段階のポリマー、および(B)エポキシ-EUMと第2のビニルモノマーとを含有する第2段階のポリマー)を含むが、従来の単相ポリマーは、ポリマー鎖全体に同じモノマーが分布している単一のポリマーを含むため、本MSLPPは、従来の単相ポリマーとは構造的に異なる。
【0120】
MSLPPは、本明細書に開示される2つ以上の実施形態を含み得る。
【0121】
D.水性組成物
本水性組成物は、MSLPPを含む。MSLPPは、本明細書に開示される任意のMSLPPであり得る。
【0122】
実施形態では、水性組成物は、1つ以上の任意選択の組成添加剤を含有する。好適な組成添加剤の非限定的な例には、湿潤剤、レオロジー調整剤(The Dow Chemical Companyから入手可能な増粘剤である、ACRYSOL(商標)ASE-60)、ブロッキング防止剤、消泡剤、噴霧助剤、塩基(水酸化アンモニア水溶液等)、顔料、染料、充填剤(二酸化チタン(TiO)および炭酸カルシウム(CaCO)等)、ワックス、およびそれらの組み合わせが含まれる。実施形態では、水性組成物は、水性組成物の総重量に基づいて、0重量%超、または0.1重量%、または0.5重量%~1重量%、または5重量%、または10重量%、または20重量%、または30重量%、または40重量%、または50重量%の任意選択の組成添加剤を含有する。実施形態では、水性組成物は、水性組成物の総重量に基づいて、0重量%超~10重量%、または0.1重量%~10重量%の任意選択の組成添加剤を含有する。
【0123】
実施形態では、水性組成物は、水性組成物の総重量に基づいて、1重量%、または5重量%、または10重量%、または15重量%、または20重量%、または25重量%、または30重量%、または35重量%、または40重量%、または45重量%~50重量%、または55重量%、または60重量%、または70重量%、または80重量%の固形含有量を有する。別の実施形態では、水性組成物は、水性組成物の総重量に基づいて、30重量%~80重量%、または40重量%~50重量%の固形含有量を有する。
【0124】
実施形態では、水性組成物は、水性組成物の総重量に基づいて、1重量%、または5重量%、または10重量%、または15重量%、または20重量%、または25重量%、または30重量%、または35重量%、または40重量%、または45重量%~50重量%、または55重量%、または60重量%、または70重量%、または80重量%のMSLPPを含有する。別の実施形態では、水性組成物は、水性組成物の総重量に基づいて、30重量%~80重量%、または40重量%~50重量%のMSLPPを含有する。
【0125】
実施形態では、水性組成物は、安定している。安定性は、保管前後の粘度を測定することによって決定される。保管後の粘度対保管前の粘度の比が0.5:1~2:1の範囲にとどまる場合、水性組成物は、安定していると見なされる。粘度は、ブルックフィールドLV粘度計、スピンドル#2を用いて、60rpm、25℃で測定される。保管は、50℃で7日間実行される。
【0126】
実施形態では、本水性組成物は、ホルムアルデヒドを欠いているか、または実質的に欠いている。
【0127】
実施形態では、水性組成物は、外部架橋剤を欠いているか、または実質的に欠いている。「外部架橋剤」は、水性組成物中に遊離している架橋剤である。言い換えれば、外部架橋剤は、第1段階のポリマーまたは第2段階のポリマーのいずれのポリマー主鎖の一部でもない化合物である。外部架橋剤の非限定的な例には、トリエタノールアミン(TEA)、ポリイソシアネート、およびエポキシが含まれる。
【0128】
実施形態では、水性組成物は、
(A)MSLPPの総重量に基づいて、50重量%、または55重量%、または60重量%、または65重量%、または70重量%、または75重量%、または80重量%、または85重量%、または90重量%~95重量%、または99重量%の第1段階のポリマーであって、第1段階のポリマーが、(i)第1段階のポリマーの乾燥重量に基づいて、1.0重量%、または1.5重量%、または2.0重量%、または2.5重量%~5.0重量%、または5.5重量%、または6.0重量%、または7.0重量%、または8.0重量%、または9.0重量%、または10.0重量%%のCOOH-EUAMの重合単位と、(ii)第1段階のポリマーの乾燥重量に基づいて、90重量%、91重量%、または92重量%、または93重量%、または94重量%、または95重量%~97.5重量%、または98重量%、または98.5重量%、99重量%の第1のビニルモノマーの重合単位と、を含有する、第1段階のポリマーと、
(B)MSLPPの総重量に基づいて、1重量%、または2重量%、または5重量%~10重量%、または15重量%、または20重量%、または25重量%、または30重量%、または35重量%、または40重量%、または45重量%、または50重量%の第2段階のポリマーであって、第2段階のポリマーが、(i)第2段階のポリマーの乾燥重量に基づいて、25重量%、または30重量%、または35重量%、または40重量%、または45重量%~50重量%、または55重量%、または60重量%、または65重量%、または70重量%、または75重量%のエポキシ-EUMの重合単位と、(ii)第2段階のポリマーの乾燥重量に基づいて、25重量%、または30重量%、または35重量%、または40重量%、または45重量%~50重量%、または55重量%、または60重量%、または65重量%、または70重量%、または75重量%の第2のビニルモノマーの重合単位と、(iii)第2段階のポリマーの乾燥重量に基づいて、0重量%超、または0.01重量%、または0.05重量%、または0.1重量%、または0.2重量%、または0.3重量%、または0.4重量%、または0.5重量%~0.6重量%、または0.7重量%、または0.8重量%、または0.9重量%、または1.0重量%、または5.0重量%の添加剤と、を含有する、第2段階のポリマーと、を含有するか、それらから本質的になるか、またはそれらからなるMSLPPを含有するか、それから本質的になるか、またはそれからなり、
第2段階のポリマーは、10,000g/mol、または12,000g/mol、または15,000g/mol、または17,000g/mol、または20,000g/mol~100,000g/mol、または150,000g/mol、または200,000g/mol、または250,000g/mol、または300,000g/mol、または350,000g/mol、または400,000g/mol、または500,000g/molのMwを有し、
第1段階のポリマーは、第2段階のポリマーに結合しており、
MSLPPは、以下の特性のうちの1つ、一部、またはすべてを有する:(1)第1段階のポリマーが、エポキシ-EUMを欠いているか、もしくは実質的に欠いており、かつ/または(2)第2段階のポリマーが、COOH-EUAMを欠いているか、もしくは実質的に欠いており、かつ/または(3)MSLPP中の第1段階のポリマー対第2段階のポリマーの重量比が、1:1、もしくは4:1、もしくは5:1、もしくは9:1~19:1、もしくは20:1、もしくは50:1、もしくは75:1、もしくは99:1であり、かつ/または(4)MSLPPが、0.03μm、もしくは0.05μm、もしくは0.1μm、もしくは0.5μm、もしくは1.0μm~5μm、もしくは10μm、もしくは15μm、もしくは20μmのD50粒子サイズを有し、(5)かつ/またはMSLPPの総分子量に基づいて、0.50%、もしくは0.75%~1.5%、もしくは2.0%のエポキシ含有量を有し、
水性組成物は、水性組成物の総重量に基づいて、1重量%、または5重量%、または10重量%、または15重量%、または20重量%、または25重量%、または30重量%、または35重量%、または40重量%、または45重量%~50重量%、または55重量%、または60重量%、または70重量%、または80重量%のMSLPPを含有し、
水性組成物は、ホルムアルデヒドを欠いているか、または実質的に欠いており、
水性組成物は、外部架橋剤を欠いているか、または実質的に欠いている。
【0129】
前述のMSLPPを含む、本明細書に開示されるMSLPPの各々における成分の合計は、100重量%になることが理解される。
【0130】
前述の水性組成物を含む、本明細書に開示される水性組成物の各々における成分の合計は、100重量%になることが理解される。
【0131】
水性組成物は、本明細書に開示される2つ以上の実施形態を含み得る。
【0132】
E.物品
実施形態では、織物および上記の水性組成物を含む物品が調製され得る。織物は、水性組成物で含浸またはコーティングされている。
【0133】
実施形態では、不織布および上記の水性組成物を含む物品が調製され得る。不織布には水性組成物が含浸される。
【0134】
実施形態では、コーティングが含浸された不織布を含む物品が提供される。コーティングは、(A)(i)COOH-EUAMおよび(ii)第1のビニルモノマーを含有する第1段階のポリマーと、(B)(i)エポキシ-EUMおよび(ii)第2のビニルモノマーを含有する第2段階のポリマーと、を含むMSLPPを含む組成物を含む。
【0135】
物品には織物が含まれる。好適な織物の非限定的な例は、不織布である。
【0136】
実施形態では、物品には不織布が含まれる。不織布の非限定的な例は、ニット織物である。人工繊維の非限定的な例には、ポリエステル、ポリアミド、アクリル、ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、およびそれらの組み合わせが含まれる。好適な天然繊維の非限定的な例には、羊毛、セルロース、およびそれらの組み合わせが含まれる。セルロース繊維の非限定的な例には、綿、麻、およびそれらの組み合わせが含まれる。実施形態では、繊維は、人工繊維、セルロース繊維、およびそれらの組み合わせから選択される。
【0137】
実施形態では、不織布にコーティングを含浸させる。コーティングが「含浸された」不織布は、コーティングが不織布の厚さ全体にわたって繊維と接触するように、織物全体に、または実質的に織物全体に分散されたコーティングを含む。言い換えれば、コーティングは、不織布の2つの対向する表面の間に分配される。コーティングが含浸された不織布は、不織布の単一の表面に沿って延びるコーティング層を有する不織布とは構造的に異なる。
【0138】
実施形態では、コーティングは、不織布、またはさらに不織布の繊維に直接接触する。本明細書で使用される場合、「直接接触」という用語は、コーティングが不織布(またはさらに繊維)に直接隣接して配置され、コーティングが不織布(またはさらに繊維)に接触し、介在層、介在コーティング、および/または介在構造がコーティングと織物(またはさらに繊維)との間に存在しないコーティング構成である。
【0139】
別の実施形態では、コーティングは、不織布、またはさらに不織布の繊維に間接的に接触する。本明細書で使用される場合、「間接接触」という用語は、介在層、介在コーティング、および/または介在構造がコーティングと織物(またはさらに繊維)との間に存在するコーティング構成である。
【0140】
実施形態では、物品は、物品の総重量に基づいて、1重量%、または5重量%、または10重量%、または15重量%~17重量%、または20重量%、または25重量%のMSLPPを含有する。
【0141】
実施形態では、物品は、5.0kgf/in、または5.5kgf/in、または5.7kgf/in、または5.8kgf/in、または6.0kgf/in、または6.2kgf/in~6.8kgf/in、または7.0kgf/in、または8.0kgf/in、または10.0kgf/in、または15.0kgf/in、または20.0kgf/inの乾燥引張り強度を有する。
【0142】
実施形態では、物品は、2.6kgf/in、または2.7kgf/in、または2.8kgf/in、または2.9kgf/in、または3.0kgf/in~3.3kgf/in、または3.5kgf/in、または4.0kgf/in、または5.0kgf/in、または10.0kgf/in、または15.0kgf/inの湿潤引張り力を有する。
【0143】
実施形態では、物品は、44%、または45%~57%、または60%、または65%、または70%、または75%、または80%、または85%、または90%、または95%、または100%の湿潤引張り保持を有する。別の実施形態では、物品は、44%~100%、または44%~80%、または44%~60%の湿潤引張り保持を有する。44%~100%の湿潤引張り保持は、洗浄可能でなければならない衣類等、従来水に暴露される物品用途で、コーティングが不織布の繊維を互いに十分に結合することを示す。十分な湿潤引張り保持がないと、水に暴露された後、物品はほつれるか、またはバラバラになったりする。
【0144】
実施形態では、物品は、3.0kgf/in、または3.1kgf/in~3.6kgf/in、または4.0kgf/in、または4.5kgf/in、または5.0kgf/in、または5.5kgf/in、または6.0kgf/in、または10.0kgf/inのイソプロピルアルコール(IPA)引張り力を有する。
【0145】
実施形態では、物品は、40%、または45%、または50%~63%、または65%、または70%、または75%、または80%、または85%、または90%、または95%、または100%のIPAの引張り保持を有する。さらなる実施形態では、物品は、40%~100%、または45%~80%、または50%~80%、または50%~65%のIPA引張り保持を有する。40%~100%のIPA引張り保持を有する物品は、洗浄可能でなければならない衣類等、従来溶媒に暴露される物品用途で、コーティングが不織布の繊維を互いに十分に結合することを示す。十分なIPA引張り保持がないと、溶媒に暴露された後、物品はほつれるか、またはバラバラになったりする。
【0146】
実施形態では、物品は、(i)44%、または45%~57%、または60%、または65%、または70%、または75%、または80%、または85%、または90%、または95%、または100%の湿潤引張り保持および(ii)40%、または45%、または50%~63%、または65%、または70%、または75%、または80%、または85%、または90%、または95%、または100%のIPA引張り保持を有する。
【0147】
実施形態では、物品は、コーティングが含浸された不織布を含む。コーティングは、
(A)MSLPPの総重量に基づいて、50重量%、または55重量%、または60重量%、または65重量%、または70重量%、または75重量%、または80重量%、または85重量%、または90重量%~95重量%、または99重量%の第1段階のポリマーであって、第1段階のポリマーが、(i)第1段階のポリマーの乾燥重量に基づいて、1.0重量%、または1.5重量%、または2.0重量%、または2.5重量%~5.0重量%、または5.5重量%、または6.0重量%、または7.0重量%、または8.0重量%、または9.0重量%、または10.0重量%%のCOOH-EUAMの重合単位と、(ii)第1段階のポリマーの乾燥重量に基づいて、90重量%、91重量%、または92重量%、または93重量%、または94重量%、または95重量%~97.5重量%、または98重量%、または98.5重量%、99重量%の第1のビニルモノマーの重合単位と、を含有する、第1段階のポリマーと、
(B)MSLPPの総重量に基づいて、1重量%、または2重量%、または5重量%~10重量%、または15重量%、または20重量%、または25重量%、または30重量%、または35重量%、または40重量%、または45重量%、または50重量%の第2段階のポリマーであって、第2段階のポリマーが、(i)第2段階のポリマーの乾燥重量に基づいて、25重量%、または30重量%、または35重量%、または40重量%、または45重量%~50重量%、または55重量%、または60重量%、または65重量%、または70重量%、または75重量%のエポキシ-EUMの重合単位と、(ii)第2段階のポリマーの乾燥重量に基づいて、25重量%、または30重量%、または35重量%、または40重量%、または45重量%~50重量%、または55重量%、または60重量%、または65重量%、または70重量%、または75重量%の第2のビニルモノマーの重合単位と、(iii)第2段階のポリマーの乾燥重量に基づいて、0重量%超、または0.01重量%、または0.05重量%、または0.1重量%、または0.2重量%、または0.3重量%、または0.4重量%、または0.5重量%~0.6重量%、または0.7重量%、または0.8重量%、または0.9重量%、または1.0重量%、または5.0重量%の添加剤と、を含有する、第2段階のポリマーと、を含有するか、それらから本質的になるか、またはそれらからなるMSLPPを含む組成物を含み、
第2段階のポリマーは、10,000g/mol、または12,000g/mol、または15,000g/mol、または17,000g/mol、または20,000g/mol~100,000g/mol、または150,000g/mol、または200,000g/mol、または250,000g/mol、または300,000g/mol、または350,000g/mol、または400,000g/mol、または500,000g/molのMwを有し、
第1段階のポリマーは、第2段階のポリマーに結合しており、
MSLPPは、以下の特性のうちの1つ、一部、またはすべてを有する:(1)第1段階のポリマーが、エポキシ-EUMを欠いているか、もしくは実質的に欠いており、かつ/または(2)第2段階のポリマーが、COOH-EUAMを欠いているか、もしくは実質的に欠いており、かつ/または(3)MSLPP中の第1段階のポリマー対第2段階のポリマーの重量比が、1:1、もしくは4:1、もしくは5:1、もしくは9:1~19:1、もしくは20:1、もしくは50:1、もしくは75:1、もしくは99:1であり、かつ/または(4)MSLPPが、0.03μm、もしくは0.05μm、もしくは0.1μm、もしくは0.5μm、もしくは1.0μm~5μm、もしくは10μm、もしくは15μm、もしくは20μmのD50粒子サイズを有し、かつ/または(5)MSLPPの総分子量に基づいて、0.50%、もしくは0.75%~1.5%、もしくは2.0%のエポキシ含有量を有し、
本組成物は、水性組成物の総重量に基づいて、1重量%、または5重量%、または10重量%、または15重量%、または20重量%、または25重量%、または30重量%、または35重量%、または40重量%、または45重量%~50重量%、または55重量%、または60重量%、または70重量%、または80重量%のMSLPPを含有する水性組成物から形成され、
水性組成物は、ホルムアルデヒドを欠いているか、または実質的に欠いており、
水性組成物は、外部架橋剤を欠いているか、または実質的に欠いており、
物品は、以下の特性のうちの1つ、一部、またはすべてを有する:(1)5.0kgf/in、もしくは5.5kgf/in、もしくは5.7kgf/in、もしくは5.8kgf/in、もしくは6.0kgf/in、もしくは6.2kgf/in~6.8kgf/in、もしくは7.0kgf/in、もしくは8.0kgf/in、もしくは10.0kgf/in、もしくは15.0kgf/in、もしくは20.0kgf/の乾燥引張り強度、および/または(2)2.6kgf/in、もしくは2.7kgf/in、もしくは2.8kgf/in、もしくは2.9kgf/in、もしくは3.0kgf/in~3.3kgf/in、もしくは3.5kgf/in、もしくは4.0kgf/in、もしくは5.0kgf/in、もしくは10.0kgf/in、もしくは15.0kgf/inの湿潤引張り力、および/または(3)44%、もしくは45%~57%、もしくは60%、もしくは65%、もしくは70%、もしくは75%、もしくは80%、もしくは85%、もしくは90%、もしくは95%、もしくは100%の湿潤引張り保持、および/または(4)3.0kgf/in、もしくは3.1kgf/in~3.6kgf/in、もしくは4.0kgf/in、もしくは4.5kgf/in、もしくは5.0kgf/in、もしくは5.5kgf/in、もしくは6.0kgf/in、もしくは10.0kgf/inのIPA引張り力、および/または(5)40%、もしくは45%、もしくは50%~63%、もしくは65%、もしくは70%、もしくは75%、もしくは80%、もしくは85%、もしくは90%、もしくは95%、もしくは100%のIPA引張り保持。
【0148】
上記のような物品は、典型的には、不織布に水性組成物を接触および含浸させ、次に水を蒸発させることによって、移動する空気に暴露することによって、25℃を超える温度に暴露することによって、またはその組み合わせによって作製され得る。不織布を本水性組成物と接触させる非限定的な方法には、浸漬、ディップ、注入、およびそれらの組み合わせが含まれる。特定の理論にとらわれず、水の蒸発中または蒸発後に、MSLPP上の潜在的な架橋基が互いに化学反応を起こし、MSLPP間に共有結合を形成すると考えられている。潜在的な架橋基によって形成された結合は、第1段階のポリマーを第2段階のポリマーに接続し、異なるMSLPPに存在するポリマー鎖も接続する。
【0149】
実施形態では、水性組成物は、フラットマットの形態等の不織布と接触させられ、水性組成物との接触および含浸の前に、繊維が互いに結合されても、されなくてもよい。水は、水性組成物から蒸発するか、または実質的に蒸発して、不織布と接触するコーティングを形成し、不織布は、コーティングで含浸される。
【0150】
実施形態では、コーティングは、架橋される。実施形態では、物品は、100℃、または125℃、または150℃~175℃、または200℃、または250℃の温度に1分(分)、または2分、または3分~5分、または10分、または15分、または20分、または30分、または60分の間曝露することによって架橋される。
【0151】
好適な物品の非限定的な例には、衣類、タオル、寝具、毛布、看板、ワイプ、フィルター、靴、バッグ、おもちゃ、旗、家具、カーテン、カーペット、カーペット裏地、壁装材、自動車用途(例えば、ヘッドライナー、フードライナー、フローリング、室内装飾)、およびそれらの組み合わせが含まれる。
【0152】
本物品は、本明細書に開示される2つ以上の実施形態を含み得る。
【0153】
ここで、限定ではなく例には、本開示のいくつかの実施形態を、次の実施例で詳細に説明する。
【実施例
【0154】
実施例において使用される材料は、下の表1に提供する。
【表1】
【0155】
実施例において使用されるモノマーは、下の表2に提供される。
【表2】
【0156】
A.実施例1(Ex1)-MSLPPを含有する水性組成物
実施例1の第1のモノマーエマルジョン(ME1)を、5.73gのRHODACAL(商標)DS-4を475gの脱イオン(DI)水に溶解することによって第1のフラスコで調製する。次に、乳化されたモノマー混合物を、第1のフラスコを攪拌しながら、以下の成分を第1のフラスコにゆっくりと添加することによって形成する:6.84gのIA、34.2gのAA、1107.4gのBA、および191.4gのSTY。
【0157】
実施例1の第2のモノマーエマルジョン(ME2)を、0.71gのRHODACAL(商標)DS-4を20gのDI水に溶解することによって第2のフラスコで調製する。次に、乳化されたモノマー混合物を、第2のフラスコを攪拌しながら、以下の成分を第2のフラスコにゆっくりと添加することによって形成する:3.4gのAA、30.8gのBA、および34.2gのGMA。
【0158】
第1の開始剤エマルジョン(IE1)を、15gのDI水と3.72gの過硫酸アンモニウム(APS)とを組み合わせることによって別のバイアルで調製する。IE1を5,000rpmのホモジナイザーで5分間乳化する。
【0159】
第2の開始剤エマルジョン(IE2)を、52gのDI水と2.48gのAPSとを組み合わせることによって別のバイアルで調製する。IE2を5,000rpmのホモジナイザーで5分間乳化する。
【0160】
370gのDI水中に溶解した50.08gのRHODACAL(商標)DS-4を含有する溶液を、熱電対、冷却コンデンサー、および撹拌機が装備された5口、3リットルの丸底フラスコ(ケトル)に配置する。溶液を窒素下で60℃に加熱する。次に、ケトルに82.8gのME1、IE1、および1.86gの亜硫酸水素ナトリウム(NaBS)で満たす。発熱ピークに達し、ケトルの温度が60℃になった後、残りのME1、IE2、および48gのDI水に溶解した1.24gのNaBSの溶液を、59~61℃の温度を維持しながら120分の間にわたってケトルに供給する。次に、第1のフラスコおよびケトルにつながる供給パイプを90gのDI水ですすぎ、すすぎ液をケトルに添加する。ケトルを60℃で15分の間保持する。第1段階のポリマーが形成される。
【0161】
次に、ケトルに、ME2、続いて(i)10gのDI水中に1.05gのtert-ブチルヒドロペルオキシド(t-BHP)を含有する溶液、および(ii)10gのDI水中に0.9gのFF6を含有する溶液を満たす。ケトルを60℃の温度で15分間保持し、その時間後、(i)40gのDI水中に3.98gのt-BHPを含有する溶液、および(ii)40gのDI水中に3.38gのFF6を含有する溶液を、60分の間にわたって(ケトルを60℃の温度に保持しながら)ケトルに徐々に添加する。第2段階のポリマーが形成される。
【0162】
ケトルを室温(23℃)に冷却する。次に、78gのDI水中の39gのアンモニアの溶液をケトルに添加して、水性組成物のpH値を6.5~7.5に調整する。
【0163】
B.実施例2(Ex2)-MSLPPを含有する水性組成物
実施例2を、0.34gのMMP(連鎖移動剤)がME2に含まれることを除いて、実施例1を調製するための上記の手順を使用して調製する。MMPは、第2段階のポリマーのMwを制御し、その結果、実施例2は、20,000g/molのMwを有する第2段階のポリマーを有する。
【0164】
C.比較サンプル3(CS3)
比較サンプル3を、ME2がケトルに満たされていないことを除いて、実施例1を調製するための上記の手順を使用して調製する。したがって、CS3は、単一段階のポリマー粒子を含む。CS3の水性組成物の固形含有量を、水性組成物の総重量に基づいて、DI水で45重量%に調整する。
【0165】
D.比較サンプル4(CS4)
比較サンプル4を、100gのCS3を1.6gのD.E.R.736(ポリプロピレングリコール変性エポキシ)とブレンドすることによって調製する。したがって、CS4は、単一段階のポリマー粒子を含む。CS4のエポキシ基含有モノマーは、D.E.R.736に由来し、第1段階のポリマーのポリマー主鎖に結合していない。
【0166】
E.比較サンプル5(CS5)
比較サンプル5は、IAのすべてがAAで置き換えられていることを除いて、実施例1を調製するための上記の手順を使用して調製する。
【0167】
F.実施例6(Ex6)-MSLPPを含有する水性組成物
実施例6は、第1のモノマーエマルジョン(ME1)および第2のモノマーエマルジョン(ME2)が異なるモノマーを含有し、ME2の量が5重量%から10重量%に増加することを除いて、実施例1を調製するための上記の手順を使用して調製する。
【0168】
具体的には、実施例6の第1のモノマーエマルジョン(ME1)を、5.73gのRHODACAL(商標)DS-4を475gの脱イオン(DI)水に溶解することによって第1のフラスコで調製する。次に、乳化されたモノマー混合物を、第1のフラスコを攪拌しながら、以下の成分を第1のフラスコにゆっくりと添加することによって形成する:817.5gのBA、380.2gのEA、63.4gのIA、および6.3gのHEMA。
【0169】
実施例6の第2のモノマーエマルジョン(ME2)を、0.71gのRHODACAL(商標)DS-4を20gのDI水に溶解することによって第2のフラスコで調製する。次に、乳化されたモノマー混合物を、第2のフラスコを攪拌しながら、以下の成分を第2のフラスコにゆっくりと添加することによって形成する:70.4gのSTY、69.7gのGMA、および0.7gのSSS(イオン性モノマー)。
【0170】
G.比較サンプル7(CS7)
比較サンプル7を、ME2がケトルに満たされていないことを除いて、実施例6を調製するための上記の手順を使用して調製する。したがって、CS7は、単一段階のポリマー粒子を含む。
【0171】
H.実施例8(Ex8)-MSLPPを含有する水性組成物
実施例8は、第1のモノマーエマルジョン(ME1)および第2のモノマーエマルジョン(ME2)が異なるモノマーを含有し、ME2の量が5重量%から10重量%に増加することを除いて、実施例1を調製するための上記の手順を使用して調製する。
【0172】
具体的には、実施例8の第1のモノマーエマルジョン(ME1)を、5.73gのRHODACAL(商標)DS-4を475gの脱イオン(DI)水に溶解することによって第1のフラスコで調製する。次に、乳化されたモノマー混合物を、第1のフラスコを攪拌しながら、以下の成分を第1のフラスコにゆっくりと添加することによって形成する:950.6gのEA、253.5gのEHA、および63.4gのIA。
【0173】
実施例8の第2のモノマーエマルジョン(ME2)を、0.71gのRHODACAL(商標)DS-4を20gのDI水に溶解することによって第2のフラスコで調製する。次に、乳化されたモノマー混合物を、第2のフラスコを攪拌しながら、以下の成分を第2のフラスコにゆっくりと添加することによって形成する:70.4gのEHA、69.7gのGMA、および0.7gのSSS(イオン性モノマー)。
【0174】
I.比較サンプル9(CS9)
比較サンプル9を、ME2がケトルに満たされていないことを除いて、実施例8を調製するための上記の手順を使用して調製する。したがって、CS9は、単一段階のポリマー粒子を含む。
【0175】
各水性組成物の実施例および比較サンプルは、それぞれの水性組成物の総重量に基づいて、45重量%の固形含有量を有する。
【0176】
実施例および比較サンプルの水性組成物の組成および特性を下の表3に提供する。
【0177】
J.物品
各実施例および比較サンプルを、水性組成物の総重量に基づいて、12重量%の固形含有量を有するように脱イオン(DI)水で希釈する。
【0178】
28cm×46cmであるWHATMAN(商標)グレード4セルロース濾紙(Whatman Ltd.から入手可能)である基材が提供される。
【0179】
基材を、(i)300mLの希釈サンプルに30秒の間浸漬し、(ii)希釈サンプルから除去し、(iii)Mathis(商標)のパダーによってパディングして、物品を形成する。ポリマー粒子を含有する水性組成物が基材の厚さ全体に実質的に均一に分布するように、基材に水性組成物を含浸させる。
【0180】
次に、物品を乾燥させ、150℃の温度のオーブンで3分間架橋して、架橋物品を形成する。ポリマー粒子の付加を、全架橋物品の15重量%~17重量%に制御する。
【0181】
実施例および比較サンプル物品の乾燥引張り強度、湿潤引張り強度、およびIPA引張り強度を測定し、下の表3に提供する。
【表3-1】
【表3-2】
【0182】
CS3、CS4、CS7、およびCS9は各々、2つのカルボン酸基を有するエチレン性不飽和酸モノマー(COOH-EUAM)(IA)と少なくとも1つのビニルモノマー(BA、STY、AA、EA、EHA、および/またはHEMA)とを含有する単一段階のポリマー粒子を有する水性組成物である。CS3、CS4、CS7、およびCS9が含浸された架橋物品は各々、(i)3.0kgf/in未満のIPA引張り強度および(ii)40%未満のIPA引張り保持を示す。40%未満のIPA引張り保持を有する物品は、溶媒に暴露された後、ほつれたり壊れたりするため、洗浄可能でなければならない衣類等、従来溶媒に暴露される物品用途には好適ではない。
【0183】
CS5は、(A)3つのビニルモノマー(BA、STY、およびAA)を含有するが、COOH-EUAMを欠いている第1段階のポリマー、および(B)エポキシ基を有するエチレン性不飽和モノマー(エポキシ-EUM)(GMA)と2つのビニルモノマー(BAおよびAA)とを含有する第2段階のポリマーを有する粒子を含有する水性組成物である。AAモノマーは、単一のカルボン酸基を有するエチレン性不飽和酸モノマーである。表3に示すように、CS5が含浸された架橋物品は、(i)3.0kgf/in未満(2.24kgf/in)のIPA引張り強度および(ii)40%未満(35.8%)のIPA引張り保持を示す。40%未満のIPA引張り保持を有する物品は、溶媒に暴露された後、ほつれたり壊れたりするため、洗浄可能でなければならない衣類等、従来溶媒に暴露される物品用途には好適ではない。
【0184】
出願人は、(A)COOH-EUAM(IA)と少なくとも1つのビニルモノマーとを含有する第1段階のポリマー、および(B)エポキシ-EUM(GMA)と少なくとも1つのビニルモノマー(実施例1、2、6、および8)とを含有する第2段階のポリマーを有するMSLPPを含有する水性組成物が含浸された架橋物品が、有利に、表3に示すように、(i)3.0kgf/inを超える好適なIPA引張り強度および(ii)40%を超える好適なIPA引張り保持を示すことを予期せず発見した。したがって、実施例1、2、6、または8から形成されたコーティングが含浸された架橋物品は、洗浄可能でなければならない衣類等、従来溶媒に暴露される物品用途に好適である。
【0185】
本開示は、本明細書に含まれる実施形態および例示に限定されず、実施形態の一部、および異なる実施形態の要素の組み合わせを含むこれらの実施形態の変更された形態を、以下の特許請求の範囲の範疇に該当するものとして含むことが、特に意図されている。
【国際調査報告】