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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-28
(54)【発明の名称】パネルコーティングシステム
(51)【国際特許分類】
   E04F 13/07 20060101AFI20220121BHJP
【FI】
E04F13/07 D
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021526380
(86)(22)【出願日】2019-12-19
(85)【翻訳文提出日】2021-05-13
(86)【国際出願番号】 EP2019000346
(87)【国際公開番号】W WO2020126068
(87)【国際公開日】2020-06-25
(31)【優先権主張番号】PCT/EP2018/000581
(32)【優先日】2018-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510094539
【氏名又は名称】クナウフ ギプス カーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】クラウス ホルフェルダー
(72)【発明者】
【氏名】ルート シュノブリッヒ
(72)【発明者】
【氏名】クラウス ヴァンドラー
(72)【発明者】
【氏名】クラウディウス ヘングスト
(57)【要約】
本発明は、取り外し可能に取り付け可能な層をパネルに簡単かつ効率的に設置するためのパネルコーティングシステムに関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パネルコーティングシステムであって、
-パネル(2)と、
-受け面(4)と、
-取り外し可能に取り付け可能な層(6)と、を備え、
-前記受け面(4)および前記取り外し可能に取り付け可能な層(6)の一方が、複数のフック(10)を備え、前記受け面(4)および取り外し可能に取り付け可能な層(6)の他方は、前記フック(10)が把持することができる把持可能な表面要素(12)を備える、パネルコーティングシステム。
【請求項2】
前記受け面(4)および/または前記取り外し可能に取り付け可能な層(6)が、通気性である、請求項1に記載のパネルコーティングシステム。
【請求項3】
前記受け面(4)が、前記パネル(2)か、または前記パネル(2)の表面のいずれかに取り付けられている、請求項1または2に記載のパネルコーティングシステム。
【請求項4】
前記パネル(2)が、1つ以上の取り付け要素(8)を介して外面に接続可能である、請求項1~3に記載のパネルコーティングシステム。
【請求項5】
前記取り付け要素(8)が、前記パネル(2)を前記表面から吊り下げる、請求項4に記載のパネルコーティングシステム。
【請求項6】
前記把持可能な表面要素(12)が、前記フック(10)によって把持することができるループまたは繊維のいずれかを備える、請求項1~5のいずれかに記載のパネルコーティングシステム。
【請求項7】
前記把持可能な表面要素(12)が、フェルトでできている、請求項1~6のいずれかに記載のパネルコーティングシステム。
【請求項8】
前記パネル(2)が、吸音構造を有する、請求項1~7のいずれかに記載のパネルコーティングシステム。
【請求項9】
前記パネル(2)が、複数の孔(14)を有する、請求項1~8のいずれかに記載のパネルコーティングシステム。
【請求項10】
前記受け面(4)が、複数の孔(16)を備え、前記受け面(4)の前記複数の孔(16)が、前記パネル(2)の前記複数の孔(14)と整列している、請求項7に記載のパネルコーティングシステム。
【請求項11】
前記受け面に取り付けるための側とは反対側に、前記取り外し可能に取り付け可能な層(6)に固定された追加の外層をさらに備える、請求項1~10のいずれかに記載のパネルコーティングシステム。
【請求項12】
前記取り付け要素(8)が、前記パネルの1つ以上の端部に沿って伸びる手すり部を備える、請求項4~11のいずれかに記載のパネルコーティングシステム。
【請求項13】
前記取り外し可能に取り付け可能な層(6)が、前記パネル(2)と前記手すり部との両方を覆う表面積を有する、請求項12に記載のパネルコーティングシステム。
【請求項14】
各々がそれぞれの受け面(4)を有する1つ以上の追加のパネル(2)をさらに備える、請求項1~13のいずれかに記載のパネルコーティングシステム。
【請求項15】
各パネル(2)が、取り外し可能に取り付け可能な層(6)を有する、請求項14に記載のパネルコーティングシステム。
【請求項16】
複数のパネル(2)が、単一の取り外し可能に取り付け可能な層(6)を共有する、請求項14に記載のパネルコーティングシステム。
【請求項17】
前記取り外し可能に取り付け可能な層(6)が、互いに隣接して配置されたときに、前記取り外し可能に取り付け可能な層(6)の間に隙間を示さない側面を有する、請求項14または15に記載のパネルコーティングシステム。
【請求項18】
前記取り外し可能に取り付け可能な層(6)が、合成繊維および/または天然繊維でできている、請求項14~17のいずれかに記載のパネルコーティングシステム。
【請求項19】
前記取り外し可能に取り付け可能な層(6)が、フェルトでできている、請求項18に記載のパネルコーティングシステム。
【請求項20】
前記取り外し可能に取り付け可能な層(6)が、フェルトによって接合される場合がある、請求項18または19に記載のパネルコーティングシステム。
【請求項21】
前記取り外し可能に取り付け可能な層(6)の、前記受け面(4)に取り付けるための前記表面とは反対側の前記表面が、視覚的に閉じている、請求項1~20のいずれかに記載のパネルコーティングシステム。
【請求項22】
パネルコーティングシステムを製造する方法であって、
-受け面(4)をパネル(2)に固定することと、
-取り外し可能に取り付け可能な層(6)を提供することと、を含み、
-前記受け面(4)および前記取り外し可能に取り付け可能な層(6)の一方が、複数のフック(10)を備え、前記受け面(4)および取り外し可能に取り付け可能な層(6)の他方は、前記フック(10)が把持することができる把持可能な表面要素(12)を備える、パネルコーティングシステムを製造する方法。
【請求項23】
-前記受け面(4)および/または前記取り外し可能に取り付け可能な層(6)が、通気性である、ことをさらに含む、請求項22に記載のパネルコーティングシステムを製造する方法。
【請求項24】
-前記受け面(4)を穿孔することと、
-前記パネル(2)に複数の孔(14)を作ることと、をさらに含む、請求項22または23に記載のパネルコーティングシステムを製造する方法。
【請求項25】
前記受け面(4)が、前記パネル(2)に固定され、次いで、前記受け面(4)における複数の孔(16)と前記パネル(2)における前記複数の孔(14)とが、単一の処理で製造される、請求項24に記載のパネルコーティングシステムを製造する方法。
【請求項26】
前記受け面(4)の前記穿孔、および前記パネル(2)における前記複数の孔(14)が、別個の処理で製造され、その後、前記受け面(4)が前記パネルに固定される、請求項24に記載のパネルコーティングシステムを製造する方法。
【請求項27】
前記複数の孔(14)が前記パネル(2)に製造された後に、前記受け面(4)が前記パネル(2)に取り付けられ、続いて前記受け面(4)が穿孔される、請求項24に記載のパネルコーティングシステムを製造する方法。
【請求項28】
-前記パネル(2)に複数の孔(14)を作ることと、
-複数の開口部(16)を含むネット構造を有する前記受け面(4)を製造することと、をさらに含む、請求項22に記載のパネルコーティングシステムを製造する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、取り外し可能に取り付け可能な層をパネルに簡単かつ効率的に設置するためのパネルコーティングシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
室内音響は、建物の建設や改修の際に考慮しなければならない重要な要因である。教室や講堂などの多くの公的機関では、室内音響に関する厳しい規制を遵守する必要がある一方で、オフィスやアパートなどのエリアでは、特にオープンプランのミニマリスト家具スタイルが採用されている場合、快適さや健康のために騒音管理が必要である。さらに、室内音響は調整可能ではあるが、その使用目的に最適な条件を実現するために、劇場や音楽室などの環境では、慎重に制御される必要がある。
【0003】
室内音響を表すのに用いられる重要な要因には、残響時間がある。残響時間とは、密閉された空間内部で音が消えるのに必要な時間を意味する。部屋の中の音は、音波が接触する表面に吸収されないと反響し、それどころか、密閉された空間内部の該表面で反射する可能性がある。
【0004】
この残響時間は、関連する周波数範囲にある音がより吸収されるように表面を改良することによって短縮させることができ、それにより反射が最小限に抑えられる。この効果のために、鉱物繊維/ウール、ポリエステル繊維、PURフォームなどの有孔の音響/吸音材料が、利用される場合がある。
【0005】
必要とされる環境で室内音響を改善するために、これらのような吸音材料が、壁、天井、さらには床面上に利用される場合がある。一般に、吸音材料および/または構造物は、鉱物繊維の天井などの仕上面とともに販売される場合がある。さらに、室内音響の改善は、パネルの構造を改良することによっても実現可能である。例えば、金属プロファイルまたは木製薄板の懸垂系に取り付けられた鉱物ウールの裏打ちが付いた穿孔石膏ボードがある。
【0006】
部屋の表面上に設置された吸音材料および/または構造物は、なんらかの消音機構が設置されていることをユーザーが見てすぐ分からないように環境とシームレスに調和させることが、必要とされるか、または好まれることが多い。したがって、吸音材料および/または構造物は、機構間で認識できる隙間がなく、単一の均一な表面を形成しているように見えるように設置されることが望ましい。
【0007】
例えば、吸音パネルの形態で吸音材料を設置することが知られている。しかしながら、これらには、音響の有効性および隠蔽性に関して特有の欠点がある。
【0008】
Knauf Cleaneo Acousticリニアパネルなどの穿孔吸音パネルは、該パネルの背面への接続部を介して天井から吊り下げることができるが、鉱物繊維パネルは、個々のパネルの端部を囲む格子状の手すり構造を介して所定の位置に保持されることが多い。
【0009】
しかしながら、上述の構造物のいずれかを利用するシステムでは、視覚的に閉じた表面、すなわち、連続的で外観に穿孔のない表面を形成しないという、望ましくない影響が残ることが多い。穿孔吸音パネルには多数の目に見える孔があり、一方、鉱物繊維パネルは複数のパネルを目に見えて分離する手すり構造物を備える。
【0010】
継目/端部/孔の隠蔽の代替方法は、穿孔石膏ボードなどのキャリアボード上に音響石膏を施工することを特徴とする。残念ながら、音響石膏の消音の利点を得るには、慎重な、複雑で、費用のかかる設置が必要である。したがって、音響石膏の有効性はその設置に大きく依存するものであり、それは、専門知識が必要であり、最終的な結果は消費者に手頃な価格や信頼性を保証することができないことを意味する。
【0011】
さらに、音響石膏の使用は、改修困難または修理が妨げられるか、もしくは修理が非常に困難であるかのいずれかを伴う。
【0012】
さらに、音響石膏の消音特性は、石膏自体の通気性に依存し、塗料やワニスなどの非通気性材料の層を追加することによって石膏を覆うと、空気の流れが妨げられて、石膏の消音特性が減少する(または完全に無効になる)。それに応じて、外観を修正することが困難、あるいは不可能になる。
【0013】
音響石膏を使用することには、流れのないエリアとは対照的に、空気が石膏を通って流れるエリアでの変色などのさらなる欠点がある。このことは、表面全体にわたっていくらかの色むらを残し、これは、対処することが難しいものである。さらに、音響石膏の表面に固定具を設置しようとすると、設計上の問題が発生する。音響石膏は、一度覆われると、複数の下にあるボード全体にわたって均一な表面を作り出すため、この表面への構成要素の孔あけが石膏ボード自体を貫通するか、下にある下部構造物を貫通するかを知ることは困難である。
【0014】
継目/端部/孔の隠蔽の別の可能性には、Knaufによって開発されたような音響壁紙がある。音響石膏に対する利点は、施工中に音響効果がユーザーにとって実質的に破壊されないことである。しかしながら、欠点は、(音響石膏と同様)コストが高く、処理が非常に特殊で汚れに影響されやすいことである。音響石膏とほぼ同じように、孔が見えなくなった穿孔天井タイル上へのその後の設置および/または固定具の問題、および改修の機会がなくなること(新しい壁紙を施工する必要があっても、入手や施工に再び費用がかかり、一方、塗装することも不可能である)が、依然として残る。
【0015】
消音について説明してきたが、これらの問題の多くは、標準的な壁のコーティングを検討する場合でも存在することに留意されたい。壁紙および石膏の施工または修理は円滑に行うのが難しく、また消費者にとってコストのかかる専門知識が必要になることが多い。さらに、表面のカスタマイズには時間および専門知識が必要であり、修正が実質的に永続的であると見なされるため、人々が部屋を改装することはめったにない。このように、現在使用されている標準的な壁コーティングを使用して行われる場合がある変更および修理によって人々が制限されることは問題である。
【0016】
したがって、本発明の目的は、視覚的に閉じた表面を実現することができるように、下にある構造のファセット、特に、吸音パネルの穿孔および/または手すり構造物を覆うことを可能にする追加の層を備える、複数の個々の要素、特に消音パネルを備えるシステムを提供することである。
【0017】
また本発明の目的は、ユーザーの好みまたは要件に応じて、壁または天井などの部屋の表面を容易に設置およびカスタマイズすることを可能にし、かつ、該層が、修理または交換の場合に容易に取り外すことができるように、取り外し可能な方式で、パネルを層で覆うことである。
【0018】
本発明の別の目的は、空気が依然としてパネルを通り、かつパネルを通り抜け、それによって消音構造を利用することができるように、空気の流れを妨げない方式で、パネルを覆うことである。
【0019】
発明の概要
本発明は、パネル、受け面、および取り外し可能に取り付け可能な層を備えるパネルコーティングシステムに関する。受け面および取り外し可能に取り付け可能な層の一方は、複数のフックを備え、他方は、フックが把持することができる把持可能な表面要素を備える。
【0020】
相補的なフックおよび把持可能な表面要素の接続部を介して、本発明の取り外し可能に取り付け可能な層は、それが容易に取り外せられ得るように取り付けられ、システムのより大きな柔軟性を可能にする。これは、該層が、修理のために取り外しまたは交換され得、ユーザーの好みに照らして交換またはカスタマイズすることもできることを意味する。
【0021】
好ましくは、受け面および/または取り外し可能に取り付け可能な層は、通気性である。
【0022】
受け面および/または取り外し可能に取り付け可能な層の通気性は、パネルを備え、かつ空気の流れに依存するいかなる防音構造も妨げず、それにより、パネルの消音特性を依然として実現させることを確実にする。
【0023】
本発明の受け面は、パネルに取り付けられるか、またはパネル自体の表面であってもよく、あるいはパネルに取り付けられた層の表面であってもよい。
【0024】
本発明のパネルは、1つ以上の取り付け要素によって外面(例えば天井)に接続可能であってもよく、これらの取り付け要素は、パネルを該外面から吊り下げることができる。これらの取り付け要素は、パネルの1つ以上の端部に沿って伸びる手すり部、または、パネルの背面、すなわち、受け面の反対側のパネルの表面に接続する機構を備えてもよい。
【0025】
取り外し可能に取り付け可能な層は、パネルと、任意の隣接する取り付け要素、例えば手すり部との両方を覆うことができるように、それが取り付けられることになるパネルを越えて延在する表面積を有してもよい。
【0026】
本発明の好ましい態様では、把持可能な表面要素は、フックによって把持することができるループまたは繊維、好ましくはフェルトのいずれかを備える。
【0027】
本発明の好ましい態様では、パネルは吸音構造を有する。パネルは、複数の孔を備えてもよい。受け面はまた、複数の孔を備えてもよく、これらの孔は、パネルの孔と整列する。
【0028】
本発明の好ましい態様では、追加の外層、例えば、マイクロ穿孔壁紙が、受け面に取り外し可能に取り付けられることになる層に対して取り外し可能に取り付け可能な層の反対側の取り外し可能に取り付け可能な層に固定されてもよい。
【0029】
本発明のパネルコーティングシステムはまた、各々がそれら自体の受け面を有する複数のパネルを備えてもよい。各パネルはまた、それぞれの取り外し可能に取り付け可能な層を有するか、または取り外し可能に取り付け可能な層は、複数のパネルを覆うのに十分な大きさであってもよい。しかしながら、それらがパネルより小さいサイズである場合、複数の取り外し可能に取り付け可能な層で、パネルの表面を覆うことも可能であるので、概して、パネルのサイズと、取り外し可能に取り付け可能な層のサイズとは、互いに依存しないこともある。
【0030】
該取り外し可能に取り付け可能な層は、複数の取り外し可能に取り付け可能な層が互いに隣接して配置された場合に該層間の隙間が見えない、側面を有する場合がある。これらの側面は平坦であり、受け面に取り付けられることになる表面に対して垂直に延在してもよい。さらに、取り外し可能に取り付け可能な層はまた、安定した形状であってもよい。加えて、取り外し可能に取り付け可能な層の好ましい厚さは、2mm~10mmの範囲、好ましくは4mm~7mmの範囲であってもよい。
【0031】
本発明の好ましい態様では、取り外し可能に取り付け可能な層は、合成繊維および/または天然繊維、好ましくはフェルトでできていてもよく、取り外し可能に取り付け可能な層は、フェルトによって接合されてもよい。
【0032】
本発明はまた、パネルコーティングシステムを製造するための方法に関し、該方法は、受け面をパネルに固定するステップと、取り外し可能に取り付け可能な層を製造または提供するステップとを含む。受け面および取り外し可能に取り付け可能な層の一方は、複数のフックを備え、他方は、該フックが把持することができる把持可能な表面要素を備える。取り外し可能に取り付け可能な層および/または受け面は、通気性であってもよい。
【0033】
本発明の好ましい態様では、方法はまた、受け面に穿孔するステップと、パネルに複数の孔を作るステップとを含む。
【0034】
本発明のさらに好ましい態様では、受け面は、パネルに取り付けられ、次いで、単一の処理中に、両方に孔が作製される。
【0035】
本発明の代替の好ましい態様では、受け面の穿孔と、パネルにおける孔の作製とは、別々の処理で作製され、受け面とパネルは、その後、一緒に固定される。
【0036】
本発明の別の代替の好ましい態様では、パネルに孔が作製され、その後、受け面が該パネルに固定され、次に、受け面に穿孔が行われる。
【0037】
本発明のさらに代替の好ましい態様では、複数の孔がパネルに作られ、別途、受け面が、複数の開口部を有するネット状の構造で作製される。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1】本発明の第1の実施形態によるパネルコーティングシステムの概要を示す。
図2】パネルが複数の孔を備える、本発明の第2の実施形態によるパネルコーティングシステムの概要を示す。
図3】パネルと受け面との両方が、複数の孔を備える、本発明の第3の実施形態によるパネルコーティングシステムの概要を示す。
図4】本発明の第4の実施形態によるパネルコーティングシステムの概要を示す。
図5】パネルが複数の孔を備える、本発明の第5の実施形態によるパネルコーティングシステムの概要を示す。
図6】パネルと受け面との両方が、複数の孔を備える、本発明の第6の実施形態によるパネルコーティングシステムの概要を示す。
図7】受け面を有する複数のパネルと、それぞれの取り外し可能に取り付け可能な層とを含む、本発明によるパネルコーティングシステムの概要を示す。
図8】受け面を有する複数のパネルと、代替の取り付け要素を有するそれぞれの取り外し可能に取り付け可能な層とを含む、本発明によるパネルコーティングシステムの概要を示す。
【0039】
図の詳細な説明
本発明の第1の実施形態によるパネル2のコーティングシステムを図1に見ることができる。該パネルコーティングシステムは、パネル2、および受け面4を備える。
【0040】
図1に見られるようなパネル2は、通気性のある鉱物繊維材料のものであってもよい。
【0041】
図1に見られるような受け面4は、パネル2に固定される受け面4の表面と反対の表面上で受け面4から延在する複数のフック10を備える。
【0042】
受け面4は、接着剤などの固定手段を介してパネル2に固定されるか、または積層体を介して取り付けられてもよい。この取り付けは、受け面4を取り外し可能に取り付け可能な層6から分離するのに必要な力よりも、受け面4をパネル2から取り外すのに必要な力が大きい、好ましくは、はるかに大きいほど十分に強くてもよい。
【0043】
これにより、取り外し可能に取り付け可能な層6を受け面4から取り外す際にユーザーによって加えられる力が、受け面4をそれが取り付けられているパネル2から取り外さないことを確実にする。
【0044】
システムはまた、取り外し可能に取り付け可能な層6を備える。該取り外し可能に取り付け可能な層6は、受け面4に取り付けられることを意図した取り外し可能に取り付け可能な層6の表面全体に広がる、受け面4のフック10が把持することができる機構を備える。
【0045】
取り外し可能に取り付け可能な層6は、それが受け面4に取り付けられ得るように、取り外し可能に取り付け可能な層6の表面に追加されたループを備えてもよい。あるいは、取り外し可能に取り付け可能な層6は、受け面4のフック10が把持することができる材料でできていてもよい。これは、フェルトなどの繊維状の材料であってもよい。
【0046】
受け面4と、取り外し可能に取り付け可能な層6との両方は、空気がそれらを通って流れることができるように通気性である。これにより、パネル2の消音構造を利用することができる。
【0047】
パネル2は、パネル2を外面に接続するいくつかの取り付け要素8に接続される。図1のシステムが接続されることになる外面は、好ましくは天井である。図1の取り付け要素8は、外面への接続部の表示のみを提示する。取り付け要素8は、パネル2の端部を取り囲む格子状の構造と、格子状の構造を天井から吊り下げる垂直部材とを備えてもよい。
【0048】
あるいは、取り付け要素8は、パネルの上面(すなわち、受け層に接続された表面の反対側の表面)に取り付けられた機構を備えてもよく、該パネルは、次いで、例えばケーブル、ロッド、または他の様々な剛性構造要素などの垂直構成要素をさらに介して、天井に接続される。
【0049】
図1の矢印によって示されるように、取り外し可能に取り付け可能な層6の取り付けは、把持可能な表面要素12と取り外し可能に取り付け可能な層6とを接合することによって簡単に行われる。
【0050】
取り外し可能に取り付け可能な層6に加えられる押圧力は、相補的な取り付け機構が相互作用し、互いに十分な接続を形成することを可能にするのに十分でなければならない。該押圧力は手で加えることができる。あるいは、押圧力は、手動工具または機械操作工具によって加えられてもよい。
【0051】
取り外し可能に取り付け可能な層6は、ユーザーが取り外し可能に取り付け可能な層6を受け面4から単に引っ張ることができるように、手で取り外し可能であってもよい。あるいは、取り外し可能に取り付け可能な層6の取り外しを支援するための取り外し工具があり得る。
【0052】
このように、相補的な取り付け機構(フック10および把持可能な表面要素12)は、取り外し可能に取り付け可能な層6が長期間にわたって重力に逆らって天井に保持され得る十分な強度の取り付けを提供する必要がある。
【0053】
本発明の第2の実施形態は、図2に見ることができる。特に明記しない限り、第2の実施形態は、第1の実施形態と同じ構成要素を備える。
【0054】
本発明の第2の実施形態は、パネル2が複数の貫通孔14を備えるという点で、本発明の第1の実施形態とは異なる。該孔14は、空気がボードを通って流れることを可能にする。これらの孔14は、室内の音響管理に利用することができる消音特性を提供することができる。該孔14は、それらが設置されている環境に消音効果を提供することができる。これらの孔14は、長方形、正方形、または円形などの様々な形状の断面のいずれかを有することができる。パネル2における孔14は、パネル2の消音効果を提供する上で大きな役割を果たすので、孔の分布およびサイズは、選択された環境に必要な消音効果を提供するように選択され得る。パネル2は、好ましくは、Knauf Cleaneo音響ボードであってもよい。
【0055】
本発明の第3の実施形態は、図3に見ることができる。特に明記しない限り、第3の実施形態は、第2の実施形態と同じ構成要素を備える。
【0056】
第3の実施形態はまた、受け面4に貫通孔16を備えてもよい。これらの貫通孔16は、受け面4とパネル2との両方を通って延在通路が形成されるように、パネル2の貫通孔14と整列することができる。
【0057】
本発明の第4の実施形態を図4に見ることができる。特に明記しない限り、第4の実施形態は、第1の実施形態と同じ構成要素を備える。
【0058】
第4の実施形態は、取り外し可能に取り付け可能な層6が複数のフック10(第1の実施形態の受け面4と同様の)を備えるのと同時に、受け面4が取り外し可能に取り付け可能な層6のフック10が把持することができる機構(第1の実施形態の取り外し可能に取り付け可能な層6と同様の)を備える点で第1の実施形態とは異なる。
【0059】
受け面4は、パネル2に固定された別個の層でなくてもよいが、フック10が把持することができる材料でパネル2自体ができている場合、パネル2の外面が受け面4として機能し得ることに留意されたい。
【0060】
第4の実施形態はまた、取り外し可能に取り付け可能な層6、例えば壁紙または薄い布に固定される追加の外層(図示せず)を特徴とし得る。該層は、空気の流れを妨げず、それによってパネル2の消音特性が実現され得ることを確実にするように、通気性である必要がある。
【0061】
本発明の第5の実施形態は、図5に見ることができる。特に明記しない限り、第5の実施形態は、第4の実施形態と同じ構成要素を備える。
【0062】
本発明の第5の実施形態は、パネル2が複数の貫通孔14を備えるという点で、本発明の第4の実施形態とは異なる。該孔14は、空気がボードを通って流れることを可能にする。この構造は、消音の利点を提供する。パネル2は、好ましくは、Knauf Cleaneo音響ボードであってもよい。
【0063】
本発明の第6の実施形態を図6に見ることができる。特に明記しない限り、第6の実施形態は、第5の実施形態と同じ構成要素を備える。
【0064】
第6の実施形態はまた、受け面4に貫通孔16を備えてもよい。これらの貫通孔16は、受け面4とパネル2との両方を通って延在する通路が形成されるように、パネル2の貫通孔14と整列することができる。
【0065】
図7は、受け面4を有する複数のパネル2と、それぞれの取り外し可能に取り付け可能な層6とを備える、本発明によるパネルコーティングシステムを示す。
【0066】
パネル2は、パネル2の間に隙間がないように、互いに並んで配置されてもよい。同様に、取り外し可能に取り付け可能な層6はまた、それらが並んで配置されて、隙間が見られず、それにより視覚的に閉じた表面を形成するように取り付けられてもよい。
【0067】
隣接する取り外し可能に取り付け可能な層6は、取り外し可能に取り付け可能な層6と隣接する取り外し可能に取り付け可能な層6との間に緊密な結合が形成されることを確実にする固定手段を介して互いに固定されてもよい。例えば、それらは接着剤を介して互いに固定されてもよい。それらはまた、両方を密閉し、それ自体が吸音能力を有する音響シーラントによって固定されてもよい。
【0068】
あるいは、取り外し可能に取り付け可能な層6がフェルトなどの繊維状材料から作られる場合、それらは、特別な工具、例えばフェルト針を使用して一緒にフェルト化されてもよい。
【0069】
図7は、図2に見られるように、複数のパネル2、受け面4、および取り外し可能に取り付け可能な層6を使用して示されるが、それらの取り付け要素8が、それらを分離する機構なくパネル2が並んで配置されることを可能にする限り、先の実施形態のいずれかが使用されてもよいことを理解されよう。
【0070】
図8は、受け面4を有する複数のパネル2と、それぞれの取り外し可能に取り付け可能な層6とを備える、本発明によるパネルコーティングシステムを示す。
【0071】
図8には、取り付け手段が隣接するパネル2を分離する機構、例えば格子状の構造を備える場合に、本発明のパネルコーティングシステムがどのように施工され得るかが示される。
【0072】
図8に見られるように、取り外し可能に取り付け可能な層6は、それらが取り付けられることになるパネル2よりも大きな表面積を有するようなサイズにすることができる。それにより、それらはまた、該パネル2に隣接する取り付け要素8を覆うことができる。
【0073】
このようにして、視覚的に閉じた表面が形成されて、取り付け要素8を覆うことができる。
【0074】
図8は、図1に見られるように、複数のパネル2、受け面4、および取り外し可能に取り付け可能な層6を使用して示されるが、それらの取り付け要素8が隣接するパネル2を分離する限り、先の実施形態のいずれかが使用されてもよいことを理解されよう。
【0075】
パネル2における孔14の形成および受け面4の穿孔は、本発明によるいくつかの異なる方式で実施することができる。
【0076】
第1に、受け面4における穿孔が、パネル2の孔14と一致し、かつそれと整列する孔16を備えることを意図する場合、受け面4とパネル2との両方における孔の形成は、単一のステップで形成されてもよい。パネル2と受け面4とは、(いずれかに孔をあける前に)一緒に固定されて、次に、任意の好適な手段によって、2つの機構に一緒に孔作成処理が行われてもよい。
【0077】
第2に、受け面4における穿孔と、パネル2の孔14とは、両方が別々の処理で作製されてもよく、受け面4とパネル2とは、その後、互いに取り付けられる。
【0078】
第3に、孔14は、パネル2に作製されてもよく、その後、受け面4が取り付けられてもよい。次に、2つの層が取り付けられた後に、受け面4に穿孔が作製されてもよい。
【0079】
最後に、受け面4は、大きな穿孔/開口部が存在するネット状の構造で作製されてもよい。パネル2に孔14が形成されてもよく、続いて2つの層が接合されてもよい。
【0080】
穿孔は、大きな目に見える孔16を含むか、あるいは、少なくとも約1メートル以上の距離から、人間の目には見えない微細な穿孔を備える場合があることに留意されたい。ただし、穿孔は、層に通気性をもたせることを可能にする必要がある。
【0081】
本発明の取り外し可能に取り付け可能な層6は、繊維材料、合成繊維、天然繊維、例えばあらゆる種類のウール、鉱物繊維、音響発泡体、音響ガラス繊維、ポリエステルなどのうちの1つ以上でできていてもよい。パネル2は、石膏プラスターボード、鉱物繊維ボード、鉱物繊維石膏ボード、または任意の他の既知のパネル、好ましくは音響パネルであってもよい。パネル2は、穿孔されても、穿孔されなくてもよい。
【0082】
複数の取り外し可能に取り付け可能な層6を使用することにより、表面の様々なデザインおよび色を容易に変更することが可能になる。これにより、本発明を看板および広告掲示板の分野で利用することが可能になる可能性がある。さらに、取り外し可能に取り付け可能な層6は、設置前に選択された色で覆うことができ、それにより、それが表面に接続されていない間に色を適用することを可能にすることでユーザーを支援する。本発明による複数の取り外し可能に取り付け可能な層6は、特定の用途のために単一の色に着色することができる。例えば、いくつかの白色の取り外し可能に取り付け可能な層6は、設置されたときにプロジェクタスクリーンを形成し得、一方、いくつかの緑色の取り外し可能に取り付け可能な層6は、容易なグリーンバック環境の作成を可能にし得る。
【0083】
パネル2はまた、部屋分割パネル、看板または掲示板などの自立構造に取り付けることができる。広告の分野では、容易に取り付けたり取り外したりできるカスタマイズ可能なパネルにより、一時的な看板をより簡単かつ迅速に、非永続的に取り付けることが可能になる。あるいは、パネル2自体は、それらが外面に取り付けられる必要がないように、自立構造を形成することができる。
【0084】
「相補的なフックとフックが把持することができる層」との固定方法により、表面をコーティングするためのクリーンな方法が提供される。石膏や壁紙がないため、粒子が混ざり合ったり、コーティング塗装を劣化させたりすることがない。さらに、システムで使用される材料は、オペレーターの健康に害を及ぼすことがなく、完全に有機的な、例えばフェルトであってもよい。これはまた、リサイクル可能な材料が使用され、それにより、環境への悪影響を軽減することができることを意味する。さらに、材料の輸送および保管は非常に簡単であり、使用される材料は多少の損傷に強い場合がある。
【0085】
しかしながら、「ループを備え得る、フックが把持することができる相補的なフックおよび層」が、ループと、キノコのような形成物または両側上でキノコのような形成物との組み合わせであってもよいことも、可能である。
【0086】
本発明のシステムによって提供されるさらなる利点には、容易な洗浄および修理が含まれ、取り外し可能に取り付け可能な層6は、取り外し可能に取り付け可能な層6に容易にアクセスして作業することができる環境で取り外し、かつ洗浄することができる。取り外し可能に取り付け可能な層6が、単なる修理では補えないほど損傷した場合、それらは容易に取り外して交換することが可能である。標準的な寸法出し、および取り外し可能に取り付け可能な層6が容易に修正可能であることにより、交換品は、古い取り外し可能に取り付け可能な層6の位置に容易に適合させることができる。これにより、小さな部分がひどく損傷した場合に、天井、壁、床などの表面全体を改修する必要を抑える。簡素な構造とすぐに利用可能な材料により、システムを購入するコストを抑えることを確実にする。
【0087】
システムの多様性はまた、消費者のニーズに応じて、取り外し可能に取り付け可能な層6が多種多様な色、プリント、および材料で利用可能であり得ることを意味する。そのため、部屋の改装は、システムの消音特性を損なうことなく、容易に行うことができる。
【符号の説明】
【0088】
2 パネル
4 受け面
6 取り外し可能に取り付け可能な層
8 取り付け要素
10 フック
12 把持可能な表面要素
14 パネルの孔
16 受け面孔
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【国際調査報告】