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特表2022-510918エストロゲン受容体ダウンレギュレーターの塩形態、結晶形及びその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-28
(54)【発明の名称】エストロゲン受容体ダウンレギュレーターの塩形態、結晶形及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   C07D 209/30 20060101AFI20220119BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20220119BHJP
   A61P 15/00 20060101ALI20220119BHJP
   A61K 31/404 20060101ALI20220119BHJP
【FI】
C07D209/30 CSP
A61P35/00
A61P15/00
A61K31/404
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021530238
(86)(22)【出願日】2019-10-17
(85)【翻訳文提出日】2021-05-27
(86)【国際出願番号】 CN2019111624
(87)【国際公開番号】W WO2020108154
(87)【国際公開日】2020-06-04
(31)【優先権主張番号】201811434915.8
(32)【優先日】2018-11-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518340887
【氏名又は名称】羅欣薬業(上海)有限公司
【氏名又は名称原語表記】LUOXIN PHARMACEUTICAL (SHANGHAI) CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】Building 1 and 1st-3rd Floor, Building 2, No.85 Faladi Road, China (Shanghai) Pilot Free Trade Zone, Pudong New Area Shanghai 201210, China
(71)【出願人】
【識別番号】517335547
【氏名又は名称】山東羅▲新▼▲薬▼業集団股▲フン▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】SHANDONG LUOXIN PHARMACEUTICAL GROUP STOCK CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】Road Luo 7, National High & New Technology Industries Development Zone Linyi, Shandong 276017, China
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】賀輝君
(72)【発明者】
【氏名】施沈一
(72)【発明者】
【氏名】陸剣宇
(72)【発明者】
【氏名】丁照中
(72)【発明者】
【氏名】胡利紅
(72)【発明者】
【氏名】施斌
(72)【発明者】
【氏名】楊文謙
(72)【発明者】
【氏名】董加強
(72)【発明者】
【氏名】王鉄林
【テーマコード(参考)】
4C086
【Fターム(参考)】
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086BC13
4C086GA14
4C086GA15
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA02
4C086NA11
4C086ZA81
4C086ZB26
(57)【要約】
本発明にはエストロゲン受容体ダウンレギュレーターの塩形態、結晶形及びその製造方法が開示され、前記塩形態及び結晶形は乳がんを治療できる。
【化1】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物。
【化1】
【請求項2】
Cu-Kαを使用して測定された粉末X線回折スペクトルは以下の2θ角:5.52±0.2°、13.68±0.2°、19.98±0.2°、20.80±0.2°、22.02±0.2°、22.44±0.2°、24.94±0.2°及び26.96±0.2°において特徴的な回折ピークを有することを特徴とする、式(I)の化合物の結晶形A。
【化2】
【請求項3】
Cu-Kαを使用して測定された粉末X線回折スペクトルは以下の群から選択される9個以上、10個以上、11個以上の2θ角:5.52±0.2°、13.68±0.2°、18.86±0.2°、19.98±0.2°、20.80±0.2°、21.62±0.2°、22.02±0.2°、22.44±0.2°、23.34±0.2°、24.94±0.2°、26.96±0.2°及び28.42±0.2°において特徴的な回折ピークを有することを特徴とする、請求項2に記載の結晶形A。
【請求項4】
Cu-Kαを使用して測定された粉末X線回折スペクトルは図1に示された通りであることを特徴とする、請求項3に記載の結晶形A。
【請求項5】
示差走査熱量曲線は239.46℃±3℃において吸熱ピークの開始点を有することを特徴とする、請求項2~4のいずれか1項に記載の結晶形A。
【請求項6】
示差走査熱量スペクトルは図2に示された通りであることを特徴とする、請求項5に記載の結晶形A。
【請求項7】
Cu-Kαを使用して測定された粉末X線回折スペクトルは以下の2θ角:5.68±0.2°、12.36±0.2°、19.24±0.2°、19.86±0.2°、20.62±0.2°、21.64±0.2°、22.68±0.2°及び24.96±0.2°において特徴的な回折ピークを有することを特徴とする、式(I)の化合物の結晶形B。
【請求項8】
Cu-Kαを使用して測定された粉末X線回折スペクトルは以下の群から選択される9個以上、10個以上、11個以上の2θ角:5.68±0.2°、12.36±0.2°、13.42±0.2°、19.24±0.2°、19.86±0.2°、20.62±0.2°、21.64±0.2°、22.68±0.2°、24.96±0.2°、26.38±0.2°、27.44±0.2°及び30.62±0.2°において特徴的な回折ピークを有することを特徴とする、請求項7に記載の結晶形B。
【請求項9】
Cu-Kαを使用して測定された粉末X線回折スペクトルは図3に示された通りであることを特徴とする、請求項8に記載の結晶形B。
【請求項10】
式(II)の化合物。
【化3】
【請求項11】
Cu-Kαを使用して測定された粉末X線回折スペクトルは図4に示された通りであることを特徴とする、式(II)の化合物の結晶形C。
【請求項12】
式(III)の化合物。
【化4】
【請求項13】
Cu-Kαを使用して測定された粉末X線回折スペクトルは図5に示された通りであることを特徴とする、式(III)の化合物の結晶形D。
【請求項14】
Cu-Kαを使用して測定された粉末X線回折スペクトルは図6に示された通りであることを特徴とする、式(III)の化合物の結晶形E。
【請求項15】
式(IV)の化合物。
【化5】
【請求項16】
Cu-Kαを使用して測定された粉末X線回折スペクトルは図7に示された通りであることを特徴とする、式(IV)の化合物の結晶形F。
【請求項17】
Cu-Kαを使用して測定された粉末X線回折スペクトルは図8に示された通りであることを特徴とする、式(IV)の化合物の結晶形G。
【請求項18】
式(V)の化合物。
【化6】
【請求項19】
Cu-Kαを使用して測定された粉末X線回折スペクトルは図9に示された通りであることを特徴とする、式(V)の化合物の結晶形H。
【請求項20】
Cu-Kαを使用して測定された粉末X線回折スペクトルは図10に示された通りであることを特徴とする、式(V)の化合物の結晶形I。
【請求項21】
Cu-Kαを使用して測定された粉末X線回折スペクトルは図11に示された通りであることを特徴とする、式(V)の化合物の結晶形J。
【請求項22】
式(VI)の化合物。
【化7】
【請求項23】
Cu-Kαを使用して測定された粉末X線回折スペクトルは図12に示された通りであることを特徴とする、式(VI)の化合物の結晶形K。
【請求項24】
乳がんを治療する医薬の製造における、請求項1~23のいずれか1項に記載の化合物または結晶形の使用。

【発明の詳細な説明】
【0001】
本出願は出願日が2018年11月28日である中国特許出願CN201811434915.8の優先権を主張する。本出願は前記中国特許出願の全文を引用する。
【0002】
〔技術分野〕
本発明はエストロゲン受容体ダウンレギュレーターの塩形態、結晶形及びその製造方法に関し、更に、乳がん治療薬の製造における前記塩形態及び結晶形の使用を含む。
【0003】
〔背景技術〕
WHOの統計によると、乳がんは世界で発病率が2番目に高いがんになり、女性の間で最も発病率の高いがんでもある。長年の研究を経て、エストロゲン-エストロゲン受容体シグナル伝達経路が乳がんの発症における役割が確定され;エストロゲン受容体(ER)も乳がんの最も重要なバイオマーカーに発展した。エストロゲン受容体の発現を判断指標として、乳がんはエストロゲン受容体陽性乳がんとエストロゲン受容体陰性乳がんに分類でき;その中で、エストロゲン受容体陽性乳がんは乳がん患者の総数の70%以上を占めしている。
【0004】
乳がん細胞におけるエストロゲン-エストロゲン受容体シグナル伝達経路に対する内分泌療法(Endocrine Therapy、ET)は、その危険性が最も小さく、治療効果が有意であるため、既にエストロゲン受容体陽性乳がんの治療のための一番好ましい選択肢になった。内分泌療法には、主に以下の3つの治療法:卵巣機能抑制療法、アロマターゼ阻害剤(Aromatase inhibitor、AI)、選択的エストロゲン受容体モジュレーター(Selective estrogen receptor modulator、SERM)が含まれる。卵巣機能抑制療法は、その治療効果が理想的ではなく、患者の満足度が低いため、他の2つの治療方法よりは使用されていない。初期のアロマターゼ阻害剤(第1代、第2代)は標的選択性が低く、毒性と副作用が高い;長年の研究を経て、第3代のアロマターゼ阻害剤はその選択性を大幅に改善し、初期のアロマターゼ阻害剤の問題を解決して広く使用されている。その中で、レトロゾールなどは、既に、第一選択薬としてエストロゲン受容体陽性の乳がんの治療に使用された。選択的エストロゲン受容体モジュレーター(SERM)は、エストロゲン受容体に直接作用して当該シグナル伝達経路を遮断し、治療効果が有意で、使用されて来た歴史が長い。その中で、タモキシフェンは最も代表的な選択的エストロゲン受容体モジュレーターである。タモキシフェンは、優先使用がお勧めされた第一選択薬として、エストロゲン受容体陽性乳がんの予防と治療に有意な臨床効果を示している。
【0005】
アロマターゼ阻害剤であるレトロゾールと選択的エストロゲン受容体モジュレーターであるタモキシフェンは、エストロゲン受容体陽性乳がんの治療に優れた効果を示していたが、二つの医薬の使用につれ、エストロゲン受容体陽性乳がんのアロマターゼ阻害剤と選択的エストロゲン受容体モジュレーターに対する薬剤耐性の問題もより目立つようになった。多くの研究が、前記2つのホルモン療法に対する乳がんの耐性機序が完全に同じではないことを示している。アロマターゼ阻害剤の場合、エストロゲン受容体は対応する変異を引き起こす可能性がある。変異したエストロゲン受容体自体は、エストロゲンの非存在下で興奮したコンフォメーションを維持することができ、乳がん細胞の増殖を促進するために受容体機能を実行し続けることができる。選択的エストロゲン受容体モジュレーターであるタモキシフェンに対する乳がん細胞の耐性機序は、より複雑で多様である。まず、乳がん細胞は、エストロゲン受容体活性化機能領域-1(AF-1)機能を活性化することで、タモキシフェンによって引き起こされるエストロゲン受容体活性化機能領域-2(AF-2)の機能喪失を補うことができる。同時に、乳がん細胞は、エストロゲン受容体コアクチベーターの構造または濃度を調節することによりタモキシフェンと結合した後のエストロゲン受容体のコンフォメーションに適応し、エストロゲン受容体機能を回復させ、これによって薬剤耐性を引き起す。
【0006】
前記2つのホルモン療法に耐性のある乳がんの治療において、選択的エストロゲン受容体ダウンレギュレーター(Selective estrogen receptor down-regulator、SERD)はその特有の優越性を示した。機序において、選択的エストロゲン受容体ダウンレギュレーターは、エストロゲン受容体の機能に拮抗し、乳がん細胞内(正常なまたは変異した)におけるエストロゲン受容体のユビキチン化の分解を大幅に加速させ、エストロゲン/エストロゲン受容体シグナル伝達経路を完全にブロックして、正常なまたは薬剤耐性の乳がん細胞の成長と増殖を阻害する目的を達成する。研究により、選択的エストロゲン受容体ダウンレギュレーターは、ホルモン抵抗性乳がん細胞の増殖を効果的に阻害できることが示された。唯一市販されている選択的エストロゲン受容体ダウンレギュレーターとして、フルベストラント(Fulvestrant)はホルモン抵抗性乳がんの治療において良好な結果を示しており、選択的エストロゲン受容体ダウンレギュレーターの特有の優越性を検証した。しかし、フルベストラント自体には多くの問題がある。まず、PK特性が低いため、フルベストラントはゼロの経口バイオアベイラビリティを示し;同時に、フルベストラントは又、高い血液クリアランス率を有する。前記2つの理由により、当該薬物は筋肉内注射によって投与するしなかい。しかし、その強い親油性構造のために、筋肉注射で投与されたフルベストラントはまた、組織分布において深刻な問題がある。従って、経口バイオアベイラビリティを備えた選択的エストロゲン受容体ダウンレギュレーターの開発は、緊急のな医療需要である。
【0007】
WO2012037411A2には、口腔選択的エストロゲン受容体ダウンレギュレーターARN-810が報告され、ER陽性乳がんの治療のための当該分子の第II相臨床試験は現在進行中である。レポート[J.Med.Chem.2015,58(12)、4888~4904]によると、当該分子の重要なファーマコフォアは分子の左側のインダゾール構造であり、インダゾール構造内の窒素原子は水素結合受容体としてエストロゲン受容体と結合する。
【0008】
【化1】
【0009】
WO2017162206A1には、化合物I-8(WO2017162206A1の実施例8)の製造および生物学的活性を含む一連の経口投与型選択的エストロゲン受容体ダウンレギュレーターが報道された:
【0010】
【化2】
【0011】
〔発明の開示〕
〔発明が解決しようとする課題〕
本発明は(I)の化合物を提供する。
【0012】
【化3】
【0013】
本発明は、更に、Cu-Kαを使用して測定された粉末X線回折スペクトルが以下の2θ角:5.52±0.2°、13.68±0.2°、19.98±0.2°、20.80±0.2°、22.02±0.2°、22.44±0.2°、24.94±0.2°及び26.96±0.2°において特徴的な回折ピークを有することを特徴とする、式(I)の化合物の結晶形Aを提供する。
【0014】
【化4】
【0015】
本発明の幾つかの実施の態様において、前記結晶形Aは、Cu-Kαを使用して測定された粉末X線回折スペクトルが以下の群から選択される9個以上、10個以上、11個以上の2θ角:5.52±0.2°、13.68±0.2°、18.86±0.2°、19.98±0.2°、20.80±0.2°、21.62±0.2°、22.02±0.2°、22.44±0.2°、23.34±0.2°、24.94±0.2°、26.96±0.2°及び28.42±0.2°において特徴的な回折ピークを有することを特徴とする。
【0016】
本発明の幾つかの実施の態様において、前記結晶形Aは、Cu-Kαを使用して測定された粉末X線回折スペクトルが図1に示された通りである。
【0017】
本発明の幾つかの実施の態様において、前記結晶形AのXRPDスペクトル解析データは表1に示された通りである。
【0018】
【表1】
【0019】
本発明の幾つかの実施の態様において、前記結晶形Aは、示差走査熱量曲線が239.46℃±3℃において吸熱ピークを有する。
【0020】
本発明の幾つかの実施の態様において、前記結晶形Aは、示差走査熱量スペクトルが図2に示された通りである。
【0021】
本発明は、更に、Cu-Kαを使用して測定された粉末X線回折スペクトルが以下の2θ角:5.68±0.2°、12.36±0.2°、19.24±0.2°、19.86±0.2°、20.62±0.2°、21.64±0.2°、22.68±0.2°及び24.96±0.2°において特徴的な回折ピークを有することを特徴とする、式(I)の化合物の結晶形Bを提供する。
【0022】
本発明の幾つかの実施の態様において、前記結晶形Bは、そのCu-Kαを使用して測定された粉末X線回折スペクトルが以下の群から選択される9個以上、10個以上、11個以上の2θ角:5.68±0.2°、12.36±0.2°、13.42±0.2°、19.24±0.2°、19.86±0.2°、20.62±0.2°、21.64±0.2°、22.68±0.2°、24.96±0.2°、26.38±0.2°、27.44±0.2°及び30.62±0.2°において特徴的な回折ピークを有することを特徴とする。
【0023】
本発明の幾つかの実施の態様において、前記結晶形Bは、そのCu-Kαを使用して測定された粉末X線回折スペクトルが図3に示された通りであることを特徴とする。
【0024】
本発明の幾つかの実施の態様において、前記結晶形BのXRPDスペクトル解析データは表2に示された通りである。
【0025】
【表2】
【0026】
本発明は、更に、式(II)の化合物を提供する。
【0027】
【化5】
【0028】
本発明は、更に、Cu-Kαを使用して測定された粉末X線回折スペクトルが図4に示された通りである、式(II)の化合物の結晶形Cを提供する。
【0029】
本発明の幾つかの実施の態様において、前記結晶形CのXRPDスペクトル解析データは表3に示された通りである。
【0030】
【表3】
【0031】
本発明は、更に、式(III)の化合物を提供する。
【化6】
【0032】
本発明は、更に、Cu-Kαを使用して測定された粉末X線回折スペクトルが図5に示された通りである、式(III)の化合物の結晶形Dを提供する。
【0033】
本発明の幾つかの実施の態様において、前記結晶形DのXRPDスペクトル解析データは表4に示された通りである。
【0034】
【表4】
【0035】
本発明は、更に、Cu-Kαを使用して測定された粉末X線回折スペクトルが図6に示された通りである、式(III)の化合物の結晶形Eを提供する。
【0036】
本発明の幾つかの実施の態様において、前記結晶形EのXRPDスペクトル解析データは表5に示された通りである。
【0037】
【表5】
【0038】
本発明は、更に、式(IV)の化合物を提供する。
【0039】
【化7】
【0040】
本発明は、更に、Cu-Kαを使用して測定された粉末X線回折スペクトルが図7に示された通りである、式(IV)の化合物の結晶形Fを提供する。
【0041】
本発明の幾つかの実施の態様において、前記結晶形FのXRPDスペクトル解析データは表6に示された通りである。
【0042】
【表6】
【0043】
本発明は、更に、Cu-Kαを使用して測定された粉末X線回折スペクトルが図8に示された通りである、式(IV)の化合物の結晶形Gを提供する。
【0044】
本発明の幾つかの実施の態様において、前記G結晶形のXRPDスペクトル解析データは表7に示された通りである。
【0045】
【表7】
【0046】
本発明は、更に、式(V)の化合物を提供する。
【0047】
【化8】
【0048】
本発明は、更に、Cu-Kαを使用して測定された粉末X線回折スペクトルが図9に示された通りである、式(V)の化合物の結晶形Hを提供する。
【0049】
本発明の幾つかの実施の態様において、前記結晶形HのXRPDスペクトル解析データは表8に示された通りである。
【0050】
【表8】
【0051】
本発明は、更に、Cu-Kαを使用して測定された粉末X線回折スペクトルが図10に示された通りである、式(V)の化合物の結晶形Iを提供する。
【0052】
本発明の幾つかの実施の態様において、前記結晶形IのXRPDスペクトル解析データは表9に示された通りである。
【0053】
【表9】
【0054】
本発明は、更に、Cu-Kαを使用して測定された粉末X線回折スペクトルが図11に示された通りである、式(V)の化合物の結晶形Jを提供する。
【0055】
本発明の幾つかの実施の態様において、前記結晶形JのXRPDスペクトル解析データは表10に示された通りである。
【0056】
【表10】
【0057】
本発明は、更に、式(VI)の化合物を提供する。
【0058】
【化9】
【0059】
本発明は、更に、Cu-Kαを使用して測定された粉末X線回折スペクトルが図12に示された通りであることを特徴とする、式(VI)の化合物の結晶形Kを提供する。
【0060】
本発明の幾つかの実施の態様において、前記結晶形KのXRPDスペクトル解析データは表11に示された通りである。
【0061】
【表11】
【0062】
本発明は、更に、乳がんを治療する医薬の製造における、前記化合物または結晶形の使用を提供する。
【0063】
〔技術効果〕
WO2017162206A1で報道された化合物I-8の遊離酸形態と比較して、本発明の式(I)の化合物及びその結晶形は水への溶解度にほぼ100倍の増加があり;生物学的媒体での溶解度試験でも、式(I)の化合物及びその結晶形の溶解度は大幅に改善され;生体内薬物動態の研究において、式(I)の化合物及びその結晶形は優れた特性を示し、生物体内における曝露量は有意に増加した。式(I)の化合物の及びその結晶形のこのよう良好な特性は、薬になれ安くさせ、患者に利益をもたらし、臨床の需要を満たす。
【0064】
〔定義及び説明〕
別途に説明しない限り、本明細書で用いられる以下の用語及び連語は以下の意味を含む。一つの特定の連語または用語は、特別に定義されない場合、不確定または不明瞭ではなく、普通の定義として理解されるべきである。本明細書で商品名が出た場合、相応の商品またはその活性成分を指す。
【0065】
本発明の中間体化合物は当業者に熟知の様々な合成方法によって製造することができ、以下に挙げられた具体的な実施形態、ほかの化学合成方法と合わせた実施形態及び当業者に熟知の同等の代替方法を含み、好適な実施形態は本発明の実施例を含むが、これらに限定されない。
【0066】
本発明の具体的な実施形態の化学反応は適切な溶媒で完成され、前記の溶媒は本発明の化学変化及びそれに必要な試薬と材料に適するべきである。本発明の化合物を得るため、当業者が既存の実施形態に基づいて合成工程または反応スキームを変更または選択することが必要であることもある。
【0067】
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、これらの実施例は本発明の何らの制限にもならない。
【0068】
本発明に使用されたすべての溶媒は市販品で、さらに精製せずにそのままで使用してもよい。
【0069】
本発明は下記略語を使用する:MWはマイクロ波を表し;r.t.は室温を表し;aqは水溶液を表し;DCMはジクロロメタンを表し;THFはテトラヒドロフランを表し;DMSOはジメチルスルホキシドを表し;NMPはN-メチルピロリドンを表し;EtOAcは酢酸エチルを表し;EtOHはエタノールを表し;MeOHはメタノールを表し;dioxaneはジオキサンを表し;HOAcは酢酸を表し;Bocはtert-ブトキシカルボニルを表し、Cbzはベンジルオキシカルボニルを表し、両方ともアミン保護基であり;BocOは二炭酸ジ-tert-ブチルを表し;DIPEAはジイソプロピルエチルアミンを表し;TEA又はEtNはトリエチルアミンを表し;BnNHはベンジルアミンを表し;PMBNHはp-メトキシベンジルアミンを表し;KOAcは酢酸カリウムを表し;NaOAcは酢酸ナトリウムを表し;CsCOは炭酸セシウムを表し;KCOは炭酸カリウムを表し;NaHCOは炭酸水素ナトリウムを表し;NaSOは硫酸ナトリウムを表し;pyridineはピリジンを表し;NaOHは水酸化ナトリウムを表し;TEA又はEtNはトリエチルアミンを表し;NaHは水素ナトリウムを表し;LiHMDSはリチウムビス(トリメチルシリル)アミドを表し;i-PrMgBrはイソプロピルマグネシウムブロミドを表し;t-BuOKはカリウムtert-ブトキシドを表し;t-BuONaはナトリウムtert-ブトキシドを表し;Pd(dba)はトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)を表し;Pd(PPhはテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)を表し;Pd(dppf)ClCHClは1,1-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)を表し;Pd(OAc)は酢酸パラジウムを表し;Pd(PPhClビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリドを表し;Pd(PPhClはトリス(トリフェニルホスフィン)ロジウム(I)クロリドを表し;Pd(OH)は水酸化パラジウムを表し;Xantphosは4,5-ビス(ジフェニルホスフィノ)-9,9-ジメチルキサンテンを表し;Xphosは2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2’,4’,6’-トリイソプロピル-1,1’-ビフェニルを表し;BINAPは(±)-2,2’-ビス(ジフェニルホスフィノ)-1,1’-ビナフチルを表し;Xantphosは4,5-ビス(ジフェニルホスフィノ)-9,9-ジメチルキサンテンを表し;Xphos-Pd-Gはクロロ(2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2’,4’,6’-トリイソプロピル-1,1’-ビフェニル)[2-(2’-アミノエチルフェニル)]パラジウム(II)を表し;Xphos-PD-Gはクロロ(2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2’,4’,6’-トリイソプロピル-1,1’-ビフェニル)[2-(2’-アミノ-1,1’-ビフェニル)]パラジウム(II)を表し;Xphos-Pd-Gはメタンスルホナト(2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2’,4’,6’-トリイソプロピル-1,1’-ビフェニル)[2-(2’-アミノ-1,1’-ビフェニル)]パラジウム(II)を表し;Iはヨウ素の単体を表し;LiClは塩化リチウムを表し;HClは塩酸を表し;maleicacidはマレイン酸を表す。
【0070】
化合物は手作りで名付けられ、又はChemDraw(登録商標)ソフトウェアで名付けられ、市販化合物はベンダー名を用いる。
【0071】
本発明に係る粉末X線回折(X-ray powder diffractometer、XRPD)方法
計器モデル:ブルカーD8 advance X-線回折計。
測定方法:約10~20mgの試料をXRPDの検出に用いる。
X線管:Cu、kα、(λ=1.54056Å)。
管電圧:40kV、管電流:40mA。
発散スリット:0.60mm。
センサスリット:10.50mm。
散乱防止スリット:7.10mm。
走査範囲:3~40deg又は4~40deg。
ステップ角:0.02deg。
ステップ幅:0.12秒。
サンプルパン回転数:15rpm。
【0072】
本発明に係る示差熱分析(Differential Scanning Calorimeter、DSC)方法
計器モデル:TA Q2000示差走査熱量計。
測定方法:試料(~1mg)をDSCアルミニウム製坩堝に量り取り測定を行う。50mL/min N条件で、10℃/minの昇温速度で、試料を室温から250℃(又は280℃)まで加熱する。
【0073】
本発明に係る熱重量分析(Thermal Gravimetric Analyzer、TGA)方法
計器モデル:TA Q5000IR熱重量分析計。
測定方法:試料(2~5mg)をTGA白金坩堝に量り取り測定を行う。25mL/min N条件で、10℃/minの昇温速度で、試料を室温から300℃まで、又は重量が20%減少するまで加熱する。
【0074】
〔図面の簡単な説明〕
図1〕式(I)の化合物の結晶形AのXRPDスペクトルである。
図2〕式(I)の化合物の結晶形AのDSCスペクトルである。
図3〕式(I)の化合物の結晶形BのXRPDスペクトルである。
図4〕式(II)の化合物の結晶形CのXRPDスペクトルである。
図5〕式(III)の化合物の結晶形DのXRPDスペクトルである。
図6〕式(III)の化合物の結晶形EのXRPDスペクトルである。
図7〕式(IV)の化合物の結晶形FのXRPDスペクトルである。
図8〕式(IV)の化合物の結晶形GのXRPDスペクトルである。
図9〕式(V)の化合物の結晶形HのXRPDスペクトルである。
図10〕式(V)の化合物の結晶形IのXRPDスペクトルである。
図11〕式(V)の化合物の結晶形JのXRPDスペクトルである。
図12〕式(VI)の化合物の結晶形KのXRPDスペクトルである。
【0075】
〔発明を実施するための形態〕
本発明の内容がよりよく分かるように、以下に具体的な実施の形態を参照しながらさらに説明するが、具体的な実施の態様は本発明の内容を制限するものではない。
【0076】
実施例1:式(I)の化合物の結晶形Aの製造
【0077】
順次に無水メタノール(4.9L)、コリン水溶液(重量含有量:49.5%、467.60g)、無水メタノール(0.12L)を反応ケトルに添加し、温度を25℃に調整した。次に反応ケトルに化合物I-8(1004.15g)の無水メタノール(4.90L)溶液を滴下し、温度は20~25℃に制御した。滴下完了後、約35℃で5時間攪拌し、加熱と攪拌を停止させた。反応液に酢酸エチル(10.04L)を添加し、40℃で恒量になるまで濃縮し、当該過程を2回繰り返した。又、酢酸エチル(16.58L)を添加し、79℃に昇温させ、42時間還流させた。室温に冷却させ、攪拌を停止させた。濾過し、ケーキを酢酸エチル(3.00L)で洗浄し、ケーキを収集し、周囲温度(15~25℃)で19時間乾燥させ、ケーキを45~50℃、-0.8MPaの条件下で約28時間乾燥させて、式(I)の化合物のA結晶形を得た。
【0078】
1H NMR(400MHz、DMSO-d6)δ=12.14(brs、1H)、7.53~7.45(m、1H)、7.45~7.41(m、1H)、7.41~7.33(m、1H)、7.31~7.22(m、1H)、7.22~7.08(m、5H)、7.02~6.89(m、3H)、6.25(d、J=16.0Hz、1H)、3.94~3.77(m、2H)、3.47~3.41(m、2H)、3.13(s、9H)、2.49~2.31(m、2H)、0.88(t、J=7.6Hz、3H)。
【0079】
実施例2:式(I)の化合物の結晶形Bの製造
【0080】
20℃で、化合物I-8(1g)及び酢酸エチル(10mL)にヒドロキシコリンメタノール溶液(重量含有量:45%、1g)を添加し、20℃で16時間攪拌し、得られた黄色の溶液は徐々に固体が析出して黄色の懸濁液になった。濾過し、ケーキを酢酸エチル(5mL×3)で洗浄し、真空で乾燥させて、式(I)の化合物の結晶形Bを得た。
【0081】
1H NMR(400MHz、DMSO-d6)δ=11.88(brs、1H)、7.47(d、J=8.4Hz、1H)、7.41(d、J=8.4Hz、2H)、7.28(d、J=8.4Hz、1H)、7.20~7.08(m、5H)、6.98~6.90(m、3H)、6.26(d、J=16.0Hz、1H)、3.88~3.80(m、2H)、3.45~3.38(m、2H)、3.11(s、9H)、2.47~2.35(m、2H)、0.87(t、J=7.2Hz、3H)。
【0082】
実施例3:式(II)の化合物の結晶形Cの製造
【0083】
1gの化合物I-8を10mの酢酸エチルに溶解させ、50℃で30分間攪拌し、50℃でヒドロキシコリン水溶液(重量含有量:50%、248.86mg)を添加し、50℃で5時間攪拌した後、20℃に冷却させて12時間攪拌した。固体が析出し、濾過し、ケーキを酢酸エチル(3mL×3)で洗浄し、濃縮して、1.08gの白色固体を得、式(II)の化合物の結晶形Cであった。
【0084】
1H NMR(400MHz、DMSO-d6)δ=11.62(brs、1H)、7.49(d、J=8.4Hz、1H)、7.41(d、J=8.4Hz、2H)、7.32~7.25(m、3H)、7.20~7.08(m、4H)、6.97(d、J=8.4Hz、2H)、6.38(d、J=16.0Hz、1H)、3.88~3.82(m、1H)、3.43~3.38(m、1H)、3.11(s、4.5H)、2.50~2.32(m、2H)、0.89(t、J=7.6Hz、3H)。
【0085】
実施例4:式(III)の化合物の結晶形の製造
【0086】
1)式(III)の化合物の結晶形Dの製造
0.2gの遊離酸をアセトニトリル(2mL)に溶解させ、50℃で30分間撹拌し、55.48mgのトロメタミンを添加し、50℃で5時間撹拌した後、25℃に冷却させ、16時間撹拌した。固体が析出し、濾過し、ケーキをn-ヘプタン(3mL×3)で洗浄し、固体を濃縮して、145mgの明るい黄色の固体を得た。
【0087】
1H NMR(400MHz、DMSO-d6)δ=11.52(brs、1H)、7.49(d、J=8.0Hz、1H)、7.40(d、J=8.0Hz、2H)、7.32~7.23(m、3H)、7.22~7.10(m、4H)、6.97(d、J=8.0Hz、2H)、6.32(d、J=15.6Hz、1H)、3.41(s、6H)、2.48-2.39(m、2H)、0.87(t、J=7.6Hz、3H)。
【0088】
2)式(III)の化合物の結晶形Eの製造
0.2gの遊離酸をイソプロパノール(2mL)に溶解させ、50℃で30分間撹拌し、55.48mgのトロメタミンを添加し、50℃で5時間撹拌した後、25℃に冷却させ、16時間撹拌した。溶液は常に透明のままで、20mLのn-ヘプタンを含有するガラス瓶に注ぎ、濾過して粘稠なオイル状物を得、濃縮して103mgの明るい黄色の固体ジエチルアミン塩を得た。
【0089】
1H NMR(400MHz、DMSO-d6)δ=11.50(brs、1H)、7.48(d、J=8.0Hz、1H)、7.40(d、J=8.0Hz、2H)、7.33~7.22(m、3H)、7.21~7.08(m、4H)、6.96(d、J=8.0Hz、2H)、6.31(d、J=16.0Hz、1H)、3.38(s、6H)、2.50~2.39(m、2H)、0.88(t、J=7.6Hz、3H)。
【0090】
実施例5:式(IV)の化合物の製造
【0091】
1)式(IV)の化合物の結晶形Fの製造
0.2gの遊離酸をアセトン(2mL)に溶解させ、50℃で30分間撹拌し、33.50mgのジエチルアミンを添加し、50℃で5時間撹拌した後、25℃に冷却させ、16時間撹拌した。大量の白色固体が析出し、濾過し、ケーキをアセトン(2mL×3)で洗浄し、ケーキを濃縮して、161mgの白色固体を得た。
【0092】
1H NMR(400MHz、DMSO-d6)δ=11.56(brs、1H)、7.51(d、J=7.2Hz、1H)、7.40(d、J=7.6Hz、2H)、7.31~7.28(m、3H)、7.20~7.10(m、4H)、6.96(d、J=8.4Hz、2H)、6.32(d、J=16.0Hz、1H)、2.76(d、J=7.2Hz、4H)、2.51~2.43(m、2H)、1.11(d、J=7.2Hz、6H)、0.89(t、J=7.6Hz、3H)。
【0093】
2)式(IV)の化合物の結晶形Gの製造
0.2gの遊離酸をイソプロパノール(2mL)に溶解させ、50℃で30分間撹拌し、33.50mgのジエチルアミンを添加し、50℃で5時間撹拌した後、25℃に冷却させ、16時間撹拌した。大量の白色固体が析出し、濾過し、ケーキをアセトン(2mL×3)で洗浄し、ケーキを濃縮して、163mgの白色固体ピペラジン塩を得た。
【0094】
1H NMR(400MHz、DMSO-d6)δ=11.56(brs、1H)、7.51(d、J=7.2Hz、1H)、7.40(d、J=7.6Hz、2H)、7.31~7.28(m、3H)、7.2~7.10(m、4H)、6.97(d、J=8.0Hz、2H)、6.33(d、J=16.0Hz、1H)、2.76(d、J=7.2Hz、4H)、2.51~2.43(m、2H)、1.11(d、J=7.2Hz、6H)、0.89(t、J=7.6Hz、3H)。
【0095】
実施例6:式(V)の化合物の結晶形の製造
【0096】
1)式(V)の化合物の結晶形Hの製造
0.2gの遊離酸をアセトン(2mL)に溶解させ、50℃で30分間撹拌し、39.45mgのピペラジンを添加し、50℃で5時間撹拌した後、25℃に冷却させ、16時間撹拌した。大量の白色固体が析出し、濾過し、ケーキをアセトン(2mL×3)で洗浄し、ケーキを濃縮して、白色固体を得た。
【0097】
1H NMR(400MHz、DMSO-d6)δ=11.55(brs、1H)、7.49(d、J=8.0Hz、1H)、7.43~7.37(m、2H)、7.31~7.29(m、3H)、7.19~7.11(m、4H)、6.96(d、J=8.4Hz、2H)、6.32(d、J=15.6Hz、1H)、2.78(s、8H)、2.50~2.41(m、2H)、0.89(t、J=7.6Hz、3H)。
【0098】
2)式(V)の化合物の結晶形Iの製造
0.2gの遊離酸をアセトニトリル(2mL)に溶解させ、50℃で30分間撹拌し、39.45mgのピペラジンを添加し、50℃で5時間撹拌した後、25℃に冷却させ、16時間撹拌した。大量の白色固体が析出し、濾過し、ケーキをアセトン(2mL×3)で洗浄し、ケーキを濃縮して、白色固体を得た。
【0099】
1H NMR(400MHz、DMSO-d6)δ=11.55(brs、1H)、7.49(d、J=8.0Hz、1H)、7.43~7.37(m、2H)、7.31~7.29(m、3H)、7.19~7.12(m、4H)、6.96(d、J=8.0Hz、2H)、6.32(d、J=16.0Hz、1H)、2.78(s、8H)、2.50~2.41(m、2H)、0.89(t、J=7.6Hz、3H)。
【0100】
3)式(V)の化合物の結晶形Jの製造
0.2gの遊離酸をイソプロパノール(2mL)に溶解させ、50℃で30分間撹拌し、39.45mgのピペラジンを添加し、50℃で5時間撹拌した後、25℃に冷却させ、16時間撹拌した。大量の白色固体が析出し、濾過し、ケーキをアセトン(2mL×3)で洗浄し、ケーキを濃縮して、白色固体を得た。
【0101】
1H NMR(400MHz、DMSO-d6)δ=11.54(brs、1H)、7.50(d、J=8.0Hz、1H)、7.43~7.37(m、2H)、7.33~7.25(m、3H)、7.21~7.14(m、4H)、6.96(d、J=8.4Hz、2H)、6.33(d、J=16.0Hz、1H)、2.76(s、8H)、2.50~2.35(m、2H)、0.89(t、J=7.6Hz、3H)。
【0102】
実施例7:式(VI)の化合物の結晶形Kの製造
【0103】
0.2gの遊離酸をアセトニトリル(2mL)に溶解させ、50℃で30分間撹拌し、110.08mgのベンザチンを添加し、50℃で5時間撹拌した後、25℃に冷却させ、16時間撹拌した。大量の白色固体が析出し、濾過し、ケーキをアセトニトリル(2mL×3)で洗浄し、ケーキを濃縮して、白色固体を得た。
【0104】
1H NMR(400MHz、DMSO-d6)δ=11.53(brs、1H)、7.51(d、J=7.2Hz、1H)、7.45~7.05(m、19H)、7.01~6.98(m、2H)、6.39(d、J=16.0Hz、1H)、3.73(s、4H)、2.66(s、4H)、2.50~2.42(m、2H)、0.91~0.89(m、3H)。
【0105】
実施例8:溶解度実験
【0106】
実験材料:化合物I-8、式(I)の化合物の結晶形A、水、FaSSIF(食前の小腸液をシミュレーションした)、FeSSIF(食後の腸液をシミュレーションした)。
【0107】
実験方法:4部の化合物I-8と式(I)の化合物の結晶形Aを4mLのガラス瓶に秤量して入れた後、それぞれ2mLの生物学的媒体溶液(FaSSIF、FeSSIF)と精製水を添加し、均一に混合し、マグネトンを前記懸濁液に添加し、マグネチックスターラーヒーターに置いて攪拌した(温度は37℃で、光を避けた)。24時間攪拌した後、サンプリングし、得られたサンプル溶液を迅速に遠心分離させ、上澄みを取って適切な倍数で希釈し、その濃度をHPLCで測定した。
【0108】
実験結果:表12に示された通りであった。
【0109】
【表12】
【0110】
実験結論:式(I)の化合物の結晶形Aは化合物I-8と比較して、溶解度が有意に改善された。
【0111】
実施例9:生体内PK実験
【0112】
実験材料:ビーグル犬、群当たり3匹、合計2群(それぞれ化合物I-8および化合物Aの投与群であった)。
【0113】
実験方法:各群の動物に、経口で対応する化合物を単回胃内投与し、投与前及び投与後の2時間(±2分)、4時間(±5分)、6時間(±5分)、8時間(±5分)、12時間(±5分)、24時間(±10分)で血液サンプルを収集した。サンプルはLC-MS/MS法で検出し、WinNonlin6.4バージョンを使用してAUC、Cmax、Tmaxパラメータを計算した。
【0114】
実験結果:表13に示された通りであった。
【0115】
【表13】
【0116】
実験結論:式(I)の化合物の結晶形Aは良好な薬物動態特性を有する。
【図面の簡単な説明】
【0117】
図1】式(I)の化合物の結晶形AのXRPDスペクトルである。
図2】式(I)の化合物の結晶形AのDSCスペクトルである。
図3】式(I)の化合物の結晶形BのXRPDスペクトルである。
図4】式(II)の化合物の結晶形CのXRPDスペクトルである。
図5】式(III)の化合物の結晶形DのXRPDスペクトルである。
図6】式(III)の化合物の結晶形EのXRPDスペクトルである。
図7】式(IV)の化合物の結晶形FのXRPDスペクトルである。
図8】式(IV)の化合物の結晶形GのXRPDスペクトルである。
図9】式(V)の化合物の結晶形HのXRPDスペクトルである。
図10】式(V)の化合物の結晶形IのXRPDスペクトルである。
図11】式(V)の化合物の結晶形JのXRPDスペクトルである。
図12】式(VI)の化合物の結晶形KのXRPDスペクトルである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
【手続補正書】
【提出日】2021-06-10
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)、式(II)、式(III)、式(IV)、式(V)、又は式(VI)の化合物。
【化1】
【請求項2】
Cu-Kαを使用して測定された粉末X線回折スペクトルは以下の2θ角:5.52±0.2°、13.68±0.2°、19.98±0.2°、20.80±0.2°、22.02±0.2°、22.44±0.2°、24.94±0.2°及び26.96±0.2°において特徴的な回折ピークを有することを特徴とする、請求項1に記載の式(I)の化合物の結晶形A。
【化2】
【請求項3】
Cu-Kαを使用して測定された粉末X線回折スペクトルは以下の群から選択される9個以上、10個以上、11個以上の2θ角:5.52±0.2°、13.68±0.2°、18.86±0.2°、19.98±0.2°、20.80±0.2°、21.62±0.2°、22.02±0.2°、22.44±0.2°、23.34±0.2°、24.94±0.2°、26.96±0.2°及び28.42±0.2°において特徴的な回折ピークを有することを特徴とする、請求項2に記載の式(I)の化合物の結晶形A。
【請求項4】
Cu-Kαを使用して測定された粉末X線回折スペクトルは図1に示された通りであり;及び/又は、
示差走査熱量曲線は239.46℃±3℃において吸熱ピークの開始点を有することを特徴とする、請求項3に記載の式(I)の化合物の結晶形A。
【請求項5】
示差走査熱量スペクトルは図2に示された通りであることを特徴とする、請求項に記載の式(I)の化合物の結晶形A。
【請求項6】
Cu-Kαを使用して測定された粉末X線回折スペクトルは以下の2θ角:5.68±0.2°、12.36±0.2°、19.24±0.2°、19.86±0.2°、20.62±0.2°、21.64±0.2°、22.68±0.2°及び24.96±0.2°において特徴的な回折ピークを有することを特徴とする、請求項1に記載の式(I)の化合物の結晶形B。
【請求項7】
Cu-Kαを使用して測定された粉末X線回折スペクトルは以下の群から選択される9個以上、10個以上、11個以上の2θ角:5.68±0.2°、12.36±0.2°、13.42±0.2°、19.24±0.2°、19.86±0.2°、20.62±0.2°、21.64±0.2°、22.68±0.2°、24.96±0.2°、26.38±0.2°、27.44±0.2°及び30.62±0.2°において特徴的な回折ピークを有することを特徴とする、請求項に記載の式(I)の化合物の結晶形B。
【請求項8】
Cu-Kαを使用して測定された粉末X線回折スペクトルは図3に示された通りであることを特徴とする、請求項に記載の式(I)の化合物の結晶形B。
【請求項9】
Cu-Kαを使用して測定された粉末X線回折スペクトルは図4に示された通りであることを特徴とする、請求項1に記載の式(II)の化合物の結晶形C。
【請求項10】
請求項1に記載の式(III)の化合物の結晶形D又は結晶形Eであって、
前記結晶形Dは、Cu-Kαを使用して測定された粉末X線回折スペクトルが図5に示された通りであることを特徴とし;
前記結晶形Eは、Cu-Kαを使用して測定された粉末X線回折スペクトルが図6に示された通りであることを特徴とする、請求項1に記載の式(III)の化合物の結晶形D又は結晶形E。
【請求項11】
請求項1に記載の式(IV)の化合物の結晶形F又は結晶形Gであって、
前記結晶形Fは、Cu-Kαを使用して測定された粉末X線回折スペクトルが図7に示された通りであることを特徴とし;
前記結晶形Gは、Cu-Kαを使用して測定された粉末X線回折スペクトルが図8に示された通りであることを特徴とする、請求項1に記載の式(IV)の化合物の結晶形F又は結晶形G。
【請求項12】
請求項1に記載の式(V)の化合物の結晶形H、結晶形I又は結晶形Jであって、
前記結晶形Hは、Cu-Kαを使用して測定された粉末X線回折スペクトルが図9に示された通りであることを特徴とし;
前記結晶形Iは、Cu-Kαを使用して測定された粉末X線回折スペクトルが図10に示された通りであることを特徴とし;
前記結晶形Jは、Cu-Kαを使用して測定された粉末X線回折スペクトルが図11に示された通りであることを特徴とする、請求項1に記載の式(V)の化合物の結晶形H、結晶形I又は結晶形J。
【請求項13】
Cu-Kαを使用して測定された粉末X線回折スペクトルは図12に示された通りであることを特徴とする、請求項1に記載の式(VI)の化合物の結晶形K。
【請求項14】
乳がんの治療において使用するための、請求項1に記載の式(I)、式(II)、式(III)、式(IV)、式(V)、若しくは式(VI)の化合物、又は、請求項2~13のいずれか1項に記載の結晶形。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0088
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0088】
2)式(III)の化合物の結晶形Eの製造
0.2gの遊離酸をイソプロパノール(2mL)に溶解させ、50℃で30分間撹拌し、55.48mgのトロメタミンを添加し、50℃で5時間撹拌した後、25℃に冷却させ、16時間撹拌した。溶液は常に透明のままで、20mLのn-ヘプタンを含有するガラス瓶に注ぎ、濾過して粘稠なオイル状物を得、濃縮して103mgの明るい黄色の固体を得た。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0093
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0093】
2)式(IV)の化合物の結晶形Gの製造
0.2gの遊離酸をイソプロパノール(2mL)に溶解させ、50℃で30分間撹拌し、33.50mgのジエチルアミンを添加し、50℃で5時間撹拌した後、25℃に冷却させ、16時間撹拌した。大量の白色固体が析出し、濾過し、ケーキをアセトン(2mL×3)で洗浄し、ケーキを濃縮して、163mgの白色固体を得た。
【国際調査報告】