IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 成都科林分析技術有限公司の特許一覧

特表2022-510641ガス濃縮サンプリングのための除水方法、試料導入方法及びそれらの装置
<>
  • 特表-ガス濃縮サンプリングのための除水方法、試料導入方法及びそれらの装置 図1
  • 特表-ガス濃縮サンプリングのための除水方法、試料導入方法及びそれらの装置 図2
  • 特表-ガス濃縮サンプリングのための除水方法、試料導入方法及びそれらの装置 図3
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-27
(54)【発明の名称】ガス濃縮サンプリングのための除水方法、試料導入方法及びそれらの装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 30/08 20060101AFI20220120BHJP
   G01N 30/14 20060101ALI20220120BHJP
   G01N 30/06 20060101ALI20220120BHJP
   G01N 30/54 20060101ALI20220120BHJP
   G01N 1/22 20060101ALI20220120BHJP
【FI】
G01N30/08 G
G01N30/14 A
G01N30/06 G
G01N30/54 F
G01N1/22 X
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021530054
(86)(22)【出願日】2019-12-02
(85)【翻訳文提出日】2021-05-26
(86)【国際出願番号】 CN2019122436
(87)【国際公開番号】W WO2020114354
(87)【国際公開日】2020-06-11
(31)【優先権主張番号】201811482661.7
(32)【優先日】2018-12-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517164855
【氏名又は名称】成都科林分析技術有限公司
【氏名又は名称原語表記】ChengDu Colin Analysis Technology Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】Room 301,Unit 2,Building A,Dingsheng International,No.85,1st Wuke Road West,Wuhou district,Chengdu,sishuan 610041 china
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】何 啓発
【テーマコード(参考)】
2G052
【Fターム(参考)】
2G052AB11
2G052AD02
2G052AD22
2G052AD42
2G052BA17
2G052EB13
2G052ED01
2G052ED06
2G052ED10
2G052FD17
2G052GA27
2G052JA09
(57)【要約】
ガス濃縮サンプリングのための除水方法、試料導入方法及びそれらの装置であって、除水方法は、親水性材料が充填された第1のコールドトラップ管によりサンプルガスを除水し、さらに濃縮コールドトラップ管によりサンプルガスを濃縮し、次に、キャリアガスにより第1のコールドトラップ管からホット状態で脱着された成分を、コールド状態であって疎水性有機物吸着材が充填された第2のコールドトラップ管に輸送するとともに、第1のコールドトラップ管から脱着された成分における有機物を吸着して、キャリアガスにより第1のコールドトラップ管から脱着された水分を第2のコールドトラップ管から運び出し、その後、キャリアガスにより、第1のコールドトラップ管及び第2のコールドトラップ管からホット状態で脱着された残留成分を濃縮コールドトラップ管に輸送して、濃縮する。

【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a:サンプルガスをコールド状態であって親水性材料が充填された第1のコールドトラップ管に導入して、除水し、さらに前記第1のコールドトラップ管を通過したサンプルガスを、コールド状態にある濃縮コールドトラップ管に導入して、濃縮するステップと、
b:キャリアガスをホット状態にある前記第1のコールドトラップ管に導入するとともに、キャリアガスにより、前記第1のコールドトラップ管から脱着された有機物及び水分を、コールド状態であって疎水性有機物吸着材が充填された第2のコールドトラップ管に輸送し、前記第1のコールドトラップ管から脱着された有機物を吸着するとともに、キャリアガスにより、前記第1のコールドトラップ管から脱着された水分を、前記第2のコールドトラップ管から運び出すステップと、
c:ホット状態にある前記第1のコールドトラップ管及び前記第2のコールドトラップ管にキャリアガスを同時に導入するとともに、キャリアガスにより前記第1のコールドトラップ管及び前記第2のコールドトラップ管から脱着された有機物を、コールド状態にある前記濃縮コールドトラップ管に輸送して、濃縮するステップと、を含むことを特徴とするガス濃縮サンプリングのための除水方法。
【請求項2】
前記コールド状態の温度が-10~-50℃であり、前記ホット状態が100~300℃であることを特徴とする請求項1に記載のガス濃縮サンプリングのための除水方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のガス濃縮サンプリングのための除水方法を用いて除水した後、脱着状態にある前記濃縮コールドトラップ管にキャリアガスを導入するとともに、前記濃縮コールドトラップ管から脱着された有機物をキャリアガスによって分析機器又はサンプル管に輸送することを特徴とするガス濃縮サンプリングのための試料導入方法。
【請求項4】
前記脱着状態の温度は、前記濃縮コールドトラップ管によって濃縮された有機物と相関することを特徴とする請求項3に記載のガス濃縮サンプリングのための試料導入方法。
【請求項5】
第1のコールドトラップ、第2のコールドトラップ、濃縮コールドトラップ及び制御モジュールを含み、
前記第1のコールドトラップのコールドトラップ管内に親水性材料が充填され、
前記第2のコールドトラップのコールドトラップ管内に疎水性有機物吸着材が充填され、
前記制御モジュールは、
前記第1のコールドトラップ及び前記濃縮コールドトラップを共にコールド状態で作動させるように制御するとともに、管路における制御可能バルブを制御することで、サンプルガス源のサンプルガスが前記第1のコールドトラップ及び前記濃縮コールドトラップのコールドトラップ管を順に通過するとともに、サンプルガスを順次除水及び濃縮する第1の制御モードと、
前記第1のコールドトラップをホット状態で作動させ、前記第2のコールドトラップをコールド状態で作動させるように制御するとともに、管路における制御可能バルブを制御することで、キャリアガス源のキャリアガスが前記第1のコールドトラップ及び前記第2のコールドトラップのコールドトラップ管を順に通過して、前記第1のコールドトラップのコールドトラップ管から脱着された有機物を吸着して、キャリアガスにより前記第1のコールドトラップのコールドトラップ管から脱着された水分を前記第2のコールドトラップのコールドトラップ管から運び出す第2の制御モードと、
前記第1のコールドトラップ及び前記第2のコールドトラップを共にホット状態で作動させるように制御するとともに、管路における制御可能バルブを制御することで、キャリアガス源のキャリアガスが前記第1のコールドトラップ及び前記第2のコールドトラップのコールドトラップ管をそれぞれ通過した後、前記濃縮コールドトラップのコールドトラップ管に再進入して、前記第1のコールドトラップ及び前記第2のコールドトラップのコールドトラップ管から脱着された有機物を濃縮する第3の制御モードと、の3つの制御モードを含むことを特徴とするガス濃縮サンプリングのための除水装置。
【請求項6】
前記第1のコールドトラップ、前記第2のコールドトラップ及び前記濃縮コールドトラップにはそれぞれ、ホット部材、コールド部材及び温度検出素子が設けられ、さらに、前記制御モジュールは、前記第1のコールドトラップ、前記第2のコールドトラップ及び前記濃縮コールドトラップの温度検出素子が検出した温度データにそれぞれ基づいて、そのホット部材又はコールド部材のパワーを制御することを特徴とする請求項5に記載のガス濃縮サンプリングのための除水装置。
【請求項7】
キャリアガス源から導入されたキャリアガスの圧力を調整するための圧力調整器をさらに含むことを特徴とする請求項5に記載のガス濃縮サンプリングのための除水装置。
【請求項8】
請求項5に記載のガス濃縮サンプリングのための除水装置を含み、そして、前記制御モジュールは、前記濃縮コールドトラップを脱着状態で作動させるように制御するとともに、管路における制御可能バルブを制御することで、キャリアガス源のキャリアガスを前記濃縮コールドトラップのコールドトラップ管に導入して、前記濃縮コールドトラップのコールドトラップ管から脱着された有機物を分析機器又はサンプル管に輸送する第4の制御モードをさらに含むことを特徴とするガス濃縮サンプリングのための試料導入装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスクロマトグラフ前処理の技術分野に関し、特にガス濃縮サンプリングのための除水方法、試料導入方法及びそれらの装置に関する。
【背景技術】
【0002】
揮発性及び半揮発性有機物の検出については、一般的にガスクロマトグラフ又はガスクロマトグラフ質量分析計を用いるが、含有量の非常に低い有機物を検出するには、直接検出法で一般的な機器である検出器の感度は要求を満たすことが困難であるため、富化及び濃縮する必要があり、その後、富化及び濃縮した試料を溶出して、得られた高濃度試料を分析し、特に大気中の揮発性有機物に対してはなおさらである。また、加熱脱着は、加熱方式を用いるとともに、吸着剤に濃縮された被測定成分を不活性ガスによりガスクロマトグラフに溶出するグリーン試料導入方式であり、ますます広く用いられている。しかしながら、そのプロセス全体の各ステップは分析結果に影響を与える。
【0003】
加熱脱着のガスサンプリング方式は、一般的にサンプルチューブサンプリング、タンクサンプリング、インラインサンプリングの3種類に分類され、従来の加熱脱着インラインサンプリングは、検出限界を低くするために、サンプルガスを真空ポンプによりサンプル濃縮コールドトラップ管に導入して濃縮した後に再脱着することが一般的である。空気試料は、上記のいずれのサンプリング方法で採取しても水分という成分を含有するが、水分が装置に入ると、装置に影響を及ぼし、成分の定性的及び定量的な検出に偏りが大きく発生し、装置を損傷することさえあり、そのため、水分の除去は、加熱脱着装置に必要な機能の一つである。
【0004】
加熱脱着インラインサンプリングの除水方式は、主に有機膜除水及び低温除水の2種類がある。有機膜除水は、有機膜チューブ内に通された極性分子(水分)が膜を介して外部の乾燥した低圧ガス環境に達して除水が実現され、非極性分子が管路を介して濃縮コールドトラップ管に入り、低温除水は、特殊材料管又は吸水性材料を有する管を用い、サンプルガスが通過する際に水が遮断され、大部分の被測定成分が除水管を介して濃縮コールドトラップ管に導入される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記2種の除水方法はいずれも一部の成分が失われてしまい、回収率が低くなる。例えば有機膜除水の場合には、水分と極性の近い極性成分が一部失われることがあり、従来の低温除水の場合には、(オゾン前駆体エチレン、エタンからドデカンなどの沸点が高いほど除水管に残存しやすくなる)重質成分が除水管に残存して、回収率が低下する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の目的は、濃縮サンプリングにおいて、水の極性に近い成分や沸点の高い成分のロスを低減することができるガス濃縮サンプリングのための除水方法及び試料導入方法を提供することにある。
【0007】
以下のステップを含むガス濃縮サンプリングのための除水方法である。
【0008】
a:サンプルガスをコールド状態であって親水性材料が充填された第1のコールドトラップ管に導入して、除水し、さらに前記第1のコールドトラップ管を通過したサンプルガスを、コールド状態にある濃縮コールドトラップ管に導入して、濃縮するステップ、
【0009】
b:キャリアガスをホット状態にある前記第1のコールドトラップ管に導入するとともに、キャリアガスにより、前記第1のコールドトラップ管から脱着された有機物及び水分を、コールド状態であって疎水性有機物吸着材が充填された第2のコールドトラップ管に輸送し、前記第1のコールドトラップ管から脱着された有機物を吸着するとともに、キャリアガスにより、前記第1のコールドトラップ管から脱着された水分を、前記第2のコールドトラップ管から運び出すステップ、
【0010】
c:ホット状態にある前記第1のコールドトラップ管及び前記第2のコールドトラップ管にキャリアガスを同時に導入するとともに、キャリアガスにより前記第1のコールドトラップ管及び前記第2のコールドトラップ管から脱着された有機物を、コールド状態にある前記濃縮コールドトラップ管に輸送して、濃縮するステップ。
【0011】
具体的な実施形態によれば、本発明のガス濃縮サンプリングのための除水方法において、前記コールド状態の温度が-10~-50℃であり、前記ホット状態が100~300℃である。
【0012】
本発明は、本発明の除水方法を用いて試料の導入中に除水した後、脱着状態にある前記濃縮コールドトラップ管にキャリアガスを導入するとともに、前記濃縮コールドトラップ管から脱着された有機物をキャリアガスによって分析機器又はサンプル管に輸送することにより、サンプリング及び分析機器への試料導入を達成するガス濃縮サンプリングのための試料導入方法をさらに提供する。前記脱着状態の温度は、前記濃縮コールドトラップ管によって濃縮された有機物と相関する。
【0013】
本発明は、第1のコールドトラップ、第2のコールドトラップ、濃縮コールドトラップ及び制御モジュールを含むガス濃縮サンプリングのための除水装置を更に提供し、
【0014】
前記第1のコールドトラップのコールドトラップ管内に親水性材料が充填され、
【0015】
前記第2のコールドトラップのコールドトラップ管内に疎水性有機物吸着材が充填され、
【0016】
前記制御モジュールは、3つの制御モードを含み、
【0017】
第1の制御モード:前記第1のコールドトラップ及び前記濃縮コールドトラップを共にコールド状態で作動させるように制御するとともに、管路における制御可能バルブを制御することで、サンプルガス源のサンプルガスが前記第1のコールドトラップ及び前記濃縮コールドトラップのコールドトラップ管を順に通過するとともに、サンプルガスを順次除水及び濃縮する。
【0018】
第2の制御モード:前記第1のコールドトラップをホット状態で作動させ、前記第2のコールドトラップをコールド状態で作動させるように制御するとともに、管路における制御可能バルブを制御することで、キャリアガス源のキャリアガスが前記第1のコールドトラップ及び前記第2のコールドトラップのコールドトラップ管を順に通過して、前記第1のコールドトラップのコールドトラップ管から脱着された有機物を吸着して、キャリアガスにより前記第1のコールドトラップのコールドトラップ管から脱着された水分を前記第2のコールドトラップのコールドトラップ管から運び出す。
【0019】
第3の制御モード:前記第1のコールドトラップ及び前記第2のコールドトラップを共にホット状態で作動させるように制御するとともに、管路における制御可能バルブを制御することで、キャリアガス源のキャリアガスが前記第1のコールドトラップ及び前記第2のコールドトラップのコールドトラップ管をそれぞれ通過した後、前記濃縮コールドトラップのコールドトラップ管に再進入して、前記第1のコールドトラップ及び前記第2のコールドトラップのコールドトラップ管から脱着された有機物を濃縮する。
【0020】
具体的な実施形態によれば、本発明のガス濃縮サンプリングのための除水装置において、前記第1のコールドトラップ、前記第2のコールドトラップ及び前記濃縮コールドトラップにはそれぞれ、ホット部材、コールド部材及び温度検出素子が設けられ、さらに、前記制御モジュールは、前記第1のコールドトラップ、前記第2のコールドトラップ及び前記濃縮コールドトラップの温度検出素子が検出した温度データにそれぞれ基づいて、そのホット部材又はコールド部材のパワーを制御する。
【0021】
具体的な実施形態によれば、本発明のガス濃縮サンプリングのための除水装置は、キャリアガス源から導入されたキャリアガスの圧力を調整するための圧力調整器をさらに含む。
【0022】
本発明はさらに、本発明のガス濃縮サンプリングのための除水装置を踏まえて、前記制御モジュールには、前記濃縮コールドトラップを脱着状態で作動させるように制御するとともに、管路における制御可能バルブを制御することで、キャリアガス源のキャリアガスを前記濃縮コールドトラップのコールドトラップ管に導入して、前記濃縮コールドトラップのコールドトラップ管から脱着された有機物を分析機器又はサンプル管に輸送することにより、ガス濃縮サンプリング及び分析機器への試料導入の自動制御を実現する第4の制御モードが設けられるガス濃縮サンプリングのための試料導入装置を提供する。
【発明の効果】
【0023】
発明の有益な効果は次のとおりである。
【0024】
本発明のガス濃縮サンプリングのための除水方法は、親水性材料が充填された第1のコールドトラップ管によりサンプルガスを除水し、さらに濃縮コールドトラップ管によりサンプルガスを濃縮し、次に、キャリアガスにより第1のコールドトラップ管からホット状態で脱着された成分を、コールド状態であって疎水性有機物吸着材が充填された第2のコールドトラップ管に輸送するとともに、第1のコールドトラップ管から脱着された有機物を吸着して、キャリアガスにより第1のコールドトラップ管から脱着された水分を第2のコールドトラップ管から運び出し、その後、キャリアガスにより、第1のコールドトラップ管及び第2のコールドトラップ管からホット状態で脱着された有機物を濃縮コールドトラップ管に輸送して、濃縮する。したがって、本発明は、濃縮サンプリングにおいて、水の極性と近い成分及び沸点の高い成分のロスを低減し、回収率を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1図1は本発明のガス濃縮サンプリングのための除水方法のフローチャートである。
図2図2は本発明のガス濃縮サンプリングのための除水装置の構造概略図である。
図3図3は本発明のガス濃縮サンプリングのための試料導入装置の管路接続を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、試験例及び具体的な実施形態を参照して本発明をさらに説明する。しかしながら、本発明の上記主題の範囲は、以下の実施例だけに限定されるものではなく、本発明の内容に基づいて実現されるすべての技術は、本発明の範囲に属することを理解されたい。
【0027】
図1に示すように、本発明のガス濃縮サンプリングのための除水方法は、以下のステップを含むことを特徴とする。
【0028】
a:サンプルガスをコールド状態であって親水性材料が充填された第1のコールドトラップ管に導入して、除水し、さらに前記第1のコールドトラップ管を通過したサンプルガスを、コールド状態にある濃縮コールドトラップ管に導入して、濃縮するステップ。具体的には、第1のコールドトラップに充填された親水性材料は、特にグラスウールのような有機物に対する吸着力が弱い親水性材料を用いる。
【0029】
b:キャリアガスをホット状態にある前記第1のコールドトラップ管に導入するとともに、キャリアガスにより、前記第1のコールドトラップ管から脱着された成分を、コールド状態であって疎水性有機物吸着材が充填された第2のコールドトラップ管に輸送し、前記第1のコールドトラップ管から脱着された有機物を吸着するとともに、キャリアガスにより、第1のコールドトラップ管から脱着された水分を、第2のコールドトラップ管から運び出すステップ。具体的には、第2のコールドトラップ管に充填された疎水性有機物吸着材がTenaxである。
【0030】
c:ホット状態にある前記第1のコールドトラップ管及び前記第2のコールドトラップ管にキャリアガスを同時に導入するとともに、キャリアガスにより前記第1のコールドトラップ管及び前記第2のコールドトラップ管から脱着された有機物を、コールド状態にある前記濃縮コールドトラップ管に輸送して、濃縮するステップ。濃縮コールドトラップ管に充填された材料は、濃縮を必要とする成分と関連し、当業者は具体的なニーズに応じて選択することができる。
【0031】
そして、本発明のガス濃縮サンプリングのための除水方法は、第1のコールドトラップ管及び第2のコールドトラップ管のコールド状態の温度が-10~-50℃であり、ホット状態が100~300℃であり、当業者が適用状況に応じて選択することができる。
【0032】
本発明はさらに、試料導入中に本発明のガス濃縮サンプリングのための除水方法を用いて除水した後、試料の供給中に除水を行った後、濃縮コールドトラップ管に濃縮された成分を脱着させ、濃縮コールドトラップ管を脱着温度に加熱するとともに、濃縮コールドトラップ管にキャリアガスを導入し、キャリアガスによって濃縮コールドトラップ管から脱着された有機物を、分析機器又はサンプル管に輸送するガス濃縮サンプリングのための試料導入方法を提供する。濃縮コールドトラップ管が脱着状態にある温度は、その濃縮された有機物の性質と相関する。
【0033】
図2に示すように、本発明のガス濃縮サンプリングのための除水装置は、第1のコールドトラップ1、第2のコールドトラップ2、濃縮コールドトラップ3及び制御モジュールを含む。第1のコールドトラップ管100内に親水性材料が充填され、第2のコールドトラップ管200内に疎水性有機物吸着材が充填される。濃縮コールドトラップ3は、濃縮コールドトラップ管300を有する。
【0034】
制御モジュールは、3つの制御モードを含み、
【0035】
第1の制御モード:第1のコールドトラップ1及び濃縮コールドトラップ3を共にコールド状態で作動させるように制御するとともに、管路における制御可能バルブを制御することで、サンプルガス源のサンプルガスが第1のコールドトラップ管100及び濃縮コールドトラップ管300を順に通過するとともに、サンプルガスを順次除水及び濃縮する。
【0036】
第2の制御モード:前記第1のコールドトラップ1をホット状態で作動させ、第2のコールドトラップ2をコールド状態で作動させるように制御するとともに、管路における制御可能バルブを制御することで、キャリアガス源のキャリアガスが第1のコールドトラップ管100及び前記第2のコールドトラップ管200を順に通過して、第2のコールドトラップ管200に充填された有機物吸着材が第1のコールドトラップ管100から脱着された有機物を吸着して、キャリアガスにより第1のコールドトラップ管100から脱着された水分を第2のコールドトラップ管200から運び出す。
【0037】
第3の制御モード:第1のコールドトラップ1及び第2のコールドトラップ2を共にホット状態で作動させ、濃縮コールドトラップ3をコールド状態で作動させるように制御するとともに、管路における制御可能バルブを制御することで、キャリアガス源のキャリアガスが前記第1のコールドトラップ管100及び第2のコールドトラップ管200をそれぞれ通過した後、濃縮コールドトラップ管300に再進入して、第1のコールドトラップ管100及び前記第2のコールドトラップ管200から脱着された有機物を濃縮する。
【0038】
具体的には、第1のコールドトラップ1、前記第2のコールドトラップ2及び前記濃縮コールドトラップ3にはそれぞれ、ホット部材、コールド部材及び温度検出素子が設けられている。さらに、前記制御モジュールは、前記第1のコールドトラップ、前記第2のコールドトラップ及び前記濃縮コールドトラップの温度検出素子が検出した温度データにそれぞれ基づいて、そのホット部材又はコールド部材のパワーを制御する。実施に際しては、キャリアガス源の導入管路には、キャリアガス源から導入されたキャリアガスの圧力を調整するための圧力調整器が設けられてもよく、圧力調整器は制御モジュールによって制御されてもよい。
【0039】
本発明のガス濃縮サンプリングのための除水装置において、具体的な管路構造は、所定数の管路と制御可能バルブとを接続して構成されてもよく、そして、当業者は、制御モジュールの各制御モードにおける対応するガス通路関係に基づいて、管路構造と第1のコールドトラップ管、第2のコールドトラップ管、濃縮コールドトラップ管、サンプルガス源及びキャリアガス源とのそれぞれの具体的な接続関係を確定することができ、例えば、制御可能バルブには、市販の三方バルブ、六方バルブ、切換バルブ及び開閉バルブ等を用いることができるので、ここでは詳しい説明を省略する。
【0040】
さらに、本発明のガス濃縮サンプリングのための除水装置をガス濃縮サンプリングのための試料導入装置に設けることができ、即ち制御モジュールの制御機能を直接用いて、制御モジュールには、濃縮コールドトラップ3を脱着状態で作動させるように制御するとともに、管路における制御可能バルブを制御することで、キャリアガス源のキャリアガスを前記濃縮コールドトラップ管300に導入して、前記濃縮コールドトラップのコールドトラップ管から脱着された有機物を分析機器又はサンプル管に輸送することにより、ガス濃縮サンプリング及び分析機器への試料導入の自動制御を実現する第4の制御モードが設けられる。
【0041】
本発明における制御モジュールは、スイッチング信号出力機能及びアナログ信号収集機能を有するデバイスであり、例えば、市販のPLCコントローラ又はシングルチップマイコン等の集積デバイスである。
【0042】
図3に示される本発明のガス濃縮サンプリングのための試料導入装置の管路接続を示す図は、制御モジュールを示さず、該ガス濃縮サンプリングのための試料導入装置の具体的な動作原理は以下の通りであり、
【0043】
キャリアガスは、それぞれ2つの圧力調整を経てそれぞれ2つの異なる圧力出力のキャリアガスに調整され、出力圧力がP1のキャリアガスは、3方路開閉バルブを介して切換バルブ403のポート2に至り、そのポート1を介して出力され、輸送ラインにキャリアガスが供給される。出力圧力がP2のキャリアガスは、一方の開閉バルブを経て切換バルブ402のポート3に至り、そのポート2により切換バルブ403のポート3に出力され、切換バルブ403のポート3~6は連通するため、そのポート6を経て濃縮コールドトラップ管300の一端に出力されるとともに、出力圧力がP2のキャリアガスは、一方の開閉バルブを経て濃縮コールドトラップ管300の他端に出力され、濃縮コールドトラップ管300の脱着試料導入にキャリアガスが供給される。
【0044】
サンプルガスは、一つの多方バルブを経て切換バルブ401の2番ポートに出力され、切換バルブ401の1番ポートから第1のコールドトラップ管100の一端に出力され、サンプルガスは、第1のコールドトラップ管100を通過した後、切換バルブ402のポート1、ポート2、切換バルブ403のポート3~6を経て濃縮コールドトラップ管300に至り、濃縮コールドトラップ管300を通過した後、切換バルブ402のポート5、ポート6、1つの開閉バルブ、流量制御器を経てポンプに至る。第1のコールドトラップ管100は、-30℃の低温吸着状態であって親水性材料が充填されているので、サンプルガス中の水分を吸収するとともに、濃縮コールドトラップ管300も-30℃の低温吸着状態にあるので、濃縮コールドトラップ管300は、サンプルガスを濃縮する。
【0045】
次に、出力圧力がP2のキャリアガスは、切換バルブ401のポート6、ポート1を経て第1のコールドトラップ管100に出力され、キャリアガスは、第1のコールドトラップ管100を経て第2のコールドトラップ管200に入り、第2のコールドトラップ管200の他端から排出される。この過程で、第1のコールドトラップ管100は、300℃のホット状態で動作し、第2のコールドトラップ管200は、-30℃の低温吸着状態で動作するため、キャリアガスは、第1のコールドトラップ管100から脱着された成分を第2のコールドトラップ管200に輸送し、第2のコールドトラップ管200に疎水性有機物吸着材が充填されているため、第1のコールドトラップ管100から脱着された有機物を吸着できるとともに、キャリアガスは、第1のコールドトラップ管100から脱着された水分を第2のコールドトラップ管200から運び出し、除水過程が完了する。
【0046】
そして、出力圧力がP2のキャリアガスは、切換バルブ401のポート6、ポート1を経て、第1のコールドトラップ管100及び第2のコールドトラップ管200にそれぞれ出力され、第1のコールドトラップ管100及び第2のコールドトラップ管200は、切換バルブ402のポート1に共通に接続され、さらに切換バルブ402のポート2、切換バルブ403のポート3~6を経て、濃縮コールドトラップ管300に至り、濃縮コールドトラップ管300を経て、切換バルブ402のポート5、ポート6、一方の開閉バルブ、流量制御器を経てポンプに至る。この過程で、第1のコールドトラップ管100及び第2のコールドトラップ管200を共にホット状態で作動させ、濃縮コールドトラップ3を-30℃の低温吸着状態で作動させるように制御するので、キャリアガスは、第1のコールドトラップ管100及び第2のコールドトラップ管200から脱着された有機物を濃縮コールドトラップ管300に輸送して濃縮することができる。
【0047】
そして、ガス濃縮サンプリングの除水処理が終了した後、濃縮された成分を分析機器又はサンプル管に送る必要があり、出力圧力がP2のキャリアガスは、濃縮コールドトラップ管300を通過し、濃縮コールドトラップ管300を経て切換バルブ403のポート6、ポート1を経て分析機器又はサンプル管に出力されるが、濃縮された試料の濃度が高すぎる場合には、切換バルブ403のポート5に開閉バルブ及び流量調整バルブをさらに接続することにより、高濃度試料の分流を実現することができる。
図1
図2
図3
【国際調査報告】