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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-27
(54)【発明の名称】光音響心電図同期キロヘルツ可視化
(51)【国際特許分類】
   A61B 8/13 20060101AFI20220120BHJP
【FI】
A61B8/13
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021532095
(86)(22)【出願日】2019-11-27
(85)【翻訳文提出日】2021-07-30
(86)【国際出願番号】 US2019063565
(87)【国際公開番号】W WO2020117588
(87)【国際公開日】2020-06-11
(31)【優先権主張番号】62/775,113
(32)【優先日】2018-12-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】399043060
【氏名又は名称】フジフィルム ソノサイト インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】特許業務法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フォブリッチ、アレクサンダー、エーリッヒ
【テーマコード(参考)】
4C601
【Fターム(参考)】
4C601DD15
4C601DE16
4C601EE08
4C601FF08
4C601KK24
4C601KK25
4C601KK36
(57)【要約】
一実施の形態では、光音響イメージングシステムは、ユーザ入力を受け取って、1又は複数のイメージング波長と、標的組織領域の撮影されるべき目標数の画像フレームとを指定する。特定のイメージング波長は、標的組織中の少なくとも2つの異なる光吸収分子を取り込むように設定される。光音響イメージングシステムは、指定された波長において画像フレームを撮影し、一方、システムは、被験体のECG及び呼吸データも受信する。画像フレームは、呼吸データに基づいて廃棄され、他の画像フレームは、ECGデータから心周期の異なる点に対応する複数のスロットにソートされる。システムは、心周期の異なる点を通して興味のある標的組織を示すために、1又は複数の波長から複合画像を生成する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光音響イメージングシステムであって、
前記光音響イメージングシステムは、以下のように構成された画像プロセッサを含み:
ユーザ入力を受けること:該ユーザ入力は、
1又は複数のイメージング波長、及び
標的組織領域の撮像されるべき画像フレームの目標数
を特定し;
指定された前記1又は複数のイメージング波長の各々毎に:
指定された前記イメージング波長において撮影されるべき画像フレームを取り込み;
前記画像フレームを取り込みながら、前記標的組織領域に関連付けられた心電図(ECG)データ及び呼吸データを受け;
前記呼吸データに基づいて、前記画像フレームを破棄するかどうかを特定し;
前記画像フレームが廃棄されるべきでないということを特定することに応答して、前記ECGデータに基づいて、前記画像フレームを複数の画像フレームスロットのうちの1つに割り当て:
前記複数の画像フレームスロットは、前記画像フレームの前記目標数に等しく、及び
各画像フレームスロットは、前記ECGデータから特定された心周期上の異なる点に対応しており;
前記複数の画像フレームスロット内の各画像フレームスロットに少なくとも1つの画像フレームが割り当てられてしまうまで、追加の画像フレームを取り込むことを続け;
少なくとも前記目標数の画像フレームが指定された前記イメージング波長の各々において取り込まれたことを特定することに応答して、少なくとも1心周期を通して前記標的組織を描く複合画像フレームを生成するために、前記1又は複数のイメージング波長からの前記画像フレームを組み合わせる、
光音響イメージングシステム。
【請求項2】
前記1又は複数のイメージング波長の各々が、特定の光学的吸収分子を対象とする、
請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記呼吸データは、前記標的組織を含む前記被験体の身体にわたる前記抵抗率の測定値を含む、
請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記呼吸データに基づいて前記画像フレームを廃棄するかどうかを特定することは、前記標的組織が位置において移動したことを特定すること、及び前記画像フレームを廃棄すること、を含む、
請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
2又はより多くの画像フレームが、指定されたイメージング波長のための単一の画像フレームスロットに割り当てられることを特定すること、及び
前記単一の画像フレームスロットに割り当てられた単一の複合画像フレームを生成するために、前記2又はより多くの画像フレームを結合すること、
をさらに含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
複合画像フレームを生成するために前記1又は複数のイメージング波長からの前記画像フレームを結合することは、ユーザ入力によって選択されたプロセスを介して行われる、
請求項1に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願とのクロスレファレンス
本出願は、2018年12月4日に出願された米国特許仮出願第62/775,113号に関連し、また米国特許仮出願第62/775,113号の利益を主張し、参照によりその全体として本明細書に組み込まれる。
【0002】
技術分野
開示される技術は、超音波イメージングシステムに関し、特に、模擬された高フレームレート多重スペクトル光音響イメージングに関する。
【背景技術】
【0003】
高周波超音波イメージングは、心血管疾患の小動物モデルを評価するための価値あるツールである。しかしながら、心筋の機能評価に対していくつかの制限が残っており、その理由は、大部分の測定が筋肉の力学的性質に基づくからである。光音響(PA)イメージングは、血液を可視化すると共に酸素飽和度(sO2)レベルを測定するためにパルスレーザ光を使用するハイブリッド光学及び超音波イメージングモダリティである。加えて、複数の波長で照射する能力(すなわち、マルチスペクトルイメージング)は、異なる光吸収体の同定及び定量化を可能にさせる。例えば、オキシ-及びデオキシ-ヘモグロビンは、異なる波長において違ったふうに光を吸収するので、マルチスペクトルイメージングが使用されることができて組織内の酸素飽和度を定量化し、これは、医学研究における有用な生理学的パラメータである。
【発明の概要】
【0004】
このモダリティの1つの制限は、イメージング(撮像)フレームレートが、光音響信号を生成するために使用されるレーザのパルス繰り返し周波数によって制限されることであり得る。例えば、現在のいくつかの市販の光音響システム上では、フレームレートが単一波長に対して最大20Hzに達することがある。加えて、マルチスペクトルイメージングが実行される場合、フレームレートは、獲得した波長数の因数によってさらに減少されることがあり、また、組織の動きは、さらに問題となり得て、なぜなら、マルチスペクトル光音響データの適切な定量化が実行されるために、フレームは、完全に同一位置に共登録されなければならない(正確に同じ空間的な位置、異なる波長におけるフレーム)からである。
【0005】
この制限は、小動物又は実験動物の研究における心臓といった速く動く器官をイメージング(画像化)する際に特に明らかであるかもしれない。例えば、マウスの心臓は、400~600bpm(約7から10Hz)のレートで拍動し、そして、毎秒当たり数百フレームのイメージング(撮像)レートが、該心周期のあらゆる部分を適切に分析するために必要とされ得る。
【0006】
この問題に対処する1つの方法は、より高いフレームレートのレーザシステムを使用することであり得る。これらのタイプのレーザシステムは正に存在するけれども、これらのシステムは、典型的には、より高い繰り返し率を達成するために、各パルスのエネルギーを犠牲にし、又は法外に高価である。該パルスのエネルギーを犠牲にすることは、達成可能な撮像深度を制限する可能性があり、また心筋全体の視覚化を妨げる可能性がある。
【0007】
高い繰り返し率のレーザ(50~100Hz)であっても、最大時間分解能は、心周期全体にわたって信号を適切に定量化するために十分ではない場合があり、心筋における貴重な測定、酸素飽和度を測定するために少なくとも2つの波長が必要とされるからである。50Hzの(2つの波長を含む)フレームレートでは、心拍当たり10フレーム未満が達成されることがあり、これは、心周期のいずれにも生じる心筋の動的変化を分析するために十分ではない。同様にまた恐らくより重要なことには、2つの異なる波長を取得するために要する時間が長すぎて、取得した画像を適切に共登録することができない場合がある。言い換えれば、第2の波長のフレームが獲得されるまでには、心臓は位置を変えており、2つのフレームは合わず、偽のデータ(スプリアスデータ)につながる。
【0008】
高フレームレートのイメージングを使用するための代替的なアプローチは、多くの心周期にわたって獲得されたフレームを大幅に平均化することであり得、これは、画像及び同様にデータを本質的に「ぼやけさせ」、はるかに正確でない測定及び小さな変化に対する感度の欠如に至る。それは、また、心周期の異なる部分の任意の機能分析を排除して、低い有用性及び低いロバスト性の、心筋における酸素飽和度の単なる全体的な推定値に至る。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、心周期の2つの異なる点において、750nm及び850nmでマウス心臓を撮影した例示的な光音響画像を示す。
図2図2は、光音響イメージングによる標的組織内における対象の2つの異なる分子を示す画像の例示的な組を示す。
図3A図3Aは、20%酸素を含む空気を呼吸している動物モデルに関する心筋内のデオキシ-ヘモグロビン及びオキシ-ヘモグロビンを示す例示的な一組の画像を示す。
図3B図3Bは、20%酸素を含む空気を呼吸している動物モデルに関する心筋内のデオキシ-ヘモグロビン及びオキシ-ヘモグロビンを示す例示的な一組の画像を示す。
図3C図3Cは、20%酸素を含む空気を呼吸している動物モデルに関する心筋内のデオキシ-ヘモグロビン及びオキシ-ヘモグロビンを示す例示的な一組の画像を示す。
図4A図4Aは、100%酸素を含む空気を呼吸している動物モデルに関する心筋内のデオキシ-ヘモグロビン及びオキシ-ヘモグロビンを示す例示的な一組の画像を示す。
図4B図4Bは、100%酸素を含む空気を呼吸している動物モデルに関する心筋内のデオキシ-ヘモグロビン及びオキシ-ヘモグロビンを示す例示的な一組の画像を示す。
図4C図4Cは、100%酸素を含む空気を呼吸している動物モデルに関する心筋内のデオキシ-ヘモグロビン及びオキシ-ヘモグロビンを示す例示的な一組の画像を示す。
図5図5は、標的の組織領域の光音響心電図同期(ECGゲーテッド、gated)キロヘルツ視覚化を実行する例示的な方法を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
さらに詳細に以下に説明されるように、開示される技術は、超音波イメージングシステムの改良に関しており、特に、多重スペクトル光音響イメージングシステムに関し、該多重スペクトル光音響イメージングシステムは、既存の光音響システム上で現在利用可能なものを超えるフレームレートを模擬(simulate)するために、画像データを取得すると共に過去にさかのぼって画像データを処理する。このようなシステムは、「光音響ECGゲーテッドキロヘルツ視覚化」と呼ばれる。その名前が暗示するように、特定の実施の形態では、標的組織は、1000Hzを超える有効フレームレートにおいてイメージング(画像化)されることができ、これは、実際のイメージングシステムが20Hz程度のフレームレートの能力であるにもかかわらず、心周期といった動きを通して該標的組織の連続的に滑らかな画像を描写するために十分であり得る。
【0011】
心電図検査(又は「ECG」と呼ばれ、時に「EKG」とも呼ばれる)は、心臓の動き中に該心臓から由来する電気信号をモニターするために使用される技術を指す。該心臓から由良する電気信号は、心臓の近くの皮膚の表面において検出されることができる。ECG信号は、心機能のサイクルを追跡するために使用されることがある。様々な「ECG同期法」又は「ECGシンクロナイゼイション」の技術が、同時に取得されたECG信号を心周期に対する画像取得のタイミングを連携させるために使用することによって、超音波画像の取得を改善するために使用されてきた。心電図同期処理を用いる以前の撮像システムは、例えば、2003年12月15日に出願された米国特許第7,052,460号、2006年3月03日に出願された米国特許第7,798,963号、及び2005年2月28日に出願された米国特許第7,674,228号に記載されており、これらの全ては、参照により本明細書に組み込まれる。
【0012】
特定の実施の形態では、光音響イメージングシステムは、生体組織に向けられる非イオン化レーザパルスを利用する。届けられたエネルギーの一部は、組織によって吸収されまた熱に変換され得て、過渡的な熱弾性膨張による超音波放射を生成する。該超音波放射は、次いで、撮像(イメージング)用の超音波変換器によって検出されることができる。特定の実施の形態では、超音波放射の強度は、局所的なエネルギー付与に比例することができ、これは、該局所領域におけるレーザパルスの吸収に関連することができる。特定の実施の形態では、該局所領域における1又は複数の分子の吸収スペクトルは、超音波放射に影響を及ぼし得る。限定のつもりではなく例示として、2つの異なる波長のレーザパルスが、組織中のオキシ-ヘモグロビン及びデオキシ-ヘモグロビンの濃度を検出するために使用されることができる。光音響イメージングシステムの一例は、富士フイルム・ビジュアルソニクス社(Fujifilm VisualSonics Inc.)からのVevo LAZRシステムである。
【0013】
特定の実施の形態では、光音響イメージングシステムは、ユーザが、捕捉されるべき標的画像フレームの数及び使用されるべき波長を指定することを可能にする。限定のつもりではなく例示として、動物の心臓は、心臓の心筋の酸素飽和レベルを分析するために画像化されることができる。この例では、ユーザは、100個の標的画像フレームが単一の心周期内において捕捉されるべきであることを指定することができる。ユーザは、また、2つの波長、すなわち、デオキシ-ヘモグロビンを検出するのに適した波長と、オキシ-ヘモグロビンを検出するのに適した第2の波長とが、光音響イメージングのために使用されるべきである、ことを指定できる。ユーザが入力を提供した後、光音響イメージングシステムは、選択された波長のうちの第1波長において画像を取り込むことを開始することができる。該画像が取り込まれている間に、該システムは、また、被験物上に置かれたリード線からECGデータ及び呼吸データを受けることもできる。限定のつもりではなく例示として、リード線の複数組が、ECG信号を検出するためにマウス上に置かれることができ、また経時的な呼吸相を示すことができる抵抗率における変化を測定することができる。
【0014】
特定の実施の形態では、光音響イメージングシステムのフレームレートは、標的組織の周期的レートと同じオーダーの大きさであることができる。限定のつもりではなく例示として、光音響イメージングシステムは、20Hzでイメージング(画像化)する能力があり、一方、マウスの心臓は、約7~10Hzで拍動する。特定の実施の形態では、システムのフレームレートは、取り込まれるべき総画像領域を減少させることによって最適化されることができる。限定のつもりではなく例示として、超音波変換器は、256個の要素と、64個のチャネルとを含む。フレームレートを最適化するために、64個の要素のみが使用されることができて画像を取り込む。標的組織の多数の画像を撮影することによって、光音響イメージングシステムは、心周期の各相における標的組織の少なくとも1つの画像が取り込まれるように、十分な画像を取り込むことができる。限定のつもりではなく例示として、ECGデータに従う心周期が100フレームに分割される場合、光音響イメージングシステムは、数百の画像にわたって20Hzで心臓をイメージングし続けることができる。
【0015】
特定の実施の形態では、該1又は複数の画像フレームが光音響イメージングシステムによって受信されるとき、システムは、各画像フレームが複合画像の生成のために保持されるべきか否かを特定する。特定の実施の形態では、被験物が吸気又は呼気していることを呼吸データが示しており該吸気又は呼気が心臓といった標的組織の位置を変えている可能性のある場合、画像フレームは廃棄されることがある。標的組織が動きながら取り込まれた画像フレームについては、これらの画像フレームは、複合画像に不適切であると判定されることがある。呼吸データが、画像フレームが保持されるべきであることを承認する(confirm)場合、そのときは、ECGデータに基づいて、光音響イメージングシステムは、心周期のどこに画像フレームが置かれるべきかを特定することができる。限定のつもりではなく例示として、光音響イメージングシステムは、単一の心周期内の時間において100個の異なる時刻点に対応する100個のスロットを生成する。画像フレームを受信したら、光音響撮像システムは、100個のスロットのうちの1つ内に画像フレームを置くことができる。特定の実施の形態では、光音響イメージングシステムは、100個のスロット全てが満たされてしまうまで、追加の画像フレームを撮影し(取り込み)続けることができる。特定の実施の形態では、スロットの全てが画像フレームで満たされる前に、2つ又はより多くの画像フレームが同じスロットに割り当てられてもよい。このような場合には、光音響イメージングシステムは、そのスロットを表す単一の画像フレームを生成するために、該2つ又はより多くの画像フレームを組み合わせることができ、これは、個々の画像フレームに比較された組み合わされた画像フレームに関する信号対雑音比を改善することができる。全てのスロットが満たされると、光音響撮像システムは、ユーザによって指定された次の波長でプロセスを繰り返すことができる。選択された波長の全てにおける全てのフレームスロットが満たされてしまうと、光音響イメージングシステムは、単一の心周期にわたる異なる波長の吸収を描写する画像の複合セットを生成することができる。特定の実施の形態では、画像の該複合セットは、心周期にわたる吸収を示すビデオを含むことができる。特定の実施の形態では、該複合(合成)は、ユーザによって指定された処理モードに基づいてもよい。限定のつもりではなく例示として、ユーザは、該処理が、酸素を取り込んだ(oxygenated)組織及び酸素を放出した(deoxygenated)組織を検出すること、又は2つ若しくはより多くの特定の分子を処理すること、であるべきこと、を指定することができる。
【0016】
図1は、心周期の2つのフェーズ中に取り込まれた例示的な一組の光音響画像を示す。ECGデータ110は、被験物上に置かれたリード(Lead)によって収集され、呼吸データ120は、同じ期間にわたって被験物上に置かれたリードによって収集される。特定の実施の形態では、呼吸データは、被験者の身体にわたる抵抗率の測定値に基づいており、これは、被験物が吸息する及び呼息するとき変化し得る。図1の例では、光音響イメージングシステムは、オキシ-ヘモグロビン及びデオキシ-ヘモグロビンに関して、それぞれ、750nm及び850nmにおいていくつかの画像を取り込むことができる。画像130及び135は、750nmで撮影された光音響画像であり;画像140及び145は、850nmで撮影された光音響画像である。図1の例では、光音響イメージングシステムは、画像130及び140が、ECGデータ110上の第1の点に対応する一方で、画像135及び145が、ECGデータ110上の第2の点に対応する、ことを特定することができる。画像130、135、140、及び145に関しては、光音響イメージングシステムは、被験物がECGデータ110上における第1及び第2の点中に移動していないことを呼吸データ120が確認することを特定できる。図1の例では、光音響イメージングシステムは、次に、画像130及び140が互いに重ね合わされ一方で画像135及び145が互いに重ね合わされるように、複合画像を作成することができる。限定のつもりではなく例として、画像130及び135が心周期に関して隣接スロットにあると特定され、また画像140及び145が隣接スロットにあると特定された場合、最終の複合画像は、画像130及び140の重ね合わせ(オーバーレイ)を描写しており、直後に、画像135及び145のオーバーレイが続く。
【0017】
図2は、心周期の類似フェーズにおける2つの例示的な複合フレームを示す。図2の左側では、被験体は、20%の酸素を含む実験室空気を肺に吸気したものであって、一方、右側では、被験体は100%の酸素を肺に吸気した。領域210及び220は、デオキシ-ヘモグロビンを含有する低酸素化された組織を示し、一方、領域215及び225は、オキシ-ヘモグロビンを含有する高酸素化された組織を示す。
【0018】
図3Aから図3Cは、20%の酸素を含む実験室空気に曝露された被験物についての、心周期の異なるフェーズにおける複合フレームを示す。図3Aから図3Cに描かれた3つのフェーズにおいては、心臓組織330は、心周期にわたって大きさ及び形状を視覚的に変化させている。同じように、図3Aから図3Cの各フェーズにおいて、デオキシ-ヘモグロビンは領域310によって示され、オキシ-ヘモグロビンは領域320によって示される。
【0019】
図4Aから図4Cは、100%酸素に曝露された被験体に関して、心周期の異なるフェーズでの複合フレームを示す。図4Aから図4Cに描写された3つのフェーズにおいて、心臓組織430は、心周期にわたってサイズ及び形状を視覚的に変化させている。同じように、図4Aから図4Cにおける各フェーズにおいて、デオキシ-ヘモグロビンは領域410によって示され、オキシ-ヘモグロビンは領域420によって示される。
【0020】
特定の実施の形態では、光音響イメージングシステムは、対象動物の心エコー検査キロヘルツ視覚化のために、以下のステップを実行することができる:
【0021】
1.動物が、動物イメージングプラットフォーム上に置かれ、またECG及び呼吸データを収集するリードに取り付け(hook up)られる。
【0022】
2.イメージングウィンドウは、心臓の全体を依然としてカバーしながら最大可能フレームレートを達成することができるように設定される。
【0023】
3.単一波長の光音響データは、設定されたフレーム数が取得されるまで、750nmの波長で実行される。フレームの数は、心周期全体が100個の離散点に分担されるとき、心周期全体の各点毎に少なくとも1フレームのデータを有するのに十分であるべきである。
【0024】
4.上記のステップと同様に、単一波長の光音響データが、上記のように設定された数のフレームが取得されるまで、850nmの波長で実行される。
【0025】
5.波長毎に、取得されたフレームは、次に(取得された呼吸信号により呼吸及び動物の動きによる)形状の異常なフレームを除去するために、また取得されたECG信号のように心周期中に画像がどこに収まるかに従って画像を再編成しまた結合するために、遡って処理される。
【0026】
6.各波長の少なくとも1つのフレームが貯蔵される(bin)と共に心周期の全体がこれらの2つのフレームで完了すると、sO2の計算が、システム上のOxyHemoモードの既存の機能に従って実行される。1つの完全な心周期に対するsO2の結果として得られたパラメトリックマップが表示され、後続の測定が、システムソフトウェアの既存の機能により実行されることができる。
【0027】
特定の実施の形態では、心臓用途に関しては、心臓システムの他の部分に概念を拡張することが可能であり得、例えば、血管、弁、及び心周期に直接関連する高速に動く他の活動を研究するための技法を適用することが有用であり得る。
【0028】
特定の実施の形態では、光音響イメージングシステムは、任意の数の波長を使用することができる。限定のつもりではなく例として、染料、ナノ粒子、脂肪、オキシ-ヘモグロビン、及び/又はデオキシ-ヘモグロビンの分析を可能にするために、追加の波長が取得され、遡及的に処理されてもよい。特定の実施の形態では、追加の波長を含むこととのトレードオフは、画像取得に必要な総時間を増加させることである可能性であり、それは、追加の各波長は、その波長に関して画像のフルセットを取り込むために十分な時間を必要とするからである。限定のつもりではなく例として、現在の光音響イメージングシステムは、データが上述のように処理されるすぐにスペクトル的に異なる成分を分離する既存のソフトウェアを含むことができる。
【0029】
特定の実施の形態では、光音響イメージングシステムは、同じ遡及的処理を用いて、標的組織の3Dスキャン像を取り込むことができる。限定のつもりではなく例として、リニアモータが、動物に沿って一連の位置を通して(すなわち、「スライス」)変換器(トランスデューサ)を移動させる。各スライスにおいて、「PA EKV」画像が上述のように取得されることができる。特定の実施の形態では、画像は、時間の経過の中で3Dレンダリングとして再構成され、また視覚化されることができる。
【0030】
特定の実施の形態では、上述のマルチスペクトルプロセスの潜在的な欠点は、データ取得が波長当たり約1分を要することであるかもしれない。特定の実施の形態では、品質オプションは、心周期全体をカバーするために幾つの離散点が使用されるかを、ユーザが選択することを可能にする。限定のつもりではなく例として、100フレームではなく30フレームに、画像化されるべき(イメージングされるべき)心拍フェーズの数を減らすことによって、複合画像を取り込む(キャプチャする)ために必要な時間の合計量は、心周期毎のフレームレートを減らすということを犠牲にして、約3分の1に減少されることができ、これは、複合ビデオをより滑らかでない可能性がある。
【0031】
図5は、前述の教示に従う光音響ECG同期キロヘルツ視覚化プロセスを実行する例示的な方法500を示す。方法500は、ステップ510で開始し、ここで、光音響イメージングシステムは、使用されるべきイメージング波長の数及びその波長と、取り込まれるべきターゲット画像フレームの数とを指定するユーザ入力を受けることができる。限定のつもりではなく例として、ユーザは、750nm及び850nmの2つの波長が使用されるべきであることと、100フレームが心周期を描写するために取り込まれるべきであることと指定することができる。ステップ520では、光音響撮像システムは、指定された波長のうちの1つを用いて、画像フレームを取り込むことを開始してもよい。この例では、システムは、750nmの光音響画像の取り込みを開始することができる。ステップ520が行われている期間に、ステップ530及び535においては、光音響イメージングシステムは、被験体のための同時ECG及び呼吸データを受け取る。ステップ520において取り込まれた各画像フレームは、画像フレームが取り込まれた時点での被験体の状態に対応する呼吸状態及びECG状態に関連付けられ得る。ステップ540において、光音響イメージングシステムは、対応する呼吸データに基づいて、特定の画像フレームが保持されるべきか、廃棄されるべきか、を特定することができる。画像フレームが廃棄される場合、光音響撮像システムは、ステップ520に戻って、同じ波長で追加の画像フレームを取り込むことを続ける。画像フレームが保持される場合、そのときはステップ550において、光音響イメージングシステムは、複合画像を生成するために使用されるべき画像フレームスロットの1つに画像フレームを割り当てるために、ECGデータを使用する。
特定の実施の形態では、画像フレームスロットの数は、ステップ510においてユーザにより指定されたフレームのターゲット数に等しい。ステップ560では、光音響イメージングシステムは、指定された波長のための全ての画像フレームスロットが満たされたか否かを特定する。NOの場合、そのとき、プロセスはステップ520に戻り、さらなる画像フレームを取り込むことを継続する。YESの場合、そのとき、システムは、ステップ570において、全ての指定された波長が満たされてしまったかどうかを判定する。NOの場合、そのときは、ステップ575において、光音響撮像システムは、別の指定された波長を選択し、また該新しい波長においてステップ520からプロセスを繰り返す。YESの場合、そのときは、ステップ580において、システムは、少なくとも1つの心周期を通して標的組織を描写する複合画像を生成し、指定された各波長において取り込まれた画像を示す。
【0032】
特定の実施の形態は、必要に応じて、図5に開示された1つ又は複数のステップを繰り返してもよい。本開示は、図5の方法の特定のステップを特定の順序で行われるものとして説明しまた例示するけれども、本開示は、任意の適切な順序で生じる図5の方法の任意の適切なステップを意図している。さらには、本開示は、図5の方法の特定のステップを実行する特定のコンポーネント、デバイス、又はシステムを説明しまた例示するけれども、本開示は、図5の方法の任意の適切なステップを実行する任意の適切なコンポーネント、デバイス、又はシステムの任意の適切な組み合わせを意図している。
【0033】
本明細書で説明される主題及び動作は、本明細書で開示された構造及びそれらの構造的等価物を含む、デジタル電子回路類において、又はコンピュータソフトウェア、ファームウェア、若しくはハードウェア、或いは、それらの1つ又は複数の組合せにおいて実施され得る。本明細書で説明された主題の実施の形態は、データ処理装置による実行のために、又はデータ処理装置の動作を制御するために、コンピュータ記憶媒体上に符号化された1又は複数のコンピュータプログラム、すなわち、コンピュータプログラム命令の1又は複数のモジュールとして実装され得る。
【0034】
コンピュータ記憶媒体は、コンピュータにより読み取り可能な記憶デバイス、コンピュータにより読み取り可能な記憶基板、ランダム若しくはシリアルアクセスメモリアレイ若しくはデバイス、又はそれらの1若しくは複数の組み合わせであってもよく、或いはそれらに含まれてもよい。さらには、コンピュータ記憶媒体は伝搬された信号ではなく、コンピュータ記憶媒体は、人工的に生成された伝搬された信号に符号化されたコンピュータプログラム命令の源又は宛先であることができる。コンピュータ記憶媒体は、また、1又は複数の別個の物理的構成要素又は媒体(例えば、複数のCD、ディスク、又は他の記憶装置)であってもよく、又はそれらに含まれてもよい。
【0035】
用語「プロセッサ」は、データを処理するための全ての種類の装置、デバイス、及び機械を包含しており、これらは、例として、プログラマブルプロセッサ、コンピュータ、チップ上のシステム、若しくは前述の複数のもの、又はそれらの組合せを含む。装置は、特殊目的論理回路、例えば、FPGA (フィールドプログラマブルゲートアレイ)又はASIC(特定用途向け集積回路)を含むことができる。この装置は、また、ハードウェアに加えて、当のコンピュータプログラムの実行環境を生成するコードを含むことができ、該コードは、例えば、プロセッサファームウェア、プロトコルスタック、データベース管理システム、オペレーティングシステム、クロスプラットフォームランタイム環境、仮想マシン、又はそれらの1若しくは複数の組み合わせを構成するコードである。装置及び実行環境は、ウェブサービス、分散コンピューティング、及びグリッドコンピューティングのインフラストラクチャといった様々な異なるコンピューティングモデルのインフラストラクチャを実現することができる。
【0036】
コンピュータプログラム(プログラム、ソフトウェア、ソフトウェアアプリケーション、スクリプト、又はコードとしても知られる)は、任意の形式のプログラミング言語で書くことができ、該プログラミング言語は、コンパイル又はインタプリター(interpreted)言語、宣言型言語又は手続き型言語を含み、また任意の形式で展開されることができ、該形式は、スタンドアロン・プログラムとして、又はコンピューティング環境での使用に適したモジュール、コンポーネント、サブルーチン、オブジェクト、若しくはその他のユニットとして含む。コンピュータプログラムは、ファイルシステム内のファイルに対応していてもよく、しかし、その必要はない。プログラムは、他のプログラム又はデータ(例えば、マークアップ言語文書に格納された1又は複数のスクリプト)を保持するファイルの一部に、当のプログラムに専用の単一のファイルに、又は複数の組織的な(coordinated)ファイル(例えば、1若しくは複数のモジュール、サブプログラム、又はコードの一部を格納するファイル)に格納されてもよい。コンピュータプログラムは、1つのコンピュータ上で、又は複数のコンピュータ上で実行されるように展開されることができ、該コンピュータは、1つのサイトに配置されるか、複数のサイトに分散され、また通信ネットワークによって相互接続される。
【0037】
本明細書で説明されるプロセス及び論理フローは、入力データに対して動作しまた出力を生成することによってアクションを実行するために、1又は複数のコンピュータプログラムを実行する1又は複数のプログラマブルプロセッサによって実行され得る。プロセス及び論理フローは、また、特殊目的論理回路類、例えばFPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)又はASIC(特定用途向け集積回路)、として実行されてもよく、また該特殊目的論理回路類によって装置が実装されることもできる。
【0038】
コンピュータプログラムの実行に適したプロセッサは、限定ではなく例として、汎用マイクロプロセッサと専用マイクロプロセッサの両方を含むことができる。コンピュータプログラム命令及びデータを格納するために適したデバイスは、すべての形態の不揮発性メモリ、媒体、及びメモリ装置を含むことができ、これらは、限定のつもりではなく例として、半導体メモリデバイス、例えば、EPROM、EEPROM、及びフラッシュメモリ装置;磁気ディスク、例えば、内部ハードディスク又はリムーバブルディスク;光磁気ディスク;並びにCD-ROM及びDVD-ROMディスクを含む。プロセッサ及びメモリは、専用論理回路類によって補足されてもよく、又は専用論理回路類に組み込まれてもよい。
【0039】
上記から、本発明の特定の実施の形態が、例示の目的で本明細書に記載されており、しかし、本発明の範囲から逸脱することなく様々な変更が為されることができる、ことを理解されたい。
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図4C
図5
【国際調査報告】