(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-28
(54)【発明の名称】伸縮性があり圧縮性のある機能層を含むバッテリーセル及び製造プロセス
(51)【国際特許分類】
H01M 10/058 20100101AFI20220121BHJP
H01M 4/80 20060101ALI20220121BHJP
H01M 10/0565 20100101ALI20220121BHJP
H01M 4/13 20100101ALI20220121BHJP
H01M 4/62 20060101ALI20220121BHJP
H01M 4/66 20060101ALI20220121BHJP
【FI】
H01M10/058
H01M4/80 C
H01M10/0565
H01M4/13
H01M4/62 Z
H01M4/66 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021528351
(86)(22)【出願日】2019-12-05
(85)【翻訳文提出日】2021-07-08
(86)【国際出願番号】 NL2019050809
(87)【国際公開番号】W WO2020117060
(87)【国際公開日】2020-06-11
(32)【優先日】2018-12-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508351406
【氏名又は名称】ネダーランゼ・オルガニサティ・フォーア・トゥーゲパスト-ナトゥールヴェテンシャッペリーク・オンデルゾエク・ティーエヌオー
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ツロドジェキ,マイケル
(72)【発明者】
【氏名】ウンニクリシュナン,サンディープ
(72)【発明者】
【氏名】ベルコーテレン,フランキー フローリー
(72)【発明者】
【氏名】ハベルカテ,ルーカス アウグスティヌス
【テーマコード(参考)】
5H017
5H029
5H050
【Fターム(参考)】
5H017AA03
5H017AA04
5H017AS02
5H017CC01
5H017CC25
5H017DD05
5H017HH03
5H017HH04
5H017HH05
5H029AJ05
5H029AK01
5H029AK02
5H029AK03
5H029AK05
5H029AL03
5H029AL07
5H029AL11
5H029AM16
5H029CJ02
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5H029DJ07
5H029DJ13
5H029HJ05
5H029HJ06
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5H029HJ12
5H050AA07
5H050BA18
5H050CA01
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5H050CA08
5H050CA09
5H050CA11
5H050CB03
5H050CB08
5H050CB11
5H050DA04
5H050DA09
5H050FA09
5H050FA13
5H050GA02
5H050GA27
5H050HA05
5H050HA06
5H050HA07
5H050HA12
(57)【要約】
本開示は、圧縮性があり伸縮性のある第1の集電体、圧縮性があり伸縮性のある正極、圧縮性があり伸縮性のある固体電解質、圧縮性があり伸縮性のある負極、及び圧縮性があり伸縮性のある第2の集電体、のうちの1つ又は複数を形成するために圧縮性があり伸縮性のある複合材料を含む充電式バッテリーセルに関し、この圧縮性があり伸縮性のある複合材料は、複数の圧縮性のある孔を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
充電式バッテリーセル(1)であって、
-圧縮性があり伸縮性のある第1の集電体(2)と、
-圧縮性があり伸縮性のある正極(3)と、
-圧縮性があり伸縮性のある固体電解質(4)と、
-圧縮性があり伸縮性のある負極(5)と、
-圧縮性があり伸縮性のある第2の集電体(6)と、
のうちの1つ又は複数を形成するために圧縮性があり伸縮性のある複合材料(C)を含み、
前記圧縮性があり伸縮性のある複合材料(C)は、複数の圧縮性がある孔(P)を含み、前記圧縮性があり伸縮性のある複合材料(C)は、前記充電式バッテリーセルの充電及び/又は放電中に前記負極及び/又は前記正極の体積変化から生じる、前記セル内部の圧縮力及び/又は張力に、少なくとも部分的に対抗するように構成される、充電式バッテリーセル(1)。
【請求項2】
前記圧縮性がある孔は、前記孔を含んでいる前記圧縮性があり伸縮性のある複合材料(C)の厚さの20%未満である直径を有する、請求項1に記載の充電式バッテリーセル(1)。
【請求項3】
前記圧縮性がある孔は、中空コア(20)を囲む伸縮性のあるシェル(21)構造を含む圧縮性がある中空粒子(10)によって少なくとも部分的に提供され、前記圧縮性がある中空粒子(10)は、10マイクロメートル~50ナノメートルの間、好ましくは5マイクロメートル~200ナノメートルの間、より好ましくは1マイクロメートル~300nmの間の範囲内の直径を有する、請求項1又は2に記載の充電式バッテリーセル(1)。
【請求項4】
前記中空の圧縮性がある粒子(10)は、5~0.05の範囲内の体積でのコア対シェル比率(Vcore/Vshell)を有する中空ラテックスビーズ(11)であり、前記中空ラテックスビーズは、50ナノメートル~5マイクロメートルの間の範囲、好ましくは200~1000ナノメートルの間の範囲内の直径を有する、請求項3に記載の充電式バッテリーセル(1)。
【請求項5】
前記第1及び前記第2の圧縮性があり伸縮性のある集電体(2、6)のうちの1つ又は複数は、前記圧縮性があり伸縮性のある複合材料(C)及び電子伝導性材料を備えて、前記圧縮性があり伸縮性のある集電体を形成する、請求項1~4の何れか一項に記載の充電式バッテリーセル(1)。
【請求項6】
前記圧縮性があり伸縮性のある固体電解質(4)は、前記圧縮性があり伸縮性のある複合材料(C)及び固体電解質材料を備えて、前記圧縮性があり伸縮性のある固体電解質を形成する、請求項1~4の何れか一項に記載の充電式バッテリーセル(1)。
【請求項7】
前記圧縮性があり伸縮性のある正極(3)は、前記圧縮性があり伸縮性のある複合材料(C)、並びに、前記圧縮性があり伸縮性のある複合材料(C)全体に分散した正極材料、イオン伝導性材料、及び電子伝導性材料を備えて、前記圧縮性があり伸縮性のある正極を形成する、請求項1~4の何れか一項に記載の充電式バッテリーセル。
【請求項8】
前記圧縮性があり伸縮性のある負極(5)は、前記圧縮性があり伸縮性のある複合材料(C)、並びに、負極材料、イオン伝導性材料、及び電子伝導性材料を備えて、前記圧縮性があり伸縮性のある負極(5)を形成する、請求項1~4の何れか一項に記載の充電式バッテリーセル(1)。
【請求項9】
前記第1及び前記第2の圧縮性があり伸縮性のある集電体のうちの前記1つ又は複数は、導電性キャッピング(8)を備えている、請求項5に記載の充電式バッテリーセル(1)。
【請求項10】
前記第1及び前記第2の圧縮性があり伸縮性のある集電体のうちの前記1つ又は複数は、少なくとも部分的に、伝導性金属膜を備えて、前記電極材料との界面に沿って、前記集電体の均一な伝導性を改善する、請求項5に記載の充電式バッテリーセル(1)。
【請求項11】
機能層のスタックは実質的に平面の構造を形成するか、又は、前記セルは、互いに間隔をあけて配置され且つ基部から離れる方向に伸長する伝導性要素(17)のアレイを含む基部集電構造(16)から形成され、前記電極及び前記固体電解質のうちの少なくとも1つは、前記要素の間に設けられる、請求項1~10の何れか一項に記載の充電式バッテリーセル(1)。
【請求項12】
圧縮性があり伸縮性のある複合材料(C)を含む充電式バッテリーセル(1)を製造するためのプロセスであって、前記プロセスは、
-圧縮性があり伸縮性のある複合材料(C)を提供して圧縮性があり伸縮性のある第1の集電体(2)を形成することと、
-圧縮性があり伸縮性のある複合材料(C)を提供して圧縮性があり伸縮性のある正極(3)を形成することと、
-圧縮性があり伸縮性のある複合材料(C)を提供して圧縮性があり伸縮性のある固体電解質(4)を形成することと、
-圧縮性があり伸縮性のある複合材料(C)を提供して圧縮性があり伸縮性のある負極(5)を形成することと、
-圧縮性があり伸縮性のある複合材料(C)を提供して圧縮性があり伸縮性のある第2の集電体(6)を形成することと、のうちの1つ又は複数を含み、
1種又は複数種の孔形成剤を含む混合物を調製することによって、複数の圧縮性がある孔(P)が、前記圧縮性があり伸縮性のある複合材料(C)にもたらされ、
固体電解質形成材料を添加することにより、圧縮性があり伸縮性のある固体電解質の形成が可能になり、前記電極材料を添加することにより、圧縮性があり伸縮性のある電極の形成が可能になり、前記集電体材料を添加することにより、圧縮性があり伸縮性のある集電体の形成が可能になる、プロセス。
【請求項13】
前記1種又は複数種の孔形成剤は発泡剤、高蒸気圧溶媒、及び溶存ガスを含み、前記プロセスは、前記孔形成剤を活性化して前記複数の孔を形成することを含み、前記活性化は、前記孔形成剤を活性化させるのに十分な時間の間、低圧を印加すること、又は高温にかけること、のうちの1つ又は複数により行われる、請求項12に記載のプロセス。
【請求項14】
前記1種又は複数種の孔形成剤は中空ラテックスビーズ(11)を含み、前記中空ラテックスビーズ(11)は、
-コアが水性ゲルを含むコア-シェルポリマーラテックスビーズを取得することと、
-フリーズ・ドライにより、又は連続的な乾燥ガス流を使用した液相気相交換処理により、前記コア-シェルポリマーラテックスビーズを乾燥させることと、任意選択的に、これに続いて、
-前記乾燥した伝導性中空ラテックスビーズに導電性コーティング(22)を施して、導電性中空ラテックスビーズを形成することと、によって提供される、請求項12に記載のプロセス。
【請求項15】
請求項14に記載のプロセスによって取得可能な中空ラテックスビーズ(11)であって、前記プロセスは、
-コアが水性ゲルを含むコア-シェルポリマーラテックスビーズを取得することと、
-フリーズ・ドライにより、又は連続的な乾燥ガス流を使用した液相気相交換処理により、前記コア-シェルポリマーラテックスビーズを乾燥させることと、任意選択的に、これに続いて、
-乾燥した伝導性中空ラテックスビーズに導電性コーティング(22)を施して、導電性中空ラテックスビーズを形成することと、に限定される、中空ラテックスビーズ(11)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野及び背景
本開示は、固体電池に関する。3D及び2Dの全固体電池の場合、機能層は通常、一緒にコンパクトにスタックとしてまとめられる。通常のバッテリー用途では、バッテリーの放電状態と充電状態との間の体積変化は、20%程度、例えば1.2倍にまでなり得る。スタック内部での拡張、例えば膨張が、充電式バッテリーの最初の充電サイクル中に、負極、例えば電極層が形成されることによって、引き起こされることがある。それに呼応して、放電中には、負極の体積が小さくなる、例えば縮むことがある。活物質の量が非常に少なく、従って充放電中の体積変化が非常に小さい、マイクロバッテリーの場合には、高密度に集積した層を含む設計で、うまくいくことがある。大規模な用途、例えば、よりエネルギー密度の大きい、3D及び2Dバッテリーに移った場合、これは、もはや当てはまらないことがある。大きな体積での膨張が、欠陥の形成、例えば、ひび割れの形成及び/又は伝搬、及び/又はスタック内部での層間のイオン又は電気の伝導性の減少などにつながることがある。上記の問題にある程度対処しようとする、幾つかの異なる方式が存在する。
【背景技術】
【0002】
第1の方式は、集電体の上で3D構造化された多孔性の固体電解質を使用することを含む。Wang C.W.ら著、Nano Lett. 17, 17, 565-571は、多孔性の固体セラミックス電解質合成物について記載しており、この合成物では、充電中に、リチウム電極材料が、固体電解質中の既存の孔を充填することができる。しかしながら、この解決策は2Dバッテリーにしか適用できず、それは、セラミックスを生成するのに必要な高い焼結温度は、3D構造の他の構成要素に損傷を与えるからである。更に、電気化学的に不活性なセラミックス材料によって大きなスペースが占められるので、そのようなバッテリーのエネルギー密度、例えば体積当たりのエネルギー、及び重量当たりのエネルギー比率が低下する。更に、大きな表面接触面積、及びリチウムめっき中の孔を通る長い拡散経路が、望ましくない、というのも、これらは、寄生反応につながることがあるからである。
【0003】
第2の方式は、多孔質の集電体の形成を含む。Antunes M.ら著のPolym. Sci. 2014, 39, 486-509は、銅ナノワイヤから形成された多孔質集電体を備えるリチウムセルについて記載している。めっき中、集電体内部の孔をリチウムが充填することがある。多孔質の導電性集電体を使用することの欠点は、多孔質の集電体はイオン伝導性を提供しないので、液体の電解質と組み合わせてしか使用できないことである。固体電解質を備えたリチウムバッテリーでそのような集電体が使用される場合、リチウムは、集電体と電解質との界面においてのみめっきをし、孔の中は充填しないであろう。
【0004】
第3の方式は、機能層のスタックに外部圧力を加えることを含む(例えば、パウチセルレベルでの伸縮性のあるケーシング又はバネ)。米国特許第10786418号は、スタックを連続的な圧力下に保つ伸縮性のある/プラスチックのケーシング内のパウチ型セルについて記載している。この設計により、スタックの収縮中の、層間の電気的接触の損失が低減される。しかしながら、この設計は、セルに例えばひび割れなどの損傷を引き起こす可能性が依然としてある体積膨張を防止するものではなく、よって、大きな体積膨張が予測されるアノードフリーの設計には適していない。更に、非常に頻繁に、セルスタックの塑性変形が見受けられ、これが、バッテリーの損傷につながる。
【0005】
第4の方式は、圧縮性があり且つ膨張しうる不活性層を備えたバッテリーを提供することを含む。米国特許出願公開第20170365841号は、円筒形のAAAタイプの空気亜鉛電池内に伸縮性のある層を封入することについて記載している。大量の電気化学的不活性物質を導入するのに加えて、そのような設計は、リチウムバッテリーでは使用することができない、というのも、この設計は、連続的なスタックをまたがる電荷輸送を防止する絶縁層を機能層の間に追加するからである。また、そのような方式は、大量の役に立たない体積及び質量(バッテリーの不活性部分)をもたらし、従って、バッテリーのエネルギー密度を低下させる。
【0006】
本開示は、充放電サイクル中のバッテリーの他の層の体積変化を少なくとも部分的に補償するために、体積が圧縮及び膨張することができる機能層を備えたセルについて説明することにより、上記の制約のうちの1つ又は複数に対処する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
概要
本開示の態様は、圧縮性があり伸縮性のある第1の集電体、圧縮性があり伸縮性のある正極、圧縮性があり伸縮性のある固体電解質、圧縮性があり伸縮性のある負極、及び圧縮性があり伸縮性のある第2の集電体、のうちの1つ又は複数を形成するために圧縮性があり伸縮性のある複合材料を含む充電式バッテリーセルに関し、この圧縮性があり伸縮性のある複合材料は、複数の圧縮性のある孔を含み、この圧縮性があり伸縮性のある複合材料は、充電式バッテリーセルの充電及び/又は放電中の、負極及び/又は正極の体積変化から生じる、セル内部の圧縮力及び/又は張力に、少なくとも部分的に対抗するように構成される。
【0008】
この伸縮性のある複合材料は、丈夫な態様で、例えば著しく劣化することなく、繰り返し、例えば、セルの寿命に渡って、例えば、多数の充放電サイクルに渡って、充電式バッテリーセル内部の圧縮力及び/又は張力に対抗することが好ましい。圧縮性があり伸縮性のある層は、層の所望の機械的特性及び弾性的な振る舞いを得るために、伸縮性のある母材から構成されることが好ましい。
【0009】
好ましい実施形態では、圧縮性のある孔が、孔が含まれる圧縮性があり伸縮性のある複合材料(C)の厚さの20%未満の直径を有し、孔の合計体積は、充電式バッテリーセルの充電及び/又は放電中の負極及び/又は正極の体積変化の、30~150%の範囲、より好ましくは100~120%の範囲内にある。
【0010】
本開示は、負極及び/又は正極の体積変化に起因した損傷を特に受けやすい充電式バッテリーセルに有利にも適用することができる。従って、本開示は、有利にも充電式バッテリーセルに更に関し、このセルは、互いに間隔をあけて配置され且つ基部から離れる方向に延びる、伝導性要素のアレイを含む伝導性基部構造から形成され、それらの要素の間には、電極及び固体電解質のうちの少なくとも一方が設けられる、例えば、3Dバッテリーセルである。
【0011】
幾つかの好ましい実施形態では、本開示は、中空のラテックスビーズによって圧縮性のある孔が少なくとも部分的に提供される、充電式バッテリーセルに関する。好ましくは、5~0.05の範囲内の、体積でのコア対シェル比率(Vcore/Vshell)を有する中空ラテックスビーズ。中空ラテックスビーズは、100ナノメートル~5マイクロメートルの間の範囲内にある直径を有することが好ましい。
【0012】
本開示は更に、圧縮性があり伸縮性のある複合材料を含む充電式バッテリーセルを製造するためのプロセスに関する。このプロセスは、圧縮性があり伸縮性のある複合材料を提供して圧縮性があり伸縮性のある第1の集電体を形成すること、圧縮性があり伸縮性のある複合材料を提供して圧縮性があり伸縮性のある正極を形成すること、圧縮性があり伸縮性のある複合材料を提供して圧縮性があり伸縮性のある固体電解質を形成すること、圧縮性があり伸縮性のある複合材料を提供して圧縮性があり伸縮性のある負極を形成すること、及び圧縮性があり伸縮性のある複合材料を提供して圧縮性があり伸縮性のある第2の集電体を形成すること、のうちの1つ又は複数を含む。複数の圧縮性がある孔が、1種又は複数種の孔形成剤を含む混合物を調製することによって圧縮性があり伸縮性のある複合材料に提供され、固体電解質形成材料を添加することにより、圧縮性があり伸縮性のある固体電解質の形成が可能になり、電極材料を添加することにより、圧縮性があり伸縮性のある電極の形成が可能になり、集電体材料を添加することにより、圧縮性があり伸縮性のある集電体の形成が可能になる。孔形成剤は、中空粒子、中空ラテックスビーズ、及び発泡剤、高蒸気圧溶媒、又は溶存ガス、のうちの1つ又は複数を含む。
【0013】
孔形成剤が中空ラテックスビーズである幾つかの実施形態では、このプロセスは、前述の中空ラテックスビーズを取得するためのステップを更に含む。有利にも、中空ラテックスビーズは、コア-シェルポリマーラテックスビーズから開始するプロセスで製造することができ、コアは、水性ゲルを含み、その後、フリーズ・ドライにより、又は乾燥ガス流を使用した液相気相交換処理により、コア-シェルポリマーラテックスビーズを乾燥させる。従って、本開示は、そのようなプロセスによって取得可能な中空ラテックスビーズにも関する。
【0014】
図面の簡単な説明
本開示の装置、システム、及び方法のこれらの及び他の特徴、態様、及び利点が、以下の説明、添付の特許請求の範囲、及び添付の図面から、よりよく理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1A】充電状態及び放電状態にある充電式バッテリーセルの概略断面図を示しており、これらの状態間の負極の体積変化を示している。
【
図1B】ひび割れの形成に起因して損傷を受けた充電式バッテリーセルの概略断面図を示す。
【
図1C】複数の層のスタックの概略断面図を示しており、圧縮性があり伸縮性のある複合材料が、スタック内部の体積変化に対抗している。
【
図2A】圧縮性があり伸縮性のある集電体を含む充電式バッテリーセルの概略断面図を示す。
【
図2B】圧縮性があり伸縮性のある集電体、固体電解質、及び固体電極の概略断面図を示す。
【
図3】充電状態及び放電状態にある充電式3Dバッテリーセルの概略断面図を示しており、負極の体積変化に対抗している圧縮性があり伸縮性のある集電体を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
詳細な説明
特定の実施形態を説明するために使用される用語は、本発明を限定することを意図したものではない。本明細書で使用する場合、単数形「1つの(a)」「1つの(an)」及び「その(the)」は、特に断りの無い限り、複数形も同様に含むことが意図されている。「及び/又は」という用語は、関連して列挙された項目のうちの1つ又は複数の任意及び全ての組み合わせを含む。「含む(comprises)」及び/又は「含む(comprising)」という用語は、記載された特徴が存在することを明示するが、1つ又は複数の他の特徴の存在又は追加を排除するものではないことが、理解されよう。ある方法の特定のステップが、別のステップに引き続いて起こるとされる場合、それは、特段の断りが無い限り、前述の他のステップの直後に続くか、或いは、1つ又は複数の介在ステップがその特定のステップを実行する前に実行されることがあることが、更に理解されよう。同様に、構造又はコンポーネント間の接続について説明する場合、特段の断りが無い限り、この接続は、直接的に確立されることも、又は介在構造若しくはコンポーネントを介して確立されることもあることが、理解されよう。
【0017】
電子デバイスでは、電子回路は、電気化学デバイスにあるようなタイプの集電体を備えていることがある。例えば、電気化学デバイスは、非平面設計の集電体を有する充電式Liイオン固体バッテリーなどのバッテリーである。放電バッテリーモードでは、アノードは「負極」になり、これに向かって「正極」であるカソードから正の電流が流れる。充電中は、これらの機能は逆になる。充電モードに関わりなく、電気化学的な関係は、負極材料と正極材料との間の電荷の交換によって、特徴付けることができる。負極材料は、正極材料の仕事関数又は酸化還元電位よりも低い仕事関数又は酸化還元電位を有する。
【0018】
例えば、既知の負極(バッテリー放電中のアノード)材料は、Li4Ti5O12(チタン酸リチウムスピネル又はLTO)、LiC6(グラファイト)、Li4.4 Si(シリコン)及びLi4.4Ge(ゲルマニウム)既知の正極(カソード)材料は、LiCoO2(コバルト酸リチウム又はLCO)、LiCoPO4、(ドープされた)LiMn2O4(酸化マンガンリチウムスピネル又はLMO)、LiMnPO4、LiFePO4(LFP)、LiFePO4F(LFPF)又はLiCo1/3Ni1/3Mn1/3O2(LCNMO)である。
【0019】
正極(カソード)は、挿入又は変換ベースの材料を含むことがある。適切な材料は、例えば、金属酸化物、シリコン、グラファイト材料、硫黄、リン酸塩、酸素、及び空気からなる群から選択することができる。Liイオンバッテリーの場合、それは、例えば、LiCoO2、MnO2、LiMn2O4、LiNiO2、Lix(MnyNi1-y)2-xO2、LiNi1-xCoxO2、LiNixCoyAlzO2、Li(Ni1/3Mn1/3Co1/3)O2、LiFePO4、Li2FePO4F、V2O5、V2O5-TeO2、WO3-V2O5、TiSxOy、MOx、MSx、又はLi-V2Oを含むことがある。他のイオン挿入型バッテリーの場合、正極層は、例えば、Liイオンバッテリーについて上記で挙げたのと同様の、しかしLiが他のイオンによって置き換えられた、材料を含むことがある。例えば、Naイオンバッテリーの場合、第1の電極層12は、例えばNaMn2O4を含むことがあり、Mgイオンバッテリーの場合、第1の電極層は、例えばMgMn2O4を含むことがあり、Alイオンバッテリーの場合、第1の電極層は、例えばAlxV2O3を含むことがあるが、本開示はそれらには限定されない。
【0020】
薄膜固体リチウムイオン型のバッテリーを含む薄膜イオンバッテリーは、バッテリーを形成するために一緒に結合された負極、正極、及び電解質材料を製造するための、様々な堆積技術から調製することができる。そのような技術は、通常、「薄膜」バッテリーを製造するために、真空堆積又は同様の薄膜をもたらす他の技術を使用して、そのような材料の薄膜を堆積させることを含むことがある。薄膜バッテリーは、スペース及び重量を節約することが好ましく、且つ非常に長いサイクル寿命が望まれることがある用途に用いられることが多い。
【0021】
3Dバッテリーは、通常、互いに間隔をあけて配置され且つ基部から離れる方向に延びる伝導性要素のアレイを含む基部構造から形成される、構造化された集電体を含む。これらの要素の上には、更なる機能層、例えば電極及び/又は電解質が、共形の方法で設けられ、その結果、3Dセルは、対応する2Dセルよりも、機能層の間により大きな界面面積を含むようになり、且つ、より大きな電流を提供することができるようになる。
【0022】
本発明については、本発明の実施形態が示されている添付の図面を参照しながら、これ以降でより完全に説明される。図面では、システム、コンポーネント、層、及び領域の絶対的寸法及び相対的寸法は、分かり易くするために、誇張されていることがある。実施形態は、場合によっては理想化された本発明の実施形態及び中間構造の概略図及び/又は断面図を参照しながら、説明されることがある。説明及び図面では、同様の番号は、全体を通じて同様の要素を指す。相対的な用語並びにその派生語は、そのとき説明されている向き、又は考察中の図面に示された向きを指すものと解釈されるべきである。これらの相対的な用語は、説明の便宜上のものであり、特に断りの無い限り、システムが特定の向きで製造されるか又は動作することを必要とするものではない。
【0023】
図1Aは、完全に放電された状態100D(左)及び充電された状態100C(右)にある、充電式薄膜バッテリー100の断面図を左側に概略的に示す。放電されたバッテリーセルは、剛性の上部集電体20、正極材料を含む層30、固体電解質層40、及び充電中に負極材料を受け取るための底部集電体60、を含む。充電サイクル中、イオン性負極材料が、底部集電体に向けて運ばれ、そこで還元されて、負極材料の層50が形成される。放電サイクル中、電子を外部接続された回路に放出し、酸化イオンを正極に向けて運ぶことによって、その結果、堆積した負極材料を再度酸化することができる。必然的に、これらの酸化及び還元プロセスは、バッテリーセル内部の体積変化Δhを伴う。通常、バッテリーは、例えば剛性の外部ケーシングの形態で、剛性の外部集電体を備えている。バッテリーの所望の容量がより大きくなると、より多量の電極材料の使用が必要になり、これは、体積変化がより大きくなることにつながることがある。
図1Bに示すように、体積変化はバッテリーの劣化につながることがある。例えば充電サイクル中の、体積の増加は、バッテリー及び/又はバッテリーの剛性層の損傷又は破損につながることがある。例えば放電サイクル中の、体積の減少は、層内及び/又は層間の剥離及び/又はひび割れ99の形成につながることがある。
【0024】
図1Cは、2つの剛性層Rの間に挟まれた、圧縮性があり伸縮性のある複合材料C及び可逆的に膨張可能な層Eから形成されるスタックの側面断面図を概略的に示す。圧縮性があり伸縮性のある複合材料C、C’は、連続的な相から形成されており、複数の圧縮性のある孔Pを含む。圧縮性のある材料に圧縮性のある孔を提供することにより、複合層は、スタック内部の圧縮力、例えば、層Eの体積変化に起因して生成された力、に対抗することができる。力を他の場所に分配するのではなく、圧縮性があり伸縮性のある複合材料Cは、有利にも収縮することができ、従って、スタックの全体的な体積増加を緩和することができる。スタックに圧縮性がある複合材料層を設けることにより、前述の層はスタック内部の圧縮力に対抗することができる。言い換えると、圧縮性がある複合材料Cは、孔を圧縮することで体積を低減することにより、圧縮力に適応することができる。スタックに圧縮性があり伸縮性のある複合材料層を設けることにより、前述の層はスタック内部の圧縮力及び張力に対抗することができる。言い換えると、圧縮性があり伸縮性のある複合材料Cは、孔の圧縮ΔhPにより体積を低減ΔhEさせることによって、圧縮力に適応することができ、一方、孔の(再)膨張により体積を増加させることによって、張力に適応することができる。
【0025】
従って、本開示は、圧縮性があり伸縮性のある複合材料Cを含む充電式バッテリーセルに関する。この圧縮性があり伸縮性のある複合材料Cは、有利にも、バッテリースタック内に含まれる機能層のうちの1つ又は複数へと組み合わせることができる。従って、本開示は、以下のうちの1つ又は複数を形成するために圧縮性があり伸縮性のある複合材料Cを含む充電式バッテリーセル1に関する。
- 圧縮性があり伸縮性のある第1の集電体2、
- 圧縮性があり伸縮性のある正極3、
- 圧縮性があり伸縮性のある固体電解質4、
- 圧縮性があり伸縮性のある負極5、及び
- 圧縮性があり伸縮性のある第2の集電体6、
ここで、圧縮性があり伸縮性のある複合材料Cは、複数の圧縮性がある孔Pを含み、圧縮性があり伸縮性のある複合材料Cは、充電式セルの充電及び/又は放電中に負極及び/又は正極の体積変化から生じた、スタック内部の圧縮力及び/又は張力に、少なくとも部分的に対抗するように構成される。
【0026】
好ましい実施形態では、圧縮性がある層は、層の所望の機械的特性及び弾性的な振る舞いを得るために、伸縮性のある連続的な相、例えば母材から構成される。幾つかの実施形態では、圧縮性があり伸縮性のある複合材料Cは、ポリウレタン、スパンデックス、様々なゴム、エチレン酢酸ビニル、ポリイソプレン、ニトリルブタジエン、ポリブタジエン、ポリエステル類、ポリカーボネート類、ポリアミド類、シリコーンなどの伸縮性のあるポリマーを含むが、これらに限定はされない。複合材料Cに伸縮性のあるポリマーを提供することにより、圧縮性のある層は、圧縮力の解放時に再膨張することができる。その代わりに又はこれに加えて、圧縮性があり伸縮性のある複合材料Cは、コポリマー、及び/又は伸縮性のあるポリマーを含むポリマーブレンドを含むことがあり、ここでは、導電性ポリマー及びイオン伝導性ポリマーのうちの1つ又は複数を通じて、追加の機能が提供される。従って、本開示は、充電式バッテリーセル1に関し、ここでは、圧縮性があり伸縮性のある複合材料Cは、イオン伝導性又は電子伝導性としての電気化学的特性も有する。イオン伝導性で圧縮性があり伸縮性のある複合材料Cは、例えば、ポリ(エチレン酢酸ビニル)-co-ポリエチレンオキシドなどの、適切な伸縮性/イオン伝導性コポリマーを含む化合物を通じて、提供されることがある。導電性で圧縮性があり伸縮性のある複合材料Cは、例えば、伸縮性のあるポリマーと導電性添加剤とのブレンド、例えば、炭素添加物を伴うポリウレタンポリマーによって、提供されることがある。
【0027】
圧縮性があり伸縮性のある複合材料Cは弾性材料であることが好ましく、例えば、この材料は、充電式バッテリーセル内部の体積変化を繰り返し補償するように適合されている。
【0028】
圧縮性のある孔Pは、この圧縮性があり伸縮性のある複合材料C全体に均一に分散されていることが好ましい。圧縮性のある孔Pを圧縮性があり伸縮性のある複合材料C全体に均一に分散させることにより、圧縮性及び引張性の変形に、均等に適応することができる。それによって、電場及び/又はイオン拡散距離における局所的な撹乱を回避することができ、それによって、バッテリー劣化が軽減される。
【0029】
幾つかの実施形態では、圧縮性があり伸縮性のある複合材料C及び孔Pは泡、例えばスポンジ、又は微小発泡体、例えば、空隙を有する微小多孔性構造を形成する。
【0030】
図2Aは、放電状態1D(左)及び充電状態1C(右)における充電式バッテリーセル1の概略断面図を示す。このセルは、第1の集電体2、正極3、固体電解質4及び圧縮性があり伸縮性のある第2の集電体6、6’を含む機能層のスタックから形成され、このスタックは、2つの剛性の外部集電体Rの間に挟まれている。充電サイクル中に、第2の集電体6上に負極5が形成される。例えば
図2に示すような、1つの好ましい実施形態では、圧縮性があり伸縮性のある複合材料Cは、伸縮性があり圧縮性のある集電体を形成する。充電中、伸縮性があり圧縮性のある集電体6は、圧縮、例えば体積の低減により、バッテリースタックの体積変化に対抗し、この圧縮は、初期の厚さh6から減少した厚さh6’まで、この圧縮性があり伸縮性のある集電体の厚さが変化することにより示される。逆に、放電中、圧縮性があり伸縮性のある集電体は再膨張し、それによって負極層の収縮を補償し、バッテリーセル全体の体積変化を緩和する。
【0031】
圧縮性のある孔は、孔を含んでいる圧縮性があり伸縮性のある複合材料Cの厚さの20%未満である直径を有することが好ましい。圧縮性があり伸縮性のある複合材料Cに小さな直径の孔を提供することにより、孔が含まれる層全体を通じて、複数の孔の均一な分布が可能になる。複数の孔の分布を均一に分散させることにより、圧縮性及び引張性の変形を均等に吸収することができる。最大直径が孔が含まれる層の厚さの20%である孔を使用することにより、不均一な孔の分布を軽減することができる。20%という寸法は、塑性変形を回避することができる最大値であることが分かっている。圧縮性があり伸縮性のある複合材料C中の孔の合計体積は、充電式バッテリーセルの充電及び/又は放電中の負極及び/又は正極の体積変化の、30~150%の範囲、より好ましくは100~120%の範囲内にあることが好ましい。合計の孔の体積は、圧縮性があり伸縮性のある複合材料Cの最大圧縮率に対応すると考えられている。圧縮性があり伸縮性のある複合材料Cに大きな合計孔体積を提供することにより、電極の体積変化の増加を吸収することが可能になることがある。圧縮性があり伸縮性のある複合材料Cに、電極材料の予測される体積変化と同程度の合計孔体積を提供することにより、圧縮性があり伸縮性のある複合材料Cは、セル内部の前述の体積変化を完全に打ち消すことができる。圧縮性があり伸縮性のある複合材料Cに、負極及び/又は正極の予測される体積変化を超える合計孔体積を提供しても、演壇体積変化を打ち消すことに向けて更に貢献はしないことがある。電極材料の予測される体積変化を超える合計孔体積の部分は、望ましくない役に立たない体積、例えば、充電式バッテリーセル1の性能又は完全性に寄与しない体積、とみなされることがある。典型的なバッテリー用途では、孔の寸法に対する上記の制限は、10マイクロメートル~50ナノメートルの間、好ましくは5マイクロメートル~100ナノメートルの間、より好ましくは1マイクロメートルから100nmの間の範囲内の寸法を有する孔に相当する。最大の厚さは、孔が含まれる圧縮性があり伸縮性のある複合材料C層の厚さに関係することが、理解されよう。より厚い層、例えば、厚さが50マイクロメートルの第2の集電体では、薄い層、例えば厚さが1マイクロメートルの固体電解質層よりも、より大きな孔を使用することができる。
【0032】
別の又は更なる実施形態では、圧縮性のある孔は、圧縮性のある中空粒子10によって、少なくとも部分的にもたらされる。これらの粒子は、中空のコアを囲む伸縮性のあるシェル構造を含むことが好ましい。特に、圧縮性があり伸縮性のある複合材料が、例えば、3Dバッテリーの伸長要素の間など、高いアスペクト比の構造で提供されることになる充電式バッテリーセルの場合、孔は、圧縮性のある中空粒子20によって提供されることが好ましいことがある、というのも、発泡体である孔の形成及び孔の分散を制御することは、特に3D構造では困難であり得るからである。圧縮性のある中空粒子10は、10マイクロメートル~50ナノメートルの間、好ましくは5マイクロメートル~200ナノメートルの間、より好ましくは1マイクロメートル~300nmの間の範囲内の直径を有することが好ましい。より小さな圧縮性のある中空粒子10を使用すると、薄い、圧縮性があり伸縮性のある複合機能層の形成が可能になることがある。薄い圧縮性があり伸縮性のある複合機能層を使用すると、高エネルギー密度の充電式バッテリーセルの製造が可能になることがある。孔の寸法と同様に、圧縮性のある中空粒子の寸法は、中空粒子が組み込まれることになる層の厚さに依存することが、理解されよう。例えば、圧縮性のある中空粒子が1マイクロメートルの厚さの正極層に組み込まれる場合、圧縮性のある中空粒子の直径は、範囲の下限にある、例えば、約50~300nmの範囲内であるべきである。圧縮性のある中空粒子が5マイクロメートルの厚さの集電体に組み込まれる場合、直径は、より大きい、例えば、最大で2マイクロメートルまでの範囲内にあり得る。中空コアはガスを含むことが好ましい。中空粒子にガスを提供することにより、粒子は圧縮性であり伸縮性であり得る。ガスが充填されたコアを含む粒子を圧縮することにより、粒子内のガスの圧力が、圧縮中に高まることがあると考えられている。粒子を圧縮する外力が低下すると、中空粒子内部の上昇したガス圧力が、粒子を、例えば元の体積に、再膨張させることができる。更に、シェルの伸縮特性が、元の体積の回復を助けることがある。
【0033】
幾つかの好ましい実施形態では、中空の圧縮性のある粒子10は、中空のラテックスビーズ11である。中空のラテックスビーズは、5~0.05の範囲内の体積でのコア対シェル比率(Vcore/Vshell)を有することが好ましく、中空のラテックスビーズは、50ナノメートル~5マイクロメートルの間の範囲、好ましくは200~1000ナノメートルの間の範囲内の直径を有する。大きな孔を有するビーズは、より大きな範囲まで圧縮することができる。厚いシェルを有するビーズは、より弾性力があり、より伸縮性が高いことがある。孔の寸法と同様に、ビーズが含まれる層の厚さに比べて小さな寸法を有するビーズは、より均等に分散することができることが、理解されよう。ビーズが均質であると、圧縮性があり伸縮性のある層が均等になり、この層が、充電式バッテリーセルの動作中の、電極の膨張/収縮に均等に適合できることがある。
【0034】
圧縮性があり伸縮性のある複合材料Cは、バッテリースタック内部の複数の機能層のうちの任意の1つ又は複数に含まれることがある。
【0035】
図2Bは、圧縮性があり伸縮性のある第1の集電体2、圧縮性があり伸縮性のある固体電解質4、圧縮性があり伸縮性のある正極3、及び導電性キャッピング層8を備えた圧縮性があり伸縮性のある第2の集電体2、の例示的な実施形態の概略断面図を示す。
【0036】
前述のように、セルを形成するスタック内の機能層のうちの1つ又は複数が、充電式バッテリーセルの充電及び/又は放電中の負極及び/又は正極の体積変化から生じるスタック内部の圧縮力及び/又は張力に、少なくとも部分的に対抗するように、圧縮性があり伸縮性のある複合材料Cを備えている、充電式バッテリーセル、を提供することが、本開示の一態様である。
【0037】
従って、本開示は、充電式バッテリーセルに関し、ここでは、第1及び第2の集電体2、6のうちの1つ又は複数は、圧縮性があり伸縮性のある複合材料C及び導電性材料を備えて圧縮性があり伸縮性のある集電体を形成する。一実施形態では、例えば
図2Bに示すように、圧縮性があり伸縮性のある複合材料Cは、中空の圧縮性のある粒子10を含む。導電性材料は、カーボンブラック粉末、カーボンナノチューブ、グラフェン、カーボンファイバー、グラファイト、伝導性粒子、金属粒子、伝導性ナノワイヤ、及び伝導性ポリマー、例えば、ポリアニリン及びポリチオフェン、及び/又は伝導性コポリマー、のうちの1つ又は複数を含む。その代わりに又はこれに加えて、圧縮性があり伸縮性のある複合材料Cは、伝導性ポリマーを含むことがある。幾つかの好ましい実施形態では、圧縮性があり伸縮性のある複合材料Cは、中空のラテックスビーズ11を含む。これらの実施形態のうちの幾つかでは、伸縮特性は、中空のラテックスビーズによってもたらされることがある。その代わりに又はこれに加えて、中空のラテックスビーズ11は導電性である。
【0038】
本開示は充電式バッテリーセルに更に関し、ここでは、固体電解質4は、圧縮性があり伸縮性のある固体電解質を形成するための固体電解質材料から形成される、圧縮性があり伸縮性のある複合材料Cを含む。一実施形態では、例えば図示するように、圧縮性があり伸縮性のある複合材料Cは、中空の圧縮性のある粒子を含む。固体電解質は、イオン伝導性ポリマー及び1つ又は複数の塩を含む。通常、イオン伝導性ポリマーは、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、及びコポリマーを含むグリコールのうちの1つ又は複数などの、ポリエーテルポリマーであり得る。塩は、非配位性アニオン、及び負極で使用される金属に対応する金属カチオンを含むことが好ましい。例えば、リチウムイオンバッテリーの場合、固体電解質は、リチウム塩及びポリエチレングリコールを含むことがある。幾つかの好ましい実施形態では、圧縮性があり伸縮性のある複合材料Cは、中空のラテックスビーズ11を含む。これらの実施形態のうちの幾つかでは、伸縮特性は、中空のラテックスビーズによってもたらされることがある。その代わりに又はこれに加えて、中空のラテックスビーズにはイオン伝導性コーティングが施されている。中空ラテックスビーズにイオン伝導性コーティングを施すことにより、圧縮性があり伸縮性のある固体電解質全体でイオン伝導性が改善されることがあり、及び/又はコーティングされた中空ラテックスビーズと固体電解質材料との間の相容性が改善されることがある。その代わりに又はこれに加えて、固体電解質層は、電解質層とリチウム金属電極との間の界面における湿潤性を改善するための、リチウム親和性の金属酸化物の層を備えていることがある。その代わりに又はこれに加えて、圧縮性があり伸縮性のある固体電解質層集電体層は、負極との界面に、集電体層とリチウム金属電極との間の界面における湿潤性を改善するための、リチウム親和性の金属酸化物の層を備えて、不均一な電極材料のめっきを軽減し、更に樹枝状結晶の形成を軽減することがある。リチウム親和性の金属酸化物は、ZnO、Al2O3、Fe2O3、CoO2、MnO2、V2O5、及びTiO2からなる群から選択されることが好ましい。
【0039】
本開示は更に、充電式バッテリーセルに関し、ここでは、正極3は、正極材料、イオン伝導性材料、及び圧縮性があり伸縮性のある複合材料C全体に分散した電子伝導性材料、から形成される、圧縮性があり伸縮性のある複合材料Cを含んで、圧縮性があり伸縮性のある正極を形成する。一実施形態では、例えば図示するように、正極は、中空の圧縮性のある粒子10を含む。伝導性材料は、カーボンブラック粉末、カーボンナノチューブ、グラフェン、カーボンファイバー、グラファイト、伝導性粒子、金属粒子、伝導性ナノワイヤ、及び伝導性ポリマー、例えば、ポリアニリン及びポリチオフェン、のうちの1つ又は複数を含む。分散添加剤が、均一な混合物を形成するために添加されることがあり、電極を製造するためにバインダー材料が使用されることがある。幾つかの好ましい実施形態では、圧縮性があり伸縮性のある複合材料Cは、中空のラテックスビーズ11を含む。これらの実施形態のうちの幾つかでは、伸縮特性は、中空のラテックスビーズによってもたらされることがある。その代わりに又はこれに加えて、中空のラテックスビーズには導電性コーティングが施されている。中空ラテックスビーズに導電性コーティングを施すことにより、圧縮性があり伸縮性のある正極全体で伝導性が改善されることがある。その代わりに又はこれに加えて、中空のラテックスビーズにはイオン伝導性コーティングが施されている。中空ラテックスビーズにイオン伝導性コーティングを施すことにより、圧縮性があり伸縮性のある正極全体でイオン伝導性が改善されることがある。
【0040】
本開示は更に、充電式バッテリーセルに関し、ここでは、負極5は、負極材料、イオン伝導性材料、及び導電性材料、から形成される、圧縮性があり伸縮性のある複合材料Cを含んで、圧縮性があり伸縮性のある負極5を形成する。伝導性材料は、カーボンブラック粉末、カーボンナノチューブ、グラフェン、カーボンファイバー、グラファイト、伝導性粒子、金属粒子、伝導性ナノワイヤ、及び伝導性ポリマー、例えば、ポリアニリン及びポリチオフェン、のうちの1つ又は複数を含む。分散添加剤が、均一な混合物を形成するために添加されることがあり、電極を製造するためにバインダー材料が使用されることがある。幾つかの好ましい実施形態では、圧縮性があり伸縮性のある複合材料Cは、中空のラテックスビーズ11を含む。これらの実施形態のうちの幾つかでは、伸縮特性は、中空のラテックスビーズによってもたらされることがある。その代わりに又はこれに加えて、中空のラテックスビーズには導電性コーティングが施されている。中空ラテックスビーズに導電性コーティングを施すことにより、圧縮性があり伸縮性のある負極全体で伝導性が改善されることがある。
【0041】
他の又は更なる実施形態では、充電式バッテリーセルが提供され、ここでは、第1の及び第2の圧縮性があり伸縮性のある集電体のうちの1つ又は複数が、負極又は正極に接続するための界面に、電気伝導性キャッピングを備えている。キャッピング層は、キャッピング層が接触している電極の弾性率よりも高い弾性率を有することが好ましい。キャッピング層が接触している電極よりも硬いキャッピング層を有することにより、より均一な圧力の分散、例えば、層に沿った均一な圧縮が可能になり、従って、圧縮層の機械的な劣化が緩和される。キャッピング層がリチウム金属電極と接触している実施形態では、キャッピング層の弾性率は、4.9GPaよりも大きいことが好ましい。4.9GPaよりも大きな弾性率のキャッピング層を有することにより、更に、リチウム樹枝状結晶の形成を防ぐことができる。その代わりに又はこれに加えて、負のリチウム電極から電子を集めるための伸縮性のある集電体層は、集電体層とリチウム金属電極との間の界面における湿潤性を改善するための、リチウム親和性の金属酸化物の層を備えて、不均一な電極材料のめっきを軽減し、更に樹枝状結晶の形成を軽減することがある。リチウム親和性の金属酸化物は、ZnO、Al2O3、Fe2O3、CoO2、MnO2、V2O5、及びTiO2からなる群から選択されることが好ましい。
【0042】
他の又は更なる実施形態では、充電式バッテリーセルが提供され、ここでは、第1及び第2の圧縮性があり伸縮性のある集電体のうちの1つ又は複数が、伝導性金属層を少なくとも部分的に備えて、圧縮性があり伸縮性のある集電体の空間伝導性を改善する。金属層は、箔又はメッシュとして設けられることがあり、集電体の中に埋め込まれるか、又は表面に設けられることがある。その代わりに又はこれに加えて、圧縮性があり伸縮性のある集電体は、2つの金属箔、金属メッシュ、又はそれらの組み合わせの間に挟まれることがある。良好な高い空間伝導性を提供することは、負極と接続するための界面で、特に重要である。例えば、充電式リチウム金属バッテリーでは、不均一な空間伝導性は、充電サイクル中に、不均一な電場の形成につながることがあり、従って、不均一な電極材料の堆積及び/又はめっきにつながることがあり、樹枝状結晶の形成につながることがある。従って、本開示は、圧縮性があり伸縮性のある集電体に関し、ここでは、圧縮性があり伸縮性のある集電体は、負極材料と接続するための界面に、金属膜を備えている。正極材料と接続するための圧縮性があり伸縮性のある集電体は、金属メッシュを備えていることが好ましい、というのも、均一な空間伝導性は、これらの界面ではあまり重大ではないからである。正極材料と接続するための圧縮性があり伸縮性のある集電体に金属メッシュを提供することにより、重量でのエネルギー密度が改善された充電式バッテリーセル、例えば、メッシュの代わりに金属膜が備えられた同様のセルと比べて、セルの全質量当たりのセルのエネルギー出力が向上した充電式バッテリーセルの製造が可能になることがある。その代わりに又はこれに加えて、負のリチウム電極から電子を集めるための圧縮性があり伸縮性のある集電体は、集電体層の内部の金属グリッドを用いて形成されるハイブリッド積層体であることがあり、ここでは、伸縮性のある集電体は、樹枝状結晶の形成を防止するためにリチウム電極に面するキャッピング層を含み、このキャッピング層は、キャッピング層全体に分散した導電性材料も含んで、キャッピング層全体に渡る導電性ネットワークを形成する。
【0043】
本開示は更に、先行する請求項の何れかに記載の充電式バッテリーセルに更に関し、ここでは、機能層のスタックは、実質的に平面の構造を形成する。言い換えると、スタックは、例えばバッテリーパウチレイアウトでの、所謂2D構造を形成する。多数のそのようなスタックを含むその他のセル、例えば、セルのスタックから形成されるバッテリーセル、及びスタックが中心軸の周りに巻かれている円筒形の幾何形状などの非平面の幾何形状を有するセルも、同様に企図されている。
【0044】
幾つかの実施形態では、例えば
図3に示すように、本開示は充電式バッテリーセル1に関し、このセルは、互いに間隔をあけて配置され且つ基部から離れる方向に伸長する、伝導性要素17のアレイを含む伝導性基部構造16から形成され、前述の伸長する要素の間には、少なくとも、電解質及び正極及び負極のうちの一方が設けられる。そのようなセルは、3Dセルと説明されることがある。3D構造化されたセルを提供することにより、バッテリーは増大したエネルギー出力を伴って製造されることがある。
図3は、放電状態1D(上)及び充電状態1C(下)にある充電式バッテリーセル1の断面図を概略的に示す。3Dセルは、基部構造16及び伝導性要素17のアレイから形成される底部集電体を含み、正極材料3及び固体電解質4は、共形の態様で底部集電体をなぞる層として設けられている。図示するような実施形態では、圧縮性があり伸縮性のある上部集電体2、2’は、上部と、コーティングされた3D集電体の間の残りの空間の中に設けられている。セル全体は、剛性の上部集電体15と底部集電体16との間に挟まれている。3D充電式バッテリーセルに、伸長する伝導性要素15の間に設けられる圧縮性があり伸縮性のある層を提供することにより、横方向の、例えば負極5における、体積変化を吸収することができるセルが提供される。
【0045】
本開示は、圧縮性があり伸縮性のある複合材料Cを含む充電式バッテリーセル1を製造するためのプロセスにも関する。このプロセスは、圧縮性があり伸縮性のある複合材料Cを提供して圧縮性があり伸縮性のある第1の集電体2を形成すること、圧縮性があり伸縮性のある複合材料Cを提供して圧縮性があり伸縮性のある正極3を形成すること、圧縮性があり伸縮性のある複合材料Cを提供して圧縮性があり伸縮性のある固体電解質4を形成すること、圧縮性があり伸縮性のある複合材料Cを提供して圧縮性があり伸縮性のある負極5を形成すること、及び圧縮性があり伸縮性のある複合材料Cを提供して圧縮性があり伸縮性のある第2の集電体6を形成すること、のうちの1つ又は複数を含み、複数の圧縮性のある孔Pが、1種又は複数種の孔形成剤を含む混合物を調製することによって、圧縮性があり伸縮性のある複合材料Cに提供される。この混合物へ固体電解質形成材料を添加することにより、圧縮性があり伸縮性のある固体電解質の形成が可能になり、電極材料を添加することにより、圧縮性があり伸縮性のある電極の形成が可能になり、集電体材料を添加することにより、圧縮性があり伸縮性のある集電体の形成が可能になる。孔形成剤は、中空粒子10、中空ラテックスビーズ11、発泡剤、溶媒、及び溶存ガス、のうちの1つ又は複数を含む。適切な発泡有機及び無機剤の例としては、NaHCO3、NH4HCO3、NaNO2、NH4NO2、アゾジカルボンアミド、オキシビス(ベンゼンスルホニル・ヒドラジド)、p-トルエンスルホニル・ヒドラジド、トルエンスルホニル・セミカルバジド、及び5-フェニルテトラゾールが挙げられる。或いは、例えばH2Oなどの溶媒が、発泡剤として使用されることがある。
【0046】
圧縮性があり伸縮性のある集電体を形成するための混合物中の集電体形成材料は、更に、カーボンブラック粉末、カーボンナノチューブ、グラフェン、カーボンファイバー、グラファイト、伝導性粒子、金属粒子、伝導性ナノワイヤ、及び伝導性ポリマー、例えば、ポリアニリン及びポリチオフェン、のうちの1つ又は複数から選択される伝導性材料と、この伝導性材料及び圧縮性のある孔粒子のうちの1つ又は複数を分散させるための分散剤と、を含む。圧縮性があり伸縮性のある固体電解質を形成するための混合物中の電解質材料は、イオン伝導性ポリマー及び1つ又は複数の塩を含む。例えば、固体電解質は、リチウム塩、並びにポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、及びコポリマーを含むグリコールのうちの1つ又は複数などの、ポリエーテルポリマーを含むことがある。その代わりに又はこれに加えて、固体電解質層は、電解質層とリチウム金属電極との間の界面における湿潤性を改善するための、薄い、5~10nmの厚さの、リチウム親和性の金属酸化物の層を備えていることがある。
【0047】
圧縮性があり伸縮性のある正極を形成するための混合物中の電極材料は、正極材料、イオン伝導性材料、及び電子伝導性材料を含む。分散添加剤が、均一な混合物を形成するために添加されることがあり、電極を製造するためにバインダー材料が使用されることがある。圧縮性があり伸縮性のある負極を形成するための混合物中の電極材料は、負極材料、イオン伝導性材料、及び電気伝導性材料を含む。電極を形成するための1種又は複数種の混合物中に含まれる電気伝導性材料は、カーボンブラック粉末、カーボンナノチューブ、グラフェン、カーボンファイバー、グラファイト、伝導性粒子、金属粒子、伝導性ナノワイヤ、及び伝導性ポリマー、例えば、ポリアニリン及びポリチオフェン、のうちの1つ又は複数を含む。
【0048】
圧縮性のある機能層は、充電式バッテリーセルに含まれる機能層のうちの任意の層上に直接的に鋳造されることが好ましいことがある、例えば、圧縮性のある電解質層が、正極材料を含む機能層の上にかぶせられることがある。或いは、圧縮性があり伸縮性のある層を形成するための混合物は、キャリア基板、金属箔又はメッシュのうちの1つ又は複数の上に鋳造されることがある。混合物がモノマーを含む実施形態では、前述のモノマーの重合工程が、混合物の鋳造の後に続く。1種又は複数種の孔形成剤が発泡剤、溶媒、及び溶存ガスを含む実施形態では、このプロセスは、前述の孔形成剤を活性化して複数の孔を形成することを含み、ここで、前述の活性化は、低圧を印加すること、及び孔形成剤を活性化させるのに十分な時間及び温度で高温にかけること、のうちの1つ又は複数により、行われる。活性化に続いて、交換工程が行われることが好ましく、この交換工程では、アルゴン又は窒素のそれぞれのガス吸引サイクルのうちの1つ又は複数を適用することにより、放出されたガス及び/又は蒸気をアルゴン又は窒素と交換する。リチウム金属材料を使用する場合、アルゴンが好ましい、というのも、アルゴンはリチウムと反応しないからである。
【0049】
3D充電式バッテリーセルが形成される実施形態では、混合物は、真空含浸によって、剛性の3D構造上に鋳造されることがある。結果として得られる構成要素混合物が溶融可能である実施形態では、鋳造のために溶融押出処理が使用されることがある。
【0050】
好ましい実施形態では、孔形成剤は、中空粒子、より好ましくは中空ラテックスビーズ11を含む。発泡剤とは対照的に、中空粒子及び/又はラテックスビーズによって形成された孔は、孔のサイズ及び孔の分布をより制御して提供することができる。
【0051】
幾つかの好ましい実施形態では、圧縮性があり伸縮性のある複合材料Cを含む充電式バッテリーセル1を製造するためのプロセスは、中空ラテックスビーズを混合物に提供することを含み、中空ラテックスビーズ11は、コア-シェルポリマーラテックスビーズを取得することによってもたらされ、コアは水性ゲルを含み、コア-シェルポリマーラテックスビーズを乾燥させることは、フリーズ・ドライ、又は乾燥ガス流を使用した液相気相交換処理を含む。任意選択的に、中空ラテックスビーズを提供するためのプロセスは、乾燥した伝導性の中空ラテックスビーズに導電性コーティング18を施すことを含む。適切な導電性コーティングは、炭素質材料(例えば、カーボンブラック、グラフェン、カーボンナノチューブ)、金属、金属酸化物、伝導性ポリマー、例えば(ポリアニリン、ポリ・エチレンジオキシチオフェン(PEDOT))、からなる群から選択されることが好ましい。
【0052】
従って、本開示は、充電式バッテリーセルを製造するためのプロセスにより中間生成物として取得可能な、
図4に示すような中空ラテックスビーズに関し、このプロセスは、コア-シェルポリマーラテックスビーズを取得することに限定され、コアは、水性ゲルを含み、且つ、フリーズ・ドライによるか又は連続的な乾燥ガス流を使用した液相気相交換処理によりコア-シェルポリマーラテックスビーズを乾燥させることを含む。本開示は、充電式バッテリーセルを製造するためのプロセスにより中間生成物として取得可能な、伝導性中空ラテックスビーズに更に関し、このプロセスは、コア-シェル21ポリマーラテックスビーズを取得することに限定され、コア20は、水性ゲルを含み、且つ、フリーズ・ドライによるか又は連続的な乾燥ガス流を使用した液相気相交換処理によりコア-シェルポリマーラテックスビーズを乾燥させることを含み、コーティングは、水性エマルジョンを使用した溶液処理により、又は流体化したビーズALD、PLD、CVD処理を使用した乾燥処理により、もたらされる。コーティング22は、炭素質材料(例えば、カーボンブラック、グラフェン、カーボンナノチューブ)、金属、金属酸化物、伝導性ポリマー、例えば(ポリアニリン、PEDOT)、からなる群のうちの1つ又は複数から選択されることが好ましい。コアが水性ゲルを含むコア-シェルポリマーラテックスビーズは、100~1000ナノメートルの範囲内の直径で、商業的に得られることがある。コア-シェルポリマーラテックスビーズ及び異なる直径のコア-シェルポリマーラテックスビーズの他のソースも同様に適用され得ることが、理解されよう。
【0053】
幾つかの実施形態では、圧縮性があり伸縮性のある集電体は、伝導性添加剤及び孔形成剤を含むポリマー複合溶液、並びに、溶融ポリマー及びモノマー組成物のうちの1つ又は複数、を鋳造することにより、製造されることがある。モノマー組成物を含む実施形態では、鋳造の後に、その位置での重合が続く。発泡剤を含む膜の場合、鋳造された膜を、更に熱処理して、発泡剤を活性化させる。生成される反応性ガスは、リチウム金属の場合、吸引ガスサイクルを適用することにより、アルゴン又は窒素と交換される。リチウム金属材料を使用する場合、アルゴンが好ましい、というのも、アルゴンはリチウムと反応するからである。
【国際調査報告】