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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-28
(54)【発明の名称】三次元印刷システム
(51)【国際特許分類】
   B29C 64/205 20170101AFI20220121BHJP
   B33Y 30/00 20150101ALI20220121BHJP
   B29C 64/236 20170101ALI20220121BHJP
   B29C 64/393 20170101ALI20220121BHJP
   B29C 64/321 20170101ALI20220121BHJP
   B29C 64/141 20170101ALI20220121BHJP
   B33Y 50/02 20150101ALI20220121BHJP
   B33Y 10/00 20150101ALI20220121BHJP
   B28B 1/30 20060101ALI20220121BHJP
【FI】
B29C64/205
B33Y30/00
B29C64/236
B29C64/393
B29C64/321
B29C64/141
B33Y50/02
B33Y10/00
B28B1/30
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021530262
(86)(22)【出願日】2019-11-22
(85)【翻訳文提出日】2021-05-27
(86)【国際出願番号】 US2019062839
(87)【国際公開番号】W WO2020117498
(87)【国際公開日】2020-06-11
(31)【優先権主張番号】62/775,279
(32)【優先日】2018-12-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/692,477
(32)【優先日】2019-11-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.SolidWorks
(71)【出願人】
【識別番号】520272949
【氏名又は名称】サクウ コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110001586
【氏名又は名称】特許業務法人アイミー国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フィリップ エウゲン ログレン
【テーマコード(参考)】
4F213
4G052
【Fターム(参考)】
4F213AC04
4F213WA25
4F213WB01
4F213WL02
4F213WL22
4F213WL32
4F213WL74
4F213WL87
4F213WW05
4G052DA01
4G052DA08
4G052DB12
4G052DC06
(57)【要約】
【課題】最適化された電子写真式三次元印刷システムを提供する。
【解決手段】電子写真式三次元印刷システムは、多材料電子写真式(EP)印刷技術を採用した少なくとも1つのEP印刷モジュールを含む。印刷システムは、粉末ベッド及びジェットバインダ技術のような、異なるパターニング及び堆積技術を使用する1つ以上の付加プリンタモジュールを備える。EP印刷モジュールは、摩擦電気材料で処理されたエンジニアリング材料を含むことができる複合トナー材料から作られた3D物体を作成するために使用される。複合トナー材料は印刷後の処理を受け、摩擦電気材料がエンジニアリング材料から分離し、エンジニアリング材料が変化する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多材料三次元(3D)プリンタであって、
複数の電子写真式(EP)プリンタエンジンからの複数の摩擦電気粉末の所定パターンでの堆積を制御するように構成された計算および制御システムと、
堆積した摩擦電気粉末に所定の要件を付与するように構成されたコンディショナと、
印刷層を組立ステーションに移送して印刷部品を組み立てるように構成された移送装置とを備える、多材料三次元プリンタ。
【請求項2】
機能性材料と、
摩擦電気的に活性な材料と、
バインダ材料とを備える、複合電子写真トナー。
【請求項3】
前記摩擦電気的に活性な材料(摩擦電気的活性材料)が、堅牢な材料および逃散性材料からなる群から選択される、請求項2に記載の複合電子写真トナー。
【請求項4】
前記摩擦電気的活性材料は、前記複合電子写真トナーの全容積の5%~60%を占める、請求項2に記載の複合電子写真トナー。
【請求項5】
三次元(3D)印刷システムであって、
少なくとも1つの印刷モジュールが電子写真(EP)印刷モジュールを含む、複数の印刷モジュールと、
物体を複数の印刷モジュールのそれぞれに移送するための移送装置と、
各コントローラが複数の印刷モジュールのうちの1つに結合された、複数のコントローラと、
複数のコントローラに結合され、複数の印刷モジュール内の物体上への材料の堆積を制御するコンピュータとを備える、三次元印刷システム。
【請求項6】
前記EP印刷モジュールは、前記物体上に複数の複合トナー材料を堆積するように構成される、請求項5に記載の3D印刷システム。
【請求項7】
前記EP印刷モジュールは、複数の電子写真(EP)プリンタエンジンを含む、請求項5に記載の3D印刷システム。
【請求項8】
前記複数のEPプリンタエンジンの各々は、
光伝導体ドラムと、
ドラムクリーナと、
放電装置と、
帯電誘導装置と、
映像装置とを備える、請求項7に記載の3D印刷システム。
【請求項9】
前記EP印刷モジュールは、レシーバ基板を含む、請求項7に記載の3D印刷システム。
【請求項10】
前記レシーバ基板は、電気的に半導体の複合材料を含む、請求項9に記載の3D印刷システム。
【請求項11】
前記複数のEPプリンタエンジンの各々は、複合トナーのリザーバを備える、請求項7に記載の3D印刷システム。
【請求項12】
前記EPエンジンは、前記複合トナーの層を静電的に引き付ける大きさおよび兆候を有する電位で電気的にバイアスされる、請求項11に記載の3D印刷システム。
【請求項13】
前記レシーバ基板は、連続ループである、請求項9に記載の3D印刷システム。
【請求項14】
前記レシーバ基板は、近位端に駆動輪を備え、遠位端に下側圧縮装置を備えており、
前記レシーバ基板は、前記駆動輪から前記下側圧縮装置に向かって移動する、請求項9に記載の3D印刷システム。
【請求項15】
前記レシーバ基板の位置は、前記コンピュータによって制御される、請求項9に記載の3D印刷システム。
【請求項16】
圧縮装置をさらに備える、請求項9に記載の3D印刷システム。
【請求項17】
前記圧縮装置は、下側圧縮装置と、上側圧縮装置とを備える、請求項16に記載の3D印刷システム。
【請求項18】
前記下側圧縮装置は、前記レシーバ基板の厚さを通して、複合トナーの非調整パターンに作用し、前記上側圧縮装置は、移送ループの厚さを通して、複合トナーの非調整パターンに作用する、請求項17に記載の3D印刷システム。
【請求項19】
前記EPエンジンは、移送ループをさらに備える、請求項9に記載の3D印刷システム。
【請求項20】
前記レシーバ基板から前記移送ループに移すためのコンディショニング装置をさらに備える、請求項9に記載の3D印刷システム。
【請求項21】
前記EPエンジン移送装置が、調整ループをさらに備える、請求項9に記載の3D印刷システム。
【請求項22】
前記調整ループ38は、非調整パターンの複合トナーを圧縮する圧縮装置を備える、請求項21に記載の3D印刷システム。
【請求項23】
前記圧縮装置は、下側締固め装置と上側圧縮装置とを備え、
前記下側圧縮装置は、前記レシーバ基板の厚さを通して、複合トナーの非調整パターンに作用し、前記上側圧縮装置は、前記調整ループの厚さを通して、複合トナーの非調整パターンに作用する、請求項22に記載の3D印刷システム
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、参照により本明細書に組み込まれる、2018年12月4日に出願された「電子写真式多材料3Dプリンタ」という名称の米国仮出願第62/775,279号の利益を主張する、2019年11月22日に出願された米国出願第16/692,477号の優先権を主張する。
【0002】
[発明の属する技術分野]
本開示は、電子写真式多材料三次元(3D)印刷のためのシステムおよび装置に関する。
【背景技術】
【0003】
三次元(3D)印刷は、最初の特許が30年以上前に付与されて以来、より迅速でより経済的な製造アプローチの可能性に高い関心をもたらしてきた。しかし、今日まで、その可能性はほとんど満たされていない。今日、3Dプリンタの大部分は、デモンストレーション部品または非機能的プロトタイプを製造するために使用されており、そのほとんどは、最終部品の材料要件というよりもむしろ、主としてプリンタとの適合性のために選択されたプラスチック材料からなる。
【0004】
実際の製造方法としての3D印刷のより広範な受け入れを妨げる問題の中には、これらの用途に適合する特定の材料に対する特定の要件がある。別の問題は、部品のバルクと比較して、部品のいくつかの領域の精度を高める必要があることである。現在の技術では、精度を向上させる必要性から、要求される精度を提供することができる3D印刷技術を選択する必要性が強制され、これにより、通常、精度の低い方法よりも遅いビルドレート(構築速度)となる。これらの遅い構築速度は、部品の総体積に適用される場合、最終部品に著しいコストの影響を及ぼす可能性がある。両方の問題に対する解決策は、用途に必要な材料、および部品内の特定のボクセルに必要な精度に対して最適化された印刷技術を採用する能力である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ジェットバインダ3Dプリンタは3D印刷物を作るための最も効率的な技術であるが、その属性の1つ、すなわち比較的厚い層を堆積する能力が、精密な薄い層を必要とする場合にその有用性を制限する。電子写真式(EP)印刷は、粉末の大きな領域を急速に堆積させるものであるが、数ミクロン~数十ミクロンの範囲の層厚に制限される。トレードオフは、印刷解像度が、ジェットバインダ印刷で可能なものよりもかなり細かいことである。
【0006】
EPベースの3Dプリンタは重要な研究及び開発の主題であったが、このアプローチは商業的に広範囲に展開されていない。3D印刷用途におけるEP技術は、上記で示唆したように、制限された堆積速度を提供し、これは経済的実用性を制限する。純粋なEP技術で可能な比較的遅い構築速度にもかかわらず、EPベースの3Dプリンタは、それらの実用性を制限する2つの他の課題に直面している。具体的には、セラミック、金属、および高性能ポリマーなどの複数のエンジニアリング材料を使用することができないEP技術は、製造用途において厳しい制約を提示する。3D印刷用途のためのEP技術の実用性に影響を及ぼす他の問題は、印刷層を約1mmを超える厚さの積み重ねに正確かつ確実に移送すなわち転写することができないことである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の基礎は、エンジニアリングセラミック材料、金属材料、およびポリマー材料を物体形成に使用するように適合された基本的なカラー電子写真(EP)技術である。印刷材料(複合トナー)は、処理された粉末がトナーとして使用され得るように、摩擦電気的に活性な材料のコーティングで処理されたエンジニアリング材料であり得る。摩擦電気材料のコーティングはまた、バインダとして作用するために、体積および組成に関して設計されてもよい。バインダの性質は、処理された粉末が従来のセラミックおよび粉末冶金処理の態様で、焼結のような二次プロセスに供されるのに十分な堅牢性を有する所定の形状に形成されることを可能にし得る。摩擦電気材料は、熱処理または焼結工程中に分解され、したがって最終物体から除去されてもよい。摩擦電気的に処理された粉末は、2つのクラスの材料、すなわち、堅牢な材料および不安定な材料(逃散性材料)のうちの1つをさらに含むことができる。
【0008】
堅牢な材料は、元の化学的および物理的特性を維持するか、または高温プロセスに関連する化学的または物理的変態の生成物として、高温の後処理ステップに耐えるものであってもよい。堅牢な材料はオリジナルまたは製品材料の個々の粒子として固まり、固体状態または反応性液体状態の焼結で融合し得る。
【0009】
逃散性材料は、低温で堅牢な塊として存在し、堅牢な材料が逃散性材料と接触して所定の位置に固定されるまで、堅牢な材料のための一時的な支持体として働くか、保持材料を形成するものである。逃散性材料は、堅牢な材料が、逃散性材料の支持なく所定の形態を維持するのに十分な強度及び剛性を有するようになるまで、所定の位置に留まることができる。逃散性材料は、高温の後処理ステップの前、最中、または後に、3D印刷物から除去することができる。逃散性材料は、堅牢な材料の組成および意図された印刷後ステップなどの要因に応じて、生成プロセスの特定の時点で物体から除去されるように設計される。また、逃散性材料は、堅牢な材料の完全な固結に先立ち、気体状態で物体から除去されるように設計されてもよい。したがって、外側に連通することなく、または曲がりくねった経路で外側に連通する3D印刷物の構造内のキャビティから逃散性材料を除去することを可能にする。また、逃散性材料は、実質的に残留物を残さずに除去されるように設計されてもよい。
【0010】
一実施形態では、逃散性材料は、熱を加えることによって、剛性のある支持材料から気体またはコロイド懸濁液に変換され得る。代替の実施形態では、固体から気体またはコロイド懸濁液への逃散性材料の変換が、可視、UV、赤外線またはX線放射などの電磁放射の適用によって、または電子などの粒子ビームによって達成されてもよい。別の代替実施形態では、逃散性材料が液体への変換によって除去され得る。液体への変換は、所定の熱流束の適用によって、または溶媒の作用によって達成され得る。
【0011】
EP3Dプリンタは、1つ以上の他のプリンタモジュールを有する3Dプリンタシステムに含まれるように設計され得る多材料対応EPモジュールであってもよい。3Dプリンタシステムに含まれる1つ以上のプリンタモジュールは、本開示に記載されるような多材料EP印刷技術を採用してもよい。1つ以上の追加のプリンタモジュールは、粉末ベッド及びジェットバインダ技術のような、異なるパターニング及び堆積技術を使用することができる。いくつかの実施形態では、EPプリンタモジュールが3D物体の作成に適用する複数材料の各々は、摩擦電気材料で処理されたエンジニアリング材料を含み得る複合トナー材料から得られ得る。複合トナー材料は、印刷後の処理を受けるように設計されており、そこでは、摩擦電気材料がエンジニアリング材料から分離し、エンジニアリング材料が変化する。変化は、見掛け密度または絶対密度の変化、または化学量論的な変化、または結晶学的な変化、または外観上の変化、または先行する特性のいくつかの組合せにおける変化であってもよい。エンジニアリング材料は、性質において、セラミックまたは金属またはポリマーであってもよい。エンジニアリング材料はさらに、結晶性またはアモルファス性、あるいは結晶性およびアモルファスの組合せであってもよい。
【0012】
いくつかの実施形態では、複数の完全な個々のEPエンジンを含むシングルパスマルチトナーEPシステムが、単一のレシーバ基板とインターフェース(連携)することができる。レシーバ基板は、EPエンジンの光伝導体からレシーバ基板の非導電性または半導体の表面上へのトナー材料パターンの従来の静電転写(移送)に影響を及ぼす条件を提供するために、複合的な性質の連続ベルトを含むことができる。レシーバ基板は、複数のEPエンジンの各々が所定のトナーパターンをレシーバ基板上に転写することができるように、複数のEPエンジンの各々とインターフェースする連続ループをさらに形成することができる。複数のEPエンジンの各々がトナーパターンを単一の印刷層上に順次転写することができるように、レシーバ基板を連続的かつ順次複数のEPエンジンの各々と連携するように駆動することができる。複数のEPエンジンの最後の1つからのトナーパターンがレシーバ基板上の単一の非融解印刷層上に移送された後、レシーバ基板は、融解していない印刷層を融解装置に搬送して、非融解層を固めて印刷層に固着させることができる。
【0013】
印刷された層は、レシーバ基板を介して移送ステーションに搬送され、そこで、印刷層は組立ステーションの構築プレートに、または以前に移送された印刷層の積層体の上部に移送されてもよい。
【0014】
本開示のレシーバ基板は、電子写真複合トナー材料の層を移送ループ上の所定の位置に保持することができる静電接着力を選択的に維持し、およびキャンセルするのに適した複合材料からなる移送ループとインターフェースすることができる。移送ループは、印刷層を構築ステーションに移送する準備として、電子写真複合トナー粉末の印刷層を修正するためのいくつかのセクションから構成されてもよい。レシーバ基板と移送ループとの間の相互作用の間、印刷層は移送ループに移送される。
【0015】
印刷層は、複数のEPエンジンの1つまたは複数からのレシーバ基板上への複合トナー材料の堆積によって作成される。EPエンジンからの複合トナー粉末の移送は、EP印刷の技術分野で知られている態様で、すなわち、複合トナー粉末上の電荷とは反対の電荷を基板上に提供することによって行うことができる。各EPエンジンは、複数のEPエンジンがレシーバ基板の一部に沿って配置されるにつれて、それぞれ順番に、印刷層の所定の部分を堆積させることができる。一実施形態では、各EPエンジンが、印刷層のどの部分も複合トナー粉末の単一層の厚さより厚くならないように、複合トナー粉末の所定のパターンをレシーバ基板の露出表面上に直接堆積させることができる。代替の実施形態では、各EPエンジンは、後続の各EPエンジンが以前に堆積されたパターン上に、またはレシーバ基板表面上に直接、所定のパターンを堆積することができるように、制御され得る。複数のEPエンジンの各々からの所定の複合トナーパターンは、完成した印刷層が均一な厚さであってもよいように、調整されてもよい。印刷層は、1つ以上の印刷物の層を含んでもよい。複数の印刷された部品のための堆積された複合材料を有する印刷された層において、各印刷された部品のための堆積物は複数の印刷物の他のもののために、隣接する堆積物から離間して配置されてもよい。隣接する印刷物層間の空間は、隣接する印刷物体の分離を容易にするように設計された複合トナー材料で充填することができる。
【0016】
複数のEPエンジンからの複合トナー粉末の堆積によって印刷層が完全に形成された後、それを、複合トナー粉末を固結した塊状に融合させるために融解装置に搬送する。いくつかの実施形態では、複合トナー粉末を、複合トナー粉末の理論密度の40%を超える見掛け密度まで圧縮することが望ましいであろう。複合トナー粉末を含む材料の性質に応じて、複合トナー粉末の融合前、融合中、または融合後に、複合トナー粉末の圧縮を完了する。
【0017】
いくつかの実施形態では、レシーバ基板と移送ループとの間の係合中に、複合トナーの圧縮を完成させてもよい。圧縮装置は、レシーバ基板および移送ループのための駆動輪を備える。駆動輪は、カレンダーロールとしても機能し、レシーバ基板および移送ループを通してトナーに圧縮圧力を加える。この実施形態はまた、レシーバ基板/移送ループインターフェース内に融解装置を備えることができる。
【0018】
別の実施形態では、複合トナーの圧縮がレシーバ基板と移送ループとの連携に先立ち、レシーバ基板と調和して配置された圧縮装置によって、複合トナーの圧縮を完成させてもよい。圧縮装置は、円筒チューブとして設計された硬質金属材料で構成されたローラを含むことができる。他の実施形態では、圧縮装置は、コンプライアント圧力カフ、または堆積した複合トナー材料の平面に対して直交する制御圧力を加えるように構成された別の装置と、キャリヤ装置とを含むことができる。圧縮装置はまた、振動を提供するように構成された沈降装置を含むことができる。圧縮装置の振動により、複合トナー粉末の分布と圧密を改善できる。いくつかの実施形態では、圧縮装置が、複合トナー粉末を、複合トナー粉末の理論密度の少なくとも40%の高密度に圧縮するように構成され得る。
【0019】
レシーバ基板および移送ループは、印刷層の厚さだけ離れて平行に位置合わせされることによって、インターフェースすなわち相互連携され得る。印刷層が付着したレシーバ基板の移動によって、印刷層がレシーバ基板と移送ループとの間の境界面に移動するようにされると、印刷層は、レシーバ基板との接点とは反対側の印刷層の表面上で、移送ループと接触するようになる。
【0020】
レシーバ基板から移送ループへの印刷層の移送は、印刷層をレシーバ基板に保持している電荷を除去し、複合粉末を引きつけるような大きさおよび兆候でバイアスされている電荷を移送ループに供給することによって達成され得る。レシーバ基板および移送ループの動きを調和させることによって、印刷層を、レシーバ基板と移送ループとの間の境界面を通って、およびその境界面から出て外へ動かすようになる。印刷層がレシーバ基板と移送ループとの間の境界面から外に移動させられた後、移送ループを移送装置に移動させることによって、印刷層を動かせる。すなわち、印刷層は、移送ループから構築プレートへ、または以前に移送された印刷層の積層体に移送される。
【0021】
代替の実施形態では、多材料EP3Dプリンタが、複数のEPエンジン、レシーバ基板、および調整ループを備えることができる。調整ループとレシーバ基板とは、印刷層の厚さだけ離れて平行に位置合わせされることによって、インターフェースすなわち相互連携することができる。印刷層が付着したレシーバ基板の動きによって、印刷層を、レシーバ基板と調整ループとの間の境界面に移動するようにすると、印刷層は、レシーバ基板との接点とは反対側の印刷層の表面上で調整ループに接触するようになる。
【0022】
調整ループは、可撓性材料の連続ループを含むことができる。調整ループ材料は、金属、金属合金、または複合材料を含むことができるが、これらに限定されない。調整ループは、圧縮装置および融解装置を備えることができる。
【0023】
調整ループを含む実施形態では、印刷層がレシーバ基板から構築プレートへ、または以前に移送された印刷層の積層体に直接移送することができる。印刷層は、レシーバ基板および調整ループの動きを調和させることによって、レシーバ基板と調整ループとの間の境界面を通過するようになる。印刷層は、移送装置によって、レシーバ基板から構築プレートに、または以前に移送された印刷層の積層体に移送されてもよい。移送装置は、レシーバ基板上の所定の位置と、移送装置とを備えることができる。
【0024】
多材料EPプリンタを構成する構成要素は、中央コンピュータユニットによって指示され得る印刷ステーション制御ユニットによって調整され得る。中央コンピュータユニットは、複数の印刷ステーション及び組立装置の動作を調整することができる。
【0025】
電子写真のような印刷技術は、非常に高い精度で広い領域を非常に迅速に印刷することができるが、非常に薄い層を印刷することに限定されている。電子写真の質量堆積速度が比較的低く、かつ電子写真システムの複雑さが加わるため、物体上の全てのボクセルが電子写真的に形成される3D印刷は魅力的ではない。いくつかの実施形態では、プリンタモジュールが、マルチメソッド3Dプリンタシステムを形成するために、複数のプリンタモジュールのシステムに組み込まれてもよい。このようにして、比較的厚い(20μmを超える)が比較的低解像度であるように設計された印刷層は、粉末床(粉末ベッド)およびジェットバインダ技術などの20μmを超える厚さの印刷層に適した印刷技術を備えたプリンタモジュールを用いて作成することができる。層は、その厚さが20μm未満のものであってもよく、および/または高い精度を必要とするものであってもよい。
【0026】
いくつかの実施形態では、多材料およびマルチメソッドプリンタシステムがプリンタモジュールのシステムであり、プリンタモジュールは、中央コンピュータシステムによって、必要に応じてモジュールを調整して、適切なマテリアルを必要な精度で単一の構築位置に堆積させる一方で、全体的な構築速度を最大にするように指示される。
【0027】
多材料マルチメソッドプリンタシステムは、米国仮出願第62/742,505号の優先権を主張する米国特許出願第16/595,265号に開示されており、その全体が参照によりここに組み込まれる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明の実施形態による多材料EPプリンタの主要構成要素のブロック図である。
図2】本発明の実施形態による多材料EPプリンタの代替実施形態の主要構成要素のブロック図である。
図3】本発明の実施形態によるマルチメソッドプリンタシステムに含まれるEPプリンタの図である。
図4】本発明の実施形態による移送装置の図である。
図5】本発明の実施形態による移送装置の図である。
図6】本発明の実施形態による移送装置の図である。
図7】本発明の実施形態による移送装置の図である。
図8】本発明の実施形態によるマルチメソッドプリンタシステムのコンピュータ制御システムのブロック図である。
図9】本発明の実施形態によるEPプリンタの印刷ステーション制御システムのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明は添付の図面を参照して説明され、同様の参照番号は同様または同等の要素を示すために図面全体にわたって使用される。図面は、一定の縮尺で描かれておらず、単に本発明を例示するために提供されているに過ぎない。本発明のいくつかの態様を、例示のための例示的な出願を参照して以下に説明する。本発明の完全な理解を提供するために、多数の特定の詳細、関係、および方法が記載されていることを理解されたい。しかし、当業者は、本発明が1つ以上の特定の詳細な説明なしに、または他の方法を用いて実施され得ることを容易に認識する。他の例では、本発明を曖昧にすることを避けるために、周知の構造または動作は詳細には示されていない。本発明は、いくつかの行為が異なる順序で、および/または他の行為またはイベントと同時に起こり得るので、行為またはイベントの図示された順序によって限定されない。さらに、本発明による方法を実施するために、すべての例示された動作またはイベントが必要とされるわけではない。
【0030】
[定義]
本開示全体を通して理解を容易にするために、特定の定義を以下に提供する:
【0031】
プリンタモジュール-キャリアデバイス上に印刷物体を生成することが可能なパターニングおよび堆積システム(patterning and deposition system)。
【0032】
移送装置-EP(電子写真)印刷されたモジュールからアセンブリ装置に印刷された層を移動させるための装置。
【0033】
組立装置-所定の設計に従って、印刷された層および印刷された部品を組み立てるような態様で、複数の移送モジュールから印刷された物を受け入れることができるシステム。
【0034】
印刷部品-印刷された層の積み重ねで、所定の設計に適合する部品を形成するために互いに融合されている。
【0035】
印刷層-1つ以上の印刷物を含む1ボクセル厚さの層であって、印刷物が特定の印刷部品デザインの要件に適合する。
【0036】
印刷物-単一材料、単一ボクセルの厚みの層であり、その水平方向の設計は、印刷部内の所定の位置の設計に適合する。
【0037】
以前に移送された物-印刷物のアセンブリであって、最上部を除く全てが完成した印刷層を生成するものであり、最上部の層は、印刷部品デザインによって必要とされる印刷物の全てを有していなくてもよい。
【0038】
本発明の実施形態の多材料電子写真式3Dプリンタは、典型的には電子写真(EP)印刷には付随しない材料の組み合わせを用いて、印刷物、印刷層および印刷部品を作成するように設計されている。これらの材料は、最終印刷部品のエンジニアリング要件を満たすよう特別に設計された高性能エンジニアリング材料であってもよい。これらの材料は、セラミック及び金属、並びに従来のEP印刷に必要な摩擦電気特性を示さない有機材料を含むことができる。摩擦電気特性を有さないことに加えて、これらの材料は、従来のEP材料のようには融解できず、したがって、従来のEP融解器によって強固な塊に定着できないことがある。これらの材料は、典型的には2μm~10μmの範囲の制御された粒径の粉末としてEPプリンタエンジンに提供されなければならず、EPエンジンの現像剤の要件に合わせた摩擦電気特性を有しなければならない。適切なサイズの粉末は所望の材料組成物において容易に入手可能であるが、それらは必要とされる摩擦電気特性を有し得ない。EP印刷プロセスにおいて他の非摩擦電気材料を使用可能にするために、所望の材料の粉末は、EPエンジンの現像剤に適した摩擦電気材料でコーティングされてもよい。このようなコーティングは、このような技術および粉末床原子層堆積によって、または分子層堆積によって、または当技術分野で知られている粉末をコーティングするための他の技術によって適用され得る。これらの摩擦電気的に可能な粉末は、複合粉末と呼ばれる。
【0039】
粉体コーティングに適し、摩擦電気の電荷を強い正から強い負までの範囲をカバーする広範囲の摩擦電気材料がある。正電荷を有する実用的な材料の例としては、ナイロン、アクリルおよび石英が挙げられる。実際的な負に帯電した摩擦電気材料には、シリコーン、テフロン(登録商標)(PTFE)、ビニルおよびポリプロピレンが含まれる。
【0040】
粉末コーティングはまた、他の融解しない材料の粉末に融解特性または接着特性を付与して、緩い粉末の層を強固な塊に固定することを可能にしてもよい。多くの摩擦電気材料は低融点有機材料であるので、摩擦電気コーティングにより、粉末を強固な塊に固定することを可能にする融解/接着特性も提供することが可能であり、望ましい。
【0041】
本発明の実施形態の多材料マルチメソッド3Dプリンタは、複数のプリンタモジュールの配列を含む。各プリンタモジュールは、精密で堅牢な印刷物を作成するための機構を備えることができる。各3D印刷物は、所定の材料から構成され、所定の物理的要件に適合することができる。複数のプリンタモジュールのそれぞれは、複数の搬送モジュールのうちの1つと通信することができる。複数の搬送モジュールの各々は、キャリヤ装置を備え、その上に関連するプリンタモジュールが3D印刷物又は印刷層を形成する。各搬送モジュールはさらに、印刷物をアセンブリ装置に移送するための移送機構を備えてもよい。組立装置(アセンブリ装置)はビルドステーションを備えることができ、さらに、移送機構に関して組立装置を正確に位置決めする位置決め装置を備えることができる。
【0042】
各々が複数のプリンタモジュールのうちの1つからのものである複数の印刷物は、3D印刷層を形成するためにアセンブリ装置に移送されてもよい。複数の3D印刷層は、1つまたは複数の多材料3D印刷部品を形成するために、順次、互いに積み重ねられてもよい。
【0043】
ビルド(構築)ステーションは、複数の移送機構のうちの任意の指定された1つに対してアセンブリ(組立)装置を位置決めするための位置決め装置に関連付けることができる。
【0044】
[三次元電子写真プリンタ]
図1及び図2は、本発明の実施形態による三次元多材料電子写真プリンタを示す図である。各構成要素は、図8に示され、以下でさらに詳細に説明されるコンピュータ制御システム10によって指示されるように、残りの構成要素と協働して機能する。いくつかの実施形態では、コンピュータシステムが、中央処理装置300に必要なすべての情報を含むCADプログラムによって指示され、3D多材料マルチメソッド3Dプリンタの複数の構成要素が、構築されるべき所定の多材料3D印刷部品を作成するようにする。
【0045】
多材料マルチメソッド3Dプリンタシステムに組み込まれた印刷ステーションは、所定の材料内に必要な物理的特性の印刷物を生成する能力を有するように選択される。いくつかの実施形態では、プリンタシステムに組み込まれた複数のプリンタモジュールのうちの少なくとも1つは、EP技術に基づくことができる。図9は、以下でさらに詳細に記載するように、本発明のいくつかの実施形態に従ったEPプリンタモジュールの個々の構成要素への中央処理装置の論理的関連付けを示す。
【0046】
各プリンタモジュールは、専用印刷ステーションコントローラ310によって制御されてもよく、各プリンタ制御モジュールは中央処理装置300によって調整されて、印刷層および印刷部品を組み立てるのに適した順序で印刷物を作成してもよい。
【0047】
図1に示すように、EPプリンタモジュールは、所定の物理的仕様に適合する、複数の複合トナー材料から3D印刷物を作成するための要素を備える。EPプリンタモジュールは、レシーバ基板30上に3D印刷層を形成することができる。EP多材料プリンタモジュールは、複数のEPプリンタエンジン20a~20cを含む。複数のEPプリンタエンジンの各々は、光伝導体ドラム21と、現像剤22と、ドラムクリーナ24と、放電装置25と、電荷インデューサ25と、映像装置(imager)28とを備える。複数のEPプリンタエンジンの各々のリストされた構成要素は、EPプリンタエンジンの従来の配置で構成される。また、複数のEPプリンタエンジンの各々は、複合トナー23のリザーバを含んでもよい。複数のEPプリンタエンジンの複合トナー23のリザーバの各々は、異なる材料であってもよい。複合トナーの各々は、マルチメソッドプリンタシステムで利用される複合トナーの全ての最終特性を生成するように設計された印刷後処理に適合するように設計されてもよい。
【0048】
図1または図2のEPプリンタモジュールの場合、印刷ステーションコントローラ310は中央処理装置300からの特定の層の命令に基づいて動作し、EPプリンタモジュールの要素の動作を制御することによって、所定の材料およびパターンの印刷層を作成することができる。具体的には、印刷ステーションコントローラ310が複数のEPエンジンの各々の動作を指示して、複数のEPエンジンの各々が装填される複合トナーの独特のパターンを作り、該独特のパターンをレシーバ基板30に移送、すなわち転写する。第1のステップでは、印刷ステーションコントローラ310がEPエンジン20aの映像装置28を導いて、光伝導体ドラム21上に静電帯電パターンを作ることができる。印刷ステーションコントローラ310は、光伝導体ドラム21を現像剤22を通過するように回転させるので、EPエンジン20aの光伝導体ドラム21上の帯電パターンに、適当に帯電した摩擦電気複合粉末を引き付けて堆積させることができる。EPエンジン20aのドラム21は、印刷ステーションコントローラ310によって、複合粉体23のパターンがレシーバ基板30に接近する地点まで回転するので、印刷ステーションコントローラ310は、レシーバ基板30を、光伝導体ドラム21の回転と同じ方向に、また光伝導体ドラム21の接線方向の動きと同じ速度で前進させ、その結果、複合粉体のパターンがレシーバ基板30に転写され得る。複合粉末のパターンの光伝導体ドラム21からレシーバ基板30への転写は、標準的なPEプリンタに共通の方法で、一次充電装置50によってレシーバ基板30に誘起された電荷によって行うことができる。
【0049】
第1EPエンジン20aによってレシーバ基板上に非調整パターン40が堆積されると、印刷ステーションコントローラ310は、複合粉末のパターンがEPエンジン2aの光伝導体ドラム21上に形成されたのと同じ態様で、EPエンジン20bの光伝導体ドラム21上に複合粉末のパターンを形成するようにしてもよい。印刷テーションコントローラ310は、EPエンジン2bのレシーバ基板30および光伝導体21を、EPエンジン20bの光伝導体ドラム21上の複合粉体38のパターンおよびレシーバ基板30上の非調整粉体39のパターン上のインデックスポイントがレシーバ基板30に直交する方向に整列する箇所に、前進させる。印刷ステーションコントローラ310は、レシーバ基板およびEPエンジン2bの光伝導体ドラム21の両方を、同じ速度で進ませるので、EPエンジン2bの光伝導体ドラム20上の複合粉体38のパターンは、レシーバ基板30上の非調整粉体39のパターンの開口領域に転写される。複合粉末38のパターンの光伝導体ドラム21からレシーバ基板30への転写は、標準的なEPプリンタに共通の態様で、一次充電装置50によってレシーバ基板30に誘導される電荷によって行うことができる。EPエンジン20bからの複合粉末38のパターンは、EPエンジン20aの光伝導体ドラム20上に形成された複合粉末38のパターンと重ならないようにすればよい。
【0050】
複数のEPエンジン20の各々からの未調整粉末39、40のパターンは、所与の印刷層に必要な材料からなる完全な印刷層が印刷層内の所定のボクセル内に存在するまで、EPエンジン20aおよび20bからのものと同じ態様で生成され、レシーバ基板30に転写されてもよい。
【0051】
複数のEPプリンタエンジン20の各々は、EPプリンタで通常使用される方法で、画像を生成し、レシーバ基板30に転写することができる。レシーバ基板30は、電気的に半導体の複合材料から構成されてもよい。一次帯電装置50は、複合トナー23の層を光伝導体ドラム21の表面から静電的に引き付ける大きさおよび兆候を有する電位で、電気的にバイアスをかけることができる。レシーバ基板30は連続ループであってもよく、そのループは、駆動輪66によって近位端で、下部締固め(圧縮)装置62によって遠位端で画定される。複数のEPエンジンに最も近いレシーバ基板30の長さは、駆動輪66から下部締固め装置62に向かって移動する。図3に示すように、複数のEPプリンタエンジンのそれぞれが、EP印刷モジュール1を構成する1つ毎のEPエンジンの印刷物と所定の態様で調整された印刷物を堆積するように、中央処理装置300および印刷ステーションコントローラ310によって、レシーバ基板30の位置が、複数のEPプリンタエンジン20のそれぞれに対して、調整され得る。
【0052】
図1に戻って参照すると、複数のEPプリンタエンジンの各々が印刷層のその所定部分を堆積し、印刷層のすべての複合トナーの堆積を完了した後、レシーバ基板は、印刷層を締固め装置、すなわち圧縮装置の方へ移動させることができる。締固め装置は、下側の締固め装置62と、上側の締固め装置60とで構成することができる。下部締固め装置62および上部締固め装置60は、カレンダーロールの態様で重ね合わせることができる。下部締固め装置62は、レシーバ基板30の厚さを通して複合トナー23の非調整(無条件)パターン40に作用してもよい。上部締固め装置60は、移送ループ35の厚さを通して複合トナー40の無条件パターンに作用することができる。レシーバ基板30と移送ループ35の厚さを通して作用する上部圧縮装置60と下側圧縮装置62との協調相互作用は、複合トナー23の理論密度の40%を超える密度まで複数の複合トナー23を圧縮することができる。また、圧縮装置は、複合トナー23の可融部分を融解するための熱装置を備えることができる。
【0053】
移送ループ35は、レシーバ基板30と同じ、または同様の電子半導体複合材料を含むことができる。移送ループ35はレシーバ基板30と協調して移動し、下側の締固め装置62と移送装置68との間で所定の厚さの印刷層45の分だけレシーバ基板30から離れている。下部締固め装置62の周囲で、移送ループ35は、印刷層45の圧縮部分に圧力を与える。
【0054】
コンディショニング装置54は、レシーバ基板30から移送ループ35への移送を容易にするために、印刷層45をさらに調整してもよい。調整装置54は、熱的、機械的又は放射線被曝によって印刷層45に影響を与え得る。また、調整装置54は、印刷層45を静電的に反発する大きさおよび兆候を有する電位で電気的にバイアスされてもよい。
【0055】
二次充電装置53は、レシーバ基板の表面から移送ループ35の表面に印刷層45を静電的に引きつける大きさおよび兆候を有する電位で電気的にバイアスすることができる。また、移送装置68は、印刷層45を静電的に引きつける大きさ及び兆候を有する電位で電気的にバイアスすることができる。
【0056】
移送バイアス装置56は、印刷層45を引き付けて保持する大きさおよび兆候から、印刷層45を移送ループ35から反発させる大きさおよび兆候の電子バイアスに切り替えることができる。移送ループ35には、移送装置を設けることもできる。このような移送装置の例は、図4図5図6及び図7に示されている。
【0057】
図2は、EPプリンタの代替実施形態を示す。図2に示す実施形態では、移送ループが調整ループ38に置き換えられる。調整ループ38には、無条件パターン40の複合トナー23を圧縮するための圧縮装置が設けられている。
【0058】
図2に示すように、締固め装置すなわち圧縮装置は、下部締固め装置62と上部締固め装置60とを含む。下部締固め装置62および上部締固め装置60は、カレンダーロールの態様で重ね合わせることができる。下部締固め装置62は、レシーバ基板30の厚さを通して、複合トナー40の無条件パターンに作用してもよい。上部締固め装置60は、調整ループ38の厚さを通して、複合トナー40の無条件パターンに作用してもよい。レシーバ基板30および調整ループ38の厚さを通して作用する上部圧縮装置60および下側圧縮装置62の協調相互作用は、無条件パターン40に組み込まれた複数の複合トナー23を、複合トナー23の理論密度の50%を超える密度に圧縮することができる。また、圧縮装置は、複合トナー23の可融部分を融解するための熱装置を備えることができる。
【0059】
調整ループ38には、熱的、機械的または放射エネルギーの付与によって印刷層45の特性を改善することができる調整装置54を設けることもできる。
【0060】
図2に示すように、移送バイアス装置56は、印刷層45を引き付けて保持する大きさ及び兆候から、印刷層45をレシーバ基板30から反発させる大きさ及び兆候の電子バイアスに切り替え可能であってもよい。レシーバ基板30には、移送装置を設けることもできる。このような移送装置の例を図4-7に示す。移送バイアス装置56は、移送装置58内に組み込まれてもよい。移送装置58は図4-7に示すように、移送装置76を備えることができる。
【0061】
[ローラ移送装置]
移送装置76は、EP印刷層45と構築プレート80または以前に移送された印刷物90の積み重ねの頂部との間に接触および圧力を生じさせることによって、図2のレシーバ基板30または図1の移送ループ35からEP印刷層45を移送するように構成されてもよい。
【0062】
図7に示すような移送装置76の一実施形態では、移送装置76が、ローラ79と、ローラ79を支持し上下に移動させるキャリヤとを有している。いくつかの実施形態では、キャリヤが、図2のレシーバ基板30または図1の移送ループ35に対して、ローラ79を垂直および水平に移動させるための2軸キャリヤ77であってもよい。2軸キャリヤ77の垂直移動は、図2のレシーバ基板30または図1の移送ループ35を偏向させ、印刷物91を、構築プレート80または以前に移送された印刷物90の積み重ねの上部と圧力接触させることができる。次いで、2軸キャリヤ77の水平方向の移動により、印刷層45の一端部から印刷層45の他端部まで所定の方向に移動する漸進的に移動する線接触を生じさせることができる。印刷物91を横切る移動線接触は、印刷物91を構築プレート80または以前に移送された印刷物90の積み重ねの頂部に移送することができる。
【0063】
[接着力修正装置]
移送装置76は、接着力修正装置74をさらに含むことができる。接着力修正装置74は、印刷層45の、図2のレシーバ基板30または図1の移送ループ35に対する接着力強度を調整して、印刷層45の、構築プレート80または以前に移送された印刷物90の積み重ねの上部への解放を容易にすることができる。接着力修正装置74はさらに、印刷層45と図2のレシーバ基板30または図1の移送ループ35との間の接着強度が印刷層45と構築プレート80または以前に移送された印刷物90の積み重ねの頂部との間の接着強度よりも小さくなるように、構築プレート80の表面または以前に移送された印刷物の積み重ねの頂部への印刷層45の接着を修正することができる。接着力修正装置74は、図2のレシーバ基板30、図1の移送ループ35、または印刷層45、あるいはその両方に刺激を加えることによって、キャリヤ装置200と印刷物91との間の界面に作用することができる。刺激の付与は、図2のレシーバ基板30または図1の移送ループ35への印刷層45の接着力の減少を容易にすることができる。接着力修正装置74からの接着力の修正を引き起こす刺激は、熱的刺激、放射線刺激、磁気的刺激、機械的刺激、または粒子ビーム刺激であってもよいが、これらに限定されない。
【0064】
[加圧装置]
別の実施形態では、移送装置76が図5に示すように、プレス装置(加圧装置)82を含むことができる。加圧装置82には、加圧装置82の上下方向の動きを与えるために、一軸キャリヤ78を設けることができる。プレス装置82の垂直方向の動きによって、キャリヤ装置200を垂直方向に偏向させ、印刷層45が、圧力を伴って、構築プレート80または以前に移送された印刷物の積み重ねの上部に接触するようにする。図5の移送装置76は、また、図7の接着力修正装置74と同様の接着力修正装置74を含むことができる。
【0065】
[形状修正装置(Shape Modifier)]
別の実施形態では、図4に示すように、移送装置76はプレス装置82および形状修正装置72を備えることができる。また、図4の搬送装置76には、加圧装置82の垂直方向の動きを与えることができる一軸キャリヤ78を設けることができる。加圧装置82の垂直移動により、図2のレシーバ基板30または図1の移送ループ35が垂直方向に偏向し、印刷物91が、圧力を伴って、構築プレート80または以前に移送された印刷物の積み重ねの頂部に接触するようになる。形状修正装置72は、予め成形された形状の構造を備えることができる。この予備成形形状構造は、形状表面に対して垂直に加えられる機械的圧力によって平坦化され得る弾性材料から構成され得る。一軸キャリヤ78が、印刷物を構築プレート80または以前に移送された印刷物90の積み重ねの頂部と接触させると、形状修正装置72は、徐々に平らになり、したがって、印刷物91を構築プレート80または以前に移送された印刷物90の積み重ねの頂部と徐々に接触させる。構築プレート80または以前に移送された印刷物90の積み重ねの頂部との間の漸進的に移動する接点は、印刷物91と構築プレート80との間、または以前に移送された印刷物90の積み重ねの頂部との間の均一な付着を保証し得る。図4の移送装置76はまた、上述の接着力修正装置74と同様な接着力修正装置74を含むことができる。
【0066】
[関節運動移送装置]
さらに別の実施形態では、図6に示すように、移送装置76は成形された加圧装置84および関節運動装置83を備えることができる。また、移送装置76には、成形加圧装置84の水平および垂直方向の動きを生じさせることができる2軸キャリヤ77を設けることもできる。コンピュータシステム10の制御下で、成形加圧装置84の垂直および水平移動により、図2のレシーバ基板30または図1の移送ループ35を垂直方向に偏向させ、印刷物91を、圧力を伴って、構築プレート80または以前に移送された印刷物の積み重ねの頂部に接触させることができる。2軸キャリヤの垂直移動により、成形加圧装置84の所定の端部を、図2のレシーバ基板30または図1の移送ループ35と圧力接触させることができ、その結果、印刷物91の所定の端部が構築プレート80または以前に移送された印刷物90の積み重ねの頂部と接触するようになる。関節運動装置83とともに2軸キャリヤ77の垂直および水平運動を調整することにより、成形加圧装置84の全体の形状の表面を、圧力を伴って、図2のレシーバ基板30または図1の移送ループ35に累進的に線接触させることができる。図2のレシーバ基板30または図1の移送ループ35への累進的な線接触により、キャリヤ装置200のたわみを生じさせて、印刷層45と構築プレート80との間、または前もって移送された印刷物90の積み重ねの上部との累進的な線接触を生じさせ得る。印刷物91と構築プレート80との間、または以前に移送された印刷層45の積み重ねの最上部との間の漸進的な線接触は、印刷層45を構築プレート80または以前に移送された印刷物90の積み重ねの最上部に移送するのに十分である。図6の移送装置76はまた、上述の接着力修正装置74と同様の接着力修正装置74を含むことができる。
【0067】
[組立(アセンブリ)装置]
一部が図1-3に示されている組立装置は、X-Y位置決め装置230と構築ステーション110とを備えることができる。構築ステーション110は構築プレート80を備えることができる。Z軸位置決め装置100が設けられてもよい。このZ軸位置決め装置は、構築プレート80の垂直位置を調節し、先に移送された印刷物90の最上部のレベルを所定の垂直位置に維持し、それによって印刷層45の構築プレート80への、または前に移送された印刷物90の最上部への適正な移送を容易にする。
【0068】
[接着力低減装置]
構築プレート80は、構築プレート80からの印刷物の完成した積み重ねの除去を容易にするために、接着力低減装置68を備えてもよい。図4-7に示す接着力低減装置68は、印加された刺激によって、以前に移送された物体90の積み重ねの接着力を低減するように活性化されてもよい。接着力低減装置68を、以前に移送された物体90の積み重ねを解放させるように動作させる刺激は、熱的刺激、放射刺激、磁気的刺激、化学的刺激、または機械的刺激であってもよい。
【0069】
[アライメントシステム]
図1~7を参照して、構築プレート80は、アライメントセンサ105をさらに備えることができる。図4-7に示すように、印刷層45は1つまたは複数のアライメント基準点102を含んでもよく、これは1つまたは複数のアライメントセンサ105と相互作用して、印刷物91を構築プレート80に正確に位置合わせするか、または以前に移送された印刷物の積み重ねの頂部に正確に位置合わせすることができる。位置合わせセンサ105は、UVスペクトル、可視スペクトル、またはIRスペクトルにおいて、または磁気的に、または機械的に、アライメント基準102と相互作用することができる。コンピュータシステム10と関連して、アライメントセンサ105は、アライメント基準点102の位置を実際の位置の0.01mm以内に検出し、構築プレート80をアライメント基準点102に対して所定の位置の0.01mm以内に位置決めすることができる。
【0070】
[組立装置位置決め装置]
図1-3に示すように、組立装置は、X-Y位置決め装置230および構築ステーション110を備えることができる。構築ステーション110は、Z位置決め装置および構築プレート80を備えることができる。構築ステーション110は、構築プレート80およびX-Y位置決め装置230と相互作用して、コンピュータシステム10のコマンドで構築プレート80を、多材料マルチモジュールプリンタシステムを含む複数の移送装置のいずれか1つの移送装置58に対して、所定の位置の0.01mm以内に位置決めさせることができる。
【0071】
X-Y位置決め装置230は、コンピュータ制御のX-Y移動システムを備えることができる。移動システムは直交接続された一対のリニアアクチュエータまたは平面X-Yリニアモータであってもよいが、これらに限定されない。構築ステーション110は、構築ステーション110がX-Y位置決め装置230の制限内の任意の地点に移動できるように、X-Y移動システムと連携している。X-Y移動システムは、組立ステーション110がプリンタシステムに関連する複数の移送装置のいずれかの移送装置58から移送された印刷層を受け入れるように移動され、正確に位置決めされるように、スケーリングされてもよい。X-Y位置決め装置230はさらに、組立ステーション110が、プリンタに関連付けられたすべてのプリンタモジュールから離れて、アンロード位置に移動することを可能にするようにスケーリングされてもよい。関連するモジュールからのクリアランスは、X-Y平面内に設けられてもよく、またはX-Y平面に直交する分離によって設けられてもよい。構築ステーション110には、さらに、構築プレート80と移送装置58との回転位置合わせを提供するための回転移動システムを設けることができる。
【0072】
[ヘキサポッド]
別の実施形態では、構築プレート80の正確な位置がX、Y、およびZ軸に沿った運動、ならびに少なくとも1つの軸の周りの回転を提供することができるヘキサポッドによって提供されてもよい。
【0073】
[組立装置]
組立装置は図3に示すように、多材料マルチメソッド3Dプリンタの統合部品であってもよい。組立装置には、プリンタモジュール及び関連する移送モジュールの取り付けに適合する複数の受け入れ装置を備えることができる。組立装置の受け入れ装置は、プリンタモジュールおよび移送モジュールを組立装置と所定の態様で物理的に関連付けるための機械的取り付け装置を備えることができる。組立装置の受け入れ装置には、プリンタモジュール処理ユニットを図1および図2の中央処理装置300と一体化するための論理アタッチメント装置を設けることもできる。
【0074】
[マルチメソッド3Dプリンタシステム]
図3は、マルチメソッド3Dプリンタシステム400の一実施形態を示す。図3は、組立装置に関連する4つのプリンタモジュールおよび4つの移送装置を示す。4つのプリンタモジュールは全て、異なるパターニング及び堆積技術を実施することができる。EPプリンタモジュール1は、幾分か詳細に表される。一般的なプリンタモジュール5は、EP印刷以外の堆積及びパターニング技術を用いてもよい。プリンタモジュール5は、限定するものではないが、粉末ベッド及びジェットバインダ、オフセット印刷、ジェット材料印刷、及び選択的レーザー溶融のような堆積及びパターニング技術を採用するプリンタモジュールから選択することができる。
【0075】
図3はプリンタシステムを示しており、このシステムでは、4つのプリンタモジュール/移送装置が隣接するモジュールに対して直角に並んでおり、その近位端がX-Y位置決め装置230の中心に向かっている。この形態は、4つのプリンタモジュールAに限定されず、わずか2つのプリンタモジュール、3つのプリンタモジュール、または4つ以上のプリンタモジュールを含むことができることが理解される。印刷部除去領域は、X-Y位置決め装置230上の任意の開放空間における水平方向の分離によって提供されてもよく、またはプリンタモジュールAおよび移送モジュールBからの組立ステーション110の垂直方向の分離によって提供されてもよい。隣接するモジュールのアライメントは、直交するのではなく平行であってもよいことがさらに理解される。当業者にとって、他の形態は明らかであろう。
【0076】
図3に示すように、多材料マルチメソッド3Dプリンタ400は、組み立て装置によって一体化された関連する移送装置を有する複数のプリンタモジュールを含む。各プリンタモジュールは、印刷厚さ、バインダ濃度、バインダの種類、および材料の種類などの動作パラメータを調整することができる。動作パラメータの調整は最終印刷物の特性に著しく影響を及ぼす可能性があるが、各プリンタモジュールは1つの特定の方法に基づいて印刷物を作成する。潜在的な方法の例の非網羅的なリストには、噴射バインダ印刷、電子写真印刷、オフセット印刷、および噴射材料印刷が含まれる。所与の印刷物を作成する方法は、実際の厚さ範囲、最小フィーチャサイズ、精度、および印刷速度などの別個の方法の能力に基づいて選択することができる。ほとんどの印刷方法は1つ以上の材料と適合し得るが、基礎材料は特定の方法で使用するための特定の調整を必要とし得る。
【0077】
実用上、多材料マルチメソッド3Dプリンタが、印刷方法と、最終的に製造される部品に必要とされる材料との組合せ毎に1つのプリンタモジュールを用いて構成することができる。一実施形態では、マルチメソッド3Dプリンタシステムを構成する複数のプリンタモジュールのうちの少なくとも1つは、特定の最終部品に必要とされるように、別のモジュールと迅速かつ容易に交換することができる。
【0078】
EPプリンタはマルチメソッド3Dプリンタシステム400内の複数のプリンタモジュールのうちの1つとして示されているが、多材料EPプリンタはスタンドアロン装置として配備され、完全な3D印刷デバイスを作成することができることが理解されよう。
【0079】
上記で説明したように、本開示の実施形態は複数のプリンタモジュールを含む3Dプリンタシステムを対象とし、各プリンタモジュールは複数の移送装置のうちの1つに関連付けられてもよく、複数の移送デバイスのすべては組立装置と調和されてもよい。中央コンピュータシステム300は、3Dプリンタシステムのすべての要素の動作を調和させることができる。複数のプリンタモジュールは、少なくとも2つの異なる堆積及びパターニング技術を採用するプリンタモジュールを含むことができ、複数のプリンタモジュールの各々は、1つの材料又は複数の材料の印刷物を生成するように構成することができる。各プリンタモジュールは、異なる材料を用いて印刷物を作成することができ、またはいくつかのプリンタモジュールが同じ材料を使用することができ、または3Dマルチメソッドプリンタシステムのプリンタモジュールのすべてが、同じ材料を使用することができる。関連する移送装置を有するプリンタモジュールは、組み立て装置と容易に結合されるか、または組み立て装置から容易に取り外されるように構成され得、構築要件に適合するようにプリンタの容易なカスタム構成を可能にする。
【0080】
[パターン生成]
上述したように、EP3D印刷モジュールは、複雑な3次元パターンで1つ以上の材料の構造を生成するように構成され、構造は各層が1つ以上の材料で構成される層に構築される。各層の各材料のパターンは、従来の3Dプリンタの各層のパターン生成と同様の方法で生成することができる。具体的には、各層のパターンが、SolidWorksのようなCADソフトウェアを使用することによって、構造全体のスライスから導出することができる。従来の3Dプリンタとは異なり、コンピュータシステム10は、入力装置330を介してコンピュータシステム10に入力された各層の設計ファイル320に含まれるパターンを2つ以上の材料に分離することができる。
【0081】
[材料のタイプ]
印刷のための材料のタイプは2つの基本的なカテゴリー、すなわち、堅牢な材料および不安定な材料すなわち逃散性材料(fugitive material)に広く分類することができる。
【0082】
堅牢な材料は、印刷後の処理ステップに耐えて、最終的に印刷された部分の非圧縮性ボクセルになる材料である。堅牢な材料は、組成及び構造において、印刷されたときの材料と組成および構造を同じにしたままで後処理ステップに耐えることができる。このような材料としては、例えば、Al粉末として出発し、高密度のAlとしての印刷後焼結工程に耐えるアルミナのようなセラミック、または出発したのと同じ合金含有量の固形塊として印刷後焼結工程に耐えるステンレス鋼合金粉末のような金属が挙げられる。
【0083】
堅牢な材料はまた、最終材料の前駆体として出発してもよい。ポスト印刷プロセスは、堅牢な材料の前駆体を反応させて、新しい化学化合物を生成させるか、または相を変化させるか、または前駆体の結晶タイプを変化させることができる。そのような材料の例は制御された酸化雰囲気中での印刷後熱処理中にアルミナに変換され得るアルミニウム粉末、またはセラミック化プロセスで使用される粉末ガラスであり、ガラスは焼結プロセス中に結晶に変換される。
【0084】
不安定材料すなわち逃散性材料は、後処理ステップの直後に、気体または真空によって占有されるように設計された、印刷された部分内のボクセルを占有することができる材料である。逃散性材料は、印刷処理中、および印刷層を印刷部品に組み立てる処理中に、固体または半固体材料から構成されてもよい。後処理工程の間に、逃散性材料は、印刷部分から容易に逃げることができる気体または液体のようなものに変換される。強固な材料の体積内に逃散性材料のボクセルの連続した塊を含む結果、後処理ステップの後に、所定の形態のキャビティとなる。キャビティは予め設計された通路を介して印刷部分の外側と連通していてもよいし、完全に密封されていてもよい。密閉されたキャビティは、所定のガスまたは真空によって占有されてもよい。逃散性材料の例には、450℃未満の温度でCOと水とに分解するポリエチレンまたはポリエチレンオキシドなどの有機材料、または熱処理雰囲気を制御することによって実質的により高い温度でCOに酸化され得るカーボン粉末が含まれる。逃散性材料がガスに変換されると、堅牢な物質が緻密な塊に焼結される前に、ガスは構造物から抜け出る可能性がある。
【0085】
いくつかの実施形態では、印刷材料は複合電子写真トナーである。いくつかの実施形態では、印刷材料が機能材料、摩擦電気活性材料、およびバインダ材料を含む。いくつかの実施形態では、機能性材料が全粉末体積の少なくとも40%を構成し、摩擦電気活性材料の性質に応じて、それは全粉末体積の約5%~60%の任意の値または範囲を構成することができ、バインダはトナーの残りを構成し、全粉末体積の0%~55%の任意の値または範囲とすることができる。
【0086】
機能性材料は、まず、印刷後の熱処理に耐えられる堅牢な材料である。それらは、ほぼ任意の金属またはセラミック、または金属とセラミック(ガラスを含む)との組合せであってもよい。
【0087】
上述したように、摩擦電気活性材料は、上述した堅牢な材料又は逃散性材料のうちの1つであってもよい。
【0088】
バインダは、非常に広範囲の有機材料から選択することができる。一般に、バインダは、個々の粉末粒子を所定の位置に保持するために、液体またはゲルから固体に変えることができる材料である。バインダは、例えばワックスのように、固体から液体に変換され、及び逆に固体に変換され得る材料であってもよい。相変化は、熱または電磁放射、または稀な場合には電子などの粒子への暴露によって生じ得る。バインダは、古典的な有機成分(炭素、水素、酸素および窒素)以外の原子の欠如または存在のために選択されてもよく、その理由はこれらの他の原子が熱処理に耐えるか、または熱処理の間に機能性材料と反応し得るからである。いくつかの実施形態では、バインダおよび摩擦電気機能が同じ材料によって提供されてもよい(すなわち、バインダおよび熱電活性材料は同じ材料である)。
【0089】
[処理]
3D印刷部品を製造するための基本的なプロセスは、所望の部品の構造、材料、および仕様を完全に定めるCADファイルから始まる。CADファイルに記載された部品は印刷パターン層にスライスされてもよく、各層の厚さは、最終的な厚さおよびパターンの許容誤差など、印刷部品内の各位置の仕様によって決定される。次いで、各層を、異なる材料を必要とする領域に分離することができる。次に、異なる材料要件の領域の各々に対するプリンタ制御命令を、入力装置330、中央処理装置300、およびインタフェースバス360を介して、設計ファイル320から、EPプリンタシステムの適切な印刷ステーション制御ユニット310に移送することができる。
【0090】
図8を参照すると、中央処理ユニット300は、プリンタ制御ファイルを生成し、それらをインタフェースバス360を介して、各プリンタモジュールのための適切なプリンタ制御ユニット310に転送する能力を有することができる。中央処理ユニット300はまた、印刷層45が図2のレシーバ基板30または図1の移送ループ35から所定の順序で移送され得るように、構築プレート80の位置決めを含んで図1および図2のアセンブリ装置230を直接制御してもよい。
【0091】
図1および図2を参照すると、多材料3DEPプリンタの複数のEPエンジン20のEPエンジン20のそれぞれに適切な材料を提供することによって、構築シーケンスが開始される。複数のEPエンジン20の各々は、中央処理装置300によって生成された制御システム310から受け取った命令に従って、印刷物を生成する。印刷部の各々は、レシーバ基板30及びEPエンジン20の協調運動によって、無条件(非調整)パターン40に組み立てることができ、無条件パターン40が完成するまで連続的にレシーバ基板がEPエンジン20aからEPエンジン20bへ移動する。
【0092】
複合トナー23の無条件パターン40のコンディショニングは、レシーバ基板30が無条件パターン40を最後のEPエンジンから圧縮装置に移動させると開始し、レシーバ基板30と図1の移送ループ35または図2のコンディショニングループ38との相互作用が開始する。
【0093】
特定の材料をコンディショニングするための正確な工程は、粉末の物理的および化学的特性、ならびに任意の印刷後工程後の材料の標的特性に依存して変化し得る。共通実施形態では、コンディショニングが、圧縮された粉末の密度を理論値の40%~70%に増加させるための圧縮工程を含んでもよい。いくつかの実施形態では、圧縮工程が、沈降工程を含んでもよい。沈降工程では、粉末に振動作用を加えて粉末粒子を沈降させ、凝集させる。別の実施形態では、圧縮工程が、粉末表面に垂直な力を伴って粉末をプレスすることを含んでもよい。このようなプロセスは図2および図3に示されており、上側圧縮装置60は、無条件パターン40の上方に配置され、下側圧縮装置62は、レシーバ基板30の下方に配置されて上側圧縮装置60と直接整列し、上側圧縮装置60と下側圧縮装置62との間に圧縮力を加えることができる。粉末の圧縮は、コンディショニングループ38または移送ループ35のような上部閉じ込め装置を用いて、またはそのような閉じ込め装置を用いずに、行うことができる。別の実施形態では、無調整パターン40の圧縮が、圧力カフによって無調整パターン40の表面に垂直な圧力を加えることを含むことができる。
【0094】
コンディショニングはまた、強固性または均一性、または印刷層45が構築プレート80に、または以前に移送された層90のスタックの頂部に接着する能力など、印刷層45の特性を改善するための動作を含んでもよい。このような動作は、コンディショニング装置54を用いて印刷層45を加熱又は冷却することを含むことができる。さらなる実施形態では、コンディショニング装置54の特性が、印刷層45のコンディショニング要件に適合するように変更され得る。例えば、コンディショニング装置54は、RF放射、X線放射、または紫外線放射のような放射を適用して、コンディショニングされていないパターン45のバインダ相の特性を変化させ、それによって印刷層45の物理的特性を制御することができる。印刷層45は、印刷層45の静電状態を変更して、印刷層45を移送ループ35または調整ループ38から構築プレート80へ、または前もって移送された層90の積層体の最上部へ移送する能力を改良するように、さらに調整されてもよい。このような変更は、移送バイアス装置56によって、印刷層45を所定の大きさおよび極性の静電界に曝すことによって、もたらされ得る。このような静電曝露は、印刷層45が構築プレート80と接触するように、または以前に移送された層90の積層体の上部に接触するようにもたらされるとき、印刷層45の移送ループ35またはコンディショニングループ38への接着力が、印刷層45の構築プレート80への接着力、または以前に移送された層90の積層体の上部への接着力よりも低くなるように、印刷層45の接着力を修正することができる。したがって、印刷層45を構築プレート80に、または以前に移送された層90の積層体の上部に移送することを容易にすることができる。
【0095】
様々な例および他の情報が添付の特許請求の範囲内の態様を説明するために使用されたが、当業者はこれらの例を使用して、多種多様な実施を行うことができるので、特許請求の範囲の限定はそのような例における特定の特徴または構成に基づいて解釈されるべきではない。さらに、いくつかの主題を、構造的特徴および/または方法を例示的に特定の表現で説明してきたが、添付の特許請求の範囲で定義される主題は必ずしもこれらの説明された特徴または動作に限定されないことを理解されたい。例えば、そのような機能は、本明細書で識別されるもの以外の構成要素において、異なるように発揮されるか、または実行され得る。むしろ、記載された特徴およびステップは、添付の特許請求の範囲内のシステムおよび方法の構成要素の例として開示される。特許請求の範囲において、一組のうちの「少なくとも1つ」という表現は、その組の中の1つの部材またはその組の中の複数の部材を意味することがある。
【0096】
本発明の様々な実施形態が上述されてきたが、それらは限定ではなく、単に例として提示されてきたことを理解されたい。本発明の精神または範囲から逸脱することなく、本明細書の開示に従って、開示された実施形態に多数の変更を加えることができる。したがって、本発明の広がりおよび範囲は、上述の実施形態のいずれによっても限定されるべきではない。むしろ、本発明の範囲は、以下の特許請求の範囲およびその均等物に従って定義されるべきである。
【0097】
本発明を、1つまたは複数の実施形態に関して図示し、説明したが、本明細書および添付の図面を読んで理解すると、他の当業者は同等の変更および修正を思いつこう。さらに、本発明の特定の特徴はいくつかの実装形態のうちの1つのみに関して開示されているが、そのような特徴は任意の所与のまたは特定のアプリケーションに対して所望され、有利であり得るように、他の実施形態の1つまたは複数の他の特徴と組み合わせることができる。
【0098】
本明細書で使用される用語は特定の実施形態を説明するためだけのものであり、本発明を限定することを意図するものではない。本明細書で使用されるように、単数形「a」、「an」および「the」は文脈が別段の明確な指示をしない限り、複数形も同様に含むことが意図される。さらに、用語「including」、「includes」、「having」、「has」、「with」、またはそれらの変形が詳細な説明および/または特許請求の範囲のいずれかで使用されるが、そのような用語は、「comprising」と同様に包括的であることが意図される
【0099】
別段の定義がない限り、本明細書で使用されるすべての用語(技術用語および科学用語を含む)は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。さらに、一般的に使用される辞書で定義されるような用語は関連技術の文脈におけるそれらの意味と一致する意味を有するものとして解釈されるべきであり、本明細書で明示的にそのように定義されない限り、理想化されたまたは過度に形式的な意味で解釈されるべきではないことが理解されるであろう。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【手続補正書】
【提出日】2021-06-18
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
三次元(3D)印刷システムであって、
少なくとも1つの印刷モジュールが電子写真(EP)印刷モジュールを含む、複数の印刷モジュールと、
物体を複数の印刷モジュールのそれぞれに移送するための移送装置と、
各コントローラが複数の印刷モジュールのうちの1つに結合された、複数のコントローラと、
複数のコントローラに結合され、複数の印刷モジュール内の物体上への材料の堆積を制御するコンピュータとを備え、
前記電子写真印刷モジュールは、
複数の電子写真プリンタエンジンと、
下側圧縮装置及び上側圧縮装置とを備える、三次元印刷システム。
【請求項2】
前記電子写真印刷モジュールは、前記物体上に複数の複合トナー材料を堆積するように構成される、請求項1に記載の三次元印刷システム。
【請求項3】
前記複数の電子写真プリンタエンジンの各々は、
光伝導体ドラムと、
ドラムクリーナと、
放電装置と、
帯電誘導装置と、
映像装置とを備える、請求項1に記載の三次元印刷システム。
【請求項4】
前記電子写真印刷モジュールは、レシーバ基板を含む、請求項1に記載の三次元印刷システム。
【請求項5】
前記レシーバ基板は、電気的に半導体の複合材料を含む、請求項4に記載の三次元印刷システム。
【請求項6】
前記複数の電子写真プリンタエンジンの各々は、複合トナーのリザーバを備える、請求項1に記載の三次元印刷システム。
【請求項7】
前記複数の電子写真プリンタエンジンの各々は、前記複合トナーの層を静電的に引き付ける大きさおよび兆候を有する電位で電気的にバイアスされる、請求項6に記載の三次元印刷システム。
【請求項8】
前記レシーバ基板は、連続ループである、請求項4に記載の三次元印刷システム。
【請求項9】
前記レシーバ基板は、近位端に駆動輪を備え、遠位端に下側圧縮装置を備えており、
前記レシーバ基板は、前記駆動輪から前記下側圧縮装置に向かって移動する、請求項4に記載の三次元印刷システム。
【請求項10】
前記レシーバ基板の位置は、前記コンピュータによって制御される、請求項4に記載の三次元印刷システム。
【請求項11】
前記下側圧縮装置は、前記レシーバ基板の厚さを通して、複合トナーの非調整パターンに作用し、前記上側圧縮装置は、移送ループの厚さを通して、複合トナーの非調整パターンに作用する、請求項4に記載の三次元印刷システム。
【請求項12】
前記電子写真印刷モジュールは、移送ループをさらに備える、請求項4に記載の三次元印刷システム。
【請求項13】
前記レシーバ基板から前記移送ループに移すためのコンディショニング装置をさらに備える、請求項4に記載の三次元印刷システム。
【請求項14】
前記移送装置が、調整ループをさらに備える、請求項4に記載の三次元印刷システム。
【請求項15】
前記調整ループは、非調整パターンの複合トナーを圧縮するために前記下側圧縮装置及び前記上側圧縮装置の少なくとも一方を備える、請求項14に記載の三次元印刷システム。
【請求項16】
前記下側圧縮装置は、前記レシーバ基板の厚さを通して、複合トナーの非調整パターンに作用し、前記上側圧縮装置は、前記調整ループの厚さを通して、複合トナーの非調整パターンに作用する、請求項15に記載の三次元印刷システム。
【請求項17】
前記複数の印刷モジュールの各々は、異なった堆積およびパターニング技術を使用する、請求項1に記載の三次元印刷システム。
【請求項18】
前記複数の印刷モジュールのうちの少なくとも一つは、取り外し可能である、請求項1に記載の三次元印刷システム。
【請求項19】
前記複数の印刷モジュールのうちの少なくとも一つは、複数の印刷モジュールのうちの異なったものと取替可能である、請求項1に記載の三次元印刷システム。
【国際調査報告】