(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-28
(54)【発明の名称】混合アレルゲン組成物の製造方法
(51)【国際特許分類】
A61K 39/35 20060101AFI20220121BHJP
A23L 33/00 20160101ALI20220121BHJP
A61K 39/00 20060101ALI20220121BHJP
A61K 41/17 20200101ALI20220121BHJP
A61P 37/08 20060101ALI20220121BHJP
【FI】
A61K39/35
A23L33/00
A61K39/00 G
A61K41/17
A61P37/08
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021531361
(86)(22)【出願日】2019-11-27
(85)【翻訳文提出日】2021-07-13
(86)【国際出願番号】 US2019063686
(87)【国際公開番号】W WO2020113060
(87)【国際公開日】2020-06-04
(32)【優先日】2018-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521234777
【氏名又は名称】オールアダプト イミュノセラピューティクス,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】ALLADAPT IMMUNOTHERAPEUTICS,INC.
【住所又は居所原語表記】1160 Chestnut Street,Menlo Park,CA 94025,United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】新樹グローバル・アイピー特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ヴァイエ,オリヴィア エム.
(72)【発明者】
【氏名】コーニン,クリストファー
(72)【発明者】
【氏名】ドンブコウスキ,アシュリー
(72)【発明者】
【氏名】マククリントック,ダナ
【テーマコード(参考)】
4B018
4C084
4C085
【Fターム(参考)】
4B018LE03
4B018MD49
4B018MD56
4B018MD57
4B018MD58
4B018MD69
4B018MD71
4B018MD72
4B018MD74
4B018ME07
4B018MF14
4C084AA11
4C084NA01
4C084NA14
4C084ZB13
4C084ZB32
4C084ZB33
4C084ZB35
4C085AA03
4C085BB03
4C085CC40
4C085EE01
4C085GG08
(57)【要約】
混合アレルゲン製剤が公知の有効性及び同一性を有し、複製可能な生物を実質的に含まない、混合アレルゲン製剤の製造方法が提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複製可能な生物を実質的に含まない、公知の有効性及び同一性を有する無菌混合アレルゲン製剤の製造方法であって、前記方法は、
2~20種の異なる生の完全な食品アレルゲン物質の各々に、別々に放射線を照射することであって、各個々の生の完全な食品アレルゲン物質に電離放射線を当て、それによって各々が複製可能な生物を実質的に含まない2~20種の個々のアレルゲン原薬を生成することを含み、各個々のアレルゲン原薬は、実質的に未変化のアレルゲン性タンパク質を保持する、放射線を照射することと、
前記2~20種の個々のアレルゲン原薬を共にブレンドし、それによって前記混合アレルゲン製剤を得ることとを含む製造方法。
【請求項2】
前記個々の生の完全な食品アレルゲン物質が、ヘーゼルナッツ、カシュー、ピスタチオ、クルミ、ペカン、アーモンド、ピーナッツ、ゴマ、大豆、鶏卵、牛乳、小麦、サケ、タラ、及びエビからなる群から選択される請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ブレンドすることが、前記2~20種の個々のアレルゲン原薬を1種以上の充填剤及び/又は薬学的に許容可能な賦形剤とブレンドすることを更に含む請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記電離放射線を当てることが、ベータ放射線、ガンマ放射線、アルファ放射線、X放射線、又はそれらの組み合わせを当てることである請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記電離放射線を当てることが、約0.15キログレイ~約30キログレイの1種以上の線量の電離放射線を当てることである請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
電離放射線を当てることが、前記生の完全な食品アレルゲン物質の温度を1キログレイの線量当たり約0.25~約0.5℃上昇させる請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記電離放射線が、約0.5MeV~約10MeVのエネルギーを有する粒子エミッタによって生成される請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記ベータ放射線が、片面照射又は両面照射である請求項4~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記ガンマ放射線が、コバルト60又はセシウム137によって生成される請求項4~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記X放射線が、タングステン又はタンタルを用いて生成される請求項4~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
電離放射線を当てることが、5.0キログレイ、7.5キログレイ、15キログレイ以上のベータ放射線の線量を当てることを含む請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
ベータ放射線の前記線量を当てることが、2回以上生じる請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記方法が、前記混合アレルゲン製剤を粉砕し、実質的に均一な粒径を得ることを更に含む請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記方法が、前記生の完全な食品アレルゲン物質のうちの1種又は2種以上を粉砕することを更に含む請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記方法が、前記個々のアレルゲン原薬のうちの1種又は2種以上を粉砕することを更に含む請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記2~20種の生の完全な食品アレルゲン物質の各々を、放射線を照射する前に別々の放射線照射に適合可能な包装に個別に包装することを更に含む請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記2~20種の個々のアレルゲン原薬の各々が、約1000CFU/g未満の好気性細菌生物を有する請求項1~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記2~20種の個々のアレルゲン原薬の各々が、約100CFU/g未満の好気性細菌生物を有する請求項1~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記2~20種の個々のアレルゲン原薬の各々が、約10CFU/g未満の好気性細菌生物を有する請求項1~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記2~20種の個々のアレルゲン原薬の各々が、約10CFU/g未満の腸内細菌科細菌(Enterobacteriaceae)を有する請求項1~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記2~20種の個々のアレルゲン原薬の各々が、約100CFU/g未満の酵母を有する請求項1~20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記2~20種の個々のアレルゲン原薬の各々が、約10CFU/g未満の酵母を有する請求項1~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記2~20種の個々のアレルゲン原薬の各々が、約100CFU/g未満のカビを有する請求項1~22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記2~20種の個々のアレルゲン原薬の各々が、約10CFU/g未満のカビを有する請求項1~23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記2~20種の個々のアレルゲン原薬の各々が、約1%~約10%の水分を有する請求項1~24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記2~20種の個々のアレルゲン原薬のうちの少なくとも1種が、約4%~約7%の水分を有する請求項1~25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記2~20種の個々のアレルゲン原薬の各々が、約0.2~約0.6の水分活性を有する請求項1~26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
各個々のアレルゲン原薬が、対応する生の完全な食品アレルゲン物質と比較して、実質的に同一のタンパク質の一体性を有する請求項1~27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
各個々のアレルゲン原薬の前記タンパク質の一体性が、SDS-PAGEによって測定される請求項1~28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
各個々のアレルゲン原薬のタンパク質含有量/有効性及び/又は同一性が、ELISAによって試験される請求項1~29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
各生の完全な食品アレルゲン物質のタンパク質含有量/有効性及び/又は同一性が、ELISAによって試験される請求項1~30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
各個々のアレルゲン原薬が、患者に投与したときに、対応する生の完全な食品アレルゲン物質の実質的に同一のタンパク量の投与と実質的に類似したアレルゲン効果を有する請求項1~31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
アレルゲン効果が、前記患者の免疫応答によって測定される請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記混合アレルゲン製剤が、6~20種の個々のアレルゲン原薬を含む請求項1~33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
前記混合アレルゲン製剤が、タンパク質質量で約0.1mg~約500mgの各個々のアレルゲン原薬を含む請求項1~34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
前記混合アレルゲン製剤が、15又は16種の個々のアレルゲン原薬を含み、各個々のアレルゲン原薬はタンパク質重量で約2:1~約1:2の比率で別の個々のアレルゲン原薬と共に存在している請求項1~35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
前記混合アレルゲン製剤が、総タンパク質重量で実質的に同量の個々のアレルゲン原薬を含む請求項1~36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
前記個々の生の完全な食品アレルゲン物質が、ヘーゼルナッツ粉、カシュー粉、ピスタチオ粉、クルミ粉、ペカン粉、アーモンド粉、ピーナッツ粉、ゴマ粉、大豆粉、鶏卵粉末、牛乳粉末、小麦粉、サケ粉末、タラ粉末、及びエビ粉末からなる群から選択される請求項1~37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
前記個々のアレルゲン原薬が、少なくとも6ヶ月間安定している請求項1~38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
前記個々のアレルゲン原薬が、少なくとも1年間安定している請求項1~39のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
前記混合アレルゲン製剤が、少なくとも6ヶ月間安定している請求項1~40のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
前記混合アレルゲン製剤が、少なくとも1年間安定している、請求項1~41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
複製可能な生物を実質的に含まない無菌混合アレルゲン製剤の製造方法であって、前記方法は、
各々が複製可能な生物を実質的に含まない、2~20種の個々の放射線照射されたアレルゲン原薬を提供することであって、各個々のアレルゲン原薬は、実質的に未変化のアレルゲン性タンパク質を保持する、提供することと、
前記2~20種の個々のアレルゲン原薬を共にブレンドし、それによって前記混合アレルゲン製剤を得ることとを含む製造方法。
【請求項44】
複製可能な生物を実質的に含まない混合アレルゲン製剤の製造方法であって、前記方法は、
6~20種の異なる生の完全な食品アレルゲン物質を提供することと、
前記6~20種の異なる生の完全な食品アレルゲン物質をブレンドし、バルク物質を生成することと、
前記バルク物質を電離放射線で照射し、これによって前記混合アレルゲン製剤を得ることとを含む製造方法。
【請求項45】
請求項1~44のいずれか一項に記載の方法によって製造される、複製可能な生物を実質的に含まない混合アレルゲン製剤。
【請求項46】
小児又は成人における食物アレルギーの経口免疫治療処置のためのものである請求項45に記載の混合アレルゲン製剤。
【請求項47】
前記小児又は成人がアレルギーでない食品と混合するためのものである請求項46に記載の混合アレルゲン製剤。
【請求項48】
複製可能な生物を実質的に含まない無菌アレルゲン製剤の製造方法であって、前記方法は、
生の完全な食品アレルゲン物質に放射線を照射することであって、前記生の完全な食品アレルゲン物質に電離放射線を当て、それによって複製可能な生物を実質的に含まない個々のアレルゲン原薬を生成することを含み、前記アレルゲン原薬は、実質的に未変化のアレルゲン性タンパク質を保持する放射線を照射することを含む製造方法。
【請求項49】
前記生の完全な食品アレルゲン物質が、ヘーゼルナッツ、カシュー、ピスタチオ、クルミ、ペカン、アーモンド、ピーナッツ、ゴマ、大豆、鶏卵、牛乳、小麦、サケ、タラ、及びエビからなる群から選択される請求項48に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2018年11月30日に出願された米国仮特許出願第62/773,643号明細書の利益及び優先権を主張するものであり、その開示内容はその全体が全ての目的のために参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
アレルギーとは、通常では非病原性の環境物質に対してアレルギー反応を生じさせることを特徴とする免疫系の障害である。アレルギーは、花粉又は他の植物成分、塵、カビ又は菌類、食品、添加剤、ラテックス、輸血反応、動物又は鳥類の鱗屑、昆虫毒、放射線造影剤、薬剤又は化学物質が挙げられるが、これらに限定されない広範囲にわたるソースに存在する可能性があるアレルゲンによって引き起こされるものである。一般的なアレルギー反応としては、湿疹、蕁麻疹、花粉症、及び喘息が挙げられる。花粉症のような軽度のアレルギーは、ヒト集団では極めて一般的であり、アレルギー性結膜炎、そう痒及び鼻水などの症状を引き起こす。一部の人々では、未治療のままに放置した場合、食事性アレルゲン、環境アレルゲン、又は薬剤に対する重篤なアレルギーによって命に関わるアナフィラキシー反応がもたらされる可能性がある。
【0003】
食物アレルギーは、食品、例えば食品タンパク質に対する有害な免疫応答である。一般的な食品アレルゲンは、甲殻類、ピーナッツ、木の実、魚、乳、卵、大豆、並びにイチゴ、マンゴー、バナナ、及びリンゴなどの新鮮な果物において見出される。免疫グロブリンE(IgE)媒介食物アレルギーは、I型の即時型過敏症反応に分類される。これらのアレルギー反応は急性発症し(早ければ数秒)、同時に起こる症状としては、血管性浮腫(眼瞼、顔、唇、舌、喉頭、及び気管の軟組織の腫れ);蕁麻疹;口、喉、目、又は皮膚のかゆみ;悪心、嘔吐、下痢、胃けいれん、又は腹痛などの消化器症状、鼻漏又は鼻づまり;喘鳴;息切れ;嚥下困難;及びアナフィラキシー、死に至る可能性のある重篤な全身性アレルギー反応が挙げられ得る。21歳未満の小児の12人に1人が食物アレルギーと診断され、年間240億ドル以上が食物アレルギー反応に関する医療費に費やされることが推定されているが、その大部分は、米国だけで年間約9万人が食物に誘発されたアナフィラキシーのために緊急治療室を受診することによるものである。更に、致命的な食物アレルギーによる死亡例が毎年発生している。
【0004】
従って、アレルギーを予防及び/又は治療することができ、同様に食物アレルゲンへの偶発的曝露の際にアレルギー反応を軽減させることができるアレルゲン組成物、及びアレルギーを予防及び/又は治療するためのアレルゲン組成物の製造方法が必要とされている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、少なくとも部分的には、経口免疫療法に使用することができる、一貫した同一性と有効性とを有する、複製可能な生物を実質的に含まない無菌混合アレルゲン製剤を製造する方法に関するものである。例えば、ある種の実施形態では、方法は、2~20種の異なる生の完全な食品アレルゲン物質の各々に、別々に放射線を照射することであって、各個々の生の完全な食品アレルゲン物質に電離放射線を当て、それによって各々が複製可能な生物を実質的に含まない2~20種の個々のアレルゲン原薬を生成することを含み、各個々のアレルゲン原薬は、実質的に未変化のアレルゲン性タンパク質を保持する、放射線を照射することと、2~20種の個々のアレルゲン原薬を共にブレンドし、それによって混合アレルゲン製剤を得ることと、を含む。
【0006】
ある種の実施形態では、本開示は、個々の生の完全な食品アレルゲン物質が、ヘーゼルナッツ、カシュー、ピスタチオ、クルミ、ペカン、アーモンド、ピーナッツ、ゴマ、大豆、鶏卵、牛乳、小麦、サケ、タラ、及びエビからなる群から選択される方法を提供する。
【0007】
別の実施形態では、本開示は、ブレンドすることが、2~20種の個々のアレルゲン原薬を1種以上の充填剤及び/又は薬学的に許容可能な賦形剤とブレンドすることを更に含む方法を提供する。
【0008】
ある種の実施形態では、方法は、電離放射線がベータ放射線、ガンマ放射線、アルファ放射線、X放射線、又はそれらの組み合わせである電離放射線を当てることを提供する。いくつかの実施形態では、約0.15キログレイ~約30キログレイの1種以上の線量の電離放射線が当てられる。ある種の実施形態では、電離放射線を当てることによって、生の完全な食品アレルゲン物質の温度を1キログレイの線量当たり0.25~約0.5℃上昇させる。更なる実施形態において、電離放射線は、約0.5MeV~約10MeVのエネルギーを有する粒子エミッタによって生成される。電離放射線がベータ放射線である実施形態では、ベータ放射線は片面照射又は両面照射である。電離放射線がガンマ放射線である実施形態では、ガンマ放射線は、コバルト60又はセシウム137によって生成される。電離放射線がX放射線である実施形態では、X放射線は、タングステン又はタンタルを用いて生成される。ある種の実施形態では、ベータ放射線は5.0、7.5又は15キログレイ以上の線量で当てられ、1回又は2回以上当てることができる。
【0009】
ある種の実施形態では、本開示の方法は、混合アレルゲン製剤を粉砕し、実質的に均一な粒径を得ることを更に提供する。他の実施形態では、方法は、生の完全な食品アレルゲン物質のうちの1種又は2種以上を粉砕することを更に含む。なお他の実施形態では、方法は、個々のアレルゲン原薬のうちの1種又は2種以上を粉砕することを更に含む。
【0010】
他の実施形態では、本開示の方法は、2~20種の生の完全な食品アレルゲン物質の各々を、放射線を照射する前に、別々の放射線照射に適合可能な包装に個別に包装することを更に含む。
【0011】
本開示の他の実施形態では、2~20種の個々のアレルゲン原薬の各々は、約1000CFU/g未満、約100CFU/g未満、又は約10CFU/g未満の好気性細菌生物を有する。いくつかの実施形態では、2~20種の個々のアレルゲン原薬の各々は、約10CFU/g未満の腸内細菌科細菌(Enterobacteriaceae)を有する。他の実施形態では、2~20種の個々のアレルゲン原薬の各々は、約100CFU/g未満、又は約10CFU/g未満の酵母及び/又はカビを有する。
【0012】
本明細書で開示される方法のある種の実施形態では、2~20種の個々のアレルゲン原薬の各々は、約1%~約10%の水分を有する。いくつかの実施形態では、2~20種の個々のアレルゲン原薬のうちの少なくとも1種は、約4%~約7%の水分を有する。他の実施形態では、2~20種の個々のアレルゲン原薬の各々は、約0.2~約0.6の水分活性を有する。
【0013】
本開示の別の実施形態では、各個々のアレルゲン原薬は、対応する生の完全な食品アレルゲン物質と比較して、実質的に同一のタンパク質の一体性を有し、このタンパク質の一体性はSDS-PAGE又はELISAによって測定される。
【0014】
ある種の実施形態では、ELISAによって各生の完全な食品アレルゲン物質のタンパク質含有量/有効性及び/又は同一性を試験する。
【0015】
他の実施形態では、各個々のアレルゲン原薬は、患者に投与したときに、対応する生の完全な食品アレルゲン物質の実質的に同一のタンパク量の投与と実質的に類似したアレルゲン効果を有し、このアレルゲン効果は、患者の免疫応答によって測定される。
【0016】
本開示の方法のある種の実施形態では、混合アレルゲン製剤は、6~20種の個々のアレルゲン原薬を含む。
【0017】
ある種の実施形態では、本開示の方法は、タンパク質質量で約0.1mg~約500mgの各個々のアレルゲン原薬を含む混合アレルゲン製剤を提供する。いくつかの実施形態では、混合アレルゲン製剤は、15~16種の個々のアレルゲン原薬を含み、各個々のアレルゲン原薬はタンパク質質量で約2:1~約1:2の比率で別の個々のアレルゲン原薬と存在している。他の実施形態では、混合アレルゲン製剤は、総タンパク質重量で実質的に同量の個々のアレルゲン原薬を含む。
【0018】
本開示のいくつかの実施形態では、個々のアレルゲン原薬は、少なくとも6ヶ月間安定している。更なる実施形態では、個々のアレルゲン原薬は、少なくとも1年間安定している。他の実施形態では、混合アレルゲン製剤は、少なくとも6ヶ月間安定している。また更なる実施形態では、混合アレルゲン製剤は、少なくとも1年間安定している。
【0019】
ある種の実施形態では、本開示は、複製可能な生物を実質的に含まない無菌混合アレルゲン製剤の製造方法を提供するものであり、方法は、各々が複製可能な生物を実質的に含まない2~20種の個々の放射線照射されたアレルゲン原薬を提供することであって、各個々のアレルゲン原薬は、実質的に未変化のアレルゲン性タンパク質を保持する、提供することと、2~20種の個々のアレルゲン原薬を共にブレンドし、それによって混合アレルゲン製剤を得ることと、を含む。別の実施形態では、本開示は、複製可能な生物を実質的に含まない混合アレルゲン製剤の製造方法を提供するものであり、方法は、6~20種の異なる生の完全な食品アレルゲン物質を提供することと、6~20種の異なる生の完全な食品アレルゲン物質をブレンドし、バルク物質を生成することと、バルク物質を電離放射線で照射し、これによって混合アレルゲン製剤を得ることと、を含む。
【0020】
また、本明細書で開示される方法のうちの任意の1つによって製造される、複製可能な生物を実質的に含まない混合アレルゲン製剤も開示される。また、小児又は成人における食物アレルギーの経口免疫治療処置のために、本明細書で開示される方法のうちの任意の1つによって製造される混合アレルゲン製剤が意図される。別の実施形態では、本明細書で開示されるような混合アレルゲン製剤は、小児又は成人がアレルギーでない食品と混合するためのものである。
【0021】
別の実施形態では、本開示は、複製可能な生物を実質的に含まない無菌アレルゲン製剤の製造方法を提供するものであり、方法は、生の完全な食品アレルゲン物質に放射線を照射することであって、生の完全な食品アレルゲン物質に電離放射線を当て、それによって複製可能な生物を実質的に含まない個々のアレルゲン原薬を生成することを含み、各アレルゲン原薬は、実質的に未変化のアレルゲン性タンパク質を保持する、放射線を照射することを含む。特定の実施形態では、生の完全な食品アレルゲン物質は、ヘーゼルナッツ、カシュー、ピスタチオ、クルミ、ペカン、アーモンド、ピーナッツ、ゴマ、大豆、鶏卵、牛乳、小麦、サケ、タラ、及びエビからなる群から選択される。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1A】放射線未照射及びベータ放射線が照射された(電子ビームが照射された)ヘーゼルナッツ粉末のSDS-PAGEを示す。レーン1=タンパク質標準ラダー;レーン2=電子ビームが照射されたヘーゼルナッツ粉末(7.5kGy);レーン3=放射線未照射のヘーゼルナッツ粉末。
【
図1B】
図1AのSDS-PAGEの光学デンシトメトリーを示す。
【
図2A】放射線未照射及びベータ放射線が照射された(電子ビームが照射された)カシュー粉末のSDS-PAGEを示す。レーン1=タンパク質標準ラダー;レーン2=電子ビームが照射されたカシュー粉末(7.5kGy);レーン3=放射線未照射のカシュー粉末。
【
図2B】
図2AのSDS-PAGEの光学デンシトメトリーを示す。
【
図3A】放射線未照射及びベータ放射線が照射された(電子ビームが照射された)ピスタチオ粉末のSDS-PAGEを示す。レーン1及び4=タンパク質標準ラダー;レーン2=電子ビームが照射されたピスタチオ粉末(7.5kGy);レーン3=放射線未照射のピスタチオ粉末。
【
図3B】
図3AのSDS-PAGEの光学デンシトメトリーを示す。
【
図4A】放射線未照射及びベータ放射線が照射された(電子ビームが照射された)クルミ粉末のSDS-PAGEを示す。レーン1及び4=タンパク質標準ラダー;レーン2=電子ビームが照射されたクルミ粉末(7.5kGy);レーン3=放射線未照射のクルミ粉末。
【
図4B】
図4AのSDS-PAGEの光学デンシトメトリーを示す。
【
図5A】放射線未照射及びベータ放射線が照射された(電子ビームが照射された)ペカン粉末のSDS-PAGEを示す。レーン1及び4=タンパク質標準ラダー;レーン2=電子ビームが照射されたペカン粉末(7.5kGy);レーン3=放射線未照射のペカン粉末。
【
図5B】
図5AのSDS-PAGEの光学デンシトメトリーを示す。
【
図6A】放射線未照射及びベータ放射線が照射された(電子ビームが照射された)アーモンド粉末のSDS-PAGEを示す。レーン1=タンパク質標準ラダー;レーン2=電子ビームが照射されたアーモンド粉末(7.5kGy);レーン3=放射線未照射のアーモンド粉末。
【
図6B】
図6AのSDS-PAGEの光学デンシトメトリーを示す。
【
図7A】放射線未照射及びベータ放射線が照射された(電子ビームが照射された)ピーナッツ粉末のSDS-PAGEを示す。レーン1=タンパク質標準ラダー;レーン2=電子ビームが照射されたピーナッツ粉末(7.5kGy);レーン3=放射線未照射のピーナッツ粉末。
【
図7B】
図7AのSDS-PAGEの光学デンシトメトリーを示す。
【
図8A】放射線未照射及びベータ放射線が照射された(電子ビームが照射された)ゴマ粉末のSDS-PAGEを示す。レーン1=タンパク質標準ラダー;レーン2=電子ビームが照射されたゴマ粉末(7.5kGy);レーン3=放射線未照射のゴマ粉末。
【
図8B】
図8AのSDS-PAGEの光学デンシトメトリーを示す。
【
図9A】放射線未照射及びベータ放射線が照射された(電子ビームが照射された)大豆タンパク質粉末のSDS-PAGEを示す。レーン1及び4=タンパク質標準ラダー;レーン2=電子ビームが照射された大豆タンパク質粉末(7.5kGy);レーン3=放射線未照射の大豆タンパク質粉末。
【
図9B】
図9AのSDS-PAGEの光学デンシトメトリーを示す。
【
図10A】放射線未照射及び電子ビームが照射された鶏卵粉末のSDS-PAGEである。レーン1=タンパク質標準ラダー;レーン2及び3=放射線未照射の鶏卵粉末;レーン4及び5=電子ビームが照射された鶏卵粉末(7.5kGy);並びにレーン6及び7=電子ビームが照射された鶏卵粉末(15kGy)。
【
図11A】放射線未照射及びベータ放射線が照射された(電子ビームが照射された)牛乳タンパク質分離物のSDS-PAGEである。レーン1及び8=タンパク質標準ラダー;レーン2及び3=放射線未照射の牛乳タンパク質分離物;レーン4及び5=電子ビームが照射された牛乳タンパク質分離物(7.5kGy);並びにレーン6及び7=電子ビームが照射された牛乳タンパク質分離物(15kGy)。
【
図12A】放射線未照射及びベータ放射線が照射された(電子ビームが照射された)小麦タンパク質粉末のSDS-PAGEを示す。レーン1及び4=タンパク質標準ラダー;レーン2=電子ビームが照射された小麦タンパク質粉末(7.5kGy);レーン3=放射線未照射の大豆粉末。
【
図13A】放射線未照射及びベータ放射線が照射された(電子ビームが照射された)サケタンパク質粉末のSDS-PAGEを示す。レーン1=タンパク質標準ラダー;レーン2=電子ビームが照射されたサケタンパク質粉末(7.5kGy);レーン3=放射線未照射のサケタンパク質粉末。
【
図14A】放射線未照射及びベータ放射線が照射された(電子ビームが照射された)タラ粉末のSDS-PAGEを示す。レーン1=タンパク質標準ラダー;レーン2=電子ビームが照射されたタラ粉末(7.5kGy);レーン3=放射線未照射のタラ粉末。
【
図15A】放射線未照射及びベータ放射線が照射された(電子ビームが照射された)エビタンパク質粉末のSDS-PAGEを示す。レーン1及び4=タンパク質標準ラダー;レーン2=電子ビームが照射されたエビタンパク質粉末(7.5kGy);レーン3=放射線未照射のエビタンパク質粉末。
【
図16】放射線未照射のヘーゼルナッツ粉末(白丸)、及び電子ビームが照射されたヘーゼルナッツ粉末(7.5kGy、黒三角)の粒径分布を示す折れ線グラフである。
【
図17】放射線未照射のカシュー粉末(白丸)、及び電子ビームが照射されたカシュー粉末(7.5kGy、黒三角)の粒径分布を示す折れ線グラフである。
【
図18】放射線未照射のピスタチオ粉末(白丸)、及び電子ビームが照射されたピスタチオ粉末(7.5kGy、黒三角)の粒径分布を示す折れ線グラフである。
【
図19】放射線未照射のクルミ粉末(白丸)、及び電子ビームが照射されたクルミ粉末(7.5kGy、黒三角)の粒径分布を示す折れ線グラフである。
【
図20】放射線未照射のペカン粉末(白丸)、及び電子ビームが照射されたペカン粉末(7.5kGy、黒三角)の粒径分布を示す折れ線グラフである。
【
図21】放射線未照射のアーモンド粉末(白丸)、及び電子ビームが照射されたアーモンド粉末(7.5kGy、黒三角)の粒径分布を示す折れ線グラフである。
【
図22】放射線未照射のピーナッツ粉末(白丸)、及び電子ビームが照射されたピーナッツ粉末(7.5kGy、黒三角)の粒径分布を示す折れ線グラフである。
【
図23】放射線未照射のゴマ粉末(白丸)、及び電子ビームが照射されたゴマ粉末(7.5kGy、黒三角)の粒径分布を示す折れ線グラフである。
【
図24】放射線未照射の大豆タンパク質粉末(白丸)、及び電子ビームが照射された大豆タンパク質粉末(7.5kGy、黒三角)の粒径分布を示す折れ線グラフである。
【
図25】放射線未照射の鶏卵粉末(白丸)、電子ビームが照射された鶏卵粉末(7.5kGy、黒三角)、及び電子ビームが照射された鶏卵粉末(15kGy、黒四角)の粒径分布を示す折れ線グラフである。
【
図26】放射線未照射の牛乳タンパク質分離物(白丸)、電子ビームが照射された牛乳タンパク質分離物(7.5kGy、黒三角)、及び電子ビームが照射された牛乳タンパク質分離物(15kGy、黒四角)の粒径分布を示す折れ線グラフである。
【
図27】放射線未照射の小麦タンパク質粉末(白丸)、及び電子ビームが照射された小麦タンパク質粉末(7.5kGy、黒三角)の粒径分布を示す折れ線グラフである。
【
図28】放射線未照射のサケタンパク質粉末(白丸)、及び電子ビームが照射されたサケタンパク質粉末(7.5kGy、黒三角)の粒径分布を示す折れ線グラフである。
【
図29】放射線未照射のタラ粉末(白丸)、及び電子ビームが照射されたタラ粉末(7.5kGy、黒三角)の粒径分布を示す折れ線グラフである。
【
図30】放射線未照射のエビタンパク質粉末(白丸)、及び電子ビームが照射されたエビタンパク質粉末(7.5kGy、黒三角)の粒径分布を示す折れ線グラフである。
【
図31】クリニカルグレードの混合アレルゲン製剤を生成するための製造プロセスを示すフローチャートである。
【
図32】アーモンド粉末参照基準、非特異的な食品アレルゲン物質(エビ粉末)、及び賦形剤対照(イソマルト)と比較した、アーモンド粉末原薬の代表的なELISA曲線を示す折れ線グラフである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
複製可能な生物を実質的に含まない無菌混合アレルゲン製剤の製造方法が、本明細書において開示される。
【0024】
本明細書で使用する場合、「生の完全な食品アレルゲン物質」とは、あらゆる考えられる抗原成分を含有する食品物質(例えば、アレルゲン性タンパク質)を意味する。生の完全な食品アレルゲン物質としては、未加工又は加工済み食品物質、濃縮された食品物質、及び単離された食品物質を挙げてもよいが、これらに限定されない。
【0025】
本明細書で使用する場合、「アレルゲン性タンパク質」とは、患者に投与した際に、直接又は間接のいずれかにおいて生物学的なアレルギー性反応を誘発するのに関与する食品アレルゲン物質の抗原成分のことである。アレルゲン性タンパク質としては、ナッツタンパク質、例えばヘーゼルナッツタンパク質(例えば、Cor a 1、Cor a 2、Cor a 6、Cor a 8、Cor a 9、Cor a 10、Cor a 11、Cor a 12、Cor a 13、及びCor a 14)、カシュータンパク質(例えば、Ana o 1、Ana o 2、及びAna o 3)、ピスタチオタンパク質(例えば、Pis v 1、Pis v 2、Pis v 3、Pis v 4、及びPis v 5)、クルミタンパク質(例えば、Jug r 1、Jug r 2、Jug r 3、Jug r 4、Jug r 5、Jug r 6、Jug r 7、及びJug r 8、Jug n1、Jug n 2、及びJug n 4)、ペカンタンパク質(例えば、Car i 1、Car i 2、及びCar i 4)、アーモンドタンパク質(例えば、Pru du 3、Pru du 4、Pru du 5、Pru du 6、及びPru du 8)、並びにピーナッツタンパク質(例えば、Ara h 1、Ara h 2、Ara h 3、Ara h 4、Ara h 5、Ara h 6、Ara h 7、Ara h 8、Ara h 9、Ara h 10、Ara h 11、Ara h 12、Ara h 13、Ara h 14、Ara h 15、Ara h 16、及びAra h 17)を挙げてもよいが、これらに限定されない。アレルゲン性タンパク質としてはまた、動物性タンパク質、例えば卵タンパク質(例えば、Gal d 1、Gal d 2、Gal d 3、Gal d 4、Gal d 5、Gal d 6、Gal d 7、Gal d 8、Gal d 9、Gal d 10)、乳タンパク質(例えば、Bos d 2、Bos d 3、Bos d 4、Bos d 5、Bos d、6、Bos d 7、Bos d 8、Bos d 9、Bos d 10、Bos d 11、及びBos d 12)、サケタンパク質(例えば、Onc k 5、Sal s 1、Sal s 2、及びSal s 3)、タラタンパク質(例えば、pGad c 1、Gad m 1、Gad m 2、及びGad m 3)、並びにエビタンパク質(例えば、Cra c 1、Cra c 2、Cra c 4、Cra c 5、Cra c 6、Cra c 8、Lit v 1、Lit v 2、Lig v 3、Lit v 4、Met e 1、Pan b 1、Pen a 1、Pen i 1、Pen m 1、Pen m 2、Pen m 3、Pen m 4、及びPen m 6)を挙げてもよいが、これらに限定されない。アレルゲン性タンパク質としては更に、非ナッツの植物性タンパク質、例えば小麦タンパク質(例えば、Tri a 12、Tri a 14、Tri a 15、Tri a 17、Tri a 18、Tri a 19、Tri a 20、Tri a 21、Tri a 25、Tri a 26、Tri a 27、Tri a 28、Tri a 29、Tri a 30、Tri a 31、Tri a 32、Tri a 33、Tri a 34、Tri a 35、Tri a 36、Tri a 37、Tri a 39、Tri a 40、Tri a 41、Tri a 42、Tri a 43、Tri a 44、及びTri a 45)、大豆タンパク質(例えば、Gly m 1、Gly m 1.0101、Gly m 2、Gly m 3、Gly m 4、Gly m 5、Gly m 6、Gly m 7、及びGly m 8)、ゴマ種子タンパク質(例えば、Ses i 1、Ses i 2、Ses i 3、Ses i 4、Ses i 5、Ses i 6、及びSes i 7)、キウィタンパク質(例えば、Act c 1、Act c 5、Act c 8、Act c 10、Act d 1、Act d 2、Act d 3、Act d 4、Act d 5、Act d 6、Act d 7、Act d 8、Act d 9、Act d 10、Act d 11、Act d 12、及びAct d 13)、ニンジンタンパク質(例えば、Dau c 1、Dau c 4、及びDau c 5)、セロリタンパク質(例えば、Api q 1、Api q 2、Api q 3、Api q 4、Api q 5、及びApi q 6)、核果タンパク質(例えば、Pru ar 1、Pru ar 3、Pru av 1、Pru av 2、Pru av 3、Pru av 4、Pru p 1、Pru p 2、Pru p 3、Pru p 4、Pru p 7、及びPru d 3)、並びにオート麦タンパク質を挙げてもよいが、これらに限定されない。
【0026】
「電離放射線」という用語は、原子又は分子から電子を移動させることによってこれらを電離化するのに十分なエネルギーを有する放射線を意味する。本開示の文脈では、「電離放射線」とは、微生物のDNAを電離化して破壊するのに十分なエネルギーを有する放射線を特に意味する。
【0027】
本明細書で使用する場合、「個々のアレルゲン原薬」とは、複製可能な生物を実質的に含まないようにするのに十分な線量の電離放射線にさらされた、完全な食品アレルゲン物質を意味する。
【0028】
「複製可能な生物」とは、平板培養上で増殖/複製/繁殖することができ、コロニー形成単位(CFU)を生じさせることが可能な生物を意味する。
【0029】
例えば、複製可能な生物を実質的に含まない無菌混合アレルゲン製剤の製造方法が本明細書で開示され、方法は、2~20種の異なる生の完全な食品アレルゲン物質の各々に、別々に放射線を照射することであって、各個々の生の完全な食品アレルゲン物質に電離放射線を当て、それによって各々が複製可能な生物を実質的に含まない2~20種の個々のアレルゲン原薬を生成することを含み、各個々のアレルゲン原薬は、実質的に未変化のアレルゲン性タンパク質を保持する、放射線を照射することと、2~20種の個々のアレルゲン原薬を共にブレンドし、それによって混合アレルゲン製剤を得ることと、を含む。
【0030】
ある種の実施形態では、開示された方法は、2~20種、例えば、4~20種、6~20種、8~20種、10~20種、12~20種、14~20種、16~20種、18~20種、2~18種、4~18種、6~18種、8~18種、10~18種、12~18種、14~18種、16~18種、2~16種、4~16種、6~16種、8~16種、10~16種、12~16種、又は14~16種の異なる生の完全な食品アレルゲン物質の各々に、別々に放射線を照射することを含む。例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、又は20種の異なる生の完全な食品アレルゲン物質に放射線が照射される。ある種の実施形態では、2種の異なる生の完全な食品アレルゲン物質に放射線が照射される。特定の実施形態では、15又は16種の異なる生の完全な食品アレルゲン物質に放射線が照射される。放射線の照射前に2種以上の生の完全な食品アレルゲン物質を組み合わせてもよいことが理解されよう。例えば、4~20種、8~20種、10~20種、12~20種、14~20種、16~20種、18~20種、2~18種、4~18種、6~18種、8~18種、10~18種、12~18種、14~18種、16~18種、2~16種、4~16種、6~16種、8~16種、10~16種、12~16種、又は14~16種の異なる生の完全な食品アレルゲン物質を放射線の照射前に組み合わせてもよい。更なる例では、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、又は20種の異なる生の完全な食品アレルゲン物質を放射線の照射前に組み合わせてもよい。
【0031】
本開示の方法は、本明細書に記載される生の完全なアレルゲン原薬のいずれかに放射線を別々に照射することを含むことができる。例えば、ある種の実施形態では、生の完全な食品アレルゲン物質は、ナッツ、種子、豆果、卵、乳製品、穀物、魚、及び甲殻類からなる群から選択される。特定の実施形態では、生の完全な食品アレルゲン物質は、ヘーゼルナッツ、カシュー、ピスタチオ、クルミ、ペカン、アーモンド、ピーナッツ、ゴマ、大豆、鶏卵、牛乳、小麦、サケ、タラ、及びエビからなる群から選択される。ある種の実施形態では、生の完全なアレルゲン原薬は、ヘーゼルナッツ、カシュー、ピスタチオ、クルミ、ペカン、アーモンド、ピーナッツ、ゴマ、大豆、卵、乳、小麦、サケ、タラ、及びエビである。他の実施形態では、生の完全なアレルゲン原薬は卵及び乳である。本明細書において意図される個々の生の完全な食品アレルゲン物質はそれぞれ、粗挽き粉、穀粉、粉末及び/又はタンパク質濃縮物として存在してもよいことが理解されよう。
【0032】
本開示において意図されるように、2~20種の異なる生の完全な食品アレルゲン物質の各々(例えば、4~20種、6~20種、8~20種、10~20種、12~20種、14~20種、16~20種、18~20種、2~18種、4~18種、6~18種、8~18種、10~18種、12~18種、14~18種、16~18種、2~16種、4~16種、6~16種、8~16種、10~16種、12~16種、又は14~16種の生の完全な食品アレルゲン物質)に放射線を別々に照射することは、各個々の生の完全な食品アレルゲン物質に電離放射線を当てることを含む。ある種の実施形態では、電離放射線を当てることは、電子放射線、即ち電子ビーム放射線とも称されるベータ放射線を当てることを含む。例えば、ベータ放射線は、片面照射又は両面照射として当てられる。本開示の他の実施形態では、電離放射線を当てることは、例えば、コバルト60又はセシウム137によって生成されるガンマ放射線を当てることを含む。他の実施形態では、電離放射線を当てることは、アルファ放射線を当てることを含む。別の実施形態では、電離放射線を当てることは、例えば、タングステン又はタンタルを用いて生成されたX放射線を当てることを含む。なお別の実施形態では、ベータ放射線、ガンマ放射線、アルファ放射線、及びX放射線からなる群から選択される任意の2種以上の電離放射線を組み合わせて、2~20種の異なる生の完全な食品アレルゲン物質に当ててもよい。
【0033】
ある種の実施形態では、2~20種の異なる生の完全な食品アレルゲン物質の各々に当てられる電離放射線は、約0.5MeV~約10MeVのエネルギーを有する粒子エミッタによって生成される。
【0034】
本明細書で開示される更に意図された方法は、2~20種の異なる生の完全な食品アレルゲン物質の各々に放射線を別々に照射して、個々の生の完全な食品アレルゲン物質上の、又はその中のあらゆる微生物を複製不能にすることを含むことができる。本開示で意図される放射線線量は、約0.15キログレイ~約30キログレイである。例えば、特定の実施形態では、電離放射線は5.0kGy、7.5kGy、15kGy以上の線量で当てられるベータ放射線である。別の実施形態では、電離放射線は1回又は2回以上当てられるベータ放射線である。このように意図された線量は、個々の生の完全な食品アレルゲン物質上の、又はその中のあらゆる微生物を複製不能にするのに十分であり、米国食品医薬品局によって設定された食品照射を適用するのに設定される最大許容線量の範囲内であることが理解されよう。更に、電離放射線を当てることにより、生の完全な食品アレルゲン物質において、放射線の1キログレイの線量当たり約0.25~約0.5℃の温度を上昇させることが理解されよう。
【0035】
ある種の実施形態では、2~20種の生の完全な食品アレルゲン物質の各々は、電離放射線を当てる前に、放射線照射に適合可能な包装に個別に包装される。「放射線照射に適合可能な」とは、そこに包装された個々の生の完全な食品アレルゲン物質の各々に同時に当てられたものと同一の電離放射線を包装材料に当てることを意味し、化学汚染又は微生物汚染に対する障壁として、その一体性及び機能に影響を及ぼす変化を包装材料に生じさせないものと理解される。更に、「放射線照射に適合可能な」とは、電離放射線にさらすことによって、そこに包装された個々の生の完全な食品アレルゲン物質に包装内の化学物質が添加されるように包装が変化しないことを意味するものと理解される。例えば、2~20種の生の完全な食品アレルゲン物質の各々は、放射線照射に適合可能な包装内に包装されてもよく、10kGyの電離放射線が、放射線照射に適合可能な包装と、そこに包装された個々の生の完全な食品アレルゲン物質とに同時に当てられる。各個々のアレルゲン原薬が放射線照射に適合可能な包装内に包装されたままであり、放射線照射に適合可能な包装の一体性が損なわれない限り、電離放射線を当てた後の各個々のアレルゲン原薬の無菌性が保持されることが更に意図される。
【0036】
本開示の方法において、2~20種の異なる生の完全な食品アレルゲン物質の各々を電離放射線で別々に照射することによって、各々が複製可能な生物を実質的に含まない2~20種の個々のアレルゲン原薬が生成される。ある種の実施形態では、本開示の個々のアレルゲン原薬は、複製可能な細菌、酵母、及び/又はカビを実質的に含まない。例えば、2~20種の個々のアレルゲン原薬の各々は、約1000CFU/g未満、約100CFU/g未満、又は約10CFU/g未満の好気性細菌生物を有する。別の例では、2~20種の個々のアレルゲン原薬の各々は、約10CFU/g未満の腸内細菌科細菌(Enterobacteriaceae)を有する。なお別の例では、2~20種の個々のアレルゲン原薬の各々は、約100CFU/g未満、又は約10CFU/g未満の酵母を有する。別の例では、2~20種の個々のアレルゲン原薬の各々は、約100CFU/g未満、又は約10CFU/g未満のカビを有する。
【0037】
2~20種の異なる生の完全な食品アレルゲン物質の各々に電離放射線を当てることは、タンパク質の一体性を実質的に変化させるものではないことが意図される。例えば、ある種の実施形態では、各個々のアレルゲン原薬は、SDS-PAGEによって測定された対応する生の完全な食品アレルゲン物質と比較して、実質的に同一のタンパク質の一体性を有する。更なる実施形態では、各生の完全な食品アレルゲン物質及び/又は各個々のアレルゲン原薬のタンパク質含有量、有効性、及び/又は同一性は、ELISA及び/又はラテラルフローアッセイによって試験されることが意図される。本明細書で使用する場合、「有効性」とは、生の完全な食品アレルゲン物質又は個々のアレルゲン原薬に対する結合特異性を有する抗体と反応する、生の完全な食品アレルゲン物質又は個々のアレルゲン原薬の能力を意味する。いくつかの実施形態では、臨床試験中だけでなく製剤を商品化した後にも、混合アレルゲン製剤中に一定の濃度の個々のアレルゲン原薬を提供するように、有効性を定量化することができる。本明細書で使用する場合、「ラテラルフローアッセイ」とは、試料中の生の完全な食品アレルゲン物質又は個々のアレルゲン原薬の存在を検出するために使用される免疫クロマトグラフィーアッセイのことを意味する。
【0038】
2~20種の異なる生の完全な食品アレルゲン物質の各々に電離放射線を当てることは、患者に投与したときにアレルゲン効果を誘発する各個々のアレルゲン原薬の能力に実質的に影響を及ぼすものではないことも意図される。ある種の実施形態では、各個々のアレルゲン原薬は、患者に投与したときに、対応する生の完全な食品アレルゲン物質の実質的に同一のタンパク量の投与と実質的に類似したアレルゲン効果を有する。ある種の実施形態では、アレルゲン効果は、患者の免疫応答、例えば、各個々のアレルゲン原薬の投与に応答したIgE若しくはサイトカインの産生の測定、又は免疫細胞活性化の測定によって測定される。他の実施形態では、アレルゲン効果は、インビトロの免疫応答、例えば、免疫細胞活性化後のIgE若しくはサイトカインの産生の測定、又は免疫細胞培養物の活性化の測定によって測定される。
【0039】
ある種の実施形態では、2~20種の放射線が照射された個々のアレルゲン原薬の各々は、約1%~約10%の水分を有する。例えば、2~20種の個々のアレルゲン原薬のうちの少なくとも1種は、約4%~約7%の水分を有することができる。別の例では、2~20種の放射線が照射された個々のアレルゲン原薬の各々は、約4%~約7%の水分を有する。他の実施形態では、2~20種の放射線が照射された個々のアレルゲン原薬の各々は、約0.2~約0.6の水分活性を有する。「水分活性」とは、個々のアレルゲン原薬の各々の蒸気圧と、同一の条件下における蒸留水の蒸気圧との間の比率であると理解される。水分活性とは、個々のアレルゲン原薬の各々の分子と結合していない水、従って細菌、酵母、及びカビの増殖を補助することができるものの測定値であることが理解されよう。更に、水分活性は、水分計、水分湿度計、湿度計、及び相対湿度システムなどの好適な電子機器を使用して測定してもよいことが理解されよう。
【0040】
2~20種の個々のアレルゲン原薬の各々は、少なくとも1週間、2週間、1ヶ月間、2ヶ月間、3ヶ月間、4ヶ月間、5ヶ月間、6ヶ月間、1年間、2年間、5年間以上安定していることが意図される。混合アレルゲン製剤は、少なくとも1週間、2週間、1ヶ月間、2ヶ月間、3ヶ月間、4ヶ月間、5ヶ月間、6ヶ月間、1年間、2年間、5年間以上安定していることが更に意図される。
【0041】
他の実施形態では、2~20種の異なる生の完全な食品アレルゲン物質の各々は、複製可能な生物を実質的に含まない2~20種の個々の放射線が照射されたアレルゲン原薬として提供され、各個々のアレルゲン原薬は実質的に未変化のアレルゲン性タンパク質を保持する。
【0042】
ある種の実施形態では、本明細書で開示される無菌混合アレルゲン製剤を製造する方法は、2~20種の個々のアレルゲン原薬を共にブレンドすることを更に含む。特定の実施形態では、本明細書で開示される方法は、6~20種の個々のアレルゲン原薬をブレンドすることを更に含む。無菌混合アレルゲン製剤中の各個々のアレルゲン原薬の量は、所望の通りに変化させてもよい。ある種の実施形態では、混合アレルゲン製剤は、タンパク質質量で約0.1mg~約500mgの各個々のアレルゲン原薬を含む。なお更なる実施形態では、混合アレルゲン製剤は、15又は16種の個々のアレルゲン原薬を含み、各個々のアレルゲン原薬はタンパク質重量で約2:1~約1:2の比率で別の個々のアレルゲン原薬と共に存在している。例えば、混合アレルゲン製剤は、総タンパク質重量で実質的に同量の個々のアレルゲン原薬を含むことができる。
【0043】
特定の実施形態では、本明細書で開示される方法は、ヘーゼルナッツ、カシュー、ピスタチオ、クルミ、ペカン、アーモンド、ピーナッツ、ゴマ、大豆、鶏卵、牛乳、小麦、サケ、タラ、及びエビからなる群から選択される個々のアレルゲン原薬を含んだ混合アレルゲン製剤を含む。本明細書において意図される個々の食品アレルゲン原薬はそれぞれ、粗挽き粉、穀粉、粉末及び/又はタンパク質濃縮物として存在してもよいことが理解されよう。
【0044】
ある種の実施形態では、本開示の方法は、2~20種の個々のアレルゲン原薬を1種以上の充填剤とブレンドすることを更に含む。意図される充填剤としては、本明細書に記載される任意の充填剤を含むことができる。ある種の実施形態では、充填剤は、糖又は糖アルコール、例えば、スクロース、マルトデキストリン、トレハロース、トレハロース無水物、マンニトール、ラクトース、デキストロース、フルクトース、ラフィノース、アルドース、ケトース、グルコース、スクロース、キシリトール、ソルビトール、イソマルト、エリスリトール、ペンチトール、ヘキシトール、マルチトール、アセスルファムカリウム、タリン、グリチルリジン、スクラロース、アスパルテーム、サッカリン、ナトリウムサッカリン、マルトデキストリン、ネオヘスペリジンジヒドロカルコン、グリチルリチン酸モノアンモニウム、シクラミン酸ナトリウム、又はそれらの任意の組み合わせを含む。ある種の実施形態では、充填剤は、マルトデキストリン、又はスクロース、又はこれらの組み合わせを含む。ある種の実施形態では、充填剤は、マルトデキストリン及びスクロースを約3:1の重量比で含む。理論に束縛されるものではないが、充填剤は混合アレルゲン製剤の脂肪含有量を低減させ、下流プロセスを支援するものであると考えられている。
【0045】
ある種の実施形態では、本開示に開示される方法は、2~20種の個々のアレルゲン原薬を薬学的に許容可能な賦形剤とブレンドすることを含むことができる。意図される賦形剤としては、本明細書に記載される任意の薬学的に許容可能な賦形剤を含むことができる。ある種の実施形態では、薬学的に許容可能な賦形剤は、例えば、食品に安全な油、多糖体(例えば、ジェランガム)、矯味剤、食品に安全な塩(例えば、リン酸二カリウム)、及び/又は天然化合物(例えば、バニラ抽出物若しくはシナモン)を含む。
【0046】
別の実施形態では、本開示は、複製可能な生物を実質的に含まない混合アレルゲン製剤の製造方法を提供するものであり、方法は、2~20種の異なる生の完全な食品アレルゲン物質を提供することと、2~20種の生の完全な食品アレルゲン物質をブレンドして、バルク物質を生成することと、バルク物質を電離放射線で照射し、これによって複製可能な生物を実質的に含まない混合アレルゲン製剤を生成することと、を含み、混合アレルゲン原薬は、実質的に未変化のアレルゲン性タンパク質を保持する。
【0047】
ある種の実施形態では、本明細書で開示される意図された方法は、混合アレルゲン製剤を、例えば、コニカルミル内で粉砕することを更に含む。粉砕は、例えば、約9000RPMのロータ速度を用いることを含んでもよく、又はコニカルミルを通じて真空吸引を施すことを更に含んでもよい。粉砕は、例えば、混合アレルゲン製剤を約0.033インチの開口径を有するスクリーンに通過させることを含んでもよい。理論に束縛されるものではないが、粉砕を行うことによってざらつき及び大きな粒径が低減し、ブレンドの均質性を向上させると考えられる。
【0048】
また、混合アレルゲン製剤を生理学的に許容可能な送達ビヒクルと更に混合し、生理学的に許容可能な組成物を生成する、混合アレルゲン製剤の製造方法が意図される。対象に投与するために、混合アレルゲン製剤を更に様々な配合物中に組み込むことができる。より具体的には、混合アレルゲン製剤は、適切な、生理学的に許容可能な担体又は希釈剤、例えば、植物油と組み合わせることによって、生理学的に許容可能な組成物に配合することができる。ある種の実施形態では、開示される混合アレルゲン製剤は、小児又は成人の食物アレルギーの経口免疫治療処置、例えば、分散性粉末又は粒剤、食品、錠剤、トローチ剤、ドロップ、乳剤等のために設計されている。経口用途を意図した組成物は、薬学的組成物の製造のための任意の従来のプロトコルに従って製造されてもよく、このような組成物は、味の良い調製物を提供するために、甘味剤(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、ソルビトール、又はスクロース)、香味剤、着色剤、及び保存剤からなる群から選択される1種以上の薬剤を含有してもよい。
【0049】
また、小児又は成人がアレルギーでない食品と混合される、混合アレルゲン製剤の製造方法が意図される。例えば、食品としては、乳児又は乳幼児用調製粉乳、離乳食(例えば、乳幼児又は幼児が摂取するのに好適なピューレ状の食品)、チップス、クッキー、パン、スプレッド、クリーム、ヨーグルト、液体飲料、チョコレート含有製品、キャンディ、アイスクリーム、シリアル、コーヒー、ピューレ状の食品等を挙げてもよいが、これらに限定されない。
【0050】
なお別の実施形態では、本開示は、複製可能な生物を実質的に含まない無菌アレルゲン製剤の製造方法を提供するものであり、方法は、生の完全な食品アレルゲン物質に放射線を照射することであって、生の完全な食品アレルゲン物質に電離放射線を当て、それによって複製可能な生物を実質的に含まない無菌アレルゲン製剤を生成することを含み、無菌アレルゲン製剤は、実質的に未変化のアレルゲン性タンパク質を保持する、放射線を照射することを含む。例えば、生の完全な食品アレルゲン物質は、ヘーゼルナッツ、カシュー、ピスタチオ、クルミ、ペカン、アーモンド、ピーナッツ、ゴマ、大豆、鶏卵、牛乳、小麦、サケ、タラ、及びエビからなる群から選択される。
【0051】
明細書全体を通して、装置、デバイス、及びシステムが特定の構成要素を有する(having)、含む(including)、若しくは含む(comprising)と記載される場合、又はプロセス及び方法が特定の工程を有する(having)、含む(including)、若しくは含む(comprising)と記載される場合、明示された構成要素から基本的になる(consist essentially of)、又はそれらからなる(consist of)装置、デバイス、及びシステムが更に存在する、並びに明示された処理工程から基本的になる(consist essentially of)、又はそれらからなる(consist of)プロセス及び方法が存在するということが意図される。
【0052】
前述の例は、例証のためにのみ本明細書で提示されるものであり、限定するものとしていかようにも解釈すべきでない。
【実施例】
【0053】
実施例1
一連の代表的な試験によって、例示的な乾燥粉末の混合アレルゲン製剤(表1を参照されたい)を生成するために使用される、15種の異なる生の完全な食品アレルゲン物質の各々(例えば、ヘーゼルナッツ、カシュー、ピスタチオ、クルミ、ペカン、アーモンド、ピーナッツ、ゴマ、大豆、鶏卵、牛乳、小麦、サケ、タラ、及びエビ)の同一性、強度、品質、及び純度を立証することができる。
【0054】
各個々の生の完全な食物アレルゲンについて肉眼的外観(例えば、粉末粒度、色)を記録し、対応する生の完全な食物アレルゲンの標準物質と比較した。
【0055】
【0056】
各個々の生の完全な食物アレルゲンに対して、滴定法/共沸法/重量法を使用して残留水分を測定した(実施例4を参照のこと)。
【0057】
各個々の生の完全な食物アレルゲン及び個々のアレルゲン原薬の全ての抽出可能なタンパク質含有量を、ローリーのタンパク質アッセイによって測定した。予想される理論上の濃度(生の完全な食品アレルゲン物質の供給元による総窒素含有量によって決定した)を、観察された濃度と比較することによって抽出効率を算出した。表2は、15種の生の完全な食品アレルゲン物質の抽出効率を示すものである。
【0058】
【表2】
*各生の完全な食品アレルゲン物質の供給元から提供された総窒素含有値によって決定した。
**100%のタンパク質が抽出可能であると仮定して、50mgの生の完全な食品アレルゲン物質を抽出バッファー2.5mL中において標準的に抽出したものに基づく。
【0059】
アレルゲン特異的抗体と反応する各個々の生の完全な食物アレルゲン中のアレルゲン性タンパク質の量を、ELISAによって測定した。
図32に示されるように、アーモンド粉末原薬(白丸)は、アーモンド粉末参照基準(白四角)と比較して、アーモンドタンパク質特異的ELISAにおいて類似した反応性を有していた。非特異的な食品アレルゲン物質(エビ粉末、白菱形)、及び賦形剤対照(イソマルト、白三角)はELISAにおいて反応性ではなく、特異的な生の完全な食品アレルゲン物質(即ち、アーモンド)に対するELISAの特異性を実証するものであった。表3は、食物アレルゲン特異的ELISAを使用して測定された、15種の食品アレルゲン物質のEC
50値を示す。
【0060】
【表3】
*タラ及びサーモンは、両方とも同一の商業的に入手可能なELISAを使用して試験した
【0061】
SDS-PAGEにより、各個々の生の完全な食物アレルゲンのバンドプロファイルを対応する生の完全な食物アレルゲンの標準物質と比較することによって、各個々の生の完全な食物アレルゲンのタンパク質のプロファイルを分析した(実施例2に記載される)。
【0062】
実施例2
15種のアレルゲン原薬のタンパク質の一体性を、15種の対応する生の完全な食品アレルゲン物質と比較した。Fonterra社の牛乳タンパク質分離物4900及びMichael Foods社の鶏卵粉末を、7.5kGy及び15kGyの2種の線量のベータ放射線(SADEX Corporation、Sioux City、Iowaでの電子ビーム照射)でそれぞれ別々に照射した。ヘーゼルナッツ粉末、カシュー粉末、ピスタチオ粉末、クルミ粉末、ペカン粉末、アーモンド粉末、ピーナッツ粉末、ゴマ粉末、大豆タンパク質粉末、小麦タンパク質粉末、サケ粉末、タラ粉末、及びエビ粉末を、7.5kGyのベータ放射線(Steri-Tek、Fremont、Californiaでの電子ビーム照射)でそれぞれ別々に照射した。SDS-PAGEにより、生の完全な食品アレルゲン物質試料及び放射線が照射されたアレルゲン原薬試料の両方に存在する全てのタンパク質を分解することによって、タンパク質の一体性を評価した。要約すると、15種の異なる生の完全な食品アレルゲン物質及び個々のアレルゲン原薬の各々の画定された量を、ドデシル硫酸リチウムを用いて可溶化し、数分間で短く加熱した後に遠心分離した。次いで、上清を還元条件下で4~12%のビス-トリスポリアクリルアミドゲルの電気泳動にかけ、続いてクマシーブルーで染色した。
【0063】
図1Aは、放射線未照射の生の完全なヘーゼルナッツアレルゲン物質試料(レーン3)が非常に良好なSDS-PAGEでのバンド分解能を有し、7.5kGyのベータ放射線が照射されたヘーゼルナッツアレルゲン原薬試料(レーン2)と類似したタンパク質バンドの構成を呈したことを示している。
【0064】
図1Bは、
図1AのSDS-PAGEの光学デンシトメトリー分析を示している。7.5kGyのベータ放射線が照射されたヘーゼルナッツアレルゲン原薬試料(
図1Aのレーン2)と、放射線未照射の生の完全なヘーゼルナッツアレルゲン物質試料(
図1Aのレーン3)との両方で15個のタンパク質バンドのピークが定量化され、7.5kGyのベータ放射線処置後にタンパク質の一体性が高度に保たれていることが示唆された。
【0065】
図2Aは、放射線未照射の生の完全なカシューアレルゲン物質試料(レーン3)が非常に良好なSDS-PAGEでのバンド分解能を有し、7.5kGyのベータ放射線が照射されたカシューアレルゲン原薬試料(レーン2)と類似したタンパク質バンドの構成を呈したことを示している。
【0066】
図2Bは、
図2AのSDS-PAGEの光学デンシトメトリー分析を示している。7.5kGyのベータ放射線が照射されたカシューアレルゲン原薬試料(
図2Aのレーン2)と、放射線未照射の生の完全なカシューアレルゲン物質試料(
図2Aのレーン3)との両方で18個のタンパク質バンドのピークが定量化され、7.5kGyのベータ放射線処置後にタンパク質の一体性が高度に保たれていることが示唆された。
【0067】
図3Aは、放射線未照射の生の完全なピスタチオアレルゲン物質試料(レーン3)が非常に良好なSDS-PAGEでのバンド分解能を有し、7.5kGyのベータ放射線が照射されたピスタチオアレルゲン原薬試料(レーン2)と類似したタンパク質バンドの構成を呈したことを示している。
【0068】
図3Bは、
図3AのSDS-PAGEの光学デンシトメトリー分析を示している。7.5kGyのベータ放射線が照射されたピスタチオアレルゲン原薬試料(
図3Aのレーン2)と、放射線未照射の生の完全なピスタチオアレルゲン物質試料(
図3Aのレーン3)との両方で14個のタンパク質バンドのピークが定量化され、7.5kGyのベータ放射線処置後にタンパク質の一体性が高度に保たれていることが示唆された。
【0069】
図4Aは、放射線未照射の生の完全なクルミアレルゲン物質試料(レーン3)が非常に良好なSDS-PAGEでのバンド分解能を有し、7.5kGyのベータ放射線が照射されたカシューアレルゲン原薬試料(レーン2)と類似したタンパク質バンドの構成を呈したことを示している。
【0070】
図4Bは、
図4AのSDS-PAGEの光学デンシトメトリー分析を示している。7.5kGyのベータ放射線が照射されたクルミアレルゲン原薬試料(
図4Aのレーン2)と、放射線未照射の生の完全なクルミアレルゲン物質試料(
図4Aのレーン3)との両方で12個のタンパク質バンドのピークが定量化され、7.5kGyのベータ放射線処置後にタンパク質の一体性が高度に保たれていることが示唆された。
【0071】
図5Aは、放射線未照射の生の完全なペカンアレルゲン物質試料(レーン3)が非常に良好なSDS-PAGEでのバンド分解能を有し、7.5kGyのベータ放射線が照射されたペカンアレルゲン原薬試料(レーン2)と類似したタンパク質バンドの構成を呈したことを示している。
【0072】
図5Bは、
図5AのSDS-PAGEの光学デンシトメトリー分析を示している。7.5kGyのベータ放射線が照射されたペカンアレルゲン原薬試料(
図5Aのレーン2)と、放射線未照射の生の完全なペカンアレルゲン物質試料(
図5Aのレーン3)との両方で15個のタンパク質バンドのピークが定量化され、7.5kGyのベータ放射線処置後にタンパク質の一体性が高度に保たれていることが示唆された。
【0073】
図6Aは、放射線未照射の生の完全なアーモンドアレルゲン物質試料(レーン3)が非常に良好なSDS-PAGEでのバンド分解能を有し、7.5kGyのベータ放射線が照射されたアーモンドアレルゲン原薬試料(レーン2)と類似したタンパク質バンドの構成を呈したことを示している。
【0074】
図6Bは、
図6AのSDS-PAGEの光学デンシトメトリー分析を示している。7.5kGyのベータ放射線が照射されたアーモンドアレルゲン原薬試料(
図6Aのレーン2)と、放射線未照射の生の完全なアーモンドアレルゲン物質試料(
図6Aのレーン3)との両方で18個のタンパク質バンドのピークが定量化され、7.5kGyのベータ放射線処置後にタンパク質の一体性が高度に保たれていることが示唆された。
【0075】
図7Aは、放射線未照射の生の完全なピーナッツアレルゲン物質試料(レーン3)が良好なSDS-PAGEでのバンド分解能を有し、7.5kGyのベータ放射線が照射されたピーナッツアレルゲン原薬試料(レーン2)と類似したタンパク質バンドの構成を呈したことを示している。
【0076】
図7Bは、
図7AのSDS-PAGEの光学デンシトメトリー分析を示している。7.5kGyのベータ放射線が照射されたピーナッツアレルゲン原薬(
図7Aのレーン2)と、放射線未照射の生の完全なピーナッツアレルゲン物質試料(
図7Aのレーン3)との両方で16個のタンパク質バンドのピークが定量化され、7.5kGyのベータ放射線処置後にタンパク質の一体性が高度に保たれていることが示唆された。
【0077】
図8Aは、放射線未照射の生の完全なゴマアレルゲン物質試料(レーン3)が非常に良好なSDS-PAGEでのバンド分解能を有し、7.5kGyのベータ放射線が照射されたゴマアレルゲン原薬試料(レーン2)と類似したタンパク質バンドの構成を呈したことを示している。
【0078】
図8Bは、
図8AのSDS-PAGEの光学デンシトメトリー分析を示している。7.5kGyのベータ放射線が照射されたゴマアレルゲン原薬試料(
図8Aのレーン2)と、放射線未照射の生の完全なゴマ物質アレルゲン試料(
図8Aのレーン3)との両方で16個のタンパク質バンドのピークが定量化され、7.5kGyのベータ放射線処置後にタンパク質の一体性が高度に保たれていることが示唆された。
【0079】
図9Aは、放射線未照射の生の完全な大豆アレルゲン物質試料(レーン3)が比較的低いSDS-PAGEでのバンド分解能を有し、7.5kGyのベータ放射線が照射された大豆アレルゲン原薬試料(レーン2)と類似したタンパク質バンドの構成を呈したことを示している。
【0080】
図9Bは、
図9AのSDS-PAGEの光学デンシトメトリー分析を示している。7.5kGyのベータ放射線が照射された大豆アレルゲン原薬試料(
図9Aのレーン2)と、放射線未照射の生の完全な大豆アレルゲン物質試料(
図9Aのレーン3)との両方で12個のタンパク質バンドのピークが定量化され、7.5kGyのベータ放射線処置後にタンパク質の一体性が高度に保たれていることが示唆された。
【0081】
図10Aは、放射線未照射の生の完全な鶏卵アレルゲン物質試料(レーン2及び3)が良好なSDS-PAGEでのバンド分解能を有し、7.5kGyのベータ放射線が照射された鶏卵アレルゲン原薬試料(レーン4及び5)、及び15kGyのベータ放射線が照射された鶏卵アレルゲン原薬試料(レーン6及び7)と類似したタンパク質バンドの構成を呈したことを示している。
【0082】
図10Bは、
図10AのSDS-PAGEの光学デンシトメトリー分析を示している。放射線未照射の生の完全な鶏卵アレルゲン試料(
図10Aのレーン2及び3)において16個のタンパク質バンドのピークが定量化された。7.5kGyのベータ放射線が照射された鶏卵アレルゲン原薬試料(
図2Aのレーン4及び5)、及び15kGyのベータ放射線が照射された鶏卵アレルゲン原薬試料(
図2Aのレーン6及び7)が、極めて類似したピーク強度及び配置を呈し、7.5kGy及び15kGyでのベータ放射線処置後にタンパク質の一体性が高度に保たれていることが示唆された。
【0083】
図11Aに示されるように、放射線未照射の生の完全な牛乳アレルゲン物質試料(レーン2及び3)が良好なSDS-PAGEでのバンド分解能を有し、7.5kGyのベータ放射線が照射された牛乳アレルゲン原薬試料(レーン4及び5)、及び15kGyのベータ放射線が照射された牛乳アレルゲン原薬試料(レーン6及び7)と類似したタンパク質バンドの構成を呈した。
【0084】
図11Bは、
図11AのSDS-PAGEの光学デンシトメトリー分析を示している。放射線未照射の生の完全な牛乳アレルゲン物質試料(
図11Aのレーン2及び3)において12個のタンパク質バンドのピークが定量化された。7.5kGyのベータ放射線が照射された牛乳アレルゲン原薬試料(
図11Aのレーン4及び5)、及び15kGyのベータ放射線が照射された牛乳アレルゲン原薬試料(
図11Aのレーン6及び7)が、極めて類似したピーク強度及び配置を呈し、7.5kGy及び15kGyでのベータ放射線処置後にタンパク質の一体性が高度に保たれていることが示唆された。
【0085】
図12Aは、放射線未照射の生の完全な小麦アレルゲン物質試料(レーン3)が非常に良好なSDS-PAGEでのバンド分解能を有し、7.5kGyのベータ放射線が照射された小麦アレルゲン原薬試料(レーン2)と類似したタンパク質バンドの構成を呈したことを示している。
【0086】
図12Bは、
図12AのSDS-PAGEの光学デンシトメトリー分析を示している。7.5kGyのベータ放射線が照射された小麦アレルゲン原薬試料(
図12Aのレーン2)と、放射線未照射の生の完全な小麦アレルゲン物質試料(
図12Aのレーン3)との両方で13個のタンパク質バンドのピークが定量化され、7.5kGyのベータ放射線処置後にタンパク質の一体性が高度に保たれていることが示唆された。
【0087】
図13Aは、放射線未照射の生の完全なサケアレルゲン物質試料(レーン3)が非常に良好なSDS-PAGEでのバンド分解能を有し、7.5kGyのベータ放射線が照射されたサケアレルゲン原薬試料(レーン2)と類似したタンパク質バンドの構成を呈したことを示している。
【0088】
図13Bは、
図13AのSDS-PAGEの光学デンシトメトリー分析を示している。7.5kGyのベータ放射線が照射されたサケアレルゲン原薬試料(
図13Aのレーン2)と、放射線未照射の生の完全なサケアレルゲン物質試料(
図13Aのレーン3)との両方で18個のタンパク質バンドのピークが定量化され、7.5kGyのベータ放射線処置後にタンパク質の一体性が高度に保たれていることが示唆された。
【0089】
図14Aは、放射線未照射の生の完全なタラアレルゲン物質試料(レーン3)が良好なSDS-PAGEでのバンド分解能を有し、7.5kGyのベータ放射線が照射されたタラアレルゲン原薬試料(レーン2)と類似したタンパク質バンドの構成を呈したことを示している。
【0090】
図14Bは、
図14AのSDS-PAGEの光学デンシトメトリー分析を示している。7.5kGyのベータ放射線が照射されたタラアレルゲン原薬試料(
図14Aのレーン2)と、放射線未照射の生の完全なタラアレルゲン物質試料(
図14Aのレーン3)との両方で18個のタンパク質バンドのピークが定量化され、7.5kGyのベータ放射線処置後にタンパク質の一体性が高度に保たれていることが示唆された。
【0091】
図15Aは、放射線未照射の生の完全なエビアレルゲン物質試料(レーン3)が比較的低いSDS-PAGEでのバンド分解能を有し、7.5kGyのベータ放射線が照射されたエビアレルゲン原薬試料(レーン2)と類似したタンパク質バンドの構成を呈したことを示している。
【0092】
図15Bは、
図15AのSDS-PAGEの光学デンシトメトリー分析を示している。7.5kGyのベータ放射線が照射されたエビアレルゲン原薬試料(
図15Aのレーン2)と、放射線未照射の生のエビアレルゲン試料(
図15Aのレーン3)との両方で11個のタンパク質バンドのピークが定量化され、7.5kGyのベータ放射線処置後にタンパク質の一体性が高度に保たれていることが示唆された。
【0093】
実施例3
15種の代表的なアレルゲン原薬の粒径分布を、15種の対応する生の完全な食品アレルゲン物質と比較した。
【0094】
図16に示されるように、生の完全なヘーゼルナッツアレルゲン物質を7.5kGy(黒三角)のベータ放射線によって処置しても、放射線未照射の生の完全なヘーゼルナッツアレルゲン物質(白丸)と比較して粒径分布に顕著な差をもたらす結果とはならなかった。
【0095】
図17に示されるように、生の完全なカシューアレルゲン物質を7.5kGy(黒三角)のベータ放射線によって処置しても、放射線未照射の生の完全なカシューアレルゲン物質(白丸)と比較して粒径分布に顕著な差をもたらす結果とはならなかった。
【0096】
図18に示されるように、生の完全なピスタチオアレルゲン物質を7.5kGy(黒三角)のベータ放射線によって処置しても、放射線未照射の生の完全なピスタチオアレルゲン物質(白丸)と比較して粒径分布に顕著な差をもたらす結果とはならなかった。
【0097】
生の完全なクルミアレルゲン物質を7.5kGy(
図19;黒三角)のベータ放射線によって処置しても、放射線未照射の生の完全なクルミアレルゲン物質(
図19;白丸)と比較して粒径分布に顕著な差をもたらす結果とはならなかった。
【0098】
図20に示されるように、生の完全なペカンアレルゲン物質を7.5kGy(黒三角)のベータ放射線によって処置しても、放射線未照射の生の完全なペカンアレルゲン物質(白丸)と比較して粒径分布に顕著な差をもたらす結果とはならなかった。
【0099】
図21に示されるように、生の完全なアーモンドアレルゲン物質を7.5kGy(黒三角)のベータ放射線によって処置しても、放射線未照射の生の完全なアーモンドアレルゲン物質(白丸)と比較して粒径分布に顕著な差をもたらす結果とはならなかった。
【0100】
図22に示されるように、生の完全なピーナッツアレルゲン物質を7.5kGy(黒三角)のベータ放射線によって処置しても、放射線未照射の生の完全なピーナッツアレルゲン物質(白丸)と比較して粒径分布に顕著な差をもたらす結果とはならなかった。放射線照射後に測定された500μm~750μmにおける粒子の集団が多くなっている。
【0101】
図23に示されるように、生の完全なゴマアレルゲン物質を7.5kGy(黒三角)のベータ放射線によって処置しても、放射線未照射の生の完全なゴマアレルゲン物質(白丸)と比較して粒径分布に顕著な差をもたらす結果とはならなかった。
【0102】
図24に示されるように、生の完全な大豆アレルゲン物質を7.5kGy(黒三角)のベータ放射線によって処置しても、放射線未照射の生の完全な大豆アレルゲン物質(白丸)と比較して粒径分布に顕著な差をもたらす結果とはならなかった。
【0103】
同様に、
図25に示されるように、放射線未照射の生の完全な鶏卵アレルゲン物質(白丸)、7.5kGyのベータ放射線が照射された鶏卵アレルゲン原薬(黒三角)、及び15kGyのベータ放射線が照射された鶏卵アレルゲン原薬(黒四角)は、粒径分布に顕著な差を示さなかった。
【0104】
図26に示されるように、生の完全な牛乳アレルゲン物質を7.5kGy(黒三角)又は15kGy(黒四角)のベータ放射線によって処置しても、放射線未照射の生の完全な牛乳アレルゲン物質(白丸)と比較して粒径分布に顕著な差をもたらす結果とはならなかった。
【0105】
図27に示されるように、生の完全な小麦アレルゲン物質を7.5kGy(黒三角)のベータ放射線によって処置しても、放射線未照射の生の完全な小麦アレルゲン物質(白丸)と比較して粒径分布に顕著な差をもたらす結果とはならなかった。
【0106】
図28に示されるように、生の完全なサケアレルゲン物質を7.5kGy(黒三角)のベータ放射線によって処置しても、放射線未照射の生の完全なサケアレルゲン物質(白丸)と比較して粒径分布に顕著な差をもたらす結果とはならなかった。
【0107】
生の完全なタラアレルゲン物質を7.5kGy(
図29;黒三角)のベータ放射線によって処置しても、放射線未照射の生の完全なタラアレルゲン物質(
図29;白丸)と比較して粒径分布に顕著な差をもたらす結果とはならなかった。
【0108】
図30に示されるように、生の完全なエビアレルゲン物質を7.5kGy(黒三角)のベータ放射線によって処置しても、放射線未照射の生の完全なエビアレルゲン物質(白丸)と比較して粒径分布に顕著な差をもたらす結果とはならなかった。
【0109】
従って、ベータ放射線を高線量(例えば、いくつかのアレルゲン物質では15kGy)で放射した後であっても、放射線が照射されたアレルゲン原薬において系統的な凝集が生じるようには見られなかった。
【0110】
実施例4
15種の代表的なアレルゲン原薬について、水分含有量及び水分活性も測定し、15種の対応する生の完全な食品アレルゲン物質の水分含有量及び水分活性と比較した。
【0111】
表4に示されるように、生の完全なヘーゼルナッツアレルゲン物質の水分含有量(AquaLab 4TE及びComputract 1000XLを使用して測定された)と水分活性(Rotronic HygroLabを使用して測定された)とは、ベータ放射線処置前及びベータ放射線処置後で類似したものであった。
【0112】
【0113】
表5に示されるように、生の完全なカシューアレルゲン物質の水分含有量(AquaLab 4TE及びComputract 1000XLを使用して測定された)と水分活性(Rotronic HygroLabを使用して測定された)とは、ベータ放射線処置前及びベータ放射線処置後で類似したものであった。
【0114】
【0115】
表6に示されるように、生の完全なピスタチオアレルゲン物質の水分含有量(AquaLab 4TE及びComputract 1000XLを使用して測定された)と水分活性(Rotronic HygroLabを使用して測定された)とは、ベータ放射線処置前及びベータ放射線処置後で類似したものであった(いずれも8%差)。
【0116】
【0117】
表7に示されるように、生の完全なクルミアレルゲン物質の水分含有量(AquaLab 4TE及びComputract 1000XLを使用して測定された)と水分活性(Rotronic HygroLabを使用して測定された)とは、ベータ放射線処置による系統的な影響を受けなかった。
【0118】
【0119】
表8に示されるように、生の完全なペカンアレルゲン物質の水分含有量(AquaLab 4TE及びComputract 1000XLを使用して測定された)と水分活性(Rotronic HygroLabを使用して測定された)とは、ベータ放射線処置後と類似したものであった(それぞれ5%及び4%差)。
【0120】
【0121】
表9に示されるように、生の完全なアーモンドアレルゲン物質の水分含有量(AquaLab 4TE及びComputract 1000XLを使用して測定された)と水分活性(Rotronic HygroLabを使用して測定された)とは、ベータ放射線処置前及びベータ放射線処置後で類似したものであった(それぞれ5%及び11%差)。
【0122】
【0123】
表10に示されるように、生の完全なピーナッツアレルゲン物質の水分含有量(AquaLab 4TE及びComputract 1000XLを使用して測定された)と水分活性(Rotronic HygroLabを使用して測定された)とは、ベータ放射線処置前及びベータ放射線処置後で類似したものであった。
【0124】
【0125】
表11に示されるように、生の完全なゴマアレルゲン物質の水分含有量(AquaLab 4TE及びComputract 1000XLを使用して測定された)と水分活性(Rotronic HygroLabを使用して測定された)とは、ベータ放射線処置前及びベータ放射線処置後で類似したものであった。
【0126】
【0127】
表12に示されるように、生の完全な大豆アレルゲン物質の水分含有量(AquaLab 4TE及びComputract 1000XLを使用して測定された)と水分活性(Rotronic HygroLabを使用して測定された)とは、ベータ放射線処置前及びベータ放射線処置後で類似したものであった。
【0128】
【0129】
同様に、表13の結果は、生の完全な鶏卵アレルゲン物質の水分含有量と水分活性とが、7.5kGy又は15kGyの線量のいずれかにおいてもベータ放射線処置による系統的な影響を受けなかったことを示している。
【0130】
【0131】
表14に示されるように、生の完全な牛乳アレルゲン物質の水分含有量(AquaLab 4TE及びComputract 1000XLを使用して測定された)と水分活性(Rotronic HygroLabを使用して測定された)とは、7.5kGy又は15kGyの線量のいずれかにおいてもベータ放射線処置による系統的な影響を受けなかった。
【0132】
【0133】
表15に示されるように、生の完全な小麦アレルゲン物質の水分含有量(AquaLab 4TE及びComputract 1000XLを使用して測定された)と水分活性(Rotronic HygroLabを使用して測定された)とは、ベータ放射線処置前と比較してベータ放射線処置後がわずかに高かった。
【0134】
【0135】
表16に示されるように、生の完全なサケアレルゲン物質の水分含有量(AquaLab 4TE及びComputract 1000XLを使用して測定された)と水分活性(Rotronic HygroLabを使用して測定された)とは、ベータ放射線処置前及びベータ放射線処置後で類似したものであった。
【0136】
【0137】
表17に示されるように、生の完全なタラアレルゲン物質の水分含有量(AquaLab 4TE及びComputract 1000XLを使用して測定された)と水分活性(Rotronic HygroLabを使用して測定された)とは、7.5kGyでのベータ放射線処置による系統的な影響を受けなかった。
【0138】
【0139】
表18に示されるように、生の完全なエビアレルゲン物質の水分含有量(AquaLab 4TE及びComputract 1000XLを使用して測定された)と水分活性(Rotronic HygroLabを使用して測定された)とは、ベータ放射線処置前及びベータ放射線処置後で類似したものであった。
【0140】
【0141】
実施例5
15種の代表的なアレルゲン原薬について微生物の増殖を測定し、15種の対応する生の完全な食品アレルゲン物質の微生物の増殖と比較した。
【0142】
放射線未照射及び放射線が照射された牛乳アレルゲン物質試料及び鶏卵アレルゲン物質試料について、総好気性微生物を測定した。加えて、試料を総腸内細菌科細菌(Enterobacteriaceae)数、酵母数、及びカビ数について測定した。
【0143】
総好気性平板菌数及び腸内細菌科細菌(Enterobacteriaceae)数については、試料を希釈し、一般的な回復培地のペトリ皿に広げて、生成物1グラム当たりのコロニー形成単位(CFU/g)を測定した。酵母及びカビ平板菌数については、試料を希釈し、製造業者の指示書に従って3M Petrifilm(商標)酵母及びカビ測定用プレートに広げて、生成物1グラム当たりのコロニー形成単位としてコロニーを記録した。
【0144】
放射線未照射の生の完全なヘーゼルナッツアレルゲン物質、及び7.5kGyのベータ放射線が照射されたヘーゼルナッツアレルゲン原薬の総好気性生物平板菌数、総腸内細菌科細菌(Enterobacteriaceae)数、総酵母数、及び総カビ数を表19に提示する。7.5kGyでの放射線の照射によって、総好気性菌及び酵母数が顕著に減少する(検出限界未満)という結果となった。
【0145】
【0146】
放射線未照射の生の完全なカシューアレルゲン物質、及び7.5kGyのベータ放射線が照射されたカシューアレルゲン原薬の総好気性生物平板菌数、総腸内細菌科細菌(Enterobacteriaceae)数、総酵母数、及び総カビ数を表20に提示する。7.5kGyでの放射線の照射によって、総好気性菌及びカビ数が顕著に減少する(検出限界未満)という結果となった。
【0147】
【0148】
放射線未照射の生の完全なピスタチオアレルゲン物質、及び7.5kGyのベータ放射線が照射されたピスタチオアレルゲン原薬の総好気性生物平板菌数、総腸内細菌科細菌(Enterobacteriaceae)数、総酵母数、及び総カビ数を表21に提示する。7.5kGyでの放射線の照射によって、総好気性平板菌数が顕著に減少するという結果となった。
【0149】
【0150】
放射線未照射の生の完全なクルミアレルゲン物質、及び7.5kGyのベータ放射線が照射されたクルミアレルゲン原薬の総好気性生物平板菌数、総腸内細菌科細菌(Enterobacteriaceae)数、総酵母数、及び総カビ数を表22に提示する。7.5kGyでの放射線の照射によって、総好気性平板菌数が顕著に減少するという結果となった。
【0151】
【0152】
放射線未照射の生の完全なペカンアレルゲン物質、及び7.5kGyのベータ放射線が照射されたペカンアレルゲン原薬の総好気性生物平板菌数、総腸内細菌科細菌(Enterobacteriaceae)数、総酵母数、及び総カビ数を表23に提示する。7.5kGyでの放射線の照射によって、総好気性平板菌数、酵母数、及びカビ数が顕著に減少するという結果となった。
【0153】
【0154】
放射線未照射の生の完全なアーモンドアレルゲン物質、及び7.5kGyのベータ放射線が照射されたアーモンドアレルゲン原薬の総好気性生物平板菌数、総腸内細菌科細菌(Enterobacteriaceae)数、総酵母数、及び総カビ数を表24に提示する。7.5kGyでの放射線の照射によって、総好気性平板菌数が顕著に減少するという結果となった。
【0155】
【0156】
放射線未照射の生の完全なピーナッツアレルゲン物質、及び7.5kGyのベータ放射線が照射されたピーナッツアレルゲン原薬の総好気性生物平板菌数、総腸内細菌科細菌(Enterobacteriaceae)数、総酵母数、及び総カビ数を表25に提示する。7.5kGyでの放射線の照射によって、総好気性平板菌数が顕著に減少するという結果となった。
【0157】
【0158】
放射線未照射の生の完全なゴマアレルゲン物質、及び7.5kGyのベータ放射線が照射されたゴマアレルゲン原薬の総好気性生物平板菌数、総腸内細菌科細菌(Enterobacteriaceae)数、総酵母数、及び総カビ数を表26に提示する。7.5kGyでの放射線の照射によって、総好気性平板菌数が顕著に減少するという結果となった。
【0159】
【0160】
放射線未照射の生の完全な大豆アレルゲン物質、及び7.5kGyのベータ放射線が照射された大豆アレルゲン原薬の総好気性生物平板菌数、総腸内細菌科細菌(Enterobacteriaceae)数、総酵母数、及び総カビ数を表27に提示する。7.5kGyでの放射線の照射によって、総好気性平板菌数が顕著に減少するという結果となった。
【0161】
【0162】
放射線未照射の生の完全なピーナッツアレルゲン物質、及び7.5kGyのベータ放射線が照射されたピーナッツアレルゲン原薬の総好気性生物平板菌数、総腸内細菌科細菌(Enterobacteriaceae)数、総酵母数、及び総カビ数を表28に提示する。7.5kGyでの放射線の照射によって、総好気性平板菌数が顕著に減少するという結果となった。
【0163】
【0164】
表29は、放射線未照射の生の完全な鶏卵アレルゲン物質、7.5kGyのベータ放射線が照射された鶏卵アレルゲン原薬、及び15kGyのベータ放射線が照射された鶏卵アレルゲン原薬の総好気性生物平板菌数、総E.フェシウム(E.faecium)数、総酵母数、及び総カビ数を示す。7.5kGy及び15kGyでの放射線の照射によって、総好気性平板菌数及びカビ数が顕著に減少するという結果となった。
【0165】
【0166】
放射線未照射の生の完全な牛乳アレルゲン物質、7.5kGyのベータ放射線が照射された牛乳アレルゲン原薬、及び15kGyのベータ放射線が照射された牛乳アレルゲン原薬の総好気性生物平板菌数、総腸内細菌科細菌(Enterobacteriaceae)数、総酵母数、及び総カビ数を表30に提示する。7.5kGyでの放射線の照射によって、総好気性平板菌数が顕著に減少するという結果となった。
【0167】
【0168】
放射線未照射の生の完全な小麦アレルゲン物質、及び7.5kGyのベータ放射線が照射された小麦アレルゲン原薬の総好気性生物平板菌数、総腸内細菌科細菌(Enterobacteriaceae)数、総酵母数、及び総カビ数を表31に提示する。7.5kGyでの放射線の照射によって、総好気性平板菌数が顕著に減少するという結果となった。
【0169】
【0170】
放射線未照射の生の完全なタラアレルゲン物質、及び7.5kGyのベータ放射線が照射されたタラアレルゲン原薬の総好気性生物平板菌数、総腸内細菌科細菌(Enterobacteriaceae)数、総酵母数、及び総カビ数を表32に提示する。7.5kGyでの放射線の照射によって、総好気性平板菌数及び腸内細菌科細菌(Enterobacteriaceae)数が顕著に減少するという結果となった。
【0171】
【0172】
放射線未照射の生の完全なエビアレルゲン物質、及び7.5kGyのベータ放射線が照射されたエビアレルゲン原薬の総好気性生物平板菌数、総腸内細菌科細菌(Enterobacteriaceae)数、総酵母数、及び総カビ数を表33に提示する。7.5kGyでの放射線の照射によって、総好気性平板菌数が減少するという結果となった。
【0173】
【0174】
ベータ放射線処置を受ける前に、指標となる栄養生物、エンテロコッカス・フェシウム(Enterococcus faecium)NRRL B-2354の集団で別々の試料を播種することもでき、播種した放射線未照射及び放射線が照射された乳アレルゲン物質試料及び卵アレルゲン物質試料について、放射線照射の前後の総E.フェシウム(E.faecium)数を測定することができる。E.フェシウム(E.faecium)が播種されていない試料の場合、本方法の検出限界は、1:10の希釈に対して1CFU/gである。E.フェシウム(E.faecium)が播種されている試料の場合、検出限界を、E.フェシウム(E.faecium)が播種されていない試料においてバックグラウンドの微生物相増殖が観察されない最初の段階希釈に設定する。
【0175】
実施例6
図31の製造ワークフロー概略図に示されるように、生の完全な食品アレルゲン物質を、臨床包装及び流通のための最終製剤に加工することができる。要約すると、15種の完全な食品アレルゲン物質を電離放射線処置にさらして個々のアレルゲン原薬を生成し、次いでこの個々のアレルゲン原薬を分析して有効性及び同一性を判断する。個々のアレルゲン原薬を賦形剤とブレンドして粉砕し、バルクの混合アレルゲン製剤を形成する。バルクの混合アレルゲン製剤を梱包し、コントロールされた発送条件下における臨床的流通のために最終混合アレルゲン製剤を形成する。個々のアレルゲン原薬及びバルクの混合アレルゲン製剤を生成した後に、試料を安定性評価のために出荷する。
【0176】
参照による組み込み
本明細書において言及される、以下に列挙されるこれらの項目を含む刊行物及び特許は全て、個々の刊行物又は特許のそれぞれが具体的及び個々に参照により組み込まれるのと同程度に、その全体が全ての目的のために参考として本明細書に組み込まれる。矛盾が生じた場合は、本明細書の任意の定義を含む本出願が優先される。
【0177】
等価物
本発明の特定の実施形態を述べてきたが、上記の記載は例示的なものであり、制限するものではない。本発明の多くの変形が、本明細書を検討すれば当業者には明らかとなるであろう。本発明の全範囲は、それらの等価物及び明細書の全範囲と共に、それらの変形形態と共に、特許請求の範囲を参照することによって判断されるべきである。
【0178】
別段の指示がない限り、明細書及び特許請求の範囲で使用される成分量、反応条件等を表す全ての数値は、全ての場合において「約」という語句で修飾されるものとして理解されるべきである。従って、それと反対の指示がない限り、本明細書及び添付の特許請求の範囲に記載される数値パラメータは、本発明により得ようと求められる所望の特性に応じて変動し得る概算値である。
【国際調査報告】