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特表2022-510594セラミック変換体要素の製造方法、セラミック変換体要素、および光電子部品
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-27
(54)【発明の名称】セラミック変換体要素の製造方法、セラミック変換体要素、および光電子部品
(51)【国際特許分類】
   C04B 35/44 20060101AFI20220120BHJP
   C09K 11/64 20060101ALI20220120BHJP
   C09K 11/02 20060101ALI20220120BHJP
   H01L 33/50 20100101ALI20220120BHJP
【FI】
C04B35/44
C09K11/64
C09K11/02 Z
H01L33/50
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021528354
(86)(22)【出願日】2019-11-19
(85)【翻訳文提出日】2021-05-20
(86)【国際出願番号】 EP2019081812
(87)【国際公開番号】W WO2020104463
(87)【国際公開日】2020-05-28
(31)【優先権主張番号】16/198,108
(32)【優先日】2018-11-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】599133716
【氏名又は名称】オスラム オプト セミコンダクターズ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Osram Opto Semiconductors GmbH
【住所又は居所原語表記】Leibnizstrasse 4, D-93055 Regensburg, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ヂェンボー ユー
(72)【発明者】
【氏名】マディス ラウカス
(72)【発明者】
【氏名】ジョン エフ. ケルソ
【テーマコード(参考)】
4H001
5F142
【Fターム(参考)】
4H001CA01
4H001CA02
4H001XA07
4H001XA08
4H001XA13
4H001XA39
4H001XA71
4H001YA58
4H001YA64
4H001YA90
4H001YB31
5F142AA22
5F142AA23
5F142DA14
5F142DA45
5F142DA73
5F142FA28
5F142GA21
5F142HA01
5F142HA05
(57)【要約】
セラミック変換体要素の製造方法が提供される。前記方法は、出発材料としての蛍光体を準備する段階、前記蛍光体と少なくとも1つの金属酸化物粉末とを混合して混合物を形成する段階、前記混合物を処理して、前記蛍光体がセラミックマトリックス材料内に埋め込まれたセラミック変換体材料を形成する段階を含む。さらに、セラミック変換体要素を有する光電子部品、およびセラミック変換体要素が提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
セラミック変換体要素(20)の製造方法であって、
・ 出発材料としての蛍光体を準備する段階、
・ 前記蛍光体と少なくとも1つの金属酸化物粉末とを混合して混合物を形成する段階、
・ 前記混合物を処理して、前記蛍光体がセラミックマトリックス材料内に埋め込まれたセラミック変換体材料を形成する段階
を含む、前記方法。
【請求項2】
前記蛍光体が、ドープされたガーネット、酸化物系蛍光体、窒化物系蛍光体、酸窒化物系蛍光体、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記蛍光体がドープされたガーネットを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記少なくとも1つの金属酸化物粉末が、ドープされていないガーネット、希土類元素の酸化物、遷移金属の酸化物、アルカリ元素の酸化物、アルカリ土類元素の酸化物、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1から3までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記蛍光体および前記金属酸化物粉末が、二次相および/または不純物不含である、請求項1から4までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記ドープされたガーネットがYAGを含み且つ前記金属酸化物粉末がYAGおよび/またはAl23を含むか、または前記ドープされたガーネットがLuAGを含み且つ金属酸化物粉末がLuAGおよび/またはAl23を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項7】
前記蛍光体がランタノイドから、特にCeおよび/またはGdから選択されるドーパントを含む、請求項1から6までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記蛍光体が0.5μm≦d50≦40μmの範囲から選択されるd50、およびd90≦45μmの粒子サイズを有する、請求項1から7までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記蛍光体が少なくとも90%の量子効率QEを有する、請求項1から8までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記混合が混練を含む、請求項1から9までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記処理が、少なくとも1つの添加剤を前記混合物に添加してスラリーを形成すること、前記スラリーをテープキャスティングしてグリーン部材を形成すること、前記グリーン部材を予備焼成および/または結合剤除去し、そして焼結してセラミック変換体材料を形成することを含む、請求項1から10までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記焼結を、湿潤または乾燥水素雰囲気下で、または乾燥または湿潤水素・窒素雰囲気下で実施する、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記少なくとも1つの添加剤が、水、結合剤、脱泡剤、分散剤、可塑剤およびそれらの混合物を含む群から選択される、請求項11または12に記載の方法。
【請求項14】
一次波長の電磁放射線を発する活性層積層体(10)、および
前記活性層積層体(10)のビーム経路に施与され且つ前記一次波長を少なくとも部分的に二次波長へと変換するセラミック変換体要素(20)
を含む光電子部品であって、前記セラミック変換体要素(20)が少なくとも90%の量子効率を有する、前記光電子部品。
【請求項15】
前記セラミック変換体要素(20)が、請求項1から13までのいずれか1項に記載の方法によって製造される、請求項14に記載の光電子部品。
【請求項16】
前記セラミック変換体要素(20)が、Ceおよび/またはGdドープされたYAG、Ceおよび/またはGdドープされたLuAGおよびそれらの混合物から選択される蛍光体を含む、請求項14または15に記載の光電子部品。
【請求項17】
前記セラミック変換体要素(20)が、YAGおよびAl23およびそれらの組み合わせから選択されるマトリックス内に埋め込まれたCeおよび/またはGdドープされたYAGを含むか、または前記セラミック変換体要素(20)が、LuAGおよびAl23およびそれらの組み合わせから選択されるマトリックス内に埋め込まれたCeおよび/またはGdドープされたLuAGを含む、請求項14から16までのいずれか1項に記載の光電子部品。
【請求項18】
請求項1から13までのいずれか1項に記載の方法により製造されたセラミック変換体要素(20)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はセラミック変換体要素の製造方法、セラミック変換体要素、および光電子部品に関する。
【背景技術】
【0002】
放射線を発する部品、例えば発光ダイオード(LED)は、可視または非可視の放射線を発する。LEDの材料に依存して、それは一次放射線、例えばInGaNの場合は青色光を発する。そのようなLEDは、一次放射線を少なくとも部分的に、異なる波長の二次放射線へと変換する蛍光体を含む変換体層と組み合わせられることがある。例えば青色発光LEDを、黄色を発する酸化物変換体、例えばYAG:Ceなどと組み合わせて、白色光を生成することができる。LEDと変換体層とを含む照明装置は、二次放射線の光を単独で、または未変換の一次放射線と組み合わせて発する。
【0003】
現在、セラミックの蛍光変換体YAG:Ce(Ceでドープされたイットリウムアルミニウムガーネット)は種々の手法によって合成され得る。例えば、種々の酸化物、例えばY23、Al23、CeO2およびGd23を用いて出発して、いくつかの段階で処理される、混合酸化物の手法がある。典型的には、この手法は、出発酸化物の粒子サイズおよび焼結の間のグレイン成長に応じて、粗いまたは微細な蛍光体粒子サイズまたはセラミックのグレインサイズのいずれかをもたらす。混合酸化物の手法の欠点は、時として酸化物間の反応が完全ではなく、化学量論組成ではないYAG:Ce蛍光体粒子が他の望ましくない相、例えば(CeまたはGd含有)YAG(Y3Al512)、YAM(Y4Al29)、YAP(YAlO3)、Y23またはAl23と一緒に生じることである。この混合物は、材料のより低い量子効率(QE)をみちびき、ひいては低い光束を生成する。
【0004】
セラミック蛍光変換体YAG:Ceを製造するための他の手法は、出発混合物を作るために湿式化学法を使用する共沈蛍光体前駆体合成の手法であり、そこではY、Al、Ce、Gdおよびその他を含有する種々の有機または無機塩が水性溶剤または有機溶剤中で互いに反応し、それらの元素を含有する化合物が共沈する。この方法では、生じる蛍光体は微細な粒子サイズを示すが、その微細な粉末を処理する際に、時として未反応相、例えばYAM、YAPまたはその他が観察される。これは最終的なセラミック変換体の二次相または三次相をもたらし、色のシフトおよび低いQEをみちびく。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
1つの課題はセラミック変換体要素を製造するための改善された方法を提供することである。他の課題は、セラミック変換体要素を含む改善された光電子部品およびセラミック変換体要素を提供することである。それらの課題は、独立請求項による方法および光電子部品およびセラミック変換体要素によって解決される。前記方法の、および前記光電子部品のさらなる実施態様は、従属請求項、明細書および例示的な実施態様の主題である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
1つの態様によれば、セラミック変換体要素の製造方法が提供される。
【0007】
セラミック変換体要素は、一次放射線の波長を少なくとも部分的に二次放射線の波長に変換できると理解されるべきである。このために、それは活性材料として、フォトルミネッセンスにより放射線を変換できる蛍光体を含む。放射線が変換される際に高いQEを有することが望ましい。以下において、「セラミック変換体要素」および「変換体要素」との表現は区別なく使用される。
【0008】
1つの実施態様によれば、蛍光体が出発材料として準備される。換言すれば、該方法は、出発材料として使用される所望の結晶構造を有する予め合成された蛍光体粉末を使用する。従って、セラミック変換体要素における蛍光体の光学特性および微細構造を、その変換体要素が導入されるべき装置の要求に応じて仕立てることができる。例えば、制御された散乱、吸収、孔径、孔密度および他の微細構造の特徴を有するセラミック変換体要素を有するように、蛍光体の所望の粒子サイズを決定できる。
【0009】
他の実施態様によれば、蛍光体と少なくとも1つの金属酸化物粉末とを混合して、混合物を形成する。蛍光体も粉末の形で準備することができるので、1つの実施態様によれば前記混合物は粉末混合物である。
【0010】
他の実施態様によれば、前記混合物を処理して、蛍光体がセラミックマトリックス材料内に埋め込まれたセラミック変換体材料を形成できる。マトリックス材料はセラミックマトリックスであり、それは特定の所望の特性を有する金属酸化物粉末からまず形成され、予め合成された蛍光体に添加されるかまたはそれと混合され、その際、前記蛍光体が所望のまたは特定の特性を有する。
【0011】
1つの態様によれば、セラミック変換体要素の製造方法が提供される。前記方法は、出発材料としての蛍光体を準備する段階、前記蛍光体と少なくとも1つの金属酸化物粉末とを混合して混合物を形成する段階、および前記混合物を処理して、セラミックマトリックス材料内に蛍光体が埋め込まれたセラミック変換体材料を形成する段階を含む。
【0012】
そのような方法は実施が簡単であり且つコストが低い。予め合成された蛍光体を出発材料の1つとして使用するので、さらなる方法は単に混合酸化物法として扱われ得る。
【0013】
出発材料として使用される蛍光体を非常に高いQEを有するように選択して、変換体要素が光電子素子に適用される際に高いQEおよびパッケージ変換効率(CQE)を有するセラミック変換体要素もみちびくことができる。このために、非常に高いQEを有する蛍光体を出発材料として選択する。制御されたプロセスのおかげで、蛍光体およびそのQEが損なわれず、高いQEおよび/または高いCQEを、最終的なセラミック変換体要素においておよびパッケージにおいて少なくとも大部分、維持および達成できる。
【0014】
例えば、混合酸化物の手法または共沈の手法によって製造されるセラミック変換体要素について観察される最大QEは約90%~95%である。上記で概説した方法によって製造されたセラミック変換体要素を用いて、従来のプロセスによって製造された相応の変換体よりも2~3%高いQEおよび/またはCQEを有するセラミック変換体要素を得ることができる。
【0015】
他の実施態様によれば、蛍光体はドープされたガーネット、酸化物系蛍光体、窒化物系蛍光体、酸窒化物系蛍光体、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される。例えば、ドープされたガーネットはCeおよび/またはGdでドープされたYAGまたはLuAGから選択される。蛍光体についての他の例は、Eu2+でドープされた258-窒化物またはEu3+でドープされたYAGである。他の実施態様によれば、蛍光体はドープされたガーネットを含む。
【0016】
ガーネットは、多様な化学元素からの選択物を含有する特定の化学組成の結晶構造型であると理解されるべきである。本願の場合、そのような元素は例えばY、Gd、AlおよびOであってよく、ドーパントとしてCeを有する。
【0017】
様々な化学組成の1つ以上の種類の蛍光体を混合物中で同時に使用でき、特別色、例えば緑色、黄色、オレンジおよび/または赤色が特定の割合で混合された成分のための変換された光の多重の波長帯を生成することは、当業者にとって理解可能である。異なる組み合わせを製造するために、異なる蛍光体成分の材料を使用する必要がある。
【0018】
他の実施態様によれば、少なくとも1つの金属酸化物粉末はドープされていないガーネット、希土類元素の酸化物、特にLa~Luからの希土類元素の酸化物、遷移金属の酸化物、アルカリ元素の酸化物、アルカリ土類元素の酸化物、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される。例えば、金属酸化物粉末はドープされていないガーネットまたはAl23を含む。例えば、ドープして蛍光体を形成するためのガーネットとしてYAGが使用される場合、金属酸化物は例えばドープされていないYAGおよび/またはAl23から選択できる。
【0019】
他の実施態様によれば、蛍光体および金属酸化物粉末は二次相および/または不純物不含である。例えば、ガーネットとしてのYAGの場合、望ましくない相、例えばYAM、YAPまたはY23が残留の二次相または三次相として形成されないので、変換体要素のQEは高いままである。
【0020】
他の実施態様によれば、ドープされたガーネットはYAGを含み且つ金属酸化物粉末はYAGおよび/またはAl23を含むか、またはドープされたガーネットはLuAGを含み且つ金属酸化物粉末はLuAGおよび/またはAl23を含む。それらの材料の組み合わせを用いて、高い輝度および高いQEを有するセラミック変換体要素を製造できる。
【0021】
他の実施態様によれば、蛍光体はランタノイドから、特にCeおよび/またはGdから選択されるドーパントを含む。他のランタノイド、例えばPr、Euなども可能なドーパントである。
【0022】
他の実施態様によれば、蛍光体は0.5μm≦d50≦40μmの範囲から選択されるd50およびd90≦45μmの粒子サイズを有する。特に、d50は1μm≦d50≦20μmの範囲から選択でき、且つd90は≦25μmから選択できる。従って、この方法では大きなグレインサイズの蛍光体が使用され得る。大きなグレインサイズのおかげで、例えば蛍光体の結晶性および化学組成によって、微細なグレインについてよりも金属酸化物との反応性が少なくなり、LEDパッケージに適用される際に変換体要素のより好ましい光学散乱特性を達成できる。
【0023】
対照的に、金属酸化物として使用されるYAGまたはLuAG粉末、または金属酸化物として使用されるAl23粉末は0.1μm≦d50≦10μmの範囲のd50およびd90≦15μm、好ましくは0.1μm≦d50≦5μmおよびd90≦8μmを有し得る。
【0024】
全ての出発材料、つまりドープされた蛍光体および金属酸化物は、活性が高く且つ焼結性である。蛍光体、例えばYAG:Ceのドーピングレベルは、0.05原子%~6原子%、好ましくは0.1原子%~4原子%、例えば0.5原子%~4原子%の範囲であってよい。金属酸化物、例えばYAGまたはAl23のドーピングレベルは、0.0原子%~1原子%、好ましくは0.0原子%~0.02%の範囲であってよい。マトリックスとして使用されるYAG粉末は立方晶の結晶性であってよく、二次相を有さず且つ99.5%を上回る純度を有する。マトリックスとして使用されるAl23粉末はα-Al23結晶であってよく、二次相を有さず且つ99.5%を上回る純度を有する。予め合成されたYAG:Ce蛍光体は立方晶の結晶相を有することができ、二次相を有さない。
【0025】
他の実施態様によれば、蛍光体は少なくとも90%の量子効率QEを有する。好ましくは、蛍光体の量子効率は>95%であるか、またはさらには99%以上である。
【0026】
他の実施態様によれば、前記方法は混合段階を含み、それは混練を含み得る。よく混合され且つ所望のサイズの範囲のよく詰まった粉末粒子を含む良好なグリーンの微細構造を促進するために充分に長い時間の間、混練を実施する。混練後、スラリーおよび/または粉末粒子は本質的に凝集物を含まず、且つ出発材料、つまり蛍光体および金属酸化物の粒子と同じまたは同様のサイズを有する。さらに、混練された粉末粒子は微細且つ狭い粒子間の空隙サイズ分布を有し、その際、空隙サイズはグレインサイズのレベルに等しいか、またはそれ未満であることができる。
【0027】
他の実施態様によれば、前記処理は、少なくとも1つの添加剤を混合物に添加してスラリーを形成すること、前記スラリーをテープキャスティングしてグリーン部材、例えばグリーンシートを形成すること、前記グリーン部材を予備焼成および/または結合剤除去し、且つ焼結してセラミック変換体材料を形成することを含む。変換体材料を任意の所望の形状、例えば小板またはクーポンに形成できる。
【0028】
他の実施態様によれば、少なくとも1つの添加剤を、水、結合剤、脱泡剤、分散剤、可塑剤およびそれらの混合物を含む群から選択できる。好ましくは水、結合剤、脱泡剤、分散剤および可塑剤を混合物に添加する。それらの添加剤のいくつかは孔形成添加剤でもあり、添加剤を分散させるために充分に長い時間の間、混合物に混合される。例えば、混合は、出発粉末の特性に応じて6時間~72時間行われる。
【0029】
他の実施態様によれば、湿潤または乾燥水素雰囲気下で、または乾燥または湿潤水素・窒素雰囲気下で焼結を実施する。
【0030】
他の態様によれば、光電子部品が提供される。前記部品は、一次波長の電磁放射線を発する活性層積層体、および前記活性層積層体のビーム経路に施与され且つ一次波長を少なくとも部分的に二次波長に変換するセラミック変換体要素を含み、前記セラミック変換体要素は少なくとも90%、特に少なくとも95%、特に少なくとも99%の量子効率を有する。
【0031】
1つの実施態様によれば、光電子部品は、上述の実施態様の1つによる方法で製造されたセラミック変換体要素を含む。従って、前記方法に関して開示される全ての特徴および特性は光電子部品についても有効であり、その逆もまた然りである。セラミック変換体要素が上述の方法で製造されるおかげで、前記光電子部品は高いCQEを有する。
【0032】
他の実施態様によれば、セラミック変換体要素は、Ceおよび/またはGdドープされたYAG、Ceおよび/またはGdドープされたLuAGおよびそれらの混合物から選択される蛍光体を含む。他の実施態様によれば、セラミック変換体要素はYAGおよびAl23およびそれらの組み合わせから選択されるマトリックス内に埋め込まれたCeおよび/またはGdドープされたYAGを含むか、またはセラミック変換体要素はLuAGおよびAl23およびそれらの組み合わせから選択されるマトリックス内に埋め込まれたCeおよび/またはGdドープされたLuAGを含む。そのような変換体要素は、黄色を発する変換体要素または緑色を発する変換体要素であることができる。活性層積層体は、例えばInGaNを含むことができ、且つ青色を発する。
【0033】
他の態様は、上述の実施態様の1つによる方法で製造されたセラミック変換体要素に関する。従って、前記方法に関して開示される全ての特徴および特性はセラミック変換体要素についても有効であり、その逆もまた然りである。
【0034】
上記の方法によって適切に製造されたセラミック変換体要素は、LEDにパッケージングされた際により高いCQE値をもたらすような透過率(例えば全透過率またはインライン透過率)とQE値との組み合わせを有し得る。これは、その散乱特性の詳細な測定によっても証明できる(双方向散乱分布関数、BSDF; 入射光の伝搬に対して-90から90°までの散乱強度の高い積分総計)。
【0035】
さらなる実施態様および例を以下で図面および例示的な実施態様に関して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1図1は光電子部品の模式的な断面を示す。
図2図2は例示的な実施態様による方法において使用された蛍光体のSEM像を示す。
図3図3はキャスティングされたテープの写真を示す。
図4図4は焼結された小板の写真を示す。
図5図5は透過率と反射率の値を示す。
図6図6は焼結された材料のSEM像を示す。
図7図7は焼結された材料のスペクトルを示す。
図8図8は焼結された材料の変換線を示す。
図9図9はLPWo-B値を示す。
図10図10は変換体要素の例示的な実施態様および参照例のスペクトルを示す。
図11図11は例示的な実施態様および参照例のCQEを示す。
図12図12は例示的な実施態様および参照例の吸収および変換フォトンの測定を示す。
【実施例
【0037】
図1は光電子部品の模式的な断面を示す。それは基板30を有し、その上に活性層積層体10が施与されている。活性層積層体10のビーム経路内に、セラミック変換体要素20が施与されている。活性層積層体10およびセラミック変換体要素20をハウジング40内で施与することができ、その際ボリュームキャスティング50をハウジング40と活性層積層体10との間に施与することができる。光電子部品のさらなる要素、例えば電気接続部は明確性の観点から示されていない。
【0038】
セラミック変換体要素20は、例えばYAGマトリックスまたはAl23マトリックス中のYAG:(Gd/Ce)蛍光体を含み得る。
【0039】
セラミック変換体要素20を以下のように製造できる。
【0040】
出発材料として、立方晶の結晶相を有し、二次相を有さない予め合成されたYAG:Ce蛍光体であって、Ceのドーピングレベルが0.05原子%~6原子%、好ましくは0.1原子%~4原子%、例えば0.5原子%~4原子%であり、粒子サイズがそれぞれ0.5μm~40μm、好ましくは1μm~20μmのd50および≦45μm、好ましくは≦25μmのd90であり、高活性且つ焼結性である、前記蛍光体を使用する。さらなる出発材料は、立方晶の結晶相を有し、二次相を有さず且つ純度>99.5%を有するYAG粉末であって、Ceのドーピングレベルが0原子%~1原子%、好ましくは0原子%~0.02原子%であり、粒子サイズがそれぞれ0.1μm~10μm、好ましくは0.1μm~5μmのd50および≦15μm、好ましくは≦8μmのd90であり、高活性且つ焼結性である、前記粉末である。代替的または追加的に、マトリックスとして、α-Al23結晶を有し、二次相を有さず、且つYAG粉末と相応の特性を有するAl23粉末を使用できる。
【0041】
表1は、YAGマトリックス中の蛍光体(Y0.796Gd0.2Ce0.0043Al512および添加剤を含むテープキャスティングのための例示的なバッチを示す。
【0042】
【表1】
【0043】
WB4101はアクリル系結合剤であり、DF002は非シリコーン系脱泡剤であり、PL005は高pH可塑剤である。
【0044】
添加剤が混合物に混合される場合、次にバッチをキャスティングし、乾燥させ、そして所望のサイズおよび形状に切断または打抜く。焼結されたセラミック変換体要素についての望ましい形状は、例えば1mm×1mmのサイズおよび70μm~300μmの厚さを有し得る。変換体要素の1つの角部は、チップの設計に応じて、LEDチップ上面へのワイヤボンドのための空間をもたらすために切断されていても切断されていなくてもよい。より小さなLEDチップについては、前記サイズは0.5mm2ほどの小ささであってもよい。
【0045】
グリーンシートまたは部材をアルミナプレート上に設置でき、次いでそれを空気雰囲気炉に入れ、例えば25℃から400℃まで4時間で、400℃から1150℃まで4時間で、1150℃で0.5~2時間保持、そして25℃へ3時間のうちに冷却という時間・温度サイクルを使用して加熱する。
【0046】
そのような熱処理の間、粉末を保持するために使用される有機結合剤、並びに存在する場合、孔形成添加剤の材料を一緒に含む、有機炭素含有種を除去することができる。1150℃の保持温度は粉末粒子を一緒にするために十分に高く、取り扱いのために十分に強い部材をもたらす。孔形成添加剤を焼き切り、焼結温度に応じて比例して、サイズおよび形状を再現する空隙を残す。
【0047】
例えば、予備焼成されたセラミック小板をモリブデンプレート上に移し、例えば湿潤水素雰囲気中、1500~1825℃で1分~2時間の間、ピーク温度で焼結する。代替的に、乾燥または湿潤条件のいずれかで水素・窒素雰囲気を選択できる。
【0048】
水素焼結の間、セラミック粉末が焼結し孔が除去されるので、小板が収縮する。最初の粉末の粒子サイズおよび混合および混錬条件が正しく実施され且つ孔形成添加剤がバッチに添加されない場合、高められた焼結温度で、マトリックスの多孔率は、最終的な変換体要素が高い度合いの透過率および半透明性を示すようなレベルに低下する。
【0049】
例1によれば、Gd/Ce比0/100を有し且つ約2.2原子%の含有率のCeがYAG結晶中のYを置き換えているYAG:(Gd/Ce)蛍光体(P)のバッチを、約11.5体積%の含有率で、ドープされていないYAGマトリックス(M1)中に導入する。混練し、孔形成添加剤を必要に応じて添加し、キャスティングし、乾燥させ、そして所望の部材のサイズに打ち抜いた後、その部材を加熱し、熱処理後に、1680℃~1760℃の種々の温度で焼結する。そのように得られた試料(PM1)のQEを、レーザーシステムを使用して測定した。
【0050】
例2によれば、Gd/Ce比0/100を有し、約2.2原子%の含有率のCeがYAG中のYを置き換えているYAG:(Gd/Ce)蛍光体(P)のバッチを、約11.5体積%の含有率で、ドープされていないAl23マトリックス(M2)中に導入した。例1に関して述べられた処理および1620℃~1760℃の種々の温度での焼結の後、そのように得られた試料(PM2)のOE値を測定した。
【0051】
PM1が98%のQEを示し且つPM2が92%のQEを示す一方で、参照例R2の単相のYAG:Ceの標準的な変換体は91%のQEを示し、且つ参照例R1の二次相の変換体、つまり混合酸化物法によって製造されたAl23マトリックス中のYAG:Ceは90%のQEを示す。
【0052】
例3によれば、Gd/Ce比0/100を有し且つ約3原子%の含有率のCeがYAG中のYを置き換えているYAG:(Gd/Ce)蛍光体(P2)を、約7.2体積%の含有率で、ドープされていないYAGマトリックス(M1)中に導入する。上述の処理、しかし蛍光体の予備混練および湿潤フォーミングガスN2-H2(約3.6体積%)中で1620℃~1760℃の種々の温度での焼結の後、そのように得られた試料P2M1-N2-H2のCQEを、積分球中のOslon Black Flat(OBF)パッケージにおいて測定した。典型的なCQEデータを表2に列挙する。比較のために、共沈法によって製造された蛍光体粉末を使用した標準的な生成物も、同じCx値での参照例として表2に含まれる。参照例は15原子%のGdおよび0.2原子%のCeがドープされたYAGを有する単相のYAG:Ceの標準的な変換体である。
【0053】
例4によれば、Gd/Ce比0/100を有し且つ約3原子%の含有率のCeがYAG中のYを置き換えているYAG:(Gd/Ce)蛍光体(P2)のバッチを、7.2体積%の含有率で、ドープされていないYAGマトリックス(M1)中に導入した。上述の処理、しかし蛍光体の予備混練および湿潤H2中で1620℃~1760℃の種々の温度での焼結の後、そのように得られた試料P2M1N2-H2のCQE値を、球中のOBFパッケージを使用して測定した。典型的なCQEデータを表2に列挙する。さらに、発光スペクトルからのルーメン(Lm)を使用し、青色チップの光出力(Wo-b)で除することによって計算されたLm/Wo-bの値、および発光スペクトルから積分されたルーメン(Lm)を使用し、その発光スペクトルの積分された出力(Wvis)で除することによって計算されたLERが表2に列挙される。
【0054】
【表2】
【0055】
以下において、PはCe含有率約3原子%およびグレインサイズd50約17μmを有するYAG:Ce粉末を示す。この蛍光体は大きなグレインを有し、よく結晶化されており、且つ高いQEを有するように予め合成されている。P1はキャスティングおよび焼結された蛍光体を示す。PM1はYAGマトリックス中の蛍光体を示し、前記蛍光体は11.5体積%の含有率を有する。PM2はAl23マトリックス中の蛍光体を示し、蛍光体は11.5体積%を有する。M1はキャスティングおよび焼結されたマトリックスのYAGを示す。M2はキャスティングおよび焼結されたマトリックスのAl23を示す。さらに、P2M1-H2は、YAGマトリックス中のCe含有率約3原子%およびd50約7μmを有するYAG:Ce蛍光体を示し、前記蛍光体は7.2体積%の含有率を有し、湿潤水素雰囲気下で焼結されている。従って、P2M1-N2-H2は、YAGマトリックス中のCe含有率約3原子%およびd50約7μmを有するYAG:Ce蛍光体を示し、前記蛍光体は7.2体積%の含有率を有し、湿潤水素・窒素雰囲気下で焼結されている。
【0056】
図2は表面処理されておらず且つQE約99%およびd50約17μmを有する蛍光体PのSEM像を示す。この蛍光体の色の点は、例えばヘッドランプカラーボックスのために適している。前記粒径d50は、本マトリックス法におけるセラミック処理ために理想的ではない。図2bは図2aの拡大である。
【0057】
蛍光体Pのスラリー流動性は制御が困難であるが、大きなグレインについて標準的な結合剤のレベルが高すぎ、且つコロイド分散が困難であっても、まだテープキャスティングすることができる。試料PM2はテープキャスティングについて、より良好に機能する。純粋な蛍光体試料P1、特にサイズ約25mm×25mmおよび厚さ約120μmのものは反ることが多く、それはキャスティング工程の間の粒子の沈降に起因するが、試料PM1およびPM2はより少ない反りを示す。テープキャスティング試料P1およびPM2を図3a(P1)、3b(P1)および3c(PM2)に写真で示す。
【0058】
図4は試料PM1、PM2、P1、M1およびM2の焼結された部材の写真を示す。YAG試料PM1およびM1は、それぞれAl23試料PM2およびM2よりも高い透過性を示すことがわかる。
【0059】
図5aは焼結試料PM1、PM2、P1、M1およびM2の透過率値T(%)の波長λ(nm)依存性を示し、図5bは同じ試料の波長範囲300~800nmでの反射率値Ref(%)の波長λ(nm)依存性を示す。
【0060】
表3に、試料P、P1、PM1、PM2、M1およびM2(全て1720℃で焼結)、および参照試料R1(従来の二次相の手法、つまり過剰なAl23をマトリックスに用いる混合酸化物法により製造された二次相の試料)およびR2(表2に関して説明された単相の試料)の吸収ABSおよび透過率Tについての値、レーザー球によって測定されたQEおよび吸収を要約する。
【0061】
【表3】
【0062】
図6a~6eは試料PM1(図6a)、PM2(図6b)、P1(図6c)、M1(図6d)、およびM2(図6e)(全て1720℃で焼結)の微細構造のSEM像を示す。図6aでは、いくつかのBaAl24相を伴う異常グレイン成長(EGG)の開始が観察できる。試料PM2においても、グレイン中の孔およびBaAl24を伴うアルミナの大きなグレインが表面で(図6b、左)、および破断面において(図6b、右)観察できる。試料P1は焼結が粗悪であり、且つBaAl24およびCeO2相を伴う大きなグレインサイズをその表面上で(図6c、右)およびバルク全体にわたって(図6cにおける破断面、左)有する。図6dでわかるとおり、マトリックスM1はより小さなグレインサイズを有し、図6eに示されるマトリックスM2は異常グレイン成長およびグレイン内部の孔を有する。
【0063】
図7aおよび7bは、マトリックスM1、M2、試料PM1、PM2および蛍光体P1およびPのスペクトルを青色LEDに比して示す(図7aは強度I(mw/nm)の波長λ(nm)依存性を示し、図7bは正規化された強度Inormの波長λ(nm)依存性を示す)。測定は球のLEDにおける1mm×1mm×0.1mmのセラミック蛍光体要素で実施された。PM1の強度はPM2の強度よりも高く、PM2の強度はP1の強度よりも高いことがわかる。P1は非常に低い青色透過率を示し、純粋なマトリックスM1中でいくつかのCe汚染が観察できる。さらに、試料M1においてはかなり高い青色透過率が見られ、試料M2においてはわずかに少ない青色透過率が見られる。青色LEDに比して、スペクトルのシフトは認識され得なかった。さらに、Ceの再吸収である赤色のシフトは、図7bでわかるとおり、粗悪な焼結に起因する高い散乱を有する試料P1において最大である。
【0064】
試料P、従ってYAG:Ce粉末が、レーザー球(Lab 30)において測定される非常に高いQE99%を有することを示すことができた。しかし、P単独で製造されたセラミックは、その高いQE値を維持するのではなく、88%の低下した値を示し、それはおそらく粗悪な焼結挙動および/またBaAl24およびCeO2相の出現に起因する。試料PM1は98%の高いQEおよびLEDにおける高いルーメンを示す。試料PM2はQE92%および低下したルーメンを有したが、しかし酸化物の手法によるAl23中の従来のYAG:Ce、つまりY23、Al23、CeO2等の混合物から形成されたYAG:Ce蛍光体、および標準的な製品の単相のセラミック変換体(90%および91%)よりはまだ高いQEである。M1の透過率はM2におけるよりも高く、従って試料PM1は試料PM2よりも高い透過率を示す。ドープされていないYAGセラミックM1は弱い発光を示し、それはスラリー処理からの、または焼結炉からのCe汚染に起因する。
【0065】
以下において、材料の焼結における雰囲気の作用を検証する。ここで蛍光体は、Ce(約3%)でドープされ、高いQEおよびd50約7μmを有し、凝集物を有し、P2と示されるYAG蛍光体である。マトリックスはYAGマトリックスであり、蛍光体はマトリックス中の含有率7.2体積%を有する。焼結は2つの雰囲気中で行われる。標準は5lpm(1分あたりのリットル)の湿潤H2(露点0℃)である。そのように焼結された試料をP2M1-H2として示す。他の雰囲気は8lpmのN2であり、<0.3lpmの湿潤H2(露点0℃)を約1.5~3%のH2量で有する。それらの試料をP2M1-N2-H2として示す。
【0066】
図8は参照例R1、R2および試料P2M1-N2-H2およびP2M1-H2の変換線を示す(座標Cyの座標Cx依存性)。図8aはOT(インハウスで設計されたピンホール球測定システム)における測定結果を示し、図8bは乾燥LED(dry LED)(インハウスで設計され、球システム内のLEDチップ上に設置されたセラミック変換体を有するシステム)における測定結果を示す。焼結された小板は参照例に近い変換線を有し、わずかな緑色シフトを有する。
【0067】
図9は、試料P2M1-H2およびP2M1-N2-H2が、同様の色の点Cxで参照試料R1より高いLPWo-b(発光スペクトルのルーメンを使用し、青色チップの光出力(Wo-b)で除することによって定義および計算される)を有することを示す。
【0068】
図10は球において記録されたLED(接着剤なし)上のスペクトルを示す。試料P2M1-H2およびP2M1-N2-H2を測定し、それらの強度Iの波長λ(nm)依存性を、明所視曲線(PC)(CIE 1931色空間において使用されるCIE標準曲線)と比較する。光源中の光束(または可視出力)は、明所視の視感度関数によって定義される。H2に対して、N2-H2中で焼結された試料についてのスペクトルのわずかなシフトのみがあることを示すことができる。明所視曲線は参照のみを提供する。
【0069】
試料P2M1-H2およびP2M1-N2-H2のデータ分析は、P2M1-N2-H2のCQEが参照例R2よりも1%高く、且つ試料P2M1-H2におけるよりも0.7%高いことを示す。
【0070】
これは図11においても示され、そこではCQEのCx依存性は試料P2M1-N2-H2について最も高く、参照例R2よりも1%高く、且つそのCQEはフォーミングガスについては標準的な湿潤水素焼結についてよりも高い。概して、CQEは統計的に、湿潤水素単独中よりフォーミングガスについて高く、および参照例R2よりもYAGマトリックスを有する材料について高いことを示すことができる。
【0071】
図12は、H2中およびN2-H2中で焼結された種々の試料並びに参照例R2の青色吸収および変換フォトンのCx依存性の測定を示す(図12a)。発光の青色透過率に対するより高い比のおかげで、放射の発光効率(LER)がCxと共に線形に増加することを示すことができる(図12b)。N2-H2中で焼結されたマトリックス材料はより多くの青色吸収およびより多くの変換フォトンを示し、より低いパーセンテージのポンプスルー、およびより高いパーセンテージの変換をみちびく。より高い観察されたCQEは色のシフトによって引き起こされるのではない。
【0072】
本発明の保護の範囲は上記で示された例に限定されない。本発明は、各々の新規の特徴、および特徴の各々の組み合わせ、特に特許請求の範囲において述べられた任意の特徴の全ての組み合わせを含む各々の組み合わせにおいて、この特徴またはこの組み合わせが特許請求の範囲において、または例において明示的に述べられていなくても具現化される。
【0073】
この特許出願は、米国特許出願第16/198108号の優先権を主張し、この開示内容はここで参照をもって包含されるものとする。
【符号の説明】
【0074】
10 活性層積層体
20 セラミック変換体要素
30 基板
40 ハウジング
50 ボリュームキャスティング
P YAG:Ce蛍光体粉末
P1 YAG:Ce蛍光体粉末、キャスティングおよび焼結
P2 YAG:Ce蛍光体粉末
PM1 YAGマトリックス中のYAG:Ce
PM2 Al23マトリックス中のYAG:Ce
M1 YAGマトリックス
M2 Al23マトリックス
P2M1-H2 YAGマトリックス中のYAG:Ce、湿潤水素中で焼結
P2M1-N2-H2 YAGマトリックス中のYAG:Ce、窒素および湿潤水素中で焼結
R1~R2 参照試料
PC 明所視曲線
図1
図2a
図2b
図3a
図3b
図3c
図4
図5
図6a
図6b
図6c
図6d
図6e
図7-1】
図7-2】
図8
図9
図10
図11
図12
【手続補正書】
【提出日】2021-05-20
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
セラミック変換体要素(20)の製造方法であって、
・ 出発材料としての蛍光体を準備する段階、ここで、前記蛍光体はガーネットを含み、前記ガーネットはドープされている、
・ 前記蛍光体と少なくとも1つの金属酸化物粉末とを混合して混合物を形成する段階、ここで、前記金属酸化物粉末はガーネットまたはAl 2 3 を含み、前記ガーネットはドープされていない、
・ 前記混合物を処理して、前記蛍光体がセラミックマトリックス材料内に埋め込まれたセラミック変換体材料を形成する段階
を含む、前記方法。
【請求項2】
前記蛍光体が、ドープされたガーネット、酸化物系蛍光体、窒化物系蛍光体、酸窒化物系蛍光体、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記少なくとも1つの金属酸化物粉末が、ドープされていないガーネット、希土類元素の酸化物、遷移金属の酸化物、アルカリ元素の酸化物、アルカリ土類元素の酸化物、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記蛍光体および前記金属酸化物粉末が、二次相および/または不純物不含である、請求項1からまでのいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記ドープされたガーネットがYAGを含み且つ前記金属酸化物粉末がYAGおよび/またはAl23を含むか、または前記ドープされたガーネットがLuAGを含み且つ金属酸化物粉末がLuAGおよび/またはAl23を含む、請求項1から4までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記蛍光体がランタノイドから、特にCeおよび/またはGdから選択されるドーパントを含む、請求項1からまでのいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記蛍光体が0.5μm≦d50≦40μmの範囲から選択されるd50、およびd90≦45μmの粒子サイズを有する、請求項1からまでのいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記蛍光体が少なくとも90%の量子効率QEを有する、請求項1からまでのいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記混合が混練を含む、請求項1からまでのいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記処理が、少なくとも1つの添加剤を前記混合物に添加してスラリーを形成すること、前記スラリーをテープキャスティングしてグリーン部材を形成すること、前記グリーン部材を予備焼成および/または結合剤除去し、そして焼結してセラミック変換体材料を形成することを含む、請求項1からまでのいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記焼結を、湿潤または乾燥水素雰囲気下で、または乾燥または湿潤水素・窒素雰囲気下で実施する、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記少なくとも1つの添加剤が、水、結合剤、脱泡剤、分散剤、可塑剤およびそれらの混合物を含む群から選択される、請求項10または11に記載の方法。
【請求項13】
一次波長の電磁放射線を発する活性層積層体(10)、および
前記活性層積層体(10)のビーム経路に施与され且つ前記一次波長を少なくとも部分的に二次波長へと変換するセラミック変換体要素(20)
を含む光電子部品であって、前記セラミック変換体要素(20)が少なくとも90%の量子効率を有し、
前記セラミック変換体要素(20)が蛍光体および金属酸化物粉末を含み、
前記蛍光体はガーネットを含み、前記ガーネットはドープされており、且つ
前記金属酸化物粉末はガーネットまたはAl 2 3 を含み、前記ガーネットはドープされていない、前記光電子部品。
【請求項14】
前記セラミック変換体要素(20)が、請求項1から12までのいずれか1項に記載の方法によって製造される、請求項13に記載の光電子部品。
【請求項15】
前記セラミック変換体要素(20)が、Ceおよび/またはGdドープされたYAG、Ceおよび/またはGdドープされたLuAGおよびそれらの混合物から選択される蛍光体を含む、請求項13または14に記載の光電子部品。
【請求項16】
前記セラミック変換体要素(20)が、YAGおよびAl23およびそれらの組み合わせから選択されるマトリックス内に埋め込まれたCeおよび/またはGdドープされたYAGを含むか、または前記セラミック変換体要素(20)が、LuAGおよびAl23およびそれらの組み合わせから選択されるマトリックス内に埋め込まれたCeおよび/またはGdドープされたLuAGを含む、請求項13から15までのいずれか1項に記載の光電子部品。
【請求項17】
請求項1から12までのいずれか1項に記載の方法により製造されたセラミック変換体要素(20)。
【国際調査報告】