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特表2022-510882超音波溶接システムおよび当該システムを使用する方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-28
(54)【発明の名称】超音波溶接システムおよび当該システムを使用する方法
(51)【国際特許分類】
   B23K 20/10 20060101AFI20220121BHJP
【FI】
B23K20/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021529685
(86)(22)【出願日】2019-11-25
(85)【翻訳文提出日】2021-07-20
(86)【国際出願番号】 US2019063007
(87)【国際公開番号】W WO2020112635
(87)【国際公開日】2020-06-04
(31)【優先権主張番号】62/772,113
(32)【優先日】2018-11-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】506395943
【氏名又は名称】クリック アンド ソッファ インダストリーズ、インク.
(74)【代理人】
【識別番号】100104411
【弁理士】
【氏名又は名称】矢口 太郎
(72)【発明者】
【氏名】コッパーサイト、セオドア、ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ヴォン、トレスコウ、ハンス、エイチ.
(72)【発明者】
【氏名】ロングリー、クリストファー、アール.
(72)【発明者】
【氏名】カタリア、シッダールス、ディー.
【テーマコード(参考)】
4E167
【Fターム(参考)】
4E167AA08
4E167BE02
4E167BE04
4E167BE11
(57)【要約】
【要約】
【解決手段】 超音波溶接システムが提供される。超音波溶接システムは被加工物を支持する支持構造を含む。前記超音波溶接システムはまた、ソノトロードを保持する超音波変換器を含む溶接ヘッドアセンブリを含む。前記超音波溶接システムは、さらに、前記溶接ヘッドアセンブリを保持するz軸移動システムを含む。このz軸移動システムは、(i)前記超音波溶接システムのz軸に沿って前記溶接ヘッドアセンブリを移動させるz軸強制移動部と、(ii)前記z軸強制移動部と前記溶接ヘッドアセンブリとの間に配置されたz軸オーバートラベル機構とを含む。
【選択図】 図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波溶接システムであって、
被加工物を支持する支持構造と、
ソノトロードを保持する超音波変換器を含む溶接ヘッドアセンブリと、
前記溶接ヘッドアセンブリを保持するz軸移動システムであって、(i)当該超音波溶接システムのz軸に沿って前記溶接ヘッドアセンブリを移動させるz軸強制移動部と、(ii)前記z軸強制移動部と前記溶接ヘッドアセンブリとの間に配置されたz軸オーバートラベル機構とを含むものである、前記z軸移動システムと
を有する、超音波溶接システム。
【請求項2】
請求項1記載の超音波溶接システムにおいて、前記z軸強制移動部は、当該超音波溶接システムのz軸に沿って前記溶接ヘッドアセンブリを移動させるリニアモータを含むものである、超音波溶接システム。
【請求項3】
請求項1記載の超音波溶接システムにおいて、前記z軸強制移動部は、当該超音波溶接システムのz軸に沿って前記溶接ヘッドアセンブリを移動させるボールねじシステムを含むものである、超音波溶接システム。
【請求項4】
請求項1記載の超音波溶接システムにおいて、前記z軸強制移動部は、当該超音波溶接システムのz軸に沿って前記溶接ヘッドアセンブリを移動させる空気圧シリンダを含むものである、超音波溶接システム。
【請求項5】
請求項1記載の超音波溶接システムにおいて、前記z軸オーバートラベル機構はz軸上ばねを含むものである、超音波溶接システム。
【請求項6】
請求項1記載の超音波溶接システムにおいて、前記z軸オーバートラベル機構は空気圧シリンダを含むものである、超音波溶接システム。
【請求項7】
請求項6記載の超音波溶接システムにおいて、前記空気圧シリンダは、当該超音波溶接システムのz軸に沿って可変力を提供する二次的なz軸強制移動部である、超音波溶接システム。
【請求項8】
請求項1記載の超音波溶接システムにおいて、さらに、
当該超音波溶接システムのx軸に沿って前記溶接ヘッドアセンブリを移動させるx軸移動システムと、
当該超音波溶接システムのy軸に沿って前記溶接ヘッドアセンブリを移動させるy軸移動システムと
を有し、
前記x軸移動システムおよび前記y軸移動システムのうちの一方は、前記x軸移動システムおよび前記y軸移動システムのうちのもう一方を保持するものである、
超音波溶接システム。
【請求項9】
請求項8記載の超音波溶接システムにおいて、前記z軸移動システムは、前記x軸移動システムおよび前記y軸移動システムにより保持されるものである、超音波溶接システム。
【請求項10】
請求項1記載の超音波溶接システムにおいて、さらに、
当該超音波溶接システムのz軸に沿った、(i)前記z軸強制移動部の可動部の(ii)前記z軸強制移動部の固定部に対する移動を感知するz軸エンコーダを有するものである、超音波溶接システム。
【請求項11】
請求項1記載の超音波溶接システムにおいて、さらに、
当該超音波溶接システムのz軸に沿った、(i)前記z軸強制移動部の可動部の(ii)前記溶接ヘッドアセンブリに対する移動を感知するオーバートラベルエンコーダを有するものである、超音波溶接システム。
【請求項12】
請求項1記載の超音波溶接システムにおいて、さらに、
前記z軸強制移動部の可動部によって保持された二次的なz軸強制移動部を有し、
前記二次的なz軸強制移動部は、当該超音波溶接システムのz軸に沿って可変力を提供するものである、超音波溶接システム。
【請求項13】
請求項1記載の超音波溶接システムにおいて、さらに、
当該超音波溶接システムのz軸に沿って当該超音波溶接システムによりz軸に対して加えられる力を検出する力検出機構を有するものである、超音波溶接システム。
【請求項14】
請求項1記載の超音波溶接システムにおいて、前記ソノトロードは、溶接作業中5~500kgの接合力で動作するように構成されており、溶接作業中のソノトロードチップの運動振幅は5ミクロン~150ミクロンである、超音波溶接システム。
【請求項15】
請求項1記載の超音波溶接システムにおいて、前記ソノトロードは、直線超音波運動、およびねじり超音波運動の少なくとも1つを用いて前記被加工物の第1の部分を前記被加工物の第2の部分に溶接するように構成されているものである、超音波溶接システム。
【請求項16】
請求項1記載の超音波溶接システムにおいて、さらに、
前記被加工物を提供する被加工物投入・供給部と、
前記被加工物を前記被加工物投入・供給部から前記支持構造に移動する材料処理システムと
を有するものである、超音波溶接システム。
【請求項17】
請求項1記載の超音波溶接システムにおいて、前記被加工物は、パワーモジュール、リードフレーム、および電池モジュールからなる群から選択されるものである、超音波溶接システム。
【請求項18】
請求項1記載の超音波溶接システムにおいて、前記被加工物は端子を含み、
前記ソノトロードは前記端子を前記被加工物の別の部分に超音波溶接するように構成されているものである、超音波溶接システム。
【請求項19】
請求項1記載の超音波溶接システムにおいて、さらに、
前記ソノトロードによる超音波溶接中に前記被加工物を前記支持構造に固定する被加工物クランプシステムを有するものである、超音波溶接システム。
【請求項20】
請求項1記載の超音波溶接システムにおいて、さらに、
前記ソノトロードによる超音波溶接の前に前記被加工物を組み立てるように構成された被加工物アセンブリステーションを有し、
前記被加工物アセンブリステーションは、前記被加工物の端子を前記被加工物の別の部分に位置合わせするように構成されているものである、
超音波溶接システム。
【請求項21】
請求項1記載の超音波溶接システムにおいて、前記ソノトロードは、前記被加工物の端子と、1.5mm~30mmの範囲の面積を有する前記被加工物の別の部分との間に超音波溶接部を形成するように構成されているものである、超音波溶接システム。
【請求項22】
請求項1記載の超音波溶接システムにおいて、前記ソノトロードは、15kHz~40kHzの範囲の周波数で動作するように構成されているものである、超音波溶接システム。
【請求項23】
超音波溶接システムであって、
被加工物を支持する支持構造と、
ソノトロードを保持する超音波変換器を含む溶接ヘッドアセンブリと、
前記溶接ヘッドアセンブリを保持するz軸移動システムであって、
(i)当該超音波溶接システムのz軸に沿って前記溶接ヘッドアセンブリを移動させるz軸強制移動部であって、当該超音波溶接システムのz軸に沿って前記溶接ヘッドアセンブリを移動させるボールねじシステムを含むものである、前記z軸強制移動部と、
(ii)前記z軸強制移動部と前記溶接ヘッドアセンブリとの間に配置され、z軸上ばねを含むz軸オーバートラベル機構と
を含むものである、前記z軸移動システムと、
当該超音波溶接システムのz軸に沿った、(i)前記z軸強制移動部の可動部の(ii)前記z軸強制移動部の固定部に対する移動を感知するz軸エンコーダと、
当該超音波溶接システムのz軸に沿った、(i)前記z軸強制移動部の可動部の(ii)前記溶接ヘッドアセンブリに対する移動を感知するオーバートラベルエンコーダと
を有する、超音波溶接システム。
【請求項24】
導電端子を被加工物に超音波溶接する方法であって、
(a)被加工物を超音波溶接システムの支持構造上で支持する工程であって、前記導電端子は、前記被加工物の導電領域に位置合わせされているものである、前記支持する工程と、
(b)ソノトロードを保持する超音波変換器を含む溶接ヘッドアセンブリを提供する工程であって、当該溶接ヘッドアセンブリは、前記超音波溶接システムのz軸移動システムにおけるz軸強制移動部により前記超音波溶接システムのz軸に沿って移動されるように構成されているものである、前記溶接ヘッドアセンブリを提供する工程と、
(c)前記z軸強制移動部と前記溶接ヘッドアセンブリとの間に配置されz軸オーバートラベル機構を提供する工程であって、前記z軸強制移動部は前記溶接ヘッドアセンブリおよび当該z軸オーバートラベル機構を保持するものである、前記z軸オーバートラベル機構を提供する工程と、
(d)前記ソノトロードの溶接チップが前記導電端子に接触するまで前記z軸強制移動部の可動部を前記超音波溶接システムのz軸に沿って下方移動させる工程と、
(e)前記工程(d)の後、前記z軸オーバートラベル機構を作動させるために、前記z軸強制移動部の前記可動部を前記超音波溶接システムのz軸に沿ってさらに下方移動させる工程と、
(f)前記導電端子を前記被加工物の導電領域に溶接するために、前記ソノトロードの前記溶接チップに超音波エネルギーを加える工程と
を有する方法。
【請求項25】
請求項24記載の方法において、前記工程(e)は、前記導電端子に制御された溶接力を加える工程を含むものである、方法。
【請求項26】
請求項24記載の方法において、前記工程(e)は、前記z軸オーバートラベル機構のばねを所定の圧縮外形となるように圧縮して前記導電端子に制御された溶接力を加えるために、前記z軸強制移動部の前記可動部を前記超音波溶接システムのz軸に沿ってさらに下方移動させる工程を含むものである、方法。
【請求項27】
請求項24記載の方法において、前記工程(e)は、前記z軸オーバートラベル機構の空気圧シリンダを動作させて前記導電端子に制御された溶接力を加えるために、前記z軸強制移動部の前記可動部を前記超音波溶接システムのz軸に沿ってさらに下方移動させる工程を含むものである、方法。
【請求項28】
請求項24記載の方法において、さらに、
前記工程(d)の後であって前記工程(f)の前に、(e1)前記z軸強制移動部の前記可動部によって保持された二次的なz軸強制移動部により、前記ソノトロードによって前記導電端子に加えられるz軸における力を増加させる工程を有し、
前記二次的なz軸強制移動部は、前記超音波溶接システムのz軸に沿って可変力を提供するように構成されているものである、
方法。
【請求項29】
請求項28記載の方法において、前記二次的なz軸強制移動部は空気圧シリンダを含むものである、方法。
【請求項30】
請求項28記載の方法において、前記二次的なz軸強制移動部は電気リニアモータを含むものである、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2019年11月28日付で出願した米国特許仮出願第62/772,113号に対して利益を主張するものであり、その内容の全体がこの参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、超音波溶接システムに関し、具体的には、超音波溶接作業を実行するための改良されたシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0003】
超音波エネルギーは、2若しくはそれ以上の材料間の相互接続を形成する際に幅広く利用されている。例えば、ボンディング装置(ボールボンディング装置、ウェッジボンディング装置、リボンボンディング装置など)は、ワイヤーまたはリボンをボンディング位置に接合するために使用される。但し、ワイヤーボンディングでは(例えば、接合力、超音波エネルギー等の)比較的低レベルのエネルギーが利用される。例示的なワイヤーボンディング装置は、ペンシルベニア州、フォート ワシントンに所在するクリック アンド ソッファ インダストリーズ、インク.によって販売されている。
【0004】
特定の用途においては、材料はワイヤー以外の方法で接合される。このような用途には溶接の利用が考えられる。超音波溶接もまた広範囲に利用されている技術である。超音波溶接では、電気エネルギーを機械的運動/スクラブ運動(例えば、直線運動/スクラブ運動、ねじり運動/スクラブ運動など)に変換する超音波変換器(例えば、ソノトロードを保持)が使用される場合がある。しかしながら、従来の超音波溶接技術および装置は、コスト、作業効率、適用性、可搬性、および関連要因の点において市場要求を満たす解決手段を提供する能力に制限がある。
【0005】
したがって、潜在市場において存在する障壁を克服するために超音波溶接技術の改良が望まれている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の例示的実施形態によれば、超音波溶接システムが提供される。超音波溶接システムは被加工物を支持する支持構造を含む。前記超音波溶接システムはまた、ソノトロードを保持する超音波変換器を含む溶接ヘッドアセンブリを含む。前記超音波溶接システムは、さらに、前記溶接ヘッドアセンブリを保持するz軸移動システムを含む。このz軸移動システムは、(i)前記超音波溶接システムのz軸に沿って前記溶接ヘッドアセンブリを移動させるz軸強制移動部と、(ii)前記z軸強制移動部と前記溶接ヘッドアセンブリとの間に配置されたz軸オーバートラベル機構とを含む。
【0007】
本発明の別の例示的実施形態によれば、超音波溶接システムが提供される。超音波溶接システムは被加工物を支持する支持構造を含む。前記超音波溶接システムはまた、ソノトロードを保持する超音波変換器を含む溶接ヘッドアセンブリを含む。前記超音波溶接システムは、さらに、前記溶接ヘッドアセンブリを保持するz軸移動システムを含む。この軸移動システムは、(i)前記超音波溶接システムのz軸に沿って前記溶接ヘッドアセンブリを移動させるz軸強制移動部であって、前記超音波溶接システムのz軸に沿って前記溶接ヘッドアセンブリを移動させるボールねじシステムを含むものである、前記z軸強制移動部と、(ii)前記z軸強制移動部と前記溶接ヘッドアセンブリとの間に配置され、z軸上ばねを含むz軸オーバートラベル機構とを含む。前記超音波溶接システムは、さらに、(a)前記超音波溶接システムのz軸に沿った、(i)前記z軸強制移動部の可動部の(ii)前記z軸強制移動部の固定部に対する移動を感知するz軸エンコーダと、(b)前記超音波溶接システムのz軸に沿った、(i)前記z軸強制移動部の可動部の(ii)前記溶接ヘッドアセンブリに対する移動を感知するオーバートラベルエンコーダとを含む。
【0008】
本発明のさらなる別の例示的実施形態によれば、導電端子を被加工物に超音波溶接する方法が提供される。この方法は、(a)被加工物を超音波溶接システムの支持構造上で支持する工程であって、前記導電端子は、前記被加工物の導電領域に位置合わせされているものである、前記支持する工程と、(b)ソノトロードを保持する超音波変換器を含む溶接ヘッドアセンブリを提供する工程であって、当該溶接ヘッドアセンブリは、前記超音波溶接システムのz軸移動システムにおけるz軸強制移動部により前記超音波溶接システムのz軸に沿って移動されるように構成されているものである、前記溶接ヘッドアセンブリを提供する工程と、(c)前記z軸強制移動部と前記溶接ヘッドアセンブリとの間に配置されz軸オーバートラベル機構を提供する工程であって、前記z軸強制移動部は前記溶接ヘッドアセンブリおよび当該z軸オーバートラベル機構を保持するものである、前記z軸オーバートラベル機構を提供する工程と、(d)前記ソノトロードの溶接チップが前記導電端子に接触するまで前記z軸強制移動部の可動部を前記超音波溶接システムのz軸に沿って下方移動させる工程と、(e)前記工程(d)の後、前記z軸オーバートラベル機構を作動させるために、前記z軸強制移動部の前記可動部を前記超音波溶接システムのz軸に沿ってさらに下方移動させる工程と、(f)前記導電端子を前記被加工物の導電領域に溶接するために、前記ソノトロードの前記溶接チップに超音波エネルギーを加える工程とを含む。
【図面の簡単な説明】
【0009】
本発明は、以下の詳細な説明を添付の図面とともに一読することにより最も良く理解される。一般的な方法に従い、図面の種々の構成要素は原寸に比例したものではない。むしろ、種々の構成要素の寸法は、明確化のため、任意に拡張または縮小されている。本図面には以下の図が含まれる。
図1A図1Aは、本発明の例示的実施形態による、超音波溶接システムの側面ブロック図である。
図1B図1Bは、本発明の例示的実施形態による、別の超音波溶接システムの側面ブロック図である。
図2A図2Aは、本発明の例示的実施形態による、さらに別の超音波溶接システムの側面ブロック図である。
図2B図2Bは、本発明の例示的実施形態による、さらに別の超音波溶接システムの側面ブロック図である。
図3A図3Aは、本発明の例示的実施形態による、さらに別の超音波溶接システムの側面ブロック図である。
図3B図3Bは、本発明の例示的実施形態による、さらに別の超音波溶接システムの側面ブロック図である。
図4図4は、本発明の例示的実施形態による、さらに別の超音波溶接システムの側面ブロック図である。
図5図5は、本発明の例示的実施形態による、さらに別の超音波溶接システムの側面ブロック図である。
図6A図6A~6?は、図3Aの超音波溶接システムの側面ブロック図であり、本発明の例示的実施形態により導電端子を被加工物に超音波溶接する方法を示す。
図6B図6A~6?は、図3Aの超音波溶接システムの側面ブロック図であり、本発明の例示的実施形態により導電端子を被加工物に超音波溶接する方法を示す。
図6C図6A~6?は、図3Aの超音波溶接システムの側面ブロック図であり、本発明の例示的実施形態により導電端子を被加工物に超音波溶接する方法を示す。
図6D図6A~6?は、図3Aの超音波溶接システムの側面ブロック図であり、本発明の例示的実施形態により導電端子を被加工物に超音波溶接する方法を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
2017年4月4日の優先日を有する国際特許出願第PCT/US2018/025941号の内容の全体がこの参照により本明細書に組み込まれる。
【0011】
本発明によれば、溶接システム(および対応する方法)において、効率的な量産を達成可能な超音波溶接能力が提供される。本発明の観点はz軸移動システムを含む超音波溶接システムに関し、このz軸移動システムは、(i)溶接ヘッドアセンブリを超音波溶接システムのz軸に沿って移動させるz軸強制移動部(z-axis forcer)(例えば、リニアモーター駆動式強制移動部、ボール/ねじシステム駆動式強制移動部、空気圧シリンダ駆動式強制移動部など)と、(ii)z軸オーバートラベル機構(z-axis overtravel mechanism)(例えば、オーバートラベル機構により動作されるz軸上ばね(inline spring)、オーバートラベル機構により動作される空気圧シリンダなど)とを有する。本発明の特定の実施形態においては、(例えば、変形実施形態中、特に空気圧シリンダを含む)二次的なz軸強制移動部を組み込むことで、超音波溶接システムのz軸に沿って可変力を提供することができる。
【0012】
例示的な電気サーボモータシステム(例えば、ボール/ねじ駆動式システム)はz軸に沿って制御され、(例えば、1500Nよりも大きい)高い接合力/溶接力を提供するが、駆動系は定格で連続1kw未満である。例えば、ギアの減速および直線運動への変換にボールねじを用いてもよく、このボールねじはまた、z軸オーバートラベル機構に含まれ、かつ実際の溶接力を生成するz軸上ばね(例えば、硬質のz軸上ばね)の圧縮を制御する。
【0013】
ボールねじ駆動式システムにおいて、ボールねじはz軸上ばねを押圧して所望の接合力/溶接力を生成する。このようなシステムでは、2つの位置フィードバックセンサー(例えば、z軸エンコーダおよびオーバートラベルエンコーダ)を用いて信号を合成し、溶接中に所望の変形信号を決定することができる。超音波溶接工程中にz軸上で実質的に一定の接合力/溶接力が維持されるように溶接中z軸上の位置は動的に制御される。
【0014】
本発明の観点によれば、溶接作業中の衝撃力を最小限にするために独立したオーバートラベル機構が提供される。
【0015】
本発明のさらなる観点によれば、接合力/溶接力の適用中に生じるシフトを最小限にするために、z軸上の部材相互間(およびソノトロード)に一定の電動力が提供される。
【0016】
本発明のさらなる観点によれば、一次的なz軸強制移動部によって加えられる接合力/溶接力を微調整するための二次的な強制移動部用モータを用いてもよい。このような手法では、オーバートラベル機構に取り付けられた追加の強制移動部力の正確な較正とともに微調整能力の実現が可能となる。
【0017】
以下図面を参照する。図1Aは超音波溶接システム100aを示す。超音波溶接システム100aは、支持構造102と、支持用被加工物104とを含む。被加工物は、基板104aと、基板104aの導電領域に超音波溶接される導電端子104bとを含む。また、超音波溶接システム100aは、超音波変換器106aと、超音波変換器106aにより保持されたソノトロード106bとを含む溶接ヘッドアセンブリ106を含む。
【0018】
また、超音波溶接システム100aは、溶接ヘッドアセンブリ106を保持するz軸移動システム108aを含む。z軸移動システム108aは、(a)溶接ヘッドアセンブリ106を超音波溶接システム100aのz軸(図1Aの近傍のx、y、z軸の例示的な凡例を参照)に沿って移動させるz軸強制移動部110と、(b)z軸強制移動部110と溶接ヘッドアセンブリ106との間に配置されたz軸オーバートラベル機構112とを含む。(簡略化および明確化のため)z軸軸受についてはいずれの図にも図示していないが、任意の実装において当該機構に含んでもよい。当該z軸軸受は、可動部110bを固定部110aに対してz軸の方向に強制的に移動させる。
【0019】
図1Aにおいて、z軸強制移動部110はボールねじ駆動式強制移動部であり、(i)固定部110a(すなわち、可動部110bとともに移動しないという点で固定されている)と、(z軸エンコーダ110b1を含む)可動部110bと、移動システム110cとを含む。移動システム110cは、可動部110bを固定部110aに対して移動させる。移動システム110cは、回転モータ110c1と、ねじ軸110c2と、ねじ軸110c2に沿って移動するボールアセンブリ110c3と、ねじ軸110c2を固定部110aに取り付けるための取り付け部110c4とを含む。当業者であれば理解するように、回転モータ110c1はねじ軸110c2を回転させて、ボールアセンブリ110c3を移動させる。可動部110bはボールアセンブリ110c3により保持されているため、ボールアセンブリ110c3とともに移動する。ここで本明細書では、z軸強制移動部110は、簡略的なボールねじ駆動式強制移動部として図示および記載しているが、異なるねじ駆動式強制移動部も考えられることを理解されたい。
【0020】
図1Aにおいて、z軸オーバートラベル機構112は、(i)(直接または間接的に溶接ヘッドアセンブリ106に連結された)z軸ブロック112aと、z軸上ばね112bと、オーバートラベルエンコーダ112cと、z軸位置合わせ構造112d(例えば、可動部110bに対するz軸ブロック112aの移動が(x軸またはy軸ではなく)実質的にz軸に沿うようにz軸の位置合わせを行なう、1若しくはそれ以上のピン、湾曲部、軸受など)とを含む。
【0021】
(z軸移動システム108aにより保持された)溶接ヘッドアセンブリ106はまた、複数の実質的に水平な軸に沿って移動できる。図1Aに示す例では、溶接ヘッドアセンブリ106は、x軸移動システム118およびy軸移動システム116により、超音波溶接システム100aのx軸およびy軸に沿って移動するように構成されている。具体的には、y軸移動システム116は、y軸軸受116bを介して装置フレーム114に連結されたy軸ガントリー(gantry)116aを含む。x軸移動システム118はy軸移動システム116に保持されている。x軸移動システム118は、x軸軸受118bを介してy軸ガントリー116aに連結されたx軸ガントリー118aを含む。固定部110aは、x軸ガントリー118aに連結されている。本発明の実施形態の全体において、固定部110aはx軸ガントリー118aと同一の要素/構造とすることができるが、概念的に独立した要素として図示されていることに留意されたい。
【0022】
このように、図1Aに示す例示的な超音波溶接システム100a(および本明細書で図示し、かつ説明する他の例示的な溶接システム)では、x軸移動システムはy軸移動システムによって保持され、z軸移動システム(および溶接ヘッドアセンブリ)はx軸移動システムにより保持される。当然ながら、このような構成に対する変更が考えられる。例えば、y軸移動システムはx軸移動システムによって保持されてもよく、また、z軸移動システム(および溶接ヘッドアセンブリ)はy軸移動システムによって保持されてもよい。
【0023】
図1Bは超音波溶接システム100bを示す。超音波溶接システム100bは、例えば、支持構造102、被加工物104、溶接ヘッドアセンブリ106、z軸強制移動部110、装置フレーム114、y軸移動システム116、およびx軸移動システム118など、(図1Aに関連して図示および説明した)超音波溶接システム100aと同一のコンポーネント/要素を多数含む。したがって、図1Bにおいて当該コンポーネント/要素の特定の詳細については再度説明しない。
【0024】
図1Bの)超音波溶接システム100bは、(図1Aの)z軸オーバートラベル機構112が(図1Bの)z軸オーバートラベル機構132に置き換えられている点で(図1Aの)超音波溶接システム100aと異なる。z軸オーバートラベル機構132は、z軸強制移動部110とともにz軸移動システム108bの一部を構成する。z軸オーバートラベル機構132は、(i)(直接または間接的に溶接ヘッドアセンブリ106に連結された)z軸ブロック132aと、空気圧シリンダ132bと、オーバートラベルエンコーダ132cと、z軸位置合わせ構造132d(例えば、可動部110bに対するz軸ブロック112aの移動が(x軸またはy軸ではなく)実質的にz軸に沿うようにz軸の位置合わせを行なう、1若しくはそれ以上のピン、湾曲部、軸受など)とを含む。
【0025】
図2Aは超音波溶接システム200aを示す。超音波溶接システム200aは、例えば、支持構造102、被加工物104、溶接ヘッドアセンブリ106、z軸強制移動部110の特定の要素(すなわち、固定部110a、可動部110b)、z軸オーバートラベル機構112、装置フレーム114、y軸移動システム116、およびx軸移動システム118など、(図1Aに関連して図示および説明した)超音波溶接システム100aと同一のコンポーネント/要素を多数含む。したがって、図2Aにおいて当該コンポーネント/要素の特定の詳細については再度説明しない。
【0026】
図2Aの)超音波溶接システム200aは、(図1Aの)z軸強制移動部110のz軸移動システム110cが、(図2Aの)z軸強制移動部210のz軸移動システム210cに置き換えられている点で(図1Aの)超音波溶接システム100aと異なる。z軸移動システム210cはz軸強制移動部210の一部であり、z軸強制移動部210は超音波溶接システム200aのz軸移動システム208aの一部である。z軸移動システム210cは、(固定部110aに直接または間接的に連結された)空気圧シリンダ210c1と、(空気圧シリンダ210c1のピストン(簡略化のため図示せず)に連結され、かつ可動部110bに直接または間接的に連結された)ピストンロッド210c2とを含む。可動部110bは、ピストンロッド210c2により保持されているため、ピストンロッド210c2とともに移動する。
【0027】
図2Bは超音波溶接システム200bを示す。超音波溶接システム200bは、例えば、支持構造102、被加工物104、溶接ヘッドアセンブリ106、z軸強制移動部210、z軸移動システム210c、装置フレーム114、y軸移動システム116、およびx軸移動システム118など、(図1A、1B、図2Aに関連して図示および説明した)超音波溶接システム100a、100b、200aと同一のコンポーネント/要素を多数含む。したがって、図2Bにおいて当該コンポーネント/要素の特定の詳細については再度説明しない。
【0028】
図2Bの)超音波溶接システム200bは、(図2Aの)z軸オーバートラベル機構112が、(図2Bの、および図1Bに関連して説明した)z軸オーバートラベル機132に置き換えられている点で(図2Aの)超音波溶接システム200aと異なる。z軸オーバートラベル機132は、z軸強制移動部210とともに超音波溶接システム200bのz軸移動システム208bの一部である。z軸オーバートラベル機132は、(i)(直接または間接的に溶接ヘッドアセンブリ106に連結された)z軸ブロック132aと、空気圧シリンダ132bと、オーバートラベルエンコーダ132cと、z軸位置合わせ構造132d(例えば、可動部110bに対するz軸ブロック132aの移動が(x軸またはy軸ではなく)実質的にz軸に沿うようにz軸の位置合わせを行なう、1若しくはそれ以上のピン、湾曲部、軸受など)とを含む。
【0029】
図3Aは超音波溶接システム300aを示す。超音波溶接システム300aは、例えば、支持構造102、被加工物104、溶接ヘッドアセンブリ106、z軸強制移動部110の特定の要素(すなわち、固定部110a、可動部110b)、z軸オーバートラベル機構112、装置フレーム114、y軸移動システム116、およびx軸移動システム118など、(図1Aに関連して図示および説明した)超音波溶接システム100aと同一のコンポーネント/要素を多数含む。したがって、図3Aにおいて当該コンポーネント/要素の特定の詳細については再度説明しない。
【0030】
図3Aの)超音波溶接システム300aは、(図1Aの)z軸強制移動部110のz軸移動システム110cが、(図3Aの)z軸強制移動部310のリニアモータ310cに置き換えられている点で(図1Aの)超音波溶接システム100aと異なる。リニアモータ310cはz軸強制移動部310の一部であり、z軸強制移動部310は超音波溶接システム300aのz軸移動システム308aの一部である。リニアモータ310cは、(固定部110aに直接または間接的に連結された)固定部310c1と、(可動部110bに直接または間接的に連結された)可動部310c2とを有する。可動部110bは、可動部310c2により保持されているため、可動部310c2とともに移動する。
【0031】
図3Bは超音波溶接システム300bを示す。超音波溶接システム300bは、例えば、支持構造102、被加工物104、溶接ヘッドアセンブリ106、z軸強制移動部310、リニアモータ310c、装置フレーム114、y軸移動システム116、およびx軸移動システム118など、(図1A、1B、図3Aに関連して図示および説明した)超音波溶接システム100a、100b、300aと同一のコンポーネント/要素を多数含む。したがって、図3Bにおいて当該コンポーネント/要素の特定の詳細については再度説明しない。
【0032】
図3Bの)超音波溶接システム300bは、(図3Aの)z軸オーバートラベル機構112が、(図3Bの)z軸オーバートラベル機132に置き換えられている点で(図3Aの)超音波溶接システム300aと異なる。z軸オーバートラベル機132は、z軸強制移動部310とともに超音波溶接システム300bのz軸移動システム308bの一部である。z軸オーバートラベル機132は、(i)(直接または間接的に溶接ヘッドアセンブリ106に連結された)z軸ブロック132aと、空気圧シリンダ132bと、オーバートラベルエンコーダ132cと、z軸位置合わせ構造132d(例えば、可動部110bに対するz軸ブロック132aの移動が(x軸またはy軸ではなく)実質的にz軸に沿うようにz軸の位置合わせを行なう、1若しくはそれ以上のピン、湾曲部、軸受など)とを含む。
【0033】
図4は超音波溶接システム100a1を示す。超音波溶接システム100a1は、(図1Aに関連して図示および説明した)超音波溶接システム100aと実質的に類似しており、超音波溶接システム100aと同一のコンポーネント/要素を多数含む。したがって、図4において当該コンポーネント/要素の特定の詳細については再度説明しない。
【0034】
図4の)超音波溶接システム100a1は、(図4の)z軸移動システム108a1が、超音波溶接システム100a1のz軸に沿って、超音波溶接システム100a1によって加えられるz軸に対する力を検出する力検出機構120(例えば、ロードセル120)を含む点で(図1Aの)超音波溶接システム100aと異なる。図4では、力検出機構120は、z軸上ばね112bと可動部110bとの間に配置されているが、例えば、力測定が実施できる位置であれば、他の配置位置、特に、z軸上ばね112bとz軸ブロック112aとの間、およびz軸ブロック112aと超音波変換器106aとの間の位置などの、力検出機構120の代替位置も考えられる。
【0035】
図5は超音波溶接システム100a2を示す。超音波溶接システム100a2は、(図1Aに関連して図示および説明した)超音波溶接システム100aと実質的に類似しており、超音波溶接システム100aと同一のコンポーネント/要素を多数含む。したがって、図5において当該コンポーネント/要素の特定の詳細については再度説明しない。
【0036】
図5の)超音波溶接システム100a2は、(図5の)z軸移動システム108a2が、z軸強制移動部110の可動部110bによって保持される二次的なz軸強制移動部122(例えば、空気圧シリンダ122またはその他の強制移動部)を含む点で(図1Aの)超音波溶接システム100aと異なる。図5では、二次的なz軸強制移動部122は、超音波溶接システム100a2のz軸に沿って可変力を提供する。
【0037】
図6A~6Dは、本発明の特定の例示的な実施形態に従った超音波溶接システムの例示的な動作を示す。図6A~6Dに示す動作は、(図3Aの)超音波溶接システム300aに関連して図示および記載されている。しかしながら、図6A~6Dの動作は、本明細書で図示および説明した超音波溶接システム(例えば、超音波溶接システム100a、100b、200a、200b、300a、300b、100a1、100a2)、または本発明の範囲内にある任意の超音波溶接システムのいずれに対しても同様に適用可能であることを理解されたい。
【0038】
ここで、図6Aを参照すると、被加工物104は、超音波溶接システム300aの支持構造102上に支持されている。被加工物104は、当該被加工物の基板104aの導電領域に位置合わせされた導電端子104bを含む。図6Aにおいて、(ソノトロード106bを保持する超音波変換器106aを含む)溶接ヘッドアセンブリ106は、導電端子104bが基板104aの導電領域へ超音波溶接される前段階では被加工物104の上方に配置される。溶接ヘッドアセンブリ106は、z軸移動システム308aのz軸強制移動部310により、超音波溶接システム300aのz軸に沿って移動するように構成されている。図6Bにおいて、溶接ヘッドアセンブリ106は、z軸強制移動部310により(すなわち、z軸移動システム308aにおいて溶接ヘッドアセンブリ106を保持する可動部110bの移動を介して)z軸に沿って下方移動され、これによりソノトロード106bの溶接チップが導電端子104bに接触する。図6Cにおいて、z軸強制移動部310の可動部110bがz軸に沿ってさらに下方移動されることで、z軸オーバートラベル機構112が作動する。すなわち、図6Cでは、z軸オーバートラベル機構112のz軸上ばね112bは圧縮されている。この位置において、ソノトロード106bにより導電端子104bに対して所望のレベルの接合力が加えられるとともに、ソノトロード106bの溶接チップに超音波エネルギーが加えられ、導電端子104bが被加工物104の基板104aの導電領域に溶接される。超音波溶接作業の完了後、可動部110bは上昇移動されるため、ソノトロード106bの導電端子104bに対する接触はなくなる。
【0039】
(i)z軸移動システム308aにおける可動部110bの(ii)z軸移動システム308aにおける固定部110aに対する移動を図示するため、図6A~6Dは、印D1、D2、およびD3を含む。これらの印を説明するために使用されている、対応する高さ/距離、および関連するコンポーネント/要素は任意選択されたものであるが、これらの印は相対移動を表す点で重要である。図6Aでは、固定部110aの上縁部と可動部110bとの間に高低差「D1」が提供されている。図6Bでは、可動部110bが下方移動され、ソノトロード106bの溶接チップが導電端子104bに接触後、高低差は「D2」まで増加している。図6Cでは、可動部110bがさらに下方移動されることで、z軸オーバートラベル機構112が作動され(それにより、z軸上ばねが圧縮され)た後、高低差は「D3」までさらに増加している。図6B図6Cにおいては、ばねの間隔に対応する可変の高さ(すなわち、可動部110bの下面とオーバートラベルエンコーダ112cとの間の高さ)が示されている。具体的には、図6Bでは、この高さ/間隔は「h1」として示されているが、図6Cでは、可動部110bのさらなる下方移動(およびそれに対応するz軸上ばね112bのばね圧縮)により、この高さ/間隔は「h2」まで減少している。
【0040】
本発明の特定の例示的な実施形態によれば、超音波溶接作業中の例示的な技術仕様は以下を含む。すなわち、(i)ソノトロードについては、5kg~500kgの接合力で動作するように構成、または5kg~300kgの接合力で動作するように構成、または5kg~100kgの接合力で動作するように構成されており、(ii)ソノトロードチップの運動振幅は、5ミクロン~150ミクロン、または5ミクロン~120ミクロン、または5ミクロン~100ミクロンであり、(iii)ソノトロードについては、被加工物の第1の部分と、1.5mm~30mmの範囲の面積を有する被加工物の第2の部分との間に超音波溶接部を形成するように構成、または被加工物の第1の部分と、1.5mm~30mmの範囲の面積を有する被加工物の第2の部分との間に超音波溶接部を形成するように構成、または被加工物の第1の部分と、1.5mm~16mmの範囲の面積を有する被加工物の第2の部分との間に超音波溶接部を形成するように構成されており、(iv)ソノトロードについては、15kHz~40kHzの範囲の周波数で動作するように構成、または20kHz~35kHzの範囲の周波数で動作するように構成、または20kHz~30kHzの範囲の周波数で動作するように構成されている。また、接触要素の導電接触部分(被加工物においてソノトロードが接触する部分)の例示的は厚さは、0.2mm~3mm、0.2mm~1.5mm、および0.2mm~1.2mmを含む。
【0041】
(スプール等からのワイヤの連続供給を利用する)従来のワイヤまたはリボンボンディング装置とは異なり、超音波溶接装置は通常、被加工物の第1の部分(例えば、導電端子)を被加工物の第2の部分に溶接するために使用される。例えば、導電端子は(スプール上のワイヤの一部分であるのとは異なり)材料の独立した1要素であり、溶接領域(例えば、溶接ヘッドアセンブリの下方領域)に配置される前に、被加工物の第2の部分とともに提供(および/または第2の部分に位置合わせ)されてもよい。
【0042】
本明細書で図示および説明した超音波溶接システム(または本発明の範囲内であるその他のシステム)を使用して様々なタイプの被加工物を溶接することができる。そのような被加工物は、被加工物の第2の部分(例えば、本明細書で図示および説明した基板104aの導電領域)に溶接されるように構成された被加工物の第1の部分(例えば、本明細書で図示および説明した導電端子104b)を含む。前記被加工物は、特にパワーモジュールに適用可能である。また、当然のことながら、本発明に従ってその他のタイプの被加工物を溶接することが可能である。
【0043】
例示的な導電端子には、銅端子、銅母線の一部として含まれる端子、または所望の用途に使用されるように構成された任意の導電端子が含まれる。例示的な基板には、DBC(Direct Bonded Copper:ダイレクトボンディング銅)アセンブリ、銅板、銅片、または所望の用途に使用されるように構成された任意の基板が含まれる。
【0044】
本明細書で使用される「パワーモジュール」(パワー電子モジュールと呼ばれる場合もある)という用語は、1若しくはそれ以上のパワーコンポーネント(例えば、パワー半導体装置)を含むモジュールに関連する。例示的なパワーコンポーネントには、MOSFETs(金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ)、IGBTs(絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)、BJTs(バイポーラ接合トランジスタ)、サイリスタ、GTP、およびJFETs(接合型電界効果トランジスタ)が含まれる。また、このようなモジュールは通常、パワーコンポーネントを保持するパワー電子基板を含む。独立したパワー半導体と比べると、パワーモジュールはより高い電力密度を提供する傾向がある。
【0045】
本明細書に記載した超音波溶接作業では、(i)直線超音波運動、(ii)ねじり超音波運動、(iii)直線およびねじり超音波運動の組み合わせ、およびその他のタイプの超音波運動を利用することができる。
【0046】
本明細書では詳細に記載していないが、超音波溶接システムに関連してシータ(theta)運動もオプションの1つとして考られる。本明細書で説明したように、溶接ヘッドアセンブリは、x軸、y軸、および/またはz軸に沿って移動することができるが、シータ軸を中心として追加運動を提供してもよい。シータ移動システムは溶接ヘッドアセンブリのみに提供してもよいし、若しくはz軸移動システムなどの特定の要素も保持するようにしてもよい。
【0047】
本発明を特定の実施形態との関連で記載および図示したが、本発明を図示されている詳細に限定することを意図するものではない。むしろ、特許請求の範囲の均等物の範囲内で、本発明から逸脱することなく、詳細に亘って種々の変更が可能である。
図1A
図1B
図2A
図2B
図3A
図3B
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図6D
【国際調査報告】