(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-28
(54)【発明の名称】吸音面を隠すためのパネル、システム、およびその使用ならびに製造方法
(51)【国際特許分類】
G10K 11/16 20060101AFI20220121BHJP
G10K 11/168 20060101ALI20220121BHJP
E04B 1/86 20060101ALI20220121BHJP
E04B 1/80 20060101ALI20220121BHJP
B32B 3/24 20060101ALI20220121BHJP
B32B 13/02 20060101ALI20220121BHJP
B32B 13/08 20060101ALI20220121BHJP
【FI】
G10K11/16 130
G10K11/168
E04B1/86 D
E04B1/80 100P
B32B3/24 Z
B32B13/02
B32B13/08
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021526373
(86)(22)【出願日】2019-12-19
(85)【翻訳文提出日】2021-05-13
(86)【国際出願番号】 EP2019000347
(87)【国際公開番号】W WO2020126069
(87)【国際公開日】2020-06-25
(31)【優先権主張番号】PCT/EP2018/000581
(32)【優先日】2018-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510094539
【氏名又は名称】クナウフ ギプス カーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】クラウディウス ヘングスト
(72)【発明者】
【氏名】ルート シュノブリッヒ
(72)【発明者】
【氏名】クラウス ホルフェルダー
【テーマコード(参考)】
2E001
4F100
5D061
【Fターム(参考)】
2E001DD01
2E001DF04
2E001FA03
2E001FA14
2E001HA32
2E001HA33
2E001HD11
2E001HE05
4F100AC00A
4F100AE06A
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4F100AK01D
4F100AK07D
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4F100DG01A
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4F100YY00A
5D061AA06
5D061AA11
5D061AA12
5D061AA22
5D061BB02
(57)【要約】
本発明は、前面(120)を含む、1つ以上の穿孔(140)を備えたパネル(100)であって、前面(120)と1つ以上の穿孔(140)との間のコントラストCmが0.3未満であるパネル(100)と、パネル(100)およびマスキング層(160)を含み、マスキング層(160)が通気性である吸音システムと、パネルまたは収音システムの使用と、に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つ以上の穿孔(140)を有し、前面(120)を備え、前記前面(120)と前記1つ以上の穿孔(140)との間のコントラストC
mが0.3未満である、パネル(100)。
【請求項2】
前記前面(120)と前記1つ以上の穿孔(140)との間の前記コントラストC
mが、0.2未満、好ましくは0.1未満、より好ましくは0.05未満である、請求項1に記載のパネル(100)。
【請求項3】
前記パネル(100)が、パネル材(110)を含み、好ましくは前記パネル材(110)が、石膏、ガラス繊維、鉱物ウールまたは繊維石膏混合物を含み、および/または
前記パネル(100)が、プラスターボード、石膏繊維ボードまたは断熱パネルであり、好ましくはプラスターボードであり、および/または
前記パネル(100)が、30mm未満、好ましくは20mm未満、より好ましくは15mm未満の厚さを有する、請求項1または2に記載のパネル(100)。
【請求項4】
前記パネル(100)の前記前面(120)が、
-前記パネル材(110)の表面であり、
-前記パネル(100)の前方外側層(124)の表面であって、前記前方外側層(124)が、好ましくは厚紙層または不織布であり、より好ましくは厚紙層である、前方外側層(124)の表面であり、
-好ましくは塗料であるコーティング層の表面であって、前記コーティング層が、好ましくは、前記パネル材(110)の前記表面に、または前記パネル(100)の前方外側層(124)の前記表面に塗布されている、コーティング層の表面であり、あるいは、
-前記受容層(165)が、好ましくは前記パネル材(110)に、または前記パネル(100)の前方外側層(124)に取り付けられている、接続層(165)の表面である、請求項1~3のいずれか一項に記載のパネル(100)。
【請求項5】
前記パネル材(110)、前記前方外側層(124)、前記コーティング層、および/または前記接続層(165)が、顔料、好ましくは暗い顔料、より好ましくは暗い灰色の顔料または黒色の顔料を含む、請求項4に記載のパネル(100)。
【請求項6】
前記接続層(165)が、プラスチック、好ましくはプラスチック箔またはフィルム、最も好ましくはプラスチック箔を含む、請求項4または5に記載のパネル(100)。
【請求項7】
前記接続層(165)が、好ましくは本質的に前記パネル(100)と同一位置にある1つ以上の穿孔(140)を含むか、または複数の微細穿孔を含む、請求項4~6に記載のパネル(100)。
【請求項8】
前記接続層(165)が、複数のフック、好ましくはループである複数のグリップ可能な表面要素、または複数のマッシュルーム状ステムを含む、請求項4~7のいずれか一項に記載のパネル(100)。
【請求項9】
請求項1に記載のパネル(100)、およびマスキング層(160)を含み、前記マスキング層(160)が通気性である、吸音システム(600)。
【請求項10】
前記マスキング層が、好ましくは接着、ねじ止め、釘止め、もしくは他のいずれかの恒久的締結システムによって、最も好ましくは接着によって恒久的に、または好ましくはフックアンドループ締結システム、マッシュルーム状ステム締結システム、もしくは他のいずれかの締結システムによって、最も好ましくはフックアンドループ締結システムによって取り外し可能に前記パネル(100)に取り付けられている、請求項9に記載の吸音システム(600)。
【請求項11】
前記マスキング層(160)が、ウール、フリース、フェルト、ポリエステルフリース、他のいずれかの通気性材料、またはそれらの混合物、好ましくはフェルトを含む、請求項9または10に記載の吸音システム(600)。
【請求項12】
前記マスキング層(160)が、1~20,000Pa*s/m、好ましくは100~1000Pa*s/mの流れ抵抗を有する、請求項9~11に記載の吸音システム(600)。
【請求項13】
1つ以上の取り付け要素(8)をさらに含み、好ましくは、前記パネル(100)が、前記1つ以上の取り付け要素(8)を介して外面に接続されている、請求項9~12に記載の吸音システム(600)。
【請求項14】
請求項1~8のいずれかに記載のパネル(100)、または請求項9~13のいずれかに記載の吸音システム(600)を、好ましくは壁または天井へ取り付けて使用すること。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1に記載のパネル、請求項9に記載の吸音システム、および請求項14に記載のパネルまたは吸音システムの使用に関する。
【0002】
本出願は、2018年12月21日に出願された国際特許出願第PCT/EP2018/000581号の利益を主張し、その全体が参照により、特に以下に記載された特定の実施形態および特徴を参照して本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
室内音響は、建物の建設または改修の際に考慮を要する重要な要素である。教室および講堂などの多くの公的施設では、室内音響に関する厳しい規制を遵守する必要があり、その一方でオフィスおよびアパートなどのエリアでは、特に最小限の家具スタイルが採用されている場合、快適性または健康のために騒音管理を必要とする。さらに室内音響は、劇場および音楽室などの環境において、その使用目的のための最適条件を実現するために慎重に制御する必要がある可変的なものである。
【0004】
室内音響を表すために使用される重要な要素は、残響時間である。残響時間とは、密閉空間内で音が衰退するのに必要な時間のことである。室内の音響は、密閉空間内の表面で反射する代わりに音波が接触する表面で吸収されない場合、残響し得る。
【0005】
この残響時間は、関連する周波数範囲の音がより吸収されるように表面を改修することによって低減されることができ、これにより残響が最小化される。鉱物繊維/ウール、ポリエステル繊維、またはフェルトのようなオープンポアの吸音材がこの効果のために利用され得る。
【0006】
必要とされる環境で室内音響を改善するために、これらのような吸音材が壁、天井、さらには床面に利用され得る。これらの吸音材は、鉱物繊維製天井のような仕上げ面とともに販売され得るか、またはこの仕上げ面は、これらの吸音材の設置中に形成され得、例えば、鉱物ウールの裏地が付いた金属プロファイルまたは木製スラットのサスペンションシステムに取り付けられた穿孔プラスターボード天井の上に表面を形成することもできる。
【0007】
吸音材の穿孔面により、空気がこれら材料を通って流れ、吸音面が増すことになる。これらの穴は、部屋の音響管理に利用され得る消音特性をもたらす。上述の穴は、それらが設置されている環境に音響減衰効果をもたらすことができる。これらの穴は、長方形、正方形、円形のような様々な形状の断面のうちいずれか1つを有し得る。材料、パネル、またはボードにある穴は、材料の雑音減衰効果をもたらす上で大きな役割を果たしているため、穴の分布とサイズは選択した環境に必要な消音効果をもたらすために選択され得る。
【0008】
穿孔面の例は、Knauf Cleaneo Akustikplatte(音響ボード)である。最高の消音効果は、壁または天井に面する側にラミネートフィルムまたは繊維フリースがあり、後ろに鉱物ウールが付いた穿孔プラスターボードを含む完全なシステムによって達成できる。この構造はまた、ボードを壁または天井に取り付けるための締結手段または取り付け要素を含む。
【0009】
Knauf Cleaneo AkustikplatteまたはKnauf Cleaneo Acousticリニアパネルなどの穿孔吸音パネルは、天井から吊り下げられ得るが、一方で鉱物繊維パネルは、多くの場合、個々のパネルの端部を囲むグリッド状の欄干構造を介して所定の位置に保持される。吸音材は、端部を実質的に隠し、表面を無地の壁または天井のように見せる方法で配置され得る。
【0010】
しかしながら、穿孔面が多数の目に見える穴を有するという望ましくない効果が依然としてある。通常、これらの穴は、特に(非常に多くある)天井の前面が白い場合、観察者にはかなり暗く(時には黒くさえ)見える。このような目に見える穴をマスキング層で覆う解決策は、マスキング層によっては、マスキング層が吸音材料への空気の流れを少なくとも一定程度減少させるため、吸音効果の低下につながることがある。このようなマスキング層は、Knauf Cleaneo SYSTEXXシステムによるものであり得る。このシステムでは、視覚的なマスキング効果を高めるために、かなり高価な光反射箔が使用されている。この箔を使用すると、パネルの穿孔は少なくとも一定程度は見えることはない。さらに、有効な音響特性を有するために、この箔は複数の非常に小さな穴を含んでいる。
【0011】
しかしながら、この多くの小さな穴が修正された光反射箔を備えたものは、かなり高価で取り扱いが煩雑である。さらに一度設置すると簡単に交換することができない。
【0012】
一般に、穴/穿孔を覆うためにより多くの、またはより厚い層が必要とされるほど、吸音効果はより低減することになる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
したがって、例えば、穿孔パネルを備えた吸音天井、または吸音効果を打ち消すことなく穿孔パネルが使用される他の場所(バッフルシステムなど)において、多数の目に見える穴を簡単な方法で、また容易に交換できる方法で隠したり覆ったりするための問題が依然としてある。
【0014】
解決すべきさらなる問題は、吸音効果を打ち消さずに穿孔パネル上のマスキング層を簡単に交換することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
この問題は、請求項1に記載のパネル、請求項8に記載の吸音システム、および請求項13に記載のパネルまたは吸音システムの使用によって解決される。
【0016】
特に、この欠点は、前面と1つ以上の穿孔との間のコントラストCmが0.3未満である前面を含む1つ以上の穿孔を備えたパネルによって解決される。
【0017】
利点には、高価な反射箔を使用せずに穿孔とパネルの表面との間の目に見えるコントラストを低減すると同時に、マスキング層を後で簡単に適用して必要に応じて簡単に交換できることが含まれる。さらに、そのようなマスキング層は、最新技術の解決策のものよりも薄くなり得、それにより、パネルの穴をマスキングし、より多くのまたはより厚いマスキング層の場合ほど吸音特性を低下させない。
【0018】
さらに、本発明のパネルを備える天井の吸音特性は、穿孔が(本質的に)見えないので視覚的に外観は同じであるが、穿孔パネルのない(閉鎖した、白い)天井と比較して改善されている。
【0019】
穿孔パネルでは、穿孔(または貫通穴)とパネルの表面の一部は交互になり得る。そのような穿孔パネルは少なくとも一定の高さを有しており、それにより、どの構成においても、より少ない光(観察者がいるパネルの同じ側から到着すると考えられる)がパネルの表面よりも穿孔に達する。したがって、(最初の接近では)観察者にとって、パネルには1つの暗い特徴と1つの明るい特徴しかなく、それらは領域のかなり類似するか、または比較可能な部分を占めることができる。本出願の説明においては、穿孔の輝度は暗い輝度Ldと見なされている。しかしながら、穿孔が明るい輝度Lbである構成は可能であり、例えば、パネルの前面が完全に黒い場合、穿孔はパネルの表面よりも(わずかに)高い輝度を有する可能性がある。
【0020】
したがって、このようなパネルのコントラストは、マイケルソンコントラスト(可視性または変調としても知られる)として適切に表現され得る。マイケルソンコントラストは、
Cm=(LbーLd)/(Lb+Lb)として定義され、
LbとLdは、高輝度(ここでは明るい特徴、パネル)と低輝度(ここでは暗い特性、穿孔)の輝度Lを表している。分母は、輝度LbとLdの平均の2倍を表している。概してCmは、平均値に対する(周期的な)信号Lのコントラストを表すことができる。LbがLdに等しい場合、分子は0であり、したがってCm=0となることから、コントラストがないことになる。
【0021】
輝度Lは、例えば「Gossen MAVO-SPOT 2 USB M508G」などの輝度計で測定され得る。正確な結果を得るためには、LbとLdを同時に測定する必要がある。したがってCm値は、常に0~1になる。
【0022】
また光沢がないか、または軟質で拡散反射する表面の場合、輝度Lの代わりに相対輝度Yが用いられ得る。Yは完全に黒い表面(光が反射されていない)と完全に白い表面(すべての光が反射されている)の場合、0として規定される。しかしながら、LまたはYが使用される場合、絶対値は等しくなる。
【0023】
穿孔とパネルの(前)面との間のコントラストを十分に小さくするには、0.3未満のCm値が有利である。しかしながら、Cm値が0.2未満、好ましくは0.1未満、より好ましくは0.05未満である場合、さらに有利になる。
【0024】
また(日中)照明も影響を及ぼすことにも留意が必要である。したがって、多少暗い部屋では、Cm=0.4以上のかなり高いコントラストでさえ、照明が減少するため、観察者にとって、そのコントラストよりも小さく発生することがある。しかし本発明については、多少明るい照明が好ましく、これがパネルの穿孔を覆うことをより困難にしている。しかしながら、本発明は、昼光または(人工の)オフィス照明においても、または建物を照明するための他の任意の人工照明においても機能する。
【0025】
本発明の一態様では、パネルはパネル材を含み得、パネル材は、好ましくは石膏、ガラス繊維、鉱物ウール、または繊維-石膏混合物を含む。したがって、パネルは、好ましくは石膏ボード、石膏繊維ボード、または断熱パネル、より好ましくは石膏ボードであり得る。パネルは、好ましくは30mm未満、より好ましくは20mm未満、最も好ましくは15mm未満の厚さを有し得る。しかしながら、穿孔を備えた任意のサイズおよび任意の構造のパネルが本発明のために使用され得る。しかしながら、木製またはプラスチック製のパネルであっても可能になっている。
【0026】
好ましくは、パネルの前面は、
-パネル材の表面であってもよく、
-好ましくは前方外側層が厚紙層または不織布、より好ましくは厚紙層である、パネルの前方外側層の表面であってもよく、
-好ましくは塗料であるコーティング層の表面であって、コーティング層が、好ましくはパネル材の表面に、またはパネルの前面外層の表面に塗布されている、コーティング層の表面であってもよく、あるいは
-接続層の表面であって、受容層が好ましくはパネル材またはパネルの前方外側層に取り付けられている、接続層の表面であってもよい。
【0027】
しかしながら、パネルの前面の上記の異なる選択肢には、様々な材料および/または機能が付随するが、それらはすべて、それらと穿孔との間で0.3未満となるコントラストCmを有する屋根に該当する。したがって、パネル材、前方外側層、コーティング層、および/または接続層が、顔料、好ましくは暗い顔料、より好ましくは暗い灰色の顔料または黒色の顔料を含むことが有利になる。様々な選択肢について、以下で説明する。
【0028】
パネルの前面がパネル材の表面である場合、このことは、パネル材料がパネルの穿孔に対して0.3未満のコントラストを有することができることを意味している。石膏繊維ボードにおいて、例えば石膏繊維ボードを構築するために使用される混合物に、例えば暗い顔料(例えば、黒色または灰色)が混合されるときに、このことが可能である。したがって、この方法で、任意レベルの輝度、少なくとも暗い顔料を伴わないものよりも低いレベルに達することができ、0.3未満の所望のコントラストCmに到達することができるようになっている。ここでの利点の1つは、パネル自体が製造後に既に十分な輝度(または相対輝度)を有することから、0.3未満の所望のコントラストCmに達するためにパネルを修正するさらなるステップを行う必要がないことである。
【0029】
パネルの前面がパネルの前方外側層の表面である場合、このことは前方外側層面がパネルの穿孔に対して0.3未満のコントラストを有することができることを意味している。例えば、前方外側層を備える石膏プラスターボードでは、通常は厚紙層であることが可能である。穿孔プラスターボードの製造では、スラリー(プラスターを構成する)が通常両側において厚紙層で覆われている。したがって、前方外側層とは別に、通常は後方外側層もある。乾燥(そして特定のサイズに切断)後にプラスターボード内の穿孔が形成される。したがって、パネルが穿孔されているとき、パネル材だけでなく、厚紙層も穿孔されている。プラスターボードで使用される厚紙層は、任意の所望の色または明るさで製造されることができる。したがって、例えば厚紙層製造において、暗い顔料(例えば、黒色または灰色)を使用することによって、パネルの穿孔に対して0.3未満のコントラストCmを有する厚紙層を製造することが可能である。しかしながら、例えば不織布のような、他の前方外側層と同数になる。ここでの1つの利点は、例えば厚紙または不織布などの前方外側層をカバーとして使用することによって、パネル自体が既に十分な輝度(または相対輝度)を有することから、パネルを0.3の所望のコントラストCmに到達させるためのパネルを修正するさらなるステップがないことである。
【0030】
しかしながら、前方外側層(例えば、不織布)のみを有し、後方外側層がない他のパネルも可能である。
【0031】
パネルの前面がコーティング層の表面、好ましくは塗料の表面である場合、コーティング層は好ましくはパネル材の表面上に、またはパネルの前方外側層の表面上に塗布されており、このことは、コーティング層がパネルの穿孔に対して0.3未満のコントラストを有することができることを意味している。このことは、パネルを暗い色で、例えば、灰色、好ましくは特に設置された状態のパネルの穿孔の色と非常に類似し得る暗い灰色で塗装すること(これはパネル材または厚紙層のいずれかを塗装することを意味している)によって単純に行うことができる。ここで追加のステップが必要となる。しかしながら、ここでの利点は、どの塗料(色、明るさなど)を使用すべきかを非常に遅く決定できることである。また、塗料によって増加する厚みはほとんどない。さらに、コーティング層はパネルに1つ以上の穿孔が形成された後に塗布されることができ、これにより、コーティング(例えば、塗料)が節約できる。さらに、場合によっては、外側層(複数可)に顔料を含まない標準パネル(プラスターボードなど)を製造し、その後に前方外側層をコーティングする方が簡単な場合がある。
【0032】
パネルの前面が接続層の表面である場合、接続層は好ましくはパネル材に、またはパネルの前方外側層に取り付けられており、このことは、接続層がパネルの穿孔に対して0.3未満のコントラストを有することができることを意味している。このことは、例えば顔料を含む材料、例えば暗い灰色または黒色の顔料を含む暗い材料を接続層に使用することで達成できる。
【0033】
好ましくは、接続層がプラスチックを含み得、より好ましくは、接続層がポリプロピレンを含み得、最も好ましくは、接続層がポリプロピレンからなり得る。より好ましくは、接続層が、プラスチック箔またはフィルム、最も好ましくはプラスチック箔である。特に好ましいものは、暗いプラスチック箔、すなわち、暗い顔料を含むプラスチック箔であり、接続層がパネルの穿孔に対して0.3未満のコントラストを有することができるようになっている。さらにより好ましいものは、0.3mm~0.6mmの厚さを有するプラスチック箔であり、好ましくは0.4mm~0.5mmの厚さを有するプラスチック箔である。好ましいグラメージは、100g/m2~200g/m2、好ましくは120g/m2~180g/m2、より好ましくは140g/m2~160g/m2であり得る。利点にはプラスチック箔が安価で薄く、取り扱いが容易であることが含まれている。
【0034】
このような接続層は、好ましくは本質的にパネルと同じ位置に1つ以上の穿孔を含むことができる。好ましくは、接続層はパネル上に取り付けられることができ、好ましくは接着されることができ、好ましくはパネル材に、またはパネルの前方外側層に取り付けられることができる。好ましくは、接続層はパネルの穿孔が行われる前にパネルに取り付けられることができ、好ましくは接着されることができ、パネル内および接続層内の穿孔は、好ましくは1つのステップで実施されることができるようになっている。このことは、製造プロセスで時間を短く抑え、パネルと接続層(本質的に)の同じ位置に穿孔を配置することを確実にすることから有利である。
【0035】
別の選択肢は、そのような接続層が複数の微細な穿孔を備え得ることである。これらの微細な穿孔は、例えば、ニードルローラーを用いて形成され得る。これらの微細な穿孔により、十分な空気の流れが確保されている。
【0036】
非常に好ましい実施形態では、接続層は、複数のフック、複数のグリップ可能な表面要素であって、好ましくはループ、または複数のマッシュルーム状ステムであって、好ましくは複数のフックを含むことができる。これらの機構のいずれか1つを使用することで、マスキング層を取り外し可能にパネルに取り付けることが可能である。フック、グリップ可能な表面要素であって、好ましくはループ、またはステムは、非常に小さく、互いに非常に短い距離にあることができる。特に好ましいものは、例えば、暗いプラスチック箔であり、すなわち、複数のフック、複数のループまたは複数のマッシュルーム状ステム、好ましくは複数のフックを含み、接続層がパネルの穿孔に対して0.3未満のコントラストを有することができるようになっている。
【0037】
一般的に複数とは複数である状態として定義され、複数とは単数に対峙するものである。したがって、複数とは1より大きい任意の数、つまり2、3、4などを意味している。ほとんどの場合、複数は莫大であり、ほとんどが数えられない数である。当業者はそのことを認識している。フック、ループ、またはステムに関して、複数とは1層のcm2あたりに少なくとも100、好ましくは少なくとも200のフックまたはループもしくはステムがあり得ることを意味する。非常に好ましい実施形態では、1層のcm2あたりに約300のフック、ループ、またはステムが存在する。これらの数値からフック、ループ、またはステムの互いに対するサイズと距離が概算され得る。
【0038】
前述のように、本発明の目的の1つは、その吸音機能を失うことなく、パネルの目に見える穴または穿孔を隠すかまたは覆うことである。したがって、上述のような1つ以上の穿孔およびマスキング層を備えたパネル前面の異なる構成の異なる組み合わせについて、以下で説明する。
【0039】
この態様では、本発明は吸音システムに関する。吸音システムは上述のようなパネルおよびマスキング層を含み得る。好ましくは、マスキング層は少なくともある程度は通気性であり得、システムの吸音機能が確保されるようになっている。
【0040】
マスキング層は、恒久的または取り外し可能にパネルに取り付けられることができる。
【0041】
マスキング層がパネルに恒久的に取り付けられている場合、これは、接着、ねじ止め、釘止め、または他のいずれかの恒久的な締結システムによって実施され得、好ましくは接着によって実施され得る。本出願で使用される接着剤は、これらの用途のために当業者に知られている任意の接着剤であり得る。好ましくは、接着剤は透明である。
【0042】
マスキング層が接着によってパネルに取り付けられている場合に通気性を確保するために、接着ドットを使用することが好ましく、これは、一方でマスキング層とパネルの安定した恒久的な接続に十分であり、他方でシステムの吸音機能のためのマスキング層を通りパネルへの十分な空気の流れを維持している。
【0043】
マスキング層の恒久的な取り付けは、パネルのこれらの構成において好ましく、パネルの前面は、
-パネル材の表面であり、
-パネルの前方外側層の表面であって、好ましくは前方外側層が厚紙層または不織布であり、より好ましくは厚紙層である、前方外側層の表面であり、あるいは
-好ましくは塗料であるコーティング層の表面であって、コーティング層が、パネル材の表面上に、またはパネルの前方外側層の表面上に塗布されている、コーティング層の表面である。
【0044】
しかしながら、前面が接続層の表面である場合、マスキング層の恒久的な取り付けも可能であり、ここでは受容層がパネル材またはパネルの前方外側層に取り付けられている。このことは、例えば接続層が暗い顔料を含む(薄い)プラスチック箔である場合に当てはまることがある。
【0045】
以下では、マスキングについてより詳細に説明する。
【0046】
マスキング層は、ウール、フリース、フェルト、ポリエステルフリース、他のいずれかの通気性材料か、またはそれらの混合物を含むことができ、好ましくはフェルトを含むことができる。
【0047】
より好ましくは、マスキング層は、ウール、フリース、フェルト、ポリエステルフリース、他のいずれかの通気性材料か、またはそれらの混合物で構成され、最も好ましくはフェルトで構成される。
【0048】
さらに、マスキング層は特定の厚さを有し得る。マスキング層は、0.1mm~20mm、好ましくは、好ましくは1mm~15mm、より好ましくは2mm~8mmの厚さを有し得る。マスキング層の厚さはマスキング層の材料に依存しており、これは、一方で効率的な吸音特性を確保する必要があり、他方で穴の不可視性とパネルのやや暗い外観が可視化されないようにする必要があるためである。例えば、密度の高い材料よりもむしろ非常に綿状になった材料が、かなりの厚さで使用され得る。フェルトの場合、一方で十分な空気の流れがあり、他方で(かなり暗い)前面の十分な不可視性を有する、例えば4mmの厚さが望ましい。
【0049】
しかしながら、マスキング層の他のいずれかの通気性構成も可能になっている。
【0050】
さらに、マスキング層の寸法はパネルと同じ寸法を有し得ることに言及しておく必要がある。パネルとマスキング層がワンステップで取り付けられることができるため、このことは吸音システムの取り付けを容易にする。しかしながら、必ずしもパネルの寸法と同じである必要はない。より大きな寸法またはより小さな寸法が可能となっている。例えば、特定間隔で変更されることが事前設定されていることが知られているパネル上の特定の位置に、かなり小さなマスキング層を有することが一方で望ましいことがある。また他方では、このパネルと比較してマスキング層の重量が軽いことが、1つのパネルの寸法よりも広いマスキングの選択肢をもたらし、例えば、マスキング層が1つしかない2つのパネルの寸法は、このために、このパネルよりも大きな寸法を有することになる。
【0051】
さらに、マスキング層がウール、フリース、フェルト、ポリエステルフリース、他のいずれかの通気性材料またはそれらの混合物を含む場合、2つの隣接するマスキング層は、好ましくは、例えばフェルト針などの特別な工具を使用してフェルトによって接合され得ることに留意する必要がある。
【0052】
マスキング層がパネルに取り外し可能に取り付けられている場合、これは、フックアンドループ締結システム、マッシュルーム状ステム締結システム、または他のいずれかの取り外し可能な締結システムによって実施され得、最も好ましくはフックアンドループ締結システムによって実施され得る。
【0053】
様々な取り外し可能な締結システムが存在する。例えば、フックアンドループ締結システムでは、フックがループに係合し、閉鎖機構を提供する。しかしながら、フックアンドループ締結システムの多くの形態と組み合わせが存在し、例えばマッシュルーム状ステム締結システムのような自己係合型で単一構成要素の技術も存在する。このシステムでは、締結システムの両側が同じ形状を備え、この場合はマッシュルーム状ステムを備えている。しかしながら、接続層においてマスキング層の取り外し可能な取り付けを提供するこれらのシステムのいずれも、本発明の範囲に含まれている。
【0054】
パネルの前面が接続層の表面であり、接続層が好ましくはパネル材に、またはパネルの前方外側層に取り付けられているパネルの構成では、マスキング層の取り外し可能な取り付けが好ましい。
【0055】
1つの好ましい実施形態では、既に上述したように、接続層は、複数のフック、好ましくはループである複数のグリップ可能な表面要素、または好ましくは複数のフックである複数のマッシュルーム状ステムを含むことができる。これらの機構のいずれか1つを使用することで、マスキング層を取り外し可能にパネルに取り付けることが可能である。特に好ましいものは、例えば、暗いプラスチック箔であり、すなわち、暗い顔料を有するプラスチック箔であり、複数のフック、複数のループまたは複数のマッシュルーム状ステム、好ましくは複数のフックを含み、接続層がパネルの穿孔に対して0.3未満のコントラストを有することができるようになっている。
【0056】
非常に好ましい構成では、接続層は複数のフックを含み、マスキング層は複数のループを含み得る。したがって、この構成では既に上述したようにマスキング層は、ウール、フリース、フェルト、ポリエステルフリース、他のいずれかの通気性材料またはそれらの混合物を含み得、好ましくはフェルトを含み得る。したがって、マスキング層は、複数のループまたは他の同様なグリップ可能な表面要素(これはウール、フリース、フェルト、ポリエステルフリース、または他のいずれかの通気性材料の一部であり、これにより、ここでは追加層を必要としない)を含むことができ、接続層とマスキング層との間の安定しているものの取り外し可能な接続が、マスキング層を接続層に取り付けることによって容易に確立され得るようになっている。この組み合わせのさらなる有利な効果は、好ましくは、パネルの穴とかなり暗い外観のいずれもマスキング層によって見えなくなっていることである。
【0057】
しかしながら、他の組み合わせも可能になっている。
【0058】
接続層が複数のグリップ可能な表面要素であって好ましくはループ、または複数のマッシュルーム状ステムを含む場合、マスキング層は上述とは異なり得、マスキング層は上述のものに加えて、追加的な層を含み、この層は複数のグリップ可能な表面要素であって好ましくはループ、または複数のマッシュルーム状ステムを接続または係合することができる。このことは、マスキング層が複数のフックまたは複数のマッシュルーム状ステムを備えた追加的な層をさらに含み得ることを意味している。吸音機能を確保するために、この追加的な層は、好ましくは、微細な穿孔を備える。これらの微細な穿孔は、例えば、ニードルローラーを用いて形成され得る。好ましくは、この追加的な層は、マスキング層に恒久的に固定され得、より好ましくはマスキング層に接着され、最も好ましくは接着ドットで接着され得る。
【0059】
好ましくは、マスキング層は、1~20,000Pa*s/m、好ましくは100~1000Pa*s/mの流れ抵抗を有し得る。マスキング層はまた、蛍光増白剤を含み得る。
【0060】
パネルの前面を暗くする代替(または追加)として、マスキング層の背面を代わりに(または追加的に)暗くすることができる。ただし、この暗くすることは、好ましくは、マスキング層がその後も依然として通気性となる方法で実施され得る。好ましくはマスキング層160の前面は、可視性のために望まれるように、別の色を有することができる。例えば、マスキング層は、通気性を維持しながら、明るい色または実質的な白色など、部屋の壁または天井の所望の設計に従って、任意の所望の色またはパターンで製造され得る。この特殊な場合では、(パネルの)前面は実際にはマスキング層の背面になる。
【0061】
しかしながら、穴の吸音性と不可視性に関する最良の結果は、穿孔プラスターボード(つまり、外側の厚紙層を備えたパネル)、暗い顔料とフックを備えた接続層、およびフェルトで形成され、そのためループを備えるマスキング層の組み合わせで達成された。このマスキング層の厚さは約4mmが好ましい。
【0062】
さらに、吸音システムは、例えば、パネルと構造スラブとの間の天井構造のようなパネルの後方に配置されたさらなる吸音材料を含み得る。このさらなる吸音材料は鉱物ウールであってもよい。このさらなる吸音材料は、層および/または空気透過性および/または穿孔付きもしくは微細穿孔付きの形態であり得る。吸音材料のさらなる層もまた、吸音システムの一部となり得る。
【0063】
さらなる利点には、本発明のパネルがマスキング層とは独立して取り付けることができることが含まれる。しかしながら、外観がかなり暗い場合でも、パネルの穿孔とパネルの前面との間のコントラストCmは0.3未満であり、観察者にとって穿孔がより見えにくいようになっている。しかしながら、好ましい実施形態では、マスキング層は使用中には、見えることができ、本発明のパネルの最上層であり得る。これら利点には、(例えば、汚れているか損傷している場合に)マスキング層が変更または更新され得ること、または洗浄、清掃、または改修のために取り外され得ることが含まれる。マスキング層は、任意の色、パターン、塗装、または写真印刷を有し得る。表面の利点には、効率的な吸音特性に必要な穿孔が、使用時にマスキング層を通して見えない(または目立たない)ことが含まれる。
【0064】
システムは、1つ以上の取り付け要素(図には示されていないが、PCT/EP2018/000581の取り付け要素(8)に類似する)をさらに含み得、好ましくは、パネルは1つ以上の取り付け要素を介して外面(例えば天井)に接続されている。パネルは通常、マスキング層がパネルに取り付けられているよりも、壁または天井に堅固に取り付けられている。
【0065】
先行技術における欠点は、本発明によるパネル、および/または本発明による吸音システムを使用することによって、好ましくは壁または天井に取り付けるためにさらに解消されている。
【0066】
本明細書に記載の使用の利点および優位点は、本明細書に記載のパネルまたはシステムの優位点と同等であるかまたは類似する。
【0067】
本発明は以下にさらに説明され、特定の実施形態は、本出願に記載されている本発明をいかなる方法でも限定するものでない。
【図面の簡単な説明】
【0068】
以下において、本発明の実施例が図面に関して説明される。
【
図1】本発明によるパネル(100)の断面図を示している。
【
図2】外側層を備えた本発明によるパネル(100)の断面図を示している。
【
図3】本発明による吸音システム(600)の断面図を示している。
【
図4】外側層を備えた本発明による吸音システム(600)の断面図を示している。
【
図5】フックアンドループ締結システムを備えた本発明による吸音システム(600)の断面図を示している。
【
図6】外側層およびフックアンドループ締結システムを備えた本発明による吸音システム(600)の断面図を示している。
【発明を実施するための形態】
【0069】
図1は、パネル材(110)、前面(120)および背面(122)を含むパネル(100)の断面を示し、パネル(100)は、1つ以上の穿孔140を有し、穿孔はパネル材(110)を通り延在しており、貫通穴とも称される。前面(120)は、前面(120)と1つ以上の穿孔(140)との間のコントラストC
mが0.3未満になるように適合されている。このことは、顔料、好ましくは暗い顔料、より好ましくは暗い灰色の顔料または黒色の顔料を含むパネル材(110)またはコーティング層(パネル材(110)に非常に薄く塗布されるため、図示されていない)によって実施され得る。この例では、パネル(100)は石膏繊維ボードまたは断熱パネルである。好ましくは、パネル(100)は、30mm未満、好ましくは20mm未満、より好ましくは15mm未満の厚さを有し得る。
【0070】
図2は、パネル材(110)、前方外側層(124)、後方外側層(126)、および前面(120)を含むパネル(100)の断面を示し、パネル(100)は1つ以上の穿孔(140)を有し、穿孔はパネル材(110)、前方外側層(124)、および後方外側層(126)を通って延在している。前面(120)は、前面(120)と1つ以上の穿孔(140)との間のコントラストC
mが0.3未満になるように適合されている。このことは、顔料、好ましくは暗い顔料、より好ましくは暗い灰色の顔料または黒色の顔料を含む前方外側層(124)またはコーティング層(前方外側層(124)に非常に薄く塗布されるため、図示されていない)によって実施され得る。この例では、パネル(100)は石膏プラスターボードである。好ましくは、パネル(100)は、30mm未満、好ましくは20mm未満、より好ましくは15mm未満の厚さを有し得る。
【0071】
図3は、本発明による吸音システム(600)の断面を示している。この図は、
図1によるパネル(100)およびマスキング層(160)を開示している。マスキング層(160)は、パネル材(110)またはコーティング層(図示せず)に、好ましくは接着ドットで接着(図示せず)することによって恒久的に取り付けられている。ここでは、パネル材(110)またはコーティング層(図示せず)のいずれかが前面(120)を構成している。互いのコントラストC
mが0.3未満である穿孔(140)と前面(120)の両方を覆うマスキング層(160)により、良好な吸音特性を備えたシステムが得られており、そこではパネルの穿孔は観察者には見えなくなっている。マスキング層(160)は通気性であり、ウールまたはフェルトで構成することなどによって空気の流れを可能にしている。流れ抵抗は、1~20,000Pa*s/mであり得る。暗い前面(120)により、同じマスキング効果でマスキング層をより薄く(より低い不透明度)することができ、マスキング層の通気性が向上し、これによりシステム全体の吸音性能が向上している。好ましくは、マスキング層は4mmの厚さのフェルトで形成されている。
【0072】
図4は、本発明による吸音システム(600)の断面を示している。この図は、
図2によるパネル(100)およびマスキング層(160)を開示している。マスキング層(160)は、接着(図示せず)によって、好ましくは接着剤ドットで前方外側層(124)に、または前方外側層(124)に塗布され得るコーティング層に恒久的に取り付けられている。ここでは、前方外側層(124)またはコーティング層(図示せず)のいずれかが前面(120)を構成している。互いのコントラストC
mが0.3未満である穿孔(140)と前面(120)の両方を覆うマスキング層(160)により、良好な吸音特性を備えたシステムが得られており、パネルの穿孔は観察者には見えなくなっている。マスキング層(160)は通気性であり、ウールまたはフェルトで構成することなどによって空気の流れを可能にしている。流れ抵抗は、1~20,000Pa*s/mであり得る。暗い前面(120)により、同じマスキング効果でマスキング層をより薄く(より低い不透明度)することができ、マスキング層の通気性が向上し、これによりシステム全体の吸音性能が向上している。マスキング層は好ましくは、4mmの厚さのフェルトで形成されている。
【0073】
図5は、フックアンドループ締結システムを備えた本発明による吸音システム(600)の断面を示している。この図は、接続層(165)およびマスキング層(160)を備えた
図1によるパネル(100)を開示している。接続層(165)は、複数のフック(10)を備えたプラスチック箔である。接続層(165)は、好ましくは接着ドットを用いて接着(図示せず)することによって、パネル材料(110)に恒久的に取り付けられている。さらに接続層(165)は、パネルがその穿孔(140)を有するのと同じ位置に(本質的に)穿孔を備えている。マスキング層(160)は、ウール、フリース、フェルト、ポリエステルフリース、他のいずれかの通気性材料またはそれらの混合物で形成されたものであり得る。上述のように、これらの材料は複数のグリップ可能な表面要素、好ましくはループ(12)を既に含み、これらは、この図で明確化のために、(フック(10)も含む)残りの部分に比較して大きく示されている。ここでは接続層(165)は前面(120)を備えている。互いのコントラストC
mが0.3未満である穿孔(140)と接続層(165)の両方を覆うマスキング層(160)により、良好な吸音特性を備えたシステムが得られており、そこではパネルの穿孔は観察者には見えなくなっている。マスキング層(160)は通気性であり、ウールまたはフェルトで構成することなどによって空気の流れを可能にしている。流れ抵抗は、1~20,000Pa*s/mであり得る。暗い前面(120)により、同じマスキング効果でマスキング層をより薄く(より低い不透明度)することができ、マスキング層の通気性が向上し、これによりシステム全体の吸音性能が向上している。好ましくはマスキング層は4mmの厚さのフェルトで形成されている。
【0074】
フックアンドループ締結システムは、本明細書および優先権出願第PCT/EP2018/000581号において、接着剤ドットを用いたような接着剤の使用に代替的または追加的になるものとさらに説明されている。優先権出願において、パネル(2)はパネル(100)と等しくてもよく、受け面(4)は前面(120)と等しくてもよく、前面(120)が接続面(165)である場合、好ましくは、取り外し可能に取り付け可能な層(6)はマスキング層(160)と等しくてもよく、フック(10)はフック(10)と等しくてもよく、グリップ可能な表面要素(12)はグリップ可能な表面要素(12)と等しくてもよい。
【0075】
マスキング層(160)は、脱落しないように十分にしっかりとパネル(100)に付着する必要がある。しかしながら、マスキング層(160)がそれを破ることなく、および/またはパネルを破ることなく、壁または天井への接続から取り除かれ得るか、および/または手動操作のために過度の力を必要とせずに取り除かれるよりも、マスキング層(160)が強く付着しないことが好ましい。
【0076】
補完的なフックとグリップ可能な表面要素の接続、またはフックアンドループ締結システムを介して、マスキング層(160)が取り付けられており、簡単に取り外すことができ、システムの柔軟性を向上させることができる。このことは、上述の層が修理のために取り外されるか、または交換されることができ、ユーザの好みに照らして交換またはカスタマイズされることもできることを意味している。フックとグリップ可能表面要素の接続は、好ましくは、フックアンドループ締結の形態であり得る。
【0077】
図6は、フックアンドループ締結システムを備えた本発明による吸音システム(600)の断面を示している。この図は、接続層(165)およびマスキング層(160)を備えた
図2によるパネル(100)を開示している。接続層(165)は、複数のフック(10)を備えたプラスチック箔である。接続層(165)は、好ましくは接着ドットを用いて接着(図示せず)することによって前方外側層(124)に恒久的に取り付けられている。さらに接続層(165)は、パネルがその穿孔(140)を有するのと同じ位置に(本質的に)穿孔を備えている。マスキング層(160)は、ウール、フリース、フェルト、ポリエステルフリース、他のいずれかの通気性材料またはそれらの混合物で形成されたものであり得る。上述のように、これらの材料は複数のグリップ可能な表面要素、好ましくはループ(12)を既に含み、これらは、この図では明確化のために、(フック(10)も含む)残りの部分に比較して大きく示されている。ここでは接続層(165)は前面(120)を備えている。互いのコントラストC
mが0.3未満である穿孔(140)と接続層(165)の両方を覆うマスキング層(160)により、良好な吸音特性を備えたシステムが得られており、そこではパネルの穿孔は観察者には見えなくなっている。マスキング層(160)は通気性であり、ウールまたはフェルトで構成することなどによって空気の流れを可能にしている。流れ抵抗は、1~20,000Pa*s/mであり得る。暗い前面(120)により、同じマスキング効果でマスキング層をより薄く(より低い不透明度)することができ、マスキング層の通気性が向上し、これによりシステム全体の吸音性能が向上している。好ましくは、マスキング層は4mmの厚さのフェルトで形成されている。
【0078】
図5および6の別の選択肢(図示せず)は、フックアンドループ締結システムにおいてフックアンドループの位置を取り替えることとなり得る。次に、マスキング層は複数のフックを備えた追加的な層を備える。この追加的な層は、好ましくは、通気性を確保するための微細な穿孔を備えている。互いのコントラストC
mが0.3未満である穿孔(140)と接続層(165)の両方を覆うマスキング層(160)により、良好な吸音特性を備えたシステムが得られており、そこではパネルの穿孔は観察者には見えなくなっている。マスキング層(160)は通気性であり、ウールまたはフェルトで構成することなどによって空気の流れを可能にしている。流れ抵抗は、1~20,000Pa*s/mであり得る。
【符号の説明】
【0079】
10 フック
12 ループ/グリップ可能な表面要素
100 パネル
110 パネル材
120 前面
122 背面
124 前方外側層
126 後方外側層
140 穿孔/貫通穴
160 マスキング層
165 接続層
【国際調査報告】