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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-28
(54)【発明の名称】3Dプリントフィルター中心管
(51)【国際特許分類】
   B01D 29/11 20060101AFI20220121BHJP
   B01D 46/52 20060101ALI20220121BHJP
   B01D 39/16 20060101ALI20220121BHJP
【FI】
B01D29/10 510F
B01D46/52 C
B01D39/16 Z
B01D46/52 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021531057
(86)(22)【出願日】2019-11-14
(85)【翻訳文提出日】2021-05-28
(86)【国際出願番号】 US2019061379
(87)【国際公開番号】W WO2020117445
(87)【国際公開日】2020-06-11
(31)【優先権主張番号】16/211,395
(32)【優先日】2018-12-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】391020193
【氏名又は名称】キャタピラー インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】CATERPILLAR INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】イメル、ジョン ティー.
(72)【発明者】
【氏名】ロドリゲス、ハヴィエル エー.
【テーマコード(参考)】
4D019
4D058
4D116
【Fターム(参考)】
4D019AA01
4D019AA02
4D019BA02
4D019BA13
4D019BB02
4D019CA02
4D019CA03
4D019CB06
4D019CB07
4D058JA10
4D058KA03
4D058LA01
4D058SA07
4D058SA08
4D116AA16
4D116BB01
4D116BC13
4D116BC23
4D116BC27
4D116BC44
4D116BC46
4D116BC47
4D116BC76
4D116DD05
4D116EE01
4D116EE03
4D116EE06
4D116FF13B
4D116GG02
4D116GG12
4D116RR01
4D116RR04
4D116VV01
4D116VV02
4D116VV05
4D116ZZ01
(57)【要約】

フィルター中心管(100)は、第一の所定の方向(106)に延在する固化材料の第一の波状ストリップ(104)を有する第一の層(102)と、第二の所定の方向(112)に延在する固化材料の第二の波状ストリップ(110)を有する第二の層(108)とを含む、固化材料の複数の層を含む。第一の層(102)は、第二の層(108)と接触しており、第一の所定の方向(106)は、第二の所定の方向(112)と平行ではなく、それらの間に複数の細孔(114)を形成する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固化材料の複数の層(102、108)であって、
第一の所定の方向(106)に延在する固化材料の第一の波状ストリップ(104)を有する第一の層(102)と、
第二の所定の方向(112)に延在する固化材料の第二の波状ストリップ(110)を有する第二の層(108)とを含む、複数の層(102、108)を含み、
前記第一の層(102)が前記第二の層(108)と接触し、前記第一の所定の方向(106)が前記第二の所定の方向(112)と平行でなく、それらの間に複数の細孔(114)を形成する、フィルター中心管(100)。
【請求項2】
前記第一の所定の方向(106)が、前記第二の所定の方向(112)に対して垂直または接線方向である、請求項1に記載のフィルター中心管(100)。
【請求項3】
固化材料の前記第一の波状ストリップ(104)は、台形パターン(116)を有し、固化材料の前記第二の波状ストリップ(110)は、正方形パターン(118)を有する、請求項2に記載のフィルター中心管(100)。
【請求項4】
前記台形パターン(116)が、それぞれが前記第二の所定の方向(112)に沿ってサイズが減少する細孔寸法(120)を含む複数の細孔(114)を少なくとも部分的に画定する、請求項3に記載のフィルター中心管(100)。
【請求項5】
前記フィルター中心管(100)が、外側環状領域(124)および内側環状領域(126)を画定する円筒形環状構成を含み、前記複数の層(102、108)が互いに接触して、それらの間に複数の細孔(114)を画定する、請求項2に記載のフィルター中心管(100)。
【請求項6】
前記フィルター中心管(100)が、第三の所定の方向(122)を画定し、前記細孔寸法(120)が、前記第三の所定の方向(122)に沿ってサイズが変化する、請求項4に記載のフィルター中心管(100)。
【請求項7】
外壁(202)と、内壁(204)とを含むハウジング(201)であって、前記外壁(202)および前記内壁(204)が、同じ長手方向軸(206)を画定し、前記内壁(204)が、前記長手方向軸(206)を通過し、それに直角である半径方向(208)、および前記半径方向(208)に対して接線方向にあり、前記長手方向軸(206)に対して垂直である周方向(210)を画定し、前記内壁(204)が、前記外壁(202)から半径方向に離間しており、前記ハウジング(201)が、前記長手方向軸(206)に沿って配置される第一の端部(212)および第二の端部(214)、および中空内部(216)をさらに画定する、ハウジング(201)と、
前記中空内部(216)と流体連通する入口(218)と、
前記中空内部(216)と流体連通する出口(220)と、
前記中空内部(216)内に配置され、複数の層(102、108)を含み、各層(102、108)が、固化材料の波状ストリップ(104、110)を含む、フィルター中心管(100)とを含む、フィルター(200)。
【請求項8】
前記フィルター中心管(100)は、外側環状領域(124)および内側環状領域(126)を画定する環状形状を含み、前記中空内部(216)は、前記フィルター中心管(100)の前記入口(216)および前記外側環状領域(124)と流体連通する外側環状チャンバー(224)と、前記フィルター中心管(100)の前記出口(220)および前記内側環状領域(126)と流体連通する前記長手方向軸(206)の周りに同心の中央円筒形ボイド(226)とを含む、請求項7に記載のフィルター(200)。
【請求項9】
前記フィルター中心管が、200μm未満の最小寸法(120)を画定する複数の細孔(114)を画定する、請求項7に記載のフィルター(200)。
【請求項10】
前記フィルター中心管(100)と前記外壁(202)との間に半径方向に配置された円筒形環状構成フィルター媒体(228)をさらに含み、前記フィルター媒体(228)は、開口(230)を有する折り畳まれた布地を含む、請求項9に記載のフィルター(200)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、地面移動、建設および採掘機器(例えば、自動車、農業、HVAC(加熱、換気および空調)、機関車、海洋、排気処理、またはフィルターおよびブリーザーが有用なその他の産業)などの機構およびエンジンに電力を供給するために使用される、油圧流体、空気濾過、油、および燃料などのさまざまな流体中の汚染物質を除去するために使用されるフィルターおよびブリーザーに関する。具体的には、本開示は、フィルター媒体の崩壊を防ぐのに役立つ支持を提供する、フィルター中心管を使用して製造されるフィルターに関する。
【背景技術】
【0002】
地面移動、建設および採掘機器、ならびに類似のものは、機器の機構およびエンジンに電力を供給するために使用される油圧流体、油、および燃料などのさまざまな流体中の汚染物質を除去するために使用されるフィルターおよび/またはブリーザーをしばしば使用する。経時的に、汚染物質は、さまざまな機構(例えば、油圧シリンダー)およびエンジンの構成要素に有害であり得る流体中に収集し、修理を必要とする。フィルターおよび/またはブリーザーの目標は、これらの構成要素の有効寿命を延ばすために、さまざまな流体中の汚染物質を除去することである。フィルターおよび/またはブリーザーを使用する産業は、油圧流体、空気、油、および燃料などから汚染物質を除去する必要がある場合がある。これらの他の産業の例としては、自動車、農業、HVAC、機関車、海洋、排気処理などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0003】
典型的には、フィルター媒体を提供するために使用される技術には、汚染物質を除去する折り畳み多孔性布、または他の材料が含まれる。フィルター中心管は、布が崩れるのを防ぐのを助けるために使用され得る。フィルター媒体が崩れることは、汚染物質を除去し、一方で、フィルターを通る流体の十分な流れを許容して、装置のさまざまなシステムに供給するのを可能にする、フィルターの有効性を妨害する。
【0004】
フィルター中心管は、フィルターの内部のかなりの量の空間を占有してもよく、所望のレベルの汚染除去を維持しながら、流体がフィルターを通って流れる速度を制限し得る。すなわち、フィルターのスループットは、支持のみを提供し、濾過機能を持たない中心管によって減少し得る。
【発明の概要】
【0005】
本開示の実施形態によるフィルター中心管は、第一の所定の方向に延在する、固化材料の第一の波状ストリップを有する第一の層と、第二の所定の方向に延在する、固化材料の第二の波状ストリップを有する第二の層とを含む、固化材料の複数の層を含む。第一の層は、第二の層と接触し、第一の所定の方向は、第二の所定の方向と平行ではなく、それらの間に複数の細孔を形成する。
【0006】
本開示の別の実施形態によるフィルターは、外壁と、内壁とを含むハウジングを含む。外壁および内壁は、同じ長手方向軸を画定し、内壁は、長手方向軸を通過し、それに対して垂直な半径方向、および半径方向に対して接線方向であり、長手方向に対して垂直な周方向を画定する。内壁は、外壁から半径方向に離間しており、本体はさらに、長手方向軸に沿って配置される第一の端部および第二の端部および中空内部を画定する。入口は中空内部と流体連通し、出口は中空内部と流体連通する。フィルター中心管は、複数の層を含む中空内部に配置されてもよく、各層は、固化材料の波状ストリップを含む。
【0007】
本開示の実施形態によるフィルター中心管を製造する方法は、フィルターのコンピューター可読3次元モデルを提供することを含み、3次元モデルは、各々がフィルター中心管の断面層を画定する複数のスライスに変換され、付加製造によってフィルター中心管の各層を連続的に形成するように構成される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成する添付の図面は、本開示のいくつかの実施形態を示し、説明とともに、本開示の原理を説明するのに役立つ。図面では、
【0009】
図1図1は、本開示の実施形態による、3D印刷または他の付加製造技術を使用して製造されたフィルター中心管を用いるフィルターの断面図である。
図2図2は、図1のフィルター中心管の一部分の拡大斜視図であり、フィルター中心管が、Z方向に沿って、一つの層(X方向)から隣接する層(Y方向)へ交互方向に波打つ材料の波状ストリップの層を形成することによって形成されることを示す。
図3図3は、層間で形成される細孔のサイズを減少し得る層の変形(例えば、垂れ下がり)を示す、図2の中心管の側面図である。
図4図4は、本開示の任意の実施形態による、フィルター中心管および/またはフィルター媒体の3次元モデルを生成するための方法を示し、システムを表す概略図である。
図5図5は、本開示の実施形態による、フィルター中心管および/またはフィルター媒体を作成する方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
参照の例が添付図面に図示される特定の実施形態または特徴を詳細に参照する。可能な限り、同一または類似部品に言及するのに、図面全体を通して同一の参照番号を使用するであろう。一部の事例では、参照番号が本明細書で示され、図面はその後に文字が続く、例えば、100a、100b、または例えば100′、100′′などの参照番号を示す。参照番号の直後に文字または素数を使用することは、これらの特徴が同様の形状であり、幾何学が対称面の周りにミラーリングされる場合によくあるのと同様の機能を有することを示すことを理解されたい。本明細書での説明を容易にするために、文字および素数はしばしば本明細書に含まれないが、特徴の重複を示すために図面に示され得、この書面による仕様内で説明される、類似または同一の機能または形状を有する。
【0011】
既存の付加製造技術を利用して、使用可能な効率グレードの多孔性フィルター媒体を生成する再現性のあるプロセスを生成する方法を実施する、フィルターおよび/またはフィルター媒体のさまざまな実施形態が本明細書で検討される。プロセスの例としては、FFF、FDM、SLAなど、3D印刷ハードウェア、および材料が部品に追加されると、多孔質構造を構築するために小さなギャップが生成されるように、印刷ヘッドの動きパターンの特定の制御が挙げられる。この方法は、ユーザーによって与えられた入力に基づいて、濾過構造を生成するオープンソースソフトウェアを利用する。方法は、プリントヘッドの速度および経路、堆積されるプラスチックの流量、冷却方法などを変え得る。配置される構造は、小さなサイズの細孔が生成されるように、垂れ下がるか、または変形し得る。
【0012】
例えば、材料は、一つの層から次の層に滴り、次の層とのシールを形成し得る。従って、媒体に二つ以上の細孔およびより微細な多孔性を形成する。変形(例えば、滴下、垂れなど)は、最新の生成された層および重力においてホットノズルから保持される熱から発生し得る。結果として、前の配置層が新しい層に取り付けられ得る。好適な距離だけ離間した二つの平行な層に対して垂直/平行ではない滴下層は、それが隣接する層と接触し、各側上に二つ(またはそれ以上)のより小さい細孔を形成することができるまで変形する。実際には、これにより、より微細な濾過のためのより微細な細孔サイズが形成され得る。望ましい変形は、温度制御、層高さの制御、押出成形幅、充填パターンなどを調整することを含み得る。
【0013】
単一層のフィルター媒体の破片保持能力は、典型的には、媒体を通る流れ通路の数によって制限される。流体が媒体を通過する際に、通路よりも大きい破片は媒体を流れることができず、最終的に、流れ通路を遮断するか、または媒体に閉じ込められる。フィルターの能力を高めるために、媒体は、より大きな破片を、小さな破片とは異なる深さで停止することができるように、層状および/または互い違いに重ね合わせることもできる。これにより、媒体破片保持能力が増加する。典型的な媒体は、均質な細孔構造を有する。これは、フィルターによって停止された破片の大部分が、汚染された流体が最初に通過する表面の近くで発生するため、媒体の能力を制限する。
【0014】
本明細書に開示されるフィルター媒体のさまざまな実施形態において、付加製造技術を介して作製された媒体および/またはいくつかの段階的媒体パックのステージ内の勾配が提供され得る。媒体パックは、付加製造プロセスにおける入力設定の固有の組み合わせから開発および合成された別個の媒体パックから成ってもよい。これらの設定は、媒体パックの各ステージの形状を選択的に制御する。個別の固有の媒体パックを段階的に作製することにより、フィルター構成のフィルターを使用して行われるか、またはシステム中に複数のフィルターを直列に有して行われるかであろう複数のステージの濾過することを可能にするにもかかわらず、媒体パック全体が一つの連続的な濾過要素として作用することを可能にする。従来のフィルター設計におけるフィルターとは異なり、追加のステージを加えることは、必ずしも部品の複雑さおよびコストの大幅な増加をもたらすとは限らない。
【0015】
結果として、汚染された流れは、異なる形態の濾過を受ける各ステージを通過し、特定の効率レベルを達成する。いくつかの実施形態では、層の高さは、その層に対して一定に保持され、部品に追加されたばかりの層から固定距離で画定される(印刷される部分の異なる高さで異なる層の高さで印刷することは、印刷時間を減少させるために行われるものである)。
【0016】
いくつかの実施形態では、方法は、印刷される際に層の高さを変化させて、一つの領域においてより厚く、別の領域においてより薄い単一層を生成する。媒体パックの奥行きに対する層の高さの変化は、流れが下流に進むにつれて、より小さな細孔サイズを生成するテーパをもたらし得る。これは、奥行きに対する効率を増加させ、より大きな粒子がその粒子サイズに特異的な適切な奥行きよりもさらに通過することを防止し得る。これにより、媒体パックによって占有される体積のより良好な利用が可能になり、破片保持能力を増加させ得る。テーパは、媒体パックボリュームの利用率をさらに高めるために、入れ子にすることもできる。入れ子にされたテーパは、フィルターとして機能できるように、同じ寸法にすることができ、またはテーパは、媒体パック内のステージに関する効率を高めることができる、徐々に小さくなる仕様を有することができる。
【0017】
本明細書で論じるフィルターおよび/またはフィルター媒体は、油圧流体、油、燃料など、任意のタイプの流体中の汚染物質を除去するために使用することができ、また地面移動、建設および鉱業などを含む任意の産業で使用され得る。本明細書で使用される場合、用語「フィルター」は、本明細書の任意の場所に記載されるように、流体から汚染物質を除去するために使用される「ブリーザー」または任意の装置を含むと解釈されるべきである。また、フィルターおよび/またはブリーザーを使用する、本明細書に記載される任意の適切な産業は、本明細書で論じる実施形態のいずれかを使用し得る。
【0018】
図1~3に焦点を当てると、本開示の実施形態によるフィルター中心管を有するフィルターが説明される。図1のフィルターは、フィルターの内部動作を示すように切断されることに留意されたい。完全には示されていないが、当然のことながら、フィルターはキャニスタータイプのフィルターであり、実際には中空の円筒形の筐体を形成する。フィルターの他の構成要素は具体的には示されていないが、端部キャップ、上部プレートなどを含むことが理解される。フィルターは、他の付加製造技術を使用して3D印刷されるフィルター媒体で製造され得るため、フィルターはより構造的完全性を有し得るため、いくつかの実施形態において中心管は省略され得る。
【0019】
図1~3図を引き続き参照すると、本開示の実施形態によるフィルター中心管100は第一の所定の方向106に延在する固化材料の第一の波状ストリップ104を有する第一の層102と、第二の所定の方向112に延在する固化材料の第二の波状ストリップ110を有する第二の層108とを含む、固化材料の複数の層を含み得る。第一の層102は、第二の層108と接触し、第一の所定の方向106は、第二の所定の方向112と平行ではなく、それらの間に複数の細孔114を形成する。
【0020】
いくつかの実施形態では、図2で最もよくわかるように、第一の所定の方向106は、第二の所定の方向112に対して垂直または接線方向である(他の空間的関係が可能である)。より具体的には、固化材料の第一の波状ストリップ104は、台形パターン116を有してもよく、固化材料の第二の波状ストリップ110は、正方形パターン118を有し得る。他の実施形態では、他のパターンが可能である。台形パターン116は、各々が第二の所定の方向112に沿ってサイズを減少する細孔寸法120を含む複数の細孔114を少なくとも部分的に画定する。同様に、図3で最もよくわかるように、フィルター中心管100は、第三の所定の方向122を画定してもよく、細孔寸法120は、層に変形が起こる時(例えば、滴下、垂れ落ちなどにより)など、第三の所定の方向122に沿ってサイズを変化させてもよい。
【0021】
本明細書の前半でほのめかされ、図1に最もよく見られるように、フィルター中心管100は、外側環状領域124および内側環状領域126を画定する円筒形環状構成を含み得、複数の層102、108は、互いに接触して、それらの間に複数の細孔114を画定する。多角形、立方体などの中心管100の他の構成が、他の実施形態に対して可能である。
【0022】
ここで、本開示の実施形態によるフィルター、図1を参照しながら説明する。フィルターは、キャニスタースタイルのフィルターであり得るが、他の実施形態に対する他の構成およびスタイルが可能である。フィルター200は、外壁202および内壁204を含むハウジング201を含んでもよく、外壁202および内壁204は、同じ長手方向軸206を画定する。内壁204は、長手方向軸206を通過し、かつそれに対して垂直な半径方向208と、半径方向208に対して接線方向であり、長手方向軸206に対して垂直な周方向210とを画定する。中心管100によって形成されてもよく、またはハウジング201などと一体的に形成され得る内壁204は、外壁202から半径方向内側に離間している。ハウジング201は、シームレスであり得るし、シームレスでなくてもよい。
【0023】
ハウジング201は、長手方向軸206に沿って配置される第一の端部212および第二の端部214、および中空内部216をさらに画定し得る。中空内部216と流体連通する一つまたは複数の入口218が提供され得る。同様に、中空内部216と流体連通する少なくとも一つの出口220が提供され得る。本実施形態では、出口220は、長手方向軸206を囲むことができる。フィルター中心管100は、複数の層102、108を含む中空内部216内に配置されてもよく、各層は、本明細書で前述したように、波状ストリップ104、110の固化材料を含む。
【0024】
フィルター中心管100は、外側環状領域124および内側環状領域126を画定する環状形状を含み得る。同様に、中空内部216は、フィルター中心管100の入口218および外側環状領域124と流体連通する外側環状チャンバー224を含み得る。また、フィルター200の中空内部216は、フィルター中心管100の出口220および内側環状領域126と流体連通する長手方向軸206の周りに同心の中央円筒形ボイド226を含んでもよい。フィルター中心管100は、200μm未満の最小寸法120を画定し得る複数の細孔114を画定する。
【0025】
フィルター200は、フィルター中心管100と外壁202との間に半径方向に配置された円筒形環状構成フィルター媒体228をさらに含み得る。フィルター媒体228は、開口230を有する折り畳まれた布地などの従来のフィルター媒体を含み得る。他の実施形態では、フィルター媒体はまた、3D印刷などの付加製造プロセスを使用して製造される。こうした場合、フィルター中心管100は、二次フィルター媒体として作用してもよく、一方、外側フィルター媒体228は、一次フィルター媒体として作用し得る。このような場合、フィルター媒体228の開口230は、フィルター中心管100の細孔114と比較して、より大きなサイズ寸法を画定し得る。フィルター200を通る流体の流れは、矢印234によって示される。流体流れは、他の実施形態では逆向きであり得る。
【0026】
これらのさまざまな構成、空間的関係、および寸法は、必要に応じて変化し、他の実施形態で具体的に示され、および説明されたものとは異なることが望まれて変化する。例えば、細孔サイズは、所望の大きなサイズであってもよく、または所望の小さなサイズであり得る。また、入口および出口の数および配置は、さまざまな実施形態において、必要に応じて、または所望に応じて変化し得る。
【0027】
今述べたように、より大きなサイズの汚染物質が、第一のフィルター媒体228によって第一のステージで濾過され、より細かい汚染物質が、第二のフィルター媒体によって第二のステージで濾過されるように(すなわち、中心管100)など、複数の濾過ステージを提供することができる。必要とされるまたは所望の多くの濾過状態は、さまざまな実施形態(n番目のステージまでおよびn番目のステージを含む)で提供され得る。他の実施形態では、第一のフィルター媒体228は、水を除去するように構成されてもよく、第二のフィルター媒体100は、破片などを除去するように構成され得る。いくつかの実施形態では、第一のフィルター媒体228および第二のフィルター媒体100は、ハウジング201に挿入され得る別個の構成要素である。このような場合、フィルター200のハウジングは、第一のフィルター媒体228および第二のフィルター媒体100から分離する。他の実施形態では、第一のフィルター媒体228および第二のフィルター媒体100は、ハウジング201とおよび互いに一体であり、付加製造プロセスを介してハウジング201と同時に構築される。
【0028】
また、本明細書に記載のフィルター媒体のさまざまな実施形態は、取り込まれた破片または他の汚染物質をフィルター媒体からバックフラッシュすることによって再使用され得ることに留意されたい。
【0029】
図1では、第一の所定の方向106がX方向であってもよく、第二の方向112がY方向であってもよく、第三の方向122がZ方向であり得ることを示すデカルト座標系が提供される。他の座標系および方向は、極、球状などを含む他の実施形態に対して可能であり得る。
【0030】
フィルター媒体、フィルター中心管、またはフィルター、または関連する特徴の任意の実施形態について本明細書で論じる寸法または構成のいずれも、必要に応じて、または所望の場合、変化させ得る。また、フィルター媒体、フィルター中心管、またはフィルターは、所望の構造強度を有し、かつ濾過される流体と化学的に適合性のある任意の適切な材料から作製され得る。例えば、PLA、共ポリエステル、ABS、PE、ナイロン、PUなどを含むがこれに限定されないさまざまなプラスチックが使用され得る。
【産業上の利用可能性】
【0031】
実際には、本明細書に記載の任意の実施形態によるフィルター媒体、フィルター中心管、またはフィルターは、OEM(相手先ブランド供給業者)またはアフターマーケットのコンテキスト(例えば、交換部品)において、販売、購入、製造、またはその他の方法で取得され得る。
【0032】
図4および5を参照すると、開示されたフィルター媒体、フィルター中心管およびフィルターは、例えば、鋳造または成形などの従来的な技術を使用して製造され得る。あるいは、開示されたフィルター媒体、フィルター中心管およびフィルターは、一般に付加製造または付加組み立てと呼ばれる他の技術を使用して製造され得る。
【0033】
公知の付加製造/組立プロセスは、例えば、3D印刷などの技術を含む。3D印刷は、コンピューターの制御下で、材料が連続的な層に堆積され得るプロセスである。コンピューターは、付加組み立て機器を制御して、例えば、実質的に2次元のスライスなどの複数のスライスに変換されるように構成され、フィルター、フィルター中心管またはフィルター媒体を製造または組み立てるために、フィルター、フィルター中心管またはフィルター媒体の断面層を各々画成する、3次元モデル(例えば、AMFまたはSTLファイルなどのデジタルファイル)に従って、連続する層を堆積させる。一つの事例では、開示されたフィルター、フィルター中心管またはフィルター媒体は、オリジナルの構成要素であり、3D印刷プロセスを利用してフィルター、フィルター中心管またはフィルター媒体を製造する。他の事例では、3Dプロセスを使用して既存のフィルター、フィルター中心管またはフィルター媒体を複製することができ、複製されたフィルター、フィルター中心管またはフィルター媒体をアフターマーケット部品として販売することができる。これらの複製されたアフターマーケットのフィルター、フィルター中心管またはフィルター媒体は、オリジナルのフィルター、フィルター中心管またはフィルター媒体の正確なコピーか、または重要ではない態様でのみ異なる疑似コピーのいずれかであり得る。
【0034】
図4を参照すると、本明細書に開示される任意の実施形態による、フィルター中心管100、フィルター200、またはフィルター媒体100、228を表すために使用される3次元モデル1001が、例えば、フロッピーディスク、ハードディスク、または磁気テープを含む磁気ストレージ、ソリッドステートディスク(SSD)やフラッシュメモリーなどの半導体ストレージ、光ディスクストレージ、光磁気ディスクストレージ、または、少なくとも一つのプロセッサーで読み取り可能な情報またはデータを格納できるその他のタイプの物理メモリーまたは非一時的な媒体などの、コンピューター可読記憶媒体1002にあり得る。この記憶媒体は、フィルター中心管100、フィルター200、またはフィルター媒体100、228を製造または組み立てるために、市販の3Dプリンター1006に関連して使用され得る。あるいは、3次元モデルは、3Dプリンター1006の位置に永久に記憶されることなく、ストリーミング方式で3Dプリンター1006に電子的に送信され得る。いずれの場合においても、3次元モデルは、フィルター中心管100、フィルター200、またはフィルター中心管100、フィルター200、またはフィルター媒体100、228の製造における使用に適したフィルター媒体100、228のデジタル表現を構成する。
【0035】
3次元モデルは、多くの公知の方法で形成され得る。一般に、3次元モデルは、フィルター中心管100、フィルター200、またはフィルター媒体100、228を表すデータ1003を、コンピューターまたはプロセッサー1004、例えばクラウドベースのソフトウェアオペレーティングシステムに入力することによって作製される。次いで、データは、物理的な、フィルター中心管100、フィルター200、またはフィルター媒体100、228を表す3次元モデルとして使用され得る。3次元モデルは、フィルター中心管100、フィルター200またはフィルター媒体100、228を製造する目的に適していることが意図される。例示的な実施形態では、3次元モデルは、付加製造技術によって、フィルター中心管100、フィルター200、またはフィルター媒体100、228を製造する目的に適している。
【0036】
図4に示す一実施形態では、データの入力は、3Dスキャナ1005を用いて達成され得る。方法は、接触およびデータ受信装置を介してフィルター中心管100、フィルター200またはフィルター媒体100、228と接触すること、および3次元モデルを生成するために接触からデータを受信することを伴い得る。例えば、3Dスキャナ1005は、接触型スキャナであり得る。スキャンされたデータは、デジタルデータセットを準備するために、3Dモデルソフトウェアプログラムにインポートされ得る。一実施形態では、接触することは、3次元モデルを生成するために、プローブをフィルター中心管100、フィルター200またはフィルター媒体100、228の表面と接触させることによって、フィルター中心管100、フィルター200またはフィルター媒体100、228の物理的構造を測定する、座標測定機械を使用した、直接の物理的接触を介して発生し得る。
【0037】
他の実施形態では、3Dスキャナ1005は、非接触型スキャナであってもよく、方法は、投影されたエネルギー(例えば、光または超音波)を複製されるフィルター中心管100、フィルター200またはフィルター媒体100、228に方向づけることと、反射されたエネルギーを受け取ることとを含み得る。この反射エネルギーから、コンピューターが、フィルター中心管100、フィルター200、またはフィルター媒体100、228を製造する際に使用するためのコンピューター可読3次元モデルを生成する。さまざまな実施形態において、複数の2D画像を使用して、3次元モデルを作成できる。例えば、3Dオブジェクトの2Dスライスを組み合わせて、3次元モデルを作成できる。3Dスキャナの代わりに、データの入力は、コンピューター支援設計(CAD)ソフトウェアを使用して行われてもよい。この場合、3次元モデルは、CADソフトウェアを使用して、開示された、フィルター中心管100、フィルター200、またはフィルター媒体100、228の仮想3Dモデルを生成することによって形成され得る。3次元モデルは、フィルター中心管100、フィルター200またはフィルター媒体100、228を製造するために、CAD仮想3Dモデルから生成される。
【0038】
本開示の、フィルター中心管100、フィルター200、またはフィルター媒体100、228を生成するために利用される付加製造プロセスは、本明細書に上述したような材料を伴い得る。いくつかの実施形態によっては、追加のプロセスを実施して、最終製品を作製し得る。こうした追加のプロセスには、例えば、金属材料が用いられる場合などのクリーニング、硬化、熱処理、材料除去、および研磨のうちの一つまたは複数を含み得る。最終製品を完了するために必要なその他のプロセスは、これらの特定されたプロセスに加えて、またはそれらの代わりに実施され得る。
【0039】
図5に焦点を当てると、本明細書に開示される任意の実施形態によるフィルター中心管またはフィルター媒体を製造するための方法600は、フィルター中心管またはフィルター媒体のコンピューター読み取り可能な3次元モデルを提供することであって、3次元モデルが、フィルター中心管またはフィルター媒体の断面層をそれぞれ画定する複数のスライスに変換されるように構成されるように、提供することと(ブロック602)、付加製造によってフィルター中心管またはフィルター媒体の各層を連続的に形成することと(ブロック604)を含んでもよい。付加製造によってフィルター中心管またはフィルター媒体の各層を連続的に形成することは、複数の層を構築することを含んでもよく、複数の層のうちの少なくとも一つは、第一の所定の方向に延在する材料の第一の波状ストリップを含む(ブロック606)。
【0040】
また、本方法は、第一の所定の方向とは異なる第二の所定の方向に延在する材料の第二の波状ストリップを含む、複数の層の第二のものを形成することを含み得る(ブロック608)。さらに、本方法は、所望の細孔最小寸法を生成するために、以下の変数、すなわち、プリントヘッドの速度および/または経路、プラスチックの流量、プラスチックのタイプ、プラスチックの冷却速度、および層変形を生成する波状材料のパターンまたは構成のうちの少なくとも一つを変化させることを含んでもよい(ブロック610)。フィルター中心管またはフィルター媒体は、底部から上部に向かって構築され得る。
【0041】
本発明の範囲または精神から逸脱することなく、本明細書で論じられるような装置および組み立て方法の実施形態に対してさまざまな修正および変形を行うことができることは当業者には明らかであろう。本開示のその他の実施形態は、本明細書に開示されるさまざまな実施形態の仕様および実践を考慮することで、当業者には明らかであろう。例えば、いくつかの機器は、本明細書に記載されたものとは異なる構造および機能を有し得、任意の方法の特定のステップは省略され、具体的に言及されたものとは異なる順序で実行され、または場合によっては同時にまたはサブステップで実行される。さらに、さまざまな実施形態の特定の態様または特徴に対する変形または修正を行って、さらなる実施形態を作成することができ、さらにさらなる実施形態を提供するために、さまざまな実施形態の特徴および態様を、他の実施形態の他の特徴または態様に追加または置換することができる。
【0042】
従って、本明細書および実施例は、以下の請求項およびその均等物によって示される本発明の真の範囲および精神を有する単なる例示とみなされることが意図される。
図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】