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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-27
(54)【発明の名称】抗ウイルス組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 36/03 20060101AFI20220120BHJP
   A61P 31/12 20060101ALI20220120BHJP
   A61K 31/085 20060101ALI20220120BHJP
   A61K 31/05 20060101ALI20220120BHJP
   A61K 31/357 20060101ALI20220120BHJP
【FI】
A61K36/03
A61P31/12
A61K31/085
A61K31/05
A61K31/357
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021531687
(86)(22)【出願日】2019-12-05
(85)【翻訳文提出日】2021-07-29
(86)【国際出願番号】 GB2019053439
(87)【国際公開番号】W WO2020115489
(87)【国際公開日】2020-06-11
(31)【優先権主張番号】1819849.9
(32)【優先日】2018-12-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519053153
【氏名又は名称】ビョートロル ピーエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】エヴァンズ, ヒュー
(72)【発明者】
【氏名】プラマー, クリストファー
(72)【発明者】
【氏名】ラック, マティアス
(72)【発明者】
【氏名】マッシナーニー, ローズ エリザベス ピアシー
(72)【発明者】
【氏名】バーンズ, ローレン マイレッド
【テーマコード(参考)】
4C086
4C088
4C206
【Fターム(参考)】
4C086AA01
4C086AA02
4C086BA15
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZB33
4C088AA13
4C088BA08
4C088BA24
4C088CA03
4C088CA08
4C088CA11
4C088NA14
4C088ZB33
4C206AA01
4C206AA02
4C206CA19
4C206CA28
4C206MA01
4C206MA04
4C206NA14
4C206ZB33
(57)【要約】
本発明は、抗ウイルス特性を有するフロロタンニン、特に約1000g/mol~約3000g/molの分子量を有するものであって、海藻からの抽出物として得られるか、または入手可能であり得るフロロタンニンに関し、本発明は、抗ウイルス剤としてのフロロタンニンまたは抽出物の使用を含む。加えて、抗ウイルス特性を有する組成物におけるフロロタンニンまたは抽出物の使用、および抗ウイルス剤としての当該組成物の使用。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
抗ウイルス剤としての使用のための、約1000g/mol~約3000g/molの分子量を有するフロロタンニンまたはフロロタンニンの混合物。
【請求項2】
約1000g/mol~約3000g/molの分子量を有する1つ以上のフロロタンニンの、抗ウイルス剤としての使用。
【請求項3】
抗ウイルス組成物の製造における、約1000g/mol~約3000g/molの分子量を有する1つ以上のフロロタンニンの使用。
【請求項4】
約1000g/mol~約3000g/molの分子量を有する1つ以上のフロロタンニンを含む抗ウイルス組成物。
【請求項5】
抗ウイルス組成物としての使用のための、約1000g/mol~約3000g/molの分子量を有する1つ以上のフロロタンニンを含む組成物。
【請求項6】
約1000g/mol~約3000g/molの分子量を有する1つ以上のフロロタンニンを含む組成物の、抗ウイルス組成物としての使用。
【請求項7】
前記フロロタンニンまたはフロロタンニンの混合物が、褐海藻から得られるか、または入手可能である、請求項1~6のいずれか一項に記載の使用のためのフロロタンニンもしくはフロロタンニンの混合物、組成物、使用のための組成物、または使用。
【請求項8】
前記フロロタンニンまたはフロロタンニンの混合物が、Ascophyllum nodosumから得られるか、または入手可能である、請求項1~6のいずれか一項に記載の使用のためのフロロタンニンもしくはフロロタンニンの混合物、組成物、使用のための組成物、または使用。
【請求項9】
前記ウイルスが、エンベロープまたは非エンベロープである、請求項1~8のいずれか一項に記載の使用のためのフロロタンニンもしくはフロロタンニンの混合物、組成物、使用のための組成物、または使用。
【請求項10】
前記ウイルスが、ウイルスのボルティモア分類の群I、II、III、またはVのうちの1つ以上に由来する、請求項1~8のいずれか一項に記載の使用のためのフロロタンニンもしくはフロロタンニンの混合物、組成物、使用のための組成物、または使用。
【請求項11】
前記使用が、ウイルス感染を治療または予防する、請求項1~10のいずれか一項に記載の使用のためのフロロタンニンもしくはフロロタンニンの混合物、組成物、使用のための組成物、または使用。
【請求項12】
褐海藻から得られるか、または入手可能である、抽出物であって、前記抽出物が、1つ以上のフロロタンニンを含み、前記乾燥抽出物中の前記フロロタンニンの乾燥重量に基づいて少なくとも約70重量%が、前記抽出物の乾燥重量に基づいて約1000g/mol~約3000g/molの分子量を有する、抽出物。
【請求項13】
前記抽出物の乾燥重量に基づいて約50重量%~約100重量%、例えば、前記抽出物の乾燥重量に基づいて約60~95重量%または約70重量%~約90重量%のフロロタンニンを含む、請求項12に記載の抽出物。
【請求項14】
前記抽出物が、Ascophyllum nodosumから得られるか、または入手可能である、請求項12または13に記載の抽出物。
【請求項15】
水アルコール抽出溶媒を使用する、請求項12~14のいずれか一項に記載の抽出物を得る方法。
【請求項16】
有機溶媒での抽出をさらに含み、かつ/または前記抽出物を精製することをさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
抗ウイルス剤としての使用のための、請求項12~14のいずれか一項に記載の抽出物。
【請求項18】
抗ウイルス剤としての、請求項12~14のいずれか一項に記載の抽出物の使用。
【請求項19】
請求項12~14のいずれか一項に記載の抽出物を含む抗ウイルス組成物。
【請求項20】
抗ウイルス剤としての使用のための、請求項12~14のいずれか一項に記載の抽出物を含む組成物。
【請求項21】
前記使用が、ウイルス感染を治療または予防する、請求項17~20のいずれか一項に記載の使用のための抽出物、組成物、使用のための組成物、または使用。
【請求項22】
前記フロロタンニンまたはフロロタンニンの混合物が、請求項12~14のいずれか一項に記載の抽出物の形態である、請求項1~11のいずれか一項に記載の使用のためのフロロタンニンもしくはフロロタンニンの混合物、組成物、使用のための組成物、または使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抗ウイルス剤としてのフロロタンニンまたは抽出物の使用を含む、海藻からの抽出物として得られるか、または入手可能であり得る、抗ウイルス特性を有するフロロタンニンに関する。加えて、抗ウイルス特性を有する組成物におけるフロロタンニンまたは抽出物の使用、および抗ウイルス剤としての当該組成物の使用。
【0002】
本明細書で明らかに先に公表された文献のリストまたは考察は、その文献が最新技術の一部であるか、または共通の一般知識であることを認めるものと必ずしも解釈されるべきではない。
【0003】
海藻または大型藻類は、典型的には3つのタイプ、紅(Rhodophyta)、褐(Phaeophyta)、緑(Chlorophyta)に分類される。藻の4番目のタイプ、房を形成する藍藻(シアノバクテリア)があり、海藻とみなされることもある。約10,000種の海藻があり、そのうち約6,500が紅藻、2,000が褐藻、1,500が緑藻である。
【0004】
褐藻(または褐海藻)は、海藻の最大のタイプである。褐藻は、褐色または黄褐色であり得、典型的には、北半球の温帯または北極海域に見られる。褐藻は、典型的には、藻を表面に固定するための「ホールドファスト」と呼ばれる根のような構造を有する。
【0005】
紅および褐藻は、ほぼ例外なく海洋性であるが、緑藻は、淡水(川および湖)、さらに陸上(岩、壁、家、および湿った場所の樹皮)の状況でも一般的である。
【0006】
ポリフェノール化合物は、様々な陸生および海生植物に存在する。フロロタンニンとして知られるポリフェノールの一種は、褐海藻にのみ見られる。フロロタンニンは、フロログルシノール単位の重合を通して形成される。
【0007】
フロロタンニンは、二次代謝産物として海藻によって生成され、酢酸マロン酸経路を介して生合成される。それらは、海藻中に遊離形態で存在するか、またはアルギン酸などの細胞壁の異なる成分と複合体を形成する。フロロタンニンは、海藻の生理学的完全性に不可欠であり、化学防御、栄養素の利用可能性および紫外線放射の変化に応じて発生する酸化的損傷に対する保護、他の生物または非生物的環境との相互作用などの、いくつかの重要な二次的役割に関与し、ならびに細胞壁の不可欠な成分である。
【0008】
一般に、フロロタンニンは、フロログルシノール単位間の結合タイプおよび/または追加のヒドロキシル基の存在に基づいて、4つのサブクラスに分けられ、サブクラスは、以下の通りである。
1.エーテル結合を有するフロロタンニン(すなわち、フロロエトールおよびフハロール、フハロールは、パラおよびオルト配置エーテル架橋で接続され、3環毎に1つの追加のOH基を含有する、フロログルシノール単位で構成される)。
2.フェニル結合を有するフロロタンニン(すなわち、フコール)。
3.エーテルおよびフェニル結合を有するフロロタンニン(すなわち、フコフロレトール)
4.ジベンゾジオキシン結合を有するフロロタンニン。(すなわち、エクコールおよびカルマロール)
【0009】
フロロタンニンの結合のタイプの例を以下に示す。
【0010】
これらの化合物の分子量は、126~10g/mol超の範囲であり得る。海藻中のポリフェノールの量は、生息地、収穫時期、周囲の水域における光強度曝露および栄養素利用可能性、ならびに種によって異なる。
【0011】
フロロタンニンを含む、フェノール化合物の総含有量は、典型的には、フォーリン-チオカルト法などの比色アッセイによって測定され、フェノール類の濃度は、典型的には、海藻の乾燥質量の0.1~20%の範囲であり、同様に上記因子に依存する。多くの場合、高分解能NMRによって補完された、質量分析と組み合わされた液体クロマトグラフ法は、フェノール含有量の化学組成に関する情報を提供するために使用することができる。
【0012】
これらの技法を使用して、フロログルシノール単位の重合度(DP)、分子量、フロログルシノール単位間の結合タイプ、および存在する異性体などの情報を得ることが可能である。存在する化学種の複雑さおよび膨大な多様性のために、そのような研究は、少しも単純ではなく、フロロタンニンを抽出して分別し、次いで分析して結果を解釈するためには多大な労力および実験技法を必要とする。
【0013】
本発明の目的は、天然源から得られるか、または入手可能である抗ウイルス剤を提供することである。
【0014】
本発明者らは、驚くべきことに、フロロタンニンなどのポリフェノールを含む、褐海藻などの海藻から得られるか、または入手可能である抽出物が抗ウイルス活性を有することを見出した。
【0015】
本発明によれば、抗ウイルス剤としての使用のためのフロロタンニンまたはフロロタンニンの混合物が提供される。特に、抗ウイルス剤としての使用のための、約1000g/mol~約3000g/molの分子量を有するフロロタンニンまたはフロロタンニンの混合物。フロロタンニンは、ウイルス感染を治療または予防するために使用され得る。
【0016】
ウイルス感染を治療または予防する薬剤などの抗ウイルス剤としての、1つ以上のフロロタンニンの使用も提供される。特に、抗ウイルス剤としての約1000g/mol~約3000g/molの分子量を有する1つ以上のフロロタンニンの使用。
【0017】
ウイルス感染を治療または予防するために使用される組成物などの抗ウイルス組成物の製造における、1つ以上のフロロタンニンの使用も提供される。特に、ウイルス感染を治療または予防するために使用される組成物などの抗ウイルス組成物の製造における、約1000g/mol~約3000g/molの分子量を有する1つ以上のフロロタンニンの使用。
【0018】
本発明のフロロタンニンは、海藻から得られるか、または入手可能である抽出物として提供され得る。
【0019】
よって、本発明によれば、海藻から得られるか、または入手可能である抽出物が提供され、これは、以降「本発明の抽出物」と称され得る。
【0020】
本発明の抽出物は、ポリフェノールを含む。本発明の抽出物中に存在するフェノール化合物は、典型的には、フロロタンニンとして知られる、少なくとも2フロログルシノール単位のオリゴマーを含む。特に、本発明の抽出物は、1つ以上のフロロタンニンを含む。
【0021】
本発明の抽出物は、褐、緑、および紅海藻から選択される少なくとも1つの海藻から得られるか、または入手可能であり得る。例えば、海藻は、褐海藻から得られるか、または入手可能であり得る。
【0022】
例えば、本発明の抽出物は、海藻ファミリー:Fucaceae、Himanthaliaceae、Durvillaeacae、Laminariaceae、Alariaceae、および/またはSargassaceaeからの少なくとも1つの海藻から得られるか、または入手可能であり得る。
【0023】
特に、本発明の抽出物は、以下の属:Ascophyllum、Fucus、Hesperophycus、Pelvetia、Pevetiopsi Silvetia、Himanthalia、Durvillaea、Anthrothamnus、Costularia、Cymathere、Feditia、Laminaria、Macrocystis、Nereocystis、Pelagophycus、Phyllariella、Postelsia、Pseudolessonia、Saccharina、Steptophyllopsis、Alaria、Aureophycus、Eualaria、Lessoniopsis、Pleurophycus、Undaria、Undariella、Undariopsis Acrocarpia、Acystis、Anthophycus、Axillariella、Bifurcaria、Carpoglossum、Carpophyllum、Caulocystis、Cladophyllum、Coccophora、Cystophora、Cystophyllum、Cystoseira、Halidrys、Hizikia、Hormophysa、Landsburgia、Myagropsis、Myriodesma、Nizamuddinia、Oerstedtia、Platythalia、Sargassum、Scaberia、および/またはTurbinariaのうちの1つ以上から選択される少なくとも1つの海藻から得られるか、または入手可能であり得る。
【0024】
例えば、本発明の抽出物は、Ascophyllum nodosumから得られるか、または入手可能であり得る。
【0025】
当業者によって理解されるように、本明細書で使用される場合「~から入手可能である」という用語は、抽出物が海藻から得られ得るか、もしくは海藻から単離され得るか、または例えば、化学合成もしくは酵素生産によって、代替源から得られ得ることを意味する。一方、本明細書で使用される「得られる」という用語は、抽出物が海藻源に直接由来することを意味する。
【0026】
本発明の抽出物は、抽出物の乾燥重量に基づいて、約1重量%~約100重量%、例えば、約1重量%~95重量%、または2~90重量%、または2重量%~約80重量%、または約5重量%~約70重量%、または約8重量%~約65重量%のフロロタンニンを含み得る。
【0027】
本発明の粗抽出物は、典型的には、フロロタンニンに加えて、フコイダンおよびラミナランなどの多糖類、マンニトールなどの単糖類、および塩化ナトリウムなどの鉱物を含むであろう。典型的には、フロロタンニンは、粗抽出物中に抽出物の約1%~約20%または約30%の量で存在するであろう。当該技術分野で知られている精製技術を使用して、多糖類および単糖類などの材料を除去し、それによってフロロタンニンの濃度を増加させることができる。
【0028】
1つ以上の精製ステップに供された本発明の抽出は、抽出物の乾燥重量に基づいて最大約100重量%のフロロタンニンを含み得る。例えば、そのような抽出物は、抽出物の乾燥重量に基づいて少なくとも約50重量%のフロロタンニンを含み得る。本発明のこれらの抽出物は、抽出物の乾燥重量に基づいて約50重量%~約100重量%のフロロタンニン、例えば、抽出物の乾燥重量に基づいて約60~約95重量%または約70~約90重量%を含み得る。
【0029】
本発明の抽出物中に存在するものなどの本発明のフロロタンニンは、例えば、少なくとも約2または少なくとも約10フロログルシノール単位の平均、例えば、約10~約50フロログルシノール単位の平均、例えば、約10~約30、または約10~約25、または約10~約23フロログルシノール単位の平均を含み得る。
【0030】
本発明の抽出物中に存在するものなどの本発明のフロロタンニンは、乾燥抽出物中のフロロタンニンの乾燥重量に基づいて少なくとも約70重量%の、少なくとも10フロログルシノール単位の平均、例えば、約10~23フロログルシノール単位の平均を有するフロロタンニンを含み得る。例えば、乾燥抽出物中のフロロタンニンの乾燥重量に基づいて約75重量%~約100重量%、または約80重量%~約95重量%のそのようなフロロタンニン。
【0031】
本発明の抽出物中に存在するものなどの本発明のフロロタンニンは、乾燥抽出物中のフロロタンニンの乾燥重量に基づいて少なくとも約70重量%の、250g/mol超の平均分子量を有するフロロタンニンを含み得る。例えば、乾燥抽出物中のフロロタンニンの乾燥重量に基づいて約75重量%~約100重量%、または約80重量%~約95重量%のそのようなフロロタンニン。
【0032】
本発明の抽出物中に存在するものなどの本発明のフロロタンニンは、乾燥抽出物中のフロロタンニンの乾燥重量に基づいて少なくとも約70重量%の、1000g/mol超、例えば、約1000g/mol~約3000g/mol、例えば、約1200g/mol~約2500g/molの平均分子量を有するフロロタンニンを含み得る。例えば、乾燥抽出物中のフロロタンニンの乾燥重量に基づいて、約75重量%~約100重量%または約80重量%~約95重量%の、1000g/mol超、例えば、約1000g/mol~約3000g/mol、例えば、約1200g/mol~約2500g/molの平均分子量を有する、そのようなフロロタンニン。
【0033】
本発明の抽出物中に存在するものなどの本発明のフロロタンニンは、約1000g/mol超、例えば、約1000g/mol~約3000g/mol、例えば、約1200g/mol~約2500g/molの平均分子量を有し得る。
【0034】
例えば、20重量%未満のフロロタンニンは、1000g/mol未満または3000g/mol超、例えば、10%未満または5%未満の平均分子量を有し得る。いくつかの態様では、本発明の抽出物中に存在するものなどの、本発明のフロロタンニンは、1000g/mol未満または3000g/mol超の平均分子量を有さない場合もある。
【0035】
本発明の抽出物中に存在するものなどの、本発明のフロロタンニンを構成するフロログルシノール単位は、フェニル結合、エーテル結合、およびジベンゾジオキシン結合、ならびにそれらの組み合わせからなる群から選択される結合のうちの少なくとも1つを通して結合され得る。
【0036】
本発明の抽出物中に存在するものなどの、本発明のフロロタンニンを構成するフロログルシノール単位は、線状鎖、分岐鎖、またはそれらの混合物を形成するように結合され得る。
【0037】
本発明のいくつかの抽出物は、海藻に由来するか、もしくは海藻から誘導可能な多糖類を含まない(すなわち、多糖類を含まない)場合もあり、または少量、例えば、抽出物の乾燥重量に基づいて、約0%~約30%もしくは約0%~約20%、例えば、約0%~約10%もしくは約0%~約5%もしくは約0%~約1%の、海藻に由来するか、もしくは海藻から誘導可能な多糖類を含む(すなわち、多糖類を実質的に含まない)。
【0038】
例えば、本発明の抽出物は、固相抽出(SPE)またはタンジェンシャルフロー濾過(TFF)を使用するなどの、多糖類を除去するために当該技術分野で知られている技法を使用して精製されていてもよい。このような抽出物は、本発明の精製抽出物と称され得る。
【0039】
本発明のいくつかの抽出物は、海藻に由来するか、もしくは海藻から誘導可能な抗ウイルス多糖類を含まない(すなわち、抗ウイルス多糖類を含まない)場合もあり、または少量、例えば、抽出物の乾燥重量に基づいて、約0%~約30%もしくは約0%~約20%、例えば、約0%~約10%もしくは約0%~約5%もしくは約0%~約1%の、海藻に由来するか、もしくは海藻から誘導可能な抗ウイルス多糖類を含む(すなわち、抗ウイルス多糖類を実質的に含まない)。
【0040】
本発明のいくつかの抽出物は、海藻に由来するか、もしくは海藻から誘導可能なフコイダンを含まない(すなわち、フコイダンを含まない)場合もあり、または少量、例えば、抽出物の乾燥重量に基づいて、約0%~約30%もしくは約0%~約20%、例えば、約0%~約10%もしくは約0%~約5%もしくは約0%~約1%の、海藻に由来するか、もしくは海藻から誘導可能なフコイダンを含む(すなわち、フコイダンを実質的に含まない)。
【0041】
本発明の抽出物中に存在するものなどの本発明のフロロタンニンは、海藻などの生物学的材料からの抽出および/または単離を介して得られ得る。
【0042】
抽出および/または単離に使用される溶媒は、水、アルコール、有機、またはそれらの混合物であり得る。
【0043】
本明細書で使用される「水性抽出物」という用語は、海藻からの抽出が水を唯一の溶媒として使用して行われた場合、海藻から得られるフロロタンニンおよび/または抽出物を指す。
【0044】
本明細書で使用される「アルコール抽出物」という用語は、海藻からの抽出がアルコールを溶媒として使用して行われた場合、海藻から得られるフロロタンニンおよび/または抽出物を指す。アルコール溶媒は、アルコールのみ(例えば、100%アルコール)、例えば、100%エタノールからなり得る。
【0045】
本明細書で使用される「水アルコール抽出物」という用語は、海藻からの抽出がアルコールおよび水の混合物を溶媒として使用して行われた場合、海藻から得られるフロロタンニンおよび/または抽出物を指す。例えば、水中の約1%~約99%のアルコール。例えば、エタノールおよび水の混合物。例えば、溶媒は、水中の10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、または90%のアルコール、例えば、水中の60%のアルコール(新鮮な海藻が使用される場合、海藻中に存在する水を含む、溶媒の総量に基づく)であり得る。例えば、溶媒は、水中の約10%のアルコール(すなわち、エタノール)~水中の約90%のアルコール、例えば、約20%~約80%または約30%~約70%または40%~約60%であり得る。言及され得るアルコールには、エタノール(EtOH、水エタノール)およびメタノール(MeOH、水メタノール)が含まれる。本発明のいくつかの態様では、水エタノール抽出溶媒の使用が好ましい。
【0046】
本明細書で使用される「有機抽出物」という用語は、植物からの抽出がアルコールではない有機溶媒を溶媒として使用して行われた場合、海藻から得られるフロロタンニンおよび/または抽出物を指す。例えば、有機溶媒は、酢酸、アセトン、アセトニトリル、ベンゼン、1-ブタノール、2-ブタノール、2-ブタノン、四塩化炭素、クロロベンゼン、クロロホルム、シクロヘキサン、1,2-ジクロロエタン、ジエチレン、グリコール、ジエチルエーテル、ジグライム(ジエチレングリコール、ジメチルエーテル)、1,2-ジメトジ-エタン(グライム、DME)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、1,4-ジオキサン、酢酸エチル、エチレングリコール、グリセリン、ヘプタン、ヘキサメチルホスホルアミド(HMPA)、ヘキサメチル亜リン酸トリアミド(HMPT)、ヘキサン、メチルt-ブチルエーテル(MTBE)、塩化メチレン、N-メチル-2-ピロリジノン(NMP)、ニトロメタン、ペンタン、石油エーテル(リグロイン)、1-プロパノール、2-プロパノール、ピリジン、テトラヒドロフラン(THF)、トルエン、トリエチルアミン、o-キシレン、m-キシレン、およびp-キシレンからなる群から選択され得る。
【0047】
例えば、本発明のフロロタンニンおよび/または本発明の抽出物は、水アルコール性抽出溶媒を使用する(すなわち、水アルコール性抽出物である)褐海藻から得られるか、または入手可能であり得る。
【0048】
水アルコール性溶媒の使用は、海藻(褐海藻など)からのより低分子量および/またはより水溶性の化合物の選択的抽出を可能にし得る。例えば、本発明の抽出物が水アルコール性褐海藻抽出物(すなわち、水エタノール性抽出物)である場合、1つ以上のフロロタンニンは、約10~約30もしくは約10~約23フロログルシノール単位および/または1000g/mol以上、例えば、約1000g/mol~約3000g/molもしくは約12000g/mol~約2500g/molの平均分子量を有し得る。
【0049】
例えば、抽出物は、1つ以上のフロロタンニンを含む褐海藻から得られるか、または入手可能であり得、乾燥抽出物中のフロロタンニンの乾燥重量に基づいて少なくとも約70重量%は、抽出物の乾燥重量に基づいて約1000g/mol~約3000g/molの分子量を有する。
【0050】
水溶性という用語によって、我々は、組成物の少なくとも約2%(すなわち、100mlあたり少なくとも約2g)、例えば、少なくとも約5%、10%、20%、40%、60%、または70%(すなわち、100mlあたり少なくとも約5g、10g、20g、40g、60g、または70g)が、室温、すなわち、約25℃の温度で水に溶解するであろうことを意味する。
【0051】
本発明の抽出物は、水アルコール(水エタノール)抽出溶媒(すなわち、水アルコール(水エタノール)抽出物)を使用して、褐海藻から得られるか、または入手可能であり得、抽出物は、抽出物の乾燥重量に基づいて、約1重量%~約100重量%、例えば、約1重量%~95重量%、または2~90重量%、または2重量%~約80重量%、または約5重量%~約70重量%、または約8重量%~約65重量%の1つ以上のフロロタンニンを含む。
【0052】
本発明の抽出物は、水アルコール(水エタノール)抽出溶媒(すなわち、水アルコール(水エタノール)抽出物)を使用して、褐海藻から得られるか、または入手可能であり得、抽出物は、抽出物の乾燥重量に基づいて、約1重量%~約100重量%、例えば、約1重量%~95重量%、または2~90重量%、または2重量%~約80重量%、または約5重量%~約70重量%、または約8重量%~約65重量%の1つ以上のフロロタンニンを含み、1つ以上のフロロタンニンは、約10~約30フロログルシノール単位または約10~約23フロログルシノール単位を有し、例えば、乾燥抽出物中のフロロタンニンの乾燥重量に基づいて少なくとも約70重量%は、約10~約30フロログルシノール単位または約10~約23フロログルシノール単位を有する。
【0053】
本発明の抽出物は、水アルコール(水エタノール)抽出溶媒(すなわち、水アルコール(水エタノール)抽出物)を使用して、褐海藻から得られるか、または入手可能であり得、抽出物は、抽出物の乾燥重量に基づいて、約1重量%~約100重量%、例えば、約1重量%~95重量%、または2~90重量%、または2重量%~約80重量%、または約5重量%~約70重量%、または約8重量%~約65重量%の1つ以上のフロロタンニンを含み、1つ以上のフロロタンニンは、1000g/mol以上、例えば、約1000g/mol~約3000g/molまたは約1200g/mol~約2500g/molの平均分子量を有し、例えば、乾燥抽出物中のフロロタンニンの乾燥重量に基づいて少なくとも約70重量%は、抽出物の乾燥重量に基づいて約1000g/mol~約3000g/molの分子量を有する。
【0054】
本発明の抽出物は、水アルコール(水エタノール)抽出溶媒(すなわち、水アルコール(水エタノール)抽出物)を使用して、褐海藻から得られるか、または入手可能であり得、抽出物は、抽出物の乾燥重量に基づいて、約1重量%~約100重量%、例えば、約1重量%~95重量%、または2~90重量%、または2重量%~約80重量%、または約5重量%~約70重量%、または約8重量%~約65重量%の1つ以上のフロロタンニンを含み、1つ以上のフロロタンニンは、約10~約30フロログルシノール単位または約10~約23フロログルシノール単位を有し、1000g/mol以上、例えば、約1000g/mol~約3000g/molまたは約1200g/mol~約2500g/molの平均分子量を有し、例えば、乾燥抽出物中のフロロタンニンの乾燥重量に基づいて少なくとも約70重量%は、約10~約30フロログルシノール単位もしくは約10~約23フロログルシノール単位を有し、かつ/または抽出物の乾燥重量に基づいて約1000g/mol~約3000g/molの分子量を有する。
【0055】
本発明の精製抽出物は、水アルコール(水エタノール)抽出溶媒(すなわち、水アルコール(水エタノール)抽出物)を使用して、褐海藻から得られるか、または入手可能であり得、抽出物は、抽出物の乾燥重量に基づいて、約1重量%~約100重量%、例えば、約1重量%~95重量%、または2~90重量%、または2重量%~約80重量%、または約5重量%~約70重量%、または約8重量%~約65重量%の1つ以上のフロロタンニンを含み、1つ以上のフロロタンニンは、約10~約30フロログルシノール単位または約10~約23フロログルシノール単位を有し、1000g/mol以上、例えば、約1000g/mol~約3000g/molまたは約1200g/mol~約2500g/molの平均分子量を有し、例えば、乾燥抽出物中のフロロタンニンの乾燥重量に基づいて少なくとも約70重量%は、抽出物の乾燥重量に基づいて約1000g/mol~約3000g/molの分子量を有し、海藻に由来するか、またはこれから誘導可能である多糖類を含まない(すなわち、多糖類を含まない)場合があり得、少量の海藻に由来するか、またはこれから誘導可能である多糖類、例えば、抽出物の乾燥重量に基づいて約0%~約10%、例えば、約0%~約5%、例えば、約0%~約1%を含む(すなわち、多糖類を実質的に含まない)。
【0056】
本発明のその抽出物を得るために使用される抽出プロセスは、2つ以上の抽出ステップを含み得る。例えば、海藻は、粗抽出生成物を生成するために、水エタノール抽出などの水アルコール抽出に供され得る。次いで、この粗抽出生成物は、1つ以上のさらなる抽出ステップに供され得る。これらのさらなるステップでは、同じ水アルコール溶媒が使用され得るか、または異なる水アルコール溶媒が使用され得る(例えば、アルコール対水の比は様々であり得る)か、または酢酸エチルなどの有機溶媒が溶媒として使用され得る。必要に応じて、抽出溶媒を抽出ステップ間に除去するために、粗抽出物を乾燥させてもよい。
【0057】
例として、水エタノール抽出に続いて、酢酸エチルでの抽出が行われ得る。水エタノール抽出後に得られる粗抽出物は、酢酸エチルでの抽出前に乾燥させてもよい。
【0058】
本明細書に別段の記載がない限り、列挙される重量パーセンテージは、乾燥形態で得られる抽出物の総重量に基づく。例えば、いくつかの態様では、列挙される重量パーセンテージは、乾燥抽出物の総重量に基づく。抽出物は、固体または液体であり得る。
【0059】
本明細書で使用される「乾燥」という用語は、例えば、本発明の抽出物に言及する場合、溶媒、例えば、抽出に使用される溶媒を含まない固体または液体抽出物のいずれかを指し、溶媒の少なくとも95%は、蒸発などを介して除去されている。
【0060】
疑義を避けるために、本発明の所与の態様、特徴、またはパラメータについて示される選好、選択肢、特定の特徴などは、文脈が別段のことを示さない限り、本発明の同じまたは他の態様、特徴、およびパラメータについて示されるあらゆるすべての他の選好、選択肢、特定の特徴などと組み合わせて開示されたものとみなされるべきである。
【0061】
本明細書で使用される「約」という用語は、例えば、測定可能な値(反応混合物中の特定の成分の量または重量など)を指す場合、指定量の±20%、±10%、±5%、±1%、±0.5%、または、特に、±0.1%の変動を指す。
【0062】
当業者は、本発明のフロロタンニンおよび/または本発明の抽出物(抽出溶媒が除去された後)が、固体形態または油などの液体形態で提供され得ることを理解するであろう。固体形態とは、本発明のフロロタンニンおよび/または抽出物が、非晶質固体として、または結晶性もしくは部分結晶性固体として提供され得ることが含まれる。
【0063】
本発明のフロロタンニンおよび/または本発明の抽出物は、少なくとも1つのタイプの海藻から、以下に一般的に記載される抽出プロセス、またはその日常的な改変によって得られるか、または入手可能であり得る。
【0064】
本発明のフロロタンニンおよび/または本発明の抽出物を得るために使用される抽出プロセスは、海藻を抽出溶媒と接触させることを含む。適切な抽出溶媒は、上に記載されている。
【0065】
適切な溶媒には、水、アルコール、アルコール/水混合物(水アルコール溶媒)、酢酸エチル、アセトン、ヘキサン、または抽出に典型的に使用され得る任意の他の溶媒、およびそれらの混合物が含まれる。例えば、溶媒は、水中の10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、または90%のアルコール、例えば、水中の60%のアルコール(新鮮な海藻が使用される場合、海藻中に存在する任意の水を含む、使用される溶媒の総量に基づく)であり得る。言及され得る特定のアルコールには、エタノール(EtOH、水エタノール)およびメタノール(MeOH、水メタノール)が含まれる。例えば、溶媒は、水中の約10%のアルコール~水中の約90%のアルコール(すなわち、エタノール)、例えば、約20%~約80%または約30%~約70%または40%~約60%であり得る。
【0066】
接触(抽出)ステップの温度は、使用される溶媒に依存し、約10℃~約50℃の範囲であり得る。例えば、抽出の温度は、約20℃~約40℃または約15℃~約25℃の範囲、例えば、約20℃であり得る。
【0067】
抽出は、当該技術分野で知られている任意の適切な方法を使用して強化することができる。例えば、海藻の接触(抽出)は、例えば、オーバーヘッドスターラーを使用して撹拌する(stirring)など、撹拌(agitation)ありまたはなしで行われ得る。あるいは、加圧を使用することができ、例えば、海藻をプレスに入れることができる。
【0068】
接触(抽出)期間(すなわち、海藻材料が溶媒と接触する期間)は、典型的には、約0.5時間~約24時間、例えば、約1時間~18または12または10時間である。
【0069】
例えば、実験室規模では、海藻は、不透明な大きなビーカーにおいて抽出溶媒と接触され、約5時間室温(15~25℃)および大気圧でオーバーヘッドスターラーを使用して撹拌され得る。
【0070】
例として、より大きな規模では、海藻は、不透明なミルクタンクにおいて抽出溶媒と接触され、オーバーヘッドスターラーで約17時間室温(15~25℃)および大気圧で撹拌され得る。
【0071】
海藻の接触(抽出)は、大気圧で、または
大気圧を上回るか、もしくは下回る圧力で行われ得る。典型的には、接触(抽出)は、大気圧で実行される。
【0072】
任意の適切な抽出装置が使用され得る。フロロタンニンは光に感受性であることが知られているので、抽出物を光から保護するために、抽出装置は、不透明であるか、または、例えば、スズ箔に覆われていてもよい。
【0073】
溶媒対海藻材料の比は、広い限界内で変動することができる。典型的には、抽出プロセスで使用される溶媒対海藻材料の比は、ミリリットル~グラムベースで約1:1~約10:1、例えば、約2:1~5:1、例えば、3:1重量/体積の範囲である。
【0074】
接触(抽出)ステップは、次いで必要に応じて繰り返され得る。例えば、接触ステップは、2、3、または4回繰り返され得、すなわち、接触ステップは、少なくとも3回繰り返され得る。
【0075】
海藻が抽出溶媒と接触される前に、以下の任意のステップのうちの1つ以上が行われ得る:
(a)海藻を洗浄すること、および/または
(b)海藻をより小片に大まかに切断すること、および/または
(c)海藻を、ブレンダーとして一般的に知られている、回転利刃を使用して、低速でより小さな粒径に細断すること。
【0076】
本発明のフロロタンニンおよび/または本発明の抽出物を得るために使用され得る海藻は、凍結、凍結乾燥、新鮮、または乾燥であり得る。好ましくは、新鮮な海藻が使用される。海藻が乾燥または凍結乾燥されている場合、好ましくは、使用前に再水和される。
【0077】
ステップ(a)では、海藻は、海水、飲料水、および/または蒸留水などの水性溶媒で洗浄され得、これは海藻試料から砂および石ならびに他の汚れを除去し得る。海水で洗浄し、続いて飲料水または蒸留水で洗浄する。
【0078】
ステップ(b)では、海藻は、ハサミもしくはナイフまたは機械的細断手段などの細断装置を使用して、大まかに切り刻まれ得る。海藻は、約1cm~5cmの範囲の面積を有する粒子に細断され得る。
【0079】
ステップ(c)では、海藻は、約1mm~4mm、例えば、約1.5mm~3.5mm、例えば、約2mm~3mmの範囲の面積を有する粒子にさらに細断され得る。ブレンダーなどの、当該技術分野で知られている任意の適切なブレンド技法が使用され得る。
【0080】
典型的には、ステップ(b)および(c)は、以下のように実行することができる。
小規模試料(例えば、<1kgの新鮮な海藻などの海藻)では、まずハサミで切断し、次いでWaringブレンダーなどのブレンダーを低速で使用することによる。
より大きな工業規模試料(例えば、>50Kgの新鮮な海藻などの海藻)について、2段階でUrschelグラインダーなどのグラインダーで粉砕することによる(例えば、66708グリッドで粗粉砕し、続いて66896グリッドで細粉砕する)。
【0081】
抽出ステップの前に、海藻の乾燥質量および含水量は、海藻をオーブンにおいて一定重量を得るために、例えば、約24時間、103℃で乾燥させることによって決定され得る。この情報は、必要な溶媒の量、例えば、水アルコール性溶媒に必要な水の量を決定するために使用することができる。
【0082】
海藻が抽出溶媒と接触された後に、以下の任意のステップのうちの1つ以上が行われ得る:
(e)海藻粒子を溶媒から分離すること、および/または
(f)溶媒を蒸発させること、および/または
(g)粗抽出物を精製すること。
【0083】
接触(抽出ステップ)後、試料は、例えば、最大1時間、例えば、約30分間、静置され得る。
【0084】
任意の未溶解植物材料は、例えば、濾過によって、溶媒から除去され、溶媒に再溶解され得る。
【0085】
ステップ(e)では、溶媒は任意の未溶解海藻材料から(例えば、濾過によって)分離され、ステップ(f)では、溶媒(濾液)は濃縮され得る(すなわち、溶媒が除去される)。例えば、すべての溶媒が除去され、固体抽出物のみが残るまで、溶媒は濃縮され得る。
【0086】
例えば、実験室規模では、混合物は、次いでブフナーフィルターを使用してふるいにかけた。より大規模では、300マイクロふるい、例えば、SWECOが例えば使用され得る。
【0087】
ステップ(f)では、溶媒(濾液)は、(例えば、実験室規模では約35~約45℃などの低温での回転蒸発によって、またはより大規模ではBrouillon Processエバポレーターを使用して)約90%~99%のDM(乾燥材料、乾燥された物質、または乾燥物質)まで濃縮され得る。
【0088】
ステップ(g)では、粗抽出物は、本発明の精製抽出物を提供するために、さらに精製され得る。当該技術分野で知られている任意の適切な精製方法が使用され得る。適切な方法の例には、逆相液体クロマトグラフィーなどのクロマトグラフィー技法、タンジェンシャルフロー濾過(TFF)もしくは限外濾過などの濾過方法、および/または固相抽出(SPE)などの上記のさらなる抽出ステップが含まれる。例として、粗抽出物は1000g/molの限外濾過膜を通過され得、これは1000g/mol未満の分子量を有する化合物を除去し得る。
【0089】
例として、本発明の抽出物は、以下のプロセスを使用して得られ得る:
(a)海藻を洗浄すること、
(b)任意に海藻をより小片に大まかに切断すること、
(c)任意に海藻を、ブレンダーとして一般的に知られている、回転利刃を使用して、低速でより小さな粒径に細断すること、
(d)海藻粒子を溶媒と接触させること、
(e)海藻粒子を溶媒から分離すること、
(f)溶媒を蒸発させること、および
(g)任意に粗抽出物を精製すること。
【0090】
抽出のプロセスによって、抽出物内の特定の活性化合物のパーセンテージは、由来する植物に見られる活性化合物のパーセンテージと比較される場合、増加し、他の化合物は、減少する。
【0091】
本発明のフロロタンニンおよび/または本発明の抽出物は、以前に記載される本発明のプロセスから得られる(またはそれによって入手可能である)抽出物であり得る。
【0092】
本発明の抽出物は、凍結乾燥され得る。例えば、凍結乾燥抽出物は、抽出物を浅いトレーにおいて約-10~-50℃、例えば、約-36℃の温度で凍結し、続いて約-50~-100℃、例えば、約-87℃のコンデンサー温度および圧力200~400mTorrで、試料のサイズに応じて最大3日間凍結乾燥することによって得られ得る。
【0093】
本発明のフロロタンニンおよび/または抽出物は、粉末に粉砕され得る。
【0094】
本発明のフロロタンニンおよび/または本発明の抽出物は、任意の適切な方法で保存され得る。例えば、本発明のフロロタンニンおよび/または抽出物(例えば、粉末の形態)は、凍結され、劣化を回避するために湿気、熱、および光から保護され得る。
【0095】
本発明のフロロタンニンおよび/または本発明の抽出物は、組成物の形態で提供され得る。本明細書に記載されるそのような組成物は、組成物の成分を混合するなど、当業者に知られている方法に従って調製され得る。
【0096】
本発明のフロロタンニンおよび/または本発明の抽出物を含む組成物中に存在する抽出物の量は、意図される使用、および組成物中に存在する他の成分に依存するであろう。
【0097】
組成物内に含まれる場合、本発明のフロロタンニンおよび/または抽出物は、典型的には、組成物の総重量に基づいて、約0.01重量%~約100重量%、例えば、約0.1重量%~約90重量%、約10重量%~約80重量%、または約5重量%~約70重量%、または約40重量%~約60重量%の量で存在する。
【0098】
使用または適用の時点で、組成物中の本発明のフロロタンニンおよび/または本発明の抽出物の濃度は、組成物の総重量に基づいて、例えば、約0.01~約100重量%、例えば、約0.1~約50重量%、または約0.5~約20重量%、または約1重量%~約10重量%であり得る。組成物は、すぐに使用できる形態で調製することができるか、または使用の時点で必要な濃度を達成するために、1:100、1:50、1:20、1:10、または1:5などの推奨される希釈倍率に従って使用前に希釈される、より濃縮された形態で作製することができる。
【0099】
本発明のフロロタンニンおよび/または本発明の抽出物が組成物に含まれる場合、組成物は、典型的には、フロロタンニンを、組成物の約0.0025重量%~約50重量%、例えば、組成物の0.025または0.1重量%~25重量%、例えば、組成物の1~10重量%の量で含む。
【0100】
使用または適用の時点で、組成物中のフロロタンニンの濃度は、組成物の総重量に基づいて、例えば、約0.0025~約25重量%、例えば、約0.025~約15重量%、または約0.1~約5重量%、または約0.25重量%~約2.5重量%であり得る。組成物は、すぐに使用できる形態で調製することができるか、または使用の時点で必要な濃度を達成するために、1:100、1:50、1:20、1:10、または1:5などの推奨される希釈倍率に従って使用前に希釈される、より濃縮された形態で作製することができる。
【0101】
疑義を避けるために、本明細書において、我々が「含む(comprising)」または「含む(comprises)」という用語を使用する場合、我々は、記載されている抽出物または組成物が、列挙された成分(複数可)を含有しなければならないが、任意で追加の成分を含有してもよいことを意味する。我々が「から本質的になる(consisting essentially of)」または「から本質的になる(consists essentially of)」という用語を使用する場合、我々は、記載されている抽出物または組成物が、列挙された成分(複数可)を含有しなければならず、かつ少量(例えば、最大5重量%、または最大1重量%もしくは0.1重量%)の他の成分を含有してもよいが、ただし、いかなる追加の成分も抽出物または組成物の本質的な特性に影響を与えないことを条件とすることを意味する。我々が「からなる(consisting of)」または「からなる(consists of)」という用語を使用する場合、我々は、記載されている抽出物または組成物が、列挙された成分(複数可)のみを含有しなければならないことを意味する。これらの用語は、プロセス、方法および用途にも同様に適用することができる。
【0102】
本発明の抽出物および/または本発明の抽出物を含む組成物は、抗ウイルス剤として使用され得る。
【0103】
「抗ウイルス」という用語によって、我々は、ウイルスを破壊および/もしくは生存不能にする、ならびに/またはウイルスの複製を阻害する化合物または組成物を意味する。
【0104】
ウイルスは、ウイルスのゲノム性質に基づいて分類することができる。このシステムは、ウイルス分類のボルチモアシステムとして知られている。このシステムには、7つの群がある。
【0105】
I.二本鎖DNAウイルス
いくつか、例えば、細胞タンパク質を使用するアデノウイルスは、核において複製する。ポックスウイルスは、細胞質において複製し、核酸複製のためのそれらの独自の酵素を作製する。例えば、アデノウイルス、ヘルペスウイルス、ポックスウイルスなど
【0106】
II.一本鎖(+)センスDNAウイルス
複製は、核において起こり、(+)鎖RNAおよびDNA合成のためのテンプレートとして機能する、(-)センス鎖の形成を含む。例えば、パルボウイルス
【0107】
III.二本鎖RNAウイルス
これらのウイルスは、セグメント化されたゲノムを有する。各ゲノムセグメントは、別々に転写されて、モノシストロン性mRNAを生成する。例えば、レオウイルス
【0108】
IV.一本鎖(+)センスRNAウイルス(ピコルナウイルス、トガウイルスなど)
・ポリシストロン性mRNA:ゲノムRNAは、mRNAとして機能することができる。RNAはmRNAと同じセンスであるため、RNA単独は感染性であり、ビリオン粒子に関連するポリメラーゼはない。翻訳はポリタンパク質生成物の形成をもたらし、これはその後切断されて成熟タンパク質を形成する。例えば、ピコルナウイルス(ポリオウイルス、ライノウイルス)、A型肝炎ウイルス
・複合体転写:ゲノムRNAを生成するためには2回以上の翻訳が必要である。例えば、ピコルナウイルス、A型肝炎ウイルス。
【0109】
V.一本鎖(-)センスRNAウイルス
ビリオンRNAは、負のセンス(mRNAに相補的)であり、したがってタンパク質を作製するためには、相補的プラスセンスmRNAにコピーされなければならない。細胞に感染した後mRNAを作製することができるように、この群のウイルスは、RNA依存性RNAポリメラーゼをコードし、またビリオン中にそれを運ばなければならない。例えば、オルソミクソウイルス、ラブドウイルスなど
・セグメント化、例えば、オルソミクソウイルス。複製における第1のステップは、モノシストロン性mRNAを生成するビリオンRNA依存性RNAポリメラーゼによる(-)センスRNAゲノムの転写であり、これはゲノム複製のテンプレートとしても機能する。
・非セグメント化、例えば、ラブドウイルス。複製が上記のように起こり、モノシストロン性mRNAが生成される。
【0110】
VI.ライフサイクルにDNA中間体を有する一本鎖(+)センスRNAウイルス
RNAゲノムは、(+)センスであるが、DIPLOIDであり、mRNAとしては機能しないが、逆転写のテンプレートとして機能するという点でウイルスの中でもユニークである。例えば、レトロウイルス。
したがって、レトロウイルスは、RNA依存性DNAポリメラーゼ(逆転写酵素)をコードして、DNAプロウイルスを作製し、これは次いで宿主酵素、RNAポリメラーゼIIによってゲノムRNAに転写される。
【0111】
VII.RNA中間体を有する二本鎖DNAウイルス
この群のウイルスも逆転写に依存するが、レトロウイルスとは異なり、これは成熟時にウイルス粒子の内部で起こる。新しい細胞の感染後、最初に起こる事象は、ギャップのあるゲノムの修復であり、続いて転写が起こる。例えば、ヘパドナウイルス
【0112】
本発明の抽出物または組成物は、すべての7つの群においてウイルスに対する抗ウイルス剤として使用され得るか、または本発明の抽出物は、1つ以上の群においてウイルスに対する抗ウイルス剤として使用され得る。例えば、本発明の抽出物は、I群(アデノウイルスなど)、II群(パルボウイルスなど)、III群(ロタウイルスなど)、IV群(ポリオウイルスおよびノロウイルスなど)、V群(インフルエンザA H1N1ウイルスなど)、VI群、またはVII群のうちの1つ以上においてウイルスに対する抗ウイルス剤として使用され得る。例えば、本発明の抽出物は、I、II、III、またはV群のうちの1つ以上のウイルスに対する抗ウイルス剤として使用され得る。
【0113】
化合物または組成物がウイルスを破壊および/または生存不能にする程度は、試験方法BS EN 14476:2013+A1:2015を使用して測定することができる。
化学消毒剤および防腐剤-医療分野における殺ウイルス活性の評価のための定量的懸濁試験。試験方法および要件(フェーズ2/ステップ1)は、殺生物性製品規則(BPR)内の標準的な欧州試験方法として定義されている。この方法の完全な詳細は、規則に見つけることができる。
【0114】
ここで当業者によって理解される要約を以下に示す:試験される化合物または組成物の試料は、干渉物質の溶液中のウイルスの試験懸濁液に添加される。混合物は、条項4および5.5.1.1で指定された温度および接触時間の1つで維持される。この接触時間の終わりに、アリコートが採取され、この部分における殺ウイルス作用は、検証された方法(氷冷細胞維持培地での試料の希釈)によって即座に抑制される。希釈液は、単層または細胞懸濁液のいずれかを使用して、培養ユニット(ペトリ皿、チューブ、またはマイクロタイタープレートのウェル)に移される。感染性試験は、プラーク試験または量子試験のいずれかによって行われる。インキュベーション後、感染性の力価は、Spearman and Karber(量子試験、C.1)またはプラーク計数(プラーク試験、C.2)に従って計算され、評価される。ウイルス感染性の低減は、生成物での処理前(ウイルス対照)および処理後のウイルス力価の対数差から計算される。
【0115】
本発明の目的のために、化合物または組成物は、少なくとも1.0、好ましくは少なくとも2.0、より好ましくは少なくとも3.0、さらにより好ましくは少なくとも4.0、さらにより好ましくはウイルスを完全に排除する上記のような対数減少(治療後対治療前)を達成する場合、ウイルスを生存不能にするか、またはウイルスの複製を阻害するとみなされる。
【0116】
本発明のフロロタンニンもしくは抽出物および/または本発明の組成物は、エンベロープおよび/または非エンベロープウイルスに対して使用され得る。
【0117】
例えば、本発明のフロロタンニス(phlorotannis)もしくは抽出物および/または本発明の組成物は、ヘルペスウイルス科、ポックスウイルス科、ヘパドナウイルス科、コロナウイルス科、フラビウイルス科、トガウイルス科、レトロウイルス科、オルソミクソウイルス科、アレナウイルス科、ブニヤウイルス科、フィロウイルス科、パラミクソウイルス科、およびラブドウイルス科ファミリーから選択されるエンベロープウイルスのうちの少なくとも1つの活性を低減するか、またはこれを殺滅するために使用され得る。
【0118】
本発明のフロロタンニンもしくは抽出物および/または本発明の組成物は、単純ヘルペス1型、単純ヘルペス2型、水痘帯状疱疹ウイルス、エプスタインバールウイルス、ヒトサイトメガロウイルス、ヒトヘルペスウイルス8型、痘瘡ウイルス、B型肝炎ウイルス、重症急性呼吸器症候群ウイルス、C型肝炎ウイルス、黄熱ウイルス、デングウイルス、西ナイルウイルス、TBEウイルス、風疹ウイルス、ヒト免疫不全ウイルス、インフルエンザウイルス、ラッサウイルス、クリミア-コンゴ出血熱ウイルス、ハンタンウイルス、エボラウイルス、マールブルグウイルス、麻疹ウイルス、ムンプスウイルス、パラインフルエンザウイルス、呼吸器合胞体ウイルス、および狂犬病ウイルスから選択されるエンベロープウイルスのうちの少なくとも1つの活性を低減するか、またはこれを殺滅するために使用され得る。
【0119】
本発明のフロロタンニンもしくは抽出物および/または本発明の組成物は、アデノウイルス科、パピローマウイルス科、ポリオーマウイルス科、パルボウイルス科、アストロウイルス科、カリシウイルス科、ピコルナウイルス科、ヘペウイルス科、およびレオウイルス科ファミリーから選択される非エンベロープウイルスのうちの少なくとも1つに対して使用され得る。
【0120】
本発明のフロロタンニンもしくは抽出物および/または本発明の組成物は、アデノウイルス、ヒトパピローマウイルス、BKウイルス、JCウイルス、パルボウイルスB19、ヒトアストロウイルス、コクサッキーウイルス、A型肝炎ウイルス、ポリオウイルス、ライノウイルス、E型肝炎ウイルス、ロタウイルス、オービウイルス、コルチウイルス、ノロウイルス、およびバンナウイルスから選択される非エンベロープウイルスのうちの少なくとも1つに対して使用され得る。
【0121】
よって、本発明は、抗ウイルス剤としての使用のための以前に定義された抽出物または組成物を提供する。
【0122】
本発明のフロロタンニンもしくは抽出物および/または本発明の組成物は、動物または植物のウイルス感染などのウイルス感染を治療または予防するために使用され得る。
【0123】
ウイルス感染を治療または予防するための医薬品の製造において、以前に定義された抽出物または組成物の使用も提供される。
【0124】
ウイルス感染を治療または予防する方法も提供され、治療有効量の以前に定義された抽出物または組成物の、それを必要とする対象、例えば、ウイルスに感染した対象またはウイルスに接触するであろうか、もしくは接触し得る対象への投与を含む。
【0125】
よって、抗ウイルス剤として以前に定義された抽出物または組成物の使用も提供される。
【0126】
ウイルスは、インビボまたは生体外で存在し得る。本発明は、表面上または表面におけるウイルスを低減または制御するために使用され得る。
【0127】
本発明はまた、抗ウイルス剤として約10~約23フロログルシノール単位の平均を含むフロロタンニンの使用を提供する。
【0128】
本発明はまた、抗ウイルス剤としての使用のための約10~約23フロログルシノール単位の平均を含むフロロタンニンを提供する。
【0129】
本発明はまた、約10~約23フロログルシノール単位の平均を含むフロロタンニンを含む抗ウイルス組成物を提供する。
【0130】
本発明はまた、抗ウイルス剤としての使用のための約10~約23フロログルシノール単位の平均を含むフロロタンニンを含む組成物を提供する。
【0131】
本発明はまた、抗ウイルス剤として約10~約23フロログルシノール単位の平均を含むフロロタンニンを含む組成物の使用を提供する。
【0132】
約10~約23フロログルシノール単位の平均を含むフロロタンニンは、本明細書で言及されるウイルスに対して使用され得る。
【0133】
本発明はまた、1つ以上のフロロタンニンを含む抗ウイルス組成物を提供する。特に、約1000g/mol~約3000g/molの分子量を有する1つ以上のフロロタンニンを含む抗ウイルス組成物。
【0134】
本発明はまた、例えば、ウイルス感染を治療または予防するための使用のための、抗ウイルス組成物としての使用のための、1つ以上のフロロタンニンを含む組成物を提供する。特に、抗ウイルス組成物としての使用のための、例えば、ウイルス感染を治療または予防するための使用のための、約1000g/mol~約3000g/molの分子量を有する1つ以上のフロロタンニンを含む組成物。
【0135】
本発明はまた、抗ウイルス組成物としての1つ以上のフロロタンニンを含む組成物の使用を提供する。特に、約1000g/mol~約3000g/molの分子量を有する1つ以上のフロロタンニンを含む組成物の、抗ウイルス組成物としての使用。
【0136】
上で詳述されるように、フロロタンニンは、水、アルコール、有機溶媒、またはそれらの混合物を使用して得られ得る。
【0137】
本明細書に記載される組成物中に存在するフロロタンニンは、以前に記載されるように褐海藻から得られるか、または入手可能であり得、以前に記載されるように抗ウイルス組成物または抗ウイルス剤として使用され得る。
【0138】
本発明の組成物は、当該技術分野において一般的に使用されている他の成分を含むことができると理解されよう。使用される他の任意の成分の性質は、組成物の性質および使用目的に依存するであろう。当業者は、どの追加成分が異なる用途のための組成物での使用に適しているかを知っているであろう。本発明の組成物に使用され得る追加の成分には、緩衝剤、pH調整剤、錯化剤、界面活性剤、溶媒(水など)が含まれるが、これらに限定されない。本発明の組成物はまた、着色剤、芳香剤、皮膚軟化剤、酸化防止剤、増粘剤、および腐食抑制剤、ならびにそれらの混合物などの当該技術分野において標準的な他の成分も含有し得る。
【図面の簡単な説明】
【0139】
図1a】実施例3の抽出物における奇数の繰り返し単位を有するフロロタンニンオリゴマーのピーク面積を示す。
図1b】実施例3の抽出物における偶数の繰り返し単位を有するフロロタンニンオリゴマーのピーク面積を示す。
図2】実施例3の抽出物におけるフロロタンニンオリゴマーのサイズ分布を示す。
図3】実施例5におけるLH20分別からのフェノール類の回収を示す。
図4】実施例5における元、FUB、およびFUB画分の組成を示す。
図5】実施例5におけるm/z 1117成分の可能な構造を示す。
図6】実施例5において特徴的なフロロタンニンm/z種が結合画分において富化されることを示す。
図7】実施例5におけるSephadex LH20上でのフロロタンニンの分別を示す。
図8】実施例5におけるLH20画分におけるフロロタンニンのピークのMSスペクトルを示す。
図9】実施例5における二重荷電フロロタンニン成分についてのOrbitrap MSの証拠を示す。
図10】実施例5における元画分およびSPE画分のポジティブモードLC-MSトレースを示す。
図11】実施例5における3つの群のそれらの特定の保持時間にわたるMSスペクトルを示す。
図12】実施例5における結合洗浄試料におけるm/z 831のMSスペクトルを示す。
図13】実施例6における本発明の抽出物の>1kDa(左)および<1kDa(右)のTFF画分のHPLC-SEC RI検出を示す。
図14】左:80%MeOH不溶性画分のHPLC-SEC RI検出(より高MW材料[すなわち、より早い保持時間]が観察された)を示す。右:80%可溶性TFF画分実施例6のHPLC-SEC RI検出。
図15】実施例7における結合画分および未結合画分の抗ウイルス活性を示す。
図16】<1000gmol-1、および(ii)>1000gmol-1画分実施例7の抗ウイルス活性を示す。
図17】実施例8における緑茶から抽出されるポリフェノールであるエピガロカテキンとの海藻抽出物およびフロロタンニン富化画分の抗ウイルス活性の比較を示す。
【0140】
以下の非限定的な実施例によって、本発明を説明する。
【0141】
実施例1-本発明の抽出物の小規模調製
2016年1月に収穫されたアイルランドから供給された新鮮なAscophyllum nodosum(褐海藻)を使用した。
【0142】
新鮮な海藻の含水量は、以下の通り決定した:
海藻の含水量は、既知の重量の海藻を103℃で約24時間オーブンにおいて一定重量まで乾燥させることによって決定した。
【0143】
海藻を計量し、海藻の乾燥質量を決定した。新鮮な海藻の質量から海藻の乾燥質量を差し引くことによって、新鮮な海藻に含有される水の対応する質量を決定し、新鮮な海藻中の水のパーセンテージを次いで決定した。この海藻について、新鮮な海藻は、70%水である(すなわち、1000gの海藻は700gの水を含有する)ことが決定された。
【0144】
本発明の抽出物は以下のように調製した:
1000gの海藻を使用した。砂および石などの任意のデブリを除去するために、これを海水で予備洗浄した。次いで、海藻を淡水で洗浄した。
【0145】
海藻を直径約2~3mmに細断した。これは、まずハサミで切断し、次いでWaringブレンダーを低速で使用することによって行った。
【0146】
エタノール/水ブレンドを海藻に加えた。使用されたエタノールは、96%の純粋エタノールおよび4%の水であった。このエタノール/水ブレンドで使用されたエタノールおよび水の量は、以下の2つの基準を満たした:
-ブレンド中のエタノール対存在する総水分(すなわち、海藻に含有される水+ブレンド中の水+ブレンドに加えられる任意の追加の水)の質量の比は、60:40である
-水およびエタノールの総質量は、それが添加される新鮮な海藻の質量の3倍であった。
【0147】
上記基準を満たすためにエタノール/水ブレンドの一部として追加される水の質量は、簡単な数学を通して決定することができる。
【0148】
この例では、1000gの新鮮な海藻が使用され、これのうち700gが水であり、300gが乾燥海藻であると決定した。
【0149】
エタノールおよび水の総質量は、3000g(すなわち、3x1000g)である。これは、60:40のエタノール:水比である。よって1875gのエタノール(使用されるエタノールが96%のエタノールおよび4%の水であると考慮して)、および1125gの水である。700gのこの水は、すでに新鮮な海藻に含有されているため、さらに425gの水がエタノール/水ブレンドとして追加されるものとする。
【0150】
大きな不透明ビーカーにおいて洗浄した新鮮な海藻にエタノール/水ブレンドを加えた。室温で約5時間オーバーヘッドスターラーを使用して、混合物を撹拌した。
【0151】
この時間後、試料を約30分間放置した。
【0152】
次いで、混合物をブフナーフィルターを使用してふるいにかけた。
【0153】
次いで、ロータリーエバポレーターを使用して低温(34~45℃)でアルコールを蒸発させた。
【0154】
次いで、抽出物を浅いトレーにおいて-36℃で凍結して、表面積を最大化した。
【0155】
次いで、抽出物を-87℃のコンデンサー温度および200~400mTorrの圧力で約3日間凍結乾燥した。
【0156】
次いで、抽出物を粉砕して粉末を作製した。
【0157】
次いで粉末抽出物を凍結し、劣化を回避するために湿気、熱、および光から保護した。
【0158】
それを試験前に必要に応じて解凍した。
【0159】
実施例2-抗ウイルス試験
実施例1で得られた海藻抽出物を使用した。
【0160】
解凍した海藻抽出物を、試験に必要な濃度まで脱塩水に溶解した。
【0161】
化合物または組成物がウイルスを生存不能にするか、またはウイルスの複製を阻害する程度は、試験方法BS EN 14476:2013+A1:2015を使用して測定された。化学消毒剤および防腐剤-医療分野における殺ウイルス活性の評価のための定量的懸濁試験。試験方法および要件(フェーズ2/ステップ1)は、殺生物性製品規則(BPR)内の標準的な欧州試験方法として定義されている。この方法の完全な詳細は、規則に見つけることができる。
【0162】
この方法を使用して、抽出物溶液が試験されている特定のウイルスについての対数減少値を決定した。
【0163】
接触時間は、試験中に試験溶液が試験ウイルスと接触した時間である。結果を以下の表1に示す。
【0164】
実施例3-本発明の抽出物のより大規模調製
2017年11月に収穫された、フランスのブルターニュから供給された新鮮なAscophyllum nodosum(褐海藻)。
【0165】
新鮮な海藻の含水量は、以下の通り決定した:
海藻の含水量は、既知の重量の海藻を103℃で約24時間オーブンにおいて一定重量まで乾燥させることによって決定した。
【0166】
海藻を計量し、海藻の乾燥質量を決定した。新鮮な海藻の質量から海藻の乾燥質量を差し引くことによって、新鮮な海藻に含有される水の対応する質量を決定し、新鮮な海藻中の水のパーセンテージを次いで決定した。
【0167】
69Kgの新鮮なAscophyllum nodosum(褐海藻)を使用した。収穫した海藻を一晩海水に浸漬した。翌日、これを手作業で選別しAscophyllumバイオマスに付着した着生海藻を除去し、30分間排水した。次いで、淡水で3分間すすぎ、再び排水した。
【0168】
海藻を次いで、2ステップでUrschelグラインダーで粉砕した(例えば、66708グリッドで粗粉砕し、続いて66896グリッドで細粉砕する)。これは、2~3mmの粒子を生成した。
【0169】
エタノール/水ブレンドを海藻に加えた。使用されたエタノールは、96%の純粋エタノールおよび4%の水であった。このエタノール/水ブレンドで使用されたエタノールおよび水の量は、以下の2つの基準を満たした。
-ブレンド中のエタノール対存在する総水分(すなわち、海藻に含有される水+ブレンド中の水+ブレンドに加えられる任意の追加の水)の質量の比は、60:40である。-水およびエタノールの総質量は、それが添加される新鮮な海藻の質量の3倍であった。
【0170】
上記基準を満たすためにエタノール/水ブレンドに追加される水の質量は、簡単な数学を通して決定される。
【0171】
この例では、69Kgの新鮮な海藻が使用され、これのうち52Kgが水であり、17Kgが乾燥海藻であると決定した。
【0172】
エタノールおよび水の総質量は、207Kg(すなわち、3x69Kg)である。これは、60:40のエタノール:水比である。よって129.4Kgのエタノール(使用されるエタノールが96%のエタノールおよび4%の水であると考慮して)、および77.6Kgの水である。52Kgのこの水は、すでに新鮮な海藻に含有されているため、さらに25.6Kgの水がエタノール/水ブレンドとして追加されるものとする。
【0173】
抽出は、室温および室圧で17時間、撹拌ミルクタンクにおいて行った。
使用済みバイオマスは、300μmふるい(SWECO)で抽出物から分離した。
【0174】
アルコールをBrouillon Processエバポレーター(初期温度34℃、最終温度45℃)において約8時間かけて低温で蒸発させた。
【0175】
濾過助剤FW12(珪藻土)およびMilliporeフレームに取り付けたKDS12フィルター(セルロースベースのデプスフィルターシート)を使用して、抽出物をさらに浄化した。
【0176】
得られた濾過抽出物をポリプロピレントレーに移し、不均一な凍結を回避するためにスローサイクル(25-30Kg.prg)を使用して凍結乾燥した。これには約3日かかった。
【0177】
次いで、実験室規模ブレンダーを使用して抽出物を粉砕した。2.92kgの粉末抽出物が得られた。
【0178】
次いで粉末抽出物を凍結し、劣化を回避するために湿気、熱、および光から保護した。
【0179】
それを試験前に必要に応じて解凍した。
【0180】
得られた抽出物の組成を分析した。
【0181】
抽出物の少量の試料を、フォーリン-チオカルトのフェノール試薬に加え、炭酸ナトリウム溶液の添加後に発生した青色を、標準フェノール化合物としての没食子酸の標準曲線に対して評価した。
【0182】
フォーリン-チオカルトのフェノール試薬とのこの陽性反応は、フロロタンニンの存在を示した。
【0183】
次いで、LTQ Orbitrap XL質量分析計(Thermo Fisher Scientific)を備えたLCシステムを使用する液体クロマトグラフィー質量分析技法を使用して、フロロタンニンの性質を調査した。抽出物のニートな試料を逆相C18カラムで分離し、ネガティブESIモードで分析した(使用された方法は、Austin et al.(2017)Extracts from the edible seaweed,Ascophyllum nodosum,inhibit lipase activity in vitro:Contributions of phenolic and polysaccharide components.Food&Function,9,502-510-DOI:10.1039/C7FO01690Eに記載される)
【0184】
一連のフロロタンニンオリゴマーを、10~23のフロログルシノール単位の見かけの重合度(DP)で検出した。奇数のDPのオリゴマーを示す質量を有するフロロタンニンの検出を図1a(例えば、11~23DP)に、偶数のDPを図1bに示す。一般に、各オリゴマーには複数の異性体が存在していた。
【0185】
PTオリゴマーの相対量は、それらのMSピーク面積によって評価した(図2)。DP10~23のサイズ分布があり、DP11~18の最も豊富な形態およびDP19以降からの存在量の急激な降下があった。
【0186】
実施例4-抗ウイルス試験
実施例3で得られた海藻抽出物を使用した。
【0187】
解凍した海藻抽出物を、試験に必要な濃度まで脱塩水に溶解した。記載される抗ウイルス試験のための方法を使用して、抽出物溶液が試験されている特定のウイルスについての対数減少値を決定した。接触時間は、試験中に試験溶液が試験ウイルスと接触した時間である。結果を表2に示す。
【0188】
実施例5-2つの画分:(i)より親水性の画分:(ii)より疎水性の画分に分離する固相抽出(SPE)を用いた粗製物(水エタノール性抽出物)の精製。
抽出物(実施例3から得られる)は、0.1%ギ酸(FA)を5%(重量/重量)で含有する超純水(UPW)に溶けやすく、250mLの溶液を第1の試験ランでの使用のために調製した(SPE-1)。SPE UNIT(Strata C18-E GIGAチューブ、50g容量&150mL容量、Phenomenex Ltd)チューブを、0.1%FAを含有する2体積のアセトニトリル(ACN)で調製し、次いで0.1%FAを含有する3体積のUPWで平衡化した(Nwosu et al.,2011)。抽出物を60mLのバッチで適用し、枝付きフラスコおよび真空ラインを使用して溶出を促進した。
【0189】
すべての抽出物試料溶液を適用した後、未結合(親水性)画分を除去し、SPEユニットを2倍体積のUPW+FAで洗浄し、洗浄画分として収集した。次いで、ユニットを2体積のアセトニトリル+FAで溶出することによって、結合(疎水性)画分を得た。次いで、ユニットは、過剰なUPW+FAで洗浄することによって、さらなる使用のために再平衡化し、必要になるまで冷蔵庫でUPW+FA中で保存することができた。
【0190】
第2のSPE(SPE-2)ランについて、400mLの5%(重量/体積)抽出物を調製した。SPE手順は、2つの変更を除いて同じであった。この量の材料を使用するとSPEユニットの容量を超えるため、SPE手順を繰り返して、未結合画分の一部となった任意のフェノール材料を再捕捉した。したがって、結合画分は、ユニットから溶出された2つの組み合わされた画分で構成された。また、SPEユニットの再洗浄中に結合画分の除去後のユニットから溶出された材料を回収した。
【0191】
画分の総CHOnおよびフェノール含有量
結合および未結合画分の総炭水化物(CHOn)含有量は、フェノール-硫酸法を使用して、総フェノール含有量(TPC)は、フォーリン-チオカルト法(Austin et al.,2017)を使用して測定した。
【0192】
SPE-1では、CHOnの全体的な回収率は46.3%であり、未結合画分では44.3%、結合画分では2.0%であった。総フェノール含有量(TPC)の全体的な回収率は70.3%でより高く、結合画分では大部分(56.8%)、未結合画分ではより少なく(13.7%)回収された。
【0193】
SPE-2では、CHOnの全体的な回収率は59.1%でより高く、未結合画分では54.6%、結合画分では4.5%であった。しかしながら、結合-洗浄回収画分は、かなりの量のCHOn(すなわち、合計10.7%)を含有したため、CHOnの全体的な回収率は69.8%に達した。この「逆流」画分がSPE-1における「喪失」CHOnのかなりの量を占めたことは、SPEユニットの化学的性質を考慮して予想外であった。
【0194】
SPE-2について、TPC回収率は82.1%に達し、結合画分では大部分(70.0%)、未結合画分では12.1%であった。結合洗浄画分はさらに3.4%を占め、TPCの全体的な回収率は85.5%に達した。2つの定量方法はいずれもCHOnまたはフェノール類に絶対的に特異的ではなく、したがって他の成分がそれらの定量化に干渉し得ることに留意されなければならない。
【0195】
全体として、未結合画分はCHOn豊富であり、TPCは乏しかったが、結合画分はTPCの大部分を含有した。
【0196】
CHOn/TPCの比として表すと、元抽出物は、約3.71の値を有したが、未結合1比は11.86、未結合2は17.24であり、これはCHOnのかなりの富化を示す。結合画分1は0.136の比を有し、結合画分2は0.255を有し、これはフェノール類の富化およびCHOnの除去を示す。結合洗浄画分は12.04であり、CHOnの富化を示す。
【0197】
Sephadex LH-20による分別
抽出物の一部分を、フロロタンニン様成分を選択するための周知の技法(Pantidos et al.,2014)を使用するSephadex LH20を使用して分別した(https://www.users.miamioh.edu/hagermae/)。UPW中の抽出物の25mg/ml溶液を生成し、次いで5mLを5mLのエタノールに加え、よく混合した。抽出物は、50%のエタノールに可溶性であり、他の試験では、最大80%のエタノールで完全に可溶性であった。
【0198】
抽出物溶液を、5mLの50%エタノール中のSephadex LH20のスラリーに加え、室温で10分間よく混合した。2500gで5分間5℃での遠心分離後、未結合画分を除去し、5mLの50%エタノールを加えた。遠心分離手順を繰り返して、洗浄画分を得て、次いで同様に50%アセトンで、次いで80%アセトンで2回洗浄した。総CHOnおよびフェノール含有量を以前と同様に測定し、各画分の2×1mlアリコートをLC-MS分析のためにSpeed-Vacで乾燥させた。
【0199】
図3に示されるように、フェノール材料の大部分は、最初の80%アセトン画分で回収され、画分中の80%超がアセトンによって放出され、これはフロロタンニン成分が豊富であるべきである。
【0200】
液体クロマトグラフィー質量分析(LC-MS)分析:フロロタンニンの証拠
結合および未結合画分の試料は、前述の方法(Pantidos et al.,2014、Nwosu et al.,2011)を使用して分析し、エレクトロスプレーイオン化MSをポジティブおよびネガティブモードの両方で使用して画分の組成を調査した。成分をC18逆相カラムで分離し、フェノール材料の溶出を280nmで監視した。初期LC-MSデータは、Fleet MSを使用して得られ、選択された試料は、正確な質量データおよび多価イオンの区別をもたらす設備と組み合わせてより高感度をもたらすOrbitrap MSを使用して再分析された。
【0201】
図4に示されるように、結合試料は後に溶出UV吸収ピークが豊富であったが、未結合画分はこれらのピークが本質的に欠けていた。
【0202】
結合画分では、12~21分のピークのセットが、フロロタンニンに特徴的なネガティブモードのm/zシグナルのセットをもたらした。それらは、フロログルシノールから2個のH原子を差し引いたものに相当する伸長単位質量である、124amu異なるm/z値の2つのシリーズとして現れる(Nwosu et al.,2010、Pantidos et al.,2014、Austin et al.,2018)。m/z 745、869、993、1117、1241、1365、および1489からのシリーズは、373のm/z値を有する三量体(例えば、トリフロレトール)への連続的なフロログルシノール添加から発生し得、m/z 621、745などでのシグナルは、ペンタフロロエトール、ヘキサフロロエトールなどであり得る(Martinez et al.,2013)。したがって、m/z 1117での主要なピークは、ノナフロロエトールであり得る(図5を参照されたい)。タンニンMSシグナルが結合画分において約4倍富化されていることは注目に値する(図6)。
【0203】
これらのシリーズは、MSスペクトルが12~21分の分離ゾーンにわたって平均化される場合に明らかである。C18カラムでの溶出によってすべてのフロロタンニン成分を容易に分離され得るわけではなく、ほとんどが混合ピークとして溶出する。各フロロタンニン種について可能な複数の異性体もあった。しかしながら、特定のピークは、個別のフロロタンニン成分を表すように見えた。特に、17.4分での主要ピークは1117で個別のm/zシグナルをもたらし、16.82でのピークはm/z 1055をもたらし、17.62はm/z 1179をもたらし、16.22でのピークはm/z 933をもたらす。しかしながら、これらの成分の構造を定義するには、さらなる作業が必要である。
【0204】
後期溶出フロロタンニンピークは、アセトンによってSephadex LH20から放出される結合試料にのみ存在した。分別は、50%エタノールでのよりストリンジェントな洗浄、次いで80%アセトンでの溶出に直接移ることによって改善され得るが、結果は、アセトンによるフロロタンニンの予想された分別を支持する(Pantidos et al.,2014)。図7を参照されたい。
【0205】
したがって、我々は、結合画分が前述と類似の種類のフロロタンニンに富み、DP4~13の範囲の見かけの質量を有し、約1000g/mol~約3000g/molの分子量を有すると確信することができる。
【0206】
Orbitrap MSを使用したさらなる研究は、さらなる情報を提供した。
【0207】
Orbitrapでは、F-結合試料は、以前と同じ後期溶出UVピークを示し、12~21分の分離ゾーンにわたって類似のMSスペクトルを与えた(図9)。
【0208】
以前と同じように、主要なUVピークは、m/z 1117でMSシグナルを与えたが、綿密な調査では、このシグナルは、[M-H]2-イオンを示す0.5amuバリアントを有した。二重荷電イオンとして、真の質量は2倍になり、これはこの成分が前述のノナフロロエトールではなく、18フロログルシノール単位のオリゴマーであったことを示す。実際、m/z 621以上からのシリーズにおけるm/z値のすべては、二重に荷電され、これはそれらが元MSデータによって示されるよりもすべて大きいことを示す。この範囲のDPは、Ascophyllum nodosumからのフロロタンニン構造の以前の報告に適合する(Steevensz et al.,2012)。
【0209】
炭水化物成分の性質についてのLC-MS証拠
ポジティブモードでは、元試料には3セットのイオン化種がある(図10)。RT12~21からのフロロタンニン成分、RT2~3.7分からの早期溶出成分、および4~10分で溶出する別のセットの成分がある。フロロタンニンは、結合試料において蓄積するが、早期溶出成分は、未結合において富化され、他の成分は、結合画分に存在するが、結合洗浄画分において富化される(図10を参照されたい)。
【0210】
フロロタンニンは、特徴的なMSスペクトル(トレース3、図11を参照されたい)を与え、前述のように、結合画分において富化された。早期溶出ピークはまた、特定のMSシグナルを与える(トレース1、図11を参照されたい)が、これらは任意の報告される海藻成分とは類似していない。初期研究は、これらのシグナルとして存在し得る硫酸化成分が80amuのニュートラルロスを示すが、それらの性質の特定にはさらなる研究が必要であることを示す。
【0211】
結合洗浄画分においても富化される中間溶出成分は、興味深い一連のMSシグナルを与える(トレース2、図9を参照されたい)。結合洗浄画分が元画分と比較してCHOnに富んでいたことを考慮して、これらの成分は本質的に炭水化物であることが可能である。m/z[M+H]=831で開始し、162amu異なるシリーズがある。
【0212】
類似のパターンはネガティブモードでも見ることができるが、ポジティブモードはより強いシグナルを与える。162の追加は、既存の構造へのヘキソース糖類(例えば、グルコース)の追加に特徴的である。
【0213】
m/z 831のシグナルは、ラミナリペンチトール(https://secure.megazyme.com/1-3-Beta-D-Laminaripentaitolから入手可能)の分子量に適合し、m/z 993、1155、1317、および1479のシグナルは、末端マンニトール基を有するこのラミナリンオリゴ糖のコア構造へのヘキソースの付加のためであり得る。マンニトール末端ラミナリン(M-ラミナリン)は、Ascophyllumにおいて発生することが知られており(Kadam et al.,2014)、これらのm/zシグナルは、そのようなオリゴ糖が粗抽出物材料中に存在することを示す。これらのm/zシグナルは非常に不十分な断片化を与えたので、ランをObritrap MSで繰り返した。Orbitrap MSデータ(図12)では、同じシリーズのシグナルが明らかであった。
【0214】
推定ペンタオリゴ糖は、162(ヘキソシル基の喪失=グルコース)または182(マンニトールの喪失)の喪失を特徴とするMS断片を与えた。それぞれm/z 325および345でのシグナルは、ベータ結合グルコース二量体(MW 324)およびグルコシル-マンニトール(MW 344)のプロトン化形態であり得る。加えて、831でのm/zシグナルは、831.29499の正確な質量を有し、これはラミナリペンチトールの式に適合するC305526の予測式(誤差<2ppm)をもたらした。
【0215】
類似のMSスペクトルおよび断片化データ、ならびに正確な質量式をシリーズの他のメンバーについてm/z 669(DP4)、933(DP6)、および1155(DP7)で得ることができた。
【0216】
要約すると、上記結果は、粗抽出物が、約1000g/mol~約3000g/molの分子量に対応する、約10~約30の重合度を有するフロロタンニンに富むことを確認する。
【0217】
上記結果はまた、固相抽出SPE(クロマトグラフ法)を使用して、粗抽出物をフロロタンニン富化および多糖富化画分に精製することができ、フロロタンニンが結合画分中に存在することを確認する。
【0218】
実施例6-2つの画分(i)<1000gmol-1、および(ii)>1000gmol-1に分離するタンジェンシャルフロー濾過TFFを使用した粗製物(水エタノール性抽出物)の分離
a)初期取り扱い/観察
抽出液を箔で覆って2~8℃で保存し、試料を可能な限り光から保護して作業を実施した。
【0219】
水中での抽出物の溶解度を調査して、その後の質量平衡を通知した。抽出物を水中で2%で構成し、完全に混合し、遠心分離し、不溶性および可溶性画分を凍結乾燥した。
【0220】
b)低MW材料を除去するタンジェンシャルフロー濾過(TFF)実験/サイズに基づく分離
Kros Flow Iiiシステム(Spectrum)で既存の1kDa MWカットオフ中空繊維カートリッジを使用して初期スコーピングランを実行し、その後のランは2倍表面積を有する新しいカートリッジを使用して実施した。
【0221】
抽出物試料は、0.5%で水中での再懸濁、続いてGFC(1.2um)までの濾過によって調製した(0.4%であった最初のスコーピング実験は除く)。
【0222】
TFF濃縮および透析濾過ステップは、透過液伝導度によって監視された分離で、ラン間で可能な限り標準化した。
【0223】
抽出物試料のすべてを凍結乾燥し、RIおよびPDA検出器でのフォーリン-チオカルトアッセイおよびHPLCサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)によって分析した。
【0224】
試料の分析および評価に続いて、30kDaまたは10kDa MWカットオフでVivaspin遠心分離ユニット(Sartorius)を使用して>1kDa材料について追加の分別ランも実施し、このアプローチを使用してさらなる分離を達成することができたかを評価した。
【0225】
PALL Centramate TFFシステムで5kDaおよび100kDa MWカットオフTシリーズメンブレンを使用して、追加の分別ランも実施して、これが分離を改善することができたかを評価した。これはより大きな表面積を有し、試料のより高い負荷を可能にするが、ホールドアップ体積もより大きい。
【0226】
c)溶解度/電荷に基づく抽出アプローチ
すべての初期抽出実験は、>1kDa材料で実施した。酢酸エチルを使用して>1kDa試料を抽出し、酢酸エチル可溶性および不溶性画分を生成した。回転蒸発によって試料から酢酸エチルを除去し、試料を再懸濁し、凍結乾燥した。これを試料のいくつかのバッチで繰り返し、画分をフォーリン-チオカルトアッセイおよびHPLC-SECによって分析した。
【0227】
>1kDa材料に対して80%メタノールを使用してアルコール抽出を実施した。80%不溶性ペレットを風乾し、再懸濁し、凍結乾燥した。回転蒸発によって可溶性画分からメタノールを除去し、得られた材料を凍結乾燥した。画分は、フォーリン-チオカルトアッセイおよびHPLC-SECによって分析した。
【0228】
この方法の範囲を広げるために、酢酸エチル不溶性画分でイオン交換クロマトグラフィーを実施した。試料をTris-NaClバッファー中のQ-セファロースカラムに充填し、NaCl勾配を使用して溶出した。2つの最大ピークを収集し、透析し、分析した。
【0229】
d)ポリフェノール含有量を推定するフォーリン-チオカルトアッセイの開発
フォーリン-チオカルトアッセイは、文献に記載される方法および公開された論文に基づいて開発された。フロログルシノールを使用して標準曲線を生成し、方法をタイミングおよびインキュベーション温度について最適化した。結果は、フロログルシノール等価物において生成された。PVPPブランキングステップも導入され、シグナルのうちのどの程度がフロロタンニンに起因し得、どの程度が他のポリフェノールまたは非特異的アッセイ干渉であり得るかの推定を可能にした。
【0230】
e)HPLCサイズ排除クロマトグラフィー、HPLC C18分析、およびGC-FID単糖分析
GlycoMarの既存のHPLC-SEC法は、Byotrol試料画分を評価するように適合された。デキストラン標準(1~1400kDa)で較正されたShodex SB806Mカラムを、RIおよびPDA検出ならびに水性移動相(Tris-HCl/NaCl)で使用し、試料は移動相で調製した。
【0231】
ポリフェノール評価を改善するために、Kinetex XB C18カラム(Phenomenex)を使用したHPLC法の開発が検討されている。移動相は2%酢酸0~100%メタノール勾配であり、試料はメタノール中で調製された。対照としてフロログルシノールを使用した。
【0232】
インハウスメタノリシスおよびTMS誘導体化アプローチを使用して、選択された試料の単糖分析を実施し、続いてGC-FID分析を実施した。
【0233】
硫酸塩分析は、塩化バリウムに基づくインハウス改変Terho法を使用して実施した。
【0234】
結果概要
a)初期観察
乾燥重量収率は、元試料の最小量(約0.4%重量/重量)のみが細胞材料などの水不溶性デブリであったことを示した。
b)低MW材料を除去するタンジェンシャルフロー濾過実験。
【0235】
(以前のCEVAデータに基づいて)このユニットからの>1kDa材料の予想されるよりも低い回収率および繊維に付着するポリフェノールの証拠があった。すべてのその後の1kDaランは、より高い表面積を有する新しい中空繊維ユニットを使用して実施した(以下の表4)。
【0236】
新しいユニット上の>1kDa画分収率%は、同じ取り扱い条件(体積、濃度、および透析濾過)下でのスコーピングランよりもはるかに高かった。ユニットの着色の汚れが再び観察されたが、性能チェックは、それが使用後に十分に回復したことを示した。しかしながら、>1kDa収率は時間とともに低減し、おそらくユニットの安定化を示した。
【0237】
フォーリンアッセイデータ:すべてのTFF画分をフォーリン-チオカルトアッセイにおいて試験し、結果は、ポリフェノールが>1kDa画分において保持されたことを示した(以上の表1および2を参照されたい)。任意のポリフェノールが<1kDa画分に存在した場合、それはフォーリンアッセイの定量化の限界を下回った。試料はまた、外観によって非常に異なり、>1kDa画分は暗褐色、フレーク状であり、<1kDa画分はクリーム/白色、砕けやすく、わずかに粘着性であった。
【0238】
HPLC分析:予備的なHPLC-SEC分析は、両方の画分の低MWプロファイルを確認したが、>1kDa画分と<1kDa画分との間には明らかな差があった(以下の図13:>1kDa左、<1kDa右)。現在の方法は、この低MW材料を分解するように最適化されないが、<1kDa画分が>1kDa画分よりも低MW水溶性材料(すなわち、より遅い保持時間)で構成されることがクロマトグラフィーから明らかである。これは潜在的に<1kDa画分に存在する多量のマンニトールのためである(マンニトール標準は21.3分のRtで溶出する)。これらの試料のRIクロマトグラフィープロファイルは、すべてのTFFバッチにわたって一貫していた。
【0239】
他の分離方法を使用して収率を評価するために、透析試験も実施した(以下の表5)。
【0240】
1kDa MWカットオフTFFを使用した分別からの結論は、それが試料から<1kDa材料をうまく分離したということであった。>1kDa材料は、TFFステップの成功に応じて、変動量のより小さな成分を含有し得る。ポリフェノールは、>1kDa画分において保持された。ポリフェノール様材料での膜の汚れが問題であった。
【0241】
c)溶解度および電荷に基づく抽出アプローチ。
>1kDa画分をさらに部分分別する試みは、酢酸エチルまたは80%メタノールのいずれかでの抽出によって実施した。
【0242】
酢酸エチル抽出:少量の>1kDa材料は酢酸エチルに可溶性であったが、収率は低く、抽出は非特異的であるように見えた。後のバッチでは、材料の多くが不溶性画分中に残り、ポリフェノールが可溶性画分および不溶性画分の両方において検出された(以上の表6)。第2の試験では、>1kDa画分のわずかな%のみが酢酸エチルに可溶であった。これらの試料はまた、HPLC-SEC分析によって区別することができる限り、非常に類似したクロマトグラフィーおよびMWプロファイルを有した。
【0243】
80%メタノール抽出:酢酸エチルアプローチでは成功しなかったため、Sephadex LH20アプローチが検討された。しかしながら、ポリフェノールが樹脂およびメンブレンフィルターに付着する問題のため、このアプローチは改善した分離をもたらす可能性が低いと決定された。したがって、酢酸エチルの代わりに80%メタノールにおける示差溶解度を試験した。文献は、ポリフェノールが80%メタノール(100%メタノールではなく)に最も可溶性であり、より低メタノール%が炭水化物の可溶化ももたらすことを示し、すなわち、炭水化物は80%メタノールに不溶であり、これらの種の分離を可能にするべきである。
【0244】
>1kDa画分の87.1%が80%メタノールに可溶性であった(以上の表6)。低減したポリフェノール含有量を有するように見えたが、低収率のメタノール不溶性材料(約1~2%)のみがあった(以上の表6)。これらの画分の予備的なHPLC-SECは、不溶性材料がより高MWの成分を含んだことを示し、これは(MW、および吸収スペクトルによって)ポリフェノールであるように見えなかった(図14、左)。80%可溶性材料は、すべての低MW材料を含んだ(図14、右)。これらの試料の単糖および硫酸塩含有量の分析は、フコイダンが80%不溶性成分中に存在したが、いくつかのポリフェノールを含む、他の化合物と混合されたことを示した(以下の表7)。グルコースはまた、80%MeOH可溶性画分において検出され、この糖の由来は明らかでなかった。ラミナリンは80%MeOHに可溶性である可能性が低いが、これはさらに評価されるべきである。
【0245】
表5-80%メタノール抽出画分の単糖分析および硫酸塩データ。80%MeOH不溶性材料は、フコイダンを示す、フコースおよびガラクトースを含有する。硫酸塩は、純粋なフコイダンについて予想されるものよりも低い量だが、存在する。グルコースはまた、可溶性画分および不溶性画分の両方に存在する。
【0246】
溶解度に基づく画分のアプローチからの結論は、酢酸エチルが>1kDa画分における成分の分配に効果的ではなかったということであった。80%メタノール抽出からの画分は組成が異なったが、不溶性画分の収率は、出発材料の1%(重量/重量)のみであり、これがフコイダン豊富である場合、非常に低いレベルでのみ存在することを示す。グルコースはまた、80%MeOH可溶性画分において検出され、この糖の由来は明らかでない。ラミナリンは80%MeOHに可溶性である可能性が低いが、これはさらに評価されるべきである。さらなる単糖分析は、マンニトールおよびラミナリン対照を組み込み、他の試料について実施されている。
【0247】
イオン交換クロマトグラフィー:酢酸エチルを使用した分別の欠如にかわらず、酢酸エチル不溶性画分のイオン交換クロマトグラフィーを実施して、このアプローチを評価した。塩化ナトリウム勾配溶出は、勾配全体にわたって複数の小さなピークをもたらし、カラムの上部に付着したポリフェノールの証拠を有した。最小限のベースライン分解能があり、カラムに付着した材料のために、試料のどの程度が分解されているかは明確ではなかった。しかしながら、2つの最大ピークが収集され、透析され、凍結乾燥された。これらのピークの分析はそれらがポリフェノールを含有しなかったことを示した(以下の表8)が、低回収率は定量化を歪め得る。予備的なHPLCSECはまた、いくつかのより高MWの成分が存在したことを示したが、単糖分析は、最小限の炭水化物のみが存在したことを示した(この分析における回収率は<5%であった)。このアプローチを使用してポリフェノールから他の成分を分離することが可能であり得るが、カラムに付着するポリフェノール、および複数のピーク溶出のために、方法は制御およびスケールアップが非常に困難である。
【0248】
d)炭水化物およびポリフェノール成分を標的とする追加の分別アプローチ。
>1kDa試料を分別してポリフェノールまたは炭水化物に富んだ画分を生成する試みは、溶解度(EtAc/80%MeOH)に基づいて大部分が失敗し、取り扱い(イオン交換など)は、ポリフェノールの性質および樹脂へのそれらの非特定的な接着によって制限された。
【0249】
本質的に予備的であるが、すべてのHPLCデータは、ポリフェノールが低MWであることを示した(大部分は<5kDa、文献ではおそらく<1kDaであることを示す)。したがって、予測された低MWのポリフェノールに基づいて、さらなる試験を、MWカットオフ分離を使用して実施して、試料をさらに分別することを試みた。
【0250】
Vivaspin遠心分離機:Vivaspin遠心分離ユニットを使用したMWによるさらなる分別を、>1kDa 17/11/21 ASCOXの2つの300mg試料で2つの異なるMWカットオフを使用して実施した。得られた画分は外観が異なっていたが(以下の図4)、ポリフェノールは、<10kDa画分以外のすべての画分においてフォーリンアッセイによって検出された(以下の表7)。これらおよび他の試料は、試料の色が存在するポリフェノールの量と相関しているように見えることを確認する。
【0251】
より高MWカットオフ膜を使用したTFF:17/11/21 ASCOXにおいてポリフェノールを他の成分から分離することが難しいため、試験はまた、PALL Centramate TFFシステムならびに100および5kDaのTシリーズメンブレンを使用して実施した。このシステムはまた、より多量の画分を生成するために、試料の非常に高い負荷(20g)も可能にするであろう。17/11/21 ASCOXを、TFFで処理する前に、上記のように可溶化および濾過した。膜は連続して使用され、すなわち、試料は100kDaを通過し、次いですべての透過液(透析濾過ステップからを含む)がプールされ、5kDa膜に適用された。収率データについては表10を参照されたい。
【0252】
予備的なHPLC-SEC分析は、17/11/21 ASCOXからのより高MWの材料が>100kDa画分において富化されることを示した。明確なピークが5~100kDa画分に存在し、最低MWの材料が<5kDa画分に存在する。このアプローチは、<30kDa Vivaspin試料とともに、ポリフェノールMWよりもはるかに高い分子ふるいで、MWカットオフが予測されたポリフェノールMWよりもはるかに大きい場合、ポリフェノールが濾過膜を通過するであろうことを示した。しかしながら、おそらく膜相互作用または大きな凝集体の形成により、一部のポリフェノールは依然として保持される。膜に対する条件を、例えば、凝集を防止し、ポリフェノールのより正確なサイズに基づく分離を得るために、低イオン性、または非極性条件、低アルコール%に変更することによって、この分離を改善することが可能であり得る。
【0253】
追加の遠心濾過およびTFFアプローチからの結論は、ポリフェノールによる膜相互作用のために、サイズに基づく膜分別が制限されることである。しかしながら、より高MWカットオフの使用は、改善された分離を可能にし、フコイダンが>100kDa画分に保持され、ポリフェノールの大部分が膜を通過することが予測される。
【0254】
実施例7-上記実施例5および6において得られる粗抽出物および画分の抗ウイルス活性。
それぞれ実施例5および6で得られる親水性、疎水性、(i)<1000gmol-1、および(ii)>1000gmol-1画分を次いで、実施例4に記載される方法を使用して、マウスノロウイルスに対する抗ウイルス試験に供した。
【0255】
結果は、図15および16に示され、活性であるものが結合(疎水性)および>1000gmol-1画分であることを確認する。
【0256】
実施例8-緑茶から抽出されるポリフェノールであるエピガロカテキンとの海藻抽出物およびフロロタンニン富化画分の抗ウイルス活性の比較
実施例3(粗抽出物)および実施例5(結合抽出物)から得られた海藻抽出物を、Sigma Aldrichから得られる没食子酸エピガロカテキン(≧95%)と一緒に使用した。使用された試験条件は、実施例7に記載される通りであった。
【0257】
結果は、粗抽出物および結合抽出物の両方についての抗ウイルス活性が有意な抗ウイルス活性を示すことを示す(図17を参照されたい)。
図1a
図1b
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
【国際調査報告】