(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-28
(54)【発明の名称】冷媒分配器及びそれを備えた蒸発器
(51)【国際特許分類】
F28D 7/16 20060101AFI20220121BHJP
F25B 39/02 20060101ALI20220121BHJP
F28F 9/22 20060101ALI20220121BHJP
【FI】
F28D7/16 A
F25B39/02 N
F28F9/22
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021531535
(86)(22)【出願日】2020-04-21
(85)【翻訳文提出日】2021-05-31
(86)【国際出願番号】 CN2020085869
(87)【国際公開番号】W WO2021031593
(87)【国際公開日】2021-02-25
(31)【優先権主張番号】201910778507.2
(32)【優先日】2019-08-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521237538
【氏名又は名称】麦克維爾空調制冷(武漢)有限公司
【氏名又は名称原語表記】MCQUAY AIR CONDITIONING & REFRIGERATION (WUHAN) CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】NO.33 Checheng Road, Economical And Technology Development District Wuhan City
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】新樹グローバル・アイピー特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】程 ▲まん▼
(72)【発明者】
【氏名】徐 峰
(72)【発明者】
【氏名】周 傑
(72)【発明者】
【氏名】馬 新
(72)【発明者】
【氏名】羅 雄
【テーマコード(参考)】
3L065
3L103
【Fターム(参考)】
3L065DA03
3L103AA37
3L103BB42
3L103CC02
3L103CC28
3L103DD08
3L103DD44
(57)【要約】
【課題】本発明の実施例は、冷媒分配器及びそれを備えた蒸発器を提供する。
【解決手段】冷媒分配器(4)は、ケース(42)と、前記ケース(42)の上表面(421)に設けられた冷媒入口(41)と、前記ケース(42)の下表面(422)に均一に設けられた液体出口(46)と、前記ケース(42)の長尺方向の両端に設けられて、前記両端から前記ケース(42)を密閉する端板と、を備え、前記下表面(422)から前記上表面(421)に指向する高さ方向において、前記下表面(422)からの所定の高さ範囲内に、前記ケース(42)の幅が徐々に大きくなる。ケース(42)内にはプレ分配器(3)が設けられている。本実施例は、冷媒の均一な配分に有利となるため、蒸発器の熱交換効果を改善する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケース(42)と
前記ケース(42)の上表面(421)に設けられた冷媒入口(41)と、
前記ケース(42)の下表面(422)に均一に設けられた液体出口(46)と、
前記ケース(42)の長尺方向の両端に設けられて、前記両端から前記ケース(42)を密閉する端板と、
前記ケース(42)の内部に設けられ、長尺方向が前記ケース(42)の長尺方向と平行であり、冷媒が流入する入口(31)を有するプレ分配器(3)と、を備える冷媒分配器であって、
前記ケース(42)の前記下表面(422)から前記上表面(421)に向かう高さ方向において、前記下表面(422)からの所定の高さ範囲内に、前記ケース(42)の幅が徐々に大きくなる、ことを特徴とする冷媒分配器。
【請求項2】
前記ケース(42)の上表面(421)に設けられる通気溝(45)と、
前記通気溝(45)の上方を覆い、面積が前記通気溝(45)の面積以上であるワイヤーメッシュセパレーター(47)と、をさらに備える、
ことを特徴とする請求項1に記載の冷媒分配器。
【請求項3】
前記ケース(42)の前記長尺方向に垂直な断面での形状は、八角形である、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の冷媒分配器。
【請求項4】
少なくとも2つの支持板(44)をさらに備え、前記支持板(44)は、前記ケース(42)の内部に設けられ、前記ケース(42)の幅方向に沿って延在し、前記下表面(422)及び前記下表面に隣接する側面(423)と気密接続し、
前記プレ分配器(3)は前記支持板(44)の上端に支持される、
ことを特徴とする請求項1に記載の冷媒分配器。
【請求項5】
前記支持板(44)の上部には貫通孔(441)を有する、
ことを特徴とする請求項4に記載の冷媒分配器。
【請求項6】
前記プレ分配器(3)は、配分ケース(32)と、前記配分ケース(32)の上部を覆うカバープレート(34)とを、備え、
前記入口(31)が前記カバープレート(34)に設けられており、
前記配分ケース(32)が、長尺方向両側に位置する側壁(321)を備え、
前記側壁(321)には、第1のプレ分配器開口(33)が形成されており、前記第1のプレ分配器開口(33)と前記入口(31)との距離が所定の閾値よりも大きく、
且つ、高さ方向において、前記第1のプレ分配器開口(33)の少なくとも一部から前記配分ケース(32)の底部までの距離が、前記配分ケース(32)の高さの半分よりも小さく、且つ、ゼロよりも大きい、
ことを特徴とする請求項1に記載の冷媒分配器。
【請求項7】
前記カバープレート(34)の面積が前記配分ケース(32)底部の面積よりも大きく、且つ、前記カバープレート(34)のエッジには前記配分ケース(32)へ曲がる屈曲部(341)が形成されている、
ことを特徴とする請求項6に記載の冷媒分配器。
【請求項8】
前記配分ケース(32)は、前記カバープレート(34)と平行な断面での形状が八角形、四角形又は他の直線セグメントからなる図形である、
ことを特徴とする請求項6に記載の冷媒分配器。
【請求項9】
前記入口(31)に近づくほど、前記第1のプレ分配器開口(33)のサイズが大きく、及び/又は分布密度が大きい、
ことを特徴とする請求項6に記載の冷媒分配器。
【請求項10】
前記長尺方向において、前記第1のプレ分配器開口(33)の分布は、前記入口(31)に対して対称でない、
ことを特徴とする請求項6に記載の冷媒分配器。
【請求項11】
前記長尺方向において、前記入口(31)を中心として、前記入口(31)の一側及び他側の前記第1のプレ分配器開口(33)は、前記入口(31)に対してスタッガード分布される、
ことを特徴とする請求項10に記載の冷媒分配器。
【請求項12】
前記プレ分配器(3a)は、配分管(32a)を備え、前記入口(31)が前記配分管(32a)の管壁(321a)の頂部に設けられており、
前記管壁(321a)には、第2のプレ分配器開口(33a)が形成されており、
高さ方向において、前記第2のプレ分配器開口(33a)の少なくとも一部から前記配分管(32a)の底部までの距離が前記配分管(32a)高さの半分よりも小さく、且つ、ゼロよりも大きい、
ことを特徴とする請求項1に記載の冷媒分配器。
【請求項13】
前記プレ分配器(3a)は、前記配分管(32a)の上部に設けられる第2のカバープレート(34a)をさらに備え、
前記第2のカバープレート(34a)の面積が前記配分管(32a)の前記長尺方向と平行な断面の面積よりも大きい、
ことを特徴とする請求項12に記載の冷媒分配器。
【請求項14】
前記入口(31)に近づくほど、前記第2のプレ分配器開口(33a)のサイズが大きく、及び/又は分布密度が大きい、
ことを特徴とする請求項12に記載の冷媒分配器。
【請求項15】
前記長尺方向において、前記第2のプレ分配器開口(33a)の分布は、前記入口(31)に対して対称でない、
ことを特徴とする請求項12に記載の冷媒分配器。
【請求項16】
前記長尺方向において、前記入口(31)を中心として、前記入口(31)の一側及び他側の前記第2のプレ分配器開口(33a)は、前記入口(31)に対してスタッガード分布される、
ことを特徴とする請求項15に記載の冷媒分配器。
【請求項17】
蒸発器(10)であって
請求項1から16のうちのいずれか一項に記載の冷媒分配器を備え、
蒸発器筐体(1)、給液管(2)、吸気口(9)及び熱交換チューブバンドル(5)をさらに備え、
前記冷媒分配器(4)が前記熱交換チューブバンドル(5)の上方に位置し、
前記給液管(2)が前記蒸発器筐体(1)を通して前記冷媒入口(41)に接続されており、
前記吸気口(9)が前記蒸発器筐体(1)の頂部に設けられている
ことを特徴とする蒸発器。
【請求項18】
前記冷媒分配器(4)の下方に位置し、前記熱交換チューブバンドル(5)を支持する熱交換チューブバンドル支持板(6)と、
前記冷媒分配器(4)の下方に位置し、前記熱交換チューブバンドル(5)の両側に位置するサイドフェンス(7)と、
前記サイドフェンス(7)と前記蒸発器筐体(1)との間に位置し、前記熱交換チューブバンドル支持板(6)によって支持されるミストキャッチャー(8)と、をさらに備える、ことを特徴とする請求項17に記載の蒸発器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空調設備の技術分野に関し、特に、冷媒分配器及びそれを備えた蒸発器に関する。
【背景技術】
【0002】
冷却システムは、主に圧縮機、蒸発器、凝縮器及び絞り装置からなり、主流な蒸発器構造としては、満液式蒸発器及び流下液膜式蒸発器という2種類がある。省エネと環境保護への需要が益々大きくなることに伴って、チラーユニットの研究は、高性能、低冷媒充填量へ進んでおり、満液式蒸発器は、高性能を満たす前提でユニットの冷媒充填量を効果的に制御することができない。流下液膜式蒸発器は、セントラル空調冷却ユニットに広く適用されており、このような熱交換器は、冷媒充填量が少なく、構造がコンパクトであり、熱伝達効率が高く、熱交換が安定である等の利点を有する。
【0003】
流下液膜式蒸発器において、冷媒分配器は、キーとなる部材である。冷媒を蒸発チューブバンドルに配分するために、一般的には、冷媒分配器の内外には十分な圧力差を有することが求められ、例えば、R134a等の中高圧冷媒を採用する冷却システムにおいて、分配器の圧力降下が60kpa以上に達しなければ、冷媒が熱交換チューブバンドルに均一に落ちることができない。
【0004】
ただし、現状で、国内外のより高い性能と環境保護の要求に対応するために、R123、R1233zd、R1233zeのような低圧冷媒がますます空調分野に適用されていく。
【0005】
一般的な作動状況において、蒸発温度が6℃であり、凝縮温度が37℃未満であり、低圧冷媒であるR1233zd(e)の凝縮器と蒸発器との圧力差は、伝統的な冷媒であるR134aの凝縮器と蒸発器との圧力差の23.1%に過ぎない。
【0006】
ここで注意すべきなのは、以上の技術背景に対する紹介は、本発明の技術案に対してより明瞭かつ完全な説明を行うことに利便を図りながら、当業者が理解しやすいように供するものに過ぎない。それらの方案が本発明の背景技術の部分に記載されていることだけで、上記の技術方案が当業者により公知されたものであると認定してはならない。
【発明の概要】
【0007】
本発明の発明者は、圧力差が小さいため、低圧冷媒は位相変化が発生しやすく、そのため、低圧冷媒を用いる熱交換システムにおいて、流下液膜式蒸発器において冷媒分配器の気液分離及び配分均一性等についての要求も大きく変化してしまったことに注意している。例えば、熱交換システムの絞り装置によってスロットリングされた冷媒は、10%~20% の乾き度を有し、つまり、蒸発器の給液管に入った冷媒が、気液二相であり、特に、低圧冷媒に関し、その気態冷媒の体積分率が、入口の気液二相冷媒の80%ごろに占め、気態冷媒の存在によって分配器内の圧力降下が高すぎて、流下液膜式蒸発器での冷媒の均一な配分に大きく影響しており、これによって、冷媒の熱交換効果に影響してしまう。
【0008】
本発明は、冷媒分配器及びそれを備えた蒸発器を提供し、当該冷媒分配器のケースの幅がケース底部からの所定の高さ範囲内に徐々に大きくなり、これによって、徐々に大きくなった幅により、気液混合状態の冷媒の流速を効果的に低下させ、気態冷媒と液態冷媒との分離に有利となっており、分配器内の圧力降下も低下させ、分配器内において液態冷媒が均一に配分されるのに有利となる。
【0009】
本発明の実施例の一態様によれば、ケース(42)と、前記ケース(42)の上表面(421)に設けられた冷媒入口(41)と、前記ケース(42)の下表面(422)に設けられた液体出口(46)と、前記ケース(42)の長尺方向の両端に設けられて、前記両端から前記ケース(42)を密閉する端板と、を備える冷媒分配器であって、前記ケース(41)の前記下表面(422)から前記上表面(421)に指向する高さ方向において、前記下表面(422)からの所定の高さ範囲内に、前記ケース(42)の幅が徐々に大きくなる冷媒分配器を提供する。前記冷媒分配器は、プレ分配器(3)をさらに備え、前記プレ分配器(3)は、前記ケース(42)の内部に設けられて、前記プレ分配器(3)の長尺方向が前記ケース(42)の長尺方向と平行であり、前記プレ分配器(3)は冷媒が流入する入口(31)を有する。
【0010】
本発明の実施例による有益な効果の一つとして、当該冷媒分配器のケースの幅がケース底部からの所定の高さ範囲内に徐々に大きくなり、これによって、徐々に大きくなった幅により、気態冷媒の流速を効果的に低下させ、気態冷媒と液態冷媒との分離に有利となっており、分配器内の圧力降下も低下させ、分配器内において液態冷媒が均一に配分されるのに有利となり、且つ、当該冷媒分配器ケースにはプレ分配器が内蔵され、プレ分配器が長尺方向の両側壁の貫通孔から噴出した気液混合状態の冷媒がケース内側壁に衝突して渦流を形成し、液滴が気流から脱落することを促進して、重力作用でケース底部に落ち戻すことにある。
【0011】
後述する説明や添付図面を参照して、本発明の特定の実施の形態は詳しく開示されて、本発明の原理が採用されることができる方式を明記する。理解すべきことは、本発明の実施形態は、範囲上にそれらに限定されていない。添付される請求項の主旨や条件の範囲内において、本発明の実施形態は多くの変更、修正及び均等物を含む。
【0012】
添付図面は本発明の実施例をさらに理解するために供されるもので、明細書の一部を構成し、本発明の実施形態を例示するとともに、文字記載と合わせて本発明の原理を説明するものである。後述する添付図面はただ本発明の幾つかの実施例に過ぎず、当業者にとって、創意工夫を要しないことを前提として、それらの添付図面に基づいて、他の添付図面を取得することができるのは、自明である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、本発明の実施例に係る冷媒分配器の概略斜視図である。
【
図2a】
図2aは、ケース42の長尺方向Lに垂直な断面を示す図である。
【
図3a-3c】
図3a,
図3b,
図3cは、それぞれケース42の長尺方向に垂直な断面の異なる形状を示す図である。
【
図4】
図4は、本発明の実施例に係る冷媒分配器の別の概略斜視図である。
【
図5】
図5は、長さL方向から支持板44を見る時の概略図である。
【
図6】
図6は、本発明の実施例に係る冷媒分配器の別の概略斜視図である。
【
図7】
図7は、本発明の実施例に係るプレ分配器3の概略斜視図である。
【
図10】
図10は、本発明の実施例に係るプレ分配器3の別の概略斜視図である。
【
図13】
図13は、本発明の実施例に係るプレ分配器の別の概略斜視図である。
【
図15】
図15は、本発明の実施例に係るプレ分配器3aの別の概略斜視図である。
【
図17】
図17は、本実施例のケース42における冷媒のフローフィールド分布を示す図である。
【
図18】
図18は、本発明の実施例2に係る蒸発器の概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図面を参照して、以下の明細書によれば、本発明の上記の特徴及びその他の特徴がより明瞭になるであろう。明細書及び添付図面において、本発明の特定の実施形態は具体的に開示され、本発明の原理を利用可能な実施形態の一部が示されるが、ただし、本発明は、記述される実施形態によって限定されておらず、添付される特許請求の範囲内に入っている全ての修正、変形及び均等物を含むことに理解すべきである。
【0015】
本発明の下記の説明では、説明の便宜のために、蒸発器筐体の中心軸から延在する方向を「軸方向」といい、当該軸を中心とする半径方向を「径方向」といい、当該軸を中心とする円周方向を「周方向」という。分配器のケースの下表面から上表面に指向する方向を「上方向」といい、「上方向」と反対する方向を「下方向」いい、且つ、冷媒分配器及び蒸発器の各部材の「上方向」へ向かう一側を「上側」といい、上側と反対する一側を「下側」という。注意すべきなのは、上方向、下方向、上側及び下側についての定義は、説明の便宜のためのものであり、冷媒分配器及び当該蒸発器の使用時の向きを限定するものではないということである。
【0016】
<実施例1>
本発明の実施例は、冷媒分配器を提供し、
図1は、本発明の実施例に係る冷媒分配器の概略斜視図である。
【0017】
図1に示されたように、冷媒分配器4が、ケース42、冷媒入口41、液体出口46及び端板(
図1において未図示)を備える。
【0018】
図1に示されたように、冷媒入口41がケース42の上表面421に設けられている。液体出口46がケース42の下表面422に設けられ、当該液体出口46が下表面422にて均一に分布されてもよく、各液体出口46が下表面422を貫通して設けられて、ケース42内の液体を液体出口46から流出させ、これによって、熱交換管の表面に滴り落ちることができる。端板がケース42の長尺方向Lの両端に設けられて、ケース42の当該両端を密閉することで、ケース42内部が冷媒を収容する収容空間に形成されることができる。
【0019】
本実施例において、気液混合状態の冷媒は、冷媒入口41からケース42に入り、ケース42内において気態冷媒と液態冷媒とが分離され、液態冷媒が下表面422の液体出口46を通して流出し、これによって、冷媒を配分することができる。
【0020】
図2aは、ケース42の長尺方向に垂直な断面を示す図である。
図2aに示されたように、下表面422から上表面421に指向する高さH方向において、下表面421からの所定の高さH1範囲内にケース42の幅Dが徐々に大きくなる。ケース42の幅Dが徐々に大きくなるので、当該徐々に大きくなる幅により気態冷媒の流速を効果的に低下させ、気態冷媒と液態冷媒との分離に有利となっており、分配器内の圧力降下も低下させ、分配器内において液態冷媒が均一に配分されるのに有利となる。
【0021】
本実施例において、
図2aに示されたように、ケース42の断面形状は、例えば、八角形であり、当該八角形の断面形状によって、下記のような利点があり、つまり、八角形の形状の上下端部が狭く、中間が広く、二相冷媒がケース42内に入り、ケース内の空間が大きく、ケース内の中部において気態冷媒速度が効果的に低下し、重力作用で、液態冷媒がより容易に分離沈下され、ケースの底部には液面が形成され、気態冷媒が一部の液態冷媒を伴って上方へ動き、ケースの中間部位の断面が最も大いので、気態冷媒の流速を効果的に低下させて、冷媒の気液分離を実現した後に、重力の均一な配分を再度行い、圧力降下が低く、そのため、高冷却能力熱交換システム及び低圧冷媒熱交換システムに適されている。また、八角形の形状の内部空間が大きく、高さが高く、気態冷媒が流れる時の吸気による液体の持ち込みを効果的に防止し、ケース内の液態冷媒が高速流体の駆動で波動現象を発生することを防止することができる。
【0022】
また、八角形の形状の許容性が強く、且つ、8つの角がいずれも鈍角であり、加工が容易であり、多種の形状のプレ分配器が内蔵されることができ、プレ分配器の形状によって制限されず、八角形の形状の両側鉛直辺の高さは、ケース42内部の各部材の大きさ及び位置に応じて任意に設定されることができ、上下端部のサイズの大きさに影響しない。また、冷媒分配器4を流下液膜式蒸発器に設けた場合に、八角形の形状の底部が広いため、冷媒分配器4が、できるだけ多くの熱交換チューブバンドルを覆うことができ、冷媒が熱交換チューブバンドルに均一に配分されることに寄与する。
【0023】
本実施例において、
図2aに示された八角形の形状において、両側鉛直辺が長く、上端部のサイズが小さく、下端部のサイズが大きいので、当該例は、ケース42内部の部材が高い状況に適されている。本実施例の八角形の形状はこれに限らず、例えば、
図2bに示された八角形の形状において、両側鉛直辺が短く、上端部のサイズが大きく下端部のサイズが小さく、又は、八角形の形状の上端部のサイズ及び下端部のサイズが同じ大きさを有してもよい。
【0024】
また、本実施例はこれに限らず、ケース42の長尺方向Lに垂直な断面での形状は、他の直線セグメント及び/又は曲線セグメントからなる図形であってもよい。例えば、
図2c、
図2d、
図2e、
図2f、
図2gは、それぞれケース42の長尺方向に垂直な断面での異なる形状を示す図である。ここで、
図2cにおいて、当該断面の形状が六角形であり、
図2dにおいて、当該断面の形状が逆台形であり、
図2eにおいて、当該断面の形状が五角形であり、
図2fにおいて、当該断面の形状は、上下辺が直線セグメントであり、左右両側辺が曲線セグメントである形状である。
図2gにおいて、当該断面の形状は、下端が曲線セグメントであり、左右両側辺及び上端が直線セグメントである形状である。
【0025】
本実施例において、ケース42の下表面422が平面形状構造又は非平面形状であってもよい。ここで、非平面の形状は、例えば、アーク状、逆錐状、逆台形等である。
図3a、
図3b、
図3cは、それぞれ、ケース42の長尺方向Lに垂直な断面での異なる形状を示す図であり、
図3a~3cにおいて、異なる形状の下端301の形状は異なり、当該下端の形状は、下表面422の形状に対応する。ここで、
図3a、
図3b、
図3cは、それぞれ、ケース42の下表面422がアーク状、逆錐状、逆台形の状況に対応する。
【0026】
図4は、本発明の実施例に係る冷媒分配器の別の概略斜視図である。
図4と
図1との相違は、
図4の冷媒分配器4が、
図3の冷媒分配器4における全ての構造の他に、通気溝45及びワイヤーメッシュセパレーター47を備える。
【0027】
図4に示されたように、通気溝45は、ケース42の上表面421に設けられてもよい。ワイヤーメッシュセパレーター47が通気溝45の上方を覆ってもよく、且つ、ワイヤーメッシュセパレーター47の面積が通気溝45の面積以上である。これによって、ケース42内の気態冷媒が通気溝45及びワイヤーメッシュセパレーター47を通してケース42内から排出されることができる。また、ワイヤーメッシュセパレーター47は、通過する気態冷媒を再度濾過して、その中の液態冷媒を濾過することができる。
【0028】
なお、
図4の冷媒分配器4は、通気溝45を備えるため、ケース42の下表面が非平面の形状となることができず、平面の形状である。通気溝の存在によって、ケース42の内外の圧力が同じであり、液態冷媒は、重力作用を受けて、ケース42内に液面を自在に調節し、そのため、ケース42底面が平面の形状であると、ケース42の底部の液体出口から流出された流体の流速を均一にさせることを確保することができる。
【0029】
図4に示されたように、冷媒分配器4は、支持板44をさらに備えてもよい。支持板44がケース42内部に設けられて、ケース42の幅方向に延在してよく、支持板44が、下表面422及び下表面422に隣接する側面423と気密接続される。例えば、支持板44と、下表面422及び側面423との間は、完全溶接するように気密接続されてもよい。支持板44の数量が2つ又は複数であってもよく、配分ケース長尺方向に沿って均一に配置されてもよい。
【0030】
図5は、長さL方向から支持板44を見る時の図である。
図5に示されたように、支持板44の上部は、貫通孔441を有するように形成されている。ここで、支持板44の上部が、支持板44における高さが所定の値よりも大きい部分を言ってもよく、当該所定の値は、例えばの支持板44の高さの半分であってもよい。
【0031】
支持板44を備えるため、冷媒分配器4が傾斜して取り付けられた場合に、支持板44は、冷媒がケース42の下表面422に流すことを阻止することができ、これによって、液態冷媒の液面が傾斜しすぎることを回避して、下表面422の局所には液体枯渇しすぎる現象の発生を回避することができる。また、下表面422の液面が一定の高さを有する場合に、液態冷媒が支持板44における貫通孔441から流すことができ、液態冷媒の流動性を確保した。
【0032】
なお、
図4に示された支持板44は、
図1の冷媒分配器4に設けられてもよく、前述した支持板44についての説明は、支持板44を
図1の冷媒分配器4に設ける状況にも適用される。
【0033】
本実施例において、冷媒分配器4は、プレ分配器をさらに備えてもよい。以下、プレ分配器を
図4の冷媒分配器4に設けることを例として説明し、同一の説明は、同様的に、プレ分配器が
図1の冷媒分配器4に設けられた状況にも適用される。
【0034】
図6は、本発明の実施例に係る冷媒分配器の別の概略斜視図である。
図6に示されたように、冷媒分配器4は、プレ分配器3をさらに備えてもよい。プレ分配器3がケース42の内部に設けられて、支持板44の上端に支持されて、プレ分配器3の長尺方向がケース42の長尺方向Lと平行である。プレ分配器3が、冷媒が流入する入口31を有する。
【0035】
図7は、本発明の実施例に係るプレ分配器3の概略斜視図であり、
図8は、
図7の1つの側面図であり、
図9は、
図7の上面図である。
【0036】
図7に示されたように、プレ分配器3がケース状であってもよい。プレ分配器3は、配分ケース32、及び配分ケース32の上部を覆うカバープレート34を備えてもよい。冷媒が流入する入口31は、カバープレート34に設けられてもよく、例えば、入口31がカバープレート34の長尺方向に沿うサイズの中心位置に設けられてもよい。
【0037】
図7に示されたように、配分ケース32は、長尺方向の両側に位置する側壁321を備え、且つ、側壁321には、第1のプレ分配器開口33が形成されている。第1のプレ分配器開口33の数が複数であってもよい。
【0038】
図7に示されたように、第1のプレ分配器開口33と入口31との距離が所定の閾値よりも大きくてもよく、これによって、入口31の近傍に第1のプレ分配器開口33を形成することを回避することができる。入口31近傍の冷媒の流速が高いので、入口31の近傍を避けて第1のプレ分配器開口33を形成すると、液態冷媒が配分ケース32において均一に配分されることに寄与する。
【0039】
図7に示されたように、第1のプレ分配器開口33の形状は、円形であるが、本実施例はこれに限らず、第1のプレ分配器開口33が他の形状であってもよく、例えば、多角形、楕円形等であってもい。
【0040】
本実施例において、カバープレート34が配分ケース32と気密接続される。
図7に示されたように、カバープレート34の面積が配分ケース32底部の面積よりも大きい。また、カバープレート34の形状は、配分ケース32の底部の形状と同じであってもよく、異なってもよい。
【0041】
本実施例において、カバープレート34のエッジには、配分ケース32へ曲げた屈曲部341が形成されている。カバープレート34は、液態冷媒が第1のプレ分配器開口33から流出するときに上向きの気流によって影響されないことに寄与することができる。また、屈曲部341は、カバープレート34表面で收集された液態冷媒が流下することに寄与する。
【0042】
図7及び
図8に示されたように、高さ方向において、第1のプレ分配器開口33の少なくとも一部から配分ケース32の底部までの距離が配分ケース32の高さの半分よりも小さく、ゼロよりも大きい。つまり、第1のプレ分配器開口33の少なくとも一部が側壁321の下半部に設けられる。これによって、液態の冷媒が第1のプレ分配器開口33から流出することに寄与する。また、第1のプレ分配器開口33の位置は、このように設定されることに限らない。
【0043】
本実施例において、冷媒分配器4のケース42の断面形状が八角形である場合に、高さ方向において、第1のプレ分配器開口33の少なくとも一部は、当該八角形の形状の両側鉛直辺の高さ範囲内に位置してもよく、これによって、プレ分配器が長尺方向の両側壁における貫通孔から噴出した気液混合状態の冷媒がケース42の内側壁と衝突し、ケース42内には、上下という2つの渦流が形成されて、液滴が気流から脱落することを促進し、重力作用でケース42底部に落ち戻し、冷媒に対して気液分離を十分に行うことに寄与する。
【0044】
本実施例において、
図8に示されたように、入口31に近づくほど、第1のプレ分配器開口33のサイズが大きく、及び/又は分布密度が大きく、これによって、各第1のプレ分配器開口33において液態冷媒の流速を均一にすることができる。
【0045】
本実施例において、
図8に示されたように、長尺方向Lにおいて、第1のプレ分配器開口33の分布が入口31に対して対称しておらず、つまり、
図8において、入口31の左右両側の複数の第1のプレ分配器開口33が非対称に分布されている。例えば、長尺方向Lにおいて入口31を中心として、入口31の一側(例えば、左側)及び他側(例えば、右側)の第1のプレ分配器開口33が入口31に対してスタッガード分布されることができる。
【0046】
本実施例において、
図9に示されたように、配分ケース32のカバープレート34と平行な断面での形状が八角形である。
【0047】
【0048】
図10及び
図12に示されたように、プレ分配器3の配分ケース32の、カバープレート34と平行な断面での形状が四角形である。また、本実施例は、これに限らず、プレ分配器3の配分ケース32の、カバープレート34と平行な断面での形状が、他の直線セグメントからなる図形であってもよい。
【0049】
図10及び
図11に示されたように、プレ分配器3の第1のプレ分配器開口33の形状が長尺状である。
【0050】
本実施例の一変形実施形態において、プレ分配器が筒状であってもよい。
【0051】
図13は、本発明の実施例に係るプレ分配器の別の概略斜視図であり、
図14は、
図13の1つの側面図である。
【0052】
図13に示されたように、プレ分配器3aが配分管32aを備える。入口31が配分管32aの管壁321aの頂部に設けられてもよい。管壁321aには、第2のプレ分配器開口33aが形成されてもよい。
【0053】
高さ方向において、第2のプレ分配器開口33aの少なくとも一部から配分管32aの底部までの距離が配分管32aの高さの半分よりも小さくて、ゼロよりも大きい。つまり、第2のプレ分配器開口33aの少なくとも一部が側壁管壁321aの下半部に設けられる。これによって、液態の冷媒が第2のプレ分配器開口33aから流出することに寄与する。また、第2のプレ分配器開口33aの位置は、このように設定されることに限らない。
【0054】
図13及び
図14に示されたように、第2のプレ分配器開口33aの形状が円状であり、本実施例はこれに限らず、第2のプレ分配器開口33aが他の形状、例えば、多角形、楕円形等であってもよい。
【0055】
本実施例において、入口31に近づくほど、第2のプレ分配器開口33aのサイズが大きく、及び/又は分布密度が大きく、これによって、各第2のプレ分配器開口33aにおいて液態冷媒の流速を均一にすることができる。
【0056】
本実施例において、長尺方向Lにおいて、第2のプレ分配器開口33aの分布は、入口31に対して非対称であってもよく、つまり、
図14における入口31の左右両側の複数の第2のプレ分配器開口33aが非対称に分布されてもよい。例えば、長尺方向Lにおいて、入口31を中心として、入口31の一側(例えば、左側)及び他側(例えば、右側)の第2のプレ分配器開口33aが入口31に対してスタッガード分布されることができる。
【0057】
図15は、本発明の実施例に係るプレ分配器3aの別の概略斜視図であり、
図16は、
図15の1つの側面図である。
【0058】
図15と
図13との相違は、
図15のプレ分配器3aが第2のカバープレート34aをさらに備える点にある。第2のカバープレート34aが配分管32aの上部に設けられており、第2のカバープレート34aの面積が配分管32aの長尺方向Lと平行な断面の面積よりも大きい。第2のカバープレート34aは、液態冷媒が第2のプレ分配器開口33aから流出するときに上向きの気流によって影響されないことに寄与することができる。
【0059】
また、第2のカバープレート34aは、高さ方向に対して傾斜した屈曲構造を有してもよく、当該屈曲構造は、第2のカバープレート34aの表面で收集された液態冷媒が流下することに寄与する。
【0060】
また、
図15及び
図16のプレ分配器3aにおける第2のプレ分配器開口33aについての説明は、
図13及び
図14の関連説明を参照することができる。
【0061】
また、
図13、
図14、
図15、
図16において、第2のプレ分配器開口33aと入口31との距離が所定の閾値よりも大きくてもよく、これによって、入口31の近傍に第2のプレ分配器開口33aが形成されることを回避することができる。
【0062】
本実施例によれば、冷媒分配器4のケース42ではプレ分配器3を備えない場合に、気液混合状態の冷媒が冷媒入口41を通してケース42に入り、ケース42の幅が徐々に大きくなるので、気態冷媒の流速を効果的に低下させ、気態冷媒と液態冷媒との分離に有利となっており、分配器内の圧力降下も低下させ、分配器内において液態冷媒が均一に配分されるのに有利となる。ケース42内の液態冷媒がケース42の下表面422の液体出口46から流出する。
【0063】
冷媒分配器4のケース42にプレ分配器3を備える場合に、気液混合状態の冷媒は、冷媒入口41からケース42の上表面421を通過してプレ分配器3(又は3a)の入口31に繋がる給液管を通して、プレ分配器3(又は3a)内部に入る。混合した冷媒がプレ分配器3(又は3a)内に長尺方向に沿って配分され、長尺方向に初期に均一に配分された混合状態の冷媒は、第1のプレ分配器開口33(又は第2のプレ分配器開口33a)からプレ分配器3又は(3a)の外に流出して、ケース42に入る。ケース42内の冷媒が気液分離され、ケース42の幅が徐々に大きくなるので、気態冷媒の流速を効果的に低下させ、気態冷媒と液態冷媒との分離に有利となっており、分配器内の圧力降下も低下させ、分配器内において液態冷媒が均一に配分されるのに有利となる。また、プレ分配器3が長尺方向の両側壁における貫通孔33aから噴出した気液混合状態の冷媒がケース内側壁と衝突してルテックス・フローを形成し、液滴が気流から脱落することを促進し、重力作用でケース底部に落ち戻す。ケース42内の液態冷媒がケース42下表面422の液体出口46から流出する。
【0064】
図17は、本実施例に係るケース42における冷媒のフローフィールド分布を示す図である。
図17に示されたように、冷媒分配器4のケース42の断面形状が八角形(例えば、
図2aに示された八角形)である場合に、高さH方向において、第1のプレ分配器開口33又は第2のプレ分配器開口33aの少なくとも一部は、当該八角形の形状の両側鉛直辺171、172の高さ範囲内にある。
【0065】
図17に示されたように、高速な気液混合状態の冷媒がプレ分配器3又は3aの第1のプレ分配器開口33又は第2のプレ分配器開口33aから流出する時に、八角形の形状の両側鉛直壁171、172と衝突し、上下側の斜面によって案内されて上下という2つの渦流17a及び17bを形成する。気液混合状態の冷媒によって形成された渦流17a及び17bにおいて、気態冷媒の動き方向は急激に変化し、液態冷媒の液滴質量が大きく、慣性が大きく、重力作用が大きく、そのため、気態冷媒から容易に脱落して両側鉛直辺171、172に沿ってケース42の底部に流れ、これによって、冷媒気液分離の効果を向上した。
【0066】
また、上下という2つの渦流17a及び17bの存在によって、気液混合状態の冷媒がケース42内に留まる時間がより長くなり、高速な気流に伴った冷媒液滴が慣性及び重力作用でケース底部に落ち戻しやすく、ケース42上部の通気溝から流出しにくく、そのため、吸気による液体の持ち込みというリスクを低下させた。
【0067】
<実施例2>
本発明の実施例2は、実施例1に記載の冷媒分配器を含む蒸発器を提供する。
【0068】
図18は、本発明の実施例2に係る蒸発器の概略斜視図であり、
図19は、
図18の長尺方向に垂直な断面図であり、当該蒸発器は、例えば流下液膜式蒸発器である。
【0069】
図18及び
図19に示されたように、蒸発器10は、冷媒分配器4、蒸発器筐体1、給液管2、吸気口9及び熱交換チューブバンドル5を備える。
【0070】
図18及び
図19に示されたように、給液管2は、蒸発器筐体1を通して冷媒入口41に接続され、例えば、給液管2が蒸発器筐体1を通して冷媒分配器4に入り、冷媒分配器4におけるプレ分配器3の入口31と接続され、冷媒をプレ分配器3に注入し、又は、プレ分配器3を備えない場合に、給液管2が蒸発器筐体1を通過して冷媒分配器4に入り、冷媒を冷媒分配器4のケース42に注入する。
【0071】
図18及び
図19に示されたように、冷媒分配器4が熱交換チューブバンドル5上方に位置し、冷媒分配器4から流出された液態冷媒が熱交換チューブバンドル5に流れ、熱交換チューブバンドルと熱交換を行う。
【0072】
図18及び
図19に示されたように、吸気口9が蒸発器筐体1の頂部に設けられて、蒸発器筐体1内の気態冷媒が吸気口9から排出される。当該吸気口9は、例えば圧縮機の吸込み口に接続されてもよい。
【0073】
図18及び
図19に示されたように、蒸発器10は、熱交換チューブバンドル支持板6、サイドフェンス7及びミストキャッチャー8を備える。
【0074】
本実施例において、熱交換チューブバンドル支持板6が冷媒分配器4の下方に位置して、熱交換チューブバンドル5を支持してもよく、例えば、熱交換チューブバンドル5が熱交換チューブバンドル支持板6を通過する。サイドフェンス7が冷媒分配器4の下方に位置し、熱交換チューブバンドル5の両側に位置してもよい。ミストキャッチャー8は、幅方向においてサイドフェンス7と蒸発器筐体1との間に位置しており、高さ方向において熱交換チューブバンドル支持板6によって支持されて、ミストキャッチャー8は、例えば、ワイヤーメッシュセパレーターであってもよい。
【0075】
本実施例において、
図18及び
図19に示されたように、気液混合状態の冷媒が給液管2を通して冷媒分配器4に入り、気液混合状態の冷媒が冷媒分配器4において気液分離され、気態冷媒は、分離された後に冷媒分配器4のケース42の頂部の通気溝45及びワイヤーメッシュセパレーター47から流出し、液態冷媒は、重力作用でケース42の下表面422に落ちて(
図18、
図19において未図示)、液体出口46(
図18、
図19において未図示)から均一に配分された後に、熱交換チューブバンドル5に流出して熱交換を行う。熱交換蒸発による気態冷媒は一部の液滴を伴って、サイドフェンス7と蒸発器筐体1との間の通路を流れて、熱交換チューブバンドル支持板6に設けられ且つサイドフェンス7と蒸発器筐体1との間に位置するミストキャッチャー8と相互作用し、気態冷媒に伴った液態冷媒が濾過され、最終的には、蒸発器内の熱交換による気態冷媒と、分配器4の通気溝45及びワイヤーメッシュセパレーター47から流出された気態冷媒とは、圧縮機の吸気作用で蒸発器の吸気口9から流出する。
【0076】
図19において、蒸発器内の熱交換による気態冷媒は、点線矢印Aとして示され、分配器4の通気溝45及びワイヤーメッシュセパレーター47から流出された気態冷媒は、点線矢印A2として示される。
図19に示されたように、点線矢印A1及び点線矢印A2が示す気態冷媒の気体流路が互いに干渉しなく、気体の排出によって、気液分離効果を向上した。
【0077】
本実施例において、本発明の冷媒分配器を採用したので、液態冷媒が熱交換チューブバンドルにより均一に配分されることができ、そのため、当該蒸発器の熱交換効率が向上された。
【0078】
本実施例に係る蒸発器は、熱交換システムに適用されることができ、また、本実施例に係る蒸発器を採用したので、当該熱交換システムの熱交換効率が向上され、蒸発器の吸気による液体の持ち込みというリスクを効果的に制御することができ、熱交換システムでの低圧冷媒の利用に寄与する。
【0079】
以上、具体的な実施の形態を組み合わせて本発明を説明した。ただし、当業者が理解すべきことは、それらの記載はいずれも例示するものに過ぎず、本発明の保護範囲に対する限定ではない。当業者は本発明の精神及び原理に基づいて、本発明に対して種々変形や修正を行うことができるが、それらの変形と修正も本発明の範囲内にある。
【手続補正書】
【提出日】2021-05-31
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケース(42)と
前記ケース(42)の上表面(421)に設けられた冷媒入口(41)と、
前記ケース(42)の下表面(422)に均一に設けられた液体出口(46)と、
前記ケース(42)の長尺方向の両端に設けられて、前記両端から前記ケース(42)を密閉する端板と、
前記ケース(42)の内部に設けられ、
その頂部が前記上表面(421)の下方に位置しており、長尺方向が前記ケース(42)の長尺方向と平行であり、冷媒が
その内部の流動空間に流入する入口(31)を有するプレ分配器(3)と、を備える冷媒分配器であって、
前記ケース(42)の前記下表面(422)から前記上表面(421)に向かう高さ方向において、前記下表面(422)からの所定の高さ範囲内に、前記ケース(42)の幅が徐々に大きくなる、ことを特徴とする冷媒分配器。
【請求項2】
前記ケース(42)の上表面(421)に設けられる通気溝(45)と、
前記通気溝(45)の上方を覆い、面積が前記通気溝(45)の面積以上であるワイヤーメッシュセパレーター(47)と、をさらに備える、
ことを特徴とする請求項1に記載の冷媒分配器。
【請求項3】
前記ケース(42)の前記長尺方向に垂直な断面での形状は、八角形である、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の冷媒分配器。
【請求項4】
少なくとも2つの支持板(44)をさらに備え、前記支持板(44)は、前記ケース(42)の内部に設けられ、前記ケース(42)の幅方向に沿って延在し、前記下表面(422)及び前記下表面に隣接する側面(423)と気密接続し、
前記プレ分配器(3)は前記支持板(44)の上端に支持される、
ことを特徴とする請求項1に記載の冷媒分配器。
【請求項5】
前記支持板(44)の上部には貫通孔(441)を有する、
ことを特徴とする請求項4に記載の冷媒分配器。
【請求項6】
前記プレ分配器(3)は、配分ケース(32)と、前記配分ケース(32)の上部を覆うカバープレート(34)とを、備え、
前記入口(31)が前記カバープレート(34)に設けられており、
前記配分ケース(32)が、長尺方向両側に位置する側壁(321)を備え、
前記側壁(321)には、第1のプレ分配器開口(33)が形成されており、前記第1のプレ分配器開口(33)と前記入口(31)との距離が所定の閾値よりも大きく、
且つ、高さ方向において、前記第1のプレ分配器開口(33)の少なくとも一部から前記配分ケース(32)の底部までの距離が、前記配分ケース(32)の高さの半分よりも小さく、且つ、ゼロよりも大きい、
ことを特徴とする請求項1に記載の冷媒分配器。
【請求項7】
前記カバープレート(34)の面積が前記配分ケース(32)底部の面積よりも大きく、且つ、前記カバープレート(34)のエッジには前記配分ケース(32)へ曲がる屈曲部(341)が形成されている、
ことを特徴とする請求項6に記載の冷媒分配器。
【請求項8】
前記配分ケース(32)は、前記カバープレート(34)と平行な断面での形状が八角形、四角形又は他の直線セグメントからなる図形である、
ことを特徴とする請求項6に記載の冷媒分配器。
【請求項9】
前記入口(31)に近づくほど、前記第1のプレ分配器開口(33)のサイズが大きく、及び/又は分布密度が大きい、
ことを特徴とする請求項6に記載の冷媒分配器。
【請求項10】
前記長尺方向において、前記第1のプレ分配器開口(33)の分布は、前記入口(31)に対して対称でない、
ことを特徴とする請求項6に記載の冷媒分配器。
【請求項11】
前記長尺方向において、前記入口(31)を中心として、前記入口(31)の一側及び他側の前記第1のプレ分配器開口(33)は、前記入口(31)に対してスタッガード分布される、
ことを特徴とする請求項10に記載の冷媒分配器。
【請求項12】
前記プレ分配器(3a)は、配分管(32a)を備え、前記入口(31)が前記配分管(32a)の管壁(321a)の頂部に設けられており、
前記管壁(321a)には、第2のプレ分配器開口(33a)が形成されており、
高さ方向において、前記第2のプレ分配器開口(33a)の少なくとも一部から前記配分管(32a)の底部までの距離が前記配分管(32a)高さの半分よりも小さく、且つ、ゼロよりも大きい、
ことを特徴とする請求項1に記載の冷媒分配器。
【請求項13】
前記プレ分配器(3a)は、前記配分管(32a)の上部に設けられる第2のカバープレート(34a)をさらに備え、
前記第2のカバープレート(34a)の面積が前記配分管(32a)の前記長尺方向と平行な断面の面積よりも大きい、
ことを特徴とする請求項12に記載の冷媒分配器。
【請求項14】
前記入口(31)に近づくほど、前記第2のプレ分配器開口(33a)のサイズが大きく、及び/又は分布密度が大きい、
ことを特徴とする請求項12に記載の冷媒分配器。
【請求項15】
前記長尺方向において、前記第2のプレ分配器開口(33a)の分布は、前記入口(31)に対して対称でない、
ことを特徴とする請求項12に記載の冷媒分配器。
【請求項16】
前記長尺方向において、前記入口(31)を中心として、前記入口(31)の一側及び他側の前記第2のプレ分配器開口(33a)は、前記入口(31)に対してスタッガード分布される、
ことを特徴とする請求項15に記載の冷媒分配器。
【請求項17】
蒸発器(10)であって
請求項1から16のうちのいずれか一項に記載の冷媒分配器を備え、
蒸発器筐体(1)、給液管(2)、吸気口(9)及び熱交換チューブバンドル(5)をさらに備え、
前記冷媒分配器(4)が前記熱交換チューブバンドル(5)の上方に位置し、
前記給液管(2)が前記蒸発器筐体(1)を通して前記冷媒入口(41)に接続されており、
前記吸気口(9)が前記蒸発器筐体(1)の頂部に設けられている
ことを特徴とする蒸発器。
【請求項18】
前記冷媒分配器(4)の下方に位置し、前記熱交換チューブバンドル(5)を支持する熱交換チューブバンドル支持板(6)と、
前記冷媒分配器(4)の下方に位置し、前記熱交換チューブバンドル(5)の両側に位置するサイドフェンス(7)と、
前記サイドフェンス(7)と前記蒸発器筐体(1)との間に位置し、前記熱交換チューブバンドル支持板(6)によって支持されるミストキャッチャー(8)と、をさらに備える、ことを特徴とする請求項17に記載の蒸発器。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空調設備の技術分野に関し、特に、冷媒分配器及びそれを備えた蒸発器に関する。
【背景技術】
【0002】
冷却システムは、主に圧縮機、蒸発器、凝縮器及び絞り装置からなり、主流な蒸発器構造としては、満液式蒸発器及び流下液膜式蒸発器という2種類がある。省エネと環境保護への需要が益々大きくなることに伴って、チラーユニットの研究は、高性能、低冷媒充填量へ進んでおり、満液式蒸発器は、高性能を満たす前提でユニットの冷媒充填量を効果的に制御することができない。流下液膜式蒸発器は、セントラル空調冷却ユニットに広く適用されており、このような熱交換器は、冷媒充填量が少なく、構造がコンパクトであり、熱伝達効率が高く、熱交換が安定である等の利点を有する。
【0003】
流下液膜式蒸発器において、冷媒分配器は、キーとなる部材である。冷媒を蒸発チューブバンドルに配分するために、一般的には、冷媒分配器の内外には十分な圧力差を有することが求められ、例えば、R134a等の中高圧冷媒を採用する冷却システムにおいて、分配器の圧力降下が60kpa以上に達しなければ、冷媒が熱交換チューブバンドルに均一に落ちることができない。
【0004】
ただし、現状で、国内外のより高い性能と環境保護の要求に対応するために、R123、R1233zd(e)のような低圧冷媒がますます空調分野に適用されていく。
【0005】
一般的な作動状況において、蒸発温度が6℃であり、凝縮温度が37℃未満であり、低圧冷媒であるR1233zd(e)の凝縮器と蒸発器との圧力差は、伝統的な冷媒であるR134aの凝縮器と蒸発器との圧力差の23.1%に過ぎない。
【0006】
ここで注意すべきなのは、以上の技術背景に対する紹介は、本発明の技術案に対してより明瞭かつ完全な説明を行うことに利便を図りながら、当業者が理解しやすいように供するものに過ぎない。それらの方案が本発明の背景技術の部分に記載されていることだけで、上記の技術方案が当業者により公知されたものであると認定してはならない。
【発明の概要】
【0007】
本発明の発明者は、圧力差が小さいため、低圧冷媒は位相変化が発生しやすく、そのため、低圧冷媒を用いる熱交換システムにおいて、流下液膜式蒸発器において冷媒分配器の気液分離及び配分均一性等についての要求も大きく変化してしまったことに注意している。例えば、熱交換システムの絞り装置によってスロットリングされた冷媒は、10%~20% の乾き度を有し、つまり、蒸発器の給液管に入った冷媒が、気液二相であり、特に、低圧冷媒に関し、その気態冷媒の体積分率が、入口の気液二相冷媒の80%ごろに占め、気態冷媒の存在によって分配器内の圧力降下が高すぎて、流下液膜式蒸発器での冷媒の均一な配分に大きく影響しており、これによって、冷媒の熱交換効果に影響してしまう。
【0008】
本発明は、冷媒分配器及びそれを備えた蒸発器を提供し、当該冷媒分配器のケースの幅がケース底部からの所定の高さ範囲内に徐々に大きくなり、これによって、徐々に大きくなった幅により、気液混合状態の冷媒の流速を効果的に低下させ、気態冷媒と液態冷媒との分離に有利となっており、分配器内の圧力降下も低下させ、分配器内において液態冷媒が均一に配分されるのに有利となる。
【0009】
本発明の実施例の一態様によれば、ケース(42)と、前記ケース(42)の上表面(421)に設けられた冷媒入口(41)と、前記ケース(42)の下表面(422)に設けられた液体出口(46)と、前記ケース(42)の長尺方向の両端に設けられて、前記両端から前記ケース(42)を密閉する端板と、を備える冷媒分配器であって、前記ケース(41)の前記下表面(422)から前記上表面(421)に指向する高さ方向において、前記下表面(422)からの所定の高さ範囲内に、前記ケース(42)の幅が徐々に大きくなる冷媒分配器を提供する。前記冷媒分配器は、プレ分配器(3)をさらに備え、前記プレ分配器(3)は、前記ケース(42)の内部に設けられて、前記プレ分配器(3)の長尺方向が前記ケース(42)の長尺方向と平行であり、前記プレ分配器(3)は冷媒が流入する入口(31)を有する。
【0010】
本発明の実施例による有益な効果の一つとして、当該冷媒分配器のケースの幅がケース底部からの所定の高さ範囲内に徐々に大きくなり、これによって、徐々に大きくなった幅により、気態冷媒の流速を効果的に低下させ、気態冷媒と液態冷媒との分離に有利となっており、分配器内の圧力降下も低下させ、分配器内において液態冷媒が均一に配分されるのに有利となり、且つ、当該冷媒分配器ケースにはプレ分配器が内蔵され、プレ分配器が長尺方向の両側壁の貫通孔から噴出した気液混合状態の冷媒がケース内側壁に衝突して渦流を形成し、液滴が気流から脱落することを促進して、重力作用でケース底部に落ち戻すことにある。
【0011】
後述する説明や添付図面を参照して、本発明の特定の実施の形態は詳しく開示されて、本発明の原理が採用されることができる方式を明記する。理解すべきことは、本発明の実施形態は、範囲上にそれらに限定されていない。添付される請求項の主旨や条件の範囲内において、本発明の実施形態は多くの変更、修正及び均等物を含む。
【0012】
添付図面は本発明の実施例をさらに理解するために供されるもので、明細書の一部を構成し、本発明の実施形態を例示するとともに、文字記載と合わせて本発明の原理を説明するものである。後述する添付図面はただ本発明の幾つかの実施例に過ぎず、当業者にとって、創意工夫を要しないことを前提として、それらの添付図面に基づいて、他の添付図面を取得することができるのは、自明である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、本発明の実施例に係る冷媒分配器の概略斜視図である。
【
図2a】
図2aは、ケース42の長尺方向Lに垂直な断面を示す図である。
【
図3a-3c】
図3a,
図3b,
図3cは、それぞれケース42の長尺方向に垂直な断面の異なる形状を示す図である。
【
図4】
図4は、本発明の実施例に係る冷媒分配器の別の概略斜視図である。
【
図5】
図5は、長さL方向から支持板44を見る時の概略図である。
【
図6】
図6は、本発明の実施例に係る冷媒分配器の別の概略斜視図である。
【
図7】
図7は、本発明の実施例に係るプレ分配器3の概略斜視図である。
【
図10】
図10は、本発明の実施例に係るプレ分配器3の別の概略斜視図である。
【
図13】
図13は、本発明の実施例に係るプレ分配器の別の概略斜視図である。
【
図15】
図15は、本発明の実施例に係るプレ分配器3aの別の概略斜視図である。
【
図17】
図17は、本実施例のケース42における冷媒のフローフィールド分布を示す図である。
【
図18】
図18は、本発明の実施例2に係る蒸発器の概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図面を参照して、以下の明細書によれば、本発明の上記の特徴及びその他の特徴がより明瞭になるであろう。明細書及び添付図面において、本発明の特定の実施形態は具体的に開示され、本発明の原理を利用可能な実施形態の一部が示されるが、ただし、本発明は、記述される実施形態によって限定されておらず、添付される特許請求の範囲内に入っている全ての修正、変形及び均等物を含むことに理解すべきである。
【0015】
本発明の下記の説明では、説明の便宜のために、蒸発器筐体の中心軸から延在する方向を「軸方向」といい、当該軸を中心とする半径方向を「径方向」といい、当該軸を中心とする円周方向を「周方向」という。分配器のケースの下表面から上表面に指向する方向を「上方向」といい、「上方向」と反対する方向を「下方向」いい、且つ、冷媒分配器及び蒸発器の各部材の「上方向」へ向かう一側を「上側」といい、上側と反対する一側を「下側」という。注意すべきなのは、上方向、下方向、上側及び下側についての定義は、説明の便宜のためのものであり、冷媒分配器及び当該蒸発器の使用時の向きを限定するものではないということである。
【0016】
<実施例1>
本発明の実施例は、冷媒分配器を提供し、
図1は、本発明の実施例に係る冷媒分配器の概略斜視図である。
【0017】
図1に示されたように、冷媒分配器4が、ケース42、冷媒入口41、液体出口46及び端板(
図1において未図示)を備える。
【0018】
図1に示されたように、冷媒入口41がケース42の上表面421に設けられている。液体出口46がケース42の下表面422に設けられ、当該液体出口46が下表面422にて均一に分布されてもよく、各液体出口46が下表面422を貫通して設けられて、ケース42内の液体を液体出口46から流出させ、これによって、熱交換管の表面に滴り落ちることができる。端板がケース42の長尺方向Lの両端に設けられて、ケース42の当該両端を密閉することで、ケース42内部が冷媒を収容する収容空間に形成されることができる。
【0019】
本実施例において、気液混合状態の冷媒は、冷媒入口41からケース42に入り、ケース42内において気態冷媒と液態冷媒とが分離され、液態冷媒が下表面422の液体出口46を通して流出し、これによって、冷媒を配分することができる。
【0020】
図2aは、ケース42の長尺方向に垂直な断面を示す図である。
図2aに示されたように、下表面422から上表面421に指向する高さH方向において、下表面421からの所定の高さH1範囲内にケース42の幅Dが徐々に大きくなる。ケース42の幅Dが徐々に大きくなるので、当該徐々に大きくなる幅により気態冷媒の流速を効果的に低下させ、気態冷媒と液態冷媒との分離に有利となっており、分配器内の圧力降下も低下させ、分配器内において液態冷媒が均一に配分されるのに有利となる。
【0021】
本実施例において、
図2aに示されたように、ケース42の断面形状は、例えば、八角形であり、当該八角形の断面形状によって、下記のような利点があり、つまり、八角形の形状の上下端部が狭く、中間が広く、二相冷媒がケース42内に入り、ケース内の空間が大きく、ケース内の中部において気態冷媒速度が効果的に低下し、重力作用で、液態冷媒がより容易に分離沈下され、ケースの底部には液面が形成され、気態冷媒が一部の液態冷媒を伴って上方へ動き、ケースの中間部位の断面が最も大いので、気態冷媒の流速を効果的に低下させて、冷媒の気液分離を実現した後に、重力の均一な配分を再度行い、圧力降下が低く、そのため、高冷却能力熱交換システム及び低圧冷媒熱交換システムに適されている。また、八角形の形状の内部空間が大きく、高さが高く、気態冷媒が流れる時の吸気による液体の持ち込みを効果的に防止し、ケース内の液態冷媒が高速流体の駆動で波動現象を発生することを防止することができる。
【0022】
また、八角形の形状の許容性が強く、且つ、8つの角がいずれも鈍角であり、加工が容易であり、多種の形状のプレ分配器が内蔵されることができ、プレ分配器の形状によって制限されず、八角形の形状の両側鉛直辺の高さは、ケース42内部の各部材の大きさ及び位置に応じて任意に設定されることができ、上下端部のサイズの大きさに影響しない。また、冷媒分配器4を流下液膜式蒸発器に設けた場合に、八角形の形状の底部が広いため、冷媒分配器4が、できるだけ多くの熱交換チューブバンドルを覆うことができ、冷媒が熱交換チューブバンドルに均一に配分されることに寄与する。
【0023】
本実施例において、
図2aに示された八角形の形状において、両側鉛直辺が長く、上端部のサイズが小さく、下端部のサイズが大きいので、当該例は、ケース42内部の部材が高い状況に適されている。本実施例の八角形の形状はこれに限らず、例えば、
図2bに示された八角形の形状において、両側鉛直辺が短く、上端部のサイズが大きく下端部のサイズが小さく、又は、八角形の形状の上端部のサイズ及び下端部のサイズが同じ大きさを有してもよい。
【0024】
また、本実施例はこれに限らず、ケース42の長尺方向Lに垂直な断面での形状は、他の直線セグメント及び/又は曲線セグメントからなる図形であってもよい。例えば、
図2c、
図2d、
図2e、
図2f、
図2gは、それぞれケース42の長尺方向に垂直な断面での異なる形状を示す図である。ここで、
図2cにおいて、当該断面の形状が六角形であり、
図2dにおいて、当該断面の形状が逆台形であり、
図2eにおいて、当該断面の形状が五角形であり、
図2fにおいて、当該断面の形状は、上下辺が直線セグメントであり、左右両側辺が曲線セグメントである形状である。
図2gにおいて、当該断面の形状は、下端が曲線セグメントであり、左右両側辺及び上端が直線セグメントである形状である。
【0025】
本実施例において、ケース42の下表面422が平面形状構造又は非平面形状であってもよい。ここで、非平面の形状は、例えば、アーク状、逆錐状、逆台形等である。
図3a、
図3b、
図3cは、それぞれ、ケース42の長尺方向Lに垂直な断面での異なる形状を示す図であり、
図3a~3cにおいて、異なる形状の下端301の形状は異なり、当該下端の形状は、下表面422の形状に対応する。ここで、
図3a、
図3b、
図3cは、それぞれ、ケース42の下表面422がアーク状、逆錐状、逆台形の状況に対応する。
【0026】
図4は、本発明の実施例に係る冷媒分配器の別の概略斜視図である。
図4と
図1との相違は、
図4の冷媒分配器4が、
図3の冷媒分配器4における全ての構造の他に、通気溝45及びワイヤーメッシュセパレーター47を備える。
【0027】
図4に示されたように、通気溝45は、ケース42の上表面421に設けられてもよい。ワイヤーメッシュセパレーター47が通気溝45の上方を覆ってもよく、且つ、ワイヤーメッシュセパレーター47の面積が通気溝45の面積以上である。これによって、ケース42内の気態冷媒が通気溝45及びワイヤーメッシュセパレーター47を通してケース42内から排出されることができる。また、ワイヤーメッシュセパレーター47は、通過する気態冷媒を再度濾過して、その中の液態冷媒を濾過することができる。
【0028】
なお、
図4の冷媒分配器4は、通気溝45を備えるため、ケース42の
上表面が非平面の形状となることができず、平面の形状である。通気溝の存在によって、ケース42の内外の圧力が同じであり、液態冷媒は、重力作用を受けて、ケース42内に液面を自在に調節し、そのため、ケース42底面が平面の形状であると、ケース42の底部の液体出口から流出された流体の流速を均一にさせることを確保することができる。
【0029】
図4に示されたように、冷媒分配器4は、支持板44をさらに備えてもよい。支持板44がケース42内部に設けられて、ケース42の幅方向に延在してよく、支持板44が、下表面422及び下表面422に隣接する側面423と気密接続される。例えば、支持板44と、下表面422及び側面423との間は、完全溶接するように気密接続されてもよい。支持板44の数量が2つ又は複数であってもよく、配分ケース長尺方向に沿って均一に配置されてもよい。
【0030】
図5は、長さL方向から支持板44を見る時の図である。
図5に示されたように、支持板44の上部は、貫通孔441を有するように形成されている。ここで、支持板44の上部が、支持板44における高さが所定の値よりも大きい部分を言ってもよく、当該所定の値は、例えばの支持板44の高さの半分であってもよい。
【0031】
支持板44を備えるため、冷媒分配器4が傾斜して取り付けられた場合に、支持板44は、冷媒がケース42の下表面422に流すことを阻止することができ、これによって、液態冷媒の液面が傾斜しすぎることを回避して、下表面422の局所には液体枯渇しすぎる現象の発生を回避することができる。また、下表面422の液面が一定の高さを有する場合に、液態冷媒が支持板44における貫通孔441から流すことができ、液態冷媒の流動性を確保した。
【0032】
なお、
図4に示された支持板44は、
図1の冷媒分配器4に設けられてもよく、前述した支持板44についての説明は、支持板44を
図1の冷媒分配器4に設ける状況にも適用される。
【0033】
本実施例において、冷媒分配器4は、プレ分配器をさらに備えてもよい。以下、プレ分配器を
図4の冷媒分配器4に設けることを例として説明し、同一の説明は、同様的に、プレ分配器が
図1の冷媒分配器4に設けられた状況にも適用される。
【0034】
図6は、本発明の実施例に係る冷媒分配器の別の概略斜視図である。
図6に示されたように、冷媒分配器4は、プレ分配器3をさらに備えてもよい。プレ分配器3がケース42の内部に設けられて、支持板44の上端に支持されて、プレ分配器3の長尺方向がケース42の長尺方向Lと平行である。プレ分配器3が、冷媒が流入する入口31を有する。
【0035】
図7は、本発明の実施例に係るプレ分配器3の概略斜視図であり、
図8は、
図7の1つの側面図であり、
図9は、
図7の上面図である。
【0036】
図7に示されたように、プレ分配器3がケース状であってもよい。プレ分配器3は、配分ケース32、及び配分ケース32の上部を覆うカバープレート34を備えてもよい。冷媒が流入する入口31は、カバープレート34に設けられてもよく、例えば、入口31がカバープレート34の長尺方向に沿うサイズの中心位置に設けられてもよい。
【0037】
図7に示されたように、配分ケース32は、長尺方向の両側に位置する側壁321を備え、且つ、側壁321には、第1のプレ分配器開口33が形成されている。第1のプレ分配器開口33の数が複数であってもよい。
【0038】
図7に示されたように、第1のプレ分配器開口33と入口31との距離が所定の閾値よりも大きくてもよく、これによって、入口31の近傍に第1のプレ分配器開口33を形成することを回避することができる。入口31近傍の冷媒の流速が高いので、入口31の近傍を避けて第1のプレ分配器開口33を形成すると、液態冷媒が配分ケース32において均一に配分されることに寄与する。
【0039】
図7に示されたように、第1のプレ分配器開口33の形状は、円形であるが、本実施例はこれに限らず、第1のプレ分配器開口33が他の形状であってもよく、例えば、多角形、楕円形等であってもい。
【0040】
本実施例において、カバープレート34が配分ケース32と気密接続される。
図7に示されたように、カバープレート34の面積が配分ケース32底部の面積よりも大きい。また、カバープレート34の形状は、配分ケース32の底部の形状と同じであってもよく、異なってもよい。
【0041】
本実施例において、カバープレート34のエッジには、配分ケース32へ曲げた屈曲部341が形成されている。カバープレート34は、液態冷媒が第1のプレ分配器開口33から流出するときに上向きの気流によって影響されないことに寄与することができる。また、屈曲部341は、カバープレート34表面で收集された液態冷媒が流下することに寄与する。
【0042】
図7及び
図8に示されたように、高さ方向において、第1のプレ分配器開口33の少なくとも一部から配分ケース32の底部までの距離が配分ケース32の高さの半分よりも小さく、ゼロよりも大きい。つまり、第1のプレ分配器開口33の少なくとも一部が側壁321の下半部に設けられる。これによって、液態の冷媒が第1のプレ分配器開口33から流出することに寄与する。また、第1のプレ分配器開口33の位置は、このように設定されることに限らない。
【0043】
本実施例において、冷媒分配器4のケース42の断面形状が八角形である場合に、高さ方向において、第1のプレ分配器開口33の少なくとも一部は、当該八角形の形状の両側鉛直辺の高さ範囲内に位置してもよく、これによって、プレ分配器が長尺方向の両側壁における貫通孔から噴出した気液混合状態の冷媒がケース42の内側壁と衝突し、ケース42内には、上下という2つの渦流が形成されて、液滴が気流から脱落することを促進し、重力作用でケース42底部に落ち戻し、冷媒に対して気液分離を十分に行うことに寄与する。
【0044】
本実施例において、
図8に示されたように、入口31に近づくほど、第1のプレ分配器開口33のサイズが大きく、及び/又は分布密度が大きく、これによって、各第1のプレ分配器開口33において液態冷媒の流速を均一にすることができる。
【0045】
本実施例において、
図8に示されたように、長尺方向Lにおいて、第1のプレ分配器開口33の分布が入口31に対して対称しておらず、つまり、
図8において、入口31の左右両側の複数の第1のプレ分配器開口33が非対称に分布されている。例えば、長尺方向Lにおいて入口31を中心として、入口31の一側(例えば、左側)及び他側(例えば、右側)の第1のプレ分配器開口33が入口31に対してスタッガード分布されることができる。
【0046】
本実施例において、
図9に示されたように、配分ケース32のカバープレート34と平行な断面での形状が八角形である。
【0047】
図10は、本発明の実施例のプレ分配器3の別の概略斜視図であり、
図12は、
図10の1つの側面図であり、
図11は、
図10の上面図である。
【0048】
図10及び
図12に示されたように、プレ分配器3の配分ケース32の、カバープレート34と平行な断面での形状が四角形である。また、本実施例は、これに限らず、プレ分配器3の配分ケース32の、カバープレート34と平行な断面での形状が、他の直線セグメントからなる図形であってもよい。
【0049】
図10及び
図11に示されたように、プレ分配器3の第1のプレ分配器開口33の形状が長尺状である。
【0050】
本実施例の一変形実施形態において、プレ分配器が筒状であってもよい。
【0051】
図13は、本発明の実施例に係るプレ分配器の別の概略斜視図であり、
図14は、
図13の1つの側面図である。
【0052】
図13に示されたように、プレ分配器3aが配分管32aを備える。入口31が配分管32aの管壁321aの頂部に設けられてもよい。管壁321aには、第2のプレ分配器開口33aが形成されてもよい。
【0053】
高さ方向において、第2のプレ分配器開口33aの少なくとも一部から配分管32aの底部までの距離が配分管32aの高さの半分よりも小さくて、ゼロよりも大きい。つまり、第2のプレ分配器開口33aの少なくとも一部が側壁管壁321aの下半部に設けられる。これによって、液態の冷媒が第2のプレ分配器開口33aから流出することに寄与する。また、第2のプレ分配器開口33aの位置は、このように設定されることに限らない。
【0054】
図13及び
図14に示されたように、第2のプレ分配器開口33aの形状が円状であり、本実施例はこれに限らず、第2のプレ分配器開口33aが他の形状、例えば、多角形、楕円形等であってもよい。
【0055】
本実施例において、入口31に近づくほど、第2のプレ分配器開口33aのサイズが大きく、及び/又は分布密度が大きく、これによって、各第2のプレ分配器開口33aにおいて液態冷媒の流速を均一にすることができる。
【0056】
本実施例において、長尺方向Lにおいて、第2のプレ分配器開口33aの分布は、入口31に対して非対称であってもよく、つまり、
図14における入口31の左右両側の複数の第2のプレ分配器開口33aが非対称に分布されてもよい。例えば、長尺方向Lにおいて、入口31を中心として、入口31の一側(例えば、左側)及び他側(例えば、右側)の第2のプレ分配器開口33aが入口31に対してスタッガード分布されることができる。
【0057】
図15は、本発明の実施例に係るプレ分配器3aの別の概略斜視図であり、
図16は、
図15の1つの側面図である。
【0058】
図15と
図13との相違は、
図15のプレ分配器3aが第2のカバープレート34aをさらに備える点にある。第2のカバープレート34aが配分管32aの上部に設けられており、第2のカバープレート34aの面積が配分管32aの長尺方向Lと平行な断面の面積よりも大きい。第2のカバープレート34aは、液態冷媒が第2のプレ分配器開口33aから流出するときに上向きの気流によって影響されないことに寄与することができる。
【0059】
また、第2のカバープレート34aは、高さ方向に対して傾斜した屈曲構造を有してもよく、当該屈曲構造は、第2のカバープレート34aの表面で收集された液態冷媒が流下することに寄与する。
【0060】
また、
図15及び
図16のプレ分配器3aにおける第2のプレ分配器開口33aについての説明は、
図13及び
図14の関連説明を参照することができる。
【0061】
また、
図13、
図14、
図15、
図16において、第2のプレ分配器開口33aと入口31との距離が所定の閾値よりも大きくてもよく、これによって、入口31の近傍に第2のプレ分配器開口33aが形成されることを回避することができる。
【0062】
本実施例によれば、冷媒分配器4のケース42ではプレ分配器3を備えない場合に、気液混合状態の冷媒が冷媒入口41を通してケース42に入り、ケース42の幅が徐々に大きくなるので、気態冷媒の流速を効果的に低下させ、気態冷媒と液態冷媒との分離に有利となっており、分配器内の圧力降下も低下させ、分配器内において液態冷媒が均一に配分されるのに有利となる。ケース42内の液態冷媒がケース42の下表面422の液体出口46から流出する。
【0063】
冷媒分配器4のケース42にプレ分配器3を備える場合に、気液混合状態の冷媒は、冷媒入口41からケース42の上表面421を通過してプレ分配器3(又は3a)の入口31に繋がる給液管を通して、プレ分配器3(又は3a)内部に入る。混合した冷媒がプレ分配器3(又は3a)内に長尺方向に沿って配分され、長尺方向に初期に均一に配分された混合状態の冷媒は、第1のプレ分配器開口33(又は第2のプレ分配器開口33a)からプレ分配器3又は(3a)の外に流出して、ケース42に入る。ケース42内の冷媒が気液分離され、ケース42の幅が徐々に大きくなるので、気態冷媒の流速を効果的に低下させ、気態冷媒と液態冷媒との分離に有利となっており、分配器内の圧力降下も低下させ、分配器内において液態冷媒が均一に配分されるのに有利となる。また、プレ分配器3が長尺方向の両側壁における貫通孔33(33a)から噴出した気液混合状態の冷媒がケース内側壁と衝突してルテックス・フローを形成し、液滴が気流から脱落することを促進し、重力作用でケース底部に落ち戻す。ケース42内の液態冷媒がケース42下表面422の液体出口46から流出する。
【0064】
図17は、本実施例に係るケース42における冷媒のフローフィールド分布を示す図である。
図17に示されたように、冷媒分配器4のケース42の断面形状が八角形(例えば、
図2aに示された八角形)である場合に、高さH方向において、第1のプレ分配器開口33又は第2のプレ分配器開口33aの少なくとも一部は、当該八角形の形状の両側鉛直辺171、172の高さ範囲内にある。
【0065】
図17に示されたように、高速な気液混合状態の冷媒がプレ分配器3又は3aの第1のプレ分配器開口33又は第2のプレ分配器開口33aから流出する時に、八角形の形状の両側鉛直壁171、172と衝突し、上下側の斜面によって案内されて上下という2つの渦流17a及び17bを形成する。気液混合状態の冷媒によって形成された渦流17a及び17bにおいて、気態冷媒の動き方向は急激に変化し、液態冷媒の液滴質量が大きく、慣性が大きく、重力作用が大きく、そのため、気態冷媒から容易に脱落して両側鉛直辺171、172に沿ってケース42の底部に流れ、これによって、冷媒気液分離の効果を向上した。
【0066】
また、上下という2つの渦流17a及び17bの存在によって、気液混合状態の冷媒がケース42内に留まる時間がより長くなり、高速な気流に伴った冷媒液滴が慣性及び重力作用でケース底部に落ち戻しやすく、ケース42上部の通気溝から流出しにくく、そのため、吸気による液体の持ち込みというリスクを低下させた。
【0067】
<実施例2>
本発明の実施例2は、実施例1に記載の冷媒分配器を含む蒸発器を提供する。
【0068】
図18は、本発明の実施例2に係る蒸発器の概略斜視図であり、
図19は、
図18の長尺方向に垂直な断面図であり、当該蒸発器は、例えば流下液膜式蒸発器である。
【0069】
図18及び
図19に示されたように、蒸発器10は、冷媒分配器4、蒸発器筐体1、給液管2、吸気口9及び熱交換チューブバンドル5を備える。
【0070】
図18及び
図19に示されたように、給液管2は、蒸発器筐体1を通して冷媒入口41に接続され、例えば、給液管2が蒸発器筐体1を通して冷媒分配器4に入り、冷媒分配器4におけるプレ分配器3の入口31と接続され、冷媒をプレ分配器3に注入し、又は、プレ分配器3を備えない場合に、給液管2が蒸発器筐体1を通過して冷媒分配器4に入り、冷媒を冷媒分配器4のケース42に注入する。
【0071】
図18及び
図19に示されたように、冷媒分配器4が熱交換チューブバンドル5上方に位置し、冷媒分配器4から流出された液態冷媒が熱交換チューブバンドル5に流れ、熱交換チューブバンドルと熱交換を行う。
【0072】
図18及び
図19に示されたように、吸気口9が蒸発器筐体1の頂部に設けられて、蒸発器筐体1内の気態冷媒が吸気口9から排出される。当該吸気口9は、例えば圧縮機の吸込み口に接続されてもよい。
【0073】
図18及び
図19に示されたように、蒸発器10は、熱交換チューブバンドル支持板6、サイドフェンス7及びミストキャッチャー8を備える。
【0074】
本実施例において、熱交換チューブバンドル支持板6が冷媒分配器4の下方に位置して、熱交換チューブバンドル5を支持してもよく、例えば、熱交換チューブバンドル5が熱交換チューブバンドル支持板6を通過する。サイドフェンス7が冷媒分配器4の下方に位置し、熱交換チューブバンドル5の両側に位置してもよい。ミストキャッチャー8は、幅方向においてサイドフェンス7と蒸発器筐体1との間に位置しており、高さ方向において熱交換チューブバンドル支持板6によって支持されて、ミストキャッチャー8は、例えば、ワイヤーメッシュセパレーターであってもよい。
【0075】
本実施例において、
図18及び
図19に示されたように、気液混合状態の冷媒が給液管2を通して冷媒分配器4に入り、気液混合状態の冷媒が冷媒分配器4において気液分離され、気態冷媒は、分離された後に冷媒分配器4のケース42の頂部の通気溝45及びワイヤーメッシュセパレーター47から流出し、液態冷媒は、重力作用でケース42の下表面422に落ちて(
図18、
図19において未図示)、液体出口46(
図18、
図19において未図示)から均一に配分された後に、熱交換チューブバンドル5に流出して熱交換を行う。熱交換蒸発による気態冷媒は一部の液滴を伴って、サイドフェンス7と蒸発器筐体1との間の通路を流れて、熱交換チューブバンドル支持板6に設けられ且つサイドフェンス7と蒸発器筐体1との間に位置するミストキャッチャー8と相互作用し、気態冷媒に伴った液態冷媒が濾過され、最終的には、蒸発器内の熱交換による気態冷媒と、分配器4の通気溝45及びワイヤーメッシュセパレーター47から流出された気態冷媒とは、圧縮機の吸気作用で蒸発器の吸気口9から流出する。
【0076】
図19において、蒸発器内の熱交換による気態冷媒は、点線矢印Aとして示され、分配器4の通気溝45及びワイヤーメッシュセパレーター47から流出された気態冷媒は、点線矢印A2として示される。
図19に示されたように、点線矢印A1及び点線矢印A2が示す気態冷媒の気体流路が互いに干渉しなく、気体の排出によって、気液分離効果を向上した。
【0077】
本実施例において、本発明の冷媒分配器を採用したので、液態冷媒が熱交換チューブバンドルにより均一に配分されることができ、そのため、当該蒸発器の熱交換効率が向上された。
【0078】
本実施例に係る蒸発器は、熱交換システムに適用されることができ、また、本実施例に係る蒸発器を採用したので、当該熱交換システムの熱交換効率が向上され、蒸発器の吸気による液体の持ち込みというリスクを効果的に制御することができ、熱交換システムでの低圧冷媒の利用に寄与する。
【0079】
以上、具体的な実施の形態を組み合わせて本発明を説明した。ただし、当業者が理解すべきことは、それらの記載はいずれも例示するものに過ぎず、本発明の保護範囲に対する限定ではない。当業者は本発明の精神及び原理に基づいて、本発明に対して種々変形や修正を行うことができるが、それらの変形と修正も本発明の範囲内にある。
【国際調査報告】