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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-28
(54)【発明の名称】デジタルピクセル
(51)【国際特許分類】
   G01S 7/4865 20200101AFI20220121BHJP
   H04N 5/335 20110101ALI20220121BHJP
【FI】
G01S7/4865
H04N5/335
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021527984
(86)(22)【出願日】2019-11-19
(85)【翻訳文提出日】2021-07-19
(86)【国際出願番号】 US2019062099
(87)【国際公開番号】W WO2020106661
(87)【国際公開日】2020-05-28
(31)【優先権主張番号】62/769,287
(32)【優先日】2018-11-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520303014
【氏名又は名称】センス・フォトニクス,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Sense Photonics, Inc.
(71)【出願人】
【識別番号】500219618
【氏名又は名称】ザ・ユニバーシティ・コート・オブ・ザ・ユニバーシティ・オブ・エディンバラ
【氏名又は名称原語表記】The University Court of the University of Edinburgh
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100107319
【弁理士】
【氏名又は名称】松島 鉄男
(74)【代理人】
【識別番号】100125380
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 綾子
(74)【代理人】
【識別番号】100142996
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 聡二
(74)【代理人】
【識別番号】100166268
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 祐
(74)【代理人】
【識別番号】100180231
【弁理士】
【氏名又は名称】水島 亜希子
(74)【代理人】
【識別番号】100096769
【弁理士】
【氏名又は名称】有原 幸一
(72)【発明者】
【氏名】ヘンダーソン,ロバート
(72)【発明者】
【氏名】フィンケルシュタイン,ホッド
【テーマコード(参考)】
5C024
5J084
【Fターム(参考)】
5C024CY17
5C024CY45
5C024EX11
5C024GX03
5C024GY39
5C024GY41
5C024GY45
5C024HX32
5C024JX08
5J084AA05
5J084AD03
5J084BA04
5J084BA07
5J084BA36
5J084BA40
5J084BB02
5J084BB04
5J084CA03
5J084CA32
(57)【要約】
LIDAR(光検出及び測距)測定回路は、ある検出窓の間に複数の検出器素子に入射した複数の光子に応じて複数の検出器素子から出力される検出信号を受信し、検出信号に基づいて検出イベントを特定し、検出窓のそれぞれの時間間隔において特定された検出イベントのそれぞれの数の合計に基づき、複数の光子の推定到達時間を計算するように構成されたプロセッサ回路を備える。プロセッサ回路は、検出イベントのそれぞれに応じてインクリメントされるカウンタ信号と、それぞれの時間間隔に対応するクロック信号とに基づき、それぞれの時間間隔において特定された検出イベントのそれぞれの数の合計を出力するように構成された少なくとも1つのアキュムレータ回路を備えることができる。
【選択図】図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのプロセッサ回路を備えるLIDAR(光検出及び測距)測定回路であって、該少なくとも1つのプロセッサ回路は、
ある検出窓の間に複数の検出器素子に入射した複数の光子に応じて該複数の検出器素子から出力される検出信号を受信することと、
前記検出信号に基づいて検出イベントを特定することと、
前記検出窓のそれぞれの時間間隔において特定された前記検出イベントのそれぞれの数の合計に基づき、前記複数の光子の推定到達時間を計算することと
を含む動作を実施するように構成されたものである、LIDAR測定回路。
【請求項2】
前記少なくとも1つのプロセッサ回路は、
前記検出イベントのそれぞれに応じてインクリメントされるカウンタ信号と、前記それぞれの時間間隔に対応するクロック信号とに基づき、前記それぞれの時間間隔において特定された前記検出イベントの前記それぞれの数の前記合計を出力するように構成されたアキュムレータ回路を備える、請求項1に記載のLIDAR測定回路。
【請求項3】
前記アキュムレータ回路は第1のアキュムレータ回路であり、前記少なくとも1つのプロセッサ回路は、
前記カウンタ信号に基づき、前記検出窓の間に特定された前記検出イベントの総数を示すカウント値を出力するように構成されている第2のアキュムレータ回路を更に備える、請求項2に記載のLIDAR測定回路。
【請求項4】
前記少なくとも1つのプロセッサ回路は、
互いに対するそれぞれの相関時間内に出力される前記検出信号のそれぞれのサブセットに基づき前記検出イベントの前記特定を実施するように構成されるとともに、前記検出イベントのそれぞれの前記特定に応じて前記カウンタ信号をインクリメントするように構成されている相関回路を更に備える、請求項2に記載のLIDAR測定回路。
【請求項5】
前記少なくとも1つのプロセッサ回路は、
前記それぞれのサブセットのそれぞれの前記検出信号の数を示す信号を出力するように構成されている並列カウンタ回路を更に備えており、
前記相関回路は、閾値数に対する前記それぞれのサブセットのそれぞれの前記検出信号の前記数に基づき、前記検出イベントの前記特定を実施するように構成されている、請求項4に記載のLIDAR測定回路。
【請求項6】
前記アキュムレータ回路は、前記クロック信号のそれぞれのパルスに応じて前記カウンタ信号のそれぞれの値を積算するように構成され、前記クロック信号の前記それぞれのパルスの周期は前記それぞれの時間間隔に対応する、請求項2に記載のLIDAR測定回路。
【請求項7】
前記少なくとも1つのプロセッサ回路は、
前記検出窓の開始とは無関係に、前記検出窓に対応するストローブ信号と、前記特定によって示される前記検出イベントのうちの1つとに応じて、前記アキュムレータ回路に前記クロック信号を出力するように構成されているクロック回路を更に備える、請求項2に記載のLIDAR測定回路。
【請求項8】
前記少なくとも1つのプロセッサ回路は、前記検出窓の前記それぞれの時間間隔において特定された前記検出イベントの前記それぞれの数の前記合計と、前記検出窓の間に特定された前記検出イベントの総数を示すカウント値との比に基づき、前記複数の光子の前記推定到達時間を計算するように構成されている、請求項1~7のいずれか一項に記載のLIDAR測定回路。
【請求項9】
前記検出窓は第1の検出窓を含み、前記動作は、
第2の検出窓の間に前記複数の検出器素子のうちの1つ以上に入射した第2の光子に応じて該複数の検出器素子のうちの1つ以上から出力される第2の検出信号を受信することを更に含み、
前記少なくとも1つのプロセッサ回路は、前記第2の検出信号に基づいて前記推定到達時間の背景補正を実施するように構成されている、請求項1~8のいずれか一項に記載のLIDAR測定回路。
【請求項10】
前記検出信号は、前記検出窓の間の前記光子のそれぞれの到達時間を示し、前記少なくとも1つのプロセッサ回路は、前記それぞれの到達時間の時間-デジタル変換とは無関係に、前記複数の光子の前記推定到達時間を計算するように構成されている、請求項1~9のいずれか一項に記載のLIDAR測定回路。
【請求項11】
LIDAR(光検出及び測距)システムであって、
ある検出窓の間に単一光子検出器素子に入射した複数の光子に応じて検出信号を出力するように構成された前記単一光子検出器素子を備える検出器アレイと、
前記検出器アレイから出力される前記検出信号を受信し、前記検出信号に基づき検出イベントを特定し、前記検出窓のそれぞれの時間間隔において特定された前記検出イベントのそれぞれの数の合計に基づき、前記複数の光子の推定到達時間を計算するように構成された少なくとも1つのプロセッサ回路と
を備えてなる、LIDARシステム。
【請求項12】
前記少なくとも1つのプロセッサ回路は、
前記それぞれの時間間隔に対応するクロック信号のそれぞれのパルスに応じて、前記検出イベントのそれぞれに応じてインクリメントされるカウンタ信号のそれぞれの値を積算することにより、前記それぞれの時間間隔において特定された前記検出イベントの前記それぞれの数の前記合計を出力するように構成されている第1のアキュムレータ回路と、
前記カウンタ信号の前記それぞれの値のうちの1つに基づき、前記検出窓の間に特定された前記検出イベントの総数を示すカウント値を出力するように構成されている第2のアキュムレータ回路と
を備えており、
前記少なくとも1つのプロセッサ回路は、前記合計と前記カウント値との比に基づき、前記複数の光子の前記推定到達時間を計算するように構成されている、請求項11に記載のLIDARシステム。
【請求項13】
前記少なくとも1つのプロセッサ回路は、
互いに対するそれぞれの相関時間内に出力される前記検出信号のそれぞれのサブセットに基づき前記検出イベントを特定するように構成されるとともに、前記検出イベントのそれぞれに応じて前記カウンタ信号をインクリメントするように構成されている相関回路と、
前記相関回路によって特定される前記検出イベントのうちの1つと、前記検出窓に対応するストローブ信号とに応じて、前記クロック信号を出力するように構成されているクロック回路と
を更に備える、請求項12に記載のLIDARシステム。
【請求項14】
前記少なくとも1つのプロセッサ回路は、
前記それぞれのサブセットのそれぞれの前記検出信号の数を示す信号を出力するように構成されている並列カウンタ回路を更に備え、
前記相関回路は、閾値数に対する前記それぞれのサブセットのそれぞれの前記検出信号の前記数に基づき、前記検出イベントを特定するように構成されている、請求項13に記載のLIDARシステム。
【請求項15】
前記検出信号は、前記検出窓の間の前記光子のそれぞれの到達時間を示し、前記少なくとも1つのプロセッサ回路は、前記それぞれの到達時間の時間-デジタル変換とは無関係に、前記複数の光子の前記推定到達時間を計算するように構成されている、請求項11~14のいずれか一項に記載のLIDARシステム。
【請求項16】
ある検出窓の間に単一光子検出器素子に入射した光子のそれぞれの到達時間を示す、該単一光子検出器素子から出力される検出信号を受信するように構成されている少なくとも1つのプロセッサ回路を備える、LIDAR(光検出及び測距)測定回路であって、
前記少なくとも1つのプロセッサ回路は、
前記検出信号に基づき前記検出窓のそれぞれの時間間隔において特定された検出イベントのそれぞれの数を合計して、前記それぞれの到達時間の時間-デジタル変換とは無関係に、前記光子の推定到達時間を計算するように構成されている1つ以上のアキュムレータ回路を備える、LIDAR測定回路。
【請求項17】
前記1つ以上のアキュムレータ回路は、
前記それぞれの時間間隔に対応するクロック信号のそれぞれのパルスに応じて、前記検出イベントのそれぞれに応じてインクリメントされるカウンタ信号のそれぞれの値を積算することにより、前記合計を出力するように構成されている第1のアキュムレータ回路を含む、請求項16に記載のLIDAR測定回路。
【請求項18】
前記1つ以上のアキュムレータ回路は、
前記カウンタ信号の前記それぞれの値のうちの1つに基づき、前記検出窓の間に特定された前記検出イベントの総数を示すカウント値を出力するように構成されている第2のアキュムレータ回路を更に含み、
前記少なくとも1つのプロセッサ回路は、前記合計と前記カウント値との比に基づき、複数の前記光子の前記推定到達時間を計算するように構成されている、請求項17に記載のLIDAR測定回路。
【請求項19】
前記少なくとも1つのプロセッサ回路は、
互いに対するそれぞれの相関時間内に出力される前記検出信号のそれぞれのサブセットに基づき前記検出イベントを特定するように構成されるとともに、前記検出イベントのそれぞれに応じて前記カウンタ信号をインクリメントするように構成されている相関回路と、
前記相関回路によって特定される前記検出イベントのうちの1つと前記検出窓に対応するストローブ信号とに応じて前記クロック信号を出力するように構成されているクロック回路と
を更に備える、請求項17に記載のLIDAR測定回路。
【請求項20】
前記少なくとも1つのプロセッサ回路は、
前記それぞれのサブセットのそれぞれの前記検出信号の数を示す信号を出力するように構成されている並列カウンタ回路を更に備え、
前記相関回路は、閾値数に対する前記それぞれのサブセットのそれぞれの前記検出信号の前記数に基づき、前記検出イベントを特定するように構成されている、請求項19に記載のLIDAR測定回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書における主題は、包括的には画像センサに関し、より具体的には、光検出及び測距(LIDAR:LIght Detection And Ranging)システムにおけるイメージング用の画像センサに関する。
【0002】
[優先権の主張]
本出願は、米国特許商標庁において、2018年11月19日付けで出願された「Digital Pixel」と題する米国仮特許出願第62/769,287号からの優先権の利益を主張するものであり、この米国仮特許出願の開示内容は引用することにより本明細書の一部をなすものとする。
【背景技術】
【0003】
タイム・オブ・フライト(ToF:Time of flight)ベースのイメージングは、(例えば、LIDAR、本明細書ではライダーとも称する)測距、深さ方向分析及び3Dイメージングを含む多数の用途で使用される。直接ToF測定は、照射光の放出と物体又は他の標的からの反射後の照射光の検知との間の時間の長さを直接測定することを含む。この測定から、標的までの距離を求めることができる。
【0004】
いくつかの用途では、反射された照射光の検知は、単一光子アバランシェ・ダイオード(SPAD:Single Photon Avalanche Diode)アレイなどの、単一光子検出器を含む光検出器のアレイを用いて実施することができる。1つ以上の光検出器が、アレイの検出器ピクセルを規定することができる。SPADアレイは、高感度及びタイミング分解能を必要とする可能性があるイメージング用途において固体光検出器として用いることができる。SPADは、半導体接合(例えば、p-n接合)に基づき、半導体接合は、例えば、所望のパルス幅を有するストローブ信号により又はそうしたストローブ信号に応じて、その降伏領域を超えてバイアスがかけられると、入射光子を検出することができる。高い逆バイアス電圧により、デバイスの空乏層内に導入された単一の電荷キャリアが衝撃イオン化を介して自己持続型アバランシェをもたらすことができるように、十分な大きさの電界が発生する。クエンチ回路により、(例えば、バイアス電圧を低下させることにより)アクティブにアバランシェを消滅させるか、又は(例えば、直列に接続された抵抗器にわたる電圧降下を用いることにより)パッシブにアバランシェを消滅させて、更なる光子を検出するようにデバイスを「リセット」することができる。開始電荷キャリアは、高電界領域に突き当たる単一入射光子を用いて光電子的に生成することができる。「単一光子アバランシェ・ダイオード」という名称のもとであるのはこの特徴である。この単一光子検出動作モードは、「ガイガー(Geiger)モード」と称されることが多い。
【0005】
SPADのアレイに入射する光子を計数するために、いくつかのToFピクセル手法は、デジタルカウンタ又はアナログカウンタのいずれかを用いて、タイムスタンプ処理とも称される、光子の検出及び到達時間を示すことができる。デジタルカウンタは、実装及びスケーリングがより容易であり得るが、面積に関して(例えば、アレイの物理的サイズに関して)より費用がかかる可能性がある。アナログカウンタはより小型であり得るが、限られた光子計数深度(ビット深度)、ノイズ及び/又は不均一性の問題がある可能性がある。
【0006】
入射光子にタイムスタンプ処理を行うために、いくつかのSPADアレイベースのToFピクセル手法は、時間-デジタル変換器(TDC:Time-to-Digital Converter)を用いてきた。TDCは、ToFイメージング用途において、単一クロックサイクルの分解能を超えるようにタイミング分解能を増大させるために用いることができる。こうしたデジタル手法のいくつかの利点は、TDCのサイズがテクノロジノードにより拡大する傾向があり、記憶されたデータが漏れに対してよりロバストであり得る、ということを含む。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、TDC回路は、単一測定サイクルにおいて1つのイベントしか処理することができず、SPADのアレイに対して複数のTDCが必要とされる可能性がある。TDCはまた、比較的に電力を消費する可能性もあり、より大型のアレイを実装することがより困難となる。TDCはまた、比較的大量のデータ、例えば、光子ごとに1つの16ビットタイムスタンプを発生させる可能性もある。TDCに接続された単一SPADが、1秒につき何百万ものこうしたタイムスタンプを発生させる可能性がある。したがって、100000ピクセルを超えるイメージングアレイが、利用可能な入出力帯域幅又は能力に対して実行できないほど大きいデータレートを発生させる可能性がある。
【0008】
タイムスタンプをヒストグラム化することによりデータレートを圧縮することができる。しかしながら、このことは、典型的なToF LIDARシステムで非効率的に用いられる可能性がある、相当なメモリ資源が必要となる可能性がある。例えば、(光子到達時間のそれぞれの部分範囲を示すことができる)ヒストグラムビンのメモリ深度は、通常、ピークにおける最大レーザー戻りによって設定されるが、実際には、多くの又は大部分のヒストグラムビンは、(例えば、背景ノイズのみにより)低密度に占有される。さらに、典型的なTDC分解能(例えば、50ps~100ps)でLIDARシステムの典型的な時間範囲(例えば、マイクロ秒)をカバーするのに十分なヒストグラムを形成するためには、何千もの時間ビンが一般的に使用される可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のいくつかの実施の形態によれば、LIDAR(光検出及び測距)測定回路は、少なくとも1つのプロセッサ回路を備える。少なくとも1つのプロセッサ回路は、ある検出窓の間に複数の検出器素子に入射した複数の光子に応じて複数の検出器素子から出力される検出信号を受信することと、検出信号に基づいて検出イベントを特定することと、複数の光子の推定到達時間を計算することとを含む動作を実施するように構成されている。複数の光子の推定到達時間は、検出窓のそれぞれの時間間隔において特定された検出イベントのそれぞれの数の合計又は積算に基づいて計算される。
【0010】
いくつかの実施の形態では、少なくとも1つのプロセッサ回路は、アキュムレータ回路を備えることができる。アキュムレータ回路は、検出イベントのそれぞれに応じてインクリメントされるカウンタ信号と、それぞれの時間間隔に対応するクロック信号とに基づき、それぞれの時間間隔において特定された検出イベントのそれぞれの数の合計を出力するように構成することができる。例えば、アキュムレータ回路は、それぞれの時間間隔におけるクロック信号のそれぞれのパルスに応じて、検出窓にわたる時間間隔のそれぞれにおける検出イベントのそれぞれの数を積算するように構成された時間積算回路を定義することができる。
【0011】
いくつかの実施の形態では、アキュムレータ回路は第1のアキュムレータ回路とすることができ、少なくとも1つのプロセッサ回路は、第2のアキュムレータ回路を備えることができる。第2のアキュムレータ回路は、カウンタ信号に基づき、検出窓の間に特定された検出イベントの総数を示すカウント値を出力するように構成することができる。例えば、第2のアキュムレータ回路は、検出信号に基づいて特定された検出イベントの総数を合計するように構成された光子カウンタ回路を定義することができる。
【0012】
いくつかの実施の形態では、少なくとも1つのプロセッサ回路は、相関回路を備えることができる。相関回路は、互いに対するそれぞれの相関時間内に出力される検出信号のそれぞれのサブセットに基づき、検出イベントのそれぞれを特定するように構成することができる。これらの検出信号は、相関検出信号と称される場合がある。相関回路は、検出イベントのそれぞれの特定に応じてカウンタ信号をインクリメントするように構成することができる。
【0013】
いくつかの実施の形態では、少なくとも1つのプロセッサ回路は、並列カウンタ回路を備えることができる。並列カウンタ回路は、それぞれのサブセットのそれぞれの検出信号の数を示す信号を出力するように構成することができる。相関回路は、閾値数に対するそれぞれのサブセットのそれぞれの検出信号の数に基づき、検出イベントの特定を実施するように構成することができる。
【0014】
いくつかの実施の形態では、アキュムレータ回路は、クロック信号のそれぞれのパルスに応じてカウンタ信号のそれぞれの値を積算するように構成することができる。クロック信号のそれぞれのパルスの周期はそれぞれの時間間隔に対応することができる。
【0015】
いくつかの実施の形態では、少なくとも1つのプロセッサ回路は、クロック回路を備えることができる。クロック回路は、検出窓の開始とは無関係に、検出窓に対応するストローブ信号と、特定によって示される検出イベントのうちの1つとに応じて、アキュムレータ回路にクロック信号を出力するように構成することができる。
【0016】
いくつかの実施の形態では、少なくとも1つのプロセッサ回路は、検出窓のそれぞれの時間間隔において特定された検出イベントのそれぞれの数の合計と、検出窓の間に特定された検出イベントの総数を示すカウント値との比に基づき、複数の光子の推定到達時間を計算するように構成することができる。
【0017】
いくつかの実施の形態では、検出窓は第1の検出窓とすることができ、動作は、第2の検出窓の間に複数の検出器素子のうちの1つ以上に入射する第2の光子に応じて複数の検出器素子のうちの1つ以上から出力される第2の検出信号を受信することを更に含むことができる。少なくとも1つのプロセッサ回路は、第2の検出信号に基づいて推定到達時間の背景補正を実施するように構成することができる。
【0018】
いくつかの実施の形態では、検出信号は、検出窓の間の光子のそれぞれの到達時間を示すことができ、少なくとも1つのプロセッサ回路は、それぞれの到達時間の時間-デジタル変換とは無関係に、複数の光子の推定到達時間を計算するように構成することができる。
【0019】
本発明のいくつかの実施の形態によれば、LIDAR(光検出及び測距)システムは、検出器アレイ及び少なくとも1つのプロセッサ回路を備える。検出器アレイは、ある検出窓の間に単一光子検出器素子に入射した複数の光子に応じて検出信号を出力するように構成された単一光子検出器素子を備える。少なくとも1つのプロセッサ回路は、検出器アレイから出力される検出信号を受信し、検出信号に基づき検出イベントを特定し、検出窓のそれぞれの時間間隔において特定された検出イベントのそれぞれの数の合計に基づき、複数の光子の推定到達時間を計算するように構成されている。
【0020】
いくつかの実施の形態では、少なくとも1つのプロセッサ回路は、第1のアキュムレータ回路及び第2のアキュムレータ回路を備えることができる。それぞれの時間間隔に対応するクロック信号のそれぞれのパルスに応じて、第1のアキュムレータ回路は、検出イベントのそれぞれに応じてインクリメントされるカウンタ信号のそれぞれの値を積算することにより、それぞれの時間間隔において特定された検出イベントのそれぞれの数の合計を出力するように構成することができる。第2のアキュムレータ回路は、カウンタ信号のそれぞれの値のうちの1つに基づき、検出窓の間に特定された検出イベントの総数を示すカウント値を出力するように構成することができる。少なくとも1つのプロセッサ回路は、上記合計とカウント値との比に基づき、複数の光子の推定到達時間を計算するように構成することができる。
【0021】
いくつかの実施の形態では、少なくとも1つのプロセッサ回路は、相関回路及びクロック回路を更に備えることができる。相関回路は、互いに対するそれぞれの相関時間内に出力される検出信号のそれぞれのサブセットに基づき検出イベントを特定するように構成することができ、検出イベントのそれぞれに応じてカウンタ信号をインクリメントするように構成することができる。クロック回路は、相関回路によって特定される検出イベントのうちの1つと検出窓に対応するストローブ信号とに応じてクロック信号を出力するように構成することができる。
【0022】
いくつかの実施の形態では、少なくとも1つのプロセッサ回路は、並列カウンタ回路を更に備えることができる。並列カウンタ回路は、それぞれのサブセットのそれぞれの検出信号の数を示す信号を出力するように構成することができる。相関回路は、閾値数に対するそれぞれのサブセットのそれぞれの検出信号の数に基づき、検出イベントを特定するように構成することができる。
【0023】
いくつかの実施の形態では、検出信号は、検出窓の間の光子のそれぞれの到達時間を示すことができる。少なくとも1つのプロセッサ回路は、それぞれの到達時間の時間-デジタル変換とは無関係に、複数の光子の推定到達時間を計算するように構成することができる。
【0024】
本発明のいくつかの実施の形態によれば、LIDAR(光検出及び測距)測定回路は、ある検出窓の間に単一光子検出器素子に入射した光子のそれぞれの到達時間を示す、単一光子検出器素子から出力される検出信号を受信するように構成されている少なくとも1つのプロセッサ回路を備える。少なくとも1つのプロセッサ回路は、検出信号に基づき検出窓のそれぞれの時間間隔において特定された検出イベントのそれぞれの数を合計して、それぞれの到達時間の時間-デジタル変換とは無関係に、光子の推定到達時間を計算するように構成されている1つ以上のアキュムレータ回路を備える。
【0025】
いくつかの実施の形態では、1つ以上のアキュムレータ回路は、第1のアキュムレータ回路及び第2のアキュムレータ回路を備えることができる。第1のアキュムレータ回路は、それぞれの時間間隔に対応するクロック信号のそれぞれのパルスに応じて、検出イベントのそれぞれに応じてインクリメントされるカウンタ信号のそれぞれの値を積算することにより、上記合計を出力するように構成することができる。
【0026】
いくつかの実施の形態では、1つ以上のアキュムレータ回路は、第2のアキュムレータ回路を更に含むことができる。第2のアキュムレータ回路は、カウンタ信号のそれぞれの値のうちの1つに基づき、検出窓の間に特定された検出イベントの総数を示すカウント値を出力するように構成することができる。少なくとも1つのプロセッサ回路は、上記合計とカウント値との比に基づき複数の光子の推定到達時間を計算するように構成することができる。
【0027】
いくつかの実施の形態では、少なくとも1つのプロセッサ回路は、相関回路及びクロック回路を更に備えることができる。相関回路は、互いに対するそれぞれの相関時間内に出力される検出信号のそれぞれのサブセットに基づき検出イベントを特定するように構成することができ、検出イベントのそれぞれに応じてカウンタ信号をインクリメントするように構成することができる。クロック回路は、相関回路によって特定される検出イベントのうちの1つと検出窓に対応するストローブ信号とに応じてクロック信号を出力するように構成することができる。
【0028】
いくつかの実施の形態では、少なくとも1つのプロセッサ回路は、並列カウンタ回路を更に備えることができる。並列カウンタ回路は、それぞれのサブセットのそれぞれの検出信号の数を示す信号を出力するように構成することができる。相関回路は、閾値数に対するそれぞれのサブセットのそれぞれの検出信号の数に基づき、検出イベントを特定するように構成することができる。
【0029】
いくつかの実施形態による他のデバイス及び/又は方法は、以下の図面及び詳細な説明を検討することで当業者には明らかとなるであろう。全てのそのような追加の実施形態も、上記実施形態のありとあらゆる組合せに加えて、この説明内に含まれるとともに本発明の範囲内にあり、添付の特許請求の範囲によって保護されることが意図されている。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1A】本発明のいくつかの実施形態によるライダー用途における例示的なToF測定システム及び関連コンポーネントを示す図である。
図1B】本発明のいくつかの実施形態によるライダー用途における例示的なToF測定システム及び関連コンポーネントを示す図である。
図2】本発明のいくつかの実施形態による例示的なCMMピクセルプロセッサを示す図である。
図3図2のCMMピクセルプロセッサのコンポーネントの動作を示すタイミング図である。
図4A】本発明のいくつかの実施形態によるライダーシステムで用いることができる、画像フレーム、サブフレーム、レーザーサイクル及び時間ゲートの間の関係を示す図である。
図4B】本発明のいくつかの実施形態によるライダーシステムで用いることができる、画像フレーム、サブフレーム、レーザーサイクル及び時間ゲートの間の関係を示す図である。
図5】本発明のいくつかの実施形態による例示的なアキュムレータ/積算器回路を示す図である。
図6】本発明のいくつかの実施形態による例示的な並列カウンタ/加算器回路を示す図である。
図7】本発明のいくつかの実施形態による例示的なゲーテッド・リング・オシレータ(GRO:gated ring oscillator)を示す図である。
図8】本発明のいくつかの実施形態によるCMMピクセルプロセッサによって実施される動作の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明のいくつかの実施形態は、(本明細書では「デジタルピクセル」又は「CMMピクセル」とも称される)質量中心法(CMM:Center-of-Mass Method)ベースの直接ToF計算のためにデジタル信号処理を用いる、光学検出器素子のアレイ(例えば、SPAD等の単一光子検出器)に関する。本明細書に記載するCMMピクセルは、標的までのタイム・オブ・フライト(したがって、標的の距離)を推定するために用いることができる、いくつかの実施形態では互いに対する相関時間又は相関窓にわたる、信号光子の到達時間(TOA:times-of-arrival)の分布を表す質量中心を計算するように構成することができる。本明細書に記載するCMMピクセルは、TDCの使用なしに(すなわち、それぞれのTDAの時間-デジタル変換を実施することなく)入射光子を計数するように構成することができ、ピクセルレベル又は「ピクセル内」において(例えば、各ピクセルは、他のピクセルと共有しない、相関器、カウンタ及び/又は時間積算器論理回路等の専用回路に出力を提供する)多くのタイムスタンプを、いくつかの従来の手法よりも計算集約的でない及び/又は電力を大量消費しないものとすることができる方法により、積算することができる。
【0032】
図1A及び図1Bは、本発明のいくつかの実施形態によるLIDAR用途における例示的なToF測定システム100a及び100bと、関連するコンポーネントとを示す。図1Aに示すように、システム100aは、制御回路105と、タイミング回路106と、(複数のエミッタ素子又はエミッタ115eを含むエミッタアレイ115として示す)照明源と、複数の検出器素子又は検出器110dを含む検出器アレイ110とを備える。各検出器110dは、光検出器(例えば、フォトダイオード)を表すことができ、1つ以上の検出器110dは、検出器アレイ110のそれぞれの検出器ピクセルを画定することができる。エミッタアレイ115の1つ以上のエミッタ115eは、タイミング発生器又はドライバ回路116によって制御される時間及び繰返し率で(例えば、ディフューザ又は光学フィルタ114を通して)照射パルス又は連続波信号をそれぞれ放出する、エミッタユニットを定義することができる。特定の実施形態では、エミッタ115eは、(垂直共振器面発光レーザー(VCSEL)及び/又は端面発光レーザー等の)LED又はレーザー等のパルス光源とすることができる。
【0033】
いくつかの実施形態では、エミッタモジュール又は回路は、エミッタ素子115eのアレイ115と、エミッタ素子のうちの1つ以上に結合された光学素子113、114(例えば、(マイクロレンズ等の)レンズ113及び/又はディフューザ114)の対応するアレイと、ドライバ回路116とを含むことができる。いくつかの実施形態では、エミッタアレイ115におけるエミッタ素子115eのそれぞれは、それぞれのドライバ回路116に接続され且つそれによって制御される。他の実施形態では、エミッタアレイ115におけるエミッタ素子115eのそれぞれの群(例えば、互いに空間的に近接するエミッタ素子115e)は、同じドライバ回路116に接続することができる。ドライバ回路116は、エミッタ115eから出力される光放出信号のパルス繰返し率、タイミング及び振幅を制御するように構成された、1つ以上のドライバトランジスタを含むことができる。
【0034】
いくつかの実施形態では、検出器モジュール又は回路は、検出器110dのアレイ110と、受光器光学系112(例えば、アレイ110のFoV190にわたって光を収集する1つ以上のレンズ)と、検出器アレイ110の全て又は一部に電力を供給し、それらをイネーブルにし、且つディスエーブルにするように構成されるとともに、検出器アレイ110の全て又は一部にタイミング信号を提供するように構成されている受光器電子回路(タイミング回路106を含む)とを含む。受光器光学系112は、ライダーシステムによって撮像することができる最大FoVからの光を収集するように構成されているマクロレンズ、「信号」光(すなわち、エミッタから出力された光信号の波長に対応する波長の光)の十分に高い部分を通すか又はその通過を可能にするが、非信号すなわち「背景」光(すなわち、エミッタから出力された光信号とは異なる波長の光)を実質的に排除するか又はその通過を阻止するスペクトルフィルタ111、検出器ピクセルの収集効率を向上させるマイクロレンズ、及び/又は迷光の検出を低減させるか又は阻止する反射防止コーティングを含むことができる。検出器アレイ110は、ToFセンサ(例えば、ガイガーモードアバランシェダイオード(例えば、SPAD)等の単一光子検出器のアレイ)を含む。
【0035】
タイミング回路106は、検出器アレイ110のタイミング及び利得/感度を制御することができる。検出器アレイ110用のタイミング回路106は、いくつかの実施形態では、エミッタアレイ115のドライバ回路116に位相ロックすることができる。タイミング回路106は、検出器110dのそれぞれ、又は検出器ピクセルを画定する検出器110d群の感度も制御することができる。例えば、検出器ピクセルが1つ以上の逆バイアスガイガーモードフォトダイオード(例えば、SPAD)110dを含む場合、検出器ピクセルの各フォトダイオード110dに印加される逆バイアスを(例えば、本明細書に記載する電極107の電圧差に基づいて)調整することができ、それにより、オーバーバイアスが高いほど、感度が高くなる。検出器110dは、少なくともナノ秒精度でアクティベート又はディアクティベートすることができ、個々にアドレス指定可能であり、群単位でアドレス指定可能であり、及び/又はグローバルにアドレス指定可能であり得る。
【0036】
図1Aに示すように、エミッタアレイ115のエミッタ115eのうちの1つ以上から出力される発光は、1つ以上の標的150に突き当たり、標的150によって反射され、反射光は、検出器アレイ110の検出器110dのうちの1つ以上によりエコー信号として検出され、電気信号表現(本明細書では、検出信号と称する)に変換され、視野190内のシーンの3D点群表現170を規定するように(例えば、ToFに基づいて)処理される。本明細書に記載する本発明の実施形態によるLIDARシステムの動作は、図1Aの制御回路105又は図1Bのデジタル信号プロセッサ(DSP)105’等、1つ以上のプロセッサ又はコントローラによって実施することができる。
【0037】
図1Bは、本明細書に記載するいくつかの実施形態によるLIDAR用途におけるToF測定システム又は回路100bのコンポーネントを更に示す。回路100bは、(DSP105’として示す)プロセッサ回路と、(例として、レーザーエミッタアレイ115に関して示す)照明源のタイミングを制御するタイミング発生器116’と、(例として、単一光子検出器アレイ110に関して示す)単一光子検出器のアレイとを含むことができる。DSP105’及びタイミング発生器116’は、図1Aの制御回路105及びドライバ回路116の動作のうちのいくつかを実施することができる。レーザーエミッタアレイ115は、タイミング発生器116’によって制御される時点でレーザーパルス130を放出する。レーザーパルス130からの光135は、(例として、物体150として示す)標的から反射され、単一光子検出器アレイ110によって検知される。DSP105’は、エミッタアレイ115から物体150に且つ単一光子検出器アレイ110に戻る行程にわたり、レーザーパルス130及びその反射信号135のToFを測定するCMMピクセルプロセッサを実装する。
【0038】
DSP105’は、アレイ110の単一光子検出器の動作を制御するとともに、そこから出力される検出信号を処理するために必要なタイミング信号(消滅及びゲート制御又はストローブ信号等)を提供する、論理回路を含むことができる。例えば、アレイ110の単一光子検出器は、ストローブ信号によって画定される短いゲート制御間隔又はストローブ窓の間にのみ、入射光子に応じて検出信号を発生させることができる。ストローブ窓の外で入射する光子は、単一光子検出器の出力に影響を与えない。
【0039】
DSP105’によって実装されるCMMピクセルプロセッサは、何千ものレーザーパルス130と反射光135における光子戻りとにわたって集計された平均ToFの推定値を計算するように構成されている。DSP105’は、本明細書ではアキュムレータとも称される、本明細書に記載する実施形態による1つ以上のアキュムレータ回路を実装することにより、反射光135における入射光子を計数するように構成することができる。アキュムレータは、単一光子検出器アレイ110における入射光子に応じて、単一光子検出器アレイ110から受信される入力を合計するように構成することができる。例えば、アキュムレータは、(時間-デジタル変換が必要でありうる)レーザーサイクル又は検出窓にわたる検出イベントのとき/時点(例えば、SPAD110dがトリガされた時点)に基づくのではなく、レーザーサイクル(又はその一部、本明細書では検出窓と称される)にわたって特定された検出イベントの数(例えば、トリガされたSPAD110の数)に基づいて、レーザーパルス130のレーザーサイクルにわたって検出された入射光子の「ローリング(rolling)」質量中心(CM)を計算するように構成することができる。検出窓のタイミング及び持続時間は、本明細書に記載するストローブ信号(Strobe<i>)によって制御することができ、したがって、それはストローブ窓とも称されることがある。したがって、本発明の実施形態は、時間-デジタル変換動作を実施することなく、例えば、TDCを用いることなく、ToFを推定することができる。
【0040】
DSP105’は、アナログ実施態様と比較して利点を提供することができる、本明細書に記載する論理回路のデジタル実施態様を提供することができる。特に、アナログ実施態様は、半導体プロセスにおけるサイズ及び/又は温度依存性に関して難題を課す可能性がある物理的コンポーネント(例えば、コンデンサ、抵抗器)の特性によって制限される可能性がある。例えば、抵抗器等の温度依存コンポーネントは、プロセス、電圧及び温度(PVT)依存性に対する較正及び補償に関して制限を課す可能性がある。アナログ実施態様はまた、コンデンサにおける蓄積された電荷の漏れ及び/又は電気クロストーク等の問題に直面する可能性もある。DSP105’等のデジタル実施態様は、アナログ実施態様が直面する可能性があるこれらの制限及び/又は他の制限とは無関係に動作することができる。DSP105’(又は他のデジタル実施態様)はまた、3次元的に積層された実施態様を可能にするのに十分小さくすることもでき、アレイ110は、アレイ110の領域又はフットプリント内に適合するようなサイズであるDSP105’(及び他の関連回路)の上に「積層される」。
【0041】
図2は、本発明のいくつかの実施形態による(DSP105’によって実装することができる)例示的なCMMピクセルプロセッサ回路を示す。CMMピクセルプロセッサは、4×4SPADアレイ110で実装される16個のSPADから入力を受信するSPADピクセルプロセッサ205として示されているが、より少ないか若しくは多い又は他の検出器アレイ(例えば、他の単一光子検出器のアレイ)を用いることができる。図3は、図2のCMMピクセルプロセッサ205のコンポーネントの動作を示すタイミング図である。図4は、いくつかのライダーシステムで用いることができる画像フレーム、サブフレーム、レーザーサイクル及び(本明細書では、ストローブ窓又は検出窓とも称される)時間ゲートの間の関係を示す図である。時間ゲート/ストローブ窓は、入射光子を検出するためにアレイ110の1つ以上のSPADがアクティブであるか又はイネーブルにされる(レーザーサイクルにおけるレーザーパルスの間の時間のそれぞれの部分に対応する)時間の持続時間を画定する。したがって、ストローブ窓又は検出窓は、本明細書に記載するようにそれぞれの時間間隔又は時間ステップkに更に分割することができる、それぞれの測定間隔を画定することができる。数値は、限定ではなく例として記載している。
【0042】
図2に示すように、本明細書に記載するいくつかの実施形態は、時間-デジタル変換動作の実施(並びに関連する計算オーバーヘッド及び電力消費)なしに、持続時間の「タイムスライス」に対応する(例えば、レーザーパルスの間のレーザーサイクル又は周期のそれぞれの部分に対応する)(ストローブ信号Strobe<i>によって画定される)検出窓又はストローブ窓を用いる(iは、ストローブ窓が順序付けられる、レーザーサイクルにおけるi番目のストローブ窓を指す)、アキュムレータベースの質量中心計算を含むことができる。例えば、いくつかの実施形態では、ストローブ窓は、時間の増大により逐次に順序付けることができる(例えば、各連続したストローブ窓は、レーザーパルス間の時間の後続する持続時間を表す)。しかしながら、ストローブ窓は、時系列順である必要はなく、すなわち、レーザーパルス間の時間の初期部分に対応するストローブ窓は、連続したストローブ窓において最初のストローブ窓である必要はないことが理解されるであろう。
【0043】
Strobe<i>の多くの繰返しは、Strobe<i>に対するサブフレームを画定するように(例えば、ピクセルで)集計され、サブフレーム1~iは画像フレームを画定する。Strobe<i>に対する各サブフレームは、レーザーサイクルの周波数によって画定される全体的なイメージング距離範囲のそれぞれの距離部分範囲に対応することができる。ストローブ窓は、後に時間ステップkに関して言及する場合があり、kは、(本明細書においていくつかの例では、クロック信号FastClkに関して言及する)クロックによってサンプリングされるストローブ/検出窓におけるk番目の時間間隔を示す。クロックは、ストローブ窓持続時間よりも短い何らかの係数の(例えば、本明細書に記載するいくつかの例におけるよりも10倍又は20倍短い)周期を有することができる。
【0044】
図2を参照すると、(本明細書では、アキュムレータとも称される)アキュムレータ回路201、202は、検出窓の間又は検出窓にわたる入射光子の検出に応じて(SPADアレイに関して記載した)単一光子検出器アレイ110から出力される検出信号によって示される検出イベント(例えば、いくつかの実施形態では、時間窓内で相関される単一光子検出イベント)を累積及び積算するように動作可能である、プロセッサ又は制御回路205のレジスタであり得る。図2の例は、第1のアキュムレータ201及び第2のアキュムレータ202を含み、そこでは、第1のアキュムレータ201は、ストローブ窓にわたるそれぞれの時点で検出器アレイ110に入射する光子の検出を追跡するように構成されている、時間若しくは時間的アキュムレータ又は時間積算器として機能し、第2のアキュムレータ202は、ストローブ窓の間に検出された光子の総数に対応する光子カウントを収集する光子カウンタとして機能する。より詳細には、第1のアキュムレータ201は、検出された光子のそれぞれの到達時間の表現として検出窓のそれぞれの時間間隔又は時間ビン(すなわち、時間ステップk)の時点で特定された検出イベントの数を積算するように構成されており、第2のアキュムレータ202は、検出窓にわたって特定された検出イベントの総数を計数するように構成されている光子カウンタとして機能する。
【0045】
第1のアキュムレータ回路201及び第2のアキュムレータ回路202は、(例えば、検出器ピクセルごとの)それぞれのメモリアレイを提供し、そこでは、第1のメモリアレイは、それぞれの時間ビン又は時間ステップkと検出イベントの数(例えば、入射光子(
【数1】
)に応じて信号を出力する(又は「発射される(fired)」SPADの数)との累積積のヒストグラムを有効に記憶し、第2のメモリアレイは、検出イベントのカウントの累積数を記憶する。時間間隔ごとの検出イベントの積算された数と検出窓ごとのカウントの数(すなわち、時間間隔ごとの検出イベントの平均数)との比を用いて、質量中心が計算される。本明細書に記載するようなストロービング構成では、データ収集が、常にレーザー発射の事前設定時間後に開始する可能性があり、且つ常にその後の事前設定された時間に終了する可能性がある、いくつかの従来の構成とは対照的に、ヒストグラムは、ストローブ窓の開始から終了まで(例えば、サブフレーム可変ストローブ)にのみ収集することができる。本明細書では主にストロービング構成に関して説明するが、本明細書に記載する実施形態は、データ収集が初期検出イベントによって開始される(したがって、ストローブ窓の開始に対して遅延する)いくつかの実施形態では、レーザーサイクルごとに単一プローブである(すなわち、レーザーパルス間の時間が単一ストローブ窓を画定する)構成においても同様に適用することができる。
【0046】
検出イベントは、プロセッサ回路205により、検出器アレイ110から出力される1つ以上の検出信号に基づいて特定することができる。いくつかの実施形態では、アキュムレータ201、202は、相関器203の出力に応じて動作可能であり得る。相関器203は、本明細書では相関窓又は相関時間と称される、2つ以上の検出器から互いに対する事前定義された時間の窓内で出力される検出信号に応じて検出イベントを特定する出力信号を提供し、そこでは、検出信号は、相関窓内の入射光子の到達時間を示す。エミッタアレイ115から出力される(信号光子とも称される)光信号に対応する光子が(背景光子とも称される)周囲光に対応する光子と比較して時間的に比較的近接して到達する可能性があるため、相関器203は、互いに対する相関時間内のそれぞれの到達時間に基づいて信号光子を識別するように構成されている。こうした相関器は、例えば、引用することにより本明細書の一部をなすものとする、「Methods and Systems for High-Resolution Long Range Flash Lidar」と題する米国特許出願公開第2019/0250257号に記載されている。すなわち、いくつかの実施形態では、本明細書に記載するピクセル内相関は、より詳細に後述するようなローリングCMM推定法を用いて、相関器によって画定される相関窓を満足させる検出イベントの分布の質量中心の計算を含むことができる。
【0047】
さらに、プロセッサ回路205は、背景除去(background subtraction:背景差分)計算等、背景補正動作を実施するように構成することができる。こうした背景補正計算は、本来は質量中心をストローブ窓の中心に向かわせる可能性がある、例えば太陽光又は他の周囲光状態からの背景光子を考慮することにより、検出イベントによって示される光の強度を補正することができる。いくつかの実施形態では、背景補正されたTOA(TOAbg_corrected)は、以下のように、本明細書に記載するローリングCMM推定方法を用いて計算することができ、
【数2】
式中、TOAmeasは、検出窓のそれぞれの時間間隔において特定された検出イベントのそれぞれの数の合計と、検出窓の間に特定された検出イベントの総数を示すカウント値との比に基づいた、複数の光子の推定到達時間であり、nbg+sigは、各検出窓の最後のカウント値であり、twin,midは、現検出窓の時間帯の中間の既知の時間であり、nbgは、パッシブ検出窓の間の背景光子カウント値、又は別のパッシブ検出窓に基づく外挿されたカウント数であり、nsig=nbg+sig-nbgは、同じピクセルに対する各検出窓の間のカウント値と最後のパッシブ検出窓カウンタのカウント値との計算された差であり、この値は、メモリに記憶されるか、又は(複数のサブフレームの場合は)メモリアレイに記憶されて、同じ検出窓のパッシブ出力が取得されるたびに置き換えられうる。背景光子カウントnbg又は強度レベルは、例えば、レーザー照明のないフレームを検出し、又は代替的に、戻り信号又はエコー信号のないサブフレームを検出することにより(いずれも上述したパッシブ検出窓を提供することができる)、推定することができる。背景補正は、この背景情報を利用して、質量中心の計算に補正を適用することができ、外部FPGA若しくはASICにおいて、オンチップで実施することができ、及び/又はそれらによって実行されるソフトウェアにおいて実施することができる。背景除去に対するこうした動作は、例えば、米国特許出願公開第2019/0250257号において、より詳細に記載されている。
【0048】
プロセッサ回路205はまた、クエンチ及び充電動作を実施するように構成されている回路206も備える。複数の光子のバーストが実質的に同時にSPADに到達する場合、それには、単一光子と同じ効果、すなわち、SPADを放電するという効果がある。SPADは、先行する光子によって放電されると、クエンチ及び充電回路206によって消滅及び充電されるまで、(図4Aにおいて「不動時間」として示すように)バースト内の他の全ての光子に気づかない。いくつかの実施形態では、クエンチ及び充電回路206は、ストローブ窓の開始前にSPAD110を充電するように構成されており、その理由は、第1のストローブ窓を除き、レーザーは既に発射されているためである。検出窓(及び光子の収集)の前に充電することにより、SPADがストローブ窓を通して完全に充電され、検出可能性が比較的に一定であることを確実にすることができる。各単一光子検出器に対するアクティブ及び/又はパッシブ消滅及び/又は充電回路もまた、例えば、米国特許出願公開第2019/0250257号に記載されている。
【0049】
いくつかの実施形態では、アキュムレータ201、202は、並列カウンタ204、相関器203及び相関カウンタ203c、及び/又はゲーテッドクロック207からの出力に応じて動作可能であり得る。並列カウンタ204は、同時検出状態下であっても、アレイの複数のSPADにおける光子の検出を示す出力信号C<4:0>を提供するように構成されている。相関器203は、所定の又は調整可能な相関窓内で到達する2つ以上の「相関する」光子の検出のみに応じて、検出イベントを示す出力信号Corrを発生させるように構成されている。相関カウンタ203cは、各検出イベントに応じてカウンタ信号CC<3:0>をインクリメント及び出力するように構成されている。ゲーテッドクロック207は、クロック源信号FastClkを時間アキュムレータ202に提供するように、信号StrobeB<i>に基づいて制御されるように構成されている。クロック源信号FastClkは、時間ステップkの数に対応する周波数でカウンタ信号CC<3:0>のサンプリングを提供する。
【0050】
ここで、図2のSPADピクセルプロセッサ205のいくつかのコンポーネントの動作について、図3のタイミング図300を参照して説明する。本明細書に記載する到達時間を示す時間測定は、(レーザーのパルス「Laser」に関して示す)照明パルスの放出によって開始され、(そのうちの1つ以上を、本明細書では検出イベントと称される場合がある)入射光子の検出に応じてSPADから出力される検出信号によって終了して、測定される時間が照明パルスのToFであるものとすることができる。
【0051】
図3の例では、SPADは、レーザーサイクルの開始時に(すなわち、図3に示すLaserの第1のパルスの直後の信号Strobe<i>の第1のストローブ窓において)、タイミング又はゲート制御回路によってストローブ窓の間イネーブルにされるが、レーザーサイクルの異なる部分に対応する他のストローブ窓に対して同様の動作を実施することができることが理解されるであろう。信号Strobe<i>の図示するストローブ窓は、次のストローブ窓(例えば、Strobe<i+1>)に移動する前に(例えば、信号Laserの何千ものサイクルにわたり)繰り返すことができる。すなわち、Strobe<i>によって表される各ストローブ窓は、レーザーパルス又は信号Laser間の時間の一部分を表し、信号Laserの何千ものサイクルは、信号Strobe<i>の各ストローブ窓に割り付けることができる(そこでは、レーザーサイクルはn個の部分に分割することができ、i=1~nである)。図2の回路206は、タイミング又はゲート制御回路、アクティブクエンチ回路及びアクティブ充電回路を実装するものとして示す。
【0052】
図3を参照すると、タイミング図300は、(図2のアレイ110における16個のSPADのうちの)4つのSPADによって、それぞれの光子の検出に応じて出力される、例示的な検出信号SPAD<3:0>を示す。SPADアクティブクエンチ、アクティブ充電回路206の4つの出力信号AQ<3:0>は、相関時間又は窓に基づく制御された持続時間のパルスを含む(例えば、相関時間又は窓は相関器203によって決定され、持続時間は外部電圧制御によって調整可能とすることができる)。並列カウンタ204は、AQ<3:0>信号を非同期的に出力信号C<2:0>として合計し、いくつかのSPAD110が相関窓内で実質的に同時に又は他の方法で検出信号パルスを出力すると、最大値(この例では2又は4)に達する。
【0053】
相関器203は、並列カウンタ204の出力C<2:0>が2の閾値以上であるとき、すなわち、複数のSPADが相関窓内で光子を検出するとき、相関信号Corrを出力して、検出イベントを示す。したがって、相関信号Corrの各パルスは、それぞれの検出イベントの識別を表す。パルス信号Corrの初期パルスにより、ゲーテッドクロック207は、(例えば、ストローブ窓の開始に対して遅延して)クロック源信号FastClkを出力することができる。クロック信号FastClkは、(例えば、ストローブ信号Strobe<i>の反転として示す、信号StrobeB<i>に応じて停止される)ストローブ窓の最後まで出力され、時間アキュムレータ201に対してクロック信号を提供する。クロック信号FastClkのパルスの周波数又は周期は、それぞれのストローブ又は検出窓における時間間隔kの数に対応することができる(例えば、FastClkの周期は、ストローブ窓の持続時間を時間間隔kの数で割った値に等しくなることができ、FastClkの周波数はその周期の逆数である)が、クロック信号FastClkは、ストローブ窓又は検出窓の開始時間とは無関係にイネーブルにされる。
【0054】
(例として4ビットカウンタとして示す)相関カウンタ203cもまた、パルス信号Corrのパルスに応じて動作し、アキュムレータ201、202にカウンタ信号CC<3:0>を出力する。カウンタ信号CC<3:0>は、ストローブ窓の間に時間的に相関する検出信号(本明細書では、相関する検出イベントとも称される)の累計を提供する。特に、相関カウンタ203cは、信号Strobe<i>のストローブ窓の間に特定された相関する検出イベントの数を示すように、相関器203の出力Corrによって示される各検出イベントに応じてカウンタ信号CC<3:0>をインクリメント及び出力するように構成されている。相関カウンタ203c及び相関器203は、本明細書ではまとめて相関回路と称する場合がある。
【0055】
(例として27ビットアキュムレータとして示す)時間アキュムレータ201は、本明細書に記載するように、クロック信号FastClkのそれぞれのパルスに応じて相関カウンタ203cから出力されるカウンタ信号CC<3:0>のそれぞれの値を積算することにより、ローリングCMM推定を実施して、読出し回路209に対する出力信号ST<26:0>を発生させる。クロック信号FastClkの各クロックパルスが検出窓のそれぞれの時間間隔に対応するため、したがって、時間アキュムレータ201からの出力信号ST<26:0>は、検出窓のそれぞれの時間間隔において特定された相関する検出イベントのそれぞれの数の合計を表す。
【0056】
ストローブ窓の最後に、相関する検出イベントCC<3:0>の総数もまた、読出し回路209に信号S<17:0>を出力する、(例として18ビットアキュムレータとして示す)光子カウンタ202によって合計される。信号S<17:0>は、検出窓の最後までに特定された相関する検出イベントの総数を示すカウント値を提供する。読出し回路209は、(例えば、各サブフレームの最後に)データ信号Data<44:0>を出力する。図4A及び図4Bに関して後述するように、サブフレームが、複数の(例えば、何千もの)レーザーサイクルに対して繰り返されるそれぞれのストローブ窓に対して収集されたデータStrobe<i>を含むことができる。アキュムレータ201及び/又は202は、サブフレームの最後に信号FrameRstによってリセットすることができる。プロセッサ回路205は、読出し回路から出力されるデータ信号Data<44:0>に基づき、特に、検出窓における時間間隔の総数だけオフセットする、時間アキュムレータ201から出力される合計と光子カウンタ202から出力されるカウント値との比に基づき、質量中心を計算するように構成されている。本明細書において考察する数値(例えば、ビット値、信号出力の数等)は、単に例として与えるものであり、決して本明細書に記載する実施形態を限定するものではない。
【0057】
図4Aは、いくつかのライダーシステムにおいて利用される、画像フレーム、サブフレーム、レーザーサイクル及び時間ゲート(本明細書ではストローブ窓とも称される)の間の関係を示す図である。図4Bは、レーザーパルスの間の期間のi個のストローブ窓への分割を示す図であり、各ストローブ窓1~iは、それぞれのストローブ信号Strobe#1~Strobe<i>に応じて、レーザーパルスに関して異なるそれぞれの遅延で検出器(例えば、SPAD)に対するアクティベーションの持続時間を画定する。いくつかの実施形態では、各ストローブ窓1~iは、持続時間が同じであり得る。上述したように、画像フレームの各サブフレームに対して、各ストローブ窓の多くの繰返し(例えば、各ストローブ窓は何百又は何千ものレーザーパルスに対して繰り返される)を取り込むことができる。
【0058】
図4A及び図4Bに示すように、特定の持続時間を有するストローブ窓は、放出されるレーザーパルス間の特定の持続時間を有する例示的なレーザーサイクルの間にアクティベートすることができる。例えば、750kHzの動作周波数では、レーザーサイクルは約1.3μsであり得る。個々のレーザーサイクル内の異なる持続時間(例えば、レーザーパルス間のそれぞれのタイムスロット又はタイムスライス)を、それぞれのストローブ窓と関連付けることができる。例えば、レーザーサイクルの持続時間は、例えば、それぞれ130nsの10個のストローブ窓など、複数の潜在的なストローブ窓持続時間へと分割することができる。(例えば、プロセッサ105、105’、205から又はその制御下で出力される)それぞれのストローブ信号は、それぞれのストローブ窓に対する検出器110dのタイミング及びアクティベーションを規定することができる。
【0059】
これらのストローブ窓のうちの第1のストローブ窓は、レーザーサイクル(例えば、1000のレーザーサイクル)の第1の組の間に(第1のストローブ信号に応じて)アクティブとなることができ、ストローブ窓のうちの第2のストローブ窓は、レーザーサイクルの第2の組の間に(第2のストローブ信号に応じて)アクティブとなることができる。ストローブ窓は、それぞれのレーザーサイクルにわたって時間的に相互に排他的であるか又は部分的に重なることができ、単調に又は非単調に順序付けることができる。画像サブフレームは、関連するレーザーサイクルにより複数のレーザーパルスを含むことができ、レーザーサイクルのそれぞれにおいてストローブ窓はアクティブである。例えば、各サブフレームに約1000のレーザーサイクルがあり得る。各サブフレームはまた、それぞれのストローブ窓に対して収集されるデータも表すことができる。ストローブ窓読出し動作は、(例えば、読出し回路209によって)各サブフレームの最後に実施することができ、(各サブフレームがそれぞれのストローブ窓に対応する)複数のサブフレームが各画像フレーム(例えば、各フレームに20個のサブフレーム)を構成する。図4A及び図4Bに示すタイミングは、単に例としてのものであり、本明細書に記載する実施形態により他のタイミングが可能であり得る。
【0060】
図5は、本発明のいくつかの実施形態による例示的なアキュムレータ/積算器回路500を示す。例えば、アキュムレータ/積算器回路500を用いて、本明細書に記載するようなアキュムレータ201及び/又は202を実装することができる。図5に示すように、回路500は、複数の全加算器FA501、Dフリップフロップ502、マルチプレクサ504及びアップダウンカウンタ503を含む、インクリメント/デクリメントアキュムレータとして実装することができる。Dフリップフロップ502は、全加算器FA501に対する(例としてA<0:4>として示す)入力のそれぞれの合計Sとクロック信号Clkとに応じて、(例としてD<31:0>として示す)出力を提供する。全加算器FA501は、桁上げチェーンで実装され、それにより、1つの全加算器FA501の桁上げ出力(Co)が、次の全加算器FA501の桁上げ入力(Ci)に接続される。チェーンにおける最後の全加算器FA501の桁上げ出力は、アップダウンカウンタ503に接続される。図5に示す実施態様は、当業者には理解されるものであり、単に例として提供されるため、更なる説明は省略する。
【0061】
図6は、本発明のいくつかの実施形態において用いることができる例示的な並列カウンタ/加算器回路600を示す。例えば、並列カウンタ/加算器回路600を用いて、本明細書に記載する並列カウンタ204を実装することができる。図6に示すように、回路600は、入力b<14:0>に応じて出力d<3:0>を提供するように接続されている複数の全加算器FA601を用いて実装することができる。図6に示す実施態様は、当業者には理解されるものであり、単に例として提供されるため、更なる説明は省略する。
【0062】
図7は、本発明のいくつかの実施形態によるゲーテッド・リング・オシレータ(GRO:gated ring oscillator)回路700の一例を示す。いくつかの実施形態では、GRO回路700を用いて、図2のゲーテッドクロック207を実装することができる。図7に示すように、GRO700は、Dフリップフロップ702と論理素子704の組合せとを用いて実装し、相関器203からの出力Corrと(図3に示すように)ストローブ信号Strobe<i>の反転である信号StrobeB<i>とに応じてクロック信号FastClkを発生させることができる。クロック信号FastClkの周波数は、(例えば、CMOSノードに対して1GHz~5GHzに)比較的低くすることができる。このように比較的低い周波数によって、長いトランジスタを用いてオシレータの固有周波数を低速化することにより、電力消費を低減させるか又は最小限にすることができる。GRO700は、典型的には、強力なPVT感度を有することができ、時間によるジッタ及び不整合(例えば、約1%~2%)を蓄積する。
【0063】
いくつかの実施形態では、(例えば、数百MHzのクロック周波数を有する)グローバル自走クロック源を、Enable信号によりピクセルアキュムレータにゲート入力することができる。いくつかの回路は、いくつかのGROベースの手法と比較して感度、ジッタ及び不整合を低減させることができる、こうしたグローバル自走クロック源を発生させるように、アレイを横切ってオシレータを結合することができる。こうした回路の不都合としては、オシレータが、SPADアクティビティの関数としてではなく連続的に実行し続ける可能性があるため、信号レベルとは無関係に電力を消費することを含み得る。
【0064】
図5図7は、本明細書に記載するCMMピクセルプロセッサのコンポーネントを実装するために用いることができる例示的な回路を示すが、本明細書に記載及び例示する回路は、単に例として提供されるものであることと、本明細書に記載するアキュムレータ、並列カウンタ及び/又は他の回路の実施形態は、これらの例示的な実施態様に決して限定されないこととが理解されるであろう。
【0065】
本明細書に記載するCMMベースの直接ToF計算に対する信号処理動作を実装する回路を含む本発明の実施形態により、例えば、用いることができるアキュムレータのビット深度(光子計数深度)に関して、計数及び/又は記憶要件を大幅に及び/又は徹底的に低減させることができる。
【0066】
本明細書に記載するいくつかの例は、(検出器又はマイクロセルにおける200MHzの光子到達に等価である)ストローブ窓ごとに最大16個の相関するイベントと、15384のレーザーパルスに等価な20msの最長サブフレームとで、80nsストローブ窓(16個のストローブ)に関するアキュムレータのビットのビット深度又は数を示す。200psクロック(ストローブにおいて400クロック、この例では512に丸められる)では、相関する光子の最大数は246000であり得る。したがって、時間アキュムレータは、1億2600万カウントが必要である可能性がある。本明細書に記載するいくつかの実施形態では、45ビットの最大総出力(又は、37ビットの最小総出力)で、18ビットの光子カウンタ202と27ビットの時間アキュムレータ201とを用いることができる。この例では、実施態様は、アキュムレータにおける合計45個のDFF(Dフリップフロップ)と、4個のDFFカウンタと、並列カウンタ/アキュムレータにおける19個のFA(全加算器)と、16個のアクティブクエンチと、3段GROと、注入同期とを含むことができる。(例えば、Henderson他、「A 256×256 40nm/90nm CMOS 3D-Stacked 120dB-Dynamic-Range Reconfigurable Time-Resolved SPAD Imager」(2019 International Solid-State Circuits Conference, San Francisco, USA)に記載されているような)いくつかの従来の4×4SPADピクセルと比較すると、本明細書に記載するピクセルは、20μm~24μmピッチまで低減し、約5μm~6μmピッチSPADを用いることができ、それにより、低減したFastclk周波数でより少ないビット及びより低い電力が可能になる。
【0067】
図8を参照して、(時間-デジタル変換動作を必要とするいくつかの従来のタイムスタンプ加算及び平均化技法と比較して)本発明の実施形態による質量中心計算技法によって提供される利点を示す更なる例について説明する。図8は、本発明の実施形態による、検出窓にわたる(矢印↓によって示す)検出イベントのヒストグラム800を示す。いくつかの実施形態では、(タイムステップkを含む)検出窓は、LIDARエミッタのレーザーパルス間の複数のストローブ窓のうちの1つとすることができ、ストローブ窓は、エミッタのレーザーパルス間の時間の持続時間によって画定されるイメージング距離範囲のそれぞれの距離部分範囲に対応する。いくつかの実施形態では、(時間ステップkを含む)検出窓は、エミッタのパルス間の時間の全持続時間を表すことができる。これらの例では、質量中心CMは、以下の式を用いて計算することができ、
【数3】
式中、NCは、レーザーサイクルの数(例えば、特定のストローブ窓及び関連する距離部分範囲に割り付けられたレーザーサイクルの総数)を指し、NSは、SPADの数(例えば、検出器アレイにおけるSPADの総数)であり、T(e,f)は、(レーザーサイクルの数NCのうちの)サイクルfにおけるレーザーパルスの時間に対する、SPAD検出イベント又はトリガeの時間オフセットである。SPADがトリガしない場合、T(e,f)=0である。
【0068】
上記CM式の分子は、(サイクルfに対して)以下のように書き換えることができ、
【数4】
式中、NS(k)は、レーザー周期若しくはサイクル(又は、特定のストローブ窓によって表されるその一部分)におけるタイムステップkにおいてトリガされたSPADの数であり、NPは、レーザー周期又はストローブ窓におけるタイムステップの最大数である。この式の左側では、複数の個々のタイムスタンプを合計する必要がある。対照的に、本明細書に記載する実施形態による、上記式の右側は、各SPADに対してそれぞれのTDC動作を用いることなく決定することができる、トリガされたSPADの数NS(k)の(例えば、各連続的なタイムステップkにおける)ローリング合計(rolling sum)として計算することができる。
【0069】
図8の例に示すように、レーザー周期におけるタイミング間隔kの(すなわち、各ストローブ窓における、又はレーザーサイクルごとに1つのストローブ窓しかない場合は各レーザーサイクルにおける)総数NP=20であり、アレイにおけるSPADの数NS=8(そのうちの7個が、入射光子に応じてトリガ(又は「発射」)される)である。上記に示したように、この例では、SPAD1は時間ステップk=4において発射され、SPAD2は時間ステップk=10において発射され、SPAD3及び4は時間ステップk=12において発射され、SPAD5は時間ステップk=13において発射され、SPAD6は時間ステップk=15において発射され、SPAD7は時間ステップk=18において発射される。
【0070】
時間-デジタル変換動作を必要とするいくつかのタイムスタンプ平均化技法を用いて、質量中心を、以下のように、タイムスタンプの平均合計として(すなわち、7個のSPADのそれぞれのトリガのそれぞれの時点の合計を平均することによって)計算することができる。
CM=(4+10+12+12+13+15+18)/7=12
しかしながら、この例示的なタイムスタンプ平均化では、(例えば、7個の時分割多重化TDC又はマルチイベントTDCにより)7回の別個の時間-デジタル変換動作が必要である可能性がある。こうした動作は、例えば、Henderson他、「A CMOS SPAD sensor with a multievent folded flash time-to-digital converter for ultra-fast optical transient capture」(IEEE Sensors J., vol. 18, no. 8, pp. 3163-3173, Apr. 2018)に記載されている。こうした時間-デジタル変換動作のそれぞれは、著しい電力及び/又は装置面積を消費する可能性があり、それにより、小さいピクセルでの実装が阻止される可能性がある。さらに、(例えば、上記SPAD3及びSPAD4に対して時間ステップk=12において示す)2つのSPADにおける2つの光子の入射到達は、多くの方式では正確に変換されない可能性があり、その結果、1つのタイムスタンプしか発行されない。これは、パイルアップ歪みを表す可能性があり、推定平均到達時間を(不正確に)より早期の時点に重み付けする可能性がある。
【0071】
対照的に、本発明の実施形態による質量中心のローリング計算は、各時間ステップkにおける、すなわち、各タイミング間隔kにおける又はその時点でトリガされたSPADの数の合計を平均することにより、(発生した検出イベントの数を示す)発射されたSPADの数NS(k)の合計に基づくことができる。以下に示すように、こうした質量中心のローリング計算は、従来のタイムスタンプ平均化と同じ結果を提供するが、更なる時間-デジタル変換動作の計算複雑性及び電力要件なしに提供する。
CM=20-(1+1+1+1+1+1+2+2+4+5+5+6+6+6+7+7)/7=12
【0072】
ローリング質量中心は、例として図2のSPADピクセルプロセッサ205に示すように、並列加算器又はカウンタとアキュムレータとのカスケードによって計算することができる。計数される相関の数は、(例えば、数百ps、例えば、200ps~500ps、又は更には(標的距離範囲に応じて)最大1nsの周期を有する)高速クロック207により、ローリング方式に積算することができ、多くのレーザーサイクルにわたって繰り返すことができる。したがって、本発明の実施形態によるローリング質量中心計算における計数された相関は、いくつかの従来のTDCビンよりもはるかに粗であり得る(例えば、20ps~100ps)。
【0073】
本明細書に記載するいくつかの実施形態は、比較的短いゲート制御される時間間隔に対して好適である可能性があり、そこでは、同じSPADの複数の発射の可能性は比較的低い可能性がある。他の実施形態では、並列カウンタ204は、(例えば、短い範囲にある標的の場合の)強度のレーザー戻りシナリオで発生する可能性があるような、複数のSPADの入射発射(すなわち、2つ以上のSPADが実質的に同時にトリガされる)を扱うことができ、したがって、パイルアップによる質量中心(CM)のスキューが回避される。すなわち、図3のタイミング図例に示すように、ストローブ窓において複数のSPADをトリガすることができ、同じストローブ窓において複数回、SPADを発射させることができる(すなわち、SPADは、窓ごとに1回の発射に限定されない)。
【0074】
したがって、本発明の実施形態は、ストローブ窓において複数の相関光子イベントを処理することができる。SPADがストローブ窓ごとに複数回トリガすることが予期されるように、ピクセルごとの光子束が十分に高い実施形態では、フロントエンド回路は、相関時間又は窓に等しいホールドオフ時間を有するアクティブクエンチ、アクティブ充電回路(例えば、図2に示す回路206)(又は代替的に、単安定回路が続くパッシブクエンチ回路)を含むことができる。各SPADがストローブ窓ごとに2回以上発射する可能性が低いように、光子束が十分に低い(又は、ストローブ窓が十分に短い)実施形態では、(例えば、アームワンス(arm-once)MOSなどの)より複雑性の低い回路を用いて、レーザーサイクルの開始時に降伏電圧よりも高くSPADを引き上げることができる。
【0075】
いくつかの実施形態では、アキュムレータ(例えば、図2のアキュムレータ回路201及び202)は、所定時間内に到達する光子群のみが推定到達時間の計算に用いられるように、相関器回路の出力に応じて(すなわち、相関する光子が検出された場合にのみ、例えば、図2の相関器203の出力に応じて)動作することができる。相関器出力信号は、アキュムレータ(複数の場合もある)に対する制御としての役割を果たすことができ、相関する光子検出に応じて検出イベント測定を可能にし、それ以外は、こうした検出イベント測定が発生しないようにし、それにより、計数要件及び電力消費を低減させることができる。
【0076】
いくつかの実施形態では、アキュムレータ(例えば、図2の時間アキュムレータ201)は、例えば、図2のゲーテッドクロック207からの出力としてのゲート制御されたクロック信号に応じて、動作することができる。例えば、いくつかの実施形態では、過度の電力消費を回避するために、NS(k)>threth(例えば、thresh=1、2、4、8)としてアキュムレータ段(高速クロックに対する主負荷)を制御するように、クロック信号をゲート制御することができ、そこで、NS(k)は、各時間ステップkにおいてトリガされたSPADの数である。閾値(thresh)は、それぞれの時間ゲート期間及び/又は周囲光レベルの検出の又はそれに対応する距離範囲オフセットに従って(例えば、図1Aの制御回路105によって)変更することができる、可変閾値であり得る。可変閾値に対するthresh=1の選択により、ダークカウント又は周囲照明に起因する非減衰背景信号を含む質量中心回路に、無相関信号光子イベントが供給される。検出イベントとしてみなす、相関窓内に到達しなければならない光子の閾値数を増大させる、可変閾値に対するより高い値(例えば、thresh=2、4、8)の選択により、背景電力を超えるピークレーザー電力があるとすれば、相関するレーザーパルス戻りを優先させながら、背景信号レベルを漸進的に抑制することができる。こうした閾値は、限定されないが二進数に関して記述され、これにより、例えば、図2におけるCorr信号としてC<4:0>信号又はワードの単一ビットを単に多重化することにより、より複雑性の低い相関器実施態様を提供することができる。NS(k)>threshの他のより一般的な場合では、(潜在的により大きいハードウェア領域を備えた)復号器又はデジタル比較器を用いることができる。
【0077】
本明細書では、本開示の実施形態について、測定され及び/又はメモリにデータとして記憶される入来する光子の量を低減させるように構成されている、光ベースの測距測定システム(ライダー等)と、関連する動作方法とに関して説明してきた。特に、光子は、それらのそれぞれの到達時間の間の時間相関に基づいて選択的に捕捉されるか又は計数され、それにより、測定及び処理される入来する光子の量を低減させることができる。例えば、パルス化レーザーから且つ標的によって反射される光子は、比較的狭い時間窓で到達する可能性があるという認識に基づき、本明細書に記載する実施形態は、それにより、周囲光源(例えば、日光)からの無相関光子を排除しながら、これらの相関する光子を選択的に捕捉又は計数して、本明細書に記載するローリング質量中心計算技法を実施することにより、時間-デジタル変換なしにピクセル内平均化を提供することができる。すなわち、本明細書に記載する処理回路は、相関器回路によって画定される同じ相関窓において受光される信号光子の到達時間(TOA)の計算を実施することができる。処理回路は、アレイにおけるそれぞれのSPADにより、光子の(例えば、本明細書における時間アキュムレータ回路によって提供されるような)検出イベントの時間積算された数と(例えば、本明細書における光子カウンタ回路によって提供されるような)検出イベントのカウントとの比に基づき、光子のバーストの推定到達時間を計算するように構成することができる。
【0078】
本明細書に記載するライダーシステム及びアレイは、ADAS(Advanced Driver Assistance Systems:先進運転支援システム)、自律走行車、UAV(unmanned aerial vehicles:無人航空機)、産業オートメーション、ロボティクス、バイオメトリクス、モデリング、拡張現実及び仮想現実、3Dマッピング並びにセキュリティに適用することができる。いくつかの実施形態では、エミッタアレイのエミッタ素子は、垂直共振器面発光レーザー(VCSEL)とすることができる。例えば、その開示内容は引用することにより本明細書の一部をなすものとする米国特許商標庁に2018年4月12日に出願された、Burroughs他の米国特許出願公開第2018/0301872号に記載されているように、いくつかの実施形態では、エミッタアレイは、何千もの別個のエミッタ素子が直列に及び/又は並列に電気的に接続されている非ネイティブ基板を備えることができ、ドライバ回路が、エミッタアレイのそれぞれの行及び/又は列に隣接して非ネイティブ基板上に集積されたドライバトランジスタによって実装される。
【0079】
本明細書では、実施形態例を示す添付図面を参照して、様々な実施形態について説明してきた。しかしながら、これらの実施形態は、異なる形態で具現化することができ、本明細書に示す実施形態に限定するものと解釈されるべきではない。むしろ、これらの実施形態は、本開示が徹底的かつ完全であり、当業者に本発明の概念を十分に伝えるように提供される。本明細書に記載した実施形態例並びに全体的な原理及び特徴に対する様々な変更形態が容易に明らかとなるであろう。図面において、層及び領域のサイズ及び相対サイズは、正確な尺度で示されてはおらず、場合によっては、明確にするために誇張されている可能性がある。
【0080】
例示的な実施形態は、主に、特定の実施態様において提供された特定の方法及びデバイスに関して記載してきた。しかしながら、それらの方法及びデバイスは、他の実施態様で有効に動作することができる。「例示的な実施形態」、「1つの実施形態」及び「別の実施形態」等の言い回しは、同じか又は異なる実施形態とともに複数の実施形態を指す場合がある。実施形態について、或る特定のコンポーネントを有するシステム及び/又はデバイスに関して説明してきた。しかしながら、そうしたシステム及び/又はデバイスは、示したものより少ないか又は追加のコンポーネントを含むことができ、本発明の概念の範囲から逸脱することなく、それらのコンポーネントの配置及びタイプの変形形態を作成することができる。実施形態例について、或る特定のステップ又は動作を有する特定の方法に関してもまた記載してきた。しかしながら、そうした方法及びデバイスは、異なる及び/又は追加のステップ/動作、並びに、実施形態例とは一貫しない異なる順序でのステップ/動作を有する、他の方法に対しても有効に動作することができる。したがって、本発明の概念は、示した実施形態に限定されるようには意図されておらず、本明細書に記載した原理及び特徴と一貫する最も広い範囲が与えられるべきである。
【0081】
本明細書で使用した用語は、特定の実施形態を説明することのみを目的とするものであり、例示的な実施形態を限定するようには意図されていない。本明細書で用いる場合の単数形「一(a、an)」及び「その(the)」は、別段文脈に明確な指示がない限り、同様に複数形を含むように意図される。本明細書で用いる場合の「備える(comprising、comprises)」という用語は、非限定的(open-ended)であり、1つ以上の述べられていない要素、ステップ及び/又は機能を排除することなく1つ以上の述べられている要素、ステップ及び/又は機能を含むこともまた理解されるであろう。「及び/又は」という用語は、関連する列挙された項目のうちの1つ以上のありとあらゆる組合せを含む。
【0082】
本明細書では、第1や第2などの用語を用いて様々な要素について記載している場合があるが、これらの要素はこれらの用語によって限定されるべきではないことが理解されるであろう。これらの用語は、1つの要素を別の要素から識別するためにのみ使用される。したがって、上記において考察する第1の要素は、本発明の概念の範囲から逸脱することなく第2の要素と呼ぶことができる。
【0083】
要素が別の要素に「接続されて」いるか又は「結合されて」いるものとして言及される場合、それは、他方の要素に直接接続又は結合することができ、又は介在する要素が存在する場合があることも理解されよう。対照的に、要素が別の要素に「直接接続されて」いるか又は「直接結合されて」いるという場合、介在する要素は存在しない。
【0084】
別段の定義のない限り、本明細書で用いる(技術用語及び科学用語を含む)全ての用語は、本発明の概念が属する技術分野の当業者に一般に理解されるものと同じ意味を有する。一般に使用される辞書において定義されるもの等の用語は、関連技術に関連するそれらの意味と一貫する意味を有するものとして解釈されるべきであり、本明細書において明示的な定義のない限り、理想化された又は過度に形式的な意味で解釈されないことが更に理解されるであろう。
【0085】
本明細書において、上記の説明及び図面に関連して多くの異なる実施形態を開示してきた。これらの実施形態の全ての組合せ及び部分的組合せをそのまま説明し示すことは、過度に繰返しが多くわかりにくいものとなることが理解されるであろう。したがって、図面を含む本明細書は、本明細書において説明される実施形態並びにそれらを作成し用いる方式及びプロセスの全ての組合せ及び部分的組合せの完全な明細書を構成すると解釈されるものとし、任意のそのような組合せ又は部分的組合せに対する特許請求の範囲を支持するものとする。
【0086】
図面及び明細書において、本開示の実施形態が開示されており、具体的な用語が採用されているが、それらは、一般的かつ説明的な意味でのみ使用され、限定を目的とするものではない。
図1A
図1B
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8
【国際調査報告】