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特表2022-510819結束機、および長尺結束具を閉じた輪状にした際の結び目強度を検査する方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-28
(54)【発明の名称】結束機、および長尺結束具を閉じた輪状にした際の結び目強度を検査する方法
(51)【国際特許分類】
   B65B 13/18 20060101AFI20220121BHJP
   B65B 13/32 20060101ALI20220121BHJP
   B65B 13/06 20060101ALI20220121BHJP
【FI】
B65B13/18 G
B65B13/32
B65B13/06
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021528331
(86)(22)【出願日】2019-11-07
(85)【翻訳文提出日】2021-07-14
(86)【国際出願番号】 EP2019080570
(87)【国際公開番号】W WO2020126202
(87)【国際公開日】2020-06-25
(31)【優先権主張番号】18215026.8
(32)【優先日】2018-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518239123
【氏名又は名称】スント ビルスタ アーベー
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】マーステッド,ピーター
(72)【発明者】
【氏名】ダニエルソン,エリック
(72)【発明者】
【氏名】エングルンド,オヴェ
【テーマコード(参考)】
3E052
【Fターム(参考)】
3E052BA18
3E052CA01
3E052CB05
3E052CB07
3E052DB05
3E052GA05
3E052HA01
3E052LA04
(57)【要約】
結束機は、送り/張架装置(5)と、結合装置とを、備える。送り/張架装置(5)は、ワイヤやストラップからなる結束具(3)を、空間(4)の周りに送る。結合装置は、結束具の先端の第1結束具部分と、空間内、あるいはその周囲に輪状をなす結束具片の終端の第2結束具部分との間に、結び目(8)を形成し、これにより、結束具片からなる閉じた輪(11)を形成する。送り/張架装置は、結び目に対して引張試験を実施するため、結束具に張力を掛けるよう構成される。この試験時、把持機構(30)は、結束具の結び目(8)および先端間に位置する第1結束具部分の一部(13)との係合により、第1結束具部分を固定位置に固定するよう構成される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一つ以上の束ねる対象物(10)を収容する空間(4)周りに、輪状になるよう、ワイヤやストラップからなる長尺結束具(3)を送り、続いて、前記空間(4)に収容された、一つ以上の対象物(10)周りに、きつく引き締めるよう、前記結束具(3)を引き戻す送り/張架装置(5)と、
前記空間(4)の周りに輪状に前記結束具を送った後、第1結束具部分(7a)を前記結束具(3)の先端に把持して係止する把持機構(30)と、
前記第1結束具部分(7a)と、前記空間(4)内あるいはその周りに、輪状に配置された前記結束具の片(3a)の終端にある、隣接する第2結束具部分(7b)との間に、結び目(8)を形成し、これにより、前記結束具の前記片(3a)からなる閉じた輪(11)を形成する結合装置(40)と、及び、
電動制御装置(60)と、
を備え、
前記電動制御装置(60)は、前記送り/張架装置(5)を制御して、前記結び目(8)の形成後に、前記結束具(3)に対して張力をかけるよう構成され、これにより、前記結び目(8)に対して引張試験を実施し、前記結び目(8)の強度を確認し、
前記引張試験時、前記把持機構(30)は、前記結び目(8)と前記結束具の先端(12)との間に位置する前記第1結束具部分(7a)の一部(13)との係合により、前記第1結束具部分(7a)を固定位置に固定した状態にするよう構成される、ことを特徴とする、結束機。
【請求項2】
前記結合装置(40)は、溶接機械である、ことを特徴とする、請求項1に記載の結束機。
【請求項3】
前記結合装置(40)は、レーザー溶接機械である、ことを特徴とする、請求項2に記載の結束機。
【請求項4】
前記把持機構(30)は、前記結び目(8)の形成時、重なり合う前記第1結束具部分および前記第2結束具部分(7a,7b)を支持する支持部材(34)を備える、ことを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の結束機。
【請求項5】
凹部(35)が、前記支持部材(34)の上側支持面(36)に設けられ、
前記把持機構(30)は、前記支持部材(34)の前記凹部(35)の形状と合致するような形状を有する押圧要素(37)を備え、これにより、前記押圧要素(37)は、前記凹部(35)内に収容され、
前記把持機構(30)は作動装置(39)を備え、前記作動装置(39)は、前記押圧要素(37)および前記支持部材(34)を、前記押圧要素(37)が前記支持部材(34)の前記凹部(35)から離れたところに位置する第1相互位置と、前記押圧要素(37)が前記凹部(35)に収容される第2相互位置との間を、相対的に動かすよう構成され、
前記押圧要素(37)および前記支持部材(34)が、前記押圧要素(37)および前記支持部材(34)間の空間に収容される前記第1結束具部分(7a)の前記一部(13)とともに、前記作動装置(39)により、前記第1相互位置から前記第2相互位置へ、相対的に移動する際、前記押圧要素(37)および前記支持部材(34)は、前記第1結束具部分(7a)の前記一部(13)に膨張部(14)を形成するよう構成される、ことを特徴とする、請求項4に記載の結束機。
【請求項6】
前記作動装置(39)は、前記支持部材(34)に対して相対的に前記押圧要素(37)を移動させることで、前記押圧要素(37)および前記支持部材(34)間の相対移動を実現するよう構成される、ことを特徴とする、請求項5に記載の結束機。
【請求項7】
前記作動装置(39)は、前記押圧要素(37)に対して相対的に前記支持部材(34)を移動させることで、前記押圧要素(37)および前記支持部材(34)間の相対移動を実現するよう構成される、ことを特徴とする、請求項5に記載の結束機。
【請求項8】
前記押圧要素(37)は、前記押圧要素(37)が前記凹部(35)に収容された際、前記支持部材(34)の前記上側支持面(36)と同一平面、または、少なくとも本質的には同一平面上にある上側面(38)を有する、ことを特徴とする、請求項5乃至7のいずれか一項に記載の結束機。
【請求項9】
前記結束機(1)は押当装置(50)を備え、前記押当装置(50)は、前記第2結束具部分(7b)が前記第1結束具部分(7a)に重なっている際に、前記第2結束具部分(7b)を前記第1結束具部分(7a)に対して押し当て、
前記押当装置(50)は、前記支持部材(34)と協働するよう構成される押当部材(51)を備え、
前記第1結束具部分および前記第2結束具部分(7a,7b)は、前記押当部材(51)および前記支持部材(34)間の空間に収容可能であり、
前記押当部材(51)は、前記押当部材(51)が前記支持部材(34)から退避した、第1退避位置と、前記第1結束具部分および前記第2結束具部分(7a,7b)をともに押し当てるため、前記押当部材(51)を前記支持部材(34)に対して押し当てる第2前進位置との間で、前記支持部材(34)に対して移動可能であり、
前記電動制御装置(60)は、前記押当装置(50)を制御して、前記第1結束具部分および前記第2結束具部分(7a,7b)間の前記結び目(8)が、前記結合装置(40)によって形成される際、前記押当部材(51)を前記第1位置にとどめ、前記引張試験の実施時には、前記押当部材(51)を前記第2位置にとどめるよう構成される、ことを特徴とする、請求項4乃至8のいずれか一項に記載の結束機。
【請求項10】
前記結束機(1)は、帯掛け機である、ことを特徴とする、請求項1乃至9のいずれか一項に記載の結束機。
【請求項11】
前記送り/張架装置(5)は、前記結束具(3)を送り、引き戻す送りローラ(5a,5b)と、前記結束具(3)を張架し、前記結束具に対して前記張力を掛ける張架ローラ(5c,5d)とを備える、ことを特徴とする、請求項1乃至10のいずれか一項に記載の結束機。
【請求項12】
ワイヤやストラップからなる長尺結束具(3)を結束機(1)によって閉じた輪(11)を形成し、前記閉じた輪の結び目(8)の強度を検査する方法であって、前記方法は、
前記結束機(1)が備える送り/張架装置(5)によって、一つ以上の束ねる対象物(10)を収容する空間(4)周りに、輪状になるように前記結束具(3)を送る工程と、
前記結束具を前記空間(4)の周りに輪状に送った後、前記結束機(1)が備える把持機構(30)によって、前記結束具(3)の先端にある第1結束具部分(7a)を把持し係止する工程と、
前記結束機(1)が備える結合装置(40)によって、前記第1結束具部分(7a)と、前記空間(4)内あるいはその周りに、輪状に配置された前記結束具の片(3a)の終端にある、隣接する第2結束具部分(7b)との間に、結び目(8)を形成し、これにより、前記結束具の前記片(3a)からなる閉じた輪(11)を形成する工程と、
前記結び目(8)に対して引張試験を実施し、前記結び目(8)の強度を確認するため、前記結び目(8)の形成後、前記送り/張架装置(5)によって、前記結束具(3)に対して張力を掛ける工程と、
を含み、
前記把持機構(30)は、前記引張試験時に、前記結び目(8)と前記結束具の先端(12)との間に位置する前記第1結束具部分(7a)の一部(13)との係合により、前記第1結束具部分(7a)を固定位置に固定した状態にする、ことを特徴とする方法。
【請求項13】
前記結び目(8)は、溶接機械、好ましくはレーザー溶接機械である前記結合装置(40)によって形成される、ことを特徴とする、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記結び目(8)の形成時および前記引張試験の実施時、前記第1結束具部分および前記第2結束具部分(7a,7b)は、前記把持機構(30)の支持部材(34)により支持され、
前記第2結束具部分(7b)が前記第1結束具部分(7a)に重なっている際に、前記第1結束具部分および前記第2結束具部分(7a,7b)は、前記支持部材(34)および押当部材(51)間の空間に収容され、
前記結び目(8)の形成時、前記第1結束具部分および前記第2結束具部分(7a,7b)をともに押し当てるため、前記押当部材(51)は、前記支持部材(34)に対して押圧され、
前記押当部材(51)は、前記結び目(8)の形成後に、前記支持部材(34)から退避し、前記引張試験の実施時、前記支持部材(34)から離れた非押当位置にとどまる、ことを特徴とする、請求項12または13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1のプレアンブルに記載の結束機に関する。本発明はまた、ワイヤやストラップからなる長尺結束具を結束機によって閉じた輪状にし、閉じた輪の結び目の強度を検査する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ストラップやワイヤからなる結束具を輪状にして対象物または対象物の束の周囲に装着する自動結束機は、結束具で、対象物/束の周囲をきつく引き締め、その後、結束具の二部分同士を結合させることで、対象物/束の周囲で結束具を固着させる。このような自動結束機として、種々の構成が知られている。一例として、特許文献1で開示される結束機では、レーザー溶接機械を使用し、対象物または対象物の束の周りに輪状に配置された、ワイヤやストラップからなる結束具片の両端にあたる二部分間に、結び目を形成する。これにより、単一あるいは複数の対象物の周りを輪状に括る結束具の結び目を解けないようにする。このような結び目を、レーザー溶接以外の適する溶接方法によって形成してもよい。金属ストラップからなる結束具の場合、特許文献2に開示されているように、打抜部材によって、係止シールおよび固定シールを、互いに重なり合う二つのストラップ部分で打ち抜くことで結び目を形成してもよい。
【0003】
特許文献3のように、結束機において、輪状のワイヤに形成され、溶接によって突き合せた結び目の強度を試験することが、従来から知られている。固定締付部材および可動締付部材によって結び目の両側のワイヤを把持し、可動締付部材を固定締付部材から引き離すことによって、結び目の引張試験を実施する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2017/129679号
【特許文献2】欧州特許出願公開第2243708号明細書
【特許文献3】米国特許第4314131号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、ワイヤやストラップからなる結束具を結束機によって輪状にした際に、その結び目の強度を、新規かつ有利な方法で試験することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、本目的は、請求項1に記載の特徴を有する結束機によって達成される。
【0007】
本発明に係る結束機は、以下を備える。
・一つ以上の束ねる対象物を収容する空間周りに、輪状になるよう、ワイヤやストラップからなる長尺結束具を送り、続いて、空間に収容された、一つ以上の対象物の周りに、きつく引き締めるよう、結束具を引き戻す送り/張架装置。
・空間の周りに輪状に結束具を送った後、第1結束具部分を結束具の先端に把持して係止する把持機構。
・第1結束具部分と、空間内あるいはその周りに、輪状に配置された結束具の片の終端にある、隣接する第2結束具部分との間に、結び目を形成し、これにより、結束具片からなる閉じた輪を形成する結合装置。
・送り/張架装置を制御して、結び目の形成後に、結束具に対して張力をかけるよう構成される電動制御装置。これにより、結び目に対して引張試験を実施し、結び目の強度を確認する。
引張試験時、把持機構は、結び目と結束具の先端との間に位置する第1結束具部分の一部(13)との係合により、第1結束具部分を固定位置に固定した状態にするよう構成される。
【0008】
したがって、本発明によれば、結束具に形成された結び目の強度を試験する引張試験は、結束機の送り/張架装置によって、単純かつ効率的に実施される。結束具を送り/張架装置によって引っ張ることで、結び目に対して効率的な引張試験が実施できるのは、把持機構が、結び目および結束具の先端間に位置する第1結束具部分の一部との係合により、第1結束具部分を固定位置に固定した状態にしているためである。ここで、結束具が把持され、引っ張られると、結び目の両側に作用する。つまり、結び目が、引張試験時に送り/張架装置によって掛けられた張力の全て、あるいは、少なくともほぼ全てを受けていることになる。
【0009】
本発明に係る結束機のさらなる利点に関しては、以下の説明および従属項において明らかにする。
【0010】
本発明はまた、請求項12に記載の特徴を有する方法に関する。
【0011】
本発明に係る方法のさらなる利点に関しては、以下の説明および従属項において明らかにする。
【0012】
添付の図面を参照して、以下に例示する、本発明の好ましい実施形態を具体的に説明する。図面は以下の通りである。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、本発明の実施形態に係る結束機の概略図である。
図2a図2a乃至図2jは、図1の結束機が備える構成要素の部分断面概略図であって、対象物の束の周りに結束具を輪状に固定する工程と、結束具に形成した結び目の強度を試験する工程を、それぞれ異なる段階において示す。
図2b図2a乃至図2jは、図1の結束機が備える構成要素の部分断面概略図であって、対象物の束の周りに結束具を輪状に固定する工程と、結束具に形成した結び目の強度を試験する工程を、それぞれ異なる段階において示す。
図2c図2a乃至図2jは、図1の結束機が備える構成要素の部分断面概略図であって、対象物の束の周りに結束具を輪状に固定する工程と、結束具に形成した結び目の強度を試験する工程を、それぞれ異なる段階において示す。
図2d図2a乃至図2jは、図1の結束機が備える構成要素の部分断面概略図であって、対象物の束の周りに結束具を輪状に固定する工程と、結束具に形成した結び目の強度を試験する工程を、それぞれ異なる段階において示す。
図2e図2a乃至図2jは、図1の結束機が備える構成要素の部分断面概略図であって、対象物の束の周りに結束具を輪状に固定する工程と、結束具に形成した結び目の強度を試験する工程を、それぞれ異なる段階において示す。
図2f図2a乃至図2jは、図1の結束機が備える構成要素の部分断面概略図であって、対象物の束の周りに結束具を輪状に固定する工程と、結束具に形成した結び目の強度を試験する工程を、それぞれ異なる段階において示す。
図2g図2a乃至図2jは、図1の結束機が備える構成要素の部分断面概略図であって、対象物の束の周りに結束具を輪状に固定する工程と、結束具に形成した結び目の強度を試験する工程を、それぞれ異なる段階において示す。
図2h図2a乃至図2jは、図1の結束機が備える構成要素の部分断面概略図であって、対象物の束の周りに結束具を輪状に固定する工程と、結束具に形成した結び目の強度を試験する工程を、それぞれ異なる段階において示す。
図2i図2a乃至図2jは、図1の結束機が備える構成要素の部分断面概略図であって、対象物の束の周りに結束具を輪状に固定する工程と、結束具に形成した結び目の強度を試験する工程を、それぞれ異なる段階において示す。
図2j図2a乃至図2jは、図1の結束機が備える構成要素の部分断面概略図であって、対象物の束の周りに結束具を輪状に固定する工程と、結束具に形成した結び目の強度を試験する工程を、それぞれ異なる段階において示す。
図3a図3a乃至図3eは、図1の結束機が備える構成要素の部分断面概略図であって、結束具を閉じた輪状に形成する工程と、結束具に形成した結び目の強度を試験する工程を、それぞれ異なる段階において示す。
図3b図3a乃至図3eは、図1の結束機が備える構成要素の部分断面概略図であって、結束具を閉じた輪状に形成する工程と、結束具に形成した結び目の強度を試験する工程を、それぞれ異なる段階において示す。
図3c図3a乃至図3eは、図1の結束機が備える構成要素の部分断面概略図であって、結束具を閉じた輪状に形成する工程と、結束具に形成した結び目の強度を試験する工程を、それぞれ異なる段階において示す。
図3d図3a乃至図3eは、図1の結束機が備える構成要素の部分断面概略図であって、結束具を閉じた輪状に形成する工程と、結束具に形成した結び目の強度を試験する工程を、それぞれ異なる段階において示す。
図3e図3a乃至図3eは、図1の結束機が備える構成要素の部分断面概略図であって、結束具を閉じた輪状に形成する工程と、結束具に形成した結び目の強度を試験する工程を、それぞれ異なる段階において示す。
図4図4は、図1の結束機が備える支持部材および押圧要素の模式図であって、押圧要素が、それに対応する、支持部材の凹部から離れた退避位置にある様子を示す。
図5図5は、支持部材および押圧要素の模式図であって、押圧要素が、前進位置で、支持部材の凹部内に収容された様子を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施形態に係る結束機1が備える構成要素の一部を、図1に模式的に示した。結束機1は、
・一つ以上の束ねる対象物10を収容する空間4の周りに、輪状になるよう、ワイヤやストラップからなる長尺結束具3を案内する案内軌道2と、
・一つ以上の対象物10の周りに結束具3を固定するシールユニット20と、
・供給コイル6から、シールユニット20を通って、案内軌道2に向かい、空間4に収容された対象物の周りの輪状の案内軌道に沿ったのちに、シールユニット20に戻るよう、結束具3を送り、そして、空間4に収容された一つ以上の対象物10の周りに、きつく結束具3が巻かれるよう結束具3を引き込む、送り/張架装置5と、
・結束具が送り/張架装置5によって引き込まれた際、一時的に結束具3の一部を蓄積し、その後、送り/張架装置5によって、結束具が前に送られた際、蓄積した結束具の一部を解放するアキュムレータ9と、
を備える。
【0015】
案内軌道2は、例えば、対象物収容空間4に面した縦長開口を有するレール状であってもよい。あるいは、案内軌道を使用せずに、結束具は、単一あるいは複数の束ねる対象物の周りに、輪状になるよう送られてもよい。これは、結束具を曲げるよう構成された曲げ装置に結束具を送ることによって実現され得る。これにより、結束具は、空きスペース内において、案内軌道等に接触することなく、単一あるいは複数の束ねる対象物10の周りで、実質的に円形を有する経路を通るよう移動できる。ここで、結束具の先端を捕えて、シールユニット内に案内するため、漏斗形案内要素を経路の端に配置してもよい。
【0016】
結束具3を空間4の周りに輪状に送る前後あるいはその最中に、単一あるいは複数の束ねる対象物10を対象物収容空間4内に載置してもよい。
【0017】
アキュムレータ9を使用する代わりに、反対方向に供給コイル6を回転させることで、結束具が送り/張架装置5によって引き込まれる際、結束具3を緩めることを開始するか、または避けてもよい。
【0018】
上述のシールユニット20が備える構成要素の一部を、図2a乃至図2jおよび図3a乃至図3eにおいて、非常に模式的に示す。シールユニット20は、把持機構30を備える。把持機構30は、対象物収容空間4の周りに結束具を輪状に送った後、結束具3の先端にある第1結束具部分7aを把持して係止する。シールユニット20は、結合装置40をさらに備える。結合装置40は、対象物収容空間4内、あるいはその周囲に輪状をなす結束具片3aにおいて、第1結束具部分7aと、隣接した終端の第2結束具部分7bとの間に、結び目8を形成する。これにより、結束具片3aからなる閉じた輪11が形成される。
【0019】
結束機1は、帯掛け機であってもよい。ここで、結束具3が、金属またはプラスチック素材からなるストラップである。この場合、上述の結合装置40は、打抜部材を備えていてもよい。打抜部材は、一つ以上の対象物10の周りに輪状に形成された、金属ストラップからなる結束具の片における、互いに重なり合った端部にある係止シールおよび固定シールを打ち抜く。あるいは、帯掛け機の結合装置40は、溶接装置、例えば、レーザー溶接機械であってもよい。レーザー溶接機械は、第2結束具部分7bが第1結束具部分7aと重なって形成された、溶接重ね結び目である、上述の第1結束具部分7aおよび第2結束具部分7b間の結び目8を形成するよう構成される。
【0020】
結束機1は、ワイヤ結束機であってもよい。ここで、結束具3は、金属素材からなるワイヤである。この場合、上述の結合装置40は、溶接装置、例えば、レーザー溶接機械である。レーザー溶接は、上述の第1結束具部分7aおよび第2結束具部分7b間に溶接結び目を形成するよう構成される。この場合、結合装置40は、第1結束具部分7aおよび第2結束具部分7b間の境界で、縦長の溶接結び目である結び目を形成するよう構成される。ここで、第2結束具部分7bは、第1結束具部分7aの横に、平行するよう位置する。
【0021】
図示の実施形態では、結束機1は、帯掛け機である。帯掛け機は、レーザー溶接ヘッド42を備えるレーザー溶接機械である、結合装置40を備える。ここで、第1結束具部分7aおよび第2結束具部分7b間の結び目8は、レーザー溶接ヘッドから射出されるレーザービーム43によって形成される(図2gおよび図3d参照)。レーザー溶接機械40は、射出レーザービーム43を、所望の対象領域の方向に向けて集中させる、従来技術にみられる手段を備える。
【0022】
送り/張架装置5は、当該結束機の使用に適するものであれば、いかなるものを用いてもよい。送り/張架装置5は、例えば、欧州特許出願公開第3398866号明細書に詳述される類のものである。
【0023】
図示の実施形態では、送り/張架装置5は、結束具3を送り、引き戻す回転可能な二つの送りローラ5a,5bと、結束具3を張架する、回転可能な二つの張架ローラ5c,5dからなる張架部材と、を備える。送りローラ5a,5bによって、結束具3は、まず、対象物収容空間4の周りに輪状に送り出され、その後、引っ張られて、一つ以上の束ねる対象物10に接触するように引き戻される。ここで、送りローラ5a,5bに引き戻される際に、結束具3に対して、最初の伸張が行われる。その後、一つ以上の対象物10の周りに固定される前に、張架ローラ5c,5dにより、結束具3に対して、最終伸張が行われる。
【0024】
送りローラ5a,5bは、互いに対向するように位置しており、送りローラ間のニップに収容された結束具3の一部に両側から接触するよう構成される。両方向駆動モータからなるアクチュエータ(不図示)によって、送りローラ5a,5bのうち、少なくとも一つが回転可能に従動し、これにより、結束具3が長手方向に移動する。駆動モータは、高速かつ低トルクで従動送りローラを回転させるよう構成される。駆動モータは、電動モータであることが好ましいが、油圧モータや空気圧モータであってもよい。
【0025】
張架ローラ5c,5dもまた、互いに対向するように位置しており、張架ローラ間のニップに収容された結束具3の一部に両側から接触するように構成される。駆動モータからなるアクチュエータ(不図示)によって、張架ローラ5c,5dのうち、少なくとも一つが回転可能に従動し、こにより、結束具3は、長手方向に、シールユニット20から離れるように引き戻される。駆動モータは、低速かつ高トルクで従動張架ローラを回転するよう構成される。駆動モータは、電動モータであることが好ましいが、油圧モータや空気圧モータであってもよい。回転従動送りローラおよび回転従動張架ローラは、同一の駆動モータによって駆動される。あるいは、送り/張架装置5は、各回転従動送りローラを回転させる第1モータと、各回転従動張架ローラを回転させる第2駆動モータと、を備えていてもよい。
【0026】
張架ローラ5c,5dからなる張架部材の代わりに、送り/張架装置5は、結束具3を張架する、二つのクランプ/引張顎部からなる張架部材を備えていてもよい。ここで、クランプ/引張顎部は、互いに対向するように位置しており、例えば、油圧シリンダからなるアクチュエータによって移動可能に構成され、顎部間に収容された結束具3の一部に両側から接触して把持することで、結束具をしっかりと掴む。クランプ/引張顎部によって、結束具をしっかりと掴み、例えば、油圧シリンダからなるアクチュエータによって、それらを一緒に結束具の長手方向に動かして、結束具に張力を掛ける。
【0027】
本発明によれば、上述の結び目8が形成された後に、結束具3に張力を掛けることで、結び目8に対する引張試験を行い、それにより、結び目8の強度を確認する。この時に、送り/張架装置5を利用する。この引張試験時に、把持機構30は、結束具の結び目8および先端12間に位置する第1結束具部分の一部13との係合により、第1結束具部分7aを固定位置に固定するよう構成される。図2hに示すように、結束具片3aが、一つ以上の束ねる対象物10の周りに、閉じた輪11として固定された際に、引張試験を実施してもよい。あるいは、図3eに示すように、試験工程において、結束具片3aからなる閉じた輪11が、対象物収容空間4内に形成されてはいるものの、対象物が閉じた輪11内に載置されていない状態、つまり、閉じた輪11が把持機構30下にぶら下がっている状態で、引張試験を実施してもよい。引張試験は、所望の間隔で実施されてもよく、例えば、新たに供給コイル6の使用が開始される度に実施されてもよい。
【0028】
引張試験時、送り/張架装置5が備える張架部材5c,5dによって、または、送りローラ5a,5bおよび張架部材5c,5dを組み合わせることによって、結束具3に張力を掛けてもよい。
【0029】
図示の実施形態では、把持機構30は、溶接結び目8の形成時に、第1結束具部分7aおよび第2結束具部分7bを支持する支持部材34を備える。支持部材34は、溶接結び目8の形成時に、結束具部分7a,7bと、単一あるいは複数の束ねる対象物10の外側面との間に位置するよう構成される。溶接結び目8が形成されると、支持部材34は、横方向に移動することで、束ねられた単一あるいは複数の対象物10と、単一あるいは複数の対象物10の周りに形成された閉じた輪11との間の領域から離脱する。これにより、シールユニット20から閉じた輪が離れる。
【0030】
図示の実施形態では、把持機構30は、押圧要素37をさらに備える。押圧要素37は、支持部材34の上側支持面36に設けられた凹部35の形状と合致するような形状を有する。これにより、押圧要素37は、この凹部35内に収容される。押圧要素37は、上側面38を有する。上側面38は、図2aおよび図3aに示すように、押圧要素37が支持部材の凹部35に収容された際、支持部材34の上側支持面36と同一平面、または、少なくとも本質的には同一平面上にある。
【0031】
把持機構30が備える作動装置39(図1に大幅に模式化した形で示す)は、押圧要素37と支持部材34とを、押圧要素37が支持部材34の凹部35から離れた外側に位置する第1相互位置(例えば、図2cおよび図4参照)と、押圧要素37が凹部35に収容される第2相互位置(例えば、図2aおよび図5参照)との間で、互いに連動させて動かすよう構成される。押圧要素37および支持部材34が、押圧要素37および支持部材34間の空間に収容される第1結束具部分7aの一部13とともに、作動装置39により、第1相互位置から第2相互位置へ、互いに連動して移動する際、押圧要素37および支持部材34は、第1結束具部分7aに膨張部14を形成するよう構成される。ここで、膨張部14は、結束具3の先端12と、結合装置40で形成された溶接結び目8との間の位置に形成される。
【0032】
図示の実施形態では、作動装置39は、押圧要素37を支持部材34に対して移動させることで、押圧要素37および支持部材34間の相対移動を実現させるよう構成される。この場合、押圧要素37は、支持部材34に向かって下に移動することで、第1相互位置から第2相互位置へ移動し、支持部材34から離れるように上に移動することで、第2相互位置から第1相互位置へ移動する。ここで、支持部材34は、押圧要素37の移動中、固定位置にとどまっている。あるいは、作動装置39は、支持部材34を押圧要素37に対して移動させることで、または、押圧要素37および支持部材34の両方を互いに対して移動させることで、押圧要素37および支持部材34間の相対移動を実現させるよう構成される。
【0033】
押圧要素37はまた、作動装置39によって、水平方向に移動可能となっている。これにより、第1結束具部分7aおよび第2結束具部分7bが、結合装置40によって、互いに固定され、こうして形成された閉じた輪11が、シールユニット20から解放されると、押圧要素を横方向に移動させて、膨張部14から離脱させることができる。第1の選択肢として、押圧要素37は、単一要素からなり、水平方向にずれることで、膨張部14から移動可能となっている。さらなる選択肢として、押圧要素37は、互いに対向する二つの部位に分割することができ、それらが互いに離間するよう、横方向にずれることで、膨張部14から移動可能となっている。
【0034】
支持部材34は、特許文献1で示されたように、互いに対向して位置する第1支持顎部および第2支持顎部を備えていてもよい。ここで、支持顎部は、支持顎部が第1結束具部分7aを支持する前進支持位置と、互いに接合された第1結束具部分7aおよび第2結束具部分7bが、支持顎部間の隙間を通り抜けられるよう、支持顎部が互いから退避する退避解放位置との間で、互いに相対移動可能となっている。各支持顎部は、ピボットアームに固定されていてもよい。ピボットアームは、ひいては、シールユニット20のハウジング21に旋回可能に取り付けられる。したがって、この場合、支持顎部は、支持位置および解放位置間を旋回可能である。あるいは、支持顎部は、支持位置および解放位置間を直線的に移動可能であってもよい。支持顎部は、作動装置39によって、支持位置および解放位置間を移動可能になっている。あるいは、支持部材34が、水平方向にずれることで、支持位置および解放位置間に、単一部材として形成されている。
【0035】
作動装置39は、電動、空気圧、または油圧によって駆動されてもよく、一つ以上の電動式、空気圧式、または油圧式の従動アクチュエータを備えていてもよい。
【0036】
図示の例では、凹部35および押圧要素37は、垂直面から見た場合、断面形状が等脚台形となっている。しかし、凹部35および押圧要素37は、他の好適な断面形状を有していてもよい。
【0037】
もちろん、把持機構30に対しても、図2a乃至図2jおよび図3a乃至図3eに示したような設計に加え、他の好適な設計がなされていてもよい。
【0038】
図示の実施形態では、シールユニット20は、押当装置50を備える。押当装置50は、第2結束具部分7bが第1結束具部分7aに重なっている際に、第2結束具部分7bを第1結束具部分7aに対して押し当てる。ここで、押当装置50は、溶接された第1結束具部分7aおよび第2結束具部分7b間の結び目8が、レーザー溶接機械40によって形成される間、第2結束具部分7bが第1結束具部分7aに対して押し当てられた状態を維持するよう構成される。図示の例では、押当装置50は、押当部材51を備える。押当部材51は、支持部材34と協働するよう構成され、シールユニット20のハウジング21に着脱可能に取り付けられる。第1結束具部分7aおよび第2結束具部分7bは、押当部材51および支持部材34間の空間内に収容可能である。押当部材51は、押当部材51が支持部材34から退避した、第1退避位置(例えば、図2aおよび図4参照)と、第1結束具部分7aおよび第2結束具部分7bをともに押し当てるため、押当部材51を支持部材34に対して押し当てる第2前進位置(例えば、図2gおよび図5参照)との間で、支持部材34に対して移動可能である。押当部材51には、経路52が設けられる。この経路52を通って、レーザー溶接機械40のレーザー溶接ヘッド42からのレーザービーム43が、第2結束具部分7bの領域に向かって方向づけられていてもよく、これにより、押当部材51が第2位置にあり、第1結束具部分7aおよび第2結束具部分7bをあわせて、押当部材51および支持部材34間に押し当てた状態で、溶接された第1結束具部分7aおよび第2結束具部分7b間の結び目8が形成される。押当部材51は、電動式、空気圧式、または油圧式で駆動するアクチュエータ(不図示)によって、第1位置および第2位置の間を移動可能である。アクチュエータは、油圧シリンダであると有利である。
【0039】
結束機1は、結束機の動作を制御する電動制御装置60(図1に大幅に模式化した形で示す)をさらに備える。電動制御装置60は、送り/張架装置5に接続され、送りローラ5a,5bおよび張架部材5c,5dの、単一アクチュエータまたは複数のアクチュエータを制御するよう構成される。電動制御装置60は、レーザー溶接機械40にも接続され、レーザー溶接機械を制御して、レーザー溶接機械のレーザービーム43を結束具3の所望の部位の方向に向けて集中させるよう構成される。さらに、電動制御装置60は、把持機構30の作動装置39および押当装置50のアクチュエータに接続され、その動作を制御するよう構成される。
【0040】
電動制御装置60は、単一の電動制御部、または二つあるいはそれ以上の、相互に協働する電動制御部によって、実装されていてもよい。
【0041】
引張試験の実施時、電動制御装置60は、送り/張架装置5を制御して、結束具3に所定の大きさの張力を掛け、これにより、結び目8に所定の大きさの張力を掛けるよう構成されていてもよい。結び目8がこの張力に耐えた場合、引張試験の結果を合格とみなし、対象物の結束を続けてもよい。結び目8が引張試験時に掛けられた張力に耐えられなかった場合、結び目8が壊れ、引張試験の結果を不合格とみなす。引張試験の結果が不合格となってしまった原因については、不適切な特性を有する材質の結束具を使用していること、あるいは、溶接パラメータが不適切であることなどが考えられる。引張試験の結果が不合格となった際は、対象物の結束を続ける前に、不合格の原因を分析し、対処する必要がある。
【0042】
あるいは、引張試験の実施時、電動制御装置60は、送り/張架装置5を制御して、結び目8が壊れるまで、徐々に掛ける張力を大きくするよう構成されていてもよい。この場合、引張試験では、結び目8の最大強度を示す値が出る。
【0043】
電動制御装置60は、レーザー溶接機械40を制御して、レーザービーム43(図2i参照)を、第2結束具部分7bの終端、つまり、送り/張架装置5に面した、第2結束具部分7bの端部にある領域に向けるよう構成されていてもよい。これにより、結束具が折れる、または、第2結束具部分7bの終端から切り離される。ここで、単一あるいは複数の束ねる対象物10の周りに配置された閉じた輪11は、結束具の残り部分3bから解放される。送り/張架装置5によって、結び目8に対し引張試験を実施する際、結束具の残り部分3bから閉じた輪11を解放すると、もちろん、引張試験実施後に影響が出る。
【0044】
レーザー溶接ヘッド42は、レーザー溶接ヘッドから射出されるレーザービーム43の方向や動きを制御する、一つ以上のコンピュータ制御走査ミラーを備えていてもよい。あるいは、レーザービーム43の方向や動きは、レーザー溶接ヘッド42全体のコンピュータ制御された動きによって、制御されてもよい。レーザー溶接ヘッド42には、フォーカスレンズ44が設けられ、前記レンズを通して、レーザービーム43が、レーザー溶接ヘッドから射出する。
【0045】
図示の実施形態では、レーザー溶接機械40は、レーザー光源45(図2a参照)をさらに備えている。レーザー光源45は、レーザービーム43を生成するのに必要なレーザー出力を生み出す。このレーザービーム43は、溶接された第1結束具部分7aおよび第2結束具部分7b間の結び目8を形成し、閉じた輪11を結束具の残り部分3bから解放するために利用される。レーザー光源45は、溶接に一般的に使用されるものであれば、任意の種類を選択できる。図示の例では、レーザー光源45は、光ファイバーケーブル46を介して、レーザー溶接ヘッド42に接続される。光ファイバーケーブル46は、レーザー光源45からのレーザー出力を、レーザー溶接ヘッド42へと導くよう構成される。光ファイバーケーブル46は、従来通り、フォーカス光学素子を備える光コネクタ47によって、レーザー溶接ヘッド42に接続される。光コネクタ47のフォーカス光学素子に含まれる、一つ以上の光学部材の動きを、コンピュータ制御することにより、レーザー溶接ヘッド42から射出されるレーザービーム43の焦点を調節してもよい。
【0046】
ストラップからなる結束具3を、対象物10の束の周りに輪状に固定し、上記結束機1により引張試験を実施する操作手順は、図2a乃至図2jでは説明しない。
【0047】
まず、送りローラ5a,5bの駆動モータを第1方向に操作し、結束具3を、供給コイル6から、シールユニット20を通して、結束機1の対象物収容空間4の周りに輪状になるよう送り出し、その後、シールユニット20へ引き戻す。結束具の先端12は、まず、支持部材34および押圧要素37を超え、その後、対象物収容空間4の周りを輪状に進み、そして、押圧要素37と支持部材34の支持面36の凹部35との間の空間に入り込む。ここで、結束具の先端12が所定の端部位置に到達すると、結束具3を送る動作を止める。
【0048】
結束具3を送る間、押当部材51は、第1退避位置にある。
【0049】
図示の例では、結束具の先端12が初めて、シールユニット20を通って、凹部35内にとどまるよう、送られる前、かつ、図2aおよび図2bに示すとおり、結束具の先端12が、押圧要素37の上側面38と支持部材34の上側支持面36を超えるまで、押圧要素37が、支持部材34の凹部35内に位置する。したがって、この場合、結束具の先端12が、対象物収容空間4の周りに送られる前に、シールユニット20を通る際、押圧要素37の上側面38は、支持部材34の上側支持面36に対して、同一平面上、または少なくとも本質的には同一平面状にある。その後、作動装置39が、押圧要素37および支持部材34間の相対的な動きに影響を及ぼすことで、押圧要素37は、支持部材34の凹部35から離れたところに位置する。ここで、図2cに示す通り、結束具3は、押圧要素37によって、支持部材34の上側支持面36から持ち上げられる。
【0050】
結束具3が案内軌道2を通って、対象物収容空間4の周りに輪状に送られると、結束具3の先端12が、案内軌道2を離れ、押圧要素37および支持部材34間の隙間を通る(図2d参照)。そうすると、結束具3の先端12は、係止部材(不図示)を起動させ、送りローラ5a,5bの駆動モータを停止させる。その後、作動装置39が、押圧要素37および支持部材34間の相対的な動きに影響を及ぼすことで、押圧要素37は、凹部35内に収容される(図2e参照)。これにより、第1結束具部分7aに膨張部14を形成しつつ、第1結束具部分7aが、結束具3の先端に把持・係止される。続いて、送りローラ5a,5bの駆動モータは、逆回転して、結束具3を引き戻し、これにより、図2fに示す通り、結束具3を案内軌道2から引っ張って、対象物収容空間4内に載置された対象物10に接触させる。その後、張架ローラ5c,5dの駆動モータは、結束具3を対象物10の周りでよりきつく締め付けるよう、動作する。図2eおよび図2fに示す通り、シールユニット20および案内軌道2は、対象物10に対して、相対的に移動可能であり、結束具3を対象物の周りで締め付ける際は、対象物10に向かって移動するよう構成される。
【0051】
結束具3を対象物10の周りできつく締め付けると、押当部材51は第2前進位置に移動し、第1結束具部分7aおよび第2結束具部分7bをあわせて、押当部材51および支持部材34間で押し当てる(図2g参照)。そして、レーザー溶接機械40を操作し、互いに重なり合っている結束具部分7a,7bにレーザービーム43を当てて、結束具部分7a,7b間に溶接結び目8を形成する。結束具3の片3aは、これにより、対象物10周りの閉じた輪11に固定される。
【0052】
続いて、図2hに示す通り、押当部材51は、第1退避位置に移動する。そうすると、張架ローラ5c,5dの駆動モータを操作し、張架ローラ5c,5dが、所定の大きさの張力を結束具3に掛ける。これにより、結び目8に対して引張試験が実施され、結び目8の強度を確認する。この引張試験時に、押圧要素37は、支持部材34の凹部35内にとどまり、これにより、把持機構30は、結束具の結び目8および先端12間の第1結束具部分の一部13との係合により、第1結束具部分7aがシールユニット20内の固定位置に固定された状態にする。
【0053】
結び目8が引張試験に耐えた場合、押当部材51は、第2前進位置に戻って、次段階に進む(図2i参照)。そうすると、レーザー溶接機械40を操作して、レーザービーム43を第2結束具部分7bの終端にある領域に向けて、結束具3を、第2結束具部分7bの終端で断つ、もしくは切り離す。これにより、対象物10の周りで閉じた輪11を、結束具の残り部分3bから解放する。最後に、図2jに示す通り、押当部材51を第1退避位置に戻し、押圧要素37および支持部材34を第1結束具部分7aから離して、シールユニット20から閉じた輪11を解放する。
【0054】
図3a乃至図3eは、ストラップからなる結束具3の閉じた輪11を形成し、上記結束機1によって引張試験を実施する、別の操作手順を示す。この場合、引張試験は、束ねる対象物の周りに固定された閉じた輪11を用いることなく、別の試験工程で実施される。まず、結束具3を送りローラ5a,5bによって送り出し、図2a乃至図2eを参照して説明したように、結束具の先端にある第1結束具部分7aを、把持機構30によって把持する。続いて、図3cに示す通り、送りローラ5a,5bの駆動モータを逆回転させ、結束具3を引き戻して、案内軌道2から結束具3を引っ張り出す。その後、押当部材51を第2前進位置に移動させ、押当部材51および支持部材34間に、第1結束具部分7aおよび第2結束具部分7bをあわせて押し当てる。そこで、レーザー溶接機械40を操作して、レーザービーム43を、互いに重なり合う結束具部分7a,7bに当て、結束具部分7a,7b間に溶接結び目8を形成する。閉じた結束具輪11は、ここで、対象物収容空間4内に形成される。続いて、図3eに示す通り、押当部材51を第1退避位置に移動させる。そうすると、張架ローラ5c,5dの駆動モータを操作して、張架ローラ5c,5dにより、結束具3に対して所定の大きさの張力を掛け、結び目8に対して、引張試験を実施して、結び目8の強度を確認する。この引張試験時に、押圧要素37を支持部材34の凹部35内にとどめ、それにより、把持機構30は、結束具の結び目8および先端12間に位置する第1結束具部分の一部13との係合により、シールユニット20内の固定位置に第1結束具部分7aが固定された状態にする。
【0055】
もちろん、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではない。むしろ、添付の請求項で定義される、本発明の根本的な概念から外れない限り、変更が加えられる可能性が大いにあることは、当業者にとって明らかであろう。本発明に係る結束機は、例えば、転圧器と協働するよう設計されていてもよく、これにより、転圧器によって圧縮されたワイヤコイルを束ねることができる。この場合、シールユニットを複数、転圧器に取り付け、同時に使用することで、圧縮されたワイヤコイルの周りの異なる位置に、結束具輪を掛けることができる。ここで、結束具輪は、それぞれ、中心軸孔を通り、コイル内側に沿って、そしてコイル外側に沿って延びる。
図1
図2a
図2b
図2c
図2d
図2e
図2f
図2g
図2h
図2i
図2j
図3a
図3b
図3c
図3d
図3e
図4
図5
【国際調査報告】