(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-28
(54)【発明の名称】クレノラニブ併用療法
(51)【国際特許分類】
A61K 31/4709 20060101AFI20220121BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20220121BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20220121BHJP
A61K 31/282 20060101ALI20220121BHJP
A61K 31/7072 20060101ALI20220121BHJP
A61K 31/7068 20060101ALI20220121BHJP
A61K 31/337 20060101ALI20220121BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20220121BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20220121BHJP
A61K 33/243 20190101ALI20220121BHJP
【FI】
A61K31/4709
A61P35/00
A61K39/395 D
A61K31/282
A61K31/7072
A61K31/7068
A61K31/337
A61K45/00
A61P43/00 121
A61K33/243
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021531115
(86)(22)【出願日】2019-12-13
(85)【翻訳文提出日】2021-07-30
(86)【国際出願番号】 US2019066308
(87)【国際公開番号】W WO2020123991
(87)【国際公開日】2020-06-18
(32)【優先日】2019-06-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-12-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2018-12-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】512253006
【氏名又は名称】アログ・ファーマシューティカルズ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Arog Pharmaceuticals,Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100162684
【氏名又は名称】呉 英燦
(74)【代理人】
【識別番号】100126778
【氏名又は名称】品川 永敏
(72)【発明者】
【氏名】ビナイ・ケイ・ジャイン
【テーマコード(参考)】
4C084
4C085
4C086
4C206
【Fターム(参考)】
4C084AA23
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4C206ZB26
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(57)【要約】
本発明は、治療上有効な量のクレノラニブまたは塩を、アキシチニブではないVEGF/VEGFR阻害剤と組み合わせて含む、PDGFRおよびVEGFRシグナル伝達の両方を遮断することによって増殖性障害を治療するための方法であって、前記増殖性障害の治療に使用するために、連続または同時のうちの少なくとも1つで対象に供され、前記対象がヒトである方法を含む。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
増殖性障害を治療するための方法であって、前記増殖性障害を治療するのに十分なアキシチニブではないVEGF/VEGFR阻害剤と組み合わせてクレノラニブまたはその塩の治療上有効な量を対象に投与することを特徴とする方法。
【請求項2】
前記増殖性障害が、胆道癌、膀胱癌、乳癌、子宮頸癌、CNS癌、結腸癌、結腸直腸癌、食道癌、胃癌、食道胃接合部(GEJ)腺癌、胃腺癌、ステージIIIB胃腺癌、ステージIV浸潤性胃腺癌、転移性食道腺癌、神経膠芽細胞腫、頭頸部癌、肝細胞癌、肝癌、肺癌、黒色腫、非小細胞癌、鼻咽頭癌、神経内分泌癌、卵巣癌、膵臓癌、前立腺癌、腎癌、唾液腺癌、小細胞癌、肺癌、扁平上皮細胞癌、皮膚癌、胃癌、精巣癌、甲状腺癌、胸腺腫、子宮癌、他の腫瘍のうちの少なくとも1つである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記クレノラニブの治療上有効な量が、1日あたり約50mg~約500mg、1日あたり約100mg~約450mg、1日あたり約200mg~約400mg、1日あたり約300mg~約500mg、1日あたり約350mg~約500mg、または1日あたり約400mg~約500mgである、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記クレノラニブの治療上有効な量が、連続的、断続的、全身的、または局所的のうちの少なくとも1つで投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記クレノラニブの治療上有効な量が、経口、静脈内、または腹腔内に投与され、前記対象が前記増殖性障害の治療を必要としている限り、1日3回までで投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記クレノラニブが、ベシル酸クレノラニブ、リン酸クレノラニブ、乳酸クレノラニブ、塩酸クレノラニブ、クエン酸クレノラニブ、酢酸クレノラニブ、トルエンスルホン酸クレノラニブ、およびコハク酸クレノラニブである、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
治療上有効な量の化学療法剤を前記対象に供することをさらに含む、請求項1に記載の方法であって、前記化学療法剤が、1つまたはそれ以上のアルキル化剤、1つまたはそれ以上の代謝拮抗剤、1つまたはそれ以上の天然生成物、1つまたはそれ以上の抗増殖性薬剤、またはこれらの組み合わせのうちの少なくとも1つから選択される、前記方法。
【請求項8】
前記アルキル化剤が、カルムスチン、クロラムブシル、シクロホスファミド、イホスファミド、ロムスチン、ストレプトゾトシン、テモゾロミド、シスプラチン、カルボプラチン、ネダプラチン、またはオキサリプラチンのうちの1つまたはそれ以上を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記アルキル化剤の治療上有効な量が、6週間ごとに約22mg~約40mg、6週間ごとに約150mg~約200mg、3~6週間で1日あたり約4mg~約20mg、5日間で約2,000~約4,750、1日あたり約4mg~約19mg、3週間で5日間1日あたり約1.44g~約3.12g、6週間ごとに約150mg~約340mg、6週間以内で5日間1日あたり約600mg~約1,300mg、1日1回約90mg~約390mg、6週間以内で5日間1日あたり約24mg~約260mg、6週間ごとに約240mg~約1,690mg、4週間ごとに約72mg~約234mg、2週間ごとに約78mg~約221mgである、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記アルキル化剤が、連続的、断続的、全身的、または局所的のうちの少なくとも1つで投与される、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記アルキル化剤の治療上有効な量が、経口、静脈内、皮下、または腹腔内に投与される、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
前記化学療法剤が、メトトレキサート、ペメトレキセド、ラルチトレキセド、フルオロウラシル、フロクスウリジン、カプシタビン、またはゲムシタビンのうちの1つまたはそれ以上を含む代謝拮抗剤である、請求項7に記載の方法。
【請求項13】
前記代謝拮抗剤の量が、21日周期の1日目に約3.6mg~約7.8mg、約12mg~約1,300mg、約600mg~約1,300mgである、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記代謝拮抗剤の治療上有効な量が、連続的、断続的、全身的、または局所的のうちの少なくとも1つで投与される、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記代謝拮抗剤が、経口、静脈内、皮下、または腹腔内に投与される、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
前記化学療法剤が、ビンブラスチン、ビノレルビン、ビンクリスチン、ビンデシン、ビンフルニン、パクリタキセル、ドセタキセル、カバジタキセル、エトポシド、テニポシド、トポテカン、イリノテカン、ドキソルビシン、エピルビシン、バルルビシン、ミトキサントロン、ブレオマイシン、エストラムスチン、またはマイトマイシンのうちの1つまたはそれ以上を含む抗増殖性薬剤である、請求項7に記載の方法。
【請求項17】
前記化学療法剤の治療上有効な量が、3週間ごとに約0.48mg~約3.7mg、約7.2mg~約28.9mg、約30mg~約78mg、約96mg~約455mg、約72mg~約260mg、約400mg~約760mg;21日周期の1、3、5日目に約42mg~約260mg、1週間に1回約198mg~約650mg、21日周期の5日間に1日1回約0.9mg~約3.9mg、21日周期の5日間に1日1回約150mg~約910mg、21日ごとに約48mg~約195mg、3または4週間ごとに約90mg~約312mg、6週間ごとに1週間に1回約800mg、21日ごとに約14.4mg~約36.4mg、1~2週間ごとに約12.5単位~約47.5単位、1日あたり500mg~1,520mg、6~8週間ごとに約12mg~約52mgである、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記抗増殖性薬剤が、連続的、断続的、全身的、または局所的のうちの少なくとも1つで投与される、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記抗増殖性薬剤が、経口、静脈内、皮下、または腹腔内に投与される、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
アキシチニブではない前記VEGF/VEGFR阻害剤が、ラミクリマブ、ベバクザマブ、ラニズマブ、アフリベルセプト、HLX12、ziv-アフリベルセプト、バヌシズマブ、TX16、UB-922、BEVZ92、BCD-021、BI695502、CHS-5217、JHL1149、FKB238、Abevmy、ONS1045、PF06439535、HD204、SB8、TAB008、RPH001、BP102、HLX04、CT-P16、IBI305、LY01008、Mvasi、apagin、ラニビズマブ、CHS-3351、PF582、Xlucane、FYB201、razumab、CHS-2020、FYB203、ABP-201、セバシズマブ、ブロルシズマブ、CSL346、ファリシマブ、hPV19、TAB014、UB-924、VGX-100、VX70、STI-A0168、CVX-241、BI836880、ABT-165、コンバーセプト、MP0250、MP0260、アンギオカル、アビシパルペゴル、アンロチニブ、アパチニブ、アルチラチニブ、バンデタニブ、リニファニブ、モテサニブ、ネクパラニブ、HLX12、APX004、CDP791、HLX-06、IBI302、イクルクマブ、IMC-1C11、IMC-3C5、MSB0254、ナビシキズマブ、タニビルマブ、V-DOS47、カボザンチブ、ブリバニブ、乳酸ドビチニブ、ファミチニブ、フォレチニブ、フルキンチニブ、ゴルバチニブ、ヘナチニブ、ポナチニブ、レンバチニブ、ルシタニブ、ソラフェニブ、ニンテダニブ、オランチニブ、ペグジネタニブ、セディラニブ、リボセラニブ、ミドスタウリン、シトラバチニブ、レゴラフェニブ、スニチニブ、スルファトニブ、テセバチニブ、チボザニブ、バラタニブ、またはパゾパニブのうちの少なくとも1つから選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
アキシチニブではない前記VEGF/VEGFR阻害剤が、2~3週間ごとに約250mg~約1,425mg、2~3週間ごとに約400mg~約2,600mg、2週間ごとに約40mg~約475mgである、請求項1に記載の方法。
【請求項22】
アキシチニブではない前記VEGF/VEGFR阻害剤が、連続的、断続的、全身的、または局所的のうちの少なくとも1つで投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項23】
アキシチニブではない前記VEGF/VEGFR阻害剤が、経口、静脈内、皮下、または腹腔内に投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項24】
クレノラニブ、アキシチニブではないVEGF/VEGFR阻害剤、および医薬薬剤が、前記対象が増殖性障害の治療を必要としている限り投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項25】
クレノラニブが、前記対象が増殖性障害の治療を必要としている限り、1日またはそれ以上に1回またはそれ以上で投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項26】
クレノラニブが、増殖性障害の対象に供される、請求項1に記載の方法。
【請求項27】
前記対象が、新たに診断された増殖性障害、または進行した状況において化学療法の少なくとも1つの療法下で進行している増殖性障害に罹っている患者である、請求項1に記載の方法。
【請求項28】
対象における増殖性障害の治療としてPDGFRおよびVEGFRシグナル伝達の両方の阻害による血管新生の二重阻害のための方法であって、アキシチニブではないVEGF/VEGFR阻害剤の治療上有効な量と、クレノラニブまたはその医薬的に許容される塩の治療上有効な量とを含み、前記対象が、ヒト対象である、方法。
【請求項29】
前記増殖性障害が、胆道癌、膀胱癌、乳癌、子宮頸癌、CNS癌、結腸癌、結腸直腸癌、食道癌、胃癌、食道胃接合部(GEJ)腺癌、胃腺癌、ステージIIIB胃腺癌、ステージIV浸潤性胃腺癌、転移性食道腺癌、神経膠芽細胞腫、頭頸部癌、肝細胞癌、肝癌、肺癌、黒色腫、非小細胞癌、鼻咽頭癌、神経内分泌癌、卵巣癌、膵臓癌、前立腺癌、腎癌、唾液腺癌、小細胞癌、肺癌、扁平上皮癌、皮膚癌、胃癌、精巣癌、甲状腺癌、胸腺腫、子宮癌、またはその他の腫瘍のうちの少なくとも1つである、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
クレノラニブの治療上有効な量が、1日あたり約50mg~約500mg、1日あたり約100mg~約450mg、1日あたり約200mg~約400mg、1日あたり約300mg~約500mg、1日あたり約350mg~約500mg、または1日あたり約400mg~約500mgである、請求項28に記載の方法。
【請求項31】
パクリタキセル、ドセタキセル、5-フルオロウラシル、イリノテカン、ロイコボリンカルシウム、オキサリプラチン、カペシタビン、インターフェロンアルファ、テモゾロミド、カルボプラチン、ペグ化リポソームドキソルビシン、トポテカン、シスプラチン、ペメトレキセド、またはこれらの組み合わせのうちの1つまたはそれ以上を含む医薬薬剤をさらに含む、請求項28に記載の方法。
【請求項32】
アキシチニブではない前記VEGF/VEGFR阻害剤が、ラミクリマブ、ベバクザマブ、ラニズマブ、アフリベルセプト、HLX12、ziv-アフリベルセプト、バヌシズマブ、TX16、UB-922、BEVZ92、BCD-021、BI695502、CHS-5217、JHL1149、FKB238、Abevmy、ONS1045、PF06439535、HD204、SB8、TAB008、RPH001、BP102、HLX04、CT-P16、IBI305、LY01008、Mvasi、apagin、ラニビズマブ、CHS-3351、PF582、Xlucane、FYB201、razumab、CHS-2020、FYB203、ABP-201、セバシズマブ、ブロルシズマブ、CSL346、ファリシマブ、hPV19、TAB014、UB-924、VGX-100、VX70、STI-A0168、CVX-241、BI836880、ABT-165、コンバーセプト、MP0250、MP0260、アンギオカル、アビシパルペゴル、アンロチニブ、アパチニブ、アルチラチニブ、バンデタニブ、リニファニブ、モテサニブ、ネクパラニブ、HLX12、APX004、CDP791、HLX-06、IBI302、イクルクマブ、IMC-1C11、IMC-3C5、MSB0254、ナビシキズマブ、タニビルマブ、V-DOS47、カボザンチブ、ブリバニブ、乳酸ドビチニブ、ファミチニブ、フォレチニブ、フルキンチニブ、ゴルバチニブ、ヘナチニブ、ポナチニブ、レンバチニブ、ルシタニブ、ソラフェニブ、ニンテダニブ、オランチニブ、ペグジネタニブ、セディランイブ、リボセラニブ、ミドスタウリン、シトラバチニブ、レゴラフェニブ、スニチニブ、スルファトニブ、テセバチニブ、チボザニブ、バラタニブ、またはパゾパニブを含む、請求項28に記載の方法。
【請求項33】
アキシチニブではない前記VEGF/VEGFR阻害剤の治療上有効な量が、2~3週間ごとに約250mg~約1,425mg、2~3週間ごとに400mg~2,600mg、2週間ごとに約40mg~約475mgである、請求項28に記載の方法。
【請求項34】
アキシチニブではない前記VEGF/VEGFR阻害剤が、連続的、断続的、全身的、または局所的のうちの少なくとも1つで投与される、請求項28に記載の方法。
【請求項35】
アキシチニブではない前記VEGF/VEGFR阻害剤が、経口、静脈内、皮下、または腹腔内に投与される、請求項28に記載の方法。
【請求項36】
クレノラニブ、化学療法剤、およびアキシチニブではない前記VEGF/VEGFR阻害剤が、前記対象が前記増殖性障害に対してこのような治療を必要としている限り、対象を安定した疾患の状態に保つために、あるいは部分的応答または完全な応答を引き起こすために投与される、請求項28に記載の方法。
【請求項37】
クレノラニブが、連続的、断続的、全身的、または局所的のうちの少なくとも1つで投与される、請求項28に記載の方法。
【請求項38】
クレノラニブが、経口、静脈内、または腹腔内に投与され、前記対象が前記増殖性障害の治療を必要としている限り、1日3回までで投与される、請求項28に記載の方法。
【請求項39】
前記クレノラニブが、ベシル酸クレノラニブ、リン酸クレノラニブ、乳酸クレノラニブ、塩酸クレノラニブ、クエン酸クレノラニブ、酢酸クレノラニブ、トルエンスルホン酸クレノラニブ、またはコハク酸クレノラニブである、請求項28に記載の方法。
【請求項40】
前記組成物が、連続的、断続的、全身的、または局所的のうちの少なくとも1つで投与される、請求項28に記載の方法。
【請求項41】
前記組成物が、経口、静脈内、皮下、または腹腔内に投与される、請求項28に記載の方法。
【請求項42】
前記増殖性障害が、フォリン酸、フルオロウラシル、およびオキサリプラチン(FOLFOX)化学療法に対して耐性である、請求項28に記載の方法。
【請求項43】
ヒト対象における癌の治療のための医薬組成物であって、クレノラニブまたはその塩およびアキシチニブではないVEGF/VEGFR阻害剤を癌の治療のために治療上有効な量で含む、医薬組成物。
【請求項44】
前記癌が、胆道癌、膀胱癌、乳癌、子宮頸癌、CNS癌、結腸癌、結腸直腸癌、食道癌、胃癌、食道胃接合部(GEJ)腺癌、胃腺癌、ステージIIIB胃腺癌、ステージIV浸潤性胃腺癌、転移性食道腺癌、神経膠芽細胞腫、頭頸部癌、肝細胞癌、肝癌、肺癌、黒色腫、非小細胞癌、鼻咽頭癌、神経内分泌癌、卵巣癌、膵臓癌、前立腺癌、腎癌、唾液腺癌、小細胞癌、肺癌、扁平上皮癌、皮膚癌、胃癌、精巣癌、甲状腺癌、胸腺腫、子宮癌、またはその他の固形腫瘍のうちの少なくとも1つである、請求項43に記載の医薬組成物。
【請求項45】
クレノラニブの治療上有効な量が、1日あたり約50mg~約500mg、1日あたり約100mg~約450mg、1日あたり約200mg~約400mg、1日あたり約300mg~約500mg、1日あたり約350mg~約500mg、または1日あたり約400mg~約500mgである、請求項43に記載の医薬組成物。
【請求項46】
クレノラニブが、連続的、断続的、全身的、または局所的のうちの少なくとも1つで投与される、請求項43に記載の医薬組成物。
【請求項47】
クレノラニブが、経口、静脈内、または腹腔内に投与され、前記対象が前記癌の治療を必要としている限り、1日3回までで投与される、請求項43に記載の医薬組成物。
【請求項48】
前記クレノラニブが、ベシル酸クレノラニブ、リン酸クレノラニブ、乳酸クレノラニブ、塩酸クレノラニブ、クエン酸クレノラニブ、酢酸クレノラニブ、トルエンスルホン酸クレノラニブ、およびコハク酸クレノラニブである、請求項43に記載の医薬組成物。
【請求項49】
1つまたはそれ以上のアルキル化剤、1つまたはそれ以上の代謝拮抗剤、またはこれらの組み合わせのうちの少なくとも1つから選択される化学療法剤をさらに含む、請求項43に記載の医薬組成物。
【請求項50】
前記化学療法剤が、カルムスチン、クロラムブシル、シクロホスファミド、イホスファミド、ロムスチン、ストレプトゾトシン、テモゾロミド、シスプラチン、カルボプラチン、ネダプラチン、またはオキサリプラチンのうちの1つまたはそれ以上を含むアルキル化剤である、請求項49に記載の医薬組成物。
【請求項51】
前記アルキル化剤が、6週間ごとに約22mg~約40mg、6週間ごとに約150mg~約200mg、3~6週間で1日あたり約4mg~約20mg、5日間で約2,000~約4,750、1日あたり約4mg~約19mg、3週間で5日間1日あたり約1.44g~約3.12g、6週間ごとに約150mg~約340mg、6週間以内で5日間1日あたり約600mg~約1,300mg、1日1回約90mg~約390mg、6週間以内で5日間1日あたり約24mg~約260mg、6週間ごとに約240mg~約1,690mg、4週間ごとに約72mg~約234mg、2週間ごとに約78mg~約221mgである、請求項50に記載の医薬組成物。
【請求項52】
前記化学療法剤が、メトトレキサート、ペメトレキセド、ラルチトレキセド、フルオロウラシル、フロクスウリジン、カプシタビン、またはゲムシタビンのうちの1つまたはそれ以上を含む代謝拮抗剤である、請求項49に記載の医薬組成物。
【請求項53】
前記代謝拮抗剤が、21日周期の1日目に約3.6mg~約7.8mg、約12mg~約1,300mg、約600mg~約1,300mgである、請求項52に記載の医薬組成物。
【請求項54】
前記化学療法剤が、ビンブラスチン、ビノレルビン、ビンクリスチン、ビンデシン、ビンフルニン、パクリタキセル、ドセタキセル、カバジタキセル、エトポシド、テニポシド、トポテカン、イリノテカン、ドキソルビシン、バルルビシン、ミトキサントロン、ブレオマイシン、エストラムスチン、またはマイトマイシンのうちの1つまたはそれ以上を含む抗増殖性薬剤である、請求項49に記載の医薬組成物。
【請求項55】
前記化学療法剤の治療上有効な量が、3週間ごとに約0.48mg~約3.7mg、約7.2mg~約28.9mg、約30mg~約78mg、約96mg~約455mg、約72mg~約260mg、約400mg~約760mg;21日周期の1、3、5日目に約42~約260mg、1週間に1回約198mg~約650mg、21日周期の5日間に1日1回約0.9mg~約3.9mg、21日周期の5日間に1日1回約150mg~約910mg、21日ごとに約48mg~約195mg、3または4週間ごとに約90mg~約312mg、6週間ごとに1週間に1回約800mg、21日ごとに約14.4mg~約36.4mg、1~2週間ごとに約12.5単位~約47.5単位、1日あたり500mg~1,520mg、6~8週間ごとに約12mg~約52mgである、請求項49に記載の医薬組成物。
【請求項56】
アキシチニブではない前記VEGF/VEGFR阻害剤が、ラミクリマブ、ベバクザマブ、ラニズマブ、アフリベルセプト、HLX12、ziv-アフリベルセプト、バヌシズマブ、TX16、UB-922、BEVZ92、BCD-021、BI695502、CHS-5217、JHL1149、FKB238、Abevmy、ONS1045、PF06439535、HD204、SB8、TAB008、RPH001、BP102、HLX04、CT-P16、IBI305、LY01008、Mvasi、apagin、ラニビズマブ、CHS-3351、PF582、Xlucane、FYB201、razumab、CHS-2020、FYB203、ABP-201、セバシズマブ、ブロルシズマブ、CSL346、ファリシマブ、hPV19、TAB014、UB-924、VGX-100、VX70、STI-A0168、CVX-241、BI836880、ABT-165、コンバーセプト、MP0250、MP0260、アンギオカル、アビシパルペゴル、アンロチニブ、アパチニブ、アルチラチニブ、バンデタニブ、リニファニブ、モテサニブ、ネクパラニブ、HLX12、APX004、CDP791、HLX-06、IBI302、イクルクマブ、IMC-1C11、IMC-3C5、MSB0254、ナビシキズマブ、タニビルマブ、V-DOS47、カボザンチブ、ブリバニブ、乳酸ドビチニブ、ファミチニブ、フォレチニブ、フルキンチニブ、ゴルバチニブ、ヘナチニブ、ポナチニブ、レンバチニブ、ルシタニブ、ソラフェニブ、ニンテダニブ、オランチニブ、ペグジネタニブ、セディラニブ、リボセラニブ、ミドスタウリン、シトラバチニブ、レゴラフェニブ、スニチニブ、スルファトニブ、テセバチニブ、チボザニブ、バラタニブ、またはパゾパニブのうちの少なくとも1つから選択される、請求項49に記載の医薬組成物。
【請求項57】
アキシチニブではない前記VEGF/VEGFR阻害剤が、2~3週間ごとに約250mg~約1,425mg、2~3週間ごとに400mg~2,600mg、2週間ごとに約40mg~約475mgである、請求項43に記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の技術分野
本発明は、増殖性障害の治療のためのクレノラニブまたはその塩およびアキシチニブではないVEGF/VEGFR阻害剤、ならびに温血動物(好ましくは、ヒト)の治療方法であって、クレノラニブおよびアキシチニブではないVEGF/VEGFR阻害剤の治療上有効な用量が、前記疾患または病気に罹患している対象に投与される方法に関する。
【0002】
連邦政府資金による研究の声明
適用できない。
【0003】
コンパクトディスクで出願された素材の参照による組み込み
適用できない。
【背景技術】
【0004】
本発明の背景技術
本発明の範囲を限定することなく、その背景技術は、クレノラニブを含む新規の併用療法の癌治療および使用に関して記載される。
【0005】
このような併用療法については、Michael, et al., "Phase Ib study of CP-868,596, a PDGFR inhibitor, combined with docetaxel with or without axitinib, a VEGFR inhibitor", British Journal of Cancer volume 103, pages 1554-1561 (09 November 2010)で開示されており、当該文献は、タキサンおよびVEGF経路阻害剤アキシチニブ(AG-013736)と組み合わせたCP-868,596(クレノラニブ)による癌患者の治療を教示する。クレノラニブおよびVEGFR TKIであるアキシチニブにドセタキセル化学療法との組み合わせが、再発性または難治性進行性固形腫瘍患者を対象とした第Ib相試験で評価された[1]。トリプレット療法を受けたこの試験で示された腫瘍タイプには、非小細胞肺癌、前立腺癌、食道癌および他の固形腫瘍が含まれていた。これらの患者の約半数は、2回以上の化学療法レジメンを受けていた。4つの異なるコホートの合計48人の患者を治療した:コホート1(7人の患者):クレノラニブ60mg BIDとドセタキセル75mg/m2;コホート2(25人の患者):クレノラニブ100mg BIDとドセタキセル75mg/m2;コホート3(7人の患者):クレノラニブ100mg BIDとドセタキセル100mg/m2;コホート4(9人の患者):クレノラニブ60mg BIDとドセタキセル75mg/m2とアキシチニブ5mgBID。トリプル併用療法を受けたコホート4の患者は、クレノラニブをドセタキセルのみと投与された患者と比較して改善された結果を示したようであった。トリプル併用療法を受けた9人の患者のうち8人(89%)は、EG腺癌の1人の患者を含め、少なくとも4ヶ月半の間安定状態(SD)を達成したが、一方、クレノラニブとドセタキセルのみを投与された39人の患者のうち11人(28%)のみがSDを達成した。このトリプレット併用の毒性として、個々の薬剤の既知の毒性が含まれたが、ドセタキセル単独と比較して予想されていたよりも多くの粘膜炎のような症状と好中球減少症も含まれていた。このため、クレノラニブの投与量は、元々意図されていたような100mg BIDまで増量されなかった。毒性はこのような小グループでは概算的および定性的に評価されるのみであるが、予期しない毒性の発生により計画された用量漸増が中止され、治療が終了した。
【0006】
同一著者によるより初期の研究において(Michael, et al., "Phase Ib study of CP-868,596, a PDGFR inhibitor, in combination with docetaxel (Doc) with or without AG-013736, a VEGF inhibitor" Journal of Clinical Oncology 2008 26:15_suppl, 3549-3549)、著者らは、以前に、クレノラニブおよびAG-013736(アキシチニブ)の使用による重大な副作用には、悪心、下痢、嘔吐、貧血、嗜眠、口内炎、好中球減少症、食欲不振、末梢性浮腫、および高血圧が含まれることが知見していた。
【0007】
よって、複数の変異を伴う癌、一次治療に耐性となる癌の治療、および/または副作用が減少され、または軽減される癌治療の必要性が残っている。
【発明の概要】
【0008】
発明の概要
1の実施態様において、本発明は、増殖性障害を治療するための方法であって、前記増殖性障害を治療するのに十分なアキシチニブではないVEGF/VEGFR阻害剤と組み合わせてクレノラニブまたはその塩の治療上有効な量を対象に投与することを特徴とする方法を含む。1の態様において、前記増殖性障害は、胆道癌、膀胱癌、乳癌、子宮頸癌、CNS癌、結腸癌、結腸直腸癌、食道癌、胃癌、食道胃接合部(GEJ)腺癌、胃腺癌、ステージIIIB胃腺癌、ステージIV浸潤性胃腺癌、転移性食道腺癌、神経膠芽細胞腫、頭頸部癌、肝細胞癌、肝癌、肺癌、黒色腫、非小細胞癌、鼻咽頭癌、神経内分泌癌、卵巣癌、膵臓癌、前立腺癌、腎癌、唾液腺癌、小細胞癌、肺癌、扁平上皮細胞癌、皮膚癌、胃癌、精巣癌、甲状腺癌、胸腺腫、子宮癌、その他の腫瘍のうちの少なくとも1つである。別の態様において、前記クレノラニブの治療上有効な量は、1日あたり約50mg~約500mg、1日あたり約100~約450mg、1日あたり約200~約400mg、1日あたり約300~約500mg、1日あたり約350~約500mg、または1日あたり約400~約500mgである。別の態様において、前記クレノラニブの治療上有効な量は、連続的、断続的、全身的、または局所的の少なくとも1つで投与される。別の態様において、前記クレノラニブの治療上有効な量は、経口、静脈内、または腹腔内に投与され、前記対象は、前記増殖性障害の治療を必要としている限り、1日3回までで投与される。別の態様において、前記クレノラニブは、ベシル酸クレノラニブ、リン酸クレノラニブ、乳酸クレノラニブ、塩酸クレノラニブ、クエン酸クレノラニブ、酢酸クレノラニブ、トルエンスルホン酸クレノラニブ、およびコハク酸クレノラニブである。別の態様において、前記方法は、アルキル化剤、代謝拮抗剤、天然生成物、抗増殖性薬剤、またはこれらの組み合わせのうちの少なくとも1つを含む化学療法剤を前記対象に供することをさらに含む。別の態様において、前記化学療法剤は、カルムスチン、クロラムブシル、シクロホスファミド、イホスファミド、ロムスチン、ストレプトゾトシン、テモゾロミド、シスプラチン、カルボプラチン、ネダプラチン、またはオキサリプラチンのうちの1つまたはそれ以上を含むアルキル化剤である。別の態様において、前記アルキル化剤の治療上有効な量は、6週間ごとに約22mg~約40mg、6週間ごとに約150~約200mg、3~6週間で1日あたり約4~約20mg、5日間で約2,000~約4,750、1日あたり約4~約19mg、3週間で5日間1日あたり約1.44~約3.12g、6週間ごとに約150~約340mg、6週間以内で5日間1日あたり約600~約1,300mg、1日1回約90~約390mg、6週間以内で5日間1日あたり約24~約260mg、6週間ごとに約240~約1,690mg、4週間ごとに約72~約234mg、2週間ごとに約78~約221mgである。別の態様において、前記アルキル化剤の治療上有効な量は、連続的、断続的、全身的、または局所的のうちの少なくとも1つで投与される。別の態様において、前記アルキル化剤の治療上有効な量は、経口、静脈内、皮下、または腹腔内に投与される。別の態様において、前記化学療法剤は、メトトレキサート、ペメトレキセド、ラルチトレキセド、フルオロウラシル、フロクスウリジン、カプシタビン、またはゲムシタビンのうちの1つまたはそれ以上を含む代謝拮抗剤である。別の態様において、前記代謝拮抗剤の治療上有効な量は、21日周期の1日目に約3.6~約7.8mg、約12~約1,300mg、約600~約1,300mgである。別の態様において、前記代謝拮抗剤の治療上有効な量は、連続的、断続的、全身的、または局所的のうちの少なくとも1つで投与される。別の態様において、前記代謝拮抗剤は、経口、静脈内、皮下、または腹腔内に投与される。別の態様において、前記化学療法剤は、ビンブラスチン、ビノレルビン、ビンクリスチン、ビンデシン、ビンフルニン、パクリタキセル、ドセタキセル、カバジタキセル、エトポシド、テニポシド、トポテカン、イリノテカン、ドキソルビシン、エピルビシン、バルルビシン、ミトキサントロン、ブレオマイシン、エストラムスチン、またはマイトマイシンのうちの1つまたはそれ以上を含む抗増殖性薬剤である。別の態様において、前記化学療法剤の治療上有効な量は、3週間ごとに約0.48mg~約3.7mg、約7.2mg~約28.9mg、約30mg~約78mg、約96mg~約455mg、約72mg~約260mg、約400mg~約760mg;21日周期の1、3、5日目に約42~約260mg、1週間に1回約198mg~約650mg、21日周期の5日間に1日1回約0.9mg~約3.9mg、21日周期の5日間に1日1回約150mg~約910mg、21日ごとに約48mg~約195mg、3または4週間ごとに約90mg~約312mg、6週間ごとに1週間に1回約800mg、21日ごとに約14.4mg~約36.4mg、1~2週間ごとに約12.5単位~約47.5単位、1日あたり500mg~1,520mg、6~8週間ごとに約12mg~約52mgである。別の態様において、前記化学療法剤の治療上有効な量は、連続的、断続的、全身的、または局所的のうちの少なくとも1つで投与される。別の態様において、前記化学療法剤の治療上有効な量は、経口、静脈内、皮下、または腹腔内に投与される。別の態様において、アキシチニブではない前記VEGF/VEGFR阻害剤は、ラミクリマブ、ベバクザマブ、ラニズマブ、アフリベルセプト、HLX12、ziv-アフリベルセプト、バヌシズマブ、TX16、UB-922、BEVZ92、BCD-021、BI695502、CHS-5217、JHL1149、FKB238、Abevmy、ONS1045、PF06439535、HD204、SB8、TAB008、RPH001、BP102、HLX04、CT-P16、IBI305、LY01008、Mvasi、apagin、ラニビズマブ、CHS-3351、PF582、Xlucane、FYB201、razumab、CHS-2020、FYB203、ABP-201、セバシズマブ、ブロルシズマブ、CSL346、ファリシマブ、hPV19、TAB014、UB-924、VGX-100、VX70、STI-A0168、CVX-241、BI836880、ABT-165、コンバーセプト、MP0250、MP0260、アンギオカル、アビシパルペゴル、アンロチニブ、アパチニブ、アルチラチニブ、バンデタニブ、リニファニブ、モテサニブ、ネクパラニブ、HLX12、APX004、CDP791、HLX-06、IBI302、イクルクマブ、IMC-1C11、IMC-3C5、MSB0254、ナビシキズマブ(navicixizumab)、タニビルマブ、V-DOS47、カボザンチブ、ブリバニブ、乳酸ドビチニブ、ファミチニブ、フォレチニブ、フルキンチニブ、ゴルバチニブ、ヘナチニブ、ポナチニブ、レンバチニブ、ルシタニブ、ソラフェニブ、ニンテダニブ、オランチニブ、ペグジネタニブ、セディラニブ、リボセラニブ、ミドスタウリン、シトラバチニブ、レゴラフェニブ、スニチニブ、スルファトニブ、テセバチニブ、チボザニブ、バラタニブ、またはパゾパニブを含む。別の態様において、アキシチニブではない前記VEGF/VEGFR阻害剤は、2~3週間ごとに約250mg~約1,425mg、2~3週間ごとに約400mg~約2,600mg、2週間ごとに約40mg~約475mgである。別の態様において、アキシチニブではない前記VEGF/VEGFR阻害剤の治療上有効な量は、連続的、断続的、全身的、または局所的のうちの少なくとも1つで投与される。別の態様において、アキシチニブではない前記VEGF/VEGFR阻害剤の治療上有効な量は、経口、静脈内、皮下、または腹腔内に投与される。別の態様において、クレノラニブ、医薬薬剤、およびアキシチニブではないVEGF/VEGFR阻害剤のうちの少なくとも1つの治療上有効な量は、前記対象が増殖性障害の治療を必要としている限り投与される。別の態様において、クレノラニブの治療上有効な量は、増殖性障害の対象に供される。別の態様において、前記対象は、新たに診断された増殖性障害、または進行した状況において化学療法の少なくとも1つの療法下で進行している増殖性障害に罹っている患者である。
【0009】
別の実施態様において、本発明は、対象における増殖性障害の治療としてPDGFRおよびVEGFRシグナル伝達の両方の阻害による血管新生の二重阻害のための方法であって、アキシチニブではないVEGF/VEGFR阻害剤およびクレノラニブまたはその医薬的に許容される塩の治療上有効な量を含み、前記対象が、ヒト対象である方法を含む。1の態様において、前記増殖性障害は、胆道癌、膀胱癌、乳癌、子宮頸癌、CNS癌、結腸癌、結腸直腸癌、食道癌、胃癌、食道胃接合部(GEJ)腺癌、胃腺癌、ステージIIIB胃腺癌、ステージIV浸潤性胃腺癌、転移性食道腺癌、神経膠芽細胞腫、頭頸部癌、肝細胞癌、肝癌、肺癌、黒色腫、非小細胞癌、鼻咽頭癌、神経内分泌癌、卵巣癌、膵臓癌、前立腺癌、腎癌、唾液腺癌、小細胞癌、肺癌、扁平上皮癌、皮膚癌、胃癌、精巣癌、甲状腺癌、胸腺腫、子宮癌、またはその他の腫瘍のうちの少なくとも1つである。別の実施態様において、前記治療上有効な量は、1日あたり約50mg~約500mg、1日あたり約100~約450mg、1日あたり約200~約400mg、1日あたり約300~約500mg、1日あたり約350~約500mg、または1日あたり約400~約500mgである。別の実施態様において、前記方法は、パクリタキセル、ドセタキセル、5-フルオロウラシル、イリノテカン、ロイコボリンカルシウム、オキサリプラチン、カペシタビン、インターフェロンアルファ、テモゾロミド、カルボプラチン、ペグ化リポソームドキソルビシン、トポテカン、シスプラチン、ペメトレキセド、またはこれらの組み合わせのうちの1つまたはそれ以上を含む、化学療法剤でありうる医薬薬剤をさらに含む。別の態様において、アキシチニブまたはAG-013736ではない前記VEGF/VEGFR阻害剤は、ラミクリマブ、ベバクザマブ、ラニズマブ、アフリベルセプト、HLX12、またはziv-アフリベルセプトを含む。別の態様において、アキシチニブではない前記VEGF/VEGFR阻害剤の治療上有効な量は、2~3週間ごとに約250mg~約1,425mg、2~3週間ごとに400mg~2,600mg、2週間ごとに約40mg~約475mgである。別の態様において、アキシチニブではない前記VEGF/VEGFR阻害剤の治療上有効な量は、連続的、断続的、全身的、または局所的のうちの少なくとも1つで投与される。別の態様において、アキシチニブではない前記VEGF/VEGFR阻害剤の治療上有効な量は、経口、静脈内、皮下、または腹腔内に投与される。別の態様において、クレノラニブ、医薬薬剤、およびアキシチニブではない前記VEGF/VEGFR阻害剤の治療上または予防上有効な量は、前記対象が前記増殖性障害に対してこのような治療を必要としている限り、対象を安定した疾患の状態に保つために、あるいは部分的応答または完全な応答を引き起こすために投与される。別の態様において、クレノラニブの治療上有効な量は、連続的、断続的、全身的、または局所的のうちの少なくとも1つで投与される。別の態様において、クレノラニブの治療上有効な量は、経口、静脈内、または腹腔内に投与され、前記対象が前記増殖性障害の治療を必要としている限り、1日3回までで投与される。別の態様において、前記クレノラニブは、ベシル酸クレノラニブ、リン酸クレノラニブ、乳酸クレノラニブ、塩酸クレノラニブ、クエン酸クレノラニブ、酢酸クレノラニブ、トルエンスルホン酸クレノラニブ、またはコハク酸クレノラニブである。別の態様において、前記医薬薬剤の治療上有効な量は、連続的、断続的、全身的、または局所的のうちの少なくとも1つで投与される。別の態様において、前記医薬薬剤の治療上有効な量は、経口、静脈内、皮下、または腹腔内に投与される。別の態様において、前記癌は、非小細胞肺癌、小細胞肺癌、前立腺、食道癌、ユーイング肉腫、または結腸直腸癌ではない。別の態様において、PDGFRおよびVEGFRシグナル伝達の両方の阻害による血管新生の二重阻害は、相乗的である。別の態様において、前記増殖性障害は、FOLFOX化学療法に対して耐性である。別の態様において、前記組成物は、アキシチニブを含む組成物と比較した場合、副作用が低減されている。
【0010】
別の実施態様において、本発明は、ヒト対象における癌の治療のための医薬組成物であって、クレノラニブまたはその塩およびアキシチニブではないVEGF/VEGFR阻害剤を癌の治療のために治療上有効な量で含む、医薬組成物を含む。別の態様において、前記癌は、胆道癌、膀胱癌、乳癌、子宮頸癌、CNS癌、結腸癌、結腸直腸癌、食道癌、胃癌、食道胃接合部(GEJ)腺癌、胃腺癌、ステージIIIB胃腺癌、ステージIV浸潤性胃腺癌、転移性食道腺癌、神経膠芽細胞腫、頭頸部癌、肝細胞癌、肝癌、肺癌、黒色腫、非小細胞癌、鼻咽頭癌、神経内分泌癌、卵巣癌、膵臓癌、前立腺癌、腎癌、唾液腺癌、小細胞癌、肺癌、扁平上皮癌、皮膚癌、胃癌、精巣癌、甲状腺癌、胸腺腫、子宮癌、またはその他の固形腫瘍のうちの少なくとも1つである。別の態様において、クレノラニブの治療上有効な量は、1日あたり約50mg~約500mg、1日あたり約100~約450mg、1日あたり約200~約400mg、1日あたり約300~約500mg、1日あたり約350~約500mg、または1日あたり約400~約500mgである。別の態様において、クレノラニブの治療上有効な量は、連続的、断続的、全身的、または局所的のうちの少なくとも1つで投与される。別の態様において、クレノラニブの治療上有効な量は、経口、静脈内、または腹腔内に投与され、前記対象が前記増殖性障害の治療を必要としている限り、1日3回までで投与される。別の態様において、前記クレノラニブは、ベシル酸クレノラニブ、リン酸クレノラニブ、乳酸クレノラニブ、塩酸クレノラニブ、クエン酸クレノラニブ、酢酸クレノラニブ、トルエンスルホン酸クレノラニブ、およびコハク酸クレノラニブである。別の態様において、前記組成物は、1つまたはそれ以上のアルキル化剤、1つまたはそれ以上の代謝拮抗剤、またはこれらの組み合わせのうちの少なくとも1つから選択される化学療法剤をさらに含む。別の態様において、前記化学療法剤は、カルムスチン、クロラムブシル、シクロホスファミド、イホスファミド、ロムスチン、ストレプトゾトシン、テモゾロミド、シスプラチン、カルボプラチン、ネダプラチン、またはオキサリプラチンのうちの1つまたはそれ以上を含むアルキル化剤である。別の態様において、前記アルキル化剤は、6週間ごとに約22mg~約40mg、6週間ごとに約150~約200mg、3~6週間で1日あたり約4~約20mg、5日間で約2,000~約4,750、1日あたり約4~約19mg、3週間で5日間1日あたり約1.44~約3.12g、6週間ごとに約150~約340mg、6週間以内で5日間1日あたり約600~約1,300mg、1日1回約90~約390mg、6週間以内で5日間1日あたり約24~約260mg、6週間ごとに約240~約1,690mg、4週間ごとに約72~約234mg、2週間ごとに約78~約221mgである。別の態様において、前記化学療法剤は、メトトレキサート、ペメトレキセド、ラルチトレキセド、フルオロウラシル、フロクスウリジン、カプシタビン、またはゲムシタビンのうちの1つまたはそれ以上を含む代謝拮抗剤である。別の態様において、前記代謝拮抗剤の治療上有効な量は、21日周期の1日目に約3.6~約7.8mg、約12~約1,300mg、約600~約1,300mgである。別の態様において、前記化学療法剤は、ビンブラスチン、ビノレルビン、ビンクリスチン、ビンデシン、ビンフルニン、パクリタキセル、ドセタキセル、カバジタキセル、エトポシド、テニポシド、トポテカン、イリノテカン、ドキソルビシン、バルルビシン、ミトキサントロン、ブレオマイシン、エストラムスチン、またはマイトマイシンのうちの1つまたはそれ以上を含む抗増殖性薬剤である。別の態様において、前記化学療法剤の治療上有効な量は、3週間ごとに約0.48mg~約3.7mg、約7.2mg~約28.9mg、約30mg~約78mg、約96mg~約455mg、約72mg~約260mg、約400mg~約760mg;21日周期の1、3、5日目に約42~約260mg、1週間に1回約198mg~約650mg、21日周期の5日間に1日1回約0.9mg~約3.9mg、21日周期の5日間に1日1回約150mg~約910mg、21日ごとに約48mg~約195mg、3または4週間ごとに約90mg~約312mg、6週間ごとに1週間に1回約800mg、21日ごとに約14.4mg~約36.4mg、1~2週間ごとに約12.5単位~約47.5単位、1日あたり500mg~1,520mg、6~8週間ごとに約12mg~約52mgである。別の態様において、アキシチニブではない前記VEGF/VEGFR阻害剤は、ラミクリマブ、ベバクザマブ、ラニズマブ、アフリベルセプト、HLX12、ziv-アフリベルセプト、バヌシズマブ、TX16、UB-922、BEVZ92、BCD-021、BI695502、CHS-5217、JHL1149、FKB238、Abevmy、ONS1045、PF06439535、HD204、SB8、TAB008、RPH001、BP102、HLX04、CT-P16、IBI305、LY01008、Mvasi、apagin、ラニビズマブ、CHS-3351、PF582、Xlucane、FYB201、razumab、CHS-2020、FYB203、ABP-201、セバシズマブ、ブロルシズマブ、CSL346、ファリシマブ、hPV19、TAB014、UB-924、VGX-100、VX70、STI-A0168、CVX-241、BI836880、ABT-165、コンバーセプト、MP0250、MP0260、アンギオカル、アビシパルペゴル、アンロチニブ、アパチニブ、アルチラチニブ、バンデタニブ、リニファニブ、モテサニブ、ネクパラニブ、HLX12、APX004、CDP791、HLX-06、IBI302、イクルクマブ、IMC-1C11、IMC-3C5、MSB0254、ナビシキズマブ(navicixizumab)、タニビルマブ、V-DOS47、カボザンチブ、ブリバニブ、乳酸ドビチニブ、ファミチニブ、フォレチニブ、フルキンチニブ、ゴルバチニブ、ヘナチニブ、ポナチニブ、レンバチニブ、ルシタニブ、ソラフェニブ、ニンテダニブ、オランチニブ、ペグジネタニブ、セディラニブ、リボセラニブ、ミドスタウリン、シトラバチニブ、レゴラフェニブ、スニチニブ、スルファトニブ、テセバチニブ、チボザニブ、バラタニブ、またはパゾパニブを含む。別の態様において、アキシチニブではない前記VEGF/VEGFR阻害剤は、2~3週間ごとに約250mg~約1,425mg、2~3週間ごとに400mg~2,600mg、2週間ごとに約40mg~約475mgである。
【0011】
図面の簡単な説明
本発明の特徴および利点のより十分な理解のために、本発明の詳細な説明を添付の図および下記とともに参照する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、胃食道癌患者の無増悪生存期間(PFS)における本発明の効果を示す。各患者の臨床経過は「実施例」に詳述する。各患者に、治療上有効な濃度のベシル酸クレノラニブを、二次治療としてのVEGFシグナル伝達経路阻害剤および化学療法剤と組み合わせて投与した。病気の進行に関する期間(月単位)を記録した。胃癌の二次治療のための標準薬(ラムシルマブとパクリタキセル)のPFS中央値を、破線(4.4ヶ月)で示す。各患者の標準治療に対するPFS(月単位)および倍率変化の改善が示される。1人の患者(実施例3)は、2019年12月時点で生存している。
【
図2】
図2は、胃食道癌患者の全生存率(OS)における本発明の効果を示す。各患者の臨床経過は「実施例」の項目で詳述する。各患者に、治療上有効な濃度のベシル酸クレノラニブを、二次治療としてのVEGFシグナル伝達経路阻害剤および化学療法剤と組み合わせて投与した。死亡までの期間(月単位)を記録した。胃癌の二次治療のための標準薬(ラムシルマブとパクリタキセル)のOS中央値を、破線(9.6か月)で示す。各患者の標準治療に対するOS(月単位)および倍率変化の改善が示される。3人の患者(実施例1、実施例3、および実施例5)は、2019年12月時点で生存している(「
*」で示す)。
【発明を実施するための形態】
【0013】
発明の詳細な説明
本発明の様々な実施態様の製造および使用を以下で詳細に記載するが、本発明は、多種多様な特定の状況において具体化することができる多くの適用可能な発明概念を供するものと理解されたい。本明細書で記載される具体的な実施態様は、本発明を製造し、使用するための具体的な方法の単なる例示であり、本発明の範囲を限定するものではない。
【0014】
本発明の理解を容易にするために、多くの用語を下記で定義する。本明細書で定義される用語は、本発明に関連する分野の当業者によって一般的に理解される意味を有する。「a」、「an」、「the」などの用語は、単数のもののみを意味することを意図するものではないが、特定の例が例示のために用いられうる一般的なクラスを含む。本明細書の用語は、本発明の具体的な実施態様を説明するために用いられるが、それらの用法は、特許請求の範囲で概説される場合を除いて、本発明を限定するものではない。
【0015】
定義
本明細書で用いられるように、用語「対象」は、治療、観察または実験の対象である哺乳類またはヒトなどの動物を意味する。
【0016】
本明細書で用いられるように、用語「治療上有効な量」は、研究者、獣医、医師、または他の臨床医によって求める対象における生物学的または医学的反応を組み合わせて誘発する(治療される疾患または障害の症状の緩和を含む)クレノラニブまたはその医薬的な塩、アキシチニブではない抗VEGF/VEGFR阻害剤、および/または医薬薬剤(例えば、化学療法剤)の量を意味する。本発明の化合物を含む医薬組成物の治療上有効な用量を決定するための方法は、当該技術分野において公知である。本発明を用いて有用な製剤を製造するための技術および組成物は、P. O. Anderson, J. E. Knoben, and W. G. Troutman, Handbook of clinical drug data, 10th ed. New York;Toronto: McGraw-Hill Medical Pub. Division, 2002, pp. xvii, 1148 p;A. Goldstein, W. B. Pratt, and P. Taylor, Principles of drug action : the basis of pharmacology, 3rd ed. New York: Churchill Livingstone, 1990, pp. xiii, 836 p.;B. G. Katzung, Basic & clinical pharmacology, 9th ed. (Lange medical book). New York: Lange Medical Books/McGraw Hill, 2004, pp. xiv, 1202 p.;L. S. Goodman, J. G. Hardman, L. E. Limbird, and A. G. Gilman, Goodman and Gilman's the pharmacological basis of therapeutics, 10th ed. New York: McGraw-Hill, 2001, pp. xxvii, 2148 p.;J. P. Remington and A. R. Gennaro, Remington : the science and practice of pharmacy, 20th ed. Baltimore, Md.: Lippincott Williams & Wilkins, 2000, pp. xv, 2077 p.;W. Martindale, J. E. F. Reynolds, and Royal Pharmaceutical Society of Great Britain. Council, The extra pharmacopoeia, 31st ed. London: Royal Pharmaceutical Society, 1996, pp. xxi, 2739 p.;およびG. M. Wilkes, Oncology Nursing Drug Handbook 2016, 20 ed. Sudbury: Jones & Bartlett Publishers, 2016, p. 1500 p.(各関連部分は、参照により本明細書に組み込まれる)を含む多くの参考文献に記載されている。本明細書で用いられるように、用語「と組み合わせて」は、いずれかの順序で同時または連続の、例えば、単一周期または2つ以上の周期の治療の標準的な治療過程間で繰り返される間隔において、一方の薬剤が他方の薬剤の投与の前に、同時に、または後に投与され得るような、あるいはこれらの組み合わせにおける、クレノラニブまたはその医薬的に許容される塩、アキシチニブではない抗VEGFR/VEGF阻害剤、およびある場合には化学療法剤の投与を意味する。一例において、前記組成物は、疾患の治療に十分な量のクレノラニブまたはその医薬的に許容される塩、ラミクリマブ、およびパクリタキセルを含む。
【0017】
本明細書で用いられるように、用語「組成物」は、特定の量の特定の成分を含む生成物、ならびに特定の量の特定の成分の組み合わせから直接的または間接的に生じる生成物を意味する。
【0018】
本明細書で用いられるように、用語「抗体」は、最も広範な意味で用いられ、下記に限定されないが、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、多重特異性抗体(すなわち、二重特異性抗体)、および抗体フラグメント(それらが所望される抗原結合能力を示す限り)を含む、様々な抗体構造を含む。
【0019】
本明細書で用いられるように、用語「増殖性障害」および「細胞増殖性障害」は、多細胞生物に対して害(すなわち、異常感または平均余命の低下)をもたらす多細胞生物における細胞の1つまたはそれ以上のサブセットの過剰な細胞増殖を意味する。細胞増殖性障害は、異なる種類の動物およびヒトで生じうる。本明細書で用いられるように、「細胞増殖性障害」には、腫瘍性障害が含まれる。
【0020】
本明細書で用いられるように、用語「腫瘍性障害」は、異常な、または制御されない細胞増殖に起因する腫瘍を意味する。腫瘍性障害の例には、下記の障害に限定されないが、例えば、癌腫、リンパ腫、芽細胞腫、肉腫、および白血病などの癌が含まれる。本発明による治療のための増殖性障害の非限定的な例には、胆道癌、膀胱癌、乳癌、子宮頸癌、CNS癌、結腸癌、結腸直腸癌、食道癌、胃癌、食道胃接合部(GEJ)腺癌、胃腺癌、ステージIIIB胃腺癌、ステージIV浸潤性胃腺癌、転移性食道腺癌、神経膠芽細胞腫、頭頸部癌、肝細胞癌、肝癌、肺癌、黒色腫、非小細胞癌、鼻咽頭癌、神経内分泌癌、卵巣癌、膵臓癌、前立腺癌、腎癌、唾液腺癌、小細胞癌、肺癌、扁平上皮癌、皮膚癌、胃癌、精巣癌、甲状腺癌、胸腺腫、子宮癌、またはその他の腫瘍が含まれる。特定の実施態様において、本発明は、医薬薬剤、アキシチニブではないVEGF/VEGFR阻害剤、およびクレノラニブまたはその医薬的に許容される塩を腫瘍性障害(例えば、胃癌)の治療に十分な量で含む医薬組成物の使用に関する。
【0021】
本明細書で用いられるように、用語「医薬薬剤」は、それ自体は抗有糸分裂性または抗増殖性ではないが、増殖性疾患または障害を標的とするために免疫系を活性化するために組み合わせて用いられうるクレノラニブ(またはその塩)およびVEGF/VEGFRアンタゴニストの組成物と組み合わせて用いられうる1つまたはそれ以上の活性薬剤(例えば、サイトカイン、リンホカインなど)を意味するために本明細書で用いられる。
【0022】
本明細書で用いられるように、用語「化学療法剤」は、アルキル化剤、代謝拮抗剤、および天然生成物などの抗細胞増殖療法を意味する。化学療法は当業者に公知であり、化学療法のための適切な投与量およびスキームは、その化学療法が他の療法と組み合わせて送達されるか、または単独で用いられる臨床療法ですでに採用されているものと同様である。様々な化学療法剤が本発明と組み合わせて用いられてもよい。一例として、タキサン化合物(例えば、ドセタキセル)は、体表面積1平方メートルあたり75mg(mg/m2)の用量で本発明の化合物と組み合わせて安全に投与される。当業者は、選択される化学療法剤が、体重、年齢、性別、疾患の程度などの様々な因子に基づいて投与量を示し、目的の治療のための最良の医療行為の範囲内で投与量を変更することを認識する。
【0023】
本明細書で用いられるように、用語「アルキル化剤」は、従来では、DNAへのアルキル基の付加を引き起こす化学療法の一群を意味するが、現在では、DNAへの小さな化学部分の付加を引き起こす化学療法を意味するために用いられる。アルキル化剤の例として、以下に限定されないが、カルムスチン、クロラムブシル、シクロホスファミド、イホスファミド、ロムスチン、ストレプトゾトシン、テモゾロミド、シスプラチン、カルボプラチン、ネダプラチン、オキサリプラチンが含まれる。
【0024】
本明細書で用いられるように、用語「代謝拮抗剤」は、酵素またはタンパク質への結合において体内で天然に存在する化学物質の代わりになり得るが、それらが体内における化学物質の通常の作用を妨げるほど十分に異なる、体内で天然に存在する化学物質に構造的に類似する化学療法剤の一群を意味する。代謝拮抗剤の例として、以下に限定されないが、メトトレキサート、ペメトレキセド、ラルチトレキセド、フルオロウラシル、フロクスウリジン、カプシタビン、ゲムシタビンが挙げられる。
【0025】
本明細書で用いられるように、用語「天然生成物」は、二次代謝の経路によって生成される、生物から元々単離され精製された有機化合物である化学療法剤および/または化学療法の一群を意味する。天然生成物の例として、以下に限定されないが、ビンブラスチン、ビノレルビン、ビンクリスチン、ビンデシン、ビンフルニン、パクリタキセル、ドセタキセル、カバジタキセル、エトポシド、テニポシド、トポテカン、イリノテカン、ドキソルビシン、エピルビシン(eiprubicin)、バルルビシン、ミトキサントロンが含まれる。
【0026】
残念なことに、VEGFRを標的とするアキシチニブ(小分子チロシンキナーゼ阻害剤)の使用には、重大な副作用があり、血栓塞栓症(静脈および動脈の両方)、出血事象(脳出血を含む)、高血圧、胃腸穿孔および瘻孔、甲状腺機能の変化、凝固因子の阻害、タンパク尿、肝機能の上昇(AST、ALTおよびビリルビン)、および肝機能の喪失が含まれ、これらにより投与量を減らす必要性が生じ、それゆえ有効性についての研究の終了と投与量の増加の失敗となる。
【0027】
VEGFRおよびPDGFRの両方のシグナル伝達の遮断による血管新生の完全な阻害のための併用方法。
【0028】
本発明は、対象における内皮細胞(VEGFRシグナル伝達を妨害することによる)および周皮細胞(PDGFRBシグナル伝達を妨害することによる)の両方を遮断することによる血管新生を阻害すると同時に、腫瘍増殖を低減し、または阻害するための方法としての、一般的な医薬薬剤、VEGF/VEGFR抗体、およびクレノラニブ(4-ピペリジンアミン、1-[2-[5-[(3-メチル-3-オキセタニル)メトキシ]-1H-ベンズイミダゾール-1-イル]-8-キノリニル])およびその医薬的に許容される塩の組み合わせを含む。VEGF/VEGFR阻害剤の例として、VEGFに結合することによりVEGFRの活性化を遮断するもの、VEGFまたはVEGFRの発現に影響を与えるもの、VEGFRから下流のシグナル伝達に影響を与えるものなどが含まれる。アキシチニブではないVEGF/VEGFR阻害剤の例には、ラミクリマブ、ベバクザマブ、ラニズマブ、アフリベルセプト、HLX12、ziv-アフリベルセプト、バヌシズマブ、TX16、UB-922、BEVZ92、BCD-021、BI695502、CHS-5217、JHL1149、FKB238、Abevmy、ONS1045、PF06439535、HD204、SB8、TAB008、RPH001、BP102、HLX04、CT-P16、IBI305、LY01008、Mvasi、apagin、ラニビズマブ、CHS-3351、PF582、Xlucane、FYB201、razumab、CHS-2020、FYB203、ABP-201、セバシズマブ、ブロルシズマブ、CSL346、ファリシマブ、hPV19、TAB014、UB-924、VGX-100、VX70、STI-A0168、CVX-241、BI836880、ABT-165、コンバーセプト、MP0250、MP0260、アンギオカル、アビシパルペゴル、アンロチニブ、アパチニブ、アルチラチニブ、バンデタニブ、リニファニブ、モテサニブ、ネクパラニブ、HLX12、APX004、CDP791、HLX-06、IBI302、イクルクマブ、IMC-1C11、IMC-3C5、MSB0254、ナビシキズマブ(navicixizumab)、タニビルマブ、V-DOS47、カボザンチブ、ブリバニブ、乳酸ドビチニブ、ファミチニブ、フォレチニブ、フルキンチニブ、ゴルバチニブ、ヘナチニブ、ポナチニブ、レンバチニブ、ルシタニブ、ソラフェニブ、ニンテダニブ、オランチニブ、ペグジネタニブ、セディラニブ、リボセラニブ、ミドスタウリン、シトラバチニブ、レゴラフェニブ、スニチニブ、スルファトニブ、テセバチニブ、チボザニブ、バラタニブ、またはパゾパニブが含まれる。
【0029】
【0030】
クレノラニブは、以下に限定されないが、ベシル酸クレノラニブ、リン酸クレノラニブ、乳酸クレノラニブ、塩酸クレノラニブ、クエン酸クレノラニブ、酢酸クレノラニブ、トルエンスルホン酸クレノラニブ、およびコハク酸クレノラニブを含む、様々な塩形態で存在することができるが、塩から遊離であっても利用可能でありうる。本発明の化合物の調製。式Iの化合物を調製するための一般的な合成方法は、例えば、参照により本明細書に関連部分が組み込まれる、米国特許第5,990,146号(1999年11月23日発行)(Warner-Lambert Co.)およびPCT公開出願番号WO99/16755(1999年4月8日公開)(Merck & Co.)、WO01/40217(2001年7月7日公開)(Pfizer,Inc.)、米国特許出願公開番号US2005/0124599(Pfizer,Inc.)および米国特許第7,183,414号(Pfizer,Inc.)で提供される。
【0031】
例として、ベシル酸クレノラニブは、経口で生物学的に利用可能である選択的で強力なクラスIII受容体チロシンキナーゼ(RTK)のI型TKIである。ベシル酸クレノラニブの化学名は、4-ピペリジンアミン,1-[2-[5-[(3-メチル-3-オキセタニル)メトキシ]-1H-ベンズイミダゾール-1-イル]-8-キノリニル]-,モノベンゼンスルホン酸塩である。この化合物は、PDGFR-αおよびPDGFR-βを阻害する能力を有する。クレノラニブは、他の公知のRTK(例えば、VEGFRまたは線維芽細胞成長因子受容体)またはセリン/スレオニンキナーゼ(例えば、Abl、Raf)を臨床的に用いられる濃度で阻害しない。
【0032】
血管新生は、構成細胞タイプの移動と増殖を刺激し、機能的な血管を確立するために、様々な因子とシグナル伝達経路を必要とする複雑な生物学的プロセスである。血管新生は、新しい毛細血管ネットワークを形成する血管内皮増殖因子(VEGF)などの血管新生促進因子によって促進される。PDGFR-βのPDGF活性化は、血管新生を支持し、安定化するためのサポート周皮細胞の移動に関与する[2、3]。VEGFの阻害剤(例えば、アバスチン(ベバシズマブ)など)は、結腸直腸癌、非小細胞肺癌、卵巣癌、子宮頸癌、腎細胞癌、および膠芽腫(GBM)を含む、複数の異なるタイプの癌において承認されている。ベバシズマブは、卵巣癌(試験)において単剤活性のみを有する。化学療法と組み合わせたベバシズマブは、転移性一次乳癌、転移性一次および二次結腸直腸癌、転移性一次NSCLC、転移性一次および二次卵巣癌、転移性一次前立腺癌、および転移性一次腎癌においてPFSの改善が見られた[4-17]。ラムシルマブは、VEGF受容体2(VEGFR2)に対する抗体であり、2つの異なる第III相臨床試験(RAINBOWおよびREGARD)で評価され、胃癌、非小細胞肺癌、および結腸直腸癌において、単独で、またはパクリタキセルとの併用で承認された。VEGFに対する別の抗体であるアフリベルセプトもまた、その受容体へのVEGF結合を遮断し、湿性黄斑変性症および転移性結腸直腸癌における使用について承認されている。これらのVEGF阻害剤は、複数の固形腫瘍にわたる血管新生を標的とすることの役割と重要性を強調する重要な証拠を供している[18-20]。ラムシルマブはまた、結腸直腸癌および非小細胞肺癌の治療において評価されている。転移性結腸直腸癌(RAISE)における化学療法と組み合わせたラムシルマブの第III相試験では、ラムシルマブと化学療法で治療された患者は、プラセボと化学療法で治療された患者に対して全生存期間(OS;11.7ヶ月に対して13.3ヶ月)および無増悪生存期間(PFS;4.5ヶ月に対して5.7ヶ月)がわずかに増加した。この試験で見られた改善された結果は、転移性結腸直腸癌におけるラムシルマブの販売承認の付与を支持した[21]。ラムシルマブはまた、非小細胞肺癌(NSCLC)における販売承認も付与されている。ドセタキセルと組み合わせたプラセボに対するドセタキセルと組み合わせたラムシルマブの有効性を評価する第III相臨床試験(REVEL)では、ラムシルマブで治療された患者のOSが増加した(9.8ヶ月に対して11.2ヶ月)[22]。RAINBOW試験の結果と同様に、RAISE試験とREVEL試験の両方における実質的に全ての患者で最終的に疾患の悪化が進行した。これらの中程度の結果は、VEGF経路の阻害に対する耐性の根底にある後天的なメカニズムの存在を示す。
【0033】
VEGF/VEGFR抗体および化学療法の増加的な利益にもかかわらず、RAINBOW試験における患者の13%は、最良の反応として進行性疾患(PD)を経験し、実質的に全ての患者で最終的に悪化が進行した。さらに、ラムシルマブ単剤療法は、プラセボに対してわずか3%の奏効率(RR)およびわずか0.8か月の無増悪生存期間(PFS)の改善を伴う。
【0034】
VEGF/VEGFR-2シグナル伝達の妨害に対する確立された腫瘍血管の感受性は、周皮細胞との共局在を欠く未成熟血管の一部に限定されている可能性がある[3]。周皮細胞は、間葉系細胞からの生体分化、または動脈平滑筋細胞の移動と脱分化のいずれかによって発生されると考えられている。内皮細胞と周皮細胞などの内皮周囲支持細胞との接触は、新しい血管を安定にし、内皮細胞の生存を促進する。多くの実験およびヒト腫瘍タイプにおける血管は、周皮細胞と密接に関連しており、これらの腫瘍がVEGF経路のみを標的として生き残ることを可能にする。周皮細胞の動員および周皮細胞/内皮細胞相互作用のさらなる標的化は、VEGF/VEGFR-2シグナル伝達の妨害後の腫瘍血管破壊を高める可能性がある。PDGF/PDGFR経路は、間質圧の維持に関連している。
【0035】
抗VEGF療法に対する耐性の想定されるメカニズムの1つは、PDGF/PDGFR経路を介したシグナル伝達の上方調節である。血小板由来成長因子(PDGF-A、PDGF-B、PDGF-C、およびPDGF-D)またはそれらの単量体型のリガンドは、不活性であり、アミノ酸ジスルフィド結合によって結合されて、活性な1つのホモ二量体および4つのヘテロ二量体アイソフォーム:PDGF-AA、PDGF-BB、PDGF-CC、PDGF-DD、およびPDGF-ABを形成する。これらのアイソフォームは、特異的な結合を介してホモ二量体PDGFR-ααもしくはPDGFR-ββまたはヘテロ二量体PDGFR-αβ受容体のいずれかにおけるそれらの生物学的効果を発揮し、それらの活性化を生じる。PDGFRの発癌性変化、およびPDGFリガンドと受容体の過剰発現は、腫瘍形成の原因となる。PDGFRが変化する癌には、膵臓癌、卵巣癌、乳癌、胃癌、胸腺腫、消化管間質腫瘍、骨肉腫、および肝細胞癌が含まれる。例えば、過去10年間のデータにより、胃癌における抗血管新生の役割と血管新生におけるPDGFR-βによる重要な役割の強力な臨床的および前臨床的な重要性が提供されてきた。高いPDGF-D発現が胃癌患者における腫瘍進行、再発、遠隔転移、および予後不良と強く関連することを示す証拠も存在し、癌におけるPDGFおよびPDGFRが果たす重要な役割とこの経路を標的とする緊急の必要性がさらに強調されている[23]。
【0036】
マウスモデルにおいて、Erberらは、抗VEGFR TKIであるSU5416により移植した腫瘍を治療すると、確立された血管の退縮を誘導できなかったが、さらなる血管新生を抑制し、それにより腫瘍の増殖を妨げることを示した[24]。耐性の根底にあるメカニズムは、腫瘍の血管を安定にするための周皮細胞の動員から生じた。周皮細胞および内皮細胞によるPDGFR-βの発現も2倍になった。その後、彼らにより、VEGFRとPDGFRの両方に対する活性を有するTKI(SU6668)による二重阻害が、確立された腫瘍の血管の退縮を生じ、微小血管透過性と微小血管出血の増加をもたらすことが示された。これにより、腫瘍組織の酸素化が減少し、内皮細胞のアポトーシスが起こり、腫瘍の増殖が抑制された。PDGFR-βの発現は高まり、SU5416で治療した腫瘍に匹敵するが、周皮細胞と内皮細胞との結合は、SU5416で治療した腫瘍よりも少なく、PDGFR阻害がこのレベルでその効果を発揮しうることが示唆された[24]。
【0037】
当該技術分野で公知のPDGFR阻害剤として、下記に限定されないが、アバプリチニブ(Blu-285としても公知、Blueprint Medicines Corp.);CBT-102(CBT Pharmaceuticals);乳酸ドビチニブ(CHIR-258としても公知、Oncology Venture A/S);グリベック(グリベック、イマチニブとしても公知、Novartis AG);E7050(ゴルバチニブとしても公知、Eisai,Co.,Ltd.);Latruvo(オララツマブとしても公知、Eli Lily & Co.);レンビマ(レンバチニブ、E7080としても公知、Eisai,Co.,Ltd.);ルシタニブ(AL3810としても公知、Clovis Oncology,Inc.);マシチニブ(AB1010としても公知、AB Science A.B.);ネクサバール(ソラフェニブとしても公知、Amgen,Inc.);Ofev(ニンテダニブ、BIBF-1120としても公知、Boehringer Ingelheim GmbH);PDGF-BB(Adocia SAS);レグラネックス(ベカプレルミンとしても公知、Novartis AG);スチバーガ(レゴラフェニブとしても公知、Bayer AG);スーテント(スニチニブとしても公知、Pfizer,Inc.);タシグナ(ニロチニブ、AMN107としても公知、Novartis AG);テラチニブ(BAY 57-9352としても公知、Eddingpharm);ヴォトリエント(パゾパニブとしても公知、Novartis AG);X-82(Xcovery,Inc.)が挙げられる。
【0038】
これらのPDGFR阻害剤は、再発または難治性腫瘍における単剤療法または併用療法として、前臨床設定、第I相、第II相、または第III相試験で試験されていたか、現在試験されている。大半の患者において、臨床反応は、短命であり、患者は、有害な副作用を経験する。PDGFR阻害剤で治療された患者の最終試験反応基準には、部分的な腫瘍反応、および進行までの遅延時間の増加が含まれる。治療抵抗性の癌、特に、抗血管新生剤に耐性を有する癌を有効に治療し、この患者集団において十分に満たされていない必要性を克服するために、PDGF/PDGFRシグナル伝達を大幅に抑制する阻害剤は、初期の疾患患者における再発率を低下させ、全生存率を高めるのに有効でありうる。本発明は、先行技術の不利益を克服しようとするものである。
【0039】
腫瘍間質圧。想定されている化学療法抵抗性のさらなるメカニズムは、腫瘍内の高い間質圧であり、これにより、血管系から間質への静水圧勾配が低くなり、化学療法薬を含む溶質が毛細血管膜を通過して腫瘍に入るのが減少する[25]。
【0040】
ベバシズマブ(VEGF-Aに対する抗体)などの抗血管新生薬は、一部、腫瘍血管系を正常化し、腫瘍間質圧を低下させ、それにより腫瘍への化学療法の送達を高めることによって機能しうることが過去に仮定されていた。この機能は、ある程度関連しているが、血管新生の阻害における抗血管新生療法の提案されていた役割とは異なり、ベバシズマブおよびラムシルマブの単剤活性の欠落を説明するであろう。
【0041】
PDGF-PDGFR経路は、間質圧の維持に関与しており、抗PDGFR療法が間質圧を低下させることができるというデータも存在する。PDFGR-βチロシンキナーゼに対して活性を有するイマチニブは、ラットモデルにおいて、間質性高血圧を減少させ、溶質の毛細血管から間質への輸送を増加させることが示されている[26]。同一グループによる別の一連の実験では、イマチニブによる治療により、パクリタキセルの抗腫瘍効果が増加し、腫瘍によるパクリタキセルの取り込みが増加された[27]。
【0042】
本発明は、PDGFおよびVEGF/VEGFRの阻害(アキシチニブではない阻害剤を含む)および化学療法剤の組み合わせが癌患者の転帰を顕著に改善するという新規な観察に基づくものである。
【0043】
本発明者らは、PDGFとVEGF阻害との間の相乗効果を最初に認識する。そのため、PDGFおよびVEGF経路阻害剤を細胞毒性化学療法と組み合わせる理論的根拠と証拠が存在するが、別の薬剤も大いに検討する必要がある。
【0044】
要約すると、クレノラニブは、一般に、単剤として十分に耐容性を有し、化学療法と組み合わせた場合、最も一般的な有害事象は、胃腸毒性、肝酵素およびビリルビンの上昇、浮腫/浸出である。アキシチニブとは異なり、VEGF/VEGFR抗体は最小限の毒性を伴い、これらの抗体および化学療法の組み合わせは、極めて十分な忍容性を有する[4-19、21、22、28-32]。特に、アキシニチニブ単剤療法(腎癌患者)は、25%を超える患者において、全グレードの倦怠感、食欲不振、悪心、下痢、手足症候群などを含む顕著な毒性を伴う[33]。さらに、パクリタキセルは、ドセタキセルよりも骨髄抑制性が低い。これらの改善された毒性は、進行性癌患者の化学療法に加えて、クレノラニブおよび別のVEGFR阻害剤(ラムシルマブを含む)の組み合わせを支持する。
【0045】
この態様の1の実施態様において、本発明は、対象における内皮細胞の増殖および遊走を阻害するVEGFシグナル伝達を遮断するだけでなく、新たに形成されたか、または形成される血管を安定化する周皮細胞の増殖および移動を阻害するPDGFシグナル伝達を遮断することによる、血管新生を同時に阻害しつつ、腫瘍を減少させ、または減量させるための方法であって、本発明の化合物を、前記対象に投与する工程を特徴とし、前記組み合わせは、連続または同時のうちの少なくとも1つで供される方法を提供する。
【0046】
他の実施態様において、本発明は、異常な新しい血管系の形成によって引き起こされる細胞増殖性障害に罹っている対象を治療するための治療方法を提供する。一例において、本発明は、腫瘍増殖を支持するための新しい血管系の動員および増殖に依存する細胞増殖性障害を治療するための方法であって、対象における本発明の化合物を含む医薬組成物の治療上有効な量の投与を含む方法を提供する。治療薬の投与は、細胞増殖障害に特徴的な症状の発現時に行うことができ、その結果、疾患または障害が治療される。
【0047】
本開示は、前記増殖性障害の持続および増殖のための新しい血管系の動員に依存する細胞増殖性障害に罹っている対象を治療するための方法を開示する。一例において、本発明は、対象における、医薬薬剤、アキシチニブではないVEGF/VEGFR阻害剤、およびクレノラニブを含む医薬組成物の治療上有効な量の投与を含む、増殖性障害を治療するための方法を提供する。本発明の投与は、固形腫瘍細胞増殖性障害に特徴的な症状の発現時に行うことができ、その結果、疾患または障害が治療される。
【0048】
本発明の併用治療の主な利点は、重大な毒性または有害事象を引き起こすことなく、患者において顕著な抗腫瘍効果を生じる能力であり、その結果、患者は全体として併用治療方法から利益を得る。本発明の併用治療の有効性は、以下に限定されないが、腫瘍の退縮、腫瘍サイズの縮小、進行までの時間、全生存期間、および生活の質を含む、癌治療を評価するために一般的に用いられる多くのエンドポイントによって測定することができる。本発明は、独特の抗腫瘍剤の組み合わせの使用に関連するため、例えば、VEGFおよび/またはPDGFシグナル伝達(例えば、VEGF-A/BまたはPDGFなど)のバイオマーカーの測定および放射線画像による応答の測定を含む、本発明の併用療法の有効性またはいずれか特定の部分を決定するための新規方法を用いることができる。
【0049】
本発明の1の実施態様において、化学療法剤、アキシチニブではない抗VEGF/VEGFR阻害剤、およびクレノラニブまたはその医薬的に許容される塩は、全身に、例えば、経口、静脈内、皮下、筋肉内、皮内または非経口で対象に投与されてもよい。本発明の化合物はまた、局所に対象に投与することができる。
【0050】
本発明の化合物は、本発明の化合物と標的組織との接触を所望される時間範囲維持するために、徐放または速放のために製剤化されてもよい。
【0051】
経口投与に適する組成物には、固形形態、例えば、丸剤、錠剤、カプレット、カプセル、顆粒、および粉末など、液体形態、例えば、溶液、乳濁液、および懸濁液などが含まれる。非経口投与に有用な形態には、滅菌された溶液、乳濁液、および懸濁液が含まれる。
【0052】
本発明の化合物の1日の投与量は、成人1日あたり50~500mgの広範囲にわたり変動しうる。経口投与の場合、前記組成物は、好ましくは、20~100ミリグラムを含む錠剤の形態で供される。本発明の化合物は、1日3回またはそれ以上の投薬計画で投与されてもよい。好ましくは、1日3回である。投与されるべき最適な用量は、当業者によって決定されてもよく、使用される本発明の化合物、投与様式、投与時間、製剤の強度、および病状の詳細によって変動するであろう。年齢、体重、食事などの患者の特徴に関連する因子は、投与量の調整に必要である。
【0053】
本発明の化合物の製造。式Iの化合物を製造するために参照されうる一般的な合成方法は、参照により関連部分が本明細書に組み込まれる、米国特許第5,990,146号(1999年11月23日発行)(Waner-Lambert CO.)およびPCT公開出願番号WO99/16755(1999年4月8日公開)(Merck & Co.)、WO01/40217(2001年7月7日発行)(Pfizer,Inc.)、米国特許出願番号US2005/0124599(Pfizer,Inc.)および米国特許第7,183,414号(Pfizer,Inc.)で供される。
【0054】
塩酸塩、リン酸塩および乳酸塩などの医薬的に許容される塩は、ベンゼンスルホン酸塩と同様の方法で調製され、当業者に周知である。下記の本発明の代表的な化合物は、例示のみのためのものであり、本発明を限定することを意味するものではなく、ベシル酸クレノラニブ、リン酸クレノラニブ、乳酸クレノラニブ、塩酸クレノラニブ、クエン酸クレノラニブ、酢酸クレノラニブ、コハク酸クレノラニブとしてのクレノラニブが挙げられる。
【実施例】
【0055】
実施例1
肝臓に転移を伴う食道胃接合部(GEJ)腺癌患者におけるベシル酸クレノラニブ併用療法の効果:RECIST1.1基準による部分奏効。
53歳の男性は、2017年9月に食道癌と最初に診断された。前記患者を、緩和的FOLFOX化学療法:フルオロピリミジン(フルオロウラシルまたは5-FU)、白金化合物(オキサリプラチン)、およびロイコボリンの組み合わせで治療した。緩和的化学療法を2017年9月下旬に開始し、2018年1月まで続けた。その後、患者の癌が進行した2018年6月にCTスキャンにより患者が進行性疾患であり、癌が肝臓、上部胃、リンパ節に転移したことが明らかになるまで、5か月間経口カペシタビンを患者に投与した。
【0056】
一次治療の進行に応じて、二次選択の進行性食道胃腺癌の臨床試験(NCT03193918)において、経口クレノラニブベシル酸塩(PDGFRβ阻害剤)をパクリタキセルおよびラムシルマブ(VEGFR2阻害剤)と組み合わせて患者に供した。ベースラインにおいて、患者は、RECIST1.1基準によると直径の合計112mmを有していた。併用療法8週間後、患者は、RECIST1.1基準によると安定状態(SD)を達成し、直径の合計が76mmに減少した。治療16週間後、患者は、RECIST1.1基準によると部分奏効(PR)を達成し、ベースラインから直径の合計が40%減少した。治療をさらに8週間行った後、患者はベースラインから直径の合計で57%の減少を達成した。クレノラニブ療法では、この患者は、7.8ヶ月の無増悪生存期間(PFS)であった。これは、出願時の二次選択の胃癌標準治療であるパクリタキセルとラムシルマブを併用した場合に観察された4.4ヶ月のPFSと比較して顕著に改善している[19]。
【0057】
実施例2
リンパ節への転移性疾患を有するステージIIIBの胃腺癌患者におけるベシル酸クレノラニブ併用療法の効果:RECIST1.1基準による部分奏効。
68歳の女性は、2015年9月に胃とリンパ節にステージIIIBの転移性癌と診断された。彼女は、胃部分切除術を受け、2015年10月に補助的FOLFOX化学療法を開始した。彼女は、2016年4月まで12周期のFOLFOX投薬計画を続けた。補助的化学療法治療にもかかわらず、2016年10月のCATスキャンにより、リンパ節の転移性疾患の増加が示され、フルオロウラシルによる緩和的化学療法を促した。患者は進行し続け、2017年10月に胃肝靭帯、肺、リンパ節に転移性疾患があることが判明した。
【0058】
一次治療の進行に応じて、二次選択の進行性食道胃腺癌の臨床試験(NCT03193918)において、経口クレノラニブベシル酸塩(PDGFRβ阻害剤)をパクリタキセルおよびラムシルマブ(VEGFR2阻害剤)と組み合わせて患者に供した。ベースラインにおいて、患者は、RECIST1.1基準によると直径の合計35mmを有していた。併用療法をわずか8週間行った後、患者は、RECIST1.1基準によるとPRを達成し、直径の合計が21mmに減少した。患者は、フォローアップCT評価でPRを維持し、ベシル酸クレノラニブ、ラムシルマブ、およびパクリタキセルの併用治療を22週間継続した。患者は、ベシル酸クレノラニブの併用治療中に5.5ヶ月のPFSを達成し、これは二次選択の胃癌の現在の標準治療よりも改善している。
【0059】
実施例3
ステージIVの浸潤性胃腺癌患者におけるベシル酸クレノラニブ併用療法の効果:RECIST1.1基準による安定状態。
50歳の男性は、2016年5月に浸潤性胃癌と診断された。前記腫瘍は、ヘリコバクターピロリ(H.ピロリ)に関連する慢性胃炎に由来することがわかった。患者は、ネオアジュバントFOLFOX化学療法で治療した。FOLFOX化学療法の12周期後、患者は、2018年11月に胃部分切除術とリンパ節郭清術を受けた。6ヶ月のネオアジュバント化学療法と外科的アプローチにもかかわらず、2018年4月のフォローアップCTスキャンと腹腔鏡検査により、癌が回腸と腹膜に転移していたことが判明した。
【0060】
一次治療の進行に応じて、二次選択の進行性食道胃腺癌の臨床試験(NCT03193918)において、経口クレノラニブベシル酸塩(PDGFRβ阻害剤)をパクリタキセルおよびラムシルマブ(VEGFR2阻害剤)と組み合わせて患者に供した。ベースラインにおいて、2018年5月のCTスキャンにより、RECIST1.1基準によると直径の合計が28mmであることがわかった。ベシル酸クレノラニブ併用療法の80週間後、患者は、RECIST1.1基準によるとSDを維持した。2019年12月初旬の時点において、患者は、約18.5ヶ月のPFSで試験を続け、臨床的に安定している。この患者のPFSは、現在の標準治療で観察されたものより4倍以上長く、本発明の利点および有用性を示す。
【0061】
実施例4
広範な縦隔および上腹部リンパ節転移を伴う転移性食道腺癌におけるベシル酸クレノラニブ併用療法の効果:RECIST1.1基準による安定状態。
32歳の男性は、2016年10月に食道とリンパ節の転移性癌と最初に診断された。彼は、フルオロピリミジン(フルオロウラシルまたは5-FU)と白金化合物(オキサリプラチン)の組み合わせであるFOLFOX化学療法を開始し、FOLFOXを3ヶ月間継続した。患者は、2017年5月までフルオロピリミジンを服用し続け、2017年4月上旬から2017年5月末までの約2か月間、別の白金化合物(シスプラチン)を投与した。フルオロピリミジンと2つの別々のプラチナ化合物の組み合わせにもかかわらず、患者は進行し続け、2017年6月にCTスキャンにより、リンパ節の疾患の増加と胃と肝臓への転移性疾患が判明した。
【0062】
一次治療の進行に応じて、二次選択の進行性食道胃腺癌の臨床試験(NCT03193918)において、経口クレノラニブベシル酸塩(PDGFRβ阻害剤)をパクリタキセルおよびラムシルマブ(VEGFR2阻害剤)と組み合わせて患者に供した。ベースラインにおいて、2017年6月のCTスキャンにより、RECIST1.1基準によると直径の合計が49mmであることがわかった。併用療法8週間後、患者は、RECIST1.1によるとSDを達成し、直径の合計が42mmに減少した。患者は、ベシル酸クレノラニブの併用治療中に6.6ヶ月のPFSを達成し、これは、標準治療より顕著に改善している。
【0063】
実施例5
転移性胃腺癌におけるベシル酸クレノラニブの効果:RECIST1.1基準による安定状態。
72歳の男性は、2015年8月に胃腺癌と最初に診断された。前記患者は、手術とネオアジュバントFOLFOX化学療法で治療した。手術後、前記患者は5-フルオロウラシルの維持療法を2018年7月まで受け、CTスキャンにより進行性疾患と腹膜癌腫症の悪化が判明した。
【0064】
一次治療の進行に応じて、二次選択の進行性食道胃腺癌の臨床試験(NCT03193918)において、経口クレノラニブベシル酸塩(PDGFRβ阻害剤)をパクリタキセルおよびラムシルマブ(VEGFR2阻害剤)と組み合わせて患者に供した。ベースラインにおいて、患者は、RECIST1.1基準によると直径の合計が68mmであった。前記患者は、RECIST1.1基準によるとクレノラニブ治療中に28週間の臨床的な安定状態を維持した。前記患者は、ベシル酸クレノラニブ併用療法で7ヶ月以上のPFSを達成し、これは、ラムシルマブとパクリタキセルの標準治療より顕著に改善している。
【0065】
上記実施例についてのPFSと生存率を含む基本情報を、表1(治療に対する部分奏効の実施例)と表2(安定状態の実施例)に示す。全ての実施例において、PFSは、パクリタキセルとラムシルマブ(二次選択の胃癌の標準治療)で見られたものよりも顕著に長期であった。PFSにおけるこの改善は、ベシル酸クレノラニブ併用療法で各患者に観察されたPFSと、標準治療で観察されたPFS中央値の参照値(破線)を示す
図1で簡単に確認することができる。大幅に改善されたPFSに加えて、本発明はまた、これらの実施例の全生存期間(OS)も延長させた(
図2)。パクリタキセルとラムシルマブの併用療法で見られたOSの中央値は9.6ヶ月であった[19]。本明細書に記載される実施例では、全て14ヶ月以上生存し、2019年12月の時点で3つの実施例(1、3、および5)で生存している(表1および2の生存欄に「+」として示し、
図2では「
*」で示す)。
【0066】
表1は、ベシル酸クレノラニブ併用療法に対して部分奏功を達成した、本発明で治療した二次選択の胃食道癌患者の基本的な特徴および臨床経過を示す。両患者は、腫瘍の>40%の縮小を達成し、実施例1は57%の縮小に達した。また、各患者の無増悪生存期間(PFS)と全生存期間(OS)もまた記載する。実施例1の患者は、生存欄の「+」で示されるように、2019年12月の時点で生存している。
【0067】
表1.ベシル酸クレノラニブ併用療法で治療した胃食道癌患者からの部分奏効の要約データ
【表1】
【0068】
表2は、ベシル酸クレノラニブ併用療法中に安定状態を維持した、本発明で治療した二次選択の胃食道癌患者の基本的な特徴および臨床経過を示す。3人の患者全てが少なくとも6ヶ月間臨床的に安定し、1人の患者「実施例3」は、研究中であり、2019年12月の時点でベシル酸クレノラニブの併用治療を受けている。また、各患者のOSもまた記載する。2人の患者(実施例3および実施例5)は、生存欄の「+」で示されるように、2019年12月の時点で生存している。
【0069】
表2.ベシル酸クレノラニブ併用療法で治療した胃食道癌患者からの安定状態の要約データ
【表2】
【0070】
上記実施例より、本発明が標準治療と比較して統計学的に有意な改善の結果を示す患者に対して顕著な利益があることは当業者にとって明らかである。ベシル酸クレノラニブのさらなる効果は、特に、当業者が、パクリタキセルにラムシルマブを加えることによる改善は、本発明で観察されたPFSの中央値72%の改善およびOSの93%改善と比較して、PFSの52%の改善とOSの30%の改善のみを生じたと考える場合、予想外に顕著に高いものである[19]。さらに、ラムシルマブを含む抗血管新生療法への反応は、一般に一過的であり、大半の患者で治療中に進行してしまうため、あまり成功への期待は大きくない[19]。実際、一般的に、抗血管新生剤の生存における影響は、従来の技術分で示されているように[34]、期待外れであった。単剤療法として、または化学療法と組み合わせた、標的とする血管新生剤の適度で一過的な結果のこの歴史は、本発明の予想外の有用性および利益を際立たせる。
【0071】
本明細書で記載されるいずれの実施態様も、本発明の方法、キット、試薬、または組成物のいずれに関しても実施することでき、逆もまた同様であると考えられる。さらに、本発明の組成物は、本発明の方法を行うために用いることができる。
【0072】
本明細書に記載の特定の実施態様は、例示として示されており、本発明を限定するものではないことが理解される。本発明の主な特徴は、本発明の範囲から逸脱することなく、様々な実施態様で使用することができる。当業者は、本明細書に記載の具体的な方法と同等の多くの単なる従来の実験を用いて認識し、または確認することができる。このような同等物は、本発明の範囲内とみなされ、特許請求の範囲に包含される。
【0073】
本明細書に記載される全ての刊行物および特許出願は、本発明が関連する当業者のレベルを示する。全ての刊行物および特許出願は、各刊行物または特許出願が参照により組み込まれることが具体的かつ個別に示された場合と同程度に、参照により本明細書に組み込まれる。
【0074】
特許請求の範囲および/または本明細書において用語「含む」と組み合わせて用いられる場合の単語「a」または「an」の使用は、「1つ」を意味してもよいが、「1つまたはそれ以上」「少なくとも1つ」、「1つまたは2つ以上」の意味にも相当する。特許請求の範囲における用語「または」の使用は、代替物のみを意味するように明示的に示されないか、または代替物が相互に排他的でない限り、「および/または」を意味するために使用されるが、本開示は、代替物および「および/または」を意味する定義を記載する。本出願全体を通して、用語「約」は、値が、装置の固有の誤差の変動、値を決定するために使用される方法、または試験対象間に存在する変動を含むことを示すために用いられる。
【0075】
本明細書および特許請求の範囲で用いられるように、「含む」(および「comprise」および「comprises」などのいずれの形)、「有する」(および「have」および「has」などのいずれの形)、「含む」(および「includes」および「include」などを含むいずれの形)、または「含有する」(および「contains」および「contain」などを含むいずれの形)は、包括型または開放型であり、さらなる記載されていない要素または方法の工程を除外しない。本明細書で供される組成物および方法のいずれかの実施態様において、「含む」は、「から必須としてなる」または「からなる」と置換されてもよい。本明細書で用いられるように、用語「から必須としてなる」は、特定された整数またはステップ、ならびに本発明の性質または機能に実質的に影響を及ぼさないものを必要とする。本明細書で用いられるように、用語「構成する」は、記載される整数(例えば、特徴、構成要素、特徴、特性、方法/プロセスの工程、または限定)または整数群(例えば、特徴、構成要素、性質、特性、方法/プロセスの工程、または限定)の存在のみを示すために用いられる。
【0076】
本明細書で用いられる用語「またはその組み合わせ」は、その用語に前に記載された項目の全ての順列および組み合わせを意味する。例えば、「A、B、C、またはこれらの組み合わせ」は、A、B、C、AB、AC、BC、またはABCのうちの少なくとも1つを含み、順序がある文脈で重要な場合、BA、CA、CB、CBA、BCA、ACB、BAC、またはCABをも含むことが意図されている。この例を続けると、BB、AAA、AB、BBC、AAABCCCC、CBBAAA、CABABBなどの1つまたはそれ以上の項目の繰り返しを含む組み合わせも明示的に含まれる。当業者は、文脈から明らかでない限り、通常、いずれの組み合わせにおいて項目または用語の数に制限がないことを理解する。
【0077】
本明細書で用いられるように、「約」、「実質的な」または「実質的に」などの類似する用語は、このように修飾される場合、必ずしも絶対または完全であるとは限らないと理解されるが、状態が存在するものとして表示することを当業者が認めるのに十分近似すると考えられる状態を意味する。記載が変化しうる程度は、変更を開始しうる大きさにより、当業者は、修飾されていない特徴の必要とされる特徴と能力を依然として有するものとして修飾された特徴を認識する。一般に、前記記載を条件とするが、「約」などの近似の用語によって修飾される本明細書の数値は、記載された値から少なくとも±1、2、3、4、5、6、7、10、12または15%まで変動してもよい。
【0078】
本明細書に開示され、請求される組成物および/または方法の全ては、本開示を参照して過度の実験なしで行い、実施することができる。本発明の組成物および方法は、好ましい実施態様について記載されているが、変化は、本発明の概念、精神および範囲から逸脱することなく、本明細書に記載の組成物および/または方法、そして方法の工程または工程の順序に適用されてもよいことが当業者にとって明らかである。当業者に明らかなこのような全ての同様の置換および改変は、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の精神、範囲および概念の範囲内であるとみなされる。
【0079】
出願人は、本明細書に添付の特許請求の範囲を解釈する際に、特許庁、および本出願で発行される特許の読者を支援するために、出願人は、用語「のための手法(means)」または「のためのステップ(step)」が明示して用いられていない限り本出願日に存在するため、添付の特許請求の範囲のいずれもが35USC§112段落6、USC§112段落(f)またはこれらの同等のものを発動することを意図していないことを留意することを望む。
【0080】
各請求項について、各従属請求項は、先行する請求項が請求項の用語または構成要素の適切な記載の基礎を提供する限り、その独立請求項、および各全ての請求項の先行する従属請求項の各々の両方に従属することができる。
【0081】
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