IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ジョンソン、マッセイ、パブリック、リミテッド、カンパニーの特許一覧

特表2022-510758JMZ-1、CHA含有ゼオライト、及び調製方法
<>
  • 特表-JMZ-1、CHA含有ゼオライト、及び調製方法 図1
  • 特表-JMZ-1、CHA含有ゼオライト、及び調製方法 図2
  • 特表-JMZ-1、CHA含有ゼオライト、及び調製方法 図3
  • 特表-JMZ-1、CHA含有ゼオライト、及び調製方法 図4
  • 特表-JMZ-1、CHA含有ゼオライト、及び調製方法 図5
  • 特表-JMZ-1、CHA含有ゼオライト、及び調製方法 図6
  • 特表-JMZ-1、CHA含有ゼオライト、及び調製方法 図7
  • 特表-JMZ-1、CHA含有ゼオライト、及び調製方法 図8
  • 特表-JMZ-1、CHA含有ゼオライト、及び調製方法 図9
  • 特表-JMZ-1、CHA含有ゼオライト、及び調製方法 図10
  • 特表-JMZ-1、CHA含有ゼオライト、及び調製方法 図11
  • 特表-JMZ-1、CHA含有ゼオライト、及び調製方法 図12
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-28
(54)【発明の名称】JMZ-1、CHA含有ゼオライト、及び調製方法
(51)【国際特許分類】
   C01B 39/48 20060101AFI20220121BHJP
   B01J 29/76 20060101ALI20220121BHJP
   B01J 37/08 20060101ALI20220121BHJP
   B01D 53/94 20060101ALI20220121BHJP
【FI】
C01B39/48
B01J29/76 A
B01J37/08
B01D53/94 222
B01D53/94 228
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021515585
(86)(22)【出願日】2019-11-29
(85)【翻訳文提出日】2021-03-18
(86)【国際出願番号】 GB2019053382
(87)【国際公開番号】W WO2020109815
(87)【国際公開日】2020-06-04
(31)【優先権主張番号】62/773,248
(32)【優先日】2018-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】590004718
【氏名又は名称】ジョンソン、マッセイ、パブリック、リミテッド、カンパニー
【氏名又は名称原語表記】JOHNSON MATTHEY PUBLIC LIMITED COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100132263
【弁理士】
【氏名又は名称】江間 晴彦
(72)【発明者】
【氏名】カスシ、ジョン
(72)【発明者】
【氏名】コリアー、ジリアン
(72)【発明者】
【氏名】コックス、ポール
(72)【発明者】
【氏名】ホドキンス、ロバート ピーター
(72)【発明者】
【氏名】ロイド、ジェラント
(72)【発明者】
【氏名】タリナ、アレッサンドロ
【テーマコード(参考)】
4D148
4G073
4G169
【Fターム(参考)】
4D148AA06
4D148AA08
4D148AB01
4D148AB02
4D148AC04
4D148BB02
4G073BA02
4G073BA04
4G073BA05
4G073BA48
4G073BA57
4G073BA63
4G073BA75
4G073BA76
4G073BA83
4G073BB03
4G073BB07
4G073BB12
4G073BB15
4G073BB48
4G073BD05
4G073BD07
4G073BD10
4G073CZ41
4G073CZ50
4G073FC04
4G073FC12
4G073FC13
4G073FC19
4G073FC30
4G073GA01
4G073GA03
4G073GA11
4G073GA40
4G073GB02
4G073UA05
4G169AA03
4G169AA08
4G169AA09
4G169BA07A
4G169BA07B
4G169BC31B
4G169BE01C
4G169BE17C
4G169BE36C
4G169CA02
4G169CA08
4G169CA13
4G169EA19
4G169EB18Y
4G169FA01
4G169FC03
4G169ZA32B
4G169ZB03
4G169ZB04
4G169ZB08
4G169ZB09
4G169ZC02
4G169ZC04
4G169ZD06
(57)【要約】

CHA構造を有し、構造規定剤としてトリメチル(シクロヘキシルメチル)アンモニウムカチオンを含有する、JMZ-1、ゼオライトについて記載している。構造規定剤を含有しない焼成ゼオライト、JMZ-1Cについても記載している。金属含有JMZ-1Cは、同じ金属担持量及び同等のシリカ:アルミナ比(SAR)を有するCHA含有ゼオライトと比較して、改善されたSCR活性を有する。JMZ-1、JMZ-1C、及びJMZ-1Cの金属含有焼成対応物の調製方法について、JMZ-1C、及びJMZ-1Cの金属含有焼成対応物を使用する方法と共に記載している。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
CHA型骨格を含むゼオライトであって、モルの関係性がSiO:(n)Y[式中、Y=Al、Fe、B、又はGaであり、n=0~0.1である]の組成であり、テンプレート剤の焼成除去前のX線粉末回折パターンは、少なくとも以下の回折ピーク(2θ(±0.2)度で、カッコ内に示す相対強度を有する)を、9.55(VS)、16.27(VS)、20.99(VS)、24.65(M)、及び31.22(M)で含み、並びにテンプレート剤の焼成除去後のX線回折データは、少なくとも以下の回折ピーク(2θ度で、カッコ内に示す相対強度を有する)を、9.59(VS)、13.03(M)、16.21(W)、17.99(W)、20.83(M-S)、23.31(W)、25.24(W)、26.22(W)、30.98(M-W)、及び31.43(W)±0.2で含み、相対強度は、X線パターンにおける、100の値を割り当てた最強の線に基づいており、(W)[弱い]は20未満、(M)[中度]は20~40、(S)[強い]は40~60、及び(VS)[非常に強い]は60超である、ゼオライト。
【請求項2】
CHA型骨格を有するゼオライト、及び構造規定剤(SDA)を含む、組成物であって、前記SDAが前記骨格構造内にあり、前記ゼオライトは、モルの関係性がSiO:(n)Y[式中、Y=Al、Fe、B、又はGaであり、n=0~0.1である]の組成を有し、特性X線粉末回折パターンは、相当する相対強度をカッコ内に示して、9.55(VS)、16.27(VS)、20.99(VS)、24.65(M)、及び31.22(M)±0.2で2θ位置を含み、相対強度は、前記X線パターンにおける、100の値を割り当てた最強の線に基づいており、(W)[弱い]は20未満、(M)[中度]は20~40、(S)[強い]は40~60、及び(VS)[非常に強い]は60超である、組成物。
【請求項3】
前記特性X線粉末回折パターンが、相当する相対強度をカッコ内に示して、13.15(W)、13.91(W)、17.50(W)、19.18(W)、21.95(W)、22.87(W)、23.34(W)、28.05(W)、及び30.40(W)±0.2で2θ位置を更に含む、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
前記ゼオライトが、アルミノケイ酸塩(Y=Al)である、請求項2又は3に記載の組成物。
【請求項5】
前記ゼオライトがアルミノケイ酸塩であり、約10~約50、好ましくは15~30、より好ましくは20~25のシリカ対アルミナ比(SAR)を有する、請求項2~4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
前記構造規定剤が、トリメチル(シクロヘキシルメチル)アンモニウムカチオンを含む、請求項2~5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
前記ゼオライトがアルミノケイ酸塩ゼオライトであり、前記構造規定剤(SDA)がトリメチル(シクロヘキシルメチル)アンモニウムカチオンである、請求項2~6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
CHA骨格を有するゼオライト結晶を含む組成物であって、前記ゼオライト結晶が、四価の酸化ケイ素、三価の酸化アルミニウムを含む骨格構造を有し、トリメチル(シクロヘキシルメチル)アンモニウムカチオンが前記結晶構造内に存在し、前記ゼオライト結晶は無水であり、置換又は非置換の5,4-アゾニウムアニオンを含まず、橋かけ多環式、シクロアリール、複素環、シクロヘキシルメチル以外のシクロアルキル、及びC2-C4アルキルから選択される置換基を有するアンモニウムアニオンを含まない、組成物。
【請求項9】
CHA型骨格を含む骨格構造を含み、モルの関係性がSiO:(n)Y[式中、Y=Al、Fe、B、又はGaであり、n=0~0.1である]の組成を有する、ゼオライトであって、特性X線粉末回折パターンが、相当する相対強度をカッコ内に示して、9.59(VS)、13.03(M)、16.21(W)、17.99(W)、20.83(M-S)、23.31(W)、25.24(W)、26.22(W)、30.98(M-W)、及び31.43(W)±0.2で2θ位置を含み、前記ゼオライトは、構造規定剤(SDA)を含まない、ゼオライト。
【請求項10】
前記ゼオライトが、骨格外遷移金属又は貴金属を含む、請求項9に記載のゼオライト。
【請求項11】
前記ゼオライトが、約0.1~約5重量パーセントの遷移金属又は貴金属を含む、請求項9に記載のゼオライト。
【請求項12】
請求項9~11のいずれか一項に記載のゼオライトと、充填剤、結合剤、安定剤、及びレオロジー調整剤のうちの1つ以上と、を含む組成物。
【請求項13】
(a)請求項12に記載の組成物と、(b)前記触媒組成物を上又は内に組み込んでいるモノリス基材と、を含む触媒物品。
【請求項14】
NOを生じるエンジンと、請求項13に記載の触媒物品と、前記エンジンから前記触媒物品に流れる排気ガスを導くための導管と、前記触媒物品の上流に配設した窒素系還元剤源と、を備える、システム。
【請求項15】
水と、シリカ源と、アルミナ源と、塩基と、アルカリ金属カチオンと、トリメチル(シクロヘキシルメチル)アンモニウムカチオンとの混合物を含む、組成物であって、前記組成物が、
【表1】
のモル組成比を有し、式中、RはSDA、好ましくはトリメチル(シクロヘキシルメチル)アンモニウムカチオンである、組成物。
【請求項16】
請求項2~8に記載の組成物の合成方法であって、
a.(i)少なくとも1つのアルミナ源と、(ii)少なくとも1つのシリカ源と、(iii)トリメチル(シクロヘキシルメチル)アンモニウムカチオンを含む構造規定剤(SDA)と、を含む、反応混合物を形成することと、
b.前記反応混合物を加熱し、CHA骨格を有するゼオライト結晶、前記構造規定剤、及び母液を含む、組成物を形成することと、
c.前記母液から前記ゼオライト結晶の少なくとも一部分を回収することと、
を含む、方法。
【請求項17】
前記反応混合物が、
【表2】
のモル組成比を有するゲルであり、式中、Rは前記SDAである、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記ゼオライト結晶を焼成すること、を更に含む、請求項16又は17に記載の方法。
【請求項19】
請求項16~18のいずれか一項に記載の方法によって得られた、又は得ることができる、組成物。
【請求項20】
請求項9~11のいずれか一項に記載のゼオライトの形成方法であって、請求項1に記載のゼオライト、又は請求項1~8のいずれか一項に記載の組成物を焼成すること、を含む、方法。
【請求項21】
エンジンからの排気ガスの処理方法であって、前記排気ガスを請求項9~11のいずれか一項に記載のゼオライトと接触させることによる、方法。
【請求項22】
排気ガスの処理方法であって、(a)NO及び/又はNHを含有する燃焼排気ガスを、請求項13に記載の触媒物品と接触させることと、(b)前記NOの少なくとも一部分をN及びHOに選択的に還元すること、及び/又は前記NHの少なくとも一部分を酸化することと、を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、構造規定剤(SDA)を骨格構造内に含有する、JMZ-1、CHA含有ゼオライト、及び焼成ゼオライト(JMZ-1C)に関する。本発明はまた、JMZ-1及びJMZ-1Cの調製方法、並びに触媒として焼成ゼオライト、JMZ-1Cを使用する方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
ゼオライトは、繰り返しTO四面体単位(又は四面体単位の組み合わせ)の構造による結晶質材料であり、Tは、最も一般的にはSi、Al、又はPである。これらの単位は、互いに連結されて、規則的な結晶内空洞及び/又は分子寸法のチャネルを有する、骨格を形成する。アルミノケイ酸塩は、Tとしてsi及びAlを有する。多くの型の合成ゼオライトを合成してきており、各々が、その四面体単位の特定の配列に基づく固有の骨格を有する。IUPAC命名法によって、各位相型には、国際ゼオライト学会(IZA)による固有の3文字コード(例えば「CHA」)を割り当てている(http://www.iza-structure.org/databases/)。
【0003】
ゼオライトには多くの産業用途があり、CHAなどの特定の骨格のゼオライトは、内燃機関、ガスタービン、石炭火力発電所などをはじめとする産業用途において、燃焼排気ガスを処理するのに有効な触媒であることが公知である。一例では、排気ガス中の窒素酸化物(NO)を、いわゆる選択的触媒還元(SCR)プロセスによって制御することができ、それによると、排気ガス中のNO化合物を、ゼオライト触媒の存在下で還元剤と接触させる。
【0004】
アルミノケイ酸塩組成物として調製するとき、CHA位相型の合成ゼオライトを、「テンプレート」又は「テンプレート剤」とも呼ばれる構造規定剤(SDA)を使用して製造する。アルミノケイ酸塩CHA位相型材料の調製に使用するSDAは、典型的には、ゼオライトの骨格の分子形状及びパターンを誘導又は規定する、複雑な有機分子である。概して、SDAは、ゼオライト結晶が生じる鋳型とみなすことができる。結晶を形成した後、SDAを結晶の内部構造から除去し、分子的に多孔質のアルミノケイ酸塩ケージを残す。
【0005】
典型的な合成技術では、固体ゼオライト結晶は、骨格反応物(例えば、ケイ素源及びアルミニウム源)、ヒドロキシドイオン源(例えば、NaOH)、及びSDAを含有する、反応混合物から沈降する。このような合成技術では、通常、(結晶化温度などの因子に応じて)数日間かけて、所望の結晶化を達成する。結晶化が完了すると、ゼオライト結晶を含有する固体沈降物を、廃棄した母液から分離する。この廃棄した母液は、未使用のSDAを含有し、これは、多くの場合、苛酷な反応条件、及び未反応のシリカにより分解する。
【0006】
米国特許第4,544,538号は、1-アダマンタミン、3-キヌクリジノール、及び2-exo-アミノノルボルナンに由来する有機窒素含有カチオンから調製した、結晶質ゼオライト、SSZ-13に関するものである。SSZ-13は、チャバサイトの結晶構造を有する。有機テンプレート成分が存在する、未焼成SSZ-13ゼオライトのXRDの特性線は、米国特許第4,544,538号の表1に提示されており、以下の表1に示す。
【表1】
【0007】
有機テンプレート構成要素を除去した、焼成SSZ-13ゼオライトのXRDの特性線は、米国特許第4,544,538号の表2に提示されており、以下の表2に示す。
【表2】
【0008】
米国特許第9,636,667号は、YO及びXを含む、CHA型骨格構造を有するゼオライト材料の調製プロセスであって、(1)1つ以上のYO源、1つ以上のX源、及び構造規定剤として1つ以上のテトラアルキルアンモニウムカチオンR含有化合物を含む、混合物を準備する工程と、(2)CHA型骨格構造を有するゼオライト材料を得るために、工程(1)で得られた混合物を結晶化する工程と、を含み、式中、Yは四価の元素であり、Xは三価の元素であり、R、R、及びRは、互いに独立してアルキルを表し、Rは、シクロアルキルを表し、工程(1)で準備された混合物は、Zの供給源ための相当量を含有せず、式中、Zは、Pである、調製プロセス、並びに本発明のプロセスによって得ることができるゼオライト材料及びそれらの使用に関するものである。CHA型骨格構造を有するゼオライト材料のXRDの特性線は、少なくとも、米国特許第9,636,667号の表3に示す以下の反射を含む。
【表3】
【0009】
公知のゼオライトの基本構造を有する、構造のわずかな変化によりゼオライトの触媒特性のうちの1つ以上に影響を及ぼすことができる、新たなゼオライトを開発する必要性がある。いくつかの場合では、構造のわずかな変化を、通常使用する分析技術を使用して識別することができない場合があるが、構造的に改質したゼオライトの触媒活性を、非常に密接に関連する類似のゼオライトに対して改善することができる。このような構造的に改質したゼオライトの触媒活性の予想外の改善により、エンジンからの排気ガスの組成が様々な規制要件を満たすようにすることができる。
【発明の概要】
【0010】
本発明の第1の態様では、CHA型骨格を有するゼオライト、JMZ-1であって、モルの関係性がSiO:(n)Y[式中、Y=Al、Fe、B、又はGaであり、n=0~0.1である]の組成を有し、(a)テンプレート剤の焼成除去前のX線粉末回折パターンは、少なくとも以下の回折ピーク(2θ(±0.2)度で、カッコ内に示す相対強度を有する)を、9.55(VS)、16.27(VS)、20.99(VS)、24.65(M)、及び31.22(M)±0.2で含み、並びに(b)テンプレート剤の焼成除去後のX線回折データは、少なくとも以下の回折ピーク(2θ度で、カッコ内に示す相対強度を有する)を、9.59(VS)、13.03(M)、16.21(W)、17.99(W)、20.83(M-S)、23.31(W)、25.24(W)、26.22(W)、30.98(M-W)、及び31.43(W)±0.2で含み、相対強度は、X線パターンにおける、100の値を割り当てた最強の線に基づいており、(W)[弱い]は20未満、(M)[中度]は20~40、(S)[強い]は40~60、及び(VS)[非常に強い]は60超である、ゼオライトが提供される。
【0011】
また、CHA型骨格を有するゼオライト、JMZ-1、及び構造規定剤(SDA)を含む、組成物であって、SDAが骨格構造内にあり、当該ゼオライトは、モルの関係性がSiO:(n)Y[式中、Y=Al、Fe、B、又はGaであり、n=0~0.1である]の組成を有し、特性X線粉末回折パターンは、相当する相対強度をカッコ内に示して、9.55(VS)、16.27(VS)、20.99(VS)、24.65(M)、及び31.22(M)±0.2で2θ位置を含む、組成物も提供される。
【0012】
本発明の第2の態様では、CHA型骨格を含む骨格構造を含む焼成ゼオライト(JMZ-1C)であって、モルの関係性がSiO:(n)Y[式中、Y=Al、Fe、B、又はGaであり、n=0~0.1である]の組成を有し、特性X線粉末回折パターンは、相当する相対強度をカッコ内に示して、9.59(VS)、13.03(M)、16.21(W)、17.99(W)、20.83(M-S)、23.31(W)、25.24(W)、26.22(W)、30.98(M-W)、及び31.43(W)±0.2で2θ位置を含む、焼成ゼオライトも提供される。
【0013】
本発明の第3の第2の態様では、水と、シリカ源と、アルミナ源と、塩基と、アルカリ金属カチオンと、トリメチル(シクロヘキシルメチル)アンモニウムカチオンとの混合物を含む、組成物が提供され、組成物は、
【表4】
のモル組成比を有し、式中、RはSDA、好ましくはトリメチル(シクロヘキシルメチル)アンモニウムカチオンである。この組成物を使用し、本発明の第1又は第2の態様のゼオライトを製造することができる。
【0014】
本発明の第4の第2の態様では、本発明の第2の態様の焼成ゼオライトと、充填剤、結合剤、安定剤、及びレオロジー調整剤のうちの1つ以上と、を含む組成物が提供される。
【0015】
本発明の第5の第2の態様では、(a)本発明の第4の態様の組成物と、(b)当該組成物を上又は内に組み込んでいるモノリス基材と、を含む触媒物品が提供される。
【0016】
本発明の第6の態様では、NOを生じるエンジンと、JMZ-1C、又は金属含有JMZ-1Cを含む触媒物品と、エンジンから触媒物品に流れる排気ガスを導くための導管と、触媒物品の上流に配設した窒素系還元剤源と、を備えるシステムが提供される。
【0017】
本発明の第7の態様では、JMZ-1の形成方法であって、
a.(i)少なくとも1つのアルミナ源と、(ii)少なくとも1つのシリカ源と、(iii)トリメチル(シクロヘキシルメチル)アンモニウムカチオンを含む構造規定剤(SDA)と、を含む、反応混合物を形成することと、
b.反応混合物を加熱し、CHA骨格を有するゼオライト結晶、構造規定剤、及び母液を形成することと、
c.母液からゼオライト結晶の少なくとも一部分を回収することと、
による方法が提供される。
【0018】
本発明の第8態様では、本発明の第2の態様の焼成ゼオライト(JMZ-1C)の、JMZ-1を焼成することによる、形成方法が提供される。
【0019】
本発明の第9の態様では、エンジンからの排気ガスの処理方法であって、排気ガスをJMZ-1C又は金属浸透JMZ-1Cと接触させることによる、方法が提供される。
【0020】
本発明の第10の態様では、JMZ-1C又は金属含有JMZ-1Cにより、メタノールとアンモニアとの反応からのメチルアミンの形成、及びメタノールの低級オレフィンへの変換、特にエチレン及びプロピレンへの変換を促進することができる。
【0021】
本発明の第11の態様では、低分子量酸素含有種をオレフィンに富んだ炭化水素流に変換するための触媒物品は、JMZ-1C又は金属含有JMZ-1Cを含んでもよく、JMZ-1C又は金属含有JMZ-1Cを、担体上、及び/又は構造内に配設している。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】実施例1で調製したJMZ-1の試料のXRDパターンである。
図2】実施例2で調製したJMZ-1の試料のSEM顕微鏡写真である。
図3】実施例2で調製した焼成JMZ-1(JMZ-1C)の試料のXRDパターンである。
図4】調製したての3%のCu含有CHAゼオライトを使用したNO変換率(%)のグラフである。
図5】調製したての3%のCu含有CHAゼオライトを通る排気ガス中のNO濃度のグラフである。
図6】調製したての3%のCu含有CHAゼオライトを使用したNH変換率(%)のグラフである。
図7】900℃で1時間水熱エージングした、3%のCu含有CHAゼオライトを使用したNO変換率(%)のグラフである。
図8】900℃で1時間水熱エージングした、3%のCu含有CHAゼオライトを通る排気ガス中のNO濃度のグラフである。
図9】900℃で1時間水熱エージングした、3%のCu含有CHAゼオライトを使用したNH変換率(%)のグラフである。
図10】900℃で3時間水熱エージングした、3%のCu含有CHAゼオライトを使用したNO変換率(%)のグラフである。
図11】900℃で3時間水熱エージングした、3%のCu含有CHAゼオライトを通る排気ガス中のNO濃度のグラフである。
図12】900℃で3時間水熱エージングした、3%のCu含有CHAゼオライトを使用したNH変換率(%)のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用するとき、単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈が明らかに他を示さない限り、複数の指示対象を含む。したがって、例えば、「触媒(a catalyst)」への言及には、2つ以上の触媒(catalysts)の混合物などを含む。
【0024】
様々な数値要素の1つの範囲又は複数の範囲が指定されている場合、特に指定しない限り、1つの範囲又は複数の範囲に値を含めることができる。
【0025】
本明細書で使用するとき、用語「ゼオライト」は、少なくとも1つの四価のT原子又は四価のT原子の混合物(例えば、ケイ素、ゲルマニウム、又はこれらの混合物)と、少なくとも1つの三価のT原子又は三価のT原子の混合物(例えば、アルミニウム、ホウ素、ガリウム、バナジウム、鉄、又はこれらの混合物)と、を含むモレキュラーシーブである。好ましくは、本明細書で使用するとき、ゼオライトは、アルミナとシリカとで構成された骨格(すなわち、SiOとAlOとの繰り返し四面体単位)を有する、アルミノケイ酸塩である。ゼオライトは、骨格構造によって形成されたケージ、細孔、及び/又はチャネル内に、金属を含むカチオン性無機材料、及びカチオン性又は中性有機種(構造規定剤を含む)を含有してもよい。焼成ゼオライトには、構造規定剤がないと考えられる。
【0026】
本明細書で使用するとき、用語「CHA」は、国際ゼオライト学会(IZA)構造委員会によって認められたCHA位相型を指し、用語「CHAゼオライト」とは、主結晶相がCHAであるアルミノケイ酸塩を意味する。また、他の結晶相も存在してもよいが、主結晶相は、少なくとも約90重量パーセントのCHA、好ましくは少なくとも約95重量パーセントのCHA、更により好ましくは少なくとも約97重量パーセント又は少なくとも約99重量パーセントのCHAを含む。好ましくは、CHAモレキュラーシーブは、他の結晶相を実質的に含まず、2つ以上の骨格型の連晶ではない。他の結晶相に関して「実質的に含まない」とは、モレキュラーシーブが、骨格の重量に基づいて少なくとも99重量パーセントのCHAを含有すること、及び交換による金属を含まないこと、を意味する。
【0027】
用語「骨格構造内」とは、材料が、骨格構造によって形成されたケージ、細孔、及び/又はチャネルのうちの1つ以上の内に位置するが、ゼオライトの構造を形成する骨格内には位置していないことを意味する。
【0028】
用語「骨格構造によって形成されたケージ、細孔、及び/又はチャネル内」とは、材料(SDA)が、骨格構造によって形成されたケージ、細孔、及び/又はチャネルのうちの1つ以上の内に位置するが、ゼオライトの骨格構造内には存在しないことを意味する。
【0029】
用語「骨格外金属含有ゼオライト」は、金属がゼオライトのケージ及び/又は細孔の、表面上及び/又は内にある、ゼオライトを指す。これは、金属がゼオライトを形成する骨格内にあるゼオライトを指すものではない。
【0030】
用語「ない/不含」又は「含まない」とは、「含まない」と言及された材料が、微量、概して1重量%未満、好ましくは0.5重量%未満、より好ましくは0.1重量%未満でのみ存在してもよいことを意味する。
【0031】
用語「本質的にない/本質的に不含」とは、言及された材料が、感知可能量の参照された材料を有していないことを意味する。すなわち、言及された材料は、材料の基本的な物理的特性及び/又は化学的特性に影響を与える量では、特にNOを選択的に還元又は吸蔵する材料の容量に関する量では、存在しない。特定の実施形態では、言及された材料は、3重量パーセント未満、好ましくは1重量パーセント未満、より好ましくは0.5重量パーセント未満、更により好ましくは0.1重量パーセント未満の濃度で存在する。
【0032】
特定の実施形態では、ナトリウムなどのアルカリ金属源は、この材料を合成混合物に提供するのに、その混合物に意図的には添加されていない。本明細書で使用するとき、語句「本質的にアルカリ不含」又は「アルカリ不含」とは、アルカリ金属が意図的な含有成分としては合成混合物に添加されていないことを意味する。本明細書で言及された「本質的にアルカリ不含」又は「アルカリ不含」の触媒とは、概して、触媒材料が、意図される触媒活性に関して、些細な量のアルカリ金属を含有することを意味する。特定の実施形態では、JMZ-1又はJMZ-1Cゼオライトは、約0.1重量パーセント未満、好ましくは約0.01重量パーセント未満の、ナトリウム又はカリウムなどのアルカリ金属を含有する。
【0033】
本発明の第1の態様では、CHA型骨格を有するゼオライト(JMZ-1)であって、モルの関係性がSiO:(n)Y[式中、Y=Al、Fe、B、又はGaであり、n=0~0.1である]の組成を有し、(a)テンプレート剤の焼成除去前のX線粉末回折パターンは、少なくとも以下の回折ピーク(2θ(±0.2)度で、カッコ内に示す相対強度を有する)を、9.55(VS)、16.27(VS)、20.99(VS)、24.65(M)、及び31.22(M)±0.2で含み、並びに(b)テンプレート剤の焼成除去後のX線回折データは、少なくとも以下の回折ピーク(2θ度で、カッコ内に示す相対強度を有する)を、9.59(VS)、13.03(M)、16.21(W)、17.99(W)、20.83(M-S)、23.31(W)、25.24(W)、26.22(W)、30.98(M-W)、及び31.43(W)±0.2で含み、相対強度は、X線パターンにおける、100の値を割り当てた最強の線に基づいており、(W)[弱い]は20未満、(M)[中度]は20~40、(S)[強い]は40~60、及び(VS)[非常に強い]は60超である、ゼオライトが提供される。
【0034】
本発明の第1の態様のゼオライトの特性X線粉末回折パターンは、相当する相対強度をカッコ内に示して、13.15(W)、13.91(W)、17.50(W)、19.18(W)、21.95(W)、22.87(W)、23.34(W)、26.49(W)、28.05(W)、及び30.43(W)±0.2で2θ位置を更に含んでもよい。
【0035】
JMZ-1の粉末XRDパターンを、図1に示す。特性線を表4に示し、主特性線をによって示す。
【表5】
(a)=±0.2
【0036】
相対強度は、X線パターンにおける、100の値を割り当てた最強の線に基づく。W(弱い)は20未満であり、M(中度)は20~40であり、S(強い)は40~60であり、VS(非常に強い)は60超である。
【0037】
本発明の第1の態様のゼオライトの特性X線粉末回折パターンは、相当する相対強度をカッコ内に示して、13.15(W)、13.91(W)、17.50(W)、19.18(W)、21.95(W)、22.87(W)、23.34(W)、28.05(W)、及び30.40(W)±0.2で2θ位置を更に含んでもよい。
【0038】
X線粉末回折パターンについては、標準的な技術によって決定した。放射線は銅のK-α/二重線であり、ストリップチャートペンレコーダを有するシンチレーションカウンター分光計を使用した。ピーク高さI、及びそれらの位置(度)2θ(θはブラッグ角である)を、分光計チャートから読み取った。これらの測定値から、相対強度、100I/I(Iは、最強の線の強度、すなわちピークの強度である)、及びd、記録した線に相当するÅ単位での平面間間隔を、計算することができる。表4のX線回折パターンは、JMZ-1(テンプレート含有)ファミリー組成物の全ての種に特徴的である。表又は図における回折パターン値のわずかな変動はまた、調製に使用する有機化合物の変動、及び試料ごとのシリカ対アルミナのモル比の変動によって生じる場合もある。これらのわずかなゆらぎにかかわらず、調製時のままの状態及び焼成状態での基本結晶構造は、実質的に未変化のままである。
【0039】
米国特許第9,636,667号に記載のゼオライトの特性線(度2θ及び相対強度)を、製造時のままの(SDA)含有JMZ-1ゼオライトの相当するピーク(SDA)と共に表5に示す。


【表6】
【0040】
JMZ-1は、米国特許第9,636,667号に記載のゼオライトに対して新規性があり、その米国特許のゼオライトのXRDパターンは、上記に列挙した範囲内に6つのピークを有すること、及びそれは、ピークが最強であり、100の相対強度を割り当てた、20.62~21.30の2θのピークの強度に対して、ある強度を有すること、を要件とする。JMZ-1は、以下の理由により、米国特許第9,636,667号に記載のゼオライトとは異なる。
JMZ-1は、17.81~18.13及び25.02~25.42にてピークを有していない(最大強度の2%未満の強度)という理由。
JMZ-1は、9.44~9.88度2θの範囲にピークを有するが、JMZ-1におけるピークの相対強度は100であり、米国特許第9,636,667号のゼオライトに必要とされる29~92の範囲よりも大きいという理由。
JMZ-1は、30.83~31.43度2θの範囲にピークを有するが、JMZ-1におけるピークの相対強度は33であり、米国特許第9,636,667号のゼオライトに必要とされる39~73の範囲より小さいという理由。
【0041】
したがって、JMZ-1のXRDスペクトルは、米国特許第9,636,667号におけるゼオライトのXRDとは異なる。
【0042】
ゼオライトは、アルミノケイ酸塩(Y=Al)であってもよい。
【0043】
ゼオライトがアルミノケイ酸塩である場合、ゼオライトは、約10~約50、好ましくは15~30、より好ましくは20~25のシリカ対アルミナ比(SAR)を有することができる。
【0044】
構造規定剤は、トリメチル(シクロヘキシルメチル)アンモニウムカチオンを含んでもよい。
【0045】
ゼオライトJMZ-1は結晶質であり、CHA骨格を有し、この骨格は、四価の酸化ケイ素、三価の酸化アルミニウムを含み、トリメチル(シクロヘキシルメチル)アンモニウムカチオンが結晶構造内に存在し、ゼオライト結晶は無水であり、置換又は非置換の5,4-アゾニウムアニオンを含まず、橋かけ多環式、シクロアリール、複素環、シクロヘキシルメチル以外のシクロアルキル、及びC2-C4アルキルから選択される置換基を有するアンモニウムアニオンを含まない。組成物は、これらの元素を有するゼオライトを含んでもよい。
【0046】
ゼオライト骨格は、(i)アンチモン、ビスマス、クロム、コバルト、銅、鉄、マンガン、モリブデン、ニッケル、ニオブ、スズ、チタン、タングステン、バナジウム、亜鉛、及びジルコニウムをはじめとする遷移金属、(ii)インジウム、パラジウム、白金、ロジウム及びルテニウムなどの白金族金属(PGM)、並びに金及び銀などの貴金属、並びに(iii)セリウム、エルビウム、ユーロピウム、ランタン、ネオジム、プラセオジム、テルビウム、イッテルビウム、及びイットリウムなどの希土類金属を、含まなくてもよく、又はそれらを本質的に含まなくてもよい。
【0047】
本発明のゼオライトは、シリコアルミノリン酸塩(SAPO)ではなく、したがって、それらの骨格に感知可能な量のリンを有していない。すなわち、ゼオライト骨格は、規則的な繰り返し単位としてはリンを有しておらず、並びに/又は材料の基本的な物理的特性及び/若しくは化学的特性に、特に広い温度範囲にわたってNOを選択的に還元する材料の容量に関して、影響を及ぼす量のリンを有していない。骨格リンの量は、ゼオライトの総重量に基づいて、約1重量パーセント未満、好ましくは0.1重量パーセント未満、最も好ましくは0.01重量パーセント未満であってもよい。
【0048】
本発明のCHA位相型のゼオライトは、低濃度の鉄を含有してもよい。鉄は、骨格四面体部位にあってもよく、及び/又はカチオン種としてあってもよい。骨格四面体部位における鉄の量、及び/又は合成後のカチオン種としての鉄の量は、通常、約0.1重量パーセント未満である。
【0049】
また、CHA型骨格を有するゼオライト、JMZ-1、及び構造規定剤(SDA)を含む、組成物も提供され、SDAは骨格構造内にあり、当該ゼオライトは、モルの関係性がSiO:(n)Y[式中、Y=Al、Fe、B、又はGaであり、n=0~0.1である]の組成を有し、特性X線粉末回折パターンは、相当する相対強度をカッコ内に示して、9.55(VS)、16.27(VS)、20.99(VS)、24.65(M)、及び31.22(M)±0.2で2θ位置を含む。
【0050】
本発明の第2の態様では、CHA型骨格を含む骨格構造を含み、モルの関係性がSiO:(n)Y[式中、Y=Al、Fe、B、又はGaであり、n=0~0.1である]の組成を有する、ゼオライト(JMZ-1C)であって、特性X線粉末回折パターンは、相当する相対強度をカッコ内に示して、9.59(VS)、13.03(M)、16.21(W)、17.99(W)、20.83(M-S)、23.31(W)、25.24(W)、26.22(W)、30.98(M-W)、及び31.43(W)±0.2で2θ位置を含み、ゼオライトは、構造規定剤(SDA)を含まない、ゼオライトが提供される。ゼオライトは、好ましくは、焼成ゼオライトである。
【0051】
JMZ-1Cは、米国特許第9,636,667号に記載のゼオライトに対して新規性があり、その米国特許のゼオライトのXRDパターンは、上記に列挙した範囲内に6つのピークを有すること、及びそれは、ピークが最強であり、100の相対強度を割り当てた、20.62~21.30の2θのピークの強度に対して、ある強度を有すること、を要件とする。米国特許第9,636,667号に記載のゼオライトの特性線(度2θ及び相対強度)を、JMZ-1Cの相当するピークと共に表6に示す。
【表7】
【0052】
JMZ-1Cは、以下の理由により、米国特許第9,636,667号に記載のゼオライトとは異なる。
JMZ-1Cの最大強度を有するピークは、9.59度2θにあり、他方、米国特許第9,636,667号のゼオライトの最大強度を有するピークは、20.62~21.30度2θにあるという理由。
JMZ-1は、9.44~9.88度2θの範囲にピークを有するが、JMZ-1におけるピークの相対強度は100であり、米国特許第9,636,667号のゼオライトに必要とされる29~92の範囲よりも大きいという理由。
JMZ-1は、16.03~16.55度2θの範囲にピークを有するが、JMZ-1におけるピークの相対強度は16であり、米国特許第9,636,667号のゼオライトに必要とされる32~79の範囲よりも小さいという理由。
JMZ-1は、20.62~21.30度2θの範囲にピークを有するが、JMZ-1におけるピークの相対強度は41であり、米国特許第9,636,667号のゼオライトに必要とされる100よりも小さいという理由。
JMZ-1Cは、25.02~25.42度2θの範囲にピークを有するが、JMZ-1におけるピークの相対強度は12であり、米国特許第9,636,667号のゼオライトに必要とされる25~70の範囲よりも小さいという理由。
JMZ-1Cは、30.83~31.43度2θの範囲にピークを有するが、JMZ-1におけるピークの相対強度は19であり、米国特許第9,636,667号のゼオライトに必要とされる39~73の範囲よりも小さいという理由。
【0053】
したがって、JMZ-1CのXRDスペクトルは、米国特許第9,636,667号におけるゼオライトのXRDとは異なる。
【0054】
ゼオライトJMZ-1cはアルミノケイ酸塩であってもよい。(Y=Al)。
【0055】
JMZ-1Cは、好ましくは、交換による、又はそうでなければゼオライトの空洞、チャネル、及び/又は細孔に浸透した、1つ以上の触媒金属イオンを含んでもよい。ゼオライト合成後交換によることができる、又は浸透させることができる、金属の例としては、(i)アンチモン、ビスマス、クロム、コバルト、銅、鉄、マンガン、モリブデン、ニッケル、ニオブ、スズ、チタン、タングステン、バナジウム、亜鉛、及びジルコニウムをはじめとする遷移金属、(ii)インジウム、パラジウム、白金、ロジウム、及びルテニウムなどの白金族金属(PGM)をはじめとする貴金属、並びに金及び銀などの貴金属、(iii)バリウム、ベリリウム、カルシウム、マグネシウム、及びストロンチウムなどのアルカリ土類金属、並びに(iv)セリウム、エルビウム、ユーロピウム、ランタン、ネオジム、プラセオジム、テルビウム、イッテルビウム、及びイットリウムなどの希土類金属が挙げられる。合成後交換に好ましい遷移金属は、コバルト、銅、鉄、マンガン、ニッケル、及びこれらの混合物からなる群から選択される。
【0056】
特に好ましい交換による金属としては、特にカルシウム及び/又はセリウムと組み合わせた場合、並びに特に遷移金属(T)とアルカリ金属(A)とが、約15:1~約1:1、例えば約10:1~約2:1、約10:1~約3:1、又は約6:1~約4:1のT:Aモル比で存在する場合、銅及び鉄が挙げられる。
【0057】
遷移金属は、ゼオライト材料の総重量に対して、約0.1~約10重量パーセント、例えば、約0.5~約5重量パーセント、約0.1~約1.0重量パーセント、約2.5~約3.5重量パーセント、及び約4.5~約5.5重量パーセントの量で存在してもよい。
【0058】
ゼオライト、JMZ-1Cは、特定の用途において触媒として有用な場合がある。乾燥JMZ-1結晶を、好ましくは焼成するが、焼成することなく使用することもできる。ゼオライト、JMZ-1Cを、好ましくは焼成し、合成後金属交換によることなく、又は合成後金属交換によってのいずれかで、好ましくは合成後金属交換によって、使用することができる。
【0059】
本発明の特定の態様では、いずれの交換による金属も含まない、特に合成後交換による金属又は浸透した金属を含まない、又はそれを本質的に含まない、JMZ-1Cを含む触媒が提供される。
【0060】
合成後に組み込まれた金属を、イオン交換、浸透、同形置換などの任意の公知の技術により、モレキュラーシーブに添加することができる。
【0061】
これらの交換による金属カチオンは、ゼオライトの分子骨格を構成する金属とは異なるので、金属交換によるゼオライトは、金属置換ゼオライトとは異なる。
【0062】
銅などの交換による金属を含む焼成ゼオライト(JMZ-1C)の触媒特性は、CHA構造を有し、同等のSARを水熱エージング後に有する他のゼオライトの触媒特性とは異なる。同等のSARは、2単位以内、好ましくは3単位以内、より好ましくは4単位以内のSARである。以下の実施例3に示すように、銅などの交換による金属を含む、900℃で3時間水熱エージングした、焼成ゼオライト(JMZ-1C)の触媒活性により、以下のうちの1つ以上をもたらすことができる。
a.同等のSAR(SAR=22~25)を有するCHA触媒と比較して、約175℃~約225℃の範囲の温度での少なくとも10%高いNO変換率、及び
b.同等のSAR(SAR=22~25)を有するCHA触媒と比較して、約165℃~約225℃の範囲の温度で少なくとも20%高いNH変換率。
【0063】
900℃で3時間水熱エージングした後、浸透によって3%のCuを含有するJMZ-1Cによると、特に225℃未満の温度で、同等のSAR(SAR=22~25)を有する、3%のCuを含有するチャバサイトと比較して、NO還元を増加させることができる。900℃で3時間水熱エージングした後、浸透によって3%のCu含有するJMZ-1Cによると、特に165℃~225℃の温度で、同等のSARを有する、3%のCuを含有するCHAゼオライトと比較して、NH変換率を増加させることができる。
【0064】
本発明の第3の第2の態様では、水と、シリカ源と、アルミナ源と、塩基と、アルカリ金属カチオンと、トリメチル(シクロヘキシルメチル)アンモニウムカチオンとの混合物を含む、組成物が提供され、組成物は、
【表8】
のモル組成比を有し、式中、RはSDA、好ましくはトリメチル(シクロヘキシルメチル)アンモニウムカチオンである。
【0065】
好ましくは、組成物は、以下のモル組成比を有する。
【表9】
【0066】
組成物は、溶液、コロイド分散液(コロイドゾル)、ゲル、又はペーストであってもよく、ゲルが好ましい。
【0067】
本発明の第4の態様では、本発明の第2の態様の焼成ゼオライトと、充填剤、結合剤、安定剤、及びレオロジー調整剤のうちの1つ以上と、を含む組成物が提供される。
【0068】
焼成ゼオライトは、骨格外遷移金属又は貴金属であってもよい。骨格外遷移金属は、Co、Cu、Fe、Mn、Mo、Nb、Ni、Ta、V、及びWからなる群から選択されてもよい。好ましくは、骨格外遷移金属は、Cu又はFeである。
【0069】
骨格外貴金属は、Ag、Au、Ir、Os、Pd、Pt、Rh、又はRuから選択されてもよい。
【0070】
焼成ゼオライトは、約0.1~約5重量パーセントの遷移金属又は貴金属を含んでもよい。
【0071】
焼成ゼオライトは、約0.1~約5重量パーセントのイオン性銅を含んでもよい。
【0072】
焼成ゼオライトは、Ca、Ce、又はCaとCeとの組み合わせを更に含んでもよい。
【0073】
本発明の触媒は、不均一触媒反応系(すなわち、ガス反応物と接触する固体触媒)に特に適用可能である。接触表面積、機械的安定性、及び/又は流体流動特性を改善するために、触媒を、基材、好ましくは多孔質基材上、及び/又はその内に配設することができる。触媒を含有するウォッシュコートについては、コルゲート化金属プレート又はハニカムコージライトブリックなどの不活性基材に適用することができる。あるいは、触媒は、充填剤、結合剤、及び補強剤などの他の成分と共に、押出可能なペーストに混練し、次いでダイを通して押出したものであり、ハニカムブリックを形成している。したがって、触媒物品は、基材上にコーティングした、及び/又はそれに組み込んだ、本明細書に記載のCHA触媒を含んでもよい。
【0074】
本発明の特定の態様は、触媒ウォッシュコートを提供する。本明細書に記載の、焼成ゼオライト、JMZ-1Cを含むウォッシュコートは、好ましくは溶液、懸濁液、又はスラリーである。好適なコーティングとしては、表面コーティング、基材の一部分に浸入しているコーティング、基材に浸入しているコーティング、又はこれらのいくつかの組み合わせが挙げられる。
【0075】
ウォッシュコートはまた、アルミナ、シリカ、非ゼオライトシリカアルミナ、チタニア、ジルコニア、セリアのうちの1つ以上をはじめとする、充填剤、結合剤、安定剤、レオロジー調整剤、及び他の添加剤などの非触媒成分を含んでもよい。触媒組成物は、黒鉛、セルロース、デンプン、ポリアクリレート、及びポリエチレンなどの細孔形成剤を含んでもよい。これらの追加成分は、必ずしも所望の反応の触媒となるものではないが、代わりに、例えば、その動作温度範囲を増加させること、触媒の接触表面積を増加させること、触媒の基材への付着を増大させるなどによって、触媒材料の有効性を改善するものである。好ましくは、ウォッシュコート担持量は、0.3g/m超、例えば1.2g/m超、1.5g/m超、1.7g/m超、又は2.00g/m超、好ましくは3.5g/m未満、例えば2.5g/m未満である。ウォッシュコートを、約0.8~1.0g/m、1.0~1.5g/m、又は1.5~2.5g/mの担持量で基材に適用することができる。
【0076】
本発明の第5の第2の態様では、(a)本発明の第4の態様の組成物と、(b)当該組成物を上又は内に組み込んでいるモノリス基材と、を含む触媒物品が提供される。
【0077】
触媒を適用することができる最も一般的な基材設計のうちの2つは、ハニカム及びプレートである。好ましい基材としては、特に移動体用途の場合、フロースルーモノリス及びウォールフローモノリスが挙げられる。フロースルーモノリスはいわゆるハニカム形状を有し、これは、両端で開口している、概して基材の入口面から出口面まで延びている、高い表面積対体積比をもたらす、複数の隣接する平行チャネルを含む。ウォールフローモノリスは、フロースルーモノリスと同様であり、但し相違点として、ウォールフローモノリスのチャネル端部を交互に塞いでおり、フィルタとして機能する多孔質壁にガス流を通す。
【0078】
特定の用途では、ハニカムフロースルーモノリスは、好ましくは、高いセル密度、例えば、1平方インチ当たり約600~800個のセル、及び/又は約0.18~0.35mm、好ましくは約0.20~0.25mmの平均内壁厚さを有する。特定の他の用途では、ハニカムフロースルーモノリスは、好ましくは、1平方インチ当たり約150~600個、より好ましくは1平方インチ当たり約200~400個の低いセル密度を有する。好ましくは、ハニカムモノリスは多孔質である。
【0079】
コージライト、炭化ケイ素、窒化ケイ素、セラミック、及び金属に加えて、基材に使用することができる他の材料としては、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、チタン酸アルミニウム、α-アルミナ、ムライト、例えば、針状ムライト、ポルサイト、サーメット、例えばAlOsZFe、Al/Ni、若しくはBCZFe、又はこれらのいずれか2つ以上のセグメントを含む複合体が挙げられる。好ましい材料としては、コージライト、炭化ケイ素、及びアルミナチタン酸塩が挙げられる。
【0080】
プレート型触媒は、圧力低下がより小さく、ハニカム型よりも塞がりにくく詰まりにくく、高効率の設置型用途において有利であるが、プレート構成は、はるかに大型で高価になる場合がある。ハニカム構成は、典型的にはプレート型よりも小型であり、移動体用途において有利であるが、圧力低下がより大きく、より容易に塞がる。プレート基材を、金属、好ましくはコルゲート化金属で構成することができる。
【0081】
触媒物品を、本明細書に記載のプロセスによって作製することができる。金属含有焼成ゼオライト(JMZ-1C)を、好ましくはウォッシュコートとして、別の組成物、例えば排気ガスを処理するためのアンモニア酸化触媒、酸化触媒、還元触媒、捕捉成分、又はNO吸蔵成分のうちの少なくとも1つの追加層を基材に適用する前又は適用した後のいずれかの層として基材に適用する工程を含む、プロセスによって、触媒物品を製造することができる。CHA触媒層をはじめとする、基材上の1つ以上の触媒層を、逐次的な層に配置する。本明細書で使用するとき、基材上の触媒層に関する用語「逐次的な」とは、各層をその隣接する層と接触させること、及び触媒層を全体として基材上の他方の上部に配置すること、を意味する。
【0082】
CHA触媒を、第1の層又はゾーンとして基材上に配設することができ、別の組成物、例えば酸化触媒、還元触媒、捕捉成分、又はNO吸蔵成分を、基材上に第2の層又はゾーンとして配設することができる。本明細書で使用するとき、用語「第1の層」及び「第2の層」は、触媒物品を通る、及び/又はその上の、排気ガスの流れの通常の方向に対する触媒物品内の触媒層の相対位置を説明するために使用している。通常の排気ガス流動条件下では、排気ガスは、第1の層に接触した後、第2の層と接触する。第2の層を、下層として不活性基材に適用することができ、第1の層は上層であり、これを逐次的な一連の副層として第2の層の上に適用している。
【0083】
排気ガスは、第1の層に浸入(ひいては接触)した後、第2の層に接触し、その後で、第1の層を通って戻り、触媒構成要素から出ることができる。
【0084】
第1の層は、基材の上流部分上に配設いた第1のゾーンであってもよく、第2の層を第2のゾーンとして基材上に配設し、第2のゾーンは第1のゾーンの下流にある。
【0085】
JMZ-1Cを好ましくはウォッシュコートとして第1のゾーンとして基材に適用する工程と、その後、排気ガスを処理するための少なくとも1つの追加組成物を第2のゾーンとして基材に適用する工程とを含む、プロセスであって、第1のゾーンの少なくとも一部分が第2のゾーンの下流にある、プロセスによって、触媒物品を製造することができる。あるいは、追加組成物を収容している第1のゾーンの下流にある第2のゾーンにおいて、CHA触媒組成物を基材に適用することができる。追加組成物の例としては、酸化触媒、還元触媒、捕捉成分(例えば、硫黄、水など)、又はNO吸蔵成分が挙げられる。
【0086】
排気システムに必要とされる空間の大きさを低減するために、個々の排気構成要素を設計し、2つ以上の機能を実行することができる。例えば、SCR触媒をウォールフローフィルタ基材に適用して、フロースルー基材の代わりにSCRFを形成すると、1つの基材が2つの機能、すなわち排気ガス中のNO濃度を触媒により低減すること、及び排気ガスから煤を機械的に除去することに役立つようにすることによって、排気処理システムの全体的なサイズを低減するのに役立つ。これは、水熱エージング後の焼成ゼオライトの安定性という理由から、焼成ゼオライトの好ましい用途である。基材は、ハニカムウォールフローフィルタであってもパーシャルフィルタであってもよい。ウォールフローフィルタは、複数の隣接する平行チャネルを含むという点で、フロースルーハニカム基材と同様である。しかし、フロースルーハニカム基材のチャネルは両端で開口しており、他方、ウォールフロー基材のチャネルは一端がキャップ閉めされており、キャップ閉めは、隣接するチャネルの両側の端部で交互パターンにて行われる。チャネルの交互端部をキャップ閉めすることにより、基材の入口面に流入するガスがチャネルを通って直線的に流れ存在することを、防止する。その代わりに、排気ガスは、基材の前部に流入し、チャネルのおよそ中央に移動し、チャネル壁に通され、その後、基材の後半に流入して、基材の背面から出る。
【0087】
基材壁は、ガス浸透性である多孔率及び孔径を有するが、ガスからの煤などの粒子状物質の大部分を、ガスが壁を通る際に捕捉する。好ましいウォールフロー基材は、高効率フィルタである。本発明で使用するウォールフローフィルタは、好ましくは、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、又は少なくとも約90%の効率を有する。効率は、約75~約99%、約75~約90%、約80~約90%、又は約85~約95%であってもよい。ここで、効率は、煤及び他の同様のサイズの粒子、並びに従来のディーゼル排気ガスに典型的に見られる粒子状物質濃度に関するものである。例えば、ディーゼル排気中の粒子状物質は、0.05ミクロン~2.5ミクロンのサイズの範囲であってもよい。したがって、効率は、この範囲、又は0.1~0.25ミクロン、0.25~1.25ミクロン、又は1.25~2.5ミクロンなどの下位範囲に基づくものであってもよい。
【0088】
多孔率は、多孔質基材中の空隙空間の尺度の百分率であり、排気システム内の背圧に関連しており、概して、多孔率が低いほど、背圧が高くなる。好ましくは、多孔質基材は、約30~約80%、例えば約40~約75%、約40~約65%、又は約50~約60%の多孔率を有する。
【0089】
細孔相互連絡率は、基材の総空隙容積の百分率として測定するものであり、細孔、空隙、及び/又はチャネルが接合し、多孔質基材を通る連続経路、すなわち、入口面から出口面への連続経路を形成する程度である。対照的に、細孔相互連絡率に対しては、閉鎖細孔容積と、基材の表面の一方のみに導管を有する細孔の容積との合計である。好ましくは、多孔質基材は、少なくとも約30%、より好ましくは少なくとも約40%の細孔相互連絡率の大きさを有する。
【0090】
多孔質基材の平均孔径も、フィルタ処理に重要である。平均孔径については、水銀ポロシメトリーによってなど、任意の許容可能な手段によって決定することができる。多孔質基材の平均孔径は、基材自体、基材の表面上の煤ケーキ層の促進のいずれかによって、又は両方の組み合わせによって、十分な効率を提供しながら低い背圧を促進するのに十分な高い値のものである必要がある。好ましい多孔質基材は、約10~約40μm、例えば、約20~約30μm、約10~約25μm、約10~約20μm、約20~約25μm、約10~約15μm、及び約15~約20μmの平均孔径を有する。
【0091】
概して、触媒JMZ-1Cを収容している、ハニカムフロースルー又はウォールフローフィルタなどの押出した固体本体の製造は、JMZ-1C、結合剤、任意選択による有機増粘化合物を均質なペーストにブレンドし、これを、次いで結合剤/マトリックス成分又はその前駆体、並びに任意選択で安定化したセリア、及び無機繊維のうちの1つ以上に添加すること、を伴う。ブレンドを、混合若しくは混練装置、又は押出機で圧縮する。混合物は、結合剤、細孔形成剤、可塑剤、界面活性剤、潤滑剤、分散剤などの有機添加剤を、湿潤化を増強するための、ひいては均質なバッチを製造するための加工助剤として、有する。次いで、得られた可塑性材料を、特に押出プレス、又は押出ダイを含む押出機を使用して成形し、得られた成形物を乾燥させ、焼成する。有機添加剤を、押出した固体本体の焼成中に「バーンアウト」する。また、JMZ-1C、触媒活性焼成ゼオライトを、表面上にある1つ以上の副層として、押出した固体本体にウォッシュコーティングすること、若しくは別の方法で適用することができ、又は押出した固体本体に全体的若しくは部分的に浸入させることができる。
【0092】
結合剤/マトリックス成分は、好ましくは、コージライト、窒化物、炭化物、ホウ化物、金属間化合物、アルミノケイ酸リチウム、スピネル、任意選択でドープしたアルミナ、シリカ源、チタニア、ジルコニア、チタニア-ジルコニア、ジルコン、及びこれらのいずれか2つ以上の混合物からなる群から選択される。ペーストは、任意選択で、炭素繊維、ガラス繊維、金属繊維、ホウ素繊維、アルミナ繊維、シリカ繊維、シリカ-アルミナ繊維、炭化ケイ素繊維、チタン酸カリウム繊維、ホウ酸アルミニウム繊維、及びセラミック繊維からなる群から選択される強化無機繊維を含有してもよい。
【0093】
アルミナ結合剤/マトリックス成分は、好ましくはγアルミナであるが、任意の他の転移アルミナ、すなわち、αアルミナ、βアルミナ、χアルミナ、ηアルミナ、ρアルミナ、κアルミナ、θアルミナ、δアルミナ、ランタンβアルミナ、及びこのような転移アルミナのいずれか2つ以上の混合物であってもよい。アルミナは、アルミナの熱安定性を高めるために、少なくとも1つの非アルミニウム元素でドープされていることが好ましい。好適なアルミナドーパントとしては、ケイ素、ジルコニウム、バリウム、ランタニド、及びこれらのいずれか2つ以上の混合物が挙げられる。好適なランタニドドーパントとしては、La、Ce、Nd、Pr、Gd、及びこれらのいずれか2つ以上の混合物が挙げられる。
【0094】
好ましくは、JMZ-1C、焼成ゼオライトを、押出した触媒本体全体にわたって、好ましくは全体にわたって均等に分散する。
【0095】
上記押出した固体本体のいずれかをウォールフローフィルタに作製する場合、ウォールフローフィルタの多孔率は、30~80%、例えば40~70%であってもよい。多孔率並びに細孔容積及び細孔半径については、例えば水銀圧入ポロシメトリーを使用して測定することができる。
【0096】
本発明の第6の態様では、NOを生じるエンジンと、JMZ-1C、又は金属含有JMZ-1Cを含む触媒物品と、エンジンから触媒物品に流れる排気ガスを導くための導管と、触媒物品の上流に配設した窒素系還元剤源と、を備えるシステムが提供される。システムにより、燃焼プロセスによって発生した排気ガス、例えば、内燃機関(移動体又は設置型のいずれでも)、ガスタービン、及び石炭又は石油を燃料とした動力プラントなどからの排気ガスを処理することができる。このようなシステムは、JMZ-1Cと、本発明の第2の態様のゼオライトと、排気ガスを処理するための少なくとも1つの追加成分と、を含む触媒物品を備え、触媒物品及び少なくとも1つの追加成分を、一貫した単位として機能するよう設計している。
【0097】
システムは、NOを生じるエンジンと、JMZ-1C、又は金属含有JMZ-1Cを含む触媒物品と、エンジンから触媒物品に流れる排気ガスを導くための導管と、触媒物品の上流に配設した窒素系還元剤源と、を備えてもよい。システムは、JMZ-1C又は金属含有JMZ-1Cが、100℃超、150℃超、又は175℃超などの特定の温度範囲にわたって所望の効率以上でNO還元の触媒となることが可能と判定されたときにのみ、窒素系還元剤を流動する排気ガスに計量するための、コントローラを備えてもよい。窒素性還元剤の計量については、1:1のNH/NO及び4:3のNH/NOで計算されてSCR触媒に流入する排気ガス中に、理論上のアンモニアの60%~200%が存在するように調整することができる。
【0098】
システムは、排気ガス中の一酸化窒素を二酸化窒素に酸化するための酸化触媒(例えばディーゼル酸化触媒(DOC))を備えてもよく、これを、窒素性還元剤を排気ガス中に計量する箇所の上流に位置させることができる。SCRゼオライト触媒に流入するガス流が、例えば、酸化触媒入口における250℃~450℃の排気ガス温度で、約4:1~約1:3のNO対NO体積比を有して生成するように、酸化触媒を適合させることができる。酸化触媒は、フロースルーモノリス基材上にコーティングした、白金、パラジウム、又はロジウムなどの、少なくとも1つの白金族金属(又はこれらのいくつかの組み合わせ)を含んでもよい。少なくとも1つの白金族金属は、白金、パラジウム、又は白金及びパラジウムの両方の組み合わせであってもよい。白金族金属を、アルミナ、アルミノケイ酸塩ゼオライトなどのゼオライト、シリカ、非ゼオライトシリカアルミナ、セリア、ジルコニア、チタニア、又はセリア及びジルコニアの両方を含有する混合若しくは複合酸化物などの高表面積ウォッシュコート成分上に担持することができる。
【0099】
好適なフィルタ基材を、酸化触媒とSCR触媒との間に位置させることができる。フィルタ基材は、上述したもののいずれか、例えばウォールフローフィルタから選択されてもよい。フィルタを、例えば、上述の種類の酸化触媒で触媒化している場合、好ましくは、窒素性還元剤の計量箇所を、フィルタとゼオライト触媒との間に位置させる。あるいは、フィルタを触媒化していない場合、窒素性還元剤を計量する手段を、酸化触媒とフィルタとの間に位置させることができる。
【0100】
触媒物品は、選択的触媒還元(SCR)触媒の下流に配設したアンモニアスリップ触媒を有することができる。アンモニアスリップ触媒により、選択的触媒還元プロセスによって消費されない任意の窒素系還元剤の少なくとも一部分を酸化することができる。アンモニアスリップ触媒を、ウォールフローフィルタの出口側に配設することができ、SCR触媒をフィルタの上流側に配設することができる。アンモニアスリップ触媒を、フロースルー基材の下流端上に配設することができ、SCR触媒を、フロースルー基材の上流端上に配設することができる。アンモニアスリップ触媒及びSCR触媒を、排気システム内の別個のブリック上に配設することができる。これらの別個のブリックは、互いに隣接し接触していてもよく、又は特定の距離だけ離れていてもよく、但し、それらは互いに流体連通せず、また但し、SCR触媒ブリックをアンモニアスリップ触媒ブリックの上流に配置していない。
【0101】
本発明の第7の態様では、JMZ-1の形成方法であって、
a.(i)少なくとも1つのアルミナ源と、(ii)少なくとも1つのシリカ源と、(iii)トリメチル(シクロヘキシルメチル)アンモニウムカチオンを含む構造規定剤(SDA)と、を含む、反応混合物を形成することと、
b.反応混合物を加熱し、CHA骨格を有するゼオライト結晶、構造規定剤、及び母液を形成することと、
c.母液からゼオライト結晶の少なくとも一部分を回収することと、
による方法が提供される。
【0102】
ゼオライト結晶を、好ましくは、フィルタ処理などの任意の従来技術によって後続の母液から分離する。
【0103】
JMZ-1合成プロセス用の反応混合物は、典型的には、少なくとも1つのシリカ源、少なくとも1つのアルミナ源、JMZ-1を形成するのに有用な少なくとも1つのSDA、及び少なくとも1つのヒドロキシドイオン源を含有する。しかし、本明細書に記載の合成方法は、必ずしもアルミノケイ酸塩に限定されるものではなく、ホウケイ酸塩フェロケイ酸塩、チタノケイ酸塩、バナドケイ酸塩、すなわちアルミニウムをB、Fe、Ti、又はVにそれぞれ有効に置き換えた場合のものなどの、CHA構造を有する他のモレキュラーシーブを合成するために適用することもできることが理解される。したがって、より全般的には、モレキュラーシーブが結晶化している反応混合物は、四価の酸化物、又は四価の酸化物(例えば、酸化ケイ素、酸化ゲルマニウム又はこれらの混合物)と少なくとも1つの三価の酸化物(例えば、酸化アルミニウム、酸化ホウ素、酸化ガリウム、酸化鉄、酸化バナジウム、又はこれらの混合物)との混合物のうちの少なくとも1つの活性源を含む。また、反応混合物には、FAU位相型のアルミノケイ酸塩ゼオライトをアルミニウム源として使用することもできる。
【0104】
好適なシリカ源としては、ヒュームドシリカ、ケイ酸塩、沈降シリカ、コロイダルシリカ、シリカゲル、ゼオライト、例えばゼオライトY及び/又はゼオライトX、並びにケイ素の水酸化物及びアルコキシドが挙げられるが、これらに限定されない。高い相対収率をもたらすシリカ源が好ましい。典型的なアルミナ源はまた、概して公知であり、アルミン酸塩、アルミナ、他のゼオライト、例えばゼオライトFAU、アルミニウムコロイド、ベーマイト、擬ベーマイト、水酸化アルミニウム、硫酸塩、例えば硫酸アルミニウム及び塩化アルミナ、アルミニウムの水酸化物及びアルコキシド、アルミナゲルが挙げられる。
【0105】
典型的には、ナトリウム、カリウム、リチウム、セシウム、ルビジウム、カルシウム及びマグネシウムの水酸化物をはじめとするアルカリ金属水酸化物及び/又はアルカリ土類金属水酸化物などのヒドロキシドイオン源を、反応混合物に使用する。しかし、均等の塩基性が維持される限り、この成分を省略することができる。SDAを使用して、ヒドロキシドイオンを提供することができる。したがって、イオン交換、例えば、ヒドロキシドイオンについてはハライドにより、必要とされるアルカリ金属水酸化物量を低減又はなくすことが有益な場合がある。アルカリ金属カチオン又はアルカリ土類カチオンは、その中の価電子電荷を平衡化するために、合成時のままでの結晶質酸化物材料の一部であってもよい。
【0106】
反応混合物は、アルカリ金属を更に含んでもよい。アルカリ金属は、好ましくはナトリウム、カリウム、又はこれらの組み合わせである。
【0107】
塩、特に塩化ナトリウムなどのアルカリ金属ハロゲン化物を、反応混合物に添加することができ、又は反応混合物中で形成することもできる。
【0108】
好ましくは、反応混合物は、フッ素、フッ素含有化合物、及びフッ素イオン(フルオリド)のうちの1つ以上を含まないか、又はそれらを本質的に含まない。
【0109】
SDA、好ましくはトリメチル(シクロヘキシルメチル)アンモニウムカチオンを、フルオリド、クロリド、ブロミド、ヨーダイド、ヒドロキシド、アセテート、サルフェート、テトラフルオロボレート、カルボキシレート、カーボネート、及びバイカーボネートからなる群から選択されるアニオンと合わせることができる。好ましくは、SDAには、ヨーダイドアニオン又はヒドロキシドアニオン、より好ましくはヒドロキシドアニオンを用いる。
【0110】
反応混合物は、約0.1~約10重量/重量%の種結晶を更に含んでもよく、種結晶は、CHA骨格を有する結晶質モレキュラーシーブを含む。
【0111】
種結晶は、1~40重量パーセントの、少なくとも1つの結晶質モレキュラーシーブ不純物を含むことがある。
【0112】
反応混合物は、水と、シリカ源と、アルミナ源と、塩基と、アルカリ金属カチオンと、トリメチル(シクロヘキシルメチル)アンモニウムカチオンとの混合物を含み、組成物は、
【表10】
のモル組成比を有し、式中、RはSDA、好ましくはトリメチル(シクロヘキシルメチル)アンモニウムカチオンである。
【0113】
好ましくは、反応混合物は、以下のモル組成比を有する。
【表11】
【0114】
反応混合物は、溶液、コロイド分散液(コロイドゾル)、ゲル、又はペーストであってもよく、ゲルが好ましい。
【0115】
好ましくは、全体的なプロセスでは、シリカでの全収率が、少なくとも約60%、例えば少なくとも約70%、少なくとも約80%である。好ましくは、全体的なプロセスでは、SDAでの全収率が、少なくとも約40%、例えば少なくとも約60%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、約40~約90%、約40~約60%、約60~約80%、約80~約90%、約90~約95%、又は約95~約99%である。
【0116】
従来のCHA合成技術に好適な、反応温度、混合時間及び速度、並びに他のプロセスパラメータもまた、本発明に概して好適である。概して、反応混合物を、JMZ-1結晶を形成するまで高温で維持する。水熱結晶化を、通常、自己圧力下、約75~約220℃、例えば約120~160℃の温度で、数時間、例えば約0.1~約20日間、好ましくは約0.25~約3日間、行う。好ましくは、ゼオライトを、撹拌又はかき混ぜを使用して調製する。
【0117】
水熱結晶化工程中、JMZ-1の結晶を、反応混合物から自発的核形成するようにすることができる。JMZ-1結晶又はCHA位相を有する他の結晶の、種材料としての使用は、完全な結晶化を起こすために必要な時間を短縮するのに有利な場合がある。種として使用する場合、JMZ-1結晶を、反応混合物中で使用するシリカの重量の0.1~10%の量で添加することができる。
【0118】
JMZ-1結晶が生じてから、固体生成物を、フィルタ処理などの標準的な分離技術によって反応混合物から分離する。JMZ-1結晶を水洗し、次いで数秒~数分間(例えば、フラッシュ乾燥の場合、5秒~10分間)、又は数時間(例えば、75~約150℃のオーブン乾燥の場合、約4~約24時間)かけて乾燥させ、CHA位相型骨格を有する合成JMZ-1結晶及び結晶内のSDAを得る。乾燥工程を、大気圧で、又は真空下で実行することができる。
【0119】
前述の工程の順序、並びに上述の時間及び温度値の各々は単なる例示であり、変更することができることが理解される。
【0120】
このプロセスに従って製造したJMZ-1ゼオライト結晶は、双晶及び/又は多重双晶がほとんど若しくは全くない均一なものであってもよく、凝塊を形成していてもよい。
【0121】
本明細書に記載の方法に従って製造したJMZ-1結晶は、約0.01~約5μm、例えば約0.5~約5μm、約0.1~約1μm、及び約1~約5μmの平均結晶サイズを有することができる。大きな結晶については、ジェットミル又は他の粒子対粒子粉砕技術を使用して、約1.0~約1.5ミクロンの平均サイズまで粉砕して、触媒を含有するスラリーを、フロースルー式モノリスなどの基材にウォッシュコーティングするのを容易にすることができる。
【0122】
本明細書に記載の方法によって合成したJMZ-1は、好ましくは、約8~約50、約10~約35、又は約15~約25のシリカ対アルミナ比(SAR)を有する。SARを、出発合成混合物の組成及び/又は他のプロセス変数の調整に基づいて選択的に得ることができる。ゼオライトのシリカ対アルミナ比を、従来の分析によって決定することができる。この比により、ゼオライト結晶の剛性原子骨格における比率について可能な限り近く表すこと、及びチャネル内での、結合剤中(触媒用途の場合)の又はカチオン形態若しくは他の形態の、ケイ素又はアルミニウムを除外していること、を意味する。
【0123】
本方法によって合成したゼオライトは、1つ以上の骨格外アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属を含んでもよい。これらの金属を、典型的には、ヒドロキシドイオン源と共に反応混合物に導入する。このような金属の例としては、バリウム、カルシウム、セシウム、リチウム、マグネシウム、カリウム、ルビジウム、ナトリウム、及びストロンチウムのうちの1つ以上が挙げられる。
【0124】
通常、イオン交換によってアルカリ金属カチオンを除去し、それを、水素、アンモニウム、又は任意の所望の金属イオンで置き換えることが望ましい。したがって、本発明のゼオライトは、Na型ゼオライト、K型ゼオライト、又は組み合わせたN,K-型などであってもよく、H型ゼオライト、アンモニウム型ゼオライト、又は金属交換によるゼオライトであってもよい。典型的なイオン交換技術は、合成ゼオライトを、所望の置き換え用カチオンの塩を含有する溶液と接触させること、を伴う。多種多様な塩を使用することができるが、塩化物及び他のハロゲン化物、硝酸塩、硫酸塩、及び炭酸塩が特に好ましい。代表的なイオン交換技術は、当該技術分野において広く知られている。イオン交換を合成後に行い、これについてはゼオライトを焼成する前又は後のいずれかで行うことができる。所望の置き換え用カチオンの塩溶液との接触後、ゼオライトを、典型的には水で洗浄し、65℃~約315℃、通常は80℃~150℃の範囲の温度で乾燥させる。洗浄後、ゼライトを、不活性ガス中及び/又は空気中、約315℃~850℃の範囲の温度で1~48時間若しくはそれ以上焼成して、触媒活性で安定なゼオライトを製造することができる。
【0125】
本発明の8態様では、JMZ-1Cの、JMZ-1を焼成することによる、形成方法が提供される。本明細書で使用するとき、用語「焼成する」、「焼成している」、又は「焼成」とは、材料を空気中又は酸素中で加熱することを意味する。この定義は、IUPACによる焼成の定義と一致するものである。(IUPAC.Compendium of Chemical Terminology,2nd ed.(the「Gold Book」)。A.D.McNaught and A.Wilkinsonが編集。Blackwell Scientific Publications,Oxford(1997)。XML on-line修正版:http://goldbook.iupac.org(2006-)、M.Nic,J.Jirat,B.Kosataが作成;更新はA.Jenkinsが編集。ISBN 0-9678550-9-8.doi:10.1351/goldbook.)。焼成を実行し、金属塩を分解し、ゼオライト内の金属イオンの交換を促進し、更にゼオライトを基材に付着させる。焼成に使用する温度は、焼成する材料中の成分によって異なり、概して約300℃~約900℃、約1~8時間である。いくつかの場合では、約1200℃の温度まで焼成を実行することができる。本明細書に記載のプロセスを伴う用途では、焼成を、概して、約400℃~約700℃の温度で約1~8時間、好ましくは約400℃~約650℃の温度で約1~4時間実行する。
【0126】
本発明の第9の態様では、エンジンからの排気ガスの処理方法であって、排気ガスを本発明の第2の態様の触媒化したゼオライト(JMZ-1C又は金属浸透JMZ-1C)と接触させることによる、方法が提供される。
【0127】
ガス中のNO化合物の還元及び/又はNHの酸化方法は、ガスを、JMZ-1C又は金属含有JMZ-1Cと、ガス中のNO化合物の濃度を低減するのに十分な時間接触させること、を含む。本発明の方法は、以下の、(a)触媒フィルタの入口と接触している煤を蓄積及び/又は燃焼させる工程と、(b)好ましくはNO及び還元剤の処理を伴う介在触媒工程なしで、窒素系還元剤を排気ガス流に導入した後、触媒フィルタに接触させる工程と、(c)NO吸着触媒又は希薄NOトラップの上でNHを発生させる工程であって、好ましくは、下流SCR反応において還元剤としてこのようなNHを使用する、発生させる工程と、(d)排気ガス流をDOCと接触させ、炭化水素系可溶性有機画分(SOF)及び/若しくは一酸化炭素をCOに酸化し、並びに/又はNOをNOに酸化する工程であって、次に、粒子状物質フィルタ内の粒子状物質を酸化するために、及び/又は排気ガス中の粒子状物質(PM)を減少させるために、使用することができる、酸化する工程と、(e)排気ガスを、還元剤の存在下、1つ以上のフロースルーSCR触媒装置(複数可)と接触させて、排気ガス中のNO濃度を低減する工程と、(f)排気ガスをアンモニアスリップ触媒と、好ましくはSCR触媒の下流で、接触させ、アンモニアの、全てでない場合でもほとんどを酸化させた後、排気ガスを大気に放出し、又は排気ガスを再循環ループに通し、その後、排気ガスをエンジンに流入/再流入させる工程と、のうちの1つ以上を含んでもよい。
【0128】
JMZ-1C又は金属含有JMZ-1Cにより、還元剤、好ましくはアンモニアと窒素酸化物との反応を促進して、単体窒素(N)及び水(HO)を選択的に形成することができる。したがって、触媒を、還元剤(すなわち、SCR触媒)による窒素酸化物の還元に都合のよいように配合することができる。このような還元剤の例としては、炭化水素(例えば、C3-C6炭化水素)、並びにアンモニア及びアンモニアヒドラジンなどの窒素系還元剤、又は尿素((NHCO)、炭酸アンモニウム、カルバミン酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、若しくはギ酸アンモニウムなどの任意の好適なアンモニア前駆体が挙げられる。
【0129】
SCRプロセスにおける消費のための窒素系還元剤、特にNHの全て又は少なくとも一部分を、SCR触媒、例えば、ウォールフローフィルタ上に配設した本発明のSCR触媒の上流に配設したNO吸着触媒(NAC)、希薄NOトラップ(LNT)、又はNO吸蔵/還元触媒(NSRC)によって供給することができる。本発明において有用なNAC成分としては、塩基性材料(アルカリ金属の酸化物、アルカリ土類金属の酸化物、及びこれらの組み合わせを含む、アルカリ金属、アルカリ土類金属、又は希土類金属など)、並びに貴金属(白金など)、及び任意選択でロジウムなどの還元触媒成分の組み合わせの触媒が挙げられる。NACに有用な特定の種類の塩基性材料としては、酸化セシウム、酸化カリウム、酸化マグネシウム、酸化ナトリウム、酸化カルシウム、酸化ストロンチウム、酸化バリウム、及びこれらの組み合わせが挙げられる。貴金属は、好ましくは、約10~約200g/ft、例えば20~60g/ftで存在する。あるいは、触媒の貴金属は、約40~約100g/ftであってもよい平均濃度を特徴とする。
【0130】
定期的にリッチな再生事象中、NHを、NO吸着触媒の上で発生させることができる。NO吸着触媒の下流のSCR触媒により、システム全体のNO還元効率を改善することができる。組み合わせたシステムでは、SCR触媒は、リッチな再生事象中にNAC触媒から放出されたNHを吸蔵可能であり、吸蔵したNHを利用して、通常のリーン運転条件中にNAC触媒を通り抜けるNOの一部又は全てを選択的に還元する。
【0131】
本明細書に記載の排気ガスの処理方法を、燃焼プロセスに由来する排気ガス、例えば、内燃機関(移動体又は設置型のいずれでも)、ガスタービン、及び石炭又は石油を燃料とした動力プラントに由来する排気ガスで実行することができる。また、方法を、精錬などのなどの産業用プロセスから、精錬所のヒータ及びボイラ、炉、化学加工産業、コークスオーブン、都市廃棄物プラント、及び焼却機などからのガスを処理するために使用することができる。この方法を、ディーゼルエンジン、リーンバーガソリンエンジン、又は液体石油ガス若しくは天然ガスによって動力供給されるエンジンなどの、車両のリーンバーン内燃機関からの排気ガスを処理するために使用することができる。
【0132】
排気ガスの処理方法は、NO及び/又はNHを含有する燃焼排気ガスを、本発明の第5の態様の触媒物品と接触させて、NOの少なくとも一部分をN及びHOに選択的に還元すること、及び/又はNHの少なくとも一部分を酸化すること、を含んでもよい。
【0133】
本発明の第2の態様の焼成ゼオライト(JMZ-1C、又は金属含有JMZ-1C)によりまた、アンモニアの酸化も促進することができる。好ましくは、JMZ-1Cは、JMZ-1Cに浸透した銅又は鉄などの1つ以上の金属イオンを含有する。触媒を、アンモニアの酸素による酸化、特に、典型的にはSCR触媒(例えば、アンモニアスリップ触媒(ASC)などのアンモニア酸化(ANOX)触媒)の下流で見られるアンモニアの濃度に好都合になるように配合することができる。CHA触媒を、酸化性の下層の上の上層として配設することができ、下層は、白金族金属(PGM)触媒又は非PGM触媒を含む。好ましくは、下層中の触媒成分を、アルミナをはじめとするがこれに限定されない、高表面積担体上に配設する。
【0134】
SCR及びANOXの操作を、直列で実行することができ、両方のプロセスは、本明細書に記載のCHA触媒を含む触媒を利用し、SCRプロセスを、ANOXプロセスの上流で行う。例えば、触媒のSCR配合物をフィルタの入口側に配設することができ、触媒のANOX配合物をフィルタの出口側に配設することができる。
【0135】
したがって、ガス中のNO化合物の還元又はNHの酸化方法であって、ガス中のNO化合物及び/又はNHの濃度を低減するのに十分な時間、NO化合物の触媒還元のために、ガスを本明細書に記載の触媒組成物と接触させること、を含む、方法が開示される。
【0136】
SCRプロセス及び/又はANOXプロセスを、少なくとも100℃の温度、好ましくは約150℃~約750℃、より好ましくは約175~約550℃、更により好ましくは175~400℃の温度で実行することができる。
【0137】
いくつかの条件では、温度範囲は、450~900℃、好ましくは500~750℃、より好ましくは500~650℃、更により好ましくは450~550℃であってもよい。450℃超の温度は、大型及び小型ディーゼルエンジンからの排気ガスの処理に特に有用であり、このエンジンは、(任意選択で触媒化した)ディーゼル粒子状物質フィルタを含む排気システムを備え、このフィルタを、例えば、フィルタの上流の排気システムに炭化水素を噴射することにより活性に再生するものであり、本発明に使用するためのゼオライト触媒はフィルタの下流に位置している。
【0138】
本発明の第10の態様では、JMZ-1C又は金属含有JMZ-1Cにより、メタノールとアンモニアとの反応からのメチルアミンの形成、及びメタノールの低級オレフィンへの変換、特にエチレン及びプロピレンへの変換を促進することができる。
【0139】
メタノールなどの含酸素物質の、本明細書で先に記載したようにメタノールをJMZ-1C又は金属含有JMZ-1Cと接触させることによる、オレフィン(MTO)への変換方法。含酸素物質のオレフィンへの(OTO)変換のための反応プロセスは、当該技術分野において公知である。具体的には、OTO反応プロセスにおいて、含酸素物質は、含酸素物質の少なくとも一部分を軽質オレフィンに変換するのに有効な条件下、モレキュラーシーブ触媒組成物と接触する。メタノールが含酸素物質である場合、プロセスは、概して、メタノーのオレフィン(MTO)への反応プロセスと呼ばれる。メタノールは、エチレン及び/又はプロピレンの合成に特に好ましい含酸素物質である。
【0140】
含酸素物質原料を軽質オレフィン生成物に変換するためのプロセスは、a)メタノールの大部分を含む含酸素物質原料を準備することと、b)JMZ-1C又は金属含有JMZ-1C、及び任意選択で塩基性金属酸化物共触媒を含有する触媒組成物を提供することと、c)含酸素物質原料の少なくとも一部分を軽質オレフィン生成物に変換するのに十分な条件下、含酸素物質原料を触媒組成物と接触させることと、を含む。
【0141】
含酸素物質原材料、特にメタノール及びエタノールを含有する混合アルコール組成物は、様々な触媒プロセス、特に、含酸素物質のオレフィンへの(OTO)反応プロセスのための有用な原材料であり、触媒組成物、典型的には、Al、Si、及びPのうちの少なくとも2つを有する主酸化物触媒を含有する触媒組成物(例えば、主たる酸化物触媒がAl及びSiを有する場合、アルミノケイ酸塩モレキュラーシーブ、好ましくは高シリカアルミノケイ酸塩モレキュラーシーブ)、好ましくは塩基性金属酸化物共触媒を使用して、含酸素物質原材料を、例えば、エチレン及び/又はプロピレンを含有する、好ましくはエチレンを含む、軽質オレフィン生成物に変換することができる。次いで、オレフィンを回収し、例えば、ポリエチレン及び/若しくはポリプロピレンなどのポリオレフィン、オレフィンオリゴマー、オレフィンコポリマー、これらの混合物、並びに/又はこれらのブレンドの製造にける更なる処理のために使用することができる。
【0142】
1つ以上の追加成分を、OTO反応系向けの原材料に含めることができる。例えば、OTO反応系向けの原材料は、任意選択で、メタノール及びエタノールに加えて、1つ以上の脂肪族含有化合物、例えばアルコール、アミン、カルボニル化合物、例えばアルデヒド、ケトン、及びカルボン酸、エーテル、ハライド、メルカプタン、スルフィドなど、並びにこれらの混合物を含有してもよい。脂肪族含有化合物の脂肪族部分は、典型的には1~50個の炭素原子、好ましくは1~20個の炭素原子、より好ましくは1~10個の炭素原子、最も好ましくは1~4個の炭素原子を含有する。
【0143】
脂肪族含有化合物の非限定的な例としては、アルコール、例えばメタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノールなど、アルキルメルカプタン、例えばメチルメルカプタン及びエチルメルカプタン、アルキルスルフィド、例えばメチルスルフィド、アルキルアミン、例えばメチルアミン、アルキルエーテル、例えばDME、ジエチルエーテル、及びメチルエチルエーテル、アルキルハライド、例えばメチルクロリド及びエチルクロリド、アルキルケトン、例えばジメチルケトン、アルキルアルデヒド、例えばホルムアルデヒド及びアセトアルデヒド、並びに様々な有機酸、例えばギ酸及び酢酸が挙げられる。
【0144】
上述の様々な原材料を、主に1つ以上のオレフィンに変換する。原材料から製造したオレフィン又はオレフィンモノマーは、典型的には、2~30個の炭素原子、好ましくは2~8個の炭素原子、より好ましくは2~6個の炭素原子、更により好ましくは2~4個の炭素原子を有し、最も好ましくはエチレン及び/又はプロピレンを有する。オレフィンモノマーの非限定的な例としては、エチレン、プロピレン、ブテン-1、ペンテン-1,4-メチル-ペンテン-1、ヘキセン-1、オクテン-1、及びデセン-1、好ましくはエチレン、プロピレン、ブテン-1、ペンテン-1,4-メチル-ペンテン-1、ヘキセン-1、オクテン-1、並びにこれらの異性体が挙げられる。他のオレフィンモノマーとしては、不飽和モノマー、4~18個の炭素原子を有するジオレフィン、共役又は非共役ジエン、ポリエン、ビニルモノマー、及び環式オレフィンを挙げることができるが、これらに限定されない。
【0145】
本発明の第11の態様では、低分子量酸素含有種をオレフィンに富んだ炭化水素流に変換するための触媒物品は、JMZ-1C又は金属含有JMZ-1Cを含んでもよく、JMZ-1C又は金属含有JMZ-1Cを、担体上、及び/又は構造内に配設している。
【0146】
低分子量酸素含有種を芳香族に富んだ炭化水素流に変換するための触媒物品は、JMZ-1C又は金属含有JMZ-1Cを含んでもよく、JMZ-1C又は金属含有JMZ-1Cを、支持体上及び/又は構造内に配設している。
【0147】
触媒を、他の添加剤材料と共に組み込むことができ、又はそれと混合することができる。このような混合物は、典型的には、配合触媒又は触媒組成物と呼ばれる。好ましくは、添加剤材料は、ジアルキルエーテル(例えば、ジメチルエーテル)及び/又はアルカノール(例えば、メタノール、エタノールなど)を伴う変換反応に対して実質的に不活性である。
【0148】
1つ以上の他の材料を、JMZ-1C、又は金属含有JMZ-1C、特に有機変換プロセスに使用する温度及び他の条件に耐性を有する材料と混合することができる。このような材料としては、触媒活性及び不活性材料、並びに合成又は天然起源のゼオライト、並びに無機材料、例えば粘土、シリカ、及び/又は他の金属酸化物、例えばアルミナを挙げることができる。後者は、天然起源、又はシリカと金属酸化物との混合物を含むゲル沈降物若しくはゲルの形態のいずれであってもよい。触媒活性材料の使用により、含酸素物質変換プロセスにおける触媒の変換率及び/又は選択性を変化しやすくすることができる。不活性材料は、好適に、希釈剤として役立ち、プロセスにおける変換量を制御することができ、それにより、反応速度を制御するための他の手段を使用することなく、経済的で規則的に生成物を得ることができる。これらの材料を、天然起源の粘土、例えば、ベントナイト及びカオリンに組み込み、商用操作条件下、触媒の破砕強度を改善することができる。材料(例えば、粘土、酸化物など)は、触媒の結合剤として機能することができる。商用の使用において触媒が粉末状材料に破壊されるのを防止することが望ましいことから、良好な破砕強度を有する触媒を提供することが望ましい場合がある。
【0149】
使用することができる天然起源の粘土としては、モンモリロナイト及びカオリンファミリーを挙げることができるが、これらに限定されず、これらのファミリーとしては、サブベントナイト、及び一般にデキシークレー、マクナミークレー、ジョージアクレー、及びフロリダクレーと呼ばれるカオリン、又は主鉱物構成成分がハロイサイト、カオリナイト、ディッカイト、ナクライト、又はアナウキサイトを含む他のものが挙げられる。このような粘土を、元の採鉱された時のまま、又は最初に焼成、酸処理、若しくは化学変性された時のままで、未加工状態にて使用することができる。他の有用な結合剤としては、シリカ、チタニア、ベリリア、アルミナ、及びこれらの混合物などの無機酸化物を挙げることができるが、これらに限定されない。
【0150】
前述の材料に加えて、JMZ-1C又は金属含有JMZ-1Cを、シリカ-アルミナ、シリカ-マグネシア、シリカ-ジルコニア、シリカ-トリア、シリカ-ベリリア、及びシリカ-チタニアなどの多孔質マトリックス材料、並びにシリカ-アルミナ-トリア、シリカ-アルミナ-ジルコニア、シリカ-アルミナ-マグネシア、及びシリカ-マグネシア-ジルコニアなどの三元組成物と混成することができる。
【0151】
JMZ-1C、又は金属含有JMZ-1C、及び無機酸化物マトリックスの相対割合は、広く変化してもよい。例えば、混合物は、約1~約90重量パーセントの範囲のゼオライト含有量、より通常的には、特に、複合体をビーズの形態で調製するとき、複合材料の約2~約80重量パーセントの範囲のゼオライト含有量を含んでもよい。
【0152】
本発明はまた、JMZ-1C、又は金属含有JMZ-1Cを、触媒又は共触媒として使用する、OTO又はMTOの適用によって形成された、C2、C3、C4、及びC5製品にも関する。
【実施例
【0153】
SDA(テンプレート)トリメチル(シクロヘキシルメチル)アンモニウムカチオン(CAS登録番号30833-81-9)を、文献(例えば、C.C.Price,E.L.Eliel and R.J.Convery,J.Org.Chem.,1957,22,347)に報告されている公知の手順を使用して調製した。
【0154】
実施例1.相、純ゼオライトJMZ-1の合成
モル組成:
60SiO:2.22Al:6KO:10テンプレート:9KSO:3000H
を有する反応ゲルを、個々の試薬をPTFE磁気付属品(攪拌子)が入っている45mLのPTFEカップに秤量することによって調製した。使用した試薬及びそれらの添加順序は、以下であった。
a)脱塩水、
b)コロイダルシリカ、
c)水酸化カリウム、
d)硫酸アルミニウム、
e)硫酸カリウム、
f)テンプレート、トリメチル(シクロヘキシルメチル)ヨウ化アンモニウム。
【0155】
CHA骨格を含む種(試薬として使用する固体シリカの重量に基づいて約5重量/重量%)を、混合物に添加した。全ての試薬を添加した後、音響ミキサを使用して、混合物を15分間かけて完全に均質化した。PTFEカップをステンレス鋼製の外側容器に入れ、密封し、次いで180℃のオーブン内に入れ、30rpmで回転させ、混合物中の試薬を反応させた。180℃で6日後、オーブンを冷却し、反応器を開放し、得られた材料を遠心分離、デカンテーション、及び脱塩水の添加に供した。水との初めの混合及び水の除去後、手順を更に3回繰り返し(合計4回洗浄)、その後得られた生成物を110℃で一晩乾燥させた。次いで、乾燥した生成物を、粉末XRDにより分析した。生成物は、相、純ゼオライトJMZ-1を含んでいた。粉末XRDパターンを図1に示し、XRDパターンの線を表7に示す。
【表12】
【0156】
表8は、JMZ-1の粉末XRDの特性線と、米国特許第4,544,538号における表1から得たSSZ-13(SDAを含有するCHA)の粉末XRDの特性線との比較を示している。
【表13】
【0157】
この比較は、JMZ-1及びSSZ-13の両方がCHA構造を有するテンプレート含有ゼオライトであるが、2つの材料の構造は異なることを示している。
【0158】
実施例2.触媒評価のためのゼオライトJMZ-1の合成
モル組成:
60SiO:2.22Al:5.5KO:10テンプレート:9KSO:3000H
を有する反応ゲルを、個々の試薬をPTFE磁気付属品(攪拌子)が入っている45mLのPTFEコーティングカップに秤量することによって調製した。使用した試薬及びそれらの添加順序は、以下であった。
a)脱塩水、
b)コロイダルシリカ、
c)水酸化カリウム、
d)硫酸アルミニウム、
e)硫酸カリウム、
f)テンプレート、トリメチル(シクロヘキシルメチル)ヨウ化アンモニウム。
【0159】
反応混合物を実施例1に記載のように均質化し、次いで反応器を30rpmで回転させながら、180℃で6日間反応させた。
【0160】
生成物を実施例1に記載のように処理し、次いで粉末XRDにより分析した。生成物は、実施例1の粉末XRD回折パターンと非常に類似した粉末XRD回折パターンを有する、相、純ゼオライトJMZ-1を含んでいた。XRFによる分析は、生成物が23.4のシリカ対アルミナ比(SAR)を有することを示した。生成物のSEM画像を図2に示す。
【0161】
製造時のままのゼオライト(JMZ-1)を、空気中で焼成することによって活性化した。試料を2℃/分で110℃まで加熱し、次いで5℃/分で450℃まで加熱し、450℃で16時間保持した。次いで、材料を5℃/分で550℃まで加熱し、550℃で16時間保持した。試料、JMZ-1Cを室温まで冷却し、次いで、焼成ゼオライト1グラム当たり10mLの溶液を使用して、塩化アンモニウムの1モル濃度溶液でイオン交換した。イオン交換を、室温で1時間撹拌しながら行った。次いで、撹拌を停止し、イオン交換ゼオライトを遠心分離し、透明な上澄みをデカント分離した。このイオン交換手順を繰り返して、次いでゼオライトを遠心分離し、洗浄し(上澄みをデカント分離し)、次いで乾燥させた。得られたNH型ゼオライトを、焼成し、空気中、150℃まで2℃/分で加熱し、150℃で10時間保持し、続いて5℃/分で450℃まで加熱し、最後に450℃で16時間保持することによって、H型に変換した。
【0162】
活性化後の生成物は、図3に示すようなXRD粉末パターンを有し、以下の表9に示す平面間間隔及び強度を含んでいた。
【表14】
【0163】
実施例3.NHSCRでの触媒試験
脱塩水に溶解した必要量の酢酸銅(II)一水和物(Alfa Aesar)を使用して、実施例2に記載の焼成JMZ-1生成物、JMZ-1Cに、3重量%の担持量で銅を浸透させた。浸透させた試料を105℃で一晩乾燥させ、次いで空気中、500℃で2時間焼成した。
【0164】
粉末化触媒の試料をペレット化し、次いで空気中4.5%のHOの流れにてエージングした。試料を、10℃/分の速度で900℃まで加熱した。900℃の温度で1時間又は3時間のいずれかにわたって保持した後、試料を蒸気/空気混合物中で、温度が200℃未満になるときまで冷却し、次いで、空気がおよそ室温まで冷えるまで、空気のみを試料の上で流した。
【0165】
粉末触媒のペレット化試料を、500ppmのNO(NOのみ)、550ppmのNH、10%のO、10%のHOを含むガスが、残部であるNと共に60K(390L/g触媒/時)の空間速度で触媒の上を流れる装置内で、試験した。温度を、5℃/分で150℃から500℃まで上昇させた(昇温した)。
【0166】
約150℃~約550℃の温度にわたる、調製したての、及びエージングしたNO変換活性プロファイルを図4図12に示しており、調製したての試料からのプロファイルを図4図6に示し、900℃で1時間水熱エージングした試料からのプロファイルを図7図9に示し、900℃で3時間水熱エージングした試料からのプロファイルを図10図12に示す。調製したての、及び1時間エージングしたJMZ-1C触媒の活性は、22及び25のSARを有する2つのCHAゼオライトのいずれかの活性と同様であったが、3時間エージングした触媒の活性は異なっており、JMZ-1C触媒では概して、NO変換率が高くなった。図10は、JMZ-1C触媒によるNO変換率が、22のSARを有するCHA触媒と比較して、約175℃~約225℃で少なくとも10%高く、25のSARを有するCHA触媒と比較して、約175℃~約225℃で少なくとも20%高かったことを示している。
【0167】
約150℃~約550℃の温度にわたる、調製したての、及びエージングした触媒を通るガス中のNOの濃度を、図6図9、及び図22に示す(それぞれ調製したて、1時間エージング、3時間エージング)。装置に流入するガスは、NOのみとして500ppmのNOを含有していた。JMZ-1C触媒に通した後のガス中のNOの濃度は、22及び25のSARを有する2つのCHAゼオライトからの濃度に匹敵していた。
【0168】
約150℃~約550℃の温度にわたる、900℃で3時間エージングした触媒のNH変換活性プロファイルを、図11に示す。約165℃~約225℃の温度で、JMZ-1C触媒では、22及び25のSARを有する2つのCHAゼオライトと比較して、NH変換率が増加した。例えば、約175℃の温度では、22及び25のSARを有する2つのCHAゼオライトのいずれかからの最大NH変換率%は約30%であるが、JMZ-1C触媒では、変換率が約38%及び64%になり、これは、22及び25のSARを有する2つのCHAゼオライトのいずれかからの最大NH変換率に対して約27%及び113%の増加を表している。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
【国際調査報告】