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特表2022-510578液化ガスを分配する方法及びシステム
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  • 特表-液化ガスを分配する方法及びシステム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-27
(54)【発明の名称】液化ガスを分配する方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
   F17C 9/02 20060101AFI20220120BHJP
   F17C 13/00 20060101ALI20220120BHJP
【FI】
F17C9/02
F17C13/00 302D
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021527133
(86)(22)【出願日】2019-11-12
(85)【翻訳文提出日】2021-05-17
(86)【国際出願番号】 CN2019117319
(87)【国際公開番号】W WO2020098617
(87)【国際公開日】2020-05-22
(31)【優先権主張番号】62/768,150
(32)【優先日】2018-11-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/576,904
(32)【優先日】2019-09-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521211480
【氏名又は名称】ナショナル インスティテュート オブ クリーン-アンド-ロー-カーボン エナジー
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】特許業務法人 安富国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リー, ジミー シェンミン
(72)【発明者】
【氏名】ピックルズ, ジェフ
(72)【発明者】
【氏名】ユン, エドワード
(72)【発明者】
【氏名】アレン, ジェフ
(72)【発明者】
【氏名】ク, アンソニー
(72)【発明者】
【氏名】ホール, カレン
【テーマコード(参考)】
3E172
【Fターム(参考)】
3E172AA02
3E172AA03
3E172AA05
3E172AA06
3E172AB01
3E172AB04
3E172BA01
3E172BA06
3E172BD03
3E172BD07
3E172DA90
3E172EA13
3E172EA23
3E172EA35
3E172EB10
3E172GA11
3E172GA14
3E172GA24
3E172KA03
3E172KA23
(57)【要約】
【課題】液化ガスを分配する方法及びシステムの提供。
【解決手段】非石油燃料を液化燃料として貯蔵タンク(1)に供給し、貯蔵タンク(1)内に設置されたポンプ(3)を使用して前記液化燃料の圧力を目標圧力まで上昇させ、前記液化燃料の第1の部分は熱交換器(6)を迂回するか又は少なくとも部分的に迂回させ、前記液化燃料の第2の部分を、前記液化燃料の第2の部分を昇温させるように構成される前記熱交換器(6)に排出することを含む、液化燃料を分配するための方法。一つ又は複数の車両を調整して燃料を同時に注入することを可能にする制御システムを提供し、ここで、熱交換器(6)は外部冷却が存在しない場合に燃料自体のみを使用して最終的な分配温度を管理し、かつ、燃料補給ステーションはポンプ(3)と分配器(8)との間に設置された貯蔵サブシステムを含まない。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
非石油燃料を液化燃料として貯蔵タンクに供給するステップと、
前記貯蔵タンク内に設置されたポンプを使用して前記液化燃料の圧力を目標圧力まで上昇させるステップと、
前記液化燃料の第1の部分を前記ポンプから前記熱交換器を迂回させるか又は少なくとも部分的に迂回させるステップと、
前記液化燃料の第2の部分を、前記液化燃料の第2の部分を昇温させるように構成される前記熱交換器に排出するステップと、
外部冷却、又は前記ポンプと分配器との間に設置された貯蔵サブシステムが存在しない場合、前記液化燃料の第1の部分と前記液化燃料の第2の部分を混合することにより、前記液化燃料の温度を制御するステップと、を含む、
燃料を分配するための方法。
【請求項2】
前記貯蔵タンクは地下にある、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記熱交換器は前記液化燃料を加熱するように構成される気化器である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記液化燃料は液体水素又は液化天然ガスである、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記ポンプの入口は前記貯蔵タンク内の前記液化燃料に浸漬され、基本的に前記貯蔵タンクの底部に設置される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記液化燃料の第1の部分は前記熱交換器において部分的に気化された液化燃料を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記液化燃料の第1の部分はポンプからの前記液化燃料の総量の5%~95%の割合に設定される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
混合された第1の部分及び第2の部分を少なくとも一つの車両に分配することをさらに含み、貯蔵サブシステムを設置することを含まない、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
非石油液化燃料を貯蔵するための少なくとも一つの貯蔵タンクと、
前記貯蔵タンク内に設置され、圧力を目標圧力まで上昇させることにより前記液化燃料を提供するように構成される少なくとも一つのポンプと、
前記少なくとも一つのポンプからの前記液化燃料の温度を上昇させるように構成される熱交換器と、
前記液化燃料のコールドストリームを第1の部分として受け入れるように構成される前記熱交換器を迂回するバイパスラインと、
外部冷却、又は前記ポンプと前記分配器との間に設置される貯蔵サブシステムが存在しない場合、前記目標圧力及び目標温度で前記液化燃料を分配するための制御システムを含む分配器と、を含み、
前記液化燃料の第2の部分は前記熱交換器に供給され加熱される、
燃料を車両に分配するためのシステム。
【請求項10】
前記貯蔵タンクは地下に直接的に埋め込まれる、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記少なくとも一つのポンプはポンプソケット内に設置され、前記ポンプソケットは前記少なくとも一つの地下貯蔵タンク内に取り付けられる、請求項9に記載のシステム。
【請求項12】
前記少なくとも一つのポンプは油圧伝動システムを含む、請求項9に記載のシステム。
【請求項13】
前記熱交換器は気化器である、請求項9に記載のシステム。
【請求項14】
前記熱交換器は少なくとも一つの分岐点を含み、前記分岐点は前記熱交換器において少なくとも部分的に気化された液化燃料を提供するように構成される、請求項12に記載のシステム。
【請求項15】
前記第1の部分と前記第2の部分を前記目標温度に混合するための熱管理システムをさらに含む、請求項9に記載のシステム。
【請求項16】
少なくとも二つのポンプは前記液化燃料を少なくとも二つの車両に供給するように設置され、かつ前記システムは貯蔵サブシステムを含まない、請求項9に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
<関連出願の相互参照>
本願は、2018年11月16日に提出された『液化ガスを分配する方法及びシステム』というタイトルの米国仮出願番号62/768150、及び2019年9月20日に提出された『液化ガスを分配する方法及びシステム』というタイトルの米国出願番号16/576904の優先権を請求し、それらは引用により本願に組み込まれる。
【0002】
<技術分野>
本発明は、液化ガスを分配する方法及びシステムに関し、より具体的には、液化水素ガス又は液化天然ガスを分配する方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
現在のほとんどの水素燃料補給ステーションは、いずれも気体水素を使用して供給し、輸送が高価であり、かつメンテナンス及び資金コストのため、より大きな水素燃料補給ステーション又は水素燃料補給ステーションネットワークに拡大しにくい。例えば、一般的には、ガスの圧縮、特に水素ガスの圧縮は、エネルギー集中型である。現在の水素燃料補給ステーション(hydrogen refueling stations、HRS)に使用される圧縮機はサイズが制限され、かつ水素燃料補給ステーションのメンテナンスコストの1/3~40%を占める。また、圧縮により水素ガスの温度を上昇させるため、車両に注入する前に冷却する必要がある。貯蔵容器の高圧カスケードを使用しても、水素ガスを予備冷却してガソリン又はディーゼル注入に相当する注入速度を生成する必要がある。貯蔵容器のカスケードも大きな敷地面積と大量の資金投資を必要とする。液体水素を使用する少数の水素燃料補給ステーションについては、液体は輸送コストしか低減できない。液体水素がHRSに輸送されると、液体水素を気体供給と同様に処理することになり、それは気化が分配過程における第1のステップであるためである。
【0004】
例えば、特許文献1では、密度注入と呼ばれる燃料補給方法が開示されている。そのシステムは、気体圧縮機と、冷却装置と、高圧貯蔵容器と、制御装置とを備える。そのシステムは、現在最先端のシステムである。それは、当業界において水素燃料のインフラストラクチャを拡大して需要を満たすことに直面するチャレンジについてもまとめており、主に、ガス圧縮はエネルギー集約型であること、冷却により予冷することで複雑性及びコストを増加させること、カスケード貯蔵容器は敷地面積及び資金投資を増加させること、及びガスによる供給は物流において拡張することができないことが挙げられる。
【0005】
特許文献2では、貯蔵容器を注入する方法が開示されている。その方法は、まず液体水素をポンピングした後に高圧液体をガスに気化するか、又はまず液体水素を気化した後に加熱されたガスを圧縮することを可能にする。いずれの場合であっても、下流に一組の高圧貯蔵容器が設置され、それらの貯蔵容器が熱交換浴に浸漬される。熱交換浴は循環ポンプ及び冷却装置又は加熱装置で能動的に管理され、温度を維持するようにされている。しかしながら、膨大なカスケード貯蔵システムを浴槽に密封することは従来のカスケード貯蔵システムより高価であり、かつ従来のカスケード貯蔵システムよりも管理が困難になる。
【0006】
特許文献3では、貯蔵された液体水素を使用する移動補給燃料システム及び冷間蒸発ガスを使用して真空ジャケット管路を冷却する方法が開示されている。特許文献4は、蒸発ガスを燃料電池に供給することにより蒸発ガスを管理し、その燃料電池は電力を移動給油装置上の制御システム及び圧縮機に供給し、それを水素排出のない自給自足ユニットにする。特許文献5には、貯蔵タンクの蒸気空間からの蒸発ガス及び起動中の蒸発ガスを消費する圧縮機システムが開示されている。このような往復式圧縮機システムは、ポンプ還流を管理するために工夫された制御スキームを有する。実際には、このような圧縮機システムは熱漏れが多く、それにより数時間動作した後に氷結して凍結する。圧縮機システムが除氷したまま連続的に顧客へ供給するように冗長圧縮機を含む。
【0007】
しかしながら、従来の技術に引用された圧縮機システムはいずれも従来の燃料ステーションに必要な頻繁なオン/オフ動作サイクルを満たすような実現可能な解決手段を提供することができないか、又は熱漏れ及び蒸発を最小化する方法を提供することができない。
【0008】
特許文献6では、メイン貯蔵タンクと流体連通するスレーブタンクを用いて液体水素をポンピングする装置が開示されている。スレーブタンクの液面レベルは油圧ヘッドとスレーブタンクのポンピング及び熱漏れによる熱効果により決定される。スレーブタンクにはいくつかの容積式ポンプが使用され、全ての容積式ポンプはいずれもモータの回転運動をピストンの往復運動に変換するスワッシュプレートドライブに接続される。スレーブタンクが使用されるのは、ポンプの持続的な冷却を保持する必要があるためであり、システムの簡略化及びスレーブタンクの付加表面積による余計な熱漏れを犠牲とする。熱漏れを最小化するために、特許文献7では、ポンプシリンダ用の材料選択基準が開示され、そのポンプシリンダは堅固でかつ絶縁であることが好ましい。残念ながら、このような材料は現在知られていない。
【0009】
特許文献8では、いずれの圧縮機又はポンプも有さない場合に、気化に由来する体積膨張を圧力構築メカニズムとして用いて液体水素(LH2)タンクから水素を分配する方法が開示されている。LH2貯蔵タンクは、高圧下流燃料回路から隔離されている。LH2タンク上の圧力構築回路に小型ポンプを使用することにより、LH2を下流高圧燃料回路に供給することができる。これらの実施形態は、非常に高価な低温圧縮圧力容器に大きく依存する。LH2貯蔵タンクを十分に大きな圧力に加圧していないか、又は高圧回路を有意に排出していない場合、LH2を高圧燃料回路に供給するための実現可能な方法がない。いずれの場合も好ましくない。また、その設計は、短時間内に複数回の注入を必要とする操作方案を満たすことができない。
【0010】
特許文献9では、高圧ガスを伝送する可動ユニットが開示されており、そのうち、ガスはその液化状態で貯蔵されることにより容量を最大化する。後方に暖気圧縮機が接続されている気化器は、貯蔵された液体を高圧気体に変換し、それが顧客に使用される。液体ポンプについて言及しているが、具体的な実施形態がない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】米国特許第6619336号明細書(B2)
【特許文献2】米国特許出願公開第2012/0159970号明細書(A1)
【特許文献3】独国特許出願公開第102016009672号明細書(A1)
【特許文献4】米国特許第8069885号明細書(米国特許出願公開第2008/0216913号明細書(A1))
【特許文献5】米国特許第5243821号明細書
【特許文献6】米国特許第6481218号明細書
【特許文献7】独国特許出願公開第102007040087号明細書(A1)
【特許文献8】米国特許第9383063号明細書
【特許文献9】米国特許第5762119号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
そこで、本発明の一つの目的は、改良された、液化ガスなどの液化燃料のための分配方法を提供することであり、その方法は従来の水素燃料補給ステーションにおける液体ポンピング効率、熱漏れ、蒸発、頻繁なオン/オフ動作サイクルなどの問題点を解決することにより、大規模なインフラ建設に適し、かつシステムの観点から見ると、分配温度及び圧力目標を満たすことができる。本発明の別の目的は、より優れた安全性及び信頼性を有する燃料補給ステーションを設計することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の一実施形態において、液化燃料を分配する方法を提供する。その方法は、液化燃料を貯蔵タンクに供給すること、貯蔵タンク内に設置されたポンプを提供すること、及び分配器を提供すること、を含む。ここで、前記ポンプは、液化燃料の圧力を所望の目標まで増加させるように構成され、かつポンプの吐出端は燃料を加熱するための熱交換器と流体連通するようにされる。ここで、前記熱交換器は車両に注入するための燃料の最終温度を制御するように構成される。前記分配器は制御システムを含み、当該制御システムは一つ又は複数の車両を調整して同時に燃料を供給することが可能である。ここで、熱交換器は燃料自体のみを使用して最終的な分配温度を管理するようにされている。また、燃料ステーションの特徴は、さらに、ポンプと分配器との間に貯蔵サブシステムが設置されていないことである。
【0014】
本発明の第2の実施形態は、非石油燃料を分配する方法であって、非石油燃料を液化燃料として貯蔵タンクに供給するステップと、前記貯蔵タンク内に設置されたポンプを使用して前記液化燃料の圧力を目標圧力まで上昇させるステップと、前記液化燃料の第1の部分を前記ポンプから前記熱交換器を迂回させるか又は少なくとも部分的に迂回させるステップと、前記液化燃料の第2の部分を、前記液化燃料の第2の部分を昇温させるように構成される前記熱交換器に排出するステップと、外部冷却、又は前記ポンプと前記分配器との間に設置された貯蔵サブシステムが存在しない場合、前記液化燃料の第1の部分と前記液化燃料の第2の部分を混合することにより、車両に分配される前記液化燃料の温度を制御するステップと、を含む、非石油燃料を分配する方法を提供する。
【0015】
本発明の第3の実施形態は、液化ガスを分配するためのシステムであって、燃料庫がない場合に地下の泥土に埋設されるように構成され、貯蔵タンクの頂部の固定フランジにより通路、安全計器及び製品供給部及び取出部を有する液化ガス貯蔵タンクと、貯蔵タンク内に設置されるとともに、取付機構を介して貯蔵タンクの一部になり、液化ガスの圧力を所望の目標まで増加させるように構成されるポンプと、前記ポンプを作動させるとともに、熱量及び振動を前記貯蔵タンクから隔離するように構成される油圧駆動システムと、ポンプの吐出端と流体連通するとともに、燃料を昇温させるように構成される熱交換器と、熱交換器の上流から迂回したコールドストリームを用いて車両注入のために最終的な温度を制御するように構成される熱管理システムと、車両の燃料補給を起動するとともに、ノズルにより複数の車両を同時にかつ連続的にサービスするように構成される制御システムを有する分配器と、を含む、液化ガスを分配するためのシステムを提供する。
【0016】
図面は本発明のさらなる理解を提供するために用いられ、かつ明細書の一部を構成するものである。図面は以下の実施形態と共に本発明を説明するために用いられるが、本発明を限定するものではない。図面において以下の通りである。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明のいくつかの実施形態に係る燃料を分配する方法のフローチャートである。
図2】本発明のいくつかの実施形態に係る燃料を分配するシステムである。
【0018】
図面は必ずしも縮尺または比例して描かれているわけではなく、その構成要素をよりよく理解するために描かれており、範囲を限定することを意図するものではなく、例示的な説明を提供することを意図していることに留意されたい。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本明細書に使用された冠詞「一」及び「一つ」は、明細書及び請求項に記載の本発明の実施形態における任意の特徴に応用される場合、一つ又は複数を意味する。このような制限を明確に説明しない限り、「一」及び「一つ」の使用は意味を単一の特徴に制限することがない。単数又は複数の名詞又は名詞句の前の冠語「前記」は一つの特定の指定特徴又は複数の特定の指定特徴を示し、それが使用される文脈に基づいて単数又は複数の意味を有することができる。形容詞「任意」は任意の数の一つ、一部又は全部を意味する。
【0020】
第1の主体と第2の主体との間に位置する用語「及び/又は」は、(1)第1の主体のみ、(2)第2の主体のみ、(3)第1の主体及び第2の主体、という意味のいずれか一つを含む。三つ以上の主体からなるリストにおける最後の二つの主体の間に位置する用語「及び/又は」は、そのリストにおける主体の任意の特定の組み合わせを含むリストにおける少なくとも一つの主体を意味する。例えば、「A、B及び/又はC」は「A及び/又はB及び/又はC」と同じ意味を有し、(1)Aのみ、(2)Bのみ、(3)Cのみ、(4)A及びBであり、かつCがない、(5)A及びCであり、かつBがない、(6)B及びCであり、かつAがない、(7)A及びB及びCのようなA、B及びCの組み合わせを含む。
【0021】
特徴又は主体のリストの前の決まり文句「少なくとも一つ」は、主体リストにおける一つ又は複数の特徴又は主体を意味するが、主体のリストに具体的に列挙された各主体及び各主体のうちの少なくとも一つを必ずしも含むとは限らず、かつ、主体のリストにおける任意の主体の組み合わせを除外しない。例えば、「A、B又はCのうちの少なくとも一つ」(又は等価的に「A、B及びCのうちの少なくとも一つ」又は同等的に「A、B及び/又はCのうちの少なくとも一つ」)は「A及び/又はB及び/又はC」と同じ意味を有し、かつ、(1)Aのみ、(2)Bのみ、(3)Cのみ、(4)A及びBであり、かつCがない、(5)A及びCであり、かつBがない、(6)B及びCであり、かつAがない、(7)A及びB及びCのようなA、B及びCの組み合わせを含む。
【0022】
用語「複数」は「二つ又は二つ以上」を意味する。
【0023】
決まり文句「少なくとも一部」とは、「一部又は全部」を意味する。ストリームの少なくとも一部はその由来ストリームと同じ構成を有し、同じ各物質濃度を有してもよい。ストリームの少なくとも一部は、その由来ストリームとは異なる物質濃度を有していてもよい。ストリームの少なくとも一部は、その由来ストリームの特定の物質のみを含んでいてもよい。
【0024】
本明細書に使用されるように、明確に説明しない限り、「第1」、「第2」、「第3」などは複数のステップ及び/又は特徴を区別するために用いられ、総数、又は時間及び/又は空間上の相対位置を示すものではない。
【0025】
以下、本発明の実施の形態について説明する。本発明は様々な修正及び代替形態を行うことができるが、その具体的な実施形態は図面において例示的な方式で示され、本明細書において詳細に説明される。しかしながら、理解すべきことは、本明細書における具体的な実施形態に対する説明は本発明を開示された特定の形式に限定することを意図するものではなく、逆に、本発明は添付の特許請求の範囲により限定された本発明の範囲内の全ての修正、同等物及び代替物をカバーする。
【0026】
簡略化及び明確化の目的のために、公知の装置、回路及び方法の詳細な説明を省略し、不必要な詳細により本発明の説明が不明確になることを回避する。
【0027】
液体形式で水素を輸送することは、長距離及び業界関連の量で輸送するための唯一の経済的方法の一つであるため、産業用ガスの供給についてよく知っている人であれば、パイプライン以外の商業用途のほとんどの水素ガスが液体形式で供給され、製造現場から転送ステーションと呼ばれる中間地点に輸送されることが容易に理解される。商業用途と自用用途とを比較すると、前者は製造された水素を販売に用いることを意味し、後者は製造された水素をアンモニア又は肥料などの最終製品の中間体とすることを意味する。
【0028】
体積で計算されるほとんどの商業用途の水素はパイプラインにより精製工場のような大型顧客に供給されるものであるが、多くの小さな商業用途顧客はパイプラインに存在しない。これらの顧客に対して、液体水素は転送ステーションから気化され、チューブトレーラー上の高圧貯蔵容器に注入することにより、現地の顧客に渡すことができる。数量が合理的であれば、液体水素は製造現場から最終的な顧客に直接的に渡すこともできる。したがって、液体水素及び気体水素の最終的な顧客への供給コストは近似する。実際には、転送ステーションのステップを避けたため、直接液体を供給する方がより安価であるかもしれない。
【0029】
現在のほとんどの水素燃料補給ステーションでは、小規模な実証段階の応用に十分な気体圧縮機が使用されているが、それらは本質的に液体ポンピングよりもエネルギー消費が多い。例えば、液体水素などの非圧縮性液体に対して、ベルヌーイ式に基づいて、流速mで圧力をp1からp2まで増加させることに必要なパワーは以下のとおりである。
【0030】
【数1】
ここで、ρは液体密度(液体Hの場合、70.8kg/m)である。説明を容易にするために、気体水素などの理想気体の等温気体圧縮について、同じ流量に必要なパワーは以下のとおりである。
【0031】
【数2】
ここで、Rは汎用気体定数(8.314kJ/kmol/K)であり、Mは気体のモル質量(水素ガスの場合、M=2)である。断熱気体圧縮について、必要なエネルギーは以下のとおりである。
【0032】
【数3】
ここで、kは比熱比(水素ガスの場合、k=1.4)である。液体水素又は気体水素を環境圧力から高圧まで上昇させることに必要な熱力学的に理想的なエネルギーは以下の表1に示すとおりである。
【0033】
【表1】
【0034】
等温気体圧縮は気体圧力を上昇させる最も効果的な方法であるが、液体をポンピングする効率はその約10倍である。実際に、単段気体圧縮は一般的に断熱条件に従うが、段間冷却を有する多段圧縮は等温条件と断熱条件の間に行われる。機械及びプロセスの低効率を考慮すると、システム全体の圧縮効率は50%(単段)と70%(多段)との間にあり、したがって、気体圧縮に必要な実際のエネルギーは一般的に断熱に必要なエネルギーより多くなる。
【0035】
液体をポンピングする効率が気体圧縮より高いため、本発明はポンプを用いて液化燃料、例えば液体水素を送達する。本発明が想定するように、液体水素をHRSに供給した後、それを地下の貯蔵タンクに貯蔵する。関連技術(例えば、US5243821)において、LH2は吸入側に油圧ヘッドを有する必要がある外部ポンプ又は圧縮機により抽出されるため、LH2は地面以上の貯蔵タンクに貯蔵される。その要件により、LH2タンクをポンプ又は圧縮機より高い高さに配置する必要がある。このような外部配管及び制御付属物により、貯蔵タンクを地下土壌に直接的に埋設することができなくなる。別の方法としては、ワシントンDCのAir ProductsまたはドイツのミュンヘンのLinde in a HRSが行ったように、地下燃料庫を建造することである。しかしながら、このような地下燃料庫は密閉空間であるため、建造コストが高く、メンテナンスコストが高い。貯蔵タンクをそのまま地下に埋設することが望ましい。
【0036】
そこで、本発明の一つの目的は、改良された、液体水素などの液化ガスのための分配方法を提供することであり、その方法は液体ポンピング効率、熱漏れ、蒸発、頻繁なオン/オフ動作サイクルなどの問題点を解決することにより、大規模なインフラ建設に適し、かつシステムの観点から見ると、分配温度及び圧力目標を満たすことができる。本発明の別の目的は、より優れた安全性及び信頼性を有する燃料補給ステーションを設計することである。
【0037】
例えば、本発明の一実施形態において、車両への注入期間に、液体水素を所望の目標分配圧力と一致する圧力にポンピングする。例えば、35MPaの注入の場合、システムの圧力降下及び制御要件を考慮して、最大45MPaの圧力に達する。圧縮及びポンプ摩擦により入力された熱量により、分配器のポンプ吐出端の燃料は約40K及び45MPaとなる。この熱力学的状態で、燃料は超臨界流体(水素の臨界点が33.2K及び1.31MPa)となる。燃料は熱交換器において例えば空気又は蒸気又は電気ヒータにより環境条件に近づくまで加熱され、例えば、熱交換器は気化器である。当該加熱過程において、燃料の体積は約3倍膨張する。70MPaの注入の場合、ポンプの吐出条件は約50K及び90MPaであり、気化器による気体の膨張は初期液体体積の約2倍である。二つの例において、液化燃料をポンピングすることに必要なエネルギーは気体圧縮より少なく、一段階で完了し、追加の冷却装置を必要としない。従来の液体水素貯蔵タンクの条件から45MPa及び90MPaに達するため、液体水素はそれぞれ30%及び40%密度を増加させるだけでよいため、ポンピング分析の目的で、液体水素は事実上非圧縮性流体であり、その後に燃料ストリームを冷却するための温度を保持する。
【0038】
HRSがLH2を使用する従来の技術(例えば、US2012/0159970A1)において、ほとんどの気体圧縮機は入口温度が-10℃(263K)以上であることを要する(例えば、EP2175187A2を参照)ため、まずLH2を気化し、次に熱気体圧縮を行う。水素ガスの低分子量及び低粘度のため、水素ガスの熱気体圧縮効率が特に低い。約1MPaの従来のLH2貯蔵タンクの圧力を所望の分配圧力レベルに向上させるには、多段圧縮を必要とする。さらに段間冷却を必要とし、これは冷却水供給を必要とする。必要な圧縮機システム及びその補助装置は複雑で高価である。US5243821によれば、外部機器によりLH2を所望の目標圧力までポンピングするか又は圧縮する。いずれの場合においても、生成された高圧熱水素はカスケードチューブと呼ばれる一連の貯蔵容器に貯蔵される。水素ガスを車両の貯蔵容器に注入する前に、効率的かつ安全に注入するために、ノズルでガスを約-40℃(233K)に予備冷却するために冷却システムを必要とする。当業者にとって明らかなように、LH2の冷却潜在可能性(cooling potential)が利用されていない。逆に、熱気体圧縮及びカスケード貯蔵は、冷却水システム及び冷却システムを追加することにより冷却の要件を満たすが、燃料ステーションの設計がより一層複雑になる。
【0039】
図1は、車両に非石油燃料を分配する方法に係る本発明のいくつかの実施形態のフローチャートを示す。
【0040】
まず、その方法は、非石油燃料を受け入れることに必要な温度及び圧力を特定するために、燃料補給ステーションの分配器により燃料を補充する車両のタイプを、例えば無線周波数識別、無線、赤外線センサ、QRコード(登録商標)、スキャナ、I/Oモジュール等によって検出したり、車両の運転者によりキーボードに入力したりすることを含む。
【0041】
例えば、車両に入る所望の分配燃料温度(例えば、燃料温度設定値)は-50℃~30℃の範囲内にあり、好ましくは、-40℃~0℃の範囲内にあり、最も好ましくは、車両に入る所望の分配燃料温度は-40℃~-20℃の範囲内にあり、当然ながら、それは非石油燃料及び車両のタイプに依存する。所望の車両圧力は20MPa~100MPaの範囲内にあり、好ましくは35MPa~70MPaの範囲内にある。
【0042】
次に、本方法は、以下のステップ10~50(S10~S50)を含む。
【0043】
ステップ10(S10)、液化燃料を提供する。
【0044】
ステップ20(S20)、地下貯蔵タンクを提供する。
【0045】
ステップ30(S30)、貯蔵タンク内に設置されたポンプを提供する。ここで、ポンプは液化燃料の圧力を所望の目標まで増加させるように構成され、かつ、ポンプの吐出端は熱交換器と流体連通するようにされ、当該熱交換器は液化燃料を昇温させるために用いられる。
【0046】
ポンプが貯蔵タンク内に取り付けられ、液化燃料に浸漬されるため、例えば水中ポンプ(submergible pump)のように、ポンプインテークの入口が貯蔵タンク内の液化燃料に浸漬され、基本的に貯蔵タンクの底部に設置され、有効吸込みヘッド(NPSH、net positive suction head)は全ての液面レベルで保証されている。また、貯蔵タンクの潜在的な衝突及び穿刺故障が排除されるため、その配置は敷地面積を減少させ、安全性を向上させる。
【0047】
ステップ40(S40)、熱交換器を提供する。その熱交換器は、車両注入用の燃料の最終的な温度を制御するように構成される。例えば、熱交換器は、液化燃料を加熱するために、蒸気、気体、環境空気又は他の熱源を使用する気化器であってもよく、又は電気ヒータであってもよい。気化器という用語が使用されているが、液化燃料は気体に気化されてもよく、又は同一状態を保ちながら温度が上昇してもよいことが理解される。本発明のいくつかの実施形態において、熱交換器に使用される熱源は、熱交換器の上流から迂回した少なくとも一つの燃料ストリームから由来し、その少なくとも一つの燃料ストリームは既に燃料の最終的な分配温度以上に加熱されている。
【0048】
本発明のいくつかの実施形態において、コールドストリームを燃料の第1の部分として提供し、当該コールドストリームはバイパスライン及び制御弁により熱交換器の上流から又は熱交換器の中間点から又は熱交換器に沿って熱交換器を迂回し、熱交換器の出口燃料と混合する。バイパスストリームが熱交換器を迂回させるか又は少なくとも部分的に熱交換器を迂回させることにより、得られた燃料混合物を制御して分配のための所望のノズル温度目標を達成する。例えば、バイパスラインに分流された燃料の第1の部分は部分的に気化するか又は気化しない非石油燃料を有する混合物であってもよく、それによりバイパスストリームの温度を調整することに役立つ。バイパスストリームの全部が気化器の上流から由来するのであれば、バイパスストリームは気化せずかつ低い温度を有する。しかしながら、バイパスストリームの温度を上昇させるために、第1の部分は熱交換器において少なくとも部分的に気化された液化燃料を含み、例えば、熱交換器の中間点又は各点から由来してもよい。
【0049】
いくつかの実施形態では、熱交換器を流れた後、圧力が変化しないが、燃料の第2の部分の温度が上昇する。好ましくは、気化された燃料の第2の部分の温度は環境温度の10~20℃の範囲内にあり、例えば-20℃~20℃である。
【0050】
燃料が液体水素である場合、燃料の第1の部分の割合は5%~95%の範囲内にあり、例えば5%、15%、25%、35%、45%、55%、65%、75%、85%、95%であり、好ましくは、10%~70%の範囲内にあり、例えば10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%である。最も好ましくは、15%~40%の範囲内にあり、例えば15%、20%、25%、26%、27%、29%、30%、40%である。
【0051】
例えば、非石油燃料が液体水素である場合、混合燃料ストリームの温度は-60℃~20℃の範囲内にある。
【0052】
ステップ50(S50)、分配器を提供する。ここで、その分配器は制御システムを含み、当該制御システムは所望の分配温度、圧力及び流速で、例えば、-60℃~20℃及び20MPa~100MPaの範囲内で、一つ又は複数の車両を調整して同時に燃料を供給することが可能である。当該制御システムは、注入しようとする車両から入力を受信し、それに応じて当該システムを制御するコントローラを含むことができる。
【0053】
本発明のいくつかの実施形態において、燃料の第1の部分及び第2の部分を混合するための熱管理システムを提供する。例えば、熱管理システムは、ミキサーで混合されるべき燃料の第1の部分及び/又は第2の部分を制御し、混合燃料ストリームが形成されるように、バルブを制御するコントローラを含むことができる。温度センサ及び/又は圧力センサ及び/又は流量計は、分配器により所望の分配器の温度と圧力及び流量を制御することに用いることができる。熱管理システムは、燃料自体のみを使用して最終的な所望の分配温度を管理し、燃料ステーションの特徴はさらに、ポンプと分配器との間に貯蔵サブシステムが設置されていないことが理解される。
【0054】
目標圧力及び温度で車両への注入が目標密度に接近して完了しようとする場合、注入を完了する前に、バイパスライン内の全ての低温燃料が分配システムの所望値と等しいことを可能にする。注入が終了する時に適切な操作を行うことにより、ホースを減圧させ、ホースを車両から切断することにより、排気を最小化する。例えば、パイプライン内のいずれの残りの燃料も貯蔵システムに戻すか又は例えば窒素ガス、アルゴンガス等の適切な不活性ガスで洗浄する。
【0055】
本発明のいくつかの実施形態において、ポンプ流速は少なくとも2kg/minであり、好ましくは少なくとも3kg/minであり、最も好ましくは少なくとも4kg/minである。本発明のいくつかの実施形態において、ポンプ流速が少なくとも3kg/minである場合、燃料を順に注入される車両の数はHRSの利用可能な燃料貯蔵容量のみに制限される。
【0056】
本発明のいくつかの実施形態において、ポンプ流速が少なくとも2kg/minである場合、熱交換器は再熱式熱交換器であり、例えば、アルミニウムコア熱交換器である。
【0057】
以上のステップから理解されるように、気体圧縮機ではなく水中ポンプを用いて液化燃料をポンピングして分流することにより、表1のデータに基づいて、本発明の方法のエネルギー消費は気体圧縮システムより低い。
【0058】
また、追加の冷却システム及び/又はカスケード貯蔵タンクがないため、本発明のいくつかの実施形態により提供された方法は資金及び運営コストを低減し、空間を節約するとともに多段気体圧縮機システムの水冷却要求を無くすことができる。また、冷却システム及びカスケード貯蔵タンク等を省略するため、メンテナンスコストを低減し、本方法を利用して燃料を分配する総コストを低減する。
【0059】
本発明のいくつかの実施形態において、液化燃料は液体水素又は液化天然ガスである。
【0060】
本発明のいくつかの実施形態において、液化燃料が水素である場合、燃料の温度は貯蔵タンクと車両との間に分配されたある点で0℃を超える。
【0061】
本発明のいくつかの実施形態において、地下貯蔵タンクに燃料庫が存在しない。地下貯蔵タンクに燃料庫が存在しない場合、本発明のいくつかの実施形態において、燃料庫を必要としないため、地下貯蔵タンクは土壌/土砂/泥土に埋設され、これは資金コストをより一層低減する。
【0062】
本発明のいくつかの実施形態において、通路、安全計器、及び燃料供給部及び取出部は貯蔵タンクの頂部の固定フランジにより提供される。
【0063】
本発明のいくつかの実施形態において、ポンプ流速及び熱交換器能力は、延長された連続的な再注入を可能にする。
【0064】
図2は本発明のいくつかの実施形態に係る車両燃料補給に燃料を分配するためのシステムを示し、そのシステムは以下の内容を含むことができる。
【0065】
少なくとも一つの貯蔵タンク1は、液化ガスを貯蔵し、燃料庫が存在しない場合に地下の泥土2に埋設されるように構成され、ここで、貯蔵タンク1は貯蔵タンクの頂部に位置する固定フランジに通路、安全計器及び製品供給部及び取出部が設置されている。例えば、固定フランジは貯蔵タンク内の液化燃料を監視するための圧力センサ及び温度センサ、及び少なくとも一つの水中ポンプを収容するためのポンプソケットを含むことができる。当該水中ポンプは、ポンプソケットを通して配管された入口及び/又は出口を有する。
【0066】
水中ポンプ3は貯蔵タンク1内に設置され、取付機構を介して貯蔵タンクの一部に構成される。ここで、ポンプ3は液化燃料の圧力を所望の目標圧力に増加させるように構成される。取付機構は、ポンプをポンプソケットに取り付けるための構造、例えばポンプをポンプソケットに取り付けるためのボルト、押圧装置、底部弁などを有するポンプソケット4を含むことができる。
【0067】
水中ポンプ3が貯蔵タンク1内に取り付けられ、貯蔵タンク1が地下の泥土2内に埋設されるため、そのシステムは減少された敷地面積を有する。そして、貯蔵タンク1の潜在的な衝突及び穿刺故障を排除することにより強化された安全性を有する。また、水中ポンプ3の吸入端が基本的に液化ガスタンクの底部に位置し、ポンプが液体に浸漬されるとともに液化燃料と流体連通するため、全ての液面レベルで有効吸込みヘッドが保証され、システム内の圧力を維持することができる。
【0068】
本発明のいくつかの実施形態において、取付機構は、ポンプの挿入及び取り外しが可能な、貯蔵タンク内においてポンプに構造支持を提供するソケット4を含む。本発明のいくつかの実施形態において、ソケット4は貯蔵タンク1に溶接され、貯蔵タンク1への熱漏れを最小限に抑えるために、薄肉の導管で構成され、真空隔離されている。
【0069】
油圧駆動システム5は、ポンプ3を作動させ、熱量及び振動を貯蔵タンク1から隔離するように構成される。直接電力駆動の代わりに油圧駆動システム5を使用することにより、機械的振動を貯蔵タンク1から隔離することを可能にする。油圧駆動システム5は、さらに、高圧流体を有する油圧駆動ポンプを用いてポンプを駆動することにより、モータから発生した熱量を貯蔵タンク1から隔離することを可能にする。油圧駆動システムは、ポンプを液化ガス貯蔵タンク内に取り付ける柔軟性を提供し、過剰な熱漏れや振動を引き起こすことがなく、この両者は液化燃料の蒸発損失を減少させることに対して重要である。
【0070】
熱交換器6は、ポンプの吐出端と流体連通し、燃料を昇温させるように構成される。本発明のいくつかの実施形態において、液化燃料を昇温させるための熱交換器は環境空気を熱源として使用する。本発明のいくつかの他の実施形態において、熱交換器は伝熱流体を用いて液化燃料を昇温させる。本発明のいくつかの他の実施形態において、熱交換器は電気エネルギーを熱源として用いて液化燃料を昇温させる。
【0071】
熱交換器6は、バイパスラインを提供するために、例えばバイパスライン10及び/又は11のような複数の分岐点を備えることができる。当該複数の分岐点において、燃料の第1の部分は異なる気化量を有し、例えば-250℃~30℃の温度を有し、分配温度目標を満たすことに役立つ。
【0072】
熱管理システム7は、熱交換器6の上流から迂回したコールドストリーム10(又は熱交換器6の他の点に沿うストリーム11)を用いて車両注入用の最終的な温度を制御するように構成される。熱管理システム7は、ミキサー、タンク又は燃料のコールドストリームとウォームストリームを混合するための他の装置を含むことができる。熱管理システム7は、分配器8の温度及び/又は圧力及び/又は流速を監視することにより、燃料の第1の部分及び/又は第2の部分を制御するコントローラ12を含むことができる。
【0073】
制御システムを有する分配器8は、その制御システムがステップ10~50を調整することにより車両への燃料注入を起動し、ノズル9により複数の車両(図示せず)を同時に及び/又は連続的にサービスすることができる。分配器8は油圧駆動システム5又は油圧駆動システム5を制御する他の類似装置を制御することに用いることができることが理解される。
【0074】
本発明のいくつかの実施形態において、大容量を有する単一のポンプ3は一つ又は複数の分配器8を供給するために用いられ、それにより同じタイプ又は異なるタイプ(例えば35MPa又は70MPa)の複数の車両に同時に注入する。本発明のいくつかの他の実施形態において、複数のポンプは各貯蔵タンク1内に取り付けられ、燃料補給ステーションに増加した燃料流量を提供する。
【0075】
本発明のいくつかの実施形態において、液化ガスは液体水素又は液化天然ガスである。
【0076】
本発明のいくつかの実施形態は、コンピュータにより実行される時にステップ10~50を実施するコンピュータプログラムを記憶するコンピュータ読取可能な記憶媒体を提供する。
【0077】
本発明のいくつかの実施形態は、コンピュータプログラムを含み、コンピュータプログラムがコンピュータにより実行される時にステップ10~50を実施する、非一時的なコンピュータ読取可能な記憶媒体に記憶されたコンピュータプログラム製品を提供する。
【0078】
本発明のいくつかの実施形態は、コンピュータプログラムを含み、例えばインターネット接続又は無線キャリア信号によりコンピュータでコンピュータプログラムをローカル又は遠隔で実行する時にステップ10~50を実行する、非一時的なコンピュータ読取可能な記憶媒体に記憶されたコンピュータプログラム製品を含むシステムを提供する。
【0079】
本明細書に開示されるように、HRSは、冷却用の冷却システム又は貯蔵容量用のカスケード管に依存することなく、貯蔵タンクに貯蔵されたLH2が枯渇するまで、連続的な車両注入を可能にする。ここで、従来のHRSシステムにおけるこの二つの制限により、1日の内に何台の車両に分配できるか、又は何キログラムの水素(水素燃料補給ステーション容量)を分配できるかが決定される。LH2貯蔵タンクのサイズを増加させることはより費用対効果(追加装置を含むことと比較する)を有するため、分配装置の制限は本発明のキログラム/日、又は台/日を単位とする水素燃料補給ステーションの容量の唯一の実際の制限である。
【0080】
要するに、本発明のいくつかの主な利点は以下のとおりである。
【0081】
現在のLPG及びガソリンを貯蔵することと同様に、液化燃料を地下の土壌に貯蔵することを可能にする。完了した配置は敷地面積を減少させ、液化ガス貯蔵タンクの潜在的な衝突及び穿刺故障が排除されるため、安全性を向上させる。
【0082】
冷却システムを除去し、資金及び運営コストを低減する。
【0083】
占有空間、及び資金コストを必要とするカスケード貯蔵タンクを除去する。
【0084】
気体圧縮ではなく液体ポンピングによりエネルギー消費を低減する。
【0085】
多段気体圧縮機に必要な水冷がなくなる。
【0086】
緩衝器として用いられる高圧貯蔵タンクに依存せずに、車両に直接的に注入することを可能にする。
【0087】
貯蔵容量及び冷却能力の制限を除去することにより、無限のバックツーバック注入(back-to-back filling)を可能にする。
【0088】
単一のポンプで複数の同じタイプ又は異なるタイプの車両に燃料を提供することを可能にする。
【0089】
単一のLH2貯蔵タンクに複数のポンプを有することを可能にすることにより、燃料ステーションのスループットを向上させる。
【0090】
装置数が少なく、取り付けを簡略化するため、より低いメンテナンスコストを可能にする。
【0091】
全般的に低い分配コストを可能にする。
【0092】
HRSを拡張して水素エネルギー応用をサポートすることができる。
【0093】
具体的な実施形態は、例を用いて本発明の主題のいくつかの実施形態を開示し、当業者が本発明の主題の実施形態を実施可能にしており、任意の装置又はシステムの製造及び使用、並びに任意の組み合わせた方法の実行を含む。本発明の主題における特許を許可できる範囲は、請求項により限定され、当業者が想到する他の実施例を含むことができる。請求項に限定された本発明の範囲から逸脱することなく、要素の機能及び配置に対して様々な変更を行うことができることが理解される。これらの他の例が請求項の文言表現と区別されない構造要素を有する場合、又はそれらが請求項の文言表現と実質的な差がない等価な構造要素を含む場合、これらの他の実施例は請求項の範囲内にあることを意図する。
【0094】
また、特に明確に規定されない限り、特定の性質を有する構成要素又は特定の性質を有する複数の構成要素を「含有する(comprising)」、「含む(including)」、又は「有する(having)」(又は類似する用語)実施形態は、当該特定の性質を有さない他の付加的な構成要素を含むことができる。
【0095】
本明細書に使用されるように、「システム」又は「コントローラ」のような用語は一つ又は複数の機能を実行するように動作するハードウェア及び/又はソフトウェアを含むことができる。例えば、システム又はコントローラは、コンピュータプロセッサ、又は、コンピュータメモリのような有形及び非一時的なコンピュータ読取可能な記憶媒体に記憶された命令に基づいて操作を実行する他の論理ベースの装置を含むことができる。又は、システム又はコントローラは、装置のハードワイヤード論理に基づいて操作を実行するハードワイヤード装置を含むことができる。なお、図面に示したシステムおよびコントローラは、ソフトウェアまたはハードワイヤード命令に基づいて操作を実行するハードウェア、操作を実行するようにハードウェアに指示するソフトウェア、またはそれらの組み合わせを表すことができる。
【0096】
以上の説明は例示的なものであり制限的なものではないことを理解されたい。例えば、上記実施形態(及び/又はその態様)は互いに組み合わせて使用することができる。また、現在の前記主題の範囲から逸脱しない場合に、多くの修正を行うことにより特定の状況又は材料を現在の前記主題の教示に適応させることができる。本明細書に記載されたサイズ、材料タイプ等は開示された主題のパラメータを定義することを目的とするが、それらは限定的ではなく、例示的な実施形態である。以上の明細書を読んだ後、多くの他の実施形態が当業者にとって明らかになる。したがって、本発明の主題の範囲は添付の請求項及びこれらの請求項により付与された同等物の全ての範囲を参照して決定すべきである。添付の請求項において、用語「含む(including)」と「ここで(in which)」はそれぞれ用語「含有する(comprising)」と「そのうち(where in)」の一般英語の同等物として使用される。また、以下の請求項において、用語「第1」、「第2」及び「第3」等は符号のみとして用いられ、その対象に数量要件を与えることを意図しない。また、以下の請求項の制限は、means-plus-funcion formatで書かれたものではなく、35U.S.C.§112(f)に基づいて解釈することも意図しないが、ただし、これらの請求項の限定が「~ための手段(means for)」という決まり文句を明確に使用し、その後は機能的説明であり、さらなる構造がない場合を除く。
図1
図2
【国際調査報告】