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特表2022-510725ガス化デバイス、および当該ガス化デバイスのマイクロ波プラズマ減速システムを有するプラズマシャッタ
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  • 特表-ガス化デバイス、および当該ガス化デバイスのマイクロ波プラズマ減速システムを有するプラズマシャッタ 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-27
(54)【発明の名称】ガス化デバイス、および当該ガス化デバイスのマイクロ波プラズマ減速システムを有するプラズマシャッタ
(51)【国際特許分類】
   H05H 1/24 20060101AFI20220120BHJP
   F23G 5/10 20060101ALI20220120BHJP
【FI】
H05H1/24
F23G5/10 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021543317
(86)(22)【出願日】2020-01-23
(85)【翻訳文提出日】2021-09-03
(86)【国際出願番号】 CZ2020050002
(87)【国際公開番号】W WO2020151774
(87)【国際公開日】2020-07-30
(31)【優先権主張番号】19153643.2
(32)【優先日】2019-01-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521325651
【氏名又は名称】イニング エス.アール.オー.
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】ダニレンコ,アントン
(72)【発明者】
【氏名】フィセンコ,ペトロ
(72)【発明者】
【氏名】スラヴィク,ズビネック
【テーマコード(参考)】
2G084
3K065
【Fターム(参考)】
2G084AA15
2G084AA20
2G084BB11
2G084CC14
2G084CC34
2G084DD04
2G084DD14
2G084DD44
2G084DD48
2G084FF27
2G084FF29
3K065DA09
(57)【要約】
プラズマシャッタ6のためのマイクロ波プラズマ減速システム15は、当該システムをジェネレータ5と相互接続し、かつ、ジェネレータ5からの波をプラズマシャッタ6内に送り込むための導波路バンド伝送部16と、導波路バンド伝送部16と相互接続されたブリッジバンド17と、一端においてブリッジバンド17と相互接続された2つの平行なバンドウエストライン18と、を備える。バンドウエストライン18は、平坦なプレートである。バンドウエストライン18の一方の側には、複数のテノン19が設けられている。第1バンドウエストライン18の一方の側に配置されたテノン19が、第2バンドウエストライン18の一方の側に配置されたテノン19の間に交互に配置される向きにて、バンドウエストライン18の軸に沿ってテノン19が並んで配置されている。バンドウエストライン18の他端には、互いに隔離された複数のロック式電磁オシレータ20が設けられている。ロック式電磁オシレータ20の位置は、直接波および反射波のカウントアップによって最大振幅を生じさせるための、波の正確な反射点を定める。バンドウエストライン18は、導波路バンド伝送部16から遠ざかる方向において広がり、かつ、ロック式電磁オシレータ20の手前にて狭まり、ブリッジバンド17からロック式電磁オシレータ20へと直接波Yを導く。テノン19は、導波路バンド伝送部16の出口における波の長さをλとして、距離λ/2にて互いに隔離されており、ロック式電磁オシレータ20からブリッジバンド17に至る反射波Zの経路内に配置されている。ブリッジバンド17は、到来する波を180°シフトされた2つの同等な波へと分割し、当該波のそれぞれが異なるバンドウエストライン18上に広がる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラズマシャッタ6のためのマイクロ波プラズマ減速システム15であって、
上記システムをジェネレータ5と相互接続し、かつ、上記ジェネレータ5からの波を上記プラズマシャッタ6内に送り込むための導波路バンド伝送部16と、
上記導波路バンド伝送部16と相互接続されたブリッジバンド17と、
一端において上記ブリッジバンド17と相互接続された2つの平行なバンドウエストライン18と、を備えており、
上記バンドウエストライン18は、平坦なプレートであり、
上記バンドウエストライン18の一方の側には、複数のテノン19が設けられており、
第1バンドウエストライン18の一方の側に配置された上記テノン19が、第2バンドウエストライン18の一方の側に配置された上記テノン19の間に交互に配置される向きにて、上記バンドウエストライン18の軸に沿って上記テノン19が並んで配置されており、
上記バンドウエストライン18の他端には、互いに隔離された複数のロック式電磁オシレータ20が設けられており、
上記ロック式電磁オシレータ20の位置は、直接波および反射波のカウントアップによって最大振幅を生じさせるための、波の正確な反射点を定め、
上記バンドウエストライン18は、
上記導波路バンド伝送部16から遠ざかる方向において広がり、かつ、上記ロック式電磁オシレータ20の手前にて狭まり、
上記ブリッジバンド17から上記ロック式電磁オシレータ20へと上記直接波Yを導き、
上記テノン19は、
上記導波路バンド伝送部16の出口における上記波の長さをλとして、距離λ/2にて互いに隔離されており、
上記ロック式電磁オシレータ20から上記ブリッジバンド17に至る上記反射波Zの経路内に配置されており、
上記ブリッジバンド17は、到来する波を180°シフトされた2つの同等な波へと分割し、当該波のそれぞれが異なるバンドウエストライン18上に広がる、マイクロ波プラズマ減速システム15。
【請求項2】
請求項1に記載の上記マイクロ波プラズマ減速システム15を備えている、プラズマシャッタ6。
【請求項3】
上記マイクロ波プラズマ減速システム15は、上記プラズマシャッタ6の軸上に配置されている、請求項2に記載のプラズマシャッタ6。
【請求項4】
上記プラズマシャッタ6から到来したプラズマ流13を導くために、2~12個の独立したソレノイド21をさらに備えている、請求項2または3に記載のプラズマシャッタ6。
【請求項5】
ガス化デバイスであって、
分離部分を有する固体物質のローダ1と、
上記固体物質のグラインダ2と、
上記固体物質のホッパ3と、
上記固体物質をガス化するためのガス化チャンバ4と、
マイクロ波パワーを供給するためのジェネレータ5と、を備えており、
上記ローダ1は、上記グラインダ2に接続されており、
上記グラインダ2は、上記ホッパ3に接続されており、
上記ホッパ3は、上記ガス化チャンバ4に接続されており、
上記ガス化チャンバ4は、上記ジェネレータ5にも接続されており、
上記ジェネレータ5は、マイクロ波エネルギーを供給するために、電源と、導波路と、自動制御システムと、を備えており、
上記ガス化チャンバ4の出力部は、
機械的添加物の粒子を取り除くように、流入する合成ガスをクリーニングするためのスクラバ7と、
上記合成ガスをデリケートにクリーニングするためのプラズマ触媒排ガスクリーニングユニット8と、
危険化学物質の再結合を防止するために、上記合成ガスを急速に冷却するためのカラム9と、を含んでおり、
上記スクラバ7は、上記プラズマ触媒排ガスクリーニングユニット8に接続されており、
上記プラズマ触媒排ガスクリーニングユニット8は、上記カラム9に接続されており、
上記ガス化チャンバ4の出力部は、
溶融物質を冷却することによって生じた残留物の均質化のためのリアクタ10と、
冷却されたコークス残留物を収集するためのフィーダ11と、をさらに含んでおり、
上記リアクタ10は、上記フィーダ11に接続されており、
上記ガス化デバイスは、請求項2から4のいずれか1項に記載の上記プラズマシャッタ6をさらに備えている、ガス化デバイス。
【請求項6】
上記固体物質の上記ローダ1は、金属の磁気セパレータによって上記固体物質を調製するためのデバイスである、請求項5に記載のガス化デバイス。
【請求項7】
上記固体物質の上記グラインダ2は、粒子を0.80~10mmのサイズに粉砕する、請求項5または6に記載のガス化デバイス。
【請求項8】
上記固体物質の上記ホッパ3は、プライマリガスを吸引するためのチューブまたは吸引チャネルを備えている、請求項5から7のいずれか1項に記載のガス化デバイス。
【請求項9】
固体粒子を供給するための上記ホッパ3と、液体物質を供給するための噴霧器12との両方を備えている、請求項5から8のいずれか1項に記載のガス化デバイス。
【請求項10】
有機物質の熱化学的変換のための、請求項5から9のいずれか1項に記載のガス化デバイスの使用。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
[本発明の背景]
本発明は、ガス化デバイス、および、当該ガス化デバイスのマイクロ波プラズマ減速システムを有するプラズマシャッタに関する。
【0002】
[最新技術]
UHFプラズマとも称されるマイクロ波プラズマは、300MHzより高い周波数を有する電磁波によって生じる、導波路デバイス内における放電の和である。工業的、医学的、および科学的な目的に関して、460、915、2450、5800、22125MHzを除く各周波数を使用することはできないことを知ることが必要である。最も一般的な周波数は、携帯電話に関しては915MHzであり、マイクロ波自体、木材乾燥、金属の表面処理に関しては2450MHzである。
【0003】
UHF放電を発生させるためには、プラズマジェネレータ(プラズマ発生器)を使用しなければならない。当該デバイスは、プラズマトロンとも称される。プラズマトロンは、マイクロ波エネルギーを発生させるためのマイクロ波ジェネレータと、定められた点にマイクロ波エネルギーを供給するための導波路システムと、電気エネルギーを電磁エネルギーおよび加熱エネルギーに変換するためのターミナルデバイス(終端デバイス)であるプラズマシャッタと、を備える。UHFプラズマトロンの構成は全て、UHF送信線に基づくプラズマジェネレータ、UHFジェネレータに基づくプラズマジェネレータ、「スローダウン(減速)構造」に基づくプラズマジェネレータ、プラズマへのエネルギーの供給が分割されるプラズマジェネレータなどのグループに分類されうる。
【0004】
UHFプラズマを発生させるための全ての方法は、同じ複数の基本的なコンポーネント、すなわち、UHF周波数のジェネレータと、マグネトロンと称されるランプと、導波路デバイスと、を有する。
【0005】
上述のコンポーネントによれば、ワーキングガス(作動ガス)、プラズマ発生ガスをそれぞれ供給するためのデバイスに基本的には接続されたジェネレータは、30kV/cmを超える電圧の電磁界を発生することが可能となる。当該電磁界は、放電電圧とガスのアバランシェイオン化とを生じさせて、プラズマを発生させる。これにより、プラズマの放電が生じるエリア、すなわちプラズモイド(PLASMOID)が生じる。上記ガスは例えば、空気、蒸気、不活性ガスなどである。
【0006】
ワーキングガスの流れが制御されることにより、プラズモイドはプラズマ流の形態へと変換される。プラズマ流はプラズマシャッタの境界上へと導かれ、2つの効果、すなわち、(i)プラズマシャッタの過熱および破壊が装われ、(ii)強力なワーキングツール(作業ツール)が実行されることが保証される。このことは、有機物質および無機物質に対して強力かつ高温の効果をもたらす。
【0007】
UHFプラズマは、97~98%を下回らない、電気エネルギーの熱エネルギーへの高い変換度によって特徴付けられている。
【0008】
連続的なプラズマ流の形態におけるプラズマ放電は、特に外部ソース(外部源)によって制御されるワーキングガスの流れによって、プラズマシャッタからリアクタチャンバ(反応器チャンバ)へと強制的に移動させられる。プラズマ流における強固な電磁境界は、放電が生じる点とは逆向きに導かれるため、プラズモイドはプラズマ形成デバイスの壁部および各コンポーネントには接触しない。そのため、構成材料のエロージョン(侵食)が回避される。リアクタチャンバ内部のプラズマ流の長さおよびサイズは、付加されたプラズマ形成ガス、すなわちワーキングガスの十分な量によって制御される。
【0009】
マイクロ波プラズマトロンと他の高温のソースとの主な相違点は、電極、および、危険な粒子によってガス化の終端生成物を汚染する付加的な燃焼物質(例:ガス、マスト、油)が、内部に存在しないことである。このことは、マイクロ波プラズマによる材料の処理が、生態学的観点と、任意の技術的目的に応じたプロセスに対する終端生成物の使用の可能性との両方において、今日における最もクリーンな方法であることを意味する。
【0010】
マイクロ波プラズマシャッタは、大気圧のワーキングガスを使用する。但し、より低圧およびより高圧のいずれの場合においても、マイクロ波プラズマシャッタは、ガスプラズマ流への変換に容易に適合化されうる。
【0011】
マイクロ波プラズマトロンは、温度1400℃~4000℃の低温プラズマ源であり、様々な技術プロセスに使用されうる。これは、例えば、熱分解、材料または廃棄物のガス化、金属の溶融および切断、金属表面の処理、加熱プラントのボイラにおける点火、蒸気の発生など、材料に対する強い熱作用を必要とする。
【0012】
プラズマプロセスは、他の加熱方法では到達され得ない、高温かつ効果的なプロセス温度を保証する。解離およびイオン化プロセスに起因して、ガスの高温流は高エネルギーである。このことは、使用される生成物のタイプに基づいて、廃棄物の処理の技術的プロセスを20~50%加速させることを保証する。プラズマプロセスの独自性は、2次生成物の発生を最小限に抑えつつ、最終生成物を得るためのその高い選択性にある。例えば、空気または水蒸気のプラズマ中において任意の有機物質をガス化することによって、フェノールまたは多環式炭化水素添加物を生じさせない、より高い含量の可燃性物質(СО+Н)のガスを得ることができる。
【0013】
従って、ガス化は、高温加熱によって(すなわち、温度が900℃~2000℃である場合に)、炭素を含有する有機物質を、酸素の存在なしに可燃性ガスへと変換するプロセスである。ガス化/熱分解時に実行されるプロセスの概要および原理は、熱分解時に、材料がそこに存在する有機化合物の熱的安定性の限度を超えて加熱されることを意味する。このことは、熱化学的変換と称される、安定な低分子生成物および固形残留物に至る融合をもたらす。有機物質の変換における最終生成物は、一酸化炭素(CO)および水素(H)、すなわち、合成ガスと称されるガス生成物の発火成分の基本成分である。ガス化処理時に生じる合成ガスの他の成分は、バラストと称され、ガスの発熱量に対するその最小限の影響に関しては通常は考慮されない。
【0014】
直接燃焼の方法と比較してのマイクロ波プラズマガス化技術の主な利点は、環境への影響が低いことである。このことは、高温と0.2~0.3という残留酸素係数とを有する環境内にガス成分が存在しているという事実に起因している。このことは、ほとんどの危険な成分(例:ダイオキシン、フラン、ポリクロルビフェニル、ベンゼンピレンおよび他の多環式芳香族炭化水素)の分解および脱塩素化を生じさせる。直接燃焼方法に対する上記方法の別の利点は、より少ない体積のガスが生じることである。ガスは浄化されなければならず、スラグの体積よりも何倍も少なくなければならない。さらに、スラグの残留物は、炭素、すなわち煤(soot)によって構成されていない。このため、大気中に放出される前にガスを浄化するためのデバイスの費用、および固体の長期廃棄物、すなわちスラグのデバクテリゼーションのためのデバイスの費用が低減される。当該費用は、焼却プラントの一部としての浄化デバイスの価格と比較すると、当該焼却プラントの全費用の50%までに達しうる。
【0015】
人工メタン発酵および堆肥化による有機物質から燃料ガスへの変換の効率は、ガス化プロセスよりも何倍も低いことが、実際の経験から確認された。
【0016】
今日では、直接燃焼による、および、電気プラズマアークを用いた熱分解による、都市廃棄物の様々な利用方法が存在している。
【0017】
廃棄物を燃焼させるためのデバイスは、当技術分野において公知である。当該デバイスは、発光体(lit)を有する燃焼チャンバと、デフレクタ(偏向器)を有する空気の入口のためのチューブを備えた後期燃焼チャンバ(late-combustion chamber)と、スパーク消火器と、を備える。当該デバイスは、空気の流れの方向を形成するための流入チャンバと、ディーゼル用のタンクと、燃焼チャンバに接続されたディーゼルバーナと、をさらに備える。このデバイスの欠点は、さらなる燃焼生成物が生じるモータディーゼルを使用することである。さらなる燃焼生成物は環境を汚染するので、大気中に放出される前に、クリーニング(清浄化)のためのさらなる費用が必要となる。
【0018】
固体の都市廃棄物および医療廃棄物を燃焼させるための最新技術に係る別の公知のデバイスは、固体の都市廃棄物のニュートライザ(中和器)である。燃焼中には、直接燃焼よりも全燃焼が良好であり、かつ、ガスの酸化度がより良好である、パルセーション燃焼技術が用いられる。廃棄物の全燃焼の問題を解決する上記方法の欠点は、ディーゼルについて代替不可能な天然源が石油精製のための生成物として使用され、後に最終生成物が汚染されることである。このことは、付加的な必須の濾過を伴う。
【0019】
別の公知のデバイスは、廃棄物を利用するためのデバイスである。当該デバイスは、サーマルリアクタ(熱リアクタ)と、後期燃焼チャンバを有する垂直サイクロンオーブンと、を備える。垂直サイクロンオーブンは、熱破壊用のチャンバが配置されるバーナの上部に、加熱チャンバを有する。さらに、当該デバイスは、触媒コンバータ(すなわち燃焼器)、熱交換器、ガス浄化のためのシステム、ガス吸引のためのデバイス、および煙突を備える。このデバイスの欠点は、非再生燃料源を再び使用すること、および、ランニングコストが高いことである。
【0020】
低温プラズマによる廃棄物の利用のためのデバイスは、最新技術により知られている。危険な液体有機廃棄物の排除のために、任意の産業分野(例:石油化学産業)において、当該デバイスを使用することが可能である。有機液体廃棄物を処理するためのプラズマ動的リアクタは、汚染された水の入口のためのアクセサリ(付属品)を有する気密カバーと、浄化された水の出口のための開口部と、を備える。当該開口部には、カソードおよびアノードが設けられる。カソードおよびアノードは、電源に接続されている。さらに、イグニション電極(点火電極)は、リアクタ本体内に設けられ、絶縁カバー内において閉鎖され、パルス電源に接続される。このデバイスの欠点は、使用可能なリサイクル可能材料の制限、および、構成材料の熱エロージョンに起因してリアクタのシール(封止)が困難であることである。
【0021】
文献RU83123は、プラズマによる廃棄物の利用のためのデバイスを示している。当該デバイスは、プラズマによって廃棄物を分解するためのチャンバと、プラズマを生じさせるための、チャンバ内に設けられた電極と、燃焼および溶融によって生じたガス生成物を導くためのシステムと、燃焼および溶融の生成物としての上記ガス生成物を冷却するための冷却システムと、を備える。プラズマを生じさせるための電極は、プラズマの方向および流れの力の想定される変化に関して調整される。上記デバイスの技術的目的は、プラズマの制御された流れおよび廃棄物のプラズマ利用のためのチャンバの熱場によって生じた廃棄物の利用のプロセスの最適化である。上記方法の欠点は、プラズマを生じさせるための電極の機械的変位である。当該機械的変位は、廃棄物の熱分解のためのチャンバの構成を複雑化させ、かつ、デバイスの使用中における技術的プロセスの信頼性および制御性を低下させる。
【0022】
文献US19840611541は、電気プラズマアークフレイムによる廃棄物の熱破壊の方法を示している。環境への有害な放射の発生をクロスオーバーする問題は、アルカリ性溶液による危険な化合物の中和によって解決される。アルカリ性溶液は、廃棄物の周辺における噴霧によって、廃棄物の分解ゾーンに添加される。上記方法の欠点は、膨大な量の中和剤の使用、中和プロセスの最終化のために均一に広がった薬剤を含むエリアを構築することの困難性、および、溶液からの水の蒸発によって引き起こされるエネルギー浪費の増加である。
【0023】
文献US20070837384は、廃棄物をマイクロ波プラズマフレイムによって処理する方法を示している。マイクロ波放射は、廃棄物の予備乾燥およびその後のプラズマフレイム中における廃棄物の燃焼のために使用される。マイクロ波デバイスは、平坦部のブロックの基部に配置される。トレーラまたは他の輸送手段を使用して、当該マイクロ波デバイスを取り去ることができる。上記方法の欠点は、プラズマフレイム中における廃棄物の乾燥および燃焼がこの方法の異なる段階において、および異なるデバイスを使用することによって処理される、技術的プロセスのステップ数である。さらに、マイクロ波放射の使用は、電磁波の強力なアブソーバ(吸収器)であるプラズマの始動を伴わないので、無線密閉デバイスおよび周囲への電磁放射の連続的な監視などの、困難かつ要求の厳しい設備の使用を必要とする。
【0024】
文献WO2004ES00550は、マイクロ波プラズマによる飛来有機物質の液化のための方法およびデバイスを示している。上記方法は、飛行有機物質が、プラズマフレイムの軸上において、ガスと共にプラズマに直接的に集束させられるシステムを使用する。これにより、プラズマが発生し、飛来物の分解プロセスが実行されるリアクタの内側が満たされる。上記デバイスは、飛来有機物質の入口のためのエリア、プラズマを発生させるためのエリア、リアクタ、ポンピングのためのガスポンプ、および多くの他の付加的なコンポーネントを備える。上記方法の欠点は、リサイクルに適した廃棄物の種類が限られていること、および、異なる種類の廃棄物を熱化学チャンバに供給する方法が限られていることである。
【0025】
別の解決策は、プラズマアーチを形成するための電気的な電極を使用することによって、固体の都市廃棄物を液化するためのデバイスである。上記デバイスは、固体の都市廃棄物、石油産業廃棄物、化学産業廃棄物、医療廃棄物、エネルギー廃棄物等の利用に関する。提示されたデバイスの技術的目的は、プラズマによる廃棄物の分解のための制御されたプラズマ流およびチャンバの熱場による、廃棄物のプラズマ処理のためのプロセスの最適化である。上記デバイスは、プラズマによる廃棄物の分解のためのチャンバと、チャンバ内に配置された、プラズマを発生させるための電極と、ガス状燃焼生成物および溶融物を外部に導くためのシステムと、ガス状燃焼生成物および溶融物を冷却するためのシステムと、を備える。プラズマを発生させるための電極は、プラズマ流の方向および力の変化を可能とする、想定される移動に関して構成される。電極は、プラズマによる廃棄物の分解のために、異なるレベルにて、ならびに溶融物の収集のためのレベルにて、チャンバの周囲に配置されている。上記デバイスの欠点は、ガス化のためのチャンバ内の熱勾配の最適化が、熱分解のためにプラズマフレイムをチャンバ内に導くためのデバイスの機械的な設定時に処理されることである。このことは、デバイスの動作にとって複雑であり、チャンバ内の熱場のフレキシブルな設定をもたらさない。
【0026】
文献RU2153781は、マイクロ波プラズマバーナを示している。当該マイクロ波プラズマバーナは、電源を有するマグネトロンと、導波路レゾネータ(導波路共振器)と、マイクロ波エネルギーを供給するためのデバイスと、マイクロ波放射を提供するための同軸システムと、使用可能なガスを供給するためのシステムと、を備える。レゾネータは、マグネトロンによって生じたマイクロ波放射を導くために、その幅広い壁において開口部を有する矩形導波路の一部として構成されている。当該レゾネータは、マイクロ波線の供給のための同軸トラクトを有するレゾネータの接続のためのループを導入するための複数の開口部を備えている。同軸トラクトは、金属製の外部電極(例:銅製であり、円筒形)と、金属製の中央チューブ(例:銅製であり、使用可能なガスの供給システムに接続されている)とを備える。当該電極は、ループ接続の延長部(continuation)である。中央チューブの後半部は、シリコンインナーによって外部電極から隔離されたラバロのノズル(Lavalo's nozzle)として形成される。外側電極には、フレイム(火炎)を発生させるための導電性ノズルと、マイクロ波放射保護部とが設けられている。中空シリンダには、側面にカットアウト(切り欠き)または開口部が設けられている。上記デバイスの欠点は、構造が工業用マイクロ波プラズマバーナの製作を許容しないことである。工業用マイクロ波プラズマバーナは、連続運転において100kWまでのエネルギーのマイクロ波ジェネレータを使用する。同軸導波路によって伝送される許容エネルギーは、同軸トラクトのサイズと、分極絶縁シールにおける熱の高損失によって制限されるためである。このことは、破壊を招く。
【0027】
文献US3814983は、減速システムを示している。当該減速システムは、ジェネレータとシステムとを相互接続し、かつ、当該ジェネレータからの波をプラズマシステム内へと送り込むための導波路バンド伝送部を備えている。さらに、当該減速システムは、導波路バンド伝送部と相互接続されたブリッジバンドを含んでいる。2つの平行なバンドウエストラインは、その一端においてブリッジバンドと相互接続されている。当該バンドウエストラインは、平坦なプレートである。当該バンドウエストラインの一方の側には、第1バンドウエストラインの一方の側に配置されたテノン(ほぞ)が、第2バンドウエストラインの一方の側に配置されたテノンの間に交互に配置される向きにて、バンドウエストラインの軸に沿って並んで配置されたテノンが設けられる。
【0028】
本発明の目的は、ガス化デバイスおよびプラズマシャッタを、当該ガス化デバイスの減速システムとともに提供することである。これにより、上述の欠点を除去できる。
【0029】
[本発明の構成]
上述の欠点は、プラズマシャッタ6のためのマイクロ波プラズマ減速システム15を使用することによって、大幅に除去される。当該システムは、上記システムをジェネレータ5と相互接続し、かつ、上記ジェネレータ5からの波を上記プラズマシャッタ6内に送り込むための導波路バンド伝送部16と、上記導波路バンド伝送部16と相互接続されたブリッジバンド17と、一端において上記ブリッジバンド17と相互接続された2つの平行なバンドウエストライン18と、を備えており、上記バンドウエストライン18は、平坦なプレートであり、上記バンドウエストライン18の一方の側には、複数のテノン19が設けられており、第1バンドウエストライン18の一方の側に配置された上記テノン19が、第2バンドウエストライン18の一方の側に配置された上記テノン19の間に交互に配置される向きにて、上記バンドウエストライン18の軸に沿って上記テノン19が並んで配置されており、上記バンドウエストライン18の他端には、互いに隔離された複数のロック式電磁オシレータ(ロック式電磁発振器)20が設けられており、上記ロック式電磁オシレータ20の位置は、直接波および反射波のカウントアップ(足し合わせ)によって最大振幅を生じさせるための、波の正確な反射点を定め、上記バンドウエストライン18は、上記導波路バンド伝送部16から遠ざかる方向において広がり、かつ、上記ロック式電磁オシレータ20の手前(before)にて狭まり、上記ブリッジバンド17から上記ロック式電磁オシレータ20へと上記直接波Yを導き、上記テノン19は、上記導波路バンド伝送部16の出口における上記波の長さ(横距)(longitude)をλとして、距離λ/2にて互いに隔離されており、上記ロック式電磁オシレータ20から上記ブリッジバンド17に至る上記反射波Zの経路内に配置されており、上記ブリッジバンド17は、到来する波を180°シフトされた2つの同等な(identical)波へと分割し、当該波のそれぞれが異なるバンドウエストライン18上に広がる。
【0030】
上述の欠点は、クレームに係るマイクロ波プラズマ減速システム15を備えたプラズマシャッタ6を使用することによっても、大幅に除去される。
【0031】
有益な実施形態では、上記マイクロ波プラズマ減速システム15は、上記プラズマシャッタ6の軸上に配置されている。
【0032】
有益な実施形態では、上記プラズマシャッタ6から到来したプラズマ流13を導くために、2~12個の独立したソレノイド21をさらに含んでいる。
【0033】
上述の欠点は、ガス化デバイスを使用することによっても、大幅に除去される。当該ガス化デバイスは、分離部分(分離される部分)を有する固体物質のローダ1と、上記固体物質のグラインダ2と、上記固体物質のホッパ3と、上記固体物質をガス化するためのガス化チャンバ4と、マイクロ波パワー(マイクロ波電力)を供給するためのジェネレータ5と、を備えており、上記ローダ1は、上記グラインダ2に接続されており、上記グラインダ2は、上記ホッパ3に接続されており、上記ホッパ3は、上記ガス化チャンバ4に接続されており、上記ガス化チャンバ4は、上記ジェネレータ5にも接続されており、上記ジェネレータ5は、マイクロ波エネルギーを供給するために、電源と、導波路と、自動制御システムと、を備えており、上記ガス化チャンバ4の出力部(output)は、機械的添加物の粒子を取り除くように、流入する合成ガスをクリーニングするためのスクラバ7と、上記合成ガスをデリケートに(繊細に)クリーニングするためのプラズマ触媒排ガスクリーニングユニット8と、危険化学物質(危険な化学物質)の再結合を防止するために、上記合成ガスを急速に冷却するためのカラム(塔)9と、を含んでおり、上記スクラバ7は、上記プラズマ触媒排ガスクリーニングユニット8に接続されており、上記プラズマ触媒排ガスクリーニングユニット8は、上記カラム9に接続されており、上記ガス化チャンバ4の出力部は、溶融物質(融解物質)を冷却することによって生じた残留物の均質化のためのリアクタ10と、冷却されたコークス残留物を収集するためのフィーダ11と、をさらに含んでおり、上記リアクタ10は、上記フィーダ11に接続されており、上記ガス化デバイスは、任意のクレームに係るプラズマシャッタ6をさらに備えている。
【0034】
有益な実施形態では、上記固体物質の上記ローダ1は、金属の磁気セパレータによって上記固体物質を調製(準備)するためのデバイスである。
【0035】
有益な実施形態では、上記固体物質の上記グラインダ2は、粒子を0.80~10mmのサイズに粉砕する。
【0036】
有益な実施形態では、上記固体物質の上記ホッパ3は、プライマリガス(1次ガス)を吸引するためのチューブまたは吸引チャネルを備えている。
【0037】
有益な実施形態では、上記ガス化デバイスは、固体粒子を供給するための上記ホッパ3と、液体物質を供給するための噴霧器12との両方を含んでいる。
【0038】
上述の欠点は、有機物質の熱化学的変換のために、任意のクレームに係るガス化デバイスを使用することによっても、大幅に除去される。
【0039】
[図面の説明]
本発明は、図面を用いてさらに説明される。図1は、本発明に係るガスデバイスのブロック図を示す。図2は、図1に示すガスデバイスのガスチャンバの模式図を詳細に示す。図3は、本発明に係る減速システムを備えたプラズマシャッタの図面を示す。図4は、本発明に係る減速システムを備えたプラズマシャッタの正面図を示す。図5は、本発明に係る減速システムを備えたプラズマシャッタの側面図を示す。図6は、本発明に係るプラズマシャッタの減速システムの斜視図を示す。図4は、本発明に係る減速システムを備えたガスシャッタにおける波の運動の原理を示す。
【0040】
[本発明の好ましい実施態様]
図1に示されている、固体物質のガス化および熱化学的破壊のための本発明に係るガス化デバイスは、
-分離部分を有している固体物質のローダ1と、
-固体物質のグラインダ2と、
-固体物質のホッパ3と、
-固体物質をガス化するためのガス化チャンバ4と、
-マイクロ波パワーを供給するためのジェネレータ5と、を備えている;
ローダ1は、グラインダ2に接続されている。グラインダ2は、ホッパ3に接続されている。ホッパ3は、ガス化チャンバ4に接続されている。ガス化チャンバ4は、ジェネレータ5にも接続されている。ジェネレータ5は、電源と、導波路と、自動制御システムとを備えている。
【0041】
ガス化チャンバ4の出力部は、
-灰およびダストなどの機械的添加物の粒子を取り除くように、流入する合成ガスをクリーニングするためのスクラバ7と、
-合成ガスをデリケートにクリーニングするためのプラズマ触媒排ガスクリーニングユニット8と、
-固体物質のガス化時に分解される危険化学物質(例:ダイオキシン、フラン等)の再結合を防止するために、合成ガスを急速に冷却するためのカラム9と、を含んでいる;
スクラバ7は、プラズマ触媒排ガスクリーニングユニット8に接続されている。プラズマ触媒排ガスクリーニングユニット8は、カラム9に接続されている。
【0042】
ガス化チャンバ4の出力部は、
-溶融物質の冷却によって生じた残留物の均質化のためのリアクタ10と、
-冷却されたコークス残留物を収集するためのフィーダ11と、をさらに含んでいる。
【0043】
図2に詳細に示されているガス化チャンバ4は、必要な量の加熱エネルギーを供給するように意図されたプラズマシャッタ6を備えている。このことは、制御された無電極連続マイクロ波プラズマ流13(すなわち、放射線のビーム)の性能を保証する。ガス化チャンバ4は、プラズマシャッタ6と軸方向に配置された、本発明に係るマイクロ波プラズマ減速システム15を備える。
【0044】
有利には、固体物質のローダ1は、金属の磁気セパレータによって固体物質を調製するためのデバイスである。
【0045】
有利には、固体物質のグラインダ2は、粒子を0.80~10mmのサイズに粉砕するように設計されている。
【0046】
有利には、固体物質のホッパ3は、プライマリガスを吸引するためのチューブおよび吸引チャネルをそれぞれ備えている。
【0047】
プラズマシャッタ6の性能は、自由に進行するプラズマ放電、すなわち有効なプラズモイドを発生させるために十分な電磁界の電圧が得られる方法に応じて異なりうる。
【0048】
固体物質の有機部分のガス化は、大気圧下において1000℃~1500℃の温度範囲において実行される。一方、熱分解液体を伴う合成ガスが生成される。液体スラグの同時生成と共に、無機生成物の熱的な機械加工(machining)は、1500℃~2000℃の温度範囲において処理される。
【0049】
リアクタ10およびフィーダ11は、固体物質の無機部分の熱処理後に生成される溶融コークスを排出するように導くように設計されている。
【0050】
以下では、本発明に係るガス化デバイスを廃棄物のガス化に使用した例が示されている。「廃棄物」(waste)という用語は、任意のパーセンテージの固体物質、液体物質、または流体物質を含む任意の物質を全般的に意味する。
【0051】
図2は、ホッパ3を介してガス化チャンバ4に入る、予備調製された形態での、すなわち、分離、粉砕、プレス、またはブリケッティングの後の廃棄物を示す。ガス化のための廃棄物の調製時に生じた固体部分の主要な質量から分離され、また廃棄物自体の液体物質(例:使用後の洗浄水)から分離された液体部分、すなわち濾過された部分は、噴霧器12によって、マイクロ波プラズマ流13の広がり軸に垂直な方向に供給される。噴霧器12は、ガス化チャンバ4の上側に設置されており、ノズルが設けられている。液体がマイクロ波プラズマ流13のゾーンに到達したときに生じる水蒸気がガス化チャンバ4内に均一に分配されるので、廃棄物の液体物質および洗浄水のこのような供給方法は、合成ガスの完全な結果(成果)を保証する。
【0052】
廃棄物の暫定的な調製時に換気デバイスを介してガス化チャンバ4に流入する廃棄物のガス摩擦、またガス状廃棄物も、プライマリガスまたは水蒸気と同様に、上述の噴霧器12によってガス化チャンバ4に直接的に供給することによって、プラズマ発生のためのガスとして使用される。従って、ガス中に存在する有機分子鎖は、2000℃~4000℃の温度によってプラズマコアのゾーン内に直接的に供給される。これにより、当該鎖は単一の分子またはイオンへと分解される。
【0053】
分解時に生成されて、廃棄物のガス部分に含まれ、硫黄化合物、病原体、栄養物質、および他の有害物質にも含まれるメタンおよびアンモニアは、ガス化チャンバ4のプラズマガスとして使用される。ガス化チャンバ4では、危険化学物質が分解されて単純な物質が生成される。当該物質は、後に電気エネルギーの発生に使用される合成ガスの形態にてガス化チャンバ4に残る。
【0054】
ガス化チャンバ4内のプラズマシャッタ6の向き(方位)は、プラズマ流13の温度勾配が固体廃棄物の連続的な加熱を保証し、プラズマ流13の直接的な流れの形態にてそれをガス化チャンバ4に導くように設定されている。プラズマ流13の軸の必要な方向への非機械的な方向付けは、当該軸と同軸の磁界中においてプラズマを移動させることによってなされる。磁界は、独立した2~20個のソレノイド21(図3および図4に図示されている通り、有利には3個)によって生じる。このことは、プラズマ流13の導電率およびプラズマ流13のエネルギーが、当該プラズマ流の方向において変更されうることを意味する。プラズマ流13を方向付けるための磁気的変化の使用により、ガス化チャンバ4のワーキングキャビティ(作動キャビティ)内の連続的な温度勾配が実現される。これにより、有機廃棄物の完全なガス化が保証される。さらに、ガス化チャンバ4の負荷の特性(すなわち、体積および廃棄物の種類)の変化が生じた場合における温度勾配の変化が保証される。このことは、プラズマ流13の方向の機械的な変更方法と比較した場合の本質的な利点であり、プラズマシャッタ6の位置の物理的な変更を保証する。このことは、デバイス全体への介在(デバイスのシャットダウン等)を意味する。
【0055】
図3図6において詳細に示されている、本発明に係るプラズマシャッタ6のマイクロ波プラズマ減速システム15は、
-導波路バンド伝送部16と、
-ブリッジバンド17と、
-バンドウエストライン18,
-テノン19と、
-ロック式電磁オシレータ20(すなわちミラー)と、
-ソレノイド21と、
-サーキュレータへと波を反射させるための、反射波出口22と、
を備えている。
【0056】
導波路バンド伝送部16(すなわち導波路の出力ノード)は、ジェネレータ5からプラズマシャッタ6へと波を導くように意図されている。同一の波について2つの同等部分が生成され、かつ、当該波の各部分がバンドウエストライン18の一方の側に広がるように、導波路によって導かれるジェネレータ5のエネルギーは同時に分割される。
【0057】
バンドウエストライン18は、特定の形状の平板である。バンドウエストライン18は、初期部(beginning)(すなわち導波路バンド伝送部16からの出口)にて広がり、かつ、端部(すなわちロック式電磁オシレータ20の手前)にて狭まる、特定の形状の平板である。バンドウエストライン18は、プラズマシャッタ6の軸に沿って距離λ/2にて交互の側に配置されたテノン19を備える。第1バンドウエストライン18の一方の側に配置されたテノン19が、第2バンドウエストライン18に配置されたテノン19の間に交互に配置され、それらの間の距離が最小限となり、かつ、テノン19の長さの全体または一部が最大限に重複するように、テノン19は配向されている。一方の側のテノン19の数は偶数であり、他方の側のテノン19の数は奇数である。すなわち、第1バンドウエストライン18における波のマイクロ波エネルギー/波の位相は、第2バンドウエストライン18における波のマイクロ波エネルギー/波の位相とは逆である。このため、電磁波のエネルギーが上昇している。相互作用の結果は、直接波および反射波の境界のカウントアップである。これは、ロック式電磁オシレータ20のエリアにおいて実現される。マイクロ波エネルギーの反復増幅の効果は、30KV/cmを下回るエネルギーの使用によって自由に移動するマイクロ波プラズマ流13の性能に十分である。図7には、ジェネレータ5から到来する波X、および、プラズマシャッタ6内の直接波Yと反射波Zとの動きが示されている。
【0058】
プラズマシャッタ6の端部には、バンドウエストライン18の位置決めシステム、すなわちロック式電磁オシレータ20が配置されている。これにより、波の正確な反射点の設定が保証される。これにより、直接波および反射波のカウントアップの結果として最大振幅が実現される。
【0059】
減速システム15およびその単一部分のサイズは、正確な計数によって決定される。これにより、バンドウエストライン18に沿って広がる直接波および反射波の境界のカウントアップ後に、導波路バンド伝送部16の位置において最小の定常波(定在波)を得るとともに、かつ、ミラーのエリア内(すなわち、ロック式電磁オシレータ20のエリア内)においてのみ最大の定常波を得ることができる。
【0060】
バンドウエストライン18の長さは、波の固有の周期部分の長さに関して決定され、当該長さは、l=3/4λに等しい。λは、導波路バンド伝送部における波の長さである。この決定は、マイクロ波プラズマ減速システム15のエリア内において上昇している平衡プラズマの散逸特性に基づいている。バンドウエストライン18内における振動中の波の位相シフトは、λ/2、すなわち、180°でなければならない。マイクロ波プラズマ減速システム15は、2つの同等部分、すなわち、片方のコム(櫛部)のテノン19が反対のコムのテノン19と交互に配置されるように、側面にテノン19を有するバンドウエストライン18、から構成されているためである。これにより、反射波の相互の断絶が改善される。このため、電圧30kV/cmを有する電磁界を印加されると、無電極放電UHFプラズマが生じる定められた空間点における電磁波の高速増倍が起こり、プラズモイドと称される自由プラズマクラウドの形態に至る。ガスの流れの相互作用によって、プラズマクラウドは、リアクタと称されるガス化チャンバ4内へと、マイクロ波プラズマ流13の形態にて導かれる。
【0061】
マイクロ波プラズマ減速システム15の全体構成は、定常波の2つのノード、すなわち最大点からなる。それらのうちの1つは、ロック式電磁オシレータ20のエリア内に配置され、第2端部は電磁波源のエリア内(すなわち、ジェネレータ5内)に配置される。定常波の最小値は、導波路バンド伝送部16に存在する。
【0062】
マイクロ波プラズマ減速システム15は、プラズマシャッタ6の本体である円筒形状の保護ケース23内に配置されている。このような構成は、構造物の剛性を保証し、空気または水蒸気を入れる/吹き込むための管の出力部を備える。
【0063】
ガス化の方法は、以下の通りである。
【0064】
廃棄物が受容されると(ここでも「廃棄物」という用語は、ガス化に使用可能な想定される全ての受容される固体物質の一例を意味するに過ぎない)、個々の部分への分離によってガス化のための準備が行われる。例えば、溶融またはプレスが実行され、その後、固体部分は、ホッパ3を通って、プラズマシャッタ6のノズルを含むガス化チャンバ4内に到来する。プラズマ流の性能は、超高周波ジェネレータ5によってマイクロ波エネルギーを発生させることによって保証される。廃棄物を1000℃~1500℃の温度まで加熱することによって、有機成分は熱分解され、熱分解流体を含んだ合成ガスが生成される。液体物質からの気体の分離は、ガス化チャンバ4内における熱分解流体の軽質量部分からの蒸気の分離のために十分な温度に達した瞬間に開始する。廃棄物の加熱温度が1500℃~2000℃まで上昇すると、廃棄物の無機成分が溶融し、スラグ溶融が実行される。これは、均質化装置(homogenizator)10によって、ガス化チャンバ4からスラグのフィーダ11へと除去される。発生した合成ガスは、ガスクリーニングのためのシステム内へと導かれる。当該システムは、固体粒子(例:ダストおよび灰)をラフに(粗く)クリーニングするためのスクラバ7を備えている。さらに、当該システムは、危険化学物質(特に、二酸化ハロゲン、二酸化物、フラン等)を分離するためのプラズマ触媒排ガスクリーニングユニット8を備えている。ダイオキシンおよびフランは、低温では分解しにくい。少なくとも温度750℃に達することが必要である。ダイオキシンおよびフランは、温度1000℃にて完全に分解する。ダイオキシンおよびフランの完全な分解は、それらが1200℃~1300℃の温度に2~3秒間に亘り曝露された場合にのみ可能である。そのため、危険物質の再結合を避けなければならないので、1000℃~1200℃の温度を有するガスは、急速冷却のカラム9に導かれる。当該カラムでは、2~3秒にて、70℃~110℃まで温度が下げられる。さらに、一酸化炭素(CO)および水素(H)を主に含む発生ガスは、電気エネルギーの生成または燃料としての直接販売のために使用可能である。
【0065】
ジェネレータ5からのマイクロ波エネルギーは、波の方向において連続的に狭まるバンドウエストライン18に沿って導波路バンド伝送部16を通過し、ロック式電磁オシレータ20に向かう。構造に関し、ロック式電磁オシレータ20に対するいかなる障壁も存在していないので、マイクロ波は、ジェネレータ5から、バンドウエストライン18の表面およびエッジに亘って拡散する。これにより、電磁振動の方向の設定および固定が保証される。終端点において、電磁波が反射される。反射のための平面が小さいので、バンドウエストライン18の軸に沿って連続的に配置されたテノン19によって反射がブロッキング(阻止)および減速された後に、反射波は非常に薄い(細い)ビームの形態および視覚的形状を有する。このようにして、発振の開始位置まで戻る反射波の経路は、波長の増加と共に延伸される。テノン19に対する同等なバンドウエストライン18は、反対方向に配置され、そこで生じる発振は、λ/2、すなわち180°だけシフトさせられる。機械的障壁(すなわちテノン19)からの反射に起因して、かつ、電磁波自体による相互ブロッキングに起因して、波は減速させられる。
【0066】
異なる複数の部分、すなわち固体部分、液体部分、および気体部分を供給するように構成されたガス化チャンバ4と組み合わせてプラズマシャッタ6において使用される、本発明に係るマイクロ波プラズマ減速システム15によれば、以下の肯定的な利点が実現される:
-ブリケットの形態にて固体物質を供給することは、その有機部分の完全なガス化を保証する,
-水蒸気の形態にて液体部分および洗浄水を供給する方法は、固体物質の有機部分の分解グレードを増加および加速させる,
-プラズマを共生成するためのガスとして気体部分を使用することにより、換気デバイスを用いて当該部分を取り出すことがもはや不要となり、大気に入る前に当該部分をクリーニングする必要がなくなる,
-電気エネルギーの加熱エネルギーへの変換効率が98%に達する,
-処理された固体物質のサイズおよびタイプに関して、所定のサイズのコンテナデバイスの形態にて局所的に使用することが可能となる,
-700℃~2000℃の温度における、固体物質および無機残留物の分解が保証される,
-技術的使用に関して、マイクロ波プラズマ流は、その方向の設定によって、フレイムに類似した非常に狭いビームの形態に、または、ガス化チャンバ内において自由に移動する放電(すなわちプラズマフォッグ)の形態に設定されうる,
-廃棄物または使用済ポリマーなどの固体物質の処理が、100kW以上のエネルギーを使用することによって可能となる。なお、最新技術に係る現在のレゾネータタイプのマイクロ波プラズマデバイスは、5~10kWの範囲においてのみエネルギーを使用可能である,
-電極、および、危険な物質によってガス化の最終生成物を汚染する付加的な可燃性物質(例:ガス、マスト、ディーゼル)が存在していない。このことは、本発明に係るデバイスが、生態学的観点および生成された合成ガスの可能なさらなる使用の観点の両方において、材料の最もクリーンな処理方法を提供することを意味している。
【0067】
本発明に係るデバイスによれば、乾燥分離質量に対する1つの調整のみを使用することによって、エネルギー8440kWを有する最大2500mの合成ガスを生成することができる。エネルギーの40%は、顧客および分配のために電気エネルギーを生成するために使用されてよく、最大60%までのエネルギーは、温暖を生じさせるために使用されてよい。さらに、マイクロ波プラズマガス化の方法は、1より高い一酸化水素数を有する合成ガスを得ることを保証する。このことは、従来技術に係るいかなる既知の技術によっても不可能である。反応体積内に多量の水素が存在している場合、硫黄、リン、塩素、および窒素のガス成分の発生量が低下する。このことは、最小限のパーセンテージのバラストによって、20000kJ/mまでの発熱量を伴う加熱合成ガスを得ることを保証する。本発明の利点は、電力の生成のためだけでなく、モータ用の合成燃料の輸送、貯蔵、および製造のためにも、このようなガスを使用できることにある。さらに、開始材料の体積に対するガス化後の固体残留物(すなわちスラグ)の割合は、1:400である。平均的なエネルギーバランスは、材料の形態学的組成物、およびガス化材料のベースである炭素の含有量に主に依存する。例えば、炭素の含有量は、木材では約40%であり、ピートでは約55%であり、スレートでは約60%であり、ブラウンコイルでは約65%であり、ブラックコイルでは約80%であり、ポリマーでは約85%、燃料油および糸では約90%であり、制酸剤では約95%である。
【0068】
エネルギーのキャリア(担体)である燃料(すなわち、ガス化される固体物質)の主成分は、炭素(C)および水素(H)であることを考慮しなければならない。炭素1kgの燃焼時には、約34000kJのエネルギーが放出される。水素1kgの燃焼時には、約125000kJのエネルギーが放出される。燃料の別の成分、例えば、硫黄(S)、酸素(O)、窒素(N)、二酸化硫黄(SO)、二酸化炭素(CO)、窒素酸化物(NO)、ミネラル粒子、湿気(HO)は、燃料の不燃性バラストである。これらの成分は、燃料の使用可能なエネルギー発熱量を著しく低減させる。上記成分を溶融させ、かつ、その湿気を蒸発させなければならないので、加熱のための燃料の消費が増加する。1kgの湿気を蒸気の形態へと変換するためには、約2500~3000kJが必要である。
【0069】
最新技術に係る技術が炭素材料の直接燃焼に使用される場合(例えば蒸気ボイラおよび蒸気発生器の場合)、(i)木材に対する1つの調整のみによる燃焼によって、約40kWの電気エネルギーおよび60kWの熱エネルギー(すなわち合計で約100kWのエネルギー)のみが生じる、または、(ii)コイルに対する1つの調整のみによる燃焼によって、約120kWの電気エネルギーおよび180kWの熱エネルギー(すなわち合計で約300kWのエネルギー)のみが生じる。これは、燃焼させられる物質の全量が、ボイラ内に恒久的に追加される空気によって供給される不燃性バラストであるからである。当該不燃性バラストは、それ自体が別のバラストの発生要因(producer)である。
【0070】
本発明に係るガス化デバイスは、可燃性の合成ガスの生成のために、換言すればクリーンエネルギーを発生させるために、炭素成分、固体都市廃棄物および使用済ポリマーを含む様々な有機物質(例:低品質エネルギーコイル、使用済の油物質、エンジンオイルおよび技術的オイル、病院廃棄物および危険廃棄物)に含まれる炭化水素の熱化学的分解(すなわちガス化)に使用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0071】
図1】本発明に係るガスデバイスのブロック図を示す。
図2図1に示すガスデバイスのガスチャンバの模式図を詳細に示す。
図3】本発明に係る減速システムを備えたプラズマシャッタの図面を示す。
図4】本発明に係る減速システムを備えたプラズマシャッタの正面図を示す。
図5】本発明に係る減速システムを備えたプラズマシャッタの側面図を示す。
図6】本発明に係るプラズマシャッタの減速システムの斜視図を示す。
図7】本発明に係る減速システムを備えたガスシャッタにおける波の運動の原理を示す。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【国際調査報告】