(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-28
(54)【発明の名称】X線画像を作成する方法、X線画像を撮影する方法、データ処理デバイス、コンピュータプログラム製品、媒体、およびX線機械
(51)【国際特許分類】
A61B 6/14 20060101AFI20220121BHJP
【FI】
A61B6/14
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2021526314
(86)(22)【出願日】2019-12-09
(85)【翻訳文提出日】2021-05-13
(86)【国際出願番号】 EP2019084273
(87)【国際公開番号】W WO2020120413
(87)【国際公開日】2020-06-18
(32)【優先日】2018-12-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519410367
【氏名又は名称】シロナ・デンタル・システムズ・ゲーエムベーハー
(71)【出願人】
【識別番号】515304558
【氏名又は名称】デンツプライ・シロナ・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100209048
【氏名又は名称】森川 元嗣
(72)【発明者】
【氏名】シュルツェ-ガンツリン、ウルリッヒ
【テーマコード(参考)】
4C093
【Fターム(参考)】
4C093AA07
4C093CA15
4C093DA05
4C093FA36
4C093FF16
4C093FF37
4C093FF42
4C093FF50
(57)【要約】
本発明は、少なくとも1人の患者の少なくとも1つの頭部の少なくとも1つの部分の少なくとも1つの表面及び/又は体積エリアの、X線機械によって実行されることができるX線画像を作成する方法に関する。本発明はまた、データ処理のための対応するデバイス、対応するコンピュータプログラム製品、対応する媒体、及び対応するX線機械に関する。本発明はまた、少なくとも1人の患者の少なくとも1つの頭部の少なくとも1つの部分の少なくとも1つの表面及び/又は体積エリアの、X線機械によって実行されることができるX線画像を撮影する方法に関する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1人の患者の頭部の一部の少なくとも1つの表面及び/又は体積エリアについてのX線画像の作成を、位置付けユニットを備えるX線機械によって実行することができる方法であって、
-前記頭部の第1の解剖学的構造の少なくとも1つのエリアに関する第1のデータを受信及び/又は処理するステップと、
-前記第1のデータに基づいて前記第1の解剖学的構造の前記エリアの第1の3D構造(201)を計算するステップと、
-前記位置付けユニットのモデルに対応し、前記X線機械に割り当てられた、及び/又は割り当て可能な座標系内における既知の位置合わせ、向き、及び/又は位置のモデルに対応する3D補助構造を提供するステップと、
-前記3D補助構造によって、前記X線機械に割り当てられた、及び/又は割り当て可能な座標系内で前記第1の3D構造(201)を位置合わせし、位置付けし、及び/又は配置するステップと、
-第3のデータを受信及び/又は処理するステップと、
-前記第3のデータによって、前記座標系内の前記表面及び/又は体積エリアを決定するステップであって、前記表面及び/又は体積エリアからX線画像が撮影される、ステップと、
-少なくとも前記第3のデータに基づいて、前記X線機械を動作させるための少なくとも1つのパラメータを決定するステップと、を備える、方法。
【請求項2】
(i)前記第1の解剖学的構造は、少なくとも1つの第1の顎、少なくとも1つの第1の歯科対象物、及び/又は少なくとも1つの顔面中部、特に少なくとも1つの前頭洞腔を備え、
(ii)前記頭部の第2の解剖学的構造の少なくとも1つのエリアに関する第2のデータを受信及び/又は処理するステップと、この第2の解剖学的構造は、少なくとも1つの第2の顎、少なくとも1つの第2の歯科対象物、及び/又は少なくとも前記顔面中部、特に前記前頭洞腔を備え、
(iii)少なくとも前記第2のデータに基づいて、少なくとも前記第2の解剖学的構造の前記エリアの少なくとも1つの第2の3D構造(203)を計算するステップ(103)と、
(iv)前記第1の顎は上顎を含み、及び/又は上顎を表し、前記第2の顎は特に前記第1の顎に対応する下顎を含み、及び/又は下顎を表し、前記第1の歯科対象物は前記第1の顎中及び/又は前記第1の顎上に少なくとも部分的に及び/又は少なくともいくつかのエリアに配置され、前記第2の歯科対象物は前記第2の顎中及び/又は前記第2の顎上に少なくとも部分的に及び/又は少なくともいくつかのエリアに配置され、前記第1の歯科対象物は特に前記第1の顎の少なくとも1つの歯を含み、及び/又は前記第2の歯科対象物は特に前記第2の顎の少なくとも1つの歯を含み、
(v)前記第3のデータは、(a)予め規定され、特に記憶ユニットに保存され、好ましくは記憶ユニットから検索され、(b)特にテキスト及び/又はグラフィックで、ユーザによって選択され、及び/又は選択されることができ、及び/又は(c)セグメンテーション及び/又は人工知能によって、特にコンピュータデバイスによって選択され、及び/又は選択されることができ、
並びに/又は、
(vi)前記パラメータは、(a)特に前記X線機械が備える少なくとも1つの開口を設定するための設定データ、(b)前記X線機械によって使用されるX線の少なくとも1つの線量を設定するための設定データ、及び/又は(c)前記座標系内の少なくとも1つの移動軌跡の少なくとも1つのセクションに沿って移動ユニットの少なくとも1つの移動を実行するための移動データ、を備える及び/又は表すことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
(i)前記第1のデータ及び/又は前記第2のデータは、MRT、X線及び/又は少なくとも1つの光学記録ユニット、特に少なくとも1つの口内カメラ、少なくとも1つのレーザベース測定システム及び/又は少なくとも1つのカメラ、好ましくは少なくとも1つの3Dカメラによって、記録され及び/又は記録可能であり、
(ii)前記第1のデータは、前記第1の解剖学的構造、特に前記第1の顎及び/又は前記第1の歯科対象物に関する、MRTデータ、X線データ、光学画像データ、距離データ、高さデータ、反射データ、仮想インプリント及び/又は3Dデータ、特に事前計算された3Dデータを含み、
(iii)前記第2のデータは、前記第2の解剖学的構造、特に前記第2の顎及び/又は前記第2の歯科対象物に関する、MRTデータ、X線データ、光学画像データ、距離データ、高さデータ、反射データ、仮想インプリント及び/又は3Dデータ、特に事前計算された3Dデータを含み、
(iv)前記第1のデータは、前記第1の歯科対象物の少なくとも1つの表面、特に少なくとも1つの咬合面に関する情報を含み、及び/又は前記第1のデータは、患者の前記上顎の少なくとも半分の側の少なくとも咬合面の画像データを含み、
(v)前記第2のデータは、前記第2の歯科対象物の少なくとも1つの表面、特に少なくとも1つの咬合面に関する情報を含み、及び/又は前記第2のデータは、患者の下顎の少なくとも半分の側の少なくとも咬合面の少なくとも画像データを含み、
(vi)前記移動ユニットは、X線を放出するための少なくとも1つのX線放出器と、X線を受信し及び/又は検出するための少なくとも1つのX線センサとを備え、
並びに/又は、
(vii)前記第1の3D構造(201)は、特に少なくとも1つの切歯及び/若しくは前記第1の顎を含む少なくとも1つの第1の歯科対象物を少なくとも部分的に及び/若しくは少なくともいくつかのエリアにおいて表す少なくとも1つのモデルを含み、並びに/又は前記第2の3D構造(203)は、特に少なくとも1つの切歯及び/若しくは前記第2の顎を含む少なくとも1つの第2の歯科対象物を少なくとも部分的に及び/若しくは少なくともいくつかのエリアにおいて表す少なくとも1つのモデルを含むことを特徴とする、請求項1また2に記載の方法。
【請求項4】
前記X線機械に割り当てられた、及び/又は割り当て可能な前記座標系内において、前記第1及び/又は第2の3D構造(201、203)を位置合わせし、位置付けし、及び/又は配置することは、
-前記第1の3D構造(201)及び/又は前記第2の3D構造(203)を、特に規定された及び/又は規定可能な方法で、少なくとも1つの3D補助構造(205)上に及び/又はそれに対して位置合わせし、位置付けし、及び/又は配置するステップを備え、ここで、好ましくは少なくとも1つの基準点(207)は、仮想患者位置として、前記3D補助構造(205)中に規定され、特に前記3D補助構造(205)によって含まれる少なくとも1つの位置付け構造中に規定され、好ましくは少なくとも1つの隆起部及び/又は少なくとも1つの凹部(211)中に規定されることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記3D補助構造(205)は、前記座標系内に既知の位置合わせ、向き、及び/又は位置を有することを特徴とする、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記3D補助構造(205)上への、及び/又はそれに対する前記第1及び/若しくは第2の3D構造(201、203)の位置合わせ、位置付け及び/若しくは配置は、
(i)特に前記座標系内での前記3D補助構造(205)に対する前記第1の3D構造(201)及び/若しくは前記第2の3D構造(203)の中心及び/若しくは対称の位置合わせ、位置付け及び/若しくは配置と、
(ii)少なくとも1つの正中矢状面及び/若しくは少なくとも1つの頭部/耳道ホルダによる、前記第1の3D構造(201)及び/若しくは前記第2の3D構造(203)の中心及び/若しくは対称の位置付け、位置合わせ及び/若しくは配置と、
並びに/又は
(iii)フランクフルト水平(FH)面による前記第1の3D構造(201)及び/若しくは前記第2の3D構造(203)の位置付け、位置合わせ、及び/若しくは配置と、を備えることを特徴とする、請求項4又は5に記載の方法。
【請求項7】
前記3D補助構造(205)上への、及び/若しくはそれに対する前記第1及び/若しくは第2の3D構造(201、203)の位置合わせ、位置付け及び/若しくは配置は、前記基準点(207)による前記第1及び/若しくは第2の3D構造(201、203)の位置合わせ、位置付け、及び/若しくは配置、並びに/又は前記第1及び/若しくは第2の3D構造(201、203)により構成された切歯のモデルによる前記第1及び/若しくは第2の3D構造(201、203)の位置合わせ、位置付け、及び/若しくは配置を含み、特に、少なくとも部分的に及び/又は少なくともいくつかのエリアでの、前記3D補助構造(205)により構成される前記凹部(211)内における、好ましくは前記切歯の少なくとも1つの先端による、切歯モデルの配置を含むことを特徴とする、請求項4から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記3D補助構造(205)上への、及び/又はそれに対する前記第1及び/又は第2の3D構造(201、203)の位置合わせ、位置付け及び/又は配置は、前記第1の3D構造(201)及び/又は前記第2の3D構造(203)によって決定される少なくとも1つの平面(213)を包含することを備え、ここで、好ましくは、前記平面(213)は、本質的に少なくともいくつかのエリアにおいて、
(a)少なくとも1つの第1及び/若しくは第2の歯科対象物、好ましくは複数の第1及び/若しくは第2の歯科対象物によって決定され、並びに/又は
(b)少なくとも1つの第1及び/若しくは第2の歯科対象物、好ましくは複数の第1及び/若しくは第2の歯科対象物の少なくとも1つの表面、特に少なくとも1つの咬合面によって、決定されることを特徴とする、請求項4から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記3D補助構造(205)は、
(a)少なくともいくつかのエリアにおいて、バイトブロックとして設計された少なくとも1つのエリアを含み、並びに/又は前記3D補助構造(205)は、
(b)少なくとも部分的に及び/若しくは本質的に少なくともいくつかのエリアにおいて、特に少なくとも1つのバイトブロックの形態である少なくとも1つの位置付けユニットについての少なくとも1つのモデルに対応し、少なくとも部分的に前記X線機械によって構成され、好ましくは前記位置付けユニットは既知の方法で前記X線機械に対して位置合わせされ、位置付けされ、及び/若しくは向けられることを特徴とする、請求項4から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記方法はまた、
-前記第1の3D構造(201)、前記第2の3D構造(203)、前記3D補助構造(205)からなる3D出力構造を計算するステップ(107)、並びに/又は少なくとも1つのあるものの少なくとも一部分についての少なくとも1つの3D構造、好ましくは一般的な及び/若しくは個別の、特にデータメモリ中にとりわけ保存され、及び/若しくはデータメモリから検索され、及び/若しくは検索可能である、頭部及び/若しくは頭蓋骨の少なくとも一部分についての少なくとも1つの3D構造を計算するステップ(107)と、
-前記3D出力構造を、好ましくは前記X線機械が備える、特に少なくとも1つのディスプレイデバイス上に、及び/若しくは前記ディスプレイデバイスへ送信及び/若しくは出力するステップ(109)と、
-特に、前記少なくとも1つのパラメータに従って前記X線機械及び/若しくは移動ユニットを動作させることによって、特に、少なくとも前記座標系内の移動軌跡のセクションに沿って前記X線機械が備える前記移動ユニットの移動を実行することによって、少なくとも1つのX線画像、好ましくは2D及び/若しくは3DX線画像を、撮影、作成、及び/若しくは計算するステップ(115)と、
並びに/又は、
-前記X線画像を、特に、好ましくは前記X線機械が備える少なくとも1つのディスプレイデバイス上に、及び/若しくは前記ディスプレイデバイスへ送信及び/若しくは出力するステップ(117)と、を含むことを特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか一項に記載の方法のステップを実行するための手段を備える、データ処理のためのデバイス。
【請求項12】
命令を含むコンピュータプログラム製品であって、
プログラムがコンピュータ及び/又は請求項11に記載のデバイスによって実行されるとき、前記コンピュータ及び/又は前記デバイスに、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法のステップを実行させる、コンピュータプログラム製品。
【請求項13】
命令を含むコンピュータ読取可能媒体であって、
前記命令がコンピュータ及び/又は請求項11に記載のデバイスによって実行されるとき、前記コンピュータ及び/又は前記デバイスに、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法のステップを実行させる、コンピュータ読取可能媒体。
【請求項14】
少なくとも1つの位置付けユニットと、請求項11に記載の少なくとも1つのデバイスとを備えるX線機械。
【請求項15】
(i)前記位置付けユニットは、
(a)前記X線機械に対して、特に前記X線機械に割り当てられた、及び/若しくは割り当て可能な少なくとも1つの座標系内で、既知の位置合わせ、位置及び/若しくは向きを有し、
(b)少なくともいくつかのエリアにおいてバイトブロックの形態で設計され、
(c)前記X線機械に対して固定され、及び/又は
(d)少なくともいくつかのエリアにおいて幾何学的に前記3D補助構造(205)に対応し、
並びに/又は
(ii)前記X線機械は、少なくとも1つのディスプレイデバイス、及び/若しくは少なくとも1つの移動ユニットをさらに備え、ここで、好ましくは、前記移動ユニットは、X線を放出するための少なくとも1つのX線エミッタと、X線を受信及び/若しくは検出するための少なくとも1つのX線センサとを備えることを特徴とする、請求項14に記載のX線機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1人の患者の少なくとも1つの頭部の少なくとも1つの部分の少なくとも1つの表面および/または体積エリアについての、X線機械によって実行されることができる、X線画像を作成するための方法に関する。本発明はまた、データ処理のための対応するデバイス、対応するコンピュータプログラム製品、対応する媒体、および対応するX線機械に関する。本発明はまた、少なくとも1人の患者の少なくとも1つの頭部の少なくとも1つの部分の少なくとも1つの表面および/または体積エリアについての、X線機械によって実行されることができるX線画像を撮影する方法に関する。
【0002】
顎顔面エリアにおける2Dパノラマ画像または3D体積X線画像の作成のために、患者はX線機械の内部に正確に位置付けられなければならない。これは、患者の頭部をX線機械に対して正確に方向付けおよび位置合わせすること、ならびに位置付けすることを含む。このようにして、いわゆる関心領域(ROI)として記録されるべき表面または記録されるべき体積が実際に完全に記録され、したがってX線機械によって照射されるエリア(視野、FoV)内に位置するかまたはそれと一致することが保証される。X線衛生の観点からは、エリアは大きすぎてはならず、歯科症状の観点からは、小さすぎてはならない。
【0003】
原則として、患者の頭部は、頭部ホルダによって所望の位置に機械的に固定され、および/またはバイトブロックデバイスによって位置合わせされる。患者の頭部のロケーションおよび位置を調整する様々な方法が、従来技術から既に知られている。
【0004】
DE 10 2004 041 440 A1から、歯科パノラマX線機械における患者の目標相対位置を決定するための方法が知られている。ここで、患者の歯列弓の前部エリアの曲率が決定される。後者から、および投影アーチ面から、患者の目標位置座標が計算される。さらに、歯列弓の中間エリアおよび/または後方エリアの曲率が決定され、目標位置座標の計算のために考慮される。歯列弓形状を決定するために、特に、X線機械に固定された2つのカメラを使用することが提案される。この方法は、一般的に有効であることが証明されているが、同じ環境におけるカメラは、口腔内への限定された視点のみを有し、作業プロセスへの手動介入を必要とすることがあることも示されている。
【0005】
さらに、いわゆる初期「スカウトショット」によって2D画像を撮影することが既に提案されており、これによって、X線機械によって照射されるエリア(FoV)が所望の関心領域(ROI)と一致するかどうかを識別することが可能である。この方法では、FoVを所望のROIに非常に正確に調整することが可能である。しかしながら、X線被ばくを伴う付加的なX線画像が必要である。さらに、「スカウトショット」の評価としてワークフローが妨害され、必要とされる場合、FoVの調整が必要となる。これらの状況は、最終的に、結果としてはるかに複雑で、より遅く、また間違いを起こしやすい手順をもたらす。
【0006】
さらに、X線機械のオペレータが光投影によってFoVの経路を大まかに推定することができるように、患者の頭部にFoVの位置を投影することも、光、特にレーザ光ターゲティングによって提案されている。この手順は、追加の放射線なしで可能であるが、頭部の内側、特に口腔内に位置付けられているROIを頭部上の外部マーキングから推定しなければならないという欠点を有する。したがって、この手順は比較的不正確である。さらに、患者の頭部上の外部レーザ光マーキングは、患者の顔に歪みを伴って描かれるかもしれず、結果として、FoVが不正確に位置付けられるかもしれない。
【0007】
したがって、本発明の目的は、従来技術の欠点を克服し、X線画像を作成または撮影するように、このための解決策を提供することであり、X線機械の照射エリアは、信頼性のある、単純で、主に安全な方法で、所望の関心エリアまたは所望の検査体積に調整することができる。
【0008】
この目的は、少なくとも1人の患者の少なくとも1つの頭部の少なくとも1つの部分の少なくとも1つの表面および/または体積エリアの、X線機械によって実行されることができるX線画像を作成する方法によって、本発明の第1の態様にしたがって達成され、頭部の少なくとも1つの第1の解剖学的構造の少なくとも1つのエリアに関する第1のデータを受信および/もしくは処理する、ならびに/または、頭部の少なくとも1つの第2の解剖学的構造の少なくとも1つのエリアに関する第2のデータを受信および/または処理するステップと、少なくとも第1のデータに基づいて少なくとも第1の解剖学的構造のエリアの少なくとも第1の3D構造を計算する、および/または少なくとも第1のデータに基づいて少なくとも第2の解剖学的構造のエリアの少なくとも第2の3D構造を計算するステップと、X線機械に割り当てられるおよび/または割り当て可能な少なくとも1つの座標系内で第1の3D構造および/または第2の3D構造を位置合わせし、位置付けし、および/または配置するステップと、第3のデータを受信および/または処理するステップと、それによって、座標系内の表面および/または体積エリアは少なくともいくつかのエリアにおいて決定され、および/または決定可能であり、少なくとも第3のデータに基づいて、X線機械を動作させるための少なくとも1つのパラメータ、および/またはX線機械によって備えられるおよび/または備えることが可能な少なくとも1つの移動ユニットを決定するステップとを備える。
【0009】
(i)第1の解剖学的構造は、少なくとも1つの第1の顎、少なくとも1つの第1の歯科対象物、および/または少なくとも1つの顔面中部、特に少なくとも1つの前頭洞腔を備え、(ii)第2の解剖学的構造は、少なくとも1つの第2の顎、少なくとも1つの第2の歯科対象物、および/または少なくとも1つの顔面中部、特に少なくとも1つの前頭洞腔を備え、(iii)第1の顎は、上顎を含み、および/または表し、第2の顎は、特に第1の顎に対応する下顎を含み、および/または表し、第1の歯科対象物は、第1の顎中および/または第1の顎上に少なくとも部分的におよび/または少なくともいくつかのエリアに配置され、第2の歯科対象物は、第2の顎中および/または第2の顎上に少なくとも部分的におよび/または少なくともいくつかのエリアに配置され、第1の歯科対象物は、特に第1の顎の少なくとも1つの歯を含み、および/または第2の歯科対象物は、特に第2の顎の少なくとも1つの歯を含み、(iv)第3のデータは、(a)予め規定され、特に記憶ユニットに保存され、好ましくは記憶ユニットから検索され、(b)特にテキストおよび/またはグラフィックで、ユーザによって、選択され、および/または選択されることができ、および/または(c)セグメンテーションおよび/または人工知能によって、特にコンピュータデバイスによって、選択され、および/または選択されることができ、および/または(v)パラメータは、(a)特にX線機械によって含まれる少なくとも1つの開口を設定するための設定データ、(b)X線機械によって使用されるX線の少なくとも1つの線量を設定するための設定データ、および/または(c)座標系内の少なくとも1つの移動軌跡の少なくとも1つのセクションに沿って移動ユニットの少なくとも1つの移動を実行するための移動データを、備えるおよび/または表すことが特に好ましい。
【0010】
(i)第1のデータおよび/または第2のデータは、MRI、X線および/または少なくとも1つの光学記録ユニット、特に少なくとも1つの口内カメラ、少なくとも1つのレーザベース測定システムおよび/または少なくとも1つのカメラ、好ましくは少なくとも1つの3Dカメラによって、記録されおよび/または記録可能であり、(ii)第1のデータは、第1の解剖学的構造、特に第1の顎および/または第1の歯科対象物に関する、MRIデータ、X線データ、光学画像データ、距離データ、高さデータ、反射データ、仮想インプリントおよび/または3Dデータ、特に事前計算された3Dデータを含み、(iii)第2のデータは、第2の解剖学的構造、特に第2の顎および/または第2の歯科対象物に関する、MRIデータ、X線データ、光学画像データ、距離データ、高さデータ、反射データ、仮想インプリントおよび/または3Dデータ、特に事前計算された3Dデータを含み、(iv)第1のデータは、第1の歯科対象物の少なくとも1つの表面、特に少なくとも1つの咬合面に関する情報を含み、および/または第1のデータは、患者の上顎の少なくとも半分の側の少なくとも咬合面の画像データを含み、(v)第2のデータは、第2の歯科対象物の少なくとも1つの表面、特に少なくとも1つの咬合面に関する情報を含み、および/または第2のデータは、患者の下顎の少なくとも半分の側の少なくとも咬合面の少なくとも画像データを含み、(vi)移動ユニットは、X線を放出するための少なくとも1つのX線放出器と、X線を受光および/または検出するための少なくとも1つのX線センサとを備え、および/または (vii)第1の3D構造は、特に少なくとも1つの切歯および/または第1の顎を備える少なくとも1つの第1の歯科対象物を少なくとも部分的におよび/または少なくともいくつかのエリアにおいて表す少なくとも1つのモデルを含み、および/または第2の3D構造は、特に少なくとも1つの切歯および/または第2の顎を備える少なくとも1つの第2の歯科対象物を少なくとも部分的におよび/または少なくともいくつかのエリアにおいて表す少なくとも1つのモデルを含むことも提供されることができる。
【0011】
X線機械に割り当てられる、および/または割り当て可能な座標系内で、第1の3D構造および/または第2の3D構造の位置合わせ、位置付け、および/または配置は、第1の3D構造および/または第2の3D構造を、特に規定されたおよび/または規定可能な方法で、少なくとも1つの3D補助構造上におよび/またはそれに対して位置合わせし、位置付けし、および/または配置し、ここで、好ましくは少なくとも1つの基準点は、3D補助構造中に、特に3D補助構造によって含まれる少なくとも1つの位置付け構造、好ましくは少なくとも1つの隆起部および/または少なくとも1つの凹部中に、仮想患者位置として規定されることも好ましい。
【0012】
有利には、3D補助構造は、座標系内に既知の位置合わせ、向きおよび/または位置を有することも可能である。
【0013】
さらに、3D補助構造上および/またはそれに対する第1および/または第2の3D構造の位置合わせ、位置付けおよび/または配置は、(i)特に座標系内での3D補助構造に対する第1の3D構造および/または第2の3D構造の中心および/または対称の位置合わせ、位置付けおよび/または配置と、(ii)少なくとも1つの正中矢状面および/または少なくとも1つの頭部/耳道ホルダによる、第1の3D構造および/または第2の3D構造(203)を中心および/または対称の、位置付け、位置合わせおよび/または配置と、および/または(iii)フランクフルト水平(FH)面による第1の3D構造および/または第2の3D構造の位置付け、位置合わせ、および/または配置とを備えることが提供される。
【0014】
3D補助構造上および/またはそれに対する第1および/または第2の3D構造の位置合わせ、位置付けおよび/または配置は、基準点によって、および/または第1および/または第2の3D構造により含まれる切歯のモデル、特に、少なくとも部分的におよび/または少なくともいくつかのエリアで、3D補助構造により含まれる凹部内で、好ましくは切歯の少なくとも1つの先端による、切歯モデルの配置によって、第1および/または第2の3D構造の位置合わせ、位置付けおよび/または配置を含むことも好ましい。
【0015】
さらに、3D補助構造上および/またはそれに対する第1および/または第2の3D構造の位置合わせ、位置付けおよび/または配置は、第1の3D構造および/または第2の3D構造によって決定される少なくとも1つの平面の包含を含み、ここで、好ましくは、平面は、本質的に少なくともいくつかのエリアにおいて、(a)少なくとも1つの第1および/または第2の歯科対象物、好ましくは複数の第1および/または第2の歯科対象物によって、および/または(b)少なくとも1つの第1および/または第2の歯科対象物、好ましくは複数の第1および/または第2の歯科対象物の少なくとも1つの表面、特に少なくとも1つの咬合面によって、決定されることが有利であることがある。
【0016】
一実施形態はまた、3D補助構造は、(a)少なくともいくつかのエリアにおいて、バイトブロックとして設計された少なくとも1つのエリアを含み、および/または(b)少なくとも部分的におよび/または本質的に少なくともいくつかのエリアにおいて、特に少なくとも1つのバイトブロックの形態で、少なくとも部分的にX線機械によって含まれ、好ましくは位置付けユニットが既知の方法でX線機械に対して位置合わせされ、位置付けされ、および/または向けられる、少なくとも1つの位置付けユニットの少なくとも1つのモデルに対応することを特徴とする。
【0017】
本方法はまた、第1の3D構造、第2の3D構造、3D補助構造、および/または少なくとも1つの、好ましくは一般的および/または個人的に、特にデータメモリ中に特に保存され、および/またはそこから検索され、および/または検索可能である、頭部および/または頭蓋骨の少なくとも1つの部分の少なくとも1つの3D出力構造を計算するステップと、3D出力構造を、特に、好ましくはX線機械によって含まれる少なくとも1つのディスプレイデバイス上でおよび/またはディスプレイデバイスに送信および/または出力するステップと、特に、少なくとも1つのパラメータに従ってX線機械および/または移動ユニットを動作させることによって、特に、少なくとも座標系内の移動軌跡のセクションに沿ってX線機械によって含まれる移動ユニットの移動を実行することによって、少なくとも1つのX線画像、好ましくは2Dおよび/または3DX線画像を、撮影、作成、および/または計算するステップと、および/またはX線画像を、特に、好ましくはX線機械によって含まれる少なくとも1つのディスプレイデバイス上でおよび/またはディスプレイデバイスに送信および/または出力するステップとを含むことも本発明によって提案される。
【0018】
この目的は、第1の態様にしたがう方法のステップを実行するための手段を備える、データ処理のためのデバイスによって、本発明の第2の態様にしたがって達成される。
【0019】
この目的は、プログラムがコンピュータおよび/または第2の態様にしたがうデバイスによって実行されるとき、コンピュータおよび/またはデバイスに、第1の態様にしたがう方法のステップを実行させる、命令を含むコンピュータプログラム製品によって、本発明の第3の態様にしたがって達成される。
【0020】
この目的は、命令がコンピュータおよび/または第2の態様にしたがうデバイスによって実行されるとき、コンピュータおよび/またはデバイスに、第1の態様にしたがう方法のステップを実行させる、命令を含むコンピュータ読取可能媒体によって、本発明の第4の態様にしたがって達成される。
【0021】
この目的は、少なくとも1つの位置付けユニットと、第2の態様にしたがう少なくとも1つのデバイスとを備える、X線機械によって、本発明の第5の態様にしたがって達成される。
【0022】
(i)位置付けユニットは、(a)X線機械に対して、特にX線機械に割り当てられるおよび/または割り当て可能な少なくとも1つの座標系内で、既知の位置合わせ、位置および/または向きを有し、(b)少なくともいくつかのエリアにおいてバイトブロックの形態で設計され、(c)X線機械に対して固定され、および/または(d)少なくともいくつかのエリアにおいて幾何学的に3D補助構造に対応し、および/または(ii)X線機械は、少なくとも1つのディスプレイデバイスおよび/または少なくとも1つの移動ユニットをさらに備え、ここで、好ましくは、移動ユニットは、X線を放出するための少なくとも1つのX線エミッタと、X線を受光および/または検出するための少なくとも1つのX線センサとを備えることが特に好ましい。
【0023】
この目的は、少なくとも1人の患者の少なくとも1つの頭部の少なくとも1つの部分の少なくとも1つの表面および/または体積エリアの、X線機械によって実行されることができるX線画像を撮影する方法によって、本発明の第6の態様したがって達成され、ここで、方法は、好ましくは、第1の態様にしたがう方法と協働するように適合され、頭部の少なくとも1つの第1の解剖学的構造の少なくとも1つのエリアに関する第1のデータを記録し、および頭部の少なくとも1つの第2の解剖学的構造の少なくとも1つのエリアに関する第2のデータを記録するステップと、第3のデータを送信するステップと、それによって表面および/または体積エリアが、X線機械に割り当てられるおよび/または割り当て可能な少なくとも1つの座標系内の少なくともいくつかのエリアにおいて、決定され、および/または決定可能であり、X線機械の内部で患者の頭部を位置付けし、位置合わせし、および/または配置するステップと、X線プロセスをアクティブ化するステップとを備えている。
【0024】
ここで、第1のデータおよび/または第2のデータは、少なくとも1つの光学記録ユニット、特に少なくとも1つの口内カメラ、少なくとも1つのレーザベース測定システムおよび/または少なくとも1つのカメラ、好ましくは少なくとも1つの3Dカメラによって記録され、および/もしくは記録可能であり、ならびに/または第1のデータは、患者の上顎の少なくとも半分の側の少なくとも咬合面の少なくとも画像データを含み、ならびに/または第2のデータは、患者の下顎の少なくとも半分の側の少なくとも咬合面の少なくとも画像データを含むことが特に好ましい。
【0025】
少なくとも1つの3D出力構造によって、好ましくは第1および/または第2のデータに基づいて、表面および/または体積エリアが決定されるおよび/または決定可能であることも可能である。
【0026】
本方法は、特に第1および第2のデータに基づいて、少なくとも1つの3D出力構造を受信するステップと、3D出力構造を、特に、好ましくはX線機械によって含まれる少なくとも1つのディスプレイデバイス上に出力するステップと、X線画像を受信するステップと、および/またはX線画像を、特に、好ましくはX線機械によって含まれる少なくとも1つのディスプレイデバイス上に出力するステップとをさらに備えることも好ましい。
【0027】
有利には、X線機械の内部における患者の頭部の位置付け、位置合わせ、および/または配置は、好ましくは、(i)X線機械に対して固定された少なくとも1つの位置付けユニットにおいて、好ましくは位置付けユニットの少なくとも1つの隆起部および/または少なくとも1つの凹部において、患者の頭部によって含まれる少なくとも1つの切歯、特に上顎の切歯の位置付け、位置合わせ、および/または配置と、ここで、位置付けユニットは、好ましくはX線機械によって含まれる少なくとも1つのバイトブロックの形態で、少なくともいくつかのエリアにおいて設計され、および/または少なくともいくつかのエリアにおいて3D補助構造に幾何学的に対応し、(ii)少なくとも1つの正中矢状面および/または少なくとも1つの頭部/耳道ホルダによる、特に位置付けユニットに対する患者の頭部の中心および/または対称の、位置付け、位置合わせおよび/または配置と、および/または(iii)フランクフルト水平(FH)面による、特に位置付けユニットに対する患者の頭部の位置付け、位置合わせおよび/または配置とを含むことも可能である。
【0028】
好ましくは、(i)第1の解剖学的構造は、少なくとも1つの第1の顎、少なくとも1つの第1の歯科対象物、および/または少なくとも1つの顔面中部、特に少なくとも1つの前頭洞腔を備え、(ii)第2の解剖学的構造は、少なくとも1つの第2の顎、少なくとも1つの第2の歯科対象物、および/または少なくとも1つの顔面中部、特に前頭洞腔を備え、および/または(iii)第1の顎は、上顎を含み、および/または表し、第2の顎は、特に第1の顎に対応する下顎を含み、および/または表し、第1の歯科対象物は、第1の顎中および/または第1の顎上に少なくとも部分的におよび/または少なくともいくつかのエリアに配置され、第2の歯科対象物は、第2の顎中および/または第2の顎上に少なくとも部分的におよび/または少なくともいくつかのエリアに配置され、第1の歯科対象物は、特に第1の顎の少なくとも1つの歯を含み、および/または第2の歯科対象物は、特に第2の顎の少なくとも1つの歯を含むことも提供される。
【0029】
有利なことに、(i)第1のデータおよび/または第2のデータは、MRI、X線および/または少なくとも1つの光学記録ユニット、特に少なくとも1つの口内カメラ、少なくとも1つのレーザベース測定システムおよび/または少なくとも1つのカメラ、好ましくは少なくとも1つの3Dカメラによって、記録されおよび/または記録可能であり、(ii)第1のデータは、第1の解剖学的構造、特に第1の顎および/または第1の歯科対象物に関する、MRIデータ、X線データ、光学画像データ、距離データ、高さデータ、反射データ、仮想インプリントおよび/または3Dデータ、特に事前計算された3Dデータを含み、(iii)第2のデータは、第2の解剖学的構造、特に第2の顎および/または第2の歯科対象物に関する、MRIデータ、X線データ、光学画像データ、距離データ、高さデータ、反射データ、仮想インプリントおよび/または3Dデータ、特に事前計算された3Dデータを含み、(iv)第1のデータは、第1の歯科対象物の少なくとも1つの表面、特に少なくとも1つの咬合面に関する情報を含み、および/または第1のデータは、患者の上顎の少なくとも半分の側の少なくとも咬合面の画像データを含み、(v)第2のデータは、第2の歯科対象物の少なくとも1つの表面、特に少なくとも1つの咬合面に関する情報を含み、および/または第2のデータは、患者の下顎の少なくとも半分の側の少なくとも咬合面の少なくとも画像データを含むことも可能である。
【0030】
したがって、本発明は、関心領域(ROI)の選択が、少なくとも部分的に患者の頭部を表す第1および/または第2のデータに基づいて、好ましくはX線とは別のモダリティによって得られる少なくとも1つの第1および/または第2の3D構造によって実行される場合、第1および/または第2の3D構造がX線機械に割り当てられるおよび/または割り当て可能な座標系で表されるという条件で、柔軟な方法で追加の放射線被曝なしに、X線機械のフットプリント面積(FoV)を関心領域(ROI)に調整することができるという驚くべき発見に基づく。本発明者らはまた、X線によって得られる第1および/または第2のデータは、後者が以前のプロセスから利用可能である場合、例えば放射線へのさらなる曝露がないことから、非常に有利に使用されることができることを認識している。
【0031】
共通の座標系によって、すなわち第1および/または第2の3D構造は、既知の方法でX線機械内部の位置合わせ、向きおよび/または位置に対して仮想的に配置可能であり、第1および/または第2の3D構造に基づいて選択されたエリアは、X線機械によって検出されるまたは検出可能な実表面および/または体積エリアに移動可能である。換言すれば、3D構造とX線機械とは空間的に登録される。X線機械内の患者と、第1および/または第2の3D構造の形態のその関係付けられたモデルとが本質的に一致する場合、関心領域は、第1および/または第2の3D構造を用いて、第3のデータによって正確に決定されることができる。
【0032】
前記一致を達成するために、本発明者らは、驚くべきことに、好ましくは、X線機械によって含まれる位置合わせ、向きおよび/または位置に関して正確に知られている位置付けユニットのモデルに対応する3D補助構造を設けることができることを見出した。したがって、第1および/または第2の3D構造は3D補助構造上に配置可能であり、患者の頭部は位置付けユニット上に同様に配置可能であり、したがって一致している。例えば、3D補助構造は、X線機械によって含まれるバイトブロックのモデルを含むことができる。
【0033】
第1の3D構造は、好ましくは、患者の頭部の第1の解剖学的構造であることがある。第1の解剖学的構造は、したがって、好ましくは、少なくとも1つの第1の顎、特に上顎、および/または少なくとも1つの顔面中部、特に少なくとも1つの前頭洞腔を含む。代替的または追加的に、第1の歯科対象物は、第1の解剖学的構造、したがって第1の3D構造の一部であることがある。したがって、第2の3D構造は、好ましくは、患者の頭部の第2の解剖学的構造であることがある。第2の解剖学的構造は、したがって、好ましくは、少なくとも1つの第2の顎、特に下顎、および/または少なくとも顔面中部、特に少なくとも前頭洞腔を含む。代替的または追加的に、第2の歯科対象物は、第2の解剖学的構造、したがって第2の3D構造の一部であることがある。本発明の意味における歯科対象物は、例えば、1つ以上の歯および/または1つ以上の歯修復物を含む。
【0034】
本発明者らはさらに、一方の第1および/または第2の3D構造と他方の患者の頭部と適合した、したがって一致した位置合わせが、以下の3つの点のうちの1つ以上を用いて生成され得ることを見出した。
【0035】
上顎切歯の先端は、患者の基準点として機能することができ、この先端は、例えばバイトブロックの形態の位置付けユニットの凹部の中心に位置付けられる。上側および/または下側切歯の先端は、第1および/または第2の3D構造における基準点としても機能することができ、この先端は、少なくともいくつかのエリアにおいてバイトブロックとして設計された3D補助構造の少なくとも1つの凹部の中心に位置付けられる。しかしながら、一般に、3D補助構造によって含まれる各位置付け構造は、仮想患者位置として規定されることができる。
【0036】
垂直頭部軸の周りの回転および患者の左/右頭部傾斜を決定するために、患者の頭部は、正中矢状面および/または頭部/耳道ホルダによって中心におよび対称的に調整されることができる。第1および/または第2の3D構造における垂直頭部軸周りの回転および左/右頭部傾斜を決定するために、3D構造は、3D補助構造において、場合によっては正中矢状面を組み込むことによっても、中心におよび対称的に調整されることができる。
【0037】
患者の前方/後方頭部傾斜を決定するために、頭部傾斜はフランクフルト水平(FH)平面によって調整されることができる。第1および/または第2の3D構造における前方/後方傾斜を決定するために、第1および/または第2の3D構造から咬合平面、特に第1の顎および/または上顎の咬合平面を計算することができる。したがって、FH平面と咬合平面との間に使用可能な解剖学的相互関係がある。特に、これは約9度であり、個々の偏差は小さい。代替的にまたは追加的に、FH平面を3D構造に直接含めることもできる。
【0038】
これらの相互関係によって、好ましくは登録を達成することができる。好ましくは、ROIまたは対応する第3のデータを決定することによって、全ての幾何学的詳細がシステムに知られ、X線画像のための必要な軌道およびX線パラメータが計算されることができる。
【0039】
換言すれば、本発明者らは、例えば第1および第2の3D構造が仮想顎インプリントを表すという点で、上述の問題に対する解決策を見出した。このために必要とされる第1および第2のデータは、例えば、口腔内を通してガイドされる従来の3D口内カメラによって検出される。これにより、好ましくは、上顎および下顎の咬合面の少なくとも半分の側が測定され、仮想の第1および/または第2の3D構造に空間的に結合される。上側および/または下側切歯の先端は、3D構造および実際の患者の頭部の特に顕著な基準点として機能することができる。
【0040】
特に、従来のバイトブロックでは、前記先端は、バイトブロックの凹部(溝とも呼ばれることもある)に上方から食い込む。また、3D補助構造のために、仮想的にモデル化されたバイトブロックを設けることも好ましくは可能であり、バイトブロックは、その既知の幾何学的設計によって、X線機械への接続部品として使用され、したがって、第1の3D構造、第2の3D構造、ならびに代替的にまたは追加的に3D補助構造およびX線機械の空間的な登録に使用することができる。患者が、3D補助構造の仮想バイトブロックに対応するバイトブロックをかむとき、切歯は、前述の基準点に位置付けられる。当然のことながら、「基準点」は、例えば、例として言及された前記先端および凹部が、当然のことながら幾何学的拡張部を有することができ、したがって点のようではないので、文字通りに取られるべきではない。X線機械に対する実際の患者の頭部位置(回転角度)は、しばしば例えばFH平面および正中矢状面によって調整される。したがって、患者は、上述のように仮想的に表すことができる既知の基本位置を採用する。
【0041】
本発明のさらなる特徴および利点は、本発明の好ましい実施形態が図によって説明される以下の説明において与えられる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【
図1】
図1は、本発明の第1の態様にしたがう方法のフローチャートである。
【
図2】
図2は、3D補助構造を有する第1および第2の3D構造の図である。
【
図3】
図3は、本発明の第6の態様にしたがう方法のフローチャートである。
【0043】
図1は、本発明の第1の態様にしたがう方法のフローチャート100を示している。フローチャート100にしたがう方法によって、少なくとも1つの頭部の少なくとも1つの部分の少なくとも1つの表面および/または体積エリアのX線機械によって実行できるX線画像を作成することができる。
【0044】
ステップ101では、第1の顎および少なくとも1つの第1の歯科対象物の形態の頭部の第1の解剖学的構造のエリアに関する第1のデータと、第2の顎および少なくとも1つの第2の歯科対象物の形態の頭部の第2の解剖学的構造のエリアに関する第2のデータとが受信される。第1の顎はここでは上側顎であり、第2の顎は上側顎に対応する下側顎である。したがって、第1の歯科対象物は上顎の歯を含み、第2の歯科対象物は下顎の歯を含む。
【0045】
ステップ103において、第1のデータに基づいて、少なくとも第1の顎のエリアおよび第1の歯科対象物の第1の3D構造が計算される。さらに、第2のデータに基づいて、第2の顎のエリアおよび第2の歯科対象物の第2の3D構造が計算される。換言すれば、第1のならびに第2の顎および歯科対象物の3次元画像がこのように計算され、特に、第1および第2のデータが提供される。
【0046】
ステップ105において、第1の3D構造および第2の3D構造は、X線機械に割り当てられるおよび/または割り当て可能な座標系内で位置合わせされ、位置付けられ、および/または配置される。特に、この目的のために、第1の3D構造および第2の3D構造は、3D補助構造に対して規定された方法で位置合わせされ、位置付けられ、および/または配置される。この目的のために、例えば、少なくとも第1および/もしくは第2の歯科対象物、または第1および/もしくは第2の3D構造の咬合面も含まれる。代替的または追加的に、3D補助構造によって含まれる凹部内に、第1または第2の3D構造によって含まれる切歯モデルの配置も組み込まれてもよい。
【0047】
3D補助構造は、座標系内に既知の位置合わせ、向きおよび/または位置を有し、さらに、バイトブロックの形態でX線機械によって含まれる位置付けユニットのモデルに対応する。一方では、X線機械に対する実際のバイトブロックの相対的な位置合わせ、位置および向きが既知であり、他方では、座標系における3D補助構造の既知の位置合わせ、位置および向きによって、座標系における3D補助構造に対する第1および第2の3D構造の相対的な位置合わせ、位置および向きも既知であり、座標系をX線機械に移すことが可能である。
【0048】
X線機械に対する実際のバイトブロックは既知であるので、バイトブロックに対応する3D補助構造によってX線機械に座標系を割り当てることが可能である。最終的に、このようにして、第1および/または第2の3D構造を、いわば実質的にX線機械の内部に配置することが可能である。
【0049】
換言すれば、第1の3D構造は、仮想バイトブロックを介してX線機械の座標にリンクされる。したがって、例えば、凹部内に切歯を配置することによってである。その後、第2の3D構造は、いわば第1の3D構造にドッキングされる。
【0050】
図2は、この文脈において、歯の形態の歯科対象物を有する上顎の形態の第1の3D構造201と、歯の形態の歯科対象物を有する下顎の形態の第2の3D構造203との図を示す。第1および第2の3D構造201、203は、バイトブロックの形態の3D補助構造205に対して配置される。3D補助構造205に対応するX線機械の位置付けユニットは、基準点207においてX線機械に接続される。第1の3D構造201の切歯209は、3D補助構造205の凹部211内に配置される。第1の3D構造201によって、第1の咬合平面213も規定することができる。
【0051】
ステップ107において、第1の3D構造、第2の3D構造、3D補助構造、および汎用頭部の3D構造を含む3D出力構造が計算される。
【0052】
ステップ109において、3D出力構造が送信される。
【0053】
ステップ111において、座標系内の表面および/または体積エリアが少なくともいくつかのエリアにおいて決定されるおよび/または決定可能である第3のデータが受信される。したがって、第3のデータは、どの表面および/またはボリュームエリアからX線画像を撮影するべきかを決定する。
【0054】
ステップ113において、第3のデータに基づいて、座標系内の移動軌跡に沿ったX線機械によって含まれる移動ユニットの移動を実行するための移動データの形態のX線機械のパラメータが決定される。移動ユニットは、X線を送信するためのX線送信機と、X線を受信および/または検出するためのX線センサとを備えている。換言すれば、移動ユニットの移動が決定され、それによって、表面および/または体積エリアを第3のデータに従って記録できる。
【0055】
ステップ115において、移動軌跡に沿ってX線機械によって含まれる移動ユニットの移動を実行することによって、X線画像が撮影され、作成され、および/または計算される。
【0056】
ステップ117において、X線画像が送信される。
【0057】
図3は、本発明の第6の態様にしたがう方法のフローチャート300を示している。フローチャート300にしたがう方法によって、患者の頭部の表面および/または体積エリアのX線機械によって実行されることができるX線画像が撮影される。
【0058】
ステップ301において、第1の顎および少なくとも1つの第1の歯科対象物の形態の頭部の第1の解剖学的構造のエリアに関する第1のデータと、第2の顎および少なくとも1つの第2の歯科対象物の形態の頭部の第2の解剖学的構造のエリアに関する第2のデータとが記録される。ここで、第1の顎は上顎であり、第2の顎は上顎に対応する下顎である。これにより、第1の歯科対象物は上顎の歯を含み、第2の歯科対象物は下顎の歯を含む。すなわち、口腔は、例えば口内3Dカメラによって3Dで測定される。
【0059】
ステップ303において、3D出力構造が受信される。これは、第1および第2のデータに基づく。
【0060】
ステップ305において、3D出力構造がディスプレイデバイス上に出力される。
【0061】
ステップ307では、X線機械に割り当てられるおよび/または割り当て可能な座標系内で表面および/または体積エリアを決定する、第3のデータが送信される。したがって、第3のデータは、どの表面および/または体積エリアからX線画像が撮影されるべきかを決定する。換言すれば、関心領域(ROI)は、特にユーザによって決定される。
【0062】
ステップ309において、患者の頭部は、X線機械の内部に位置付けられ、位置合わせされ、および/または配置される。これは、患者の頭部の少なくとも1つの切歯、特に上顎の切歯を、X線機械に対して固定された位置付けユニットの凹部中に位置付けおよび/または配置することを含む。さらに、代替的または追加的に、正中矢状面、少なくとも1つの頭部/耳道ホルダおよび/またはフランクフルト水平面(FH)も組み込まれる。換言すれば、患者は咬合阻止器(基準点)をかみ、頭部はフランクフルト水平面および正中矢状面上に位置合わせされる。
図4は、特に、頭部のFH平面の経路を示す。
【0063】
ステップ311では、X線プロセスがアクティブ化される。
【0064】
ステップ313では、X線画像が受信される。
【0065】
ステップ315では、X線画像がディスプレイデバイスに出力される。
【0066】
本明細書、特許請求の範囲および図面に開示された特徴は、それぞれの異なる実施形態について、個々に、および任意の組合せの両方で、請求中に記載されている発明の基礎を形成するものである。
【参照番号のリスト】
【0067】
100 フローチャート
101-117 ステップ
201 3D構造
203 3D構造
205 3D補助構造
207 基準点
209 歯科対象物
211 凹部
213 平面
300 フローチャート
301-315 ステップ
【国際調査報告】