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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-28
(54)【発明の名称】ナンキンムシの選択的検出
(51)【国際特許分類】
   A01M 1/00 20060101AFI20220121BHJP
   C07F 9/6571 20060101ALI20220121BHJP
   C07F 9/165 20060101ALI20220121BHJP
   C07F 9/6574 20060101ALI20220121BHJP
【FI】
A01M1/00 Q
C07F9/6571 CSP
C07F9/165 K
C07F9/6574 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021528434
(86)(22)【出願日】2019-11-20
(85)【翻訳文提出日】2021-07-02
(86)【国際出願番号】 US2019062423
(87)【国際公開番号】W WO2020106848
(87)【国際公開日】2020-05-28
(31)【優先権主張番号】62/770,413
(32)【優先日】2018-11-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】501035309
【氏名又は名称】コルテバ アグリサイエンス エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100187964
【弁理士】
【氏名又は名称】新井 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】ジアンピエトロ,ナタリー シー.
(72)【発明者】
【氏名】ビーチ,マルク ダブリュ.
(72)【発明者】
【氏名】シャンカール,ラヴィ
(72)【発明者】
【氏名】スポマー,ネイル エー.
【テーマコード(参考)】
2B121
4H050
【Fターム(参考)】
2B121AA16
2B121DA63
2B121EA01
2B121FA14
4H050AA01
4H050AA03
4H050AB81
(57)【要約】
害虫駆除の装置、システム、および方法を開示する。害虫駆除装置は、センサセルを有するセンサおよびコントローラを備える。センサセルの表面は、害虫によって分泌された標的生化学分析物と反応する作用剤でコーティングされている。コントローラは、センサと連結されており、センサセルの表面上で検出されるセンサ質量の変化率を示すセンサデータをセンサセルから受信し、受信したセンサデータに基づくセンサ質量の変化率が所定の閾値率を超えているかを決定し、変化率が所定の閾値率を超えているという決定に応答して、害虫検出警告通知をサーバーに送信するように構成されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
センサセルを含むセンサであって、前記センサセルの表面が、害虫によって分泌された標的生化学分析物と反応する作用剤でコーティングされている、前記センサと、
前記センサと連結しているコントローラであって、
前記標的生化学分析物の濃度の増加に相関する、前記センサセルの前記表面上で検出されるセンサ質量の変化率を示すセンサデータを前記センサセルから受信し、
受信したセンサデータに基づく前記センサ質量の前記変化率が所定の閾値率を超えているかを決定し、
前記変化率が前記所定の閾値率を超えているという決定に応答して、サーバーに害虫検出警告通知を送信する
ように構成されている前記コントローラと、
を含む、害虫駆除装置。
【請求項2】
人間のオペレーターに、前記標的生化学分析物の局所領域を特定するために前記害虫駆除装置を移動させるためのグリップを与えるハンドルをさらに含む、請求項1に記載の害虫駆除装置。
【請求項3】
前記コントローラが、
前記変化率が所定の閾値率を超えたとき、タイマーをアクティブ化し、
前記変化率が前記所定の閾値率より低い値に戻ったとき、前記タイマーを非アクティブ化し、
前記センサ質量の前記変化率が前記所定の閾値率を超えていた時間の量を決定し、
前記時間の量が所定の期間より長いかを決定する
ようにさらに構成されており、
前記害虫検出警告通知を送信することが、前記時間の量が前記所定の期間より長いとの決定に応答して、害虫検出警告通知を送信することを含む、請求項1に記載の害虫駆除装置。
【請求項4】
前記所定の閾値率が、ナンキンムシの存在下の基準質量変化率である、請求項1に記載の害虫駆除装置。
【請求項5】
前記標的生化学分析物が、ナンキンムシの分泌物中に含まれる分析物を含む、請求項1に記載の害虫駆除装置。
【請求項6】
前記標的生化学分析物がトランス-2-ヘキセナール(T2H)を含む、請求項1に記載の害虫駆除装置。
【請求項7】
前記標的生化学分析物が、トランス-2-オクテナール(T2O)を含む、請求項1に記載の害虫駆除装置。
【請求項8】
前記標的生化学分析物が、4-オキソ-(E)-2-ヘキセナールを含む、請求項1に記載の害虫駆除装置。
【請求項9】
前記標的生化学分析物が4-オキソ-(E)-2-オクテナールを含む、請求項1に記載の害虫駆除装置。
【請求項10】
前記作用剤が、ジオクチル環状チオール中間体(ジオクチル-CTI)を含む、請求項1に記載の害虫駆除装置。
【請求項11】
前記作用剤が、環状チオール中間体(CTI)を含む、請求項1に記載の害虫駆除装置。
【請求項12】
前記センサが水晶振動子微量天秤である、請求項1に記載の害虫駆除装置。
【請求項13】
前記センサセルが水晶共振子である、請求項1に記載の害虫駆除装置。
【請求項14】
前記センサセルの前記表面が、ポリマーゲルおよび前記作用剤を含むコーティングゲル化合物でコーティングされている、請求項1に記載の害虫駆除装置。
【請求項15】
前記ポリマーゲルが、前記センサセルの前記表面上に安定性コーティングを形成するために、高い粘性ならびに高い熱的および化学的安定性を有する、請求項14に記載の害虫駆除装置。
【請求項16】
前記ポリマーゲルが低分子量を有する、請求項14に記載の害虫駆除装置。
【請求項17】
前記ポリマーゲルがポリメチルフェニルシロキサン(PMPS)である、請求項14に記載の害虫駆除装置。
【請求項18】
前記ポリマーゲルがポリジメチルシロキサン(PDMS)である、請求項14に記載の害虫駆除装置。
【請求項19】
前記ポリマーゲルがフルオロアルコールポリカルボシランである、請求項14に記載の害虫駆除装置。
【請求項20】
前記ポリマーゲルがフルオロアルコールポリシロキサンである、請求項14に記載の害虫駆除装置。
【請求項21】
前記ポリマーゲルがビスフェノール含有ポリマー(BSP3)である、請求項14に記載の害虫駆除装置。
【請求項22】
前記ポリマーゲルがポリ-2-ジメチルアミン-エチル-メタクリレート(PDMAEMC)である、請求項14に記載の害虫駆除装置。
【請求項23】
前記ポリマーゲルが、シリコン(Si)および鉄(Fe)を有するポリマーである、請求項14に記載の害虫駆除装置。
【請求項24】
前記ポリマーゲルが、ポリメチルフェニルシロキサン(PMPS)、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、フルオロアルコールポリカルボシラン、フルオロアルコールポリシロキサン、ビスフェノール含有ポリマー(BSP3)、ポリ-2-ジメチルアミン-エチル-メタクリレート(PDMAEMC)、ならびにシリコン(Si)および鉄(Fe)を有するポリマーのうちの少なくとも1つである、請求項14に記載の害虫駆除装置。
【請求項25】
害虫の存在を検出する方法であって、
センサ質量変化率を示すデータをセンサから受信するステップと、
前記センサ質量変化率が所定の閾値率を超えているかを決定するステップと、
前記変化率が前記所定の閾値率を超えているという決定に応答して、害虫検出警告通知をサーバーに送信するステップと
を含み、
前記センサが、害虫によって分泌される標的生化学分析物と反応するコーティングを含み、前記センサ質量変化率が、標的生化学分析物の濃度の増加に相関する、前記方法。
【請求項26】
前記変化率が所定の閾値率を超えたとき、タイマーをアクティブ化するステップと、
前記変化率が前記所定の閾値率より低い値に戻ったとき、前記タイマーを非アクティブ化するステップと、
センサ質量の前記変化率が前記所定の閾値率を超えていた時間の量を決定するステップと、
前記時間の量が所定の期間より長いかを決定するステップと
をさらに含み、
前記害虫検出警告通知を送信するステップが、前記時間の量が前記所定の期間より長いという決定に応答して、害虫検出警告通知を送信することを含む、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記所定の閾値率が、ナンキンムシの存在下の基準質量変化率である、請求項25に記載の方法。
【請求項28】
前記標的生化学分析物がトランス-2-ヘキセナール(T2H)を含む、請求項25に記載の方法。
【請求項29】
前記標的生化学分析物が、トランス-2-オクテナール(T2O)を含む、請求項25に記載の方法。
【請求項30】
前記標的生化学分析物が、4-オキソ-(E)-2-ヘキセナールを含む、請求項25に記載の方法。
【請求項31】
前記標的生化学分析物が4-オキソ-(E)-2-オクテナールを含む、請求項25に記載の方法。
【請求項32】
前記コーティングが、ジオクチル環状チオール中間体(ジオクチル-CTI)を含む、請求項25に記載の方法。
【請求項33】
前記コーティングが、環状チオール中間体(CTI)を含む、請求項25に記載の方法。
【請求項34】
前記センサが水晶振動子微量天秤である、請求項25に記載の方法。
【請求項35】
前記コーティングが、ポリマーゲルおよび前記作用剤を含むコーティングゲル化合物である、請求項25に記載の方法。
【請求項36】
前記ポリマーゲルが、前記センサセルの前記表面上に安定性コーティングを形成するために、高い粘性ならびに高い熱的および化学的安定性を有する、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記ポリマーゲルが低分子量を有する、請求項35に記載の方法。
【請求項38】
前記ポリマーゲルがポリメチルフェニルシロキサン(PMPS)である、請求項35に記載の方法。
【請求項39】
前記ポリマーゲルがポリジメチルシロキサン(PDMS)である、請求項35に記載の方法。
【請求項40】
前記ポリマーゲルがフルオロアルコールポリカルボシランである、請求項35に記載の方法。
【請求項41】
前記ポリマーゲルがフルオロアルコールポリシロキサンである、請求項35に記載の方法。
【請求項42】
前記ポリマーゲルがビスフェノール含有ポリマー(BSP3)である、請求項35に記載の方法。
【請求項43】
前記ポリマーゲルがポリ-2-ジメチルアミン-エチル-メタクリレート(PDMAEMC)である、請求項35に記載の方法。
【請求項44】
前記ポリマーゲルが、シリコン(Si)および鉄(Fe)を有するポリマーである、請求項35に記載の方法。
【請求項45】
前記ポリマーゲルが、ポリメチルフェニルシロキサン(PMPS)、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、フルオロアルコールポリカルボシラン、フルオロアルコールポリシロキサン、ビスフェノール含有ポリマー(BSP3)、ポリ-2-ジメチルアミン-エチル-メタクリレート(PDMAEMC)、ならびにシリコン(Si)および鉄(Fe)を有するポリマーのうちの少なくとも1つである、請求項35に記載の方法。
【請求項46】
害虫の存在を検出する方法であって、
第1のセンサデータをセンサから受信するステップと、
第2のセンサデータを前記センサから受信するステップと、
前記第1および第2のセンサデータに基づいてシグナル変化の第1の勾配を決定するステップと
第3のセンサデータを前記センサから受信するステップと、
前記第2および第3のセンサデータに基づいてシグナル変化の第2の勾配を決定するステップと、
前記第2の勾配が前記第1の勾配と異なるかを決定するステップと、
前記第2の勾配が前記第1の勾配と異なるという決定に応答して、害虫検出警告通知をサーバーに送信するステップと
を含み、
前記センサが、害虫によって分泌される標的生化学分析物と反応するコーティングを含み、前記シグナル変化が、標的生化学分析物の濃度の増加に相関する、前記方法。
【請求項47】
前記第2の勾配が前記第1の勾配と異なるとき、タイマーをアクティブ化するステップと、
センサデータを前記センサから受信し、前記タイマーがアクティブである間、前記センサデータに基づいてシグナル変化の勾配を決定するステップと、
勾配の変化が検出されなくなったら、前記タイマーを非アクティブ化するステップと、
前記タイマーによって測定される時間間隔を決定するステップと、
前記時間間隔が所定の期間より長いかを決定するステップと
をさらに含み、
前記害虫検出警告通知を送信するステップが、前記時間間隔が前記所定の期間より長いという決定に応答して、害虫検出警告通知を送信することを含む、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記所定の閾値率が、ナンキンムシの存在下の基準質量変化率である、請求項46に記載の方法。
【請求項49】
前記標的生化学分析物がトランス-2-ヘキセナール(T2H)を含む、請求項46に記載の方法。
【請求項50】
前記標的生化学分析物が、トランス-2-オクテナール(T2O)を含む、請求項46に記載の方法。
【請求項51】
前記標的生化学分析物が、4-オキソ-(E)-2-ヘキセナールを含む、請求項46に記載の方法。
【請求項52】
前記標的生化学分析物が4-オキソ-(E)-2-オクテナールを含む、請求項46に記載の方法。
【請求項53】
前記コーティングが、ジオクチル環状チオール中間体(ジオクチル-CTI)を含む、請求項46に記載の方法。
【請求項54】
前記コーティングが、環状チオール中間体(CTI)を含む、請求項46に記載の方法。
【請求項55】
前記センサが水晶振動子微量天秤である、請求項46に記載の方法。
【請求項56】
害虫によって分泌された標的生化学分析物と反応させるために害虫検出センサ上で利用可能な作用剤の量を決定するステップと、
前記作用剤の量が閾値レベルより低いかを決定するステップと、
前記作用剤の量が前記閾値レベルより低いという決定に応答して前記センサがメンテナンスを必要とすることを示す通知をサーバーに送信するステップと
を含む方法であって、
前記害虫検出センサ上にコーティングされた前記作用剤の量が、前記作用剤が前記標的生化学分析物と反応すると減少する、前記方法。
【請求項57】
前記作用剤が、ジオクチル環状チオール中間体(ジオクチル-CTI)を含む、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
前記作用剤が、環状チオール中間体(CTI)を含む、請求項56に記載の方法。
【請求項59】
前記標的生化学分析物が、ナンキンムシの分泌物中に含まれる分析物を含む、請求項56に記載の方法。
【請求項60】
前記標的生化学分析物がトランス-2-ヘキセナール(T2H)を含む、請求項56に記載の方法。
【請求項61】
前記標的生化学分析物が、トランス-2-オクテナール(T2O)を含む、請求項56に記載の方法。
【請求項62】
前記標的生化学分析物が、4-オキソ-(E)-2-ヘキセナールを含む、請求項56に記載の方法。
【請求項63】
前記標的生化学分析物が4-オキソ-(E)-2-オクテナールを含む、請求項56に記載の方法。
【請求項64】
前記閾値レベルが、前記標的生化学分析物と反応するために必要とされる作用剤の最低量に基づいて決定される、請求項56に記載の方法。
【請求項65】
式Iの環状チオール
【化1】
(式中、
Xは、SまたはOであり、
およびZは、それぞれ独立してOまたはSであり、
は、水素、C~C12アルキル、C~C12アルケニル、C~C10アリール、5~7員ヘテロアリール、-OR、-SR、-(OC~Cアルキレン)、-(SC~Cアルキレン)、-(OC~Cアルキレン)(SC~Cアルキレン)、-(SC~Cアルキレン)(OC~Cアルキレン)、C~Cアルキレン(OC~Cアルキレン)、C~Cアルキレン(SC~Cアルキレン)、C~Cアルキレン(OC~Cアルキレン)(SC~Cアルキレン)、およびC~Cアルキレン(SC~Cアルキレン)(OC~Cアルキレン)からなる群から選択され、
は、水素、C~C12アルキル、C~C12アルケニル、C~C10アリール、5~7員ヘテロアリール、-OR、-SR、-(OC~Cアルキレン)、-(SC~Cアルキレン)、-(OC~Cアルキレン)(SC~Cアルキレン)、-(SC~Cアルキレン)(OC~Cアルキレン)、C~Cアルキレン(OC~Cアルキレン)、C~Cアルキレン(SC~Cアルキレン)、C~Cアルキレン(OC~Cアルキレン)(SC~Cアルキレン)、およびC~Cアルキレン(SC~Cアルキレン)(OC~Cアルキレン)からなる群から選択され、
、R3’、RおよびR4’は、それぞれ独立して、水素、C~Cアルキル、C~Cアルケニル、およびC~C10アリールからなる群から選択され、
は、水素、C~Cアルキル、C~Cアルケニル、C~C10アリール、およびポリマーバルキング基からなる群から選択され、
aは0または1であり、
xおよびyは、それぞれ独立して1~10の整数である)
またはその互変異性体。
【請求項66】
XがSである、請求項65に記載の環状チオール。
【請求項67】
がOである、請求項65に記載の環状チオール。
【請求項68】
およびZがそれぞれOである、請求項65に記載の環状チオール。
【請求項69】
XがSであり、ZおよびZがそれぞれOである、請求項65に記載の環状チオール。
【請求項70】
およびRがそれぞれC~C10アルキルであり、同一である、請求項65に記載の環状チオール。
【請求項71】
およびRがそれぞれオクチルである、請求項65に記載の環状チオール。
【請求項72】
およびRのうちの少なくとも1つが、前記ポリマーバルキング基と連結されている、請求項65に記載の環状チオール。
【請求項73】
およびRのうちの少なくとも1つが水素である、請求項72に記載の環状チオール。
【請求項74】
前記ポリマーバルキング基が、シリコーン、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアラミド、ポリウレタン、ポリスチレン、エポキシ、ゴム、デンプン、タンパク質、セルロース、アクリレート、ABSポリマー、PEEKポリマー、ポリオール、ポリエーテル、ポリエーテルポリオール、および前述の2つ以上のコポリマーからなる群から選択される、請求項72に記載の環状チオール。
【請求項75】
前記ポリマーバルキング基がシルセスキオキサンである、請求項74に記載の環状チオール。
【請求項76】
前記ポリマーバルキング基が架橋されている、請求項74に記載の環状チオール。
【請求項77】
が、式-CHO(CHS(CHを有する、請求項72に記載の環状チオール。
【請求項78】
前記環状チオールが約350Da~約5000Daの重量を有する、請求項65に記載の環状チオール。
【請求項79】
aが1である、請求項65に記載の環状チオール。
【請求項80】
、R3’、R、およびR4’がそれぞれ水素である、請求項65に記載の環状チオール。
【請求項81】
次式
【化2】
(式中、RおよびRは、それぞれ独立して、ヘキシルまたはオクチルである)
を有する、請求項65に記載の環状チオール。
【請求項82】
およびRがそれぞれオクチルである、請求項81に記載の環状チオール。
【請求項83】
チオール基が約1~約4のpKaを有する、請求項65に記載の環状チオール。
【請求項84】
式IIの環状付加物
【化3】
(式中、
Xは、SまたはOであり、
およびZは、それぞれ独立してOまたはSであり、
は、水素、C~C12アルキル、C~C12アルケニル、C~C10アリール、5~7員ヘテロアリール、-OR、-SR、-(OC~Cアルキレン)、-(SC~Cアルキレン)、-(OC~Cアルキレン)(SC~Cアルキレン)、-(SC~Cアルキレン)(OC~Cアルキレン)、C~Cアルキレン(OC~Cアルキレン)、C~Cアルキレン(SC~Cアルキレン)、C~Cアルキレン(OC~Cアルキレン)(SC~Cアルキレン)、およびC~Cアルキレン(SC~Cアルキレン)(OC~Cアルキレン)からなる群から選択され、
は、水素、C~C12アルキル、C~C12アルケニル、C~C10アリール、5~7員ヘテロアリール、-OR、-SR、-(OC~Cアルキレン)、-(SC~Cアルキレン)、-(OC~Cアルキレン)(SC~Cアルキレン)、-(SC~Cアルキレン)(OC~Cアルキレン)、C~Cアルキレン(OC~Cアルキレン)、C~Cアルキレン(SC~Cアルキレン)、C~Cアルキレン(OC~Cアルキレン)(SC~Cアルキレン)、およびC~Cアルキレン(SC~Cアルキレン)(OC~Cアルキレン)からなる群から選択され、
、R3’、RおよびR4’は、それぞれ独立して、水素、C~Cアルキル、C~Cアルケニル、およびC~C10アリールからなる群から選択され、
は、水素、C~Cアルキル、C~Cアルケニル、C~C10アリール、およびポリマーバルキング基からなる群から選択され、
は、C~C12アルキルまたはオキソ置換C~C12アルキルであり、
aは0または1であり、
xおよびyは、それぞれ独立して1~10の整数である)
またはその互変異性体。
【請求項85】
が、プロピル、ペンチル、1-オキソプロピル、および1-オキソペンチルからなる群から選択される、請求項84に記載の環状付加物。
【請求項86】
がペンチルである、請求項84に記載の環状付加物。
【請求項87】
式IIIのチオール
【化4】
(式中、
Xは、SまたはOであり、
およびZは、それぞれ独立してOまたはSであり、
は、水素、C~C12アルキル、C~C12アルケニル、C~C10アリール、5~7員ヘテロアリール、-OR、-SR、-(OC~Cアルキレン)、-(SC~Cアルキレン)、-(OC~Cアルキレン)(SC~Cアルキレン)、-(SC~Cアルキレン)(OC~Cアルキレン)、C~Cアルキレン(OC~Cアルキレン)、C~Cアルキレン(SC~Cアルキレン)、C~Cアルキレン(OC~Cアルキレン)(SC~Cアルキレン)、およびC~Cアルキレン(SC~Cアルキレン)(OC~Cアルキレン)からなる群から選択され、
は、C~C12アルキル、C~C12アルケニル、C~C10アリール、5~7員ヘテロアリール、-OR、-SR、-(OC~Cアルキレン)、-(SC~Cアルキレン)、-(OC~Cアルキレン)(SC~Cアルキレン)、-(SC~Cアルキレン)(OC~Cアルキレン)、C~Cアルキレン(OC~Cアルキレン)、C~Cアルキレン(SC~Cアルキレン)、C~Cアルキレン(OC~Cアルキレン)(SC~Cアルキレン)、およびC~Cアルキレン(SC~Cアルキレン)(OC~Cアルキレン)からなる群から選択され、
は、水素、C~Cアルキル、C~Cアルケニル、C~C10アリール、およびポリマーバルキング基からなる群から選択され、
aは0または1であり、
xおよびyは、それぞれ独立して1~10の整数である)
またはその互変異性体。
【請求項88】
式IVの付加物
【化5】
(式中、
Xは、SまたはOであり、
およびZは、それぞれ独立してOまたはSであり、
は、水素、C~C12アルキル、C~C12アルケニル、C~C10アリール、5~7員ヘテロアリール、-OR、-SR、-(OC~Cアルキレン)、-(SC~Cアルキレン)、-(OC~Cアルキレン)(SC~Cアルキレン)、-(SC~Cアルキレン)(OC~Cアルキレン)、C~Cアルキレン(OC~Cアルキレン)、C~Cアルキレン(SC~Cアルキレン)、C~Cアルキレン(OC~Cアルキレン)(SC~Cアルキレン)、およびC~Cアルキレン(SC~Cアルキレン)(OC~Cアルキレン)からなる群から選択され、
は、水素、C~C12アルキル、C~C12アルケニル、C~C10アリール、5~7員ヘテロアリール、-OR、-SR、-(OC~Cアルキレン)、-(SC~Cアルキレン)、-(OC~Cアルキレン)(SC~Cアルキレン)、-(SC~Cアルキレン)(OC~Cアルキレン)、C~Cアルキレン(OC~Cアルキレン)、C~Cアルキレン(SC~Cアルキレン)、C~Cアルキレン(OC~Cアルキレン)(SC~Cアルキレン)、およびC~Cアルキレン(SC~Cアルキレン)(OC~Cアルキレン)からなる群から選択され、
は、水素、C~Cアルキル、C~Cアルケニル、C~C10アリール、およびポリマーバルキング基からなる群から選択され、
は、C~C12アルキルまたはオキソ置換C~C12アルキルであり、
aは0または1であり、
xおよびyは、それぞれ独立して1~10の整数である)
またはその互変異性体。
【請求項89】
(i)内室、(ii)前記内室への複数の入口、および(iii)前記内室を、各チャネルが1匹以上の害虫を受け取るように寸法決めされた複数のチャネルに分ける複数の内壁を含む、筐体と、
前記筐体に取り付けられた、本出願で図示および/または記載される任意のセンサと、
本出願で図示および/または記載される任意のコントローラと、
を含む害虫駆除装置。
【請求項90】
前記複数のチャネルに沿って前記内室から前記センサへ空気を引き込むために気流を作り出すように構成された気流装置をさらに含む、請求項89に記載の害虫駆除装置。
【請求項91】
前記筐体が、前記内室へのアクセスを可能にするための第2のパネルに対して可動な第1のパネルを含む、請求項89または90に記載の害虫駆除装置。
【請求項92】
前記第1のパネルが、前記第2のパネルと枢動可能に連結されている、請求項89に記載の害虫駆除装置。
【請求項93】
前記筐体が、前記第1のパネルの外枠と第2のパネルの外枠との間に、前記外枠間のギャップを通した標的生化学分析物の損失を最小限に抑えるために不浸透性ライナーを含む、請求項92に記載の害虫駆除装置。
【請求項94】
前記不浸透性ライナーがアルミニウムめっきを施されたフィルムである、請求項93に記載の害虫駆除装置。
【請求項95】
前記第1のパネルが、ベース面と、前記ベース面から延びる前記複数の内壁と、を含む、請求項91~94のいずれか一項に記載の害虫駆除装置。
【請求項96】
前記第1のパネルが、対応する入口へ害虫をガイドするための各入口の外側に位置する傾斜面を含む、請求項91~95のいずれか一項に記載の害虫駆除装置。
【請求項97】
前記複数の内壁が、
各ガイド壁が、第1の方向に延び、前記複数のチャネルのうちの第1のチャネルを画定する、入口の各側面上に位置する一対のガイド壁と、
前記ガイド壁の末端から間隔を空けて、前記第1の方向に対して垂直の第2の方向に延びる遮断壁と、
を含む、請求項89~96のいずれか一項に記載の害虫駆除装置。
【請求項98】
前記遮断壁が、
前記第1の方向に対して垂直の前記第2の方向に延びる第1の壁部と、
前記第1の壁部の末端から延びる、前記ガイド壁に平行して延び、共同して前記複数のチャネルのうちの第2のチャネルを画定する第2の壁部と、
前記第1の壁部の反対端から延びる、前記ガイド壁に平行して延び、共同して前記複数のチャネルのうちの第3のチャネルを画定する第3の壁部と、
を含む、請求項97に記載の害虫駆除装置。
【請求項99】
前記第1のチャネルが、前記気流を前記第1の方向に誘導するように構成され、前記第2および第3のチャネルが、前記気流を、前記第1の方向とは反対側の第3の方向に誘導するように構成されている、請求項98に記載の害虫駆除装置。
【請求項100】
前記遮断壁が、第1の遮断壁であり、
前記複数の内壁が、前記第1の遮断壁の末端から間隔を空けた第2の遮断壁を含み、前記第1の遮断壁および前記第2の遮断壁が共同して、気流を前記第1の方向に誘導するように構成されている第4のチャネルを画定する、
請求項97または98に記載の害虫駆除装置。
【請求項101】
前記第4のチャネルが、筐体の前記入口からオフセットされている、請求項100に記載の害虫駆除装置。
【請求項102】
前記センサが、前記筐体の前記内室中に位置する、請求項89~101のいずれか一項に記載の害虫駆除装置。
【請求項103】
前記気流装置が、前記内室中に位置する、請求項90~101のいずれか一項に記載の害虫駆除装置。
【請求項104】
外部予濃縮器をさらに含む、請求項89~103のいずれか一項に記載の害虫駆除装置。
【請求項105】
前記予濃縮器が、前記内室中の温度を上昇させるための加熱素子を含む、請求項104に記載の害虫駆除装置。
【請求項106】
前記予濃縮器が、標的生化学分析物を収着するシートを含む、請求項104に記載の害虫駆除装置。
【請求項107】
前記シートが、織物または不織繊維状材料で作られており、繊維状材料のシートの繊維間に収着剤粉末を含む、請求項104に記載の害虫駆除装置。
【請求項108】
前記予濃縮器が、標的生化学分析物を収着する織物または不織繊維状材料から作られる複数のシートを含み、繊維状材料の2枚のシートの間に収着剤粉末を含む、請求項104に記載の害虫駆除装置。
【請求項109】
前記予濃縮器が、前記複数の入口の1つの入口から前記センサへ延び、標的生化学分析物を収着する管を含む、請求項104に記載の害虫駆除装置。
【請求項110】
前記予濃縮器が、ある量の標的生化学分析物を受け取るように寸法決めされた試験室を含む、請求項104に記載の害虫駆除装置。
【請求項111】
前記予濃縮器が、第1の温度で標的生化学分析物を収着し、第2の温度で前記標的生化学分析物を放出するように構成された表面を含む、請求項105~110のいずれか一項に記載の害虫駆除装置。
【請求項112】
前記内室中の温度を選択的に調整することができる加熱素子をさらに含む、請求項89~111のいずれか一項に記載の害虫駆除装置。
【請求項113】
前記加熱素子が、前記内室中の害虫を根絶するように前記温度を上昇させることができる、請求項112に記載の害虫駆除装置。
【請求項114】
前記筐体が、ベッドに固定されるように構成されている、請求項89~113のいずれか一項に記載の害虫駆除装置。
【請求項115】
ベッドのヘッドボードをさらに含み、前記筐体が前記ベッドの前記ヘッドボードに固定されるように構成されている、請求項89~114のいずれか一項に記載の害虫駆除装置。
【請求項116】
式Vのチオール
【化6】
(式中、
Xは、SまたはOであり、
およびZは、それぞれ独立してOまたはSであり、
およびRは、それぞれ独立して、C~Cアルキレン-O-(C~Cアルキレン)およびC~Cアルキレン-S-(C~Cアルキレン)10からなる群から選択され、
およびR10は、それぞれ独立して、水素、C~Cアルキル、C~Cアルケニル、C~C10アリール、およびポリマーバルキング基からなる群から選択され、
qおよびzは、それぞれ独立して0~10の整数である)
またはその互変異性体。
【請求項117】
およびRが、それぞれ、C~Cアルキレン-O-(C~Cアルキレン)である、請求項116に記載のチオール。
【請求項118】
およびRが、それぞれ、C~Cアルキレン-O-(C~Cアルキレン)であり、qが0である、請求項116に記載のチオール。
【請求項119】
およびRが、それぞれ、C~Cアルキレン-O-(C~Cアルキレン)であり、qが0であり、RがC~Cアルキルである、請求項116に記載のチオール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、開示内容が参照により本明細書に援用される、2018年11月21日に出願された米国仮特許出願第62/770413号の利益を主張するものである。
【0002】
2018年5月21日に出願された米国特許出願第15/985093号および2018年5月21日に出願された国際出願第PCT/US2018/033679号が相互参照される。
【0003】
本開示は、一般的に害虫駆除、より具体的には、例えばナンキンムシなどの昆虫の検出、監視、および防除に関する。
【背景技術】
【0004】
近年のデータは、ヒトの住居へのナンキンムシ(キメクス属)(Cimex species)の侵襲が増加していることを示唆している。世界中で少なくとも92種が特定されており、その内の少なくとも16種は北アメリカ大陸に存在する。一般的に、ナンキンムシは、ヒトおよびさまざまな家畜を含めた宿主に寄生する害虫である。長時間作用型残留性殺虫剤がナンキンムシの個体数を抑制するために使われなくなったため、ナンキンムシの侵襲は、現在、少なくとも部分的に、より問題となってきていると考えらえる。加えて、海外旅行の増加および殺虫剤抵抗性は、ナンキンムシの侵襲を拡散させ、殺虫剤による防除を非常に困難にした。規模の面で、新聞での悪評または酷評によってもたらされるビジネス上の評価が脅かされるリスクのため、そのような侵襲は、ホテル経営者、クルーズ船、電車、デイケア施設などにとって特に懸念される。他の問題となる領域は、養護施設、兵舎、寮、病院、およびさまざまな他の形態の高密度住居を含む傾向がある。それにもかかわらず、一戸建て住宅も同様に強い悪影響があり得る。
【0005】
例示的なナンキンムシの行動学的研究は、参照により全内容が本明細書に援用される、Corraine A. McNeill et al., Journal Of Medical Entomology, 2016, July 1, 53(4):760-769に記載されている。ナンキンムシの交尾およびフェロモンについての例示的な研究は、それぞれ、参照により全内容が本明細書に援用される、Vincent Harraca et al., BMC Biology. 2010 Sept 9; 8:121およびJoelle F Olson et al., Pest Management Science, 2017 January; 73(1): 198-205に記載されている。好適な試料採取および予備濃縮技術は、参照により全内容が本明細書に援用される、Maria Rosa Ras et al., Trac Trends In Analytical Chemistry, 2009 Mar. 28(3): 347-361に記載されている。ナンキンムシの例示的な抗体検出法は、それぞれ、参照により全内容が本明細書に援用される、米国特許第9500643号および米国特許出願第2017/0137501号に記載されている。画像解析に基づく例示的な検出システムは、参照により全内容が本明細書に援用される、米国特許第9664813号に記載されている。
【発明の概要】
【0006】
本開示の一態様によれば、害虫駆除装置が開示される。害虫駆除装置は、センサセルを含むセンサと、センサと連結しているコントローラと、を備える。センサセルの表面は、害虫によって分泌された標的生化学分析物と反応する作用剤でコーティングされている。コントローラは、センサセルの表面上で検出されるセンサ質量の変化率を示すセンサデータをセンサセルから受信し、受信したセンサデータに基づくセンサ質量の変化率が所定の閾値率を超えているかを決定し、変化率が所定の閾値率を超えているという決定に応答して、害虫検出警告通知をサーバーに送信するように構成されている。変化率は、標的生化学分析物の濃度の増加に相関する。
【0007】
いくつかの実施形態において、害虫駆除装置は、人間のオペレーターに、標的生化学分析物の局所領域を特定するために害虫駆除装置を移動させるためのグリップを与えるハンドルを備えてもよい。
【0008】
いくつかの実施形態において、コントローラは、変化率が所定の閾値率を超えたとき、タイマーをアクティブ化し、変化率が所定の閾値率より低い値に戻ったとき、タイマーを非アクティブ化し、センサ質量の変化率が所定の閾値率を超えていた時間の量を決定し、時間の量が所定の期間より長いかを決定するようにさらに構成されていてもよい。
【0009】
いくつかの実施形態において、コントローラは、時間の量が所定の期間より長いという決定に応答して、害虫検出警告通知を送信することができる。
【0010】
いくつかの実施形態において、所定の閾値率は、ナンキンムシの存在下の基準質量変化率とすることができる。
【0011】
いくつかの実施形態において、標的生化学分析物は、ナンキンムシの分泌物中に存在する分析物を含み得る。例えば、いくつかの実施形態において、標的生化学分析物は、トランス-2-ヘキセナール(T2H)を含んでもよい。加えて、または代替的に、いくつかの実施形態では、標的生化学分析物は、トランス-2-オクテナール(T2O)を含んでもよい。いくつかの実施形態において、標的生化学分析物は4-オキソ-(E)-2-ヘキセナールを含んでもよい。いくつかの実施形態において、標的生化学分析物は4-オキソ-(E)-2-オクテナールを含んでもよい。
【0012】
いくつかの実施形態において、作用剤は、ジオクチル環状チオール中間体(ジオクチル-CTI)を含んでもよい。加えて、または代替的に、いくつかの実施形態では、作用剤は、環状チオール中間体(CTI)を含んでもよい。
【0013】
いくつかの実施形態において、センサは水晶振動子微量天秤であってもよい。いくつかの実施形態において、センサセルは水晶共振子であってもよい。
【0014】
別の態様によれば、害虫の存在を検出する方法が開示される。方法は、センサからセンサ質量の変化率を示すデータを受信するステップと、センサ質量の変化率が所定の閾値率を超えているかを決定するステップと、変化率が所定の閾値率を超えているという決定に応答して害虫検出警告通知をサーバーに送信するステップとを含む。センサは、害虫によって分泌される標的生化学分析物と反応するコーティングを含み、センサ質量変化率は、標的生化学分析物の濃度の増加に相関する。
【0015】
いくつかの実施形態において、方法は、変化率が所定の閾値率を超えたとき、タイマーをアクティブ化するステップと、変化率が所定の閾値率より低い値に戻ったとき、タイマーを非アクティブ化するステップと、センサ質量の変化率が所定の閾値率を超えていた時間の量を決定するステップと、時間の量が所定の期間より長いかを決定するステップとを含んでよい。
【0016】
いくつかの実施形態において、害虫検出警告通知を送信するステップは、時間の量が所定の期間より長いという決定に応答して、害虫検出警告通知を送信することを含んでよい。
【0017】
いくつかの実施形態において、所定の閾値率は、ナンキンムシの存在下の基準質量変化率とすることができる。
【0018】
いくつかの実施形態において、標的生化学分析物は、トランス-2-ヘキセナール(T2H)を含んでもよい。加えて、または代替的に、いくつかの実施形態では、標的生化学分析物は、トランス-2-オクテナール(T2O)を含んでもよい。いくつかの実施形態において、標的生化学分析物は4-オキソ-(E)-2-ヘキセナールを含んでもよい。いくつかの実施形態において、標的生化学分析物は4-オキソ-(E)-2-オクテナールを含んでもよい。
【0019】
いくつかの実施形態において、コーティングは、ジオクチル環状チオール中間体(ジオクチル-CTI)を含んでもよい。加えて、または代替的に、いくつかの実施形態では、コーティングは、環状チオール中間体(CTI)を含んでもよい。
【0020】
いくつかの実施形態において、センサは水晶振動子微量天秤であってもよい。
【0021】
いくつかの実施形態において、センサセルの表面は、ポリマーゲルおよび作用剤を含むコーティングゲル化合物でコーティングされていてもよい。
【0022】
いくつかの実施形態において、ポリマーゲルは、センサセルの表面上に安定性コーティングを形成するために、高い粘性ならびに高い熱的および化学的安定性を有していてよい。いくつかの実施形態において、ポリマーゲルは、低分子量を有していてもよい。
【0023】
いくつかの実施形態において、ポリマーゲルは、ポリメチルフェニルシロキサン(PMPS)、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、フルオロアルコールポリカルボシラン、フルオロアルコールポリシロキサン、ビスフェノール含有ポリマー(BSP3)、ポリ-2-ジメチルアミン-エチル-メタクリレート(PDMAEMC)、ならびにシリコン(Si)および鉄(Fe)を有するポリマーのうちの少なくとも1つであってもよい。
【0024】
いくつかの実施形態において、ポリマーゲルは、ポリメチルフェニルシロキサン(PMPS)であってもよい。あるいは、いくつかの実施形態において、ポリマーゲルは、ポリジメチルシロキサン(PDMS)であってもよい。あるいは、いくつかの実施形態において、ポリマーゲルは、フルオロアルコールポリカルボシランであってもよい。あるいは、いくつかの実施形態において、ポリマーゲルは、フルオロアルコールポリシロキサンであってもよい。あるいは、いくつかの実施形態において、ポリマーゲルは、ビスフェノール含有ポリマー(BSP3)であってもよい。あるいは、いくつかの実施形態において、ポリマーゲルは、ポリ-2-ジメチルアミン-エチル-メタクリレート(PDMAEMC)であってもよい。あるいは、いくつかの実施形態において、ポリマーゲルは、シリコン(Si)および鉄(Fe)を有するポリマーであってもよい。
【0025】
別の態様によれば、害虫の存在を検出する方法が開示される。方法は、第1のセンサデータをセンサから受信するステップと、第2のセンサデータをセンサから受信するステップと、第1および第2のセンサデータに基づいてシグナル変化の第1の勾配を決定するステップと、第3のセンサデータをセンサから受信するステップと、第2および第3のセンサデータに基づいてシグナル変化の第2の勾配を決定するステップと、第2の勾配が第1の勾配と異なるかを決定するステップと、第2の勾配が第1の勾配と異なるという決定に応答して害虫検出警告通知をサーバーに送信するステップとを含む。センサは、害虫によって分泌される標的生化学分析物と反応するコーティングを含み、シグナル変化は、標的生化学分析物の濃度の増加に相関する。
【0026】
いくつかの実施形態において、方法は、第2の勾配が第1の勾配と異なるとき、タイマーをアクティブ化するステップと、センサからセンサデータを受信し、タイマーがアクティブである間、センサデータに基づいてシグナル変化の勾配を決定するステップと、勾配の変化が検出されなくなったらタイマーを非アクティブ化するステップと、タイマーによって測定される時間間隔を決定するステップと、時間間隔が所定の期間より長いかを決定するステップとをさらに含む。いくつかの実施形態において、害虫検出警告通知を送信するステップは、時間間隔が所定の期間より長いという決定に応答して、害虫検出警告通知を送信することを含む。
【0027】
いくつかの実施形態において、所定の閾値率は、ナンキンムシの存在下の基準質量変化率とすることができる。
【0028】
いくつかの実施形態において、標的生化学分析物は、トランス-2-ヘキセナール(T2H)を含んでもよい。加えて、または代替的に、いくつかの実施形態では、標的生化学分析物は、トランス-2-オクテナール(T2O)を含んでもよい。いくつかの実施形態において、標的生化学分析物は4-オキソ-(E)-2-ヘキセナールを含んでもよい。いくつかの実施形態において、標的生化学分析物は4-オキソ-(E)-2-オクテナールを含んでもよい。
【0029】
いくつかの実施形態において、コーティングは、ジオクチル環状チオール中間体(ジオクチル-CTI)を含んでもよい。加えて、または代替的に、いくつかの実施形態では、コーティングは、環状チオール中間体(CTI)を含んでもよい。
【0030】
いくつかの実施形態において、センサは水晶振動子微量天秤であってもよい。
【0031】
いくつかの実施形態において、コーティングは、ポリマーゲルおよびジオクチル環状チオール中間体(ジオクチル-CTI)または環状チオール中間体(CTI)を含む。
【0032】
いくつかの実施形態において、ポリマーゲルは、センサセルの表面上に安定性コーティングを形成するために、高い粘性ならびに高い熱的および化学的安定性を有していてよい。いくつかの実施形態において、ポリマーゲルは、低分子量を有していてもよい。
【0033】
いくつかの実施形態において、ポリマーゲルは、ポリメチルフェニルシロキサン(PMPS)、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、フルオロアルコールポリカルボシラン、フルオロアルコールポリシロキサン、ビスフェノール含有ポリマー(BSP3)、ポリ-2-ジメチルアミン-エチル-メタクリレート(PDMAEMC)、ならびにシリコン(Si)および鉄(Fe)を有するポリマーのうちの少なくとも1つであってもよい。
【0034】
いくつかの実施形態において、ポリマーゲルは、ポリメチルフェニルシロキサン(PMPS)であってもよい。あるいは、いくつかの実施形態において、ポリマーゲルは、ポリジメチルシロキサン(PDMS)であってもよい。あるいは、いくつかの実施形態において、ポリマーゲルは、フルオロアルコールポリカルボシランであってもよい。あるいは、いくつかの実施形態において、ポリマーゲルは、フルオロアルコールポリシロキサンであってもよい。あるいは、いくつかの実施形態において、ポリマーゲルは、ビスフェノール含有ポリマー(BSP3)であってもよい。あるいは、いくつかの実施形態において、ポリマーゲルは、ポリ-2-ジメチルアミン-エチル-メタクリレート(PDMAEMC)であってもよい。あるいは、いくつかの実施形態において、ポリマーゲルは、シリコン(Si)および鉄(Fe)を有するポリマーであってもよい。
【0035】
別の態様によれば、方法は、害虫によって分泌された標的生化学分析物と反応させるために害虫検出センサ上で利用可能な作用剤の量を決定するステップと、作用剤の量が閾値レベルより低いかを決定するステップと、作用剤の量が閾値レベルより低いという決定に応答して、センサがメンテナンスを必要とすることを示す通知をサーバーに送信するステップとを含む。害虫検出センサ上にコーティングされた作用剤の量は、作用剤が標的生化学分析物と反応すると減少する。
【0036】
いくつかの実施形態において、作用剤は、ジオクチル環状チオール中間体(ジオクチル-CTI)を含んでもよい。加えて、または代替的に、いくつかの実施形態では、作用剤は、環状チオール中間体(CTI)を含んでもよい。
【0037】
いくつかの実施形態において、標的生化学分析物は、ナンキンムシの分泌物中に存在する分析物を含み得る。例えば、標的生化学分析物は、トランス-2-ヘキセナール(T2H)を含んでもよい。加えて、または代替的に、いくつかの実施形態では、標的生化学分析物は、トランス-2-オクテナール(T2O)を含んでもよい。いくつかの実施形態において、標的生化学分析物は4-オキソ-(E)-2-ヘキセナールを含んでもよい。いくつかの実施形態において、標的生化学分析物は4-オキソ-(E)-2-オクテナールを含んでもよい。
【0038】
いくつかの実施形態において、閾値レベルは、標的生化学分析物と反応するために必要とされる作用剤の最低量に基づいて決定される。
【0039】
別の態様によれば、式Iの環状チオール
【0040】
【化1】
(式中、
Xは、SまたはOであり、
およびZは、それぞれ独立してOまたはSであり、
は、水素、C~C12アルキル、C~C12アルケニル、C~C10アリール、5~7員ヘテロアリール、-OR、-SR、-(OC~Cアルキレン)、-(SC~Cアルキレン)、-(OC~Cアルキレン)(SC~Cアルキレン)、-(SC~Cアルキレン)(OC~Cアルキレン)、C~Cアルキレン(OC~Cアルキレン)、C~Cアルキレン(SC~Cアルキレン)、C~Cアルキレン(OC~Cアルキレン)(SC~Cアルキレン)、およびC~Cアルキレン(SC~Cアルキレン)(OC~Cアルキレン)からなる群から選択され、
は、水素、C~C12アルキル、C~C12アルケニル、C~C10アリール、5~7員ヘテロアリール、-OR、-SR、-(OC~Cアルキレン)、-(SC~Cアルキレン)、-(OC~Cアルキレン)(SC~Cアルキレン)、-(SC~Cアルキレン)(OC~Cアルキレン)、C~Cアルキレン(OC~Cアルキレン)、C~Cアルキレン(SC~Cアルキレン)、C~Cアルキレン(OC~Cアルキレン)(SC~Cアルキレン)、およびC~Cアルキレン(SC~Cアルキレン)(OC~Cアルキレン)からなる群から選択され、
、R3’、RおよびR4’は、それぞれ独立して、水素、C~Cアルキル、C~Cアルケニル、およびC~C10アリールからなる群から選択され、
は、水素、C~Cアルキル、C~Cアルケニル、C~C10アリール、およびポリマーバルキング基からなる群から選択され、
aは0または1であり、
xおよびyは、それぞれ独立して1~10の整数である)
またはその互変異性体が開示される。
【0041】
いくつかの実施形態において、XはSであってもよい。いくつかの実施形態において、ZはOであってもよい。いくつかの実施形態において、ZおよびZは、それぞれOであってもよい。いくつかの実施形態において、XはSであってもよく、ZおよびZは、それぞれOであってもよい。
【0042】
いくつかの実施形態において、RおよびRは、それぞれC~C10アルキルであってもよく、同一であってもよい。例えば、いくつかの実施形態において、RおよびRは、それぞれオクチルであってもよい。
【0043】
加えて、または代替的に、いくつかの実施形態では、RおよびRのうちの少なくとも1つは、ポリマーバルキング基と連結していてもよい。いくつかの実施形態において、RおよびRのうちの少なくとも1つは水素であってもよい。
【0044】
いくつかの実施形態において、ポリマーバルキング基は、シリコーン、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアラミド、ポリウレタン、ポリスチレン、エポキシ、ゴム、デンプン、タンパク質、セルロース、アクリレート、ABSポリマー、PEEKポリマー、ポリオール、ポリエーテル、ポリエーテルポリオール、および前述の2つ以上のコポリマーからなる群から選択され得る。例えば、いくつかの実施形態において、ポリマーバルキング基はシルセスキオキサンであってもよい。いくつかの実施形態において、ポリマーバルキング基は架橋されていてもよい。
【0045】
いくつかの実施形態において、Rは、式CHO(CHS(CHを有してよい。
【0046】
いくつかの実施形態において、環状チオールは、約350Da~約5000Daの重量を有していてもよい。
【0047】
いくつかの実施形態において、aは1であってもよい。
【0048】
いくつかの実施形態において、R、R3’、RおよびR4’は、それぞれ水素であってもよい。
【0049】
いくつかの実施形態において、環状チオールは、次式
【0050】
【化2】
を有していてもよく、式中、RおよびRは、それぞれ独立して、ヘキシルまたはオクチルであってもよい。例えば、いくつかの実施形態において、RおよびRは、それぞれオクチルであってもよい。
【0051】
いくつかの実施形態において、チオール基は、約1~約4のpKaを有していてもよい。
【0052】
別の態様によれば、式IIの環状付加物
【0053】
【化3】
(式中、
Xは、SまたはOであり、
およびZは、それぞれ独立してOまたはSであり、
は、水素、C~C12アルキル、C~C12アルケニル、C~C10アリール、5~7員ヘテロアリール、-OR、-SR、-(OC~Cアルキレン)、-(SC~Cアルキレン)、-(OC~Cアルキレン)(SC~Cアルキレン)、-(SC~Cアルキレン)(OC~Cアルキレン)、C~Cアルキレン(OC~Cアルキレン)、C~Cアルキレン(SC~Cアルキレン)、C~Cアルキレン(OC~Cアルキレン)(SC~Cアルキレン)、およびC~Cアルキレン(SC~Cアルキレン)(OC~Cアルキレン)からなる群から選択され、
は、水素、C~C12アルキル、C~C12アルケニル、C~C10アリール、5~7員ヘテロアリール、-OR、-SR、-(OC~Cアルキレン)、-(SC~Cアルキレン)、-(OC~Cアルキレン)(SC~Cアルキレン)、-(SC~Cアルキレン)(OC~Cアルキレン)、C~Cアルキレン(OC~Cアルキレン)、C~Cアルキレン(SC~Cアルキレン)、C~Cアルキレン(OC~Cアルキレン)(SC~Cアルキレン)、およびC~Cアルキレン(SC~Cアルキレン)(OC~Cアルキレン)からなる群から選択され、
、R3’、RおよびR4’は、それぞれ独立して、水素、C~Cアルキル、C~Cアルケニル、およびC~C10アリールからなる群から選択され、
は、水素、C~Cアルキル、C~Cアルケニル、C~C10アリール、およびポリマーバルキング基からなる群から選択され、
は、C~C12アルキルまたはオキソ置換C~C12アルキルであり、
aは0または1であり、
xおよびyは、それぞれ独立して1~10の整数である)
またはその互変異性体が開示される。
【0054】
いくつかの実施形態において、Rはプロピルまたはペンチルであってもよい。例えば、いくつかの実施形態において、Rはペンチルであってもよい。いくつかの実施形態において、Rは、1-オキソプロピルまたは1-オキソペンチルであってもよい。
【0055】
別の態様によれば、式IIIのチオール
【0056】
【化4】
(式中、
Xは、SまたはOであり、
およびZは、それぞれ独立してOまたはSであり、
は、水素、C~C12アルキル、C~C12アルケニル、C~C10アリール、5~7員ヘテロアリール、-OR、-SR、-(OC~Cアルキレン)、-(SC~Cアルキレン)、-(OC~Cアルキレン)(SC~Cアルキレン)、-(SC~Cアルキレン)(OC~Cアルキレン)、C~Cアルキレン(OC~Cアルキレン)、C~Cアルキレン(SC~Cアルキレン)、C~Cアルキレン(OC~Cアルキレン)(SC~Cアルキレン)、およびC~Cアルキレン(SC~Cアルキレン)(OC~Cアルキレン)からなる群から選択され、
は、C~C12アルキル、C~C12アルケニル、C~C10アリール、5~7員ヘテロアリール、-OR、-SR、-(OC~Cアルキレン)、-(SC~Cアルキレン)、-(OC~Cアルキレン)(SC~Cアルキレン)、-(SC~Cアルキレン)(OC~Cアルキレン)、C~Cアルキレン(OC~Cアルキレン)、C~Cアルキレン(SC~Cアルキレン)、C~Cアルキレン(OC~Cアルキレン)(SC~Cアルキレン)、およびC~Cアルキレン(SC~Cアルキレン)(OC~Cアルキレン)からなる群から選択され、
は、水素、C~Cアルキル、C~Cアルケニル、C~C10アリール、およびポリマーバルキング基からなる群から選択され、
aは0または1であり、
xおよびyは、それぞれ独立して1~10の整数である)
またはその互変異性体が開示される。
【0057】
別の態様によれば、式IVの付加物
【0058】
【化5】
(式中、
Xは、SまたはOであり、
およびZは、それぞれ独立してOまたはSであり、
は、水素、C~C12アルキル、C~C12アルケニル、C~C10アリール、5~7員ヘテロアリール、-OR、-SR、-(OC~Cアルキレン)、-(SC~Cアルキレン)、-(OC~Cアルキレン)(SC~Cアルキレン)、-(SC~Cアルキレン)(OC~Cアルキレン)、C~Cアルキレン(OC~Cアルキレン)、C~Cアルキレン(SC~Cアルキレン)、C~Cアルキレン(OC~Cアルキレン)(SC~Cアルキレン)、およびC~Cアルキレン(SC~Cアルキレン)(OC~Cアルキレン)からなる群から選択され、
は、水素、C~C12アルキル、C~C12アルケニル、C~C10アリール、5~7員ヘテロアリール、-OR、-SR、-(OC~Cアルキレン)、-(SC~Cアルキレン)、-(OC~Cアルキレン)(SC~Cアルキレン)、-(SC~Cアルキレン)(OC~Cアルキレン)、C~Cアルキレン(OC~Cアルキレン)、C~Cアルキレン(SC~Cアルキレン)、C~Cアルキレン(OC~Cアルキレン)(SC~Cアルキレン)、およびC~Cアルキレン(SC~Cアルキレン)(OC~Cアルキレン)からなる群から選択され、
は、水素、C~Cアルキル、C~Cアルケニル、C~C10アリール、およびポリマーバルキング基からなる群から選択され、
は、C~C12アルキルまたはオキソ置換C~C12アルキルであり、
aは0または1であり、
xおよびyは、それぞれ独立して1~10の整数である)
またはその互変異性体が開示される。
【0059】
別の態様によれば、式Vの付加物
【0060】
【化6】
(式中、
Xは、SまたはOであり、
およびZは、それぞれ独立してOまたはSであり、
およびRは、それぞれ独立して、C~Cアルキレン-O-(C~Cアルキレン)およびC~Cアルキレン-S-(C~Cアルキレン)10からなる群から選択され、
およびR10は、それぞれ独立して、水素、C~Cアルキル、C~Cアルケニル、C~C10アリール、およびポリマーバルキング基からなる群から選択され、
qおよびzは、それぞれ独立して0~10の整数である)
またはその互変異性体が開示される。
【0061】
いくつかの実施形態において、RおよびRは、それぞれ、C~Cアルキレン-O-(C~Cアルキレン)であってもよい。例えば、いくつかの実施形態において、RおよびRは、それぞれ、Cアルキレン-O-(C~Cアルキレン)であってもよい。
【0062】
いくつかの実施形態において、RおよびRは、それぞれ、C~Cアルキレン-O-(C~Cアルキレン)であってもよく、qは0であってもよい。例えば、いくつかの実施形態において、RおよびRは、それぞれ、Cアルキレン-O-Rであってもよい。
【0063】
いくつかの実施形態において、RおよびRは、それぞれ、C~Cアルキレン-O-(C~Cアルキレン)であってもよく、qは0であってもよく、RはC~Cアルキルであってもよい。例えば、いくつかの実施形態において、RおよびRは、それぞれ、CH-CH-O-CHであってもよい。
【0064】
別の態様によれば、害虫駆除装置は、内室、内室への複数の入口、および内室を複数のチャネルに分ける複数の内壁を含む筐体を含む。各チャネルは、1匹以上の害虫を受け取るように寸法決めされている。害虫駆除装置は、本出願で図示および/または記載される任意のセンサならびに本出願で図示および/または記載される任意のコントローラを備える。センサは筐体に取り付けられている。
【0065】
いくつかの実施形態において、害虫駆除装置は、複数のチャネルに沿って内室からセンサへ空気を引き込むために気流を作り出すように構成された気流装置をさらに含んでもよい。
【0066】
いくつかの実施形態において、筐体は、内室へのアクセスを可能にするための第2のパネルに対して可動な第1のパネルを備えてもよい。
【0067】
いくつかの実施形態において、第1のパネルは、第2のパネルと枢動可能に連結されていてもよい。
【0068】
いくつかの実施形態において、筐体は、第1のパネルの外枠と第2のパネルの外枠との間に、外枠間のギャップを通した標的生化学分析物の損失を最小限に抑えるために不浸透性ライナーを備えてもよい。
【0069】
いくつかの実施形態において、不浸透性ライナーは、アルミニウムめっきを施されたフィルムであってもよい。
【0070】
いくつかの実施形態において、第1のパネルは、ベース面とベース面から延びる複数の内壁とを備えてもよい。
【0071】
いくつかの実施形態において、第1のパネルは、対応する入口へ害虫をガイドするための各入口の外側に位置する傾斜面を含んでもよい。
【0072】
いくつかの実施形態において、複数の内壁は、入口の各側面上に位置する一対のガイド壁と遮断壁とを備えてもよい。各ガイド壁は、第1の方向に延び、複数のチャネルのうちの第1のチャネルを画定することができる。遮断壁は、ガイド壁の末端から間隔を空けて、第1の方向に対して垂直の第2の方向に延びてよい。
【0073】
いくつかの実施形態において、遮断壁は、第1の方向に対して垂直の第2の方向に延びる第1の壁部、第1の壁部の末端から延びる第2の壁部、および第1の壁部の反対端から延びる第3の壁部を含んでよい。第2の壁部は、ガイド壁に平行して延び、共同して複数のチャネルのうちの第2のチャネルを画定することができる。第2の壁部は、ガイド壁に平行して延び、共同して複数のチャネルのうちの第3のチャネルを画定することができる。
【0074】
いくつかの実施形態において、第1のチャネルは、気流を第1の方向に誘導するように構成されていてよく、第2および第3のチャネルは、気流を、第1の方向とは反対側の第3の方向に誘導するように構成されていてよい。
【0075】
いくつかの実施形態において、遮断壁は第1の遮断壁であってもよく、複数の内壁は、第1の遮断壁の末端から間隔を空けた第2の遮断壁を含んでもよい。第1の遮断壁および第2の遮断壁は共同して、気流を第1の方向に誘導するように構成されている第4のチャネルを画定することができる。
【0076】
いくつかの実施形態において、第4のチャネルは、筐体の入口からオフセットされていてもよい。
【0077】
いくつかの実施形態において、センサは、筐体の内室中に位置してよい。
【0078】
いくつかの実施形態において、気流装置は、内室中に位置してよい。
【0079】
いくつかの実施形態において、害虫駆除装置は、外部予濃縮器をさらに含んでもよい。
【0080】
いくつかの実施形態において、予濃縮器は、内室の温度を上昇させるための加熱素子を備えてもよい。
【0081】
いくつかの実施形態において、予濃縮器は、標的生化学分析物を収着するシートを含んでもよい。
【0082】
いくつかの実施形態において、シートは、織物または不織繊維状材料で作られていてもよく、繊維状材料のシートの繊維間に収着剤粉末を含んでもよい。
【0083】
いくつかの実施形態において、予濃縮器は、標的生化学分析物を収着する織物または不織繊維状材料から作られる複数のシートを含んでもよく、繊維状材料の2枚のシートの間に収着剤粉末を含んでもよい。
【0084】
いくつかの実施形態において、予濃縮器は、複数の入口の1つの入口からセンサへ延び、標的生化学分析物を収着する管を備えてもよい。
【0085】
いくつかの実施形態において、予濃縮器は、ある量の標的生化学分析物を受け取るように寸法決めされた試験室を含んでもよい。
【0086】
いくつかの実施形態において、予濃縮器は、第1の温度で標的生化学分析物を収着し、第2の温度で標的生化学分析物を放出するように構成された表面を有してもよい。
【0087】
いくつかの実施形態において、害虫駆除装置は、内室の温度を選択的に調整することができる加熱素子をさらに備えてもよい。
【0088】
いくつかの実施形態において、加熱素子は、内室中の害虫を根絶するように温度を上昇させることができてもよい。
【0089】
いくつかの実施形態において、筐体は、ベッドに固定されるように構成されていてもよい。
【0090】
いくつかの実施形態において、害虫駆除装置は、ベッドのヘッドボードをさらに含んでもよく、筐体は、ベッドのヘッドボードに固定されるように構成される。
【0091】
詳細な説明は、特に以下の図面を指す。
【図面の簡単な説明】
【0092】
図1】複数の害虫駆除装置を含む害虫駆除システムの少なくとも1つの実施形態の線図である。
図2図1の害虫駆除システムに含まれ得る害虫駆除装置の少なくとも1つの実施形態の線図である。
図3図2の害虫駆除装置に含まれ得る害虫駆除装置の検出センサの少なくとも1つの実施形態の透視図である。
図4図1の害虫駆除システムのゲートウェイの少なくとも1つの実施形態の線図である。
図5図1の害虫駆除システムの駆除ルーチンの簡易フローチャートである。
図6図1の害虫駆除システムの駆除ルーチンの第1の実施形態の簡易フローチャートである。
図7図1の害虫駆除システムの駆除ルーチンの第1の実施形態の簡易フローチャートである。
図8A図1の害虫駆除システムの駆除ルーチンの第2の実施形態の簡易フローチャートである。
図8B図1の害虫駆除システムの駆除ルーチンの第2の実施形態の簡易フローチャートである。
図9】ベッドのヘッドボードに取り付けられた害虫駆除装置の別の実施形態の立面図である。
図10】開放的な構成の図9の害虫駆除装置の上面図である。
図11図9の害虫駆除装置の透視図である。
図12】閉鎖位置にある図9の害虫駆除装置の上面図である。
図13図9の害虫駆除装置の入口の透視図である。
図14】センサセルとセンサセルの表面上にコーティングされたセンサコーティングとを含む害虫駆除装置の検出センサであって、センサコーティングが、ポリマーゲルと、ナンキンムシの分泌物中に存在する分析物を検出する作用剤と、から作製されるコーティングゲル化合物を含む、検出センサの少なくとも1つの実施形態の横断面図である。
図15】ポリジメチルシロキサン(PDMS)コーティングゲル化合物中の作用剤と、PDMSポリマーゲルを囲む空気中に存在する標的生化学分析物との間の反応によって生じるPDMSコーティングゲル化合物の質量変化を例示するグラフである。
図16】ポリメチルフェニルシロキサン(PMPS)コーティングゲル化合物中の作用剤と、PMPSポリマーゲルを囲む空気中に存在する標的生化学分析物との間の反応によって生じるPMPSコーティングゲル化合物の質量変化を例示するグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0093】
本開示の概念は、さまざまな修正および変更形態の影響を受けやすいが、その特定の例示的実施形態を、例として図面で示し、本明細書において詳細に説明する。しかしながら、本開示の概念を開示される特定の形態に限定することを意図しないが、それとは対照的に、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の趣旨および範囲内に含まれるすべての修正、同等物、および代替を包含することが意図される。
【0094】
ここで図1を参照して、害虫の存在を検出するための害虫駆除システム100を示す。システム100は、実例として、ネットワーク106を介して中央害虫データ管理サーバー104に通じている1つ以上の害虫駆除装置群102を含む。中央害虫データ管理サーバー104は、害虫駆除装置群102から受信した情報を送信するためにネットワーク110を介して1つ以上のクライアント計算装置108と通じるようにさらに構成される。
【0095】
害虫駆除装置群102は、複数の害虫駆除装置108を含む。各害虫駆除装置108は、ナンキンムシの存在を検出するように構成され、以下でより詳細に記載するように、ナンキンムシの検出を示すセンサデータを提供する。害虫駆除装置108は、ネットワーク106を介してセンサデータを中央害虫データ管理サーバー104に送信する。例示的な実施形態において、それを行うために、複数の害虫駆除装置120はゲートウェイ122と通じて、センサデータをネットワーク106に送信する。他の実施形態では、または他の害虫駆除群102では、1つ以上の駆除装置120がネットワーク106と直接通じていてもよいことを理解されたい。
【0096】
ゲートウェイ122は、害虫駆除装置120およびネットワーク106とワイヤレス通信できる任意のタイプの計算またはコンピュータ装置として取り入れられ得る。いくつかの実施形態において、レンジエクステンダーまたはリピーターを使用して、害虫駆除装置120およびゲートウェイ122間の通信の範囲を拡張してもよい。加えて、ゲートウェイ122は、害虫駆除装置120ならびに/またはリピーターおよびネットワーク106と通信するための双方向トランシーバーを取り込んでもよい。例示的な実施形態において、ゲートウェイ装置は、ネットワーク106との通信を可能にするためにデジタルセルラー式技術を取り込んでもよい。例示的なリピーターおよびゲートウェイ装置のシステムは、2009年9月8日に発行され、参照により本明細書に明確に援用される、米国特許第8026822号に図示および記載されている。
【0097】
ネットワーク106は、害虫駆除装置群120のゲートウェイ122と中央害虫データ管理サーバー104との間の通信を促進できる任意のタイプのネットワークとして取り入れられ得る。例示的な実施形態において、ネットワーク106は、セルラーネットワークまたはセルラーネットワークを使用したワイヤレス広域ネットワーク(WAN)として取り入れられ得る。いくつかの実施形態において、ネットワーク106は、ワイヤレスローカルエリアネットワーク(LAN)、広域ネットワーク(WAN)、および/またはインターネットなどの公的にアクセス可能なグローバルネットワークとして取り入れられ得るか、またはそうでなければこれらを含んでもよいことを理解されたい。そのようなものとして、ネットワーク106は、通信を促進するために、追加のコンピュータ、ルーター、およびスイッチなどのいくつもの追加の装置を含んでもよい。他の実施形態において、害虫駆除装置120の各々は、ネットワーク106を使用してサーバー104からデータを送受信するために別々のトランスミッタおよびリシーバーを備えてもよい。さらに他の実施形態において、ゲートウェイ122は、ケーブルを介してネットワーク106に配線されるように構成され得る。
【0098】
サーバー104は、通信ミドルウェア、アプリケーションソフトウェア140、およびデータベース142を含む。サーバー104は、害虫駆除装置120のオンサイトまたはオフサイトに位置してよいことを理解されたい。サーバー104は、これらに限定されないが、サーバー、コンピュータ、マルチプロセッサシステム、ラックマウント式サーバー、ブレードサーバー、ラップトップコンピュータ、ノートパソコン、タブレットコンピュータ、ウェアラブル計算装置、ネットワークアプライアンス、ウェブアプライアンス、分散コンピューティングシステム、プロセッサシステム、および/または家庭用電子機器を含めた、本明細書に記載の機能を実行できる任意のタイプの計算またはコンピュータ装置として取り入れられ得る。サーバー104は、単一計算装置または分散計算装置の一群として取り入れられ得ることを理解されたい。例示的な実施形態において、サーバー104は、ゲートウェイ122を介して受信した害虫駆除装置120の各々のセンサデータをデータベース142に集約させるためにさまざまなバーチャル/ロジカルコンポーネントを提供する。サーバー104は、すべての遠隔害虫駆除装置群102と通信し、得られたデータを評価し、アプリケーション・サービス・プロバイダ(ASP)モデルを使用して対応するアクションを取ることができることを理解されたい。とりわけ、サーバー104は、害虫駆除装置群102からセンサデータを集め、センサデータを集約および処理し、顧客または技術者に転送する必要がある情報を決定する。加えて、サーバー104は、データのアーカイプ、通知および報告プロセスを促進する。
【0099】
クライアント計算装置108は、これらに限定されないが、コンピュータ、マルチプロセッサシステム、ラップトップコンピュータ、ノートパソコン、タブレットコンピュータ、ウェアラブル計算装置、ネットワークアプライアンス、ウェブアプライアンス、分散コンピューティングシステム、プロセッサシステム、および/または家庭用電子機器を含めた、サーバー104と通信できる任意のタイプの計算装置またはコンピュータ装置として取り入れられ得る。例示的な実施形態において、クライアント計算装置108は、ネットワーク110を通してサーバー104に選択的にアクセスできる。クライアント計算装置108は、ブラウザーサブシステム、スプレッドシートインターフェース、eメールインターフェース、ショート・メッセージ・サービス(SMS)インターフェース、および他のインターフェースサブシステムを含んでもよい。
【0100】
ネットワーク110は、クライアント計算装置108と中央害虫データ管理サーバー104との間の通信を促進できる任意のタイプのネットワークとして取り入れられ得る。例示的な実施形態において、ネットワーク110は、ワイヤレスローカルエリアネットワーク(LAN)またはインターネットなどの公的にアクセス可能なグローバルネットワークとして取り入れられ得る。しかしながら、いくつかの実施形態において、ネットワーク110は、セルラーネットワークまたはワイヤレス広域ネットワーク(WAN)として取り入れられ得るか、またはそうでなければこれらを含んでもよいことを理解されたい。そのようなものとして、ネットワーク110は、通信を促進するために、追加のコンピュータ、ルーター、およびスイッチなどのいくつもの追加の装置を含んでもよい。
【0101】
ここで図2を参照して、害虫の存在を検出するための害虫駆除装置120をより詳細に示す。害虫駆除装置120は、外壁204と、内室208を封入するトップカバー206とによって画定される筐体202を備える。例示的な実施形態において、内室208は、センサ210、コントローラ212、電源214、およびワイヤレス通信回路216を収納する。いくつかの実施形態において、内室208は、ローカルインジケータ218を収納してもよい。
【0102】
センサ210は、害虫の分泌物に含まれる標的生化学分析物を検出するように構成される。例えば、例示的な実施形態において、センサ210は、ナンキンムシの分泌物に含まれる標的生化学分析物を検出するように構成される。センサ210は、センサ210の各側面上のコンジット222に連結され、入口224および出口226の外壁204を通って延びる。ナンキンムシの分泌物は入口224から入り、コンジット222を通ってセンサ210に流入する。いくつかの実施形態において、入口224からセンサ210を通って出口226に向かって空気を引き込むために、送風機220を出口226付近の内室208中に配置してもよいことを理解されたい。
【0103】
センサ210は、本明細書に記載の機能を実行できる任意のタイプの装置、回路、またはコンポーネントとして取り入れられ得る。例示的な実施形態において、センサ210は、水晶振動子微量天秤(QCM)などの共振子センサとして取り入れられる。図2に示すように、センサ210は、コンジット222が水晶共振子230へ延びて水晶共振子230を通して空気を分散させるように、センサセルまたは水晶共振子230を含む。いくつかの実施形態において、センサ210は、コンジット222が多重線に分割されて多重水晶共振子230となり、各水晶共振子230を通って空気を分散するように平行に配置された一連の多重センサセルまたは水晶共振子230を含んでもよいことを理解されたい。
【0104】
使用時に、電源214は、電力をセンサ210に供給して水晶共振子230を発振させ、水晶共振子230は、振動数を測定するように構成されている。水晶共振子230は、さらに、水晶共振子230の表面上の質量変化を示す水晶共振子230の振動数を含むセンサデータを作製するように構成されている。水晶共振子230の振動数は、一般的に、水晶共振子230の表面上で検出されるセンサ質量によって決まることを理解されたい。例えば、水晶共振子230の表面上に付着された質量が増加すれば、振動数は減少する。そのようなものとして、単位面積当たりの質量変化は、水晶共振子230から受信するセンサデータに基づいて決定され得る。これに応じて、害虫駆除装置120のコントローラ212は、振動数の変化に基づいてセンサ質量の変化をさらに決定することができる。いくつかの実施形態において、センサ210は、オープン型QCMなどの小規模QCMであってもよい。いくつかの実施形態において、センサ210は、標的生化学分析物の存在を検出できる任意のタイプの質量共振子であってもよいことを理解されたい。いくつかの実施形態において、センサ210は、カンチレバーセンサとして取り入れられ得る。他の実施形態において、センサ210は、カンチレバーセンサとして取り入れられ得る。
【0105】
図3に示すように、水晶共振子230は、水晶共振子230の表面上にセンサコーティング306がコーティングされる。例示的な実施形態において、水晶共振子230は、水晶振動子302および電極304を含む。センサコーティング306は、水晶振動子302の全表面または部分的表面上に付着され得ることを理解されたい。
【0106】
例示的な実施形態において、センサコーティング306は、ナンキンムシの分泌物に含まれる標的生化学分析物と反応する作用剤で作製されている。例示的な実施形態において、標的生化学分析物は、例えば、トランス-2-ヘキセナール(T2H)、トランス-2-オクテナール(T2O)、4-オキソ-(E)-2-ヘキセナール、および/または4-オキソ-(E)-2-オクテナールなどの不飽和アルデヒド化合物である。例示的な実施形態において、ジオクチル-環状チオール中間体(ジオクチル-CTI)を使用してセンサコーティング306を形成するが、その理由は、これがT2H、T2O、4-オキソ-(E)-2-ヘキセナール、および/または4-オキソ-(E)-2-オクテナールと選択的に反応するからである。例示的な実施形態において、ジオクチル-CTIは、次式
【0107】
【化7】
を有し、式中、RおよびRはそれぞれ、オクチルである。他の実施形態において、作用剤は、環状チオール中間体(CTI)または標的生化学分析物と反応する他のCTI官能基であってもよいことを理解されたい。T2H、T2O、4-オキソ-(E)-2-ヘキセナール、および/または4-オキソ-(E)-2-オクテナールと反応すると、ジオクチル-CTIは、ジオクチル-CTI単独より高い分子量を有する生成物を生成する。例示的な実施形態において、生成物は、次式
【0108】
【化8】
を有し、式中、RおよびRはそれぞれオクチルであり、Rはペンチルである。いくつかの実施形態において、ジオクチル-CTIをポリマーと混合してジオクチル-CTIの粘性を上げ、水晶共振子230上にジオクチル-CTIの均一なフィルムを作製し、水晶共振子230上のジオクチル-CTI化合物のディウェッティングを防止することができる。水晶共振子230の振動数は、水晶共振子230上にコーティングされる作用剤の質量によって部分的に決まることを理解されたい。
【0109】
いくつかの実施形態において、センサコーティング306の作用剤は、式Iの環状チオール
【0110】
【化9】
(式中、
Xは、SまたはOであり、
およびZは、それぞれ独立してOまたはSであり、
は、水素、C~C12アルキル、C~C12アルケニル、C~C10アリール、5~7員ヘテロアリール、-OR、-SR、-(OC~Cアルキレン)、-(SC~Cアルキレン)、-(OC~Cアルキレン)(SC~Cアルキレン)、-(SC~Cアルキレン)(OC~Cアルキレン)、C~Cアルキレン(OC~Cアルキレン)、C~Cアルキレン(SC~Cアルキレン)、C~Cアルキレン(OC~Cアルキレン)(SC~Cアルキレン)、およびC~Cアルキレン(SC~Cアルキレン)(OC~Cアルキレン)からなる群から選択され、
は、水素、C~C12アルキル、C~C12アルケニル、C~C10アリール、5~7員ヘテロアリール、-OR、-SR、-(OC~Cアルキレン)、-(SC~Cアルキレン)、-(OC~Cアルキレン)(SC~Cアルキレン)、-(SC~Cアルキレン)(OC~Cアルキレン)、C~Cアルキレン(OC~Cアルキレン)、C~Cアルキレン(SC~Cアルキレン)、C~Cアルキレン(OC~Cアルキレン)(SC~Cアルキレン)、およびC~Cアルキレン(SC~Cアルキレン)(OC~Cアルキレン)からなる群から選択され、
、R3’、RおよびR4’は、それぞれ独立して、水素、C~Cアルキル、C~Cアルケニル、およびC~C10アリールからなる群から選択され、
は、水素、C~Cアルキル、C~Cアルケニル、C~C10アリール、およびポリマーバルキング基からなる群から選択され、
aは0または1であり、
xおよびyは、それぞれ独立して1~10の整数である)
またはその互変異性体である。
【0111】
いくつかの実施形態において、XはSである。いくつかの実施形態において、ZはOである。いくつかの実施形態において、ZはOである。いくつかの実施形態において、ZおよびZはそれぞれOである。いくつかの実施形態において、XはSであり、ZおよびZはそれぞれOである。
【0112】
いくつかの実施形態において、RおよびRは同一である。いくつかの実施形態において、RおよびRは、それぞれ独立して、C~C10アルキルである。いくつかの実施形態において、RおよびRは、それぞれC~C10アルキルであり、同一である。いくつかの実施形態において、RおよびRは、それぞれ独立して、C~Cアルキルである。いくつかの実施形態において、RおよびRは、それぞれC~Cアルキルであり、同一である。いくつかの実施形態において、RおよびRは、それぞれオクチルである。
【0113】
いくつかの実施形態において、RおよびRのうちの少なくとも1つは、ポリマーバルキング基と連結されている。いくつかの実施形態において、RおよびRのうちの少なくとも1つは水素である。
【0114】
いくつかの実施形態において、ポリマーバルキング基は、シリコーン、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアラミド、ポリウレタン、ポリスチレン、エポキシ、ゴム、デンプン、タンパク質、セルロース、アクリレート、ABSポリマー、PEEKポリマー、ポリオール、ポリエーテル、ポリエーテルポリオール、および前述の2つ以上のコポリマーからなる群から選択される。いくつかの実施形態において、ポリマーバルキング基はシリコーンである。いくつかの実施形態において、ポリマーバルキング基はシルセスキオキサンである。いくつかの実施形態において、ポリマーバルキング基は架橋されている。
【0115】
本明細書では、「ポリマーバルキング基」は、いくつかの実施形態ではシルセスキオキサンである、オリゴマーおよびポリマーを指す。シルセスキオキサン化合物の例は、参照により本明細書に明確に援用されるCordes D., et al., Chem. Rev. 2010, 11, 2081-2173に記載されている。
【0116】
いくつかの実施形態において、Rは-(OC~Cアルキル)またはC~Cアルキル(OC~Cアルキル)である。いくつかの実施形態において、Rは、-(OC~Cアルキル)(SC~Cアルキル)またはC~Cアルキル(OC~Cアルキル)(SC~Cアルキル)を含む。いくつかの実施形態において、Rは、式-CHO(CHS(CHを有する。
【0117】
いくつかの実施形態において、環状チオールは、約200Da~約5000Daの重量を有する。いくつかの実施形態において、環状チオールは、約350Da~約5000Daの重量を有する。いくつかの実施形態において、環状チオールは、約1000Da~約5000Daの重量を有する。
【0118】
いくつかの実施形態において、aは1である。
【0119】
いくつかの実施形態において、R、R3’、RおよびR4’は、それぞれ水素である。
【0120】
いくつかの実施形態において、環状チオールは、次式
【0121】
【化10】
を有し、式中、RおよびRは、それぞれ独立して、ヘキシルまたはオクチルである。
【0122】
いくつかの実施形態において、チオール基は、約1~約4のpKaを有する。いくつかの実施形態において、チオール基は、約2.5のpKaを有する。
【0123】
いくつかの実施形態において、環状チオールは、金属チオールキレート剤を含まない組成物の一部である。いくつかの実施形態において、組成物は、約2~約8のpHを有する。いくつかの実施形態において、組成物は、約2~約9のpHを有する。いくつかの実施形態において、組成物は、約7のpHを有する。
【0124】
いくつかの実施形態において、センサコーティング306の作用剤が標的生化学分析物と反応すると、環状付加物が形成される。いくつかの実施形態において、環状付加物は、式IIで表されるもの
【0125】
【化11】
(式中、
Xは、SまたはOであり、
およびZは、それぞれ独立してOまたはSであり、
は、水素、C~C12アルキル、C~C12アルケニル、C~C10アリール、5~7員ヘテロアリール、-OR、-SR、-(OC~Cアルキレン)、-(SC~Cアルキレン)、-(OC~Cアルキレン)(SC~Cアルキレン)、-(SC~Cアルキレン)(OC~Cアルキレン)、C~Cアルキレン(OC~Cアルキレン)、C~Cアルキレン(SC~Cアルキレン)、C~Cアルキレン(OC~Cアルキレン)(SC~Cアルキレン)、およびC~Cアルキレン(SC~Cアルキレン)(OC~Cアルキレン)からなる群から選択され、
は、水素、C~C12アルキル、C~C12アルケニル、C~C10アリール、5~7員ヘテロアリール、-OR、-SR、-(OC~Cアルキレン)、-(SC~Cアルキレン)、-(OC~Cアルキレン)(SC~Cアルキレン)、-(SC~Cアルキレン)(OC~Cアルキレン)、C~Cアルキレン(OC~Cアルキレン)、C~Cアルキレン(SC~Cアルキレン)、C~Cアルキレン(OC~Cアルキレン)(SC~Cアルキレン)、およびC~Cアルキレン(SC~Cアルキレン)(OC~Cアルキレン)からなる群から選択され、
、R3’、RおよびR4’は、それぞれ独立して、水素、C~Cアルキル、C~Cアルケニル、およびC~C10アリールからなる群から選択され、
は、水素、C~Cアルキル、C~Cアルケニル、C~C10アリール、およびポリマーバルキング基からなる群から選択され、
は、C~C12アルキルまたはオキソ置換C~C12アルキルであり、
aは0または1であり、
xおよびyは、それぞれ独立して1~10の整数である)
またはその互変異性体である。
【0126】
いくつかの実施形態において、Rはプロピルまたはペンチルである。いくつかの実施形態において、Rはペンチルである。いくつかの実施形態において、Rは、1-オキソプロピルまたは1-オキソペンチルである。
【0127】
いくつかの実施形態において、XはSである。いくつかの実施形態において、ZはOである。いくつかの実施形態において、ZはOである。いくつかの実施形態において、ZおよびZはそれぞれOである。いくつかの実施形態において、XはSであり、ZおよびZはそれぞれOである。
【0128】
いくつかの実施形態において、RおよびRは同一である。いくつかの実施形態において、RおよびRは、それぞれ独立して、C~C10アルキルである。いくつかの実施形態において、RおよびRは、それぞれC~C10アルキルであり、同一である。いくつかの実施形態において、RおよびRは、それぞれC~Cアルキルであり、同一である。いくつかの実施形態において、RおよびRは、それぞれオクチルである。
【0129】
いくつかの実施形態において、RおよびRのうちの少なくとも1つは、ポリマーバルキング基と連結されている。いくつかの実施形態において、RおよびRのうちの少なくとも1つは水素である。
【0130】
いくつかの実施形態において、ポリマーバルキング基は、シリコーン、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアラミド、ポリウレタン、ポリスチレン、エポキシ、ゴム、デンプン、タンパク質、セルロース、アクリレート、ABSポリマー、PEEKポリマー、ポリオール、ポリエーテル、ポリエーテルポリオール、および前述の2つ以上のコポリマーからなる群から選択される。いくつかの実施形態において、ポリマーバルキング基はシリコーンである。いくつかの実施形態において、ポリマーバルキング基はシルセスキオキサンである。いくつかの実施形態において、ポリマーバルキング基は架橋されている。
【0131】
いくつかの実施形態において、Rは-(OC~Cアルキル)またはC~Cアルキル(OC~Cアルキル)である。いくつかの実施形態において、Rは、-(OC~Cアルキル)(SC~Cアルキル)またはC~Cアルキル(OC~Cアルキル)(SC~Cアルキル)を含む。いくつかの実施形態において、Rは、式-CHO(CHS(CHを有する。
【0132】
いくつかの実施形態において、環状付加物は、約200Da~約5000Daの重量を有する。いくつかの実施形態において、環状付加物は、約350Da~約5000Daの重量を有する。いくつかの実施形態において、環状付加物は、約1000Da~約5000Daの重量を有する。
【0133】
いくつかの実施形態において、aは1である。
【0134】
いくつかの実施形態において、R、R3’、RおよびR4’は、それぞれ水素である。
【0135】
いくつかの実施形態において、環状付加物は、次式
【0136】
【化12】
を有し、式中、RおよびRは、それぞれ独立して、ヘキシルまたはオクチルである。いくつかの実施形態において、Rはプロピルまたはペンチルである。いくつかの実施形態において、Rはペンチルである。いくつかの実施形態において、Rは、1-オキソプロピルまたは1-オキソペンチルである。
【0137】
いくつかの実施形態において、チオール基は、約1~約4のpKaを有する。いくつかの実施形態において、チオール基は、約2.5のpKaを有する。
【0138】
いくつかの実施形態において、環状付加物は、金属チオールキレート剤を含まない組成物の一部である。いくつかの実施形態において、組成物は、約2~約8のpHを有する。いくつかの実施形態において、組成物は、約2~約9のpHを有する。いくつかの実施形態において、組成物は、約7のpHを有する。
【0139】
いくつかの実施形態において、センサコーティング306の作用剤は、式IIIのチオール
【0140】
【化13】
(式中、
Xは、SまたはOであり、
およびZは、それぞれ独立してOまたはSであり、
は、水素、C~C12アルキル、C~C12アルケニル、C~C10アリール、5~7員ヘテロアリール、-OR、-SR、-(OC~Cアルキレン)、-(SC~Cアルキレン)、-(OC~Cアルキレン)(SC~Cアルキレン)、-(SC~Cアルキレン)(OC~Cアルキレン)、C~Cアルキレン(OC~Cアルキレン)、C~Cアルキレン(SC~Cアルキレン)、C~Cアルキレン(OC~Cアルキレン)(SC~Cアルキレン)、およびC~Cアルキレン(SC~Cアルキレン)(OC~Cアルキレン)からなる群から選択され、
は、C~C12アルキル、C~C12アルケニル、C~C10アリール、5~7員ヘテロアリール、-OR、-SR、-(OC~Cアルキレン)、-(SC~Cアルキレン)、-(OC~Cアルキレン)(SC~Cアルキレン)、-(SC~Cアルキレン)(OC~Cアルキレン)、C~Cアルキレン(OC~Cアルキレン)、C~Cアルキレン(SC~Cアルキレン)、C~Cアルキレン(OC~Cアルキレン)(SC~Cアルキレン)、およびC~Cアルキレン(SC~Cアルキレン)(OC~Cアルキレン)からなる群から選択され、
は、水素、C~Cアルキル、C~Cアルケニル、C~C10アリール、およびポリマーバルキング基からなる群から選択され、
aは0または1であり、
xおよびyは、それぞれ独立して1~10の整数である)
またはその互変異性体である。
【0141】
いくつかの実施形態において、XはSである。いくつかの実施形態において、ZはOである。いくつかの実施形態において、ZはOである。いくつかの実施形態において、ZおよびZはそれぞれOである。いくつかの実施形態において、XはSであり、ZおよびZはそれぞれOである。
【0142】
いくつかの実施形態において、RおよびRは同一である。いくつかの実施形態において、RおよびRは、それぞれ独立して、C~C10アルキルである。いくつかの実施形態において、RおよびRは、それぞれC~C10アルキルであり、同一である。いくつかの実施形態において、RおよびRは、それぞれ独立して、C~Cアルキルである。いくつかの実施形態において、RおよびRは、それぞれC~Cアルキルであり、同一である。いくつかの実施形態において、RおよびRは、それぞれオクチルである。
【0143】
いくつかの実施形態において、RおよびRのうちの少なくとも1つは、ポリマーバルキング基と連結されている。いくつかの実施形態において、RおよびRのうちの少なくとも1つは水素である。
【0144】
いくつかの実施形態において、ポリマーバルキング基は、シリコーン、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアラミド、ポリウレタン、ポリスチレン、エポキシ、ゴム、デンプン、タンパク質、セルロース、アクリレート、ABSポリマー、PEEKポリマー、ポリオール、ポリエーテル、ポリエーテルポリオール、および前述の2つ以上のコポリマーからなる群から選択される。いくつかの実施形態において、ポリマーバルキング基はシリコーンである。いくつかの実施形態において、ポリマーバルキング基はシルセスキオキサンである。いくつかの実施形態において、ポリマーバルキング基は架橋されている。
【0145】
いくつかの実施形態において、Rは-(OC~Cアルキル)またはC~Cアルキル(OC~Cアルキル)である。いくつかの実施形態において、Rは、-(OC~Cアルキル)(SC~Cアルキル)またはC~Cアルキル(OC~Cアルキル)(SC~Cアルキル)を含む。いくつかの実施形態において、Rは、式-CHO(CHS(CHを有する。
【0146】
いくつかの実施形態において、チオールは、約200Da~約5000Daの重量を有する。いくつかの実施形態において、チオールは、約350Da~約5000Daの重量を有する。いくつかの実施形態において、チオールは、約1000Da~約5000Daの重量を有する。
【0147】
いくつかの実施形態において、aは1である。
【0148】
いくつかの実施形態において、チオール基は、約1~約4のpKaを有する。いくつかの実施形態において、チオール基は、約2.5のpKaを有する。
【0149】
いくつかの実施形態において、チオールは、金属チオールキレート剤を含まない組成物の一部である。いくつかの実施形態において、組成物は、約2~約8のpHを有する。いくつかの実施形態において、組成物は、約2~約9のpHを有する。いくつかの実施形態において、組成物は、約7のpHを有する。
【0150】
いくつかの実施形態において、センサコーティング306の作用剤が標的生化学分析物と反応すると、付加物が形成される。いくつかの実施形態において、付加物は、式IIで表されるもの
【0151】
【化14】
(式中、
Xは、SまたはOであり、
およびZは、それぞれ独立してOまたはSであり、
は、水素、C~C12アルキル、C~C12アルケニル、C~C10アリール、5~7員ヘテロアリール、-OR、-SR、-(OC~Cアルキレン)、-(SC~Cアルキレン)、-(OC~Cアルキレン)(SC~Cアルキレン)、-(SC~Cアルキレン)(OC~Cアルキレン)、C~Cアルキレン(OC~Cアルキレン)、C~Cアルキレン(SC~Cアルキレン)、C~Cアルキレン(OC~Cアルキレン)(SC~Cアルキレン)、およびC~Cアルキレン(SC~Cアルキレン)(OC~Cアルキレン)からなる群から選択され、
は、水素、C~C12アルキル、C~C12アルケニル、C~C10アリール、5~7員ヘテロアリール、-OR、-SR、-(OC~Cアルキレン)、-(SC~Cアルキレン)、-(OC~Cアルキレン)(SC~Cアルキレン)、-(SC~Cアルキレン)(OC~Cアルキレン)、C~Cアルキレン(OC~Cアルキレン)、C~Cアルキレン(SC~Cアルキレン)、C~Cアルキレン(OC~Cアルキレン)(SC~Cアルキレン)、およびC~Cアルキレン(SC~Cアルキレン)(OC~Cアルキレン)からなる群から選択され、
は、水素、C~Cアルキル、C~Cアルケニル、C~C10アリール、およびポリマーバルキング基からなる群から選択され、
は、C~C12アルキルまたはオキソ置換C~C12アルキルであり、
aは0または1であり、
xおよびyは、それぞれ独立して1~10の整数である)
またはその互変異性体である。
【0152】
いくつかの実施形態において、Rはプロピルまたはペンチルである。いくつかの実施形態において、Rはペンチルである。いくつかの実施形態において、Rは、1-オキソプロピルまたは1-オキソペンチルである。
【0153】
いくつかの実施形態において、XはSである。いくつかの実施形態において、ZはOである。いくつかの実施形態において、ZはOである。いくつかの実施形態において、ZおよびZはそれぞれOである。いくつかの実施形態において、XはSであり、ZおよびZはそれぞれOである。
【0154】
いくつかの実施形態において、RおよびRは同一である。いくつかの実施形態において、RおよびRは、それぞれ独立して、C~C10アルキルである。いくつかの実施形態において、RおよびRは、それぞれC~C10アルキルであり、同一である。いくつかの実施形態において、RおよびRは、それぞれ独立して、C~Cアルキルである。いくつかの実施形態において、RおよびRは、それぞれC~Cアルキルであり、同一である。いくつかの実施形態において、RおよびRは、それぞれオクチルである。
【0155】
いくつかの実施形態において、RおよびRのうちの少なくとも1つは、ポリマーバルキング基と連結されている。いくつかの実施形態において、RおよびRのうちの少なくとも1つは水素である。
【0156】
いくつかの実施形態において、ポリマーバルキング基は、シリコーン、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアラミド、ポリウレタン、ポリスチレン、エポキシ、ゴム、デンプン、タンパク質、セルロース、アクリレート、ABSポリマー、PEEKポリマー、ポリオール、ポリエーテル、ポリエーテルポリオール、および前述の2つ以上のコポリマーからなる群から選択される。いくつかの実施形態において、ポリマーバルキング基はシリコーンである。いくつかの実施形態において、ポリマーバルキング基はシルセスキオキサンである。いくつかの実施形態において、ポリマーバルキング基は架橋されている。
【0157】
いくつかの実施形態において、Rは-(OC~Cアルキル)またはC~Cアルキル(OC~Cアルキル)である。いくつかの実施形態において、Rは、-(OC~Cアルキル)(SC~Cアルキル)またはC~Cアルキル(OC~Cアルキル)(SC~Cアルキル)を含む。いくつかの実施形態において、Rは、式-CHO(CHS(CHを有する。
【0158】
いくつかの実施形態において、付加物は、約200Da~約5000Daの重量を有する。いくつかの実施形態において、付加物は、約350Da~約5000Daの重量を有する。いくつかの実施形態において、付加物は、約1000Da~約5000Daの重量を有する。
【0159】
いくつかの実施形態において、aは1である。
【0160】
上述するとおり、センサコーティング306の作用剤は、標的生化学分析物と反応して、高分子量を有する生成物を生成するように構成されている。使用時に、水晶共振子230の表面上で検出されるセンサ質量の初期増加は、センサデータに基づいて決定される。上で考察されるように、例示的な実施形態において、センサデータは水晶共振子230の振動数を含み、周波数の変化は、一般的にセンサ質量の変化に比例する。これに応じて、センサ質量の初期増加は、以下に詳述するように、水晶共振子230の振動数の変化を測定することによって決定される。
【0161】
いくつかの実施形態において、センサ質量の初期増加は、絶対質量変化に基づいて決定することもできる。それを行うために、反応前の水晶共振子230上の現在の表面質量および初期表面質量を比較して、センサ質量の初期増加を測定してもよい。センサ質量の後続する増加の検出は、水晶共振子230上の現在の表面質量と後続する表面質量とを比較することによって決定されることを理解されたい。
【0162】
質量変化は、一般的に、水晶共振子230上で検出される標的生化学分析物の濃度と相関する。しかしながら、標的生化学分析物と反応するために利用可能な作用剤の量は反応速度に影響を与え得、それによって水晶共振子230の表面上で検出される質量変化および/または質量変化率が影響を受けることを理解されたい。そのような反応に関連する質量の増加は、図6および8で詳述される、害虫駆除装置120のコントローラ212によって検出される。
【0163】
いくつかの実施形態において、質量変化率は、センサ210の検出応答時間に影響され得る。ナンキンムシの存在を示す測定可能な変化に達するシグナルまたはセンサデータを作製するために、センサ210を囲む空気中の標的生化学分析物の蓄積が必要とされる場合、検出応答時間は増加し得る。言い換えれば、低濃度の標的生化学分析物では、標的生化学分析物が所定の量まで蓄積されるまで、反応によってもたらされる水晶共振子230の質量変化は十分でないことがある。いくつかの実施形態において、センサ210が低濃度の標的生化学分析物を即座に検出できるように、予濃縮器を使用して最小の所定の量の標的生化学分析物に達するようにしてもよい。
【0164】
センサコーティング306の作用剤の量は、作用剤が標的生化学分析物と反応すると減少することに留意されたい。いくつかの実施形態において、反応は、加熱によって生成物から作用剤へ可逆性であることを理解されたい。そのような実施形態において、害虫駆除装置120は、加熱素子(図示せず)をさらに含む。センサコーティング306の作用剤の量が閾値レベルに達したら、害虫駆除装置120は水晶共振子230に熱を加えて反応を逆行させて、センサコーティング306の作用剤を回収する。いくつかの実施形態において、害虫駆除装置120は、センサ210が、センサコーティング306の作用剤を補充するか、または水晶共振子230もしくはセンサ210を置き換えるためにメンテナンスを必要とすることを示すローカルまたは遠隔警告を発することができる。
【0165】
図2に戻って参照して、コントローラ212は、本明細書に記載の機能を実行できる任意のタイプのコントローラ、回路、またはコンポーネントとして取り入れられ得る。コントローラ212は、センサ210によって作製されたセンサデータを解析することによってナンキンムシの存在を決定するように構成されている。詳細には、例示的な実施形態において、センサ210の水晶共振子230は、センサデータを生み出す。センサデータは、特に、水晶共振子230の表面上の質量変化を含む。水晶共振子230の質量変化が、水晶共振子230のセンサコーティング306の作用剤が、異なる分子量を有する生成物に変換されることを示し、質量変化率が、一般的に、作用剤を生成物に変換させるための反応の速度に比例することを理解されたい。
【0166】
上で考察されるように、例示的な実施形態において、作用剤(例えば、ジオクチル-CTI)と、T2H、T2O、4-オキソ-(E)-2-ヘキセナール、および/または4-オキソ-(E)-2-オクテナールなどの標的生化学分析物との間の反応から得られる生成物は、ジオクチル-CTIの分子量と比べて高い分子量を有する。これに応じて、コントローラ212は、質量の増加が所定の閾値率を超えているかを決定する。所定の閾値率は、ナンキンムシの存在下の基準質量変化率である。例えば、いくつかの実施形態において、基準質量変化は、ナンキンムシの存在下の最低質量変化率とすることができる。他の実施形態において、基準質量変化は、最低質量変化率に、偽陽性または不要な検出を回避するためのいくつかの追加の安全因子をプラスしたものでよい。例えば、いくつかの場合において、センサ210を囲む空気中の温度および湿度などの環境因子は、検出される質量変化率の精度に影響を与え得、センサドリフトをもたらし得る。いくつかの追加の安全因子を含めることで、不確定の環境影響を相殺して、センサドリフトによる不要な検出を減少させることができる。
【0167】
上で考察されるように、水晶共振子230の表面上で検出されるセンサ質量の初期増加は、水晶共振子230の振動数における変化を測定することによって決定される。いくつかの実施形態において、上で考察されるように、センサ質量の初期増加は、水晶共振子230上の現在の質量と水晶共振子230上の初期質量とを反応前に比較することによって絶対質量変化に基づいて決定してもよい。後続する質量増加の検出は、水晶共振子230の現在の質量と水晶共振子230の後続する質量とを比較することによって決定されることを理解されたい。いくつかの実施形態において、センサデータが、サーバー104で処理され得ることに理解されたい。
【0168】
いくつかの実施形態において、センサ210は、水晶共振子230を加熱した際のセンサ質量の減少を検出することによって、ナンキンムシの存在を検出することができる。これを行うために、センサ210は、水晶共振子230への加熱の前後に水晶共振子230の表面上で検出される質量を決定して、質量の変化が、所定の閾値を超えているかを決定することができる。上で考察されるように、水晶共振子230に熱を加えると、作用剤と標的生化学分析物との間の反応から得られる生成物は、標的生化学分析物を放出し、センサ質量を減少させ、ナンキンムシの存在が検出される。
【0169】
いくつかの実施形態において、センサ210は、質量増加および質量損失の両方を決定して、偽陽性または不要な検出を排除することができる。例えば、幾つかの場合において、センサ210を囲む空気中の埃または他の粒子などの環境因子は、センサコーティング306の作用剤と相互作用し、水晶共振子230の表面上で検出されるセンサ質量を増加させ得る。そのような実施形態において、センサ210は、加熱前のセンサ質量における増加が第1の所定の閾値を超え、一方で加熱後のセンサ質量における減少が第2の所定の閾値を超えない場合、偽陽性または不要な検出を特定することができる。
【0170】
電源214は、コントローラ212、必要に応じて、センサ210、ワイヤレス通信回路216、ローカルインジケータ218、または送風機220などの害虫駆除装置120のコンポーネントへ電力を供給できる任意のタイプの装置、回路、またはコンポーネントとして取り入れられ得る。いくつかの実施形態において、電源214は、電気化学的電池またはバッテリーであってもよい。
【0171】
ワイヤレス通信回路216は、害虫駆除装置104およびゲートウェイ122間の通信を可能にする任意のタイプの装置、回路、またはコンポーネントとして取り入れられ得る。各害虫駆除装置120は、ネットワーク106を使用してセンサデータをサーバー104に送信するために、ゲートウェイ122と定期的にまたは常時通信されるように構成されている。例えば、センサデータは、特に、ナンキンムシの検出などの通知および/またはセンサがメンテナンスを必要とする指示を含んでもよい。これを行うために、ワイヤレス通信回路216は、任意の1つ以上の通信技術(例えば、無線または有線の通信)および関連プロトコル(例えば、イーサネット、Bluetooth(登録商標)、Wi-Fi(登録商標)、WiMAX、LTE、5Gなど)を使用して、そのような通信を行うように構成され得る。
【0172】
ローカルインジケータ218は、人間のオペレーターまたは技術者に通知する警告を作製できる任意のタイプのインジケータとして取り入れられ得る。例えば、ローカルインジケータ218は、可視および/または可聴インジケータとして取り入れられ得る。いくつかの実施形態において、可視インジケータ218は、発光ダイオード(LED)、蛍光、白熱、および/またはネオン型光源を含んでもよい。可聴インジケータは、技術者に通知する警告音を発生させることができる。例示的な実施形態において、ローカルインジケータ218は、ナンキンムシの存在の有無を示す警告を発生する。例えば、いくつかの実施形態において、LED光インジケータ218は、励起して、着色光を投影するか、変色するか、または非点滅光から点滅光へ変化して、ナンキンムシの存在を示し得る。他の実施形態において、可聴ローカルインジケータ218は、音を発生させて、ナンキンムシの存在を示すことができる。
【0173】
いくつかの実施形態において、ローカルインジケータ218は、センサ230がメンテナンスを必要とするかを示すシグナルを出力することもできる。例えば、ローカル警告は、センサ230の故障を示し得る。いくつかの実施形態において、ローカル警告は、センサ210の作用剤の枯渇を示し得る。そのような実施形態においてLED光インジケータ218は、励起して、着色光を投影するか、変色するか、または非点滅光から点滅光へ変化して、ナンキンムシの存在を示し得る。センサのメンテナンスを示すLED光インジケータ218の色は、ナンキンムシの検出を示すLED光インジケータ218の色と異なり得ることを理解されたい。いくつかの実施形態において、可視インジケータは、ナンキンムシの存在を示すために使用され得、可聴インジケータは、センサ210がメンテナンスを必要とすること、またはその逆を示すために使用され得る。
【0174】
いくつかの実施形態において、害虫駆除装置120は、人間のオペレーターまたは技術者にグリップを与えるための筐体部材202上のハンドル(図示せず)をさらに備えてもよいことを理解されたい。技術者は、害虫駆除装置120のハンドルを握り、手動で害虫駆除装置120を動かして、ナンキンムシの存在を示す標的生化学分析物の局所領域を特定することができる。
【0175】
ここで図4を参照して、ゲートウェイ122は、メモリ404を有するコントローラ402、アンテナ408を有するワイヤレスネットワークインターフェース406、およびアンテナ414を有するモデム410を含む。コントローラ402は、これらに限定されないが、コンピュータ、マルチプロセッサシステム、ラップトップコンピュータ、ノートパソコン、タブレットコンピュータ、ウェアラブル計算装置、ネットワークアプライアンス、ウェブアプライアンス、分散コンピューティングシステム、プロセッサシステム、および/または家庭用電子機器を含めた、本明細書に記載の機能を実行できる任意のタイプのコントローラ、回路、またはコンポーネントとして取り入れられ得る。いくつかの実施形態において、コントローラ402は、Cygnal Technologies社によって提供されるモデル番号C805F120などのマイクロコントローラタイプであってもよい。
【0176】
メモリ404は、本明細書に記載の機能を実行できる任意のタイプの揮発性もしくは不揮発性メモリまたはデータストレージとして取り入れられ得る。運転中、メモリ404は、プログラム、ライブラリ、およびドライバーなどのゲートウェイ122の運転中に使用されるさまざまなデータおよびソフトウェアを記憶することができる。いくつかの実施形態において、メモリ404は、ネットワーク106によってセンサデータをサーバー104に送信する前に、害虫駆除装置120から受信したセンサデータを一時的に記憶および集約することができる。
【0177】
例示的な実施形態において、アンテナ414を有するモデム410は、セルラーネットワークまたはワイヤレスWANネットワーク106とインターフェースをとって、ネットワーク106と通信するように構成されている。いくつかの実施形態において、モデム410は、グローバル・システム・フォー・モバイル・コミュニケーションズ(GSM)プロトコルを通じて汎用パケット無線システム(GPRS)を利用してもよい。いくつかの実施形態において、モデム408は、配線ダイヤルアップ接続および/または同軸ケーブルタイプであってもよい。
【0178】
例示的な実施形態において、アンテナ408を有するワイヤレスネットワークインターフェース406は、対応する害虫駆除装置群102によって画定されるワイヤレス通信ネットワークとインターフェースをとって、害虫駆除装置120と通信するように構成されている。いくつかの実施形態において、ワイヤレス通信ネットワークは、ローカルエリアネットワーク(LAN)タイプであってもよい。
【0179】
ここで図5を参照して、使用中、害虫駆除システム100は、ナンキンムシの存在を検出するためのルーチン500を実行することができる。ルーチン500は、害虫駆除システム100の通信コンポーネントが初期化されて各害虫駆除装置120からサーバー104またはクライアント計算装置108への新規の通信経路が形成されるブロック502で開始する。例えば、ゲートウェイ122のワイヤレスネットワークインターフェース406およびモデム410は、初期化されて、ネットワークへのリンクが構築される。
【0180】
ブロック504では、各害虫駆除装置120は、害虫駆除装置120のセンサ210によって作製されたデータを獲得し、解析する。上述するように、例示的な実施形態において、センサ210は、センサデータを出力するように構成されている水晶共振子230を含み、水晶共振子230の表面は、作用剤を含むセンサコーティング306を有する。上で考察されるように、センサコーティング306の作用剤は、害虫によって分泌される標的生化学分析物と選択的に反応する。反応中、作用剤は、作用剤の分子量とは異なる分子量を有する生成物に変換される。上で考察されるように、水晶共振子230は、水晶共振子230の表面上の質量変化を示す振動数を含むセンサデータを出力する。上で考察されるように、周波数の変化は、一般的に、水晶共振子230の表面上に付着されたセンサ質量の変化に比例する。これに応じて、害虫駆除装置120のコントローラ212は、水晶共振子230のセンサデータを解析し、質量変化のレベルに基づいて害虫の存在を決定し、これを図6および7に詳述する。
【0181】
いくつかの実施形態において、センサデータは、センサ210のステータスを含んでもよい。例えば、センサ210のステータスは、センサコーティング306の残りの作用剤の量を含んでもよい。上で考察されるように、水晶共振子230の振動数は、水晶共振子230上にコーティングされる作用剤の質量によって部分的に決まる。そのようなものとして、水晶共振子230上にコーティングされる残りの作用剤は、水晶共振子230の振動数に基づいて推測され得る。他の実施形態において、各害虫駆除装置120は、生成物に変換された作用剤の量を決定することができ、それによってセンサコーティング306中の残りの作用剤の量が決定される。十分な量のセンサコーティング306の作用剤を有することが、害虫の存在を正確に検出するために必要であることを理解されたい。
【0182】
ブロック506では、害虫駆除装置120のセンサデータは、害虫データ管理サーバー104に送信される。これを行うために、害虫駆除装置120はセンサデータをゲートウェイ122に送信する。ゲートウェイ122は、後続して、ネットワーク106を介してセンサデータをサーバー104に送信する。
【0183】
ブロック508では、サーバー104は、センサデータを出力する。いくつかの実施形態において、サーバー104は、アプリケーション140を使用して対応するアクションを実行することができる。例えば、アプリケーション140は、データベース142中に設定された条件に基づいてクライアント計算装置108に警告を発送することができる通知および警報サービスを含む。
【0184】
ここで図6および7を参照して、使用中、害虫駆除装置120のコントローラ212は、センサ質量の変化率を決定することによってナンキンムシの存在を検出するルーチン600と、警告通知を発行するかを決定するルーチン700と、を実施することができる。ルーチン600は、コントローラ212が、害虫駆除装置120のセンサ210がアクティブであるかを決定する、ブロック602で開始する。コントローラ212が、センサ210がアクティブでないと決定した場合、ルーチン600は、折り返してブロック602に戻り、アクティブなセンサ210の監視を継続する。しかしながら、コントローラ212が、センサ210がアクティブであると決定した場合、ルーチン600は、ブロック604まで進む。
【0185】
ブロック604では、コントローラ212は、センサ210からセンサデータを受信する。例示的な実施形態において、センサまたは水晶振動子微量天秤210は、水晶振動子微量天秤210の水晶共振子230の表面上の質量変化を示すセンサデータを作製する。上で考察されるように、センサデータは、一般的にセンサ質量の変化に比例する、水晶共振子230の振動数を含む。受信したセンサデータに基づいて、ブロック606において、コントローラ212は、センサ質量の変化率(すなわち、水晶共振子230の表面上の質量変化率)を決定する。
【0186】
ブロック608において、コントローラ212は、決定されたセンサ質量の変化率が所定の閾値率を超えているかを決定する。所定の閾値率は、ナンキンムシの存在下での基準質量変化率であり、ナンキンムシの偽陽性検出を減少させるために使用されることを理解されたい。上で考察されるように、基準質量変化率は、ナンキンムシの存在下の最低質量変化率である。いくつかの実施形態において、基準質量変化は、最低質量変化率に、偽陽性または不要な検出を回避するためのいくつかの追加の安全因子をプラスしたものでよい。
【0187】
コントローラ212が、変化率が所定の閾値率を超えないと決定した場合、コントローラ212は、ナンキンムシが検出されないと決定し、ルーチン600は、以下に詳述する図7に示すルーチン700のブロック710に飛ぶ。しかしながら、コントローラ212が、変化率が所定の閾値率を超えると決定した場合、ルーチン600は、ブロック610まで進む。ブロック610において、コントローラ212は、センサ質量の変化率が所定の閾値率を超えるとき、アクティブ化するか、またはタイマーを開始する。いくつかの実施形態において、コントローラ212は、センサ質量の変化率が所定の閾値率を超えた開始時間を記録することができることを理解されたい。言い換えれば、開始時間は、害虫駆除装置108がナンキンムシの存在を検出した時間である。
【0188】
ナンキンムシの偽陽性検出をさらに減少するために、コントローラ212は、質量変化率が所定の閾値率を超えていた時間の長さを決定する。これを行うために、コントローラ212は、ブロック612においてセンサ210から後続するセンサデータを受信する。後続のセンサデータに基づいて、コントローラ212は、ブロック614においてセンサ質量の変化率を決定する。
【0189】
ブロック616において、コントローラ212は、後続のセンサデータに基づいて変化率が所定の閾値率を依然として超えているかを決定する。コントローラ212が、変化率が所定の閾値率を超えると決定した場合、ルーチン600は、折り返してブロック612に戻り、後続のセンサデータを受信し続ける。しかしながら、コントローラ212が、変化率が所定の閾値率を超えないと決定した場合、ルーチン600は、ブロック618まで進む。
【0190】
ブロック618において、コントローラ212は、タイマーを停止する。いくつかの実施形態において、コントローラ212は、変化率が所定の閾値率を超えた終了時間を記録することを理解されたい。言い換えれば、終了時間は、害虫駆除装置108がナンキンムシの存在を検出しなくなる時間である。ルーチン600は、後続して、図7に示すルーチン700のブロック702に進み、警告通知を発行するかを決定する。
【0191】
図7に示すブロック702において、コントローラ212は、タイマーによって測定される時間間隔を決定する。決定された時間間隔は、ナンキンムシが検出されていた期間を示すことを理解されたい。
【0192】
ブロック704において、コントローラ212は、時間間隔が所定の期間より長いかを決定する。上で考察されるように、所定の期間は、偽陽性検出を減少させるために使用される。時間間隔が所定の期間より短い場合、コントローラ212は、そのような検出が偽陽性である可能性があると決定し、ルーチン700は、コントローラ212が時間間隔を記録するブロック708に飛ぶ。偽陽性は、例えば、予期せぬ環境因子、予期せぬ装置の故障、および/または人的エラーに起因し得る。
【0193】
しかしながら、コントローラ212が、時間間隔が所定の期間を超えると決定した場合、ルーチン700は、ブロック706まで進む。ブロック706において、コントローラ212は、ナンキンムシ検出警告通知を発行する。いくつかの実施形態において、コントローラ212は、ローカルインジケータ218を介して、ローカルナンキンムシ検出警告通知を発行してもよい。いくつかの実施形態において、コントローラ212は、サーバー104にナンキンムシ検出警告通知を発行してもよい。ブロック708において、コントローラ212は時間間隔を記録する。
【0194】
ナンキンムシの存在の検出に後続して、コントローラ212は、センサ210の水晶共振子230上のセンサコーティング306の作用剤レベルをさらに決定し、水晶共振子230上にセンサコーティング306を補充するか、または水晶共振子230および/もしくはセンサ210を置き換えるときを決定する。いくつかの実施形態において、コントローラ212は、作用剤レベルおよびナンキンムシの存在を同時に決定できることを理解されたい。
【0195】
ブロック710において、コントローラ212は、水晶共振子230上のセンサコーティング306の作用剤のレベルを決定する。これを行うために、いくつかの実施形態において、ブロック712で、コントローラ212は、センサデータに基づいて作用剤レベルを決定してもよい。上で考察されるように、水晶共振子230の振動数は、水晶共振子230上にコーティングされる作用剤の質量によって部分的に決まる。そのようなものとして、コントローラ212は、対応する水晶共振子230の振動数に基づいて残りの作用剤の量を推定することができる。
【0196】
いくつかの実施形態において、ブロック714で、コントローラ212は、センサ質量の変化率を解析することによって作用剤レベルを決定してもよい。例えば、コントローラ212は、所定の期間にわたるセンサ質量の変化率を決定し、所定の期間にわたる全質量変化を算出する。全質量変化は、所定の期間にわたって生成される生成物の重量と、生成物を生成するために標的生化学分析物と反応させた作用剤の重量との間の重量差であることを理解されたい。コントローラ212は、反応中に消費した作用剤の量を全質量変化から算出することができる。これに応じて、コントローラ212は、標的生化学分析物との反応に利用可能な水晶共振子230上に残留する作用剤の量を決定することができる。
【0197】
いくつかの実施形態において、ブロック716で、コントローラ212は、現在のセンサ質量を理論的センサ質量と比較することによってセンサ210の作用剤レベルを決定することができる。理論的センサ質量は、全量のセンサコーティング306の作用剤が生成物に変換された場合に推定されるセンサ質量である。
【0198】
ブロック718において、コントローラ212は、作用剤レベルが閾値レベルより低いかを決定する。閾値レベルは、標的生化学分析物と反応するために必要とされるセンサコーティング306中の作用剤の最低量に基づいて設定される。言い換えれば、作用剤レベルが閾値レベルより低い場合、作用剤は枯渇されており、さらなる反応は生じ得ない。
【0199】
その場合、ルーチン700は、コントローラ212が、センサ210を置き換えるための通知を発行するブロック720まで進む。いくつかの実施形態において、コントローラ212は、ローカルインジケータ218を介して、ローカル置き換え通知を発行してもよい。他の実施形態において、コントローラ212は、サーバー104に通知を発行してもよい。
【0200】
しかしながら、コントローラ212が、作用剤レベルが閾値レベルを超えると決定した場合、ルーチン700は、ブロック720に飛ぶ。ルーチン700は、折り返して図6中のルーチン600のブロック604に戻り、センサデータを受信し続け、ナンキンムシの存在およびセンサ210の作用剤レベルを決定することができる。
【0201】
ここで図8Aおよび図8Bを参照して、使用中、害虫駆除装置120のコントローラ212は、経時的な周波数の変化率を比較することによってナンキンムシの存在を検出するために、ルーチン600の代替の代替ルーチン800を実行してもよい。ルーチン800は、コントローラ212が、害虫駆除装置120のセンサ210がアクティブであるかを決定する、ブロック802で開始する。コントローラ212が、センサ210がアクティブでないと決定した場合、ルーチン800は、折り返してブロック802に戻り、アクティブなセンサ210の監視を継続する。しかしながら、コントローラ212が、センサ210がアクティブであると決定した場合、ルーチン800は、ブロック804まで進む。
【0202】
ブロック804において、コントローラ212は、第1のセンサデータを受信し、後続して、所定の時間の後に第2のセンサデータを受信する。上で考察されるように、例示的な実施形態において、センサデータは、振動している水晶共振子230の振動数を含む。これに応じて、ブロック806において、コントローラ212は、第1および第2のセンサデータに基づいて、所定の時間の間、周波数変化の第1の勾配(すなわち、周波数の変化率)を決定する。しかしながら、他の実施形態において、コントローラ212が、第1および第2のセンサデータに基づいて任意のシグナル変化の第1の勾配を決定することを理解されたい。
【0203】
後続して、ブロック808において、コントローラ212は、所定の時間の後、後続のセンサデータをさらに受信する。次いで、コントローラ212は、ブロック810において、第2および後続のセンサデータに基づいて周波数変化の第2の勾配を決定する。
【0204】
ブロック812において、コントローラ212は、第2の勾配が第1の勾配と異なるかを決定する。言い換えれば、コントローラ212は、第1および第2の周波数変化率を比較する。上で考察されるように、周波数の変化は、センサ質量の変化を示す。しかしながら、センサ検出の感度および/または精度は経時的なセンサドリフトによって低下され得、コントローラ212による低レベルの標的生化学分析物の存在の検出を妨げることがあることに留意されたい。そういうものとして、周波数の変化率の差を算出してナンキンムシの存在を決定することにより、コントローラ212は、長期間の監視を行うとき、可能性があるセンサドリフトの影響を最小限に抑えることができる。
【0205】
コントローラ212が、第2の勾配が第1の勾配と異ならない(すなわち、周波数の変化率が変化しなかった)と決定した場合、コントローラ212は、ナンキンムシが検出されないと決定し、ルーチン800は、図7に示すルーチン700のブロック710に飛ぶ。
【0206】
しかしながら、コントローラ212が、第2の勾配が第1の勾配と異なると決定した場合、ルーチン800は、図8Bに示すブロック814まで進み、該ブロックで、コントローラ212はタイマーをアクティブ化し、コントローラ212が周波数の急変を検出した開始時間を示す。言い換えれば、開始時間は、害虫駆除装置108がナンキンムシの存在を検出した時間である。
【0207】
ナンキンムシの偽陽性検出をさらに減少するために、コントローラ212は、周波数の変化率(すなわち、センサ質量の変化率)が変化する時間の長さを決定する。これを行うために、コントローラ212は、ブロック612においてセンサ210から後続するセンサデータを受信する。後続のセンサデータに基づいて、コントローラ212は、ブロック818において後続の周波数変化の勾配を決定する。
【0208】
ブロック820において、コントローラ212は、後続の勾配が以前の勾配と異なるかを決定する。以前の勾配は、後続の勾配の直前に決定された勾配であることを理解されたい。コントローラ212が、勾配が変化したと決定した場合、ルーチン800は、折り返してブロック816に戻り、後続のセンサデータを受信し続ける。しかしながら、コントローラ212が、勾配が変化しなかったと決定した場合、ルーチン800は、ブロック822まで進む。
【0209】
ブロック822において、コントローラ212はタイマーを停止して、コントローラ212が周波数の変化がないことを検出した終了時間を示す。言い換えれば、終了時間は、害虫駆除装置108がナンキンムシの存在を検出しなくなる時間である。次いで、ルーチン800は、図7に示すルーチン700のブロック702まで進み、上に詳述した開始時間と終了時間との間の時間間隔に基づいてナンキンムシ検出警告通知を発行するかを決定する。
【0210】
センサ210は、標的生化学分析物を検出できる他のタイプのセンサとして取り入れられ得ることを理解されたい。例えば、上で考察されるように、センサ210は、カンチレバーセンサとして取り入れられ得る。そのような実施形態において、カンチレバーセンサは、本体と、本体から外に突き出た1つ以上のカンチレバーとを含む。各カンチレバーは、標的生化学分析物と反応する作用剤でコーティングされ、縦方向に振動するように構成される。各カンチレバーの振動を開始するために、抵抗加熱して層を熱膨張ミスマッチさせることによってカンチレバーセンサを励振させることができる。発振カンチレバーの作用剤が標的生化学分析物と反応すると、カンチレバー上の質量の増加により、発振カンチレバーの共鳴振動数が変化する。上で考察されるように、周波数の変化を用いて、ナンキンムシの存在を検出することができる。いくつかの実施形態において、カンチレバーセンサは、ピエゾ抵抗式圧力センサをさらに含んでもよい。そのような実施形態において、ピエゾ抵抗式圧力センサは、振動中のカンチレバーの変形度(例えば、曲げ)を測定し、変形度が所定の閾値より大きい場合にナンキンムシの存在を決定する。
【0211】
ここで図9~12を参照して、害虫駆除装置(以下、害虫駆除装置890)の別の実施形態を示す。例示的な実施形態において、害虫駆除装置890は、潜伏場所(harborage)機構900中に位置するセンサ908を備える。センサ908は、図1~8を参照して上述されるセンサ210または上述の他のいずれかのセンサの形態を取ることができることを理解されたい。潜伏場所機構900は、害虫を引き寄せる好ましい状態(例えば、標的害虫を魅了する色、温度、質感、および/または匂い)を作り出し、該害虫が潜伏場所機構に入って集まるように構成されている。例えば、例示的な実施形態において、潜伏場所機構900は、例えば、暗い日陰の環境を好むナンキンムシなどの害虫を引き寄せるために遮光性材料を含む。加えて、例示的な実施形態において、潜伏場所機構900は、標的害虫を魅了する魅力的な色を含む。
【0212】
図9に示すように、潜伏場所機構900は、ベッド950のベッド用ヘッドボード952に固定されるように構成されている。例えば、潜伏場所機構900は、ベッドのマットレス954から離れ、部屋の壁に向かって面するベッド用ヘッドボード952の表面に固定され得る。そのような潜伏場所機構900は、ベッドまたはマットレス付近に好ましい生息場所を持つ害虫、例えば、ナンキンムシを引き寄せるように構成されている。いくつかの実施形態において、潜伏場所機構900は、標的分析物と反応し得るか、またはそうでなければセンサに干渉し得る揮発性化合物を生成しないファスナーまたは接着剤を使用してベッド950の任意の表面に固定され得ることを理解されたい。他の実施形態において、潜伏場所機構900は、ベッド950の近く、または害虫が侵襲しやすい他の任意の環境に置いてもよい。
【0213】
潜伏場所機構900は、内室940と、害虫を侵入させるために室940につながる複数の入口928とを含む。各入口928は、害虫のアクセスを容易にし、害虫を潜伏させるために潜伏場所機構900中に酸素を供給するように寸法決めされている。これを行うために、各入口928の幅を、標的害虫のサイズに基づいて決定することができ、潜伏場所機構900の環境への標的分析物の不要な拡散損失を抑えながら標的害虫を侵入させるように各入口928が寸法決めされていることを確実にする。例えば、潜伏場所機構900がナンキンムシの存在を検出するように構成される場合、各入口928の最適な幅は3mm~100mmの範囲であり得る。
【0214】
例示的な実施形態において、潜伏場所機構900は、室940へのアクセスを可能にするために技術者または他の使用者によって開放されるように構成されている。ここで図10および11を参照して、潜伏場所機構900を、開放型構成で示す。潜伏場所機構900は、下部パネル902と、ヒンジ906を介して下部パネル902と回転自在に連結される上部パネル904とを含む。ヒンジ906は、上部パネル904を下部パネル902に対して移動させ、内室940へのアクセスを可能にする。使用中、潜伏場所機構900は、上部パネル904が下部パネル902の頂部に位置して潜伏場所機構900が閉じるように、ヒンジ906を介して折り畳まれる(図9および12~13を参照)。いくつかの実施形態において、他のタイプのファスナーを介して下部パネル902を上部パネル904と連結し、パネルを離れさせ、内室940にアクセス可能にできることを理解されたい。
【0215】
図10に示すように、下部パネル902は、外枠912と、外枠中912に配置される複数の開口部914とを含む。上部パネル904は、下部パネル902の外枠912と共同して内室940を画定する外枠922も含む。上部パネル904は、下部パネル902の対応する開口部914と合致して、潜伏場所機構900が閉じられたきに(すなわち、図11および12に示すように、ヒンジ906を介して上部パネル904が下部パネル902上で折り畳まれるときに)潜伏場所機構900の入口928を画定するように構成される外枠922中に配置される複数の開口部924も含む。
【0216】
パネル902および904は、それぞれ、内面918および926をさらに含む。例示的な実施形態において、内面918および926をテクスチャード材料でコーティングし、害虫を潜伏場所機構900中に引き寄せる。例えば、テクスチャード材料は、繊維状材料であってもよい。テクスチャード材料は、内面918および926に沿って害虫を潜伏場所機構900内に移動させるためのトラクションをもたらすように構成される。例えば、テクスチャード材料は、織物(例えば、布地)または不織物(例えば、紙)であってもよく、合成、天然、または混紡繊維で作製され得る。いくつかの実施形態において、テクスチャード材料は、害虫を引き寄せるように着色されていてもよい。例えば、ナンキンムシを引き寄せるために、レッドシェードまたは黒色の紙を使用してもよい。テクスチャード材料は、センサ検出への干渉を防止するか、または最小限に抑えるために、標的分析物の収着を最小限から皆無にするように構成されていることを理解されたい。いくつかの実施形態において、テクスチャード材料の厚さを最適化して、標的分析物の収着を低減することができる。
【0217】
加えて、下部パネル902は、内面918から延びる複数の内壁916をさらに含む。以下に詳述するように、複数の内壁916は、内室940を複数のチャネル932に分ける。各チャネル932は、1匹以上の害虫を受け取るように寸法決めされており、矢印934によって示されるように、入口928からセンサ908へ向かって気流を誘導するように構成される。いくつかの実施形態において、フローチャネル932は、潜伏場所機構900の周辺に向かって先細りし得ることを理解されたい。そのような先細りフローチャネル932は、より狭いフローチャネル932への標的分析物の拡散を限定して、害虫を囲む空間への標的分析物の損失を低減することによって、潜伏場所機構900中の標的分析物の濃度を増加するように適合される。
【0218】
複数の内壁916は、複数のガイド壁936と複数の遮断壁938とを含む。各ガイド壁936は、入口928の各側面上に位置し、矢印968によって示される第1の方向に延びる。各ガイド壁対936は、複数のチャネル932の流入チャネル960を画定する。各遮断壁938は、ガイド壁936の末端から間隔を空けて、全体的にU形状の障壁を形成するために第1の壁部942、第1の壁部942の末端から延びる第2の壁部944、および第1の壁部942の反対端から延びる第3の壁部946を含む。
【0219】
第1の壁部942は、第1の方向に対して垂直の第2の方向に延びるように構成され、一方で、第2の壁部944および第3の壁部946は、ガイド壁936と平行に延びる。第2の壁部944は、ガイド壁936と共同して、複数のチャネル932の第1のサイドチャネル962を画定し、一方で第3の壁部946は、ガイド壁936と共同して、複数のチャネル932の第2のサイドチャネル964を画定することを理解されたい。上述するように、複数のチャネル932は共同して、矢印934によって示されるように、入口928からセンサ908へ向かう内室940中の流路を画定する。これを行うために、第1のチャネル960は、気流を対応する入口928から第1の方向で誘導するように構成され、第1および第2のサイドチャネル962および964は、矢印970で示す第1の方向とは反対方向の第3の方向で気流を誘導するように構成される。加えて、第4のチャネル966は、遮断壁938間、特に1つの遮断壁938の第3の壁部946と別の遮断壁938の第2の壁部944との間で画定され、矢印972で示す第1の方向に気流を誘導する。図10で見ることができるように、第4のチャネル966は、潜伏場所機構900の入口928からオフセットされている。
【0220】
図10でさらに示されるように、潜伏場所機構900は、センサ908および気流装置910を含み、流路を介して気流がセンサ908へ引き込まれる。例示的な実施形態において、気流装置910は、例えば、蠕動または隔膜ポンプなどの空気ポンプである。しかしながら、いくつかの実施形態において、気流装置910は、コンプレッサ、Micro-Electro-Mechanical-System(MEMS)装置または送風機として取り入れられ得ることを理解されたい。センサ908および空気ポンプ910が潜伏場所機構900の内室940中に位置するように、センサ908および空気ポンプ910は、潜伏場所機構900の上部パネル904中に配置される。センサ908および空気ポンプ910は、上部パネル904の内面926上に位置し、したがって、潜伏場所機構900が閉じているとき、センサ908および空気ポンプ910は複数の内壁916を係合せず、それによって気流および/または害虫が内室940中で移動する能力への干渉を回避する。例示的な実施形態において、空気ポンプ910は、外枠922とセンサ908との間に位置し、空気を入口928からセンサ908へ向かって引き込んで通過させる。いくつかの実施形態において、空気ポンプ910は、潜伏場所機構900から取り外され得ることを理解されたい。そのような実施形態において、センサ908は、内室940中の自然な気流に頼って、害虫によって分泌された標的分析物を検出のためにセンサ908に送達することができる。
【0221】
いくつかの実施形態において、センサ908は、センサ908を覆う遮断シートを含んでもよい。遮断シートは、害虫がセンサ908と直接接触するようになるのを防止するためのメッシュ素材で作製される。メッシュ素材は、標的分析物の拡散を遮断しないことを理解されたい。
【0222】
上述のとおり、センサ908は、害虫の存在を検出するように構成される。例えば、例示的な実施形態において、センサ908は、水晶振動子微量天秤(QCM)または小規模QCMセンサなどの共振子センサとして取り入れられる。上で詳述するように、共振子センサ908は、空気中の害虫によって分泌された標的生化学分析物の存在を検出することによって害虫の存在を検出するように構成される。いくつかの実施形態において、センサ908は、上で詳述するような害虫の存在を検出するためのカンチレバーセンサとして取り入れられ得ることを理解されたい。センサ908は、図1~8に関して上述した任意のセンサであってもよいことを理解されたい。
【0223】
いくつかの実施形態において、センサ908は、潜伏場所機構900の外側に位置してもよい。そのような実施形態において、センサ908は、気流を潜伏場所機構900から誘導して空気を検出のためにセンサ908中へ供給するように適合されたコンジットを介して潜伏場所機構900に連結される。いくつかの実施形態において、コンジットの末端を内室940中へ最長15cmの深さまで挿入し、内室930中に高気密性環境を作って、隙間風の入る位置を避ける害虫(例えば、ナンキンムシ)を引き寄せることができる。いくつかの実施形態において、コンジットは、内室930の端部の1つに沿って挿入することができる。他の実施形態において、コンジットは、潜伏場所機構900の端部の1つに対して最大90度の角度で配向できる。
【0224】
いくつかの実施形態において、潜伏場所機構900は、内室940中の温度を調整するための加熱素子を含んでもよいことを理解されたい。そのような実施形態において、潜伏場所機構900は、加熱素子を操作し、内室940中の温度を室温より高温から最大40℃まで維持し、ナンキンムシによって好ましい状態を作り出すためにコントローラも含んでよい。加えて、いくつかの実施形態において、コントローラは、温度を約100℃までさらに上昇させて、内室940中で検出されたすべての害虫を根絶することができる。そのような実施形態において、コントローラは、潜伏場所機構900の入口928から遮断壁938までの温度を約100℃まで上昇させて、内室940中のナンキンムシが潜伏場所機構900から出るのを防止することができる。
【0225】
いくつかの実施形態において、潜伏場所機構900は、標的分析物を蓄積し、害虫の検出のために蓄積された標的分析物を放出する予濃縮器をさらに含んでもよい。予濃縮器は、潜伏場所機構900の内面918および926の少なくとも一部を覆う標的生化学分析物を収着する1枚以上のシート(例えば、入口928からセンサ908への1つ以上の通路)として取り入れられ得る。例えば、1枚以上のシートは、分析物を収着する材料または織物もしくは不織繊維状材料で作製され得る。いくつかの実施形態において、1枚以上の繊維状シートは、繊維状材料のシートの繊維間またはより高度の収着用の2枚の繊維状材料間に収着剤粉末を含有してもよい。予濃縮器は、ある一定の時間の間、標的分析物を収着および蓄積し、次いで加熱すると、蓄積された標的分析物を一度に放出して、センサ検出のためのより濃縮された標的分析物が得られるように構成されていてよい。これは、害虫を囲む空間への標的分析物の拡散を低減し、センサ908が、より少数の害虫の存在を検出できるようにする。
【0226】
例えば、予濃縮器は、第1の温度で標的分析物を吸収し、第2の温度で吸収された標的分析物を放出するように構成されていてもよい。例えば、いくつかの実施形態において、予濃縮器は、例えば、収着剤粉末が充填された紙などの繊維状材料であってもよく、内面918および926の少なくとも1つの上に位置する。そのような実施形態において、予濃縮器は、収着段階および脱着(例えば、放出)段階を有する。収着段階の間、加熱素子を操作して潜伏場所機構900の内部の温度を室温より高温に上げて害虫を引き寄せることができ、予濃縮器は、害虫によって分泌された標的分析物を吸収するように構成される。脱着または放出段階の間、加熱素子を操作して潜伏場所機構900の内部の温度をさらに上昇させて、標的分析物を予濃縮器から脱着または放出させる。標的分析物の脱着は、空気ポンプ910によって、害虫の検出のためにセンサ908中に引き込まれた標的分析物の濃度を上げる。センサ908は、脱着段階の間、連続的または断続的に害虫の存在を検出できることを理解されたい。
【0227】
いくつかの実施形態において、予濃縮器は、潜伏場所機構900の入口928からセンサ908へ延びる管またはカラムとして取り入れられ得る。そのような実施形態において、管は、潜伏場所機構900を囲む空気が管を通過すると、標的生化学分析物を収着するように構成される、分析物を収着する材料で作製されている。管を加熱すると、管の中に収集された分析物は迅速に脱着する。空気ポンプ910は、予濃縮器から放出された脱着標的分析物を、検出のためにセンサ908へ引き込むように促進することができることを理解されたい。
【0228】
いくつかの実施形態において、潜伏場所機構900は、複数の加熱素子を含んでもよい。加熱素子は、流路に沿って均一に分布し、入口928からセンサ908へ向かって熱パルスを伝播することができる。例えば、加熱素子は、センサ908から最も遠い加熱素子からセンサ908付近の加熱素子の順に、またはその逆の順にアクティブ化して、連続的に標的分析物を予濃縮器から脱着させることができる。後続して、空気ポンプ910をアクティブ化して、空気をセンサ908中に引き入れることができる。内室940の外から入口928を通じてセンサ908へ新鮮な空気を引き入れると、空気は、内室940中で予濃縮器から脱着された標的分析物を収集し、センサ908中に搬送し、害虫の検出のための高濃度の標的分析物が得られる。
【0229】
予濃縮器は、潜伏場所機構900の周囲に沿って並べられ得ることを理解されたい。いくつかの実施形態において、予濃縮器は、空気ポンプ910と反対側にあるセンサ908に隣接して配置されてよく、したがってセンサ908は、空気ポンプ910と予濃縮器との間に位置する。そのような構成によって、空気ポンプ910は、予濃縮器から放出された脱着標的分析物を、検出のためにセンサ908へ引き込むことが可能になる。いくつかの実施形態において、センサ908は、内部予濃縮器を含んでもよい。いくつかの実施形態において、外部予濃縮器は、ある量の標的分析物を受け取るように寸法決めされた試験室として取り入れられ得る。
【0230】
いくつかの実施形態において、潜伏場所機構900が閉鎖型構成にあるとき、下部パネル902の外枠912と上部パネル904の外枠922との間に障壁を配置して、標的分析物が潜伏場所機構900の外へ拡散するのを防止することができる。例えば、障壁は、外枠912および922間のライニングとして取り入れられ得、アルミニウムめっきを施されたフィルムで作製されていてもよい。そのような障壁は、センサ検出のために、潜伏場所機構900中の標的分析物の濃度を高めることができる。障壁は、潜伏場所機構900内部に高気密性ゾーンを構築し、隙間風の入る位置を避ける害虫(例えば、ナンキンムシ)を引き寄せることによって、好ましい状態をさらに設けることができる。
【0231】
ここで図12および13を参照して、潜伏場所機構900が折り畳まれ、したがって上部パネル904の外枠922が下部パネル902の外枠912の頂部に位置する。上で考察されるように、潜伏場所機構900が閉鎖型構成にあるとき、下部パネル902の内面918は、上部パネル904の内面926に面するが間隔を空けており、内室940を画定し、害虫を内室940中に移動させるように構成される。例示的な実施形態において、内室940の幅(すなわち、下部パネル902の内面918と上部パネル904の内面926との間の距離)は、センサ908に向かって小さくなり、センサ908の近くでより狭い流路を作り、狭い通路への標的分析物の拡散を限定することによってセンサ908近くの標的分析物の濃度を高める。しかしながら、いくつかの実施形態において、内室940の幅は、潜伏場所機構900全体にわたって均一であり得ることを理解されたい。
【0232】
図13に示すように、下部パネル902は、複数の傾斜面920をさらに含み、各傾斜面は、各入口928の外側に位置して、対応する入口928に害虫をガイドする。例示的な実施形態において、各傾斜面920の幅は3mm~100mmの範囲であってもよく、各入口928の幅に対応する。いくつかの実施形態において、下部パネル902は、下部パネル902の幅全体に沿って延びる一傾斜面902を含んでもよい。
【0233】
図9に示すように、例示的な実施形態において、潜伏場所機構900は、ベッド950のベッド用ヘッドボード952に位置するか、または固定されるように適合され、したがって、下部パネル902は、ベッド用ヘッドボード952の表面と上部パネル904との間に位置する。潜伏場所機構900がベッド用ヘッドボードに固定されるとき、各傾斜面920は、ベッド用ヘッドボード952の表面と各入口928との間を橋渡しするように構成され、したがって、害虫がベッドから潜伏場所機構900へ移動することができる。傾斜面920は、下部パネル902の内面918上の材料に類似のテクスチャード材料でコーティングされていてもよく、害虫に、傾斜面920に沿って潜伏場所機構900へ上方向に移動させるためのトラクションをもたらすことを理解されたい。いくつかの実施形態において、傾斜面920を着色して、害虫を潜伏場所機構900へ引き寄せるために好ましい状態を作り出してもよい。
【0234】
例示的な実施形態において、潜伏場所機構900は、矩形の形状を有するが、潜伏場所機構900は、多角形、角が丸い多角形、楕円形、または円であってもよいことを理解されたい。潜伏場所機構900の外面は、害虫を引き寄せるために魅力的な色であってもよいことを理解されたい。例えば、潜伏場所機構900の外面は、ナンキンムシを引き寄せるためにレッドシェードまたは黒色であってもよい。いくつかの実施形態において、下部および上部パネル902および904の両方は、平らであっても、弯曲していてもよく、潜伏場所機構900の内室930を画定する。他の実施形態において、パネルの片方は平らであってよく、他方のパネルは弯曲して、使用する材料を減らす。
【0235】
例示的な実施形態において、潜伏場所機構900は、ローカルインジケータをさらに含む。ローカルインジケータは、ワイヤを介してセンサ908に連結され、潜伏場所機構900の上部パネル904の外面上に配置される。しかしながら、いくつかの実施形態において、ローカルインジケータは、ワイヤを介して潜伏場所機構900の外側に配置されてもよい。他の実施形態において、ローカルインジケータは、潜伏場所機構900中のセンサ908に無線接続されていてもよい。上で詳述したローカルインジケータ218と同様に、ローカルインジケータは、人間のオペレーターまたは技術者に通知する警告を作製できる任意のタイプのインジケータとして取り入れられ得る。例えば、潜伏場所機構900のローカルインジケータは、可視および/または可聴インジケータとして取り入れられ得る。いくつかの実施形態において、可視インジケータは、発光ダイオード(LED)、蛍光、白熱、および/またはネオン型光源を含んでもよい。可聴インジケータは、技術者に通知する警告音を発生させることができる。例示的な実施形態において、ローカルインジケータは、ナンキンムシの存在の有無を示す警告を発生する。例えば、いくつかの実施形態において、LED光インジケータは、励起して、着色光を投影するか、変色するか、または非点滅光から点滅光へ変化して、ナンキンムシの存在を示し得る。他の実施形態において、可聴ローカルインジケータは、音を発生させて、ナンキンムシの存在を示すことができる。
【0236】
他の実施形態において、潜伏場所機構900は、害虫駆除システムまたはサーバーと通信して、害虫が検出されたとき、および/またはセンサがメンテナンスを必要とするときに通知するためのワイヤレス通信回路を含んでもよい。上で詳述したように、ワイヤレス通信回路は、任意の1つ以上の通信技術(例えば、無線または有線の通信)および関連プロトコル(例えば、イーサネット、Bluetooth(登録商標)、Wi-Fi(登録商標)、WiMAX、LTE、5Gなど)を使用して、そのような通信を行うように構成され得る。
【0237】
使用中、人間のオペレーターまたは技術者は、ベッド950のベッド用ヘッドボード952上に潜伏場所機構900を取り付けて、ベッドまたはマットレス付近に好ましい生息場所を持つ害虫、例えば、ナンキンムシの存在を検出することができる。潜伏場所機構900を配向して、潜伏場所機構900の下部パネル902が、ベッド用ヘッドボード952の表面上に位置するようにする。これによって、潜伏場所機構900の傾斜面920が、ベッド用ヘッドボード952の表面と入口928との間を橋渡しすることができ、害虫をベッド用ヘッドボード952から潜伏場所機構900の内室930へ移動させる。上で考察されるように、傾斜面920は、標的害虫を傾斜面902に沿って内室930へ引き寄せるように好ましい状態を作り出すために、着色するか、またはテクスチャード材料でコーティングしてもよい。
【0238】
潜伏場所機構900の空気ポンプ910を連続的にまたは定期的にアクティブ化して、空気を入口928から引き入れ、内室930中の害虫を囲む領域から標的生化学分析物をセンサ908へ向かって引き込む。空気がセンサ908中へ引き入れられると、センサ908は、空気中の標的生化学分析物を検出して、害虫の存在を検出するように構成されている。例えば、センサ908は、T2H、T2O、4-オキソ-(E)-2-ヘキセナール、および/または4-オキソ-(E)-2-オクテナールなどの標的生化学分析物を検出して、潜伏場所機構900中またはその付近のナンキンムシの存在を検出するように構成されている。次いで、センサ908は、ローカルインジケータにシグナルを送信し、人間のオペレーターまたは技術者にナンキンムシの存在を通知する警告を発信する。
【0239】
上述するとおり、潜伏場所機構900は、例えば空気ポンプ910などの気流装置を一切含むことがない。空気をセンサ908に引き入れる空気ポンプ910の不在下、センサ908は、害虫を取り囲む空気中に存在する標的分析物を頼りに、主に内室940中の空気による拡散を介してセンサ908に到達する。言い換えれば、標的生化学分析物分子は、潜伏場所機構900の内室930中の空気を通して、発生源(すなわち、分析物を放出するナンキンムシ)からすべての有効な方向に拡散される。そのような実施形態において、内室940中のセンサ908の位置は、最大拡散経路(例えば、入口928からセンサ908までの開かれた通路)を最小限にするように選択することができる。潜伏場所機構は、間隙による標的分析物の損失を最小限にし、センサ検出のために内室940中の標的分析物の濃度を最大化するための、上部および下部パネル902および904のそれぞれの外枠912および922間の間隙中に位置する不浸透性ライナー(例えば、アルミニウムめっきを施されたフィルム)をさらに含んでもよい。そのような実施形態において、潜伏場所機構は、上に詳述した予濃縮器と同様の予濃縮器をさらに含んでもよいことを理解されたい。他の実施形態において、潜伏場所機構は、上に詳述した加熱素子と同様の1つ以上の加熱素子も含み得る。
【0240】
ここで図14を参照して、センサ1000の別の実施形態を示す。センサ210と同様に、センサ1000は、センサセル1002(例えば、水晶共振子)と、センサセル1002の表面上にコーティングされたセンサコーティング1004とを含む。例示的な実施形態において、センサコーティング1004は、ポリマーゲルおよび作用剤(例えば、ジオクチル-CTI)で作製されたコーティングゲル化合物を含む。上で考察されるように、作用剤は、ナンキンムシの分泌物中に含まれる標的生化学分析物1006(例えば、T2H、T2O、4-オキソ-(E)-2-ヘキセナール、または4-オキソ-(E)-2-オクテナール)と反応するように構成される。
【0241】
例示的な実施形態において、ポリマーゲルは、高い粘性(例えば、ゼリー状の粘稠性)を有し、任意選択により粘塑性特性(例えば、降伏応力)を示し、ならびに高い熱的および化学的安定性を示し、センサセル1002の表面上に安定性コーティングを形成する。そういうものとして、センサセル1002の表面上に作用剤を直接コーティングするよりも、媒体を形成するようにポリマーゲルを適合して、センサセル1002の表面の頂部で作用剤を固定化する。加えて、例示的な実施形態において、比較的低分子量を有するポリマーゲルを使用して所望の粘性レベルのポリマーゲルを実現し、以下でさらに考察される、標的生化学分析物の検出感度を高めた。ポリマーを溶解してポリマーゲルを形成するために使用される液体は、高い熱的および化学的安定性を有する安定性インターフェースを実現するためのポリマーのタイプによって決まることを理解されたい。例示的なポリマーゲルとしては、ポリメチルフェニルシロキサン(PMPS)、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、Carlsbad,CaliforniaのSeacoast Science,Inc.製のSC―F101として市販されているフルオロアルコールポリカルボシラン、Carlsbad,CaliforniaのSeacoast Science,Inc.製のSXFAとして市販されているフルオロアルコールポリシロキサン、ビスフェノール含有ポリマー(BSP3)、ポリ-2-ジメチルアミン-エチル-メタクリレート(PDMAEMC)、またはシリコン(Si)および鉄(Fe)を有するポリマーを挙げることができる。いくつかの実施形態において、コーティングゲル化合物は複数のタイプのポリマーゲルを含み得ることを理解されたい。
【0242】
使用中、図14に示すように、センサ1000を取り囲む空気中に存在する、典型的には気体状態の標的生化学分析物1006は、センサコーティング1004のコーティングゲル化合物中に拡散する。次いで、拡散された標的生化学分析物1006は、コーティングゲル化合物中に存在する作用剤と反応し、単独の作用剤より高い分子量を有する、作用剤と標的生化学分析物との生成物を生成する。例示的な実施形態において、低分子量のポリマーゲルを使用してコーティングゲル化合物を形成し、したがって、小さな重量変化を検出することができ、少量の標的生化学分析物1006の存在を示すことができた。作用剤とさらに反応する必要がある拡散された標的生化学分析物1006は、コーティングゲル化合物の溶解性に基づいて放出されて空気に戻され得ることを理解されたい。
【0243】
例示的な実施形態において、センサコーティング1004はスピンコーティングによって形成され、スピンコーターを使用してセンサセル1002の表面に均一なフィルムが付着された。薄い均一なコーティングを形成するために、厚い層のコーティングゲル化合物をセンサセル1002上に付着し、過剰のコーティングゲル化合物は、スピンコーターを使用して回転によって発揮される遠心力によって除去した。いくつかの実施形態において、スプレーコーティングを用いて、投与量の霧のコーティングゲル化合物をセンサセル1002上にスプレーすることによってセンサコーティング1004を形成することができる。噴霧ノズル(例えば、圧電または加圧ガス駆動)、インクジェット印刷ヘッド(例えば、圧電または熱式)、または同様の装置を使用して霧を生成し、単一の微液滴を一度に排出することができる。他の実施形態において、キャピラリ蒸着(capillary deposition)法、ソフトリソグラフィー(例えば、ミクロ接触プリンティング)、またはディップコーティング法を用いてセンサコーティング1004を形成することができる。各実施形態において、コーティングゲル化合物は、揮発性溶媒中で希釈して、コーティングプロセス中にコーティングゲル化合物の粘性を制御することができることを理解されたい。
【0244】
ここで図15を参照して、グラフは、ポリジメチルシロキサン(PDMS)ポリマーゲルおよびCTI作用剤を含むコーティングゲル化合物の質量変化を例示する。上で考察されるように、質量変化は、PDMSコーティングゲル化合物中のCTI作用剤と、PDMSコーティングゲル化合物を囲む空気中に存在するトランス-2-ヘキセナール(T2H)(すなわち、標的生化学分析物)との間の反応によって生じる。標的生化学分析物を導入する前に、t~tで、約110分間、温度を約50℃まで上昇させて、PDMSコーティングゲル化合物を確実にクリーンにする。上で考察されるように、標的生化学分析物と作用剤との間の反応は、加熱によって可逆性であり得る。PDMSコーティングゲル化合物を約50℃で約110分間加熱することによって、PDMSコーティングゲル化合物中の作用剤と反応する任意の可能な標的生化学分析物を確実にPDMSコーティングゲル化合物から除去する。加えて、作用剤と反応しなかった可能性があるPDMSコーティングゲル化合物中で拡散された任意の可能な標的生化学分析物も、PDMSコーティングゲル化合物から放出され得る。
【0245】
温度はtで約35℃まで低下し、約35℃にとどまった。標的生化学分析物がtで導入されるまで、PDMSコーティングゲル化合物の重量は比較的一定のままだったことに留意されたい。言い換えれば、標的生化学分析物の不在下で、PDMSポリマーゲルおよびCTI作用剤を含むPDMSコーティングゲル化合物に有意な重量変化は検出されなかった。
【0246】
で、標的生化学分析物を有するサンプルは、tまで、PDMSコーティングゲル化合物を取り囲む空気中に放出された。PDMSコーティングゲル化合物を取り囲む空気中の標的生化学分析物は、PDMSコーティングゲル化合物の溶解性に基づいてPDMSコーティングゲル化合物中に拡散するように適合される。一度、標的生化学分析物がPDMSコーティングゲル化合物中に拡散されると、標的生化学分析物は、PDMSコーティングゲル化合物中の標的生化学分析物と反応し、単独の作用剤より高い分子量を有する、作用剤と標的生化学分析物との生成物を生成するように構成される。これに応じて、図15で見ることができるように、重量プロットは、t~tの標的生化学分析物の放出中に連続的に増加し、PDMSコーティングゲル化合物の重量の増加を示す。
【0247】
サンプルの流れがtで停止したとき、PDMSコーティングゲル化合物の重量は若干減少した。そのような重量の減少は、PDMSコーティングゲル化合物から未反応の標的生化学分析物が放出されることによって生じ得る。例えば、センサ1000を取り囲む空気中の標的生化学分析物は、t~tの間、PDMSコーティングゲル化合物中に拡散していた可能性があるが、PDMSコーティングゲル化合物中の作用剤とさらに反応していなかった。そのような未反応の標的生化学分析物は、PDMSコーティングゲル化合物から拡散して出て、周囲の空気中に戻るように適合される。加えて、いくつかの実施形態において、作用剤と標的生化学分析物との間の反応は可逆性であり得る。そのような実施形態において、周囲に標的生化学分析物が不在の状態で、作用剤と標的生化学分析物との生成物は、経時的に、反応物質(すなわち、作用剤および標的生化学分析物)へ戻ることがある。
【0248】
で、標的生化学分析物を有するサンプルは、センサ1000を取り囲む空気中に再導入され、PDMSコーティングゲル化合物の重量は、サンプルの標的生化学分析物とPDMSコーティングゲル化合物中の作用剤との間の反応から再度増加し続けた。
【0249】
ここで図16を参照して、グラフは、ポリメチルフェニルシロキサン(PMPS)ポリマーゲルおよびCTI作用剤を含む別のコーティングゲル化合物の質量変化を例示する。図15と同様に、質量変化は、PMPSコーティングゲル化合物中のCTI作用剤と、PMPSコーティングゲル化合物を囲む空気中に存在するトランス-2-ヘキセナール(T2H)(すなわち、標的生化学分析物)との間の反応によって生じる。
【0250】
標的生化学分析物を導入する前に、t~tで、約110分間、温度を約50℃まで上昇させて、PMPSコーティングゲル化合物を確実にクリーンにする。上で考察されるように、標的生化学分析物と作用剤との間の反応は、加熱によって可逆性であり得る。PMPSコーティングゲル化合物を約50℃で約110分間加熱することによって、PMPSコーティングゲル化合物中の作用剤と反応する任意の可能な標的生化学分析物を確実にPMPSコーティングゲル化合物から除去する。加えて、作用剤と反応しなかった可能性があるPMPSコーティングゲル化合物中で拡散された任意の可能な標的生化学分析物も、PMPSコーティングゲル化合物から放出され得る。
【0251】
温度はtで約35℃まで低下し、約35℃にとどまった。標的生化学分析物がtで導入されるまで、PMPSコーティングゲル化合物の重量は比較的一定のままだったことに留意されたい。言い換えれば、標的生化学分析物の不在下で、PMPSポリマーゲルおよびCTI作用剤を含むPMPSコーティングゲル化合物に有意な重量変化は検出されなかった。
【0252】
で、標的生化学分析物を有するサンプルは、tまで、PMPSコーティングゲル化合物を取り囲む空気中に放出された。PMPSコーティングゲル化合物を取り囲む空気中の標的生化学分析物は、PMPSコーティングゲル化合物の溶解性に基づいてPMPSコーティングゲル化合物中に拡散するように適合される。一度、標的生化学分析物がPMPSコーティングゲル化合物中に拡散されると、標的生化学分析物は、PMPSコーティングゲル化合物中の標的生化学分析物と反応し、単独の作用剤より高い分子量を有する、作用剤と標的生化学分析物との生成物を生成するように構成される。これに応じて、図16で見ることができるように、重量プロットは、t~tの標的生化学分析物の放出中に連続的に増加し、PMPSコーティングゲル化合物の重量の増加を示す。
【0253】
サンプルの流れがtで停止したとき、PMPSコーティングゲル化合物の重量は若干減少した。上で考察されるように、そのような重量の減少は、PMPSコーティングゲル化合物から未反応の標的生化学分析物が放出されることによって生じ得る。例えば、センサ1000を取り囲む空気中の標的生化学分析物は、t~tの間、PMPSコーティングゲル化合物中に拡散していた可能性があるが、PMPSコーティングゲル化合物中の作用剤とさらに反応していなかった。そのような未反応の標的生化学分析物は、PMPSコーティングゲル化合物から拡散して出て、周囲の空気中に戻るように適合される。加えて、いくつかの実施形態において、作用剤と標的生化学分析物との間の反応は可逆性であり得る。そのような実施形態において、周囲に標的生化学分析物が不在の状態で、作用剤と標的生化学分析物との生成物は、経時的に、反応物質(すなわち、作用剤および標的生化学分析物)へ戻ることがある。
【0254】
で、標的生化学分析物を有するサンプルは、センサ1000を取り囲む空気中に再導入され、PMPSコーティングゲル化合物の重量は、サンプルの標的生化学分析物とPMPSコーティングゲル化合物中の作用剤との間の反応から再度増加し続けた。
【0255】
本開示は、例えば、ナンキンムシの検出において使用するための以下の構造によって例示される化合物の組成、調製、および使用をさらに必要とする。特に、これらの化合物は、ナンキンムシによって発生される化学物質トランス-2-ヘキサナールとの溶液中での反応性を示した。以下の化合物を合成し、1:1の比率でホスホロジチオエートとT2Hとを混合することによってトランス-2-ヘキサナール(T2H)との溶液中での反応性を試験した。全化合物は、経時的に、T2Hと完全に反応した。
【0256】
【化15】
実験手順:
2-メルカプト-5,5-ジメチル-1,3,2-ジオキサホスフィナン2-スルフィドの合成
【0257】
【化16】
マグネチックスターラーを入れた250mL丸底フラスコに、ジオール(5.0g、48.0mmol)を充填し、後続してP(4.3g、19.3mmol)およびトルエン(32mL)を添加した。次いで、窒素下で反応混合物を100℃まで12時間加熱した。混合物を冷却し、減圧下で濃縮し、固体が形成され、油から分離した。残留油を高真空下で濃縮し、50mLのペンタンを添加し、高真空下でさらに乾燥して、4.0gの生成物を得た。1H NMR (CDCl3, GLC=18743): δ 1.1 (s, 6H), 4.1 (J = 15.5 Hz, 4H).
2-メルカプト-5,5-ジプロピル-1,3,2-ジオキサホスフィナン2-スルフィドの合成
【0258】
【化17】
ステップ1:2,2-ジプロピルプロパン-1,3-ジオールの合成
マグネチックスターラーを入れた250mL丸底フラスコ(1口)を火力乾燥し、真空下で冷却し、次いで窒素を流した。窒素下で、ジエチル2,2-ジプロピルマロネート(5g、20.45mmol)で充填し、後続してTHF(50mL)を添加した。反応物を0℃に冷却し、水素化アルミニウムリチウム(27.6mL、27.6mmol、THF中1M)を30分にわたって滴下で添加し、次いで反応混合物を室温まで温め、室温で3時間攪拌した。この時間の後、反応物を0℃に冷却し、水(1mL)を添加し、次いで4mLの15%NaOH(水溶液)を添加し、15分の攪拌の後、固体の塩を濾過で取り除き、濾液を硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過し、濃縮して、約2gの無色の油を得、これをカラム(DCM中、0~10%MeOH)によって精製し、2,2-ジプロピルプロパン-1,3-ジオールを
油(1.1g)として得た。1H NMR (CDCl3, GLC=18983): δ 3.52 (s, 4H), 3.15 (s, 2H), 1.21 (m, 8H), 0.89 (t, 6H)
【0259】
【化18】
ステップ2:2-メルカプト-5,5-ジプロピル-1,3,2-ジオキサホスフィナン2-スルフィドの合成
マグネチックスターラーを入れた50mL丸底フラスコに、2,2-ジプロピルプロパン-1,3-ジオール(1.1g、6.87mmol)を充填し、後続してトルエン(5mL)中のP(0.61g、2.75mmol)を添加した。次いで、反応混合物を100℃に16時間加熱し、真空下、100℃でトルエンを蒸留して取り除いた。得られた残留物をDCM中で希釈し、カラム(ヘキサン中0~100%DCM、アイソクラチックグラジエント)によって精製して緑色を帯びた油0.6gの表題化合物を得た。1H NMR (CDCl3, GLC=19044): δ 4.13 (d, 4H), 2.62 (s, 1H), 1.32 (m, 8H), 0.95 (m, 6H).
5,5-ジイソブチル-2-メルカプト-1,3,2-ジオキサホスフィナン2-スルフィドの合成
【0260】
【化19】
マグネチックスターラーを入れた250mL丸底フラスコに、2,2-ジイソブチル-1,3-プロパノール(2.0g、10.6mmol)を充填し、後続してP(0.94g、4.23mmol)およびトルエン(7mL)を添加した。次いで、窒素下で反応混合物を80℃まで3時間加熱した。混合物を冷却し、減圧下で濃縮し、シリカカラム(DCM中0~10%MeOH)によって精製して0.9gの表題化合物を得た。1H NMR (CDCl3, GLC=18768): δ 0.81 -1.06 (m, 12H), 1.42 (d, J = 5.5 Hz, 4H), 1.73 (m, 2H), 2.93 (s, 1H), 4.17 (d, J = 15.7 Hz, 4H).
0,0-ビス(2-メトキシエチル)S-水素ホスホロジチオエートの合成
【0261】
【化20】
マグネチックスターラーを入れた50mL丸底フラスコに、2-メトキシエタノール(4.2mL、52.0mmol)を充填し、後続してP(2.8g、12.6mmol)およびトルエン(50mL)を添加した。次いで、反応混合物を80℃まで4時間加熱し、減圧下で濃縮した。得られた残留物を最少量のDCMで希釈し、カラム(ヘキサン中40~80%酢酸エチル)によって精製して緑色を帯びた油1.2gの表題化合物を得た。1H NMR (CDCl3, GLC=19229): δ 4.30 (m, 4H), 3.66 (m, 4H), 3.4 (s, 6H).
0,0-ビス(4-メチルペンタン-2-イル)S-水素ホスホロジチオエートの合成
【0262】
【化21】
マグネチックスターラーを入れた250mL丸底フラスコに、アルコール(6.0mL、47.0mmol)を充填し、後続してP(3.0g、13.5mmol)およびトルエン(31mL)を添加した。次いで、窒素下で反応混合物を100℃まで12時間加熱した。混合物を冷却し、減圧下で濃縮し、3.0gの混合物を高真空下でさらに乾燥して、1.1gの表題化合物を得た。1H NMR (CDCl3, GLC=18843): δ 0.91 (m, 12H), 1.37 (m, 8H), 1.68 (m, 4H), 4.8 (m, 2H).
0,0-ジペンチルS-水素ホスホロジチオエートの合成
【0263】
【化22】
マグネチックスターラーを入れた50mL丸底フラスコに、1-ペンタノール(1.1mL、10.1mmol)を充填し、後続してP(0.56g、2.5mmol)およびトルエン(12.5mL)を添加した。次いで、窒素下で反応混合物を100℃まで3時間加熱した。得られた残留物を室温に冷却し、50%w/vのKOH溶液を添加した。混合物を減圧下で濃縮し、半固体を結晶化し、ヘキサンで洗浄して、0.5gの表題化合物を得た。1H NMR (CDCl3, GLC=19169): δ 0.91(m, 6H), 1.37 (m, 8H), 1.71 (m, 4H), 4.15 (m, 4H).
【0264】
本開示を図面および前述の明細書の中で例示および詳述してきたが、この例示および説明は模範例として見なされるものであり、それ自体に限定されるものではなく、例示的な実施形態を示し、説明したに過ぎず、本開示の趣旨の範囲内に含まれる全ての変更および修正が保護されるように望まれることを理解されたい。
【0265】
本明細書に記載の方法、装置、およびシステムの様々な特徴から複数の本開示の利点が生まれている。本開示の方法、装置、およびシステムの代替の実施形態は、記載される特徴のすべては含まないことがあるが、それでも、該特徴の利点の少なくとも一部から依然として利益が得られることに留意されたい。当業者は、本発明の1つ以上の特徴が取り入れられ、特許請求の範囲によって定義される本開示の趣旨および範囲に含まれる方法、装置、およびシステムの独自の実施を容易に考案することができる。
【符号の説明】
【0266】
100 害虫駆除システム
102 害虫駆除装置群
104 中央害虫データ管理サーバー
106 ネットワーク
108 クライアント計算装置
110 ネットワーク
120 害虫駆除装置
122 ゲートウェイ
140 アプリケーションソフトウェア
142 データベース
202 筐体
204 外壁
206 カバー
208 内室
210 センサ
212 コントローラ
214 電源
216 ワイヤレス通信回路
218 ローカルインジケータ
220 送風機
222 コンジット
224 入口
226 出口
230 水晶共振子
302 水晶振動子
304 電極
306 センサコーティング
402 コントローラ
404 メモリ
406 ワイヤレスネットワークインターフェース
408 アンテナ
410 モデム
414 アンテナ
900 潜伏場所機構
1000 センサ
1002 センサセル
1004 センサコーティング
1006 標的生化学分析物
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図8A
図8B
図9
図10
図11
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図13
図14
図15
図16
【国際調査報告】